説明

遊技機

【課題】 遊技者に対する娯楽的な演出に一層の変化を持たせることの出来る、新規な構造の遊技機を提供すること。
【解決手段】 装飾枠46とは別体に形成された落下部材56を設けて、表示領域36を上方に外れた定常位置と該表示領域36上の落下位置との間で該落下部材56を往復移動可能に支持すると共に該落下部材56を該定常位置と該落下位置でそれぞれ位置決め支持する支持手段72を設け、更に、該落下部材を該定常位置から該落下位置まで移動させる往動手段72、134と、該落下部材56を該落下位置から該定常位置まで該往動手段72,134とは異なる速度で移動させる復動手段72、124、128、146を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変動図柄表示装置の表示領域を取り囲む装飾枠を設けることによってセンター役物を構成した遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、遊技領域に設けられたCRTやドラムユニット等を用いた種々の変動図柄表示装置によって、例えば特定の入賞口に遊技球が入賞した際に複数の変動図柄を変動表示した後、それら複数の変動図柄が特定の組合せ図柄で停止した場合には、遊技者に有利な大当たり遊技状態を発生するようにされた遊技機が知られている。
【0003】
このような遊技機においては、変動表示されている複数の変動図柄を一斉に停止表示するのではなく、一つずつ順番に停止表示するのが一般的である。そして、複数の変動図柄が順に停止表示される過程において、停止表示された図柄の組合せが、大当たり遊技状態を発生する特定の組合せとなる可能性の大小を示す各種の演出を行なうことによって、遊技者の大当たりへの期待を高めるようにされている。
【0004】
また、このような演出は、大当たり遊技状態のみならず、遊技機に用意された各種の異なる遊技状態へ変化する可能性の大小を遊技者に通知する際にも行われて、遊技者の遊技への興趣を高めるようにされている。
【0005】
かかる演出としては、例えば、変動図柄表示装置として広く用いられている液晶表示画面を用いて、通常では表示されないキャラクタを表示する等の表示演出が一般的に採用されている。しかし、このような表示演出は、表示画面内で行なわれるものであることから、平面的な動きで、且つキャラクタ等を表示するという非現実的な演出しか行なうことが出来ず、演出態様に限界があるという問題があった。
【0006】
このような問題に対して、例えば特許文献1には、センター役物に可動部材を設けて、かかる可動部材の可動回数をもって遊技状態が変化する可能性を遊技者に通知するようにされた遊技機が提案されている。
【0007】
ところが、上述の如き構造とされた遊技機においては、センター役物の外観から、可動部材が動くことが容易に予想されてしまい、遊技者に驚きを与える等の演出としての効果は非常に乏しいものであった。更に、可動部材の動き自体も当初から遊技者に予測されており、その単調な予想された範囲内の動きの回数を単に数えさせるのみとなってしまい、遊技者に驚きを与えるような娯楽的な演出とは基本的に相違して、遊技者に面倒な印象すら与えてしまうおそれがあった。
【0008】
【特許文献1】特開2001−113023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、遊技者に対する娯楽的な演出に一層の変化を持たせることの出来る、新規な構造の遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、前述の如き課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面の記載、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0011】
(本発明の態様1)
すなわち、本発明の態様1は、変動図柄を表示する表示領域を遊技板上に形成する変動図柄表示装置に対して、該表示領域を取り囲む装飾枠を設けることによりセンター役物を構成した遊技機において、前記装飾枠とは別体に形成された落下部材を設けて、前記表示領域を上方に外れた定常位置と該表示領域上の落下位置との間で該落下部材を往復移動可能に支持すると共に該落下部材を該定常位置と該落下位置でそれぞれ位置決め支持する支持手段を設け、更に、該落下部材を該定常位置から該落下位置まで移動させる往動手段と、該落下部材を該落下位置から該定常位置まで該往動手段とは異なる速度で移動させる復動手段を設けたことを、特徴とする。
【0012】
本態様に従う構造とされた遊技機においては、遊技機に設けられて現実に存在する部材である落下部材を往復移動せしめることによって、表示領域内での表示演出等に比して、より立体的で現実的な演出を行なうことが可能となり、遊技者に対してより強い印象を与えて、効果的な演出を行うことが出来る。更に、落下部材の往復移動の移動速度を異ならせることによって、単調な印象を与えることもなく、より変化に富んだ、幅の広い演出を行なうことが出来る。
【0013】
加えて、本態様においては、遊技状態において遊技者が最も注目する部位である表示領域上に落下部材が現れることによって、遊技者に対して大きな驚きを与えて、効果的な演出を行うことが出来るのである。
【0014】
なお、本態様において、落下部材の移動方向は何等限定されるものではなく、例えば鉛直方向のみならず、斜め方向等に移動せしめても良い。また、かかる移動軌跡についても、直線状のみならず、曲線状のものであっても良い。
【0015】
さらに、往動手段と復動手段による落下部材の移動速度は、何れが早く設定されていても良く、例えば、落下位置に速やかに移動せしめることによって、落下部材を表示領域上に突然に出現せしめても良いし、或いは落下部材を定常位置に速やかに移動せしめることによって、落下部材を表示領域上から速やかに退避せしめる等しても良い。
【0016】
(本発明の態様2)
本発明の態様2は、前記態様1に係る遊技機において、前記往動手段が、前記落下部材に作用する重力を利用して該落下部材を前記定常位置から前記落下位置へ略自由落下せしめる構造とされていることを、特徴とする。
【0017】
本態様に従う構造とされた遊技機においては、遊技者が最も注目している表示領域上に突然に落下部材を落下せしめることが出来る。これにより、遊技者に対して大きな驚きを与えて、効果的な演出を行うことが出来る。また、落下部材が速やかに落下位置に移動することによって、遊技者は落下部材を注視し続ける必要も無く、遊技に集中することが出来る。
【0018】
(本発明の態様3)
本発明の態様3は、前記態様2に係る遊技機において、前記落下部材に一体的に形成されて略鉛直方向に延びるラックと、該ラックに噛合されて一定位置で回転可能に支持されたピニオンと、該ピニオンを一方向に回転駆動することで該ラックと共に該落下部材を前記落下位置から前記定常位置まで移動させる電動モータとを含んで、前記復動手段を構成する一方、該ピニオンにおいて周上で部分的に第一の欠歯部を設け、該第一の欠歯部で前記ラックの該ピニオンに対する相対変位を許容せしめて該落下部材の該定常位置から該落下位置への自由落下が許容されるようにすることで前記往動手段を構成したことを、特徴とする。
【0019】
本態様に従う構造とされた遊技機においては、前述の態様2の如き遊技機を、有利に構成することが出来る。即ち、ピニオンに形成された第一の欠歯部によって、ラックとピニオンとの相対変位が許容されることによって、ラックおよびラックと一体的に形成された落下部材を重力によって落下せしめることが可能となるのである。なお、本態様において、ラックとピニオンは必ずしも互いに直接に噛合せしめられている必要は無く、ラックとピニオンの間に1つ以上の歯車を介在せしめる等しても良い。また、ラックは落下部材と一体的に形成されていれば良いのであって、落下部材から別体として形成されて落下部材に取り付けられていても良いし、落下部材と一体として形成されていても良い。
【0020】
(本発明の態様4)
本発明の態様4は、前記態様3に係る遊技機において、前記ピニオンの回転位置を検出する検出手段と、該検出手段による検出信号に基づいて該ピニオンの前記電動モータによる回転駆動をON/OFFして、該ピニオンに対する前記ラックの噛合位置が前記第一の欠歯部手前となる回転位置で該ピニオンを停止させる制御手段を設けると共に、前記支持手段において、該ピニオンに対する該ラックの噛合位置が該第一の欠歯部手前となる回転位置での該ピニオンの停止位置で、前記落下部材を前記定常位置に位置決め支持せしめることを、特徴とする。
【0021】
本態様に従う構造とされた遊技機においては、落下部材が定常位置に位置せしめられた状態を検出して、かかる位置でピニオンの回転を停止せしめることによって、落下部材を定常位置で好適に位置決め支持することが出来る。
【0022】
なお、検出手段および制御手段としては、各種の構造が採用可能であり、例えば、ピニオンに突部や切欠きを設けて、かかる突部や切欠きを検出部位としてその位置を光センサ等を用いて検出することによって検出手段を構成したり、或いは、ピニオンに設けた突部が所定の回転位置に到達した際に、かかる突部が電動モータへの給電経路を遮断することによって、検出手段および制御手段を略一体的に構成すること等も可能である。
【0023】
(本発明の態様5)
本発明の態様5は、前記態様4に係る遊技機において、前記制御手段において、前記ピニオンに対する前記ラックの噛合位置が前記第一の欠歯部上となる回転位置で該ピニオンを停止させる待機手段を設けると共に、前記支持手段において、該ピニオンに対する該ラックの噛合位置が該第一の欠歯部上となる回転位置での該ピニオンの停止位置で、前記落下部材を前記落下位置に位置決め支持せしめることを、特徴とする。
【0024】
本態様に従う構造とされた遊技機においては、落下部材が落下位置に位置せしめられた状態を検出して、かかる位置でピニオンの回転を停止せしめることによって、落下部材を落下位置で好適に位置決め支持することが出来る。
【0025】
また、かかる待機手段を用いることによって、落下部材を落下位置で所定の時間に亘って停止せしめておくことも可能となる。これにより、例えば、遊技機の作動を制御する制御基板に、所定時間経過後に電動モータを駆動せしめるタイマ機能を設けて、落下部材を落下位置で一定時間停止せしめた後に定常位置に復帰せしめたり、変動図柄表示装置において行なわれる表示演出における所定のタイミングで電動モータを駆動せしめることによって、表示演出の内容に合わせて落下部材を復帰せしめる等の演出を行なうことが出来る。
【0026】
(本発明の態様6)
本発明の態様6は、前記態様3乃至5の何れかに係る遊技機において、前記ピニオンにおいて第二の欠歯部を設け、該第二の欠歯部で前記ラックの該ピニオンに対する相対変位を許容すると共に、該ラックの自由落下を阻止して前記落下部材を前記定常位置に位置決め支持する係止手段を設け、該係止手段を含んで前記支持手段を構成したことを、特徴とする。
【0027】
本態様に従う構造とされた遊技機においては、係止手段によってラックの自由落下を阻止することによって、電動モータの保持トルクを用いてラックを位置決め支持する構造に比して、より確実に安定した位置決め支持を行なうことが出来る。これにより、大型で重量の大きな落下部材であっても、安定して位置決め支持することが可能となって、より効果的な演出を行うことが出来る。
【0028】
(本発明の態様7)
本発明の態様7は、前記態様3乃至6の何れかに係る遊技機において、前記落下部材を、該落下部材の移動方向において前記ラックに対して相対変位可能に弾性的に支持することによって、該落下部材の前記落下位置への移動において該落下部材に作用する慣性力の該ラックへの伝達を軽減する緩衝手段を設けたことを、特徴とする。
【0029】
本態様に従う構造とされた遊技機においては、自由落下せしめられて、相応の慣性力を与えられた落下部材が落下位置で急激に停止せしめらた場合には、落下部材がラックに対して相対変位可能に弾性支持せしめられていることによって、落下部材の慣性力がラックに及ぼされることを軽減することが出来る。これにより、ラックの耐久性を向上せしめると共に、ラックの他部材との打ち当たり音を抑えることも出来る。
【0030】
(本発明の態様8)
本発明の態様8は、前記態様3乃至7の何れかに係る遊技機において、前記ラックを前記表示領域の側方に配設して、該ラックを前記装飾枠で覆ったことを、特徴とする。本態様に従う構造とされた遊技機においては、センター役物において、構造物の配設スペースを比較的に確保し易い表示領域の側方を巧く用いることによって、本発明に従う構造とされた遊技機を、優れたスペース効率をもって実現することが出来る。
【0031】
(本発明の態様9)
本発明の態様9は、前記態様1乃至8の何れかに係る遊技機において、前記装飾枠の一部に嵌合凹部を形成すると共に、前記支持手段によって、前記落下部材を該嵌合凹部に嵌まり込んだ状態で前記定常位置に位置決め支持せしめたことを、特徴とする。
【0032】
本態様に従う構造とされた遊技機においては、落下部材が定常位置に位置せしめられている場合には、落下部材が装飾枠に嵌まり込んだ状態とされることから、遊技者に対して、落下部材が装飾枠の一部であるような視覚的効果を与えることが出来る。これにより、かかる落下部材が落下位置へ移動せしめられる際には、落下することが予想し難い部材が落下することによって、遊技者に対して大きな驚きを与えることが出来る。
【0033】
さらに、本態様においては、落下部材を定常位置で装飾枠の奥方に位置せしめると共に、正面視において落下部材の一部を露出せしめると共に、残りの部位は装飾枠によって形成する等しても良い。このような態様によれば、落下部材が落下せしめられた際には、装飾枠が破断して落下せしめられるような演出を行なうことが出来る。或いは、落下部材の全体を装飾枠の奥方に位置せしめて、定常位置において遊技者から視認不可能な状態とすることによって、落下部材を表示領域上に突然に出現せしめる等の演出を行なう等しても良い。
【発明の効果】
【0034】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた遊技機においては、落下部材の往復移動の移動速度を異ならせることによって、変化に富んだ、より幅の広い演出を行なうことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。なお、以下の説明において、上下方向および左右方向とは、原則として、遊技者からみた上下方向および左右方向をいうものとし、表面および裏面についても、原則として、遊技者から見た表面および裏面をいうものとする。
【0036】
図1には、本発明の一実施形態として、遊技機としてのパチンコ機10が示されている。このパチンコ機10は、縦長な方形状に枠組み形成された外枠12を備えている。外枠12には、その一側において開閉自在に軸支された状態で、パチンコ機の主要構成部の略全てが集約して設けられる中枠14が組み付けられている。また、中枠14の表側には、中枠14に対して裏側から取り付けられた遊技盤16を透視保護するためのガラス板を備えたガラス枠18と、上皿20を備えた皿板22がそれぞれ中枠14の一側に開閉自在に軸支された状態で組み付けられている。更にまた、上皿20の下方には、下皿24が設けられており、かかる下皿24の右方には、発射ハンドル26が突設されている。そして、遊技者が発射ハンドル26に対して回動可能に装着された発射レバー28を回動操作することにより、上皿20に貯留された遊技球が球送り機構(図示せず)を介して発射装置(図示せず)に送られた後、遊技盤16に形成された遊技領域30に向けて発射されるようになっている。
【0037】
遊技盤16は、図2に示すように、表面に合成樹脂製のシートが被着された遊技板32を備えており、かかる遊技板32の表面側に固定されたガイドレール34によって囲まれた略円形の遊技領域30には、その略中央部分において、遊技板32の裏面から組付けられた図示しない変動図柄表示装置としての液晶表示器の表示領域36が配設されている。そして、かかる液晶表示器の表示領域36の下方において、始動入賞装置38や特別可変入賞装置40等の各種構造物が固定的に設けられている。なお、特に本実施形態においては、変動図柄表示装置として液晶表示器を用いているが、その他CRTやLEDを用いた表示器や、ドラムユニットなどを用いることも可能である。
【0038】
このような遊技領域30に向けて発射された遊技球は、遊技領域30を流下せしめられることとなる。そして、遊技球が始動入賞装置38に入賞すると、液晶表示器の表示領域36において複数の変動図柄(図示せず)の変動表示が開始され、それら複数の変動図柄の変動表示が所定時間行われる。その後、複数の変動図柄が特定の停止表示態様で停止表示された場合には、所謂大当たり遊技状態が発生し、通常の遊技状態では特別可変入賞装置40の入口を塞いでいる扉42が予め定められた作動条件に従って開閉作動せしめられるようになっている。これにより、特別可変入賞装置40の入口が開放されて、特別可変入賞装置40への遊技球の入賞が可能となり、その結果、遊技者は通常の遊技状態では得ることができない利益(賞球)を得ることが可能となる。このことから明らかなように、本実施形態では、パチンコ機10は、所謂第1種パチンコ機とされている。
【0039】
ここにおいて、液晶表示器の表示領域36の周囲には、表示領域36の周囲を装飾するためのセンター役物としてのセンター飾り44が配設されている。センター飾り44は、図3及び4にも示されているように、略枠体形状を有する装飾枠としての前面枠46と、貫通孔形状の視認窓48を有する裏面取付板50が組付けられて構成されている。そして、図示しない遊技板32を挟んで、前方から前面枠46が組み付けられると共に、後方から裏面取付板50が組み付けられることによって、センター飾り44が遊技板32に組み付けられるようになっている。
【0040】
さらに、裏面取付板50の裏側には、取付部52が設けられており、かかる取付部52を用いて、裏面取付板50の裏側から液晶表示器が組み付けられるようになっている。ここにおいて、裏面取付板50に形成された視認窓48の形状が、液晶表示器の表示領域36に対応する形状とされており、それによって、遊技盤16(遊技板32)の裏側に配設された液晶表示器の表示領域36が視認窓48を通じて視認可能とされている。
【0041】
また、前面枠46の上部には、前方に突出して、左右方向に延び出す庇54が形成されている。また、前面枠46の適当な部位には、一体乃至は別体として形成された複数の装飾部材が適当な位置に配設されている。
【0042】
そして、前面枠46の上部における略中央部分には、落下部材としてのメダル56が配設されている。メダル56は、例えば合成樹脂材等から形成された円板形状とされて、前面枠46とは別部材とされている。また、本実施形態において、メダル56の内部にはLEDや電球等によるランプ58が設けられており、点滅可能とされている。
【0043】
かかるメダル56は、図5乃至図7に示すように、液晶表示器の表示領域36の左方に配設されたギアボックス60から表示領域36に向かって水平方向に延び出して、鉛直上下方向に移動可能とされたアーム部材62によって支持されている。なお、図6および図7においては、ギアボックス60の前面ケース86および後述する背面ケース88を取り外した状態を示す。
【0044】
より詳細には、図7に示すように、メダル56における背面の略中央部には、後方に突出する取付突出部64が形成されており、取付突出部64のギアボックス60側の側面には、アーム部材62の高さ方向の幅寸法よりもやや大きな高さ寸法を有するアーム挿通切欠66が形成されている。そして、かかるアーム挿通切欠66を通じて、アーム部材62の先端部が取付突出部64の内部に挿し入れられると共に、これら取付突出部64とアーム部材62の先端部分に対して、鉛直方向に延びるシャフト部材68が挿通されることによって、メダル56とアーム部材62が非固定的に連結されている。そして、シャフト部材68におけるアーム部材62の上端面と取付突出部64の上側内周面との間には、緩衝部材としてのコイルスプリング70が外挿されており、かかるコイルスプリング70によって、メダル56には、アーム部材62に対して上方に離隔する方向の付勢力が及ぼされている。
【0045】
ここにおいて、アーム挿通切欠66の高さ寸法が、アーム部材62の高さ方向の幅寸法よりも大きくされていることから、鉛直方向におけるアーム部材62とアーム挿通切欠66の間には、所定の空隙が形成されることとなり、かかる空隙の大きさの範囲内で、メダル56とアーム部材62との鉛直方向相対変位が可能とされている。特に本実施形態においては、メダル56に及ぼされる重力によって、コイルスプリング70がやや圧縮変形せしめられており、重力とコイルスプリング70との釣り合い状態において、アーム部材62の下端面と取付突出部64の下側内周面との間にも、僅かな空隙が形成されている。
【0046】
そして、メダル56が連結されたアーム部材62の他方の端部が、支持手段としてのラック72に固定されている。ラック72は、所定の寸法に亘って鉛直方向に延びる略ロッド状の部材とされており、そのメダル56側と反対側の側面には、ラック72の略高さ寸法全体に亘って延びるラック側歯部74が形成されている。また、ラック72の表面において、対角に位置する上下の角部には、前方に突出する一対の軸部76、76が形成されており、かかる軸部76,76には、小径のローラ78,78がそれぞれ回転可能に外挿されている。
【0047】
また、ラック72の背面における高さ方向略中央部には、背面に突出する揺動軸部80が形成されている。そして、揺動軸部80には、係止部材82が揺動可能に取り付けられている。係止部材82は、ラック72の左右方向幅寸法よりもやや小さな幅寸法を有すると共に、揺動軸部80からラック72の上端縁部に至る高さ寸法よりも僅かに大きな長さ寸法を有する薄板形状とされている。そして、係止部材82の下端部が揺動軸部80に対して揺動可能に取り付けられる一方、その上端部には、背面に向かって突出する係止軸84が形成されている。
【0048】
このような構造とされたラック72は、図8に示すように、ギアボックス60を形成する前面ケース86および背面ケース88に形成された、鉛直方向に延びるガイド部90に案内されることによって、鉛直上下方向に移動可能に組み付けられる。なお、図8は、背面ケース88に対するラック72の組付け状態の理解を容易とするために、後述する電動モータ124やピニオン128等を取り除き、背面ケース88およびラック72と、ラック72に取り付けられた係止部材82のみを示している。
【0049】
なお、背面ケース88は、例えば合成樹脂材等から形成された、一方に開口する縦長の略箱体形状とされており、液晶表示器が位置する側には、鉛直方向に延びるガイド部90が形成されている。そして、図9にも示すように、ガイド部90の上端部には、水平方向において対向する内側案内壁部92と外側案内壁部94が前方に向かって突出形成されている。
【0050】
より詳細には、内側案内壁部92は、その上端縁部から鉛直方向下方に延びる上端鉛直案内壁部96が形成されており、上端鉛直案内壁部96の下端縁部から軸方向中間部分には、下方に行くに従ってケース内方に向かって傾斜する内方傾斜案内壁部98が連続的に形成されている。そして、内方傾斜案内壁部98の下端縁部から、下方に行くに従ってケース外方に向かって傾斜する外方傾斜案内壁部100が内方傾斜案内壁部98と連続的に形成されており、これら上端鉛直案内壁部96、内方傾斜案内壁部98、外方傾斜案内壁部100によって、内側案内壁部92が構成されている。
【0051】
一方、外側案内壁部94は、鉛直方向に延びる鉛直案内壁部102と、鉛直案内壁部102の上端部においてケース内方に湾曲する湾曲案内壁部104が連続的に形成されることによって構成されている。
【0052】
さらに、内側案内壁部92と外側案内壁部94との対向面間には、係止突部106が前方に向かって突出形成されている。係止突部106は、略V字形状の突部とされており、その上端面には、上方に向かって凹状の係止凹面108が形成されている。なお、係止凹面108における最も窪んだ位置は、係止突部106の中央部よりもやや内側案内壁部92側に形成されている。更に、係止突部106における内側案内壁部92側の上端面には、外方に向かって滑らかに湾曲する湾曲案内面110が形成されている。
【0053】
さらに、係止突部106の上方(背面ケース88の上端部)には、当接案内突部112が前方に向かって突出形成されている。そして、当接案内突部112の下端面には、上方に行くに従ってケース外方に向かって傾斜する当接案内面114が形成されている。ここにおいて、当接案内面114は、その幅方向における中央部分が係止突部106の係止凹面108において最も窪んだ位置と鉛直方向で対向するように形成されている。
【0054】
なお、これら内側案内壁部92、外側案内壁部94、係止突部106、および当接案内突部112における、他の壁部や突部との対向面間距離については、何れの部位においても、係止部材82における係止軸84の径寸法よりも僅かに大きくされていると共に、これらの前方への突出寸法は、何れも係止部材82に形成された係止軸84の突出寸法と略等しい高さ寸法とされている。
【0055】
さらに、背面ケース88におけるガイド部90と反対側の部位には、挿通孔116が貫設されていると共に、ピニオン用軸受118および伝達歯車用軸受120が形成されている。なお、伝達歯車用軸受120には、鉛直方向上方に延びるガイド壁部122が一体的に形成されており、かかるガイド壁部122によって、ラック72の鉛直方向の移動が安定して行なえるようにされている。
【0056】
そして、背面ケース88の裏面には、電動モータ124が、その出力軸を挿通孔116に挿通せしめた状態で取り付けられており(図4参照)、挿通孔116を通じて背面ケース88の内部に突出せしめられた電動モータ124の出力軸の先端部に対して、出力歯車126が取り付けられている。なお、電動モータ124としては、従来公知の各種のモータが採用可能であって、本実施形態においては、ステッピングモータによって、電動モータ124が構成されている。
【0057】
そして、かかる出力歯車126に対して、ピニオン128が噛合せしめられている。ピニオン128は、図10乃至図12に示すように、背面ケース88への組付け状態において後方に位置する周上において、出力歯車126と噛合する出力歯車側歯部130が全周に亘って形成されている。一方、ピニオン128の前方に位置する周上には、出力歯車側歯部130と等しいピッチを有する、伝達歯車側歯部132が形成されている。そして、伝達歯車側歯部132における周上の一部には、周方向の所定寸法(本実施形態においては1/8周)に亘って歯部の形成されていない、第一の欠歯部134が形成されている。更に、伝達歯車側歯部132において、第一の欠歯部134からピニオン128の回転方向(図10および図12中、反時計回り)に僅かな距離を隔てた周上には、周方向の所定寸法(本実施形態においては1/8周)に亘って歯部の形成されていない、第二の欠歯部136が形成されている。そして、ピニオン128の回転方向における第二の欠歯部136の終端部と第一の欠歯部134の始端部との間には、僅かな歯部(本実施形態においては2つ)が形成された係止解除歯部138が形成されている。
【0058】
さらに、ピニオン128には、軸方向前方に向かって突出する円筒状部140が形成されており、かかる円筒状部140の周上の一部には、検出切欠142が形成されている。これにより、円筒状部140は、周方向において不連続な略C字形状とされている。
【0059】
このような構造とされたピニオン128の中心軸144が、背面ケース88に形成されたピニオン用軸受118に挿し入れられることによって、ピニオン128は、出力歯車側歯部130が電動モータ124の出力歯車126と噛合された状態で、背面ケース88および前面ケース86によって一定位置で回転可能に支持されている。
【0060】
一方、ピニオン128の伝達歯車側歯部132には、伝達歯車146が噛合せしめられている。伝達歯車146は、全周に亘って一定のピッチで歯部が形成された歯車とされており、その歯幅は、ピニオン128の伝達歯車側歯部132の歯幅と略等しい幅寸法とされている。
【0061】
そして、かかる伝達歯車146が、ラック72に形成されたラック側歯部74と噛合せしめられることによって、電動モータ124の駆動力が、出力歯車126、ピニオン128、および伝達歯車146を介して、ラック72に対して鉛直方向上向きの駆動力として伝達されるようになっている。なお、本実施形態においては、電動モータ124の出力軸は、図6における時計回りに回転せしめられることによって、ラック72に対して、鉛直方向上方への駆動力が及ぼされるようになっている。
【0062】
また、本実施形態においては、背面ケース88における伝達歯車用軸受120は、ピニオン用軸受118に比して前方に突出して形成されていることから、伝達歯車146の歯部は、ピニオン128の伝達歯車側歯部132のみと噛合せしめられて、出力歯車側歯部130と噛合することのないようにされている。
【0063】
また、図13および図14に示すように、ピニオン128の円筒状部140には、検出手段としてのフォトセンサ147が設けられている。フォトセンサ147は、略コの字形状とされて受光素子と発光素子が対向位置せしめられた従来公知の光センサであり、発光素子と受光素子との間にピニオン128の円筒状部140が遮光物として位置せしめられるようになっている。これにより、フォトセンサ147が、その配設位置に検出切欠142の周方向における始点148と終点150が到達したことを検出することによって、ピニオン128の回転位置を検出するようにされている。
【0064】
ここにおいて、検出切欠142の周方向における始点148は、ピニオン128の回転位置が、伝達歯車146に対して第一の欠歯部134の手前、即ち、係止解除歯部138がさしかかる回転位置となった際に、フォトセンサ147にさしかかるように形成されている。一方、終点150は、ピニオン128の回転位置が、伝達歯車146の歯部に対して第一の欠歯部134が位置する回転位置となった場合に、フォトセンサ147にさしかかるように形成されている。
【0065】
さらに、ラック72は、図13にも示すように、ピニオン128の回転位置が、検出切欠142の始点148がフォトセンサ147にさしかかる回転位置とされた状態において、ラック72に設けられた係止部材82の係止軸84が、背面ケース88の係止突部106に係合せしめられて、位置決め支持されるようになっている。
【0066】
そして、かかるフォトセンサ147は、その発光素子と受光素子との間に始点148乃至は終点150がさしかかった際には、パチンコ機10の裏面に配設されて、パチンコ機10の作動を制御する制御基板(図示せず)に対して、検出信号を送信するようにされており、かかる検出信号を受信した制御基板は、電動モータ124への通電を停止して、電動モータ124を停止せしめるようにされている。これにより、本実施形態においては、フォトセンサ147および制御基板を含んで、ピニオン128に対するラック72の噛合位置が、第一の欠歯部134の手前となる回転位置でピニオン128を停止させる制御手段が構成されていると共に、ピニオン128に対するラック72の噛合位置が、第一の欠歯部134上となる回転位置でピニオン128を停止させる待機手段が構成されている。
【0067】
上述の如き構造とされたギアボックス60は、センター飾り44における表示領域36の右側に配設されている。これにより、ギアボックス60内に配設されたラック72は、ギアボックス60と共に前面枠46で覆われている。そして、ラック72がギアボックス60内で鉛直上下方向に移動可能とされることによって、ラック72に一体的に設けられたメダル56は、表示領域36上を鉛直上下方向に移動可能とされている。
【0068】
より具体的には、このような構造とされたセンター飾り44は、図15に示す如き作動制御が行われることによって、メダル56を移動せしめるようにされている。
【0069】
まず、メダル56は、図1乃至図3に示すように、初期状態において前面枠46の上方における中央部分に位置せしめられており、かかる位置が定常位置とされている。このような定常位置において、ギアボックス60内のラック72は、ラック72に取り付けられた係止部材82の係止軸84が、背面ケース88に形成された係止凹面108の凹部に係合せしめられることによって、下方への変位が阻止されている。このことから明らかなように、本実施形態においては、背面ケース88に形成された係止凹面108と、ラック72に備えられた係止部材82の係止軸84によって、落下部材としてのメダル56を定常位置に位置決め支持する係止手段が構成されている。
【0070】
また、メダル56が定常位置に位置せしめられた状態において、ピニオン128の回転位置は、係止解除歯部138が伝達歯車146にさしかかる位置となるように設定されている。
【0071】
そして、遊技中にメダル56を落下せしめる契機が発生した場合(S1)には、制御基板等から、電動モータ124へ通電が行われることによって、電動モータ124が回転せしめられる(S2)。なお、本実施形態においては、電動モータ124は、図6における時計回りに回転せしめられる。なお、メダル56を落下せしる契機としては、遊技の演出を高めるための各種の時点を適宜に採用することが可能である。例えば、大当たり状態が発生することを予告する場合や、所謂リーチ状態が発生する直前、あるいは、リーチ状態から大当たり状態にならなかった場合に、再度変動図柄を変動せしめる時点等を採用することが出来る。
【0072】
そして、電動モータ124が回転せしめられることによって、電動モータ124の出力歯車126を介して、ピニオン128が回転(本実施形態においては、図6中、反時計回り)せしめられる。これにより、ピニオン128に形成された係止解除歯部138が、伝達歯車146と噛合せしめられて、伝達歯車146が回転(本実施形態においては、図6中、時計回り)せしめられる。そして、ラック72に対して、鉛直上方に向かう駆動力が及ぼされて、ラック72は、背面ケース88に形成されたガイド部90に案内されて、鉛直上方に変位せしめられる。
【0073】
ここにおいて、ラック72が鉛直方向上方へ変位せしめられることによって、ラック72に取り付けられた係止部材82の係止軸84が、上方へ変位せしめられる。そして、係止軸84は、その上方に形成された当接案内突部112に当接せしめられることによって、内側案内壁部92側へ案内されて、係止突部106との係止状態が解除される。
【0074】
そして、ピニオン128が更に回転せしめられることによって、伝達歯車146の歯部は、ピニオン128の第一の欠歯部134に至り、伝達歯車146とピニオン128との噛合状態が解除される。これにより、伝達歯車146が自由に回転可能とされて、ラック72がその自重によって鉛直方向下方に略自由落下せしめられることとなるのである。このことから明らかなように、本実施形態においては、第一の欠歯部134を含んで、メダル56を落下位置へ移動せしめる往動手段が構成されている。なお、本実施形態においては、ラック72の上下両端部において対角に位置する部位にローラ78,78が設けられていることによって、ラック72がガイド部90に対して片当たり状態となることが回避されて、円滑に変位せしめられるようにされている。また、係止軸84を係止支持していた係止突部106に、湾曲案内面110が形成されて、係止軸84を内側案内壁部92側へ案内することによって、ラック72が自由落下せしめられる際に、係止軸84が再び係止突部106に係止せしめられるようなことも巧く回避されているのである。
【0075】
而して、図16に示すように、ラック72に一体的に設けられたメダル56が、落下位置とされた表示領域36の前面における略中央部に、略自由落下せしめられる。なお、本実施形態において、ラック72の下方への変位は、ラック72がガイド部90の下端部に形成された底部152に当接せしめられることによって制限されている。また、特に本実施形態においては、メダル56がアーム部材62に対してコイルスプリング70を介して弾性支持されていることによって、自由落下せしめられたメダル56が急激に停止せしめられることによってアーム部材62に及ぼされる衝撃が吸収されるようになっている。更に、図示を省略するが、本実施形態においては、底部152にゴム弾性体を設けることによって、ラック72の底部152への当接による衝撃も緩衝せしめられるようになっている。
【0076】
また、図16に示すように、本実施形態においては、前面枠46におけるメダル56の定常位置と重なり合う部位に、正面視においてメダル56の上部と同様の形状を有するメダル状部154が形成されていると共に、かかるメダル状部154の背面には、メダル56を収納可能な嵌合凹部が形成されている。そして、メダル56は、嵌合凹部に嵌め入れられた位置が定常位置とされている。これにより、メダル56が定常位置に位置せしめられている場合には、これらメダル状部154とメダル56によって、メダル56の正面視が形成されており、遊技者から見た場合には、メダル56は前面枠46に対して一体的乃至は固定的に設けられた部材として認識されることとなる。そして、そのような前面枠46から分離しそうにない部材が突然落下せしめられることによって、遊技者に対して大きな驚きを与えることが出来て、より優れた演出効果を発揮することが出来るのである。更に、本実施形態においては、メダル56が定常位置に位置せしめられた状態において、アーム部材62も全体が前面枠46に覆われていることから、メダル56がアーム部材62によって支持されていることも遊技者からは認識することが困難とされており、メダル56が前面枠46から分離することがより予測困難とされているのである。
【0077】
そして、メダル56が落下位置に落下せしめられた場合、即ち、ピニオン128の第一の欠歯部134が伝達歯車146の位置となる回転位置となった場合には、ピニオン128の検出切欠142の終点150が、フォトセンサ147に到達するようにされている。即ち、制御基板は、フォトセンサ147から、検出切欠142の終点150の検出信号を受信するまで電動モータ124への通電を継続し、検出信号を受信した際には、電動モータ124への通電を停止して、ピニオン128の回転駆動を停止する(S3、S4)。
【0078】
そして、S5において、電動モータ124を停止した状態を、一定時間(例えば3秒乃至5秒程度)継続して、メダル56を、落下位置に一定時間位置せしめる。かかる一定時間の計測は、制御基板に設けられたタイマ機能などを用いて計測することが出来る。但し、S3乃至S5における一定時間の停止は、あくまでも演出上のものに過ぎないのであって、このような一定時間の停止を行なうこと無く、電動モータ124を回転せしめ続けて、メダル56を落下位置に一定時間位置せしめることなく、即座に定常位置への復帰動作を行なっても良い。
【0079】
そして、一定時間待機(S5)の後、制御基板は、電動モータ124への通電を行ない、ピニオン128を更に回転せしめる(S6)。なお、かかる電動モータ124の回転方向は、前述のS2における回転方向と同一方向(本実施形態においては、図6中、時計回り)である。
【0080】
これにより、ピニオン128が回転せしめられて、ラック72が、鉛直方向上方へ変位せしめられる。そして、ラック72の上方への変位に伴って、ラック72に取り付けられた係止部材82の係止軸84は、先ず背面ケース88の内側案内壁部92に形成された外方傾斜案内壁部100に当接せしめられる。更に、係止軸84は外方傾斜案内壁部100によって案内されて、対向する外側案内壁部94の鉛直案内壁部102に当接せしめられた後に、更に上方に案内されて、湾曲案内壁部104の上端部に案内されることとなる。
【0081】
そして、係止軸84が湾曲案内壁部104の上端部に到達した時点で、ピニオン128の第二の欠歯部136が伝達歯車146の歯部にさしかかるようにされており、ピニオン128と伝達歯車146との噛合状態が解除されるようになっている。これにより、ラック72は鉛直方向下方へ落下せしめられることとなる。ここにおいて、係止軸84は、湾曲案内壁部104によって係止突部106の上方に位置せしめられていることによって、ラック72の自由落下によって下方へ変位せしめられると、係止突部106の係止凹面108に当接するようにされている。そして、係止軸84が係止凹面108によって係止されることによって、ラック72の下方への変位が阻止されて、メダル56が定常位置に位置せしめられることとなるのである。このことから明らかなように、本実施形態においては、ラック72、電動モータ124、ピニオン128、および伝達歯車146を含んで、メダル56を定常位置へ復帰せしめる復動手段が構成されている。
【0082】
さらに、第二の欠歯部136が伝達歯車146の位置に回転位置せしめられて、係止解除歯部138が伝達歯車146と噛合せしめられる直前の回転位置において、検出切欠142の始点148がフォトセンサ147にさしかかるようにされている。これにより、制御基板は、フォトセンサ147による始点148の検出信号を受信した際には、電動モータ124を停止する(S7、S8)。
【0083】
このようにして、メダル56が定常位置に復帰せしめられることによって、一連の動作を終了する。以上のように、本実施形態においては、メダル56の定常位置から落下位置への移動が自由落下によって行なわれる一方、落下位置から定常位置への移動が電動モータ124、ピニオン128およびラック72による駆動機構を用いて行われることによって、その移動速度が異ならされているのである。
【0084】
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0085】
例えば、メダル56の移動方向は、鉛直上下方向に限定されるものではなく、ガイド部90を斜めに形成することによって、斜め方向に移動せしめる等しても良い。
【0086】
また、前述の実施形態における、係止突部106と係止軸84との係止機構は必ずしも必要ではなく、例えば電動モータ124の保持トルクによって、メダル56を定常位置で保持せしめる等しても良い。
【0087】
更にまた、電動モータ124として両方向に回転可能なステッピングモータ等を採用して、メダル56が定常位置に位置せしめられた状態でピニオン128を両方向に僅かに回転せしめることによって、メダル56を落下せしめる前に定常位置で揺らす等の演出を行なうことも可能である。
【0088】
また、ピニオン128の回転位置を検出する検出手段としては、前述の実施形態の如きフォトセンサに限らず、例えばピニオン128の周上の一部に突部を設けると共に、ON/OFFによって制御基板に電気信号を送信するスイッチを設けて、かかる突部によってスイッチをON/OFFすることによって検出手段を構成するなどしても良い。また、電気接点を電動モータ124への給電経路上に設けると共に、かかる電気接点をON/OFFする突部をピニオン128の周上の一部に設けることによって、ピニオン128の回転位置によって直接的に電動モータ124の作動を制御する制御手段を構成するなどしても良い。
【0089】
更にまた、電動モータ124の回転速度は、必ずしも一定に保たれる必要は無い。従って、メダル56を落下せしめて、定常位置に復帰せしめる機会毎に、異なる移動速度で復帰せしめても良いし、更に、一回の復帰動作において、メダル56の移動速度を変化せしめること等も可能である。
【0090】
また、前述の実施形態においては、メダル56の上部は定常位置に位置せしめられた状態において前面枠46に覆われている一方、メダル56の下部は露呈せしめられていたが、メダル56の全体を前面枠46によって覆うことも勿論可能である。或いは逆に、メダル56の全体を露呈せしめても良い。また、前面枠46によってメダル56を覆う場合において、メダル状部154は必ずしも形成される必要はないのであって、メダル56と異なる形状とされていても良いことは、言うまでもない。
【0091】
さらに、前述の実施形態においては、メダル56は、アーム部材62を介してラック72によって支持されていたが、メダル56を支持する具体的な構造は、何ら限定されない。例えば、メダル56にワイヤを接続して、表示領域36の前面に吊下げ状態で落下せしめた後に、かかるワイヤを巻き上げることによって定常位置に復帰せしめる等しても良い。
【0092】
加えて、前述の実施形態においては、本発明を第1種パチンコ機に適用したものの一具体例を示したが、本発明は、第2種パチンコ機や第3種パチンコ機に対しても、勿論適用することが可能である。
【0093】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施形態としてのパチンコ機を示す正面図である。
【図2】図1に示したパチンコ機に採用される遊技盤の正面図である。
【図3】図2に示した遊技盤に設けられたセンター飾りの正面図である。
【図4】図3に示したセンター飾りの背面図である。
【図5】図4に示したセンター飾りに設けられるメダルおよびギアボックスを示す正面図である。
【図6】図5に示したギアボックスの内部を示す正面図である。
【図7】図5に示したギアボックスの内部を示す背面図である。
【図8】図5に示したギアボックスの背面ケースにラックが配設された状態を示す正面図である。
【図9】図8に示した背面ケースの要部拡大図である。
【図10】図6に示したピニオンを示す正面図である。
【図11】図6に示したピニオンを示す背面図である。
【図12】図6に示したピニオンを示す斜視図である。
【図13】メダルが定常位置に位置せしめられた状態における、ギアボックス内部を示す斜視図である。
【図14】メダルが落下位置に位置せしめられた状態における、ギアボックス内部を示す斜視図である。
【図15】電動モータの作動手順を示すフローチャートである。
【図16】図3に示したセンター飾りにおいて、メダルが落下位置に位置せしめられた状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0095】
10 パチンコ機
36 表示領域
44 センター飾り
46 前面枠
56 メダル
60 ギアボックス
72 ラック
78 ローラ
82 係止部材
88 背面ケース
90 ガイド部
106 係止突部
108 係止凹面
118 ピニオン用軸受
120 伝達歯車用軸受
124 電動モータ
126 出力歯車
128 ピニオン
130 出力歯車側歯部
132 伝達歯車側歯部
134 第一の欠歯部
136 第二の欠歯部
138 係止解除歯部
142 検出切欠
146 伝達歯車
147 フォトセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変動図柄を表示する表示領域を遊技板上に形成する変動図柄表示装置に対して、該表示領域を取り囲む装飾枠を設けることによりセンター役物を構成した遊技機において、
前記装飾枠とは別体に形成された落下部材を設けて、前記表示領域を上方に外れた定常位置と該表示領域上の落下位置との間で該落下部材を往復移動可能に支持すると共に該落下部材を該定常位置と該落下位置でそれぞれ位置決め支持する支持手段を設け、更に、該落下部材を該定常位置から該落下位置まで移動させる往動手段と、該落下部材を該落下位置から該定常位置まで該往動手段とは異なる速度で移動させる復動手段を設けたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記往動手段が、前記落下部材に作用する重力を利用して該落下部材を前記定常位置から前記落下位置へ略自由落下せしめる構造とされている請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記落下部材に一体的に形成されて略鉛直方向に延びるラックと、該ラックに噛合されて一定位置で回転可能に支持されたピニオンと、該ピニオンを一方向に回転駆動することで該ラックと共に該落下部材を前記落下位置から前記定常位置まで移動させる電動モータとを含んで、前記復動手段を構成する一方、
該ピニオンにおいて周上で部分的に第一の欠歯部を設け、該第一の欠歯部で前記ラックの該ピニオンに対する相対変位を許容せしめて該落下部材の該定常位置から該落下位置への自由落下が許容されるようにすることで前記往動手段を構成した請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記ピニオンの回転位置を検出する検出手段と、
該検出手段による検出信号に基づいて該ピニオンの前記電動モータによる回転駆動をON/OFFして、該ピニオンに対する前記ラックの噛合位置が前記第一の欠歯部手前となる回転位置で該ピニオンを停止させる制御手段を設けると共に、
前記支持手段において、該ピニオンに対する該ラックの噛合位置が該第一の欠歯部手前となる回転位置での該ピニオンの停止位置で、前記落下部材を前記定常位置に位置決め支持せしめる請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記制御手段において、前記ピニオンに対する前記ラックの噛合位置が前記第一の欠歯部上となる回転位置で該ピニオンを停止させる待機手段を設けると共に、
前記支持手段において、該ピニオンに対する該ラックの噛合位置が該第一の欠歯部上となる回転位置での該ピニオンの停止位置で、前記落下部材を前記落下位置に位置決め支持せしめる請求項4に記載の遊技機。
【請求項6】
前記ピニオンにおいて第二の欠歯部を設け、該第二の欠歯部で前記ラックの該ピニオンに対する相対変位を許容すると共に、該ラックの自由落下を阻止して前記落下部材を前記定常位置に位置決め支持する係止手段を設け、該係止手段を含んで前記支持手段を構成した請求項3乃至5の何れかに記載の遊技機。
【請求項7】
前記落下部材を、該落下部材の移動方向において前記ラックに対して相対変位可能に弾性的に支持することによって、該落下部材の前記落下位置への移動において該落下部材に作用する慣性力の該ラックへの伝達を軽減する緩衝手段を設けた請求項3乃至6の何れかに記載の遊技機。
【請求項8】
前記ラックを前記表示領域の側方に配設して、該ラックを前記装飾枠で覆った請求項3乃至7の何れかに記載の遊技機。
【請求項9】
前記装飾枠の一部に嵌合凹部を形成すると共に、前記支持手段によって、前記落下部材を該嵌合凹部に嵌まり込んだ状態で前記定常位置に位置決め支持せしめた請求項1乃至8の何れかに記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−192154(P2006−192154A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−8241(P2005−8241)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000121693)奥村遊機株式會社 (978)
【Fターム(参考)】