説明

遊技台装置、表示制御方法、および、プログラム

【課題】簡易な構成により、盤面における対象物を検出し、検出した対象物に応じた効果的な演出表示を付与することのできる遊技台装置等を提供する。
【解決手段】盤面11の直下に表示面12が配置される。光ファイバ束14は、表示面12の裏側に一方の端部が接続され、表示面12へ照射する照射光、又は、表示面12から入射する入射光を導光する。分光器15は、光ファイバ束14の他方の端部に接続され、照射光及び入射光を分光する。画像投影部16は、分光器15を介して照射光を照射し、表示面12に任意の画像を投影する。検出部17は、分光器15を介して入射光を受光し、表示面12直上の盤面11におけるパックPの位置を検出する。画像生成部19は、検出されたパックPの位置に応じて、表示面12に投影させる画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易な構成により、盤面における対象物を検出し、検出した対象物に応じた効果的な演出表示を付与することのできる遊技台装置、表示制御方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ゲームセンター等において、プレイヤ同士が体感的なゲームを行うことのできる遊戯台装置が設置されている。例えば、遊技台装置として代表的なエアホッケー装置(エアホッケーゲーム装置)は、広範囲な年齢層のプレイヤから支持され、人気を博している。
このエアホッケー装置は、盤面に開設された無数の小さな吹出孔から空気(エアー)を噴出させ、円盤状のパックを僅かに浮かせることで、そのパックが盤面上をなめらかに移動できるようにしている。そして、盤面(長手方向)を挟んで対峙したプレイヤが、このようなパックを打ち合い、相手側のゴールに入れて、得点を競うというものである。
【0003】
このようなエアホッケー装置(遊技台装置)の従来技術として、プレイヤにゲームの進行状況等を適正に認識させて遊技性を効果的に向上させることのできる技術も開示されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−210466号公報 (第4−10頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1のエアホッケー装置では、透明な盤面下の傾斜板(各プレイヤに向けた各傾斜板)に表示部を配置することで、パックを目で追うプレイヤが見やすいように、得点等を表示できるようになっている。
この特許文献1の技術に代表されるように、従来において、表示部には、得点等が表示されるだけであり、ゲームの進行に沿った効果的な表示がなされているとは言えなかった。
プレイヤの多くは、得点表示等だけでなく、例えば、パック動きを強調するような演出表示により、ゲームを盛り上げてくれることを期待している。
【0006】
しかしながら、盤面上におけるパックの位置等を検出するには、各種センサを盤面外周の側壁等に配置する必要があるため、装置が大がかりとなってしまうことが予想される。そのため、盤面上におけるパックの検出から、演出表示までを簡易な構成で行いたいとの要望が寄せられていた。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、簡易な構成により、盤面における対象物を検出し、検出した対象物に応じた効果的な演出表示を付与することのできる遊技台装置、表示制御方法、および、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点に係る遊技台装置は、盤面、光ファイバ束、分光器、画像投影部、検出部、及び、画像生成部を含んで構成される。
【0009】
まず、盤面は、対象物(例えば、パック等)が移動自在に載置される透明な平板(例えば、ガラス板やアクリル板)等からなる。また、光ファイバ束は、光の透過率が高いガラスやプラスチック等からなる光ファイバが所定数束ねられてなり、当該盤面の裏側に一方の端部が接続され、当該盤面へ照射する照射光、又は、当該盤面から入射する入射光を導光する。また、分光器は、例えば、プリズムやハーフミラー等からなり、当該光ファイバ束の他方の端部に接続され、照射光及び入射光を分光する。また、画像投影部は、プロジェクタ等からなり、当該分光器を介して照射光を照射し、当該盤面に任意の画像を投影する。また、検出部は、例えば、CCD(Charge Coupled Device Image Sensor)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)等からなり、当該分光器を介して入射光を受光し、当該盤面における対象物の位置を検出する。そして、画像生成部は、検出された当該対象物の位置に応じて、当該盤面に投影させる画像を生成する。
【0010】
すなわち、盤面から入射し、光ファイバ束により導光され、分光器を介して受光される入射光に基づいて、盤面における対象物の位置を検出する。そして、検出された対象物の位置に応じて、例えば、対象物を強調したり、対象物の経路を示すような演出画像を生成すると、この演出画像が分光器を介して照射され、光ファイバ束により導光され、盤面に投影される。
この結果、簡易な構成により、盤面における対象物を検出し、検出した対象物に応じた効果的な演出表示を付与することができる。
【0011】
本発明の第2の観点に係る遊技台装置は、盤面上に移動自在に載置される対象物を、プレイヤ同士が打ち合うゲームを提供する遊技台装置であって、当該盤面は、透明な平面部材に複数の吹出孔が開設されており、表示面、空気供給部、光ファイバ束、分光器、画像投影部、検出部、及び、画像生成部を含んで構成される。
【0012】
まず、表示面は、当該盤面の直下に所定間隔を隔てて、当該盤面と水平に配置される透明な平板(例えば、ガラス板やアクリル板)等からなる。また、空気供給部は、コンプレッサ等からなり、当該盤面と当該表示面との間に空気を供給し、当該盤面の各吹出孔から所定圧の空気を吹き出させる。また、光ファイバ束は、当該表示面の裏側に一方の端部が接続され、当該表示面へ照射する照射光、又は、当該表示面から入射する入射光を導光する。また、分光器は、例えば、プリズムやハーフミラー等からなり、当該光ファイバ束の他方の端部に接続され、照射光及び入射光を分光する。また、画像投影部は、例えば、プロジェクタ等からなり、当該分光器を介して照射光を照射し、当該表示面に任意の画像を投影する。また、検出部は、例えば、CCDやCMOS等からなり、当該分光器を介して入射光を受光し、当該表示面直上の当該盤面における対象物の位置を検出する。そして、画像生成部は、検出された当該対象物の位置に応じて、当該表示面に投影させる画像を生成する。
【0013】
すなわち、盤面直下の表示面から入射し、光ファイバ束により導光され、分光器を介して受光される入射光に基づいて、盤面における対象物の位置を検出する。そして、検出された対象物の位置に応じて、例えば、対象物を強調したり、対象物の経路を示すような演出画像を生成すると、この演出画像が分光器を介して照射され、光ファイバ束により導光され、表示面に投影される。
この結果、簡易な構成により、盤面における対象物を検出し、検出した対象物に応じた効果的な演出表示を付与することができる。
【0014】
画像投影部及び検出部は、画像を投影するために行う照射光の照射と、対象物の位置を検出するために行う入射光の受光とを、時分割により順次切り替えて行ってもよい。例えば、盤面若しくは表示面に表示される画像の残像が残る範囲で交互に、照射と入射とを順次切り替える。
この場合、共通の光ファイバ束を通じて、照射光の照射と、入射光の受光とを双方向にて行うことができる。
【0015】
検出部は、光ファイバ束により導光される各入射光の光量の変化に基づいて、当該盤面における対象物の位置を検出してもよい。例えば、対象物が入射光を遮蔽する場合には、受光した光量の減少に基づいて、対象物の位置を検出する。逆に、対象物が入射光を反射する場合には、受光した光量の増加に基づいて、対象物の位置を検出する。
この場合、盤面における対象物の位置を適切に検出することができる。
【0016】
検出部は、当該盤面上を移動している対象物の進路を予測し、画像生成部は、当該予測された対象物の進路を表す画像を生成してもよい。例えば、対象物が所定領域(相手側のゴール近辺等)へ移動するまでの進路を予測し、その進路を線で示した進路画像を生成する。
この場合、表示される進路画像により、初心者等でも、移動してくる対象物を容易に把握することが可能となる。
【0017】
本発明の第3の観点に係る表示制御方法は、対象物が移動自在に載置される透明な盤面と、当該盤面の裏側に一方の端部が接続され、当該盤面へ照射する照射光、又は、当該盤面から入射する入射光を導光する光ファイバ束と、当該光ファイバ束の他方の端部に接続され、照射光及び入射光を分光する分光器と、画像投影部と、検出部と、画像生成部とを有する遊技台装置における表示制御方法であって、画像投影ステップ、検出ステップ、及び、画像生成ステップを含んで構成される。
【0018】
まず、画像投影ステップでは、当該分光器を介して照射光を照射し、当該盤面に任意の画像を投影する。また、検出ステップでは、当該分光器を介して入射光を受光し、当該盤面における対象物の位置を検出する。そして、画像生成ステップでは、検出された当該対象物の位置に応じて、当該盤面に投影させる画像を生成する。
【0019】
すなわち、盤面直下の表示面から入射し、光ファイバ束により導光され、分光器を介して受光される入射光に基づいて、盤面における対象物の位置を検出する。そして、検出された対象物の位置に応じて、例えば、対象物を強調したり、対象物の経路を示すような演出画像を生成すると、この演出画像が分光器を介して照射され、光ファイバ束により導光され、表示面に投影される。
この結果、簡易な構成により、盤面における対象物を検出し、検出した対象物に応じた効果的な演出表示を付与することができる。
【0020】
本発明の第4の観点に係るプログラムは、コンピュータ(電子機器を含む。)を、上記の遊技台装置として機能させるように構成する。
【0021】
このプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な情報記録媒体に記録することができる。
【0022】
上記プログラムは、当該プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、コンピュータ通信網を介して配布・販売することができる。また、上記情報記録媒体は、当該コンピュータとは独立して配布・販売することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、簡易な構成により、盤面における対象物を検出し、検出した対象物に応じた効果的な演出表示を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係るエアホッケー装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図2】(a)が外観図であり、(b)が側面から内部を透視した概要図である。
【図3】(a),(b)共に、盤面、表示面、及び、光ファイバ束の関係を説明するための模式図である。
【図4】(a)が表示面と光ファイバ束との接続を説明するための模式図であり、(b)が光ファイバ束と分光器との接続を説明するための模式図である。
【図5】分光器の分光の様子を説明するための模式図である。
【図6】表示面に表示される画像例を説明するための模式図である。
【図7】盤面、表示面、及び、検出部との関係を説明するための模式図である。
【図8】(a)が、盤面に置かれたパックと、検出部の対応する領域との関係を説明するための模式図であり、(b),(c)が具体的な入射光の強度分布(光量の分布)の一例を示す模式図である。
【図9】(a),(c)が、生成される画像の一例であり、(b),(c)が、パックの位置に応じて画像が表示される様子を説明するための模式図である。
【図10】本発明の実施形態に係る表示制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】他の実施形態に係る演出画像が表示される様子を示す模式図である。
【図12】他の実施形態に係る装置における盤面と光ファイバ束との関係を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下では、理解を容易にするため、ゲームセンター等に配置される遊技台装置(エアホッケー装置)に本発明が適用される実施形態を説明するが、家庭用のゲーム機や各種のコンピュータなどを用いて構成される遊技台装置においても同様に本発明を適用することができる。すなわち、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0026】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態に係る遊技台装置の一例となるエアホッケー装置の構成を説明するためのブロック図である。
また、図2(a)は、エアホッケー装置1の外観図であり、図2(b)は、エアホッケー装置1の長手方向の側面から内部を透視した概要図である。
このエアホッケー装置1は、図2(a)に示すように、盤面11上に移動自在に載置されたパックPをユーザ同士がマレットMを用いて打ち合い、相手側のゴールGに入れて得点を競うゲームを提供する装置である。
以下、これらの図を参照してエアホッケー装置1の概要を説明する。
【0027】
まず、図1に示すように、エアホッケー装置1は、盤面11と、表示面12と、空気供給部13と、光ファイバ束14と、分光器15と、画像投影部16と、検出部17と、制御部18と、画像生成部19とを含んで構成されている。
なお、これらの構成は、本発明を説明するための主な構成であり、エアホッケー装置1は、このような構成の他にも、ゲームを提供するための種々の構成を備えているものとする。例えば、エアホッケー装置1は、料金の投入を検出する料金検出ユニットや、パックPのゴールGへの通過(投下)を検出するゴール検出ユニット等も適宜備えている。
【0028】
盤面11は、例えば、ガラス板やアクリル板等の透明な平板からなり、図2(a)等に示すように、パックP等が載置される。
この盤面11には、図3(a)に示すように、小さな吹出孔Hが多数開設されている。そして、図3(b)に示すように、後述する空気供給部13から空気Kが供給されると、所定圧の空気を各吹出孔Hから噴出させ、盤面11上のパックPを僅かに浮かせることで、パックPが盤面11上を滑らかに移動できるようになっている。
【0029】
図1に戻って、表示面12は、盤面11の直下に所定間隔を隔てて、盤面11と水平に配置される透明な平板(例えば、ガラス板やアクリル板)等からなる。
この表示面12の裏側(下部)には、後述する光ファイバ束14の端部(一方の端部)が接続されている。このため、表示面12は、光ファイバ束14から導光される光(後述する照射光)を受け、裏側から画像が投影されるようになっている。なお、後述するように、表示面12への画像の投影(照射光の照射)は、時分割にて行われるため、画像の投影がなされていない間では、直上の盤面11を介した入射光を表示面12が受け、光ファイバ束14にて後述する分光器15(検出部17)へと導光可能となっている。
【0030】
図1に戻って、空気供給部13は、コンプレッサ等からなり、盤面11と表示面12との間に空気(エアー)を供給する。
つまり、空気供給部13は、図3(b)に示すように、空気Kを盤面11と表示面12との間に供給し、盤面11の各吹出孔Hから所定圧の空気を噴出させる。これにより、盤面11上のパックPを僅かに浮遊させることができる。
【0031】
図1に戻って、光ファイバ束14は、ガラスやプラスチック等からなる光ファイバを多数束ねたものであり、光(照射光や入射光)を導光する。一例として、光ファイバ束14は、光ファイバが等間隔に配置されて、まとめられた束となっている。
具体的に光ファイバ束14は、図4(a)に示すように、表示面12の裏側に一方の端部が接続され、また、図4(b)に示すように、分光器15の表側(上部)に他方の端部が接続されている。そして、後述するように、画像の投影(照射光の照射)と、入射光の受光とが、時分割により交互になされるため、光ファイバ束14は、画像の投影時に、照射光を表示面12へ導光し、パックPの検出時に、入射光を分光器15へ導光する。
【0032】
図1に戻って、分光器15は、プリズムやハーフミラー等からなり、光の分光を行う。
具体的に分光器15は、図5に示すように、ファイバ束14の他方の端部が接続されており、後述する画像投影部16から照射される照射光と、表示面12(盤面11)からファイバ束14を介して導光される入射光とを分光する。
【0033】
図1に戻って、画像投影部16は、カラープロジェクタ等からなり、後述する画像生成部19により生成された画像に基づいた照射光を、分光器15に向けて照射する。
つまり、画像投影部16は、分光器15を介して照射光を照射し、表示面12に任意の画像を投影する。例えば、図6に示すように、分光器15を介して照射された照射光が光ファイバ束14により導光されると、表示面12に裏側から文字画像G1やキャラクタ画像G2が投影される。このような文字画像G1やキャラクタ画像G2は、共に透明な表示面12及び盤面11を通して、プレイヤに視認可能に表示される。
【0034】
図1に戻って、検出部17は、例えば、CCD(Charge Coupled Device Image Sensor)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)等からなり、分光器15を介して入射光を受光し、入射光の強度(光量)を検出する。
具体的に検出部17は、図7に示すように、表示面12の各位置(光ファイバ束14における各光ファイバの端部)からそれぞれ入射した各入射光の強度を検出する。つまり、表示面12の直上となる盤面11の各位置の光の強度を検出する。なお、図7では、表示面12(盤面11)と検出部17との関係を分かり易く示しために、分光器15等は省略している。
【0035】
図1に戻って、制御部18は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及び、RAM(Random Access Memory)を含んで構成され、エアホッケー装置1全体を制御する。
例えば、制御部18は、画像投影部16や後述する画像生成部19を制御して、表示面12に任意の画像を表示させる。
また、制御部18は、検出部17により検出された入射光の強度に基づいて、盤面11におけるパックPの位置を検出する。すなわち、図8(a)に示すように、盤面11上にパックPが載置されていると、その位置に対応する検出部17の領域A1の入射光が遮られる。なお、パックPが盤面11上を僅かに浮遊していることや、盤面11と表示面12の間に所定の間隔が開いていることから、入射光が完全に遮られることはない。それでも、検出部17の領域A1にて受光する入射光の強度は、周囲の領域の入射光の強度と比べて極端に低下する。
つまり、光ファイバが等間隔なマトリクス状に配置された光ファイバ束14から導光された入射光は、図8(b),(c)に示すような強度分布の配列として検出される。なお、入射光の強度は、0〜127の範囲の値にて表され、パックPが盤面11上に無い場合には、図8(b)に示すように、表示面12(盤面11)に対応する各位置において、入射光の強度が100を超えているものとする。そして、パックPが盤面11上に置かれると、対応する位置の入射光の強度が極端に低下する(例えば、50以下等)ことが実験的に求められているものとする。
そのため、図8(c)に示すような強度分布が得られた場合、検出部17は、値が50以下の範囲(領域A1)を特定し、対応する表示面12(盤面11)の領域に、パックPが位置していると検出することができる。
【0036】
なお、制御部18は、画像投影部16や検出部17を制御して、照射光の照射と入射光の受光とを時分割にて交互に繰り返す。
つまり、プレイヤが、表示面12に表示(投影)される画像の残像が残る範囲で、交互に、照射光の照射と入射光の受光とを順次切り替える。すなわち、共通の光ファイバ束14を双方向(入出力)に使用し、時分割により、表示面12への画像の表示と、表示面12(盤面11)からの入射光の受光(より詳細には、パックPの位置検出)との双方を実現する。
【0037】
図1に戻って、画像生成部19は、制御部18に制御され、画像投影部16が照射する照射光の元となる画像を生成する。
例えば、画像生成部19は、制御部18が、盤面11におけるパックPの位置を検出すると、そのパックPの位置に応じて、演出効果が期待できる画像を生成する。具体的に、画像生成部19は、図9(a)に示すような、炎の画像G3を、検出したパックPの位置に対応して生成する。つまり、表示面12へ投影されると、図9(b)に示すように、パックPが火の玉と化しているように表示される。
この他にも、過去のパックPの位置と現在のパックPの位置との距離を時間で割り、パックPの速度を求め、その速度が基準よりも速かった場合に、画像生成部19は、図9(b)に示すような、稲光の画像G4を、検出したパックPの位置(現在の位置)に対応して生成する。つまり、表示面12へ投影されると、図9(c)に示すように、パックPが稲妻と化しているように表示される。
【0038】
(エアホッケー装置の動作の概要)
図10は、上述した構成のエアホッケー装置1において実行される表示制御処理の流れを示すフローチャートである。以下、本図を参照してエアホッケー装置1の動作について説明する。なお、この表示制御処理は、例えば、所定の料金が投入された後に開始される。
【0039】
まず、エアホッケー装置1は、パックPの位置を検出する(ステップS101)。
すなわち、検出部17は、時分割において画像を投影していない際に、表示面12(盤面11)から入射した入射光の強度を検出し、その入射光の強度データを制御部18に供給する。そして、制御部18は、入射光の強度データに基づいて、盤面11におけるパックPの現在位置を検出する。
具体的に制御部18は、上述した図8(c)に示すような、検出部17により検出された入射光の強度分布から、極端に強度が低下している範囲(領域A1)を特定し、対応する表示面12(盤面11)の領域に、パックPが位置していると検出する。
【0040】
エアホッケー装置1は、演出表示中であるか否かを判別する(ステップS102)。すなわち、既に演出表示を行っているかどうかを判別する。
エアホッケー装置1は、演出表示中であると判別すると(ステップS102;Yes)、後述するステップS105に処理を進める。
【0041】
一方、演出表示中でないと判別した場合(ステップS102;No)に、エアホッケー装置1は、演出表示を開始するか否かを判別する(ステップS103)。
例えば、制御部18は、プレイヤのマレットMにより、パックPが打たれたことを契機として演出表示の開始を判別する。具体的に制御部18は、検出したパックPの位置を所定数分(若しくは、所定時間分)蓄積し、パックPの移動方向を順次求める。そして、パックPの移動方向が壁(盤面11の周囲)以外で変化した場合に、パックPがマレットMにより打たれたことを検出し、演出表示の開始を判別する。
なお、演出表示の開始を判別する契機は、このようなパックPがマレットMにより打たれたことに限られず任意である。例えば、パックPがセンターライン(各陣地を分けるライン)を超えことを検出すると、それを契機に、演出表示の開始を判別してもよい。
エアホッケー装置1は、演出表示を開始しないと判別すると(ステップS103;No)、ステップS101に処理を戻し、上述したステップS101〜S103等を繰り返し実行する。
【0042】
一方、演出表示を開始すると判別した場合(ステップS103;Yes)に、エアホッケー装置1は、演出画像を表示する(ステップS104)。
例えば、画像生成部19は、上述した図9(a)に示すような炎の画像G3を、検出したパックPの位置に対応して生成する。そして、画像投影部16は、時分割において画像を投影する際に、画像生成部19が生成した炎の画像G3に基づく照射光を分光器15を介して照射し、光ファイバ束を通じて表示面12に炎の画像G3を投影する。これにより、上述した図9(b)に示すようなパックPが火の玉と化しているように表示される。
そして、エアホッケー装置1は、ステップS101に処理を戻す。
【0043】
また、上述したステップS102において、演出表示中であると判別した場合(ステップS102;Yes)に、エアホッケー装置1は、演出表示を終了するか否かを判別する(ステップS105)。
例えば、制御部18は、パックPが所定回数以上壁に衝突したことを契機に演出表示を終了する。具体的に制御部18は、上記と同様に検出されたパックPの位置を所定数分蓄積し、パックPの移動方向を順次求める。そして、パックPの移動方向が壁(盤面11の周囲)にて変化した回数をカウントし、その回数が所定回数を超えると演出表示の終了を判別する。
なお、演出表示の終了を判別する契機は、このような壁への衝突回数に限られず任意である。例えば、パックPの速度が基準よりも遅くなった場合に、演出表示の終了を判別してもよい。
エアホッケー装置1は、演出表示を終了しないと判別すると(ステップS105;No)、上述したステップS104に処理を進める。
【0044】
一方、演出表示を終了すると判別した場合(ステップS105;Yes)に、エアホッケー装置1は、演出表示を終了する(ステップS106)。すなわち、時分割において画像を投影するタイミングであっても、演出表示を行わない。
【0045】
エアホッケー装置1は、ゲームが終了したか否かを判別する(ステップS107)。すなわち、ゲーム開始から所定時間が経過した等、ゲームの終了要件となったかどうかを判別する。
エアホッケー装置1は、ゲームが終了していないと判別すると(ステップS107;No)、上述したステップS101に処理を戻す。
一方、ゲームが終了したと判別した場合(ステップS107;Yes)に、エアホッケー装置1は、表示制御処理を終える。
【0046】
このような制御処理において、盤面11直下の表示面12から入射し、光ファイバ束14により導光され、分光器15を介して受光される入射光(強度分布)に基づいて、盤面11におけるパックPの位置が検出される。そして、検出されたパックPの位置に応じて、演出効果が期待できる炎等の演出画像が画像生成部19にて生成され、分光器15を介して照射され、光ファイバ束14により導光されて、表示面12に投影される。
このようなパックPの位置に応じて適宜表示される画像によって、ゲームが盛り上がり、プレイヤのやる気も鼓舞される。
この結果、簡易な構成により、盤面12におけるパックP(対象物)を検出し、検出したパックPに応じた効果的な演出表示を付与することができる。
【0047】
(他の実施形態)
上記の実施形態では、パックPの位置に、演出画像を表示する場合について説明したが、演出画像を表示する位置は、パックPの位置に限られず任意である。
例えば、移動しているパックPの進路を予測し、その進路に沿って予測進路を表す演出画像を表示してもよい。
具体的に制御部18は、現過去のパックPの位置と現在のパックPの位置とから移動方向等を求め、パックPの未来の進路を予測する。なお、制御部18は、移動方向上の壁への入射角(衝突角度)等から、壁に衝突後の進路も予測するものとする。つまり、制御部18は、相手のゴールG付近へ移動するまでのパックPの進路を予測する。
そして、画像生成部19は、制御部18により予測された進路を線にて示した演出画像を生成する。具体的に、画像生成部19が生成した画像が、表示面12へ投影されると、図11に示すように、予測進路画像G5として表示される。
この場合、表示される予測進路画像G5により、初心者等でも、移動してくるパックPを容易に把握して打ち返すことが可能となる。
【0048】
上記の実施形態では、エアホッケー装置1を一例として説明したが、遊技台装置は、このようなエアホッケー装置1に限られず、他のゲームを提供する装置であってもよい。
例えば、ビリヤードや麻雀、そして、ツイスターゲーム等のように、盤面に対象物(ボール、牌、手足)を置くようなゲームを提供する装置にも適宜適用可能である。
一例として、ビリヤードの場合には、空気を吹き出す必要がないため、盤面11と表示面12とに分ける必要がなくなる。つまり、盤面11がそのまま表示面となる。
すなわち、図12に示すように、盤面11の裏側(下部)には、直接光ファイバ束14の端部(一方の端部)が接続される。
そのため、画像投影部16は、分光器15を介して照射光を照射し、盤面11に画像を直接投影することになる。また、検出部17は、盤面11の各位置(光ファイバ束14における各光ファイバの端部)からそれぞれ入射した各入射光の強度を検出することになる。
この場合も、盤面11から入射し、光ファイバ束14により導光され、分光器15を介して受光される入射光に基づいて、盤面11におけるボールの位置を検出する。そして検出されたボールの位置に応じて、演出効果のある画像を生成し、分光器15を介して照射され、光ファイバ束14により導光され、盤面11に投影される。
この結果、簡易な構成により、盤面11におけるボール(対象物)を検出し、検出したボールに応じた効果的な演出表示を付与することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上説明したように、本発明によれば、簡易な構成により、盤面における対象物を検出し、検出した対象物に応じた効果的な演出表示を付与することのできる遊技台装置、表示制御方法、および、プログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 エアホッケー装置
11 盤面
12 表示面
13 空気供給部
14 光ファイバ束
15 分光器
16 画像投影部
17 検出部
18 制御部
19 画像生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物が移動自在に載置される透明な盤面と、
当該盤面の裏側に一方の端部が接続され、当該盤面へ照射する照射光、又は、当該盤面から入射する入射光を導光する光ファイバ束と、
当該光ファイバ束の他方の端部に接続され、照射光及び入射光を分光する分光器と、
当該分光器を介して照射光を照射し、当該盤面に任意の画像を投影する画像投影部と、
当該分光器を介して入射光を受光し、当該盤面における対象物の位置を検出する検出部と、
検出された当該対象物の位置に応じて、当該盤面に投影させる画像を生成する画像生成部と、を備える、
ことを特徴とする遊技台装置。
【請求項2】
盤面上に移動自在に載置される対象物を、プレイヤ同士が打ち合うゲームを提供する遊技台装置であって、
当該盤面は、透明な平面部材に複数の吹出孔が開設されており、
当該盤面の直下に所定間隔を隔てて、当該盤面と水平に配置される透明な表示面と、
当該盤面と当該表示面との間に空気を供給し、当該盤面の各吹出孔から所定圧の空気を吹き出させる空気供給部と、
当該表示面の裏側に一方の端部が接続され、当該表示面へ照射する照射光、又は、当該表示面から入射する入射光を導光する光ファイバ束と、
当該光ファイバ束の他方の端部に接続され、照射光及び入射光を分光する分光器と、
当該分光器を介して照射光を照射し、当該表示面に任意の画像を投影する画像投影部と、
当該分光器を介して入射光を受光し、当該表示面直上の当該盤面における対象物の位置を検出する検出部と、
検出された当該対象物の位置に応じて、当該表示面に投影させる画像を生成する画像生成部と、を備える、
ことを特徴とする遊技台装置。
【請求項3】
前記画像投影部及び前記検出部は、画像を投影するために行う照射光の照射と、対象物の位置を検出するために行う入射光の受光とを、時分割により順次切り替えて行う、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技台装置。
【請求項4】
前記検出部は、光ファイバ束により導光される各入射光の光量の変化に基づいて、当該盤面における対象物の位置を検出する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の遊技台装置。
【請求項5】
前記検出部は、当該盤面上を移動している対象物の進路を予測し、
前記画像生成部は、当該予測された対象物の進路を表す画像を生成する、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の遊技台装置。
【請求項6】
対象物が移動自在に載置される透明な盤面と、当該盤面の裏側に一方の端部が接続され、当該盤面へ照射する照射光、又は、当該盤面から入射する入射光を導光する光ファイバ束と、当該光ファイバ束の他方の端部に接続され、照射光及び入射光を分光する分光器と、画像投影部と、検出部と、画像生成部とを有する遊技台装置における表示制御方法であって、
前記画像投影部が、当該分光器を介して照射光を照射し、当該盤面に任意の画像を投影する画像投影ステップと、
前記検出部が、当該分光器を介して入射光を受光し、当該盤面における対象物の位置を検出する検出ステップと、
前記画像生成部が、検出された当該対象物の位置に応じて、当該盤面に投影させる画像を生成する画像生成ステップと、を備える、
ことを特徴とする表示制御方法。
【請求項7】
対象物が移動自在に載置される透明な盤面、当該盤面の裏側に一方の端部が接続され、当該盤面へ照射する照射光、又は、当該盤面から入射する入射光を導光する光ファイバ束、当該光ファイバ束の他方の端部に接続され、照射光及び入射光を分光する分光器を有するコンピュータを、
当該分光器を介して照射光を照射し、当該盤面に任意の画像を投影する画像投影部、
当該分光器を介して入射光を受光し、当該盤面における対象物の位置を検出する検出部、
検出された当該対象物の位置に応じて、当該盤面に投影させる画像を生成する画像生成部、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−29750(P2012−29750A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170077(P2010−170077)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)