説明

遊技機

【課題】制御装置に対して不正行為を行おうとする者が個体識別情報を容易に取得することを抑制することができ、不正行為の防止を図ることができる遊技機を提供する。
【解決手段】遊技制御基板37は、識別情報記憶部70とグランド接続部71とを備え、識別情報記憶部70を挟んで前面枠3とは反対側にグランド接続部71を配置し、グランド接続部71は、外部読取装置からの電磁波が遊技制御装置32を挟んで前面枠3とは反対側から識別情報記憶部70へ到達することを阻止し、前面枠3は、電磁波が前面枠3側から識別情報記憶部70へ到達することを阻止し、前面枠3に遊技制御装置32を取り付けると、前面枠3とグランド接続部71との間に識別情報記憶部70を配置して個体識別情報を読み取り不能とし、遊技制御装置32を外すと、グランド接続部71とは反対側を露出し、電磁波の識別情報記憶部70への到達を許容して個体識別情報を読み取り可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御基板に制御用電子部品を実装して構成された制御装置を備えたパチンコ遊技機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技機、例えばパチンコ遊技機においては、当該パチンコ遊技機を制御するための制御装置、具体的には遊技の進行を制御する遊技制御装置や、遊技の進行に伴う演出を制御する演出制御装置などを備えている。なお、制御装置は、制御基板にCPU等の制御用電子部品を実装して構成されている。
【0003】
そして、近年では、制御装置、詳しくは遊技制御装置を不正に交換して、遊技における大当たり状態を発生させようとする不正行為が行われてしまうことがある。そこで、遊技制御装置の制御基板に個体識別情報(IDコード)を記憶した識別情報記憶部(所謂ICタグ)を内蔵し、外部読取装置(ID識別装置)により識別情報記憶部内の個体識別情報を読み取って、制御装置の不正交換がなされたか否かを確認できるようにすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−099270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献に記載のものでは、不正行為者が外部読取装置を不正に入手した場合には、この外部読取装置を悪用してパチンコ遊技機に取り付けられている遊技制御装置(制御装置)の個体識別情報、言い換えると正規の個体識別情報を取得する虞がある。さらには、不正行為者が作成した不正な制御装置に正規の個体識別情報が記憶されると、不正な制御装置であっても、外部読取装置では正規品であると読み取ってしまい、制御装置の不正交換を発見することができない。
【0005】
そこで、本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、制御装置に対して不正行為を行おうとする者が個体識別情報を容易に取得することを抑制することができ、不正行為の防止を図ることができる遊技機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、前面枠と、該前面枠の後部に着脱可能な状態で配置され、制御基板に制御用電子部品を実装して構成された制御装置と、を備えた遊技機において、
前記制御基板は、制御装置の個体識別情報を記憶し、外部読取装置から電磁波を受けると個体識別情報を送信可能な識別情報記憶部と、当該制御基板を接地するためのグランド接続部と、を備え、識別情報記憶部を挟んで前面枠とは反対側にグランド接続部を配置し、
該グランド接続部は、外部読取装置からの電磁波が制御装置を挟んで前面枠とは反対側から識別情報記憶部へ到達することを阻止する第1読取阻止部として機能し、
前記前面枠は、外部読取装置からの電磁波が前面枠側から識別情報記憶部へ到達することを阻止する第2読取阻止部として機能し、
前記前面枠に制御装置を取り付けた取付状態では、前面枠とグランド接続部との間に識別情報記憶部を配置して個体識別情報を読み取り不能とし、
前記前面枠から制御装置を外した取外し状態では、制御装置のうち識別情報記憶部を挟んでグランド接続部とは反対側を露出し、該露出面を介して外部読取装置からの電磁波を識別情報記憶部へ到達することを許容して個体識別情報を読み取り可能としたことを特徴とする遊技機である。
【0007】
請求項2に記載のものは、前記制御基板は、絶縁層の表面に導電層を積層した積層板と、絶縁材料からなる絶縁板とを積層して構成され、
前記積層板上に識別情報記憶部を配置し、絶縁板のうち識別情報記憶部に対向する箇所には、識別情報記憶部を収容可能な収容開口を開設したことを特徴とする請求項1に記載の遊技機である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
請求項1に記載の発明によれば、前面枠と、該前面枠の後部に着脱可能な状態で配置され、制御基板に制御用電子部品を実装して構成された制御装置と、を備えた遊技機において、制御基板は、制御装置の個体識別情報を記憶し、外部読取装置から電磁波を受けると個体識別情報を送信可能な識別情報記憶部と、当該制御基板を接地するためのグランド接続部とを備え、識別情報記憶部を挟んで前面枠とは反対側にグランド接続部を配置し、該グランド接続部は、外部読取装置からの電磁波が制御装置を挟んで前面枠とは反対側から識別情報記憶部へ到達することを阻止する第1読取阻止部として機能し、前面枠は、外部読取装置からの電磁波が前面枠側から識別情報記憶部へ到達することを阻止する第2読取阻止部として機能し、前面枠に制御装置を取り付けた取付状態では、前面枠とグランド接続部との間に識別情報記憶部を配置して個体識別情報を読み取り不能とし、前面枠から制御装置を外した取外し状態では、制御装置のうち識別情報記憶部を挟んでグランド接続部とは反対側を露出し、該露出面を介して外部読取装置からの電磁波を識別情報記憶部へ到達することを許容して個体識別情報を読み取り可能としたので、制御装置を前面枠から取り外さなければ個体識別情報を読み取れないように構成することができる。したがって、外部読取装置を用いたとしても、制御装置に対して不正行為を行おうとする者が個体識別情報を容易に取得することを抑制することができ、不正行為の防止を図ることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、制御基板は、絶縁層の表面に導電層を積層した積層板と、絶縁材料からなる絶縁板とを積層して構成され、積層板上に識別情報記憶部を配置し、絶縁板のうち識別情報記憶部に対向する箇所には、識別情報記憶部を収容可能な収容開口を開設したので、遊技制御基板の製造過程において識別情報記憶部が絶縁板に押圧されて破損する不具合を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例に挙げて本発明の実施の最良の形態を図面に基づき説明する。図1はパチンコ遊技機の正面図、図2は背面図である。なお、以下の説明においては、便宜上、特記しない限りパチンコ遊技機の遊技者側を「前」として前後方向を示し、遊技者側から見て左右方向を示す。
【0011】
パチンコ遊技機1は、図1および図2に示すように、外枠(機枠あるいは本体枠)2に前面枠(内枠)3を開閉可能に軸着し、この前面枠3のベースとなる前面枠本体4に遊技盤5を収納可能とし、前面枠3の前面側には、一側(図1中、左側)が軸着された透明部材保持枠9を開閉可能に設け、該透明部材保持枠9に透視可能な透明部材10を収納している。そして、透明部材保持枠9を閉じると、遊技盤5が透明部材保持枠9により覆われ、遊技盤5の前面に区画形成された遊技領域(図示せず)が透明部材10を通して前方から視認できるように構成されている。さらに、透明部材保持枠9の下方には、一側(図1中、左側)が軸着された上皿ユニット11を開閉可能に設け、該上皿ユニット11の下方には、下皿ユニット12を上皿ユニット11とは左右方向にずれた位置に配置している。また、下皿ユニット12の左側に灰皿14を備え、下皿ユニット12の右側に発射操作ユニット(発射操作ハンドル)15を備えている。そして、上皿ユニット11と下皿ユニット12との間には、遊技状態に応じて音を発生するスピーカー16を配置している。
【0012】
また、前面枠本体4の裏面側には裏機構盤18を形成し、該裏機構盤18に略矩形状の開口窓部19を開設し、前面枠本体4に遊技盤5を前方から交換可能な状態で取り付けるとともに、遊技盤5の後部(裏面側部)を開口窓部19から後方へ臨ませている。さらに、裏機構盤18には一連の裏機構部品を設けている。具体的に説明すると、裏機構盤18の上部には球排出機構20を取り付け、下部には排出制御装置21、電源装置22、中継基板23等をそれぞれ取り付けている。球排出機構20は、上流側から順に、球導出シュートを下部に備えた球タンク24、球タンク24の球導出シュートから遊技球を案内する案内流路25、案内流路25の下端に接続された球排出装置26、球排出装置26から流下した遊技球を上皿ユニット11へ送る球流下路27等を並べて構成されており、排出制御装置21からの制御信号に基づいて遊技球の排出を実行するように構成されている。
【0013】
そして、遊技盤5の裏面のうち、裏機構盤18の開口窓部19から臨む部分に、略矩形状の大きなカバーを備えたベース部材29と横長な制御装置装着部30とを上下に並べた状態で配置し、上側のベース部材29の内部に演出制御装置(図示せず)を装着し、下側の制御装置装着部30の裏面側には遊技制御装置32(本発明における制御装置に相当)を着脱可能な状態で装着している。
【0014】
次に、遊技制御装置32について説明する。
遊技制御装置32は、縦向き姿勢で配置された比較的浅い或いは薄い箱状のユニットであり、図3に示すように、透光性を有して内部を透視可能な樹脂製(例えば無色透明な樹脂製)の基板ケース36と、該基板ケース36内に収容された矩形状の遊技制御基板37(本発明における制御基板に相当)と、該遊技制御基板37の裏面(言い換えると遊技制御基板37を挟んで前面枠3とは反対側の面)に実装されたCPU等の制御用電子部品38とを備えて構成されている。
【0015】
基板ケース36は、制御装置装着部30に装着された状態で当該基板ケース36の前側に配置される第1ケース部材41と、当該基板ケース36の後側に配置され、第1ケース部材41に重合する第2ケース部材42とを備えて構成されている。また、基板ケース36の上下両縁部には、第1ケース部材41と第2ケース部材42とを重合した状態で係止する係止機構44を備え、基板ケース36の一側部(図3中、右側部)には、基板ケース36を封止するケース封止機構45を備えている。
【0016】
遊技制御基板37は、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁材料からなる複数の絶縁層50(第1絶縁層50a、第2絶縁層50b、絶縁板50c)と、銅箔等の導電材料からなり、絶縁層50上に配置されて電気回路配線を構成する複数の導電層52(第1導電層52a、第2導電層52b、第3導電層52c)とを積層して構成された多層基板である。具体的に説明すると、図4および図5(a)に示すように、第1絶縁層50aの前面(前面枠3側に向けられた面)に第1導電層52aを配置するとともに、後面(第1絶縁層50aを挟んで前面枠3とは反対の面)に第2導電層52bを配置して第1積層板54を形成し、第2絶縁層50bの前面(前面枠3側に向けられた面)に第3導電層52cを配置して第2積層板55(本発明における積層板に相当)を形成している。さらに、絶縁板50cの前面(前面枠3側に向けられた面)に第1積層板54を第2導電層52bと絶縁板50cの前面とが重合する状態で積層し、絶縁板50cの後面(絶縁板50cを挟んで前面枠3とは反対の面)に第2積層板55を第3導電層52cと絶縁板50cの後面とが重合する状態で積層している。なお、図5(a)においては、記号「F」により遊技制御基板37の前方となる前面枠3側を示し、記号「R」により遊技制御基板37の後方となる側、すなわち絶縁板50cを挟んで前面枠3とは反対側を示している。
【0017】
さらに、絶縁層50を構成するガラスエポキシ樹脂は、絶縁材料であるとともに、電磁波を透過する機能を備えている。また、本実施形態では、第1積層板54と絶縁板50cとの間、および第2積層板55と絶縁板50cとの間に透明な接着層(図示せず)を介在し、該接着層を介して第1積層板54、第2積層板55および絶縁板50cを重合している。
【0018】
そして、遊技制御基板37は、当該遊技制御基板37の内部に埋設され、遊技制御装置32の個体識別情報(例えばシリアルナンバー)を記憶した識別情報記憶部(所謂無線ICタグ)70と、当該遊技制御基板37を接地するためのグランド接続部71とを備え、該グランド接続部71と電気回路配線を構成する3層の導電層52とを備えた多層基板(4層基板)に設定されている。具体的に説明すると、遊技制御基板37の第2積層板55上、詳しくは第2積層板55の第2絶縁層50bの前面(前面枠3側に向けられ、第3導電層52cを重合する面)に識別情報記憶部70を配置(貼付)し、第3導電層52cのうち識別情報記憶部70に対向する箇所に第3導電開口部73を開設し、第3導電開口部73を介して識別情報記憶部70の一部を突出している。さらに、絶縁板50cのうち第3導電開口部73を介して識別情報記憶部70に対向する箇所には矩形状の収容開口74を開設し、該収容開口74に識別情報記憶部70を収容できるように構成されている。また、第2導電層52bのうち識別情報記憶部70に対向する箇所には第2導電開口部76を開設し、第1導電層52aのうち識別情報記憶部70に対向する箇所には第1導電開口部77を開設している。この結果、識別情報記憶部70の前面(前面枠3側の面)を絶縁層50(詳しくは第1絶縁層50a)のみで覆い、識別情報記憶部70の前方(前面枠3側)に重なる位置に導電性部材、言い換えると電磁波が透過不能な部材を配置することを避けている。
【0019】
なお、識別情報記憶部70は、図5(b)および図6に示すように、当該識別情報記憶部70のベースとなる矩形状のベースフィルム80を備え、該ベースフィルム80の中央に導電層52よりも厚いICチップ81を配置するとともに、該ICチップ81の周辺には円形状に巻回したアンテナ82を配置し、アンテナ82とICチップ81とを電気的に接続して構成されている。そして、読み取り動作時に外部読取装置(図示せず)から発生した電磁波を受けると、この電磁波の受信に基づいてICチップ81に記憶された情報を、アンテナ82を介して外部読取装置へ向けて送信できるように構成されている。
【0020】
また、グランド接続部71は、遊技制御基板37を接地して、パチンコ遊技機1内(例えば、役物を駆動するためのモータやソレノイド)から発生する静電気や電磁波等のノイズが制御用電子部品38へ到達することを遮断する導電性部材である。そして、遊技制御基板37と略同じ大きさの矩形状に形成され、遊技制御基板37のうち制御用電子部品38の実装面となる裏面(具体的には第2絶縁層50bのうち前面枠3とは反対側の面)と、制御用電子部品38との間に配置されている。さらに、識別情報記憶部70の後方、すなわち識別情報記憶部70を挟んで前面枠3とは反対側に、識別情報記憶部70を十分に覆う状態で配置されている。
【0021】
このような構成の遊技制御基板37を備えた遊技制御装置32を前面枠3、詳しくは前面枠3に装着された遊技盤5の制御装置装着部30に取り付けると、識別情報記憶部70の前方(前面枠3側)には基板ケース36の第1ケース部材41および前面枠3が配置され、後方(遊技制御装置32を挟んで前面枠3とは反対側)にはグランド接続部71および基板ケース36の第2ケース部材42が配置される。したがって、識別情報記憶部70は、前面枠3とグランド接続部71との間に配置される(図6参照)。
【0022】
そして、グランド接続部71は、電磁波を通さない導電性材料で形成されているため、外部読取装置を遊技制御装置32の後部に当接したとしても、当該グランド接続部71よりも後方の外部読取装置から発生した電磁波を前方へ透過しない。したがって、グランド接続部71は、外部読取装置からの電磁波が遊技制御装置32を挟んで前面枠3とは反対側から識別情報記憶部70へ到達することを阻止する第1読取阻止部として機能する。また、前面枠3は、遊技盤5、前面枠本体4、透明部材保持枠9等を前後に重ねて厚肉な構成をなしているので、外部読取装置をパチンコ遊技機1の前面に当接してパチンコ遊技機1の前方から最も近づけた状態で配置したとしても、外部読取装置から発生した電磁波が減衰して識別情報記憶部70まで到達しない。さらには、電磁波が届くまで外部読取装置をパチンコ遊技機1(前面枠3)の前方から識別情報記憶部70へ近づけることを阻止する。したがって、前面枠3は、外部読取装置からの電磁波が前方の前面枠3側から識別情報記憶部70へ到達することを阻止する第2読取阻止部として機能する。この結果、前面枠3に遊技制御装置32を取り付けた取付状態では、外部読取装置を利用したとしても識別情報記憶部70から個体識別情報を読み取ることが不能となる。
【0023】
一方、制御装置装着部30から遊技制御装置32を外すと、遊技制御装置32は、図7に示すように、その前面側、言い換えると識別情報記憶部70を挟んでグランド接続部71とは反対側を前面枠(第2読取阻止部)3から離して露出する。そして、この露出面に対向する位置に外部読取装置を配置して電磁波を発生させると、この電磁波は、遊技制御装置32の露出面(具体的には第1ケース部材41)を介して第1導電開口部77、第1絶縁層50a、第2導電開口部76を通過し、識別情報記憶部70に到達することを許容される。この結果、前面枠3から遊技制御装置32を外した取外し状態では、識別情報記憶部70から個体識別情報を読み取ることが可能となる。したがって、遊技制御装置32を前面枠3から取り外さなければ個体識別情報を読み取れないように構成することができる。これにより、外部読取装置を用いたとしても、遊技制御装置32に対して不正行為を行おうとする者が個体識別情報を容易に取得することを抑制することができ、不正行為の防止を図ることができる。なお、個体識別情報の読み取り作業の際には、基板ケース36から遊技制御基板32を取り出し、取り出した遊技制御基板32のうち識別情報記憶部70を挟んでグランド接続部71とは反対側に外部読取装置を配置して読み取り作業を行ってもよい。
【0024】
また、第2積層板55上に識別情報記憶部70を配置し、絶縁板50cのうち識別情報記憶部70に対向する箇所に、識別情報記憶部70を収容可能な収容開口74を開設しているので、遊技制御基板37の製造過程において識別情報記憶部70が絶縁板50cに押圧されて破損する不具合を防ぐことができる。
【0025】
ところで、上記実施形態では、遊技制御基板37の内部に識別情報記憶部70を埋め込んで備えたが、本発明はこれに限定されない。要は、前面枠3に遊技制御装置32を取り付けた取付状態で前面枠3とグランド接続部71との間に識別情報記憶部70を配置し、前面枠3とグランド接続部71とで外部読取装置からの電磁波が識別情報記憶部70へ到達することを阻止し、前面枠3から遊技制御装置32を取り外した取外し状態では、遊技制御装置32のうち識別情報記憶部70を挟んでグランド接続部71とは反対側の面を露出して、該露出側から外部読取装置からの電磁波を識別情報記憶部70へ到達することを許容するように構成すればよい。例えば、図8に示すように、グランド接続部71よりも前面枠3寄りに配置される第1積層板54のうち、前面枠3側を向いた面(第1導電層52a)に識別情報記憶部70を配置(貼付)してもよい。このように識別情報記憶部70を遊技制御基板37の表面に配置すれば、遊技制御基板37の製造工程の途中で識別情報記憶部70を遊技制御基板37の内部に埋設する必要がなく、遊技制御基板37を製造する工程と、遊技制御基板37に識別情報記憶部70を配置する工程とを分離することができる。したがって、個体識別情報を読み取り可能な遊技制御基板37の製造効率の向上を図ることができる。
【0026】
なお、上記実施形態では、グランド接続部71を遊技制御基板37と同じ大きさに設定したが、本発明はこれに限定されない。要は、グランド接続部71により外部読取装置からの電磁波を識別情報記憶部70へ到達することを阻止できればよく、例えば、読取阻止部として機能するグランド接続部71を識別情報記憶部70と略同じ大きさに設定し、このグランド接続部71の周辺に電気回路配線を設けてもよい。
【0027】
さらに、上記各実施形態では、遊技制御装置32を構成する遊技制御基板37に識別情報記憶部70を設けたが、本発明はこれに限定されず、パチンコ遊技機1等の遊技機に備えられた制御装置の制御基板であれば、どのような基板に識別情報記憶部70を設けてもよい。例えば、遊技演出の制御を行う演出制御装置の制御基板(演出制御基板)であってもよい。
【0028】
そして、上記実施形態では、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例にして説明したが、本発明はこれに限らず、前面枠と、該前面枠の後部に着脱可能な状態で配置され、制御基板に制御用電子部品を実装して構成された制御装置とを備えた遊技機であればどのような遊技機でもよい。例えば、内部に封入した遊技球を循環させる封入球式パチンコ機、アレンジボール式遊技機、雀球式遊技機等の遊技機であってもよい。
【0029】
前記した実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、上記した説明に限らず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】パチンコ遊技機の正面図である。
【図2】パチンコ遊技機の背面図である。
【図3】遊技制御装置の後方から見た分解斜視図である。
【図4】遊技制御基板を後方から見て絶縁板、第1積層板、第2積層板に分解した分解斜視図である。
【図5】(a)は遊技制御基板の後方から見た分解斜視図、(b)は前方から見て識別情報記憶部と第2積層板とを分解した分解斜視図である。
【図6】前面枠に遊技制御装置を取り付けた状態を説明する拡大断面図である。
【図7】前面枠から遊技制御装置を取り外した状態を説明する拡大断面図である。
【図8】第2実施形態の遊技制御基板を後方から見て絶縁板、第1積層板、第2積層板、識別情報記憶部に分解した分解斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 パチンコ遊技機
3 前面枠
5 遊技盤
30 制御装置装着部
32 遊技制御装置
36 基板ケース
37 遊技制御基板
38 制御用電子部品
41 第1ケース部材
42 第2ケース部材
44 係止機構
45 ケース封止機構
50 絶縁層
50a 第1絶縁層
50b 第2絶縁層
50c 絶縁板
52 導電層
52a 第1導電層
52b 第2導電層
52c 第3導電層
54 第1積層板
55 第2積層板
70 識別情報記憶部
71 グランド接続部
73 第3導電開口部
74 収容開口
76 第2導電開口部
77 第1導電開口部
80 ベースフィルム
81 ICチップ
82 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面枠と、該前面枠の後部に着脱可能な状態で配置され、制御基板に制御用電子部品を実装して構成された制御装置と、を備えた遊技機において、
前記制御基板は、制御装置の個体識別情報を記憶し、外部読取装置から電磁波を受けると個体識別情報を送信可能な識別情報記憶部と、当該制御基板を接地するためのグランド接続部と、を備え、識別情報記憶部を挟んで前面枠とは反対側にグランド接続部を配置し、
該グランド接続部は、外部読取装置からの電磁波が制御装置を挟んで前面枠とは反対側から識別情報記憶部へ到達することを阻止する第1読取阻止部として機能し、
前記前面枠は、外部読取装置からの電磁波が前面枠側から識別情報記憶部へ到達することを阻止する第2読取阻止部として機能し、
前記前面枠に制御装置を取り付けた取付状態では、前面枠とグランド接続部との間に識別情報記憶部を配置して個体識別情報を読み取り不能とし、
前記前面枠から制御装置を外した取外し状態では、制御装置のうち識別情報記憶部を挟んでグランド接続部とは反対側を露出し、該露出面を介して外部読取装置からの電磁波を識別情報記憶部へ到達することを許容して個体識別情報を読み取り可能としたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記制御基板は、絶縁層の表面に導電層を積層した積層板と、絶縁材料からなる絶縁板とを積層して構成され、
前記積層板上に識別情報記憶部を配置し、絶縁板のうち識別情報記憶部に対向する箇所には、識別情報記憶部を収容可能な収容開口を開設したことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−188083(P2008−188083A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−22797(P2007−22797)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(000132747)株式会社ソフィア (2,465)
【Fターム(参考)】