説明

遊技場管理システム

【課題】 遊技場の当日営業時間終了後、効率的に締め処理と試し打ちができる遊技場管理システムを提供すること。
【解決手段】 複数の遊技台と、各遊技台に対応して接続され、遊技台からの信号を収集し、信号履歴を記憶する信号収集手段と、信号収集手段と相互に通信可能な電気通信回線を介して接続され、信号収集手段に記憶された信号を複写して記憶する記憶手段と、信号を処理する情報処理手段を備えた管理サーバとを備えた遊技場管理システムであって、当日営業時間終了後に、前記信号収集手段からの信号を前記記憶手段に記憶し、当日の締めを行う締め処理手段と、前記遊技台での出力遊技媒体の出力数調整作業にともなう試し打ちの状況を監視する試行手段とを備えた遊技場管理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場の営業終了時間後の締め処理手段と、試し打ち手段に係る遊技場管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技場管理者は、営業時間終了後にその日の遊技台のデータを集計して、営業データを作成するいわゆる「締め処理」を行っている。その後、各遊技台の遊技媒体打込数や補給数、入賞回数等の遊技状態を調査し、入賞回数等の出力確率の高低により必要な遊技台の釘調整を行う。釘調整は、遊技台の釘の方向を微妙に調整しながら、実際に台を稼働させて「試し打ち」を行い、打込数、補給数や入賞回数等の出力確率を意図した通りに調整できたかどうかの確認をしながら行う。
【0003】
締め処理とは、各遊技台に対応して設置されている信号履歴の記憶手段から、その日の遊技媒体の打込数、補給数や、各種入賞口、すなわち、特賞口(いわゆる「大当たり」)や単なる入賞口等の入賞回数及び時間等のデータを管理サーバーが収集して、打込数の差、各入賞口での入賞確率等を営業データとして作成し、管理サーバーの記憶手段に記憶する。
【0004】
また、釘調整とは、遊技媒体としての遊技玉を用いる遊技台において、遊技玉が発射されて遊技盤を流下する際に接触する一定長さの釘の角度を変えることで、遊技玉の流下方向を変えて、各種入賞口への入賞確率を変更する調整である。釘調整によるこれら入賞確率の変更は、本来的に経験に基づいて行われ、釘調整の専門家が行う。釘調整後の入賞確率を確認するためには、多数の遊技球を試し打ちする必要がある。試し打ちは、遊技店の従業員が遊技球を発射するためのハンドル操作を行ったり、遊技台のハンドルを回転させた状態で固定したりする。試し打ちは、複数の従業員の監視下で遊技球を発射させ、試し打ち中に上皿の遊技球が不足した場合は、その都度、従業員が上皿に遊技球を補給して、補給した遊技球数を記録していた。そして、試し打ち終了後に、記憶した補給遊技球数と、入賞球として球箱に排出された遊技球数から、適切な釘調整が行われているかを判断している。
【0005】
釘調整は時間を要するため、当日営業時間終了後、迅速に行う必要があるが、従来から提案されているのは、締め処理及び釘調整にともなう試し打ちに関し、それぞれの業務における効率化等であり、締め処理と釘調整の関係についての迅速な処理方法についての提案例は見当たらない。それぞれ個別の処理に関しての効率化等に関しては以下の提案がある。
【0006】
締め処理については、遊技者が換金したカードにより遊技する場合のカード回収作業を効率的に行い、締め処理の円滑化による営業時間への影響を回避する方法が提示されている。提示された方法は、カード回収作業を閉店時に行う遊技場では、営業時間内での回収作業を極力不要とし、カード回収作業を閉店時に行わず翌営業日に行う遊技場では、遊技台の稼働率低下を回避する遊技用システムである(特許文献1等参照)。
【0007】
また、締め処理終了後の景品管理において、不正な入力を防止するため、締め処理実行後、翌日開店時間前までの入力履歴を記憶する手段と、その入力履歴を翌日開店時間以後に、入力端末に接続された遠隔の端末に備えられた出力手段に出力する方法の提案もある(特許文献2等参照)。
【0008】
釘調整にともなう試し打ちの効率化を図るものとしての提案は、遊技球を自動的に発射している期間等を定める発射条件、例えば、遊技球の発射開始後の発射終了条件として、設定した遊技球数、設定した時間、遊技球発射開始後の各種入賞口へ入賞回数等を設定して、発射条件設定手段によって設定した条件を充足するまで自動発射制御手段により遊技球を発射するようにして、試し打ちを自動化する方法がある。遊技店管理者が、所望する発射条件を設定するだけで、一定期間遊技球の自動発射を行うことができるようにしたので、従業員の監視が一切必要無くなり、作業効率を大幅に向上させることができる(特許文献3等参照)。
【特許文献1】特開2006−223405号公報
【特許文献2】特開2003−38814号公報
【特許文献3】特開2008−194507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
遊技店経営者にとって、営業時間終了後の締め処理と釘調整に伴う試し打ちは、重要な業務であるが、従来から、締め処理は、営業時間終了後の遊技者の景品交換作業や各種事務処理と、各遊技台に記憶された信号履歴データを管理サーバーで処理して当日の営業データを作成した後、釘調整と試し打ちが行われていた。釘調整と試し打ちは、遊技場に設置された多数の遊技台について行わなければならず、翌日の営業開始時間間際までかかる場合がある作業である。
【0010】
このため、釘調整は、当日営業時間の終了後、なるべく早くから行わなければならないが、釘調整にともなう試し打ちを行うことにより、遊技台に設置された信号収集手段に、試し打ちのデータが記憶されることから、試し打ちのデータが当日営業データに重複してしまい、正確な営業データが作成できなくなる。このため、締め処理が終了した後からでなければ、釘調整を開始できない。
【0011】
締め処理と釘調整の関係を効率化して、迅速に釘調整できるシステムは、締め処理後の不正入力防止や、試し打ちを効率よく行う方法等、個別の作業効率向上方法の提案はあるものの、締め処理と釘調整の関係については従来提示されていなかった。
【0012】
本発明の課題は、遊技場における遊技場管理システムを、当日営業終了後、一定の時間締め処理を正確に行うとともに、迅速に釘調整と試し打ちを行うことが出来るシステムとすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記課題を解決するために、営業時間終了後に各遊技台の信号収集手段に記憶された信号履歴情報を複写する記憶手段を設けることの有用性を見出し、迅速な釘調整と試し打ちが行える遊技場管理システムを完成するに至った。
【0014】
(1) 複数の遊技台と、前記各遊技台に対応して接続され、前記遊技台からの信号を収集し、信号履歴を記憶する信号収集手段と、前記信号収集手段と相互に通信可能な電気通信回線を介して接続され、前記信号収集手段に記憶された信号を複写して記憶する記憶手段と、信号を処理する情報処理手段を備えた管理サーバーと、を備えた遊技場管理システムであって、当日営業時間終了後に、前記信号収集手段からの信号を前記記憶手段に記憶し、当日の締めを行う締め処理手段と、前記遊技台での出力遊技媒体の出力数調整作業にともなう試し打ちの状況を監視する試行手段と、を備えた遊技場管理システム。
【0015】
(1)の発明に係る遊技場管理システムは、管理サーバーにおいて、各遊技台の当日の信号履歴データを信号収集手段から、別途設けられた記憶手段に複写して記憶し、この記憶された信号履歴データにより当日の営業データを作成するようにしている。各遊技台の信号履歴データを記憶手段に格納した後は、締め処理前でも釘調整にともなう試し打ちデータの信号を、信号収集手段により収集できるためである。また、試行手段では、釘調整にともなう試し打ちの信号履歴データを管理サーバーにより監視し、釘調整が適当かどうかの判断をする。
【0016】
各遊技台に備えられた信号収集手段は、遊技台が有する各種センサの出力信号を記録するものであり、遊技媒体の打込口や補給口、各種入賞口に取り付けられた遊技媒体センサにより、検知された信号を記録する。センサで検知された信号は、信号収集手段により収集され、信号収集手段に設けられた信号履歴記憶手段に記憶されている。この信号データが、遊技台の当日データとして処理される重要なデータである。従って、釘処理にともなう試し打ちのデータが重複すると、当日の営業データの作成ができなくなるので、試し打ちを行うためには、当日データを他に複写した後に行う必要がある。
【0017】
本発明では、信号履歴データを基に営業データを作成する締め処理手段と、遊技台の釘調整にともなう試し打ちの監視を行う試行手段とを有し、各遊技台の信号履歴データを収納する記憶手段を設け、遊技場におけるすべての遊技台の当日データを、当日営業時間終了後に記憶手段に格納して、当日の営業データは、記憶手段に格納されたデータにより処理を行うようにしている。各遊技台の信号履歴データを、記憶手段に収集するだけの処理は、短時間に行うことができるため、当日営業時間が終了した後に、迅速に釘調整と試し打ちを行うことができる。
【0018】
(2) 当日営業時間終了後に、前記信号収集手段からの信号を前記記憶手段に記憶した後に、当日の締めを行う締め処理手段と、前記遊技台での出力遊技媒体の出力数調整作業にともなう試し打ちの状況を監視する試行手段と、を並行して行う、(1)に記載の遊技場管理システム。
【0019】
(2)に記載の発明は、各遊技台からの信号履歴データを、記憶手段に記憶した後に、管理サーバーにおいて、当日の締めを行う締め処理手段と、遊技台での出力遊技媒体の出力数を調整し試し打ちの状況を監視する試行手段を並行して行う遊技場管理システムである。
【0020】
締め処理は、各遊技台の信号履歴データだけを収集して営業データを作成するものではなく、当日の営業終了時間まで遊技していた遊技者が、獲得した遊技媒体の景品交換を使用しての景品交換や、カードにより遊技していた遊技者は当日の遊技記録によりカードの処理が行われる。これらの処理も管理サーバーで情報を収集して当日の営業データを作成することになる。このため、各遊技台の信号履歴データを、記憶手段に記録したとしても、締め処理が完了するまでは、釘調整しても試し打ちの試行状況がわからず、効率の良い試し打ちができない。
【0021】
本発明では、遊技場管理システムにおいて、締め処理手段と試行手段を有しているので、各遊技台からの当日の信号履歴データを、記憶手段に記録した後は、記憶手段に記録したデータを遊技台の信号履歴データとして管理サーバーにより締め処理を行う。そして、管理サーバーのバックグラウンドで締め処理を行いながら、一方では、管理サーバーの端末機器の表示器に、試し打ちのデータを表示して、釘調整を行う。このように、締め処理手段と試行手段を並行して動作させることにより、当日営業時間終了後、迅速に釘調整と試し打ちを行うことができる。
【0022】
(3) 当日営業時間終了後に、前記信号収集手段からの信号を前記記憶手段に記憶した後、前記管理サーバーでは、前記記憶手段に記憶した各遊技台の情報により当日の締め処理を行う締め処理手段の実行と、前記遊技台での出力遊技媒体の出力数調整作業にともなう試し打ちの状況を監視する試行手段の実行とは、前記管理サーバーに備えられている端末機器から手動操作により行うことができる、(1)又は(2)のいずれかに記載の遊技場管理システム。
【0023】
(3)に記載の発明は、締め処理手段と試行手段を有する(1)又は(2)記載の遊技場管理システムにおいて、手動操作による入力により、締め処理手段と試行手段を実行することができるようにしたものである。通常、締め処理手段と試行手段は、営業の終了時間等を設定するこことにより自動的にそれぞれの手段が実行されるようにしているが、何らかのトラブルで遊技台の信号履歴データを修正する場合や、景品交換機の遊技者の遊技状況により営業時間外でも遊技台を動作させなければならない場合がある。このような非正常状態の場合には、手動操作による手入力により、各遊技台の信号履歴データを記憶手段に記録したり、信号履歴データ記録時間を遅らせたりすりことにより、円滑な遊技場管理ステムの運用を行うものである。
【0024】
また、締め処理を行いながらの試行手段の実行により、釘調整の監視をしていたとしても、締め処理手段の実行中に締め処理に付随する手作業での入力操作が必要な場合や、締め処理の状況表示が必要な場合がある。このような場合にも手操作による手入力により、締め処理したり、締め処理状況の表示器への表示に切り替えて対処できるようにし、より円滑な遊技場管理を行うことができるようにしている。
【0025】
(4) 前記遊技台での出力遊技媒体の出力数を調整し試行する試行手段が実行されたことによる、前記信号収集手段に記憶された情報は、翌日営業開始時間前に、前記信号収集手段から前記記憶手段に記憶された後、前記信号収集手段から消去される、(1)から(3)のいずれかに記載の遊技場管理システム。
【0026】
(4)に記載の発明は、釘調整にともなう試し打ちのデータが信号収集手段に記憶されたままだと、翌日、遊技者による営業データ情報となってしまうため、試し打ち終了後であって、翌日営業開始時間前に、記憶手段に記憶した後、信号収集手段から消去するものである。これにより、翌日の営業時間における遊技者の行った遊技の信号履歴データが正確に記憶されることになる。
【0027】
(5) 前記遊技台での出力遊技媒体の出力数調整作業にともなう試し打ちの状況を監視する試行手段が実行されたことによる、前記信号収集手段に記憶された情報と、翌日営業時間での前記信号収集手段に記憶された情報と、は対比可能である、(1)から(4)のいずれかに記載の遊技場管理システム。
【0028】
(5)に記載の発明は、釘調整にともなう試し打ちのデータを、記憶手段の一部に記憶する領域を設けて記憶し、翌日営業時間での遊技者がした遊技の信号収集手段に記憶されたデータを対比可能として、締め処理により集計した各遊技台の当日データと比較することができるようにしたものである。釘調整にともなう試し打ちは、限られた時間に、限られた出力媒体の試し打ちを行うものであり、実際に営業時間に行われる遊技者の遊技データと必ずしも一致するとは限らず、釘調整における経験から来る釘の調整に対しての修正は必要となってくる。したがって、この試し打ちデータと翌日データを比較することにより、釘調整での参考とし、意図する入賞確率となるよう釘調整の高精度化を図ることができる。
【0029】
また、各個別の遊技台におけるクセもあり、試し打ちのデータを蓄積することにより、各遊技台に特有の釘調整も可能となる。さらに、釘調整時の気温や湿度等の環境条件も同時に記録しておくことにより、温度差による膨張・収縮等の影響も考慮した釘調整ができる。釘調整は手作業で行う釘の角度の微妙な調整であり、蓄積された試し打ちデータとの比較しながら行うことは、釘調整にとって有効な方法である。
【発明の効果】
【0030】
本発明による遊技場管理システムによれば、記憶手段を備え、各遊技台の当日の信号履歴データを記憶できるので、当日営業時間終了後、短時間に各遊技台の当日遊技履歴データを、記憶手段に記憶でき、営業終了後に行われる釘調整にともなう試し打ちのデータと重複しない。また、遊技場の当日営業データ作成には、記憶手段に記憶した信号履歴データを使用するので、試し打ちの状況を監視しながら釘調整の判断をする試行手段と、締め処理手段を並行して行うことができ、当日営業時間終了後、迅速に釘調整作業を開始することができる。さらには、釘調整にともなう試し打ちの信号履歴データも、記憶手段に記憶することができるので、翌日営業データと比較することにより、高精度な釘調整が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
<実施例1>
【0032】
図1に、本発明に係る遊技場管理システムの概略図である。管理サーバー10に、LON(Local Operating Networks)通信により分散処理が行われ、LONルータにより各種遊技台や端末に接続されている。LON通信においては、管理サーバー10は中央監視装置の機能を有している。管理サーバー10に接続されている変換機20には終端抵抗30及びLONルータ40を接続している。LONルータ40からは、各種端末がLON通信により接続されている。各種遊技台はLONルータ40から、中継基板50及び収集基板60を介して接続され、遊技台としての複数のパチンコ台70や複数のスロットマシン80が存在している。遊技台の台側には、遊技媒体を貸し出すために、現金の投入口、カードリーダやICサンドを備えた台側玉貸機75(一般的に「台間サンド」等と呼ばれている)がある。さらに、LONにより、玉計数機90、メダル計数機100、玉・メダルリプレイ機110、自動販売機120が接続されている。自動販売機120には、カードでの商品購入ができるように、カードリーダ125が取り付けられている。
【0033】
LON通信のノードである端末機器には、それぞれニューロンチップが搭載され、端末機器自身がインプットされた条件で、中央監視装置と関係なく独自に判断して、端末機器のデータ記憶を含めて動作することができる。これにより、中央監視装置に集中していた各種指令系統が分散し、ネットワークのトラフィックを大きく低減し、それぞれの端末機器のトラブルがシステム全体に影響を及ぼさないシステムを構築する事ができる。
【0034】
また、管理サーバー10には、LAN(Loca Area Network)通信により、POS(Point Of Service)機器130、データ表示や管理サーバー10のオペレーション入力を行うデータ表示端末機器140が接続されている。
【0035】
管理サーバー10は、アプリケーションソフトを実装し、LON端末の設定、POS端末130や、表示用端末機器140の設定を行う。また、本発明における記憶手段としてのデータベース領域は、管理サーバー10に内蔵している。
【0036】
LONルータ40は、管理サーバー10と接続して、各LON端末と通信するためのルータである。
【0037】
中継基板50は、収集基板60とRS通信を行い、収集基板60から送られてきたパチンコ台70やスロットマシン80の台データ、サンドデータ、アラーム信号を管理サーバー10へ送信する。また、RS485プロトコルからLONプロトコルへの変換も行われる。
【0038】
収集基板60は、遊技台70等に取り付けられた各センサからの出力を検知して、入賞レベル、例えば、特賞信号、入賞信号A、B等や、確変信号、打込信号、補給信号を収集し、管理サーバー10に送信する。また、不正動作があった場合やトラブルが生じた場合のアラーム信号の送信も行われる。
【0039】
玉計数機90及びメダル計数機100では、遊技台から払い出された玉又はメダルを計数する。計数した玉数又はメダル数をレシートで発券したり、会員カードを使用している場合は貯玉又は貯メダルとしたりする処理を行う。玉計数機90及びメダル計数機100は、管理サーバーと通信し、計数した玉数又はメダル数、レシート発券数、貯玉又は貯メダルした場合の会員情報のやり取りを行う。
【0040】
玉・メダルリプレイ機110では、会員の貯玉から、パチンコ玉又はメダルを設定金額分払出す。払い出す場合、遊技場で設定した手数料が追加されるのが一般的である。また、LON通信により、管理サーバー10と通信して、会員情報を相互に送受信する。
【0041】
メンバーカードリーダー120は、会員カードに記録されている貯玉又は貯メダルを読み取り、相当の金額に換算して、商品を購入することができる。図1の例では、飲料水の自動販売機120と接続して、コーヒー、ジュースや健康飲料等の購入ができる。商品を購入した場合は、会員カードに記録されている貯玉数又は貯メダル数から、商品の金額に相当する数が引かれる。これらのデータは、管理サーバー10とLON通信により通信して、会員情報を相互に送受信する。
【0042】
データ表示端末機器140では、遊技場内に設置された各種遊技台のデータを、管理サーバー10のデータベースにアクセスして閲覧することができる。データ表示端末機器140と管理サーバー10は、LAN通信で相互に通信可能である。
【0043】
POS端末130では、玉計数機90又はメダル計数機100において発券されたレシート、ICコイン、会員カードに記録されている貯玉数やメダル数を読み取り、登録されている景品と交換する。景品は、例えば、たばこ、ジュール、CD、雑貨、食料品などである。
【0044】
図2は、遊技台としてのパチンコ台の具体例である。図2に示すように、パチンコ台Pの側方(通常は、隣接するパチンコ台の間)には台側玉貸機(一般的に「台間サンド」等と呼ばれている)Sが設置されている。台側玉貸機Sの前面には、硬貨投入口、ICカード挿入口、パチンコ玉をパチンコ台Pの上皿P2に供給する玉供給ノズルS1、各種表示ランプ、各種表示器、各種操作ボタン等が設けられている。上皿P2は、パチンコ台遊技台Pに供給するパチンコ玉を一時的に貯留する皿である。台側玉貸機Sの下方には、パチンコ玉を回収する玉回収部Rが、台側玉貸機Sと一体的に設置されている。玉回収部Rの前面には、回収部連結部4が連結される連結開口部R1が設けられている。
【0045】
パチンコ台Pの遊技盤P3では、遊技者により打ち込まれたパチンコ玉が流下するときに、例えば、風車5や釘6により、パチンコ玉の流下を妨害し、或いは誘導して、入賞口7へ一定の確率でパチンコ玉が入るように調整している。釘6は、部分的に図示した以外にも多数設置されている。この釘の角度を調整する釘調整が、遊技場管理者にとって営業重要な役割を果たす。この釘調整作業は、当日営業時間の終了後に行われ、釘調整と調整後の試し打ち作業を行う。このため、長時間を要し、当日営業終了後、迅速に行う必要がある。
【0046】
当日営業時間は、遊技場の開店時間から閉店時間までであり、閉店時間後に行う締め処理では、当日の各種生データを収集して演算処理を行い、営業データが作成される。営業データ作成により当日の締め処理が終了すると、各端末の当日記憶されたデータは消去され、翌日営業日の状態となる。当日営業日は、締め処理により翌日営業日となり、翌日の締め処理までの期間をいう。
【0047】
管理サーバー10内に設けられる記憶手段は、具体的には管理サーバー10の内蔵ハードディスクの一部の領域を割り当てる。図3に、記憶手段におけるデータベース200の構造を示す。データベース200は、データ領域210とログ領域220からなる。ログ領域220に記憶されたログ情報は、随時消去される。
【0048】
図4は、データ領域210の詳細を示す図である。データ領域210は、さらに当日の遊技台等のデータを収集して記憶する現在データ領域230と前日までの締め処理により集計された営業データを記憶している、過去データ領域240とに分割されている。過去データ領域240から現在データ領域230への複製212や、現在データ領域230のデータを過去データ領域240へ記録し保存する処理214は、必要に応じて行うことができる。現在データは、随時遊技台から収集され現在データ領域230に記録し、データ表示端末機器140に、遊技場での遊技状況を速報データとして表示することができる。図4に示した表示画面145は、表示内容の一例である。
【0049】
当日営業時間が開始されると、パチンコ台70及びスロットマシン80、サンド、POS端末130や、玉計数機90を初めとする周辺端末機器では、分散処理によりそれぞれの機器で処理が行われ、生データが記憶されている。管理サーバー10は、その生データを収集してデータベースの現在データ領域230に記録する。この記録された生データにより、速報データがデータ表示機器140に表示される。生データは随時周辺端末機器から送付され、現在データのファイルの更新が行われる。
【0050】
当日営業時間が終了すると、最終的な生データを現在データ領域230に収集してパチンコ台70からの生データ送信を停止し、各パチンコ台70での分散処理のみが行える状態とする。この手段はアプリケーションソフトにより自動的に行われるようにしてあるので、パチンコ台の釘調整とそれにともなう試し打ちは、当日営業時間終了後、迅速に行うことができる。当日の締め処理は、管理サーバー10の記憶手段として当日データ領域230に記録されたデータを基に行う。このため、締め処理にともなう処理時間を経過することなく、釘調整作業が可能となり、試し打ちデータは、当日データに加えられることがない。
【0051】
現在データ領域230のデータは、当日データ収集後、釘調整と並行して締め処理が行われるが、試し打ちデータは収集されないので、当日データのみで締め処理でき、当日の営業データを作成することができる。締め処理された営業データは、締め処理完了後、過去データ領域240に移行され、当日データを当日データ領域から消去して、翌日営業開始状態でスタンバイする。なお、過去データ領域240には、締め処理された営業データとともに、生データも同時に記録しておくことにより、後日、何らかの調査を必要とする場合に、生データとの比較による確認作業が行える。また、当日の営業日報、釘調整用の帳票などの日報を自動印刷し、紙ベースでの当日データ作成が行えるようにすることも可能である。一方、試し打ちされたデータは、釘調整完了後に遊技台での分散処理におけるデータ領域から個別に消去する。さらに、試し打ちデータの消去は、翌日営業開始時間の前までに実行すればよく、翌日営業開始時間の直前に、管理サーバー10による試し打ちデータ消去手段を設けることで、確実に試し打ちデータの消去が行われる。
<実施例2>
【0052】
実施例1では、当日営業時間終了後の締め処理及び釘調整にともなう試し打ちが、アプリケーションソフトの条件設定で自動的に行われるシステムとしていたが、締め処理や試し打ちは、常に遊技場のシステムが正常に動作しているとは限らず、遊技場のその時の状況に合わせて、時間を遅らせたり、トラブル等による修理やデータの訂正作業をしたりしなければならに場合がある。このような場合には、手動で締め処理開始時間や釘調整開始時間を設定することが必要となる。
【0053】
このような場合は、締め処理と試し打ちを手動で開始できるように、遊技場管理システムにおいて、手動設定に切り替えるようにする。図5は、手動設定画面300を示している。図5に示した手動設定画面300では、現在の時刻310と、営業時間320が表示される。これは、営業時間中に支援処理や試し打ちが行われることの無いように、時間確認をするためである。さらに、前回の締め処理終了時間330と何日の更新データ340かが表示される。そして、当日営業時間外であることや、遊技場の状況をみて、試し打ちモードボタン350や締め処理開始ボタン360を選択してクリックする。手動モードに切り替えた場合のキャンセルは、キャンセルボタン370をクリックすることにより行うことができる。
【0054】
手動モードにおける設定画面では、現在時刻310が画面に表示された当日営業時間320内であるときは、試し打ちモードボタン350及び締め処理開始ボタン360を無効とするように設定することもでき、誤操作を防止する。当日の営業時間は、別途設定画面により、変更することも可能である。
【0055】
このように、締め処理及び試し打ちを手動で設定できるようにしているため、遊技場における様々な状況に対応した遊技場管理システムとなり、柔軟かつ円滑な遊技場運営が可能となる
<実施例3>
【0056】
当日営業時間終了後の釘調整は、熟練した専門の作業員によって行われている。そして、釘調整後、パチンコ玉を試し打ちして、意図した通りの結果になっているかを確認している。確認作業は、多くのパチンコ玉を打つほど精度よく確認が行われるが、翌日営業開始時間前までに終了しなければならず、しかも多数の遊技台の釘調整が必要であり、さらには、釘調整の結果が試し打ちの結果、意図した通りにならなかった場合は、再度の釘調整を行わなければならない。従って、試し打ちされるパチンコ玉の数も自ずと限られてくる。
【0057】
このような場合には、試し打ちモードにより行われている試し打ちのデータを、記憶しておき、翌日データと比較できるようにする。これにより、翌日の実際のデータと試し打ちのデータが意図したとおりになっているかどうかの判断ができ、このデータを蓄積することにより、少ない試し打ちデータであっても、高精度に釘調整が可能となる。
【0058】
試し打ちデータは、翌日の当日データ領域230一部の領域に記憶する。これにより、当日データが、データ表示端末機器140に速報データとして表示されるときに、対応するパチンコ台の試し打ちデータも表示させれば、釘調整の結果を随時確認することができ、釘調整も高精度に行うことができるようになる。釘調整は、パチンコ台特有の性質によっても微妙に変えなければならず、気温や湿度等の外部環境によっても釘や台の膨張・収縮の程度が異なり、経験だけではカバーできない部分がある。
【0059】
従って、試し打ちデータを消去することなく、データベースに記憶して蓄積できるようにすることで、意図した結果を高精度に実現する釘調整が可能となり、さらには、釘調整の時間が短縮でき、効率的な釘調整が行われる。試し打ちデータは、翌日営業開始時間前に、管理サーが10により現在データ領域に設けた試し打ちデータ領域に記憶すると同時に、各パチンコ台の履歴記憶データ領域から消去される。そして、翌日営業に備えてスタンバイ状態となる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の遊技場管理システムを示す概略図である。
【図2】本発明を実施する遊技台の具体例を示す図である。
【図3】記憶手段のデータベース構造を示す図である。
【図4】データ領域の機能を説明する図である
【図5】手動操作モードでの画面表示例である。
【符号の説明】
【0061】
5 風車
6 釘
7 入賞口
10 管理サーバー
40 LONルータ
50 中継基板
60 収集基板
70 パチンコ台
80 スロットマシン
90 玉計数機
100 メダル計数機
110 玉・メダルリプレイ機
120 自動販売機
130 POS機器計数手段
140 データ表示端末機器
200 記憶手段のデータベース
210 データ領域
220 ログ領域
230 当日データ領域
240 過去データ領域
300 手動モード画面
350 試し打ちモードボタン
360 締め処理開始モードボタン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技台と、
前記各遊技台に対応して接続され、前記遊技台からの信号を収集し、信号履歴を記憶する信号収集手段と、
前記信号収集手段と相互に通信可能な電気通信回線を介して接続され、前記信号収集手段に記憶された信号を複写して記憶する記憶手段と、
信号を処理する情報処理手段を備えた管理サーバと、
を備えた遊技場管理システムであって、
当日営業時間終了後に、前記信号収集手段からの信号を前記記憶手段に記憶し、当日の締めを行う締め処理手段と、
前記遊技台での出力遊技媒体の出力数調整作業にともなう試し打ちの状況を監視する試行手段と、
を備えた遊技場管理システム。
【請求項2】
当日営業時間終了後に、前記信号収集手段からの信号を前記記憶手段に記憶した後に、当日の締めを行う締め処理手段と、
前記遊技台での出力遊技媒体の出力数調整作業にともなう試し打ちの状況を監視する試行手段と、
を並行して行う、請求項1に記載の遊技場管理システム。
【請求項3】
当日営業時間終了後に、前記信号収集手段からの信号を前記記憶手段に記憶した後、前記管理サーバでは、前記記憶手段に記憶した各遊技台の情報により当日の締め処理を行う締め処理手段の実行と、
前記遊技台での出力遊技媒体の出力数調整作業にともなう試し打ちの状況を監視する試行手段の実行と、
は前記管理サーバに備えられている端末機器から手動操作により行うことができる、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の遊技場管理システム。
【請求項4】
前記遊技台での出力遊技媒体の出力数を調整し試行する試行手段が実行されたことによる、前記信号収集手段に記憶された情報は、
翌日営業開始時間前に、前記信号収集手段から前記記憶手段に記憶された後、
前記信号収集手段から消去される、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の遊技場管理システム。
【請求項5】
前記遊技台での出力遊技媒体の出力数調整作業にともなう試し打ちの状況を監視する試行手段が実行されたことによる、前記信号収集手段に記憶された情報と、
翌日営業時間での前記信号収集手段に記憶された情報と、
は対比可能である、
請求項1から請求項5のいずれかに記載の遊技場管理システム。

【図2】
image rotate

【図5】
image rotate

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−119701(P2010−119701A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297301(P2008−297301)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(500436385)アイ電子株式会社 (15)
【Fターム(参考)】