説明

進捗状況管理システム及び進捗状況管理プログラム

【課題】
学校において教師が担当する授業の進捗状況を管理する分野において、各クラスの授業を相対的に評価し、提供される授業の進捗度を均一に保つことを支援するシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】
管理サーバは、学校において教師が行った授業に関する情報を取得し、その取得した授業情報を用いて単位別に授業の進捗度を算出する。次に、算出した各単位の進捗度を用いて標準的な授業の進捗度を示す標準値を求める。そして、求めた標準値に対する各単位の進捗度を比較することにより、各単位の授業の相対的な進捗状況を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学校において教師が担当する授業の管理に関し、特に授業の進捗状況を管理する技術に関する。
【0002】
一般的に、学校において教師が担当する授業は、各科目において年間で行わなければならない授業範囲が予め決められている。さらに、その授業範囲を生徒に教えるために必要な時間数(配当時間数)も予め定められている。教師は、その配当時間数内で授業範囲の全てを生徒に教えなければならない。さらに、学校では通常、一人の教師が複数の科目またはクラスの授業を受け持つこととなっている。例えば、小学校であれば、一つのクラスに対して一人の担任教師が複数の異なる科目の授業を担当し、中学校や高校であれば、一つの科目に対して一人の教師が複数の異なるクラスの授業を同時に担当するという形式になっている。このため、教師に対して、それぞれの科目またはクラス毎に授業の進捗状況を計画的に管理することが求められている。
【0003】
しかし、学校の授業は当初の計画的通りに進まないことが多いという問題がある。例えば、教師毎の授業を行う技術の差や、クラス毎の学習レベルの差等によって授業の進捗状況は大きく影響を受ける。また、突発的な事象(インフルエンザの流行や台風等)によって学校が休校になったり、学校の年間行事(体育祭や文化祭等)のため、授業を行う予定にしていた時間がつぶれてしまったりすることもある。このため、教師にとって、受け持つ授業の進捗状況を管理することは、非常に困難なこととなっている。
【0004】
上記の問題を解決する手段として、教師が自身の担当するクラスの時間割データ、学校独自の休日データ、教科別の授業範囲と配当時間数データ等をコンピュータに入力することにより、年間の授業計画を自動的に作成するという技術がある。この技術において、教師が実際に行った授業の進捗状況にあわせて、事前に入力したデータを変更することにより、その後の授業計画を再作成するという手段が用いられている。これにより、残りの配当時間数で授業範囲の全てを終了させるために適切な計画がその都度再作成されるため、実際に授業を行った結果や突発的な事象によって授業計画に遅れが生じたとしても対応することが可能となる。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−315233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術を用いると、授業の進捗状況が当初の計画から遅れたとしても、自動的に現在の状況に応じた授業計画を再作成することができるため、教師は、再作成される授業計画に従って授業を行うことによって配当時間数内で授業範囲の全てを終了させることができる。しかし、自身の受け持つクラスにおける授業は問題なく進めることができたとしても、その教師が受け持っていないクラスとの進捗状況が均一に保たれているかどうかは判定することはできない。このため、各クラスの進捗状況が合わず、定期的に学年全体で同一範囲のテストを行うということが困難になってしまう。学校では、定期的にテスト(中間テストや期末テスト等)を実施するため、各クラスの進捗状況を均一に保つということも重要になってくる。特許文献1の技術では、特定の一つのクラスにおいて授業計画に対する進捗状況は管理できたとしても、他のクラスの授業情報に基づいた相対的な進捗状況を管理することができない。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消することを課題とする。具体的には、学校において教師が担当する授業の進捗状況を管理する分野に関し、特定のクラスにおける授業について、その他のクラスにおける授業と比較した相対的な評価を行い、授業の進捗状況を管理するシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の進捗状況管理システムは、学校において教師が行った授業の科目及びクラスを示す単位情報と、その単位において行った授業の実施情報とを含む授業情報を記憶する授業情報記憶部と、授業情報を用いて単位毎に進捗度を算出する進捗度算出部と、算出した進捗度を単位別に記憶する進捗度記憶部と、記憶された単位別の進捗度を用いて標準値を決定する標準値決定部と、決定した標準値を用いて単位の進捗状況を判定する判定部と、を備えている。
【0009】
本発明のように構成することにより、学校において実施されている授業情報を用いて標準的な進捗度を算出することができる。さらに、特定の単位に関する進捗度と標準的な進捗度とを比較することにより、特定の単位に関する授業が進んでいるか遅れているかという進捗状況を把握することができる。これにより、特定の単位における授業に関する相対的な進捗状況を把握することが可能となる。
【0010】
本発明における単位情報とは、教師が担当する授業を一義的に識別することのできる情報のことをいう。具体的には、授業が行われるクラスに関する情報と、そのクラスによって行われる授業の科目に関する情報、及び授業を担当する教師を識別する情報等が含まれている。
【0011】
本発明における授業情報とは、教師がどの範囲の授業を行ったかを示す情報のことをいう。具体的には、教師が授業を行った日時に関する情報と、教師が行った授業の科目に関する情報と、その科目において実際に授業を行った範囲を示す情報等が含まれている。
【0012】
本発明における進捗度とは、特定の単位における授業の進み具合を示す値のことをいう。
【0013】
本発明における標準値とは、学校において実施されている各単位の授業の進捗度を用いて算出される、標準的な授業の進み具合を示す値のことをいう。
【0014】
本発明の進捗状況管理システムにおける標準値決定部は更に、標準値を決定する基準となる教師の指定を受け付ける基準教師受付手段と、特定した基準となる教師が担当する単位の進捗度を用いて標準値を決定する標準値決定手段とを有する、という構成としてもよい。
【0015】
本発明のように構成することにより、比較対象となる教師及び単位を任意に変更することが可能となる。これにより、様々な側面からの進捗状況を把握することができる。
【0016】
本発明における基準教師とは、特定の単位における授業の進捗状況を把握するための比較対象となる単位の授業を行っている教師のことをいう。例えば、判定対象の単位情報に含まれる科目情報と同じ科目情報を有する単位の授業を行っている教師や、判定対象の単位情報に含まれるクラス情報と同じ学年のクラス情報を有する単位の授業を行っている教師などを基準教師とすると好適である。
【0017】
本発明の進捗状況管理システムにおける授業情報記憶部は更に、授業情報として授業が行われた日時情報を含んで記憶し、進捗度算出部は、授業情報記憶部から前年度の授業情報を抽出し、現在日時と同時期における各単位別の前年度の進捗度を算出し、標準値決定部は、進捗度算出部において算出された前年度の進捗度を用いて標準値を決定する、という構成としてもよい。
【0018】
本発明のように構成することにより、過去に行われた授業情報を用いて標準値を算出することが可能となる。これにより、過去の授業という前例と比較した進捗状況を把握することができる。
【0019】
本発明の進捗状況管理システムにおける標準値決定部は更に、標準値を決定した日時を取得する決定日時取得手段と、取得した決定日時を用いて、標準値を補正する補正標準値生成手段と、を有するという構成としてもよい。
【0020】
本発明のように構成することにより、残りの配当時間数に応じた標準値を算出することが可能となる。これにより、授業の遅れを取り戻すだけの時間的余裕が残されているかどうかを考慮した進捗状況の管理を行うことができる。
【0021】
また、本発明のプログラムを端末に読み込ませて実行することで、上述の本発明を実現させることも可能である。つまり、教師が行った授業の科目及びクラスを示す単位情報と、その単位において行った授業の実施情報とを含む授業情報を記憶する授業情報記憶部と、算出した進捗度を単位別に記憶する進捗度記憶部と、を備える進捗状況管理システムに用いるプログラムであって、授業情報を用いて単位毎に進捗度を算出する進捗度算出機能と、記憶された各単位別の進捗度を用いて標準値を決定する標準値決定機能と、決定した標準値を用いて単位の進捗状況を判定する判定機能と、をコンピュータに実現させる進捗状況管理プログラムとして構成してもよい。
【0022】
この進捗状況管理プログラムも、上述の進捗状況管理システムと同様の作用効果を伴うものであり、上述した種々の特徴構成を備えることもできる。
【発明の効果】
【0023】
上述のように構成された発明によれば、特定のクラスにおける授業の進捗度について、その他のクラスにおける授業の進捗度と比較した相対的な評価を行うことができる。これにより、どのクラスに属する生徒に対しても、進捗度が均一に保たれた授業を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のシステム構成の一例を示す概念図。
【図2】本発明の管理サーバのハードウェア構成の一例を示す概念図。
【図3】本発明の実施例1におけるシステム構成の一例を示す機能ブロック図。
【図4】本発明の実施例1における処理プロセスの一例を示すフローチャート。
【図5】本発明の授業情報の一例を示す図。
【図6】本発明の授業情報記憶部12に記憶されている授業情報の一例を示す図。
【図7】本発明のカリキュラム情報記憶部13に記憶されている情報の一例を示す図。
【図8】本発明の進捗度記憶部15に記憶されている進捗度の一例を示す図。
【図9】本発明の端末Bの表示装置5で表示する画像の一例を示すイメージ図。
【図10】本発明の端末Bの表示装置5で表示する画像の一例を示すイメージ図。
【図11】本発明の管理端末Cの表示装置5で表示する画像の一例を示すイメージ図。
【図12】本発明の実施例2におけるシステム構成の一例を示す機能ブロック図。
【図13】本発明の実施例2における処理プロセスの一例を示すフローチャート。
【図14】本発明の授業情報記憶部12に記憶されている情報の一例を示す図。
【図15】本発明のカリキュラム情報記憶部13に記憶されている情報の一例を示す図。
【図16】本発明の過去進捗度記憶部15bに記憶された情報の一例を示す図。
【図17】本発明の実施例3におけるシステム構成の一例を示す機能ブロック図。
【図18】本発明の実施例3における処理プロセスの一例を示すフローチャート。
【図19】本発明の補正テーブルに記憶されている情報の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0025】
〔実施例1−構成〕
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1に本発明の進捗状況管理システムの全体構成の一例を概念的に示す。本発明は図1に示すように、進捗状況管理サーバA(以下、「管理サーバA」という)が、教師が使用する複数のクライアント端末B(以下、「端末B」という)及び管理者用クライアント端末C(以下、「管理端末C」という)と、通信ネットワークN(以下、「ネットワークN」という)を介して接続されるという形で構成されている。
【0026】
ネットワークNは、企業や学校等の限られた施設内において情報を物理的に送るケーブルと、LANスイッチやハブ等でなる中継機器を備えたCSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access With Collision Detection)方式のイーサネット(Ethernet)(登録商標)型のLANとして構成されたものであるが、このネットワークNとしてイーサネット型のLAN以外に、インターネットの技術を用いたイントラネットで構築されたものや、WAN(Wide Area Network)の技術によって構築されるものでもよい。
【0027】
図2に、管理サーバA、端末B又は管理端末Cのハードウェア構成の一例を概念的に示す。
【0028】
管理サーバAは、プログラムの演算処理を実行するCPU等の演算装置1と、情報を記憶するRAMやハードディスク等の記憶装置2と、演算装置1の処理結果や記憶装置2に記憶する情報をインターネットやLAN等のネットワークを介して送受信する通信装置3とを少なくとも有している。端末上で実現する各機能(各手段)は、その処理を実行する手段(プログラムやモジュール等)が演算装置1に読み込まれることでその処理が実行される。各機能は、記憶装置2に記憶した情報をその処理において使用する場合には、該当する情報を当該記憶装置2から読み出し、読み出した情報を適宜、演算装置1における処理に用いる。
【0029】
管理サーバAは、必要に応じてキーボード、マウス又はテンキー等の入力装置4と、ディスプレイ(画面)等の表示装置5を備えた構成としてもよい。また、管理サーバAは、複数の端末又はサーバにその機能が分散配置されていてもよい。
【0030】
端末B及び管理端末Cのハードウェア構成も管理サーバAとほぼ同様で、図2に示したとおり、演算装置1、記憶装置2、通信装置3、入力装置4及び表示装置5を有している。
【0031】
図3に、本発明の進捗状況管理システムを構成する管理サーバA、端末B及び管理端末Cの機能ブロック図を示す。本発明における各構成部及び各手段は、その機能が論理的に区別されているのみであって、物理上あるいは事実上同一の領域を為していてもよい。
【0032】
また、図3は、本発明において必要となる最小限度の機器、構成部及び手段等のみを記載しており、その他の機器、構成部及び手段等についてはその記載を省略する。
【0033】
管理サーバAは、ネットワークNを介して端末B及び管理端末Cと様々な情報を送受信するためのネットワークI/F10、教師が実施した授業に関する情報を示す授業情報を取得する授業情報取得部11、取得した授業情報を記憶する授業情報記憶部12、各単位別に予め定められている授業範囲及び配当時間数等のカリキュラム情報を記憶するカリキュラム情報記憶部13、記憶された授業情報とカリキュラム情報とを用いて各単位の進捗度を算出する進捗度算出部14、算出した進捗度を単位別に記憶する進捗度記憶部15、記憶された進捗度を利用して標準の進捗度を示す標準値を決定する標準値決定部16、決定した標準値を用いて単位毎の進捗状況を判定する判定部17及び判定した結果に応じた制御指示情報を端末B又は管理端末Cに送信する指示通知部18を備えている。
【0034】
端末Bは、ネットワークNを介して管理サーバA及び管理端末Cと様々な情報を送受信するためのネットワークI/F20、実施した授業に関して教師が入力した内容を基に授業情報を生成し管理サーバAに送信する授業情報生成部21、管理サーバAから出力された判定結果情報を受信する判定結果情報受信部22、入力装置4によって入力された情報に応じて端末Bにおける各種動作を実行し、また、端末指示受信部22において受信した制御指示情報に応じて端末Bにおける各種動作を実行する端末制御部23、端末Bに対して情報を入力する入力装置4及び端末制御部23によって指示された情報を表示する表示装置5を備えている。
【0035】
管理端末Cは、ネットワークNを介して管理サーバA及び端末Bと様々な情報を送受信するためのネットワークI/F30、管理サーバAから出力された制御指示情報を受信する管理端末指示受信部31、受信した制御指示情報に応じて管理端末Cにおける各種動作を実行する管理端末制御部32及び管理端末制御部32によって指示された情報を表示する表示装置5を備えている。
【0036】
以下、図3に記載した本発明を構成する機能ブロック図に基づいて、各構成部の動作について説明する。
【0037】
授業情報生成部21は、端末Bの入力装置4によって入力された情報(教師が実施した授業に関する情報)を端末制御部23から取得し、授業情報を生成する。さらに、生成した授業情報をネットワークI/F20を介して管理サーバAに送信する。
【0038】
上記の授業情報とは、教師が行った授業の内容等の詳細を示す情報のことをいい、端末識別情報、ユーザ(教師)識別情報、日時情報、単位情報(科目及びクラス情報を含む)、及び行った授業の範囲を示す授業内容情報等が含まれている
【0039】
授業情報取得部11は、ネットワークNに接続されている端末Bから出力された授業情報をネットワークI/F10を介して取得し、取得した授業情報を授業情報記憶部12に記憶する。
【0040】
授業情報記憶部12には、授業情報取得部11が取得した授業情報が記憶される。その際の記憶形式は、授業情報に含まれるユーザ識別情報と単位情報とを利用して、当該ユーザ(教師)が授業を担当する単位別に関連付けて記憶するという形式にすると好適である。また、授業情報に含まれる日時情報を利用して、授業情報を取得した順に時系列的に記憶するという形式にしてもよい。
【0041】
カリキュラム記憶部13には、所定の期間(例えば、1年間や1学期など)で教えなければならない授業範囲とその内容に関する情報が、カリキュラム情報として単位別に記憶される。カリキュラム情報は、例えば教科書の単元名や、教科書のページ数等、授業で教師が生徒に教える内容が明確に認識できる情報であれば、いかなるものであってもよい。また、授業の実施予定やスケジュールを含めるようにしてもかまわない。
【0042】
進捗度算出部14は、授業情報記憶部12に記憶されている授業情報を用いて、単位毎に授業に関する進捗度を算出する。その際に、カリキュラム情報記憶部13に記憶されているカリキュラム情報を用いて、単位毎に授業に関する進捗度を算出すると好適である。そして、進捗度算出部14は、授業情報記憶部12に記憶されている授業情報に含まれる全ての単位について進捗度を算出し、算出した進捗度を進捗度記憶部15に記憶する。
【0043】
上記の進捗度の算出方法について詳細に説明する。まず、進捗度算出部14は、授業情報記憶部12に記憶されている授業情報のうち、特定の単位に関する最新の授業情報を抽出する。次に、カリキュラム情報記憶部13から、当該抽出した授業情報の単位と同一の単位に関するカリキュラム情報も抽出する。そして、抽出したカリキュラム情報と授業情報とから、当該単位の進捗度を算出する。なお、カリキュラム情報を用いず、実施した授業の回数や授業の中で進めた教科書のページ数を積算することで、当該単位の進捗度を算出するようにしても良い。
【0044】
上記の進捗度とは、特定の単位において、現在どの範囲まで授業が終了しているのかを示す数値化された値のことをいう。例えば、1年間で教えなければならない授業範囲全体に対する割合である。また、特定の単位において実施した授業の回数や実施した授業の中で進めた教科書のページ数などのように授業で実施した量としてもかまわない。
【0045】
進捗度記憶部15には、進捗度算出部14が算出した進捗度が記憶される。その際の記憶形式は、進捗度を算出した単位毎に、当該単位と進捗度を関連付けて記憶するという形式にすると好適である。なお、進捗度記憶部15は、進捗度を算出した時点のみ生成される一時的な記憶領域という形式で構成してもかまわない。
【0046】
標準値決定部16は、進捗度記憶部15に記憶された各単位の進捗度を用いて、標準的な授業の進捗状況を示す値を標準値として算出する。そして、標準値決定部16は、決定した標準値を判定部17に送信する。
【0047】
上記の標準値を算出する方法には、様々なものがある。例えば、(1)全ての単位に関する進捗度の平均値を標準値とする方法、(2)予め定めた特定の単位に関する進捗度の平均値を標準値とする方法、(3)予め定めた特定の教師が担当する単位に関する進捗度の平均値を標準値とする方法、(4)最速の進捗度から所定値を差し引いた値を標準値とする方法、などが考えられる。
【0048】
〔標準値の算出方法(1)〕
全ての単位に関する進捗度の平均値を標準値とする方法について説明する。この方法は、まず、進捗度記憶部15に記憶されている全ての単位に関する進捗情報を抽出し、その全体における平均値を算出する。そして、その算出した平均値を標準値として決定するというものである。なお、全ての単位とは、学校に所属する全ての教師が授業を実施した単位全てのことをいう。
【0049】
〔標準値の算出方法(2)〕
予め定めた特定の単位に関する進捗度の平均値を標準値とする方法について説明する。この方法は、まず、進捗度記憶部15に記憶されている全ての単位のうち、予め特定の科目情報又はクラス情報を有する単位を基準単位として定める。この基準単位は、端末Bにおいて指定してもよいし、管理端末Cにおいて指定してもよい。管理サーバAはこの基準単位の進捗度を抽出する。例えば、予め基準単位の科目情報が英語として定められた場合、英語を科目情報として含む全ての単位に関する進捗度が抽出される。そして、その抽出した進捗度から平均値を算出して、その平均値を標準値として決定するというものである。
【0050】
〔標準値の決定方法(3)〕
予め定めた特定の教師が担当する単位に関する進捗度の平均値を標準値とする方法について説明する。この方法は、まず、進捗度記憶部15に記憶されている全ての単位のうち、予め特定の教師を基準教師として定め、その定められた基準教師が担当する単位の進捗度を抽出する。例えば、予め基準教師をA先生として、A先生を識別することのできるユーザ識別情報を指定した場合、当該ユーザ識別情報を担当する教師を識別する情報として含む全ての単位に関する進捗度が抽出される。そして、その抽出した進捗度から平均値を算出して、その平均値を標準値として決定するというものである。この場合において、基準教師は、端末Bにおいて指定するという形式でもよいし、管理端末Cにおいて指定するという形式でもよい。
【0051】
〔標準値の決定方法(4)〕
最速の進捗度から所定値を差し引いた値を標準値とする方法について説明する。この方法は、まず、進捗度記憶部15に記憶されている全ての単位の中から、一番早い進捗度を抽出する。そして、抽出した進捗度から、予め定めた所定値を差し引いた値を標準値として決定するというものである。
【0052】
判定部17は、進捗度記憶部15に記憶された各単位の進捗度と、標準値決定部16で決定した標準値とを比較し、標準値より進捗度が遅れている単位がないかどうか判定する。そして、その判定結果を指示通知部18に送信する。
【0053】
上記の判定結果について、単に進捗度が標準値より早いか遅いかの判定だけではなく、進捗度と標準値の差を示す値に応じて、段階をつけた判定結果を導き出してもよい。例えば、「若干進捗が遅れている」・「進捗が遅れている」・「極端に進捗が遅れている」といった三段階の判定結果を導き出すというような形式が考えられる。また、若干の進捗度の遅れは問題なしと判定し、標準値と比較した進捗度の遅れが所定範囲内の単位については、「進捗は遅れていない」という判定結果を導き出すというようにしてもよい。
【0054】
指示通知部18は、判定部17から受信した判定結果に基づいて、進捗が遅れていると判定された単位情報を基に、当該単位の授業を担当する教師のユーザ識別情報(又は端末識別情報)を取得し、当該教師が使用している端末Bに対して進捗の遅れを知らせるための通知をネットワークI/F10を介して送信する。この指示通知は、予め定められた所定期間が経過する毎に、全ての教師が使用している端末Bに対して一斉に送信するという形式としてもよいし、ある教師が自身の授業の進捗度について問い合わせを行った際に、その判定結果を当該教師の端末Bのみに通知するという形式でもよい。
【0055】
また、進捗が遅れている単位を担当している教師に対して、同一科目を担当している教師の中で進捗度が一番早い教師の情報や、同一学年を担当している教師の中で進捗度が一番早い教師の情報を、参考情報として通知したりしてもよい。逆に、進捗度の早い教師に対して、同一科目や同一学年を担当している教師の中で進捗度の遅い教師の情報を通知したりしてもよい。これにより、進捗の遅い教師にとって、進捗の早い教師からアドバイスを受ける機会や、授業を振り替えてもらう機会などを創出することができるという効果がある。
【0056】
さらに、指示通知部18は、管理端末Cに対して進捗の遅れている単位をリストアップした情報を送信してもよい。その際に、進捗の遅れている単位に関する情報だけではなく、進捗が進んでいる単位の情報を送信したり、標準値からどれだけ進捗が遅れているか(又は進んでいるか)という標準値からの差を示す情報をあわせて送信したりしてもよい。
【0057】
端末指示受信部22は、指示通知部18から出力された指示通知情報をネットワークI/F20を介して受信し、端末制御部23に送信する。端末制御部23は、指示通知情報を表示装置5に表示する。
【0058】
管理端末指示受信部31は、指示通知部18から出力された指示通知情報をネットワークI/F30を介して受信し、管理端末制御部32に送信する。管理端末制御部32は、指示通知情報を表示装置5に表示する。
【0059】
〔実施例1−処理プロセス(1)〕
次に、本発明の進捗状況管理システムにおける処理プロセスの一例を図3の機能ブロック図及び図4のフローチャート等を用いて説明する。なお、以下の説明では、標準値を算出する方法として(1)全ての単位に関する進捗度の平均値を標準値とする方法、を用いる場合を例に説明する。また、進捗度及び標準値を算出する際に用いる授業内容情報並びに授業範囲情報は、当該単位で使用する教科書のページ番号を用いることとする。
【0060】
端末Bの端末制御部23は、ユーザ(教師)が入力装置4などを用いて端末Bに対して行った操作を実行する。
【0061】
授業情報生成部21は、端末制御部23が実行した操作に関する情報から、ユーザ入力した自身の担当した授業に関する情報を取得し、授業情報を生成する。さらに、生成した授業情報をネットワークI/F20を介して管理サーバAに送信する。
【0062】
上記の処理を具体的に説明すると、授業情報生成部21は、ユーザが自身の担当した授業に関する情報を入力したことを検出すると、端末Bの端末識別情報、ユーザ識別情報、授業情報を生成した日時情報、単位情報(担当科目情報並びに担当クラス情報を含む)、及び行った授業の内容を示す授業内容情報を抽出し、授業情報として生成する。生成される授業情報の一例を図5に示す。
【0063】
上記の授業内容情報について、本実施例では、教師が生徒に対して授業を行った教科書のページ番号(授業実施済みのページ番号)を用いることとする。教科書のページ番号の他、教科書の目次、単元名や単元を指し示す番号、又は予め定められた授業内容を指し示す言葉など、行われた授業の内容を識別することができるものであれば、いかなるものを用いてもよい。
【0064】
管理サーバAの授業情報取得部11は、端末Bから送信された授業情報をネットワークI/F10を介して取得し、取得した授業情報を授業情報記憶部12に記憶する(S101)。授業情報記憶部12に記憶されている授業情報の一例を図6に示す。
【0065】
上記の授業情報記憶部12の記憶形式について、図6では、単位情報別にそれぞれ記憶するという形式を採用している。さらに、授業情報取得部11から授業情報を取得するたびに、最新のデータに置き換えるという形式で記憶している。この形式以外にも、ユーザ識別情報別に関連づけて記憶するという形式も考えられる。また、図6では授業情報を取得するたびに、記憶している情報内容を最新のものに置き換えるという形式で記憶しているが、これを置き換えではなく時系列的に全て記憶しておくという形式でも構わない。いずれにしても、取得される授業情報を、単位情報やユーザ識別情報といった特定の基準となる情報に関連づけて記憶することができれば、いかなる形式を採用してもよい。
【0066】
進捗度算出部14は、進捗情報記憶部12から特定の単位に関する授業情報を取得し、さらに当該授業情報に対応するカリキュラム情報をカリキュラム情報記憶部13から取得する。次に、授業情報とカリキュラム情報とを用いて当該単位に関する進捗度を算出する。そして、算出した進捗度を進捗度記憶部15に記憶する。
【0067】
上記の処理における、カリキュラム情報記憶部13に記憶されている内容について具体的に説明する。カリキュラム情報記憶部13には、学校内で授業が行われている単位全ての授業範囲が、該当する単位別に記憶されている。カリキュラム情報記憶部13に記憶されている情報の一例を図7に示す。なお、本実施例において、授業範囲を示す授業範囲情報は、当該単位で使用する教科書の全ページ数とする。
【0068】
上記の処理における、進捗度情報算出部14の動きについて詳細に説明する。ここでは、授業情報が図6のとおりに記憶されており、単位情報「英語1−A」の進捗度を算出する場合の動きを例に説明する。まず、進捗度算出部14は、単位情報「英語1−A」の授業内容情報「50」を取得する。次に、カリキュラム情報記憶部13から、単位情報「英語1−A」の授業範囲情報「200」を取得する。そして、授業範囲情報に対する授業内容情報の割合を算出することにより、当該単位の進捗度を導き出す。ここでは、割合をパーセンテージで算出することとする。本実施例の場合、単位情報「1−A」の進捗度は「25%」となる。
【0069】
進捗度記憶部15には、進捗度算出部14が算出した進捗度が、単位毎に関連付けられて記憶される。さらに、進捗度記憶部15では、進捗度算出部14により随時生成される進捗度に応じて、記憶している内容が最新のものに更新されていく(S102)。進捗度記憶部15に記憶されている進捗度の一例を、図8に示す。また、図8では進捗度を取得するたびに、記憶している内容を最新のものに置き換えるという形式で記憶しているが、これを置き換えではなく時系列的に全て記憶しておくという形式でも構わない。いずれにしても、進捗度を単位情報といった特定の基準となる情報に関連づけて記憶することができれば、いかなる形式を採用してもよい。進捗度記憶部15に記憶される内容としては、単位情報、進捗度、端末識別情報及びユーザ識別情報とすると好適である。
【0070】
標準値決定部16は、進捗度記憶部15に記憶された各単位の進捗度から、標準的な授業の進捗状況を示す値を標準値として算出する(S103)。そして、標準値決定部16は、決定した標準値を判定部17に送信する。
【0071】
上記の処理について具体的に説明する。まず、標準値決定部16は、進捗度記憶部15に記憶された全ての単位の進捗度を抽出する。そして、抽出した全ての単位の進捗度の平均値を算出し、その値を標準値とする。ここでは、標準値が「30%」と算出されたこととする。
【0072】
判定部17は、進捗度記憶部15に記憶された各単位の進捗度と、標準値決定部16で決定した標準値とを比較し、標準値より進捗度が遅れている単位がないかどうか進捗状況を判定する(S104)。そして、その判定結果を指示通知部18に送信する。
【0073】
上記の処理について具体的に説明する。標準値決定部16で決定された標準値「30%」と、図8に記載されている各単位の進捗度とを比較して進捗状況を判定する場合、標準値より遅れている単位は、「英語1−A」・「英語1−C」・「英語2−A」・「英語3−A」・「英語3−B」・「英語3−C」の6単位であるということが判定される。そして、この6単位の進捗が遅れているという判定結果を指示通知部18に送信する。
【0074】
また、上記の処理とは別の形式として、標準値と進捗度の差の大きさに応じて、段階をつけた判定結果を導き出してもよい。ここでは、「若干の遅れ」・「遅れ」・「極度の遅れ」の三段階の評価をつけた判定結果を導き出すこととする。標準値と進捗度の差については、5ポイントまでの差であれば「若干の遅れ」、5ポイントより大きく10ポイントまでの差であれば「遅れ」、10ポイントより大きな差であれば「極度の遅れ」と判定することとする。この判定方式を用いた場合、「若干の遅れ」は、単位情報「英語1−A」の1単位、「遅れ」は、単位情報「英語3−B」・「英語3−C」の2単位、「極度の遅れ」は、単位情報「英語1−C」・「英語2−A」・「英語3−A」の3単位、という判定結果を導き出すこともできる。
【0075】
さらに、上記の処理とは別の形式として、標準値からの若干の進捗度の遅れは問題なしと判定し、標準値からの差が所定ポイント内の単位については、「進捗は遅れていない」という判定結果を導き出すというような判定を行ってもよい。ここでは、5ポイントまでの差であれば「進捗は遅れていない」と判定することとする。この場合、図8でいうと、単位情報「英語1−A」の進捗度は、標準値から5ポイント以内の差となっているので「進捗は遅れていない」と判定し、標準値より遅れている単位は、「英語1−C」・「英語2−A」・「英語3−A」・「英語3−B」・「英語3−C」の5単位である、という判定結果を導き出すこともできる。
【0076】
指示通知部18は、判定部17から受信した判定結果に基づいて、進捗が遅れていると判定された単位に関する情報を基に、当該単位の授業を担当する教師のユーザ識別情報(又は端末識別情報)を進捗度記憶部15から取得し、当該教師が使用している端末Bや、又は管理端末Cに対して、進捗の遅れを知らせるための通知をネットワークI/F10を介して送信する(S105)。
【0077】
上記の処理を具体的に説明する。単位情報「英語1−C」の授業を担当している教師の操作している端末Bに対して指示通知情報を送信する場合を例に説明すると、指示通知部18は、進捗度記憶部15から単位情報「英語1−C」を担当する教師の使用している端末Bの端末識別情報「CL005」を取得する。そして、端末「CL005」に対して指示通知情報をネットワークI/F10を介して送信する。端末「CL005」の端末指示受信部22は、ネットワークI/F20を介して当該指示通知情報を受信し、端末制御部23に送信する。端末制御部23は受信した情報に基づいて、端末「CL005」の表示装置5に当該指示通知情報を表示させる。その表示装置5における表示の一例を、図9に示す。
【0078】
また、上記の処理に加えて、進捗が遅れている単位を担当している教師に対して、同一科目の中で進捗度が一番早い単位及び担当教師の情報や、同一学年を担当している教師の中で進捗度が一番早い単位及び担当教師の情報を、参考情報として通知したりしてもよい。例えば、単位情報「英語1−C」の授業を担当している教師の操作している端末Bに対して指示通知情報を送信する場合を例に説明すると、指示通知部18は、進捗度記憶部15から科目情報「英語」の中で一番進捗度の早い単位の単位情報と担当する教師を示すユーザ識別情報を抽出する。さらに、クラス情報から同一学年の中で一番進捗度の早い単位の単位情報と担当する教師を示すユーザ識別情報を抽出し、指示通知情報としてネットワークI/F10を介して端末「CL005」に送信する。この場合における、端末「CL005」の表示装置5における表示の一例を、図10に示す。
【0079】
なお、上述の説明では、指示通知の対象を端末としたが教師のユーザ識別情報を用いて、当該教師にメールを送信するようにすること可能である。具体的には、予めユーザ識別情報とメールアドレスとを関連付けて記憶するユーザ情報記憶部(図示せず)を設け、指示通知の対象となる単位情報の授業を担当している教師のユーザ識別情報を用いて、ユーザ情報記憶部から当該教師のメールアドレスを取得し、そのメールアドレスに対して指示通知を行うという形で実現させることが可能である。
【0080】
さらに、指示通知部18は、管理端末Cに対して進捗の遅れている単位をリストアップした情報を送信してもよい。この場合の処理を具体的に説明すると、指示通知部18は、判定部17から受信した判定結果に基づいて、進捗が遅れている単位のリストを作成し、作成したリスト情報を指示通知情報としてネットワークI/F10を介して管理端末Cに送信する。管理端末Cの管理端末指示受信部31は、ネットワークI/F20を介して当該指示通知情報を受信し、管理端末制御部32に送信する。管理端末制御部32は受信した情報に基づいて、管理端末Cの表示装置5に当該指示通知情報を表示させる。その表示装置5における表示の一例を、図11に示す。なお、進捗が遅れている単位のみの表示だけでなく、任意の単位についてその全てをリストに表示することとし、進捗が遅れている単位のみをその他の単位と区別した形で強調表示するというような形式としてもよい。
【0081】
上述の実施形態とすることにより、教師は自身が担当する単位における授業の進捗状況を、他の教師が担当する単位と比較して相対的に把握することが可能となる。これにより、各教師の進捗状況の均一化を促すことができ、どのクラスに属する生徒に対しても、進捗度が均一に保たれた授業を提供することが可能となる。
【0082】
〔実施例1−処理プロセス(2)〕
次に、標準値の算出方法として(2)予め定めた特定の単位に関する進捗度の平均値を標準値とする方法、を用いた場合における処理プロセスの一例を、図3の機能ブロック図及び図4のフローチャート等を用いて説明する。
【0083】
図4のフローチャートにおける(S103)以外の動作については、〔実施例1−処理プロセス(1)〕と同様のため、その説明を省略する。
【0084】
標準値決定部16は、進捗度記憶部15に記憶された各単位の進捗度から、予め定められた特定の科目情報又はクラス情報を有する単位(基準単位)の進捗度を用いて、標準的な授業の進捗状況を示す標準値として算出する(S103)。そして、標準値決定部16は、決定した標準値を判定部17に送信する。
【0085】
上記の処理を具体的に説明する。ここでは、予め科目情報として「英語」として定めた場合について説明する。まず、英語を科目情報として含む全ての単位に関する進捗度を抽出する。そして、その抽出した進捗度から平均値を算出して、その平均値を標準値として決定する。進捗度記憶部15に記憶されている内容が図8の通りであり、本処理に従って標準値を計算した場合、単位情報「英語1−A」から単位情報「英語3−C」までの全ての進捗度を用いて算出した平均値「26%」が標準値となる。
【0086】
上述の実施形態とすることにより、特定した科目ごと、あるいは特定した学年ごとに標準値を算出することができる。このため、より科目(又は学年)の特性に応じた標準値が算出されるため、進捗状況の判定結果の精度を向上させることができる。
【0087】
〔実施例1−処理プロセス(3)〕
次に、標準値の算出方法として(3)予め定めた特定の教師(基準教師)が担当する単位に関する進捗度の平均値を標準値とする方法、を用いた場合における処理プロセスの一例を、図3の機能ブロック図及び図4のフローチャート等を用いて説明する。
【0088】
図4のフローチャートにおける(S103)以外の動作については、〔実施例1−処理プロセス(1)〕と同様のため、その説明を省略する。
【0089】
標準値決定部16は、進捗度記憶部15に記憶された各単位の進捗度から、予め定められた特定の教師が担当する単位の進捗度を用いて、標準的な授業の進捗状況を示す標準値として算出する(S103)。そして、標準値決定部16は、決定した標準値を判定部17に送信する。
【0090】
上記の処理を具体的に説明する。ここでは、予め特定の教師としてユーザ識別情報「TC0004」を指定した場合について説明する。まず、ユーザ識別情報「TC0004」を含む単位情報に関する進捗度を抽出する。そして、その抽出した進捗度から平均値を算出して、その平均値を標準値として決定する。進捗度記憶部15に記憶されている内容が図8の通りであった場合、ユーザ識別情報「TC0004」を有している単位情報は、単位情報「英語2−B」・「英語2−C」の二つであるため、この二つの単位それぞれの進捗度「44%」・「38%」を抽出し、その平均値を求める。そして算出された平均値「41%」が標準値となる。
【0091】
上述の実施形態とすることにより、特定した教師ごとに標準値を算出することができため、その教師と自分との進捗状況の違いをより正確に把握することができる。これにより、目標とする教師や、進捗状況を同一に保ちたい教師など、自身が指定した相手と自分との進捗状況の違いをより正確に把握することができる。
【0092】
〔実施例1−処理プロセス(4)〕
次に、標準値の算出方法として(4)最速の進捗度から所定値を差し引いた値を標準値とする方法、を用いた場合における処理プロセスの一例を、図3の機能ブロック図及び図4のフローチャート等を用いて説明する。
【0093】
図4のフローチャートにおける(S103)以外の動作については、〔実施例1−処理プロセス(1)〕と同様のため、その説明を省略する。
【0094】
標準値決定部16は、進捗度記憶部15に記憶された各単位の進捗度から、最も早い進捗度を抽出し、その進捗度から所定値を差し引いた値を標準的な授業の進捗状況を示す標準値として算出する(S103)。そして、標準値決定部16は、決定した標準値を判定部17に送信する。
【0095】
上記の処理を具体的に説明する。ここでは、予め所定の値を「10ポイント」と定めた場合について説明する。まず、進捗度記憶部15から、最も進捗が早い単位の進捗度を抽出する。進捗度記憶部15に記憶さている内容が図8の通りであった場合、最も進捗の早い単位情報は「英語2−B」であり、抽出される進捗度は「44%」となる。そして、その抽出した進捗度から所定値「10ポイント」を差し引いた値「34%」が、標準値として決定される。
【0096】
上述の実施形態とすることにより、平均値を算出する処理を行わなくても、標準値を決定することが可能となる。
【実施例2】
【0097】
〔実施例2−構成〕
次に、図12の機能ブロック図を用いて、本発明の進捗状況管理システムの第二実施形態について説明する。なお、実施例1と同一の構成部には同一の符号を付しており、実施例1と同じ動作をする場合には、その詳細な説明は省略する。
【0098】
本発明の進捗状況管理システムの第二実施形態は、管理サーバAの進捗度算出部14の内部に、授業情報記憶部13に記憶された情報から、現在授業が実施されている各単位の進捗度を算出する現在進捗度算出手段14aと、過去の同時期(例えば、現在時点からちょうど一年前の時点)に実施されていた各単位の進捗度を算出する過去進捗度算出手段14bとを備えているという点、さらに、進捗度記憶部15の内部に、算出した現在の進捗度を記憶する現在進捗度記憶部15aと、算出した過去の進捗度を記憶する過去進捗度記憶部15bとを備えているという点において、実施例1の実施形態と異なっている。
【0099】
本実施例は、過去の同時期に実施された授業情報に基づいて進捗度の標準値を算出し、その過去の数値から導き出される標準値と現在の進捗度とを比較することにより、過去の同時期と比較した進捗状況が把握できるという点に特徴がある。
【0100】
以下、各構成部の動作について説明する。なお、実施例1と同様の構成部又は同様の動作については、詳細な説明を省略する。
【0101】
授業情報記憶部12には、授業情報取得部11が取得した授業情報が記憶される。その際の記憶形式は、授業情報に含まれるユーザ識別情報と単位情報とを利用して、当該ユーザ(教師)が授業を担当する単位別に関連付け、さらに、授業情報に含まれる日時情報を利用して、授業情報を取得した順に時系列的に記憶するという形式が好適である。
【0102】
カリキュラム記憶部13には、所定の期間(例えば、1年間や1学期など)で教えなければならない授業範囲とその内容が、カリキュラム情報として単位別に記憶される。この際、各年度においてカリキュラム情報が異なる場合は、各年度のカリキュラム情報別に関連付けて記憶するという形式にすると好適である。
【0103】
現在進捗度算出手段14aは、授業情報記憶部12に記憶されている授業情報を用いて、単位毎に授業に関する進捗度を算出する。その際に、カリキュラム情報記憶部13に記憶されているカリキュラム情報を用いて、単位毎に授業に関する進捗度を算出すると好適である。そして、進捗度算出部14は、授業情報記憶部12に記憶されている授業情報に含まれる全ての単位について進捗度を算出し、算出した進捗度を現在進捗度記憶部15aに記憶する。
【0104】
過去進捗度算出手段14bは、授業情報記憶部12に記憶されている授業情報のうち、過去の所定時期における授業情報を抽出して、単位毎に過去の所定時点における授業の進捗度を算出する。その際に、カリキュラム情報記憶部13に記憶されているカリキュラム情報を用いて、単位毎に授業に関する進捗度を算出すると好適である。そして、進捗度算出部14bは、授業情報記憶部12に記憶されている授業情報に含まれる全ての単位について進捗度を算出し、算出した進捗度を過去在進捗度記憶部15bに記憶する。
【0105】
上記における過去の所定時点とは、前年度又はそれ以前における、現時点と同じ時点のことをいう。例えば、現時点からちょうど一年前の同じ日時などのことをいう。
【0106】
現在進捗度記憶部15aには、現在進捗度算出部14aが算出した進捗度が記憶される。その際の記憶形式は、進捗度を算出した単位毎に、当該単位と進捗度を関連付けて記憶するという形式にすると好適である。なお、進捗度記憶部15aは、進捗度を算出した時点のみ生成される一時的な記憶領域という形式で構成してもかまわない。
【0107】
過去進捗度記憶部15bには、過去進捗度算出部14bが算出した進捗度が記憶される。その際の記憶形式は、進捗度を算出した単位毎に、当該単位と進捗度を関連付けて記憶するという形式にすると好適である。なお、進捗度記憶部15aは、進捗度を算出した時点のみ生成される一時的な記憶領域という形式で構成してもかまわない。また、進捗度を算出した過去の時点が、一年前だけではなく、二年前など複数の過去の同時期に関して進捗度を算出している場合は、それぞれの過去の時点における進捗度を別にして関連付けて記憶するという形式にすると好適である。
【0108】
標準値決定部16は、過去進捗度記憶部15bに記憶された各単位の進捗度を用いて、標準的な授業の進捗状況を示す値を標準値として算出する。そして、標準値決定部16は、決定した標準値を判定部17に送信する。
【0109】
上記の標準値を算出する方法には、様々なものがある。例えば、(1)自身が担当する単位に関する過去の進捗度を標準値とする方法、(2)自身が過去に担当した単位に関する進捗度を標準値とする方法、などが考えられる。
【0110】
〔標準値の算出方法(1)〕
自身が担当する単位に関する過去の進捗度を標準値とする方法について説明する。この方法は、進捗状況を確認しようとしている単位と同一の単位を基準単位として定め、その基準単位の進捗度を標準値と決定するという方法である。具体的には、過去進捗度記憶部15bに記憶されている単位のうち、進捗状況を確認しようとして端末B又は管理端末Cが指定した特定の単位と同一の単位を基準として定めるという形式で指定され、その指定された単位の進捗度が標準値として決定される。これにより、自身の担当している単位に関する授業の進捗状況を確認しようとしている教師が、過去の同時期における当該単位の進捗状況と、現在の自身の進捗状況を比較することが可能となる。
【0111】
また、上記とは別の方法として、端末B又は管理端末Cによって予め指定された任意の単位を基準単位として定め、その基準単位の進捗度を標準値と決定するという方法も考えられる。
【0112】
〔標準値の算出方法(2)〕
自身が過去に担当した単位に関する進捗度を標準値とする方法について説明する。この方法は、進捗状況を確認しようとしている教師を基準教師として定め、その基準教師が担当した単位の過去における進捗度を抽出し、その抽出された進捗度を用いて標準値を決定するという方法である。具体的には、過去進捗度記憶部15bに記憶されている単位のうち、進捗状況を確認しようとしているユーザ(教師)と同一のユーザ識別情報を有する単位の進捗度を抽出し、抽出した進捗度を用いて標準値を定めるという形式で指定される。これにより、教師が、自身の現在行っている授業の進捗状況と、過去の同時期において行っていた授業の進捗状況にどれだけ差があるのかということを確認することが可能となる。
【0113】
また、上記とは別の方法として、端末B又は管理端末Cによって予め指定された任意の教師を基準教師として定め、その基準教師が担当した単位の進捗度を標準値と決定するという方法も考えられる。
【0114】
判定部17は、現在進捗度記憶部15aに記憶された各単位の進捗度と、標準値決定部16で決定した標準値とを比較し、標準値より進捗度が遅れている単位がないかどうか判定する。そして、その判定結果を指示通知部18に送信する。
【0115】
〔実施例2−処理プロセス(1)〕
次に、本発明の進捗状況管理システムにおける処理プロセスの一例を、図12の機能ブロック図及び図13のフローチャート等を用いて説明する。なお、以下の説明では、標準値を算出する方法として、(1)自身が担当する単位に関する過去の進捗度を標準値とする方法を用いた場合を例に説明する。
【0116】
図13のフローチャートにおける(S201)、(S206)の動作については、〔実施例1−処理プロセス(1)〕と同様のため、その説明を省略する。
【0117】
現在進捗度算出部14aは、進捗情報記憶部12から特定の単位に関する授業情報を取得し、さらに当該授業情報に対応するカリキュラム情報をカリキュラム情報記憶部13から取得する。次に、授業情報とカリキュラム情報とを用いて当該単位に関する進捗度を算出する。そして、算出した進捗度を現在進捗度記憶部15aに記憶する(S202)。
【0118】
上記の処理における、現在進捗度算出部14aの動きについて詳細に説明する。ここでは、授業情報が図6のとおりに記憶されており、単位情報「英語1−A」の進捗度を算出する場合の動きを例に説明する。まず、進捗度算出部14は、単位情報「英語1−A」の授業内容情報「50」を取得する。次に、カリキュラム情報記憶部13から、単位情報「英語1−A」の授業範囲情報「200」を取得する。そして、授業範囲情報に対する授業内容情報の割合を算出することにより、当該単位の進捗度を導き出す。ここでは、割合をパーセンテージで算出することとする。本実施例の場合、単位情報「1−A」の進捗度は「25%」となる。
【0119】
過去進捗度算出部14bは、授業情報記憶部12から、現在進捗度算出部14aにおいて特定の単位の進捗度が算出された時点からちょうど一年前(前年度の同時期)において実施されていた、当該単位の授業情報を取得する。ここにおいて、授業情報記憶部12に記憶されている前年度の同時期における情報の一例を図14に示す。
【0120】
さらに、当該授業情報に対応するカリキュラム情報をカリキュラム記憶部13から取得する。ここにおいて、前年度のカリキュラム情報の一例を、図15に示す。そして、授業情報とカリキュラム情報とを用いて、前年度の同時期における各単位の進捗度を算出する。算出した進捗度は過去進捗度記憶部15bに記憶する(S203)。過去進捗度記憶部15bに記憶された情報の一例を、図16に示す。
【0121】
上記の処理における、過去進捗度算出部14bの動きについて詳細に説明する。前年度の同時期における授業情報が、図14の通りに記憶されていた場合における、単位情報「英語1−A」の過去の進捗度を算出する動きを例に説明する。まず、過去進捗度算出部14は、単位情報「英語1−A」の授業内容情報「45」を取得する。次に、カリキュラム情報記憶部13から、単位情報「1−A」の授業範囲情報「200」を取得する。そして、授業範囲情報に対する授業内容情報の割合を算出することにより、当該単位の進捗度を導き出す。本実施例の場合、前年度の同時期における単位情報「1−A」の進捗度は「22.5%」となる。
【0122】
標準値決定部16は、過去進捗度記憶部15bに記憶された各単位の過去の同時期における進捗度から、進捗状況を確認する対象として指定された単位の、過去の同時期における進捗度を、標準的な授業の進捗状況を示す標準値として決定する(S204)。そして、標準値決定部16は、決定した標準値を判定部17に送信する。
【0123】
上記の処理について具体的に説明する。まず、標準値決定部16は、過去進捗度記憶部15bに記憶された全ての単位の過去における進捗度の中から、進捗状況を確認しようとしている単位(対象単位)における前年度の同時期における進捗度を抽出し、その値を標準値とする。単位情報「英語1−A」を対象単位として、その対象単位の進捗状況を確認するとした場合、単位情報「英語1−A」における前年度の同時期における進捗度「22.5%」が標準値として決定されることになる。
【0124】
判定部17は、現在進捗度記憶部15に記憶された各単位の現在の進捗度と、標準値決定部16で決定した標準値とを比較し、標準値より進捗度が遅れている単位がないかどうか進捗状況を判定する(S205)。そして、その判定結果を指示通知部18に送信する。
【0125】
上記の処理について具体的に説明する。標準値決定部16で決定された標準値「22.5%」と、図8に記載されている単位情報「英語1−A」の現在の進捗度「25%」とを比較して進捗状況を判定した場合、現在の進捗度は標準値よりも進んでいるという結果となるため、「問題なし」と判定される。
【0126】
上述の実施形態とすることにより、教師は自身が担当する単位における授業の進捗状況を、過去の同時期に実施された同一単位と比較して把握することが可能となる。これにより、毎年の授業の進捗状況の均一化を促すことができ、どの年度の生徒に対しても、進捗度が均一に保たれた授業を提供することが可能となる。
【0127】
〔実施例2−処理プロセス(2)〕
次に、標準値の算出方法として(2)自身が過去に担当した単位に関する進捗度を標準値とする方法、を用いた場合における処理プロセスの一例を、図12の機能ブロック図及び図13のフローチャート等を用いて説明する。
【0128】
図13のフローチャートにおける(S201)から(S202)、(S206)の動作については、〔実施例2−処理プロセス(1)〕と同様のため、その説明を省略する。
【0129】
過去進捗度算出部14bは、まず、現在進捗度算出部14aにおいて進捗度が算出された特定の単位を担当している教師(基準教師)に関する情報を取得する。そして、授業情報記憶部12から、現在進捗度算出部14aにおいて特定の単位の進捗度が算出された時点からちょうど一年前(前年度の同時期)における、基準教師が授業を行っていた単位を特定し、その授業情報を取得する。
【0130】
さらに、その取得した授業情報に対応するカリキュラム情報をカリキュラム記憶部13から取得する。そして、授業情報とカリキュラム情報とを用いて、前年度の同時期における各単位の進捗度を算出する。算出した進捗度は過去進捗度記憶部15bに記憶する(S203)。
【0131】
標準値決定部16は、過去進捗度記憶部15bに記憶された各単位の過去の同時期における進捗度から、進捗状況を確認する対象として指定された単位の授業を担当している教師を基準教師とし、その基準教師が過去の同時期において授業を行った単位の進捗度を、標準的な授業の進捗状況を示す標準値として決定する(S204)。そして、標準値決定部16は、決定した標準値を判定部17に送信する。
【0132】
上記の処理について具体的に説明する。標準値決定部16は、進捗状況を確認しようとしている単位の授業を担当している教師を基準教師として指定し、当該基準教師のユーザ識別情報を、現在進捗度記憶部15aから抽出する。ここで、現在情報記憶部15aに記憶されている情報が図8の通りであり、進捗状況を確認しようとしている単位を「英語1−A」であった場合、基準教師としてユーザ識別情報「TC0023」が抽出される。
【0133】
次に、取得したユーザ識別情報を基に、過去進捗度記憶部15bから、基準教師が前年度の同時期に担当していた単位の進捗度を抽出する。前年度の同時期における各単位の進捗度が図16の通りに記憶されていた場合、基準教師「TC0023」が担当していた単位は、単位情報「英語1−C」・「英語2−A」の二種類であることが分かる。さらに、それぞれの進捗度「17.5%」・「20%」が取得される。
【0134】
そして、標準値決定部16は、取得した進捗度の平均値を算出し、その算出した値を標準値として決定する。上述の例の場合、抽出した進捗度「17.5%」及び「20%」の平均値「18.75%」が標準値として決定されることになる。
【0135】
判定部17は、現在進捗度記憶部15に記憶された各単位の現在の進捗度と、標準値決定部16で決定した標準値とを比較し、標準値より進捗度が遅れている単位がないかどうか進捗状況を判定する(S205)。そして、その判定結果を指示通知部18に送信する。
【0136】
上記の処理について具体的に説明する。標準値決定部16で決定された標準値「18.75%」と、図8に記載されている単位情報「英語1−A」の現在の進捗度「25%」とを比較して進捗状況を判定した場合、現在の進捗度は標準値よりも進んでいるという結果となるため、「問題なし」と判定される。
【0137】
上述の実施形態とすることにより、教師は自身が担当する単位における授業の進捗状況を、過去の同時期において自身が行った授業の進捗状況と比較して判断することが可能となる。これにより、教師自身における毎年の授業の進捗状況の均一化を促すことができ、どの年度の生徒に対しても、進捗度が均一に保たれた授業を提供することが可能となる。
【実施例3】
【0138】
〔実施例3−構成〕
次に、図17の機能ブロック図を用いて、本発明の進捗状況管理システムの第三実施形態について説明する。なお、実施例1と同一の構成部には同一の符号を付しており、実施例1と同じ動作をする場合には、その詳細な説明は省略する。
【0139】
本発明の進捗状況管理システムの第三実施形態は、管理サーバAの標準値決定部16の内部に、進捗度記憶部15に記憶された情報から標準値を決定する標準値決定手段16aと、決定した標準値に対して補正を加えた補正標準値を生成する補正標準値生成手段16bとを備えているという点、さらに、授業を行うことができる残り日数を算出する残授業日数算出部19とを備えているという点において、実施例1の実施形態と異なっている。
【0140】
本実施例は、一旦決定した標準値に対して、所定期間における授業の残り日数に応じて補正を加えることにより、進捗状況の遅れを取り戻すことが困難となる残り授業日数の少ない状況下において、進捗状況が遅れている単位を早期に発見することができるという点に特徴がある。
【0141】
以下、各構成部の動作について説明する。なお、実施例1と同様の構成部又は同様の動作については、詳細な説明を省略する。
【0142】
標準値決定手段16aは、進捗度記憶部15に記憶された各単位の進捗度を用いて、標準的な授業の進捗状況を示す値を標準値として算出する。標準値の算出方法については、上述の実施例1及び実施例2において説明したとおりであるため、ここではその説明を省略する。
【0143】
残授業時間数算出部19は、所定期間(例えば一年間や、一学期など)における、各単位の授業時間の残り日数を算出する。残り授業日数の算出方法を具体的に説明すると、予め各単位毎に所定期間内における授業日数を設定しておき、現在日時とカレンダー情報(又は時間割情報等)を用いて授業の残り日数を随時算出する。
【0144】
補正標準値生成手段16bは、標準値決定手段16aで決定した標準値に対して、残授業日数算出部19から取得した残授業日数に応じて補正を加える。この場合、残授業日数が多ければ、授業の進捗状況が遅れていたとしても取り返しが可能なため、標準値を下げて若干の進捗の遅れは問題なしと判定するように補正し、残授業日数が少なければ、授業の進捗状況が遅れると取り返しが困難なため、標準値を上げて若干の進捗の遅れでも厳しく検出するというように補正をすると好適である。
【0145】
〔実施例3−処理プロセス(1)〕
次に、本発明の進捗状況管理システムにおける処理プロセスの一例を、図17の機能ブロック図及び図18のフローチャート等を用いて説明する。なお、以下の説明では、標準値を算出する方法として、実施例1の(1)全ての単位に関する進捗度の平均値を標準値とする方法、を用いる場合を例に説明する。また、残授業時間数算出部19における所定期間は一年間とし、一年間の授業日数は200日で、現在の残授業日数は120日であるという場合を例に説明する。
【0146】
図18のフローチャートにおける(S301)から(S302)、(S306)の動作については、〔実施例1−処理プロセス(1)〕と同様のため、その説明を省略する。
【0147】
標準値決定手段16aは、進捗度記憶部15に記憶された各単位の進捗度から、標準的な授業の進捗状況を示す値を標準値として算出する(S303)。そして、標準値決定手段16aは、決定した標準値を補正標準値生成手段16bに送信する。
【0148】
上記の処理について具体的に説明する。まず、標準値決定部16は、進捗度記憶部15に記憶された全ての単位の進捗度を抽出する。そして、抽出した全ての単位の進捗度の平均値を算出し、その値を標準値とする。ここでは、標準値が「30%」と算出されたこととする。
【0149】
残授業時間数算出部19は、所定期間(例えば一年間や、一学期など)における、各単位の授業時間の残り日数を算出する。ここでは、所定期間を一年間とすることとし、一年間の授業日数は200日であるという場合を例に説明する。そして、現在の残授業日数は120日であったとする。
【0150】
補正標準値生成手段16bは、標準値決定手段16aで決定した標準値に対して、残授業日数算出部19から取得した残授業日数に応じて補正を加える。
【0151】
上記の処理について具体的に説明する。まず、補正標準値生成手段16bは、は残授業時間数算出部19から、現在の残授業日数「120日」を取得する。次に、補正テーブル(図示せず)を参照し、標準値に対して加える補正値を決定する。補正テーブルに記憶されている情報の一例を、図19に示す。
【0152】
補正標準値生成手段16bは、標準値決定手段16aで決定した標準値に対して、現在の残授業日数「120日」に対応した補正値「−20」を加えた補正標準値を生成する(S304)。その結果、補正標準値は、「10%」となる。そして、生成した補正標準値を、判定部17に送信する。
【0153】
判定部17は、進捗度記憶部15に記憶された各単位の進捗度と、補正標準値生成手段16bで生成した補正標準値とを比較し、補正標準値より進捗度が遅れている単位がないかどうか進捗状況を判定する(S305)。そして、その判定結果を指示通知部18に送信する。
【0154】
上記の処理について具体的に説明する。補正標準値生成手段16bで生成された補正標準値「10%」と、図8に記載されている各単位の進捗度とを比較して進捗状況を判定する場合、補正標準値よりも進捗度が遅れている単位はないため、全ての単位について進捗状況は問題なしという判定結果を指示通知部18に送信する。
【0155】
〔実施例3−処理プロセス(2)〕
次に、残授業時間数算出部19における所定期間は一学期間とし、一学期間の授業日数は70日で、現在の残授業日数は35日であるという場合を例に説明する。また、(S301)から(S303)、(S306)の動作については、〔実施例3−処理プロセス(1)〕と同様のため、その説明を省略する。
【0156】
補正標準値生成手段16bは、標準値決定手段16aで決定した標準値に対して、現在の残授業日数「35日」に対応した補正値「−6」を加えた補正標準値を生成する(S304)。その結果、補正標準値は、「24%」となる。そして、生成した補正標準値を、判定部17に送信する。
【0157】
判定部17は、進捗度記憶部15に記憶された各単位の進捗度と、補正標準値生成手段16bで生成した補正標準値とを比較し、標準値より進捗度が遅れている単位がないかどうか進捗状況を判定する(S305)。そして、その判定結果を指示通知部18に送信する。
【0158】
上記の処理について具体的に説明する。補正標準値生成手段16bで生成された補正標準値「24%と、図8に記載されている各単位の進捗度とを比較して進捗状況を判定する場合、補正標準値のよりも進捗が遅れている単位は、「英語1−C」・「英語2−A」・「英語3−A」・「英語3−C」の4単位であるということが判定される。そして、この4単位の進捗が遅れているという判定結果を指示通知部18に送信する。
【0159】
上述の実施形態とすることにより、授業の残り日数に応じて、進捗度の遅れを厳しく判定したりゆるく判定したりすることが可能となる。これにより、進捗の遅れを取り返すことができるかどうかという情報を加味した、授業日程に基づく状況に応じた判定を行うことが可能となる。
【実施例4】
【0160】
〔別実施形態〕
上述の各実施例において、標準値よりも進捗度が遅れている単位があるかどうかを判定していたが、標準値に対して進捗度が所定値以上進みすぎている単位を検出するという構成を追加してもよい。
【0161】
上述の実施形態とすることにより、授業が余りにも進みすぎている単位を検出することが可能となる。これにより、内容の密度が足りていない可能性のある単位を把握することができる。
【符号の説明】
【0162】
A:管理サーバ
B:端末
C:管理端末
1:演算装置
2:記憶装置
3:通信装置
4:入力装置
5:表示装置
10:ネットワークI/F
11:授業情報取得部
12:授業情報記憶部
13:カリキュラム記憶部
14:進捗度算出部
14a:現在進捗度算出手段
14b:過去進捗度算出手段
15:進捗度記憶部
15a:現在進捗度記憶部
15b:過去進捗度記憶部
16:標準値決定部
16a:標準値決定手段
16b:補正標準値生成手段
17:判定部
18:指示通知部
19:残授業日数算出部
20:ネットワークI/F
21:授業情報生成部
22:端末指示受信部
23:端末制御部
30:ネットワークI/F
31:管理端末指示受信部
32:管理端末制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
学校において教師が担当する授業の進捗状況を管理する進捗状況管理システムであって、
前記教師が行った授業の科目及びクラスを示す単位情報と、当該単位において行った授業の実施情報とを含む授業情報を記憶する授業情報記憶部と、
前記授業情報を用いて前記単位毎に進捗度を算出する進捗度算出部と、
前記算出した進捗度を前記単位別に記憶する進捗度記憶部と、
前記記憶された各単位の進捗度を用いて標準値を決定する標準値決定部と、
前記決定した標準値を用いて前記単位の進捗状況を判定する判定部と、
を備えることを特徴とする進捗状況管理システム。
【請求項2】
前記標準値決定部は、更に、
前記標準値を決定する基準となる教師の指定を受け付ける基準教師受付手段と、
前記特定した基準となる教師が担当する単位の進捗度を用いて標準値を決定する標準値決定手段と、
を有することを特徴とする進捗状況管理システム。
【請求項3】
前記授業情報記憶部は、更に、
前記授業情報として前記授業が行われた日時情報を含んで記憶し、
前記進捗度算出部は、
前記授業情報記憶部から前年度の授業情報を抽出し、現在日時と同時期における前記各単位別の前年度の進捗度を算出し、
前記標準値決定部は、
前記進捗度算出部において算出された前年度の進捗度を用いて標準値を決定する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の進捗状況管理システム。
【請求項4】
前記標準値決定部は、更に、
前記標準値を決定した日時を取得する決定日時取得手段と、
前記取得した決定日時を用いて、前記標準値を補正する補正標準値生成手段と、
を有することを特徴とする請求項1から請求項3に記載の進捗状況管理システム。
【請求項5】
教師が行った授業の科目及びクラスを示す単位情報と、当該単位において行った授業の実施情報とを含む授業情報を記憶する授業情報記憶部と、
算出した進捗度を前記単位別に記憶する進捗度記憶部と、を備える進捗状況管理システムに用いるプログラムであって、
前記授業情報を用いて前記単位毎に進捗度を算出する進捗度算出機能と、
前記記憶された各単位の進捗度を用いて標準値を決定する標準値決定機能と、
前記決定した標準値を用いて前記単位の進捗状況を判定する判定機能と、
をコンピュータに実現させる進捗状況管理プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−96035(P2011−96035A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249953(P2009−249953)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(599108242)Sky株式会社 (257)