遊技機
【課題】手打ち式の遊技機において遊技の健全性を高めることができる遊技機を提供する。
【解決手段】パチンコ機は、遊技領域が形成された遊技盤と遊技領域へ遊技球を発射する遊技球発射機構110とを備えている。遊技球発射機構110は、予め定められた発射待機位置WPへ遊技球を供給する球送装置203と、遊技球発射レバー41が回動操作された後、付勢力によって初期状態へ復帰した場合に同遊技球発射レバー41に連動して上記発射待機位置WPに待機中の遊技球を発射する発射部材201とを有している。また、遊技球発射機構110には、発射部材201の初期状態から発射準備状態への切り替えを不可とするロック状態及びロック解除状態に切替可能なロックレバーと、発射部材201が初期状態に復帰したタイミングから予め定められた特定期間が経過するまでロックレバーをロック状態に維持する遅延機構300が設けられている。
【解決手段】パチンコ機は、遊技領域が形成された遊技盤と遊技領域へ遊技球を発射する遊技球発射機構110とを備えている。遊技球発射機構110は、予め定められた発射待機位置WPへ遊技球を供給する球送装置203と、遊技球発射レバー41が回動操作された後、付勢力によって初期状態へ復帰した場合に同遊技球発射レバー41に連動して上記発射待機位置WPに待機中の遊技球を発射する発射部材201とを有している。また、遊技球発射機構110には、発射部材201の初期状態から発射準備状態への切り替えを不可とするロック状態及びロック解除状態に切替可能なロックレバーと、発射部材201が初期状態に復帰したタイミングから予め定められた特定期間が経過するまでロックレバーをロック状態に維持する遅延機構300が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機には、遊技領域が形成された遊技盤を枠体に搭載してなる遊技機主部を備えているものがある。遊技機主部には、遊技球発射に際して操作される操作部と、同操作部による発射操作に基づいて遊技球を発射する発射機構とが設けられている。操作部は、初期位置と発射待機位置とに移動可能に設けられているとともに、同初期位置に向けて付勢されている。例えば操作部を指で引っ掛ける等して発射待機位置に移動させた後に同操作部を離すことで、同操作部が初期位置へと移動する。この操作部の動きに連動して発射機構が動作することにより遊技球が遊技領域へ発射される。遊技領域には、入賞口及び入賞装置等の入賞に関する構成や、遊技領域に至った遊技球がそれら入賞口等に適度な確率で入賞するように遊技球の流下経路をばらつかせる釘等の各種構成が配設されている。入賞口等への入賞が発生した場合には予め設定された個数の遊技球が払い出される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3011197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したタイプの遊技機(いわゆる手打ち式の遊技機)においては、遊技ペースが遊技者の意思や技量等に依存することとなり、例えば遊技球の発射間隔を短くすることで単位時間に取得可能な遊技球の数を増やすといった試みがなされると想定される。仮にこのような発射間隔の短縮による獲得遊技球数の増加が許容されると、遊技者の射幸心を過度に煽ることとなり、健全な遊技ホールの運営に支障を来たすと懸念される。
【0005】
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、手打ち式の遊技機において遊技の健全性を高めることができる遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段について記載する。
【0007】
請求項1記載の発明は、操作部を有し、その操作部が初期状態から発射準備状態となるように操作された後に付勢力によって前記初期状態に復帰する場合に遊技球を発射する発射機構と、前記操作部を操作不能にロックするロック状態及びロック解除状態に切替可能なロック機構と、前記ロック機構が前記ロック状態である場合に、予め定められた特定期間が経過するまで前記ロック解除状態への切り替えを遅らせる遅延機構とを備え、前記遅延機構によって前記ロック機構の前記ロック状態から前記ロック解除状態への切り替えを遅らせることにより、単位時間あたりの遊技球の発射数が予め定められた数よりも少なくなるように規制することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
手打ち式の遊技機において遊技の健全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施の形態におけるパチンコ機を示す正面図である。
【図2】パチンコ機の主要な構成を展開して示す斜視図である。
【図3】パチンコ機の構成を示す背面図である。
【図4】前扉枠の構成を示す背面図である。
【図5】内枠の構成を示す正面図である。
【図6】遊技盤の構成を示す正面図である。
【図7】裏パックユニットの構成を示す正面図である。
【図8】裏パックユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図9】遊技球発射機構及びそれに付随する構成を示す図5の部分拡大図。
【図10】遊技球発射機構における主要な構成を示す斜視図である。
【図11】発射部材と球送装置との関係を示す概略図である。
【図12】可動通路の動作を示す概略図である。
【図13】発射部材と遅延装置との関係を示す概略図である。
【図14】遊技球発射機構の動作を示す概略図である。
【図15】遊技球発射機構の動作を示す概略図である。
【図16】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施のの形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図、図3はパチンコ機10の背面図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
【0011】
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に取り付けられた遊技機主部12とを有している。
【0012】
外枠11は木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技場の島設備に設置される。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、遊技場の島設備に外枠11が備え付けられた構成としてもよい。
【0013】
この外枠11によって遊技機主部12が開閉可能な状態で支持されている。具体的には、図1に示すように、外枠11における上枠部と左枠部との連結部分に上側支持用金具17が固定されており、さらに外枠11における下枠部と左枠部との連結部分に下側支持用金具18が設けられている。これら上側支持用金具17及び下側支持用金具18により支持機構が構成され、当該支持機構により外枠11に対して遊技機主部12がパチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側としてパチンコ機10の前方へ回動可能とされている。
【0014】
図2に示すように、遊技機主部12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15(図3参照)とを備えている。なお、遊技機主部12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。
【0015】
内枠13には、図2に示すように、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、図3に示すように、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
【0016】
次に、前扉枠14について説明する。なお、以下の説明では、図1及び図2を参照するとともに、前扉枠14の背面の構成については図3を参照する。図3は、前扉枠14の背面図である。
【0017】
図2に示すように前扉枠14は内枠13における前面側のほぼ全域を覆うようにして設けられている。前扉枠14には後述する遊技領域PEのほぼ全域を前方から視認することができるようにした略楕円状の窓部21が形成されている。その窓部21には、透明性を有するガラス22が嵌め込まれており、同ガラス22によって遊技領域PEが覆われている。
【0018】
図1に示すように窓部21の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部23が設けられている。環状電飾部23では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部23の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ部24が設けられ、窓部21の左右両側には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部25が設けられている。また、中央のエラー表示ランプ部24に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部26が設けられている。
【0019】
前扉枠14における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部31と下側膨出部32とが上下に並設されている。上側膨出部31内側には上方に開口した上皿33が設けられており、下側膨出部32内側には同じく上方に開口した下皿34が設けられている。上皿33は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導く機能を有している。また、下皿34は、上皿33内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有している。
【0020】
本実施の形態における前扉枠14は内枠13の前面全域を覆っているものではなく、同内枠13の右下部は前扉枠14とは別に形成されたカバー部材40によって覆われている。具体的には、図2に示すように、内枠13における右下の一区画、すなわち下側膨出部32の右方となる部分には、内枠13の回動先端側の下隅部を含んだ一部を覆うようにしてカバー部材40が配されており、これら前扉枠14及びカバー部材40によって内枠13の全域が覆われている。カバー部材40は、内枠13に対して前扉枠14とは独立して固定されており、同前扉枠14が開放された場合であっても、自身の固定位置に留まることとなる。
【0021】
カバー部材40の前面側には、遊技球の発射に際して操作される遊技球発射レバー41が設けられている。遊技球発射レバー41は、カバー部材40に対して回動可能な状態で取り付けられている。遊技球発射レバー41の軸部42は、カバー部材40に形成された貫通孔を通じて同カバー部材40の背面側、すなわち内枠13側に突出している。この突出している部分が後述する遊技球発射機構に連結されており、遊技球発射レバー41が操作された場合に同遊技球発射機構が連動することで遊技球が発射される。
【0022】
前扉枠14の背面には、図2及び図3に示すように、通路形成ユニット50が取り付けられている。通路形成ユニット50は、合成樹脂により成形されており、上皿33に通じる前扉側上皿通路部51と、下皿34に通じる前扉側下皿通路部52とが形成されてなる。通路形成ユニット50において、その上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部53が形成されており、当該受口部53を仕切壁54によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路部51と前扉側下皿通路部52の入口部分とが形成されている。前扉側上皿通路部51及び前扉側下皿通路部52は上流側が後述する遊技球分配部に通じており、前扉側上皿通路部51に入った遊技球は上皿33に導かれ、前扉側下皿通路部52に入った遊技球は下皿34に導かれる。
【0023】
次に、図4に基づき内枠13について詳細に説明する。図4は内枠13の正面図である。なお、図4においては、図2と同様にパチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
【0024】
内枠13は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース70を主体に構成されている。樹脂ベース70の前面における回動基端側(図4の左側)には、その上端部及び下端部に支持金具71,72が取り付けられている。また、前扉枠14の背面における回動基端側(図3の右側)には、それら支持金具71,72に対応させて突起軸61,62が設けられている。図示は省略するが、支持金具71,72には軸孔が形成されており、それら軸孔に前扉枠14の突起軸61,62が挿入されることにより、内枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。つまり、これら支持金具71,72及び突起軸61,62は内枠13に対する組付機構を構成している。
【0025】
内枠13の前面には施錠装置75が設けられている。施錠装置75は、前扉枠14に向けて延びる複数の前扉用鉤部材76を有している。これら前扉用鉤部材76に対応させて、前扉枠14の背面には内枠13側に延びる鉤受け部材63が複数設けられている。前扉用鉤部材76が鉤受け部材63に引っ掛かることにより前扉枠14が閉じた状態で施錠される。また、施錠装置75は、内枠13の後方へ延びる内枠用鉤部材77を有している。これら内枠用鉤部材77が外枠11の鉤受け部材19に引っ掛かることにより遊技機主部12が外枠11に対して閉じた状態で施錠される。
【0026】
樹脂ベース70の右下隅部には、施錠装置の解錠操作を行うためのシリンダ錠78が設置されている。シリンダ錠78は施錠装置に一体化されており、その先端部分(鍵穴部分)が上記カバー部材40に設けられた孔部を通じてパチンコ機10の前方に露出している。シリンダ錠78の鍵穴に差し込んだキーを右に回すことで内枠13に対する前扉枠14の施錠が解除され、同キーを左に回すことで外枠11に対する内枠13の施錠が解除される。
【0027】
樹脂ベース70前面の略中央部分には、遊技盤80を収容する遊技盤収容部73が形成されている。遊技盤収容部73は、パチンコ機10の後方に凹み、遊技盤80を収容する収容空間を区画しており、樹脂ベース70に取り付けられた遊技盤80がその収容空間に嵌まった状態となっている。本実施の形態においては特に、遊技盤80が樹脂ベース70に対して着脱可能に取り付けられており、メンテナンス作業等の容易化が図られている。
【0028】
遊技盤80は、木製の合板と同合板における前側の板面を覆うシート材とを有してなり、その前面が遊技盤収容部73の開放部分を通じて樹脂ベース70の正面側に露出している。この露出している部位、すなわち遊技盤80の前面には、遊技球が流下する遊技領域PEが形成されている。以下、図5に基づき遊技盤80(特に遊技領域PEに配された各種構成)について説明する。図5は、遊技盤80の正面図である。
【0029】
遊技盤80には、ルータ加工が施されることによって自身の厚さ方向(前後方向)に貫通する大小複数の開口が形成されている。各開口には、一般入賞口81,可変入賞口82及び入賞役物ユニット83等がそれぞれ取り付けられている。具体的には、遊技領域PEの中央に形成された開口には入賞役物ユニット83が配されており、その入賞役物ユニット83の左右両側に形成された開口には一般入賞口81が配され、それら一般入賞口81及び入賞役物ユニット83よりも下側に形成された開口には可変入賞口82が配されている。一般入賞口81、可変入賞口82及び入賞役物ユニット83に遊技球が入ると、それら遊技球が検知スイッチにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤80の最下部にはアウト口88が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口88を通って遊技領域PEから排出される。
【0030】
また、遊技盤80には、遊技球の流下経路を適宜分散,調整等するために多数の釘89が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。これら釘89や風車等の各種構成によって、遊技球の流下経路が分化され、上述した一般入賞口81等への入賞が適度な確立で発生するように調整されている。
【0031】
入賞役物ユニット83は、当該入賞役物ユニット83を構成する各種装置等が収容されたケース84を有している。ケース84は、遊技盤80の正面側に開放された箱状をなしており、その内部がパチンコ機10の前方から上記ガラス22を通して視認可能となっている。ケース84は遊技盤80の開口から前方に張り出した状態で同遊技盤80に固定されており、遊技領域PEを流下する遊技球が同ケース84の周壁を乗り越えて当該ケース84の内部に侵入することが回避されている。つまり、ケース84によって遊技領域PEの一部が区画され、その区画された領域、すなわち入賞役物ユニット83内への遊技球の流入が制限されている。
【0032】
ケース84の上部及び左右両側部には遊技球の流入を許容する流入口84aが複数形成されている。それら流入口84aよりも下側には、遊技者に対して付与される特典が相違する複数種の入賞口85,86が設けられている。具体的には、ケース84の下部中央に第1入賞口85が配設されており、同第1入賞口85の左右両側に第2入賞口86が配設されている。
【0033】
流入口84aと入賞口群85,86との間には、それら各入賞口85,86へ遊技球を振り分ける振分部材87が配設されている。振分部材87にはモータが接続されており、同振分部材87はそのモータが駆動することにより予め定められた周期で入賞口85,86の並設方向(左右方向)に揺動可能となっている。各流入口84aから入賞役物ユニット83内へ流入した遊技球は、振分部材87によって第1入賞口85及び第2入賞口86のいずれか一方へ振り分けられることとなる。
【0034】
各入賞口85,86へ入った遊技球は遊技盤80の背面側に設けられた回収通路を通ってパチンコ機10の外部へ排出される。回収通路には、当該回収通路を遊技球が通過した場合に可変入賞口82への遊技球の流入が困難な状態から容易な状態に切り替える切替機構部が設けられている。
【0035】
具体的には、各可変入賞口82には、同可変入賞口82への遊技球の流入を妨げる閉位置と同閉位置に配されている場合よりも遊技球の流入を容易なものとする開位置とに切替可能な可動役物90が設けられている。この可動役物90は、通常は係止部材によって閉位置にて係止された状態となっているとともに、その係止状態を解除する解除操作部にリンク部材を介して繋がっている。解除操作部は回収通路において遊技球が流下する流下領域へ突出しており、入賞役物ユニット83から流入し回収通路を流下する遊技球が当該解除操作部に対して衝突することとなる。このように解除操作部に対して遊技球が衝突することで、可動役物90の係止状態が解除され、可動役物90が開位置へと切り替えられる。
【0036】
また、各可変入賞口82の奥側には、流入した遊技球が衝突することで、可動役物90を閉位置に切り替えるとともに、上記解除状態から係止状態に復帰させる復帰操作部が設けられている。このため、上記第1入賞口85又は第2入賞口86への入賞が発生して可動役物90が開位置へ切り替えられることで遊技球の流入が容易化された状態は、その可変入賞口82へ1の遊技球が流入することで終了する。つまり、可動役物90が閉位置へ復帰し、更なる遊技球の流入が困難になる。
【0037】
なお、各可変入賞口82(詳しくは可動役物90)の切り替えに検知スイッチやアクチュエータ等の電気的構成を適用することも可能である。
【0038】
ここで、入賞役物ユニット83に遊技球が流入した場合の遊技態様に関して簡単に説明する。流入口84aを通じて入賞役物ユニット83内に遊技球が入ると、同遊技球は入賞役物ユニット83内を流下し、振分部材87へ到達する。同遊技球が振分部材87によって第1入賞口85に振り分けられた場合には可動役物90が係止解除状態に切り替えられ、閉じている全ての可変入賞口82(詳しくは可動役物90)が順次開放される。一方、右側の第2入賞口86Rへ遊技球が振り分けられた場合には右寄りに配置された一部の可変入賞口82が開放され、左側の第2入賞口86Lへ遊技球が振り分けられた場合には左寄りに配置された一部の可変入賞口82が開放される。その後、それら開放された可変入賞口82に遊技球が入ると、同遊技球が入った可変入賞口82の可動役物90が閉位置に切り替えられるとともに、所定の遊技球が払い出される。
【0039】
また、遊技盤80には、入賞役物ユニット83等が配された遊技領域PEを区画するようにして内レール101及び外レール102が取り付けられている。それら内レール101及び外レール102は、両者の一部が遊技球の直径よりも若干大きな隙間を隔てて対峙するようにして配置され、両レール101,102によって遊技球を誘導する誘導レール100が構成されている。樹脂ベース70における遊技盤収容部73の下方には、上記遊技球発射レバー41の発射操作に基づいて遊技領域PEへ遊技球を発射する遊技球発射機構110が設けられている。この遊技球発射機構110から発射された遊技球は、両レール101,102により挟まれた領域を通過して遊技領域PEに案内される(図3参照)。なお、遊技球発射機構110及びそれに付随する構成に関しての詳細な説明は後述する。
【0040】
ここで、図3を参照し、内枠13の背面側の構成について簡単に説明する。内枠13(遊技盤80)の背面には、主制御装置ユニット131が搭載されている。
【0041】
主制御装置ユニット131は、合成樹脂製の取付台132を有し、取付台132に主制御装置133が搭載されている。主制御装置133は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)及び電源を監視する機能(停電監視回路)を有する主制御基板と、同主制御基板を収容する基板ボックス134とを具備している。
【0042】
取付台132において遊技盤80の背面と対向している部分には、前記一般入賞口81等の各種入賞口に対応し且つ下流側で1カ所に集合する上記回収通路が形成されている。これにより、一般入賞口81等に入賞した遊技球は何れも回収通路を介して遊技盤80の下方に集合する構成となっている。つまり、取付台142には各種入賞口に入賞した遊技球を回収する機能が付与されている。また、取付台142には、上記可動役物90用の切替機構部が取り付けられている。
【0043】
遊技盤80の下方には後述する排出通路が配されており、回収通路によって遊技盤80の下方に集合した遊技球は排出通路内に導出される。なお、アウト口88についても同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球はアウト口88を介して排出通路内に導出される。
【0044】
また、上記回収通路には、各種入賞口に入賞した遊技球を検知する入賞口スイッチが装着されており、それら各種スイッチによって入賞検知機構が構成されている。これら各種スイッチは主制御装置133に対して電気的に接続されており、各スイッチによる検知情報が同主制御装置133に出力される構成となっている。
【0045】
主制御装置ユニット131の上方には、音声ランプ制御装置ユニット141が配されている。音声ランプ制御装置143は、主制御装置ユニット131と同様に、取付台142と音声ランプ制御装置143とを具備する構成となっており、当該取付台142を介して遊技盤80の背面に固定されている。音声ランプ制御装置143は、主制御装置133からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、同音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス144に収容されてなる。
【0046】
これら音声ランプ制御装置ユニット141と主制御装置ユニット131の一部とは、図3に示すように上記裏パックユニット15によってパチンコ機10の後方から覆われている。以下、図7及び図8に基づき裏パックユニット15について説明する。図7は裏パックユニット15の背面図、図8は裏パックユニット15の分解斜視図である。
【0047】
裏パックユニット15は、図7に示すように、裏パック161を備えており、当該裏パック161に対して、払出機構部162及び制御装置集合ユニット164が取り付けられている。裏パック161は透明性を有する合成樹脂により形成されており、払出機構部162等が取り付けられるベース部171と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部172とを有する。
【0048】
ベース部171には、その右上部に外部端子板173が設けられている。外部端子板173には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技場側の管理制御装置に対して各種信号が出力される。ベース部171には、保護カバー部172を迂回するようにして払出機構部162が配設されている。具体的には、裏パック161の最上部には上方に開口したタンク181が設けられており、タンク181には遊技場の島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク181の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール182が連結され、タンクレール182の下流側には上下方向に延びるケースレール183が連結されている。ケースレール183の最下流部には払出装置184が設けられている。払出装置184より払い出された遊技球は、当該払出装置184の下流側に設けられた払出通路を通じて、上皿33又は下皿34に案内される。
【0049】
払出機構部162には、裏パック基板187が設置されている。裏パック基板187には、例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ187aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
【0050】
ベース部171の下端部には、上記制御装置集合ユニット164が取り付けられている。制御装置集合ユニット164は、横長形状をなす取付台191を有し、取付台191に払出制御装置192と電源装置193とが搭載されている。これら払出制御装置192及び電源装置193は、払出制御装置192がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
【0051】
払出制御装置192は、基板ボックス194内に払出装置184を制御する払出制御基板が収容されて構成されている。電源装置193は、基板ボックス196内に電源基板が収容されて構成されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電力が生成されて出力される。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。
【0052】
図8に示すようにベース部171を挟んで制御装置集合ユニット164とは反対側となる部分には排出通路盤198が固定されている。排出通路盤198においてベース部171と対向する面には、後方に開放された排出通路199が形成されており、当該排出通路199の開放部がベース部171によって塞がれている。排出通路199は遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した各種入賞口等から排出通路199に導出された遊技球は当該排出通路199を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
【0053】
次に、図5及び図9に基づき上述した遊技球発射機構110及びそれに付随する構成について説明する。図9は遊技球発射機構110及びそれに付随する構成を拡大して示す図5の部分拡大図である。なお、同図9においてはカバー部材40の図示を省略し、遊技球発射レバー41を2点鎖線で示している。
【0054】
図9に示すように、遊技球発射機構110は、所定位置(発射待機位置WP)に配された遊技球を発射する(打ち出す)発射部材201と、同発射部材201によって発射された遊技球を誘導レール100の入口部分100aへ案内する発射レール202と、上記発射待機位置WPに遊技球を供給する球送装置203と、それら各種構成が装着されているベースプレート204とを備えており、ベースプレート204が樹脂ベース70の前面に対してネジ止めされることにより、遊技機主部12(詳しくは内枠13)に対して一体化されている。
【0055】
発射レール202は、所定の発射角度(打ち出し角度)となるように、斜めに傾いた状態でベースプレート204に固定されている。具体的には、誘導レール100の入口部分100aが斜め下方に開放されており、発射レール202は、自身のレール方向の延長線上にその入口部分100aが位置するように、同入口部分100aを向いた状態で固定されている(図5参照)。
【0056】
発射レール202と誘導レール100の入口部分100aとの間には遊技球が通過可能な隙間が形成されており、この隙間よりも下方にはファール球通路55が設けられている(図2参照)。仮に発射された遊技球が遊技領域PEまで至らずファール球として誘導レール100内を逆戻りする場合には、それらファール球はファール球通路55を介して下皿34に排出される。これにより、ファール球の全てがファール球通路55に確実に案内され、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
【0057】
発射レール202の下流側の端部(すなわち上記入口部分100aとは反対側の端部)寄りとなる位置には、上皿33から球送装置203を通じて供給された遊技球を上述した発射待機位置WPに留める球ストッパ205が配されている。球ストッパ205は、発射レール202に対して遊技球の直径寸法よりも小さな隙間を隔てて対峙しており、上記ベースプレート204に固定されている。発射レール202は上述の如く誘導レール100の入口部分100aに向けて上り傾斜するように傾いた状態で取り付けられており、発射レール202上に供給された遊技球は、同発射レール202に沿って流下し、球ストッパ205に対して発射レール202の傾斜上流側から当接する。これにより、同遊技球が発射待機位置WPにて保持される。
【0058】
発射レール202の傾斜方向において上記発射待機位置WPよりも下流側、すなわち発射レール202の下流側への延長上には、上述した発射部材201が配置されている。発射部材201は回動可能な状態でベースプレート204に取り付けられており、その回動中心軸線が遊技球発射レバー41の回動中心軸線と同一直線上となるように、且つ同回動中心軸線が発射レール202の延長上に位置しないように配されている。
【0059】
発射部材201の回動基端部にはベースプレート204に対する取付部としてのベース部211が形成されている。ベース部211は、上記回動中心軸線と同一方向(前後方向)に延びており、その中央部分に縮径部215が形成された段付きの円柱状をなしている。ベース部211においてベースプレート204とは反対側の端部には、遊技球発射レバー41の軸部42に向けて突出する凸部221が形成されている。凸部221は、軸部42に形成された凹部43に嵌合しており、これら凸部221及び凹部43が嵌合した状態にて遊技球発射レバー41が発射部材201に対して締結されることで、それら遊技球発射レバー41及び発射部材201が一体化されている。なお、凸部221及び凹部43は、上記回動中心軸線の放射方向に延びており、両者の相対位置のずれが抑制されている。
【0060】
ベース部211において縮径部215よりもベースプレート204寄りとなる部位(以下便宜上、後側ベース部212と称する)の外周部には発射槌230が設けられている。発射槌230は、後側ベース部212から発射レール202側に延びるアーム231を有している。アーム231の先端部分は、発射レール202の延長上、詳しくは発射待機位置WPの直下流に位置しており、その先端部分には発射レール202と同一方向に延びる突起232が形成されている。突起232の先端は、球ストッパ205と発射レール202との隙間を通じて上記発射待機位置WPに到っている。更に、突起232にはコイルバネ233が挿通されており、同コイルバネ233の先端部分が突起232の先端から突出している。つまり、発射待機位置WPに待機している遊技球に対して突起232が当接するのではなく、コイルバネ233が当接するように構成されており、遊技球発射時の衝撃の低減が図られている。
【0061】
ベースプレート204には、発射部材201が搭載されている側と同一側に起立し、発射槌230(詳しくはアーム231)に対して発射レール202側(発射方向の先側)から当接する第1当接部251が形成されている。この第1当接部251に対して発射槌230が当接することにより、発射方向への回動が規制されている。発射部材201のベース部211には、発射部材201を発射方向に向けて付勢する付勢部材としてのコイルバネ239が取り付けられており、同コイルバネ239の付勢力によって発射槌230が第1当接部251に押し付けられた状態となっている。
【0062】
また、ベースプレート204には、発射槌230が上記付勢力に抗して発射方向とは反対側に回動し、その回動量が所定値に達した場合に、同発射槌230と当接する第2当接部252が形成されている。第2当接部252は、第1当接部251と同様に、ベースプレート204の前面から起立しているとともに、発射槌230の回動軌道上に配されている。発射槌230が第2当接部252に当接することによりそれ以上の回動が抑えられ、遊技球発射レバー41の押し下げが不可となる。つまり、遊技球発射レバー41の操作範囲(すなわち発射部材201の回動範囲)は、第1当接部251及び第2当接部252によって規定されている。なお、各当接部251,252は、ゴム製のカバー部材によって覆われており、発射槌230がそれら当接部251,252に衝突した際に発生する衝撃が低減されている。
【0063】
遊技球を発射する際には、遊技球発射レバー41を押し下げて発射部材201を回動させた後、同遊技球発射レバー41を離すことで、コイルバネ239の付勢力によって発射部材201が初期位置に復帰し、その初期位置への復帰過程にて発射槌230が発射待機位置WPに待機中の遊技球に当たることで同遊技球が発射される。この際、遊技球発射レバー41の押し下げ量によって遊技球の発射強度(飛距離)を調整することができる。
【0064】
仮に、遊技球発射レバー41の操作量が所定量(本実施の形態においては凡そ10°)に達していない場合には、発射部材201によって発射された遊技球は発射レール202から飛び出すことなく、同発射レール202に沿って逆戻りし、発射待機位置に復帰する。一方、同操作量が所定量に達している場合には、発射された遊技球は発射レール202から飛び出すこととなる。以下便宜上、このように遊技球が発射レール202から飛び出し可能となるような遊技球発射レバー41及び発射部材201の位置を発射準備位置と称する。
【0065】
(球送装置203)
ここで、本パチンコ機10においては、球送装置203による発射レール202への遊技球の供給に関して特徴的な構成を備えている。そこで以下、図9及び図11に基づきその特徴的な構成及びそれに関連する構成について説明する。図11は球送装置203と発射部材201との関係を示す概略図である。
【0066】
図9に示すように、球送装置203は、遊技球の出入口を有する略箱状のケース体261を有している。ケース体261は、合成樹脂からなる複数のケース構成部材が組み合わせられてなり、その内部には遊技球を発射待機位置WPへ供給する供給通路262が形成されている。ケース体261の入口部分261a、すなわち供給通路262への流入口は、前扉枠14側に開口しており、上記上皿33の出口部分に連なっている。
【0067】
供給通路262は、角形の筒状(管状)をなしており、通路幅寸法等が遊技球の直径寸法よりも若干大きく設定されている。このため、図11に示すように球送装置203内に遊技球が溜まった場合には、それら遊技球によって供給通路262に沿って延びる一条の遊技球列が形成されることとなる。言い換えれば、供給通路262は、当該供給通路262における同一箇所を複数の遊技球が同時に通過できないように、すなわち形成される遊技球の列が複数にならないように形成されている。なお、本実施の形態においては、供給通路262を角形の筒状(管状)としたが、円形の筒状(管状)とすることも可能である。
【0068】
ケース体261の出口部分261bは、発射レール202の上方に位置しており、同発射レール202側に開放されている。供給通路262は、同出口部分261bから上方に延びる第1通路部263を有しており、当該第1通路部263を通過した遊技球は上記発射待機位置WPへ向けて落下することとなる。
【0069】
また、供給通路262は、第1通路部263の上流側の端部に連なる第2通路部264を有している。第2通路部264は、第1通路部263から緩やかに上り傾斜しており、その通路長は、同第2通路部264に複数の遊技球が待機可能となるように設定されている。第2通路部264を形成している底板部271の途中位置には、下方に開口する開口部272が設けられている。
【0070】
開口部272には、発射部材201の動きに追従して動作する可動通路280が配されており、この可動通路280によって同開口部272からの遊技球の流出が阻止されている。
【0071】
可動通路280は、第2通路部264(詳しくは底板部271)の一部を形成する通路形成部281と、同通路形成部281から第2通路部264とは反対側、詳しくは前記発射部材201のベース部211側へ延びる長板状の取付部282とを有している。取付部282の途中位置には第2通路部264の通路方向と交差する方向(上下方向)に延びる複数の長孔283が形成されており、ベースプレート204にはそれら長孔283に対応するピン253が設けられている。これら長孔283に対してピン253が挿通されることで、可動通路280がベースプレート204に対してスライド移動可能な状態で取り付けられている。より詳しくは、通路形成部281が、開口部272を通じて供給通路262(第2通路部264)内に突出する突出位置と、突出しない非突出位置とに移動可能となっている。
【0072】
図11に示すように通路形成部281が非突出位置に位置している場合には、通路形成部281の上面281aは、開口部272よりも下位に位置している。この上面281aは、遊技球を載置可能となる大きさを有している。このため、開口部272に到達した遊技球は、同開口部272と通路形成部281(詳しくは上面281a)とによって形成された窪みに嵌まり、通路形成部281の上面281aに載った状態となる。
【0073】
通路形成部材571の上面572aは、第2通路部554(詳しくは底板部557)と同じ方向に傾斜している。このため、上面572aに載った遊技球は、下流側、すなわち第1通路部263側へ向けて付勢され、上記開口部272の下流側の縁部に当接した状態で待機することとなる。
【0074】
ここで、可動通路280と発射部材201とを連動させるリンク構造について説明する。可動通路280の取付部282には、同可動通路280と発射部材201とを繋ぐリンク部材290が連結されている。リンク部材290は、可動通路280と発射部材201のベース部211とに跨って延びる長板状をなしており、その中間部分にてベースプレート204により回動可能に軸支されている。
【0075】
リンク部材290において回動中心部分よりも可動通路280寄りとなる部分には長孔291が形成されており、取付部282に形成された突起284が同長孔291に挿通されている。また、リンク部材290において回動中心部分よりもベース部211寄りとなる部分にも長孔292が形成されており、ベース部211の後側ベース部212においてベースプレート204と対向している部分、詳しくは発射部材201の回動中心軸線よりも可動通路280寄りとなる部分に形成された突起232が同長孔292に挿通されている。
【0076】
これら長孔291,292は、リンク部材290の長手方向と同一方向に延びている。より詳しくは、可動通路280側の長孔291は可動通路280のスライド方向と交差する方向に延びており、発射部材201側の長孔292は突起232の移動経路と交差する方向に延びている。これにより、長孔291,292に沿った突起232,284の移動が許容されている。
【0077】
遊技球発射レバー41を初期位置から押し下げることで発射部材201が発射準備位置へ向けて(パチンコ機10の正面視において時計回りに)回動し、ベース部211の突起232が下方へ移動する。これにより、リンク部材290が回動してリンク部材290における可動通路280側の端部が上がる。そして、リンク部材290によって上方に押された可動通路280は、当該可動通路280等の重みに抗して上昇する。可動通路280の移動量は、遊技球発射レバー41の操作量に依存しており、少なくとも同遊技球発射レバー41を発射レール202からの遊技球の打ち出しが可能となる位置(すなわち上記発射準備位置)へ押し下げることで、通路形成部281の上面281aが底板部271よりも上位となる位置に達するように設定されている。
【0078】
なお、第2通路部264の天壁部273において通路形成部281と対向している部分は同通路形成部281とは反対側(上方)に拡がっており、同通路形成部281が遊技球を載せた状態で上昇した場合の同遊技球と天壁部273との干渉が抑制されている。また、供給通路262において第2通路部264よりも上流側となる通路部は同第2通路部264に対して折り返されている。つまり、供給通路262は、少なくとも開口部272よりも上流側にて蛇行している。このように供給通路262を蛇行させることにより、供給通路262内に貯留される遊技球群の球圧を抑え、可動通路280に伝播する球圧の低減を図っている。
【0079】
ここで、図11及び図12に基づき通路形成部281の上面281aと開口部272(底板部271)との位置関係について補足説明し、その後、遊技球の発射操作に伴う可動通路280の動作について説明する。図12は可動通路280の動作説明図である。
【0080】
図11に示すように、開口部272は、当該開口部272の下流側の端部が上流側の端部よりも上位となるように形成されている。つまり、底板部271において開口部272よりも下流側となる部分(以下便宜上、下流側底板部271aと称する)と、同開口部272よりも上流側となる部分(以下便宜上、上流側底板部271bと称する)とが、前者が上位となるように開口部272を挟んで段差状をなすように形成されている。既に説明したように通路形成部281の上面281aは底板部271と平行となるように形成されているが、上述の如く下流側底板部271aと上流側底板部271bとを段差状に形成することで、上流側底板部271bと同一平面上に通路形成部281の上面281aが位置した場合であっても、下流側底板部271aが当該上面281aよりも上位に位置することで、遊技球が一気に第1通路部263へ流入することを回避できる。
【0081】
また、通路形成部281の上面281aの下限位置は上面281aに載った遊技球の少なくとも一部が第2通路部264に突出した状態となるように設定されているとともに、同遊技球と天壁部273との最小隙が遊技球の直径寸法よりも小さくなるように設定されている。これにより、後続の遊技球が上面281a上に載っている遊技球を越えて第1通路部263へ流入することを好適に回避している。
【0082】
図12(a)に示すように、可動通路280が非突出位置に待機している状態では、通路形成部281の上面281aに載っている遊技球B1は下流側底板部271aの上流側端部に当接しており、第1通路部263側への移動が阻止されている。この際、遊技球B1の一部は遊技球の流下領域内に突出した状態となっており、同遊技球B1に対して後続する遊技球B2は、同遊技球B1に対して上流側から当接した状態で待機する。
【0083】
図12(a)に示す状態から遊技球発射レバー41が押し下げられると、発射部材201が発射方向とは反対側へ回動され、可動通路280が上昇する。図12(b)に示すように、通路形成部281の上面281aが上流側底板部271bの延長上に位置している状態では、遊技球B1が下流側底板部271aの上流側端部に引っ掛かった状態で維持され、同遊技球B1によって遊技球B2の流下が妨げられる。
【0084】
遊技球発射レバー41が更に押し下げられ上記発射準備位置に到達すると、可動通路280が更に上昇し、図12(c)に示すように、通路形成部281の上面281aが下流側底板部271aの延長上に位置することとなる。この状態では、遊技球B1は下流側底板部271aとの引っ掛かりが解除され、下流側底板部271a側への移動が許容される。そして、下流側底板部271aへ移動した遊技球B1は、第1通路部263を通じて発射待機位置WPへ到達し、遊技球の発射が可能となる。
【0085】
また、この際、通路形成部281は開口部272の上流側の端部よりも上位に位置することとなり、後続の遊技球B2が通路形成部281の側面281bに当接する。これにより、後続の遊技球B2は、通路形成部281よりも上流側に留まることとなる。
【0086】
なお、図12(c)には通路形成部281の上面281aの上限位置を1点鎖線で示している。同上面281aがこの上限位置に到達した場合であっても、遊技球B1はその上面281aに沿って移動し、第1通路部263へ流入する。また、後続の遊技球B2についても通路形成部281の側面281bに当接することで、第1通路部263側への移動が妨げられる。
【0087】
その後、遊技球発射レバー41が初期位置に復帰する際に、発射待機位置WPに待機していた遊技球B1が発射される。また、遊技球発射レバー41の初期位置への復帰に併せて可動通路280が降下し、通路形成部281の上面281aが非突出位置に移動する。すなわち、上面281aは開口部272の上流側端部よりも下位となる位置へ移動することで、同開口部272への遊技球の流入が許容される。これにより、上述の如く通路形成部281の側面281bに引っ掛かっていた遊技球B2が、自重等により下流側へ移動し当該上面281a上に載ることとなる。上面281aに載った遊技球は、下流側底板部271aに引っ掛かることで開口部272からの離脱が不可となる。これにより、次の遊技球の供給準備が完了する。
【0088】
また、本実施の形態においては、遊技球を発射したタイミングから予め定められた期間が経過するまで次の遊技球の発射を遅延させる遅延装置300を備えていることを特徴の1つとしている。以下、図9,図10及び図13に基づき遅延装置300について説明する。図13は発射部材201と遅延装置300との関係を示す概略図である。
【0089】
<遅延装置300>
図9に示すように、遅延装置300は、ベースプレート204の前面側、詳しくは発射部材201のベース部211と発射レール202との間に配置されており、メンテナンス等の容易化が図られている。遅延装置300は、発射部材201に連動する第1スライド部材310及び第2スライド部材330と、それら両スライド部材310,330を収容する略箱状の収容ケース350とを有しており、同収容ケース350がベースプレート204に対して固定されることで遅延装置300と遊技球発射機構110とがユニット化されている。
【0090】
第1スライド部材310及び第2スライド部材330は、発射部材201に対する連動の態様が相違しており、この連動態様の相違によって上述した発射遅延を実現している。そこで、それら第1スライド部材310及び第2スライド部材330に関する構成を個々に詳しく説明する。
【0091】
第1スライド部材310は、収容ケース350の底板部351上に載置された本体部311を有している。本体部311には、底板部351から上方に起立し隙間を隔てて相対向する一対の対向部312,313と、それら対向部312,313を繋ぐ繋ぎ部314とが形成されている。両対向部312,313は、発射部材201側へ延びる長板状をなしており、相対向していない側の板面には同対向部312,313の長手方向に延びる突条部315,316が形成されている。突条部315,316は収容ケース350の側板部352に形成された溝部353に嵌まっている。溝部353は、発射部材201に向けて延びており、これら突条部315,316及び溝部353,354によって第1スライド部材310のスライド方向が規定されている。
【0092】
両対向部312,313のうち後側の一方には、発射部材201側の端部から同発射部材201の後側ベース部212に向けて延びるアーム部321が形成されている。アーム部321の先端部は、収容ケース350の側板部352に形成された貫通孔355を通じて同収容ケース350の外部に突出している。アーム部321において収容ケース350から突出している部分には軸ピン322が取り付けられており、この軸ピン322が発射部材201の後側ベース部212に連結されている。
【0093】
具体的には、後側ベース部212の上部には放射方向(詳しくは上方)に延びる板状部235が一体成形されており、その板状部235には、第1スライド部材310のスライド方向と交差する方向(上下方向)に延びる長孔236が形成されている。この長孔236に対して第1スライド部材310の軸ピン322が挿通されている。これら軸ピン322及び長孔236によって、発射部材201の回動に追従した第1スライド部材310のスライド移動が実現される。
【0094】
本体部311(詳しくは対向部312,313)においてアーム部321とは反対側の端部には、発射部材201から遠ざかる側に向けて下り傾斜する傾斜部324が設けられている。傾斜部324は、本体部311の上面325に連なっているとともに、第1スライド部材310のスライド方向(詳しくは水平方向)に対して45°傾けて形成されている。
【0095】
この傾斜部324に上方から当接するようにして、上記第2スライド部材330が配されている。つまり第2スライド部材330は第1スライド部材310の傾斜部324に載った状態となっている。
【0096】
第2スライド部材330は、第1スライド部材310とは反対側に配設されたダンパ装置400を介して収容ケース350に取り付けられている。ダンパ装置400は、有底円筒状のケース体410と、同ケース体410に挿通されるピストン430とを有している。
【0097】
ピストン430は、ケース体410の中心軸線方向と同一方向に延びる軸部431を有している。軸部431においてケース体410の底部411側の端部には、ケース体410の内部空間を底部411側(奥側)と同ケース体410の開口部412側(入口側)とに二分する円柱状の仕切り部432が形成されている。仕切り部432の外径はケース体410の内径と同等となるように設定されているとともに、その中心軸線の軸線方向が上記第1スライド部材310のスライド方向と同一となるように形成されている。
【0098】
ケース体410の開口部412は、蓋体420によって覆われており、これにより開口部412を通じたピストン430の抜け落ちが回避されているとともに仕切り部432がケース体410内に封入された状態となっている。
【0099】
仕切り部432には、上述の如く二分された両空間に連なる貫通孔433が形成されており、ケース体410内の空気はこれら貫通孔433を通じて両空間を移動可能となっている。このため、ピストン430が往復動する際には、貫通孔433を通じて空気が移動し、ピストンの430(すなわち第2スライド部材330)の移動を妨げるような空気抵抗が発生することとなる。
【0100】
また、仕切り部432と蓋体420との間には、コイルバネ440が圧縮された状態で収容されている。このコイルバネ440によって、ピストン430は第1スライド部材310から遠ざかる側へ常時付勢された状態となっている。
【0101】
蓋体420には、軸部431に対応する挿通孔421が形成されており、この挿通孔421を通じて軸部431の一部、詳しくは仕切り部432とは反対側の端部がケース体410の外部に突出している。この突出している端部に、上記第2スライド部材330が上下に移動可能な状態で取り付けられている。
【0102】
詳しくは、軸部431の端部には、中心軸線の放射方向へ拡がる円板部435が形成されている。第2スライド部材330には、円板部435を収容する収容溝部331と、同収容溝部331に連通するとともに軸部431が挿通されるスリット332(図10参照)とが形成されている。収容溝部331及びスリット332は、中心軸線と交差する方向(詳しくは下方)に開放されており、これら開放部分を介して上記軸部431の組み付けが可能となっている。また、収容溝部331及びスリット332は上下に延びており、円板部435が収容溝部331に嵌まった状態のまま、第2スライド部材330が上下にスライド移動可能となっている。つまり、第2スライド部材330においては、第1スライド部材310と同一方向へスライド移動と、同スライド方向と直交する方向へのスライド移動が許容されている。
【0103】
第2スライド部材330は、第1スライド部材310の両対向部312,313に跨がる略直方体状をなしており、傾斜部324と当接している部分には、それら傾斜部324と平行な当接面335が形成されている。当接面335において両対向部312,313の間となる部位には、発射部材201の動力を伝達する伝達部材としてのワイヤ360(詳しくはワイヤ360の一端)が固定されている。
【0104】
ワイヤ360は、第1スライド部材310の両対向部312,313の隙間と、収容ケース350の底板部351に形成された開口部356とを通じて、収容ケース350の外部に突出しており、その他端が発射部材201の後側ベース部212の上部、詳しくは上記板状部235の根元部分に固定されている。
【0105】
第2スライド部材330と発射部材201との間には、ワイヤ360を上側から押さえる押え部としてガイドローラ361が配設されている。ガイドローラ361は、回動可能な状態でベースプレート204によって支持されているとともに、後側ベース部212と同一平面上に配置されている。これは、発射部材201が回動した場合にワイヤ360を後側ベース部212の外周面に沿って巻くための工夫である。
【0106】
また、ガイドローラ361は、当接面335におけるワイヤ360の取付部分と同ガイドローラ361とを結ぶ仮想直線が、当接面335と略垂直となるように配置されている。これにより、ワイヤ360によって第2スライド部材330が引っ張られた場合に、同第2スライド部材330が上記傾斜部324に沿って上昇することを抑制している。
【0107】
遊技球発射レバー41が押し下げれらた場合には、発射部材201が時計回りに回動する。これにより、後側ベース部212の板状部235が右側に移動し、これに追従して第1スライド部材310が発射部材201側へスライド移動する。また、第2スライド部材330もワイヤ360に引っ張られて第1スライド部材310に追従して発射部材201側へスライド移動する。この際、ワイヤ360は弛みが抑えられた状態で第2スライド部材330を引っ張るため、第2スライド部材330の移動の遅れが抑制され、傾斜部324と当接面335との当接状態が維持されたままとなる。つまり、第2スライド部材330の上方への移動は回避される。
【0108】
一方、遊技球発射レバー41が初期位置に復帰する場合には、コイルバネ239の付勢力によって発射部材201が回動すると、それに追従して板状部235が元の位置に復帰するこれに追従して第1スライド部材310が元の位置へスライド移動する。これに対して、第2スライド部材330はワイヤ360を介して発射部材201と繋がっており、同ワイヤ360はガイドローラ361によって下方へ押えられているだけであるため、発射部材201におけるワイヤ360の固定部分が元の位置に復帰しても、ワイヤ360が弛んで第2スライド部材330をスライド移動させることが困難となる。
【0109】
第2スライド部材330は、上記コイルバネ239の付勢力ではなく、ダンパ装置400に内蔵されたコイルバネ440の付勢力によって徐々に元の位置へ向けて移動する。このように、第1スライド部材310の連動態様と第2スライド部材330の連動態様とが相違することで、第2スライド部材330の復帰が遅れるため、同第2スライド部材330に以下の動きが生じる。
【0110】
すなわち、第1スライド部材310によって第2スライド部材330が押され、同第2スライド部材330は第1スライド部材310の傾斜部324に沿って上方へ持ち上げられることとなる。このように第2スライド部材330が上方に持ち上げられたまま、第1スライド部材310は元の位置へとスライドを続け、第2スライド部材330は、第1スライド部材310の上面325上に載ることとなる。
【0111】
<ロックレバー450>
本実施の形態に示す遅延装置300は、第2スライド部材330が第1スライド部材310の上面325に載っている場合に発射部材201の発射方向への回動を不可とするロックレバー450を備えている。ここで、ロックレバー450について詳しく説明する。
【0112】
ロックレバー450は、遅延装置300と発射部材201とに跨って延びる長板状をなしており、その一端が収容ケース350内に収容されているとともに他端が同収容ケース350の貫通孔355を介して発射部材201側に突出している。ロックレバー450において収容ケース350内に収容されている部分は、第1スライド部材310の上面325と隙間を隔てて対向しており、その上面325に第2スライド部材330が載った場合に、同第2スライド部材330によって上方に押される操作部451を構成している。一方、ロックレバー450において収容ケース350外に突出している部分には、ベース部211(詳しくは縮径部215)に隙間を隔てて上方から対向しており、同縮径部215の外周部に形成された歯部241に対して係合可能な係合爪部455が形成されている。
【0113】
ロックレバー450は、これら操作部451と係合爪部455との中間位置にて収容ケース350により回動可能に軸支されている。つまり、操作部451が第1スライド部材310に近づくことで係合爪部455が歯部241から遠ざかり、同操作部451が第1スライド部材310から遠ざかることで係合爪部455が歯部241に近づく構成となっている。
【0114】
また、ロックレバー450の軸部459には付勢手段としてのコイルバネ460が取り付けられており、このコイルバネ460によって同ロックレバー450は係合爪部455が歯部241から遠ざかる側に付勢されている。なお、ロックレバー450用の付勢手段として板バネ等を採用することも可能である。また、ロックレバー450の自重によって係合爪部455が歯部241から遠ざかる側に付勢される構成とすることも可能である。
【0115】
図13の部分拡大図に示すように、歯部241は、縮径部215の外周面から突出しており、縮径部215の周方向に複数配設されている。各歯部241は、外周面から略垂直に起立する起立面242と同起立面242よりも発射方向における先側に形成され外周面に向けて緩やかに傾斜する傾斜面245とによって構成されている。このように歯部241が起立面242と傾斜面245とを有する構成を採用することで、ロック状態に切り替った場合に、発射部材201の発射方向への回動を許容しつつ、発射方向とは反対側への回動を不可としている。
【0116】
具体的には、ロック状態に切り替った場合には、ロックレバー450の係合爪部455が歯部241に当接する位置へ移動する。この際、発射部材201が発射方向へ回動すると、歯部241の傾斜面245上を係合爪部455が摺動することにより、それら歯部241と係合爪部455との係合が回避される。つまり、発射部材201の初期位置への復帰が妨げられることはない。特に、ロックレバー450は長板状をなしており、軸部459を基端として撓み変形可能となっている。このため、歯部241の傾斜面245と係合爪部455とが干渉したとしてもロックレバー450が撓むことで係合爪部455が歯部241から離れる側に逃げることとなる。これにより、両者の噛み込みが好適に回避される。
【0117】
一方、発射部材201の発射方向とは反対側(すなわち発射準備位置側)への回動は、係合爪部455と起立面242とが係合することで不可となる。つまり、ロック状態が解除されるまで(ロック解除状態に移行されるまで)次の発射動作が回避されることとなる。なお、この場合、発射部材201に対して発射準備位置側に向けての外力が加わると、ロックレバー450には伸縮方向への負荷が生じることとなる。しかしながら、このような負荷はロックレバー450を撓ませるように作用することはなく、両者の係合状態は好適に維持される。
【0118】
ここで、図14及び図15に基づき、遊技球を発射する際の遊技球発射機構110の動作について説明する。図14及び図15は遊技球発射の様子を示す概略図であり、遊技球を発射する際には、遊技球発射機構110が図14(a)→図14(b)→図14(c)→図15(d)→図15(e)→図15(f)の順に動作する。
【0119】
図14(a)に示すように、上皿33を通じて球送装置203に流入した遊技球は、開口部272に嵌まった遊技球を先頭として供給通路262内に列を形成した状態で待機している。この状態から、遊技球発射レバー41に指Fを引っ掛ける等して同遊技球発射レバー41を押し下げると、同遊技球発射レバー41に連動して発射部材201が発射方向とは反対側(パチンコ機10の正面視にて時計回り方向)へ回動する。これにより、第1スライド部材310がコイルバネ239の付勢力に抗して発射部材201側に引き寄せられるとともに、第2スライド部材330が同コイルバネ239及びコイルバネ440の付勢力に抗して発射部材201側へ引き寄せられる。
【0120】
図14(b)に示すように、遊技球発射レバー41を発射準備位置まで押し下げると、球送装置203から1の遊技球が供給される。この遊技球が発射待機位置WPに到達することで、遊技球の発射が可能となる遊技球発射レバー41が発射準備位置にて保持されている状態では、第1スライド部材310は発射部材201の板状部235によって発射部材201側に引き寄せられた位置で停留し、第2スライド部材330についても同様にワイヤ360によって発射部材201側に引き寄せられた位置で停留する。この状態では、第1スライド部材310の傾斜部324に対して、第2スライド部材330の当接面335が当接したままとなり、第2スライド部材330の上方への移動は抑えられている。
【0121】
その後、図14(c)に示すように、遊技球発射レバー41から指Fを離すと、コイルバネ239の付勢力により同遊技球発射レバー41及び発射部材201が発射方向(パチンコ機10の正面視にて反時計回り方向)へ回動する。この際、第1スライド部材310は、発射部材201の動きに追従するものの、第2スライド部材330においてはワイヤ360が弛むことで、動きが遅れることとなる。より詳しくは、第2スライド部材330は、上記コイルバネ239の付勢力によって初期位置に移動するのではなく、ダンパ装置400のコイルバネ440の付勢力によって復帰する。この際、復帰に対してダンパ装置400の空気抵抗が生じるため、第2スライド部材330の復帰は、第1スライド部材310の復帰に対して遅れることとなる。
【0122】
このため、第2スライド部材330は、第1スライド部材310によって押され、傾斜部324に沿って上方に持ち上げられることとなる。そして、第1スライド部材310の上面に載った状態となることで、ロックレバー450の操作部451が上方に押される。これにより、ロックレバー450(すなわち遊技球発射レバー41)がロック解除状態からロック状態に切り替わる。
【0123】
なお、ロックレバー450がロック状態に切り替った場合であっても、発射部材201の発射方向への回動が妨げられることはない。
【0124】
発射部材201が初期位置に復帰すると、発射槌230によって発射待機位置WPに待機中の遊技球が発射レール202に沿って発射される。このように、遊技球が発射されたタイミングでは、図15(d)に示すように、第1スライド部材310は初期位置への復帰が完了するが、第2スライド部材330については、依然として第1スライド部材310の上面325に載った状態となっており、ダンパ装置400によって初期位置への復帰が継続される。
【0125】
このように、第2スライド部材330が第1スライド部材310の上面325に載っている状態では、ロックレバー450がロック状態のまま維持されるため、続けて遊技球発射レバー41を押し下げようとしても同操作が阻止されることとなる。なお、遊技球の発射に伴って可動通と280が降下することにより、次の遊技球の供給準備が完了する。
【0126】
図15(e)に示すように、第2スライド部材330が第1スライド部材310の傾斜部324に到達すると、同第2スライド部材330は同傾斜部324に沿って降下する。この際、ワイヤ360が緊張した状態となり、図14(f)に示すように、傾斜部324の途中位置にて第2スライド部材330の降下が停止する。すなわち、初期位置へ復帰する。これにより、ロックレバー450の操作部451から第2スライド部材330が離間し、同ロックレバー450は、上記板バネの付勢力によってロック解除状態に切り替ることとなる。これにより、遊技球発射レバー41の押し下げ操作が許容され、次の遊技球の発射が可能となる。
【0127】
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図15のブロック図に基づいて説明する。図15では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
【0128】
主制御装置133に設けられた主制御基板501には、主制御回路502と停電監視回路503とが内蔵されている。主制御回路502には、MPU511が搭載されている。MPU511には、当該MPU511により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM512と、そのROM512内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM513と、割込回路やタイマ回路、データ入出力回路などの各種回路が内蔵されている。
【0129】
RAM513は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置193に設けられた電源基板521からデータ記憶保持用電力が供給されてデータが保持される構成となっている。
【0130】
MPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。主制御回路502の入力側には、主制御基板501に設けられた停電監視回路503、払出制御装置192に設けられた払出制御基板522及びその他図示しないスイッチ群などが接続されている。この場合に、停電監視回路503には電源基板521が接続されており、主制御回路502には停電監視回路503を介して電力が供給される。
【0131】
一方、主制御回路502の出力側には、停電監視回路503、払出制御基板522及び中継端子板523が接続されている。払出制御基板522には、賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。中継端子板523を介して主制御回路502から音声ランプ制御装置143に設けられた音声ランプ制御基板524に対して各種コマンドなどが出力される。
【0132】
停電監視回路503は、主制御回路502と電源基板521とを中継し、また電源基板521から出力される最大電源である直流安定24ボルトの電源を監視する。
【0133】
払出制御基板522は、払出装置184により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU531は、そのMPU531により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM532と、ワークメモリ等として使用されるRAM533とを備えている。
【0134】
払出制御基板522のRAM533は、主制御回路502のRAM513と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源基板521からデータ記憶保持用電力が供給されてデータが保持される構成となっている。
【0135】
払出制御基板522のMPU531には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。払出制御基板522の入力側には、主制御回路502、電源基板521、及び裏パック基板187が接続されている。また、払出制御基板522の出力側には、主制御回路502及び裏パック基板187が接続されている。
【0136】
電源基板521は、二重線矢印で示す経路を通じて、主制御回路502や払出制御基板522等に対して各々に必要な動作電力を供給する。
【0137】
音声ランプ制御基板524は、各種ランプ部23〜25及びスピーカ部26を制御するものである。演算装置であるMPU541は、そのMPU541により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM542と、ワークメモリ等として使用されるRAM543とを備えている。
【0138】
音声ランプ制御基板524のMPU541にはアドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。音声ランプ制御基板524の入力側には中継端子板523に中継されて主制御回路502が接続されており、主制御回路502から出力される各種コマンドに基づいて、各種ランプ部23〜25及びスピーカ部26を制御する。
【0139】
以上詳述した本実施の形態によれば以下の優れた効果を奏する。
【0140】
遊技球を発射する際には、遊技球発射レバー41を指等で押し下げることにより、遊技球が供給される。その後、遊技球発射レバー41から指を離すことによりコイルバネ239の付勢力によって発射部材201が回動し、遊技球が遊技領域PE(詳しくは誘導レール100)に向けて発射される。このようないわゆる手打ち式のパチンコ機10においては、遊技球の発射間隔が遊技者の意思や技量等に依存することで、例えば遊技球の発射間隔を短縮して単位時間に取得可能な遊技球の数を増やすといった試みがなされると想定される。仮にこのような発射間隔の短縮による獲得遊技球数の増加が許容されると、遊技者の射幸心を過度に煽ることとなり、健全な遊技ホールの運営に支障を来たすと懸念される。この点、本実施の形態によれば、遅延装置300によって遊技球発射レバー41の操作を一時的に不可とすることにより単位時間あたりの遊技球の発射数が予め定められた数よりも少なくなるように規制される。これにより、上記不都合を払拭し、遊技の健全性を高めることができる。
【0141】
特に、遊技球発射レバー41のロックが解除されることで、遊技球の発射が許容されるため、遊技者は遊技球が発射可能となるタイミングを容易に把握することができる。これにより、遊技球の発射を規制する構成を採用しつつ、それに起因して遊技球の発射操作が難しくなることを好適に抑制できる。
【0142】
遊技球発射レバー41を初期位置にてロックすることにより、同遊技球発射レバー41を発射準備位置にてロックする場合と比較して、以下の効果が期待できる。すなわち、遊技球発射レバー41を準備位置に押し下げた後は、同遊技球発射レバー41から指を離すことで、任意のタイミングで遊技球を発射することができる。また、遊技球発射レバー41のロック状態が解除された場合に、同遊技球発射レバー41が突如動き出すことを回避できる。これにより遊技球発射レバー41が指等に衝突することを好適に抑制できる。
【0143】
遊技球発射レバー41が操作された際に発生する動力を利用して遅延装置300を駆動させる構成とした。すなわち、遊技球の発射数規制を行うにあたり電気的構成を追加する必要がない。これにより、制御負荷の増加を好適に回避できる。また、球送装置203についても同様に、遊技球発射レバー41が操作された際に発生する動力を利用して、遊技球の供給が実行される。これにより、遊技球の供給を行うための電気的構成の追加を不要とし、制御負荷の増加を一層好適に回避できる。
【0144】
遅延装置300の第2スライド部材330はダンパ装置400に接続されており、このダンパ装置400によって第2スライド部材330の移動に対する抗力を発生させる構成とした。例えば、遊技球発射レバー41を初期位置に向けて付勢するコイルバネ239の付勢力よりも第2スライド部材330を付勢するコイルバネ440の付勢力を弱く設定することも可能であるが、この場合、第2スライド部材330が移動する際の安定性が低下すると想定される。この点、ダンパ装置400のケース体410及びピストン430によって第2スライド部材330の移動を抑える構成とすれば、上記コイルバネ440を強めに設定し、第2スライド部材330がスライド移動する際の安定性を向上できる。
【0145】
第2スライド部材330は、ワイヤ360を介して発射部材201に繋がってり、遊技球発射レバー41が発射準備位置へ押し下げられた場合には、この操作力によって移動し、遊技球が発射される際には、このワイヤ360が弛むことによりコイルバネ239の付勢力が同第2スライド部材330に伝わることなく上記コイルバネ440の付勢力によって初期位置に復帰する構成とした。このように第2スライド部材330に操作力を伝達する「伝達手段」としてワイヤ360を採用することにより、第2スライド部材330の初期位置への復帰を好適に遅らせることが可能となっている。
【0146】
遊技球の発射規制に関する構成を遅延装置300に集めてユニット化している。これにより、遅延装置300のメンテナンス性の向上に貢献できる。
【0147】
また遊技球発射レバー41の初期位置→発射準備位置→初期位置の切り替えによって1の遊技球が発射待機位置WPへ供給される。このように遊技球発射レバー41に連動して球送装置203が遊技球の供給を行う構成においては、遊技球発射レバー41が連続操作されて想定以上の遊技球が供給されると、遊技球の発射が困難になるといった不都合を生じ得る。この点、本実施の形態においては、遊技球発射レバー41の操作が所定期間中は不可となるため、これに併せて球送装置203の動作も規制されることとなる。つまり、遊技球発射レバー41に連動して遊技球を供給する構成を採用しつつ、想定以上の遊技球が供給されて遊技球の発射が困難になるといった不都合を生じにくくすることができる。
【0148】
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
【0149】
(1)上記実施の形態では、遊技球発射レバー41を初期位置にて操作不能にロックする構成としたが、これを変更し、同遊技球発射レバー41を発射準備位置にて操作不能にロックする構成としてもよい。
【0150】
但し、このような変更を行った場合、ロック解除時にコイルバネ239の付勢力によって遊技者の意図とは関係なく遊技球発射レバー41が動き出すと想定される。このように遊技球発射レバー41が突如として動き出すことは、同遊技球発射レバー41が指等に衝突する要因となり得るため好ましくない。故に、望ましくは上記実施の形態に示したように遊技球発射レバー41を初期位置にてロックするとよい。
【0151】
(2)上記実施の形態では、遊技球発射レバー41が初期位置へ復帰する過程にて発射準備位置への移動を不可とする構成としたが、これを変更し、初期位置へ復帰した場合に発射準備位置への移動を不可とすることも可能である。
【0152】
(3)上記実施の形態では、「操作部」としての遊技球発射レバー41及び発射部材201と第1スライド部材310とを共にコイルバネ239を用いて付勢したが、これに限定されるものではない。第1スライド部材310用の付勢部材を個別に設けてもよい。
【0153】
更には、第1スライド部材310は必須の構成ではなく、これを省略し同第1スライド部材310に相当する構成を発射部材201のベース部211に形成することも可能である。但し、このような変更を行った場合、併せて以下の変更を行うことが好ましい。すなわち、「可動部」としての第2スライド部材330を、ベース部211の外周に沿って回動可能とし、更には、回動可能な第2スライド部材330に対応するダンパ装置を採用するとよい。
【0154】
(4)上記実施の形態では、第2スライド部材330が自重によって第1スライド部材310の傾斜部324を下る構成としたが、第2スライド部材330を下方に付勢する付勢部材(例えば板バネ等)を設けてもよい。
【0155】
(5)上記実施の形態では、「抗力発生手段」としてのダンパ装置400が空気抵抗により「抗力」を発生する構成としたが、これに限定されるものではない。例えばダンパ装置400に代えて摩擦力発生装置を採用しその摩擦抵抗により上記抵抗を発生する構成としてもよい。また、磁力発生装置を採用しその磁力により上記抵抗を発生する構成としてもよい。
【0156】
なお、コイルバネ440は必ずしもケース体410に内蔵する必要はなく、ケース体410の外部に配設してもよい。更には、ダンパ装置400とは別個独立して配設することも可能である。
【0157】
(6)上記実施の形態では、第2スライド部材330と発射部材201とを「伝達手段」としてのワイヤ360によって繋いだが、ワイヤ360に代えてゴムやリンク部材を採用してもよい。但し、リンク部材を採用する場合には、遊技球発射レバー41が発射準備位置へ押し下げられる際には緊張状態となって第2スライド部材330を牽引可能となる一方で、同遊技球発射レバー41が初期位置へ復帰する際には撓む等して第2スライド部材330を押さないように構成することが望ましい。
【0158】
(7)上記実施の形態では、「操作部」としての遊技球発射レバー41に加わる動力を利用してロックレバー450を動作させる構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、ロックレバー450を動作させる動力発生装置(例えばソレノイド)及び、同動力発生装置を制御する制御装置等を設け、ロックレバー450を電力を利用して動作させる構成とすることも可能である。
【0159】
(8)上記実施の形態では、球送装置203が遊技球発射レバー41の操作に連動して遊技球の供給を行う構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、発射待機位置WPに待機している遊技球を検知可能な検知センサや、その検知センサからの検知上方に基づいて可動通路280を駆動する駆動装置(ソレノイド等)を採用し、遊技球の供給を電気的に制御する構成としてもよい。
【0160】
(9)上記実施の形態では、「遅延機構」としての遅延装置300を発射部材201と発射レール202との間に配置したが、遅延装置300の配置は任意であり、例えば発射レール202の下方に配置することも可能である。
【0161】
(10)上記実施の形態では、「操作部」としての遊技球発射レバー41を回動式としたが、これに限定されるものではない。例えば、「操作部」をスライド式とすることも可能である。
【0162】
(11)上記実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると制御装置により抽選がなされその結果大当たりに当選した場合に電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置に設けられた複数の領域のうち予め定められた特定の領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
【0163】
<上記実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0164】
特徴1.操作部(遊技球発射レバー41)を有し、その操作部が初期状態から発射準備状態となるように操作された後に付勢力によって前記初期状態に復帰する場合に遊技球を発射する発射機構(遊技球発射機構110)と、
前記操作部を操作不能にロックするロック状態及びロック解除状態に切替可能なロック機構(遅延装置300)と、
前記ロック機構が前記ロック状態である場合に、予め定められた特定期間が経過するまで前記ロック解除状態への切り替えを遅らせる遅延機構(遅延装置300)と
を備え、
前記遅延機構によって前記ロック機構の前記ロック状態から前記ロック解除状態への切り替えを遅らせることにより、単位時間あたりの遊技球の発射数が予め定められた数よりも少なくなるように規制することを特徴とする遊技機。
【0165】
特徴1によれば、発射待機状態に切り替えられた操作部が付勢力によって初期状態に復帰することにより、発射機構から遊技球が発射される。このように操作部の切替操作によって遊技球を発射する構成においては、遊技球の発射間隔が遊技者の意思や技量等に依存し得るため、例えば遊技球の発射間隔を短縮して単位時間に取得可能な遊技球の数を増やすといった試みがなされると想定される。仮にこのような発射間隔の短縮による獲得遊技球数の増加が許容されると、遊技者の射幸心を過度に煽ることとなり、健全な遊技ホールの運営に支障を来たすと懸念される。この点、本特徴においては、ロック機構によって操作部を操作不能にロックするとともに、遅延機構によって特定期間が経過するまでロック解除状態への切り替えを遅らせることで、発射間隔が過度に短縮されることを抑制できる。これにより、上記不都合を払拭し、遊技の健全性を高めることができる。
【0166】
特徴2.前記操作部が前記発射準備状態となるように操作された場合にその発射操作に基づいて同操作部に加わる動力、及び前記操作部が前記付勢力によって前記初期状態に復帰する場合に同操作部に加わる動力を前記ロック機構に伝達する伝達手段(例えば発射部材201の板状部235やワイヤ360)を備え、
前記ロック機構は、前記動力を利用して前記ロック状態と前記ロック解除状態とに切り替るように構成されていることを特徴とする特徴1に記載の遊技機。
【0167】
特徴2によれば、操作部に加わる動力を利用してロック機構の切り替えを行うことにより、電気的構成を省略できる。これにより遊技機における電気的構成の簡略化を促進することができる。
【0168】
特徴3.前記ロック機構は、前記ロック状態である場合に、前記操作部の前記初期状態から前記発射準備状態への切り替りを不可とするように構成されていることを特徴とする特徴1又は特徴2に記載の遊技機。
【0169】
特徴3によれば、例えば操作部を指等によって発射準備状態に切り替えた後は、指等を操作部から離すことにより任意のタイミングで遊技球を発射させることができる。これにより、操作部を操作不能にロックする構成を採用しつつ、それに伴う操作自由度の低下を好適に抑制できる。
【0170】
また、特徴1等に示した構成を実現する場合、例えば発射準備位置にて操作部をロックすることも可能である。しかしながらこの場合、ロック解除時に上記付勢力によって遊技者の意図とは関係なく操作部が動き出すと想定される。このように、操作部が突如として動き出す場合、同操作部が指等に衝突する要因となり得るため好ましくない。
【0171】
この点、本特徴に示すように初期状態にて操作部をロックすれば、発射準備状態に切り替え後、操作部から指等を離すことにより任意のタイミングで同操作部を初期状態に復帰させることができる。このため、動き出した操作部の復帰タイミングを明確にすることができ、上記不都合の発生を好適に抑えることができる。
【0172】
特徴4.前記ロック機構は、前記操作部が前記発射準備状態から前記初期状態に復帰する場合に前記ロック状態に切り替わるとともに、前記操作部の前記初期状態への復帰タイミングから前記特定期間が経過するまで前記ロック状態に維持されることを特徴とする特徴1乃至特徴3のいずれか1つに記載の遊技機。
【0173】
特徴1に示したように単位時間あたりの遊技球の発射数が予め定められた数よりも少なくなるように規制するには、本特徴に示すように操作部の初期状態への復帰タイミングから予め定められた特定期間が経過するまでロック機構をロック状態で維持するとよい。これにより、遊技球の発射間隔が過度に短縮されることを好適に抑制できる。
【0174】
特徴5.前記ロック機構は、前記操作部の前記発射準備状態への移行を阻止する阻止位置及び前記移行を可能とする阻止解除位置に移動可能に設けられた阻止部材(ロックレバー450)と、
前記阻止部材を前記阻止解除位置へ付勢する付勢手段(コイルバネ460)と
を有し、
前記阻止部材は、前記操作部が前記初期状態に復帰する場合に前記阻止解除位置から前記阻止位置へ前記付勢手段の付勢力に抗して移動し、その後、同付勢手段の付勢力により前記阻止解除位置へ復帰するように構成されており、
前記遅延機構は、前記阻止部材を前記付勢手段の付勢力に抗して前記阻止位置に保持することにより同阻止部材の前記阻止解除位置への復帰を前記操作部の前記初期状態への復帰タイミングから前記特定期間が経過するまで遅らせるように構成されていることを特徴とする特徴1乃至特徴3のいずれか1つに記載の遊技機。
【0175】
特徴5によれば、操作部が初期状態に復帰する場合に阻止部材が阻止位置に移動し、発射準備状態への切り替えが不可となる。阻止位置に移動した阻止部材は付勢手段の付勢力によって阻止解除位置に復帰しようとするが、この復帰が遅延機構によって妨げられることとなる。そして、操作部の初期状態への復帰タイミングから予め定められた特定期間が経過した後に阻止部材が阻止解除位置へ移動することにより次の遊技球の発射が許容される。すなわち、阻止部材の阻止解除位置への復帰が遅延されている間は次の遊技球の発射が不可となる。故に、特徴1等に示した健全性向上効果を好適に享受することができる。
【0176】
特徴6.前記付勢手段は第1付勢手段であり、
前記遅延機構は、
前記操作部が前記初期状態から前記発射準備状態に切り替えられる場合に、同操作部に連動して第1位置から第2位置へ移動する可動部(第2スライド部材330)と、
前記可動部を前記第1位置へ向けて付勢する第2付勢手段(ダンパ装置400のコイルバネ239)と
を有し、
前記可動部は、前記操作部が前記発射準備状態から前記初期状態に復帰する場合に、前記第2付勢手段の付勢力によって前記第1位置に復帰するとともに、前記操作部の復帰に対して遅れるように構成されており、
前記ロック機構は、前記可動部が前記第1位置にある場合には前記ロック解除状態となり、前記可動部が前記第2位置から前記第1位置に復帰するまでの間は前記ロック状態に維持されることを特徴とする特徴5に記載の遊技機。
【0177】
特徴6によれば、操作部が初期状態から発射準備状態に切り替られると、同操作部に連動して可動部が第2付勢手段の付勢力に抗して第2位置へ移動する。その後、操作部が初期状態に復帰する場合には、第2付勢手段の付勢力によって可動部も第1位置へ復帰する。この際、操作部の復帰に対して可動部の復帰が遅れることとなり、同可動部が遅れている間は阻止部材が阻止位置に待機することでロック機構がロック状態に維持されることとなる。これにより、特徴5に示した構成を好適に実現できる。
【0178】
特徴7.前記遅延機構は、前記可動部の移動に抗する抗力を発生する抗力発生部(ダンパ装置400のケース体410及びピストン430)を有していることを特徴とする特徴6に記載の遊技機。
【0179】
特徴6に示したように可動部の復帰を操作部の復帰に対して遅らせる構成においては、例えば第2付勢手段の付勢力を、操作部に作用する付勢力よりも弱く設定することも可能である。しかしながら、このように付勢力の強弱によって遅延期間を設定する場合、第2付勢手段の付勢力を比較的弱く設定する必要が生じ、可動部の復帰動作を安定させることが難しくなると想定される。この点、本特徴に示すように抗力発生部を採用すれば、付勢力を過度に弱める必要がなくなり、可動部の動作を好適に安定させることができ、実用上好ましい構成を実現できる。
【0180】
特徴8.前記可動部は、
前記第1位置及び前記第2位置間の移動方向とは異なる方向にも移動可能に設けられているとともに、
その異なる方向に移動することにより、前記阻止部材を前記阻止位置へ向けて押圧する押圧位置又は非押圧位置に配置され、
さらに、前記非押圧位置側に付勢されており、
前記遅延機構は、
前記操作部が前記発射準備状態から前記初期状態に復帰する場合に、前記可動部を前記押圧位置へ案内する案内部(第1スライド部材310の傾斜部324)と、
前記案内部によって前記押圧位置へ案内された前記可動部が前記第2位置に位置している場合に、同可動部の前記非押圧位置への移動を規制する規制部(第1スライド部材310の上面325)と
を有し、
前記可動部は、前記第2付勢手段の付勢力によって前記第1位置へ復帰することにより前記規制部による規制が解除され、前記非押圧位置に復帰することを特徴とする特徴6又は特徴7に記載の遊技機。
【0181】
特徴8によれば、特徴6等に示した構成を好適に実現できる。具体的には、操作部が初期状態へ復帰する場合、可動部は案内部によって押圧位置へ案内される。その後、同可動部は規制部によって非押圧位置への移動が規制され、押圧位置に留まることとなる。そして第2付勢手段の付勢力によって第1位置へ復帰することにより規制部による規制が解除され、非押圧位置へ向けての付勢力により同非押圧位置へ移動する。これにより、阻止部材が第1付勢手段の付勢力によって阻止解除位置に復帰し、操作部の操作が可能となる。これにより、特徴6等に示したように可動部の第1位置への復帰が遅延されている間は操作部の操作を不可とし、可動部の第1位置への復帰が完了することで操作部の操作を許容することができ、遅延に関する構成を好適に実現することができる。
【0182】
なお、特徴2との組み合わせ(伝達手段を有する構成)においては特に、可動部と操作部又は操作部に連結されている連結部材とを、撓み変形可能に形成された伝達部材(例えばワイヤ)を介して繋ぐとよい。操作部が発射準備状態となるように操作された際には、伝達部材が緊張することにより操作力を可動部へと伝達し同操作力によって可動部を第1位置から第2位置へ移動させることができる。また、操作部が初期状態に復帰する際には伝達部材が弛むことにより操作部に生じる動力が可動部に伝わらないようにすることで可動部を第2付勢手段の付勢力によって第1位置へ移動させることができる。
【0183】
特徴9.前記発射機構は、
遊技球を予め定められた発射待機位置に保持する保持部(発射レール202)と、
前記操作部の発射動作に連動して1の遊技球を前記発射待機位置に供給する供給機構(球送装置203)と
を有していることを特徴とする特徴1乃至特徴8のいずれか1つに記載の遊技機。
【0184】
特徴9によれば、操作部の発射動作に連動して1の遊技球が発射待機位置へ供給される。本特徴に示す構成を特徴1等(操作部がロックされる構成)に適用することにより、操作部の切り替えが不可となっている場合には次の遊技球の供給を規制することができる。つまり、操作部に連動して遊技球を供給する構成を採用しつつ、想定以上の遊技球が供給されて遊技球の発射が困難になるといった不都合を生じにくくすることができる。
【0185】
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
【0186】
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射レバー41)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(誘導レール100)と、遊技領域内に配置された各遊技部品(釘89等)とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部(一般入賞口81等)を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
【符号の説明】
【0187】
10…遊技機としてのパチンコ機、41…操作部としての遊技球発射レバー、110…発射機構としての遊技球発射機構、201…発射部材、202…保持部としての発射レール、203…供給機構としての球送装置、205…球ストッパ、239…コイルバネ、300…遅延機構としての遅延装置、310…第1スライド部材、324…案内部としての傾斜部、325…保持部としての上面、330…可動部としての第2スライド部材、400…ダンパ装置、410…抗力発生部を構成するケース体、430…抗力発生部を構成するピストン、440…第2付勢手段としてのコイルバネ、450…阻止部材としてのロックレバー、460…第1付勢手段としてのコイルバネ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機には、遊技領域が形成された遊技盤を枠体に搭載してなる遊技機主部を備えているものがある。遊技機主部には、遊技球発射に際して操作される操作部と、同操作部による発射操作に基づいて遊技球を発射する発射機構とが設けられている。操作部は、初期位置と発射待機位置とに移動可能に設けられているとともに、同初期位置に向けて付勢されている。例えば操作部を指で引っ掛ける等して発射待機位置に移動させた後に同操作部を離すことで、同操作部が初期位置へと移動する。この操作部の動きに連動して発射機構が動作することにより遊技球が遊技領域へ発射される。遊技領域には、入賞口及び入賞装置等の入賞に関する構成や、遊技領域に至った遊技球がそれら入賞口等に適度な確率で入賞するように遊技球の流下経路をばらつかせる釘等の各種構成が配設されている。入賞口等への入賞が発生した場合には予め設定された個数の遊技球が払い出される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3011197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したタイプの遊技機(いわゆる手打ち式の遊技機)においては、遊技ペースが遊技者の意思や技量等に依存することとなり、例えば遊技球の発射間隔を短くすることで単位時間に取得可能な遊技球の数を増やすといった試みがなされると想定される。仮にこのような発射間隔の短縮による獲得遊技球数の増加が許容されると、遊技者の射幸心を過度に煽ることとなり、健全な遊技ホールの運営に支障を来たすと懸念される。
【0005】
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、手打ち式の遊技機において遊技の健全性を高めることができる遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段について記載する。
【0007】
請求項1記載の発明は、操作部を有し、その操作部が初期状態から発射準備状態となるように操作された後に付勢力によって前記初期状態に復帰する場合に遊技球を発射する発射機構と、前記操作部を操作不能にロックするロック状態及びロック解除状態に切替可能なロック機構と、前記ロック機構が前記ロック状態である場合に、予め定められた特定期間が経過するまで前記ロック解除状態への切り替えを遅らせる遅延機構とを備え、前記遅延機構によって前記ロック機構の前記ロック状態から前記ロック解除状態への切り替えを遅らせることにより、単位時間あたりの遊技球の発射数が予め定められた数よりも少なくなるように規制することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
手打ち式の遊技機において遊技の健全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施の形態におけるパチンコ機を示す正面図である。
【図2】パチンコ機の主要な構成を展開して示す斜視図である。
【図3】パチンコ機の構成を示す背面図である。
【図4】前扉枠の構成を示す背面図である。
【図5】内枠の構成を示す正面図である。
【図6】遊技盤の構成を示す正面図である。
【図7】裏パックユニットの構成を示す正面図である。
【図8】裏パックユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図9】遊技球発射機構及びそれに付随する構成を示す図5の部分拡大図。
【図10】遊技球発射機構における主要な構成を示す斜視図である。
【図11】発射部材と球送装置との関係を示す概略図である。
【図12】可動通路の動作を示す概略図である。
【図13】発射部材と遅延装置との関係を示す概略図である。
【図14】遊技球発射機構の動作を示す概略図である。
【図15】遊技球発射機構の動作を示す概略図である。
【図16】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施のの形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図、図3はパチンコ機10の背面図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
【0011】
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に取り付けられた遊技機主部12とを有している。
【0012】
外枠11は木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技場の島設備に設置される。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、遊技場の島設備に外枠11が備え付けられた構成としてもよい。
【0013】
この外枠11によって遊技機主部12が開閉可能な状態で支持されている。具体的には、図1に示すように、外枠11における上枠部と左枠部との連結部分に上側支持用金具17が固定されており、さらに外枠11における下枠部と左枠部との連結部分に下側支持用金具18が設けられている。これら上側支持用金具17及び下側支持用金具18により支持機構が構成され、当該支持機構により外枠11に対して遊技機主部12がパチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側としてパチンコ機10の前方へ回動可能とされている。
【0014】
図2に示すように、遊技機主部12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15(図3参照)とを備えている。なお、遊技機主部12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。
【0015】
内枠13には、図2に示すように、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、図3に示すように、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
【0016】
次に、前扉枠14について説明する。なお、以下の説明では、図1及び図2を参照するとともに、前扉枠14の背面の構成については図3を参照する。図3は、前扉枠14の背面図である。
【0017】
図2に示すように前扉枠14は内枠13における前面側のほぼ全域を覆うようにして設けられている。前扉枠14には後述する遊技領域PEのほぼ全域を前方から視認することができるようにした略楕円状の窓部21が形成されている。その窓部21には、透明性を有するガラス22が嵌め込まれており、同ガラス22によって遊技領域PEが覆われている。
【0018】
図1に示すように窓部21の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部23が設けられている。環状電飾部23では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部23の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ部24が設けられ、窓部21の左右両側には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部25が設けられている。また、中央のエラー表示ランプ部24に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部26が設けられている。
【0019】
前扉枠14における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部31と下側膨出部32とが上下に並設されている。上側膨出部31内側には上方に開口した上皿33が設けられており、下側膨出部32内側には同じく上方に開口した下皿34が設けられている。上皿33は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導く機能を有している。また、下皿34は、上皿33内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有している。
【0020】
本実施の形態における前扉枠14は内枠13の前面全域を覆っているものではなく、同内枠13の右下部は前扉枠14とは別に形成されたカバー部材40によって覆われている。具体的には、図2に示すように、内枠13における右下の一区画、すなわち下側膨出部32の右方となる部分には、内枠13の回動先端側の下隅部を含んだ一部を覆うようにしてカバー部材40が配されており、これら前扉枠14及びカバー部材40によって内枠13の全域が覆われている。カバー部材40は、内枠13に対して前扉枠14とは独立して固定されており、同前扉枠14が開放された場合であっても、自身の固定位置に留まることとなる。
【0021】
カバー部材40の前面側には、遊技球の発射に際して操作される遊技球発射レバー41が設けられている。遊技球発射レバー41は、カバー部材40に対して回動可能な状態で取り付けられている。遊技球発射レバー41の軸部42は、カバー部材40に形成された貫通孔を通じて同カバー部材40の背面側、すなわち内枠13側に突出している。この突出している部分が後述する遊技球発射機構に連結されており、遊技球発射レバー41が操作された場合に同遊技球発射機構が連動することで遊技球が発射される。
【0022】
前扉枠14の背面には、図2及び図3に示すように、通路形成ユニット50が取り付けられている。通路形成ユニット50は、合成樹脂により成形されており、上皿33に通じる前扉側上皿通路部51と、下皿34に通じる前扉側下皿通路部52とが形成されてなる。通路形成ユニット50において、その上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部53が形成されており、当該受口部53を仕切壁54によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路部51と前扉側下皿通路部52の入口部分とが形成されている。前扉側上皿通路部51及び前扉側下皿通路部52は上流側が後述する遊技球分配部に通じており、前扉側上皿通路部51に入った遊技球は上皿33に導かれ、前扉側下皿通路部52に入った遊技球は下皿34に導かれる。
【0023】
次に、図4に基づき内枠13について詳細に説明する。図4は内枠13の正面図である。なお、図4においては、図2と同様にパチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
【0024】
内枠13は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース70を主体に構成されている。樹脂ベース70の前面における回動基端側(図4の左側)には、その上端部及び下端部に支持金具71,72が取り付けられている。また、前扉枠14の背面における回動基端側(図3の右側)には、それら支持金具71,72に対応させて突起軸61,62が設けられている。図示は省略するが、支持金具71,72には軸孔が形成されており、それら軸孔に前扉枠14の突起軸61,62が挿入されることにより、内枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。つまり、これら支持金具71,72及び突起軸61,62は内枠13に対する組付機構を構成している。
【0025】
内枠13の前面には施錠装置75が設けられている。施錠装置75は、前扉枠14に向けて延びる複数の前扉用鉤部材76を有している。これら前扉用鉤部材76に対応させて、前扉枠14の背面には内枠13側に延びる鉤受け部材63が複数設けられている。前扉用鉤部材76が鉤受け部材63に引っ掛かることにより前扉枠14が閉じた状態で施錠される。また、施錠装置75は、内枠13の後方へ延びる内枠用鉤部材77を有している。これら内枠用鉤部材77が外枠11の鉤受け部材19に引っ掛かることにより遊技機主部12が外枠11に対して閉じた状態で施錠される。
【0026】
樹脂ベース70の右下隅部には、施錠装置の解錠操作を行うためのシリンダ錠78が設置されている。シリンダ錠78は施錠装置に一体化されており、その先端部分(鍵穴部分)が上記カバー部材40に設けられた孔部を通じてパチンコ機10の前方に露出している。シリンダ錠78の鍵穴に差し込んだキーを右に回すことで内枠13に対する前扉枠14の施錠が解除され、同キーを左に回すことで外枠11に対する内枠13の施錠が解除される。
【0027】
樹脂ベース70前面の略中央部分には、遊技盤80を収容する遊技盤収容部73が形成されている。遊技盤収容部73は、パチンコ機10の後方に凹み、遊技盤80を収容する収容空間を区画しており、樹脂ベース70に取り付けられた遊技盤80がその収容空間に嵌まった状態となっている。本実施の形態においては特に、遊技盤80が樹脂ベース70に対して着脱可能に取り付けられており、メンテナンス作業等の容易化が図られている。
【0028】
遊技盤80は、木製の合板と同合板における前側の板面を覆うシート材とを有してなり、その前面が遊技盤収容部73の開放部分を通じて樹脂ベース70の正面側に露出している。この露出している部位、すなわち遊技盤80の前面には、遊技球が流下する遊技領域PEが形成されている。以下、図5に基づき遊技盤80(特に遊技領域PEに配された各種構成)について説明する。図5は、遊技盤80の正面図である。
【0029】
遊技盤80には、ルータ加工が施されることによって自身の厚さ方向(前後方向)に貫通する大小複数の開口が形成されている。各開口には、一般入賞口81,可変入賞口82及び入賞役物ユニット83等がそれぞれ取り付けられている。具体的には、遊技領域PEの中央に形成された開口には入賞役物ユニット83が配されており、その入賞役物ユニット83の左右両側に形成された開口には一般入賞口81が配され、それら一般入賞口81及び入賞役物ユニット83よりも下側に形成された開口には可変入賞口82が配されている。一般入賞口81、可変入賞口82及び入賞役物ユニット83に遊技球が入ると、それら遊技球が検知スイッチにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤80の最下部にはアウト口88が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口88を通って遊技領域PEから排出される。
【0030】
また、遊技盤80には、遊技球の流下経路を適宜分散,調整等するために多数の釘89が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。これら釘89や風車等の各種構成によって、遊技球の流下経路が分化され、上述した一般入賞口81等への入賞が適度な確立で発生するように調整されている。
【0031】
入賞役物ユニット83は、当該入賞役物ユニット83を構成する各種装置等が収容されたケース84を有している。ケース84は、遊技盤80の正面側に開放された箱状をなしており、その内部がパチンコ機10の前方から上記ガラス22を通して視認可能となっている。ケース84は遊技盤80の開口から前方に張り出した状態で同遊技盤80に固定されており、遊技領域PEを流下する遊技球が同ケース84の周壁を乗り越えて当該ケース84の内部に侵入することが回避されている。つまり、ケース84によって遊技領域PEの一部が区画され、その区画された領域、すなわち入賞役物ユニット83内への遊技球の流入が制限されている。
【0032】
ケース84の上部及び左右両側部には遊技球の流入を許容する流入口84aが複数形成されている。それら流入口84aよりも下側には、遊技者に対して付与される特典が相違する複数種の入賞口85,86が設けられている。具体的には、ケース84の下部中央に第1入賞口85が配設されており、同第1入賞口85の左右両側に第2入賞口86が配設されている。
【0033】
流入口84aと入賞口群85,86との間には、それら各入賞口85,86へ遊技球を振り分ける振分部材87が配設されている。振分部材87にはモータが接続されており、同振分部材87はそのモータが駆動することにより予め定められた周期で入賞口85,86の並設方向(左右方向)に揺動可能となっている。各流入口84aから入賞役物ユニット83内へ流入した遊技球は、振分部材87によって第1入賞口85及び第2入賞口86のいずれか一方へ振り分けられることとなる。
【0034】
各入賞口85,86へ入った遊技球は遊技盤80の背面側に設けられた回収通路を通ってパチンコ機10の外部へ排出される。回収通路には、当該回収通路を遊技球が通過した場合に可変入賞口82への遊技球の流入が困難な状態から容易な状態に切り替える切替機構部が設けられている。
【0035】
具体的には、各可変入賞口82には、同可変入賞口82への遊技球の流入を妨げる閉位置と同閉位置に配されている場合よりも遊技球の流入を容易なものとする開位置とに切替可能な可動役物90が設けられている。この可動役物90は、通常は係止部材によって閉位置にて係止された状態となっているとともに、その係止状態を解除する解除操作部にリンク部材を介して繋がっている。解除操作部は回収通路において遊技球が流下する流下領域へ突出しており、入賞役物ユニット83から流入し回収通路を流下する遊技球が当該解除操作部に対して衝突することとなる。このように解除操作部に対して遊技球が衝突することで、可動役物90の係止状態が解除され、可動役物90が開位置へと切り替えられる。
【0036】
また、各可変入賞口82の奥側には、流入した遊技球が衝突することで、可動役物90を閉位置に切り替えるとともに、上記解除状態から係止状態に復帰させる復帰操作部が設けられている。このため、上記第1入賞口85又は第2入賞口86への入賞が発生して可動役物90が開位置へ切り替えられることで遊技球の流入が容易化された状態は、その可変入賞口82へ1の遊技球が流入することで終了する。つまり、可動役物90が閉位置へ復帰し、更なる遊技球の流入が困難になる。
【0037】
なお、各可変入賞口82(詳しくは可動役物90)の切り替えに検知スイッチやアクチュエータ等の電気的構成を適用することも可能である。
【0038】
ここで、入賞役物ユニット83に遊技球が流入した場合の遊技態様に関して簡単に説明する。流入口84aを通じて入賞役物ユニット83内に遊技球が入ると、同遊技球は入賞役物ユニット83内を流下し、振分部材87へ到達する。同遊技球が振分部材87によって第1入賞口85に振り分けられた場合には可動役物90が係止解除状態に切り替えられ、閉じている全ての可変入賞口82(詳しくは可動役物90)が順次開放される。一方、右側の第2入賞口86Rへ遊技球が振り分けられた場合には右寄りに配置された一部の可変入賞口82が開放され、左側の第2入賞口86Lへ遊技球が振り分けられた場合には左寄りに配置された一部の可変入賞口82が開放される。その後、それら開放された可変入賞口82に遊技球が入ると、同遊技球が入った可変入賞口82の可動役物90が閉位置に切り替えられるとともに、所定の遊技球が払い出される。
【0039】
また、遊技盤80には、入賞役物ユニット83等が配された遊技領域PEを区画するようにして内レール101及び外レール102が取り付けられている。それら内レール101及び外レール102は、両者の一部が遊技球の直径よりも若干大きな隙間を隔てて対峙するようにして配置され、両レール101,102によって遊技球を誘導する誘導レール100が構成されている。樹脂ベース70における遊技盤収容部73の下方には、上記遊技球発射レバー41の発射操作に基づいて遊技領域PEへ遊技球を発射する遊技球発射機構110が設けられている。この遊技球発射機構110から発射された遊技球は、両レール101,102により挟まれた領域を通過して遊技領域PEに案内される(図3参照)。なお、遊技球発射機構110及びそれに付随する構成に関しての詳細な説明は後述する。
【0040】
ここで、図3を参照し、内枠13の背面側の構成について簡単に説明する。内枠13(遊技盤80)の背面には、主制御装置ユニット131が搭載されている。
【0041】
主制御装置ユニット131は、合成樹脂製の取付台132を有し、取付台132に主制御装置133が搭載されている。主制御装置133は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)及び電源を監視する機能(停電監視回路)を有する主制御基板と、同主制御基板を収容する基板ボックス134とを具備している。
【0042】
取付台132において遊技盤80の背面と対向している部分には、前記一般入賞口81等の各種入賞口に対応し且つ下流側で1カ所に集合する上記回収通路が形成されている。これにより、一般入賞口81等に入賞した遊技球は何れも回収通路を介して遊技盤80の下方に集合する構成となっている。つまり、取付台142には各種入賞口に入賞した遊技球を回収する機能が付与されている。また、取付台142には、上記可動役物90用の切替機構部が取り付けられている。
【0043】
遊技盤80の下方には後述する排出通路が配されており、回収通路によって遊技盤80の下方に集合した遊技球は排出通路内に導出される。なお、アウト口88についても同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球はアウト口88を介して排出通路内に導出される。
【0044】
また、上記回収通路には、各種入賞口に入賞した遊技球を検知する入賞口スイッチが装着されており、それら各種スイッチによって入賞検知機構が構成されている。これら各種スイッチは主制御装置133に対して電気的に接続されており、各スイッチによる検知情報が同主制御装置133に出力される構成となっている。
【0045】
主制御装置ユニット131の上方には、音声ランプ制御装置ユニット141が配されている。音声ランプ制御装置143は、主制御装置ユニット131と同様に、取付台142と音声ランプ制御装置143とを具備する構成となっており、当該取付台142を介して遊技盤80の背面に固定されている。音声ランプ制御装置143は、主制御装置133からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、同音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス144に収容されてなる。
【0046】
これら音声ランプ制御装置ユニット141と主制御装置ユニット131の一部とは、図3に示すように上記裏パックユニット15によってパチンコ機10の後方から覆われている。以下、図7及び図8に基づき裏パックユニット15について説明する。図7は裏パックユニット15の背面図、図8は裏パックユニット15の分解斜視図である。
【0047】
裏パックユニット15は、図7に示すように、裏パック161を備えており、当該裏パック161に対して、払出機構部162及び制御装置集合ユニット164が取り付けられている。裏パック161は透明性を有する合成樹脂により形成されており、払出機構部162等が取り付けられるベース部171と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部172とを有する。
【0048】
ベース部171には、その右上部に外部端子板173が設けられている。外部端子板173には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技場側の管理制御装置に対して各種信号が出力される。ベース部171には、保護カバー部172を迂回するようにして払出機構部162が配設されている。具体的には、裏パック161の最上部には上方に開口したタンク181が設けられており、タンク181には遊技場の島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク181の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール182が連結され、タンクレール182の下流側には上下方向に延びるケースレール183が連結されている。ケースレール183の最下流部には払出装置184が設けられている。払出装置184より払い出された遊技球は、当該払出装置184の下流側に設けられた払出通路を通じて、上皿33又は下皿34に案内される。
【0049】
払出機構部162には、裏パック基板187が設置されている。裏パック基板187には、例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ187aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
【0050】
ベース部171の下端部には、上記制御装置集合ユニット164が取り付けられている。制御装置集合ユニット164は、横長形状をなす取付台191を有し、取付台191に払出制御装置192と電源装置193とが搭載されている。これら払出制御装置192及び電源装置193は、払出制御装置192がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
【0051】
払出制御装置192は、基板ボックス194内に払出装置184を制御する払出制御基板が収容されて構成されている。電源装置193は、基板ボックス196内に電源基板が収容されて構成されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電力が生成されて出力される。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。
【0052】
図8に示すようにベース部171を挟んで制御装置集合ユニット164とは反対側となる部分には排出通路盤198が固定されている。排出通路盤198においてベース部171と対向する面には、後方に開放された排出通路199が形成されており、当該排出通路199の開放部がベース部171によって塞がれている。排出通路199は遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した各種入賞口等から排出通路199に導出された遊技球は当該排出通路199を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
【0053】
次に、図5及び図9に基づき上述した遊技球発射機構110及びそれに付随する構成について説明する。図9は遊技球発射機構110及びそれに付随する構成を拡大して示す図5の部分拡大図である。なお、同図9においてはカバー部材40の図示を省略し、遊技球発射レバー41を2点鎖線で示している。
【0054】
図9に示すように、遊技球発射機構110は、所定位置(発射待機位置WP)に配された遊技球を発射する(打ち出す)発射部材201と、同発射部材201によって発射された遊技球を誘導レール100の入口部分100aへ案内する発射レール202と、上記発射待機位置WPに遊技球を供給する球送装置203と、それら各種構成が装着されているベースプレート204とを備えており、ベースプレート204が樹脂ベース70の前面に対してネジ止めされることにより、遊技機主部12(詳しくは内枠13)に対して一体化されている。
【0055】
発射レール202は、所定の発射角度(打ち出し角度)となるように、斜めに傾いた状態でベースプレート204に固定されている。具体的には、誘導レール100の入口部分100aが斜め下方に開放されており、発射レール202は、自身のレール方向の延長線上にその入口部分100aが位置するように、同入口部分100aを向いた状態で固定されている(図5参照)。
【0056】
発射レール202と誘導レール100の入口部分100aとの間には遊技球が通過可能な隙間が形成されており、この隙間よりも下方にはファール球通路55が設けられている(図2参照)。仮に発射された遊技球が遊技領域PEまで至らずファール球として誘導レール100内を逆戻りする場合には、それらファール球はファール球通路55を介して下皿34に排出される。これにより、ファール球の全てがファール球通路55に確実に案内され、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
【0057】
発射レール202の下流側の端部(すなわち上記入口部分100aとは反対側の端部)寄りとなる位置には、上皿33から球送装置203を通じて供給された遊技球を上述した発射待機位置WPに留める球ストッパ205が配されている。球ストッパ205は、発射レール202に対して遊技球の直径寸法よりも小さな隙間を隔てて対峙しており、上記ベースプレート204に固定されている。発射レール202は上述の如く誘導レール100の入口部分100aに向けて上り傾斜するように傾いた状態で取り付けられており、発射レール202上に供給された遊技球は、同発射レール202に沿って流下し、球ストッパ205に対して発射レール202の傾斜上流側から当接する。これにより、同遊技球が発射待機位置WPにて保持される。
【0058】
発射レール202の傾斜方向において上記発射待機位置WPよりも下流側、すなわち発射レール202の下流側への延長上には、上述した発射部材201が配置されている。発射部材201は回動可能な状態でベースプレート204に取り付けられており、その回動中心軸線が遊技球発射レバー41の回動中心軸線と同一直線上となるように、且つ同回動中心軸線が発射レール202の延長上に位置しないように配されている。
【0059】
発射部材201の回動基端部にはベースプレート204に対する取付部としてのベース部211が形成されている。ベース部211は、上記回動中心軸線と同一方向(前後方向)に延びており、その中央部分に縮径部215が形成された段付きの円柱状をなしている。ベース部211においてベースプレート204とは反対側の端部には、遊技球発射レバー41の軸部42に向けて突出する凸部221が形成されている。凸部221は、軸部42に形成された凹部43に嵌合しており、これら凸部221及び凹部43が嵌合した状態にて遊技球発射レバー41が発射部材201に対して締結されることで、それら遊技球発射レバー41及び発射部材201が一体化されている。なお、凸部221及び凹部43は、上記回動中心軸線の放射方向に延びており、両者の相対位置のずれが抑制されている。
【0060】
ベース部211において縮径部215よりもベースプレート204寄りとなる部位(以下便宜上、後側ベース部212と称する)の外周部には発射槌230が設けられている。発射槌230は、後側ベース部212から発射レール202側に延びるアーム231を有している。アーム231の先端部分は、発射レール202の延長上、詳しくは発射待機位置WPの直下流に位置しており、その先端部分には発射レール202と同一方向に延びる突起232が形成されている。突起232の先端は、球ストッパ205と発射レール202との隙間を通じて上記発射待機位置WPに到っている。更に、突起232にはコイルバネ233が挿通されており、同コイルバネ233の先端部分が突起232の先端から突出している。つまり、発射待機位置WPに待機している遊技球に対して突起232が当接するのではなく、コイルバネ233が当接するように構成されており、遊技球発射時の衝撃の低減が図られている。
【0061】
ベースプレート204には、発射部材201が搭載されている側と同一側に起立し、発射槌230(詳しくはアーム231)に対して発射レール202側(発射方向の先側)から当接する第1当接部251が形成されている。この第1当接部251に対して発射槌230が当接することにより、発射方向への回動が規制されている。発射部材201のベース部211には、発射部材201を発射方向に向けて付勢する付勢部材としてのコイルバネ239が取り付けられており、同コイルバネ239の付勢力によって発射槌230が第1当接部251に押し付けられた状態となっている。
【0062】
また、ベースプレート204には、発射槌230が上記付勢力に抗して発射方向とは反対側に回動し、その回動量が所定値に達した場合に、同発射槌230と当接する第2当接部252が形成されている。第2当接部252は、第1当接部251と同様に、ベースプレート204の前面から起立しているとともに、発射槌230の回動軌道上に配されている。発射槌230が第2当接部252に当接することによりそれ以上の回動が抑えられ、遊技球発射レバー41の押し下げが不可となる。つまり、遊技球発射レバー41の操作範囲(すなわち発射部材201の回動範囲)は、第1当接部251及び第2当接部252によって規定されている。なお、各当接部251,252は、ゴム製のカバー部材によって覆われており、発射槌230がそれら当接部251,252に衝突した際に発生する衝撃が低減されている。
【0063】
遊技球を発射する際には、遊技球発射レバー41を押し下げて発射部材201を回動させた後、同遊技球発射レバー41を離すことで、コイルバネ239の付勢力によって発射部材201が初期位置に復帰し、その初期位置への復帰過程にて発射槌230が発射待機位置WPに待機中の遊技球に当たることで同遊技球が発射される。この際、遊技球発射レバー41の押し下げ量によって遊技球の発射強度(飛距離)を調整することができる。
【0064】
仮に、遊技球発射レバー41の操作量が所定量(本実施の形態においては凡そ10°)に達していない場合には、発射部材201によって発射された遊技球は発射レール202から飛び出すことなく、同発射レール202に沿って逆戻りし、発射待機位置に復帰する。一方、同操作量が所定量に達している場合には、発射された遊技球は発射レール202から飛び出すこととなる。以下便宜上、このように遊技球が発射レール202から飛び出し可能となるような遊技球発射レバー41及び発射部材201の位置を発射準備位置と称する。
【0065】
(球送装置203)
ここで、本パチンコ機10においては、球送装置203による発射レール202への遊技球の供給に関して特徴的な構成を備えている。そこで以下、図9及び図11に基づきその特徴的な構成及びそれに関連する構成について説明する。図11は球送装置203と発射部材201との関係を示す概略図である。
【0066】
図9に示すように、球送装置203は、遊技球の出入口を有する略箱状のケース体261を有している。ケース体261は、合成樹脂からなる複数のケース構成部材が組み合わせられてなり、その内部には遊技球を発射待機位置WPへ供給する供給通路262が形成されている。ケース体261の入口部分261a、すなわち供給通路262への流入口は、前扉枠14側に開口しており、上記上皿33の出口部分に連なっている。
【0067】
供給通路262は、角形の筒状(管状)をなしており、通路幅寸法等が遊技球の直径寸法よりも若干大きく設定されている。このため、図11に示すように球送装置203内に遊技球が溜まった場合には、それら遊技球によって供給通路262に沿って延びる一条の遊技球列が形成されることとなる。言い換えれば、供給通路262は、当該供給通路262における同一箇所を複数の遊技球が同時に通過できないように、すなわち形成される遊技球の列が複数にならないように形成されている。なお、本実施の形態においては、供給通路262を角形の筒状(管状)としたが、円形の筒状(管状)とすることも可能である。
【0068】
ケース体261の出口部分261bは、発射レール202の上方に位置しており、同発射レール202側に開放されている。供給通路262は、同出口部分261bから上方に延びる第1通路部263を有しており、当該第1通路部263を通過した遊技球は上記発射待機位置WPへ向けて落下することとなる。
【0069】
また、供給通路262は、第1通路部263の上流側の端部に連なる第2通路部264を有している。第2通路部264は、第1通路部263から緩やかに上り傾斜しており、その通路長は、同第2通路部264に複数の遊技球が待機可能となるように設定されている。第2通路部264を形成している底板部271の途中位置には、下方に開口する開口部272が設けられている。
【0070】
開口部272には、発射部材201の動きに追従して動作する可動通路280が配されており、この可動通路280によって同開口部272からの遊技球の流出が阻止されている。
【0071】
可動通路280は、第2通路部264(詳しくは底板部271)の一部を形成する通路形成部281と、同通路形成部281から第2通路部264とは反対側、詳しくは前記発射部材201のベース部211側へ延びる長板状の取付部282とを有している。取付部282の途中位置には第2通路部264の通路方向と交差する方向(上下方向)に延びる複数の長孔283が形成されており、ベースプレート204にはそれら長孔283に対応するピン253が設けられている。これら長孔283に対してピン253が挿通されることで、可動通路280がベースプレート204に対してスライド移動可能な状態で取り付けられている。より詳しくは、通路形成部281が、開口部272を通じて供給通路262(第2通路部264)内に突出する突出位置と、突出しない非突出位置とに移動可能となっている。
【0072】
図11に示すように通路形成部281が非突出位置に位置している場合には、通路形成部281の上面281aは、開口部272よりも下位に位置している。この上面281aは、遊技球を載置可能となる大きさを有している。このため、開口部272に到達した遊技球は、同開口部272と通路形成部281(詳しくは上面281a)とによって形成された窪みに嵌まり、通路形成部281の上面281aに載った状態となる。
【0073】
通路形成部材571の上面572aは、第2通路部554(詳しくは底板部557)と同じ方向に傾斜している。このため、上面572aに載った遊技球は、下流側、すなわち第1通路部263側へ向けて付勢され、上記開口部272の下流側の縁部に当接した状態で待機することとなる。
【0074】
ここで、可動通路280と発射部材201とを連動させるリンク構造について説明する。可動通路280の取付部282には、同可動通路280と発射部材201とを繋ぐリンク部材290が連結されている。リンク部材290は、可動通路280と発射部材201のベース部211とに跨って延びる長板状をなしており、その中間部分にてベースプレート204により回動可能に軸支されている。
【0075】
リンク部材290において回動中心部分よりも可動通路280寄りとなる部分には長孔291が形成されており、取付部282に形成された突起284が同長孔291に挿通されている。また、リンク部材290において回動中心部分よりもベース部211寄りとなる部分にも長孔292が形成されており、ベース部211の後側ベース部212においてベースプレート204と対向している部分、詳しくは発射部材201の回動中心軸線よりも可動通路280寄りとなる部分に形成された突起232が同長孔292に挿通されている。
【0076】
これら長孔291,292は、リンク部材290の長手方向と同一方向に延びている。より詳しくは、可動通路280側の長孔291は可動通路280のスライド方向と交差する方向に延びており、発射部材201側の長孔292は突起232の移動経路と交差する方向に延びている。これにより、長孔291,292に沿った突起232,284の移動が許容されている。
【0077】
遊技球発射レバー41を初期位置から押し下げることで発射部材201が発射準備位置へ向けて(パチンコ機10の正面視において時計回りに)回動し、ベース部211の突起232が下方へ移動する。これにより、リンク部材290が回動してリンク部材290における可動通路280側の端部が上がる。そして、リンク部材290によって上方に押された可動通路280は、当該可動通路280等の重みに抗して上昇する。可動通路280の移動量は、遊技球発射レバー41の操作量に依存しており、少なくとも同遊技球発射レバー41を発射レール202からの遊技球の打ち出しが可能となる位置(すなわち上記発射準備位置)へ押し下げることで、通路形成部281の上面281aが底板部271よりも上位となる位置に達するように設定されている。
【0078】
なお、第2通路部264の天壁部273において通路形成部281と対向している部分は同通路形成部281とは反対側(上方)に拡がっており、同通路形成部281が遊技球を載せた状態で上昇した場合の同遊技球と天壁部273との干渉が抑制されている。また、供給通路262において第2通路部264よりも上流側となる通路部は同第2通路部264に対して折り返されている。つまり、供給通路262は、少なくとも開口部272よりも上流側にて蛇行している。このように供給通路262を蛇行させることにより、供給通路262内に貯留される遊技球群の球圧を抑え、可動通路280に伝播する球圧の低減を図っている。
【0079】
ここで、図11及び図12に基づき通路形成部281の上面281aと開口部272(底板部271)との位置関係について補足説明し、その後、遊技球の発射操作に伴う可動通路280の動作について説明する。図12は可動通路280の動作説明図である。
【0080】
図11に示すように、開口部272は、当該開口部272の下流側の端部が上流側の端部よりも上位となるように形成されている。つまり、底板部271において開口部272よりも下流側となる部分(以下便宜上、下流側底板部271aと称する)と、同開口部272よりも上流側となる部分(以下便宜上、上流側底板部271bと称する)とが、前者が上位となるように開口部272を挟んで段差状をなすように形成されている。既に説明したように通路形成部281の上面281aは底板部271と平行となるように形成されているが、上述の如く下流側底板部271aと上流側底板部271bとを段差状に形成することで、上流側底板部271bと同一平面上に通路形成部281の上面281aが位置した場合であっても、下流側底板部271aが当該上面281aよりも上位に位置することで、遊技球が一気に第1通路部263へ流入することを回避できる。
【0081】
また、通路形成部281の上面281aの下限位置は上面281aに載った遊技球の少なくとも一部が第2通路部264に突出した状態となるように設定されているとともに、同遊技球と天壁部273との最小隙が遊技球の直径寸法よりも小さくなるように設定されている。これにより、後続の遊技球が上面281a上に載っている遊技球を越えて第1通路部263へ流入することを好適に回避している。
【0082】
図12(a)に示すように、可動通路280が非突出位置に待機している状態では、通路形成部281の上面281aに載っている遊技球B1は下流側底板部271aの上流側端部に当接しており、第1通路部263側への移動が阻止されている。この際、遊技球B1の一部は遊技球の流下領域内に突出した状態となっており、同遊技球B1に対して後続する遊技球B2は、同遊技球B1に対して上流側から当接した状態で待機する。
【0083】
図12(a)に示す状態から遊技球発射レバー41が押し下げられると、発射部材201が発射方向とは反対側へ回動され、可動通路280が上昇する。図12(b)に示すように、通路形成部281の上面281aが上流側底板部271bの延長上に位置している状態では、遊技球B1が下流側底板部271aの上流側端部に引っ掛かった状態で維持され、同遊技球B1によって遊技球B2の流下が妨げられる。
【0084】
遊技球発射レバー41が更に押し下げられ上記発射準備位置に到達すると、可動通路280が更に上昇し、図12(c)に示すように、通路形成部281の上面281aが下流側底板部271aの延長上に位置することとなる。この状態では、遊技球B1は下流側底板部271aとの引っ掛かりが解除され、下流側底板部271a側への移動が許容される。そして、下流側底板部271aへ移動した遊技球B1は、第1通路部263を通じて発射待機位置WPへ到達し、遊技球の発射が可能となる。
【0085】
また、この際、通路形成部281は開口部272の上流側の端部よりも上位に位置することとなり、後続の遊技球B2が通路形成部281の側面281bに当接する。これにより、後続の遊技球B2は、通路形成部281よりも上流側に留まることとなる。
【0086】
なお、図12(c)には通路形成部281の上面281aの上限位置を1点鎖線で示している。同上面281aがこの上限位置に到達した場合であっても、遊技球B1はその上面281aに沿って移動し、第1通路部263へ流入する。また、後続の遊技球B2についても通路形成部281の側面281bに当接することで、第1通路部263側への移動が妨げられる。
【0087】
その後、遊技球発射レバー41が初期位置に復帰する際に、発射待機位置WPに待機していた遊技球B1が発射される。また、遊技球発射レバー41の初期位置への復帰に併せて可動通路280が降下し、通路形成部281の上面281aが非突出位置に移動する。すなわち、上面281aは開口部272の上流側端部よりも下位となる位置へ移動することで、同開口部272への遊技球の流入が許容される。これにより、上述の如く通路形成部281の側面281bに引っ掛かっていた遊技球B2が、自重等により下流側へ移動し当該上面281a上に載ることとなる。上面281aに載った遊技球は、下流側底板部271aに引っ掛かることで開口部272からの離脱が不可となる。これにより、次の遊技球の供給準備が完了する。
【0088】
また、本実施の形態においては、遊技球を発射したタイミングから予め定められた期間が経過するまで次の遊技球の発射を遅延させる遅延装置300を備えていることを特徴の1つとしている。以下、図9,図10及び図13に基づき遅延装置300について説明する。図13は発射部材201と遅延装置300との関係を示す概略図である。
【0089】
<遅延装置300>
図9に示すように、遅延装置300は、ベースプレート204の前面側、詳しくは発射部材201のベース部211と発射レール202との間に配置されており、メンテナンス等の容易化が図られている。遅延装置300は、発射部材201に連動する第1スライド部材310及び第2スライド部材330と、それら両スライド部材310,330を収容する略箱状の収容ケース350とを有しており、同収容ケース350がベースプレート204に対して固定されることで遅延装置300と遊技球発射機構110とがユニット化されている。
【0090】
第1スライド部材310及び第2スライド部材330は、発射部材201に対する連動の態様が相違しており、この連動態様の相違によって上述した発射遅延を実現している。そこで、それら第1スライド部材310及び第2スライド部材330に関する構成を個々に詳しく説明する。
【0091】
第1スライド部材310は、収容ケース350の底板部351上に載置された本体部311を有している。本体部311には、底板部351から上方に起立し隙間を隔てて相対向する一対の対向部312,313と、それら対向部312,313を繋ぐ繋ぎ部314とが形成されている。両対向部312,313は、発射部材201側へ延びる長板状をなしており、相対向していない側の板面には同対向部312,313の長手方向に延びる突条部315,316が形成されている。突条部315,316は収容ケース350の側板部352に形成された溝部353に嵌まっている。溝部353は、発射部材201に向けて延びており、これら突条部315,316及び溝部353,354によって第1スライド部材310のスライド方向が規定されている。
【0092】
両対向部312,313のうち後側の一方には、発射部材201側の端部から同発射部材201の後側ベース部212に向けて延びるアーム部321が形成されている。アーム部321の先端部は、収容ケース350の側板部352に形成された貫通孔355を通じて同収容ケース350の外部に突出している。アーム部321において収容ケース350から突出している部分には軸ピン322が取り付けられており、この軸ピン322が発射部材201の後側ベース部212に連結されている。
【0093】
具体的には、後側ベース部212の上部には放射方向(詳しくは上方)に延びる板状部235が一体成形されており、その板状部235には、第1スライド部材310のスライド方向と交差する方向(上下方向)に延びる長孔236が形成されている。この長孔236に対して第1スライド部材310の軸ピン322が挿通されている。これら軸ピン322及び長孔236によって、発射部材201の回動に追従した第1スライド部材310のスライド移動が実現される。
【0094】
本体部311(詳しくは対向部312,313)においてアーム部321とは反対側の端部には、発射部材201から遠ざかる側に向けて下り傾斜する傾斜部324が設けられている。傾斜部324は、本体部311の上面325に連なっているとともに、第1スライド部材310のスライド方向(詳しくは水平方向)に対して45°傾けて形成されている。
【0095】
この傾斜部324に上方から当接するようにして、上記第2スライド部材330が配されている。つまり第2スライド部材330は第1スライド部材310の傾斜部324に載った状態となっている。
【0096】
第2スライド部材330は、第1スライド部材310とは反対側に配設されたダンパ装置400を介して収容ケース350に取り付けられている。ダンパ装置400は、有底円筒状のケース体410と、同ケース体410に挿通されるピストン430とを有している。
【0097】
ピストン430は、ケース体410の中心軸線方向と同一方向に延びる軸部431を有している。軸部431においてケース体410の底部411側の端部には、ケース体410の内部空間を底部411側(奥側)と同ケース体410の開口部412側(入口側)とに二分する円柱状の仕切り部432が形成されている。仕切り部432の外径はケース体410の内径と同等となるように設定されているとともに、その中心軸線の軸線方向が上記第1スライド部材310のスライド方向と同一となるように形成されている。
【0098】
ケース体410の開口部412は、蓋体420によって覆われており、これにより開口部412を通じたピストン430の抜け落ちが回避されているとともに仕切り部432がケース体410内に封入された状態となっている。
【0099】
仕切り部432には、上述の如く二分された両空間に連なる貫通孔433が形成されており、ケース体410内の空気はこれら貫通孔433を通じて両空間を移動可能となっている。このため、ピストン430が往復動する際には、貫通孔433を通じて空気が移動し、ピストンの430(すなわち第2スライド部材330)の移動を妨げるような空気抵抗が発生することとなる。
【0100】
また、仕切り部432と蓋体420との間には、コイルバネ440が圧縮された状態で収容されている。このコイルバネ440によって、ピストン430は第1スライド部材310から遠ざかる側へ常時付勢された状態となっている。
【0101】
蓋体420には、軸部431に対応する挿通孔421が形成されており、この挿通孔421を通じて軸部431の一部、詳しくは仕切り部432とは反対側の端部がケース体410の外部に突出している。この突出している端部に、上記第2スライド部材330が上下に移動可能な状態で取り付けられている。
【0102】
詳しくは、軸部431の端部には、中心軸線の放射方向へ拡がる円板部435が形成されている。第2スライド部材330には、円板部435を収容する収容溝部331と、同収容溝部331に連通するとともに軸部431が挿通されるスリット332(図10参照)とが形成されている。収容溝部331及びスリット332は、中心軸線と交差する方向(詳しくは下方)に開放されており、これら開放部分を介して上記軸部431の組み付けが可能となっている。また、収容溝部331及びスリット332は上下に延びており、円板部435が収容溝部331に嵌まった状態のまま、第2スライド部材330が上下にスライド移動可能となっている。つまり、第2スライド部材330においては、第1スライド部材310と同一方向へスライド移動と、同スライド方向と直交する方向へのスライド移動が許容されている。
【0103】
第2スライド部材330は、第1スライド部材310の両対向部312,313に跨がる略直方体状をなしており、傾斜部324と当接している部分には、それら傾斜部324と平行な当接面335が形成されている。当接面335において両対向部312,313の間となる部位には、発射部材201の動力を伝達する伝達部材としてのワイヤ360(詳しくはワイヤ360の一端)が固定されている。
【0104】
ワイヤ360は、第1スライド部材310の両対向部312,313の隙間と、収容ケース350の底板部351に形成された開口部356とを通じて、収容ケース350の外部に突出しており、その他端が発射部材201の後側ベース部212の上部、詳しくは上記板状部235の根元部分に固定されている。
【0105】
第2スライド部材330と発射部材201との間には、ワイヤ360を上側から押さえる押え部としてガイドローラ361が配設されている。ガイドローラ361は、回動可能な状態でベースプレート204によって支持されているとともに、後側ベース部212と同一平面上に配置されている。これは、発射部材201が回動した場合にワイヤ360を後側ベース部212の外周面に沿って巻くための工夫である。
【0106】
また、ガイドローラ361は、当接面335におけるワイヤ360の取付部分と同ガイドローラ361とを結ぶ仮想直線が、当接面335と略垂直となるように配置されている。これにより、ワイヤ360によって第2スライド部材330が引っ張られた場合に、同第2スライド部材330が上記傾斜部324に沿って上昇することを抑制している。
【0107】
遊技球発射レバー41が押し下げれらた場合には、発射部材201が時計回りに回動する。これにより、後側ベース部212の板状部235が右側に移動し、これに追従して第1スライド部材310が発射部材201側へスライド移動する。また、第2スライド部材330もワイヤ360に引っ張られて第1スライド部材310に追従して発射部材201側へスライド移動する。この際、ワイヤ360は弛みが抑えられた状態で第2スライド部材330を引っ張るため、第2スライド部材330の移動の遅れが抑制され、傾斜部324と当接面335との当接状態が維持されたままとなる。つまり、第2スライド部材330の上方への移動は回避される。
【0108】
一方、遊技球発射レバー41が初期位置に復帰する場合には、コイルバネ239の付勢力によって発射部材201が回動すると、それに追従して板状部235が元の位置に復帰するこれに追従して第1スライド部材310が元の位置へスライド移動する。これに対して、第2スライド部材330はワイヤ360を介して発射部材201と繋がっており、同ワイヤ360はガイドローラ361によって下方へ押えられているだけであるため、発射部材201におけるワイヤ360の固定部分が元の位置に復帰しても、ワイヤ360が弛んで第2スライド部材330をスライド移動させることが困難となる。
【0109】
第2スライド部材330は、上記コイルバネ239の付勢力ではなく、ダンパ装置400に内蔵されたコイルバネ440の付勢力によって徐々に元の位置へ向けて移動する。このように、第1スライド部材310の連動態様と第2スライド部材330の連動態様とが相違することで、第2スライド部材330の復帰が遅れるため、同第2スライド部材330に以下の動きが生じる。
【0110】
すなわち、第1スライド部材310によって第2スライド部材330が押され、同第2スライド部材330は第1スライド部材310の傾斜部324に沿って上方へ持ち上げられることとなる。このように第2スライド部材330が上方に持ち上げられたまま、第1スライド部材310は元の位置へとスライドを続け、第2スライド部材330は、第1スライド部材310の上面325上に載ることとなる。
【0111】
<ロックレバー450>
本実施の形態に示す遅延装置300は、第2スライド部材330が第1スライド部材310の上面325に載っている場合に発射部材201の発射方向への回動を不可とするロックレバー450を備えている。ここで、ロックレバー450について詳しく説明する。
【0112】
ロックレバー450は、遅延装置300と発射部材201とに跨って延びる長板状をなしており、その一端が収容ケース350内に収容されているとともに他端が同収容ケース350の貫通孔355を介して発射部材201側に突出している。ロックレバー450において収容ケース350内に収容されている部分は、第1スライド部材310の上面325と隙間を隔てて対向しており、その上面325に第2スライド部材330が載った場合に、同第2スライド部材330によって上方に押される操作部451を構成している。一方、ロックレバー450において収容ケース350外に突出している部分には、ベース部211(詳しくは縮径部215)に隙間を隔てて上方から対向しており、同縮径部215の外周部に形成された歯部241に対して係合可能な係合爪部455が形成されている。
【0113】
ロックレバー450は、これら操作部451と係合爪部455との中間位置にて収容ケース350により回動可能に軸支されている。つまり、操作部451が第1スライド部材310に近づくことで係合爪部455が歯部241から遠ざかり、同操作部451が第1スライド部材310から遠ざかることで係合爪部455が歯部241に近づく構成となっている。
【0114】
また、ロックレバー450の軸部459には付勢手段としてのコイルバネ460が取り付けられており、このコイルバネ460によって同ロックレバー450は係合爪部455が歯部241から遠ざかる側に付勢されている。なお、ロックレバー450用の付勢手段として板バネ等を採用することも可能である。また、ロックレバー450の自重によって係合爪部455が歯部241から遠ざかる側に付勢される構成とすることも可能である。
【0115】
図13の部分拡大図に示すように、歯部241は、縮径部215の外周面から突出しており、縮径部215の周方向に複数配設されている。各歯部241は、外周面から略垂直に起立する起立面242と同起立面242よりも発射方向における先側に形成され外周面に向けて緩やかに傾斜する傾斜面245とによって構成されている。このように歯部241が起立面242と傾斜面245とを有する構成を採用することで、ロック状態に切り替った場合に、発射部材201の発射方向への回動を許容しつつ、発射方向とは反対側への回動を不可としている。
【0116】
具体的には、ロック状態に切り替った場合には、ロックレバー450の係合爪部455が歯部241に当接する位置へ移動する。この際、発射部材201が発射方向へ回動すると、歯部241の傾斜面245上を係合爪部455が摺動することにより、それら歯部241と係合爪部455との係合が回避される。つまり、発射部材201の初期位置への復帰が妨げられることはない。特に、ロックレバー450は長板状をなしており、軸部459を基端として撓み変形可能となっている。このため、歯部241の傾斜面245と係合爪部455とが干渉したとしてもロックレバー450が撓むことで係合爪部455が歯部241から離れる側に逃げることとなる。これにより、両者の噛み込みが好適に回避される。
【0117】
一方、発射部材201の発射方向とは反対側(すなわち発射準備位置側)への回動は、係合爪部455と起立面242とが係合することで不可となる。つまり、ロック状態が解除されるまで(ロック解除状態に移行されるまで)次の発射動作が回避されることとなる。なお、この場合、発射部材201に対して発射準備位置側に向けての外力が加わると、ロックレバー450には伸縮方向への負荷が生じることとなる。しかしながら、このような負荷はロックレバー450を撓ませるように作用することはなく、両者の係合状態は好適に維持される。
【0118】
ここで、図14及び図15に基づき、遊技球を発射する際の遊技球発射機構110の動作について説明する。図14及び図15は遊技球発射の様子を示す概略図であり、遊技球を発射する際には、遊技球発射機構110が図14(a)→図14(b)→図14(c)→図15(d)→図15(e)→図15(f)の順に動作する。
【0119】
図14(a)に示すように、上皿33を通じて球送装置203に流入した遊技球は、開口部272に嵌まった遊技球を先頭として供給通路262内に列を形成した状態で待機している。この状態から、遊技球発射レバー41に指Fを引っ掛ける等して同遊技球発射レバー41を押し下げると、同遊技球発射レバー41に連動して発射部材201が発射方向とは反対側(パチンコ機10の正面視にて時計回り方向)へ回動する。これにより、第1スライド部材310がコイルバネ239の付勢力に抗して発射部材201側に引き寄せられるとともに、第2スライド部材330が同コイルバネ239及びコイルバネ440の付勢力に抗して発射部材201側へ引き寄せられる。
【0120】
図14(b)に示すように、遊技球発射レバー41を発射準備位置まで押し下げると、球送装置203から1の遊技球が供給される。この遊技球が発射待機位置WPに到達することで、遊技球の発射が可能となる遊技球発射レバー41が発射準備位置にて保持されている状態では、第1スライド部材310は発射部材201の板状部235によって発射部材201側に引き寄せられた位置で停留し、第2スライド部材330についても同様にワイヤ360によって発射部材201側に引き寄せられた位置で停留する。この状態では、第1スライド部材310の傾斜部324に対して、第2スライド部材330の当接面335が当接したままとなり、第2スライド部材330の上方への移動は抑えられている。
【0121】
その後、図14(c)に示すように、遊技球発射レバー41から指Fを離すと、コイルバネ239の付勢力により同遊技球発射レバー41及び発射部材201が発射方向(パチンコ機10の正面視にて反時計回り方向)へ回動する。この際、第1スライド部材310は、発射部材201の動きに追従するものの、第2スライド部材330においてはワイヤ360が弛むことで、動きが遅れることとなる。より詳しくは、第2スライド部材330は、上記コイルバネ239の付勢力によって初期位置に移動するのではなく、ダンパ装置400のコイルバネ440の付勢力によって復帰する。この際、復帰に対してダンパ装置400の空気抵抗が生じるため、第2スライド部材330の復帰は、第1スライド部材310の復帰に対して遅れることとなる。
【0122】
このため、第2スライド部材330は、第1スライド部材310によって押され、傾斜部324に沿って上方に持ち上げられることとなる。そして、第1スライド部材310の上面に載った状態となることで、ロックレバー450の操作部451が上方に押される。これにより、ロックレバー450(すなわち遊技球発射レバー41)がロック解除状態からロック状態に切り替わる。
【0123】
なお、ロックレバー450がロック状態に切り替った場合であっても、発射部材201の発射方向への回動が妨げられることはない。
【0124】
発射部材201が初期位置に復帰すると、発射槌230によって発射待機位置WPに待機中の遊技球が発射レール202に沿って発射される。このように、遊技球が発射されたタイミングでは、図15(d)に示すように、第1スライド部材310は初期位置への復帰が完了するが、第2スライド部材330については、依然として第1スライド部材310の上面325に載った状態となっており、ダンパ装置400によって初期位置への復帰が継続される。
【0125】
このように、第2スライド部材330が第1スライド部材310の上面325に載っている状態では、ロックレバー450がロック状態のまま維持されるため、続けて遊技球発射レバー41を押し下げようとしても同操作が阻止されることとなる。なお、遊技球の発射に伴って可動通と280が降下することにより、次の遊技球の供給準備が完了する。
【0126】
図15(e)に示すように、第2スライド部材330が第1スライド部材310の傾斜部324に到達すると、同第2スライド部材330は同傾斜部324に沿って降下する。この際、ワイヤ360が緊張した状態となり、図14(f)に示すように、傾斜部324の途中位置にて第2スライド部材330の降下が停止する。すなわち、初期位置へ復帰する。これにより、ロックレバー450の操作部451から第2スライド部材330が離間し、同ロックレバー450は、上記板バネの付勢力によってロック解除状態に切り替ることとなる。これにより、遊技球発射レバー41の押し下げ操作が許容され、次の遊技球の発射が可能となる。
【0127】
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図15のブロック図に基づいて説明する。図15では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
【0128】
主制御装置133に設けられた主制御基板501には、主制御回路502と停電監視回路503とが内蔵されている。主制御回路502には、MPU511が搭載されている。MPU511には、当該MPU511により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM512と、そのROM512内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM513と、割込回路やタイマ回路、データ入出力回路などの各種回路が内蔵されている。
【0129】
RAM513は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置193に設けられた電源基板521からデータ記憶保持用電力が供給されてデータが保持される構成となっている。
【0130】
MPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。主制御回路502の入力側には、主制御基板501に設けられた停電監視回路503、払出制御装置192に設けられた払出制御基板522及びその他図示しないスイッチ群などが接続されている。この場合に、停電監視回路503には電源基板521が接続されており、主制御回路502には停電監視回路503を介して電力が供給される。
【0131】
一方、主制御回路502の出力側には、停電監視回路503、払出制御基板522及び中継端子板523が接続されている。払出制御基板522には、賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。中継端子板523を介して主制御回路502から音声ランプ制御装置143に設けられた音声ランプ制御基板524に対して各種コマンドなどが出力される。
【0132】
停電監視回路503は、主制御回路502と電源基板521とを中継し、また電源基板521から出力される最大電源である直流安定24ボルトの電源を監視する。
【0133】
払出制御基板522は、払出装置184により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU531は、そのMPU531により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM532と、ワークメモリ等として使用されるRAM533とを備えている。
【0134】
払出制御基板522のRAM533は、主制御回路502のRAM513と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源基板521からデータ記憶保持用電力が供給されてデータが保持される構成となっている。
【0135】
払出制御基板522のMPU531には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。払出制御基板522の入力側には、主制御回路502、電源基板521、及び裏パック基板187が接続されている。また、払出制御基板522の出力側には、主制御回路502及び裏パック基板187が接続されている。
【0136】
電源基板521は、二重線矢印で示す経路を通じて、主制御回路502や払出制御基板522等に対して各々に必要な動作電力を供給する。
【0137】
音声ランプ制御基板524は、各種ランプ部23〜25及びスピーカ部26を制御するものである。演算装置であるMPU541は、そのMPU541により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM542と、ワークメモリ等として使用されるRAM543とを備えている。
【0138】
音声ランプ制御基板524のMPU541にはアドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。音声ランプ制御基板524の入力側には中継端子板523に中継されて主制御回路502が接続されており、主制御回路502から出力される各種コマンドに基づいて、各種ランプ部23〜25及びスピーカ部26を制御する。
【0139】
以上詳述した本実施の形態によれば以下の優れた効果を奏する。
【0140】
遊技球を発射する際には、遊技球発射レバー41を指等で押し下げることにより、遊技球が供給される。その後、遊技球発射レバー41から指を離すことによりコイルバネ239の付勢力によって発射部材201が回動し、遊技球が遊技領域PE(詳しくは誘導レール100)に向けて発射される。このようないわゆる手打ち式のパチンコ機10においては、遊技球の発射間隔が遊技者の意思や技量等に依存することで、例えば遊技球の発射間隔を短縮して単位時間に取得可能な遊技球の数を増やすといった試みがなされると想定される。仮にこのような発射間隔の短縮による獲得遊技球数の増加が許容されると、遊技者の射幸心を過度に煽ることとなり、健全な遊技ホールの運営に支障を来たすと懸念される。この点、本実施の形態によれば、遅延装置300によって遊技球発射レバー41の操作を一時的に不可とすることにより単位時間あたりの遊技球の発射数が予め定められた数よりも少なくなるように規制される。これにより、上記不都合を払拭し、遊技の健全性を高めることができる。
【0141】
特に、遊技球発射レバー41のロックが解除されることで、遊技球の発射が許容されるため、遊技者は遊技球が発射可能となるタイミングを容易に把握することができる。これにより、遊技球の発射を規制する構成を採用しつつ、それに起因して遊技球の発射操作が難しくなることを好適に抑制できる。
【0142】
遊技球発射レバー41を初期位置にてロックすることにより、同遊技球発射レバー41を発射準備位置にてロックする場合と比較して、以下の効果が期待できる。すなわち、遊技球発射レバー41を準備位置に押し下げた後は、同遊技球発射レバー41から指を離すことで、任意のタイミングで遊技球を発射することができる。また、遊技球発射レバー41のロック状態が解除された場合に、同遊技球発射レバー41が突如動き出すことを回避できる。これにより遊技球発射レバー41が指等に衝突することを好適に抑制できる。
【0143】
遊技球発射レバー41が操作された際に発生する動力を利用して遅延装置300を駆動させる構成とした。すなわち、遊技球の発射数規制を行うにあたり電気的構成を追加する必要がない。これにより、制御負荷の増加を好適に回避できる。また、球送装置203についても同様に、遊技球発射レバー41が操作された際に発生する動力を利用して、遊技球の供給が実行される。これにより、遊技球の供給を行うための電気的構成の追加を不要とし、制御負荷の増加を一層好適に回避できる。
【0144】
遅延装置300の第2スライド部材330はダンパ装置400に接続されており、このダンパ装置400によって第2スライド部材330の移動に対する抗力を発生させる構成とした。例えば、遊技球発射レバー41を初期位置に向けて付勢するコイルバネ239の付勢力よりも第2スライド部材330を付勢するコイルバネ440の付勢力を弱く設定することも可能であるが、この場合、第2スライド部材330が移動する際の安定性が低下すると想定される。この点、ダンパ装置400のケース体410及びピストン430によって第2スライド部材330の移動を抑える構成とすれば、上記コイルバネ440を強めに設定し、第2スライド部材330がスライド移動する際の安定性を向上できる。
【0145】
第2スライド部材330は、ワイヤ360を介して発射部材201に繋がってり、遊技球発射レバー41が発射準備位置へ押し下げられた場合には、この操作力によって移動し、遊技球が発射される際には、このワイヤ360が弛むことによりコイルバネ239の付勢力が同第2スライド部材330に伝わることなく上記コイルバネ440の付勢力によって初期位置に復帰する構成とした。このように第2スライド部材330に操作力を伝達する「伝達手段」としてワイヤ360を採用することにより、第2スライド部材330の初期位置への復帰を好適に遅らせることが可能となっている。
【0146】
遊技球の発射規制に関する構成を遅延装置300に集めてユニット化している。これにより、遅延装置300のメンテナンス性の向上に貢献できる。
【0147】
また遊技球発射レバー41の初期位置→発射準備位置→初期位置の切り替えによって1の遊技球が発射待機位置WPへ供給される。このように遊技球発射レバー41に連動して球送装置203が遊技球の供給を行う構成においては、遊技球発射レバー41が連続操作されて想定以上の遊技球が供給されると、遊技球の発射が困難になるといった不都合を生じ得る。この点、本実施の形態においては、遊技球発射レバー41の操作が所定期間中は不可となるため、これに併せて球送装置203の動作も規制されることとなる。つまり、遊技球発射レバー41に連動して遊技球を供給する構成を採用しつつ、想定以上の遊技球が供給されて遊技球の発射が困難になるといった不都合を生じにくくすることができる。
【0148】
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
【0149】
(1)上記実施の形態では、遊技球発射レバー41を初期位置にて操作不能にロックする構成としたが、これを変更し、同遊技球発射レバー41を発射準備位置にて操作不能にロックする構成としてもよい。
【0150】
但し、このような変更を行った場合、ロック解除時にコイルバネ239の付勢力によって遊技者の意図とは関係なく遊技球発射レバー41が動き出すと想定される。このように遊技球発射レバー41が突如として動き出すことは、同遊技球発射レバー41が指等に衝突する要因となり得るため好ましくない。故に、望ましくは上記実施の形態に示したように遊技球発射レバー41を初期位置にてロックするとよい。
【0151】
(2)上記実施の形態では、遊技球発射レバー41が初期位置へ復帰する過程にて発射準備位置への移動を不可とする構成としたが、これを変更し、初期位置へ復帰した場合に発射準備位置への移動を不可とすることも可能である。
【0152】
(3)上記実施の形態では、「操作部」としての遊技球発射レバー41及び発射部材201と第1スライド部材310とを共にコイルバネ239を用いて付勢したが、これに限定されるものではない。第1スライド部材310用の付勢部材を個別に設けてもよい。
【0153】
更には、第1スライド部材310は必須の構成ではなく、これを省略し同第1スライド部材310に相当する構成を発射部材201のベース部211に形成することも可能である。但し、このような変更を行った場合、併せて以下の変更を行うことが好ましい。すなわち、「可動部」としての第2スライド部材330を、ベース部211の外周に沿って回動可能とし、更には、回動可能な第2スライド部材330に対応するダンパ装置を採用するとよい。
【0154】
(4)上記実施の形態では、第2スライド部材330が自重によって第1スライド部材310の傾斜部324を下る構成としたが、第2スライド部材330を下方に付勢する付勢部材(例えば板バネ等)を設けてもよい。
【0155】
(5)上記実施の形態では、「抗力発生手段」としてのダンパ装置400が空気抵抗により「抗力」を発生する構成としたが、これに限定されるものではない。例えばダンパ装置400に代えて摩擦力発生装置を採用しその摩擦抵抗により上記抵抗を発生する構成としてもよい。また、磁力発生装置を採用しその磁力により上記抵抗を発生する構成としてもよい。
【0156】
なお、コイルバネ440は必ずしもケース体410に内蔵する必要はなく、ケース体410の外部に配設してもよい。更には、ダンパ装置400とは別個独立して配設することも可能である。
【0157】
(6)上記実施の形態では、第2スライド部材330と発射部材201とを「伝達手段」としてのワイヤ360によって繋いだが、ワイヤ360に代えてゴムやリンク部材を採用してもよい。但し、リンク部材を採用する場合には、遊技球発射レバー41が発射準備位置へ押し下げられる際には緊張状態となって第2スライド部材330を牽引可能となる一方で、同遊技球発射レバー41が初期位置へ復帰する際には撓む等して第2スライド部材330を押さないように構成することが望ましい。
【0158】
(7)上記実施の形態では、「操作部」としての遊技球発射レバー41に加わる動力を利用してロックレバー450を動作させる構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、ロックレバー450を動作させる動力発生装置(例えばソレノイド)及び、同動力発生装置を制御する制御装置等を設け、ロックレバー450を電力を利用して動作させる構成とすることも可能である。
【0159】
(8)上記実施の形態では、球送装置203が遊技球発射レバー41の操作に連動して遊技球の供給を行う構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、発射待機位置WPに待機している遊技球を検知可能な検知センサや、その検知センサからの検知上方に基づいて可動通路280を駆動する駆動装置(ソレノイド等)を採用し、遊技球の供給を電気的に制御する構成としてもよい。
【0160】
(9)上記実施の形態では、「遅延機構」としての遅延装置300を発射部材201と発射レール202との間に配置したが、遅延装置300の配置は任意であり、例えば発射レール202の下方に配置することも可能である。
【0161】
(10)上記実施の形態では、「操作部」としての遊技球発射レバー41を回動式としたが、これに限定されるものではない。例えば、「操作部」をスライド式とすることも可能である。
【0162】
(11)上記実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると制御装置により抽選がなされその結果大当たりに当選した場合に電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置に設けられた複数の領域のうち予め定められた特定の領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
【0163】
<上記実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0164】
特徴1.操作部(遊技球発射レバー41)を有し、その操作部が初期状態から発射準備状態となるように操作された後に付勢力によって前記初期状態に復帰する場合に遊技球を発射する発射機構(遊技球発射機構110)と、
前記操作部を操作不能にロックするロック状態及びロック解除状態に切替可能なロック機構(遅延装置300)と、
前記ロック機構が前記ロック状態である場合に、予め定められた特定期間が経過するまで前記ロック解除状態への切り替えを遅らせる遅延機構(遅延装置300)と
を備え、
前記遅延機構によって前記ロック機構の前記ロック状態から前記ロック解除状態への切り替えを遅らせることにより、単位時間あたりの遊技球の発射数が予め定められた数よりも少なくなるように規制することを特徴とする遊技機。
【0165】
特徴1によれば、発射待機状態に切り替えられた操作部が付勢力によって初期状態に復帰することにより、発射機構から遊技球が発射される。このように操作部の切替操作によって遊技球を発射する構成においては、遊技球の発射間隔が遊技者の意思や技量等に依存し得るため、例えば遊技球の発射間隔を短縮して単位時間に取得可能な遊技球の数を増やすといった試みがなされると想定される。仮にこのような発射間隔の短縮による獲得遊技球数の増加が許容されると、遊技者の射幸心を過度に煽ることとなり、健全な遊技ホールの運営に支障を来たすと懸念される。この点、本特徴においては、ロック機構によって操作部を操作不能にロックするとともに、遅延機構によって特定期間が経過するまでロック解除状態への切り替えを遅らせることで、発射間隔が過度に短縮されることを抑制できる。これにより、上記不都合を払拭し、遊技の健全性を高めることができる。
【0166】
特徴2.前記操作部が前記発射準備状態となるように操作された場合にその発射操作に基づいて同操作部に加わる動力、及び前記操作部が前記付勢力によって前記初期状態に復帰する場合に同操作部に加わる動力を前記ロック機構に伝達する伝達手段(例えば発射部材201の板状部235やワイヤ360)を備え、
前記ロック機構は、前記動力を利用して前記ロック状態と前記ロック解除状態とに切り替るように構成されていることを特徴とする特徴1に記載の遊技機。
【0167】
特徴2によれば、操作部に加わる動力を利用してロック機構の切り替えを行うことにより、電気的構成を省略できる。これにより遊技機における電気的構成の簡略化を促進することができる。
【0168】
特徴3.前記ロック機構は、前記ロック状態である場合に、前記操作部の前記初期状態から前記発射準備状態への切り替りを不可とするように構成されていることを特徴とする特徴1又は特徴2に記載の遊技機。
【0169】
特徴3によれば、例えば操作部を指等によって発射準備状態に切り替えた後は、指等を操作部から離すことにより任意のタイミングで遊技球を発射させることができる。これにより、操作部を操作不能にロックする構成を採用しつつ、それに伴う操作自由度の低下を好適に抑制できる。
【0170】
また、特徴1等に示した構成を実現する場合、例えば発射準備位置にて操作部をロックすることも可能である。しかしながらこの場合、ロック解除時に上記付勢力によって遊技者の意図とは関係なく操作部が動き出すと想定される。このように、操作部が突如として動き出す場合、同操作部が指等に衝突する要因となり得るため好ましくない。
【0171】
この点、本特徴に示すように初期状態にて操作部をロックすれば、発射準備状態に切り替え後、操作部から指等を離すことにより任意のタイミングで同操作部を初期状態に復帰させることができる。このため、動き出した操作部の復帰タイミングを明確にすることができ、上記不都合の発生を好適に抑えることができる。
【0172】
特徴4.前記ロック機構は、前記操作部が前記発射準備状態から前記初期状態に復帰する場合に前記ロック状態に切り替わるとともに、前記操作部の前記初期状態への復帰タイミングから前記特定期間が経過するまで前記ロック状態に維持されることを特徴とする特徴1乃至特徴3のいずれか1つに記載の遊技機。
【0173】
特徴1に示したように単位時間あたりの遊技球の発射数が予め定められた数よりも少なくなるように規制するには、本特徴に示すように操作部の初期状態への復帰タイミングから予め定められた特定期間が経過するまでロック機構をロック状態で維持するとよい。これにより、遊技球の発射間隔が過度に短縮されることを好適に抑制できる。
【0174】
特徴5.前記ロック機構は、前記操作部の前記発射準備状態への移行を阻止する阻止位置及び前記移行を可能とする阻止解除位置に移動可能に設けられた阻止部材(ロックレバー450)と、
前記阻止部材を前記阻止解除位置へ付勢する付勢手段(コイルバネ460)と
を有し、
前記阻止部材は、前記操作部が前記初期状態に復帰する場合に前記阻止解除位置から前記阻止位置へ前記付勢手段の付勢力に抗して移動し、その後、同付勢手段の付勢力により前記阻止解除位置へ復帰するように構成されており、
前記遅延機構は、前記阻止部材を前記付勢手段の付勢力に抗して前記阻止位置に保持することにより同阻止部材の前記阻止解除位置への復帰を前記操作部の前記初期状態への復帰タイミングから前記特定期間が経過するまで遅らせるように構成されていることを特徴とする特徴1乃至特徴3のいずれか1つに記載の遊技機。
【0175】
特徴5によれば、操作部が初期状態に復帰する場合に阻止部材が阻止位置に移動し、発射準備状態への切り替えが不可となる。阻止位置に移動した阻止部材は付勢手段の付勢力によって阻止解除位置に復帰しようとするが、この復帰が遅延機構によって妨げられることとなる。そして、操作部の初期状態への復帰タイミングから予め定められた特定期間が経過した後に阻止部材が阻止解除位置へ移動することにより次の遊技球の発射が許容される。すなわち、阻止部材の阻止解除位置への復帰が遅延されている間は次の遊技球の発射が不可となる。故に、特徴1等に示した健全性向上効果を好適に享受することができる。
【0176】
特徴6.前記付勢手段は第1付勢手段であり、
前記遅延機構は、
前記操作部が前記初期状態から前記発射準備状態に切り替えられる場合に、同操作部に連動して第1位置から第2位置へ移動する可動部(第2スライド部材330)と、
前記可動部を前記第1位置へ向けて付勢する第2付勢手段(ダンパ装置400のコイルバネ239)と
を有し、
前記可動部は、前記操作部が前記発射準備状態から前記初期状態に復帰する場合に、前記第2付勢手段の付勢力によって前記第1位置に復帰するとともに、前記操作部の復帰に対して遅れるように構成されており、
前記ロック機構は、前記可動部が前記第1位置にある場合には前記ロック解除状態となり、前記可動部が前記第2位置から前記第1位置に復帰するまでの間は前記ロック状態に維持されることを特徴とする特徴5に記載の遊技機。
【0177】
特徴6によれば、操作部が初期状態から発射準備状態に切り替られると、同操作部に連動して可動部が第2付勢手段の付勢力に抗して第2位置へ移動する。その後、操作部が初期状態に復帰する場合には、第2付勢手段の付勢力によって可動部も第1位置へ復帰する。この際、操作部の復帰に対して可動部の復帰が遅れることとなり、同可動部が遅れている間は阻止部材が阻止位置に待機することでロック機構がロック状態に維持されることとなる。これにより、特徴5に示した構成を好適に実現できる。
【0178】
特徴7.前記遅延機構は、前記可動部の移動に抗する抗力を発生する抗力発生部(ダンパ装置400のケース体410及びピストン430)を有していることを特徴とする特徴6に記載の遊技機。
【0179】
特徴6に示したように可動部の復帰を操作部の復帰に対して遅らせる構成においては、例えば第2付勢手段の付勢力を、操作部に作用する付勢力よりも弱く設定することも可能である。しかしながら、このように付勢力の強弱によって遅延期間を設定する場合、第2付勢手段の付勢力を比較的弱く設定する必要が生じ、可動部の復帰動作を安定させることが難しくなると想定される。この点、本特徴に示すように抗力発生部を採用すれば、付勢力を過度に弱める必要がなくなり、可動部の動作を好適に安定させることができ、実用上好ましい構成を実現できる。
【0180】
特徴8.前記可動部は、
前記第1位置及び前記第2位置間の移動方向とは異なる方向にも移動可能に設けられているとともに、
その異なる方向に移動することにより、前記阻止部材を前記阻止位置へ向けて押圧する押圧位置又は非押圧位置に配置され、
さらに、前記非押圧位置側に付勢されており、
前記遅延機構は、
前記操作部が前記発射準備状態から前記初期状態に復帰する場合に、前記可動部を前記押圧位置へ案内する案内部(第1スライド部材310の傾斜部324)と、
前記案内部によって前記押圧位置へ案内された前記可動部が前記第2位置に位置している場合に、同可動部の前記非押圧位置への移動を規制する規制部(第1スライド部材310の上面325)と
を有し、
前記可動部は、前記第2付勢手段の付勢力によって前記第1位置へ復帰することにより前記規制部による規制が解除され、前記非押圧位置に復帰することを特徴とする特徴6又は特徴7に記載の遊技機。
【0181】
特徴8によれば、特徴6等に示した構成を好適に実現できる。具体的には、操作部が初期状態へ復帰する場合、可動部は案内部によって押圧位置へ案内される。その後、同可動部は規制部によって非押圧位置への移動が規制され、押圧位置に留まることとなる。そして第2付勢手段の付勢力によって第1位置へ復帰することにより規制部による規制が解除され、非押圧位置へ向けての付勢力により同非押圧位置へ移動する。これにより、阻止部材が第1付勢手段の付勢力によって阻止解除位置に復帰し、操作部の操作が可能となる。これにより、特徴6等に示したように可動部の第1位置への復帰が遅延されている間は操作部の操作を不可とし、可動部の第1位置への復帰が完了することで操作部の操作を許容することができ、遅延に関する構成を好適に実現することができる。
【0182】
なお、特徴2との組み合わせ(伝達手段を有する構成)においては特に、可動部と操作部又は操作部に連結されている連結部材とを、撓み変形可能に形成された伝達部材(例えばワイヤ)を介して繋ぐとよい。操作部が発射準備状態となるように操作された際には、伝達部材が緊張することにより操作力を可動部へと伝達し同操作力によって可動部を第1位置から第2位置へ移動させることができる。また、操作部が初期状態に復帰する際には伝達部材が弛むことにより操作部に生じる動力が可動部に伝わらないようにすることで可動部を第2付勢手段の付勢力によって第1位置へ移動させることができる。
【0183】
特徴9.前記発射機構は、
遊技球を予め定められた発射待機位置に保持する保持部(発射レール202)と、
前記操作部の発射動作に連動して1の遊技球を前記発射待機位置に供給する供給機構(球送装置203)と
を有していることを特徴とする特徴1乃至特徴8のいずれか1つに記載の遊技機。
【0184】
特徴9によれば、操作部の発射動作に連動して1の遊技球が発射待機位置へ供給される。本特徴に示す構成を特徴1等(操作部がロックされる構成)に適用することにより、操作部の切り替えが不可となっている場合には次の遊技球の供給を規制することができる。つまり、操作部に連動して遊技球を供給する構成を採用しつつ、想定以上の遊技球が供給されて遊技球の発射が困難になるといった不都合を生じにくくすることができる。
【0185】
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
【0186】
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射レバー41)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(誘導レール100)と、遊技領域内に配置された各遊技部品(釘89等)とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部(一般入賞口81等)を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
【符号の説明】
【0187】
10…遊技機としてのパチンコ機、41…操作部としての遊技球発射レバー、110…発射機構としての遊技球発射機構、201…発射部材、202…保持部としての発射レール、203…供給機構としての球送装置、205…球ストッパ、239…コイルバネ、300…遅延機構としての遅延装置、310…第1スライド部材、324…案内部としての傾斜部、325…保持部としての上面、330…可動部としての第2スライド部材、400…ダンパ装置、410…抗力発生部を構成するケース体、430…抗力発生部を構成するピストン、440…第2付勢手段としてのコイルバネ、450…阻止部材としてのロックレバー、460…第1付勢手段としてのコイルバネ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部を有し、その操作部が初期状態から発射準備状態となるように操作された後に付勢力によって前記初期状態に復帰する場合に遊技球を発射する発射機構と、
前記操作部を操作不能にロックするロック状態及びロック解除状態に切替可能なロック機構と、
前記ロック機構が前記ロック状態である場合に、予め定められた特定期間が経過するまで前記ロック解除状態への切り替えを遅らせる遅延機構と
を備え、
前記遅延機構によって前記ロック機構の前記ロック状態から前記ロック解除状態への切り替えを遅らせることにより、単位時間あたりの遊技球の発射数が予め定められた数よりも少なくなるように規制することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記ロック状態である場合に、前記操作部の前記初期状態から前記発射準備状態への切り替りを不可とするように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記操作部が前記発射準備状態から前記初期状態に復帰する場合に前記ロック状態に切り替わるとともに、前記操作部の前記初期状態への復帰タイミングから前記特定期間が経過するまで前記ロック状態に維持されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記ロック機構は、前記操作部の前記発射準備状態への移行を阻止する阻止位置及び前記移行を可能とする阻止解除位置に移動可能に設けられた阻止部材と、
前記阻止部材を前記阻止解除位置へ付勢する付勢手段と
を有し、
前記阻止部材は、前記操作部が前記初期状態に復帰する場合に前記阻止解除位置から前記阻止位置へ前記付勢手段の付勢力に抗して移動し、その後、同付勢手段の付勢力により前記阻止解除位置へ復帰するように構成されており、
前記遅延機構は、前記阻止部材を前記付勢手段の付勢力に抗して前記阻止位置に保持することにより同阻止部材の前記阻止解除位置への復帰を前記操作部の前記初期状態への復帰タイミングから前記特定期間が経過するまで遅らせるように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技機。
【請求項5】
前記付勢手段は第1付勢手段であり、
前記遅延機構は、
前記操作部が前記初期状態から前記発射準備状態に切り替えられる場合に、同操作部に連動して第1位置から第2位置へ移動する可動部と、
前記可動部を前記第1位置へ向けて付勢する第2付勢手段と
を有し、
前記可動部は、前記操作部が前記発射準備状態から前記初期状態に復帰する場合に、前記第2付勢手段の付勢力によって前記第1位置に復帰するとともに、前記操作部の復帰に対して遅れるように構成されており、
前記ロック機構は、前記可動部が前記第1位置にある場合には前記ロック解除状態となり、前記可動部が前記第2位置から前記第1位置に復帰するまでの間は前記ロック状態に維持されることを特徴とする請求項4に記載の遊技機。
【請求項6】
前記遅延機構は、前記可動部の移動に抗する抗力を発生する抗力発生部を有していることを特徴とする請求項5に記載の遊技機。
【請求項1】
操作部を有し、その操作部が初期状態から発射準備状態となるように操作された後に付勢力によって前記初期状態に復帰する場合に遊技球を発射する発射機構と、
前記操作部を操作不能にロックするロック状態及びロック解除状態に切替可能なロック機構と、
前記ロック機構が前記ロック状態である場合に、予め定められた特定期間が経過するまで前記ロック解除状態への切り替えを遅らせる遅延機構と
を備え、
前記遅延機構によって前記ロック機構の前記ロック状態から前記ロック解除状態への切り替えを遅らせることにより、単位時間あたりの遊技球の発射数が予め定められた数よりも少なくなるように規制することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記ロック状態である場合に、前記操作部の前記初期状態から前記発射準備状態への切り替りを不可とするように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記操作部が前記発射準備状態から前記初期状態に復帰する場合に前記ロック状態に切り替わるとともに、前記操作部の前記初期状態への復帰タイミングから前記特定期間が経過するまで前記ロック状態に維持されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記ロック機構は、前記操作部の前記発射準備状態への移行を阻止する阻止位置及び前記移行を可能とする阻止解除位置に移動可能に設けられた阻止部材と、
前記阻止部材を前記阻止解除位置へ付勢する付勢手段と
を有し、
前記阻止部材は、前記操作部が前記初期状態に復帰する場合に前記阻止解除位置から前記阻止位置へ前記付勢手段の付勢力に抗して移動し、その後、同付勢手段の付勢力により前記阻止解除位置へ復帰するように構成されており、
前記遅延機構は、前記阻止部材を前記付勢手段の付勢力に抗して前記阻止位置に保持することにより同阻止部材の前記阻止解除位置への復帰を前記操作部の前記初期状態への復帰タイミングから前記特定期間が経過するまで遅らせるように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技機。
【請求項5】
前記付勢手段は第1付勢手段であり、
前記遅延機構は、
前記操作部が前記初期状態から前記発射準備状態に切り替えられる場合に、同操作部に連動して第1位置から第2位置へ移動する可動部と、
前記可動部を前記第1位置へ向けて付勢する第2付勢手段と
を有し、
前記可動部は、前記操作部が前記発射準備状態から前記初期状態に復帰する場合に、前記第2付勢手段の付勢力によって前記第1位置に復帰するとともに、前記操作部の復帰に対して遅れるように構成されており、
前記ロック機構は、前記可動部が前記第1位置にある場合には前記ロック解除状態となり、前記可動部が前記第2位置から前記第1位置に復帰するまでの間は前記ロック状態に維持されることを特徴とする請求項4に記載の遊技機。
【請求項6】
前記遅延機構は、前記可動部の移動に抗する抗力を発生する抗力発生部を有していることを特徴とする請求項5に記載の遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−4843(P2011−4843A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149547(P2009−149547)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】
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