説明

遊技機

【課題】簡単な構成により発射ハンドルの取付強度を高めることができ、また、カバー部材を異なる色彩にして装飾性を高めることができる遊技機を提供する。
【解決手段】発射ハンドル45を取り付ける下皿ユニットは、ベース部材41とカバー部材とを備え、発射ハンドルは、後方取付部材80と、前方把持部材81と、回動可能に保持される回動操作部材82とを備え、ベース部材は、後方取付部材の取付基部が嵌合され、裏面側から止着部材で取付基部を止着する取付凹部55と、この取付凹部の前端から前方に向けて筒状に延出し、後方取付部材を支持する延出支持部56とを備え、カバー部材は、第1カバー部材61と第2カバー部材62とを組み付けることにより延出支持部を挿通する挿通孔65を形成するように構成し、第1カバー部材と第2カバー部材とで延出支持部を支持するようにすると共に、挿通孔の前端部よりも延出支持部を前方に延出させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前面枠の前面下部に、発射装置の発射勢を調整する発射ハンドルが配設される前面下部ユニットを備えたパチンコ遊技機などの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技機、例えば、代表的な遊技機であるパチンコ機の前面枠には、ベース基板と、該ベース基板の前面側に装着される補強基板とを設け、この補強基板に丸く開設したハンドル基部挿通孔からベース基板に形成したハンドル基部取り付け凹部へ操作ハンドル取付基部を当接し、この部分を裏面側からビスなどで固定していた。そして、操作ハンドルは、乱暴な遊技者が遊技機を振動させるために大きな力が加えられることが多く、ベース盤のハンドル基部取付凹部と補強基板のハンドル基部挿通孔とで操作ハンドルを強く支える構造を採っていた。なお、前記補強基板はパチンコ機の前面側を装飾する装飾パネルの機能も兼ねていた。
【特許文献1】特開平5−031226号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記した構造を採ってもまだ強度が足りないという問題がある。
また、近年では、遊技者が見てどこのメーカーの遊技機かわかるように、各メーカごとに特色を強く押し出したデザイン性の高い遊技機になってきている。この傾向を反映して、補強基板のハンドル基部挿通孔を境にして補強基板を異なる色を組み合わせて構成し、これにより装飾性を高めたいという要望がある。
ところが、補強基板をハンドル基部挿通孔を境に色の違う2つの部材で構成したのでは、ハンドル強度が保てないという問題が生じる。
また、補強基板をハンドル基部挿通孔を境に塗装することも考えられるが、コストが高くなる上、傷つけられて塗装が剥がれてしまう虞がある。
【0004】
そこで、本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成により発射ハンドルの取付強度を高めることができ、また、カバー部材を異なる色彩にして装飾性を高めることができる遊技機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みて提案されたものであり、請求項1に記載のものは、前面枠に取り付けられる遊技盤と、該遊技盤の遊技領域へ遊技球を発射する発射装置と、該発射装置の発射勢を調整する発射ハンドルが設けられて前記前面枠の前面下部に配設される前面下部ユニットと、を備えた遊技機において、
前記前面下部ユニットは、前面枠に取り付けられるベース部材と、該ベース部材の前面側に設けられるカバー部材と、を備え、
前記発射ハンドルは、前記前面下部ユニットに取り付けられる後方取付部材と、該後方取付部材の前面側に配設される前方把持部材と、該前方把持部材と前記後方取付部材との間に回動可能に保持される回動操作部材と、を備え、
前記ベース部材は、前記後方取付部材の取付基部が嵌合され、裏面側から止着部材で取付基部を止着する取付凹部と、この取付凹部の前端から前方に向けて筒状に延出し、前記後方取付部材を支持する延出支持部と、を備え、
前記カバー部材は、第1カバー部材と、第2カバー部材とを備え、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材とを組み付けることにより前記延出支持部を挿通する挿通孔を形成するように構成し、
前記第1カバー部材と前記第2カバー部材とで前記延出支持部を支持するようにすると共に、前記挿通孔の前端部よりも前記延出支持部を前方に延出させたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載のものは、前記第1カバー部材に、前記挿通孔から前方へ延出して前記延出支持部を支持する第1カバー部材延出部を設け、前記第2カバー部材に、前記挿通孔から前方へ延出して前記延出支持部を支持する第2カバー部材延出部を設け、
前記後方取付部材には、前記第1カバー部材延出部と前記第2カバー部材延出部との前方から放射状に延びて後方へ屈曲し、前記第1カバー部材延出部と前記第2カバー部材延出部とを被覆するカバー部材被覆部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の遊技機である。
【0007】
請求項3に記載のものは、前記ベース部材、第1カバー部材、及び第2カバー部材をプラスチックで成型すると共に前記挿通孔の開口縁から前後方向に延在する縁壁を形成し、
ベース部材から前方に向けて延出する延出支持部の外側に前記縁壁を重合させたことを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、ベース部材は、後方取付部材の取付基部を嵌合して裏面側から止着部材で止着する取付凹部と、この取付凹部の前端から前方に向けて筒状に延出して後方取付部材を支持する延出支持部と、を備え、カバー部材は、第1カバー部材と第2カバー部材とを組み付けることにより延出支持部を挿通する挿通孔を形成するように構成し、第1カバー部材と第2カバー部材とで延出支持部を支持するようにすると共に、挿通孔の前端部よりも延出支持部を前方に延出させたので、発射ハンドルに掛かった負荷をカバー部材の挿通孔とベース部材から延出した延出支持部との両方で支えることができ、発射ハンドルの取付強度を高めることができる。また、発射ハンドルが挿通される挿通孔を境にして第1カバー部材と第2カバー部材とが組み合わされるので、第1カバー部材と第2カバー部材の色彩を異ならせることもでき、これにより装飾性を簡単に高めることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、第1カバー部材と第2カバー部材に、挿通孔から前方へ延出して延出支持部を支持する第1カバー部材延出部と第2カバー部材延出部を設け、後方取付部材には、第1カバー部材延出部と第2カバー部材延出部との前方から放射状に延びて後方へ屈曲し、第1カバー部材延出部と第2カバー部材延出部とを被覆するカバー部材被覆部を形成したので、発射ハンドルの強度をカバー部材被覆部によって一層高めることができ、また、カバー部材被覆部によってピアノ線などの不正部材の挿入を阻止することができ、不正行為を確実に防止することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、挿通孔の開口縁から前後方向に延在する縁壁を形成し、ベース部材から前方に向けて延出する延出支持部の外側に前記縁壁を重合させたので、ベース部材、第1カバー部材、及び第2カバー部材をプラスチックで成型して、延出支持部や縁壁のそれぞれの厚みを強度アップのために他の部位よりも増大できなくても、延出支持部の外側に重合した前記縁壁によっても発射ハンドルの負荷を広く分散させて受けることができる。したがって、ベース部材やカバー部材をプラスチック製としても、発射ハンドルの取付強度を過不足なく確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例に挙げて本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1はパチンコ遊技機1の正面図、図2はガラス枠と上皿ユニットとを省略して前面下部ユニット(下皿ユニット)を取り外した状態におけるパチンコ遊技機の斜視図である。
【0012】
パチンコ遊技機1は、図1に示すように、機枠(本体枠)2に大きな開口部を有する額縁状の前面枠3の一側(図中左側)を開閉可能に取り付け、この前面枠3のベースとなる前面枠本体4の遊技盤収納部4´内に遊技盤5を交換可能な状態で取り付け、遊技盤5の表面には、表示装置6、大入賞口7、一般入賞口8、アウト口9…などを配設した遊技領域10を区画部材により略円形に囲繞して形成してある。また、前面枠3の前面には、一側(図中左側)が軸着された透明部材保持枠(ガラス枠)11を回動可能に設け、該透明部材保持枠11に透視可能な透明部材(ガラス板)を収納して、遊技領域10を前方から透視可能な状態で覆い、透明部材保持枠11の下方に前面上部ユニットとしての上皿ユニット13と、前面下部ユニットとしての下皿ユニット14とを上下に並べて備えている。そして、このパチンコ遊技機1は、上皿ユニット13および下皿ユニット14の間に、遊技状態に応じて音を発生するスピーカーユニット15を収納している。さらに、パチンコ遊技機1は、下皿ユニット14の後方であって前面枠本体4の下部に、遊技球を遊技領域10に向かって発射するための発射装置16を備えている(図2参照)。
【0013】
発射装置16は、上皿ユニット13に貯留された遊技球を1個ずつ遊技盤5の遊技領域10に向けて発射可能な装置であり、図2に示すように、前面枠本体4の下部前面に止着されるプレート状の取付基板21を備え、この取付基板21に発射杵22を回動軸23により軸着し、発射杵22の下端部分を回動軸23から下方に延在して遊技球を弾発するための杵先を備えている。また、発射装置16は、杵先の回動軸23周りに前進した位置の先方であって、回動軸23より下方に発射レール27の遊技球発射位置28を設定し、遊技球発射位置28から遊技盤5上の案内誘導路に向かって上り傾斜する状態で発射レール27を配設している。
【0014】
また、発射装置16は、取付基板21上の発射杵22と発射レール27との間に球送り装置31を備えている。この球送り装置31は、発射杵22の発射動作に連動して上皿ユニット13から遊技球を1個ずつ発射レール27上の遊技球発射位置28へ供給するための装置であり、上皿ユニット13に対向する前面側に、遊技球が丁度1個ずつ流入(通過)可能な程度の大きさで球流入口33を開設し、発射レール27に対向する下側傾斜面には、遊技球を1個ずつ排出可能な球排出口を、球流入口33に連通する状態で開設している。また、この球送り装置31は、球流入口33と球排出口との間の空間に遊技球を1個ずつ球排出口34へ送り出す球送り部材を備えている。この球送り部材は、前側および下側に開放した状態で遊技球を丁度1個保持可能な空間を有して左右方向へ揺動可能な状態で軸着された部材である。このような球送り部材35を備えた球送り装置31は、発射杵22から延設されたアーム(図示せず)に連動して球送り部材を揺動させて、発射杵22が遊技球発射位置28から後退したタイミングで球流入口33から受け入れた遊技球を球排出口から送り出せるように構成されている。
【0015】
上皿ユニット13は、図1に示すように、前面枠3に対して開閉可能に軸着された開閉パネル38と、該開閉パネル38の前面側に設けられる上皿39と、該上皿39の前方および下方を覆う上皿カバー部材40と、開閉パネル38が開かれると上皿39から球送り装置への球の流れを止める球止めユニット(図示せず)などから概略構成されている。
【0016】
一方、下皿ユニット14は、図3〜図7に示すように、前面枠本体4の下部に取り付けられるベース部材41と、該ベース部材41の前面に設けられる下皿42と、該下皿42の前面、側面および下面を覆う下皿カバー部材(本発明のカバー部材に相当)とから概略構成されている。そして、この下皿ユニット14は、右側(上皿ユニット13の開放側、前面枠3の開放側に位置する部分)に、上縁を他の部分よりも高く設定した右下拡大部を設け、この右下拡大部の前面側下部に、発射装置16の発射勢を調整するために遊技者が操作する発射ハンドル45を取り付け、また、下皿42の左側(上皿ユニット13の軸着側)の左下部に灰皿46を取り付けている。
【0017】
ベース部材41は、下皿ユニット14のベースとなる合成樹脂製の横長な板状部材であり、左右方向のほぼ中央に、遊技球が下皿42に流入するための下皿球出口47を開設し、該下皿球出口47の左側に灰皿取付部48を形成するとともに灰皿取付部48の両側にカバー部材の止着爪部を係合する止着爪受部49を形成し、前記下皿球出口47の両側に下皿42の位置決めボス50とカバー部材の止着ボス51を突設し、下皿球出口47には、上皿39が満杯になったときに遊技球が流下するオーバーフロー流路を連通させる。
【0018】
また、このベース部材41は、上縁を開閉パネル38の下縁に合わせた形状に形成すると共に断面コ字状に屈曲した不正防止壁52を形成し、上皿ユニット13の開放端側(図2中右端)が位置する部分には、右下拡大部のベースとなる延出ベース53を形成し、この延出ベース53の裏面に金属板製の係止片54を、上皿ユニット13の開放側端部、すなわち係止爪(図示せず)に対応した部分と対向する箇所に横方向に突設した状態で設け、上皿ユニット13が閉じた状態で係止爪が係止片54に係止できるように構成されている。
【0019】
そして、このベース部材41の延出ベース53には、発射ハンドル45の後方取付部材を取り付けるための取付凹部55を断面円形の窪みとして形成し、該取付凹部55の開口前端から前方に向けて延出支持部56を短い筒状に延出し、該延出支持部56により前記後方取付部材を支持する構成とする。また、筒状延出支持部56の基端の一部に隆出部57を円弧状に形成し、該隆出部57の内部と延出支持部56の底面との間に、図7に示すように、配線通過空間58を開設し、該配線通過空間58内に、後述する発射ハンドル45の配線を挿通する。
【0020】
下皿42は、上皿39が満杯になってオーバーフローした遊技球や、後述する球抜き流路を通って上皿39から流下してきた遊技球を貯留可能な部材であり、上方が開放(開口)した比較的浅い箱状体として構成され、底部に開閉可能な取出口59を備えており、取出レバー60を操作することによって取出口59を開口させて、下皿42から遊技球を下方に落下できるように構成されている。
【0021】
下皿カバー部材は、ベース部材41の前面から遊技者側へ突出(膨出)した形状を呈しており、本実施形態では、主として下皿42をカバーする第1カバー部材61と、発射ハンドル45を取り付けた右下拡大部の右半部分をカバーする第2カバー部材62と、灰皿46を取り付けた左下部の左半部分をカバーする第3カバー部材63との3つに分割され、第1,第2,第3カバー部材61,62,63を適宜な色彩、例えば、左右の第2,第3カバー部材62,63を同じ色彩にして、中央の第1カバー部材61とは異ならせたり、あるいはそれぞれ異なる色彩にしたり、自由に選択した色彩のプラスチックで成型できるように構成されている。
【0022】
第1カバー部材61は、下皿42の上端が丁度入り込む切込み部64を形成した上面部61aと、下皿42の左側から前方と右側面から右下拡大部の一部、具体的には発射ハンドル45の取付凹部55の左半をカバー可能な前面部61bと、下皿42の下面を主としてカバーする下面部61cとから概略構成されたプラスチック成型品であり、前面部61bの右端には、発射ハンドル45の付根部分(本発明の取付基部に相当)とベース部材41から突出した前記延出支持部56を挿通する挿通孔65の片半(左半)となる半円切欠部66を形成し、該半円切欠部66の半円形の縁から後方に向けて縁壁67を形成してある。また、前面部61bの左端には、灰皿46の付根部分を挿通する挿通孔の片半(右半)となる半円切欠部68を形成してある(図6)。
【0023】
第2カバー部材62は、ベース部材41の右下拡大部の右側片半を被覆可能なパネル状のプラスチック成型品であり、前面部62aの周囲の縁から後方に向けて縁壁62bを形成し、左端には、発射ハンドル45の付根部分とベース部材41から突出した前記延出支持部56を挿通する挿通孔65の片半となる半円切欠部69を形成し、該半円切欠部69の半円形の縁から後方に向けて縁壁70を形成し、半円切欠部69を形成していない左端の縁壁には断面L字状の係合部71を、先端を前方に向けて形成してある。
【0024】
第3カバー部材63は、ベース部材41の左下部の左側片半を被覆可能なパネル状のプラスチック成型品であり、前面部63aの周囲の縁から後方に向けて縁壁63bを形成し、右端には、灰皿46の付根部分を挿通する挿通孔の片半(左半)となる半円切欠部72を形成し、該半円切欠部72の半円形の縁から後方に向けて縁壁73を形成すると共に、係止爪74を後方に向けて突設してある。
【0025】
次に、第1,第2,第3カバー部材61,62,63のベース部材41への取り付けについて説明する。
先ず、第2カバー部材62と第3カバー部材63を取り付ける。第2カバー部材62を取り付けるには、ベース部材41の右端の所定位置に当接してベース部材41の前面に形成した円形取付座75を第2カバー部材62の裏面に近接乃至当接して位置決めし、第2カバー部材62の半円切欠部69の縁壁70の内側にベース部材41の延出支持部56を位置させ、この状態でベース部材41の裏側から止着ビスを円形取付座75の止着孔76内に挿入して締め付け、これにより第2カバー部材62をベース部材41の前面に固定する。
【0026】
一方、第3カバー部材63を取り付けるには、ベース部材41の左端の所定位置に当接して係止爪74をベース部材41の灰皿取付部48の左側に開口した止着爪受部49内に挿入して係合して固定すると共に、ベース部材41の前面に設けた円形取付座76内にベース部材41の裏側から止着ねじを挿入して締め付けて固定する。
【0027】
第1カバー部材61をベース部材41に取り付けるには、ベース部材41の前面に下皿42を配置して、下皿42の背面から後方に突設されている球導入樋77をベース部材41の下皿42球出口47内に前方から挿入して、ベース部材41の前面に突設された位置決めボス50を下皿42の背面の位置決め孔内に嵌合して位置決めをする。この状態で第1カバー部材61の上面の切込み部64内に下皿42の上端縁が丁度嵌合するように位置調整しながら第1カバー部材61を後退させて、ベース部材41の前面に突設されている止着ボス51の先端を第1カバー部材61の裏面の所定位置に当接し、ベース部材41の裏面から止着ボス51内に止着ねじを差し入れ、この止着ねじを締め付けて、間に下皿42を挟持する状態で第1カバー部材61をベース部材41の前面に取り付ける。この様にして第1カバー部材61をベース部材41の前面に取り付けると、第1カバー部材61の右端の半円切欠部66と第2カバー部材62の半円切欠部69とが合わさって円形の挿通孔65を形成するとともに、第2カバー部材62の左端の係合部71に第1カバー部材61の右端の縁壁が前方から係合し、また、第1カバー部材61の半円切欠部66の半円形の縁から後方に向けて形成した縁壁67がベース部材41の延出支持部56の外側に位置する。これにより、図7に示すように、第1カバー部材61、第2カバー部材62の各半円切欠部66,69が組み合わさって円形の挿通孔65が形成され、ベース部材41の延出支持部56がこの挿通孔65内を貫通して前面開口縁から前方に突出する。
【0028】
発射ハンドル45は、図3から図6に示すように、下皿ユニット14の右下拡大部の取付凹部55に取り付けられる後方取付部材80と、該後方取付部材80の前面側に配設される前方把持部材81と、該前方把持部材81と前記後方取付部材80との間に回動可能に保持される円盤状の回動操作部材82とから概略構成されている。後方取付部材80は、円筒部分の先端部分を拡径した略きのこ形の円筒状の部材であり、内部には、回動操作部材82の軸83を支持する軸受部84や、該回動操作部材82から外側に突出した複数の指掛部82´に指を掛けて回動するとスイッチングするスイッチや単発スイッチなどが設けられている。また、発射ハンドル45の先端(遊技者側端部)に取り付けられる前方把持部材81は、回動操作部材82と共に導電性を有し、遊技者が手で把持するなどして接触すると、静電容量の変化を感知することで遊技者が触れていることを検出するタッチセンサー部(タッチ検出手段)としても機能する。
【0029】
斯かる構成からなる発射ハンドル45を前面下部ユニットである下皿ユニット14に取り付けるには、挿通孔65から前方に筒状に突出している延出支持部56内に後方取付部材80の先端(本発明の取付基部)を挿入し、図7(a)に示すように、十分に押込んで先端、すなわち後方取付部材80の取付基部を取付凹部55の底部に当接し、ベース部材41の裏側から止着ねじ等の止着部材を底部に開設されたねじ孔85内に挿入し、この止着ねじを締め込むことにより発射ハンドル45の後方取付部材80の取付基部を止着する。
【0030】
この様にして発射ハンドル45を前面下部ユニットに取り付けると、図7(a)に示すように、ベース部材41から前方に向けて延出した筒状の延出支持部56が発射ハンドル45の後方取付部材80の取付基部を内包して従来よりも長い範囲で支持することになり、大きな荷重に耐え得ることになり、また、カバー部材の挿通孔から後方に向けて形成した縁壁が前記延出支持部56を外側から支えた状態となる。したがって、発射ハンドル45に大きな負荷が掛かったとしても、この負荷はベース部材41側の延出支持部56によって支えられることになり、さらに本実施形態では延出支持部56に作用した負荷がその外側の縁壁にも分散されて伝達される。このため、発射ハンドル45に大きな負荷が作用した場合に、ベース部材41やカバー部材がプラスチック製であっても損傷する虞がない。そして、本実施形態では、第1カバー部材61と第2カバー部材62とを異なる色彩のプラスチックを使用して成型でき、発射ハンドル45を取り付ける挿通孔を第1カバー部材61と第2カバー部材62との組合せで形成することとしたので、図7(b)に示すように、発射ハンドル45の付け根の中心を境にして斜め左右で異なる色彩となり、また、灰皿46の付け根の中心を境にして斜め左右で異なる色彩となり、これによりパチンコ遊技機下部における色模様がカラフルとなって装飾効果を高めることができる。
【0031】
また、発射ハンドル45を前面下部ユニットに取り付けると、ベース部材41の挿通孔65の底部に開設された開口86内を軸83が貫通し、軸83の先端に設けたフォーク状のジョイント部87が発射装置16の取付基板21に突設された星型のジョイント部88に接続する。したがって、発射ハンドル45の回動操作部材82を回動すると、この回動量に応じて軸83が回動して前記星型ジョイント部88を回動することができ、星型ジョイント部88に連係した発射付勢ばねの付勢力が変化し、これにより発射装置16の発射杵22の発射勢を調整することができる。
【0032】
なお、図面に示す発射装置16は、付勢ばねの付勢力により発射杵22を回動し、これにより遊技球を発射する構成を採っているので、発射ハンドル45の回動操作部材82の回動操作量に応じて発射付勢ばねの付勢力を調整して発射勢を調整するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、発射杵22をロータリーソレノイドの回動力により駆動する発射装置の場合には、発射ハンドル45の回動操作部材82の回動量に応じて抵抗値が変化するボリュームを設け、このボリュームの抵抗値の変化により発射勢を調整するように構成してもよい。
【0033】
次に、図8に示す第2の実施例について説明する。
この実施形態は、前記第1カバー部材61の右端に形成した半円切欠部66の縁から後方に向けて縁壁67を形成するとともに、前方に向けても縁壁67´を第1カバー部材延出部として形成し、該第1カバー部材延出部の前方突出長さをベース部材41から延出した延出支持部56に先端を揃え、同様に、前記第2カバー部材62にも半円切欠部69の縁から後方に向けて縁壁70を形成するとともに前方に向けても縁壁70´を第2カバー部材延出部として形成し、該第2カバー部材延出部の前方突出長さをベース部材41から延出した延出支持部56に先端を揃える。そして、発射ハンドル45の後方取付部材80には、前記第1カバー部材延出部と前記第2カバー部材延出部との前方から放射状に延びて(後方取付部材80の半径方向に広がって)から後方へ屈曲して延び、前記第1カバー部材延出部と前記第2カバー部材延出部とを被覆するカバー部材被覆部89を形成する。
【0034】
この様に、前記挿通孔65から前方へ延出して前記延出支持部56を支持する第1カバー部材延出部(縁壁67´)と第2カバー部材延出部(縁壁70´)とを設け、後方取付部材80に設けたカバー部材被覆部89により前記第1カバー部材延出部(縁壁67´)と第2カバー部材延出部(縁壁70´)とを被覆すると、第1カバー部材延出部(縁壁67´)と第2カバー部材延出部(縁壁70´)とカバー部材被覆部89とで後方取付部材80を重合した状態で支えることができるので、発射ハンドル45を一層強固に支持することができる。また、カバー部材被覆部89により第1カバー部材延出部(縁壁67´)と第2カバー部材延出部(縁壁70´)とを前方から被覆するので、前記重合部分や挿通孔からピアノ線などの不正材の浸入を有効に阻止することができ、不正行為を確実に防止することができる。
【0035】
なお、前記した実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、上記した説明に限らず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】パチンコ遊技機の正面図である。
【図2】ガラス枠と上皿ユニットとを省略して前面下部ユニット(下皿ユニット)を取り外した状態におけるパチンコ遊技機の斜視図である。
【図3】下皿ユニットの斜視図である。
【図4】第2カバー部材を取り付ける前の下皿ユニットの斜視図である。
【図5】下皿ユニットの表側から見た分解斜視図である。
【図6】下皿ユニットの裏側から見た分解斜視図である。
【図7】(a)は取り付けた状態における発射ハンドルの断面図、(b)は発射ハンドルを取り付けた状態における下皿ユニットの正面図である。
【図8】第2実施形態を示す発射ハンドル及びその周囲の部分の断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 パチンコ遊技機
3 前面枠
5 遊技盤
10 遊技領域
14 前面下部ユニットとしての下皿ユニット
16 発射装置
22 発射杵
42 下皿
45 発射ハンドル
55 取付凹部
56 延出支持部
61 第1カバー部材
62 第2カバー部材
63 第3カバー部材
65 挿通孔
66 挿通孔となる第1カバー部材の半円切欠部
67 第1カバー部材の縁壁
69 挿通孔となる第2カバー部材の半円切欠部
70 第2壁ー部材の縁壁
80 後方取付部材
81 前方把持部材
82 回動操作部材
83 回動操作部材の軸
89 カバー部材被覆部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面枠に取り付けられる遊技盤と、該遊技盤の遊技領域へ遊技球を発射する発射装置と、該発射装置の発射勢を調整する発射ハンドルが設けられて前記前面枠の前面下部に配設される前面下部ユニットと、を備えた遊技機において、
前記前面下部ユニットは、前面枠に取り付けられるベース部材と、該ベース部材の前面側に設けられるカバー部材と、を備え、
前記発射ハンドルは、前記前面下部ユニットに取り付けられる後方取付部材と、該後方取付部材の前面側に配設される前方把持部材と、該前方把持部材と前記後方取付部材との間に回動可能に保持される回動操作部材と、を備え、
前記ベース部材は、前記後方取付部材の取付基部が嵌合され、裏面側から止着部材で取付基部を止着する取付凹部と、この取付凹部の前端から前方に向けて筒状に延出し、前記後方取付部材を支持する延出支持部と、を備え、
前記カバー部材は、第1カバー部材と、第2カバー部材とを備え、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材とを組み付けることにより前記延出支持部を挿通する挿通孔を形成するように構成し、
前記第1カバー部材と前記第2カバー部材とで前記延出支持部を支持するようにすると共に、前記挿通孔の前端部よりも前記延出支持部を前方に延出させたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記第1カバー部材に、前記挿通孔から前方へ延出して前記延出支持部を支持する第1カバー部材延出部を設け、前記第2カバー部材に、前記挿通孔から前方へ延出して前記延出支持部を支持する第2カバー部材延出部を設け、
前記後方取付部材には、前記第1カバー部材延出部と前記第2カバー部材延出部との前方から放射状に延びて後方へ屈曲し、前記第1カバー部材延出部と前記第2カバー部材延出部とを被覆するカバー部材被覆部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記ベース部材、第1カバー部材、及び第2カバー部材をプラスチックで成型すると共に前記挿通孔の開口縁から前後方向に延在する縁壁を形成し、
ベース部材から前方に向けて延出する延出支持部の外側に前記縁壁を重合させたことを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−12170(P2008−12170A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−188256(P2006−188256)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【出願人】(000132747)株式会社ソフィア (2,465)
【Fターム(参考)】