説明

連続焼却炉

【課題】 原油高の厳しい時代の中、木材を含むあらゆる燃料を利用でき、しかも24時間連続稼働できる安価な焼却炉を提供する。
【解決手段】 加熱燃焼室2の上部に、その内部空間を連通状とした所定容量の空間を確保してなる含水状可燃物T用の装填塔3を有し、該装填塔3には、その輪郭に沿うようにして過熱ガス誘導路4を組み込んでなるものとした生もの焼却炉11,12,……の複数基を適宜配置に組み込み、発生する過熱ガスが生もの焼却炉装填塔3周囲を経由してから排気されるものとした連続焼却炉1であって、炭焼き工法の逆の原理を利用して可燃物の自然落下を図るため安価なオガクズストーブを使用し、過熱ガス(煙)を導入して連続焼却炉の着火を行い、連接する2次ぎ炉の着火燃料の使用をなくすようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、可燃物を焼却する技術や、その燃焼熱を利用する技術などに関するものであり、特に、主焼却炉11と副焼却炉12とよりなり、主焼却炉11から排出する高温の煙(過熱ガス)を副焼却炉12の着火燃料に利用する連続焼却炉をはじめ、バーク、木材チップ、大鋸屑や台所からでる家庭用ゴミ、野菜や果物の屑といった各種生ゴミなどに代表されるような含水状可燃物を効率的に燃焼可能とするものや、その燃焼によって発生する熱をハウス栽培、消雪、住宅暖房や給湯など様々な施設やその用途用の加温や過熱などに利用可能とする焼却炉、ボイラ、ストーブ、コンロ、暖炉、調理器、その他の燃焼装置、およびそれらの複数基を連続するよう組み合わせてなる焼却炉などに関連するものであり、その輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
化石燃料の減少が危ぶまれる今日、資源の再利用と合わせて森林の保護も重要な課題となり、地球温暖化時代を迎えて多くの技術が開発され、焼却炉に関しても古くから炭焼き窯を始めとしてゴミの焼却炉など数多くの発明が開発され利用されている。
【特許文献1】(1)特開2004−197706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、炭焼き窯にしてもゴミ焼却炉にしても、通常は稼働する際に着火のための燃料が必要であり、まして複数の窯や炉を連続して運転するようにしようとすると、その都度、窯や炉毎に着火するための燃料とそのための手段とが必要となり、これら燃料の消費が不経済であるばかりではなく、着火手段の採用や作業効率からも不利益なものとなっていたし、また、生もの、例えば製材所におけるバークやチップ、大鋸屑などといった生木のままで水分を含んだままの廃棄物処理に有効且つ安価なな焼却装置が無く、それらを満足させるための焼却手段を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の構成)
上記の観点から、これら課題を解決すべく、製材業を営むものとして長年に亘って鋭意研究を重ねた結果、遂にここに来て想到し得たものであり、その構成の要旨とするところは、以下に記すとおりのものである。
即ち、この発明は、加熱燃焼室の上部に、その内部空間を連通状とした所定容量の空間を確保してなる含水状可燃物用の装填塔を有し、該装填塔には、その輪郭に沿うようにして過熱ガス誘導路を組み込んでなるものとした生もの焼却炉の複数基を適宜配置に組み込み、発生する過熱ガスが生もの焼却炉装填塔周囲を経由してから排気されるものとした構成を要旨とする連続焼却炉である。
【0005】
この発明の連続焼却炉を、より具体的なものとして示すと、加熱燃焼室の上部に、その内部空間を連通状とした所定容量の空間を確保してなる含水状可燃物用の装填塔を有し、該装填塔には、その輪郭に沿うようにして過熱ガス誘導路を組み込んでなるものとした生もの焼却炉の複数基を適宜配置に組み込んだ上、最初の生もの焼却炉に装填した含水状可燃物の燃焼を終える時期に、着火機構によって自動的に次ぎの生もの焼却炉に着火するようにし、さらに生もの焼却炉を組み込んでなるものでは以下も順次同様に着火して所定容量の含水状可燃物毎に焼却するようにし、発生する過熱ガスが夫々の生もの焼却炉装填塔周囲を経由してから排気されるものとした構成からなる連続焼却炉といえる。
【0006】
また、この発明は、主焼却炉(最初の生もの焼却炉)11と副焼却炉(次ぎの生もの焼却炉)12、あるいは、連続して13,14,……と構成し、主焼却炉(最初の生もの焼却炉)11から排出される煙(過熱ガス)を炉内に導入して着火させることに成功したもので、しかも主焼却炉(最初の生もの焼却炉)11の着火装置5としてオガクズストーブ(加熱燃焼室)2を利用すること、及び燃焼室3の形状を筒形とすることによって、焼却に伴い(含水状)可燃物がスムーズに自然落下するのを利用して、着火を自動化することに成功し、着火再燃用の燃料が不要となり高能率であって経済的にもきわめて有利な連続焼却炉を包含する。
【0007】
さらにまた、この発明の連続焼却炉には、加熱燃焼室の上部に、その内部空間を連通状とした所定容量の空間を確保してなる含水状可燃物用の装填塔を有し、該装填塔には、その輪郭に沿うようにして過熱ガス誘導路を組み込んでなるものとした生もの焼却炉の複数基を適宜配置に組み込んだ上、最初の生もの焼却炉過熱ガス誘導路の導出端を次ぎの生もの焼却炉装填塔に接続、さらに生もの焼却炉を組み込んでなるものでは以下も順次同様に接続するようにし、生もの焼却炉相互が上位の過熱ガス誘導路導出端によって直接に接続され、発生する過熱ガスが順送りに下位の生もの焼却炉を経由してから排気されるものとした構成からなる連続焼却炉が包含されている。
【0008】
これらを換言するならば、加熱燃焼室の上部に、その内部空間を連通状とした所定容量の空間を確保し、上端に開閉蓋を有する可燃物投入用の投入口を開口してなる含水状可燃物用の装填塔を有した伝熱性の生もの焼却室を設け、該装填塔には、その輪郭に沿うようにして過熱ガス誘導路を組み込んでなるものとした生もの焼却炉の複数基を所定容量の熱交換用水槽中に、各加熱燃焼室および各装填塔の下方が没するよう適宜配置に組み込んだ上、各装填塔の投入口を当該熱交換用水槽よりも上方に突出し、少なくとも最初の生もの焼却炉の加熱燃焼室に外気を誘導可能な吸気回路を配すると共に、着火機構を有するものとし、最初の生もの焼却炉に装填した含水状可燃物に該着火機構が着火し、同含水状可燃物の燃焼過程で発生する過熱ガスが、それ以降の生もの焼却炉に装填された含水状可燃物の乾燥熱に使われながら、最初の生もの焼却炉内の含水状可燃物の燃焼が進み、それが終了する段階で自然に、次ぎの生もの焼却炉内の含水状可燃物の下方に着火し、以降同様の燃焼が順次、自然発生的に継続可能なものとするよう、各過熱ガス誘導路を次ぎの生もの焼却炉に順次接続するよう組み合わせてなるものとした構成からなる連続焼却炉ということができる。
【0009】
また、外部からの水供給路および水送出路を確保した密閉型熱交換用水槽中に、伝熱性の加熱燃焼室を没する状態に固定し、同加熱燃焼室の上部に、上端に開閉蓋を有する可燃物用投入口を開口してなる含水状可燃物用の複数本の伝熱性装填塔の各下端を夫々連通状に接続し、当該加熱燃焼室の一方適所には、熱交換用水槽外に通じる灰出し口、ならびにその開閉扉を設け、同他方適所には、排気量調節機構を有する過熱ガス誘導路を熱交換用水槽外に導出してなる生もの焼却炉を有し、これら生もの焼却炉の複数基を順次配すると共に、最初の生もの焼却炉の加熱燃焼室から導引した過熱ガス誘導路を、次ぎの生もの焼却炉の各装填塔上部に接続し、以降同様に次ぎの生もの焼却炉の加熱燃焼室から導引した過熱ガス誘導路を、その次ぎの生もの焼却炉の各装填塔へと順次接続し、最後の生もの焼却炉加熱燃焼室からの過熱ガス誘導路を当該熱交換用水槽外に導出してなるものとした構成からなる連続焼却炉ということもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の連続焼却炉は、各炉内温度が1000℃〜1200℃ときわめて高温となるため、含水状可燃物は木材に限ることなく、可燃物であれば一般の家庭から出る生ゴミなどにも利用可能であり、しかも副焼却炉(生もの焼却炉)12を13,14,……と、図2に示すように増設することによって一日中でも連続自動燃焼運転が可能となり、石油代替のストーブやボイラーなどとして広く活用できるだけではなく、生もの焼却炉としての構造も簡素であって、きわめて廉価にて提供可能とすることから、環境上からも経済効果上からも極めて卓越した効果が得られるものとなる。
【0011】
加えて、最初の生もの焼却炉に装填した含水状可燃物の燃焼が終わる時期に、同最初の生もの焼却炉に設けた着火機構によって自動的に次ぎの生もの焼却炉内の含水状可燃物に着火するようにし、さらに生もの焼却炉を追加して組み込んでなり、以下の生もの焼却炉も同様に順次着火して各生もの焼却炉装填量毎の含水状可燃物を漸次継続的に焼却するようにした連続焼却炉は、最初の生もの焼却炉内の含水状可燃物に着火し、燃焼が進むと、その加熱燃焼室内に発生した過熱ガスが、同装填塔内の含水状可燃物を燻蒸、乾燥して次第に炭化し、加熱燃焼室内に落下して灰になるまで完全燃焼するものとなり、また、同過熱ガスは、該装填塔の輪郭に沿うように組み込んだ過熱ガス誘導路を通じ、高温を保持したまま次ぎの生もの焼却炉に到達し、次ぎの生もの焼却室内の含水状可燃物を強制的に乾燥するものとなり、最初の生もの焼却炉内の含水状可燃物が完全に焼却されたタイミングで、該最初の生もの焼却炉に設けた着火機構によって自動的に次ぎの生もの焼却炉に着火することとなり、同次ぎの生もの焼却炉内の含水状可燃物が完全に焼却した後は、同次ぎの生もの焼却炉に設けた着火機構が、自動的に、その次ぎの生もの焼却炉内の含水状可燃物に着火することとなって同様の燃焼を繰り返し、最後の生もの焼却炉まで連続的に燃焼し続けることから、一定の発熱量を長時間に渡って持続することができる熱源として幅広い利用が可能となるという秀れた特徴を得ることができる。
【0012】
また、最初の生もの焼却炉過熱ガス誘導路の導出端を次ぎの生もの焼却炉装填塔に接続し、同次ぎの生もの焼却炉に、さらに生もの焼却炉を過熱ガス誘導路を介して連続するよう組み込み、次ぎの生もの焼却炉以下の生もの焼却炉も順次同様に接続するようにし、発生する過熱ガスが順送りに次ぎ次ぎと各生もの焼却炉を経由してから排気されるようにした連続焼却炉は、最初の生もの焼却炉内の含水状可燃物が完全に燃焼を終えるタイミングで、次ぎの生もの焼却炉内の含水状可燃物の乾燥が完了し、さらに、過熱ガス誘導路導から供給された過熱ガスの熱と流入する外気とによって自動的に自然発火し、燃焼を開始するものとなり、次ぎの生もの焼却炉以下の各生もの焼却炉に特別な点火制御装置などを設けることなく、自動的で統合的且つ連続的な着火制御が行われるものとなり、より経済的に安定且つ安全な燃焼を実現化できるものとなる。
【0013】
そして、この発明の連続焼却炉は、何れも最初の生もの焼却炉の燃焼初期段階には、加熱燃焼室内含水状可燃物の燃焼熱や蒸気、燻煙などが、直上の装填塔内に上昇して、同装填塔内の含水状可燃物を強制的に燻蒸、乾燥すると共に、同装填塔内から降下する蒸気や燻煙などもまた該加熱燃焼室内含水状可燃物の燃焼を促進するものとなり、同加熱燃焼室内含水状可燃物が灰になるまで1000℃〜1200℃の高温で完全燃焼するから、秀れた熱効率を発揮できる上、過熱ガス誘導路導を通じて次ぎの生もの焼却炉に供給される過熱ガスは、高温の蒸気のみの非常にクリーンなものとすることができ、従って複数基組み込まれた中の最後の生もの焼却炉から、最終的に外気中に排出される排気ガスも蒸気のみのクリーンなものとすることができ、従来型の焼却炉やボイラー、ストーブなどに比較して非常に清浄で環境に優しいものとすることができる。
【0014】
さらには、生もの焼却炉が、それら各外周壁周りに熱交換装置を組み込んでなるものに形成され、各加熱燃焼室および/または装填塔からの燃焼熱を流体に伝達、熱交換可能とするボイラー用の燃焼炉を兼用するものとした連続焼却炉では、各生もの焼却炉の燃焼熱を非常に効率的に利用可能なものとすることができ、各熱交換装置から誘導した配管を利用して、ハウス栽培用の熱源、消雪設備、屋内暖房などの様々な用途への活用が一層容易なものとなり、しかも各生もの焼却炉の燃焼中に最も高温となる夫々の生もの焼却室加熱燃焼室や、装填塔下がわ部分を熱交換用流体によって冷却可能とし、各生もの焼却室の耐熱強度を低く設定可能となり、より安全且つ経済的で廉価な生もの焼却炉を提供することができるものとなる。
【0015】
そして、熱交換装置を所定容量の熱交換用水槽に置き換えてなる連続焼却炉は、熱交換用水槽内部の点検、整備および洗浄などのメンテナンス作業性に秀れているという特徴が得られる外、密閉型熱交換用水槽を有する生もの焼却炉を組み込んだ連続焼却炉は、水道水や高所設置の水タンクなどの供給圧力を利用したり、または、ポンプによる加圧や負圧などを利用するなどして自動的に循環可能な水回路を容易に構築可能であり、水の供給管理作業の効率を大いに高めることができ、家庭用から産業上までと幅広い応用ができるという実利的な効果を発揮する。
【0016】
また、密閉型熱交換用水槽中に伝熱性の加熱燃焼室を没する状態に固定し、同加熱燃焼室の上部に、複数本の装填塔を設けてなる生もの焼却炉は、各装填塔に供給した含水状可燃物によって加熱燃焼室全体が均質に加熱されるものとなり、より大型の生もの焼却炉を一層均質且つ安定的に加熱可能なものとすることができ、より効率的な暖房設備や融雪設備などに利用可能なものとなる。
【0017】
さらに、各焼却炉の装填塔夫々が、その縦断面形を上端投入口から下方加熱燃焼室に向けて漸次拡開する台形状のものとしてなるものは、各装填塔内で乾燥し、次第に炭化して行く含水状可燃物が、その自重によって加熱燃焼室に向けて、より円滑に落下するようになり、利用者が火掻き棒などで強制的に落下させる煩わしさや危険を伴う労働負担が全く不要となり、燃焼状態の維持、管理作業を頗る効率化することができる。
【0018】
そして、排気量調節機構を有する過熱ガス誘導路を設けた生もの焼却炉は、該排気量調節機構を操作して、同生もの焼却炉内の燃焼状態を自在に調節し、装填塔内の燻蒸、乾燥が適正に進むよう容易に調節することができるものとなり、従来型の焼却炉や薪ストーブ類に同一の含水状可燃物を投入した場合に比較し、非常に高い発熱量を得ることができるという願ってもない利点が得られることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
最初の生もの焼却炉(主焼却炉)は、この発明の連続焼却炉を形成する複数基の生もの焼却炉中の、1番目に燃焼を始める生もの焼却炉であり、燃焼中は、次ぎ以下の生もの焼却炉に過熱ガスを供給可能とする機能を果たし、含水状可燃物の燃焼に耐える耐熱性を有するものとし、加熱燃焼室の上部に、その内部空間を連通状とした所定容量の空間を確保してなる含水状可燃物用の装填塔を有し、該装填塔には、その輪郭に沿うようにして過熱ガス誘導路を組み込んでなるものとしなければならず、必要に応じて着火装置を組み込んだものとすることができる。
【0020】
生もの焼却炉(副焼却炉)は、この発明の連続焼却炉を形成する複数基の生もの焼却炉中の、2番目以降の何れかの順位で燃焼を始める生もの焼却炉であり、最初の生もの焼却炉が燃焼している間は、同最初の生もの焼却炉からの過熱ガスの供給を受けて装填してある含水状可燃物を乾燥し、同最初の生もの焼却炉の燃焼が終わると、予め設定された順番に自動的に発火して含水状可燃物の燃焼を開始するという機能を果たし、含水状可燃物の燃焼に耐える耐熱性を有するものとし、加熱燃焼室の上部に、その内部空間を連通状とした所定容量の空間を確保してなる含水状可燃物用の装填塔を有するものとしなければならず、基本的に最初の生もの焼却炉と同一のものとすることが可能であり、必要に応じて着火装置を組み込んでなるものとすることができる。
【0021】
生もの焼却室は、生もの焼却炉の所定量の含水状可燃物の収容とその燃焼とを可能とする空間を確保する機能を果たし、加熱燃焼室(オガクズストーブ)の上部に、その内部空間を連通状とした所定容量の空間を確保してなる含水状可燃物用の装填塔(燃焼室)を有するものとしなければならない。
【0022】
加熱燃焼室(オガクズストーブ)は、含水状可燃物を灰になるまで完全燃焼可能とする空間を確保する機能を果たすものであって、適所から過熱ガス誘導路を導出したものとしなければならず、底部または周壁の適所に灰出し口および開閉扉を設けたものとすべきであり、熱交換装置内に没するように設けるか、または、熱交換装置を外装するかの何れか一方としたものとすることができ、少なくとも最初の生もの焼却炉のものには、外気を導入可能とする吸気回路を配したものとするようにしなければならない。
【0023】
装填塔(燃焼室)は、所定量の含水状可燃物を装填可能とし、加熱燃焼室(オガクズストーブ)からの過熱ガスを受け、収容した含水状可燃物を燻蒸、乾燥し、炭化してしまう機能するものであり、上端および/または周壁適所に開閉蓋を有する投入口を設けたものとし、その輪郭に沿うようにして過熱ガス誘導路を取り回し状に組み込んでなるものとしなければならず、その縦断面形を上端投入口から下方加熱燃焼室に向けて漸次拡開する台形状のものとすることができる。
【0024】
過熱ガス誘導路は、加熱燃焼室内で発生する過熱ガスを、その高温を維持したまま次ぎの生もの焼却炉の装填塔内に供給可能とするものであり、連続焼却炉を形成する複数基の生もの焼却炉同士を充分な耐熱性を有して適宜接続してなるものとしなければならず、各装填塔毎に、その輪郭に沿うようにして組み込んでなるものとすべきであって、耐火断熱材の被覆などの断熱構造を有するものとすることができる。
【0025】
排気量調節機構は、過熱ガス誘導路中を通過する過熱ガスの流量を調節自在とする機能を果たし、充分な耐熱性を有するものとしなければならず、過熱ガス誘導路の中途適所に設けられた、外部から手動操作可能な開閉弁、調節弁などとすることができる外、各生もの焼却炉の燃焼具合を検知して自動的に開度調節可能とした自動制御装置を組み込んでなるものとすることが可能である。
【0026】
着火装置は、最初の生もの焼却炉の燃焼が終わるタイミングで、次ぎの生もの焼却炉内に装填されている(含水状)可燃物に自動的に着火可能とするものであり、最初の生もの焼却炉内の含水状可燃物が完全に燃焼し終えるのと略同時に、次ぎの生もの焼却炉内の含水状可燃物に着火するものとすべきであるが、最初の生もの焼却炉内の含水状可燃物が略燃焼し終えるころの前後のタイミングの何れかに、次ぎの生もの焼却炉内の含水状可燃物に着火するものとすることが可能であり、各生もの焼却炉同士の燃焼切り替え時期が、安定的な熱量の発生を継続的に確保できる程度に連続的に行われるよう、自動的に制御可能なものとすべきであり、後述する実施例に示すように、装填塔内に設けたレバー、装填塔外に設けた錘、同錘の上下動に連動する着火スイッチ、および、該着火スイッチに連動する次ぎの生もの焼却炉用の点火機構からなるものとすることが可能であり、当該レバーは耐火性に秀れた素材製とし、該点火機構は、ガスバーナーや石油噴射装置と点火装置との組み合わせなどの外、発熱コイルやヒーター、高周波加熱装置など様々なものを利用することができる。
【0027】
熱交換装置は、生もの焼却炉の各加熱燃焼室および/または装填塔からの燃焼熱を流体に伝達、熱交換可能とする機能を果たすものであり、加熱燃焼室および/または装填塔の外周壁周りに、流体用の水槽型容器か、またはパイプその他の流体回路などを巡らせたものとすべきであり、後述する実施例に示すように、水槽型の熱交換用水槽や、密閉型熱交換用水槽などとすることができ、水供給路や水送出路を設け、適所に水温計や送水ポンプなどを設けたものとすることなどが可能である。
【0028】
含水状可燃物は、生もの焼却炉内に収容されて安全に燃焼し、発熱可能とするものであり、バーク、木材チップ、大鋸屑や間伐材などの各種木材、生ゴミなどの可燃ゴミ類や、その他の可燃性の産業廃棄物など、水分を含んだあらゆる可燃物を対象とすることができ、燃焼に伴って爆発の危険や有害物質などを発生しないものであれば、特にその対象から外れるものではない。
【実施例1】
【0029】
図1の縦断面化した主焼却炉(生もの焼却炉)の正面図、図2の直列状に接続した連続焼却炉の平面図、図3の着火装置の側面図により、本発明の一実施例を説明すると、主焼却炉(生もの焼却炉)11に接続する副焼却炉(生もの焼却炉)12以下は、図2中に示すように各過熱ガス誘導路4によって順次接続されており、それら副焼却炉(生もの焼却炉)12は、同図1の主焼却炉(生もの焼却炉)11と同一の構造であって、各過熱ガス誘導路4からの煙(過熱ガスG)は副焼却炉(生もの焼却炉)12の上部から導入されている。また、図1中の主焼却炉(生もの焼却炉)11には、過熱ガス誘導路4を上方に向けて設けてあるが、下方から煙道として副焼却炉(生もの焼却炉)12に導入することも可能である。
【0030】
本発明においては焼却炉(生もの焼却炉)11の燃焼装置としてオガクズストーブ(加熱燃焼室)2を示しているが、これに限ることはなく、薪ストーブを使用することも可能であり、また、該オガクズストーブ(加熱燃焼室)2の平面形状を燃焼室(装填塔)3の平面形状に一致させたものとすることが可能であり、また燃焼室(装填塔)3は円筒形であり、上部には開閉できる開閉蓋31を設けて含水状可燃物Tを投入する。
【0031】
図2に示すように、各焼却炉(生もの焼却炉)11,12,13,……,1nに用いる含水状可燃物Tは主として杉、赤松、その他の枝木、残木、間伐材、バークチップ、ウッドチップなどであるが家庭から出る可燃ゴミでもよく、図1中に示すように、燃焼室(装填塔)3の開閉蓋31を開放して投入し、オガクズストーブ2(加熱燃焼室)2内の含水状可燃物Tに石油などの液体燃料類を注入、または混合して点火用可燃物STとして点火し、同点火用可燃物STの燃焼中に、燃焼室(装填塔)3内の含水状可燃物Tは、蒸し焼き状となって下方から炭、燻製、半生、生の状態で変化し、燃焼の進行に従って徐々に変化しながら、自重によって下方に移動し、オガクズストーブ2(加熱燃焼室)2内に落下しては燃焼することを繰り返して、最終的に全ての含水状可燃物Tが完全燃焼して灰となる。
【0032】
図3に示すように、主焼却炉(生もの焼却炉)11の着火装置5は、燃焼室(装填塔)3側壁の内がわに、水平姿勢および下向き傾斜姿勢に姿勢変化自在に軸着し、水平姿勢のときに、その先端が燃焼室(装填塔)3内に突出するものとした耐火性レバー50、同燃焼室(装填塔)3側壁の外側に配して、該レバー50を水平姿勢に留めようとする牽引力を発揮可能な錘51、該レバー50が水平姿勢となり、それに伴い錘51が降下したときに作動するスイッチ52、および、該スイッチ52に連動して、副焼却炉(生もの焼却炉)12の図示しないオガクズストーブ2(加熱燃焼室)2内の含水状可燃物Tに着火する点火機構(図示せず)からなっており、複数の副焼却炉(生もの焼却炉)12,13,……1nを煙突(過熱ガス誘導路)4,4,……で連続するよう接続した場合には、該副焼却炉(生もの焼却炉)12に、次ぎの副焼却炉(生もの焼却炉)13用の着火装置5を設け、同様の構造を繰り返し設けたものとする。
【0033】
図4は生もの焼却炉を星形に配置した連続焼却炉の平面図、および、図5は8個の生もの焼却炉を4個毎平行に配置した連続焼却炉の平面図を示し、各図中の符号11,12,13,……,1nは、生もの焼却炉11,12,13,……,1nの着火順に同じであり、配管は過熱ガス誘導路4で黒丸は同過熱ガス誘導路4の排気口40の位置を示している。
【実施例2】
【0034】
図6の熱交換装置を有する連続焼却炉を縦断面化した側面図、および、図7の吸気回路に変更を加えた連続焼却炉を縦断面化した側面図に示す事例は、複数基の生もの焼却炉11,12が、それら各外周壁周りに熱交換装置6を組み込んでなるものに形成され、各加熱燃焼室2および/または装填塔3からの燃焼熱を、水や不凍液などの液体である流体Wに伝達、熱交換可能とするボイラー用の燃焼炉11,12を兼用するものとした、この発明の連続焼却炉の他の一実施例を示すものである。
【0035】
図6中に示す連続焼却炉1は、耐熱金属製の伝熱性有底鉛直筒体の上端に開閉蓋31を有する含水状可燃物T用投入口30を開口した装填塔3と、同装填塔3の直下となる底部に一体化形成し、その底部中央に下向きに開放可能な開閉扉21を有する灰出し口20を設けた加熱燃焼室2とからなる最初の生もの焼却炉11、および、該最初の生もの焼却炉11と同一形状の次ぎの生もの焼却炉12を夫々、所定容量の天面開放型の熱交換用水槽60中に、各加熱燃焼室2,2および各装填塔3,3の下方が没するよう順次配すると共に、各装填塔3の投入口30を当該熱交換用水槽60よりも上方に突出し、各生もの焼却炉11,12は、各装填塔3,3の投入口30,30付近から、同装填塔3,3の外壁に沿って、加熱燃焼室2,2夫々の底面まで達して、同加熱燃焼室2,2内夫々の底面より上向きに(各装填塔3,3内方向に向けて)外気を誘導可能な吸気回路32を配した上、該最初の生もの焼却炉11加熱燃焼室2から同装填塔3,3の外壁に沿って導引した過熱ガス誘導路4を、次ぎの生もの焼却炉12の装填塔3上部に接続し、該次ぎの生もの焼却炉12加熱燃焼室2からの過熱ガス誘導路4を、同装填塔3,3の外壁に沿って当該熱交換用水槽60外に導出してなるものであり、当該連続焼却炉1は、同様の接続構造を繰り返して3基以上の生もの焼却炉11,12,13,……,1nを有するものとすることが可能である。
【0036】
また、図6中に示す連続焼却炉1は、図7中に示すように、最初の生もの焼却炉11にのみ吸気回路32を設け、次ぎの生もの焼却炉12(およびそれ以下の生もの焼却炉12,13,……,1n)には吸気回路32を設けないものとすることが可能である。
【実施例3】
【0037】
図8の密閉型熱交換用水槽を設けた生もの焼却炉を断面化した側面図、および、図9の密閉型熱交換用水槽を設けた生もの焼却炉を断面化した正面図に示す事例は、外部からの水供給路61および水送出路62とを確保し、同水供給路61の途中に水温計63を配し、該水送出路62の途中に送水ポンプ64を設けてなる熱交換装置6としての密閉タンク型の熱交換用水槽60を設け、同熱交換用水槽60中に耐熱性金属製であって高伝熱性の加熱燃焼室2を没する状態に固定し、同加熱燃焼室2の上部には、耐熱性金属製の鉛直筒体であって、該熱交換用水槽60天面壁より上方に貫通状に突出し、その上端に開閉蓋31を有する燃料用投入口30を開口した合計3本の装填塔3,3,3の各下端を夫々連通状に接続し、当該加熱燃焼室2の一方適所には、熱交換用水槽60外に通じる灰出し口20ならびにその開閉扉21を設け、同他方適所には、排気量調節機構41を有する過熱ガス誘導路4,4を熱交換用水槽60外に導出してなる最初の生もの焼却炉11を有し、同一形状の次ぎ以下の生もの焼却炉12,13,14,……の複数基を順次配するようにすると共に、この最初の生もの焼却炉11加熱燃焼室2から導引した過熱ガス誘導路4,4を、次ぎの生もの焼却炉12(以下何れも図示せず)の各装填塔3上部に接続し、同次ぎの生もの焼却炉12加熱燃焼室2から導引した過熱ガス誘導路4を、さらに次ぎの生もの焼却炉13各装填塔3へと順次接続し、最後の生もの焼却炉1n加熱燃焼室2からの過熱ガス誘導路4を当該熱交換用水槽60外に導出してなるものである。
【0038】
当該熱交換装置6は、前記実施例2およびこの実施例3中に示した各種熱交換用水槽60の外に、最初の生もの焼却炉11の加熱燃焼室2および各装填塔3の外周に巻き付けた熱伝導性の流体用配管に置き換えることが可能であり、また、熱交換用水槽60や配管などに拘わらず、それらの水路を自由に設定することが可能であって、例えば、最初の生もの焼却炉11から次ぎの生もの焼却炉12,13,14,……1nへと順次、流体Wが循環するように接続するか、または、次ぎの生もの焼却炉1n,1n−1,……14,13,12、そして最初の生もの焼却炉11へと、順次流体Wが循環するように接続されたものとするか、あるいはそれ以外に適宜設定した順番に接続してなるものなどとすることができる。
【実施例4】
【0039】
図10の装填塔の形状を変更した生もの焼却炉の正面図、図11の含水状可燃物を充填した生もの焼却炉の正面図、図12の含水状可燃物が燃焼して僅かに降下した生もの焼却炉の正面図、および、図13の含水状可燃物の殆どが燃焼して降下した生もの焼却炉の正面図に示す事例は、生もの焼却炉11の装填塔3が、その縦断面形を上端投入口30から下方加熱燃焼室2に向けて漸次拡開する台形状のものとしてなるものであり、装填塔3の内壁面が、図10中に波線で示す円筒形状ではなく、同10図中に実線で示すように縦断面形台形状のものとしてあって、該装填塔3の勾配内壁面は、ほんの僅かの勾配で、含水状可燃物Tの下降を助長できれば足り、図10ないし図13のものの勾配は、表現上で強調表示したものである。
【0040】
(実施例1の作用および効果)
図1ないし図3中に示す、連続焼却炉1は、主焼却炉(生もの焼却炉)11のオガクズストーブ2(加熱燃焼室)2に石油を混合した適量のオガクズなどの点火用可燃物STを投入すると共に、同主焼却炉(生もの焼却炉)11および副焼却炉(生もの焼却炉)12,13,……,1nの各燃焼室(装填塔)3,3,……の開閉蓋31,31,……を開き、夫々の投入口30,30,……より、含水状可燃物Tを充填した上、各開閉蓋31,31,……を閉鎖してから、当該主焼却炉(生もの焼却炉)11のオガクズストーブ2(加熱燃焼室)2内の点火用可燃物STに着火する。
【0041】
図1中に示すように、主焼却炉(生もの焼却炉)11オガクズストーブ2(加熱燃焼室)2内の点火用可燃物STが、同燃焼室(装填塔)3投入口30を通じて流入する空気を伴って燃焼し始めると、その燃焼ガスGが、同燃焼室(装填塔)3内に上昇し、燃焼室(装填塔)3内の含水状可燃物Tを下方より、上方に向けて強制的に燻蒸、乾燥して次第に同含水状可燃物Tの最下部付近が1000℃〜1200℃の高温となって炭化し、その上下中間付近が燻製、その上部が半生、最上部が生のままの状態となり、さらに、該オガクズストーブ2(加熱燃焼室)2内の燃焼が進み、点火の目的で投入した点火用可燃物STが灰となるタイミングで、当該燃焼室(装填塔)3内の最下部付近において炭化した(含水状)可燃物Tが、その自重によって同オガクズストーブ2(加熱燃焼室)2内に自然落下して燃焼し始め、その燃焼熱を受けた該燃焼室(装填塔)3内の含水状可燃物T全体が、次第に下方に移動しながら最上部の生の含水状可燃物Tが半生となり、最下部付近が炭化し、その上下中間付近が燻製となる。
【0042】
この段階で主焼却炉(生もの焼却炉)11オガクズストーブ2(加熱燃焼室)2内で発生する過熱ガスGの一部は、図2中に示すように、煙突(過熱ガス誘導路)4を通じて副焼却炉(生もの焼却炉)12,13,……,1nへと流入し、夫々に装填されている含水状可燃物Tを強制的に乾燥するものとなり、さらに、その一部の過熱ガスGが排気口40を通じて外気中に放出されることなるが、該過熱ガスGは、完全燃焼によって発生した過熱蒸気であって、極めて清浄な気体として放出される。
【0043】
そのまま燃焼が進み、当該主焼却炉(生もの焼却炉)11内の殆どの含水状可燃物Tが、オガクズストーブ2(加熱燃焼室)2内に落下して完全燃焼し、灰になろうとするタイミングで、同燃焼室3(装填塔)3内の含水状可燃物Tの落下、移動によって着火装置5が、以下のように作動することとなる。
【0044】
図3の着火装置の側面図に示すように、着火装置5のレバー50は、含水状可燃物Tを投入した当初は、下向き姿勢に維持され、含水状可燃物Tの燃焼と共に、燃焼室(装填塔)3内の含水状可燃物Tの嵩が少なくなりながら次第に下降して行き、抵抗を失ったレバー50が、当該錘51の牽引によって水平姿勢となり、スイッチ52が自動的に作動して副焼却炉(生もの焼却炉)12の点火機構(図示せず)が自動的に作動し、副焼却炉(生もの焼却炉)12内の含水状可燃物Tに自動着火するものとなり、該主焼却炉(生もの焼却炉)11からの過熱ガスGの流入によって充分乾燥が進んだ当該副焼却炉(生もの焼却炉)12内の含水状可燃物Tは、石油などの燃焼促進用の燃料などを供給せずとも、速やかに着火可能である。
【0045】
副焼却炉(生もの焼却炉)12内含水状可燃物Tの燃焼が進むと、前記主焼却炉(生もの焼却炉)11および副焼却炉(生もの焼却炉)12間の着火装置5を介した連繋的自動着火と同様に、同副焼却炉(生もの焼却炉)12,13、そして、それに続く副焼却炉(生もの焼却炉)13,14が、次ぎ次ぎに最後の副焼却炉(生もの焼却炉)1nに至るまで連続的に自動燃焼するよう制御されることとなり、このような自動制御は、図2、図4および図5の何れに示す連続焼却炉1,1,1であっても同様の連続燃焼制御が可能となる。
【0046】
(実施例2の作用および効果)
図6に示した連続焼却炉1は、それら生もの焼却炉11,12の各投入口30,30夫々より各生もの焼却室11,12(加熱燃焼室2,2、装填塔3,3)内に含水状可燃物Tを装填し、開閉蓋31,31を閉じると共に、熱交換装置6熱交換用水槽60に熱交換用流体Wである水(または不凍液)を満たしてから、最初の生もの焼却炉11の加熱燃焼室2内の含水状可燃物Tに着火して燃焼を開始するものであって、同最初の生もの焼却炉11の吸気回路32を通じて同加熱燃焼室2の底部に外気が供給され、同加熱燃焼室2内の含水状可燃物Tが効率的に燃焼し、装填塔3内の含水状可燃物Tを下方より上方に向けて強制的に燻蒸、乾燥して次第に同含水状可燃物Tの最下部付近が炭化し、その上下中間付近が燻製、その上部が半生、最上部が生のままの状態となり、さらに、当該加熱燃焼室2内の燃焼が進み、同装填塔3内の最下部付近で炭化した可燃物Tが同加熱燃焼室2内に自然落下して燃焼し始め、その燃焼熱を受けた同装填塔3内の含水状可燃物T全体が次第に下方に移動しながら、最上部の生の含水状可燃物Tが半生となり、最下部付近が炭化し、その上下中間付近が燻製となる。
【0047】
そして、最初の生もの焼却炉11の加熱燃焼室2内は、1000℃〜1200℃の高温で燃焼し続け、発生する過熱ガスGの一部は、煙突(過熱ガス誘導路)4を通じて次ぎの生もの焼却炉12に流入し、同次ぎの生もの焼却炉12内の含水状可燃物Tを強制的に乾燥しながら、排気口40を通じて外気中に放出されることなるが、該過熱ガスGは、完全燃焼によって発生した過熱蒸気であって極めて清浄なものである。
【0048】
この工程は、最初の生もの焼却炉11内の含水状可燃物Tが燃焼し続けて殆ど灰になるまでには、次ぎの生もの焼却炉12内の含水状可燃物Tを充分に乾燥してしまうこととなり、さらに最初の生もの焼却炉11内から供給されてくる過熱ガスGにより、次ぎの生もの焼却炉12の吸気回路32を通じて外気を取り込む加熱燃焼室2内の含水状可燃物Tに自然着火し、次ぎの生もの焼却炉12内の含水状可燃物Tの全てが完全燃焼するまで、最初の生もの焼却炉11と同様に燃焼するものとなり、当該熱交換装置6熱交換用水槽60内の熱交換用流体Wが長時間に渡って安定的に過熱されるよう、自動制御の点火装置などを設けずとも、自動且つ安定に連続的燃焼制御がなされることとなる。
【0049】
また、図7中に示すように、次ぎの生もの焼却炉12に吸気回路32を設けない連続焼却炉1の場合には、最初の生もの焼却炉11内の含水状可燃物T全てが灰になるまでの間、次ぎの生もの焼却炉12内の水状可燃物Tは、最初の生もの焼却炉11から供給される過熱ガスGによって燻蒸されるが、着火前の状態に保たれるものとなり、当該最初の生もの焼却炉11内の含水状可燃物Tが完全燃焼して灰になった後、同最初の生もの焼却炉11の吸気回路32を通じて次ぎの生もの焼却炉12内まで外気(酸素)が取り込まれる段階となった瞬間に、次ぎの生もの焼却炉12内で既に1000℃〜1200℃の高温となっている水状可燃物Tに自然着火し、同次ぎの生もの焼却炉12内水状可燃物Tの燃焼が開始されるものとなり、3基以上の生もの焼却炉11,12,……1nを接続した連続焼却炉1の場合にも、最初の生もの焼却炉11にのみ吸気回路32を設け、2基目以下の各生もの焼却炉12,13,……1nに吸気回路32を設けない構造とすることで、同様の自動的連続燃焼の安定的制御を実現化することが可能である。
【0050】
図6に示した連続焼却炉1は、1個の大型の熱交換用水槽60中に複数の生もの焼却炉11,12を設置して充分な発熱量を確保可能としたものであり、大きな設計変更を行うことなく、必要熱量に応じて生もの焼却炉11,12,……の設置数を変更し、複数の発熱量毎に仕様の異なる連続焼却炉1を、簡単且つ経済的に商品展開することが可能となる。
【0051】
(実施例3の作用および効果)
同図8中に示す最初の生もの焼却炉11、およびそれと同一の次ぎ以下の生もの焼却炉12,13,14,……の複数基を順次接続してなる連続焼却炉(図示せず)は、各生もの焼却炉11,12,13,14,……の水温計63,63,……を確認することにより、各生もの焼却炉11,12,13,14,……に供給される熱交換用流体Wの温度を正確に知ることができ、各生もの焼却炉11,12,13,14,……の排気量調節機構41,41,……、および送水ポンプ64,64,……を操作して各生もの焼却炉11,12,13,14,……各々の燃焼状態と熱交換用流体W温度とを適切に管理することが容易であり、大型化した連続焼却炉(図示せず)であっても、1人で簡単に安全且つ安定的に制御できるものとなる。
【0052】
(実施例4の作用および効果)
図10中に示すように、装填塔3が、その縦断面形を上端投入口30から下方加熱燃焼室2に向けて漸次拡開する台形状としてなるものは、図11中に斜線で示すように、装填塔3内に一杯に充填された含水状可燃物Tが燃焼して減少すると、図12中に斜線で示すように、装填塔3内上方の含水状可燃物Tが、円滑に落下するものとなり、さらに燃焼が進むと、図13中に示すように装填塔3内下方に含水状可燃物Tが、自然且つ円滑に落下して集合し、滞ることなく全ての含水状可燃物Tが灰になるまで連続的に安定して継続的に完全燃焼するものとなり、燃焼の管理が容易で、維持、管理の作業時間を大幅に削減可能なものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
上述のように本発明の連続焼却炉は、炉の構造上からして廉価に製造可能な上に、耐久性や取扱い性の面においても遥かに秀れていること上述してきたとおりのものであり、したがって、この発明の連続焼却炉は、先ず何よりも含水状可燃物としてのバークや木材チップ、大鋸屑の処理に困っている製材所をはじめ、食べ残した生ゴミや野菜屑などを抱える家庭や商店、そして農家など向けの焼却炉としての用途が有効になると共に、それら焼却炉から発生する大量の熱は、ハウス栽培、消雪、オンドル式を含む住宅暖房や給湯など様々な施設やその用途用の加温や過熱などに利用でき、その利用可能性は高く評価されて然るべきである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】連続焼却炉を縦断面化して示す正面図である。
【図2】直列配置の生もの焼却炉を示す平面図である。
【図3】生もの焼却炉に設けた着火装置を断面化して示す正面図である。
【図4】生もの焼却炉を星形配置とした連続焼却炉を示す平面図である。
【図5】生もの焼却炉を並列状に配した連続焼却炉を示す平面図である。
【図6】熱交換装置を有する連続焼却炉を断面化して示す側面図である。
【図7】吸気回路に変更を加えた連続焼却炉を断面化して示す側面図である。
【図8】密閉型熱交換用水槽を設けた生もの焼却炉を断面化して示す側面図である。
【図9】密閉型熱交換用水槽を設けた生もの焼却炉を断面化して示す正面図である。
【図10】装填塔の形状を変更した生もの焼却炉を示す正面図である。
【図11】含水状可燃物を充填した生もの焼却炉を示す正面図である。
【図12】含水状可燃物が燃焼して僅かに降下した生もの焼却炉を示す正面図である。
【図13】含水状可燃物の殆どが燃焼して降下した生もの焼却炉を示す正面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱燃焼室の上部に、その内部空間を連通状とした所定容量の空間を確保してなる含水状可燃物用の装填塔を有し、該装填塔には、その輪郭に沿うようにして過熱ガス誘導路を組み込んでなるものとした生もの焼却炉の複数基を適宜配置に組み込み、発生する過熱ガスが生もの焼却炉装填塔周囲を経由してから排気されるものとしたことを特徴とする連続焼却炉。
【請求項2】
加熱燃焼室の上部に、その内部空間を連通状とした所定容量の空間を確保してなる含水状可燃物用の装填塔を有し、該装填塔には、その輪郭に沿うようにして過熱ガス誘導路を組み込んでなるものとした生もの焼却炉の複数基を適宜配置に組み込んだ上、最初の生もの焼却炉に装填した含水状可燃物の燃焼を終える時期に、着火機構によって自動的に次ぎの生もの焼却炉に着火するようにし、さらに生もの焼却炉を組み込んでなるものでは以下も順次同様に着火して所定容量の含水状可燃物毎に焼却するようにし、発生する過熱ガスが夫々の生もの焼却炉装填塔周囲を経由してから排気されるものとしたことを特徴とする連続焼却炉。
【請求項3】
主燃焼炉(生もの焼却炉)11は、オガクズストーブ(加熱燃焼室)2上に筒状の燃焼室(装填塔)3を設け、最上部に蓋31を設けてなり、オガクズストーブ(加熱燃焼室)2から煙突(可燃ガス誘導路)4を設けると共に、燃焼室(装填塔)3側面に錘51を可動式に設けて着火スイッチ52に連動させること、及び前記煙突(可燃ガス誘導路)4を次ぎの副燃焼炉(生もの焼却炉)12に接続することを特徴とした連続焼却炉。
【請求項4】
加熱燃焼室の上部に、その内部空間を連通状とした所定容量の空間を確保してなる含水状可燃物用の装填塔を有し、該装填塔には、その輪郭に沿うようにして過熱ガス誘導路を組み込んでなるものとした生もの焼却炉の複数基を適宜配置に組み込んだ上、最初の生もの焼却炉過熱ガス誘導路の導出端を次ぎの生もの焼却炉装填塔に接続、さらに生もの焼却炉を組み込んでなるものでは以下も順次同様に接続するようにし、生もの焼却炉相互が上位の過熱ガス誘導路導出端によって直接に接続され、発生する過熱ガスが順送りに下位の生もの焼却炉を経由してから排気されるものとしたことを特徴とする連続焼却炉。
【請求項5】
生もの焼却炉が、それら各外周壁周りに熱交換装置を組み込んでなるものに形成され、各加熱燃焼室および/または装填塔からの燃焼熱を流体に伝達、熱交換可能とするボイラー用の燃焼炉を兼用するものとした、請求項1ないし4何れか一項記載の連続焼却炉。
【請求項6】
加熱燃焼室の上部に、その内部空間を連通状とした所定容量の空間を確保し、上端に開閉蓋を有する可燃物投入用の投入口を開口してなる含水状可燃物用の装填塔を有した伝熱性の生もの焼却室を設け、該装填塔には、その輪郭に沿うようにして過熱ガス誘導路を組み込んでなるものとした生もの焼却炉の複数基を所定容量の熱交換用水槽中に、各加熱燃焼室および各装填塔の下方が没するよう適宜配置に組み込んだ上、各装填塔の投入口を当該熱交換用水槽よりも上方に突出し、少なくとも最初の生もの焼却炉の加熱燃焼室に外気を誘導可能な吸気回路を配すると共に、着火機構を有するものとし、最初の生もの焼却炉に装填した含水状可燃物に該着火機構が着火し、同含水状可燃物の燃焼過程で発生する過熱ガスが、それ以降の生もの焼却炉に装填された含水状可燃物の乾燥熱に使われながら、最初の生もの焼却炉内の含水状可燃物の燃焼が進み、それが終了する段階で自然に、次ぎの生もの焼却炉内の含水状可燃物の下方に着火し、以降同様の燃焼が順次、自然発生的に継続可能なものとするよう、各過熱ガス誘導路を次ぎの生もの焼却炉に順次接続するよう組み合わせてなるものとしたことを特徴とする連続焼却炉。
【請求項7】
外部からの水供給路および水送出路を確保した密閉型熱交換用水槽中に、伝熱性の加熱燃焼室を没する状態に固定し、同加熱燃焼室の上部に、上端に開閉蓋を有する可燃物用投入口を開口してなる含水状可燃物用の複数本の伝熱性装填塔の各下端を夫々連通状に接続し、当該加熱燃焼室の一方適所には、熱交換用水槽外に通じる灰出し口、ならびにその開閉扉を設け、同他方適所には、排気量調節機構を有する過熱ガス誘導路を熱交換用水槽外に導出してなる生もの焼却炉を有し、これら生もの焼却炉の複数基を順次配すると共に、最初の生もの焼却炉の加熱燃焼室から導引した過熱ガス誘導路を、次ぎの生もの焼却炉の各装填塔上部に接続し、以降同様に次ぎの生もの焼却炉の加熱燃焼室から導引した過熱ガス誘導路を、その次ぎの生もの焼却炉の各装填塔へと順次接続し、最後の生もの焼却炉加熱燃焼室からの過熱ガス誘導路を当該熱交換用水槽外に導出してなるものとしたことを特徴とする連続焼却炉。
【請求項8】
各焼却炉の装填塔夫々が、その縦断面形を上端投入口から下方加熱燃焼室に向けて漸次拡開する台形状のものとした、請求項1ないし7何れか一項記載の連続焼却炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−210258(P2009−210258A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27928(P2009−27928)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(508072165)
【Fターム(参考)】