説明

遊技機

【課題】 遊技者技術にかかわらず、出玉に大きな影響を与えることができ、また、遊技者による駆け引きを可能にして、遊技性を向上させる。
【解決手段】 遊技者に有利となる特定遊技モードを複数備える遊技機であって、ゲームの開始に応じて、第一の特定遊技モード(ボーナスゲームなど)に係る権利を抽選する権利抽選手段と、第一の特定遊技モードに係る権利が発生しているとき、所定の操作に応じて、第一の特定遊技モードを発動させるモード発動手段と、第一の特定遊技モードに係る権利が発生し、かつ、第一の特定遊技モードが発動していないとき、所定の操作に応じて、第一の特定遊技モードに係る権利を、第二の特定遊技モード(リプレイタイムなど)に係る権利に移行させる権利移行手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン(回胴式遊技機)、パチンコ機などの遊技機に関し、特に、遊技者に有利となる特定遊技モードを複数備える遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スロットマシンやパチンコ機に代表される遊技機は、遊技者に有利となる特定遊技モードを備えている。
例えば、スロットマシンは、ビッグボーナス(BB)、レギュラボーナス(RB)などのボーナスゲーム(第一種特別役物による特定遊技モード)を備えており、このボーナスゲームが発動されると、遊技者は、多くの遊技媒体(メダル)を獲得することが可能になる。
【0003】
図10は、ボーナスゲーム抽選からボーナスゲーム開始までの流れを示すフローチャートである。
この図に示すように、スロットマシンでは、ゲームの開始に応じて、ボーナスゲームに係る権利の抽選が行われ(S101)、この抽選に当選すると、ボーナスゲームを発動させる権利が得られる(S102)。ボーナスゲームの権利が発生すると、所定の操作に応じてボーナスゲームに入賞(ボーナスゲームの発動)となり(S103)、ボーナスゲームがスタートする(S104)。これにより、遊技者には多量のメダルが払い出されることになる。
ここで、スロットマシンでは、通常、いわゆる目押し操作でボーナス図柄(「7・7・7」、「BAR・BAR・BAR」など)を停止させることにより、ボーナスゲームの入賞となり所定のボーナスゲームが発動される。
【0004】
図11は、従来のスロットマシンに係るスランプグラフである。なお、スランプグラフとは、払出メダルのスランプ(差引枚数=払出枚数−投入枚数)の推移をグラフ化したものである。
この図に示すように、スロットマシンでは、通常、ボーナスゲームの権利発生(ボーナスゲームの発動)を境として、メダルの増加区間と減少区間が明確に分かれる。すなわち、ボーナスゲーム中は、メダルが急激に増加するものの、ボーナスゲーム終了から次回のボーナスゲーム開始までの期間は、メダルが減り続ける。スランプグラフは、小当たりの発生などでも変動するが、概ね図11に示すようなものであって、ボーナスゲーム以外の期間にメダルを増やすことは困難である。
図11に示す例では、ボーナスゲームの権利が四回発生しているが、二回目のボーナスゲームから三回目のボーナスゲームまでの期間が長いために、最終的に遊技者の負けとなっていることがわかる。
【0005】
ところで近年は、ボーナスゲーム以外の特定遊技モードを備えるスロットマシンが増えている(例えば、特許文献1参照。)。
この種の特定遊技モードとしては、例えば、いわゆるリプレイタイム(RT)やアシストタイム(AT),アシストリプレイタイム(ART)などがあり、また、第二種特別役物による特定遊技モードも提案される。
このような特定遊技モードを備えるスロットマシンでは、メダルの減少を抑えながら、あるいはメダルを増加させつつ遊技を継続する機会が与えられるため、ボーナスゲームの当選機会を増やしたり、遊技時間を引き伸ばすことができる。
【0006】
なお、リプレイタイムとは、通常の遊技状態よりも、リプレイ(再遊技)の当選確率が上った状態をいう。リプレイに入賞すると、メダルを投入することなく、次回のゲームが行えるため、通常の遊技状態よりもメダルの減少を抑えることができる。
また、アシストタイムとは、小役などの内部当りや、その入賞に必要な操作手順を遊技者に告知する状態をいう。この状態では、入賞の取りこぼしが減るため、通常の遊技状態よりもメダルの減少を抑えたり、メダルを増加させることができる。
アシストリプレイタイムとは、リプレイタイムとアシストタイムが同時に発動した状態をいう。この状態では、入賞の取りこぼしが減るだけでなく、リプレイが増えるため、通常の遊技状態よりもメダルの減少を抑えたり、メダルを増加させることができる。
【0007】
また、第一種特別役物とは、入賞に係る図柄の組み合わせを増やしたり、入賞の確率を上昇させる役物で、所定のゲーム回数を限度として継続できるものをいう。例えば、第一種特別役物を一回作動させることにより、レギュラボーナスゲーム状態を出現させることができ、また、役物連続作動装置によって第一種特別役物を複数回連続して作動させることにより、ビッグボーナスゲーム状態を出現させることができる。
第二種特別役物とは、内部抽選の結果に拘わらず入賞を可能にする役物で、一回を限度として作動させることができるものをいう。例えば、役物連続作動装置によって第二種特別役物を連続して作動させることにより、メダルを増加可能な特定遊技モードが出現する。
【0008】
【特許文献1】特開2002−336426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の遊技機は、遊技者に目押しなどの技術を求めるものが多く、技術の差が出玉に大きな影響を与えるため、技術的に未熟な遊技者とって不利な状況となっている。
換言すると、技術的に未熟な遊技者は、技術介入によって出玉を増やすことが困難であるために、遊技を満喫できないという問題があった。
その一方で、従来の遊技機では、当選した特定遊技モードを、当選した順番で発動させるに過ぎないため、だれが遊技しても類似したスランプ変動となってしまう。換言すると、従来の遊技機では、駆け引き的な遊技要素が不足しており、高い遊技性を発揮することが困難であった。
そこで、本願発明者は、鋭意研究の末、従来の遊技機における遊技方式やシステム等を変更することなく、遊技者のゲームに対する期待感や満足度を高めて魅力ある遊技を提供できる、従来にはない新たな遊技機を創作するに至ったものである。
【0010】
すなわち、本発明は、上述した従来のスロットマシンが有する課題を解決するために提案されたものであり、遊技者の技術の巧拙にかかわらず、遊技媒体の払出数の結果に大きな影響を与えることができ、また、遊技者のゲームに対する駆け引きや判断の要素を付加して遊技性を向上させることができ、従来にはない期待感やスリル,満足感が得られる遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため本発明の遊技機は、遊技者に有利となる特定遊技モードを複数備える遊技機であって、ゲームの開始に応じて、第一の特定遊技モードに係る権利を抽選する権利抽選手段と、第一の特定遊技モードに係る権利が発生しているとき、所定の操作に応じて、第一の特定遊技モードを発動させるモード発動手段と、第一の特定遊技モードに係る権利が発生し、かつ、第一の特定遊技モードが発動していないとき、所定の操作に応じて、第一の特定遊技モードに係る権利を、第二の特定遊技モードに係る権利に移行させる権利移行手段と、を備える構成としてある。
【0012】
このように構成すれば、第一の特定遊技モードに係る権利を、第二の特定遊技モードに係る権利に移行させることにより、出玉に大きな影響を与えることができる。これにより、技術的に未熟な遊技者であっても、出玉に大きな影響を与え、遊技を満喫することができる。
また、遊技者は、第一の特定遊技モードに係る権利を、第二の特定遊技モードに係る権利に移行させるか否かという選択が可能になるので、遊技に駆け引きの要素を付加し、遊技性を高めることができる。
【0013】
また、本発明の遊技機は、第二の特定遊技モードに係る権利が発生しているとき、所定の操作に応じて、第二の特定遊技モードを発動させる第二のモード発動手段を備える構成としてある。
このように構成すれば、どのタイミングで第二の特定遊技モードを発動させるかという駆け引き要素が付加されるので、遊技性を更に高めることができる。
【0014】
また、本発明の遊技機は、第一の特定遊技モードが、多くの遊技媒体を獲得できる遊技モードであり、第二の特定遊技モードが、遊技媒体の減少を抑えながら
又は遊技媒体を増加させながら遊技が継続できる遊技モードとしてある。
このように構成すれば、遊技の駆け引きとして特定遊技モードを選択したり、遊技予定時間に応じて特定遊技モードを選択することが可能になる。
また、第二の特定遊技モードを選択すると、メダルが減り続けるのではないのかという不安が解消されるので、遊技の継続を促進し、遊技機の稼働率を高めることができる。
【0015】
また、本発明の遊技機は、第一の特定遊技モードが、ボーナスゲームによる遊技モードであり、第二の特定遊技モードが、リプレイタイム、アシストタイム又はアシストリプレイタイムによる遊技モードとしてある。
このように構成すれば、既知の特定遊技モードを利用して、本発明を実施することができる。
【0016】
また、本発明の遊技機は、第一の特定遊技モードが、第一種特別役物及び第二種特別役物による遊技モードであり、第二の特定遊技モードが、第二種特別役物の終了後に、リプレイタイム、アシストタイム又はアシストリプレイタイムに移行する遊技モードとしてある。
このように構成すれば、第一種特別役物から第二種特別役物への権利移行が可能になるだけでなく、第二種特別役物の終了後に、遊技媒体の減少を抑えながら、あるいは遊技媒体を増加させながら遊技が継続できる状態を出現させることができる。
なお、第二種特別役物の終了時に、リプレイタイム、アシストタイム又はアシストリプレイタイムに係る権利の抽選を行い、これに当選した場合にのみ、リプレイタイム、アシストタイム又はアシストリプレイタイムに移行させる場合も含まれる。
【0017】
また、本発明の遊技機は、前記権利移行手段が、回胴回転装置に係る回転停止装置の操作順序、前記回転停止装置以外のスイッチ操作、及び/又は、前記回胴回転装置における停止図柄の組み合わせにもとづいて、権利移行操作を判断し、第一の特定遊技モードに係る権利を、第二の特定遊技モードに係る権利に移行させる構成としてある。
このように構成すれば、いずれかの権利移行操作に応じて、第一の特定遊技モードに係る権利を、第二の特定遊技モードに係る権利に移行させることができる。特に、回胴回転装置に係る回転停止装置の操作順序や、前記回転停止装置以外のスイッチ操作にもとづいて、権利移行を行うようにした場合は、目押し技術のない遊技者であっても、簡単に権利移行ができるという利点がある。
【0018】
また、本発明の遊技機は、前記第二のモード発動手段が、回胴回転装置に係る回転停止装置の操作順序、前記回転停止装置以外のスイッチ操作、及び/又は、前記回胴回転装置における停止図柄の組み合わせにもとづいて、モード発動操作を判断し、第二の特定遊技モードを発動させる構成としてある。
このように構成すれば、いずれかのモード発動操作に応じて、第二の特定遊技モードを発動させることができる。特に、回胴回転装置に係る回転停止装置の操作順序や、前記回転停止装置以外のスイッチ操作にもとづいて、モード発動を行うようにした場合は、目押し技術のない遊技者であっても、簡単にモード発動ができるという利点がある。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、第一の特定遊技モードに係る権利を、第二の特定遊技モードに係る権利に移行させることにより、出玉に大きな影響を与えることができる。これにより、技術的に未熟な遊技者であっても、出玉に大きな影響を与え、遊技を満喫することができる。
また、遊技者は、第一の特定遊技モードに係る権利を、第二の特定遊技モードに係る権利に移行させるか否かという選択が可能になるので、遊技に駆け引きの要素を付加し、遊技性を高めることができる。
また、第二の特定遊技モードに係る権利が発生しているとき、所定の操作に応じて、第二の特定遊技モードを発動させるようにすれば、どのタイミングで第二の特定遊技モードを発動させるかという駆け引き要素が付加されるので、遊技性を更に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の遊技機の好ましい一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
[遊技機の構成]
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る遊技機の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る遊技機を示す概略正面図、図2は、本発明の一実施形態に係る遊技機の内部構造を示す概略斜視図である。
これらの図に示すように、本実施形態の遊技機は、スロットマシンであって、スロットマシン本体1に備えられる複数のリール21a〜21cを回転させ、各リール21a〜21cに付された図柄(文字、数字、絵柄など)を所定の配列に停止させることによって、入賞メダルを獲得することができる回胴式遊技機を構成している。
【0021】
具体的に説明すると、スロットマシン本体1は、内部にマイクロコンピュータからなる制御部10及び必要な機械、装置などを収納した筐体状に構成されており、前面側は前面パネル2によって開閉自在に覆われるようになっている。前面パネル2は、図1及び図2に示すように、スロットマシン本体1に対して開閉自在に取り付けられる扉体で、スロットマシンの正面部を構成している。
【0022】
この前面パネル2のほぼ中央部分には、三つの表示窓3a〜3c(図2参照)が設けられている。表示窓3a〜3cは、スロットマシン本体1の内部に配設された三つのリール21a〜21cを視認するための窓部であって、通常、無色透明又は有色透明な樹脂製パネルからなり、三つの各リール21a〜21cの周囲に描かれた複数の図柄のうち、縦方向に連続して隣接する複数(通常三つ)の図柄をそれぞれ視認、識別できるようになっている。
表示窓3には、図1に示すように、通常5本の入賞ライン3dが描かれており、入賞ライン表示に沿って停止、配列されたリール21a〜21cの図柄の組合せによって、ゲームの入賞が決定されるようになっている。
【0023】
前面パネル2のほぼ中央部分には、図1に示すように、スタートレバー4及びストップボタン5a〜5c(回転停止装置)が備えられている。スタートレバー4は、三つの各リール21a〜21cの回転を開始させるゲームスタート手段であり、このスタートレバー4が遊技者の操作によって押下されることで、後述する制御部10にスタート信号が出力され、本体内部の各リール21a〜21cが一斉(又は順次)に回転するようになっている。また、このスタートレバー4の押下によりスタート信号が入力されることで、後述する制御部10において、抽選処理が行われるようになっている。
【0024】
ストップボタン5a〜5cは、回転するリール21a〜21cを停止させる停止手段であり、リール21a〜21cと同数だけ設けられている。各ストップボタン5a〜5cが遊技者の任意のタイミングで押下されることで、制御部10にストップ信号が出力され、対応する各リール21a〜21cの回転が停止されるようになっている。
【0025】
リール21a〜21cは、一般のスロットマシンにおけるものと同様、外周に複数(通常21個)の絵柄や文字等の図柄が描かれた円筒状部材からなり、横方向に一列に並んで配設されている。各リール21a〜21cに備えられる図柄は、各リール21a〜21cごとに等間隔で配設され、例えば、ボーナスゲーム(第一種特別役物)に係る「7」、「BAR」、キャラクタなどの図柄、小役に係る果物などの図柄、リプレイに係る図柄などが、所定の順番で表示されており、通常、各リール21a〜21cに21個ずつの図柄が表示されるようになっている。そして、このリール21a〜21cの図柄が、対応するストップボタン5a〜5cが押下操作されることで、上述した表示窓3a〜3cの入賞ライン表示に沿って、例えば「7・7・7」や「BAR・BAR・BAR」など、所定の組合せで停止されることで、入賞が決定される。そして、このような三つのリール21a〜21cが、スロットマシン1の内部に備えられた制御部10及びドラムユニット20により駆動制御及び停止制御されるようになっている。
【0026】
図2に示すように、ドラムユニット20(回胴回転装置)は、三つのリール21a〜21cを回転自在に保持しており、その上方には、マイクロコンピュータなどからなる制御部10が備えられている。ドラムユニット20は、スタートレバー4及びストップボタン5a〜5cが押下操作されることで、後述する制御部10からパルス信号を入力し、対応するリール21a〜21cの回転始動制御、定速回転制御及び回転停止制御を行うようになっている。このドラムユニット20により、制御部10で行われる内部当たり抽選の結果に応じて、リール21a〜21cの停止位置が制御され、遊技者がストップボタン5a〜5cを押すタイミングに拘わらず、すなわち、各ストップボタン5a〜5cの押下タイミングがずれていても、それが一定範囲内(通常、図柄4コマの範囲内)であれば、対応するリール21a〜21cの図柄が特定配列となるようにリール21a〜21cが停止制御されるようになっている。
【0027】
例えば、内部当たり抽選の結果、所定の入賞内容に当選すると、遊技者のストップボタン5a〜5cを押すタイミングに拘わらず、対応する各リール21a〜21cの図柄が「7・7・7」や「BAR・BAR・BAR」など、所定の配列となるよう、リール21が停止制御されることになる。これにより、スタートレバー4からのスタート信号を契機として制御部10で内部当たり抽選が行われ、制御部10からの制御信号によりドラムユニット20が制御されることで、ストップボタン5が押下されるタイミングに拘わらず、一定範囲内で内部当たり抽選の結果に応じた停止位置で各リール21a〜21cが停止されることになる。
【0028】
なお、リール21a〜21cの停止制御は、各リール21a〜21cを停止させる順番、すなわち、ストップボタン5a〜5cを押下する順番によって、図柄配列の揃い易さが異なるような停止制御が行われる場合がある。例えば、内部当たり抽選の結果、「小役」に入賞した場合には、ストップボタン5a〜5cを特定の順、例えば「左→中→右」(順押し)の順で押下してリール21a〜21cを「左→中→右」の順で停止させた場合にだけ、その「小役」の図柄配列となるようにリール21a〜21cが停止制御され、「ボーナスゲーム」に入賞した場合に、特定の順、例えば「右→中→左」(逆押し)の順にリール21a〜21cを停止させるとボーナス図柄が揃うようにリールが停止制御される場合がある。そして、このようにリール21a〜21cの特定の停止順序を遊技者側にランプや音、画像表示などによって告知(アシスト)することで、遊技者に有利な特定遊技モードであるアシストタイムを出現させることができる。
【0029】
前面パネル2のスタートレバー4及びストップボタン5a〜5cの上部近傍には、図1に示すように、メダル投入口6と、メダルBETスイッチ7a及びMAXBETスイッチ7bが備えられている。
メダル投入口6は、ゲームに賭けられるメダル(遊技媒体)の受け入れ口であり、このメダル投入口6からメダルを投入することにより、ゲームの開始が可能になるとともに、図柄配列の有効ライン数が決定される。ここで、メダル投入口6の本体内部側には、図示しないメダル検出部が備えられ、投入されたメダル数がカウントされ、そのメダル数を示すメダル信号が、本体内部の制御部10に出力されるようになっている。また、メダル投入口6から投入されるメダルの数は、貯留メダル数として後述する制御部10内のメモリに記憶することができる。貯留メダル数は、クレジット表示部6aに表示される。
【0030】
メダルBETスイッチ7a及びMAXBETスイッチ7bは、メダル投入口6から投入されたメダルや、払い出すべきメダルが貯留されている場合に、その貯留メダルをゲームに掛けるためのスイッチである。
メダルBETスイッチ7が押下されると、メダル信号が制御部10に出力され、押下された回数と同数のメダルが、ゲームに賭けられることになる。
MAXBETスイッチ7bは、一回の押下によって一ゲームに投入可能な最大数のメダル(通常3枚)を賭けるスイッチであり、遊技者の好みや残りメダル数頭に応じて、一回の押下で一枚のメダルを賭けるメダルBETスイッチ7aと選択的に使用できるようになっている。
【0031】
スロットマシン1の下側には、入賞メダル払出し口8及びスピーカ9が備えられている。入賞メダル払出し口8は、ストップボタン5a〜5cの押下によって停止されたリール21a〜21cが所定の入賞配列となった場合に、当該配列に応じた数量の入賞用メダルが払い出されるようになっている。また、払い出されたメダル数は、メダル払出数表示部8aに表示される。スピーカ9は、遊技者に対してメロディ音、メッセージ音などの各種音声を発生するようになっており、本実施形態では、後述するように、制御部10で内部当たり抽選が行われ、所定のボーナスゲームに入賞した場合に、それを告知する内部当たり告知音声を発するようになっている。
【0032】
スロットマシン1の前面パネル2には、図1に示すように、内部当たり告知部30を備えている。本実施形態では、前面パネル2の左隅部のメダルBETスイッチ7の近傍に、例えば「GO!GO!」、「ビッグチャンス!」などの表示が点灯・点滅する告知ランプによって構成されている。この内部当たり告知部30は、スロットマシン1の制御部10における所定の内部当たり抽選処理の結果、ボーナスゲームなどの特定の入賞内容に当選した場合に点灯又は点滅するランプからなり、このランプが、上述したスピーカ9からの告知音声とともに点灯(点滅)することによって、内部当たりが告知されるようになっている。
【0033】
[制御部]
つぎに、以上のような本体構成からなる遊技機(スロットマシン)を制御する制御部10について、図3及び図4を参照しつつ説明する。図3は、本発明の実施形態に係る制御部の機能的な構成を示すブロック図、図4は、本発明の実施形態に係る制御部の具体的な構成を示すブロック図である。
これらの図に示す制御部10は、マイクロコンピュータを実装した基板で構成され、筐体内の所定位置に設置されるようになっている。そして、マイクロコンピュータ上で所定のプログラムを実行することにより、各種の制御、処理が行われ、上述したようなスロットマシン本体1の動作が実現する。
【0034】
なお、制御部10は、遊技機の種類や特性に応じて任意の構成とすることができる。スロットマシンの場合は、例えば図4に示すように、第一制御部11と第二制御部12で制御部10を構成しても良い。この場合、スロットマシンの動作処理を二つの制御部11、12で分担して制御するようになる。スロットマシンでは、遊技機の動作を制御する制御部として、遊技のメインとなる動作処理を制御するメイン基板と、補助的な動作処理を行うサブ基板を備えることが一般的であり、本実施形態の制御部10についても、そのような二つの制御部11、12で構成することができる。
ここで、各制御部11、12は、それぞれ同様の構成となっており、例えば、CPU11a、12aと、メモリ11b、12bと、CTC(カウンタ・タイマ・サーキット)11c、12cと、乱数用カウンタ11d、12dを備えて構成される。
【0035】
制御部10は、メダル投入口(メダル検知部)6からのメダル信号及びメダルBETスイッチ7(7a、7b)からのメダル信号を入力し、メダル投入口6から投入されたメダルの枚数及びメダルBETスイッチ7を用いて掛けられたメダルの投入枚数を確認するとともに、メダルBETスイッチ7からのメダル信号にもとづき、貯留メダル枚数を減少させる。これにより、各ゲームに掛けられるメダル数が決定される。
【0036】
また、制御部10は、スタートレバー4からのスタート信号及びストップボタン5a〜5cからのストップ信号を入力することにより、リール21a〜21cの制御信号となるパルス(駆動)信号をドラムユニット20へ出力し、リール21a〜21cの回転及び停止を制御する。これにより、ドラムユニット20では、スタート信号によってリール21a〜21cを回転させるとともに、ストップボタン5a〜5cの押下操作により入力されるストップ信号により、対応するリール21a〜21cを停止させることになる。さらに、制御部10は、ドラムユニット20から入力されるマーカー信号により、各リール21a〜21cの停止図柄を認識し、この停止図柄が所定の入賞配列か否かを判定するようになっており、判定の結果、所定の入賞配列であるときは、入賞の種類に応じた枚数のメダルの払出し処理を行うようになっている。
【0037】
制御部10は、スタートレバー4からのスタート信号を契機として内部当たり抽選処理を行い、この抽選に当選したとき、リール21a〜21cを入賞図柄の組み合わせで停止させることが許容される。入賞の種類としては、ボーナス、小役、リプレイなどがあり、リプレイに入賞した場合には、メダルを使用せずに次回のゲームが行える。
また、制御部10は、スロットマシン遊技において、通常遊技モードと、複数の特定遊技モードを出現させる。特定遊技モードは、通常遊技モードよりも遊技者が有利になる遊技モードであり、多くのメダルを獲得できる第一の特定遊技モードと、メダルの減少を抑えながら遊技が継続できる第二の特定遊技モードを備える。
【0038】
第一の特定遊技モードとしては、例えば、第一種特別役物による特定遊技モード、第二種特別役物による特定遊技モードなどが挙げられる。
第一種特別役物は、入賞に係る図柄の組み合わせを増やしたり、入賞の確率を上昇させる処理であり、所定のゲーム回数を限度として継続できる。例えば、第一種特別役物を一回作動させることにより、レギュラボーナスゲーム状態を出現させることができ、また、第一種特別役物を複数回連続して作動させることにより、ビッグボーナスゲーム状態を出現させることができる。
第二種特別役物は、内部抽選の結果に拘わらず入賞を可能にする処理(役物)であり、一回を限度として作動させることができる。例えば、第二種特別役物を連続して作動させることにより、メダルを増加可能な特定遊技モードが出現する。
【0039】
特定遊技モードとしては、例えば、リプレイタイム、アシストタイム又はアシストリプレイタイムなどが挙げられる。
リプレイタイムは、通常の遊技状態よりも、リプレイの当選確率を上昇させる処理であり、リプレイに入賞すると、メダルを投入することなく、次回のゲームが行えるため、通常の遊技状態よりもメダルの減少を抑えることができる。
また、アシストタイムは、小役などの内部当りや、その入賞に必要な操作手順を遊技者に告知する処理であり、この状態では、入賞の取りこぼしが減るため、通常の遊技状態よりもメダルの減少を抑えたり、メダルを増加させることができる。
また、アシストリプレイタイムは、リプレイタイムとアシストタイムを同時に発動させる処理であり、この状態では、入賞の取りこぼしが減るだけでなく、リプレイが増えるため、通常の遊技状態よりもメダルの減少を抑えたり、メダルを増加させることができる。
【0040】
また、第二種特別役物によって第二の特定遊技モードを出現させることができる。すなわち、第二種特別役物の終了後に、リプレイタイム、アシストタイム又はアシストリプレイタイムに移行することができる。このようにすれば、第二種特別役物の終了後に、メダルの減少を抑えながら、あるいはメダルを増加させながら遊技が継続できる状態を出現させることができる。
このとき、第二種特別役物の終了時に、リプレイタイム、アシストタイム又はアシストリプレイタイムに係る権利の抽選を行い、これに当選した場合にのみ、リプレイタイム、アシストタイム又はアシストリプレイタイムに移行させるようにしてもよい。
【0041】
制御部10は、上記の特定遊技モードに係る機能的な構成として、権利抽選手段10a、第一モード発動手段10b、権利移行手段10c及び第二モード発動手段10dを備えている。
権利抽選手段10aは、ゲームの開始に応じて、第一の特定遊技モードに係る権利の抽選を行う。具体的には、ゲームの開始に応じて、乱数を取得するとともに、取得した乱数と判定テーブルの比較により、第一の特定遊技モードに係る内部当りの判定を行う。この抽選に当選した場合は、内部当たり告知部30などにおいて、内部当りの告知を行うことができる。
【0042】
第一モード発動手段10bは、第一の特定遊技モードに係る権利が発生しているとき、所定の操作に応じて、第一の特定遊技モードを発動させる。例えば、リール21a〜21cの停止図柄が、第一の特定遊技モードに係る入賞図柄の組み合わせ(「7・7・7」、「BAR・BAR・BAR」など)となったとき、第一の特定遊技モードを発動させる。通常、このモード発動操作は、目押しによって行われる。
【0043】
権利移行手段10cは、第一の特定遊技モードに係る権利が発生し、かつ、第一の特定遊技モードが発動していないとき、所定の操作に応じて、第一の特定遊技モードに係る権利を、第二の特定遊技モードに係る権利に移行させる。具体的には、ストップボタン5a〜5cの押し順、ストップボタン5a〜5c以外のスイッチ操作、リール21a〜21cにおける停止図柄の組み合わせにもとづいて、権利移行操作を判断し、第一の特定遊技モードに係る権利を、第二の特定遊技モードに係る権利に移行させることができる。
ストップボタン5a〜5cの押し順にもとづいて、権利移行操作を判断する場合は、所定の押し順が連続で所定回数行われることを条件として、権利移行操作を判断することが好ましい。このようにすると、誤操作などによる意図しない権利移行を防止することができる。
また、ストップボタン5a〜5c以外のスイッチ操作にもとづいて、権利移行操作を判断する場合は、既存のスイッチを権利移行スイッチに兼用してもよいし、専用の権利移行スイッチを設けてもよい。
【0044】
第二モード発動手段10dは、第二の特定遊技モードに係る権利が発生しているとき、所定の操作に応じて、第二の特定遊技モードを発動させる。具体的には、ストップボタン5a〜5cの押し順、ストップボタン5a〜5c以外のスイッチ操作、リール21a〜21cにおける停止図柄の組み合わせにもとづいて、モード発動操作を判断し、第二の特定遊技モードを発動させることができる。
ストップボタン5a〜5cの押し順にもとづいて、モード発動操作を判断する場合は、所定の押し順が連続で所定回数行われることを条件として、モード発動操作を判断することが好ましい。このようにすると、誤操作などによる意図しないモード発動を防止することができる。
また、ストップボタン5a〜5c以外のスイッチ操作にもとづいて、モード発動操作を判断する場合は、既存のスイッチをモード移行スイッチに兼用してもよいし、専用のモード発動スイッチを設けてもよい。
【0045】
[遊技動作]
つぎに、以上のような構成からなる本実施形態に係るスロットマシンの動作について、図5〜図9を参照しつつ説明する。
図5は、本発明の実施形態に係る第一の動作例を示すフローチャート、図6は、本発明の実施形態に係る遊技機(第一の動作例)のスランプグラフ、図7は、本発明の実施形態に係る第二の動作例を示すフローチャート、図8は、本発明の実施形態に係る第三の動作例を示すフローチャート、図9は、本発明の実施形態に係る遊技機(第三の動作例)のスランプグラフである。
【0046】
図5に示す第一の動作例では、第一の特定遊技モードをボーナスゲーム、第二の特定遊技モードをリプレイタイム、権利移行操作及び第二モード発動操作をストップボタン5a〜5c(連続三回)の押し順としてある。
この動作例は、ゲームの開始時に、まず、ボーナスゲーム中であるか否かを判断し(S201)、ボーナスゲーム中でない場合は、ボーナスゲームに係る内部当りの抽選を行う(S202)。この抽選に当選すると、ボーナスゲームに係る権利が発生する。この権利は、ボーナスゲームの発動又はリプレイタイムへの移行が行われるまで存続する。つぎに、ボーナスゲームに係る権利の有無を判断し(S203)、この権利が無い場合は、リプレイタイム中であるか否かの判断や(S204)、リプレイタイムに係る権利があるか否かの判断を行う(S205)。そして、いずれの判断結果もNOである場合は、通常遊技モードの処理を行い(S206)、一回のゲームが終了する。
【0047】
ボーナスゲームに係る内部当りの抽選に当選した場合は、リプレイタイム中フラグをリセットした後(S207)、ボーナスゲームの発動操作(S208)とリプレイタイムへの権利移行操作(S209)を判断する。ボーナスゲームの発動操作は、停止図柄の組み合わせにもとづいて判断し、この判断がYESの場合は、ボーナスゲーム中フラグをセットするとともに(S210)、ボーナスゲームに係る権利を消滅させる(S211)。また、リプレイタイムへの権利移行操作は、ストップボタン5a〜5c(連続三回)の押し順にもとづいて判断し、この判断がYESの場合は、ボーナスゲームに係る権利を消滅させるとともに(S212)、リプレイタイム権利数をインクリメントする(S213)。
なお、ボーナス中フラグがセットされると、次回のゲームからボーナスゲーム処理(S214)が実行される。ボーナスゲーム中は、ボーナスゲームの終了判断が行われ(S215)、終了条件が成立すると、ボーナスゲーム中フラグがリセットされる(S216)。
【0048】
ボーナスゲームの権利をリプレイタイムの権利に移行させた場合は、所定の操作にもとづいて、リプレイタイムを任意のタイミングで発動させることができる。この発動操作は、ストップボタン5a〜5c(連続三回)の押し順にもとづいて判断し(S217)、この判断がYESになると、リプレイタイム権利数をデクリメントするとともに(S218)、リプレイタイム中フラグをセットする(S219)。リプレイタイム中フラグがセットされると、次回のゲームからリプレイタイム処理(S220)が実行される。なお、本動作例では、次回のボーナスゲーム当選までリプレイタイムを継続させるが、ゲーム開始回数やリプレイ当選回数に制限を設けて、リプレイタイムを終了させるようにしてもよい。
【0049】
以上のような動作例によれば、ボーナスゲームに係る権利を、リプレイタイムに係る権利に移行させることにより、出玉に大きな影響を与えることができる。これにより、技術的に未熟な遊技者であっても、出玉に大きな影響を与え、遊技を満喫することができる。
また、遊技者は、ボーナスゲームに係る権利を、リプレイタイムに係る権利に移行させるか否かという選択が可能になるので、遊技に駆け引きの要素を付加し、遊技性を高めることができる。
また、リプレイタイムを発動させるタイミングは任意であるため、どのタイミングでリプレイタイムを発動させるかという駆け引き要素も付加され、遊技性が更に高められる。
【0050】
図6は、上記の動作例によるスランプグラフを示している。この図に示す例では、二回目に当選したボーナスゲームの権利を、リプレイタイムの権利に移行し、その後、一回目のボーナスゲームで獲得したメダルが無くなった時点でリプレイタイムを発動させている。権利の移行を行っていない図11のスランプグラフと比較すると、同じタイミングでボーナスゲームが当選しているにも拘わらず、出玉に大きな違いが生じていることが解る。ちなみに、図11に示すスランプグラフでは、遊技者が負けているのに対し、図6に示すスランプグラフでは、遊技者の勝ちとなっている。
【0051】
つぎに、図7に示す第二の動作例について説明する。この動作例では、第一の特定遊技モードをボーナスゲーム、第二の特定遊技モードをアシストタイムとし、権利移行操作及び第二モード発動操作を専用スイッチ(図示せず)で行うようにしてある。
この動作例は、ゲームの開始時に、まず、ボーナスゲーム中であるか否かを判断し(S301)、ボーナスゲーム中でない場合は、ボーナスゲームに係る内部当りの抽選を行う(S302)。この抽選に当選すると、ボーナスゲームに係る権利が発生する。この権利は、ボーナスゲームの発動又はアシストタイムへの移行が行われるまで存続する。つぎに、ボーナスゲームに係る権利の有無を判断し(S303)、この権利が無い場合は、アシストタイム中であるか否かの判断や(S304)、アシストタイムに係る権利があるか否かの判断を行う(S305)。そして、いずれの判断結果もNOである場合は、通常遊技モードの処理を行い(S306)、一回のゲームが終了する。
【0052】
ボーナスゲームに係る内部当りの抽選に当選した場合は、アシストタイム中フラグをリセットした後(S307)、ボーナスゲームの発動操作(S308)とアシストタイムへの権利移行操作(S309)を判断する。ボーナスゲームの発動操作は、停止図柄の組み合わせにもとづいて判断し、この判断がYESの場合は、ボーナスゲーム中フラグをセットするとともに(S310)、ボーナスゲームに係る権利を消滅させる(S311)。また、アシストタイムへの権利移行操作は、専用スイッチの操作にもとづいて判断し、この判断がYESの場合は、ボーナスゲームに係る権利を消滅させるとともに(S312)、アシストタイム権利数をインクリメントする(S313)。なお、ボーナス中フラグがセットされると、次回のゲームからボーナスゲーム処理(S314)が実行される。ボーナスゲーム中は、ボーナスゲームの終了判断が行われ(S315)、終了条件が成立すると、ボーナスゲーム中フラグがリセットされる(S316)。
【0053】
ボーナスゲームの権利をアシストタイムの権利に移行させた場合は、所定の操作にもとづいて、アシストタイムを任意のタイミングで発動させることができる。この発動操作は、専用スイッチの操作にもとづいて判断し(S317)、この判断がYESになると、アシストタイム権利数をデクリメントするとともに(S318)、アシストタイム中フラグをセットする(S319)。アシストタイム中フラグがセットされると、次回のゲームからアシストタイム処理(S320)が実行される。また、アシストゲーム中は、ゲーム開始回数や小役当り回数によるアシストタイム終了条件を判断するとともに(S321)、終了条件の成立に応じて、アシストゲーム中フラグのリセットを行う(S322)。なお、本動作例では、ゲーム開始回数や小役当選回数に制限を設けて、アシストタイムを終了させているが、次回のボーナスゲーム当選までアシストタイムを継続させるようにしてもよい。
【0054】
つぎに、図8に示す第三の動作例について説明する。この動作例では、第一の特定遊技モードを第一種特別役物及び第二種特別役物、第二の特定遊技モードを第二種特別役物の終了後に行われるリプレイタイムとし、第二種特別役物の終了後にリプレイタイムの抽選を行うようにしてある。また、権利移行操作及び第二モード発動操作をストップボタン5a〜5c(連続三回)の押し順としてある。なお、この動作例では、第一種特別役物の権利を第二種特別役物の権利に移行すると、直ちに第二種特別役物が発動され、また、第二種特別役物の終了時に当選したリプレイタイムを任意のタイミングで発動させるが、第二種特別役物の発動タイミングを任意に選択できるようにしてもよい。
【0055】
この動作例は、ゲームの開始時に、まず、第一種特別役物又は第二種特別役物が作動中であるか否かを判断し(S401、S402)、いずれもNOである場合は、第一種特別役物に係る内部当りの抽選を行う(S403)。この抽選に当選すると、第一種特別役物に係る権利が発生する。つぎに、第一種特別役物に係る権利の有無を判断し(S404)、この権利が無い場合は、リプレイタイム中であるか否かの判断や(S405)、リプレイタイムに係る権利があるか否かの判断を行う(S406)。そして、いずれの判断結果もNOである場合は、通常遊技モードの処理を行い(S407)、一回のゲームが終了する。
【0056】
第一種特別役物に係る内部当りの抽選に当選した場合は、リプレイタイム中フラグをリセットした後(S408)、第一種特別役物の発動操作(S409)と第二種特別役物への権利移行操作(S410)を判断する。第一種特別役物の発動操作は、停止図柄の組み合わせにもとづいて判断し、この判断がYESの場合は、第一種特別役物作動中フラグをセットするとともに(S411)、第一種特別役物に係る権利を消滅させる(S412)。
また、第二種特別役物への権利移行操作(S410)は、ストップボタン5a〜5c(連続三回)の押し順にもとづいて判断し、この判断がYESの場合は、第一種特別役物に係る権利を消滅させるとともに(S413)、第二種特別役物作動中フラグをセットする(S414)。
なお、第一種特別役物作動中フラグがセットされると、次回のゲームから第一種特別役物処理(S415)が実行される。第一種特別役物の作動中は、その終了条件の判断が行われ(S416)、終了条件が成立すると、第一種特別役物作動中フラグがリセットされる(S417)。
【0057】
一方、第二種特別役物作動中フラグがセットされると、次回のゲームから第二種特別役物処理(S418)が実行される。第二種特別役物の作動中は、その終了条件の判断が行われ(S419)、終了条件が成立すると、第二種特別役物作動中フラグがリセットされる(S420)。その後、リプレイタイムの抽選(例えば、1/2の確率)が行われ(S421)、これに当選すると、リプレイタイム権利数がインクリメントされる(S422)。
リプレイタイムに当選した場合は、これを任意のタイミングで発動させることができる。この発動操作は、ストップボタン5a〜5c(連続三回)の押し順にもとづいて判断し(S423)、この判断がYESになると、リプレイタイム権利数をデクリメントするとともに(S424)、リプレイタイム中フラグをセットする(S425)。リプレイタイム中フラグがセットされると、次回のゲームからリプレイタイム処理(S426)が実行される。なお、本動作例では、次回のボーナスゲーム当選までリプレイタイムを継続させるが、ゲーム開始回数やリプレイ当選回数に制限を設けて、リプレイタイムを終了させるようにしてもよい。
【0058】
図9は、上記の動作例によるスランプグラフを示している。図9の(b)に示す例では、二回目に当選した第一種特別役物の権利を、第二種特別役物の権利に移行し、第二種特別役物の終了後、当選したリプレイタイムを発動させている。権利の移行を行っていない図9の(a)に示すスランプグラフと比較すると、同じタイミングでボーナスゲームが当選しているにも拘わらず、出玉に大きな違いが生じていることが解る。
【0059】
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る遊技機によれば、スロットマシンにおけるボーナスゲーム等の遊技モード(第一の特定遊技モード)に係る権利を、リプレイタイムやアシストタイム等の遊技モード(第二の特定遊技モード)に係る権利に移行させることができる。
これにより、スロットマシン遊技におけるメダル払出し数に大きな影響を与えることができ、技術的に未熟な遊技者であっても、出玉に大きな影響を与え、遊技を満喫することができる。
【0060】
また、遊技者は、自らの判断により、第一の特定遊技モードに係る権利を、第二の特定遊技モードに係る権利に移行させるか否かという選択が可能になり、遊技に駆け引きの要素を付加し、遊技性を高めることができる。
このようにして、本発明では、従来のボーナスゲーム等の特定の遊技モードによる魅力を生かしつつ、遊技者に権利移行を選択させることによる期待感や満足感を与えることができるようになり、既存の遊技方式を変更することなく従来にはない新たな魅力をもったスロットマシン遊技を提供することができる。
【0061】
以上、本発明の権利移行機能付きの遊技機について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る遊技機は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、本発明の対象となる遊技機としてスロットマシンを例にとって説明したが、本発明はスロットマシンだけに限られるものではなく、遊技媒体を使用して遊技を行う各種の遊技機であって、遊技を制御する制御部を備え、制御部の制御により特定遊技モードの権利移行機能が実現できる遊技機であれば、スロットマシンの他、パチンコ機,アレンジボール機,雀球機等、玉やコイン等、その種類や機種,設置形態等は特に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、スロットマシン(回胴式遊技機),パチンコ機などの遊技機に適用することができる。特に、遊技者に有利となる特定遊技モードを複数備える遊技機に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態に係る遊技機を示す概略正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る遊技機の内部構造を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る制御部の機能的な構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る制御部の具体的な構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る第一の動作例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る遊技機(第一の動作例)のスランプグラフである。
【図7】本発明の一実施形態に係る第二の動作例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係る第三の動作例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態に係る遊技機(第三の動作例)のスランプグラフである。
【図10】ボーナスゲーム抽選からボーナスゲーム開始までの流れを示すフローチャートである。
【図11】従来のスロットマシンに係るスランプグラフである。
【符号の説明】
【0064】
1 スロットマシン本体
2 前面パネル
4 スタートレバー
5 ストップボタン
10 制御部
10a 権利抽選手段
10b 第一モード発動手段
10c 権利移行手段
10d 第二モード発動手段
20 ドラムユニット
21 リール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者に有利となる特定遊技モードを複数備える遊技機であって、
ゲームの開始に応じて、第一の特定遊技モードに係る権利を抽選する権利抽選手段と、
第一の特定遊技モードに係る権利が発生しているとき、所定の操作に応じて、第一の特定遊技モードを発動させるモード発動手段と、
第一の特定遊技モードに係る権利が発生し、かつ、第一の特定遊技モードが発動していないとき、所定の操作に応じて、第一の特定遊技モードに係る権利を、第二の特定遊技モードに係る権利に移行させる権利移行手段と、
を備えることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
第二の特定遊技モードに係る権利が発生しているとき、所定の操作に応じて、第二の特定遊技モードを発動させる第二のモード発動手段を備えることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
第一の特定遊技モードが、多くの遊技媒体を獲得できる遊技モードであり、第二の特定遊技モードが、遊技媒体の減少を抑えながら又は遊技媒体を増加させながら遊技が継続できる遊技モードであることを特徴とする請求項1又は2記載の遊技機。
【請求項4】
第一の特定遊技モードが、ボーナスゲームによる遊技モードであり、第二の特定遊技モードが、リプレイタイム、アシストタイム又はアシストリプレイタイムによる遊技モードであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の遊技機。
【請求項5】
第一の特定遊技モードが、第一種特別役物及び第二種特別役物による遊技モードであり、第二の特定遊技モードが、第二種特別役物の終了後に、リプレイタイム、アシストタイム又はアシストリプレイタイムに移行する遊技モードであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の遊技機。
【請求項6】
前記権利移行手段が、回胴回転装置に係る回転停止装置の操作順序、前記回転停止装置以外のスイッチ操作、及び/又は、前記回胴回転装置における停止図柄の組み合わせにもとづいて、権利移行操作を判断し、第一の特定遊技モードに係る権利を、第二の特定遊技モードに係る権利に移行させることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の遊技機。
【請求項7】
前記第二のモード発動手段が、回胴回転装置に係る回転停止装置の操作順序、前記回転停止装置以外のスイッチ操作、及び/又は、前記回胴回転装置における停止図柄の組み合わせにもとづいて、モード発動操作を判断し、第二の特定遊技モードを発動させることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−26154(P2006−26154A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−210162(P2004−210162)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)