説明

遊技機用アームレスト

【課題】様々な遊技姿勢に適応させるべく、手のみならず手首や手首から肘にかけての部位若しくは肘をも支持可能な広い可動域を確保できる構成とし、遊技者に身体的な負担を感じさせることなく、長時間でも遊技を楽しめるアームレストを提供する。
【解決手段】隣接する遊技機との間に設置した台間仕切板2に設けられるアームレスト1であって、前記台間仕切板に固定される固定部材10、該固定部材に枢着される支持アーム20、該支持アームに軸承されるレスト部材40とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般にはアームレストに関し、より詳細には遊技機用のアームレストに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機のうち電動式弾発遊技機、即ち電動式のパチンコ機には、遊技球を遊技機内の遊技領域へ向けて弾発発射する操作部(以下、操作ハンドルと称す。)があり、弾発強度を回転操作により調節する構造となっている。遊技者は遊技球を所望のチャッカーや入賞口などへ運ぶため、終始この操作ハンドルを一定の回転位置に維持する必要があるところ、常に一定の回転位置に留めおくことは身体的にかなりの負担となっている。
【0003】
また、遊技機の工夫を凝らした演出による遊技時間の延長傾向や、1円パチンコの普及に伴う遊技時間の長時間化は、遊技者の腕や手首に一層の負担を強いることとなっている。さらに、年配者や女性は短時間で疲れてしまうことも多く、これを原因とする遊技機の稼働率の低下が問題となっている。
【0004】
そこで、上記問題を解消すべく、操作ハンドルの下方に手置き台を設置した「パチンコ機」が提案されている。このパチンコ機は、パチンコ機本体の前面に配した取付固定部に枢支された支持腕を設け、この支持腕の回動自由端部に上下方向に弾性を備えた手置き台を設けてなるものである(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−112403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1に開示された技術では、手置台の可動域に改良の余地が認められる。遊技姿勢は十人十色であることから、該開示技術により実現される可動域を超える領域にまで手置台が配置されることが望ましい。
【0007】
該開示技術は、該文献(図1など)に明示されているように、遊技者の手、つまり、手根部、拇指球や小指球を手置き台に載せて遊技することとしているが、かかる姿勢では、指先にかかる腕の重量は軽減できるものの、操作ハンドルの操作は常に指先だけで行わなければならない。弾発時には発射装置のバネ力に抗って操作ハンドルを一定の回転位置に留めおく調整が遊技者に求められるため、これを長時間、指先だけで行うことは大きな負担となる。
【0008】
本発明は、上記を考慮して、様々な遊技姿勢に適応可能な構成とし、手(手根部、拇指球や小指球)のみならず、手首や手首から肘にかけての部位若しくは肘をも支持可能とすることで遊技者に身体的な負担を感じさせることなく、長時間でも遊技を楽しめるアームレストを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載のアームレストは、隣接する遊技機との間に設置した台間仕切板に設けられ、該台間仕切板に固定される固定部材、該固定部材に枢着される支持アーム、該支持アームに軸承されるレスト部材とからなることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載のアームレストは、請求項1に記載の構成において、前記固定部材に設けた枢着支軸に前記支持アームの一端に設けた軸受孔を挿通し、該軸受孔を介して前記枢着支軸へ組立螺子を螺合し、前記支持アームの他端に形成した軸承部へ前記レスト部材に設けた支持杆を螺合してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成された本発明のアームレストによれば、台間仕切板に設けた構成により、固定部材に枢着された支持アームの他端に軸承されたレスト部材が広範囲に移動可能となる。
【0012】
なお、前記固定部材に設けた枢着支軸に前記支持アームの一端に設けた軸受孔を挿通し、該軸受孔を介して前記枢着支軸へ組立螺子を螺合する構成としたときは、支持アームとレスト部材をアームレスト本体から容易に分離可能となる。このため、固定部材、支持アーム、レスト部材のいずれか一つが破損した場合には、当該部品のみを新品の部品に交換できるほか、分解清掃も可能となることから衛生的である。そして、前記支持アームの他端に形成した軸承部と前記レスト部材に設けた支持杆を螺合する構成により、任意の高さ位置への調節が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るアームレストの斜視図である。
【図2】本発明に係るアームレストの分解斜視図である。
【図3】本発明に係るアームレストの平面図である。
【図4】本発明に係るアームレストのA−A断面図である。
【図5】本発明に係るアームレストの設置状態を示す図である。
【図6】本発明に係るアームレストの使用状態を示す説明図である。
【図7】本発明に係るアームレストの使用状態を示す説明図である。
【図8】本発明に係るアームレストの可動域を示す説明図である。
【図9】従来技術の可動域を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
【0015】
図1は、本発明に係るアームレストの斜視図である。本発明に係るアームレスト1は、隣接する遊技台との間に設置した台間仕切板2へ固定された固定部材10、該固定部材に枢着される支持アーム20、該支持アームに軸承されるレスト部材40とから構成される。
【0016】
図2を参照しながら詳述する。固定部材10は、取付孔11を介して台間仕切板2へビス16で固定されている。該固定部材10には枢着支軸12が設けられており、該枢着支軸へ支持アーム20の一端に設けられた軸受孔21を挿通し、螺子孔13へ組立螺子30を螺合して組み立てる。
【0017】
支持アーム20の他端には内壁に雌螺旋加工された軸承部22が形成されており、該軸承部へ、テーブル42から偏心位置で垂下形成された、外周に雄螺旋加工を施した支持杆41を螺合する(図2)。
【0018】
なお、昇降アジャスタ60を固定部材10の螺子孔14へ螺合し(図4)、善板4との隙間を調整するようにしてもよい(図5)。
【0019】
緩衝体50を除く他の構成部材の素材は、耐熱性や機械的強度に優れ、成形性が良好なABS樹脂であることが好ましい。ペレット化したABS樹脂を溶融し、金型に流し込み冷却固化して所望の形状に形成する。なお、樹脂の機械的特性が本発明を実現する上で適していれば、その他の素材を用いてよい。その際、素材の性質に合わせた他の製造方法で成形することとしてもよく、構成部材毎に使用する材料、製造方法を変更することも妨げない。
【0020】
緩衝体50は、合成樹脂製の袋状体に適度な弾性を備えた発泡ウレタンを内包し、テーブル42上へ取り付けられる。このとき固定式としてもよいが、経年劣化等を想定して緩衝体50のみを取り替えることができるように着脱可能に構成することが好ましい。なお、前記合成樹脂製の袋状体は汚れが付着しにくく、また付着した汚れを除去容易な素材が好ましい。
【0021】
台間仕切板2は、隣接する遊技機の台間内に略格納状態としたり、前面側に突出させて遊技機の前面側空間を台間位置で仕切った状態とすることができる構成が好ましい。具体的には、複数並設された遊技機の台間に設けられた格納部(図示せず)と、該格納部に前後方向に移動自在に支持され、該格納部に格納される状態と遊技台の前面側に突出して遊技台の前面側空間を台間位置で仕切る状態とに位置変更可能な台間仕切板2とを具備した構成が考えられる。
【0022】
このように、この発明に係るアームレスト1によれば、固定部材10に枢着された支持アーム20により、従来に比べてより広範囲にテーブル42を配置することが可能となる。
例えば、手根部、拇指球や小指球を載せる場合には図6に示す位置にテーブル41を配置し、腕(手首と肘の間)を乗せる場合には図7に示す位置にテーブル41を配置するといったように様々な遊技姿勢に対応することができる。このとき、テーブル42の下に偏心位置で垂下形成された軸承部22に螺合するテーブル42を回転させることで微妙な位置調整も可能である。
【0023】
なお、本発明のアームレストを使用しない場合は、支持アーム20を遊技台の奥イ又は手前ロに回転させて台間仕切板2に平行に収納する。その際、支持アーム20が枢着支軸の外周の一部に肉盛形成したストッパー15に突き当ることからテーブル42は台間仕切板2に衝突することはない。また、ロの状態で、台間仕切板2を略格納状態にしてもよい(図示せず)。
【0024】
本発明に係るアームレスト1の可動域と前述の先行技術文献に開示された従来技術の可動域とを比較した場合、その広狭は一目瞭然である。
本発明に係るアームレスト1の可動域α(図8)は広範囲に亘り、遊技者の手、手首から腕や肘といった広い部位を支えることが可能である。
一方、従来技術の可動域β(図9)は様々な遊技姿勢に対応するためのものではない。この点、該文献の段落「0036」「…また本発明は手置き台を回動自由に枢着支軸した場合、使用時の前方に向け突出させた手置き台を不使用時には後方に退け、格納することができるため邪魔になることもなく、従来のパチンコ機と全く変わらない状態で使用できる利点がある。」との記載からも明らかである。つまり、手置き台を格納可能としたことにより生まれた可動域に過ぎない。ちなみに、当該技術によれば、手根部、拇指球や小指球辺りを支えることしかできない。
【0025】
この発明は上記実施形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内で様々な変形を加えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
この発明は、遊技場における遊技機用アームレストとしてのみならず、仕切板を備えたブースや個別の空間を設けた施設においても利用可能であり、産業上の利用可能性の高い発明であるといえる。
【符号の説明】
【0027】
1 アームレスト
2 台間仕切板
3 遊技台
4 膳板
5 操作ハンドル
10 固定部材
11 取付孔
12 枢着支軸
13,14 螺子孔
15 ストッパー
16 ビス
20 支持アーム
21 軸受孔
22 軸承部
30 組立螺子
40 レスト部材
41 支持杆
42 テーブル
50 緩衝体
60 昇降アジャスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する遊技機との間に設置した台間仕切板に設けられるアームレストであって、該アームレストは、前記仕切板に固定される固定部材、該固定部材に枢着される支持アーム、該支持アームに軸承されるレスト部材とからなることを特徴とするアームレスト。
【請求項2】
前記固定部材に設けた枢着支軸に前記支持アームの一端に設けた軸受孔を挿通し、該軸受孔を介して前記枢着支軸へ組立螺子を螺合し、前記支持アームの他端に形成した軸承部へ前記レスト部材に設けた支持杆を螺合してなる請求項1のアームレスト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−22130(P2013−22130A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157934(P2011−157934)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(599018837)
【Fターム(参考)】