説明

連続シート巻取り装置

【課題】連続シート巻取り装置の巻芯切換え時に連続シートのジャム化を防止する。
【解決手段】後巻き用巻芯4の近傍を通って先巻き用巻芯へと走行する連続シートaを後巻き用巻芯に押し付けるニップローラ12と、ニップローラと後巻き用巻芯との間を通過した連続シートを切断する切断刃13と、切断刃により切断された連続シートの先端部a1を後巻き用巻芯の周面に押圧して付着させるブラシ14と、切断刃とブラシとを保持する回動アーム15とを具備する。回動アーム駆動手段として、ピストンロッド16aから回動アームに至る箇所を急速に動作させるエアシリンダ装置16が設けられる。巻芯の切換えの際、連続シートをニップローラで巻芯に押し付けると略同時に切断刃によって連続シートを切断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラビア印刷機、ラミネーター、コーター等から流れて来る連続シートを巻き取るための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
グラビア印刷機等から出た紙、合成樹脂、金属箔等の連続シートは、連続シート巻取り装置によって巻芯に巻き取られる。
【0003】
この連続シート巻取り装置は、連続シートの下流側所定長さ分と上流側所定長さ分を各々巻き取る先巻き用と後巻き用の二本の巻芯を有し、グラビア印刷機等から出た連続シートが、先巻き用巻芯に所定量だけ巻き付けられると、連続シートを一旦切断し、切断後の連続シートの先端部を新たな後巻き用巻芯に接続するようになっている。
【0004】
連続シート巻取り装置は、このような巻芯の切換え作業を自動的に行うもので、後巻き用巻芯の近傍を通って先巻き用巻芯へと走行する連続シートを後巻き用巻芯の周面に押し付けるニップローラと、このニップローラと後巻き用巻芯との間を通過した連続シートを切断するカッターと、カッターにより切断された連続シートの先端部を後巻き用巻芯の周面に予め形成された接着剤層に押圧して付着させるブラシと、連続シートの切断時にカッターとブラシとを保持して回動する回動アームと、この回動アームを駆動する流体圧シリンダとを具備する(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この従来の連続シート巻取り装置によれば、連続シートの切断時に、先巻き用巻芯へと走行する連続シートが後巻き用巻芯へと接近すると、この後巻き用巻芯に接近した連続シートがニップローラによって後巻き用巻芯の周面に押し付けられる。これにより、連続シートは回転する後巻き用巻芯の周面の接着剤層に付着する。続いて、回動アームが流体圧シリンダによって駆動され、回動アームに保持されたカッターによって連続シートが切断される。そして、切断と同時に、後続する連続シートの断端がブラシによって後巻き用巻芯の表面の接着剤層に押し付けられる。かくて、グラビア印刷機等から出る連続シートは引き続き新たな後巻き用巻芯に巻き取られ、先巻き用巻芯に巻き取られた連続シートはロール状の製品として連続シート巻取り装置から取り出される。
【0006】
従来の連続シート巻取り装置は、先巻き用巻芯から後巻き用巻芯へと巻芯の切換えを行う際に、まずニップローラで連続シートを後巻き用巻芯の周面に接着し、次にカッターで連続シートを切断し、その上流側断端をブラシで後巻き用巻芯の周面に押し付けるようになっているので、この巻芯の切換えの際、ニップローラによる連続シートの接着からカッターによる切断までに時間がかかると、連続シートの断端が後巻き用巻芯の周面上でジャム化し、このジャム化した断端の上に上流側の連続シートが巻き取られて行くことになる。このジャム化した部分の上に重なった連続シートは皺がよったり、変形したり、折り目が付いたりし、製品として使用することができなくなる。
【0007】
上記従来の連続シート巻取り装置は、このような不具合を防止するため、流体圧シリンダからカッターに至る伝動系に増速機構を設けている。
【0008】
しかし、この増速機構は歯車列を利用したものであるから、連続シート巻取り装置の構造が複雑化、大型化するという問題がある。また、回転部分の慣性モーメントがそれだけ大きくなり、慣性力が増大する。そのため、回動アームやカッターが停止しにくくなって、歯車等の伝動系が壊れやすくなり、回動アームや、回動アームを停止させるためのショックアブソーバ等が故障しやすくなる。
【0009】
このような従来の問題点を解決することができる手段について、本願の発明者等は特願2008−298306において開示した。これは、上記従来の連続シート巻取り装置における上記回動アームを駆動する手段として、連続シートの切断の際に、エアを一方のシリンダ室側に貯留して蓄圧し、他方のシリンダ室を大気側に開放することによってピストンロッドから回動アームに至る箇所を急速に動作させるエアシリンダ装置を採用し、連続シートの切断時まで回動アームを拘束手段によって待機位置に拘束しようというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3327727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特願2008−298306において開示した発明は、エアシリンダ装置の推力をクランク機構によって回動アームに伝達しようとするので、回動アームの角度によっては推力を100%伝達することができず、シートの切断時にカッターを必ずしも最高速度で動かすことができない場合がある。そのため、上記ジャム化を完全に解消することができないことがある。また、カッターの速度が上がったとしても、速度とトルクの反比例の関係から逆に切断力が低下するのでシートを切断し難くなるという傾向がある。
【0012】
また、シート切断後の回動アームがショックアブソーバに接触する際、回動アームは円運動を行っているので、ショックアブソーバに掛かる力の向きが変動する。そのため、ショックアブソーバが故障しやすくなる。
【0013】
従って、本発明は、シート切断時のカッターの速度を、切断力を低下させることなく高めることができ、ショックアブソーバ等の回動アーム停止手段に掛かる負荷を低減することができる連続シート巻取り装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
【0015】
なお、本発明の理解を容易にするため図面の参照符号を括弧書きで付するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0016】
請求項1に係る発明は、連続シート(a)の下流側と上流側を各々巻き取る平行に配置された先巻き用と後巻き用の少なくとも二本の巻芯(3,4)と、後巻き用巻芯(4)の近傍を通って先巻き用巻芯(3)へと走行する連続シート(a)を後巻き用巻芯(4)の周面に押し付けるニップローラ(12)と、このニップローラ(12)と上記後巻き用巻芯(4)との間を通過した連続シート(a)を切断する切断刃(13)と、切断刃(13)により切断された連続シート(a)の先端部(a1)を上記後巻き用巻芯(4)の周面に押圧して付着させる押圧部材(14)と、上記切断刃(13)と上記押圧部材(14)とを保持して上記連続シート(a)の切断時に回動する回動アーム(15)とを包含してなる連続シート巻取り装置において、上記回動アーム(15)を駆動する手段として、上記連続シート(a)の切断の際に、エアを一方のシリンダ室側に貯留して蓄圧し、他方のシリンダ室を大気側に開放することによってピストンロッド(16a)から上記回動アーム(15)に至る箇所を急速に動作させるエアシリンダ装置(16)が設けられ、上記回動アーム(15)の支軸(31)にピニオン(33)が固定され、このピニオン(33)と噛み合うラック(32)が上記ピストンロッド(16a)に取り付けられ、上記連続シート(a)の切断時まで上記ピストンロッド(16a)を待機位置に拘束する拘束手段(28)が設けられたことを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載されるように、請求項1に記載の連続シート巻取り装置において、上記拘束手段が上記ピストンロッド(16a)を待機位置に拘束するトリガー(28)であり、上記連続シート(a)の切断時にトリガー(28)による拘束が解かれると、上記エアシリンダ装置(16)によって上記回動アーム(15)が駆動されるようにしたものとすることができる。
【0018】
請求項3に記載されるように、請求項1に記載の連続シート巻取り装置において、上記連続シート(a)の切断が完了した後に上記ピストンロッド(16a)を停止させるショックアブソーバ(30)が上記ピストンロッド(16a)と平行に設けられたものとすることができる。
【0019】
請求項4に記載されるように、請求項1に記載の連続シート巻取り装置において、上記ニップローラ(12)と、上記回動アーム(15)と、上記エアシリンダ装置(16)とが、回動フレーム(17)に取り付けられ、この回動フレーム(17)が上記連続シート(a)の切断時に上記連続シート(a)側へと移動するようにしたものとすることができる。
【0020】
請求項5に記載されるように、請求項1に記載の連続シート巻取り装置において、巻芯(3,4)の周面に接着剤層が形成されたものとすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、連続シート(a)の下流側と上流側を各々巻き取る平行に配置された先巻き用と後巻き用の少なくとも二本の巻芯(3,4)と、後巻き用巻芯(4)の近傍を通って先巻き用巻芯(3)へと走行する連続シート(a)を後巻き用巻芯(4)の周面に押し付けるニップローラ(12)と、このニップローラ(12)と上記後巻き用巻芯(4)との間を通過した連続シート(a)を切断する切断刃(13)と、切断刃(13)により切断された連続シート(a)の先端部(a1)を上記後巻き用巻芯(4)の周面に押圧して付着させる押圧部材(14)と、上記切断刃(13)と上記押圧部材(14)とを保持して上記連続シート(a)の切断時に回動する回動アーム(15)とを包含してなる連続シート巻取り装置において、上記回動アーム(15)を駆動する手段として、上記連続シート(a)の切断の際に、エアを一方のシリンダ室側に貯留して蓄圧し、他方のシリンダ室を大気側に開放することによってピストンロッド(16a)から上記回動アーム(15)に至る箇所を急速に動作させるエアシリンダ装置(16)が設けられ、上記回動アーム(15)の支軸(31)にピニオン(33)が固定され、このピニオン(33)と噛み合うラック(32)が上記ピストンロッド(16a)に取り付けられ、上記連続シート(a)の切断時まで上記ピストンロッド(16a)を待機位置に拘束する拘束手段(28)が設けられたことを特徴とするものであるから、巻芯(3,4)の切換えの際、連続シート(a)をニップローラ(12)で巻芯(4)に押し付けると略同時に切断刃(13)によって連続シート(a)を切断することができる。すなわち、従来のクランク機構が介在しないので、ラック(32)の直線運動は直ちにピニオン(33)の円運動に変換され、そのため、巻芯(3,4)の切換えの際、連続シート(a)がニップローラ(12)で巻芯(4)に押し付けられるやいなや切断刃(13)によって連続シート(a)が切断される。また、ラック(32)とピニオン(33)の噛み合いにより回動アーム(15)は略一定の高速度で回動し、切断刃(13)は略一定の大きいモーメント力で連続シート(a)を切断する。したがって、連続シート(a)の上流側の断端である先端部(a1)が後巻き用巻芯(4)の周面上でジャム化するのを防止し、ジャム化した部分の上に積み重なることによる不良品の発生を未然に防止することができる。
【0022】
また、本発明において上記連続シート(a)の切断が完了した後に上記ピストンロッド(16a)を停止させるショックアブソーバ(30)が上記ピストンロッド(16a)と平行に設けられたものとした場合は、ショックアブソーバ(30)に掛かる力の向きをピストンロッド(16a)の向きに一致させることができるので、ショックアブソーバ(30)に無理な力が加わらないようにし、ショックアブソーバ(30)の故障を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る連続シート巻取り装置の巻芯切換え部の概略斜視図である。
【図2】連続シート巻取り装置の巻芯切換え時における概略縦断面図である。
【図3】連続シート巻取り装置の巻取り時における概略縦断面図である。
【図4】巻芯切換え部の作用を説明する図であり、(A)は巻芯切換え開始時、(B)は連続シートの切断時、(C)は連続シートの断端貼着時を夫々示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0025】
図2及び図3に示すように、この連続シート巻取り装置はリール部1を有し、このリール部1に連続シートaの下流側と上流側を各々巻き取る先巻き用と後巻き用の少なくとも二本の巻芯3,4が平行に設けられる。
【0026】
連続シートaは、図示しないグラビア印刷機等のデリバリ部から排出される紙、合成樹脂、金属箔等であり、或いはこれらの積層体である。
【0027】
リール部1は、この連続シート巻取り装置が設置される床面から起立するリールスタンド5を有する。このリールスタンド5の上端には、ブラケット6を介して回転軸7が水平に軸支され、この回転軸7からリールアーム8,9が左右一対となって半径方向外側へと互いに反対方向に突出する。このリールアーム8,9の各対に上記巻芯3,4がそれぞれ軸支される。
【0028】
各巻芯3,4はリールアーム8,9に保持された図示しない電動機によって自転可能である。この電動機の駆動により巻芯3又は4が回転することによって、連続シートaが巻芯3又は4の回りに巻き付けられる。また、回転軸7にも図示しない電動機が動力的に連結される。巻芯3,4の切換え時に、後者の電動機が駆動することによって、巻芯3,4は回転軸7の回りを公転する。これにより、図2及び図3に示すように、先巻き用巻芯3と後巻き用巻芯4の位置が入れ替わる。
【0029】
図示しないが、各巻芯3,4の周面には、予め接着剤層が形成される。接着剤層は、粘着剤の塗布、両面テープの貼着等によって設けられる。接着剤層によることなく連続シートaを巻芯3,4の表面に付着させることができる場合、例えば静電気によって付着させることができる場合は、接着剤層は省略可能である。
【0030】
また、上記回転軸7からはガイドアーム10,11が左右一対になって各々リールアーム8,9に直角に互いに反対方向に突出する。このガイドアーム10,11の各対に巻芯3,4と平行に連続シートaのガイドローラ10a,11aがそれぞれ軸支される。
【0031】
図1乃至図3に示すように、この連続シート巻取り装置は、上記リール部1に隣接するように巻芯切換え部2を有する。後述するように、この巻芯切換え部2によって連続シートaの巻取りを先巻き用巻芯3から後巻き用巻芯4に変更可能である。
【0032】
巻芯切換え部2は、図1、図2及び図4(A)(B)(C)に示すように、後巻き用巻芯4の近傍を通って先巻き用巻芯3へと走行する連続シートaを後巻き用巻芯4の周面に押し付けるニップローラ12と、このニップローラ12と後巻き用巻芯4との間を通過した連続シートaを切断する切断刃13と、切断刃13により切断された連続シートaの断端である先端部a1を後巻き用巻芯4の周面に押圧して付着させる押圧部材であるブラシ14と、切断刃13とブラシ14とを保持して連続シートaの切断時に回動する回動アーム15と、この回動アーム15を駆動するエアシリンダ装置16とを包含した構成とされる。
【0033】
図1乃至図4(A)(B)(C)に示すように、巻芯切換え部2の上記ニップローラ12、回動アーム15及びエアシリンダ装置16は、切断刃13及びブラシ14と共に左右の回動フレーム17に保持される。上記リールスタンド5の近傍において床面から左右の支柱18が起立し、この左右の支柱18間に回動フレーム17が水平な枢軸19を介して上下方向に回動可能に支持される。左右の回動フレーム17と左右の支柱18との間には、それぞれピストンシリンダ装置20が掛け渡される。
【0034】
図3に示すように、先巻き用巻芯3で連続シートaの下流側を巻き取る際は、ピストンシリンダ装置20の縮動作により巻芯切換え部2が回動フレーム17ごと非作動位置へと上昇して待機する。図1及び図2に示すように、巻芯切換え部2によって連続シートaの巻取りを先巻き用巻芯3から後巻き用巻芯4に変更する際には、ピストンシリンダ装置20の伸動作により巻芯切換え部2が回動フレーム17ごと作動位置へと下降し、連続シートaの切断及び後巻き用巻芯4への付着、すなわち、巻芯3,4の切換えを行う。
【0035】
図2及び図3に示すように、左右(紙面に垂直方向)の支柱18間には各種の回転自在なガイドローラ21が水平に掛け渡される。図示しないグラビア印刷機等は、図2及び図3中、支柱18よりも左側に設置されており、グラビア印刷機等のデリバリ部から排出される連続シートaは、これらガイドローラ21に案内されつつ巻芯切換え部2内を通って巻芯3,4へと向かう。図1乃至図3に示すように、上記左右の回動フレーム17間にも、導入用のガイドローラ22が設けられ、支柱18側のガイドローラ21を経て流れてきた連続シートaは、この導入用のガイドローラ22に案内されつつ巻芯切換え部2内に入る。
【0036】
巻芯切換え部2のニップローラ12は、図1及び図4(A)(B)(C)に示すように、左右の回動フレーム17間に水平に挿入され、左右の回動フレーム17に各々軸支された左右の回動レバー23の先端間に回転自在に支持される。回動レバー23は連続シートaの走行方向に見て上流側で回動フレーム17に揺動可能に軸支され、下流側の先端に上記ニップローラ12が回転自在に支持される。
【0037】
また、左右の回動フレーム17に取り付けられた左右の回動レバー23の支軸には、ニップローラ12と平行にガイドローラ24が回転自在に取り付けられる。連続シートaはこのガイドローラ24とニップローラ12との間を走行し、図3に示すように、巻芯切換え部2が上昇位置にあるときにこのガイドローラ24によって連続シートaが案内される。
【0038】
左右の各回動レバー23の中間部と左右の各回動フレーム17との間には、ピストンシリンダ装置25が介装される。図2及び図4(A)(B)(C)に示すように、巻芯切換え部2が降下した状態にあるときに、このピストンシリンダ装置25が伸動作すると、回動レバー23が下方に回動し、回動レバー23に支持されたニップローラ12が、後巻き用巻芯4の近傍を通って先巻き用巻芯3へと走行する連続シートaを後巻き用巻芯4の周面に押し付ける。これにより、連続シートaが後巻き用巻芯4の周面に付着する。
【0039】
図1及び図4(A)(B)(C)に示すように、回動アーム15は左右の回動フレーム17に対して各々配置され、左右の回動アーム15の先端間で切断刃13とブラシ14とを保持する。左右の回動アーム15は左右の回動フレーム17間に掛け渡される支軸31に片持ち状に固定される。回動アーム15の先端は、回動アーム15が支軸31を支点に回動する際に後巻き用巻芯4の周面に接触しない程度の位置まで突出する。
【0040】
なお、この左右の回動アーム15間に渡される支軸31にもガイドローラ26が取り付けられ、上記回動レバー23上のガイドローラ24を経て来た連続シートaはこのガイドローラ26を経由して巻芯切換え部2外へと出る。
【0041】
図1及び図4(A)(B)(C)に示すように、切断刃13は、回動アーム15が支軸31を中心に反時計方向に回動した時にニップローラ12とガイドローラ26との間の連続シートaに対して刃先が正対するように左右の回動アーム15の先端間に掛け渡される。切断刃13は連続シートaを切り易くするため例えば鋸歯状に形成される。
【0042】
図4(B)に示すように、回動アーム15が支軸31を支点に上方から下方へと回動すると、走行中の連続シートaにおけるニップローラ12と後巻き用巻芯4との間に挟まれた箇所よりもやや下流側が、切断刃13によって切断される。
【0043】
図1及び図4(A)(B)(C)に示すように、ブラシ14は、切断刃13の刃先に対し略直角に伸び、かつ、ニップローラ12及び後巻き用巻芯4の方に向かって突出するように、左右の回動アーム15の先端間に掛け渡された支持板上に植設される。また、ブラシ14は切断刃13の下降方向に見て切断刃13の刃先よりもやや後側に植設される。
【0044】
なお、ブラシ14に代えてスポンジ等のクッション材を設けることも可能である。
【0045】
図4(B)(C)に示すように、回動アーム15が支軸31を支点に上方から下方へと回動すると、切断刃13により切断された連続シートaの断端である下流側の先端部a1が後巻き用巻芯4の周面に押圧され、後巻き用巻芯4の周面に付着する。
【0046】
図1、図2及び図4(A)(B)(C)に示すように、回動アーム15はエアシリンダ装置16によって駆動可能である。エアシリンダ装置16は左右の回動フレーム17に対して各々配置され、そのシリンダが各回動フレーム17に固定される。シリンダはその軸心が左右の各回動フレーム17の長手方向に伸びるように各回動フレーム17に固定される。そして、ピストンロッド16aがシリンダ内から回動アーム15の支軸31の方へと突出する。このピストンロッド16aの先端には略棒状の摺動体27が一体的に連結され、この摺動体27にピストンロッド16aの軸線と平行にラック32が設けられる。上記支軸31には、このラック32と噛み合うピニオン33が固定される。
【0047】
これにより、エアシリンダ装置16のピストンロッド16aが伸縮して往復直線運動をすると、ラック32とピニオン33の噛み合いによって回動アーム15は図4(A)(B)(C)に示すような往復回動運動を行い、これに伴い切断刃13が連続シートaを切断し、ブラシ14が連続シートaの断端である上流側先端部a1を後巻き用巻芯4の周面に押し付ける。すなわち、従来のクランク機構が介在しないので、ピストンロッド16a及びラック32の直線運動は直ちにピニオン33の円運動に変換され、そのため、巻芯3,4の切換えの際、連続シートaがニップローラ12で巻芯4に押し付けられると切断刃13によって速やかに連続シートaが切断される。また、ラックとピニオンの噛み合いにより回動アームは略一定の高速度で回動し、切断刃は略一定の大きいモーメント力で連続シートを切断する。
【0048】
したがって、連続シートaの上流側の断端a1が後巻き用巻芯4の周面上でジャム化しないようにし、ジャム化した部分の上に積み重なることによる不良品の発生を未然に防止することができる。
【0049】
また、このエアシリンダ装置16は、連続シートaの切断時の際に、エアを一方のシリンダ室側内に貯留して蓄圧し、他方のシリンダ室を大気側に開放することによってピストンロッド16aから回動アーム15に至る箇所を急速に動作させるように制御される。
【0050】
より具体的には、連続シートaの切断の際に、図示しない電磁弁である流路切換え弁が操作されて、エアシリンダ装置16の一方のシリンダ室側に圧縮エアが供給され、他方のシリンダ室側が大気側に開放される。すなわち、連続シートaの切断時に、流路切換え弁が動作することで、図示しない圧縮エア供給源から、エア配管内と一方のシリンダ室とに圧縮エアが供給されると同時に、他方のシリンダ室が大気中に開放される。流路切換え弁は望ましくは一基のエアシリンダ装置16について一基設けられ、一基の流路切換え弁で加圧と大気開放とが同時に行われるが、双方のシリンダ室について各々電磁弁を設けるようにしてもよい。
【0051】
これにより、回動アーム15は図4(A)中、上方から下方へと高速で回動し、ニップローラ12及び後巻き用巻芯4の周速度よりも大きい速度で切断刃13とブラシ14が下降する。その結果、図4(C)に示すように、連続シートaの断端である上流側先端部a1はジャム化することなく後巻き用巻芯4の周面に平滑面状に密着し、後続の連続シートaも平滑面状に先端部a1の上に積み重なる。
【0052】
図1、図2及び図4(A)(B)(C)に示すように、連続シートaの切断時まで回動アーム15をその待機位置に拘束するための拘束手段として、トリガー28が設けられる。トリガー28は左右の回動フレーム17に対して各々配置され、各々回動フレーム17に上下に回動可能に軸支される。トリガー28の先端には鈎部が設けられ、この鈎部に対応して上記摺動体27にはローラ27aが設けられる。また、回動フレーム17とトリガー28との間にはピストンシリンダ装置29が介装され、このピストンシリンダ装置29の伸縮動作によって、トリガー28が往復回動し、これに伴いその鈎部が摺動体27のローラ27aに対し係脱するようになっている。
【0053】
図4(A)に示すように、切断刃13による連続シートaの切断前はトリガー28の鈎部が摺動体27のローラ27aに係止し、摺動体27をその待機位置に拘束する。この拘束状態において、上記エアシリンダ装置16のシリンダ内にエアが供給され蓄圧される。
【0054】
そして、図4(B)に示すように、連続シートaの切断時に上記エアシリンダ装置16における他方のシリンダ室が大気側に開放されると同時にピストンシリンダ装置29のピストンロッドが伸動作すると、トリガー28が回動してその鈎部が摺動体27のローラ27aから外れる。
【0055】
上述したように、エアシリンダ装置16のシリンダ内には常時エアが供給され蓄圧されていることから、トリガー28が回動してその鈎部が回動アーム15のローラ15aから外れると、ピストンロッド16aはラック32を伴って高速で縮動作し、ピニオン33は高速で回転し、回動アーム15は下方に向かって高速で降下する。
【0056】
このときの回動アーム15の先端は自転する巻芯4の周速度よりも大きい周速度で動き、図4(B)に示すように、連続シートaは回動アーム15の先端の切断刃13によって速やかに切断される。また、図4(C)に示すように、切断と同時にブラシ14によって連続シートaの断端である先端部a1は後巻き用巻芯4の周面に撫で付けられ、平滑面を呈するように後巻き用巻芯4の周面に付着する。その後、連続シートaの上流側が後巻き用巻芯4の回りに巻き付けられて行く。
【0057】
連続シートaの切断に伴って回動するのは、ピニオン33及び回動アーム15であるから、回動部の慣性モーメントは総じて小さく、慣性力も小さい。従って、エアシリンダ装置16、回動部等に故障、破損が発生しにくく、巻取り装置に耐久性が付与されることとなる。
【0058】
図4(A)(B)(C)に示すように、上記連続シートaの切断が完了した後に上記ピストンロッド15a、摺動体27、ラック32等を停止させるショックアブソーバ30が、左右の回動フレーム17に取り付けられる。ショックアブソーバ30はピストンロッド16aと平行に設けられる。また、摺動体27にはショックアブソーバ30に当接しうる突起27bがピストンロッド16aと略直角方向に設けられる。
【0059】
これにより、図4(C)のごとく連続シートaの切断が完了した後に摺動体27の突起27bはピストンロッド15aと共に直線的に後退してショックアブソーバ30に当接する。したがって、従来の回動リンクをショックアブソーバに当てる方式に比べ、ショックアブソーバ30の衝撃吸収方向とピストンロッド15aの運動方向とが合致することとなり、ショックアブソーバに掛かる負荷を軽減することが可能になり、ショックアブソーバ30の故障を回避することができる。
【0060】
ショックアブソーバ30としては、例えばダッシュポットを使用することができる。
【0061】
次に、上記構成の連続シート巻取り装置の作用について説明する。
【0062】
(1)図3に示すように、グラビア印刷機等から排出される連続シートaは、リールスタンド5上のリールアーム8に取り付けられた先巻き用巻芯3にロール状に巻き取られる。
【0063】
このとき連続シート巻取り装置の巻芯切換え部2は、上昇位置に停止し、待機している。グラビア印刷機等から排出される連続シートaは、支柱18に支持された各種ガイドローラ21に案内され、さらに回動フレーム17内のガイドローラ22,24に案内されつつ矢印方向に走行し、図示しない電動機によって矢印方向に回転する先巻き用巻芯3に巻き取られる。
【0064】
(2)先巻き用巻芯3に連続シートaの下流側が所定長さだけロール状に巻き取られると、リールアーム8,9が図3中、回転軸7の回りを垂直面内で時計方向に180度旋回する。これにより、先巻き用巻芯3は図3の位置から図2の位置へと自転しつつ公転する。これに伴い、連続シートaは、図2中二点鎖線で示すように、回動フレーム17内のガイドローラ22,24を通った後にガイドアーム10のガイドローラ10aを経由して先巻き用巻芯3に巻き取られる。
【0065】
(3)この間に、作業者によって後巻き用巻芯4がリールスタンド5上のリールアーム9に取り付けられる。後巻き用巻芯4は図示しない電動機により自転を開始する。この後巻き用巻芯4は、先巻き用巻芯3の取り付け時に取り付けることも可能である。
【0066】
(4)先巻き用巻芯3に連続シートaが一杯に巻き取られると、ピストンシリンダ装置20が伸動作し、巻芯切換え部2の回動フレーム17が図2中二点鎖線の位置から実線の位置へと降下する。
【0067】
(5)巻芯切換え部2が降下すると、図1及び図4(A)に示すように、ニップローラ12が後巻き用巻芯4に接近した位置で停止する。このとき連続シートaは巻芯切換え部2内に入って上流側ガイドローラ22、ニップローラ12、回動アーム15の支軸31上のガイドローラ26を順次経て先巻き用巻芯3へと流れる。
【0068】
(6)図4(B)に示すように、ピストンシリンダ装置25が伸動作し、回動レバー23が下方に回動し、回動レバー23に支持されたニップローラ12が、その回りを通って先巻き用巻芯3へと走行する連続シートaを後巻き用巻芯4の周面に押し付ける。これにより、連続シートaが後巻き用巻芯4の周面に付着する。
【0069】
なお、先巻き用と後巻き用のいずれの巻芯3,4にも、予めその周面に接着剤層が形成されている。
【0070】
(6)図4(B)に示すように、回動レバー23を駆動するピストンシリンダ装置25が伸動作すると同時に、トリガー28を駆動するピストンシリンダ装置29のピストンロッドが伸動作し、トリガー28を時計方向に回動させる。これにより、トリガー28の鈎部が摺動部27のローラ27aから外れ、摺動部27の拘束を解く。
【0071】
(7)エアシリンダ装置16は、図4(A)に示す状態においてエアをシリンダ内に貯留して蓄圧している。図4(B)に示すように、トリガー28が摺動部27を解放すると、シリンダ内のエアの蓄圧によってピストンロッド16aから摺動部27に至る箇所が大きな初速で急速に回動する。
【0072】
エアシリンダ装置16においては、図4(A)に示す状態になる以前から一方のシリンダ室側の電磁弁が開放されて圧縮エアが一方のシリンダ室内に供給され、他方のシリンダ室側の電磁弁は閉状態とされる。そこで、図4(B)のごとくニップローラ12側のピストンシリンダ装置25が伸動作すると同時に、トリガー28側のピストンシリンダ装置29が伸動作し、エアシリンダ装置16における他方のシリンダ室側の電磁弁が大気側に開放される。
【0073】
これにより、エアシリンダ装置16のピストンロッド16aの図示しないピストンは他方のシリンダ室側へと急速に移動し、図4(A)の位置から同図(B)の位置へとピストンロッド16aは高速で縮動作し、ピストンロッド16aと一体の摺動部27も高速で直線運動をする。また、摺動部27のラック32と噛み合うピニオン33は角加速度が略一定の回転運動を行い、ピニオン33と一体の回動アーム15も同様な回動運動を行う。
【0074】
回動アーム15の高速回動によって、切断刃13とブラシ14は、ニップローラ12及び後巻き用巻芯4の周速度よりも大きい速度で下降し、連続シートaは図4(B)のごとくニップローラ12によって後巻き用巻芯4の回りに貼着されるや否や、ニップローラ12と後巻き用巻芯4との挟持箇所よりもやや下流側を切断刃13で切断される。連続シートaは切断されると同時に、図4(C)のごとく、ブラシ14によって上流側断端である先端部a1を後巻き用巻芯4の周面に押し付けられ、後巻き用巻芯4の周面に付着する。これにより、連続シートaの上流側断端a1はジャム化することなく後巻き用巻芯4の周面に平滑面を呈するように密着し、後続の連続シートaも平滑な断端である先端部a1の上に積み重なるように巻き取られる。
【0075】
連続シートaの切断に伴って回動するのは、切断刃13とブラシ14を除けばピニオン33と回動アーム15であり、これら回動部の慣性モーメントは総じて小さく、慣性力も小さい。従って、エアシリンダ装置16や回動部等に無理な力が作用しない。
【0076】
(8)図4(C)に示すように、回動アーム15は下方に回動してそのブラシ14が後巻き用巻芯4の周面を通過した後、摺動体の突起27bがピストンロッド15aと共に直線的に後退してショックアブソーバ30に当たって停止する。
【0077】
(9)かくて巻芯3,4の切換えが完了し、図3に示すように、ピストンシリンダ装置20の縮動作によって巻芯切換え部2が回動フレーム17ごと待機位置へと上昇する。また、巻芯切換え部2内の各種のピストンシリンダ装置16,25,29が動作して、回動アーム15、ニップローラ12、トリガー28を図4(C)の位置から図4(A)の原位置へと復帰させる。
【0078】
(10)その後、図3に示すように、後巻き用巻芯4が回転し続け、連続シートaの上流側をロール状に巻き取る。また、先巻き用巻芯3にロール状に巻き付けられた連続シートaの下流側はリールアーム8から除去され、その跡に新たな巻芯4が取り付けられる。
【0079】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々変更可能である。例えば、上記実施の形態では、回動フレームが上方の待機位置から下降するように設けられているが、この回動フレームを含めて連続シート巻取り装置の全体を上下逆様にした構成とし、巻芯切換え時に回動フレームを下から上へと上昇させることも可能である。
【符号の説明】
【0080】
a…連続シート
a1…連続シートの先端部
3…先巻き用巻芯
4…後巻き用巻芯
12…ニップローラ
13…切断刃
14…押圧部材
15…回動アーム
16…エアシリンダ装置
16a…ピストンロッド
17…回動フレーム
28…トリガー
30…ショックアブソーバ
31…支軸
33…ピニオン
32…ラック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続シートの下流側と上流側を各々巻き取る平行に配置された先巻き用と後巻き用の少なくとも二本の巻芯と、後巻き用巻芯の近傍を通って先巻き用巻芯へと走行する連続シートを後巻き用巻芯の周面に押し付けるニップローラと、このニップローラと上記後巻き用巻芯との間を通過した連続シートを切断する切断刃と、切断刃により切断された連続シートの先端部を上記後巻き用巻芯の周面に押圧して付着させる押圧部材と、上記切断刃と上記押圧部材とを保持して上記連続シートの切断時に回動する回動アームとを包含してなる連続シート巻取り装置において、上記回動アームを駆動する手段として、上記連続シートの切断の際に、エアを一方のシリンダ室側に貯留して蓄圧し、他方のシリンダ室を大気側に開放することによってピストンロッドから上記回動アームに至る箇所を急速に動作させるエアシリンダ装置が設けられ、上記回動アームの支軸にピニオンが固定され、このピニオンと噛み合うラックが上記ピストンロッドに取り付けられ、上記連続シートの切断時まで上記ピストンロッドを待機位置に拘束する拘束手段が設けられたことを特徴とする連続シート巻取り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の連続シート巻取り装置において、上記拘束手段が上記ピストンロッドを待機位置に拘束するトリガーであり、上記連続シートの切断時にトリガーによる拘束が解かれると、上記エアシリンダ装置によって上記回動アームが駆動されるようにしたことを特徴とする連続シート巻取り装置。
【請求項3】
請求項1に記載の連続シート巻取り装置において、上記連続シートの切断が完了した後に上記ピストンロッドを停止させるショックアブソーバが上記ピストンロッドと平行に設けられたことを特徴とする連続シート巻取り装置。
【請求項4】
請求項1に記載の連続シート巻取り装置において、上記ニップローラと、上記回動アームと、上記エアシリンダ装置とが、回動フレームに取り付けられ、この回動フレームが上記連続シートの切断時に上記連続シート側へと移動するようにしたことを特徴とする連続シート巻取り装置。
【請求項5】
請求項1に記載の連続シート巻取り装置において、巻芯の周面に接着剤層が形成されたことを特徴とする連続シート巻取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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