連結式バットレス材料保持システム
【課題】ジョー自体の内部に構造を成形または機械加工して、これに対応して構成されたバットレス材料の取り付けを容易にし、さらに、このような構造を、ジョーに実装されたナイフブレードの動作と干渉しない様式で提供する、外科用ステープラーを提供すること。
【解決手段】ステープルを含むカートリッジとアンビルとを備える一対のジョーを有する外科用ステープラーが提供される。バットレス材料は、ステープルを含むカートリッジとアンビルとに、着脱可能に固定される。ジョーのうちの一方は、ジョーの第一の端部において一対の長手方向の突出部を備え、これは、バットレス材料の第一の端部における対応するスロットと摩擦係合するように構成される。ジョーのうちの一方は、ジョーの第二の端部においてポストを備える。バットレス材料は、ポストを受容するために、バットレス材料の第二の端部においてホールを備える。
【解決手段】ステープルを含むカートリッジとアンビルとを備える一対のジョーを有する外科用ステープラーが提供される。バットレス材料は、ステープルを含むカートリッジとアンビルとに、着脱可能に固定される。ジョーのうちの一方は、ジョーの第一の端部において一対の長手方向の突出部を備え、これは、バットレス材料の第一の端部における対応するスロットと摩擦係合するように構成される。ジョーのうちの一方は、ジョーの第二の端部においてポストを備える。バットレス材料は、ポストを受容するために、バットレス材料の第二の端部においてホールを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本開示は、ステープルラインバットレス材料のための取り付けシステムに関する。より具体的には、本開示は、ステープルラインバットレス材料を、外科用ステープル止め機器のカートリッジを含むアンビルおよびステープルに一時的に取り付けるシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の背景)
外科用ステープル止め機器または「ステープル止めデバイス」は、身体組織の部分を一緒に結合させる目的で、身体組織に対して1列以上のファスナー(例えば、ステープルまたは2部品(two−part)ファスナー)を連続して、または、同時に適用するために、外科医によって用いられる。このようなデバイスは、一般に、一対のジョーまたは指のような構造を備え、この構造の間に結合される身体組織が置かれる。ステープル止めデバイスが起動または「始動(fire)」されると、長手方向に動く始動バーが、ジョーの一方におけるステープル駆動部材と接する。ステープル駆動部材は、身体組織を通して、そして、対向するジョーのアンビルへと外科用ステープルを押し、ステープルを閉じた状態にかしめる。組織が除去または分離される必要がある場合には、デバイスのジョーにナイフブレードが提供されて、ステープルの列の間にある組織を切断し得る。
【0003】
比較的薄いか、または、脆弱な組織をステープル止めする場合、ステープルラインを、気体または流体の漏れに対して有効に密閉することが重要である。さらに、組織が裂けたり、組織を通してステープルを引っ張ったりすることを防止するために、この組織に対してステープルラインを補強することがしばしば必要となる。この裂けや引っ張りを防止する1つの方法は、生体適合性の織物補強材料または「バットレス」材料を、ステープルと下の組織との間に置くことを伴う。この方法において、バットレス材料の層が、組織に対して置かれ、そして、組織が、従来の様式でステープル止めされる。より最近の方法では、バットレス材料は、組織をステープル止めする前に、ステープル止め機器自体に位置決めされる。この代表的な例は、McKeanらに対する特許文献1に開示される。この特許文献1において、バットレス材料の管が、ステープラーのジョーの周りを滑らされる。次いで、ステープラーが起動されて、被験体の組織をステープル止めし、そして、組織とステープルラインとの間にバットレス材料を固定して、組織およびステープルラインを補強する。
【0004】
いくつかの新規の外科用ステープラーは、バットレス材料をステープラーのジョーに一時的に接続するために、ファスナーまたはクリップを利用する。しかし、いくつかの場合において、ジョー自体の内部に構造を成形または機械加工して、これに対応して構成されたバットレス材料の取り付けを容易にすることが望ましい。さらに、このような構造を、ジョーに実装されたナイフブレードの動作と干渉しない様式で提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,542,594号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要旨)
ステープルカートリッジおよびアンビルを備える一対のジョーを有する外科用ステープラーが開示される。ジョーの少なくとも一方は、第一のジョーの第一の端部に位置決めされた少なくとも2つの長手方向に延びる突出部を備える。外科用ステープラーはまた、少なくとも一方のジョーに着脱可能に固定され、少なくとも2つの突出部を受容するための凹部を備えるステープルラインバットレス材料も有する。1つの実施形態において、少なくとも2つの突出部の各々は、ネック部分および膨らんだ部分を備える。代替的な実施形態において、少なくとも2つの突出部の各々は、比較的真っ直ぐである。少なくとも一方のジョーは、長手方向に延びるナイフスロットを備え、少なくとも2つの突出部は、このナイフスロットによって隔てられる。
【0007】
さらなる実施形態において、少なくとも一方のジョーは、少なくとも2つの突出部を2セット備え、そして、この少なくとも一方のジョーは、長手方向に延びるナイフスロットを備える。ナイフスロットは、2セットの少なくとも2つの突出部を隔てる。
【0008】
特定の実施形態において、少なくとも一方のジョーは、第二の端部にポストを備え、そして、バットレス材料は、このポストを受容するためのホールを備える。第一のバージョンにおいて、ポストは分割しており、ポスト間のナイフの通過を可能にするが、第二のバージョンにおいては、ポストは中実である。
【0009】
特定の実施形態において、ポストは、キャップを有するキノコ形状の突出部を形成し、そして、キャップは、バットレス材料の一部と係合するためのフランジを規定する。
【0010】
別の実施形態において、少なくとも一方のジョーは、一対のポストを備え、そして、バットレス材料は、一対のポストを受容するための一対のホールを備える。一対のポストの各ポストは、バットレス材料の外側エッジに隣接して位置決めされる。少なくとも一方のジョーはまた、長手方向に延びるスロットを備え、その結果、一対のポストがこのスロットによって隔てられる。
【0011】
特定の実施形態において、少なくとも一方のジョーは長手方向に延びるスロットを備え、ポストはスロットの遠位端部の遠位に位置決めされ、そして、バットレス材料は、ポストを受容するためのホールを備える。バットレス材料は、さらに、バットレス材料のホールを規定する領域を通って延びる長手方向のスリットを備える。
【0012】
本発明により開示される連結式バットレス保持システムの種々の実施形態が、添付の図面を参照して、本明細書において開示される。
【0013】
上記に加えて、本発明は以下を提供する:
(項目1) 外科用ステープラーであって、以下:
ステープルカートリッジおよびアンビルを備える一対のジョーであって、該ジョーの少なくとも一方は、該ジョーの少なくとも一方の第一の端部に位置決めされた少なくとも2つの長手方向に延びる突出部を備える、一対のジョー;ならびに
該少なくとも一方のジョーに着脱可能に固定され、そして、該少なくとも2つの突出部を受容するための凹部を備えるステープルラインバットレス材料
を含む、外科用ステープラー。
(項目2) 上記少なくとも2つの突出部の各々が、ネック部分および膨らんだ部分を備える、項目1に記載の外科用ステープラー。
(項目3) 上記少なくとも2つの突出部の各々が、比較的真っ直ぐである、項目1に記載の外科用ステープラー。
(項目4) 上記少なくとも一方のジョーが、長手方向に延びるナイフスロットを備え、上記少なくとも2つの突出部が、該ナイフスロットによって隔てられる、項目1に記載の外科用ステープラー。
(項目5) 上記少なくとも一方のジョーが、上記少なくとも2つの突出部を2セット備える、項目1に記載の外科用ステープラー。
(項目6) 上記少なくとも一方のジョーが、長手方向に延びるナイフスロットを備え、該ナイフスロットは、上記2セットの上記少なくとも2つの突出部を隔てる、項目5に記載の外科用ステープラー。
(項目7) 上記少なくとも一方のジョーが、第二の端部においてポストを備え、上記バットレス材料が、該ポストを受容するためのホールを備える、項目1に記載の外科用ステープラー。
(項目8) 上記ポストが分割しており、該ポストの間のナイフの通過を可能にする、項目7に記載の外科用ステープラー。
(項目9) 上記ポストが中実である、項目7に記載の外科用ステープラー。
(項目10) 上記ポストが、キャップを有するキノコ形状の突出部を形成し、該キャップが、上記バットレス材料の一部と係合するためのフランジを規定する、項目7に記載の外科用ステープラー。
(項目11) 上記ポストが分割している、項目10に記載の外科用ステープラー。
(項目12) 上記少なくとも一方のジョーが、一対のポストを備える、項目1に記載の外科用ステープラー。
(項目13) 上記バットレス材料が、上記一対のポストを受容するための一対のホールを備える、項目12に記載の外科用ステープラー。
(項目14) 上記一対のポストの各ポストが、上記バットレス材料の外側エッジに隣接して位置決めされる、項目12に記載の外科用ステープラー。
(項目15) 上記少なくとも一方のジョーが、長手方向に延びるスロットを備え、上記一対のポストが、該スロットによって隔てられる、項目12に記載の外科用ステープラー。
(項目16) 上記少なくとも一方のジョーが、長手方向に延びるスロットを備え、上記ポストが、該スロットの遠位端部の遠位に位置決めされる、項目9に記載の外科用ステープラー。
(項目17) 上記バットレス材料が、該バットレス材料の上記ホールを規定する領域を通って延びる長手方向のスリットを備える、項目7に記載の外科用ステープラー。
(摘要)
ステープルを含むカートリッジとアンビルとを備える一対のジョーを有する外科用ステープラーが提供される。バットレス材料は、ステープルを含むカートリッジとアンビルとに、着脱可能に固定される。ジョーのうちの一方は、ジョーの第一の端部において一対の長手方向の突出部を備え、これは、バットレス材料の第一の端部における対応するスロットと摩擦係合するように構成される。ジョーのうちの一方は、ジョーの第二の端部においてポストを備える。バットレス材料は、ポストを受容するために、バットレス材料の第二の端部においてホールを備える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、ステープルラインバットレス材料を、アンビルおよび外科用ステープル止め機器のステープルを含むカートリッジに取り付けるための保持システムの実施形態を組み込んだ外科用ステープル止め機器の斜視図である。
【図2】図2は、図1の外科用ステープル止め機器の遠位端部の拡大した斜視図である。
【図3】図3は、部品を分離した、アンビルおよびバットレス材料保持システムの1つの実施形態の斜視図である。
【図4】図4は、組み立てられたアンビルバットレス材料保持システムの斜視図である。
【図5】図5は、図4のアンビルバットレス材料保持システムの遠位端部の上面図である。
【図6】図6は、図4の線6−6に沿ってとった断面図である。
【図7】図7は、部品を分離した、図4のアンビルバットレス保持システムの近位端部の斜視図である。
【図8】図8は、図7の線8−8に沿ってとった断面図である。
【図9】図9は、部品を分離した、アンビルバットレス保持システムの近位端部の代替的な実施形態の斜視図である。
【図10】図10は、図9の線10−10に沿ってとった断面図である。
【図11】図11は、部品を分離した、ステープルを含むカートリッジおよびバットレス材料保持システムの1つの実施形態の斜視図である。
【図12】図12は、図11の組み立てられたカートリッジバットレス保持システムの斜視図である。
【図13】図13は、図12のカートリッジバットレス保持システムの近位端部の上面図である。
【図14】図14は、カートリッジバットレス保持システムの近位端部の代替的な実施形態の上面図である。
【図15】図15は、図12の線15−15に沿ってとった断面図である。
【図16】図16は、部品を分離した、図12のカートリッジバットレス保持システムの遠位端部の斜視図である。
【図17】図17は、図16の線17−17に沿ってとった断面図である。
【図18】図18は、部品を分離した、カートリッジバットレス保持システムの遠位端部の代替的な実施形態の斜視図である。
【図19】図19は、図18の線19−19に沿ってとった断面図である。
【図20】図20は、部品を分離した、カートリッジバットレス保持システムの遠位端部のさらなる代替的な実施形態の斜視図である。
【図21】図21は、図20の線21−21に沿ってとった断面図である。
【図22】図22は、組織部分の周りに位置決めされた、図1の外科用ステープル止め機器の遠位端部の斜視図である。
【図23】図23は、組織部分の周りに位置決めされた外科用ステープル止め機器の遠位端部の側面図であり、部分的に断面で示される。
【図24】図24は、図1の外科用ステープル止め機器の最初の起動の間の側面図であり、部分的に断面で示される。
【図25】図25は、ステープル止めされ、そして分割された組織部分の斜視図である。
【図26】図26は、図25の線26−26に沿ってとった断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態の詳細な説明)
外科用ステープル止め機器と共に使用するための、本発明により開示される連結式バットレス材料保持システムの実施形態が、ここで、添付の図面(同様の数字は、いくつかの図面の各々において、同一であるか、または、対応する要素を示す)を参照して詳細に記載される。当該分野で一般的であるように、用語「近位」とは、使用者または操作者(すなわち、外科医または医師)により近い側の部分または構成要素をいい、一方で、用語「遠位」とは、使用者から離れた側の部分または構成要素をいう。
【0016】
ここで図1を参照して、組織をステープル止めし、そして、ステープルと下にある組織との間にバットレス材料の層を適用する際に使用するための、直線状の外科用ステープル止め機器または外科用ステープラー10が開示される。この型の外科用ステープル止め機器の代表的な例は、米国特許第7,128,253号(この特許の全開示は、本明細書中に参考として援用される)に開示される。外科用ステープラー10は、一般に、ハンドル12を備え、このハンドル12は、ハンドル12から遠位に延びる細長の管状部材14を有する。ジョーアセンブリ16は、細長の管状部材14の遠位端部18に設置される。ジョーアセンブリ16は、ステープル打ち曲げアンビル20と、ステープルを含むカートリッジまたはステープルカートリッジ22とを備える。ステープルカートリッジ22は、細長の管状部材14に固定的に固定されていても、取り外し可能であり、したがって、新しいステープルカートリッジ22と交換可能であってもよい。ステープル打ち曲げアンビル20は、細長の管状部材14の遠位端部18に可動式に設置され、そして、ステープルカートリッジ22から間隔を空けられた開いた位置と、実質的にステープルカートリッジ22に隣接する閉じた位置との間で可動である。
【0017】
ステープル打ち曲げアンビル20が、アンビルバットレス材料24の層に提供され、そして、ステープルカートリッジ22が、本明細書において以下により詳細に記載される様式で、カートリッジバットレス材料26の層に提供される。アンビルバットレス保持システム28が、アンビル20およびアンビルバットレス材料24内に組み込まれ、そして、これは、アンビルバットレス材料24を、ステープル打ち曲げアンビル20に着脱可能に固定するために提供される。同様に、カートリッジバットレス保持システム30が、ステープルカートリッジ22およびカートリッジバットレス材料26内に組み込まれ、そして、これは、カートリッジバットレス材料26を、ステープルカートリッジ22に着脱可能に固定するために提供される。アンビルバットレス材料24およびカートリッジバットレス材料26は、外科用ステープラー10によって組織に加えられるステープルラインを強化し、そして、密閉するために提供される。
【0018】
アンビルバットレス保持システム28およびカートリッジバットレス保持システム30は、特に、外科用ステープラー10が患者の体内に挿入され、そして操作されるときに、それぞれのバットレス材料の裂けまたはしわの危険性を伴わずに、患者の身体内への外科用ステープラー10の通過を容易にするために、それぞれのバットレス材料を、アンビル20およびステープルカートリッジ22の内向きの表面に位置を定められるように構成される。
【0019】
外科用ステープラー10はさらに、ハンドル12の上に可動式に設置されたトリガ32を備える。トリガ32を起動すると、最初に、アンビル20をステープルカートリッジ22に関して開いた位置から閉じた位置へと動かすように作動し、その後、外科用ステープラー10を動かして、ステープルのラインを組織に適用する。ジョーアセンブリ16を、ステープル止めされる組織に関して適切に配向するために、外科用ステープラー10は、さらに、ハンドル12の上に設置された回転ノブ34が提供される。回転ノブ34のハンドル12に関する回転は、細長の管状部材14およびジョーアセンブリ16をハンドル12に関して回転させ、ジョーアセンブリ16を、ステープル止めされる組織に関して適切に配向する。
【0020】
図1および2を参照すると、アンビル20を、ステープルカートリッジ22に関して開いた位置と閉じた位置との間で動かすために、駆動装置36が提供される。駆動装置36は、アンビル20内に形成された長手方向のスロット38の間を動く。ナイフブレード(図示されず)は、駆動装置36に実装され、駆動装置36がスロット38を通過するときに、アンビル20とステープルカートリッジ22との間に捕捉される組織を切断する。
【0021】
図3を参照すると、アンビル20を開いた位置と閉じた位置との間で動かすために、アンビル20は、アンビル20を閉じた位置へとカムを取り付けるために駆動装置36によって係合されるように構成された、近位の、角度の付いた、または傾斜したエッジ40を備える。スロット38は、傾斜したエッジ40から遠位に延び、そして、横スロット42内で端をなす。この横スロット42は、外科用ステープラー10の任意のさらなる作動を防ぐために、外科用ステープラー10の作動が完了したら、駆動装置36を捕捉するように構成される。ステープルカートリッジ22によって提供されるステープルを組織およびバットレス材料の周りに固定するために、アンビル20は、長手方向のスロット38のいずれかの側に位置を定められた、ステープル打ち曲げポケット44の長手方向に延びる列が提供される。
【0022】
なお図3を参照して、ここで、アンビル20およびアンビルバットレス材料24に組み込まれたアンビルバットレス保持システム28が記載される。アンビルバットレス材料24ならびにカートリッジバットレス材料26。ステープルカートリッジ22および/またはアンビル20のためのバットレス材料は、あらゆる生体適合性の天然または合成の材料から作製され得る。バットレス材料が形成される材料は、生体吸着性であっても非生体吸着性であってもよい。当然のことながら、天然、合成、生体吸着性、および非生体吸着性の材料の任意の組み合わせが、バットレス材料を形成するために使用され得ることが理解されるべきである。
【0023】
バットレス材料が作製され得る材料のいくつかの非限定的な例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ホスファジン)(poly(phosphazine))、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアセテート、ポリカプロラクトン、ポリプロピレン、脂肪族ポリエステル、グリセロール、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレンオキサレート、ポリアミド、ポリ(イミノカーボネート)、ポリアルキレンオキサレート、ポリオキサエステル、ポリオルトエステル、ポリホスファゼンおよびコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、これらのブレンドおよび組み合わせ。ある実施形態においては、天然の生物学的なポリマーが、バットレス材料を形成する際に使用される。適切な天然の生物学的なポリマーとしては、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、フィブリノーゲン、エラスチン、ケラチン、アルブミン、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシエチルセルロース、キチン(chitan)、キトサン、およびこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。さらに、天然の生物学的なポリマーは、バットレス材料を生成するために、本明細書中に記載される他のポリマー材料のいずれかと組合され得る。
【0024】
バットレス材料は、有孔であっても、非有孔であっても、有孔の層と非有孔の層との組み合わせであってもよい。バットレス材料が非有孔である場合、バットレス材料は、周囲の組織からの組織の内方増殖を遅延または防止し得、それによって、癒着に対するバリアとして機能し、そして、望ましくない瘢痕組織の形成を防止する。したがって、ある実施形態においては、バットレス材料は、抗癒着特性を有する。このような材料から非有孔の層を形成するための技術は、当業者の知識の範囲内であり、そして例えば、鋳造、成型などが挙げられる。
【0025】
ある実施形態においては、バットレス材料は、有孔であり、そして、止血特性を有する。バットレス材料が有孔である場合、バットレス材料は、その表面の少なくとも一部にわたり、開口または孔を有する。有孔層を形成するための適切な材料としては、発泡体(例えば、連続気泡発泡体または独立気泡発泡体)が挙げられるがこれらに限定されない。ある実施形態においては、孔は、有孔層の厚み全体にわたって相互に連絡するように、十分な数およびサイズであり得る。他の実施形態においては、孔は、有孔層の厚み全体にわたって相互に連絡しない。なお他の実施形態においては、孔は、有孔層の厚み全体にわたって延びておらず、その表面の一部に存在する。ある実施形態においては、開口または孔は、有孔層の表面の一部に位置を定められ、有孔層の他の部分は、非有孔の構造を有する。本開示を読む当業者は、有孔層について、他の孔の分布パターンおよび構成を想定する。
【0026】
バットレス材料が有孔である場合、孔は、発泡体またはスポンジを形成するのに適した任意の方法(組成物の凍結乾燥またはフリーズドライが挙げられるがこれらに限定されない)を用いて形成され得る。発泡体を作製するための適切な技術は、当業者の知識の範囲内である。有孔のバットレス材料は、厚さ少なくとも0.2cmであり得、そして、ある実施形態においては、厚さ約0.3cm〜約1.5cmであり得る。有孔のバットレス材料は、多くて約75mg/cm2の密度を有し得、そして、ある実施形態においては、約20mg/cm2を下回る密度を有し得る。有孔バットレス材料における孔のサイズは、約20μm〜約300μmであり得、ある実施形態においては、約100μm〜約200μmであり得る。
【0027】
バットレス材料はまた、補強部材を備え得る。補強部材は、有孔または非有孔の層に実装されても、バットレス材料の非有孔層と有孔層との間に位置決めされてもよい。あるいは、補強部材は、完全にバットレス材料の1以上の個々の層内に位置決めされ(すなわち、有孔層、非有孔層、または両方の内側に埋め込まれ)てもよい。また、補強部材は、バットレス材料を構成する層のうちの1つの表面に位置決めされてもよく、ある実施形態においては、バットレス材料の外側表面に位置決めされてもよいことが想定される。
【0028】
補強部材のいくつかの適切な非限定的な例としては、織物、メッシュ、モノフィラメント、マルチフィラメントの組紐、チョップドファイバー(当該分野では、時折、ステープル繊維と呼ばれる)およびこれらの組み合わせが挙げられる。補強部材がメッシュである場合、補強部材は、編み、織り、タッチング、ニップリング(knipling)などのような、当業者に公知のあらゆる技術を用いて調製され得る。モノフィラメントまたはマルチフィラメントの組紐が補強部材として使用される場合、モノフィラメントまたはマルチフィラメントの組紐は、任意の所望される様式で配向され得る。例えば、モノフィラメントまたはマルチフィラメントの組紐は、バットレス材料内で互いに関して不規則に位置決めされ得る。別の例として、モノフィラメントまたはマルチフィラメントの組紐は、バットレス材料内で共通する方向に配向され得る。チョップドファイバーが補強部材として使用される場合、チョップドファイバーは、任意の所望される様式で配向され得る。例えば、チョップドファイバーは、不規則に配向されても、共通する方向に配向されてもよい。したがって、チョップドファイバーは、マットまたはフェルトのような不織材料を形成し得る。チョップドファイバーは、(例えば、熱溶融によって)一緒に結合されても、互いに付着されていないくてもよい。チョップドファイバーは、任意の適切な長さであり得る。例えば、チョップドファイバーは、0.1mm〜100mmの長さであり得、ある実施形態においては、0.4mm〜50mmの長さであり得る。例示的な実施形態において、バットレス材料は、予め一緒に溶融されていない、不規則な配向のチョップドファイバーが、バットレス材料内に埋め込まれる。
【0029】
補強部材は、本明細書中で前述したあらゆる生体吸着性、非生体吸着性、天然、または合成の材料およびこれらの組み合わせから形成され得ることが想定される。モノフィラメントおよびマルチフィラメントの組紐が補強部材として使用される場合、あらゆる市販の縫合糸材料が有利に補強部材として用いられ得る。
【0030】
ある実施形態においては、少なくとも1種の生物活性因子が、バットレス材料、および/または、バットレス材料を構築するために使用された個々の構成要素(有孔層、非有孔層および/または補強部材)と組合され得る。これらの実施形態において、バットレス材料はまた、生物活性因子を送達するためのビヒクルとしても機能し得る。用語「生物活性因子」とは、本明細書において使用される場合、その最も広い意味において使用され、そして、臨床上の用途を有するあらゆる物質または物質の混合物を包含する。したがって、生物活性因子は、それ自体が薬理学的活性を有しても有していなくてもよい(例えば、色素または香料)。あるいは、生物活性因子は、治療上または予防上の効果を提供するあらゆる因子、組織増殖、細胞増殖、細胞分化に影響するかまたはこれらに関与する化合物、抗癒着化合物、免疫応答性のような生物学的な活動を惹起し得る化合物、または、1以上の生物学的プロセスにおいてあらゆる他の役割を果たし得る化合物であり得る。
【0031】
本開示にしたがって利用され得る生物活性因子の分類の例としては、抗癒着物質、抗菌物質、解熱薬、鎮痛薬、麻酔薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、心血管系の薬物、診断剤、交感神経作用薬、コリン作用薬、抗ムスカリン作用薬、鎮痙薬、ホルモン剤、増殖因子、筋弛緩薬、アドレナリン作動性ニューロン遮断薬、抗腫瘍薬、免疫原性因子、免疫抑制薬、消化管系の薬物、利尿薬、ステロイド、脂質、リポ多糖類、多糖類および酵素が挙げられる。また、生物活性因子の組み合わせが使用され得ることも意図される。
【0032】
抗癒着性因子または抗癒着因子は、バットレス材料と、標的組織の反対側の周囲組織との間に癒着が形成することを防止するために使用され得る。これらの因子のいくつかの例としては、ポリ(ビニルピロリドン)、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0033】
本開示のバットレス材料中に生物活性因子として含められ得る適切な抗菌剤としては、トリクロサン(2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルとしても公知)、クロルヘキシジンおよびその塩(酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジンおよび硫酸クロルヘキシジンを含む)、銀およびその塩(酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、乳酸銀、ラウリル酸銀、硝酸銀、酸化銀、パルミチン酸銀、銀タンパク質および銀スルファジアジンを含む)、ポリミキシン、テトラサイクリン、アミノグリコシド(例えば、トブラマイシンおよびゲンタマイシン、リファンピシン、バシトラシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール)、キノロン(例えば、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ナリジクス酸、ペフロキサシン(pefloxacin)、エノキサシンおよびシプロフロキサシン)、ペニシリン(例えば、オキサシリンおよびピプラシル(pipracil))、ノンオキシノール9(nonoxynol 9)、フシジン酸、セファロスポリン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。さらに、ウシラクトフェリンおよびラクトフェリシンBのような抗菌性のタンパク質およびペプチドが、本開示のバットレス材料中の生物活性因子として含められ得る。
【0034】
本開示にしたがうバットレス材料中の生物活性因子として含められ得る他の生物活性因子としては、以下が挙げられる:局所麻酔薬;非ステロイド性避妊剤;副交感神経作用剤;精神療法剤(psychotherapeutic agent);精神安定薬;うっ血除去薬;沈静催眠薬;ステロイド;スルホンアミド;交感神経作用剤;ワクチン;ビタミン;抗マラリア薬;抗片頭痛剤(anti−migraine agent);抗パーキンソン剤(例えば、L−ドパ);鎮痙薬;抗コリン作用剤(例えば、オキシブチニン);鎮咳薬;気管支拡張薬;心血管系の薬剤(例えば、冠動脈拡張薬およびニトログリセリン);アルカロイド;鎮痛薬;麻酔薬(例えば、コデイン、ジヒドロコデイン、メペリジン、モルヒネなど);非麻酔薬(例えば、サリチル酸、アスピリン、アセトアミノフェン、d−プロポキシフェンなど);オピオイド受容体アンタゴニスト(例えば、ナルトレキソンおよびナロキソン);抗癌剤;鎮痙薬;制吐薬;抗ヒスタミン薬;抗炎症剤(例えば、ホルモン剤、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、非ホルモン剤、アロプリノール、インドメタシン、フェニルブタゾンなど);プロスタグランジンおよび細胞傷害性薬物;エストロゲン;抗菌薬;抗生物質;抗真菌薬;抗ウイルス薬;抗凝固薬;鎮痙薬;抗うつ薬;抗ヒスタミン薬;および免疫学的因子。
【0035】
バットレス材料中に含められ得る適切な生物活性因子の他の例としては、以下が挙げられる:ウイルスおよび細胞、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質、アナログ、ムテイン、ならびにこれらの活性フラグメント(例えば、免疫グロブリン、抗体)、サイトカイン(例えば、リンホカイン、モノカイン、ケモカイン)、血液凝固因子、造血因子、インターロイキン(IL−2、IL−3、IL−4、IL−6)、インターフェロン(β−IFN、α−IFNおよびγ−IFN)、エリスロポエチン、ヌクレアーゼ、腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM−CSF、MCSF)、インスリン、抗腫瘍因子および腫瘍抑制遺伝子(tumor suppressor)、血液タンパク質、ゴナドトロピン(例えば、FSH、LH、CGなど)、ホルモンおよびホルモンアナログ(例えば、成長ホルモン)、ワクチン(例えば、腫瘍抗原、細菌抗原、およびウイルス抗原);ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子;増殖因子(例えば、神経増殖因子、インスリン様増殖因子);タンパク質インヒビター、タンパク質アンタゴニストおよびタンパク質アゴニスト;核酸(例えば、アンチセンス分子、DNAおよびRNA);オリゴヌクレオチド;ポリヌクレオチド;ならびにリボザイム。
【0036】
アンビルバットレス保持システム28は、組織にステープル止めする前に、アンビルバットレス材料24をアンビル20に着脱可能に固定するために提供される。アンビルバットレス保持システム28は、アンビル20の下面48に形成された、遠位に隆起した領域46を備える。図3および5に最もよく示されるように、遠位に隆起した領域46は、アンビルバットレス材料24の遠位端部をアンビル20に着脱可能に固定するように構成された、一対の近位に延びる指部または突出部50および52を備える。本明細書において使用される場合、用語「突出部」とは、指に似た形状をしており、指の間に位置決めされたバットレス材料を摩擦嵌めの様式で係合するように構成される、機器のジョーに提供される構造をいう。突出部50および52は、それぞれ、ネック54および56と、ネック54および56から近位に延びる膨らんだ部分58および60とを備える。アンビル20の突出部50および52と係合するために、アンビル20の遠位端部66に切欠き62および64が提供される。切欠き62および64は、それぞれ、アンビル20のネック54および56ならびに膨らんだ部分58および60に対応するネック68および70と、膨らんだ部分72および74とを備えるように構成される。突出部50および52は、切欠き62および64と共に、一対の連動指部を形成し、アンビルバットレス材料24をアンビル20上に保持する。
【0037】
アンビルバットレスシステム28はさらに、アンビル20の近位端部78に形成されたポスト76を備える。アンビルバットレス材料24は、近位端部82にホール80が提供され、このホール80は、ポスト76を係合し、そして、アンビルバットレス材料24をアンビル20の下面48を横切ってぴんと張った状態に維持するように構成される。
【0038】
図3〜6に最もよく示されるように、ポスト76は、ポスト半体76aおよび76bへと分割しており、ポスト半体76aと76bとの間にチャネル84を規定する。チャネル84は、アンビル20内のスロット38に対応し、そして、スロット38を通した駆動装置36ならびに駆動装置36に実装されるナイフの移動を可能にしてアンビル20を閉じ、そして、ステープル止めした後、アンビルバットレス材料24を半分に切断する。
【0039】
再び、図3および4の場面を参照すると、アンビルバットレス保持システム28を用いてアンビルバットレス材料24をアンビル20に組み立てるために、アンビルバットレス材料24の遠位端部66にある切欠き62および64は、アンビル20の遠位に隆起した領域46にある突出部50および52の上に位置決めされる。その後、アンビルバットレス材料24は、近位にぴんと張って引っ張られ、そして、ホール80が、アンビル20の近位端部78にあるポスト76の上に位置決めされ、アンビルバットレス材料24を、アンビル20の下面48に対して固定する。
【0040】
図7および8を参照して、アンビル20内のスロット38を通る駆動装置36の通過を可能にする様式で、アンビルバットレス材料24の近位端部82をアンビル20へと固定するための、保持システム86の代替的な実施形態が開示される。保持システム86は、アンビルバットレス材料24内のホール80を通して配置するために、拡大されたキャップ90を有するキノコ形状のポストまたは突出部88を備える。キャップ90は、アンビルバットレス材料24を係合するように構成された、下面またはフランジ92を規定する。上記のポスト76と同様に、突出部88は、突出部半体88aおよび88bに分割しており、駆動装置36および駆動装置36に実装されるナイフブレードの通過のために、突出部半体88aと88bとの間にスロット94を規定する。キャップ90は、アンビルバットレス材料24の近位端部82の成熟前の取り外しの防止を補助する。具体的には示されないが、ホール80の周りの領域は、アンビルバットレス材料24の突出部88からの分離を容易にするために、多孔の領域を備え得る。
【0041】
図9および10を参照して、アンビルバットレス材料24の近位端部82をアンビル20上に保持するための、保持システム94のさらなる代替的な実施形態が例示される。アンビル20には、スロット38のいずれかの側に位置決めされた、一対の水平方向に間隔を空けられたポスト96および98が提供される。アンビルバットレス材料24の近位端部82には、それぞれ、ポスト96および98によって係合されるように構成された、一対の対応するホール100および102が提供される。ポスト96および98は、アンビル20内のスロット38の外側にアンビルバットレス材料24を固定する領域に位置する。このことは、外科用ステープラー10を使用する間に、アンビルバットレス材料24の外側エッジ104および106をぴんと張った状態に維持するのを補助する。
【0042】
ここで、図11および12を参照して、カートリッジバットレス保持システム30が記載される。上述のように、カートリッジバットレス保持システム30は、組織をステープル止めする前に、カートリッジバットレス材料26をステープルカートリッジ22上に保持するために提供される。ステープルカートリッジ22は、一般に、ステープルを含む挿入物110を取り囲むU字型の外側チャネル108を備える。ステープルを含む挿入物110には、ステープルポケットの列112が提供され、このステープルポケットの列112の機能は、以下により詳細に記載される。ナイフチャネル114は、ステープルポケットの列112の間を、ステープルを含む挿入物110を通って長手方向に通過する。
【0043】
図11および15の場面を参照すると、カートリッジバットレス保持システム30は、ステープルを含む挿入物110の遠位端部118に形成されたポスト116を備える。ポスト116は、上記のポスト76と類似しており、そして、半体116aと116bとに分割しており、組織およびカートリッジバットレス材料26を切断するためのナイフブレードの通過に適合する。カートリッジバットレス材料26は、対応するホール120を備え、このホール120は、カートリッジバットレス材料の遠位端部122に形成され、そして、ステープルを含む挿入物110上のポスト116の上にフィットするように構成される。
【0044】
図11および12に戻って参照し、そして、図13に関して、カートリッジバットレス保持システム30はさらに、ステープルを含む挿入物110の近位端部128内に形成された一対の指部または突出部124および126を備え、この突出部124および126は、遠位に延び、比較的真っ直ぐであり、かつ、間隔を空けられている。突出部124および126は、カートリッジバットレス材料26を、カートリッジバットレス材料26の外側エッジ130および132に隣接して固定するために、ナイフチャネル114のいずれかの側に位置決めされる。カートリッジバットレス材料26には、カートリッジバットレス材料26の近位端138内に形成された対応するスロット134および136が提供される。スロット134および136は、ステープルを含む挿入物110の突出部124および126を摩擦嵌めの様式で係合するように構成され、カートリッジバットレス材料26の近位端部138を、ステープルを含む挿入物110の近位端部128の上に保持する。
【0045】
カートリッジバットレス保持システム30を組み立てるために、カートリッジバットレス材料26内のホール120は、ステープルを含む挿入物110の遠位端部118上のポスト116の上に位置決めされる。その後、カートリッジバットレス材料26の近位端部138が、ステープルを含む挿入物110の近位端部128の上に位置決めされる。アンビルバットレス材料26内のスロット134および136は、ステープルを含む挿入物110上の突出部124および126の上から押し付けられて、アンビルバットレス材料26をステープルを含む挿入物110と摩擦嵌めの様式で係合する。
【0046】
図14の場面を参照すると、代替的な実施形態において、ステープルを含む挿入物110の近位端部128には、ナイフチャネル114のいずれかの側に位置決めされる複数のセットの指部または突出部140、142および144、146が提供される。突出部140、142および144、146は、それぞれ、対応するスロットのセット148、150および152、154を係合して、カートリッジバットレス材料26の近位端部138をステープルを含む挿入物110の近位端部128に固定する。ジョーの上に複数のセットの指部を、そして、バットレス材料内に対応するスロットを提供することによって、摩擦接触に利用可能な表面積が増え、より確実な接続を提供する。具体的には示されないが、バットレス材料の性質および必要とされる摩擦接触の量に依存して、2より多いセットの指部およびスロットが提供され得る。
【0047】
ここで、図16〜21を参照し、そして、最初に、図16および17に関して、バットレス材料を外科用機器のジョーに着脱可能に固定する代替的な方法が記載される。上記の突出部88に類似する、分割した突出部156は、ステープルを含む挿入物110の遠位端部118の上に形成され、そして、フランジ160aおよび160bを規定するキャップ半体158aおよび158bを備える。カートリッジバットレス材料26の遠位端部122内のホール120は、分割した突出部156の上にフィットし、カートリッジバットレス材料26の遠位端部122を、ステープルを含む挿入物110の遠位端部118に固定する。
【0048】
図18および19を参照すると、ステープルを含む挿入物110の遠位端部118およびカートリッジバットレス材料26の遠位端部122には、それぞれ、間隔を空けられたポスト162、164と間隔を空けられたホール166、168とが提供され得る。ポスト162、164およびホール166、168は、上記のポスト96、98およびホール100、102と実質的に同様に機能して、カートリッジバットレス材料26の遠位端部122を、ステープルを含む挿入物110の遠位端部118に固定する。
【0049】
図20および21を参照すると、中実の分割していないポスト170が、ステープルを含む挿入物110の遠位端部118の上に提供される。ポスト170は、ナイフチャネル114の遠位端部172の遠位に位置を定められる。ホール174が、カートリッジバットレス材料26の遠位端部122内に提供され、そして、長手方向のスリット176が、ホール174を規定する領域を通って形成される。使用の際、外科用ステープラー10に実装されるナイフは、ナイフチャネル114の長さ全体を通して、カートリッジバットレス材料26を端から端まで切断する。カートリッジバットレス材料26が組織に対してステープル止めされ、ほぼ完全に半分に切断された後、長手方向のスリット176は、カートリッジバットレス材料26が、裂けたり引っかかったりすることなく、半分に分離することを可能にする。
【0050】
ここで、図22〜26を参照し、そして、最初に、図22および23に関して、管状の組織部分Tをステープル止めし、そして、分割するための外科用ステープラー10の使用が記載される。まず、アンビル20およびステープルを含むカートリッジ22を備えるジョーアセンブリ16が、ステープル止めされる組織Tの周りに位置決めされる。駆動装置36は、アンビルのスロット38に関して近位の位置にある。図23に最もよく示されるように、ステープルを含む挿入物110は、ステープルポケット112の列の個々のステープルポケット180内に位置決めされたステープル178を備える。ステープル178は、従来の型のものであり、そして、バックスパン(backspan)182を備え、このバックスパン182からは一対の脚部184および186が延びている。脚部184および186は、組織を貫通する先端部188および190において端をなす。プッシャー192が、ステープルポケット180内に位置を定められ、そして、ステープル178と、駆動バー194の通路との間に位置決めされる。
【0051】
ここで、図24を参照すると、外科用ステープラー10は、まず、トリガ32をハンドル12に関して動かすことによって起動され(図1)、駆動装置36を、矢印Bの方向に、アンビル20の傾斜したエッジ40に関して動かし、それによって、アンビル20をステープルカートリッジ22に関して閉じた位置へと動かす。駆動バー194は、ステープルを含む挿入物194内を遠位に進むので、駆動バー194は、プッシャー192をステープル178のバックスパン182に対して上向きに追いやり、ステープル178を、カートリッジバットレス材料26、組織T、アンビルバットレス材料24を通して、アンビル20内のステープルうち曲げポケット44に向けて駆動する。組織を貫通する先端部188および190は、アンビル20内のステープル打ち曲げポケット44内で屈曲し、それによって、アンビルバットレス材料24を、組織Tに対して固定する。この間、バックスパン182は、カートリッジバットレス材料26を組織Tに対して固定する。
【0052】
具体的には示されないが、外科用ステープラー10を完全に起動した際、外科用ステープラー10に実装され、そして、駆動装置36によって運ばれるナイフブレードが、たった今打ち曲げられたステープルの列の間で、組織T、ならびに、アンビルバットレス材料24およびカートリッジバットレス材料26を切断する。アンビル20をステープルカートリッジ22から間隔を空けた開いた位置へと動かすと、アンビルバットレス材料24は、アンビル20から離れ、そして、カートリッジバットレス材料26は、ステープルカートリッジ22から離れる。具体的には、カートリッジバットレス材料26の遠位端部122は、ナイフによって端から端まで切断され、そして、ポスト116から解放される。カートリッジバットレス材料26の近位端部138は、ステープルを含む挿入物110の近位端部128にある長手方向の突出部124、126から離れる。同様に、アンビルバットレス材料24の遠位端部66は、近位に延びる突出部50、52から離れ、そして、アンビルバットレス材料24の近位端部82は、ポスト78から離れる。
【0053】
結果として得られる、分割され、かつステープル178でステープル止めされ閉じられた組織Tが、図25および26に最もよく例示される。具体的には、カートリッジバットレス材料26は、ステープル178のバックスパン182によって組織Tに対して固定され、そして、アンビルバットレス材料24は、ステープル178のたった今打ち曲げられた組織を貫通する先端部188および190によって、組織Tに対して固定される。この様式において、アンビルバットレス材料24およびカートリッジバットレス材料26は、組織Tに対してステープル止めされ、それによって、ステープル178によって生成されるこれらのステープルラインを密閉し、そして、補強する。
【0054】
本明細書において開示される実施形態に対して、種々の改変がなされ得ることが理解される。例えば、ジョーとジョーに実装されるバットレス材料との間の摩擦接触を増すために、種々の数の連動指部または突出部が提供され得る。さらに、開示されるバットレス材料には、開示される指部または突出部、およびポストからの解放を容易にするために、種々の多孔領域が提供され得る。それゆえ、上記明細書は、限定的なものとしてみなされるべきではなく、単に、特定の実施形態を例示するものとしてみなされるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内で他の改変を想定する。
【符号の説明】
【0055】
10:外科用ステープラーまたは外科用ステープル止め機器
12:ハンドル
16:ジョーアセンブリ
20:アンビル
22:ステープルカートリッジ
24:アンビルバットレス材料
26:カートリッジバットレス材料
28:アンビルバットレス材料保持システム
30:カートリッジバットレス材料保持システム
36:駆動装置
38:長手方向のスロット
50、52、88、124、126、140、142、144、146:突出部
62、64:切欠き
80、100、102、166、168、174:ホール
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本開示は、ステープルラインバットレス材料のための取り付けシステムに関する。より具体的には、本開示は、ステープルラインバットレス材料を、外科用ステープル止め機器のカートリッジを含むアンビルおよびステープルに一時的に取り付けるシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の背景)
外科用ステープル止め機器または「ステープル止めデバイス」は、身体組織の部分を一緒に結合させる目的で、身体組織に対して1列以上のファスナー(例えば、ステープルまたは2部品(two−part)ファスナー)を連続して、または、同時に適用するために、外科医によって用いられる。このようなデバイスは、一般に、一対のジョーまたは指のような構造を備え、この構造の間に結合される身体組織が置かれる。ステープル止めデバイスが起動または「始動(fire)」されると、長手方向に動く始動バーが、ジョーの一方におけるステープル駆動部材と接する。ステープル駆動部材は、身体組織を通して、そして、対向するジョーのアンビルへと外科用ステープルを押し、ステープルを閉じた状態にかしめる。組織が除去または分離される必要がある場合には、デバイスのジョーにナイフブレードが提供されて、ステープルの列の間にある組織を切断し得る。
【0003】
比較的薄いか、または、脆弱な組織をステープル止めする場合、ステープルラインを、気体または流体の漏れに対して有効に密閉することが重要である。さらに、組織が裂けたり、組織を通してステープルを引っ張ったりすることを防止するために、この組織に対してステープルラインを補強することがしばしば必要となる。この裂けや引っ張りを防止する1つの方法は、生体適合性の織物補強材料または「バットレス」材料を、ステープルと下の組織との間に置くことを伴う。この方法において、バットレス材料の層が、組織に対して置かれ、そして、組織が、従来の様式でステープル止めされる。より最近の方法では、バットレス材料は、組織をステープル止めする前に、ステープル止め機器自体に位置決めされる。この代表的な例は、McKeanらに対する特許文献1に開示される。この特許文献1において、バットレス材料の管が、ステープラーのジョーの周りを滑らされる。次いで、ステープラーが起動されて、被験体の組織をステープル止めし、そして、組織とステープルラインとの間にバットレス材料を固定して、組織およびステープルラインを補強する。
【0004】
いくつかの新規の外科用ステープラーは、バットレス材料をステープラーのジョーに一時的に接続するために、ファスナーまたはクリップを利用する。しかし、いくつかの場合において、ジョー自体の内部に構造を成形または機械加工して、これに対応して構成されたバットレス材料の取り付けを容易にすることが望ましい。さらに、このような構造を、ジョーに実装されたナイフブレードの動作と干渉しない様式で提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,542,594号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要旨)
ステープルカートリッジおよびアンビルを備える一対のジョーを有する外科用ステープラーが開示される。ジョーの少なくとも一方は、第一のジョーの第一の端部に位置決めされた少なくとも2つの長手方向に延びる突出部を備える。外科用ステープラーはまた、少なくとも一方のジョーに着脱可能に固定され、少なくとも2つの突出部を受容するための凹部を備えるステープルラインバットレス材料も有する。1つの実施形態において、少なくとも2つの突出部の各々は、ネック部分および膨らんだ部分を備える。代替的な実施形態において、少なくとも2つの突出部の各々は、比較的真っ直ぐである。少なくとも一方のジョーは、長手方向に延びるナイフスロットを備え、少なくとも2つの突出部は、このナイフスロットによって隔てられる。
【0007】
さらなる実施形態において、少なくとも一方のジョーは、少なくとも2つの突出部を2セット備え、そして、この少なくとも一方のジョーは、長手方向に延びるナイフスロットを備える。ナイフスロットは、2セットの少なくとも2つの突出部を隔てる。
【0008】
特定の実施形態において、少なくとも一方のジョーは、第二の端部にポストを備え、そして、バットレス材料は、このポストを受容するためのホールを備える。第一のバージョンにおいて、ポストは分割しており、ポスト間のナイフの通過を可能にするが、第二のバージョンにおいては、ポストは中実である。
【0009】
特定の実施形態において、ポストは、キャップを有するキノコ形状の突出部を形成し、そして、キャップは、バットレス材料の一部と係合するためのフランジを規定する。
【0010】
別の実施形態において、少なくとも一方のジョーは、一対のポストを備え、そして、バットレス材料は、一対のポストを受容するための一対のホールを備える。一対のポストの各ポストは、バットレス材料の外側エッジに隣接して位置決めされる。少なくとも一方のジョーはまた、長手方向に延びるスロットを備え、その結果、一対のポストがこのスロットによって隔てられる。
【0011】
特定の実施形態において、少なくとも一方のジョーは長手方向に延びるスロットを備え、ポストはスロットの遠位端部の遠位に位置決めされ、そして、バットレス材料は、ポストを受容するためのホールを備える。バットレス材料は、さらに、バットレス材料のホールを規定する領域を通って延びる長手方向のスリットを備える。
【0012】
本発明により開示される連結式バットレス保持システムの種々の実施形態が、添付の図面を参照して、本明細書において開示される。
【0013】
上記に加えて、本発明は以下を提供する:
(項目1) 外科用ステープラーであって、以下:
ステープルカートリッジおよびアンビルを備える一対のジョーであって、該ジョーの少なくとも一方は、該ジョーの少なくとも一方の第一の端部に位置決めされた少なくとも2つの長手方向に延びる突出部を備える、一対のジョー;ならびに
該少なくとも一方のジョーに着脱可能に固定され、そして、該少なくとも2つの突出部を受容するための凹部を備えるステープルラインバットレス材料
を含む、外科用ステープラー。
(項目2) 上記少なくとも2つの突出部の各々が、ネック部分および膨らんだ部分を備える、項目1に記載の外科用ステープラー。
(項目3) 上記少なくとも2つの突出部の各々が、比較的真っ直ぐである、項目1に記載の外科用ステープラー。
(項目4) 上記少なくとも一方のジョーが、長手方向に延びるナイフスロットを備え、上記少なくとも2つの突出部が、該ナイフスロットによって隔てられる、項目1に記載の外科用ステープラー。
(項目5) 上記少なくとも一方のジョーが、上記少なくとも2つの突出部を2セット備える、項目1に記載の外科用ステープラー。
(項目6) 上記少なくとも一方のジョーが、長手方向に延びるナイフスロットを備え、該ナイフスロットは、上記2セットの上記少なくとも2つの突出部を隔てる、項目5に記載の外科用ステープラー。
(項目7) 上記少なくとも一方のジョーが、第二の端部においてポストを備え、上記バットレス材料が、該ポストを受容するためのホールを備える、項目1に記載の外科用ステープラー。
(項目8) 上記ポストが分割しており、該ポストの間のナイフの通過を可能にする、項目7に記載の外科用ステープラー。
(項目9) 上記ポストが中実である、項目7に記載の外科用ステープラー。
(項目10) 上記ポストが、キャップを有するキノコ形状の突出部を形成し、該キャップが、上記バットレス材料の一部と係合するためのフランジを規定する、項目7に記載の外科用ステープラー。
(項目11) 上記ポストが分割している、項目10に記載の外科用ステープラー。
(項目12) 上記少なくとも一方のジョーが、一対のポストを備える、項目1に記載の外科用ステープラー。
(項目13) 上記バットレス材料が、上記一対のポストを受容するための一対のホールを備える、項目12に記載の外科用ステープラー。
(項目14) 上記一対のポストの各ポストが、上記バットレス材料の外側エッジに隣接して位置決めされる、項目12に記載の外科用ステープラー。
(項目15) 上記少なくとも一方のジョーが、長手方向に延びるスロットを備え、上記一対のポストが、該スロットによって隔てられる、項目12に記載の外科用ステープラー。
(項目16) 上記少なくとも一方のジョーが、長手方向に延びるスロットを備え、上記ポストが、該スロットの遠位端部の遠位に位置決めされる、項目9に記載の外科用ステープラー。
(項目17) 上記バットレス材料が、該バットレス材料の上記ホールを規定する領域を通って延びる長手方向のスリットを備える、項目7に記載の外科用ステープラー。
(摘要)
ステープルを含むカートリッジとアンビルとを備える一対のジョーを有する外科用ステープラーが提供される。バットレス材料は、ステープルを含むカートリッジとアンビルとに、着脱可能に固定される。ジョーのうちの一方は、ジョーの第一の端部において一対の長手方向の突出部を備え、これは、バットレス材料の第一の端部における対応するスロットと摩擦係合するように構成される。ジョーのうちの一方は、ジョーの第二の端部においてポストを備える。バットレス材料は、ポストを受容するために、バットレス材料の第二の端部においてホールを備える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、ステープルラインバットレス材料を、アンビルおよび外科用ステープル止め機器のステープルを含むカートリッジに取り付けるための保持システムの実施形態を組み込んだ外科用ステープル止め機器の斜視図である。
【図2】図2は、図1の外科用ステープル止め機器の遠位端部の拡大した斜視図である。
【図3】図3は、部品を分離した、アンビルおよびバットレス材料保持システムの1つの実施形態の斜視図である。
【図4】図4は、組み立てられたアンビルバットレス材料保持システムの斜視図である。
【図5】図5は、図4のアンビルバットレス材料保持システムの遠位端部の上面図である。
【図6】図6は、図4の線6−6に沿ってとった断面図である。
【図7】図7は、部品を分離した、図4のアンビルバットレス保持システムの近位端部の斜視図である。
【図8】図8は、図7の線8−8に沿ってとった断面図である。
【図9】図9は、部品を分離した、アンビルバットレス保持システムの近位端部の代替的な実施形態の斜視図である。
【図10】図10は、図9の線10−10に沿ってとった断面図である。
【図11】図11は、部品を分離した、ステープルを含むカートリッジおよびバットレス材料保持システムの1つの実施形態の斜視図である。
【図12】図12は、図11の組み立てられたカートリッジバットレス保持システムの斜視図である。
【図13】図13は、図12のカートリッジバットレス保持システムの近位端部の上面図である。
【図14】図14は、カートリッジバットレス保持システムの近位端部の代替的な実施形態の上面図である。
【図15】図15は、図12の線15−15に沿ってとった断面図である。
【図16】図16は、部品を分離した、図12のカートリッジバットレス保持システムの遠位端部の斜視図である。
【図17】図17は、図16の線17−17に沿ってとった断面図である。
【図18】図18は、部品を分離した、カートリッジバットレス保持システムの遠位端部の代替的な実施形態の斜視図である。
【図19】図19は、図18の線19−19に沿ってとった断面図である。
【図20】図20は、部品を分離した、カートリッジバットレス保持システムの遠位端部のさらなる代替的な実施形態の斜視図である。
【図21】図21は、図20の線21−21に沿ってとった断面図である。
【図22】図22は、組織部分の周りに位置決めされた、図1の外科用ステープル止め機器の遠位端部の斜視図である。
【図23】図23は、組織部分の周りに位置決めされた外科用ステープル止め機器の遠位端部の側面図であり、部分的に断面で示される。
【図24】図24は、図1の外科用ステープル止め機器の最初の起動の間の側面図であり、部分的に断面で示される。
【図25】図25は、ステープル止めされ、そして分割された組織部分の斜視図である。
【図26】図26は、図25の線26−26に沿ってとった断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態の詳細な説明)
外科用ステープル止め機器と共に使用するための、本発明により開示される連結式バットレス材料保持システムの実施形態が、ここで、添付の図面(同様の数字は、いくつかの図面の各々において、同一であるか、または、対応する要素を示す)を参照して詳細に記載される。当該分野で一般的であるように、用語「近位」とは、使用者または操作者(すなわち、外科医または医師)により近い側の部分または構成要素をいい、一方で、用語「遠位」とは、使用者から離れた側の部分または構成要素をいう。
【0016】
ここで図1を参照して、組織をステープル止めし、そして、ステープルと下にある組織との間にバットレス材料の層を適用する際に使用するための、直線状の外科用ステープル止め機器または外科用ステープラー10が開示される。この型の外科用ステープル止め機器の代表的な例は、米国特許第7,128,253号(この特許の全開示は、本明細書中に参考として援用される)に開示される。外科用ステープラー10は、一般に、ハンドル12を備え、このハンドル12は、ハンドル12から遠位に延びる細長の管状部材14を有する。ジョーアセンブリ16は、細長の管状部材14の遠位端部18に設置される。ジョーアセンブリ16は、ステープル打ち曲げアンビル20と、ステープルを含むカートリッジまたはステープルカートリッジ22とを備える。ステープルカートリッジ22は、細長の管状部材14に固定的に固定されていても、取り外し可能であり、したがって、新しいステープルカートリッジ22と交換可能であってもよい。ステープル打ち曲げアンビル20は、細長の管状部材14の遠位端部18に可動式に設置され、そして、ステープルカートリッジ22から間隔を空けられた開いた位置と、実質的にステープルカートリッジ22に隣接する閉じた位置との間で可動である。
【0017】
ステープル打ち曲げアンビル20が、アンビルバットレス材料24の層に提供され、そして、ステープルカートリッジ22が、本明細書において以下により詳細に記載される様式で、カートリッジバットレス材料26の層に提供される。アンビルバットレス保持システム28が、アンビル20およびアンビルバットレス材料24内に組み込まれ、そして、これは、アンビルバットレス材料24を、ステープル打ち曲げアンビル20に着脱可能に固定するために提供される。同様に、カートリッジバットレス保持システム30が、ステープルカートリッジ22およびカートリッジバットレス材料26内に組み込まれ、そして、これは、カートリッジバットレス材料26を、ステープルカートリッジ22に着脱可能に固定するために提供される。アンビルバットレス材料24およびカートリッジバットレス材料26は、外科用ステープラー10によって組織に加えられるステープルラインを強化し、そして、密閉するために提供される。
【0018】
アンビルバットレス保持システム28およびカートリッジバットレス保持システム30は、特に、外科用ステープラー10が患者の体内に挿入され、そして操作されるときに、それぞれのバットレス材料の裂けまたはしわの危険性を伴わずに、患者の身体内への外科用ステープラー10の通過を容易にするために、それぞれのバットレス材料を、アンビル20およびステープルカートリッジ22の内向きの表面に位置を定められるように構成される。
【0019】
外科用ステープラー10はさらに、ハンドル12の上に可動式に設置されたトリガ32を備える。トリガ32を起動すると、最初に、アンビル20をステープルカートリッジ22に関して開いた位置から閉じた位置へと動かすように作動し、その後、外科用ステープラー10を動かして、ステープルのラインを組織に適用する。ジョーアセンブリ16を、ステープル止めされる組織に関して適切に配向するために、外科用ステープラー10は、さらに、ハンドル12の上に設置された回転ノブ34が提供される。回転ノブ34のハンドル12に関する回転は、細長の管状部材14およびジョーアセンブリ16をハンドル12に関して回転させ、ジョーアセンブリ16を、ステープル止めされる組織に関して適切に配向する。
【0020】
図1および2を参照すると、アンビル20を、ステープルカートリッジ22に関して開いた位置と閉じた位置との間で動かすために、駆動装置36が提供される。駆動装置36は、アンビル20内に形成された長手方向のスロット38の間を動く。ナイフブレード(図示されず)は、駆動装置36に実装され、駆動装置36がスロット38を通過するときに、アンビル20とステープルカートリッジ22との間に捕捉される組織を切断する。
【0021】
図3を参照すると、アンビル20を開いた位置と閉じた位置との間で動かすために、アンビル20は、アンビル20を閉じた位置へとカムを取り付けるために駆動装置36によって係合されるように構成された、近位の、角度の付いた、または傾斜したエッジ40を備える。スロット38は、傾斜したエッジ40から遠位に延び、そして、横スロット42内で端をなす。この横スロット42は、外科用ステープラー10の任意のさらなる作動を防ぐために、外科用ステープラー10の作動が完了したら、駆動装置36を捕捉するように構成される。ステープルカートリッジ22によって提供されるステープルを組織およびバットレス材料の周りに固定するために、アンビル20は、長手方向のスロット38のいずれかの側に位置を定められた、ステープル打ち曲げポケット44の長手方向に延びる列が提供される。
【0022】
なお図3を参照して、ここで、アンビル20およびアンビルバットレス材料24に組み込まれたアンビルバットレス保持システム28が記載される。アンビルバットレス材料24ならびにカートリッジバットレス材料26。ステープルカートリッジ22および/またはアンビル20のためのバットレス材料は、あらゆる生体適合性の天然または合成の材料から作製され得る。バットレス材料が形成される材料は、生体吸着性であっても非生体吸着性であってもよい。当然のことながら、天然、合成、生体吸着性、および非生体吸着性の材料の任意の組み合わせが、バットレス材料を形成するために使用され得ることが理解されるべきである。
【0023】
バットレス材料が作製され得る材料のいくつかの非限定的な例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ホスファジン)(poly(phosphazine))、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアセテート、ポリカプロラクトン、ポリプロピレン、脂肪族ポリエステル、グリセロール、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレンオキサレート、ポリアミド、ポリ(イミノカーボネート)、ポリアルキレンオキサレート、ポリオキサエステル、ポリオルトエステル、ポリホスファゼンおよびコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、これらのブレンドおよび組み合わせ。ある実施形態においては、天然の生物学的なポリマーが、バットレス材料を形成する際に使用される。適切な天然の生物学的なポリマーとしては、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、フィブリノーゲン、エラスチン、ケラチン、アルブミン、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシエチルセルロース、キチン(chitan)、キトサン、およびこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。さらに、天然の生物学的なポリマーは、バットレス材料を生成するために、本明細書中に記載される他のポリマー材料のいずれかと組合され得る。
【0024】
バットレス材料は、有孔であっても、非有孔であっても、有孔の層と非有孔の層との組み合わせであってもよい。バットレス材料が非有孔である場合、バットレス材料は、周囲の組織からの組織の内方増殖を遅延または防止し得、それによって、癒着に対するバリアとして機能し、そして、望ましくない瘢痕組織の形成を防止する。したがって、ある実施形態においては、バットレス材料は、抗癒着特性を有する。このような材料から非有孔の層を形成するための技術は、当業者の知識の範囲内であり、そして例えば、鋳造、成型などが挙げられる。
【0025】
ある実施形態においては、バットレス材料は、有孔であり、そして、止血特性を有する。バットレス材料が有孔である場合、バットレス材料は、その表面の少なくとも一部にわたり、開口または孔を有する。有孔層を形成するための適切な材料としては、発泡体(例えば、連続気泡発泡体または独立気泡発泡体)が挙げられるがこれらに限定されない。ある実施形態においては、孔は、有孔層の厚み全体にわたって相互に連絡するように、十分な数およびサイズであり得る。他の実施形態においては、孔は、有孔層の厚み全体にわたって相互に連絡しない。なお他の実施形態においては、孔は、有孔層の厚み全体にわたって延びておらず、その表面の一部に存在する。ある実施形態においては、開口または孔は、有孔層の表面の一部に位置を定められ、有孔層の他の部分は、非有孔の構造を有する。本開示を読む当業者は、有孔層について、他の孔の分布パターンおよび構成を想定する。
【0026】
バットレス材料が有孔である場合、孔は、発泡体またはスポンジを形成するのに適した任意の方法(組成物の凍結乾燥またはフリーズドライが挙げられるがこれらに限定されない)を用いて形成され得る。発泡体を作製するための適切な技術は、当業者の知識の範囲内である。有孔のバットレス材料は、厚さ少なくとも0.2cmであり得、そして、ある実施形態においては、厚さ約0.3cm〜約1.5cmであり得る。有孔のバットレス材料は、多くて約75mg/cm2の密度を有し得、そして、ある実施形態においては、約20mg/cm2を下回る密度を有し得る。有孔バットレス材料における孔のサイズは、約20μm〜約300μmであり得、ある実施形態においては、約100μm〜約200μmであり得る。
【0027】
バットレス材料はまた、補強部材を備え得る。補強部材は、有孔または非有孔の層に実装されても、バットレス材料の非有孔層と有孔層との間に位置決めされてもよい。あるいは、補強部材は、完全にバットレス材料の1以上の個々の層内に位置決めされ(すなわち、有孔層、非有孔層、または両方の内側に埋め込まれ)てもよい。また、補強部材は、バットレス材料を構成する層のうちの1つの表面に位置決めされてもよく、ある実施形態においては、バットレス材料の外側表面に位置決めされてもよいことが想定される。
【0028】
補強部材のいくつかの適切な非限定的な例としては、織物、メッシュ、モノフィラメント、マルチフィラメントの組紐、チョップドファイバー(当該分野では、時折、ステープル繊維と呼ばれる)およびこれらの組み合わせが挙げられる。補強部材がメッシュである場合、補強部材は、編み、織り、タッチング、ニップリング(knipling)などのような、当業者に公知のあらゆる技術を用いて調製され得る。モノフィラメントまたはマルチフィラメントの組紐が補強部材として使用される場合、モノフィラメントまたはマルチフィラメントの組紐は、任意の所望される様式で配向され得る。例えば、モノフィラメントまたはマルチフィラメントの組紐は、バットレス材料内で互いに関して不規則に位置決めされ得る。別の例として、モノフィラメントまたはマルチフィラメントの組紐は、バットレス材料内で共通する方向に配向され得る。チョップドファイバーが補強部材として使用される場合、チョップドファイバーは、任意の所望される様式で配向され得る。例えば、チョップドファイバーは、不規則に配向されても、共通する方向に配向されてもよい。したがって、チョップドファイバーは、マットまたはフェルトのような不織材料を形成し得る。チョップドファイバーは、(例えば、熱溶融によって)一緒に結合されても、互いに付着されていないくてもよい。チョップドファイバーは、任意の適切な長さであり得る。例えば、チョップドファイバーは、0.1mm〜100mmの長さであり得、ある実施形態においては、0.4mm〜50mmの長さであり得る。例示的な実施形態において、バットレス材料は、予め一緒に溶融されていない、不規則な配向のチョップドファイバーが、バットレス材料内に埋め込まれる。
【0029】
補強部材は、本明細書中で前述したあらゆる生体吸着性、非生体吸着性、天然、または合成の材料およびこれらの組み合わせから形成され得ることが想定される。モノフィラメントおよびマルチフィラメントの組紐が補強部材として使用される場合、あらゆる市販の縫合糸材料が有利に補強部材として用いられ得る。
【0030】
ある実施形態においては、少なくとも1種の生物活性因子が、バットレス材料、および/または、バットレス材料を構築するために使用された個々の構成要素(有孔層、非有孔層および/または補強部材)と組合され得る。これらの実施形態において、バットレス材料はまた、生物活性因子を送達するためのビヒクルとしても機能し得る。用語「生物活性因子」とは、本明細書において使用される場合、その最も広い意味において使用され、そして、臨床上の用途を有するあらゆる物質または物質の混合物を包含する。したがって、生物活性因子は、それ自体が薬理学的活性を有しても有していなくてもよい(例えば、色素または香料)。あるいは、生物活性因子は、治療上または予防上の効果を提供するあらゆる因子、組織増殖、細胞増殖、細胞分化に影響するかまたはこれらに関与する化合物、抗癒着化合物、免疫応答性のような生物学的な活動を惹起し得る化合物、または、1以上の生物学的プロセスにおいてあらゆる他の役割を果たし得る化合物であり得る。
【0031】
本開示にしたがって利用され得る生物活性因子の分類の例としては、抗癒着物質、抗菌物質、解熱薬、鎮痛薬、麻酔薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、心血管系の薬物、診断剤、交感神経作用薬、コリン作用薬、抗ムスカリン作用薬、鎮痙薬、ホルモン剤、増殖因子、筋弛緩薬、アドレナリン作動性ニューロン遮断薬、抗腫瘍薬、免疫原性因子、免疫抑制薬、消化管系の薬物、利尿薬、ステロイド、脂質、リポ多糖類、多糖類および酵素が挙げられる。また、生物活性因子の組み合わせが使用され得ることも意図される。
【0032】
抗癒着性因子または抗癒着因子は、バットレス材料と、標的組織の反対側の周囲組織との間に癒着が形成することを防止するために使用され得る。これらの因子のいくつかの例としては、ポリ(ビニルピロリドン)、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0033】
本開示のバットレス材料中に生物活性因子として含められ得る適切な抗菌剤としては、トリクロサン(2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルとしても公知)、クロルヘキシジンおよびその塩(酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジンおよび硫酸クロルヘキシジンを含む)、銀およびその塩(酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、乳酸銀、ラウリル酸銀、硝酸銀、酸化銀、パルミチン酸銀、銀タンパク質および銀スルファジアジンを含む)、ポリミキシン、テトラサイクリン、アミノグリコシド(例えば、トブラマイシンおよびゲンタマイシン、リファンピシン、バシトラシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール)、キノロン(例えば、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ナリジクス酸、ペフロキサシン(pefloxacin)、エノキサシンおよびシプロフロキサシン)、ペニシリン(例えば、オキサシリンおよびピプラシル(pipracil))、ノンオキシノール9(nonoxynol 9)、フシジン酸、セファロスポリン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。さらに、ウシラクトフェリンおよびラクトフェリシンBのような抗菌性のタンパク質およびペプチドが、本開示のバットレス材料中の生物活性因子として含められ得る。
【0034】
本開示にしたがうバットレス材料中の生物活性因子として含められ得る他の生物活性因子としては、以下が挙げられる:局所麻酔薬;非ステロイド性避妊剤;副交感神経作用剤;精神療法剤(psychotherapeutic agent);精神安定薬;うっ血除去薬;沈静催眠薬;ステロイド;スルホンアミド;交感神経作用剤;ワクチン;ビタミン;抗マラリア薬;抗片頭痛剤(anti−migraine agent);抗パーキンソン剤(例えば、L−ドパ);鎮痙薬;抗コリン作用剤(例えば、オキシブチニン);鎮咳薬;気管支拡張薬;心血管系の薬剤(例えば、冠動脈拡張薬およびニトログリセリン);アルカロイド;鎮痛薬;麻酔薬(例えば、コデイン、ジヒドロコデイン、メペリジン、モルヒネなど);非麻酔薬(例えば、サリチル酸、アスピリン、アセトアミノフェン、d−プロポキシフェンなど);オピオイド受容体アンタゴニスト(例えば、ナルトレキソンおよびナロキソン);抗癌剤;鎮痙薬;制吐薬;抗ヒスタミン薬;抗炎症剤(例えば、ホルモン剤、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、非ホルモン剤、アロプリノール、インドメタシン、フェニルブタゾンなど);プロスタグランジンおよび細胞傷害性薬物;エストロゲン;抗菌薬;抗生物質;抗真菌薬;抗ウイルス薬;抗凝固薬;鎮痙薬;抗うつ薬;抗ヒスタミン薬;および免疫学的因子。
【0035】
バットレス材料中に含められ得る適切な生物活性因子の他の例としては、以下が挙げられる:ウイルスおよび細胞、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質、アナログ、ムテイン、ならびにこれらの活性フラグメント(例えば、免疫グロブリン、抗体)、サイトカイン(例えば、リンホカイン、モノカイン、ケモカイン)、血液凝固因子、造血因子、インターロイキン(IL−2、IL−3、IL−4、IL−6)、インターフェロン(β−IFN、α−IFNおよびγ−IFN)、エリスロポエチン、ヌクレアーゼ、腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM−CSF、MCSF)、インスリン、抗腫瘍因子および腫瘍抑制遺伝子(tumor suppressor)、血液タンパク質、ゴナドトロピン(例えば、FSH、LH、CGなど)、ホルモンおよびホルモンアナログ(例えば、成長ホルモン)、ワクチン(例えば、腫瘍抗原、細菌抗原、およびウイルス抗原);ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子;増殖因子(例えば、神経増殖因子、インスリン様増殖因子);タンパク質インヒビター、タンパク質アンタゴニストおよびタンパク質アゴニスト;核酸(例えば、アンチセンス分子、DNAおよびRNA);オリゴヌクレオチド;ポリヌクレオチド;ならびにリボザイム。
【0036】
アンビルバットレス保持システム28は、組織にステープル止めする前に、アンビルバットレス材料24をアンビル20に着脱可能に固定するために提供される。アンビルバットレス保持システム28は、アンビル20の下面48に形成された、遠位に隆起した領域46を備える。図3および5に最もよく示されるように、遠位に隆起した領域46は、アンビルバットレス材料24の遠位端部をアンビル20に着脱可能に固定するように構成された、一対の近位に延びる指部または突出部50および52を備える。本明細書において使用される場合、用語「突出部」とは、指に似た形状をしており、指の間に位置決めされたバットレス材料を摩擦嵌めの様式で係合するように構成される、機器のジョーに提供される構造をいう。突出部50および52は、それぞれ、ネック54および56と、ネック54および56から近位に延びる膨らんだ部分58および60とを備える。アンビル20の突出部50および52と係合するために、アンビル20の遠位端部66に切欠き62および64が提供される。切欠き62および64は、それぞれ、アンビル20のネック54および56ならびに膨らんだ部分58および60に対応するネック68および70と、膨らんだ部分72および74とを備えるように構成される。突出部50および52は、切欠き62および64と共に、一対の連動指部を形成し、アンビルバットレス材料24をアンビル20上に保持する。
【0037】
アンビルバットレスシステム28はさらに、アンビル20の近位端部78に形成されたポスト76を備える。アンビルバットレス材料24は、近位端部82にホール80が提供され、このホール80は、ポスト76を係合し、そして、アンビルバットレス材料24をアンビル20の下面48を横切ってぴんと張った状態に維持するように構成される。
【0038】
図3〜6に最もよく示されるように、ポスト76は、ポスト半体76aおよび76bへと分割しており、ポスト半体76aと76bとの間にチャネル84を規定する。チャネル84は、アンビル20内のスロット38に対応し、そして、スロット38を通した駆動装置36ならびに駆動装置36に実装されるナイフの移動を可能にしてアンビル20を閉じ、そして、ステープル止めした後、アンビルバットレス材料24を半分に切断する。
【0039】
再び、図3および4の場面を参照すると、アンビルバットレス保持システム28を用いてアンビルバットレス材料24をアンビル20に組み立てるために、アンビルバットレス材料24の遠位端部66にある切欠き62および64は、アンビル20の遠位に隆起した領域46にある突出部50および52の上に位置決めされる。その後、アンビルバットレス材料24は、近位にぴんと張って引っ張られ、そして、ホール80が、アンビル20の近位端部78にあるポスト76の上に位置決めされ、アンビルバットレス材料24を、アンビル20の下面48に対して固定する。
【0040】
図7および8を参照して、アンビル20内のスロット38を通る駆動装置36の通過を可能にする様式で、アンビルバットレス材料24の近位端部82をアンビル20へと固定するための、保持システム86の代替的な実施形態が開示される。保持システム86は、アンビルバットレス材料24内のホール80を通して配置するために、拡大されたキャップ90を有するキノコ形状のポストまたは突出部88を備える。キャップ90は、アンビルバットレス材料24を係合するように構成された、下面またはフランジ92を規定する。上記のポスト76と同様に、突出部88は、突出部半体88aおよび88bに分割しており、駆動装置36および駆動装置36に実装されるナイフブレードの通過のために、突出部半体88aと88bとの間にスロット94を規定する。キャップ90は、アンビルバットレス材料24の近位端部82の成熟前の取り外しの防止を補助する。具体的には示されないが、ホール80の周りの領域は、アンビルバットレス材料24の突出部88からの分離を容易にするために、多孔の領域を備え得る。
【0041】
図9および10を参照して、アンビルバットレス材料24の近位端部82をアンビル20上に保持するための、保持システム94のさらなる代替的な実施形態が例示される。アンビル20には、スロット38のいずれかの側に位置決めされた、一対の水平方向に間隔を空けられたポスト96および98が提供される。アンビルバットレス材料24の近位端部82には、それぞれ、ポスト96および98によって係合されるように構成された、一対の対応するホール100および102が提供される。ポスト96および98は、アンビル20内のスロット38の外側にアンビルバットレス材料24を固定する領域に位置する。このことは、外科用ステープラー10を使用する間に、アンビルバットレス材料24の外側エッジ104および106をぴんと張った状態に維持するのを補助する。
【0042】
ここで、図11および12を参照して、カートリッジバットレス保持システム30が記載される。上述のように、カートリッジバットレス保持システム30は、組織をステープル止めする前に、カートリッジバットレス材料26をステープルカートリッジ22上に保持するために提供される。ステープルカートリッジ22は、一般に、ステープルを含む挿入物110を取り囲むU字型の外側チャネル108を備える。ステープルを含む挿入物110には、ステープルポケットの列112が提供され、このステープルポケットの列112の機能は、以下により詳細に記載される。ナイフチャネル114は、ステープルポケットの列112の間を、ステープルを含む挿入物110を通って長手方向に通過する。
【0043】
図11および15の場面を参照すると、カートリッジバットレス保持システム30は、ステープルを含む挿入物110の遠位端部118に形成されたポスト116を備える。ポスト116は、上記のポスト76と類似しており、そして、半体116aと116bとに分割しており、組織およびカートリッジバットレス材料26を切断するためのナイフブレードの通過に適合する。カートリッジバットレス材料26は、対応するホール120を備え、このホール120は、カートリッジバットレス材料の遠位端部122に形成され、そして、ステープルを含む挿入物110上のポスト116の上にフィットするように構成される。
【0044】
図11および12に戻って参照し、そして、図13に関して、カートリッジバットレス保持システム30はさらに、ステープルを含む挿入物110の近位端部128内に形成された一対の指部または突出部124および126を備え、この突出部124および126は、遠位に延び、比較的真っ直ぐであり、かつ、間隔を空けられている。突出部124および126は、カートリッジバットレス材料26を、カートリッジバットレス材料26の外側エッジ130および132に隣接して固定するために、ナイフチャネル114のいずれかの側に位置決めされる。カートリッジバットレス材料26には、カートリッジバットレス材料26の近位端138内に形成された対応するスロット134および136が提供される。スロット134および136は、ステープルを含む挿入物110の突出部124および126を摩擦嵌めの様式で係合するように構成され、カートリッジバットレス材料26の近位端部138を、ステープルを含む挿入物110の近位端部128の上に保持する。
【0045】
カートリッジバットレス保持システム30を組み立てるために、カートリッジバットレス材料26内のホール120は、ステープルを含む挿入物110の遠位端部118上のポスト116の上に位置決めされる。その後、カートリッジバットレス材料26の近位端部138が、ステープルを含む挿入物110の近位端部128の上に位置決めされる。アンビルバットレス材料26内のスロット134および136は、ステープルを含む挿入物110上の突出部124および126の上から押し付けられて、アンビルバットレス材料26をステープルを含む挿入物110と摩擦嵌めの様式で係合する。
【0046】
図14の場面を参照すると、代替的な実施形態において、ステープルを含む挿入物110の近位端部128には、ナイフチャネル114のいずれかの側に位置決めされる複数のセットの指部または突出部140、142および144、146が提供される。突出部140、142および144、146は、それぞれ、対応するスロットのセット148、150および152、154を係合して、カートリッジバットレス材料26の近位端部138をステープルを含む挿入物110の近位端部128に固定する。ジョーの上に複数のセットの指部を、そして、バットレス材料内に対応するスロットを提供することによって、摩擦接触に利用可能な表面積が増え、より確実な接続を提供する。具体的には示されないが、バットレス材料の性質および必要とされる摩擦接触の量に依存して、2より多いセットの指部およびスロットが提供され得る。
【0047】
ここで、図16〜21を参照し、そして、最初に、図16および17に関して、バットレス材料を外科用機器のジョーに着脱可能に固定する代替的な方法が記載される。上記の突出部88に類似する、分割した突出部156は、ステープルを含む挿入物110の遠位端部118の上に形成され、そして、フランジ160aおよび160bを規定するキャップ半体158aおよび158bを備える。カートリッジバットレス材料26の遠位端部122内のホール120は、分割した突出部156の上にフィットし、カートリッジバットレス材料26の遠位端部122を、ステープルを含む挿入物110の遠位端部118に固定する。
【0048】
図18および19を参照すると、ステープルを含む挿入物110の遠位端部118およびカートリッジバットレス材料26の遠位端部122には、それぞれ、間隔を空けられたポスト162、164と間隔を空けられたホール166、168とが提供され得る。ポスト162、164およびホール166、168は、上記のポスト96、98およびホール100、102と実質的に同様に機能して、カートリッジバットレス材料26の遠位端部122を、ステープルを含む挿入物110の遠位端部118に固定する。
【0049】
図20および21を参照すると、中実の分割していないポスト170が、ステープルを含む挿入物110の遠位端部118の上に提供される。ポスト170は、ナイフチャネル114の遠位端部172の遠位に位置を定められる。ホール174が、カートリッジバットレス材料26の遠位端部122内に提供され、そして、長手方向のスリット176が、ホール174を規定する領域を通って形成される。使用の際、外科用ステープラー10に実装されるナイフは、ナイフチャネル114の長さ全体を通して、カートリッジバットレス材料26を端から端まで切断する。カートリッジバットレス材料26が組織に対してステープル止めされ、ほぼ完全に半分に切断された後、長手方向のスリット176は、カートリッジバットレス材料26が、裂けたり引っかかったりすることなく、半分に分離することを可能にする。
【0050】
ここで、図22〜26を参照し、そして、最初に、図22および23に関して、管状の組織部分Tをステープル止めし、そして、分割するための外科用ステープラー10の使用が記載される。まず、アンビル20およびステープルを含むカートリッジ22を備えるジョーアセンブリ16が、ステープル止めされる組織Tの周りに位置決めされる。駆動装置36は、アンビルのスロット38に関して近位の位置にある。図23に最もよく示されるように、ステープルを含む挿入物110は、ステープルポケット112の列の個々のステープルポケット180内に位置決めされたステープル178を備える。ステープル178は、従来の型のものであり、そして、バックスパン(backspan)182を備え、このバックスパン182からは一対の脚部184および186が延びている。脚部184および186は、組織を貫通する先端部188および190において端をなす。プッシャー192が、ステープルポケット180内に位置を定められ、そして、ステープル178と、駆動バー194の通路との間に位置決めされる。
【0051】
ここで、図24を参照すると、外科用ステープラー10は、まず、トリガ32をハンドル12に関して動かすことによって起動され(図1)、駆動装置36を、矢印Bの方向に、アンビル20の傾斜したエッジ40に関して動かし、それによって、アンビル20をステープルカートリッジ22に関して閉じた位置へと動かす。駆動バー194は、ステープルを含む挿入物194内を遠位に進むので、駆動バー194は、プッシャー192をステープル178のバックスパン182に対して上向きに追いやり、ステープル178を、カートリッジバットレス材料26、組織T、アンビルバットレス材料24を通して、アンビル20内のステープルうち曲げポケット44に向けて駆動する。組織を貫通する先端部188および190は、アンビル20内のステープル打ち曲げポケット44内で屈曲し、それによって、アンビルバットレス材料24を、組織Tに対して固定する。この間、バックスパン182は、カートリッジバットレス材料26を組織Tに対して固定する。
【0052】
具体的には示されないが、外科用ステープラー10を完全に起動した際、外科用ステープラー10に実装され、そして、駆動装置36によって運ばれるナイフブレードが、たった今打ち曲げられたステープルの列の間で、組織T、ならびに、アンビルバットレス材料24およびカートリッジバットレス材料26を切断する。アンビル20をステープルカートリッジ22から間隔を空けた開いた位置へと動かすと、アンビルバットレス材料24は、アンビル20から離れ、そして、カートリッジバットレス材料26は、ステープルカートリッジ22から離れる。具体的には、カートリッジバットレス材料26の遠位端部122は、ナイフによって端から端まで切断され、そして、ポスト116から解放される。カートリッジバットレス材料26の近位端部138は、ステープルを含む挿入物110の近位端部128にある長手方向の突出部124、126から離れる。同様に、アンビルバットレス材料24の遠位端部66は、近位に延びる突出部50、52から離れ、そして、アンビルバットレス材料24の近位端部82は、ポスト78から離れる。
【0053】
結果として得られる、分割され、かつステープル178でステープル止めされ閉じられた組織Tが、図25および26に最もよく例示される。具体的には、カートリッジバットレス材料26は、ステープル178のバックスパン182によって組織Tに対して固定され、そして、アンビルバットレス材料24は、ステープル178のたった今打ち曲げられた組織を貫通する先端部188および190によって、組織Tに対して固定される。この様式において、アンビルバットレス材料24およびカートリッジバットレス材料26は、組織Tに対してステープル止めされ、それによって、ステープル178によって生成されるこれらのステープルラインを密閉し、そして、補強する。
【0054】
本明細書において開示される実施形態に対して、種々の改変がなされ得ることが理解される。例えば、ジョーとジョーに実装されるバットレス材料との間の摩擦接触を増すために、種々の数の連動指部または突出部が提供され得る。さらに、開示されるバットレス材料には、開示される指部または突出部、およびポストからの解放を容易にするために、種々の多孔領域が提供され得る。それゆえ、上記明細書は、限定的なものとしてみなされるべきではなく、単に、特定の実施形態を例示するものとしてみなされるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内で他の改変を想定する。
【符号の説明】
【0055】
10:外科用ステープラーまたは外科用ステープル止め機器
12:ハンドル
16:ジョーアセンブリ
20:アンビル
22:ステープルカートリッジ
24:アンビルバットレス材料
26:カートリッジバットレス材料
28:アンビルバットレス材料保持システム
30:カートリッジバットレス材料保持システム
36:駆動装置
38:長手方向のスロット
50、52、88、124、126、140、142、144、146:突出部
62、64:切欠き
80、100、102、166、168、174:ホール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ステープラーであって、
ステープルカートリッジおよびアンビルを含む一対のジョーであって、前記一対のジョーのうちの少なくとも一方は、組織接触面を規定する組織接触表面と、前記組織接触表面の中に形成され凹面を規定する凹部とを規定し、前記凹面は、前記組織接触面に対して平行であり、かつ、前記組織接触面から横方向に間隔を開けられており、前記一対のジョーのうちの少なくとも一方は、
前記一対のジョーのうちの少なくとも一方の遠位端部の近傍に配置された少なくとも1つの突出部と、
前記一対のジョーのうちの少なくとも一方の近位端部の近傍に配置された少なくとも1つの突出部と
を含む、一対のジョーと、
前記一対のジョーのうちの少なくとも一方の前記凹部内に着脱可能に配置されたステープルラインバットレス材料であって、前記ステープルラインバットレス材料は、前記組織接触面より上には突出せず、前記ステープルラインバットレス材料は、前記一対のジョーのうちの少なくとも一方の前記遠位端部の近傍に配置された前記少なくとも1つの突出部および前記一対のジョーのうちの少なくとも一方の前記近位端部の近傍に配置された前記少なくとも1つの突出部を受容するための凹部を規定する、ステープルラインバットレス材料と
を含む、外科用ステープラー。
【請求項2】
前記一対のジョーのうちの少なくとも一方の前記遠位端部の近傍に配置された前記少なくとも1つの突出部および前記一対のジョーのうちの少なくとも一方の前記近位端部の近傍に配置された前記少なくとも1つの突出部のそれぞれは、長手方向に延びる2つの突出部を含む、請求項1に記載の外科用ステープラー。
【請求項3】
前記一対のジョーのうちの少なくとも一方の前記遠位端部の近傍に配置された前記少なくとも1つの突出部および前記一対のジョーのうちの少なくとも一方の前記近位端部の近傍に配置された前記少なくとも1つの突出部のそれぞれは、ネック部分および膨らんだ部分を含む、請求項1に記載の外科用ステープラー。
【請求項4】
前記一対のジョーのうちの少なくとも一方は、長手方向に延びるナイフスロットを含み、前記一対のジョーのうちの少なくとも一方の前記遠位端部の近傍および前記近位端部の近傍に配置された少なくとも2つの突出部は、前記ナイフスロットによって隔てられている、請求項2に記載の外科用ステープラー。
【請求項5】
前記一対のジョーのうちの少なくとも一方は、2セットの前記少なくとも2つの突出部を含む、請求項2に記載の外科用ステープラー。
【請求項6】
前記一対のジョーのうちの少なくとも一方は、長手方向に延びるナイフスロットを含み、前記ナイフスロットは、前記2セットの前記少なくとも2つの突出部を隔てる、請求項5に記載の外科用ステープラー。
【請求項7】
前記一対のジョーのうちの少なくとも一方の前記遠位端部の近傍に配置された前記少なくとも1つの突出部および/または前記一対のジョーのうちの少なくとも一方の前記近位端部の近傍に配置された前記少なくとも1つの突出部は、ポストを含み、前記ステープルラインバットレス材料は、前記ポストを受容するためのそれぞれのホールを含む、請求項1に記載の外科用ステープラー。
【請求項8】
前記ステープルラインバットレス材料は、前記組織接触面の下に置かれるように構成されている、請求項1に記載の外科用ステープラー。
【請求項1】
外科用ステープラーであって、
ステープルカートリッジおよびアンビルを含む一対のジョーであって、前記一対のジョーのうちの少なくとも一方は、組織接触面を規定する組織接触表面と、前記組織接触表面の中に形成され凹面を規定する凹部とを規定し、前記凹面は、前記組織接触面に対して平行であり、かつ、前記組織接触面から横方向に間隔を開けられており、前記一対のジョーのうちの少なくとも一方は、
前記一対のジョーのうちの少なくとも一方の遠位端部の近傍に配置された少なくとも1つの突出部と、
前記一対のジョーのうちの少なくとも一方の近位端部の近傍に配置された少なくとも1つの突出部と
を含む、一対のジョーと、
前記一対のジョーのうちの少なくとも一方の前記凹部内に着脱可能に配置されたステープルラインバットレス材料であって、前記ステープルラインバットレス材料は、前記組織接触面より上には突出せず、前記ステープルラインバットレス材料は、前記一対のジョーのうちの少なくとも一方の前記遠位端部の近傍に配置された前記少なくとも1つの突出部および前記一対のジョーのうちの少なくとも一方の前記近位端部の近傍に配置された前記少なくとも1つの突出部を受容するための凹部を規定する、ステープルラインバットレス材料と
を含む、外科用ステープラー。
【請求項2】
前記一対のジョーのうちの少なくとも一方の前記遠位端部の近傍に配置された前記少なくとも1つの突出部および前記一対のジョーのうちの少なくとも一方の前記近位端部の近傍に配置された前記少なくとも1つの突出部のそれぞれは、長手方向に延びる2つの突出部を含む、請求項1に記載の外科用ステープラー。
【請求項3】
前記一対のジョーのうちの少なくとも一方の前記遠位端部の近傍に配置された前記少なくとも1つの突出部および前記一対のジョーのうちの少なくとも一方の前記近位端部の近傍に配置された前記少なくとも1つの突出部のそれぞれは、ネック部分および膨らんだ部分を含む、請求項1に記載の外科用ステープラー。
【請求項4】
前記一対のジョーのうちの少なくとも一方は、長手方向に延びるナイフスロットを含み、前記一対のジョーのうちの少なくとも一方の前記遠位端部の近傍および前記近位端部の近傍に配置された少なくとも2つの突出部は、前記ナイフスロットによって隔てられている、請求項2に記載の外科用ステープラー。
【請求項5】
前記一対のジョーのうちの少なくとも一方は、2セットの前記少なくとも2つの突出部を含む、請求項2に記載の外科用ステープラー。
【請求項6】
前記一対のジョーのうちの少なくとも一方は、長手方向に延びるナイフスロットを含み、前記ナイフスロットは、前記2セットの前記少なくとも2つの突出部を隔てる、請求項5に記載の外科用ステープラー。
【請求項7】
前記一対のジョーのうちの少なくとも一方の前記遠位端部の近傍に配置された前記少なくとも1つの突出部および/または前記一対のジョーのうちの少なくとも一方の前記近位端部の近傍に配置された前記少なくとも1つの突出部は、ポストを含み、前記ステープルラインバットレス材料は、前記ポストを受容するためのそれぞれのホールを含む、請求項1に記載の外科用ステープラー。
【請求項8】
前記ステープルラインバットレス材料は、前記組織接触面の下に置かれるように構成されている、請求項1に記載の外科用ステープラー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2013−81871(P2013−81871A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−27784(P2013−27784)
【出願日】平成25年2月15日(2013.2.15)
【分割の表示】特願2008−158520(P2008−158520)の分割
【原出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年2月15日(2013.2.15)
【分割の表示】特願2008−158520(P2008−158520)の分割
【原出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】
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