説明

遊技機用リール

【課題】 遊技機用リールのリール枠と図柄テープのリサイクル化を図る。
【解決手段】 図柄テープ(81)の一端に設けた係止孔(83,83)に、リール枠(51)に設けた係止ピン(65a,65a)を挿入して図柄テープとリール枠との間の位置決めを可能とする。リール枠に巻き付けた図柄テープの両側を複数の押え片(71,72)によって押え、図柄テープの終端裏面を粘着層(84)によって表面に接着する。粘着層は剥離可能であり、リール枠との関係を持たないので、図柄テープを引き剥がした後にリール枠に粘着層の一部が残ることはない。したがって、図柄テープもリール枠も直ちにリサイクル化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スロットマシン、パチスロ、パロット(登録商標)とも呼ばれるパチンコ機とスロットマシンを組み合わせたような遊技機、パチンコ機等の遊技機に用いる遊技機用リールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、スロットマシンやパチンコ機等の遊技機においては、図柄を表示するための手段として、予め複数種類の図柄が描かれた円柱状のリール(回胴/ドラム)が利用されている。一般的な遊技機には、このようなリールがたとえば3個設けてあり、各リールは、遊技者の遊技操作に応じて縦方向に回転するように取り付けてある。スロットマシン等の遊技機においては、たとえば、所定の遊技内容が始まると同時に各リールの回転が始まるようになっており、また、リールの回転開始から所定時間経過すると、各リールが順番に所定の図柄位置において停止するようになっている。そして、すべてのリールが停止すると、その時点で遊技者方向を臨む図柄の組合せによって、当選・落選(あるいは、役の成立・非成立)が判断されるようになっている。
【0003】
上記リールは、支持体であるリール枠と、リール枠外周に取り付けられる帯状の図柄テープにより概ね構成されている。図柄テープには、複数の図柄が設けられている。図柄テープをリール枠に取り付ける方法として、両面接着テープを用いるもの(特許文献1参照)、接着剤を用いるもの(特許文献2参照)、図柄テープに設けた孔にピンを挿入して止めるもの(特許文献3参照)、さらに、リール枠に設けた保持片により保持するもの(特許文献4参照)が提案されている。
【特許文献1】特開2002−065940号(段落0031、図6参照)
【特許文献2】特開2003−017945号(段落0012、図1参照)
【特許文献3】特開2002−159618号(段落0048、図3参照)
【特許文献4】特許2939089号公報(段落0008〜0012、図1及び2参照)
【0004】
一方において、遊技機の分野においては、コストダウン、省資源化、さらに環境保全等のために各部材のリサイクルが強く求められている。上記したリールも、その例外ではない。図柄テープの図柄は、遊技機の機種により異なるとともに流行性(一過性)があるため一般的にリサイクルに馴染みづらいが、リール枠は外部から見えるものではないためリサイクルの対象となり得る。リサイクルするためには、取り付けてある図柄テープをリール枠から取り外す必要がある。
【0005】
ところが、前述した取付方法のうち、両面接着テープ(特許文献1)及び接着剤(特許文献2)を用いたものである場合、これらは、そもそも剥がすことを前提とするものではないため、剥がし作業がたいへん面倒である。図柄テープの剥がし作業は、片手でリール枠を押え他の手で図柄テープの一端を持って引くことになる。このとき、両面接着テープや接着剤の粘着力が強ければ強いほど図柄テープを強く引き剥がす必要がある。ところが、あまり強く引くとリール枠が変形したり破損したりしてしまう恐れがある。さらに、剥がしたときに両面接着テープや接着剤が完全に剥がれず、部分的にリール枠上に残ってしまうこともある。残ってしまった両面接着テープや接着剤をリール枠から取り去る作業は、これもまた面倒である。
【0006】
他方、リール枠に図柄テープを取り付ける際に、位置ずれさせてしまったり、誤った図柄テープを貼りつけてしまったりすることがある。このようなときに、図柄テープを簡単にリール枠から取り外せるのであれば問題はないが、上述したように種々の問題がある。これに加え、単なる位置ずれや誤った貼り付けの対象となっただけの図柄テープは、それ自身がリサイクルの対象となるべきものであり、したがって、剥がした後に再利用可能な状態にあるべきものである。ところが、図柄テープは、一般に、ポリカーボネートのような伸縮性のある合成樹脂によって作られているため、引き剥がしのために加えた力によって簡単に変形してしまう。このため、両面接着テープや接着剤によって貼り付けられた図柄テープは、そのほとんどがリサイクルできない。このように、両面接着テープや接着剤を用いた取付方法では、その剥がし作業がたいへん面倒であり時にはリール枠の変形を招く恐れがあること、さらに、図柄テープのリサイクルをほぼ不可能なものにすること、に問題点がある。
【0007】
次は、図柄テープに設けた孔にピンを挿入して止める方法(特許文献3)について述べる。この方法によれば、図柄テープ両側において長さ方向に所定間隔を介して形成された孔群のそれぞれにリール枠から起立するピン群のそれぞれが挿入され、各孔と各ピンとの係合により図柄テープがリール枠に取り付けられるようになっている。図柄テープの着脱は各孔と各ピンとの係合と係合解除とによって行うことになり、したがって、前述したような両面接着テープや接着剤が有する問題点は生じない。しかし、前述したように、図柄テープは、伸縮性のある合成樹脂によって作られているため、所定間隔を介しているとはいえ多数の孔が存在することにより、その孔を起点とする寸法変化が生じやすい。
【0008】
最後に、リール枠に設けた保持片により保持するもの(特許文献4)について検討する。保持片は、内側保持片と外側保持片とが対をなして構成され、リール枠の厚み方向に突き出している。図柄テープは、その端部が両面接着テープによって環状に形成され、環状に形成された図柄テープを幅方向から挿入することによって、内側保持片と外側保持片との間に受け入れ保持されるようになっている。この方法によれば、図柄テープの着脱は容易であろうが、リール枠に対する図柄テープの位置決めに難点がある。つまり、図柄テープが環状に形成されているため、リール枠に対する位置を定める起点となるものが存在しない。したがって、位置決めはリールを組み立てる者の感に頼らざるを得ない。正確な位置決めのためには、何らかの基準が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述した従来の技術に鑑み、本発明の目的は次の点にある。すなわち、図柄テープの着脱が容易であって伸縮が少ないためリサイクルに馴染み、かつ、リール枠に対する図柄テープの位置決めを確実に行うことができる遊技機用リールを提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために本発明は、次の構成を備えている。なお、何れかの請求項に係る発明の説明に当たって行う用語の定義等は、その性質上可能な範囲において他の請求項に係る発明にも適用されるものとする。
【0011】
(請求項1記載の発明の特徴)
請求項1記載の発明に係る遊技機に用いる遊技機用リール(以下、適宜「請求項1のリール」という)は、長さ方向一端の幅方向少なくとも両側を貫通する係止孔と、目視可能に設けられた図柄群と、を有する帯状の図柄テープと、当該図柄テープを巻き付け可能な環状外周部を有するリール枠と、を含んで構成してある。当該図柄テープは、当該リール枠に巻き付けた際に、当該一端部表面と当該他端部裏面とを剥離可能な接着層によって接着可能に構成してある。また、当該環状外周部は当該図柄テープを巻き付けるための巻き付け部(巻き付け面)と、当該巻き付け部から起立する当該一対の係止孔に各々挿入可能な一対の係止ピンと、当該巻き付け部両側から放射方向に起立する一対の環状ガイド壁と、当該環状ガイド壁の各々から巻き付けた図柄テープの表面に沿って突出する各々少なくとも1個の押え片と、を含めて構成してある。さらに、当該押え片と当該巻き付け部との間に当該図柄テープの両側を差し込み抜き取り可能に構成してある。
【0012】
請求項1のリールは、リール枠に図柄テープを巻き付けることによって完成する。具体的には、図柄テープはリール枠の巻き付け部上に巻き付けられる。図柄テープの巻き付けは、リール枠の各係止ピンを図柄テープの各係止孔に貫通させ、その状態のまま他端部を持って係止ピンに負荷を加えながら、つまり、各係止ピンと各係止孔との係合を保持しながら行う。同時に、図柄テープを各押え片と巻き付け部との間に差し込みながら行う。リール枠の外周を一巻きすると図柄テープの他端部は両係止孔(両係止ピン)を被覆する。つまり、一端部側と他端部側とが、その一部又は全部が重なり合う。重なり合ったとき、粘着層が、図柄テープ他端部の裏面と、その裏面に対応する図柄テープ表面とを接着する。各押え片は、巻き付け部との間に差し込まれた図柄テープを押えて、その脱落を防止する。図柄テープの幅方向へのズレは、両環状ガイド壁が、そのガイド作用により防止する。図柄テープを剥がすときは、粘着層の粘着力に抗しながら他端部を一端部から引き剥がす。粘着層は図柄テープの一部にしか設けられていないので、引き剥がしに、大きな力は要らない。したがって、引き剥がしが容易であり、引き剥がしによる図柄テープの変形はほとんどない。引き剥がした後は、巻き付けと逆手順で図柄テープを巻き付け部から取り外す。巻き付け部には粘着層が設けられてないため、簡単に取り外すことができるし、取り外した後に粘着層が残っていることがない。したがって、取り外した後のリール枠は、そのままリサイクル(再利用)することができる。
【0013】
(請求項2記載の発明の特徴)
請求項2記載の発明に係る遊技機用リール(以下、適宜「請求項2のリール」という)は、請求項1のリールの基本的構成に加え、前記押え片のうち少なくとも1個が、前記環状ガイド壁に片持ち支持された弾性部材により構成してある。
【0014】
請求項2のリールによれば、請求項1のリールの作用効果に加え、弾性を利用すれば、先端部を巻き付け部から離れる方向に弾性復帰可能に撓ませる(反返らせる)ことができる。この撓みが、少なくとも先端部と巻き付け部との間の間隔を広げて図柄テープの差し込み抜き取りを容易にする。差し込み抜き取りが容易であるため、差し込み抜き取りの際に図柄テープの、特に幅方向両側に過剰な負担を掛けないで済む。これが、図柄テープの変形抑制に貢献する。
【0015】
(請求項3記載の発明の特徴)
請求項3記載の発明に係る遊技機用リール(以下、適宜「請求項3のリール」という)は、請求項1又は2のリールの基本的構成に加え、複数の押え片が、前記環状ガイド壁の各々の円周方向に所定間隔を隔てて配してある。
【0016】
請求項3のリールによれば、請求項1又は2のリールの作用効果に加え、図柄テープを幅方向両側の複数の押え片によって押えるので、押えをより確実なものにすることができる。
【0017】
(請求項4記載の発明の特徴)
請求項4記載の発明に係る遊技機用リール(以下、適宜「請求項4のリール」という)は、請求項1乃至3何れかのリールの基本的構成に加え、前記環状ガイド壁の各々が、複数の押え片を有し、当該環状ガイド壁のうち一方の環状ガイド壁が有する複数の押え片と他方の環状ガイド壁が有する複数の押え片とを、当該環状ガイド壁の円周方向に千鳥状に配してある。すなわち、請求項1又は2のリールは、各環状ガイド壁が1個の押え片しか有しない場合も含まれるが、請求項3のリールは常に複数の押え片を有していて、それらが、一方の環状ガイド壁と他方の環状ガイド壁との間において、互い違いに(ジグザグに)配してある。
【0018】
請求項4のリールによれば、請求項1乃至3何れかのリールの作用効果に加え、一方の環状ガイド壁が有する複数の押え片と他方のガイド壁が有する複数の押え片とを千鳥状に配してあるので、一方の押え片と他方の押え片との間隔が両者対向関係にある場合に比べて広い。広い分だけ図柄テープの着脱が容易である。
【0019】
(請求項5記載の発明の特徴)
請求項5記載の発明に係る遊技機用リール(以下、適宜「請求項5のリール」という)は、請求項1乃至4何れかのリールの基本的構成に加え、前記リール枠が、駆動構造によって駆動方向に回転可能に構成してあり、前記図柄テープが、前記係止孔を起点として当該駆動方向とは逆方向に当該リール枠に巻き付けてある。すなわち、リール枠の回転方向と図柄テープの巻き付け方向が逆になっている。
【0020】
請求項5のリールによれば、請求項1乃至4何れかのリールの作用効果に加え、リール(リール枠)の回転停止のときに、図柄テープへの負担を軽くすることができる。回転停止のときに図柄テープが受ける負担は、図柄テープの各係止孔の周縁がそれらを貫通する各係止ピンから受けるものが最も大きい。つまり、リール枠と図柄テープとは一体化させてないため、リール枠を停止させようとするときに、図柄テープの持つ慣性により係止孔周縁に負担が掛かりやすい。係止孔から図柄テープの長さ方向長さを観察すると、一端側先端までの長さは他端側先端までの長さに比べて遥かに短い。短い方が当然に変形しやすい。したがって、仮に、回転方向(駆動方向)と巻き付け方向を一致させたとすると、変形しやすい方に慣性による負担が掛かることになる。変形防止のためには、変形しづらい方に負担を掛けるべきである。そこで、駆動方向とは逆方向に図柄テープを巻き付けて、巻き付け先の方向に慣性による負担を負わせることによって図柄テープの変形を可及的に抑制してある。なお、回転始動の際にも慣性により図柄テープに負担がかかるが、一般に回転始動の際の負担は回転停止の際の負担よりも小さい。よって、回転停止の際の負担に着目してリールの駆動方向とは逆方向に巻き付けることとした。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る遊技機用リールよれば、図柄テープの着脱が容易であって伸縮が少ないためリサイクルに馴染み、かつ、リール枠に対する図柄テープの位置決めを確実に行うことができる。リサイクル可能とすることによって、コストダウン、省資源化、さらに環境保全等の要求に応えることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
各図を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。図1は、遊技機の一例であるスロットマシンの正面図である。図2は、リールの斜視図である。図3は、リール枠の斜視図である。図4は、リールの分解斜視図である。図5は、リール枠の部分拡大図及びA−A断面図である。図6は、図5に示すリール枠のB―B断面図である。図7は、図柄テープの平面図である。図8は、図5に示すリール枠のC−C断面の拡大図である。
【0023】
(遊技機の外観構造)
図1を参照しながら、遊技機の代表例であるスロットマシンの概略構造について説明する。スロットマシン1は筐体3と、筐体3の前面を開閉するフロントドア5とを備えている。フロントドア5は、その上段に装飾フレーム7を、中段に操作パネル9を、下段に装飾パネル11を、それぞれ有し、さらに、最下段には遊技者方向に突き出る受け皿13と、多数の小孔群15,15と、を有している。小孔群15,15は、フロントドア5の背面に設けてある1対のスピーカー(図示を省略)の音声を外部に流すためのものである。装飾フレーム7には、透明ガラス21をはめ込んであり、透明ガラス21の背面側には仕切板23を設けてある。仕切板23の背面側には、同じ構造を備える3個のリール50,・・を配してある。
【0024】
図1に示すように、操作パネル9には、1枚用ベットスイッチ41、2枚用ベットスイッチ42、マックスベットスイッチ43、キャンセルスイッチ44、スタートレバー45、ストップスイッチ47a,47b,47c、メダル投入口49を設けてある。1枚用ベットスイッチ41はベット用に貯留してあるメダルから1枚分だけベットするときに操作するスイッチであり、2枚用ベットスイッチ42は同じく2枚をベットするときに操作するスイッチである。マックスベットスイッチ43は、その遊技状態において最多枚数のメダルを貯留してあるメダルから投入するためのスイッチである。キャンセルスイッチ44は、ベット用に貯留してあるメダルを清算するときに押すスイッチであり、これを操作すると貯留した枚数に相当する枚数のメダルが受け皿13に払い出されるようになっている。スタートレバー45は、押し下げ操作によりリール50,・・を回転させる機能を持っている。ストップスイッチ47a,47b,47cは、それぞれがリール50を停止させようとするときに押すスイッチである。メダル投入口49は、ベットするメダルを投入するための投入口である。符号48は、フロンドドア5を筐体3にロックするときに鍵を差し込む鍵穴を示している。
【0025】
(リールの構造)
図2乃至5を参照しながら説明する。リール50は、リール枠51と、リール枠51に巻き付ける図柄テープ81と、から概ね構成してある。リール枠51は、ボス部55と、ボス部55から放射状に延びる複数(本実施形態では4本)のアーム部57,・・と、これらのアーム部57,・・が支持する環状外周部59と、により構成してあり、その製造は、ABS系、ポリカーボネート系又はポリプロピレン系樹脂の何れかを一体成形することにより行うことができる。一体成形したのは、主として軽量化を図るとともに製造工程を単純化して製造コストを抑えるためである。したがって、例えば、ボス部53とアーム部55,・・とを一体成形し、これらを別途成形した環状外周部に接着することによりリール50全体を製造する方法もある。
【0026】
ボス部55は、モーター(駆動構造)の出力軸(図示を省略)に一体回転可能に取り付けるための取付円板部55aと、取付円板部55aの周縁から起立するテーパー付き円筒状の環状側壁部55bと、から構成してある。環状側壁部55bは、環状外周部59の厚み方向内側に向かって突き出している。この結果、上記した取付円板部55aに対する上記出力軸の取り付けは、環状外周部59の内部で行うことになる。環状外周部59の内部で取り付けるようにしたのは、環状外周部59の内部空間を有効利用することによって、駆動構造を含めたリール50全体の幅寸法をできるだけ小さくするためである。
【0027】
各アーム部57は、環状側壁部55bから放射方向に突き出し環状外周部59と一体化している。アーム部57は、環状側壁部55bから環状外周部59に向かって先細りさせてあり、補強のために断面形状コの字状の屈曲部57aを設けてある。屈曲部57aは、環状外周部59の内部に向かって突き出させてある。ボス部55と同様に、環状外周部59の内部空間を有効利用してリール50全体の幅寸法を小さくするためである。各アーム部57と環状側壁部55bとの間には、ほぼ三角形状の補強板部57b,・・を補強のために設けてある(図3参照)。なお、符号58は、リール50の位置を検知させるための被検知片を示している(図2参照)。被検知片58は、スロットマシン1の筐体3内に設けてある位置検知回路(図示を省略)によって検知されるものであって、この検知によって、リール50の基準位置に対する回転角度を把握可能とするためのものである。
【0028】
次は、環状外周部59について説明する。環状外周部59は、対向配置した一対の環状枠部61,62と、環状枠部61と環状枠部62を連結するために環状枠部61,62の円周方向に沿って等間隔に配した複数の連結腕部63,・・と、から構成してある(図3参照)。上記したアーム部57,・・の先端は環状枠部61の中心から見た内縁と一体化させてあり、環状枠部62は連結腕部63,・・を介して環状枠部61に片持ち支持させてある。連結腕部63,・・は、これらを一枚板形状に形成することもできるが、軽量化を図るために梁状部材から構成した。環状枠部61の外周面61aと、環状枠部62の外周面62a及び各連結腕部63の外周面63aの三者は、ほぼ同一面を形成するように各々形成してあり、この三者よって、リール50の外周を周回する巻き付け部65を構成してある(図5参照)。環状枠部61のリール50の幅方向外縁には放射方向に起立する環状ガイド壁61bを、同じく環状枠部62には環状ガイド壁61bと対になる環状ガイド壁62bを、それぞれ形成してある。この結果、巻き付け部65の両側には、一対の環状ガイド壁61b,62bが起立することになる。環状ガイド壁61b,62bの巻き付け部65に対する高さ寸法は、巻き付けた図柄テープ81の横ズレを防止可能、かつ、後述する押え片71,72を形成可能な寸法に設定する(図3参照)。なお、符号65a,65aは、巻き付け部65から起立する係止ピンを示している。係止ピン65a,65aは、図柄テープ81の厚みより僅かに長い高さ寸法を巻き付け部65に対して有している(図5参照)。
【0029】
(押え片の構造)
図2乃至4及び6に基づいて説明する。環状ガイド壁61bには複数の押え片71,・・を、環状ガイド壁62bには、同じく複数の押え片72,・・を、それぞれ等間隔に配してある。押え片71は、環状ガイド壁61bの内側(環状ガイド壁62bと対向する側)から図柄テープ81の表面に沿って突き出し、押え片72は、環状ガイド壁62bの内側(環状ガイド壁61bと対向する側)から同じく突き出している。押え片71と巻き付け部65との間の間隔は、図柄テープ81の差し込み抜き取りが可能、かつ、差し込んだ図柄テープ81をリール50が回転しても脱落しない程度に保持可能に形成する。押え片71,・・と押え片72,・・はそれぞれ環状ガイド壁61b,62bの円周方向に所定間隔を隔てて配してある。押え片71と押え片72との相対位置は、環状ガイド壁61b,62bの円周方向に千鳥状、すなわち、ジグザグ状に配してある。千鳥状に配することは必ずしも必要ではないが、そのように配すれば図柄テープ81を巻き付ける上で有利である。すなわち、千鳥状に配するということは、リール枠51の幅方向において押え片71の正面に押え片72が存在しない、すなわち、押え片71の正面には押え片72,72間の隙間が存在する。仮に、正面に存在するとすれば、押え片71と押え片72との間が存在しない場合に比べて狭くなり、このため、図柄テープ81の着脱が若干行いづらくなるからである。つまり、間隔が広いほうが着脱作業がやり易いので、本実施形態では押え片71,・・と押え片72,・・とを千鳥状に配したのである。なお、押え片71及び押え片72は、何れも少なくとも1個あれば足りるが、より確実な押え効果を得るために、たとえば、10乃至30個程度の数にするとよい。さらに、押え片71の数と押え片72の数は、必ずしも同数である必要はない。
【0030】
図6(a)に基づいて、押え片71の構造を説明する。押え片71は、環状ガイド壁61bの側面に固定した基端部71aと、基端部71aを介して片持ち支持された先端部71bとから構成してある。基端部71aは合成ゴムのような弾性部材により構成してあり、その弾性により先端部71bを巻き付け部65から離れる方向に反り上げ可能になっている。反り上げ可能に構成したのは、反り上げることにより基端部71a及び先端部71bと巻き付け部65との間の隙間を広げることによって図柄テープ81の差し込み抜き取りを行いやすくするためである。先端部71bは基端部71aと一体化させた弾性のない合成樹脂材により構成してあるが、これを基端部71aと同一部材により構成して押え片71全体に弾性を持たせるように構成することもできる。押え片72は、押え片71とほぼ同じ外観に形成してある。押え片72は、これを、環状ガイド壁62bと一体に形成してある。一体形成したのは、取り付けの手間を省くためである。環状ガイド壁62bと別体に構成したときは、その別体の押え片72を環状ガイド壁62bの側面に接着剤等で固定する。なお、押え片72に、押え片71と同様な構造を持たせて弾性を有するように構成してもよい。
【0031】
(図柄テープの構造)
図4及び7に基づき説明する。図柄テープ81は、細長い矩形帯状の合成樹脂製テープにより構成してある。素材としては、ポリカーボネートのような伸縮性のあるものが好適である。図柄テープ81には、たとえば、「7」「鈴」「BAR」等の文字や図等からなる図柄を印刷してあり、図1に示す状態で遊技者が目視可能に構成してある。図柄テープ81は、リール枠51の巻き付け部65に巻き付けたときに、後述する係止孔83,83を被覆しうる長さに形成してある。具体的には、リール枠51の大きさ等にもよるが、たとえば、長さ70〜80センチメートル前後(図7に示すL1)幅7〜8センチメートル前後(図7に示すL2)、の寸法に設定してあり、厚みは0.2〜0.3ミリメートル前後とするのが一般的である。
【0032】
図柄テープ81は、長さ方向に一端部81aと、反対側の他端部81bと、を備え、さらに、図柄を表示してある表面81cと、リール枠51に面する裏面81dと、を備えている。一端部81aの幅方向両側には、係止ピン65a,65aを挿入可能な係止孔83,83を貫通させてあり、他端部81bには、剥離可能な粘着層84を形成してある。粘着層84は、図柄テープ81を巻き付け部65に巻き付けたとき一端部81aの表面81cと重なる他端部81bの裏面81dに形成してある。粘着層84の働きにより表面81cと裏面81dを接着させたときに、他端部81bが係止孔83,83を被覆するようになっている(図8参照)。粘着層84は、たとえば、両面接着テープや適当な接着剤により構成することができる。
【0033】
(図柄テープの着脱手順)
図4乃至8に基づいて説明する。まず、一端部81aを持ってリール枠51の巻き付け部65にあてがう。このとき、係止孔83,83に巻き付け部65から突き出る係止ピン65a,65aを挿入する。両係止ピン65a,65aは、係止孔83,83の周縁を係止してリール枠50に対する図柄テープ81の位置を決定させる。位置決めが済んだら、他端部81bを持って図柄テープ81全体を巻き付け部65に巻き付ける。図柄テープ81の巻き付けは、駆動方向とは逆方向に行う。リール50の回転停止の際に生じる慣性による負担を、図柄テープ81の巻き付け先方向に負担させることによって図柄テープ81の変形を可及的に抑制するためである。このとき、図柄テープ81の幅方向両側の一方を押え片72の下面と巻き付け部65との間に差し込むとともに(図6(b)参照)、図柄テープ81の他方を押え片71と巻き付け部65との間に差し込む。押え片71は、その基端部71aが弾性を利用して、図6(b)に示すように、巻き付け部65から離れる方向に反り上がらせてから差し込むと作業が楽である。反り上がらせた押え片71は、基端部71aの弾性により元の位置に弾性復帰して図柄テープ81を表面81c側から保持する。押え片71と押え片72とは千鳥状に配してあるので、押え片71と押え片72との間隔が両者対向関係にある場合に比べて広い。したがって、図柄テープ81の着脱が容易である。この点は、前述した。最後に、粘着層84を使って他端部81b先端の裏面81dを、一端部81a先端の表面81cに接着すれば作業を完了する。ここで、図柄テープ81は、係止ピン65a,65a(係止孔83,83)を起点として位置決めがされるとともに、押え片71,72及び粘着層84の作用により、リール枠51に保持される。なお、接着した後の粘着層84は、スロットマシン1内で使用中に自然剥離することはないものの作業者の手によって簡単に剥がすことのできる程度の粘着力を有しており、図7及び8に示すように、係止孔83,83を備える一端部81aを補強する役目も担っている。図柄テープ81の横ズレは、環状ガイド壁61b,62bがこれを防止する。
【0034】
次は、図柄テープ81の抜き取り作業である。基本的には、上述した差し込み作業と逆手順で行う。すなわち、他端部81bの先端から粘着層84の粘着力に効しながら図柄テープ81を引き剥がす。上述したように、粘着層84の粘着力は、作業員による引き剥がし力に抗し得ない程度のものであるから、簡単に引き剥がすことができる。したがって、引き剥がしにより図柄テープ81が歪んだり伸びきったりすることがほとんどなく、剥がした図柄テープ81は、必要に応じて再利用することができる。図柄テープ81と巻き付け部65との間に粘着層等は形成していないため、引き剥がしは、押え片71を反り上げた状態で図柄テープ81の一方の端を抜き取り、次に、押え片72の下から他方の端を抜き取るだけで済む。非常に簡単である。最後に、一端部81aを持ち上げて係止孔83,83から係止ピン65a,65aを抜き取って作業を終了する。上述のように粘着層84は、リール枠51(巻き付け部65)との間に関係を持たないので、図柄テープ81を剥がした後に粘着層の一部が巻き付け部65等に残ることはない。したがって、リール枠51も特別な洗浄作業等を行うことなく直ちに再利用に供することができる。さらに、図柄テープ81には2個の係止孔83,83を形成してはあるものの、係止孔83,83を起点とする伸びは少ない。それは、図7において、L2方向の伸びは、L2の長さがL1の長さに比べて微小であるため無視できる。L3方向の伸びも同じく無視できる。したがって、図柄テープ81全体の伸びが極僅かで済む。これが、係止孔83,83を起点とする伸びが少ない理由である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】遊技機の一例であるスロットマシンの正面図である。
【図2】リールの斜視図である。
【図3】リール枠の斜視図である。
【図4】リールの分解斜視図である。
【図5】リール枠の部分拡大図及びA−A断面図である。
【図6】図5に示すリール枠のB―B断面図である。
【図7】図柄テープの平面図である。
【図8】図5に示すリール枠のC−C断面の拡大図である。
【符号の説明】
【0036】
1 スロットマシン
3 筐体
5 フロントドア
7 装飾フレーム
9 操作パネル
11 装飾パネル
13 受け皿
15 小孔群
21 透明ガラス
23 仕切板
41 1枚用ベットスイッチ
42 2枚用ベットスイッチ
43 マックスベットスイッチ
44 キャンセルスイッチ
45 スタートレバー
47a ストップスイッチ
47b ストップスイッチ
47c ストップスイッチ
48 鍵穴
49 メダル投入口
50 リール
51 リール枠
55 ボス部
55a 取付円板部
55b 環状側壁部
57 アーム部
57a 屈曲部
57b 補強板部
58 被検知片
59 環状外周部
61 環状枠部
61a 外周面
61b 環状ガイド壁
62 環状枠部
62a 外周面
62b 環状ガイド壁
63 連結腕部
63a 外周面
65 巻き付け部
65a 係止ピン
71 押え片
71a 基端部
71b 先端部
72 押え片
81 図柄テープ
81a 一端部
81b 他端部
81c 表面
81d 裏面
83 係止孔
84 粘着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向一端の幅方向少なくとも両側を貫通する係止孔と、目視可能に設けられた図柄群と、を有する帯状の図柄テープと、
当該図柄テープを巻き付け可能な環状外周部を有するリール枠と、を含み、
当該図柄テープが、当該リール枠に巻き付けた際に、当該一端部表面と当該他端部裏面とを剥離可能な接着層によって接着可能に構成してあり、
当該環状外周部が、当該図柄テープを巻き付けるための巻き付け部と、当該巻き付け部から起立する当該一対の係止孔に各々挿入可能な一対の係止ピンと、当該巻き付け部両側から放射方向に起立する一対の環状ガイド壁と、当該環状ガイド壁の各々から巻き付けた図柄テープの表面に沿って突出する各々少なくとも1個の押え片と、を含めて構成してあり、
当該押え片と当該巻き付け部との間に当該図柄テープの両側を差し込み抜き取り可能に構成してある
ことを特徴とする遊技機用リール。
【請求項2】
前記押え片のうち少なくとも1個が、前記環状ガイド壁に片持ち支持された弾性部材により構成してある
ことを特徴とする請求項1記載の遊技機用リール。
【請求項3】
複数の押え片が、前記環状ガイド壁の各々の円周方向に所定間隔を隔てて配してある
ことを特徴とする請求項1又は2記載の遊技機用リール。
【請求項4】
前記環状ガイド壁の各々が、複数の押え片を有し、
当該環状ガイド壁のうち一方の環状ガイド壁が有する複数の押え片と他方の環状ガイド壁が有する複数の押え片とを、当該環状ガイド壁の円周方向に千鳥状に配してある
ことを特徴とする請求項1乃至3何れか記載の遊技機用リール。
【請求項5】
前記リール枠が、駆動構造によって駆動方向に回転可能に構成してあり、
前記図柄テープが、前記係止孔を起点として当該駆動方向とは逆方向に当該リール枠に巻き付けてある
ことを特徴とする請求項1乃至4何れか記載の遊技機用リール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−488(P2006−488A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181553(P2004−181553)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)