説明

連設型トイレブースの装飾施工方法

【課題】各トイレブースごとに従来にない方法で装飾加工することで、外観上装飾的個性を持たせることができる共に高級感を醸出することができ、新設の場合は固より、既設のトイレブースに対しても適用し得る、連設型トイレブースの装飾施工方法を提供することを課題とする。
【解決手段】1つの建物内において装飾的要素を備えた連設型トイレブースを施工するための方法であって、該方法は、扉1、前面板2、仕切り板3及び枠材4の配色を選択する工程と、扉1、前面板2、仕切り板3及び枠材4を前記配色選択工程において選択した配色に仕上げる工程と、配色した扉1、前面板2、仕切り板3及び枠材4を組み立てる工程とから成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は連設型トイレブースの装飾施工方法、より詳細には、主にオフィスビル、大型商業施設、公共施設等に設置される連設型のトイレブースの施工方法であって、その構成部材の配色により、全体的に個性的な装飾的要素を持たせることができる連設型トイレブースの装飾施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフィスビル、大型商業施設、公共施設、その他の多人数が出入りする建物におけるトイレには、連設型トイレブースが設置される。この連設型トイレブースの各ブースは一般に、壁面に固定される仕切り板と、仕切り板の前端面間に渡される前面板及び扉とで構成される。比較的廉価なトイレブースにおける各部の構成板としては、一般に、アイボリー色のメラミン樹脂化粧板の周囲にアルミ枠を配したものが用いられているが、この形態の場合は、何ら高級感や個性的要素が醸し出されることはない。
【0003】
そこで、トイレブースに高級感を持たせるために、各構成板を木目調化粧板や石目調化粧板にしたり、種々の色に彩色化する場合が増えてきており、また、各構成板周囲のアルミ枠を露出させない構成としたり、アルミ枠を構成板の色調にマッチした色に彩色したりする工夫がなされている。
【0004】
このようにして高級感を持たせたトイレブースが普及してきているが、その場合、連
設される各トイレブースはデザイン的に同一のものとされ、また、1つの建物内におい
て、各階におけるトイレブースは画一化されたものとされるのが一般である。換言すれ
ば、従来の連設型トイレブースの施工方法においては、各トイレブースごとに外観上装
飾的個性を持たせるようなことは行われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−207420号公報
【特許文献2】特開平11−131681号公報
【特許文献3】実用新案登録第2523250号公報
【特許文献4】実開平6−76589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来の連設型トイレブースにおいては、各トイレブースがデザイン
的に同一のものとされ、また、一つの建物の各階におけるトイレブースは画一化された
ものとされていて、各トイレブースごとに外観上装飾的個性を持たせるようなことは行
われていなかった。
【0007】
そこで本発明は、各トイレブースごとに従来にない方法で装飾加工することで、外観上装飾的個性を持たせることができると共に高級感を醸し出すことができ、新設の場合はもちろん、既設のトイレブースの修理・交換等に際しても適用可能な連設型トイレブースの装飾施工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、1つの建物内において装飾的要素を備えた連設型トイレブースを施工するための方法であって、扉、前面板、仕切り板及び枠材の配色を選択する工程と、前記扉、前面板、仕切り板及び枠材を前記配色選択工程で選択した配色に仕上げる工程と、前記配色した扉、前面板、仕切り板及び枠材を組み立てる工程とから成ることを特徴とする、連設型トイレブースの装飾施工方法である。
【0009】
好ましくは、前記扉、前面板及び仕切り板の配色は、それらの芯材及び下地材をポリエチレン板で被覆した上にカラーフィルムを貼着することにより行い、また、前記枠材の配色は、カラーフィルム貼着、粉体塗装又はアルマイト塗装により行う。
【0010】
また、前記扉、前面板、仕切り板及び枠材のうちの少なくとも1つの配色を、各ブースごとに異ならしめるようにすることがあり、その場合、前記扉、前面板、仕切り板及び枠材のうちの少なくとも1つの配色を、各ブースごとにグラデーション表現にて異ならしめることがある。
【0011】
更に、前記扉、前面板、仕切り板及び枠材のうちの少なくとも1つの配色を、男性用トイレブースと女性用トイレブースとで異ならしめるようにすることがあり、また、前記扉、前面板、仕切り板及び枠材のうちの少なくとも1つの配色を、各階ごとに異ならしめるようにすることがある。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述したとおりであるので、事前に選択した配色にて各トイレブースごとに装飾的個性を持たせることができ、以てトイレブース全体に外観上、審美的、趣味的個性を持たせることができると共に高級感を醸し出すことができ、新設の場合はもちろん、既設のトイレブースの修理・交換等に際しても適用可能で、当該トイレブースが設置された建物の価値及びイメージを高め得る効果がある。また、1つの建物内において、男女別並びに階別に配色を変える等によりトイレの識別を容易にする、という実用的効果をも併せ持つ。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る連設型トイレブースの装飾加工方法を説明するための概略平面図である。
【図2】本発明に係る連設型トイレブースの装飾加工方法における枠材部分の構成例を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る連設型トイレブースの装飾加工方法は、1つの建物内において装飾的要素を備えた連設型トイレブースを施工するための方法であって、扉、前面板、仕切り板及び枠材の配色を選択する工程と、前記扉、前面板、仕切り板及び枠材を、前記配色選択工程で選択した配色に仕上げる工程と、前記配色した扉、前面板、仕切り板及び枠材を組み立てる工程とから成ることを特徴とするものであり、図1及び図2は、その方法を説明するための概略平面図である。
【0015】
以下に、本発明を実施するための形態につき、図1及び図2を参照しつつ、その工程順に詳細に説明する。
【0016】
本発明に係る方法の第1工程は、扉1、前面板2、仕切り板3及び枠材4の配色を選択する工程である。一般的な工法においては、これら扉1、前面板2、仕切り板3及び枠材4は、予め製造されたものの中から選定されるために、それらの配色は限られたものとなる。即ち、扉1、前面板2及び仕切り板3については、比較的多くのカラーバリエーションが用意されていてある程度の選択幅があるが、枠材4については選択肢が限られているため、扉1、前面板2及び仕切り板3の配色と枠材4の配色の組み合わせの選択肢は、非常に限られたものとなる。
【0017】
そのような事情もあってか、従来の工法においては、トイレブースごとに配色を異ならしめて装飾的効果を醸出しようとの発想はなく、多くの場合、1つの建物内におけるトイレブースの配色は均一化されていて、個性が見られない。かかる従来工法における装飾面の限界に鑑み、本発明に係る方法においては、各トイレブースの配色に自由性を持たせるために、扉1、前面板2及び仕切り板3だけでなく、枠材4についても多くのカラーバリエーションが用意される。
【0018】
そして、配色の選択は均一配色の選択に限らず、例えば、扉1、前面板2、仕切り板3及び枠材4のうちの少なくとも1つの配色を、グラデーション表現によって各ブースごとに異ならしめるようにするとか、それらのうちの少なくとも1つの配色を、男性用トイレブースと女性用トイレブースとで異ならしめるようにするとか、それらのうちの少なくとも1つの配色を、各階ごとに異ならしめるとかいった見地からなされる。また、配色の選択は、当該連設型トイレブースが設置される壁面5の色合いとの関係を加味してなされることが好ましい。
【0019】
本発明に係る方法の第2工程は、扉1、前面板2、仕切り板3及び枠材4を、選択した配色に仕上げる工程である。主にMDF(中密度繊維板)、複合木材等を芯材並びに下地材とする扉1、前面板2及び仕切り板3は、その芯材あるいは下地材の表面を、耐衝撃性があって曲げ強度に優れているポリエチレン板で被覆することによって高級感を醸し出し、その上に仕上げとしてカラーフィルムを貼着することにより、予め選択した配色に仕上げることが好ましい。かかる方法を採ることにより、カラーバリエーションが豊富な多品種生産が可能となる。また、主にアルミ材である枠材4の配色は、カラーフィルム貼着、粉体塗装、あるいは、アルマイト塗装等の、生産性が良くて小ロット、多品種生産に適する方法により行う。
【0020】
本発明に係る方法においては、このようにして扉1、前面板2、仕切り板3及び枠材4の配色処理がなされるので、特に、カラーフィルム貼着、粉体塗装又はアルマイト塗装による場合には色柄が豊富なため、配色の選択肢は非常に広いものとなり、各建物にマッチした配色の選択の自由性が高まり、個性ある、且つ、審美的な配色が可能となる。本発明に係る方法は、この点に最大の特長がある。
【0021】
本発明に係る方法の第3工程は、第2工程で配色処理した扉1、前面板2、仕切り板3及び枠材4を組み立てる工程である。それらの組み立ては、従来のものと特に変わりなく行うことができる。なお、枠材4は、余り目立たないように扉1及び前面板2の端面からはみ出さないように設置することがあり(図2(A)参照)、あるいは、扉1及び前面板2の配色との組み合わせを表出するために、扉1及び前面板2の端縁に被せるようにして設置することがある(図2(B)参照)。
【0022】
このように本発明に係る方法においては、トイレブース構成部材を、建物の施主等が、予めその好みや設置場所の環境等に応じ事前に選択した配色に仕上げるが、その配色並びにその表現方法にはかなり自由性があるため、各トイレブースごとに装飾的個性を持たせることができる。それにより、トイレブース全体に外観上、審美的、趣味的個性を持たせることができると共に高級感を醸し出すことが可能となるのである。
【0023】
本発明に係る方法は、新設の場合はもちろん、既設のトイレブースの修理・交換等に際して実施することもでき、本発明に係る方法によって施工されたトイレブースは、外観上、審美的、趣味的個性を有すると共に高級感を醸し出すため、当該トイレブースのみならず、それが設置された建物のイメージ及び評価を高め、その価値を高め得るものである。また、1つの建物内において、男女別並びに階別に配色を変えることにより、トイレの識別を容易にするという実用的効果も併せ持つ。
【0024】
この発明をある程度詳細にその最も好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに広範に異なる実施形態を構成することができることは明白なので、この発明は添付請求の範囲において限定した以外はその特定の実施形態に制約されるものではない。
【符号の説明】
【0025】
1 扉
2 前面板
3 仕切り板
4 枠材
5 壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの建物内において装飾的要素を備えた連設型トイレブースを施工するための方法であって、
扉、前面板、仕切り板及び枠材の配色を選択する工程と、
前記扉、前面板、仕切り板及び枠材を、前記配色選択工程において選択した配色に仕上げる工程と、
前記配色した扉、前面板、仕切り板及び枠材を組み立てる工程と、
から成ることを特徴とする装飾的要素を備えた連設型トイレブースの施工方法。
【請求項2】
前記扉、前面板及び仕切り板の配色は、それらの芯材及び下地材をポリエチレン板で被覆した上にカラーフィルムを貼着することにより行う、請求項1に記載の装飾的要素を備えた連設型トイレブースの施工方法。
【請求項3】
前記枠材の配色は、カラーフィルム貼着、粉体塗装又はアルマイト塗装により行う、請求項1又は2に記載の装飾的要素を備えた連設型トイレブースの施工方法。
【請求項4】
前記扉、前面板、仕切り板及び枠材のうちの少なくとも1つの配色を、各ブースごとに異ならしめる、請求項1乃至3のいずれかに記載の装飾的要素を備えた連設型トイレブースの施工方法。
【請求項5】
前記扉、前面板、仕切り板及び枠材のうちの少なくとも1つの配色を、各ブースごとにグラデーション表現にて異ならしめる、請求項4に記載の装飾的要素を備えた連設型トイレブースの施工方法。
【請求項6】
前記扉、前面板、仕切り板及び枠材のうちの少なくとも1つの配色を、男性用トイレブースと女性用トイレブースとで異ならしめる、請求項1乃至5のいずれかに記載の装飾的要素を備えた連設型トイレブースの施工方法。
【請求項7】
前記扉、前面板、仕切り板及び枠材のうちの少なくとも1つの配色を、各階ごとに異ならしめる、請求項1乃至6のいずれかに記載の装飾的要素を備えた連設型トイレブースの施工方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−38368(P2011−38368A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189073(P2009−189073)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(592144766)株式会社セラ−ズ (3)
【Fターム(参考)】