説明

遊技機の軸受け構造

【課題】回転軸と受け軸の軸孔の嵌合を容易とし、回転軸と受け軸の強度を向上させ、回転部材の操作の安定性を高める。
【解決手段】発射装置1は、発射ハンドル2と、発射ハンドル2の軸方向に設けた断面が円形のハンドル軸3と、発射装置本体4に回動自在の取り付けられ、軸孔5の横断面が円形でありハンドル軸3が発射装置本体4に嵌め込まれる受け軸6と、を備え、ハンドル軸3及び受け軸6が一体的に回動し、受け軸6の軸方向に軸孔5を部分的に塞ぐように形成された閉塞部11が、軸芯を通る軸方向の基準面Vに平行な第2の平面12を備え、受け軸6の内側側面に、第2の平面12に連続する、半円を超える円弧長を有する円弧形状の第2の曲面13を備え、第2の曲面13から軸孔5に対して突出する凸部14を備え、第2の曲面13側の受け軸部分15を貫通するねじ孔16を設け、ねじ孔16にねじ17を螺合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の軸受け構造、例えば、ハンドルの発射力を調整する発射ハンドルに備えたハンドル軸等の嵌めこみ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機の軸受け構造は、各種の構造が提案されている。例えば、特許文献1の図8及び図9に示す通り、発射ハンドルのハンドル軸を嵌め込むため、係止体の軸支部の断面は非円形としている。ハンドル軸と係支体とが共動可能とされ、これによりバネの付勢力が調整され、遊技者が発射力を調整できるようになっている。また、特許文献2に記載の発明に示す通り、発射ハンドルのハンドル軸の先端軸構造は、切り欠かれた断面非円形の構造が提案されている。これにより、非円形の軸と軸受の嵌合構造によって、発射ハンドルの空転が防止されている。
【特許文献1】特開2003−102942号公報
【特許文献2】特開平8−66517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の発明の関心は、専ら、操作ハンドルの回動軸のハンドル側軸端構造に集中しており、発射ばね側の軸構造については、問題点が看過されていた。即ち、従来の嵌合構造では、軸と軸孔をきっちりと合わせて嵌合させなければならず、嵌合がしにくいという問題、回転軸の強度の問題、回転部材の動作の安定性の問題等、従来の軸受け構造には問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、回転部材と、回転部材の軸方向に設けた断面が円形の回転軸と、装置本体に回動自在の取り付けられ、軸孔の横断面が円形であり前記回転軸が前記軸孔に嵌め込まれる受け軸と、を備え、前記回転軸及び受け軸が一体的に回動する遊技機の軸受け構造において、前記回転軸の軸端部に軸方向に形成される凹部が、軸芯を通る軸方向の基準面に平行な第1の平面を含み、前記軸端部が、前記第1の平面に連続する、半円を超える円弧長を有する円弧形状の第1の曲面を備え、前記受け軸の軸方向に前記軸孔を部分的に塞ぐように形成された閉塞部が、軸芯を通る軸方向の基準面に平行な第2の平面を備え、前記受け軸の内側の側面に、前記第2の平面に連続する、半円を超える円弧長を有する円弧形状の第2の曲面を備え、該第2の曲面から軸孔に対して突出する凸部を備えることを特徴とする遊技機の軸受け構造とする。
ここでいう回転には、時計方向及び/又は反時計方向への回転、或いは、時計方向又は反時計方向への往復的な回転(回動)も含む。
請求項2の発明は、前記第2の曲面側の受け軸部分を貫通するねじ孔を設け、該ねじ孔にねじを螺合させるものとする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明によれば、回転軸を受け軸に嵌合し易くなる。また、回転部材の強度が高まり、動作の安定性が増大する。
請求項2の発明によれば、回転軸の強度を一層高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明実施形態の遊技機の軸受け構造を適用した発射装置1は、図1乃至図4に示す通り、回転部材としての発射ハンドル2と、発射ハンドル2の軸方向に設けた断面が円形の回転軸としてのハンドル軸3と、発射装置本体4に回動自在の取り付けられ、軸孔5の横断面が円形でありハンドル軸3が発射装置本体4に嵌め込まれる受け軸6と、を備え、ハンドル軸3及び受け軸6が一体的に回動するものである。また、ハンドル軸3の軸端部7に軸方向に形成される凹部8が、軸芯を通る軸方向の基準面Sに平行な第1の平面9を含んでいる。この平面は長方形状である。軸端部7が、第1の平面9に連続する、半円を超える円弧長を有する円弧形状の第1の曲面10を備えている。
【0007】
また、受け軸6の軸方向に軸孔5を部分的に塞ぐように形成された閉塞部11が、軸芯を通る軸方向の基準面Vに平行な第2の平面12を備えている。この平面12は長方形状である。この第2の平面12に第1の平面が嵌め込まれる。受け軸6の内側側面に、第2の平面12に連続する、半円を超える円弧長を有する円弧形状の第2の曲面13を備えている。この第2の曲面13に第1の曲面10が嵌め込まれる。この第2の曲面13から軸孔5に対して半径方向内側に突出する複数の凸部14を備える。第1の曲面10が凸部14が当接する。さらに、第2の曲面13側の受け軸部分15を貫通するねじ孔16を設け、ねじ孔16にねじ17を螺合させるものである。
【0008】
図4に示す通り、ねじ17がねじ孔16にねじ込まれており、第2の曲面13から外方に突出しないようにしてある。さらに、ねじ込まれたねじ17は、凸部14とともに第1の曲面10を押圧するようにしてある。受け軸6は基部に終端壁23を備え、終端壁23の端受面24にハンドル軸3の突端面21が当たるようになっている。
【0009】
凸部14は、図4に示す通り、横断面が半円形であり、軸方向に直線的に延び出している。凸部14にハンドル軸3を嵌め込むときに、凸部14から第1の曲面10に対して、部分的に圧力が加わるようになっている。
【0010】
ハンドル軸3の軸端には先端に向かって傾斜するテーパ面20が形成され、端面に突端面21が形成されている。また、第1の平面9の連続して、基部に向かって斜め上に傾斜する傾斜面22が形成されている。図2(a)に示す通り、基準面Sから偏移して設定された第1の平面9によって、凹部8の無い部分が径D1(9mm)、凹部8のある部分の径D2(7mm)に設定してある。()内の数値は例示であり、これに限定されない。
【0011】
図1及び図3に示す通り、受け軸6は、発射装置本体4に固定された筒状の係止体25に収容されて、係止体25内を摺動しながら回動するようになっている。
【0012】
以上、本実施形態によると、第1の平面9と第2の平面12を合わせるか、または、第1の曲面10と第2の曲面13とを合わせることによって、ハンドル軸3を軸孔5へ嵌めこみやすくなる。また、嵌合したときに、ハンドル軸3、受け軸6の強度が増す。さらに、発射ハンドル2の操作の安定性が増大する。
【0013】
なお、上記に説明した本実施形態は、本発明者により採用された技術的思想の創作の代表例である。これら技術は本発明の実施のための好ましい実施形態の例示であり、また、本技術分野に属する者あれば、本発明の開示に鑑みて、本発明の精神及び意図された要旨から離れることなく、多数の改良、変更、追加等が可能である。例えば、凸部14は単数でも複数でもよい。凸部14の位置、形状、寸法は、配置面積等は、図示に限定されることはない。また、凸部14はレール状ではあるが、散点状又は島状に規則的又は不規則に配置してもよい。凸部14の配置方向は軸方向でも半径方向でもかまわない。凸部14の頂部は、軸方向と平行であるが、傾斜を設けてもよい。例えば、凸部14は軸孔5の奥側に行くほど、頂部が高くなるように設定してもよい。さらに、凸部14の横断面の形状は、これに限定されず、断面が角形、台形、楕円形、三角形等、適宜設定され得る。さらに、本発明は、発射装置に限らず、賞球モータ、発射モータ等の駆動部等の軸受け構造に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明実施形態の遊技機の発射装置の斜視図である。
【図2】(a)は同発射装置のハンドル軸の軸端部の右側面図、(b)は同横断面図、(c)は同平面図、(d)は側面図である。
【図3】(a)は同発射装置の係止体に収容された受け軸の正面図、(b)は、同受け軸の横断面図である。
【図4】(a)は受け軸の側面図、(b)は同横断面図、(c)は同縦断面図である。
【符号の説明】
【0015】
1…発射装置 2…発射ハンドル(回転部材) 3…ハンドル軸(回転軸)
4…発射装置本体 5…軸孔 6…受け軸 7…軸端部 8…凹部
9…第1の平面 10…第1の曲面 11…閉塞部 12…第2の平面
13…第2の曲面 14…凸部 15…受け軸部分 16…ねじ孔
17…ねじ 20…テーパ面 21…突端面 22…傾斜面 23…終端壁
24…端受面 25…係止体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転部材と、
該回転部材の軸方向に設けた断面が円形の回転軸と、
装置本体に回転自在の取り付けられ、軸孔の横断面が円形であり前記回転軸が前記軸孔に嵌め込まれる受け軸と、を備え、前記回転軸及び受け軸が一体的に回転する遊技機の軸受け構造において、
前記回転軸の軸端部に軸方向に形成される凹部が、軸芯を通る軸方向の基準面に平行な第1の平面を含み、
前記軸端部が、前記第1の平面に連続する、半円を超える円弧長を有する円弧形状の第1の曲面を備え、
前記受け軸の軸方向に前記軸孔を部分的に塞ぐように形成された閉塞部が、軸芯を通る軸方向の基準面に平行な第2の平面を備え、
前記受け軸の内側の側面に、前記第2の平面に連続する、半円を超える円弧長を有する円弧形状の第2の曲面を備え、
該第2の曲面から軸孔に対して突出する凸部を備えることを特徴とする遊技機の軸受け構造。
【請求項2】
前記第2の曲面側の受け軸部分を貫通するねじ孔を設け、該ねじ孔にねじを螺合させる請求項1の遊技機の軸受け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−283034(P2007−283034A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−116728(P2006−116728)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(593045053)株式会社内藤商会 (112)
【Fターム(参考)】