説明

遊技機の球払出装置

【課題】営業時に球抜き状態であり遊技ができないというトラブルを未然に防止するようにした遊技機の球払出装置を提供する。
【解決手段】流路切替弁16における揺動方向と平行な側面または該揺動方向と平行な側面に向き合う操作部材23の側面のいずれか一方にガイドピン22,22Aを突設すると共に他方に該ガイドピン22,22Aが遊挿する誘導溝27,27Aを形成し、誘導溝の上端をガイドピンが位置するとき流路切替弁が揺動不能にロックされ供給される遊技球を球払出通路17に導く上端固定部27aとし、誘導溝の下端をガイドピンが位置するとき流路切替弁の揺動が可能になり供給される遊技球を球抜き通路18に導く下端可動部27bとし、誘導溝の上端固定部と下端可動部との間に、ガイドピンの下端可動部から上端固定部への移動を許すが上端固定部から下端可動部への移動を阻止する規制片24を突設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球払出通路と、該球払出通路とは分岐して設けられる球抜き通路と、これら通路を切り替える流路切替弁と、該流路切替弁を操作する操作部材と、を備え、遊技球がない場合に流路切替弁が誤って球抜き状態のままに置かれることを防止できるようにした遊技機の球払出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の一種であるパチンコ遊技機はその本体枠に遊技盤が配設され、該遊技盤の前面には可変表示装置や入賞装置といった多くの盤面部品が装着されている。また、パチンコ遊技機の後側に、その上部に位置して球タンクが配設されると共にその下流側にタンクレールを介して球払出装置が装着されている。該球払出装置内には、球タンクから供給される遊技球を一個ずつ切って払い出す球送り部材が配設される球払出通路と、該球払出通路とは分岐され遊技球を遊技機の外部に排出するための球抜き通路と、供給される遊技球を球払出通路または球抜き通路間で切り替えていずれかに誘導する流路切替弁と、該流路切替弁を操作する操作部材と、が備えられている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
そして、例えばパチンコ遊技機をパチンコホールに新台として搬入する場合は、前記流路切替弁により球タンクから供給される遊技球が球払出通路側へ誘導されるように操作部材を設定する。この状態で、パチンコ遊技機を設置島に配設する。営業によりパチンコ遊技機が稼動している間は、前記操作部材を前記流路切替弁により球タンクから供給される遊技球が球払出通路側へ誘導されるようにしておく。営業が終了した後はパチンコ遊技機から一旦遊技球を前部抜く必要があるため、前記操作部材を操作し流路切替弁を前記球タンクから供給される遊技球が球抜き通路に導かれるように切り替えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4461448号公報(第5−8頁、図4乃至図8)
【特許文献2】特開2006−314648号公報(第7−12頁、段落0056乃至段落0060、図6、図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記球払出装置にあっては排出される遊技球を一個ずつ検出するにフォトセンサーが使用されている。このフォトセンサーは球払出装置のケース部が透明な樹脂材であると、外部の光を受け易くこれにより誤動作を起こす危険性があることから、一般に該ケース部を外部の光が通過し得ない不透明な樹脂材により成形するようにしている。このため、球払出装置を外部から見ても、球払出状態になっているか球抜き状態になっているか、すなわち、操作部材が球払出状態の位置にあるのか球抜き状態の位置にあるのかが判別し難かった。ただ、ケース部の表面に球払出状態か球抜き状態かの表示が示されたシールが貼着されている場合は判別し易いが、そのシールが汚れたり破損する等して見難くなると、解りずらい。そこで、仮に、流路切替弁が球抜き状態のまま放置されていると、営業時に球タンクから遊技球が供給されたとき、それら遊技球がそのまま球抜き通路に導かれてパチンコ遊技機の外部に排出されてしまい、遊技不能なトラブルが生ずるという課題が有った。
【0006】
本発明は上記課題を解決すべくなされたもので、たとえケース部が不透明な樹脂材により成形され、特に遊技球がないときであって球払出状態になっているか球抜き状態になっているかの判別がし難くいとしても、球払出状態に確実に保持できるようにして、営業時に球抜き状態のままとなり遊技ができないというトラブルを未然に防止するようにした遊技機の球払出装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため本発明に係る遊技機の球払出装置は、供給された遊技球を一個ずつ切って排出する球送り部材が配置される球払出通路と、前記球払出通路と分岐して設けられ前記供給される遊技球を遊技機の外部に排出するための球抜き通路と、前記球払出通路と球抜き通路との分岐部に設けられ上部で揺動自在に軸着されると共に揺動して前記供給された遊技球の流下方向を前記球払出通路または球抜き通路のどちらかに切り替える流路切替弁と、前記流路切替弁の一側に配置され手動により上下に摺動して前記流路切替弁を操作する操作部材と、を備えてなる遊技機の球払出装置であって、前記流路切替弁における揺動方向と平行な側面または該揺動方向と平行な側面に向き合う前記操作部材の側面のいずれか一方にガイドピンを突設すると共に他方に該ガイドピンが遊挿し内周面に沿って循環する誘導溝を形成してなり、前記誘導溝の上端を前記ガイドピンが位置するとき前記流路切替弁が揺動不能にロックされ前記供給される遊技球を前記球払出通路に導く上端固定部とし、前記誘導溝の下端を前記ガイドピンが位置するとき前記流路切替弁の揺動が可能になり前記供給される遊技球を前記球抜き通路に導く下端可動部とし、前記誘導溝の前記上端固定部と下端可動部との間に、前記ガイドピンの前記下端可動部から前記上端固定部への移動を許すが前記上端固定部から前記下端可動部への移動を阻止する規制片を突設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る遊技機の球払出装置は、前記流路切替弁における揺動方向と平行な側面または該揺動方向と平行な側面に向き合う前記操作部材の側面のいずれか一方にガイドピンを突設すると共に他方に該ガイドピンが遊挿し内周面に沿って循環する誘導溝を形成し、誘導溝の上端をガイドピンが位置するとき流路切替弁が揺動不能にロックされ供給される遊技球を球払出通路に導く上端固定部とし、誘導溝の下端をガイドピンが位置するとき流路切替弁の揺動が可能になり供給される遊技球を球抜き通路に導く下端可動部とし、誘導溝の上端固定部と下端可動部との間に、ガイドピンの下端可動部から上端固定部への移動を許すが上端固定部から下端可動部への移動を阻止する規制片を突設するようにしている。そこで、例えば球払出装置内に遊技球がない場合、操作部材を上下に摺動させる。仮にガイドピンが上端固定部に位置しているときは、該ガイドピンは規制片により動きが阻止されその位置から移動することがなく、操作部材がロック状態にある。すなわち流路切替弁が、供給される遊技球を球払出通路へ誘導する状態でロックされている。これに対し、ガイドピンが下端可動部に位置しているときは、該ガイドピンを他方である上端固定部に移動させることにより、その上端固定部で前記と同様に流路切替弁がロックされる。このように、操作部材を上下に摺動して該操作部材がロックされる位置で保持するようにすれば、必ず流路切替弁は供給される遊技球を球払出通路へ誘導する状態でロックされる。よって、たとえ球払出装置のケース部が光を通過し得ない不透明な樹脂材で成形され内部が球払出状態か球抜き状態か判別し難くても、操作部材を上下動させてロックされる状態で保持すれば良く、これにより営業時に球抜き状態が生ずるトラブルを未然に防止できるという効果が有る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明が適用されるパチンコ遊技機の背面図。
【図2】球払出装置の分解斜視図。
【図3】操作部材部位の斜視図。
【図4】(イ)は球払出装置の縦断面図、(ロ)は操作部材とガイドピンとの関係を示す説明図、(ハ)は同じく操作部材を断面にして示す説明図。
【図5】(イ)は球払出装置の縦断面図、(ロ)は操作部材とガイドピンとの関係を示す説明図、(ハ)は同じく操作部材を断面にして示す説明図。
【図6】(イ)は球払出装置の縦断面図、(ロ)は操作部材とガイドピンとの関係を示す説明図、(ハ)は同じく操作部材を断面にして示す説明図。
【図7】(イ)は球払出装置の縦断面図、(ロ)は操作部材とガイドピンとの関係を示す説明図、(ハ)は同じく操作部材を断面にして示す説明図。
【図8】(イ)は図4(イ)のX−X線断面図、(ロ)は図4(イ)のY−Y線断面図。
【図9】他の実施の形態に係る球払出装置の分解斜視図。
【図10】(イ)は操作部材とガイドピンとの関係を示す説明図、(ロ)は同じく操作部材を断面にして示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るパチンコ遊技機の球払出装置の最良の実施の形態を図面に基づき詳しく説明する。なお、本発明はパチンコ遊技機、アレンジボール機または雀球遊技機等の遊技機に適用されるが、そのうちの一例としてパチンコ遊技機について説明する。図1は本発明が適用されるパチンコ遊技機の背面図、図2は球払出装置の分解斜視図、図3は操作部材部位の斜視図である。先ず、本発明が適用されるパチンコ遊技機について説明する。
【0011】
パチンコ遊技機Pは、縦長長方形状の外枠1の前面に内枠2が開閉自在に装着され、該内枠2に遊技盤3が配設されると共に内枠2の後面側に機構板4が開閉自在に軸着されている。遊技盤3の後面には、合成樹脂製の入賞球集合カバー5が装着される。また、図示は省略するが、例えば内枠2の前面に、遊技盤3の上部前面を覆う透明板保持枠と、遊技盤3の下部前面を覆いかつ打球発射部へ供給される遊技球としてのパチンコ球を貯留する球受皿を設けた前板と、が装着されている。
【0012】
機構板4の後面上部であってパチンコ遊技機Pを後面側から見た左側寄りに、球タンク6が配置される。この球タンク6に、パチンコ遊技機Pの上方に配設される遊技球補給経路(図示せず。)からパチンコ球が補給されることになる。また、球タンク6の一側に球供給樋としてのタンクレール7が接続され、該タンクレール7の下流端に屈曲レール8を介して本発明に係る球払出装置9が配置される。更にまた、該球払出装置9の下方には、該球払出装置9から払い出された賞球としてのパチンコ球または遊技者が遊技をするために借りる貸球としてのパチンコ球を排出するための球排出樋10と、球タンク6を初めパチンコ遊技機P内のパチンコ球をパチンコ遊技機Pの外部に排出するための球抜き樋11と、が形成される。球排出樋10はパチンコ遊技機P前側の球受皿に連なっており、球払出装置9から排出される賞球または貸し球としてのパチンコ球を球受皿に排出させる。一方、球タンクや球払出装置9内のパチンコ球を球抜きする場合は、球抜き樋11から排出する。
【0013】
次に、球払出装置9について説明する。該球払出装置9は、図2に示すように主ケース部12の一側に従ケース部13がネジ止めにより一体に組み付けられ、図4(イ)に示すように主ケース部12内であってその上部に球供給通路14が設けられ、その上端開口14aが前記屈曲レール8と連通している。該球供給通路14の下端は、一側に屈曲してその部位が分岐部15になっている。該分岐部15には、上端で軸着され自在に揺動する流路切替弁16が配置される。そして、その下方の主ケース部12側に分岐部15と連通する球払出通路17が配設され、同じくその下方の従ケース部13側に分岐部15と連通する球抜き通路18が配設される。
【0014】
前記球払出通路17の上端一側に流入口17aが開設され、図8(イ)に示すように下端に流出口17bが開設される。そして球払出通路17の一側に、外周縁の一部が該球払出通路17内に介入し該球払出通路17を流下する所定個数のパチンコ球を一個ずつ切って排出する球送り部材19が配置される。該球送り部材19は円板状に形成され、その外周縁にパチンコ球を一個ずつ受入れる球受凹部19aが所定個数等間隔に凹設される。該球送り部材18は鉛直な球払出通路17に直交する支軸19bにより軸着され、その支軸19bの一端が電気的駆動源であるステッピングモータ20に接続されている。また、球払出通路17には、球送り部材19の上下位置に配置されるようにしてフォトセンサー21,21が設けられる。該各フォトセンサー21は、球払出通路17を隔てた一方に投光器21aが設けられると共に、他方に該投光器21aから照射された光を受ける受光器21bが設けられ、その間を通過するパチンコ球を電気的に検出するようになっている。
【0015】
前記従ケース部側13における球抜き通路18の上端開口18aは、流路切替弁16の下方に位置する。また、前記ステッピングモータ20が従ケース部13側に配置されていることから、図8(ロ)に示すように球抜き通路18は、該ステッピングモータ20を越すようにしてその前側へ屈曲させてある。そして、その下方には下端開口18bが開設される。球抜き通路18は、前記下端開口18bを介して前記球抜き樋11と連通している。
【0016】
前記流路切替弁16は、球供給通路14の一側であって、しかも、球払出通路17及び球抜き通路18を含んだ面内で上端の軸着部19aを中心として揺動するようになっている。そして該流路切替弁16は、図4(イ)に示すように球供給通路14の下端及び球払出通路17の上端の形状に合わせて球抜き通路18側へ略半円弧状に膨らんで湾曲した球案内部16bを有する。図2に示すようにその一側すなわち前側に略扇形状の支持板16cが張り出され、その外側面にガイドピン22が突設される。すなわち、流路切替弁16における揺動方向と平行な側面に、該平行な側面に対して直交しかつ外側を向くガイドピン22が突設されることになる。該ガイドピン22は図4(ロ)に示すように後記する操作部材23に形成された誘導溝27に遊挿されるもので、その先端部が図4(ハ)に示すようにその中心軸線に対して傾斜する傾斜面22aに形成される。この傾斜面22aは、鉛直上方へ進むに従い鉛直面に対する間隔が漸次大きくなるように傾斜している。これは、ガイドピン22が操作部材23に設けられた規制片24を上方から下方へは越えられないが下方から上方へは越えて移動できるようにするためである。
【0017】
図2、図3に示すように前記従ケース部13の前側面には、流路切替弁16の一側すなわちその前側に近接させて、該流路切替弁16を手動により操作する操作部材23が設けられる。該操作部材23は、ほぼ正方形板状に形成されると共に従ケース部13の後側面に流路切替弁16に対応位置して設けられた透口25に沿わせて配置され、その両側縁を該透口25の両側に設けられたレール溝26,26内に嵌入している。これにより、操作部材23が上下に摺動することになる。また、操作部材23の前面は前記透口25から前記分岐部15内に臨むようになっており、その前面に前記流路切替弁16の一側に突設したガイドピン22が遊挿されその内周面に沿って循環する誘導溝27が凹設されている。該誘導溝27は、操作部材23を前側から見た場合、図4(ロ)に示すように略四辺形状に形成される。
【0018】
そして、前記誘導溝27の上端角部である上端固定部27aは、前記ガイドピン22が丁度隙間なく嵌り込む半円形状に形成される。図4(ロ)に示すように該上端固定部27aにガイドピン22が嵌ったとき、図4(イ)に示すように流路切替弁16が球供給通路14を流下するパチンコ球を球払出通路18に導くように配置される。また、該上端固定部27aに嵌った状態のガイドピン22は、操作部材23の上下の摺動方向に対して直交する水平方向には移動し得ないようになっている。よって、この状態で、球供給通路14を流下するパチンコ球は、すべて流路切替弁16により球払出通路17に誘導される。
【0019】
一方、前記誘導溝27における上端固定部27aと同じ側の下端角部に下端可動部27bが形成されることになる。更に詳しく説明すると、上端固定部27aと下端可動部27bとは共に鉛直線上に位置し上下方向で一致する。そして、下端可動部27bは、球払出通路17に近い壁に沿って形成される。これにより、該下端可動部27bに位置するガイドピン22は、球払出通路17側へ向かっての移動はできないが、その反対側へは移動できるようになっている。すなわち流路切替弁16は、上端の軸着部16aを中心として球払出通路17及び球抜き通路18を含む面に沿って揺動することになる。よって、前記ガイドピン22が図5(ロ)(ハ)に示すように球払出通路17側から球抜き通路18側へ移動したとき、流路切替弁16が図5(イ)に示すように上端の軸着部16aを中心として球払出通路17とは反対側へ揺動し、球供給通路14を流下するパチンコ球を球抜き通路18に誘導することになる。このように流路切替弁16が球払出通路17とは反対側へ揺動するのはパチンコ球の球圧により、逆に球抜き通路18側から球払出通路17側へ揺動するのはその自重による。
【0020】
図4(ロ)(ハ)に示すように前記上端固定部27aと下端可動部27bとの間には、それらを結んだ線に対して直交するように遮り所定の高さを有する規制片24が設けられる。該規制片24の高さは、ガイドピン22が下端可動部27bから該規制片24を乗り越えて上端固定部27aへ直線的に移動することは可能であるが、上端固定部27aから規制片24を乗り越えて下端可動部27bへ直線的に移動することはできないようにその高さが選ばれる。ガイドピン22が規制片24を乗り越えられるのは、その先端が傾斜面22aに形成されているからである。操作部材23の前面には、手で操作するための摘み23aが突設される。
【0021】
本発明に係るパチンコ遊技機の球払出装置は上記構成からなり、次に作用を説明する。図4(イ)(ロ)(ハ)に示すようにガイドピン22が誘導溝27の上端固定部27aに位置しているとき、操作部材23は下端位置に有り、流路切替弁16は揺動が規制され球供給通路14を流下するパチンコ球を球払出通路17へ導くようにしている。よって、球タンク6から供給されたパチンコ球は、球供給通路14を流下すると共に流路切替弁16の球案内部16bに案内されて球払出通路17に流下し、その最先のパチンコ球が球送り部材19の外周面に乗る。そこで、例えば入賞球が発生し、これに対する所定量の賞球を払い出すように信号が出力されると、ステッピングモータ20に通電させ球送り部材19を所定回数回転させる。これにより、球送り部材19の各球受凹部19aのパチンコ球が下方へ排出される。この際、パチンコ球は、球送り部材19の上下に配置されるフォトセンサー21により検出され球排出樋10に排出される。この球排出樋10に排出されたパチンコ球は、パチンコ遊技機Pの前面の球受皿に貯留されることになる。貸し球の払い出しも、同様な手順により球受皿へ払い出される。
【0022】
次に、このように球供給通路14、球払出通路17にパチンコ球が貯留されている状態で球抜きする場合は、その状態で摘み23aに手を掛け操作部材23を上方へ摺動させる。このとき、流路切替弁16はパチンコ球の球圧が働き球払出通路17とは反対側へ揺動するように付勢されていることから、図5(ロ)(ハ)に示すように操作部材23の上動と共にガイドピン22が誘導溝27の内周面に沿って循環するように移動する。すなわち、ガイドピン22が上端固定部27aから抜け出て下方へ移動すると共に、図5(イ)に示すように流路切替弁16がパチンコ球の球圧により球払出通路17とは反対側へ揺動して球供給通路14内を流下するパチンコ球を球抜き通路18へ誘導する。球抜きされたパチンコ球は、球抜き樋11に排出されパチンコ遊技機Pの外側へ排出される。パチンコ球が球抜き通路18に排出されている間は、流路切替弁16のガイドピン22が図5(ロ)に示すように誘導溝27の下方に位置している。
【0023】
パチンコ球が排出された後は、流路切替弁16が自由になってその自重で元の位置に戻り、図6(ロ)(ハ)に示すようにガイドピン22が誘導溝27の下端可動部27bに位置する。この状態では、流路切替弁16が球払出通路17とは反対側へ揺動可能な状態にありかつ操作部材23は下方へ摺動可能な状態にある。
【0024】
そして、この状態で操作部材23を下方へ摺動させると、ガイドピン22先端の傾斜面22aが規制片24の上面を乗り越えて該ガイドピン22が上方へ直線的に移動し上端固定部27aに到達する。ところが、この状態から操作部材23を上方へ摺動しようとしても、図7(ロ)(ハ)に示すようにガイドピン22が規制片24の上端縁に当接して停止し、それ以上の上方への摺動動作が阻止される。すなわち、操作部材23がその位置にあるとき、上下いずれにも摺動し得ないロック状態となる。ここで、摘み23aから指を離し操作部材23を自由にすると、該操作部材23はその自重で下方へ少し下がり、図4(ロ)(ハ)の状態に戻り、ガイドピン22が誘導溝27の上端固定部27aに嵌って操作部材23が停止する。
【0025】
図7(イ)の状態では、流路切替弁16が球圧によって揺動することはなく、流路切替弁16により球供給通路14を流下するパチンコ球を球払出通路17に誘導する。そこで、例えばパチンコホールの営業後であって、球抜きした後に指先で摘み23aを摘んで操作部材23を1〜2回上下に摺動させれば、必ずガイドピン22は規制片24によりその動きが阻止され上端固定部27aに嵌り、流路切替弁16がロックされることになる。よって、球払出装置9の主・従ケース部12,13が光を通さない不透明な素材により成形され内部が球払出状態か球抜き状態か判別し難くても、操作部材23を1〜2回上下動させ流路切替弁16をロック状態にしておけば、球払出装置9にパチンコ球がない状態、すなわち、パチンコホールの営業前の状態、から営業が始まり各パチンコ遊技機Pにパチンコ球が供給され、しかも、球タンク6を介して球払出装置9にパチンコ球が供給されても、それらパチンコ球は流路切替弁16により球払出通路17へ誘導されることになる。よって、流路切替弁16が必要もなく揺動して、供給されたパチンコ球が誤って球抜き通路18に誘導されパチンコ遊技機Pの外部に排出されことはない。
【0026】
このように、本発明は、操作部材23に誘導溝27を形成すると共に該誘導溝27に規制片24を設けており、操作部材23を上下に摺動させて該操作部材23がロックされる位置で保持するようにすれば、必ず流路切替弁16は供給される遊技球を球払出通路17へ誘導する状態でロックされることになる。よって、たとえ球払出装置10のケース部12,13が光を通過し得ない不透明な樹脂材で成形され内部が判別し難くても、操作部材23を上下動させてロックされる状態で保持すれば良く、これにより営業時に球抜き状態が生ずるトラブルを未然に防止できる。
【0027】
図9、図10(イ)(ロ)は他の実施の形態に係るものである。なお、他の実施の形態は本実施の形態とほとんど同じ構成からなるので、同一部位は同一番号を附すことにより詳しい説明は省略する。他の実施の形態にあっては、流路切替弁16における揺動方向と平行な側面に誘導溝27Aが形成され、該揺動方向と平行な側面に向き合う操作部材23の側面に該誘導溝27Aに遊挿しその内周面に沿って循環するガイドピン22Aが突設される。
【0028】
この際、誘導溝27Aは本実施の形態における誘導溝27と線対称になるようにして流路切替弁16に形成されている。すなわち、該誘導溝27Aの上・下端固定部27a,27bが流路切替弁16における湾曲した球案内部16b側に寄せて設けられる。そして、図10(イ)(ロ)に示すようにガイドピン22Aが誘導溝27Aの上端固定部27aに位置しているとき、操作部材23は上端位置に有り、流路切替弁16は揺動が規制され図4(イ)と同様に球供給通路14を流下するパチンコ球を球払出通路17へ導くようにしている。これらパチンコ球の流れは本実施の形態と同様である。
【0029】
次に、球供給通路14、球払出通路17にパチンコ球が貯留されている状態で球抜きする場合は、その状態で摘み23aに手を掛け操作部材23を下方へ摺動させる。これにより、図5(イ)と同様に操作部材23の下動と共にガイドピン22Aが誘導溝27Aの内周面に沿って循環するように移動する。パチンコ球が排出された後は、流路切替弁16が自由になってその自重で元の位置に戻り、ガイドピン22Aが誘導溝27Aの下端可動部27bに位置する。この状態では、図6(イ)と同様に流路切替弁16が球払出通路17側へ揺動しかつ操作部材23は下端位置にある。
【0030】
そして、この状態で操作部材23を上方へ摺動させると、ガイドピン22A先端の傾斜面22aが規制片24の上面を乗り越えて該ガイドピン22Aが上方へ直線的に移動し上端固定部27aに到達する。ところが、この状態から操作部材23を下方へ摺動しようとしても、図7(ロ)(ハ)と同様にガイドピン22Aが規制片24の上端縁に当接して停止し、それ以上の下方への摺動動作が阻止される。すなわち、操作部材23がその位置にあるとき図10(イ)(ロ)の状態に戻り、上下いずれにも摺動し得ないロック状態となる。よって、他の実施の形態にあっても、例えばパチンコホールの営業後であって、球抜きした後に指先で摘み23aを摘んで操作部材23を1〜2回上下に摺動させれば、必ず規制片24によりその動きが阻止され上端固定部27aに嵌り流路切替弁16がロックされることになる。よって、本実施の形態と同じ効果が得られる。
【符号の説明】
【0031】
9 球払出装置
16 流路切替弁
16a 軸着部
17 球払出通路
18 球抜き通路
19 球送り部材
22 ガイドピン
22A ガイドピン
23 操作部材
24 規制片
27 誘導溝
27A 誘導溝
27a 上端固定部
27b 下端可動部
P 遊技機(パチンコ遊技機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された遊技球を一個ずつ切って排出する球送り部材が配置される球払出通路と、前記球払出通路と分岐して設けられ前記供給される遊技球を遊技機の外部に排出するための球抜き通路と、前記球払出通路と球抜き通路との分岐部に設けられ上部で揺動自在に軸着されると共に揺動して前記供給された遊技球の流下方向を前記球払出通路または球抜き通路のどちらかに切り替える流路切替弁と、前記流路切替弁の一側に配置され手動により上下に摺動して前記流路切替弁を操作する操作部材と、を備えてなる遊技機の球払出装置であって、
前記流路切替弁における揺動方向と平行な側面または該揺動方向と平行な側面に向き合う前記操作部材の側面のいずれか一方にガイドピンを突設すると共に他方に該ガイドピンが遊挿し内周面に沿って循環する誘導溝を形成してなり、
前記誘導溝の上端を前記ガイドピンが位置するとき前記流路切替弁が揺動不能にロックされ前記供給される遊技球を前記球払出通路に導く上端固定部とし、前記誘導溝の下端を前記ガイドピンが位置するとき前記流路切替弁の揺動が可能になり前記供給される遊技球を前記球抜き通路に導く下端可動部とし、
前記誘導溝の前記上端固定部と下端可動部との間に、前記ガイドピンの前記下端可動部から前記上端固定部への移動を許すが前記上端固定部から前記下端可動部への移動を阻止する規制片を突設したことを特徴とする遊技機の球払出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−16509(P2012−16509A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156617(P2010−156617)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(593045053)株式会社内藤商会 (112)
【Fターム(参考)】