説明

遅延情報取得システム及び遅延情報取得サーバ

【課題】簡単な入力で、実際に利用者が乗車した交通手段の遅延時間等の遅延情報を取得することができる遅延情報取得システム及び遅延情報取得サーバを提供する。
【解決手段】遅延情報取得システム100は、利用者Pが出入りする改札ゲート5と、利用者Pが乗車駅の改札ゲート5に入った入時刻及び乗車駅名と、降車駅名とを記憶する乗車情報記憶部35aと、サーバ1とを備え、サーバ1は、入時刻から乗車可能時刻を予測する予測部11と、乗車可能時刻の直後に乗車駅を発車して降車駅に至る電車を時刻表データベース22から特定して降車駅の到着予定時刻を取得する予定取得部12と、乗車可能時刻の直後に乗車駅を発車して降車駅に至る電車を運行状況データベース24から特定して降車駅の到着実績時刻を取得する実績取得部13と、到着実績時刻と到着予定時刻との差分を算出して遅延情報を作成する遅延情報作成部15と、出力部19とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遅延情報取得システム及び遅延情報取得サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電車等の交通機関の運行で、交通機関に遅延が発生した場合に、遅延の発生を早期に判断してメール等で通知する遅延時間算出装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−61413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の装置は、運行途中で初期値点(乗車駅)と目的地(降車駅)との情報が必要であり、ユーザから設定用の情報の入力を受け付ける必要があった。また、特許文献1に記載の装置は、初期値点(乗車駅)から目的地(降車駅)までの間の所要時間に対する遅延時間を反映して到着時間を予測するものであった。
【0005】
そこで、本発明は、簡単な入力で、実際に利用者が乗車した交通手段の遅延時間等の遅延情報を取得することができる遅延情報取得システム及び遅延情報取得サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【0007】
第1の発明は、交通手段を利用する利用者(P)が出入りするゲート(5,205)と、前記利用者が乗車駅の前記ゲートに入った入時刻及び乗車駅名と、前記利用者の降車駅名とを記憶する乗車情報記憶部(35a,225,345a)と、前記利用者の遅延情報を処理するサーバ(1,201,301)と、を備える遅延情報取得システム(100,200,300)であって、前記サーバは、交通手段の時刻表を記憶する時刻表データベース(22)と、前記交通手段の実際の運行状況を記憶する運行状況データベース(24)と、前記乗車情報記憶部に記憶された前記入時刻から前記交通手段への乗車可能時刻を予測する予測部(11)と、前記予測部により予測された前記乗車可能時刻の直後に前記乗車情報記憶部に記憶された前記乗車駅を発車して降車駅に至る交通手段を前記時刻表データベースから特定して、前記降車駅の到着予定時刻を取得する予定取得部(12)と、前記予測部により予測された前記乗車可能時刻の直後に前記乗車情報記憶部に記憶された前記乗車駅を発車して降車駅に至る交通手段を前記運行状況データベースから特定して、前記降車駅の到着実績時刻を取得する実績取得部(13,313)と、前記実績取得部により取得された前記到着実績時刻と、前記予定取得部により取得された前記到着予定時刻との差分を算出し、前記差分を含む遅延情報を作成する遅延情報作成部(15,215)と、前記遅延情報作成部により作成された前記遅延情報を出力する出力部(19)と、を有する遅延情報取得システムである。
第2の発明は、第1の発明に記載の遅延情報取得システム(100,200,300)において、前記遅延情報作成部(15,215)は、算出した前記差分が正の値である場合に、前記遅延情報を作成すること、を特徴とする遅延情報取得システムである。
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明に記載の遅延情報取得システムにおいて、前記サーバ(1、201、301)は、駅ごとに入時刻から乗車可能になるまでの所要時間を記憶する記憶部(20、220)を有し、前記予測部は、前記乗車情報記憶部に記憶された前記入時刻及び前記乗車駅名と、前記記憶部に記憶された前記所要時間とに基づいて前記交通手段への乗車可能時刻を予測すること、を特徴とする遅延情報取得システムである。
第4の発明は、第1の発明から第3の発明までのいずれかに記載の遅延情報取得システム(100,300)において、前記乗車情報記憶部(35a,345a)は、前記利用者(P)が携行する情報記憶媒体(3,304)により備えられ、前記ゲート(5)は、前記利用者が前記情報記憶媒体を携行してそのゲートを出入りすることで、前記利用者の前記入時刻及び前記乗車駅名と、前記降車駅名とを前記情報記憶媒体に記憶させること、を特徴とする遅延情報取得システムである。
第5の発明は、第4の発明に記載の遅延情報取得システム(100,300)において、前記サーバ(1,301)の前記出力部(19)は、前記サーバに対して通信ネットワーク(N)を介して接続された前記降車駅の前記ゲート(5)に対して、前記遅延情報作成部(15)により作成された前記遅延情報を出力し、前記ゲートは、前記サーバの前記出力部によって出力された前記遅延情報を、前記利用者(P)が携行する前記情報記憶媒体(3,304)に記憶させること、を特徴とする遅延情報取得システムである。
第6の発明は、第1の発明から第3の発明までのいずれかに記載の遅延情報取得システム(200)において、前記乗車情報記憶部(225)は、前記サーバ(201)に備えられ、前記利用者(P)が携行する情報記憶媒体(203)には、前記利用者を特定する利用者IDが記憶されており、前記ゲート(205)は、前記利用者が前記情報記憶媒体を携行してそのゲートを出入りすることで、前記ゲートに対して通信ネットワーク(N)を介して接続された前記サーバに対して前記利用者IDを送信し、前記乗車情報記憶部は、受信した前記利用者IDに関連付けて前記入時刻及び前記乗車駅名と、前記降車駅名とを記憶すること、を特徴とする遅延情報取得システムである。
第7の発明は、第1の発明から第6の発明までのいずれかに記載の遅延情報取得システム(200)において、前記サーバ(201)の前記出力部(19)は、前記遅延情報作成部(215)により作成された前記遅延情報を、前記サーバに対して通信ネットワーク(N)を介して接続された端末(206)に出力すること、を特徴とする遅延情報取得システムである。
第8の発明は、第1の発明から第7の発明までのいずれかに記載の遅延情報取得システム(200)において、前記乗車情報記憶部(225)は、前記利用者(P)が前記降車駅の前記ゲート(205)を出た出時刻をさらに記憶し、前記実績取得部(13)により取得された前記到着実績時刻と、前記出時刻とを照合し、前記実績取得部により取得された前記到着実績時刻が正当なものであるか否かを判定する実績判定部(214)を備え、前記遅延情報作成部(215)は、前記実績判定部によって正当なものであると判定された場合に、その判定結果情報を前記遅延情報に含めること、を特徴とする遅延情報取得システムである。
第9の発明は、第1の発明から第8の発明までのいずれかに記載の遅延情報取得システム(300)において、前記利用者(P)が携行する携帯情報端末(304)が有する加速度センサ(349)により前記乗車駅の近傍での加速度を受け付ける加速度受付部(341)と、前記加速度受付部により受け付けた前記加速度に基づき、前記利用者が乗車した前記交通手段が発車したことを検知する検知部(342)と、を備え、前記実績取得部(313)は、前記検知部が検知したことに応じて、前記乗車情報記憶部に記憶された前記乗車駅を発車して降車駅に至る交通手段を前記運行状況データベース(24)から特定して、前記降車駅の到着実績時刻を取得すること、を特徴とする遅延情報取得システムである。
第10の発明は、第1の発明から第8の発明までのいずれかに記載の遅延情報取得システムにおいて、前記利用者が携行する携帯情報端末が有するGPS(Global Positioning System)の受信機能により前記乗車駅の近傍での位置情報を受け付ける位置受付部と、前記位置受付部により受け付けた前記位置情報の変位に基づき、前記利用者が乗車した前記交通手段が発車したことを検知する検知部と、を備え、前記実績取得部は、前記検知部が検知したことに応じて、前記乗車情報記憶部に記憶された前記乗車駅を発車して降車駅に至る交通手段を前記運行状況データベースから特定して、前記降車駅の到着実績時刻を取得すること、を特徴とする遅延情報取得システムである。
【0008】
第11の発明は、交通手段を利用する利用者(P)が乗車駅のゲート(5)に入った入時刻及び乗車駅名と、前記利用者の降車駅名とを記憶する乗車情報記憶部(225)と、交通手段の時刻表を記憶する時刻表データベース(22)と、前記交通手段の実際の運行状況を記憶する運行状況データベース(24)と、前記乗車情報記憶部に記憶された前記入時刻から前記交通手段への乗車可能時刻を予測する予測部(11)と、前記予測部により予測された前記乗車可能時刻の直後に前記乗車情報記憶部に記憶された前記乗車駅を発車して降車駅に至る交通手段を前記時刻表データベースから特定して、前記降車駅の到着予定時刻を取得する予定取得部(12)と、前記予測部により予測された前記乗車可能時刻の直後に前記乗車情報記憶部に記憶された前記乗車駅を発車して降車駅に至る交通手段を前記運行状況データベースから特定して、前記降車駅の到着実績時刻を取得する実績取得部(13)と、前記実績取得部により取得された前記到着実績時刻と、前記予定取得部により取得された前記到着予定時刻との差分を算出し、前記差分を含む遅延情報を作成する遅延情報作成部(215)と、前記遅延情報作成部により作成された前記遅延情報を出力する出力部(19)と、を備える遅延情報取得サーバ(200)である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
第1の発明は、乗車駅でのゲートへの入時刻から交通手段(主に電車)の乗車可能時刻を予測して、予測された乗車可能時刻と降車駅とから、時刻表データベースに基づいて乗車予定の交通手段を特定して到着予定時刻を求める。同様に、乗車可能時刻と降車駅とから、運行状況データベースに基づいて実際に乗車した交通手段とを特定して到着実績時刻を求める。そして、各々の到着時刻の差分を算出して遅延情報を作成するので、交通手段の遅延情報を簡単に取得することができる。
また、第1の発明は、入時刻、すなわち、利用者が乗車駅に到着した時刻に実際の移動時間を反映して、遅延時間を作成できる。このため、例えば、路線全体の遅延によって前後の交通手段がシフトして、利用者が乗車可能時刻に後発の交通手段に乗車し、到着時刻が遅延しなかった場合に、正確な遅延情報を作成できる。
さらに、第1の発明は、乗車駅名及び入時刻、並びに降車駅名の情報さえあれば、交通手段の遅延情報を作成できるので、少ない情報で遅延情報が作成できる。
【0010】
第2の発明は、差分が正の値である場合、つまり、実際に交通手段に遅延が発生している場合に遅延情報を作成する。よって、遅延情報が必要な場合のみ、遅延情報を作成して出力できる。
第3の発明は、入時刻と乗車駅名とに基づいて乗車可能時刻を予測する。よって、乗車駅ごとに乗車可能時刻を予測できるので、例えば、ターミナル駅のようにゲートからの距離が長い場合にも、その時間を反映して、より正確に乗車可能時刻を予測できる。
【0011】
第4の発明は、利用者が携行する情報記憶媒体に記憶された情報を利用するので、例えば、ICカードや携帯端末等の利用者が携行して現状利用しているもので実現できる。よって、情報記憶媒体を新たに用意する必要がなく、既存のシステムを利用できる。
また、第4の発明は、利用する情報がゲートによって記憶されるので、利用者からの入力を必要とせず、簡易に実現できる。
【0012】
第5の発明は、利用者が出た降車駅のゲートに対して作成した遅延情報を出力することで、例えば、ゲートに備えたリーダライタ機能を用いて利用者の情報記憶媒体に遅延情報を書き込むことができる。よって、例えば、ICカード等の利用者が携行する情報記憶媒体に、降車駅のゲートから遅延情報を書き込むことで、遅延情報を記憶させることができる。そして、遅延情報が記憶されたICカード等を勤怠管理のシステム等の他のシステムに利用する等、遅延情報を様々なシステムで活用できる。
【0013】
第6の発明は、利用者IDを乗車駅及び降車駅のゲートから取得することで、利用者IDからその利用者の乗車駅名、入時刻及び降車駅名の情報を得ることができるので、その利用者に関する最小限の情報によって、その利用者が利用した交通手段の遅延情報を作成できる。
第7の発明は、ネットワークを介して接続された端末に遅延情報を出力するので、例えば、利用者や利用者の勤務先等のシステムと連携することができ、作成した遅延情報を勤怠管理等に利用できる。
第8の発明は、利用者の出時刻の入力をさらに記憶し、出時刻と到着実績時刻とを照合することで、到着実績時刻が正当か否かを判定するので、実績取得部による処理が正当であるか否かを確認でき、遅延時間の算出の精度を向上できる。
【0014】
第9の発明は、利用者が携行する携帯情報端末が有する加速度センサによって、発車駅付近での加速度に基づいて交通手段の発車を検知し、実際に利用者が乗車した交通手段を特定するので、実際に利用者が乗車した交通手段を的確に特定でき、遅延時間の算出の精度を向上できる。
第10の発明は、利用者が携行する携帯情報端末が有するGPSの受信機能によって、発車駅付近での位置情報の変位に基づいて交通手段の発車を検知し、実際に利用者が乗車した交通手段を特定するので、実際に利用者が乗車した交通手段を的確に特定でき、遅延時間の算出の精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態に係る遅延情報取得システムの全体構成及び機能構成を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る遅延情報取得システムでの処理の概要を説明するための図である。
【図3】第1実施形態に係る時刻表データベース及び運行状況データベースの例を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る遅延情報取得システムの入場時の処理のフローチャートである。
【図5】第1実施形態に係る遅延情報取得システムの退場時の処理のフローチャートである。
【図6】図5の続きである。
【図7】第1実施形態に係る電車の遅延に関する運行パターンの例を示す図である。
【図8】第2実施形態に係る遅延情報取得システムの全体構成及び機能構成を示す図である。
【図9】第2実施形態に係る遅延情報取得システムの改札ゲートでの処理のフローチャートである。
【図10】第2実施形態に係る遅延情報取得システムのサーバでの処理のフローチャートである。
【図11】第3実施形態に係る遅延情報取得システムの全体構成及び機能構成を示す図である。
【図12】第3実施形態に係る遅延情報取得システムの入場後の処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、図を参照しながら説明する。なお、これは、あくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る遅延情報取得システム100の全体構成及び機能構成を示す図である。
遅延情報取得システム100は、サーバ1と、IC(Integrated Circuit)カード3と、改札ゲート5とを備えている。サーバ1と、改札ゲート5とは、通信ネットワークNを介して通信可能に接続されている。
【0018】
サーバ1は、利用者Pが乗車した電車(交通手段)の遅延時間を算出して、遅延情報を作成する。サーバ1は、利用者Pの乗車駅の駅名及び改札ゲート5に入った入時刻と、利用者Pの降車駅の駅名とを用いて、遅延情報を作成する。
サーバ1は、制御部10と、出力部19と、記憶部20とを備える。
制御部10は、サーバ1の全体を制御するCPU(中央処理装置)である。制御部10は、記憶部20に記憶されているオペレーティングシステム(OS)やアプリケーションプログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0019】
制御部10は、予測部11と、予定取得部12と、実績取得部13と、遅延情報作成部15とを備える。
予測部11は、利用者Pが乗車駅の改札ゲート5に入った時刻である入時刻に基づいて、乗車可能時刻を予測する。乗車可能時刻とは、改札ゲート5から電車のホームまでの利用者Pの移動にかかる時間を予測して算出する時刻である。予測部11による乗車可能時刻の予測は、入時刻に対して一律に定めた時間(例えば、3分)を加算する。
【0020】
予定取得部12は、予測部11で予測した乗車可能時刻の直後に乗車駅を発車して降車駅に至る電車を、時刻表データベース22(後述する)を参照して特定する。また、予定取得部12は、特定した電車が降車駅に到着する予定時刻である到着予定時刻を時刻表データベース22から取得する。
実績取得部13は、予測部11で予測した乗車可能時刻の直後に乗車駅を発車して降車駅に至る電車を、運行状況データベース24(後述する)を参照して特定する。また、実績取得部13は、特定した電車が降車駅に到着した時刻である到着実績時刻を運行状況データベース24から取得する。
【0021】
遅延情報作成部15は、実績取得部13で取得した到着実績時刻と、予定取得部12で取得した到着予定時刻との差分を算出する。この算出された差分が正の値であれば、遅延時間が発生したことになる。また、この差分が0又は負の値であれば、遅延時間が発生しないことになる。そして、遅延情報作成部15は、遅延情報を作成する。遅延情報とは、到着予定時刻に対する実際の到着実績時刻の遅れを、利用者が認識できる形態の情報をいい、例えば、算出した差分を含む、「09:00 A駅入場 09:31 E駅着 遅延時間5分」、等である。
【0022】
出力部19は、制御部10によって作成された遅延情報を出力する出力インタフェース部である。出力部19は、例えば、改札ゲート5に対して遅延情報を出力する。
記憶部20は、制御部10を実行するために必要なプログラム、情報等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶領域である。記憶部20は、時刻表データベース22と、運行状況データベース24とを記憶している。
【0023】
時刻表データベース22は、乗車駅及び降車駅に停車する電車を含む時刻表を記憶したデータベースである(図3(a)参照)。
運行状況データベース24は、時刻表データベース22に記憶されている電車の実際の運行状況を記憶したデータベースである(図3(b)参照)。運行状況データベース24に記憶された運行状況は、時刻表データベース22に記憶されている時刻表に対応している。つまり、時刻表データベース22に記憶されたある電車がどのように実際に運行されたかについては、電車を特定する例えば列車ID(電車番号)によって対応付けられ、その列車IDを、運行状況データベース24を参照することで確認できる。
【0024】
ICカード3は、例えば、鉄道やバス等の、公共交通機関を利用する際に運賃等として利用できるプリペイドカード式の乗車カードである。ICカード3は、乗車時に利用者Pが携行して、改札ゲート5のリーダライタ部52にかざす(タッチする)ことで、改札ゲート5との間で例えば磁界を利用して通信を行う。
ICカード3は、カード制御部30と、カード記憶部35と、通信インタフェース(I/F)部38とを備える。
【0025】
カード制御部30は、カード記憶部35に記憶されているOSやアプリケーションプログラムに従って各種の処理を実行するCPUである。
カード記憶部35は、カード制御部30が各種の処理を実行する上において必要なプログラムやデータ等を適宜記憶するようになされている。カード記憶部35は、乗車情報記憶部35aを有する。乗車情報記憶部35aは、乗車駅名、乗車駅の改札ゲート5に入った入時刻、降車駅名等の乗車情報を記憶する。また、カード記憶部35は、遅延情報等を記憶する記憶領域を有する。
通信インタフェース部38は、例えば、リーダライタ部52を介してカード記憶部35に記憶されている乗車情報を出力したり、遅延情報を入力したりするインタフェースである。
【0026】
改札ゲート5は、各駅の改札に設けられて、利用者Pの入場及び退場並びに運賃の管理を行うゲート型の装置である。改札ゲート5は、ゲート制御部50と、リーダライタ(R/W)部52と、ゲート記憶部55と、通信インタフェース部58とを備える。
ゲート制御部50は、ゲート記憶部55に記憶されているOSやアプリケーションプログラムに従って各種のゲートの処理を実行するCPUである。また、ゲート制御部50は、現在の日時を取得する日時取得機能を備える。日時取得機能は、ゲート制御部50が時計を有することで実現してもよいし、標準電波の送信局から送信される原子時計による日付・時刻情報のデジタル信号を受信することで実現してもよい。
【0027】
リーダライタ部52は、ICカード3とのインタフェースを行う。リーダライタ部52は、改札ゲート5への入場時には、ICカード3に対して乗車駅名及び入時刻を出力する。これにより、ICカード3は、カード記憶部35にそれらの情報を書き込むことができる。また、リーダライタ部52は、改札ゲート5からの退場時には、ICカード3に対して降車駅名を出力する。これにより、ICカード3は、カード記憶部35にその情報を書き込むことができる。
ゲート記憶部55は、ゲート制御部50が各種の処理を実行する上において必要なプログラムやデータ等を適宜記憶するようになされている。ゲート記憶部55は、改札ゲート5が設置されている駅名を記憶している。
通信インタフェース部58は、通信ネットワークNを介してサーバ1との通信を行うインタフェースである。
【0028】
通信ネットワークNは、例えば、改札ゲート5とサーバ1とを直接つなぐ専用回線であってもよいし、インターネット回線であってもよい。通信ネットワークNは、その一部が無線通信をするものであってもよい。
【0029】
次に、遅延情報取得システム100の処理について説明する。図2は、第1実施形態に係る遅延情報取得システム100での処理の概要を説明するための図である。図3は、第1実施形態に係る時刻表データベース22及び運行状況データベース24の例を示す図である。
【0030】
図2(a)は、ICカード3を携行した利用者Pが、A駅の改札ゲート5を通過する態様を示す。利用者Pは、改札ゲート5のリーダライタ部52(図1参照)にICカード3をかざすことで、A駅に入場する。ICカード3の乗車情報記憶部35aは、改札ゲート5から受け付けた乗車駅の駅名と、入時刻とを記憶する。図2(a)の場合、利用者Pは、9時ちょうどにA駅の改札ゲート5を通過しているので、カード記憶部35の乗車情報記憶部35aには、「A駅 09:00」が記憶される。
利用者Pは、目的地へ向かう電車の発車するホームに向かい、時刻表データベース22(図3(a))に記憶されている、「9:05」にA駅を発車する列車ID「JRE0003」に乗車しようと電車を待ち、到着した電車に乗る(図2(b))。
【0031】
ここで、図3について説明する。図3(a)は、時刻表データベース22の例を示す図である。時刻表データベース22は、電車を特定する列車IDをキーとして、駅ごとの発車時刻が記憶されている。この例では、時刻表データベース22には、発車時刻のみが記憶されているが、到着時刻と発車時刻とが異なる場合には、両方の時刻を記憶するようにしてもよい。
【0032】
図3(b)は、運行状況データベース24の例を示す図である。運行状況データベース24は、列車IDをキーとして実際に運行している電車の駅ごとの発車時刻がほぼリアルタイムに記憶されている。運行状況データベース24は、例えば、各列車から発車データが順次送られてくることで作成される。
その後、利用者Pの電車が目的地であるE駅に到着する。そして、その電車は、乗客の乗降が終了すると、E駅を発車する。図3(b)の例では、利用者Pが乗車した電車がE駅に到着して、その後発車したので、その発車時刻(t)が記憶されている。
【0033】
図2に戻り、図2(c)は、利用者PがICカード3を携行して、E駅の改札ゲート5を通過する態様を示す。利用者Pは、改札ゲート5のリーダライタ部52にICカード3をかざすことで、E駅を退場する。ICカード3の乗車情報記憶部35aは、改札ゲート5から受け付けた降車駅の駅名を記憶する。この例の場合、利用者Pは、9時43分にE駅の改札ゲート5を通過しているので、乗車情報記憶部35aには、「E駅」が追加され、「A駅 09:00 E駅」が記憶される。また、改札ゲート5とサーバ1との間を通信することで、次に説明する遅延情報が書き込まれて、カード記憶部35には、「遅延時間 10分」が記憶される。
【0034】
次に、遅延情報を作成する処理について説明する。図4は、第1実施形態に係る遅延情報取得システム100の入場時の処理のフローチャートである。図5及び図6は、第1実施形態に係る遅延情報取得システム100の退場時の処理のフローチャートである。
まず、入場時の処理について説明する。この入場時の処理は、利用者PがICカード3を携行して改札ゲート5を通過する際に、全ての処理が行われる。
【0035】
図4のステップS1において、利用者Pが携行したICカード3を改札ゲート5のリーダライタ部52に近づける(タッチする)ことで、ICカード3と改札ゲート5との間で非接触通信が行われ、ステップS2において、改札ゲート5のゲート制御部50は、ICカード3を受け付ける。その際、ゲート制御部50は、入場時の処理を行うか、退場時の処理を行うかの判断材料として、カード記憶部35の乗車情報記憶部35aに記憶された情報の有無を照会してもよい。
【0036】
ステップS3において、ゲート制御部50は、ゲート記憶部55に記憶された改札ゲート5が設置されている駅名と、日時取得機能により取得した現在の日時である入時刻とを出力する。その後、ゲート制御部50は、本処理を終了する。
ステップS4において、ICカード3のカード制御部30は、通信インタフェース部38を介して駅名及び入時刻を受け付ける。
ステップS5において、カード制御部30は、受け付けた駅名及び入時刻を、乗車情報記憶部35aに記憶する。その後、カード制御部30は、本処理を終了する。
【0037】
次に、退場時の処理について説明する。この退場時の処理は、利用者Pが入場時と同じICカード3を携行して改札ゲート5を通過する際に、全ての処理が行われる。
図5のステップS10において、利用者Pが携行したICカード3を改札ゲート5のリーダライタ部52に近づける(タッチする)ことで、ICカード3と改札ゲート5との間で非接触通信が行われ、ステップS11において、改札ゲート5のゲート制御部50は、ICカード3を受け付ける。
【0038】
ステップS12において、ゲート制御部50は、ゲート記憶部55に記憶された改札ゲート5が設置されている駅名を出力する。
ステップS13において、ICカード3のカード制御部30は、通信インタフェース部38を介して駅名を受け付ける。
ステップS14において、カード制御部30は、受け付けた駅名を、乗車情報記憶部35aに記憶する。
ステップS15において、カード制御部30は、乗車情報記憶部35aに記憶された乗車情報として乗車駅の駅名、入時刻及び降車駅の駅名を改札ゲート5に対して出力する。
ステップS16において、ゲート制御部50は、ICカード3から乗車情報を受け付けて、サーバ1に対して送信する。
【0039】
ステップS20において、サーバ1の制御部10は、乗車情報を受信する。
ステップS21において、予測部11は、受信した乗車情報に含まれる入時刻に基づいて、乗車可能時刻を予測する。図2及び図3の例の場合、入時刻は9時であり、入時刻に3分加算して、9時03分を乗車可能時刻として予測する。
ステップS22において、予定取得部12は、到着予定時刻を取得する。図2及び図3の例の場合、時刻表データベース22を参照して、乗車可能時刻である9時03分の直後にA駅を発車してE駅に行く電車として、列車IDが「JRE0003」を特定する。そして、E駅への到着予定時刻として、「09:30」を取得する。
【0040】
図6のステップS23において、実績取得部13は、到着実績時刻を取得する。図2及び図3の例の場合、運行状況データベース24を参照して、乗車可能時刻である9時03分の直後にA駅を発車してE駅に到着した電車として、列車IDが「JRE0003」を特定する。そして、E駅への到着実績時刻として、「09:40」を取得する。
ステップS24において、遅延情報作成部15は、到着実績時刻と、到着予定時刻との差分を算出する。図2及び図3の例の場合、到着実績時刻が「09:40」であり、到着予定時刻が「09:30」であるので、差分として「10分」が算出される。
【0041】
ステップS25において、遅延情報作成部15は、差分が正の値であるか否かを判定する。差分が正の値である場合(ステップS25:YES)には、遅延情報作成部15は、処理をステップS26に移す。他方、差分が正の値ではない場合(ステップS25:NO)には、遅延情報作成部15は、処理をステップS27に移す。
ステップS26において、遅延情報作成部15は、遅延情報を作成する。図2及び図3の場合には、「遅延時間 10分」との遅延情報を作成する。
ステップS27において、出力部19は、処理が終了した旨を、乗車情報を出力した改札ゲート5に対して出力する。その際、作成された遅延情報がある場合には、その遅延情報をあわせて出力する。その後、制御部10は、本処理を終了する。
【0042】
ステップS30において、改札ゲート5のゲート制御部50は、処理が終了した旨を受信する。そして、遅延情報が存在する場合には、ゲート制御部50は、リーダライタ部52を介してICカード3に対して遅延情報を出力する。その後、ゲート制御部50は、本処理を終了する。
【0043】
ステップS31において、遅延情報がある場合に、ICカード3のカード制御部30は、遅延情報を受け付ける。
ステップS32において、受け付けた遅延情報をカード記憶部35に記憶させる。その後、カード制御部30は、本処理を終了する。
【0044】
このように、遅延情報は、到着実績時刻と、到着予定時刻との差分が正の値である場合、つまり、実際に交通手段に遅延が発生している場合に作成される。よって、遅延情報取得システム100は、遅延情報が必要な場合のみ、遅延情報を作成してICカード3のカード記憶部35に記憶できる。
【0045】
上述の実施形態では、電車の遅延に関する運行パターンとして、時刻表どおりに運行されておらず、乗車駅で遅延しており、また乗車中も遅延が生じた場合を例に説明した。しかし、A駅からE駅に向かう場合の電車の遅延に関する運行パターンは、上述した実施例を含め少なくとも6通りが考えられる。図7は、第1実施形態に係る電車の遅延に関する運行パターンの例を示す図である。図7に示すように、上述したもの以外に、時刻表どおりに電車が運行している場合(パターン1)、時刻表どおりに電車が運行していないが、遅れている電車がその後の電車の時刻表と合っている場合(パターン2)、時刻表どおりに乗車駅を発車したが途中で遅れた場合(パターン3)、乗車駅での発車が時刻表より遅れているが、途中の運行では遅れがなかった場合(パターン4)、時刻表どおりに電車が運行していないが、遅れている電車がその後の電車の時刻表と合っており、途中の運行で遅れがある場合(パターン5)が考えられる。上記で説明した処理では、いずれのパターンであっても、遅延時間を正確に算出でき、遅延情報を作成できる。
【0046】
このように、遅延情報取得システム100は、乗車駅での改札ゲート5への入時刻から乗車可能時刻を予測して、予測された乗車可能時刻と降車駅とから、時刻表データベース22に基づいて乗車予定の電車を特定して到着予定時刻を求める。同様に、乗車可能時刻と降車駅とから、運行状況データベース24に基づいて実際に乗車した電車とを特定して到着実績時刻を求める。そして、各々の到着時刻の差分を算出して遅延情報を作成するので、電車の遅延情報を簡単に取得することができる。
また、遅延情報取得システム100は、入時刻、すなわち、利用者が乗車駅に到着した時刻に実際の移動時間を反映して、遅延時間を作成できる。このため、例えば、パターン2のように、前後の電車がシフトして、利用者Pが乗車可能時刻に後発の電車に乗り、到着時刻が遅延しなかった場合に、正確な遅延情報を作成できる。
さらに、遅延情報取得システム100は、乗車駅名及び入時刻、並びに降車駅名の情報さえあれば、電車の遅延情報を作成できるので、少ない情報で遅延情報が作成できる。
【0047】
また、遅延情報取得システム100は、利用者Pが携行するICカード3に記憶された情報を利用するので、新たに情報記憶媒体等を用意する必要がなく、既存のシステムを利用できる。
さらに、遅延情報取得システム100は、利用する情報が改札ゲート5によって記憶されるので、利用者Pからの入力を必要とせず、簡易に実現できる。
【0048】
また、遅延情報取得システム100は、利用者Pが出た降車駅の改札ゲート5に対して作成した遅延情報を出力することで、改札ゲート5のリーダライタ部52を用いて利用者PのICカード3に遅延情報を書き込むことができる。そして、遅延情報が記憶されたICカード3は、勤怠管理のシステム等の他のシステムに利用する等、遅延情報を様々なシステムで活用できる。
【0049】
(第2実施形態)
第1実施形態では、遅延情報を改札ゲートからICカードに書き込むものを説明した。第2実施形態では、改札ゲートからICカードに対して情報の書き込みを行わず、サーバに乗車情報を有して、別途パソコン等の端末によって遅延情報を取得するものを説明する。なお、以降の説明において、上述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0050】
図8は、第2実施形態に係る遅延情報取得システム200の全体構成及び機能構成を示す図である。
遅延情報取得システム200は、サーバ201と、ICカード203と、改札ゲート205と、PC(パーソナルコンピュータ)260を備える。
サーバ201が備える制御部210は、予測部11と、予定取得部12と、実績取得部13とを備える他に、実績判定部214と、遅延情報作成部215とを備える。
実績判定部214は、実績取得部13が取得した到着実績時刻と、改札ゲート205を出た時刻である出時刻とを照合して、到着実績時刻が正当なものであるか否かを判定する。
遅延情報作成部215は、実績判定部214での判定結果を含む遅延情報を作成する。
【0051】
サーバ201が備える記憶部220は、時刻表データベース22と、運行状況データベース24の他に、乗車情報記憶部225を備える。
乗車情報記憶部225は、改札ゲート205から受信した利用者IDに対応付けて、改札ゲート205から利用者IDに関連付けて受信した駅名と、改札ゲート205を通過した時刻とを記憶する。
【0052】
ICカード203のカード制御部230は、利用者Pを特定する識別情報として利用者IDを改札ゲート205に対して出力する制御を行う。
ICカード203のカード記憶部235は、利用者IDを記憶している。
改札ゲート205のゲート制御部250は、利用者Pの改札ゲート205への入場時及び退場時に、ICカード203のカード記憶部235に記憶された利用者Pの利用者IDを受け付ける。また、ゲート制御部250は、受け付けた利用者IDと、改札ゲート205が設置されている駅名と、利用者Pが改札ゲート205を通過した時刻とを、サーバ201に送信する。
【0053】
PC206は、サーバ201に対して通信ネットワークNを介して接続されている。PC206は、例えば、利用者Pのオフィスに設置されたパーソナルコンピュータである。PC206は、制御部260と、記憶部265と、表示部266と、入力部267とを備える。
制御部260は、記憶部265に記憶されているOSやアプリケーションプログラムに従って各種の処理を実行するCPUである。
記憶部265は、制御部260が各種の処理を実行する上において必要なプログラムやデータ等を適宜記憶するようになされている。
表示部266は、例えば、ディスプレイ装置であって、遅延情報を表示する。
入力部267は、例えば、キーボードやマウスであって、PC206に対して入力するための手段である。
【0054】
次に、遅延情報を作成する処理について説明する。図9は、第2実施形態に係る遅延情報取得システム200の改札ゲート205での処理のフローチャートである。図10は、第2実施形態に係る遅延情報取得システム200のサーバ201での処理のフローチャートである。
【0055】
まず、改札ゲート205での処理を説明する。
図9のステップS201において、利用者Pが携行したICカード203を改札ゲート205のリーダライタ部52(図8参照)に近づける(タッチする)ことで、ICカード203と改札ゲート205との間で非接触通信が行われる。そして、ICカード203のカード制御部230は、カード記憶部235に記憶されている利用者Pの利用者IDを出力する。その後、カード制御部230は、本処理を終了する。
【0056】
ステップS202において、改札ゲート205のゲート制御部250は、ICカード203を受け付けて、ICカード203から出力された利用者IDを受け付ける。
ステップS203において、ゲート制御部250は、受け付けた利用者IDと、改札ゲート205の駅名及び改札ゲート205を通過した時刻とをサーバ201に対して送信する。なお、改札ゲート205は、日時取得機能を有するものとして説明しているが、改札ゲート205が日時取得機能を有さない場合には、時刻を除く情報をサーバ201に対して送信してよい。そして、サーバ201が時刻を除く情報を受信した時刻を、改札ゲート205を通過した時刻として記憶してもよい。その後、ゲート制御部250は、本処理を終了する。
【0057】
ステップS210において、サーバ201の制御部210は、利用者IDと駅名及び時刻とを受信する。
ステップS211において、制御部210は、利用者IDに対応付けて駅名と時刻とを乗車情報記憶部225に記憶させる。その後、制御部210は、本処理を終了する。
【0058】
次に、サーバ201での処理について説明する。
図10のステップS220において、PC206が利用者IDを受け付けたことで、PC206の制御部260は、利用者IDをサーバ201に送信する。PC206での利用者IDの受け付けは、PC206にリーダライタを備え、ICカード203を挿入したり、リーダライタにタッチしたりすることで、ICカード203のカード記憶部235に記憶された利用者IDを受け付けてもよいし、キーボード等の入力部267から利用者Pの利用者IDを入力することで受け付けてもよい。
【0059】
ステップS221において、サーバ201の制御部210は、利用者IDを受信する。
ステップS222において、制御部210は、受信した利用者IDに対応付けられた乗車情報を、乗車情報記憶部225から読み出す。
ステップS223からステップS225までは、第1実施形態のステップS21からステップS23まで(図5及び図6参照)と同様である。
【0060】
ステップS226において、実績判定部214は、到着実績時刻と、乗車情報記憶部225に記憶された降車駅での時刻である出時刻とを照合し、到着実績時刻が正当なものであるか否かを判定する。正当なものであるか否かは、出時刻と、到着実績時刻との差が正の値であること、等により判断できる。正当なものであると判定された場合(ステップS226:YES)には、実績判定部214は、処理をステップS227に移す。他方、正当なものではないと判定された場合(ステップS226:NO)には、実績判定部214は、処理をステップS228に移す。
ステップS227において、遅延情報作成部215は、到着実績時刻と、到着予定時刻との差分を算出する。そして、判定結果が正当であったという判定結果情報と算出した差分とを含む遅延情報を作成する。その後、制御部210は、処理をステップS229に移す。
【0061】
ステップS228において、遅延情報作成部215は、到着実績時刻と、到着予定時刻との差分を算出する。そして、判定結果が不当であったという判定結果情報を含む遅延情報を作成する。
ステップS229において、制御部210は、作成された遅延情報を、出力部19を介して利用者IDが送信されたPC206に対して出力する。その後、制御部210は、本処理を終了する。
ステップS230において、PC206の制御部260は、遅延情報を受信する。そして、PC206の表示部266に遅延情報を表示する。なお、制御部260は、受信した遅延情報を、例えば、PC206に接続された印刷装置に出力してもよい。その後、制御部260は、本処理を終了する。
【0062】
このように、遅延情報取得システム200は、利用者IDを乗車駅及び降車駅の改札ゲート205から取得することで、利用者IDからその利用者の乗車駅名、入時刻及び降車駅名の情報を得ることができるので、その利用者の利用者IDだけで、その利用者が利用した電車の遅延情報を作成できる。
また、遅延情報取得システム200は、ネットワークを介して接続された端末であるPC206に遅延情報を出力するので、利用者Pや利用者Pの勤務先等のシステムと連携することができ、作成した遅延情報を勤怠管理等に利用できる。
さらに、遅延情報取得システム200は、利用者Pの出時刻と到着実績時刻とを照合することで、到着実績時刻が正当か否かを判定するので、実績取得部13による処理が正当であるか否かを確認でき、遅延時間の算出の精度を向上できる。
【0063】
(第3実施形態)
第1及び第2実施形態では、ICカードを使用した遅延情報取得システムについて説明した。第3実施形態では、携帯電話機等の情報通信端末にICカードと同等の機能を持たせた遅延情報取得システムについて説明する。
【0064】
図11は、第3実施形態に係る遅延情報取得システム300の全体構成及び機能構成を示す図である。
遅延情報取得システム300は、サーバ301と、携帯端末304と、改札ゲート5とを備える。
サーバ301の制御部310は、予測部11と、予定取得部12と、遅延情報作成部15の他、実績取得部313を備える。
実績取得部313は、電車の発車時刻に基づいて、乗車駅を発車して降車駅に至る電車を、運行状況データベース24を参照して特定する。また、実績取得部313は、特定した電車が降車駅に到着した時刻である到着実績時刻を運行状況データベース24から取得する。
【0065】
携帯端末304は、ループアンテナ(図示せず)を備え、改札ゲート5との通信機能を有するPDA(Personal Digital Assistants)、携帯電話機等の利用者Pが携行可能な携帯情報端末である。携帯端末304は、端末制御部340と、端末記憶部345と、表示部346と、入力部347と、通信インタフェース部348と、加速度センサ部349とを備える。
端末制御部340は、端末記憶部345に記憶されているOSやアプリケーションプログラムに従って各種の処理を実行するCPUである。端末制御部340は、加速度受付部341と、検知部342とを備える。端末制御部340は、改札ゲート5を通過したことを検知したことで、加速度センサ部349の機能を作動させる。
加速度受付部341は、加速度センサ部349が検知した加速度を受け付ける。
検知部342は、加速度受付部341が受け付けた加速度が一定値以上の場合や、加速度受付部341が受け付けた加速度が一定時間以上継続する場合であったことに応じて、その時刻を、電車が発車した発車時刻として取得して、端末記憶部345の乗車情報記憶部345aに書き込む。
【0066】
端末記憶部345は、端末制御部340が各種の処理を実行する上において必要なプログラムやデータ等を適宜記憶するようになされている。端末記憶部345は、乗車情報記憶部345aを有する。乗車情報記憶部345aは、乗車駅名、乗車駅の改札ゲート5に入った入時刻、発車時刻、降車駅名等の乗車情報を記憶する。
表示部346は、例えば、液晶ディスプレイ装置や有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイ装置である。
入力部347は、例えば、ボタンやキーであって、入力するための装置である。表示部346と入力部347とは、タッチパネルのように一体となっていてもよい。
【0067】
通信インタフェース部348は、例えば、無線通信等によってサーバ301との通信を行うためのインタフェースである。また、通信インタフェース部348は、例えば、リーダライタを介して端末記憶部345に記憶されている乗車情報を出力したり、遅延情報を入力したりするインタフェースである。
加速度センサ部349は、物体の加速度として速度の変化率を計測するための装置である。
【0068】
次に、処理について説明する。入場時の処理は、第1実施形態とほぼ同じ(図4参照)であって、ICカードに代わって、携帯端末304を用いて改札ゲート5を通過する。そして、端末制御部340は、改札ゲート5を通過した(タッチした)ことを検知したことで、加速度センサ部349の機能を作動させる。
【0069】
入場後の処理について、図12を用いて説明する。図12は、第3実施形態に係る遅延情報取得システム300の入場後の処理のフローチャートである。
ステップS311において、加速度受付部341は、加速度センサ部349から加速度を受け付ける。
ステップS312において、検知部342は、受け付けた加速度が一定値以上であるか否かを判断する。加速度が一定値以上である場合(ステップS312:YES)には、端末制御部340は、処理をステップS313に移す。他方、加速度が一定値未満である場合(ステップS312:NO)には、端末制御部340は、処理をステップS311に移す。
ステップS313において、端末制御部340は、検知部342が一定値以上の加速度を検知した時刻を発車時刻として、乗車情報記憶部345aに記憶させる。その後、端末制御部340は、本処理を終了する。
【0070】
最後に、退場時の処理について説明する。退場時の処理は、第1実施形態とほぼ同じ(図5及び図6参照)であって、ICカードに代わって、携帯端末304を用いて改札ゲート5を通過する。その際、乗車情報として、端末制御部340は、乗車情報記憶部345aに記憶された乗車情報として、乗車駅の駅名、入時刻、乗車時刻及び降車駅の駅名を改札ゲート5に対して出力する(図5のステップS15参照)。
【0071】
サーバ301では、到着実績時刻の取得(図6のステップS23参照)として、実績取得部313は、発車時刻に基づいて、乗車駅を発車して降車駅に至る電車を、運行状況データベース24を参照して特定する。また、実績取得部313は、特定した電車が降車駅に到着した時刻である到着実績時刻を運行状況データベース24から取得する。
その後の処理は、第1実施形態と同様である。
【0072】
このように、遅延情報取得システム300は、利用者Pが携行する携帯端末304が有する加速度センサ部349によって、発車駅付近での加速度に基づいて交通手段の発車を検知し、実際に利用者Pが乗車した電車を特定するので、実際に利用者Pが乗車した電車を的確に特定でき、遅延時間の算出の精度を向上できる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0074】
(変形形態)
(1)各実施形態では、予測部による乗車可能時刻の予測を、一律な時間に設定して説明したが、駅ごとに改札からホームまでの距離が異なるので、それらを勘案して時刻を予測してもよい。例えば、記憶部に駅ごとに加算する時間を記憶させておき、予測部が入時刻の他に、乗車駅の駅名を使用して、A駅は2分を加算し、B駅は5分を加算する等の、入時刻に対して駅ごとに定めた時間を加算してもよい。さらに、改札ゲートと乗車する電車のホームとの間の距離の情報を、駅ごとかつ改札ゲートごとに記憶部に有し、予測部がその距離の情報から加算する時間を算出して、算出した時間を入時刻に加算してもよい。
【0075】
(2)第3実施形態では、携帯端末に備える加速度センサによって発車時刻を特定した。しかし、これに限定されず、例えば、GPS(Global Positioning System)機能を用いて発車時刻を特定してもよい。その場合には、改札ゲートを通過したことでGPS機能を作動させ、一定時間ごとにGPSにおいて端末位置の座標を取得する。そして、座標間隔の移動距離が一定距離以上になった点における時刻を、発車時刻とすることで実現できる。
【0076】
(3)第1実施形態では、改札ゲートの退場時に、ICカードとサーバとの間で通信して遅延情報をICカードに書き込むものとして説明した。しかし、退場時には、降車駅の駅名のみを乗車情報記憶部に記憶して、別途、PC等の端末を利用してICカードの情報を取得して、PCからサーバにアクセスして遅延情報を取得するようにしてもよい。このようにすることで、利用者が改札ゲートを通過する時間内でサーバでの処理を終わらせなければならないという、時間の制約がない状態で、遅延情報を取得できる。また、利用者がICカードを勤務先の勤怠管理者に預けて、勤怠管理者がアクセスできるので、正確に勤怠管理ができる。
【0077】
(4)各実施形態では、電車を例に説明したが、改札ゲートを通過して乗車及び降車するような交通手段であれば、どのようなものであっても利用できる。
(5)第1及び第2実施形態では、ICカードを用いて非接触式の通信を行うものとして説明したが、それに限定されない。例えば、磁気カードを用いた接触式の通信を行うものでもよい。
【符号の説明】
【0078】
1,201,301 サーバ
3,203 ICカード
5,205 改札ゲート
10,210,310 制御部
11 予測部
12 予定取得部
13,313 実績取得部
15,215 遅延情報作成部
19 出力部
20,220 記憶部
22 時刻表データベース
24 運行状況データベース
30,230 カード制御部
35,235 カード記憶部
35a,225,345a 乗車情報記憶部
50,250 ゲート制御部
52 リーダライタ部
55 ゲート記憶部
100,200,300 遅延情報取得システム
206 PC
214 実績判定部
266 表示部
304 携帯端末
340 端末制御部
341 加速度受付部
342 検知部
345 端末記憶部
349 加速度センサ部
N 通信ネットワーク
P 利用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通手段を利用する利用者が出入りするゲートと、
前記利用者が乗車駅の前記ゲートに入った入時刻及び乗車駅名と、前記利用者の降車駅名とを記憶する乗車情報記憶部と、
前記利用者の遅延情報を処理するサーバと、
を備える遅延情報取得システムであって、
前記サーバは、
交通手段の時刻表を記憶する時刻表データベースと、
前記交通手段の実際の運行状況を記憶する運行状況データベースと、
前記乗車情報記憶部に記憶された前記入時刻から前記交通手段への乗車可能時刻を予測する予測部と、
前記予測部により予測された前記乗車可能時刻の直後に前記乗車情報記憶部に記憶された前記乗車駅を発車して降車駅に至る交通手段を前記時刻表データベースから特定して、前記降車駅の到着予定時刻を取得する予定取得部と、
前記予測部により予測された前記乗車可能時刻の直後に前記乗車情報記憶部に記憶された前記乗車駅を発車して降車駅に至る交通手段を前記運行状況データベースから特定して、前記降車駅の到着実績時刻を取得する実績取得部と、
前記実績取得部により取得された前記到着実績時刻と、前記予定取得部により取得された前記到着予定時刻との差分を算出し、前記差分を含む遅延情報を作成する遅延情報作成部と、
前記遅延情報作成部により作成された前記遅延情報を出力する出力部と、
を有する遅延情報取得システム。
【請求項2】
請求項1に記載の遅延情報取得システムにおいて、
前記遅延情報作成部は、算出した前記差分が正の値である場合に、前記遅延情報を作成すること、
を特徴とする遅延情報取得システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の遅延情報取得システムにおいて、
前記サーバは、駅ごとに入時刻から乗車可能になるまでの所要時間を記憶する記憶部を有し、
前記予測部は、前記乗車情報記憶部に記憶された前記入時刻及び前記乗車駅名と、前記記憶部に記憶された前記所要時間とに基づいて前記交通手段への乗車可能時刻を予測すること、
を特徴とする遅延情報取得システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の遅延情報取得システムにおいて、
前記乗車情報記憶部は、前記利用者が携行する情報記憶媒体により備えられ、
前記ゲートは、前記利用者が前記情報記憶媒体を携行してそのゲートを出入りすることで、前記利用者の前記入時刻及び前記乗車駅名と、前記降車駅名とを前記情報記憶媒体に記憶させること、
を特徴とする遅延情報取得システム。
【請求項5】
請求項4に記載の遅延情報取得システムにおいて、
前記サーバの前記出力部は、前記サーバに対して通信ネットワークを介して接続された前記降車駅の前記ゲートに対して、前記遅延情報作成部により作成された前記遅延情報を出力し、
前記ゲートは、前記サーバの前記出力部によって出力された前記遅延情報を、前記利用者が携行する前記情報記憶媒体に記憶させること、
を特徴とする遅延情報取得システム。
【請求項6】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の遅延情報取得システムにおいて、
前記乗車情報記憶部は、前記サーバに備えられ、
前記利用者が携行する情報記憶媒体には、前記利用者を特定する利用者IDが記憶されており、
前記ゲートは、前記利用者が前記情報記憶媒体を携行してそのゲートを出入りすることで、前記ゲートに対して通信ネットワークを介して接続された前記サーバに対して前記利用者IDを送信し、
前記乗車情報記憶部は、受信した前記利用者IDに関連付けて前記入時刻及び前記乗車駅名と、前記降車駅名とを記憶すること、
を特徴とする遅延情報取得システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の遅延情報取得システムにおいて、
前記サーバの前記出力部は、前記遅延情報作成部により作成された前記遅延情報を、前記サーバに対して通信ネットワークを介して接続された端末に出力すること、
を特徴とする遅延情報取得システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の遅延情報取得システムにおいて、
前記乗車情報記憶部は、前記利用者が前記降車駅の前記ゲートを出た出時刻をさらに記憶し、
前記実績取得部により取得された前記到着実績時刻と、前記出時刻とを照合し、前記実績取得部により取得された前記到着実績時刻が正当なものであるか否かを判定する実績判定部を備え、
前記遅延情報作成部は、前記実績判定部によって正当なものであると判定された場合に、その判定結果情報を前記遅延情報に含めること、
を特徴とする遅延情報取得システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の遅延情報取得システムにおいて、
前記利用者が携行する携帯情報端末が有する加速度センサにより前記乗車駅の近傍での加速度を受け付ける加速度受付部と、
前記加速度受付部により受け付けた前記加速度に基づき、前記利用者が乗車した前記交通手段が発車したことを検知する検知部と、
を備え、
前記実績取得部は、前記検知部が検知したことに応じて、前記乗車情報記憶部に記憶された前記乗車駅を発車して降車駅に至る交通手段を前記運行状況データベースから特定して、前記降車駅の到着実績時刻を取得すること、
を特徴とする遅延情報取得システム。
【請求項10】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の遅延情報取得システムにおいて、
前記利用者が携行する携帯情報端末が有するGPS(Global Positioning System)の受信機能により前記乗車駅の近傍での位置情報を受け付ける位置受付部と、
前記位置受付部により受け付けた前記位置情報の変位に基づき、前記利用者が乗車した前記交通手段が発車したことを検知する検知部と、
を備え、
前記実績取得部は、前記検知部が検知したことに応じて、前記乗車情報記憶部に記憶された前記乗車駅を発車して降車駅に至る交通手段を前記運行状況データベースから特定して、前記降車駅の到着実績時刻を取得すること、
を特徴とする遅延情報取得システム。
【請求項11】
交通手段を利用する利用者が乗車駅のゲートに入った入時刻及び乗車駅名と、前記利用者の降車駅名とを記憶する乗車情報記憶部と、
交通手段の時刻表を記憶する時刻表データベースと、
前記交通手段の実際の運行状況を記憶する運行状況データベースと、
前記乗車情報記憶部に記憶された前記入時刻から前記交通手段への乗車可能時刻を予測する予測部と、
前記予測部により予測された前記乗車可能時刻の直後に前記乗車情報記憶部に記憶された前記乗車駅を発車して降車駅に至る交通手段を前記時刻表データベースから特定して、前記降車駅の到着予定時刻を取得する予定取得部と、
前記予測部により予測された前記乗車可能時刻の直後に前記乗車情報記憶部に記憶された前記乗車駅を発車して降車駅に至る交通手段を前記運行状況データベースから特定して、前記降車駅の到着実績時刻を取得する実績取得部と、
前記実績取得部により取得された前記到着実績時刻と、前記予定取得部により取得された前記到着予定時刻との差分を算出し、前記差分を含む遅延情報を作成する遅延情報作成部と、
前記遅延情報作成部により作成された前記遅延情報を出力する出力部と、
を備える遅延情報取得サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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