説明

遊技機の入賞ライン表示装置

【課題】 遊技機の入賞ラインをライン状に均一に発光表示させる。
【解決手段】 シンボル表示窓4を形成した前面パネル18の裏面18aに、縦3本、横3本、斜め2本の合計8本の入賞ラインに対応してEL(エレクトロルミネッセンス)テープを固定する。保護パネル22を重ねてパネル枠24に組み込み、抑え片25をビス止めして一体化する。ビス29により、パネル枠24をスロットマシンの前扉に固定する。ELテープ15を電界発光させることによって入賞ラインの表示が行われ、シンボル表示窓4を通してシンボルとともに観察を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スロットマシンやパチンコ遊技機、あるいは、その他の遊技機のシンボル表示窓に併設された入賞ラインの表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特開平4−109977号公報や実公昭5−19100号公報等で知られるように、リールの回転が停止したときに、シンボル表示窓に1リール当たり3個ずつのシンボルが表示される3リール式のスロットマシンでは、横3本斜め2本の合計5本の入賞ラインを設定することができる。また、特開平6−39085号公報記載のように、1リール当たり1個ずつのシンボル表示を行う9個のリールを用い、これらを3行3列に並べた9リール式のスロットマシンではさらに縦3本の入賞ラインを追加した合計8本の入賞ラインの設定が可能である。
【0003】リールの回転が停止したとき、それぞれのリールによって表示されているシンボルは上記入賞ラインにしたがって組み合わされ、その組み合わせが入賞に該当しているか否かが判定される。複数の入賞ラインが設定されたスロットマシンでは、一般にゲームの開始に先立って投入されたメダルの枚数によって入賞ラインの有効化本数が決まるようになっている。例えば、上記3リール式スロットマシンの場合、メダルを1枚投入したときには中央の横ライン1本が有効化され、2枚投入したときには横3本、3枚投入したときにはさらに斜め2本を加えた合計5本の入賞ラインが有効化され、有効化された入賞ラインは入賞ライン表示装置によってプレイヤに表示される。
【0004】従来の入賞ライン表示装置は、各入賞ラインの両端に組み込んだLEDなどの発光素子を点灯させるものや、前記特開平4−109977号公報あるいは実公昭5−19100号公報記載のように、入賞ラインをライトガイドで構成し、その両端あるいは内部に組み込んだLEDの点灯によって入賞ライン全体をライン状に発光させる形態のものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】入賞ラインの両端で単に発光素子を点灯させるものは、製造が簡単ではあるが表示が分かりにくく、明るく表示しようとすると大型の発光素子を用いなくてはならないため、シンボル表示窓の厚み方向での組み込みスペースが増えるという難点がある。さらに、入賞ラインをライトガイドで構成してその両端から発光素子の光を入射させてライン状の発光表示を行うものは、発光素子の近傍はともかく、発光素子から離れた入賞ラインの中央部での表示が暗くなりがちで、入賞ライン全体を均一にライン状に表示することはきわめて困難である。また、表示の光量を大きくするにはやはり発光素子の大型化が避けられず、前記難点が生じてくる。
【0006】ライトガイドの長手方向に複数の発光素子を並べて組み込んだものでは、鮮明なライン表示が得られるが部品コストが高く、また組み立て作業も面倒でスロットマシンの製造コストを高くする。さらに、ライトガイド自体の厚みが大きくなるため、シンボル表示窓に埋め込む構造にするにしてもシンボル表示窓の厚み方向での組み込みスペースが大きくなるほか、シンボル表示窓に追加加工をしなくてはならず、作業性,コスト面での不利が大きい。なお、こうした不利は単にスロットマシンだけでなく、スロットマシンと同様の遊技形態をもつ遊技機、例えばパチンコ遊技機に入賞装置として組み込まれた遊技機なども含め、入賞ラインを備えた遊技機一般のものとなっている。
【0007】本発明は上記従来技術の欠点を一掃するためになされたもので、その目的は、均一な帯状又はライン状の発光表示が得られ、シンボル表示窓の厚み方向での組み込みスペースも小さくて済み、また製造も簡便な遊技機の入賞ライン表示装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために、薄い帯状にしたエレクトロルミネッセンステープ(Electroluminescence Tape: 以下、ELテープと略す)で入賞ラインを構成し、ELテープ自体の帯状の面発光を入賞ライン表示に用いたことを特徴とするものである。エレクトロルミネセンスは、蛍光体に電界を印加したときに蛍光体内にできた電界によって励起発光を生じる現象として知られており、例えばZnSなどの蛍光体物質を含む発光層の表裏間に直流あるいは交流電圧を印加することによって、蛍光体物質の種類に応じた色調の発光が得られる。
【0009】本発明に用いられるELテープは、支持体として例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)などのプラスチックシートを帯状にしたものが用いられ、全体の厚みも0.1mm以下と充分に薄く柔軟性に富んでいる。したがって、スロットマシンのシンボル表示窓に重ねて用いてもほとんど厚みの影響がなく、製造も容易である。また、ELテープの発光及び発光停止制御は駆動電圧のオン/オフで行うことができ、回路構成も複雑化することがない。
【0010】
【発明の実施の形態】図1に本発明を用いたスロットマシンの外観を示す。筐体2の前面に前扉3が組み付けられ、前扉3は内部の点検,メンテナンスに際して開放することができる。前扉3に3行3列に並んだ9個のシンボル表示窓4が設けられている。シンボル表示窓4はそれぞれ透明で、その各々から筐体2に設置された9個のリール5を観察することができる。各々のリール5の外周面には複数個,複数種類のシンボルが配列され、各リール5が停止したときには、そのうちの1個のシンボルだけがシンボル表示窓4を通して観察できるようになっている。
【0011】3行3列に並んだシンボル表示窓4を縦横3列,斜め2列に組み合わせるように8本の入賞ライン7a〜7hが設けられ、これらの入賞ライン7a〜7gによってシンボルの組み合わせ位置が決められている。すなわち、入賞ライン7a〜7hの全てが有効化されているときには、各リール5の回転が停止したときに、いずれか一本の入賞ライン上でのシンボルの組み合わせが入賞に該当していれば入賞となる。
【0012】入賞判定に際して有効化される入賞ラインの本数は、ゲームの開始に先立って投入されるメダルの枚数によって変わる。例えば、プレイヤがメダル投入口9から1枚のメダルを投入したときには、横3本の入賞ライン7a〜7cが有効化され、2枚投入時にはさらに縦3本の入賞ライン7d〜7fが有効化され、3枚投入時にはさらに斜め2本の入賞ライン7g,7hが有効化される。なお、周知のように、操作パネル10にはクレジットボタン,ベットボタン,精算ボタンなどの各種の操作ボタンが設けられており、1ゲームごとにメダルの投入操作をしなくても済むようになっている。
【0013】メダルの投入操作あるいは操作パネル10からのベットボタン入力によって入賞ラインの有効化本数が決まると、有効化された入賞ラインが帯状に発光表示される。したがって、プレイヤは有効化された入賞ラインを確認した上でスタートレバー11を操作してゲームを開始することができる。
【0014】スタートレバー11を操作すると9個のリール5が一斉に回転を開始し、適当な時間遅延の後にこれらはランダムな順番で停止する。各々のシンボル表示窓4から1個ずつシンボルが観察され、有効化された入賞ライン上でのシンボルの組み合わせが入賞パターンに該当しているときには、その入賞が得られている入賞ラインが点滅発光してプレイヤに報知する。そして、入賞の種類に応じた枚数のメダルが受け皿12に払い出され、あるいはクレジットに加算された後、入賞ラインの点滅発光が停止する。
【0015】入賞ライン7a〜7hそのものをライン状に発光させるために、入賞ライン7a〜7hはそれぞれELテープで構成されている。図2にELテープの外観を、図3にELテープの構造を示す。ELテープ15は帯状で柔軟性に富み、一端側に一対の電極16a,16bが設けられている。図3に示すように、ELテープ15は支持体15a上に導電層15b,誘電体層15c,発光層15d,誘電体層15e,導電層15fを順に積層させて構成され、その全体の厚みは数十〜数百μ程度の範囲内に抑えることができる。なお、導電層15fの上に電気的な絶縁及び物理化学的な耐久性を高めるために保護層を設けてもよい。
【0016】前記電極16aの一方は導電層15bに、他方は導電層15fに電気的に接続されている。このELテープ15は全体として不透明であるため、シンボル表示窓4と重ね合わされる部分を細くしてシンボルを観察ときに邪魔にならないようにしてあり、また電極16a,16bの部分は広幅にして結線作業が容易にできるようにしてある。
【0017】支持体15aにはPET(ポリエチレンテレフタレート)などのプラスチックシートを用いることができる。この支持体15a側が表示面となるときには、支持体15aに透明または半透明なものを用い、また導電層15b,誘電体層15cにも光透過性の高い材料を用いる。さらに、発光層15dの上層の誘電体層15eに透明なものを用い、導電層15fに光反射率の高い金属層(Ag,Alなど)を用いると明るい発光を得る上で効果的である。なお、導電層15f側を表示面とするときには、発光層15dの上層側に透明性をもたせればよい。
【0018】発光層15dは蛍光体であるZnS(硫化亜鉛)を含み、導電層15b,15f間に電圧を印加したときに発生する電界によって淡黄色〜黄橙色で発光する。このような電界発光を行う蛍光体物質としては、そのほかにZn(亜鉛)やS(硫黄)を基材にしたものを用いることができ、それぞれ蛍光体物質特有の色で発光させることができる。
【0019】効率的な電界発光のためには導電層15b,15f間の絶縁性を高くする必要があるが、ZnSを高誘電性の樹脂材料と混合して用い、導電層15b,15f間の電気的絶縁性を高めておけば、誘電体層15c,15eを省くことも可能で、全体の厚みを薄くする上で有利である。支持体15a上に上記各層を積層するには、塗布や貼り合わせ、又は真空蒸着やスパッタリングなどの適宜の手法が用られ、また必要に応じてこれらの手法を組み合わせて用いることができる。
【0020】図4及び図5にELテープ15を用いたシンボル表示窓部分の構造を示す。強化ガラス製の前面パネル18の裏面18a(筐体2の内部側に向いた面)に、ハッチングを付したように印刷などによる遮光性のマスキングが施され、素通しになった部分が3行3列に並んだ9個のシンボル表示窓4となる。なお、上記印刷の代わりに、薄い遮光性シートを切り抜いたマスク板を前面パネル18の裏面に重ねて用いたり、3行3列の開口を形成した不透明な枠体に、各々の開口を塞ぐように透明な板を固定したものを用いてもよい。また、個々のシンボル表示窓4を3行3列に区画せずに、前記裏面18aの外周部分だけをマスキングして一個のシンボル表示窓を形成し、このシンボル表示窓全体を通して各リール5のシンボルが観察できるようにしてもよい。
【0021】この前面パネルの裏面18aに、縦3列、横3列、斜め2列の合計8本のELテープ15が固定される。各々のELテープ15は、3行3列に並んだシンボル表示窓4を通して観察される範囲を越えて延長され、その両端はマスキングされた外縁部分にまで達する長さを有している。各ELテープ15をシンボル表示窓4と重なり合う部分で固定するには透明な両面テープが用いられるが、透明であれば他にセロテープや接着剤を用いることも可能である。
【0022】前面パネルの裏面18aにELテープ15を貼りつけるときの作業性を簡便にするために、図6に示すようにELテープ15の両端と前面パネルの裏面18aのそれぞれに、位置決め用のマーク19a,19bを付しておくとよい。また裏面18aにのみ、ELテープ15の両端形状に合わせた輪郭マーク20を付しておいてもよい。図5に示すように前扉3に前面パネル18を取り付けたときに、これらのマーク19b,20の位置が前扉3の開口3aの外側にくる場合には、これらを透明部分としてマスキングの印刷と同時に行うこともできる。
【0023】なお、前面パネル18としてアクリル樹脂のような透明なプラスチック板を用いることも可能で、この場合には、裏面にELテープ位置決め用のマークとして凹部や凸部を設けておくこともできる。特に、ELテープ15が全体的に嵌まり込むような凹溝を位置決め用のマークとして形成しておくと、ELテープ15の位置決めと固定作業が簡便になると同時に、ELテープ15の厚みの影響をなくす上で好都合である。
【0024】8本のELテープ15を固定した後、前面パネル18の裏面18aにはさらにアクリル樹脂製の透明な保護パネル22が重ね合わされ、これらはパネル枠24に収容される。保護パネル22はELテープ15が剥離しないように押さえつける作用を行う。保護パネル22の各辺にはそれぞれ切り欠き23が形成され、これらの切り欠き23によりELテープ15の電極16a,16bが露出するためリード線接続などの配線作業が容易になる。もちろん、切り欠き23の代わりに保護パネル22の適宜の個所に開口を開けておいてもよい。
【0025】前面パネル18及び保護パネル22をパネル枠24に嵌めた後、前面パネル18の表面側の左右2個所から抑え片25をパネル枠24にビス止めする。これにより、前面パネル18及び保護パネル22がパネル枠24と一体に連結され、結果的にELテープ15は2枚の透明パネルの間に挟持される。パネル枠24には矩形の開口24aが形成されるとともに、各辺にはそれぞれ開口26が形成され、この開口26を通してELテープ15の電極に接続されたリード線28(図5参照)を引き出すことができる。
【0026】なお、ELテープ15は前面パネル18の裏面18aと保護パネル22との間に挟持されるため、必ずしもELテープ15の全面を裏面18aに固定しなくてもよい。例えば、前面パネル18の裏面18aに施された遮光性のマスキング部分にELテープ15の両端だけを固定するのであれば、固定のために用いる両面テープや接着剤に不透明なものを用いることも可能となる。また、この際の接合,接着強度を高めるために、電極16a,16bが設けられた端部だけでなく、他方の端部も広幅にしておくとよい。
【0027】前面パネル18及び保護パネル22を組み付けた後、図5に示すようにパネル枠24の上下辺が前扉3の背面側にビス29で固定される。このビス止め作業を行うときに、前面パネル18や保護パネル22の破損を防ぐために、前面パネル18の表面側、前面パネル18と保護パネル22との間、保護パネル22とパネル枠24との間の適宜の個所に、四角枠形状をした弾性体を緩衝材として配設しておいてもよい。なお、ELテープ15は前面パネル18の表面側に設けることも可能であるが、使用中に剥離してくることを防ぐために透明なカバープレートで全体的に覆うのがよい。
【0028】前扉3にパネル枠24を固定すると、前扉3の開口3aから前面パネル18が露呈し、図1に示すようにシンボル表示窓4がELテープ15からなる入賞ライン7a〜7hとともに観察される。さらにシンボル表示窓4の奥には、透明な保護パネル22を通し、筐体2に設置されたリール5が観察され、リール5の外周面に付された1個のシンボルが観察されるようになる。入賞ライン7a〜7hを構成しているELテープ15は、一枚当たりの厚さがきわめて薄いため、前扉3やシンボル表示窓4回りの構造にほとんど影響を与えることがなく、従来のスロットマシンにも適用が容易である。
【0029】また、ELテープ15を図4あるいは図5に示す保護パネル22の前面側に固定し、その上に前面パネル18を重ねてからパネル枠24に固定することも可能である。なお、ELテープ15の位置決めのために、保護パネル22の前面側には固定位置を表すマーク,凹凸などを設けておくとよい。この例のように、ELテープ15を保護パネル22に固定しておけば、前面パネル18を単独で交換することができるようになる。前面パネル18には、前述したシンボル表示窓4のマスキング印刷のほかに、その機種に特有の表示、例えば入賞となるシンボルの組み合わせやオッズなどの情報を合わせて印刷することがあり、機種の変更時には前面パネル18の交換作業が必要となる。この際に、上記のように前面パネル18のみの交換ができるようにしておくと、特に入賞ラインの位置に変更を要しない場合には、ELテープ15をそのまま別機種のものにも利用できるようになる。
【0030】上記のように、8本の入賞ラインを8本のELテープ15で構成すると、ELテープ15が2〜4枚重ねで交差する部分が生じ、スロットマシンの正面から観察したときに下層側については発光表示が隠れてしまう。したがって、最上層のものについては正規のライン状表示が得られるのに対し下層側ではライン状表示が途切れ、表示にバラツキがでて好ましくない。
【0031】これを避けるには、図7に示すように、前面パネル18にELテープ15を貼りつけるときに予め各ELテープを交差部分で分断しておき、分断した各々が入賞ラインに沿って整列するように前面パネル18に貼りつける。交差部分にスペースを開けておき、そのスペースにはELテープの細片33を設けておく。そして、水平な入賞ラインを表示するときには、分断されたELテープ32a,32bと、細片33を同時に発光させればよい。細片33からのリード線は、細片33から放射状に設けられている他のELテープに沿って引き出しておけば、シンボル表示窓から目立たなくなる。なお、中央部の細片33については省略することも可能であり、もちろん分断したこれらのELテープを保護パネル22側に固定することもできる。
【0032】図8は、図4及び図5と同様に前面パネル18の裏面18aに8本のELテープ15を固定して保護パネル22との間に挟持する場合の他の例を示す。前面パネル18には遮光性のマスキングにより区画された9個のシンボル表示窓4が形成され、この9個のシンボル表示窓4を全体的に取り囲むように外周部分もマスキングされている。したがって、正面側から見たときには外周部分のマスキングで囲まれた内側が全体的な有効表示面となって、個々のシンボル表示窓4からはそれぞれリールの観察が可能となる。
【0033】ELテープ15のそれぞれは両端が有効表示面を越え、外周部分のマスキングしたところまで延長されている。そして、保護パネル36は有効表示面のサイズよりも大きく、かつELテープ15の少なくとも電極が設けられた側の端部を露呈させ得るように前面パネル18よりも小サイズにしてあり、有効表示面の外側で前面パネル18の裏面に接着により固定されている。これによれば、保護パネル36に切り欠きや開口などを設けずに電極16a,16bを露呈させることができ、またスロットマシンに組み込んで正面側から見たときに、保護パネル36の外縁がシンボル表示窓4を通して観察されることはない。
【0034】図9はELテープ15を固定する他の手法を示す。この例では、プラスチック製の四角枠形状をしたフレーム38が用いられ、ELテープ15をフレーム38に張り渡すようにその両端を接着で固定してある。ELテープ15はフレーム38の前面側に固定するようにしてもよい。貼りつけ位置を決めるために、フレーム38の各辺に図6に示すようなマークその他を施しておく。ELテープ15を固定したフレーム38は、前面パネル18の裏面に接着して固定される。フレーム38の接着位置を正しく決めることができるように、前面パネル18の裏面にフレーム38の4隅に対応するマークなどを設けておくのがよい。なお、フレーム38はプラスチック製のものに限られず、例えばアルミニウムなどの金属製とすることも可能で、ビス止めやクリップ金具を利用して前面パネル18と一体に結合するようにしてもよい。
【0035】以上、図示した実施形態をもとに説明してきたが、本発明は特許請求の範囲に記載された範囲内で、適宜に変更して実施することができる。例えば、ELテープとして全体的に透明なものを用い、ELテープの非発光時にシンボルを観察しやすくすることも可能である。また、ELテープの発光表示は、入賞ラインの有効化表示や、入賞が得られた位置のライン表示の他にも、デモンストレーション表示などにも利用することができ、その駆動形態にしても連続点灯,点滅のいずれでも適宜に決めることができる。なお、ELテープに文字やマークの切り抜きを施しておけば、文字やマークも合わせて表示することができるようになる。
【0036】本発明はまた、3リール式のスロットマシンはもとより、リールの個数や入賞ラインの本数に係わりなく実施することができるほか、CRTモニタなどを利用してリールを疑似的に画像表示するビデオタイプのスロットマシンにも実施可能である。さらに、外周にシンボルを配列したリールを用い、リールの回転停止時におけるシンボルの組み合わせによって入賞の有無を決めるようにした適宜の遊技機に本発明は適用可能で、このようなスロットマシン形態のものを入賞球装置として組み込んだパチンコ遊技機にも本発明は等しく用いることができる。
【0037】
【発明の効果】以上に述べたとおり、本発明では入賞ラインにELテープを用い、電圧の印加による電界発光によって入賞ラインの表示を行うようにしてあるため、入賞ラインが帯状に均一に発光して表示が見やすく、ディスプレイ効果を格段に高めることができる。また、ELテープは光ファイバーなどのライトガイドと比較して格段に薄くでき、発光表示のための別光源を全く必要としないことから薄くコンパクトにまとめることが可能で、シンボル表示窓回りの構造を大幅に変更せずに簡単に組み込むことができるようになり、製造コストを抑えるうえでも効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を用いたスロットマシンの外観図である。
【図2】ELテープの外観図である。
【図3】ELテープの層構成を示す説明図である。
【図4】シンボル表示窓部分の構造を示す分解斜視図である。
【図5】シンボル表示窓を含む前扉の要部概略断面図である。
【図6】前面パネルの裏面を示す概略図である。
【図7】ELテープの他の構成を示す説明図である。
【図8】ELテープの取付構造の他の例を示す概略図である。
【図9】ELテープの取付構造のさらに他の例を示す概略図である。
【符号の説明】
3 前扉
4 シンボル表示窓
5 リール
7a〜7h 入賞ライン
15 ELテープ
18 前面パネル
22 保護パネル
24 パネル枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】 外周面にシンボルが配列された複数のリールを回転させ、これらの回転が停止したときに予め設定された入賞ラインに沿って並んだシンボルの組み合わせによって入賞の有無が決められる遊技機において、前記入賞ラインを電圧の印加によって電界発光するエレクトロルミネッセンステープで構成するとともに、このエレクトロルミネッセンステープを前記リールの前面に配置された透明なシンボル表示窓を通して観察できるように固定し、その発光により、有効化された入賞ライン又は入賞が得られた入賞ラインの少なくともいずれかを表示するようにしたことを特徴とする遊技機の入賞ライン表示装置。
【請求項2】 前記エレクトロルミネッセンステープはシンボル表示窓から観察される範囲を越えて延長され、その延長した端部を広幅にして電圧印加用の電極を設けたことを特徴とする請求項1記載の遊技機の入賞ライン表示装置。
【請求項3】 前記シンボル表示窓を少なくとも2枚の透明パネルから構成するとともに、これらの透明パネルの間に前記エレクトロルミネッセンステープを挟持させ、一方の透明パネルにはエレクトロルミネッセンステープの端部に設けられた電圧印加用の電極を露呈させるための切り欠き又は開口を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の遊技機の入賞ライン表示装置。
【請求項4】 前記シンボル表示窓を、シンボル表示窓の有効表示面よりもサイズが大きい少なくとも2枚の透明パネルから構成するとともに、これらの透明パネルの間に前記エレクトロルミネッセンステープを挟持させ、一方の透明パネルはエレクトロルミネッセンステープの端部に設けられた電圧印加用の電極を露呈させるために他方の透明パネルよりもサイズを小さくしたことを特徴とする請求項1又は2記載の遊技機の入賞ライン表示装置。
【請求項5】 2枚の透明パネルの少なくとも一方に、エレクトロルミネッセンステープの位置決め用のマークを設けたことを特徴とする請求項3又は4記載の遊技機の入賞ライン表示装置。
【請求項6】 前記シンボル表示窓の奥に、シンボル表示窓の有効表示面よりもサイズが大きい四角枠形状をしたフレームを設け、このフレームの辺にエレクトロルミネッセンステープの両端を固定したことを特徴とする請求項2記載の遊技機の入賞ライン表示装置。
【請求項7】 外周面にシンボルが配列された複数のリールを回転させ、これらの回転が停止したときに予め設定された複数本の入賞ラインのうちのいずれかに沿って並んだシンボルの組み合わせによって入賞の有無が決められる遊技機において、前記複数の入賞ラインのそれぞれを電圧の印加によって電界発光するエレクトロルミネッセンステープで構成するとともに、これらのエレクトロルミネッセンステープを前記リールの前面に配置された透明なシンボル表示窓又はその背後に設けられた透明パネルに固定し、その発光により、有効化された入賞ライン又は入賞が得られた入賞ラインの少なくともいずれかを表示するようにし、かつ前記複数のエレクトロルミネッセンステープは互いに交差して重なり合う部分が分断して除去されていることを特徴とする遊技機の入賞ライン表示装置。

【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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