説明

遊技機

【課題】遊技球をブレが少ない安定した状態で発射し、遊技球の飛球軌道を安定させる遊技機を提供する。
【解決手段】遊技球7を遊技領域6に向けて発射する発射装置16を備えるパチンコ遊技機1において、発射装置は、傾斜下端部に遊技球発射位置23が設定され、該遊技球発射位置から遊技領域へ向けて上り傾斜するように上面がV字状の溝に成形された発射レール22と、遊技球発射位置に供給された遊技球を発射する発射杵24と、を取付部材41に取り付けて構成され、発射杵は、遊技球と接触する弾発部24cを弾性部材で構成するとともに、該弾発部の先端面に縦方向の溝を形成して凹ませ、遊技球の中心を通り前記発射レールの延設方向に平行な鉛直面を挟んで左右両側から遊技球に発射勢を加える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球を遊技領域に向けて発射する発射装置を備えたパチンコ遊技機などの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技機、例えばパチンコ遊技機において、遊技球を発射する発射装置は、発射杵によって遊技球を弾発し、遊技領域に向けて延設された発射レールに沿って発射するように構成されている。この発射杵は、遊技球に衝接して当該遊技球の弾発を行う位置である遊技球発射位置と、この遊技球発射位置から離隔した待機位置との間を往復回動可能に構成されており、遊技球の連続的発射が可能となっている。このような発射装置において、遊技球と接触する発射杵の先端面に横向き(水平状)の凹溝部を設けることで、遊技球をすばやく発射レールから引き離し、遊技球の飛距離を長くするものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−204699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のような発射杵は、弾発直後に遊技球をすばやく発射レールから引き離してしまうため、弾発後の遊技球が予め設定した発射方向とは異なる方向、詳しくは発射方向と略直交する発射レールの幅方向に揺動し易い。この結果、所謂ブレを生じた不安定な状態で遊技領域に発射されてしまい、遊技者の思い描く遊技球の飛球軌道とならない場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技球をブレが少ない安定した状態で発射し、遊技球の飛球軌道を安定させる遊技機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記した目的を達成するために提案されたもので、請求項1に記載のものは、遊技球を遊技領域に向けて発射する発射装置を備える遊技機において、
前記発射装置は、
傾斜下端部に遊技球発射位置が設定され、該遊技球発射位置から前記遊技領域へ向けて上り傾斜するように上面がV字状の溝に成形された発射レールと、
前記遊技球発射位置に供給された遊技球を発射する発射杵と、
を取付部材に取り付けて構成され、
前記発射杵は、
遊技球と接触する弾発部を弾性部材で構成するとともに、該弾発部の先端面に縦方向の溝を形成して凹ませ、
遊技球の中心を通り前記発射レールの延設方向に平行な鉛直面を挟んで左右両側に前記弾発部の先端溝内面を当接して遊技球に発射勢を加えることを特徴とする遊技機である。
【0007】
請求項2に記載のものは、前記弾発部の先端面が、前記遊技球発射位置で待機している遊技球に対して、複数個所又は円弧帯状に接触可能としたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機である。
【0008】
請求項3に記載のものは、前記発射杵が、回動軸により軸着され、前記弾発部が回動軸周りに回動自在となるように構成され、
前記弾発部の先端面は、
前記遊技球発射位置における前記発射レールの延設方向と成す角が前記発射レールの下り傾斜方向に向かって尖った鋭角となるように傾斜し、
前記遊技球発射位置で待機している遊技球と、遊技球の中心を通り前記回動軸方向および前記発射レールの延設方向に平行な仮想断面よりも上半側で接することを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機である。
【0009】
請求項4に記載のものは、前記弾発部の先端面が、
前記遊技球発射位置で待機している遊技球と、該遊技球に接触したときから離れるまでの間に亘って、前記仮想断面よりも上半側で接していることを特徴とする請求項3に記載の遊技機である。
【0010】
請求項5に記載のものは、前記発射装置が、
球受入口から受け入れた遊技球を前記発射レールへ送出する球送り部材を備え、
該球送り部材の上面の球受面には、断面V字状の溝が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の遊技機である。
【0011】
請求項6に記載のものは、前記球送り部材に形成されているV字状の溝と、前記発射レールに形成されているV字状の溝とは、同じ平面に沿って形成されていることを特徴とする請求項5に記載の遊技機である。
【0012】
請求項7に記載のものは、前記発射装置が、
前記発射杵を前記遊技球発射位置に向けて付勢する付勢部材と、
該付勢部材の付勢力に抗して前記遊技球発射位置から離隔する方向に前記発射杵の弾発部を移動して、前記発射杵に遊技球の発射動作を行わせる駆動源と、
球受入口から受け入れた遊技球を前記発射レールへ送出する球送り部材と、
を前記取付部材に取り付けて構成され、
前記球送り部材は、前記発射杵の発射動作に連動して、遊技球を1個ずつ前記遊技球発射位置に供給することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の遊技機である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、遊技球を遊技領域に向けて発射する発射装置を備える遊技機において、発射装置は、傾斜下端部に遊技球発射位置が設定され、該遊技球発射位置から遊技領域へ向けて上り傾斜するように上面がV字状の溝に成形された発射レールと、遊技球発射位置に供給された遊技球を発射する発射杵と、を取付部材に取り付けて構成され、発射杵は、遊技球と接触する弾発部を弾性部材で構成するとともに、該弾発部の先端面に縦方向の溝を形成して凹ませ、遊技球の中心を通り前記発射レールの延設方向に平行な鉛直面を挟んで左右両側に前記弾発部の先端溝内面を当接して遊技球に発射勢を加えるようにしたので、遊技球をブレが少ない安定した状態で発射することができ、遊技球の飛球軌道を安定させることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、弾発部の先端面が、遊技球発射位置で待機している遊技球に対して、複数個所又は円弧帯状に接触可能としたので、遊技球をブレがより少ない安定した状態で発射することができ、遊技球の飛球軌道を一層安定させることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、発射杵が、回動軸により軸着され、弾発部が回動軸周りに回動自在となるように構成され、弾発部の先端面は、遊技球発射位置における発射レールの延設方向と成す角が発射レールの下り傾斜方向に向かって尖った鋭角となるように傾斜し、遊技球発射位置で待機している遊技球と、遊技球の中心を通り回動軸方向および発射レールの延設方向に平行な仮想断面よりも上半側で接するようにしたので、遊技球を発射レールに押し付けるように発射勢を加えることができ、発射レールからの早期離脱を防止できる。このため、発射レールのガイドによって、遊技球のブレを抑えることができ、遊技球の飛球軌道を一層安定させることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、弾発部の先端面が、遊技球発射位置で待機している遊技球と、遊技球に接触したときから離れるまでの間に亘って、前記仮想断面よりも上半側で接しているので、遊技球に接触した瞬間だけでなく、遊技球から離れるまでの間でも遊技球を発射レールに押し付けるように発射勢を加え続けることができ、発射レールからの早期離脱をより防止できる。このため、発射レールのガイドによって、遊技球のブレを一層抑えることができ、遊技球の飛球軌道を更に安定させることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、発射装置が、球受入口から受け入れた遊技球を前記発射レールへ送出する球送り部材を備え、該球送り部材の上面の球受面には、断面V字状の溝が形成されているので、球送り部材が球受入口から遊技球を受け入れる際に、遊技球のブレを抑制できる。したがって、遊技球をブレが生じていない状態でスムーズに球送り部材から遊技球発射位置に送ることができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、球送り部材に形成されているV字状の溝と、発射レールに形成されているV字状の溝とは、同じ平面に沿って形成されているので、遊技球を球送り部材から発射レールの遊技球発射位置に送る際にブレが発生することを抑えることができる。このため、遊技球をブレが少ない安定した状態で発射することができ、遊技球の飛球軌道を安定させることができる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、発射装置が、発射杵を遊技球発射位置に向けて付勢する付勢部材と、該付勢部材の付勢力に抗して遊技球発射位置から離隔する方向に発射杵の弾発部を移動して、発射杵に遊技球の発射動作を行わせる駆動源と、球受入口から受け入れた遊技球を発射レールへ送出する球送り部材と、を取付部材に取り付けて構成され、球送り部材は、発射杵の発射動作に連動して、遊技球を1個ずつ遊技球発射位置に供給するので、遊技球が供給されていない状態で発射杵が動いて空振りする不都合がない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】パチンコ遊技機の斜視図である。
【図2】透明部材保持枠を開放して遊技盤を前方に取り外した状態におけるパチンコ遊技機の斜視図である。
【図3】(a)は球流出口が塞がれた状態の球こぼれ防止ユニットの背面図、(b)は球流出口が開いた状態の球こぼれ防止ユニットの背面図である。
【図4】前面枠本体の斜視図である。
【図5】(a)は発射装置の正面図、(b)は発射装置の背面図である。
【図6】発射装置の分解斜視図である。
【図7】(a)は発射杵の弾発部が遊技球に接触した瞬間の正面図、(b)は(a)におけるA−A断面図、(c)は発射杵の弾発部が遊技球に接触した瞬間の拡大断面図、(d)は他の形状の発射杵の弾発部が遊技球に接触した瞬間の拡大断面図である。
【図8】発射装置の要部における発射動作の状態図であり、(a)は発射杵の弾発部が遊技球に接触した瞬間の状態図、(b)は遊技球が発射杵の弾発部から離れる瞬間の状態図である。
【図9】発射装置の発射動作の状態図であり、(a)は発射杵が後退している途中の状態図、(b)は発射杵が遊技球を弾発した直後の状態図である。
【図10】(a)は第2実施形態における発射杵の斜視図、(b)は第2実施形態における弾発部が遊技球に接触した瞬間の拡大断面図である。
【図11】(a)は第3実施形態における発射杵の斜視図、(b)は第3実施形態における弾発部が遊技球に接触した瞬間の拡大断面図である。
【図12】(a)は第4実施形態における球送り部材の斜視図、(b)は第4実施形態における発射装置の拡大斜視図である。
【図13】第4実施形態における球送り部材、発射杵、および発射レールの発射方向側からの斜視図である。
【図14】第5実施形態における発射装置の状態図であり、(a)は発射杵が後退している途中の状態図、(b)は発射杵が遊技球を弾発した直後の状態図、(c)は発射待機位置弾発部に発射杵が接触した状態の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は代表的な遊技機であるパチンコ遊技機1の斜視図、図2は遊技盤6を取り外した状態におけるパチンコ遊技機1の斜視図、図4は前面枠3の斜視図である。
【0022】
本実施形態に示すパチンコ遊技機1は、図1および図2に示すように、機枠2(外枠あるいは本体枠)に、大きな開口部を有する額縁状の前面枠3(内枠)を開閉可能に軸着し、この前面枠3のベースとなる前面枠本体4に矩形状の遊技盤5を前方から収納可能とし、遊技盤5の表面には遊技領域6を区画形成している。また、前面枠3の前側には、一側(図2中、左側)が軸着された透明部材保持枠9を開閉可能に設け、該透明部材保持枠9に透視可能な透明部材10を保持し、透明部材10を通して遊技領域6をパチンコ遊技機1の前方から透視できるように構成している。さらに、透明部材保持枠9の下部には、上皿ユニット11を設け、該上皿ユニット11の下方には、下皿ユニット15を上皿ユニット11の貯留皿12に対して左右方向にずれた位置に配置している。そして、下皿ユニット15の側部(図1中、右側部)には、後述する発射装置16を操作するための発射操作ハンドル17を備えている。
【0023】
上皿ユニット11は、透明部材保持枠9の下部に一体的に設けられ、前面側に貯留皿12を備え、裏面側に球こぼれ防止ユニット36を備えている。貯留皿12は、発射装置16へ供給する遊技球7を一時貯留するためのものであり、一側寄り、詳しくは透明部材保持枠9の軸着側寄り(図1中、左寄り)に、上皿球出口14を開設し、他側寄りには、球流出口13を開設している。球こぼれ防止ユニット36は、透明部材保持枠9が開かれたときに、球流出口13から貯留皿12内の遊技球7が透明部材保持枠9の後方へ流下することを阻止するためのものであり、図2および図3に示すように、透明部材保持枠9の裏面側に取り付けられる球こぼれ防止ベース37を設け、該球こぼれ防止ベース37の内部に、球流出口13の一部を成す球送出口38を形成している。また、球送出口38は、透明部材保持枠9を前面枠本体4に対して閉じた状態で、後述する発射装置16の球受入口26に連通するように設けられている。
【0024】
また、球こぼれ防止ユニット36は、球流出口13を開閉可能な略L字形状の球こぼれ防止部材39を透明部材保持枠9(あるいは上皿ユニット11、球こぼれ防止ベース37)に対して回動可能に軸着している。この球こぼれ防止部材39は、コイルばね等の付勢具(図示せず)により、開状態から閉状態へ変換する方向に付勢されている。言い換えると、常態では球流出口13が閉状態となるように付勢されている(図3(a)参照)。そして、前面枠本体4の前面に突設された突起部27(図2および図4参照)と係合することにより、透明部材保持枠9の開閉動作に伴って状態変換することができる(図3(b)参照)。なお、突起部27は、前端面を透明部材保持枠9の開放側(図4中、右側)から軸着側(図4中、左側)へ向かって前方へ傾斜させて、当接した球こぼれ防止部材39を摺動させる台形状のカム面となるように形成されている。
【0025】
このような構成により、透明部材保持枠9を閉じる方向に回動すると、突起部27が球こぼれ防止部材39を摺接しながら付勢具の付勢力に抗して移動し、球こぼれ防止部材39をパチンコ遊技機1の正面から見て時計回りに回動させて開状態に変換する。また、透明部材保持枠9を開く方向に回動すると、突起部27が球こぼれ防止部材39の閉状態への変換を許容し、球こぼれ防止部材39が、付勢具の付勢力により、パチンコ遊技機1の正面から見て反時計回りに回動して閉状態に変換する。このため、遊技盤5の交換等の理由によりパチンコ遊技機1の透明部材保持枠9を開いたとしても、上皿ユニット11内の遊技球7が球流出口13からこぼれ落ちることがない。
【0026】
次に、前面枠本体4について説明する。前面枠本体4は、図2および図4に示すように、開口部を有する額縁状を呈し、遊技盤収納フレーム部19を一体成型した大きな合成樹脂製の枠体であり、遊技盤収納フレーム部19内に遊技盤5を着脱可能な状態で収納している。この前面枠本体4の前面の下部には、一側寄り、詳しくは透明部材保持枠9の軸着側寄り(図4中、左寄り)の位置に、遊技球7を賞球または貸球として排出する球排出口20を開設し、透明部材保持枠9を閉じた状態で球排出口20を上皿ユニット11の上皿球出口14へ連通し、遊技球7が球排出口20から排出されて上皿ユニット11へ流入するように構成されている。そして、前面枠本体4の前面の下部の他側寄り(図4中、右寄り)の位置には、遊技盤5よりも下方の位置から遊技球7を遊技領域6へ向けて発射可能な発射装置16を備えている。発射装置16は、遊技盤5の一側(図4中、左側)に形成された発射通路21の下端へ向けて上り傾斜する延在姿勢で発射レール22を備え、該発射レール22の下部に設定された遊技球発射位置23から遊技球7を発射杵24で弾発するように構成されている。また、発射装置16の前面に球送りカバー部材25を装着し、該球送りカバー部材25には、球こぼれ防止部材39に摺接する突起部27と、透明部材保持枠9を閉じた状態で上皿ユニット11の球流出口13と連通し、発射装置16に遊技球7を送出する球受入口26を開口している。なお、発射装置16の構成については、後で詳細に説明する。
【0027】
さらに、前面枠本体4の前面の下部のうち球排出口20と発射装置16との間に位置する中央部分には、回収路形成パネル28を止着してファール球回収路29を形成している。該ファール球回収路29は、上流端を発射装置16(または、発射レール22の傾斜上端)と発射通路21の下端との間に開設して、ファール球(発射装置16から発射されて発射通路21内を飛翔したが遊技領域6に進入せずに逆流して発射装置16側へ戻ってくる遊技球7)を回収可能としている。また、ファール球回収路29は、下流端を下皿ユニット15へ連通しており、ファール球を下皿ユニット15へ導出できるように構成されている。
【0028】
遊技盤5は、合板やプラスチックなどにより形成される略矩形状の遊技盤本体30を備え、該遊技盤本体30の表面の周縁部には区画部材31を止着して略円形の遊技領域6を区画形成し、遊技領域6内には表示装置や入賞口等の役物(図示せず)を配置している。区画部材31のうち透明部材保持枠9の軸着部側(図4中、左側)に位置する部分には、内レール32を遊技領域6の側縁(左側縁)に沿って縦向き円弧状に延設するとともに、外レール33を内レール32から遊技領域6とは反対側に離間して縦向き円弧状に延設し、内レール32と外レール33との間に縦向き円弧状の発射通路21を区画形成している。
【0029】
さらに、発射通路21の入口となる下端を開放して下方の発射レール22側へ向けて開放し、発射通路21が遊技球7(発射レール22により斜め上方へ誘導されてきた遊技球7)を下方から受け入れるように構成されている。また、発射通路21の出口となる上端には戻り球阻止弁34を備え、遊技球7が発射通路21側から戻り球阻止弁34を押し開くと、この遊技球7が発射通路21から遊技領域6へ進入可能としている。逆に、遊技球7が遊技領域6側から戻り球阻止弁34を押圧した場合には、戻り球阻止弁34が外レール33に当接して発射通路21の出口と遊技領域6との連通を阻止し、遊技球7が遊技領域6へ戻ることを阻止するように構成されている。
【0030】
次に、発射装置16について詳しく説明する。発射装置16は、貯留皿12に貯留された遊技球7を遊技盤5の遊技領域6に向けて1個ずつ発射可能な装置である。また、図5および図6に示すように、平板状の取付部材41を備え、遊技球7の発射方向へ上り傾斜するように延設された発射レール22と、該発射レール22の傾斜下端部に設定された遊技球発射位置23に待機する遊技球7を弾発する発射杵24と、該発射杵24を遊技球発射位置23に向けて付勢するねじりコイルバネ51b(本発明の付勢部材に相当)と、該ねじりコイルバネ51bの付勢力に抗して発射杵24を後退駆動させるための発射モータ43(本発明の駆動源に相当)と、発射杵24の動きと連動して貯留皿12に貯留された遊技球7を発射レール22上に供給する球送り部材42とを取付部材41に一体的に取り付けて構成されている。なお、本実施形態では、発射モータ43を制御する発射基板44は、発射装置16の背面側で取付部材41に取り付けられている。また、発射モータ43は、発射基板44により制御されており、発射操作ハンドル17が遊技者によって操作されたことを検出して発射モータ43をオンにし、操作されていない常態では発射モータ43をオフにしている。
【0031】
発射レール22は、発射装置16から打ち出す遊技球7を発射方向にガイドするための金属製の部材であり、傾斜下端部に遊技球発射位置23を設定し、該遊技球発射位置23から遊技領域6へ向けて上り傾斜するように成形されている。具体的には、取付部材41の左寄りの前面側に、遊技球7の発射方向となる左斜め上方向へ上り傾斜するように延設され、球送り部材42の下方に位置する傾斜下端部に遊技球発射位置23を設定している。そして、この発射レール22は、傾斜上面に、断面略V字状の溝を発射レール22の長手方向(発射方向)に沿って形成し、該V字状の溝により球送り部材42から供給された遊技球7や遊技球発射位置23から発射された遊技球7が横方向(発射レール22の長手方向と略直交する幅方向)へブレることなくガイドできるように構成されている。
【0032】
発射杵24は、回動動作により遊技球発射位置23に供給された遊技球7を発射する部材である。この発射杵24は、発射レール22の遊技球発射位置23よりも上方の位置に回動軸24aを設け、該回動軸24aを回動軸接続部材46により取付部材41に対して回動自在な状態で軸着し、回動軸24aの前端からアーム24bを下方に向けて延設し、該アーム24bの下端に遊技球7と接触する弾発部24cを発射レール22側へ向けて突設してある。そして、弾発部24cを回動軸24aの周りに回動(移動)自在とし、発射レール22の傾斜下端の上方で時計回りに回動すると、弾発部24cを発射方向へ移動して遊技球発射位置23に臨ませることができる。なお、弾発部24cの構成については、後で詳細に説明する。
【0033】
また、回動軸24aの後側端部には、取付部材41の裏面側に略円盤状のアジャストギヤ51を接続し、該アジャストギヤ51内に収納したねじりコイルばね51aにより、発射杵24は遊技球発射位置23に向けて付勢されている。なお、ねじりコイルばね51aは、一端を発射杵24の回動軸24aに、他端をアジャストギヤ51のギヤ部51bにそれぞれ結合している。さらに、このアジャストギヤ51のギヤ部51bは、回動可能な状態で取り付けられており、発射操作ハンドル17と伝達機構を介して接続している。伝達機構は、発射操作ハンドル17の操作量に応じてアジャストギヤ51を回動することができればどのような構成でも良いが、本実施形態では取付部材41の前面側に配設されて発射操作ハンドル17の軸との間でカップリングとして機能するハンドル連動部材53、ハンドル連動部材53と同軸のハンドルギヤ54、ハンドルギヤ54とアジャストギヤ51のギヤ部51bとに噛合したアイドルギヤ55により構成されている。アジャストギヤ51のギヤ部51bは、発射操作ハンドル17からの操作回動量(操作入力)に対応してねじりコイルばね51aとの接続位置、すなわちねじりコイルばね51aの端部を円周上に沿って移動させることができる。したがって、アジャストギヤ51は、ねじりコイルばね51aの巻きを絞め込んだり緩めたりして操作し、この操作の程度に応じてねじりコイルばね51aの復元力(弾性力)を変化させることになる。これにより発射杵24の打ち出し回動速度を変化させて、遊技球7の飛距離調整を行うことができる。
【0034】
また、発射杵24は、回動軸24aよりも上方に延びた端部24dを、回動軸24aを挟んで遊技球発射位置23とは反対側に配設された上部ストッパー47に当接させると共に、アーム24bを、回動軸24aよりも下方であって回動軸24aと遊技球発射位置23との間に配設された下部ストッパー48に当接させて、弾発部24cが遊技球発射位置23よりも先方(発射レール22の傾斜上端側)に移動しないように構成されている。さらに、端部24dとアーム24bとの間には、後述する発射ユニットカム52に当接可能なカムフォロワ24eを発射レール22の傾斜上端側へ向けて延設している。
【0035】
発射ユニットカム52は、回動方向に沿ってカム面を徐々に高くした略半円状の発射カム52aと、当該発射ユニットカム52の回転中心をはさんで発射カム52aとは反対側に形成され、前記カム面の最低点よりも低く、カムフォロワ24eに当接しない長さで延設された球送りカム52bとにより構成されており、当該発射カム52aの回転中心を発射モータ43の回転軸に接続している。そして、発射カム52aに発射杵24のカムフォロワ24eを当接し、発射モータ43を駆動して発射ユニットカム52を前方から見て時計回りに回転すると、カムフォロワ24eが発射カム52aのカム面に押圧されて発射杵24とともに反時計回りに回動し、これにより、発射杵24の弾発部24cを遊技球発射位置23から後退させることができる。そして、カムフォロワ24eが発射カム52aのカム面の最高点に到達すると、回転する発射ユニットカム52は、このカムフォロワ24eを一旦発射カム52aのカム面から外し、ねじりコイルばね51aの付勢力により発射杵24を戻り回動させ、弾発部24cが遊技球発射位置23に突入する。このように発射ユニットカム52を発射モータ43で回転することで、発射杵24に、ねじりコイルばね51aの付勢力に抗して遊技球発射位置23から離隔する方向に弾発部24cを移動して遊技球7の発射動作を行わせることができる。なお、引き続き発射ユニットカム52が回動すると、発射カム52aは、戻り回動したカムフォロワ24eに再び当接して回動させて、次の発射動作の準備を行うことができる。
【0036】
一方、発射ユニットカム52の球送りカム52bは、先端部に裏面側に向けて取付部材41の前面に接触しない程度の長さの突起を設けており、該突起が球送りレバー部材57に当接するように構成している。この球送りレバー部材57は、発射モータ43の回転軸よりも前方からみて右側(発射杵24の回動軸24a側)で回動可能に軸着される回動軸部57aと、回動軸部57aから上方に向けて延出したレバー部57bにより構成されている。また、球送りレバー部材57は、回動軸部57aが取付部材41の裏面側から前端部が取付部材41を貫通して前方に露出し、且つレバー部57bが取付部材41の裏面側で上方に向けて延出するように取り付けられている。そして、レバー部57bは、先端部を屈曲して、取付部材41に開口された取付部材開口部41aから前面側、詳しくは、取付部材41の表面より前面側であって、発射ユニットカム52の発射カム52aよりも後面側に配設し、発射ユニットカム52の球送りカム52b(球送りカム52bの突起)が当接するように構成されている。また、球送りレバー部材57の回動軸部57aには、ばね等のレバー付勢部材(図示せず)が取り付けられており、このレバー付勢部材の付勢力によって、球送りレバー部材57が回動軸部57aを中心にして前方から見て時計回りに付勢されている。このため、発射ユニットカム52の球送りカム52bがレバー部57bの先端に当接していない時(外れている状態)では、レバー部57bが取付部材開口部41aの右側縁(発射杵24側の開口縁)で停止し、発射ユニットカム52を回転して球送りカム52bがレバー部57bの先端部に当接して押圧すると、レバー付勢部材の付勢力に抗して前方から見て反時計回りに回動する。そして、レバー部57bの先端部が球送りカム52bによって押圧され、取付部材開口部41aの左側縁まで回動すると、一旦球送りカム52bが外され、レバー部57bはレバー付勢部材の付勢力により回動し、再び取付部材開口部41aの右側縁で停止する。
【0037】
ここで、球送りレバー部材57の回動軸部57aには、球送り部材42が取付部材41の前面側から取り付けられている。この球送り部材42は、球受入口26(貯留皿12)から受け入れられた遊技球7を1個ずつ発射レール22へ送出することが可能な部材である。詳しくは、球送り部材42は、球送りレバー部材57と接合して共回りする部材であり、球送りレバー部材57の回動軸部57a内に接合される支軸42aと、該支軸42aの前端から左側(発射モータ43の回転軸側、あるいは発射レール22側)に延設され、上面に平らな球受面42cが形成された球受入部42bと、該球受入部42bよりも上方で支軸42aの前端から延設した球受入阻止部42dとにより構成されている。
【0038】
また、球受入部42bと球受入阻止部42dとの間には、遊技球7をちょうど1個分だけ入れることができるスペース42eと、該スペース42eを球送り部材42を挟んで杵とは反対方向へ開放する開放口42fとを形成している。そして、球送り部材42は、発射ユニットカム52が球送りレバー部材57と当接せず、レバー部57bが取付部材開口部41aの右側縁で停止している時は、球受入部42bが略水平となる球受入れ状態を維持して球受入部42bと球受入阻止部42dとの間のスペース42eを球受入口26の後方に連通し、遊技球7を1個だけ球受面42cに受け入れ可能となる。一方、発射ユニットカム52が球送りレバー部材57と当接し、球送りレバー部材57を回動させて、レバー部57bが取付部材開口部41aの左側縁近傍まで回動している時は、球送り部材42は、球受入部42bを下方(発射レール22側)に傾斜させるとともに、開放口42fを発射レール22の上面に臨ませ、球受入阻止部42dが球受入口26の上部を塞ぎ、貯留皿12からの遊技球7の流入を阻止する球送り状態に変換している。
【0039】
ここで、球送り部材42と取付部材41の間には、球送りガイド部材58が取り付けられている。球送りガイド部材58は、上ガイド部58aと下ガイド部58bとがそれぞれ前方に延出された薄板状の部材である。上ガイド部58aは、前方から見て略円弧状のガイド部であり、球受入れ状態における球送り部材42内のスペース42e、詳しくは、開放口42fを側方(球送り部材を挟んで発射杵とは反対側)から閉成し、該上ガイド部58aの下端と発射レール22の上面とを遊技球7の直径よりも広く離間している。また、下ガイド部58bは、発射レール22に沿って下り傾斜したガイド部であり、球送り状態において、発射レール22に送出された遊技球7を遊技球発射位置23までガイドするように構成されており、下面(発射レール22側の面)を前方から見て発射レール22の上面の傾斜よりも急峻に設定されている。このため、発射レール22側に送られた遊技球7は、発射レール22上面と下ガイド部58bとで成す通路を、重力によって下方に移動しようとするが、当該通路が下方へ移動するに従って狭くなっているため、遊技球7は発射レール22の下端、すなわち遊技球発射位置23で静止する。
【0040】
次に発射杵24の弾発部24cについて、説明する。図7(a)は弾発部24cが遊技球7に接触した瞬間の正面図、図7(b)は図7(a)におけるA−A断面図、図7(c)は弾発部24cが遊技球7に接触した瞬間の拡大断面図、図7(d)は他の形状の弾発部24cが遊技球7に接触した瞬間の拡大断面図である。また、図8(a)は弾発部24cが遊技球7に接触した瞬間の状態図、図8(b)は遊技球7が弾発部24cから離れる瞬間の状態図である。
【0041】
弾発部24cは、遊技球発射位置23内に進入可能な程度の大きさであって、発射杵24の端部に横向きに一体的に形成された略角柱状の部材であり、樹脂等の弾性部材で構成されている。この弾発部24cは、図7に示すように、遊技球7と接触する先端面に、縦方向に凹んだ溝が形成されている。具体的には、弾発部24cの先端面を断面V字状に凹ませて、発射レール22のV字状の溝と同一平面上に位置するように形成され、発射レール22のV字状の溝の中心線(遊技球7の中心を通り発射レール22の延設方向に平行な鉛直面)を挟んで左右対称となる2個所で遊技球7と接触可能としている。したがって、弾発部24cで遊技球7を弾発すれば、遊技球7の中心を通り発射レール22の延設方向に平行な鉛直面を挟んで左右両側に弾発部24の先端V字状溝の内面を当接して遊技球7に発射勢を加えることができる。これにより、遊技球7を横方向(発射レール22の長手方と略直交する幅方向)にブレが少ない安定した状態で発射することができ、遊技球7の飛球軌道を安定させることができる。なお、弾発部24cの先端面のV字状の溝は、断面において、遊技球7と接触する個所が最先端の2個所で接するようにしても良いし(図7(c)参照)、遊技球7と接触する個所が最先端よりも弾発部24c側に入った2個所で接するようにしても良い(図7(d)参照)。
【0042】
加えて、弾発部24cの先端面は、図8(a)に示すように、遊技球7と接触する際に、遊技球発射位置23における発射レール22の延設方向と成す角αが発射レール22の下り傾斜方向に向かって尖った鋭角となるように傾斜している。なお、弾発部24cの先端面は、弾発部24cの上面からみて、どの断面でも同様のV字状となるように形成される。このため、弾発部24cの先端面は、遊技球発射位置23で待機している遊技球7と、遊技球7の中心を通り回動軸方向および発射レール22の延設方向に平行な仮想断面Pよりも上半側で接する。言い換えると、弾発部24cの先端面は、遊技球7と接触する際に、遊技球7へ発射勢を加える作用方向(弾発部24cと遊技球7の接触個所を通り、遊技球7の中心を通る線F上であって、接触個所から遊技球7の中心へ向かう方向)が、発射レール22の延設方向(遊技球7の発射方向)と鋭角になるように形成されている。この結果、遊技球7を発射レール22に押し付けるように発射勢を加えることができ、発射レール22からの早期離脱を防止できる。このため、発射レール22のガイドによって、遊技球7のブレを抑えることができ、遊技球7の飛球軌道を安定させることができる。
【0043】
さらに、弾発部24cの先端面は、図8(b)に示すように、遊技球7と接触した瞬間だけでなく、遊技球7から離れる瞬間も仮想断面Pより上半側で接している。言い換えると、弾発部24cの先端面は、遊技球7が離間する直前において、遊技球7へ発射勢を加える作用方向(弾発部24cと遊技球7の接触個所を通り、遊技球7の中心を通る線F′上であって、接触個所から遊技球7の中心へ向かう方向)が発射レール22の延設方向(遊技球7の発射方向)と鋭角になるように形成されている。つまり、弾発部24cの先端面は、遊技球発射位置23で待機している遊技球7と、遊技球7に接触したときから離れるまでの間に亘って、仮想断面Pよりも上半側で接している。この結果、遊技球7に接触した瞬間だけでなく、遊技球7から離れるまでの間でも遊技球7を発射レール22に押し付けるように発射勢を加え続けることができ、発射レール22からの早期離脱をより防止できる。このため、発射レール22のガイドによって、遊技球7のよりブレを抑えることができ、遊技球7の飛球軌道を安定させることができる。
【0044】
次に、発射装置16の作用を説明する。なお、説明の都合上、球送り部材42の球受面42c上には球受入口26から最先の遊技球が1個だけ受け入れられ、次の遊技球7は最先の遊技球7に当たった状態で上皿ユニット11側の位置に待機しているものとする。また、発射杵24のカムフォロワ24eは発射ユニットカム52から外れた直後であり、発射杵24の弾発部24cが遊技球発射位置23で待機しているものとする。
【0045】
まず、発射操作ハンドル17の操作に基づいて発射モータ43が駆動して、発射ユニットカム52が前方からみて時計方向に回転すると、発射ユニットカム52の球送りカム52bが球送りレバー部材57のレバー部57bに次第に近づき、当接する。この状態でさらに発射ユニットカム52が回転すると、レバー部57bを押圧して球送り部材42を回動し、球受入部42bを下方(発射レール22側)に傾斜させると共に、球受入阻止部42dが球受入口26を塞ぐ。そして、発射ユニットカム52がさらに回転して、レバー部57bが取付部材開口部41aの左側縁近傍まで回動すると、球送り状態となって開放口42fが発射レール22の上面を向き、球受面42c上にある遊技球7が発射レール22側に転落し、発射レール22の傾斜によって、遊技球発射位置23に向かって転がる。
【0046】
発射ユニットカム52がさらに回転すると、球送りカム52bがレバー部57bから外れ、レバー付勢部材の付勢力によりレバー部57bが取付部材開口部41aの右側縁まで回動する。このとき、球送り部材42も回動して、球受入部42bを略水平とする球受入れ状態に変換し、球受面42c上に球受入口26からの遊技球7を1個だけ受け入れて、再び球送りカム52bがレバー部57bを押圧するまで、この球受入れ状態を維持する。
【0047】
発射ユニットカム52が引き続き回転すると、発射ユニットカム52の発射カム52aが発射杵24のカムフォロワ24eに近づいて、当接する。この状態で発射ユニットカム52がさらに回転すると、発射カム52aはカムフォロワ24eを押圧し、発射杵24をねじりコイルばね51aの付勢力に抗して反時計回りに回動させ、発射杵24の弾発部24cを遊技球発射位置23から後退させる。このとき、発射レール22に供給された遊技球7は、遊技球発射位置23で待機する(図9(a)参照)。
【0048】
発射ユニットカム52がさらに回転すると、発射杵24が最も後退した位置まで回動し、その後、発射カム52aがカムフォロワ24eから外れる。すると、発射杵24は、ねじりコイルばね51aの付勢力により時計回りに回動し、遊技球発射位置23内に弾発部24cが進入して遊技球発射位置23に待機する遊技球7を弾発する。弾発された遊技球7は、発射レール22に沿って上方(遊技領域6側)に発射される。そして、発射杵24は、端部24dを上部ストッパー47に当接すると共に、アーム24bを下部ストッパー48に当接して回動を規制され、弾発部24cが遊技球発射位置23よりも先方に移動することを阻止される。
【0049】
そして、発射ユニットカム52がさらに回転すると、再び球送りカム52bがレバー部57bに当接し、押圧する。押圧されたレバー部57bが、取付部材開口部41aの左側縁近傍まで回動すると、球送り部材は球送り状態に再度変換されて開放口42fを発射レール22の上面へ向けて開放し、球受面42c上にある遊技球7が発射レール22側に転落する。このとき、弾発された遊技球7は、すでに発射レール22の上方に位置しているので(図9(b)参照)、転落する遊技球7と衝突することが無い。この結果、発射杵24により遊技球7を1個ずつ発射することができ、発射杵24の発射動作に連動して、球送り部材42を動作させることで、遊技球7を1個ずつ遊技球発射位置23に供給することができる。したがって、遊技球が供給されていない状態で杵が動いて空振りする不都合がない。
【0050】
なお、本実施形態では、弾発部24cの先端面が傾斜するとともに、先端面の断面をV字状に形成したが、本発明はこれに限らない。例えば、弾発部24cの先端面の断面をV字状に形成し、先端面に傾斜をつけない形状(遊技球発射位置23において、先端面が発射レール22の延設方向と略垂直な形状)に形成しても良い。また、弾発部24cの先端面は、遊技球発射位置23で待機している遊技球7と、遊技球7に接触したときから離れるまでの間に亘って、仮想断面Pよりも上半側で接するように構成したが、本発明はこれに限らず、少なくとも遊技球7と接触するときに仮想断面Pよりも上半側で接すれば良い。さらに、本実施形態では、弾発部24cを樹脂等で形成したが、ばね等の弾性部材で構成しても良い。
【0051】
ところで、本発明は、上記した第1の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。例えば、他の実施形態として、図10に第2の実施形態、図11に第3の実施形態を示す。第2の実施形態および第3の実施形態では、発射杵24の弾発部24cと遊技球発射位置23で待機している遊技球7との接触個所が2個所でない点で、上記第1の実施形態と異なる。
【0052】
まず、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の発射杵24は、図10に示すように、弾発部24cの先端面が断面略コ字状に開いた浅い溝を縦方向に形成し、発射レール22のV字状の溝の中心線(遊技球7の中心を通り発射レール22の延設方向に平行な鉛直面)を挟んで左右対称に2個所と、該中心線(鉛直面)上の1個所で遊技球と接触する(図10(b)参照)。また、弾発部24cの先端面は、第1の実施形態と同様に、遊技球発射位置23における発射レール22の延設方向と成す角が発射レール22の下り傾斜方向に向かって尖った鋭角となるように傾斜し、弾発部24cの上面からみて、どの断面でも同様の略コ字状になるように形成されている。なお、その他の構成は、第1の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0053】
このように、弾発部24cの先端面に縦方向の溝を形成して凹ませ、遊技球7の中心を通り発射レール22の延設方向に平行な鉛直面を挟んで左右両側から遊技球7に当接して発射勢を加えるようにしたので、遊技球7をブレが少ない安定した状態で発射することができ、遊技球7の飛球軌道を安定させることができる。加えて、弾発部24cの先端面は、遊技球発射位置23で待機している遊技球7と、遊技球7の中心を通り回動軸方向および発射レール22の延設方向に平行な仮想断面Pよりも上半側で、遊技球7と接触する際、または接触したときから離れるまでの間に亘って接するため、遊技球7を発射レール22に押し付けるように発射勢を加えることができ、発射レール22からの早期離脱を防止できる。このため、発射レール22のガイドによって、遊技球7のブレを抑えることができ、遊技球7の飛球軌道を安定させることができる。
【0054】
なお、第2の実施形態では、弾発部24cの先端面は、3個所で遊技球7と接触するように形成したが、これに限らず、より多くの個所で遊技球7と接触するように形成しても良い。要は、遊技球発射位置23で待機している遊技球7に対して、発射レール幅方向の複数個所で接触可能とし、遊技球7の中心を通り発射レール22の延設方向に平行な鉛直面を挟んで左右両側から遊技球7に発射勢を加えることができれば良い。
【0055】
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態の発射杵24は、図11に示すように、弾発部24cの先端面が断面円弧状の溝を縦方向に形成し、発射レール22のV字状の溝の中心線(遊技球7の中心を通り発射レール22の延設方向に平行な鉛直面)を挟んで左右対称な円弧帯状に遊技球と接触する(図11(b)参照)。また、弾発部24cの先端面は、第1の実施形態と同様に、遊技球発射位置23における発射レール22の延設方向と成す角が発射レール22の下り傾斜方向に向かって尖った鋭角となるように傾斜し、弾発部24cの上面からみて、どの断面でも同様の円弧状になるように形成されている。なお、その他の構成は、第1の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0056】
このように、弾発部24cの先端面に縦方向の溝を形成して凹ませ、遊技球7の中心を通り発射レール22の延設方向に平行な鉛直面を挟んで左右両側から遊技球7に発射勢を加えるようにしたので、遊技球7をブレが少ない安定した状態で発射することができ、遊技球7の飛球軌道を安定させることができる。加えて、弾発部24cの先端面は、遊技球発射位置23で待機している遊技球7と、遊技球7の中心を通り回動軸方向および発射レール22の延設方向に平行な仮想断面Pよりも上半側で、遊技球7と接触する際、または接触したときから離れるまでの間に亘って接するため、遊技球7を発射レール22に押し付けるように発射勢を加えることができ、発射レール22からの早期離脱を防止できる。このため、発射レール22のガイドによって、遊技球7のブレを抑えることができ、遊技球7の飛球軌道を安定させることができる。
【0057】
さらに、上記第1の実施形態に限らず、球送り部材42の球受面42cに溝を設けても良い。上記各実施形態では、球受面42cを平面にしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第4の実施形態の球送り部材42の球受面42cは、図12に示すように、断面V字状の溝が形成されている。詳しくは、球送り部材42の球受面42cに形成されているV字状の溝と、弾発部24cの先端面に形成されているV字状の溝と、発射レール22の上面に形成されているV字状の溝とを、溝の底部(V字の尖部)を同じ平面に沿う(上面から見て同じ直線方向に沿う)ように配置している(図13参照)。また、球受面42cは、V字の斜面のうち前面側(球受入口26側)の斜面より後面側(球受入口26とは反対側)の斜面の方が、斜面の面積を広く設定しており、球受入口26からの遊技球7を受けやすくしている。なお、弾発部24cの溝の形状は、V字状である必要は無く、少なくとも、球送り部材42に形成されているV字状の溝と、発射レール22に形成されているV字状の溝とが、同じ直線方向に沿って形成されていれば良い。また、その他の構成は、第1の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0058】
このように、球送り部材42の球受面42cには、断面V字状の溝が形成されているので、球送り部材42が球受入口26から遊技球7を受け入れる際に、遊技球7のブレを抑制できる。したがって、遊技球7をブレが生じない状態でスムーズに球送り部材42から遊技球発射位置23に送ることができる。また、球送り部材42に形成されているV字状の溝と、発射レール22に形成されているV字状の溝とは、同じ直線方向に沿って形成されているので、遊技球7を球送り部材42から発射レール22の遊技球発射位置23に送る際にブレが発生することを抑えることができる。このため、遊技球7をブレが少ない安定した状態で発射することができ、遊技球7の飛球軌道を安定させることができる。
【0059】
ところで、遊技球7を弾発する構成は、上記した実施形態に限らない。例えば、他の実施形態として、図14に第5の実施形態を示す。第5の実施形態は、遊技球発射位置23に発射待機位置弾発部60を配置し、該発射待機位置弾発部60に弾発基部24c′を衝突させて間接的に弾発する点で、上記した実施形態と異なる。なお、弾発基部24c′は、発射杵24の端部に横向きに一体的に形成された略角柱状の部材であり、この弾発基部24c′および発射待機位置弾発部60が本発明の弾発部に相当する。
【0060】
発射待機位置弾発部60は、発射レール22の下端部に配置され、該発射レール22の上面と、球送りガイド部材58の下ガイド部58bの下面との間に挟まれており、発射レール22の傾斜下端部から抜け落ちない程度の高さに形成される前面側からみて略台形状の部材であって、下ガイド部58bと発射レール22の間を発射レール22の延設方向に沿ってスライド可能に取り付けられている。また、発射待機位置弾発部60は、球送りガイド部材58との間に設けたばね等の発射待機付勢部材(図示せず)に接続され、発射レール22の下端側に付勢されている。この発射待機位置弾発部60に球送り部材42から受け入れた遊技球7が当接して待機し、この遊技球7が待機する位置が遊技球発射位置23となる。さらに、発射待機位置弾発部60の表面(遊技球7が当接する側の面)は、前記実施形態と同様に断面V字状に凹み、発射レール22のV字状の溝と同じ平面に沿って形成され、発射レール22のV字状の溝の中心線(遊技球7の中心を通り発射レール22の延設方向に平行な鉛直面)を挟んで左右対称に2個所で遊技球7と接触するように形成されている。一方、発射待機位置弾発部60の裏面(発射杵24側の面)は、平らな平面に形成されている。加えて、発射待機位置弾発部60は、表面を発射レール22の延設方向と成す角が発射レール22の下り傾斜方向に向かって尖った鋭角となるように形成し、裏面を発射レール22の延設方向と成す角が略直角となるように形成している。また、発射杵24の弾発基部24c′の先端面は、発射待機位置弾発部60の裏面と平行に接触可能なように、発射レール22の下端において、発射レール22の延設方向と成す角が略直角となる平面に形成されている。なお、その他の構成は、第4の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0061】
このように構成することで、遊技球発射位置23に待機している遊技球7を、発射待機位置弾発部60を介して弾発することができる。具体的には、発射杵24が回動して弾発基部24c′が発射待機位置弾発部60に衝突すると、衝突により発生した衝撃が、発射待機位置弾発部60を伝達し、遊技球7との接触個所から遊技球7に伝達して、遊技球発射位置23に待機している遊技球7を弾発する。このとき、発射待機位置弾発部60は、発射杵24の弾発基部24c′に押圧され、発射待機付勢部材の付勢力に抗して僅かにスライドする(図12(b)参照)。その後、発射杵24が回動し、弾発基部24c′が後退すると、発射待機位置弾発部60は発射待機付勢部材の付勢力により発射レール22の下端部まで戻り、球送り部材42から供給される遊技球7が再び遊技球発射位置23に待機する。
【0062】
そして、弾発基部24c′が遊技球7に直接接触させずに弾発するため、遊技球毎に弾発力を受ける個所を同じ位置に集約し易い。この結果、遊技球7を発射する度に弾発位置の安定化を容易に実現できる。また、発射待機位置弾発部60の表面は、先端面が縦方向に凹んだ溝を形成しており、遊技球7の中心を通り発射レール22の延設方向に平行な鉛直面を挟んで左右両側から遊技球7に発射勢を加えることができるので、遊技球7を左右方向にブレが少ない安定した状態で発射することができ、遊技球7の飛球軌道を安定させることができる。さらに、発射待機位置弾発部60の表面は、発射レール22の延設方向と成す角が発射レール22の下り傾斜方向に向かって尖った鋭角となるように傾斜し、遊技球7の中心を通り回動軸方向および発射レール22の延設方向に平行な仮想断面Pよりも上半側で、遊技球7と接するため、遊技球7を発射レール22に押し付けるように発射勢を加えることができ、発射レール22からの早期離脱を防止できる。このため、発射レール22のガイドによって、遊技球7のブレを抑えることができ、遊技球7の飛球軌道を安定させることができる。なお、発射待機位置弾発部60の表面に形成する溝は、V字状に限らず、断面略コ字状や断面円弧状でも良く、遊技球発射位置23で待機している遊技球7に対して、複数個所又は円弧帯状に接触可能としても良い。
【0063】
また、上記した実施形態は、発射装置16を構成する発射レール22等にV字状の溝を形成したが、本発明はこれに限らず、遊技球が当接する個所であれば、発射装置16以外の個所にV字状の溝を形成しても良い。例えば、遊技盤5の発射通路21内、詳しくは、遊技球7が当接する外レール33にV字状の溝を形成しても良い。この結果、外レール33のガイドによって、遊技盤5に進入した遊技球7のブレを抑えることができ、遊技球7の飛球軌道を更に安定させることができる。
【0064】
さらに、上記した実施形態は、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、遊技球を貯留可能な貯留皿を備えた遊技機であればどのような遊技機でも良い。例えば、内部に封入した遊技球を循環させる封入球式パチンコ遊技機、アレンジボール式遊技機、雀球式遊技機等の遊技機であっても良い。さらに、上記した実施形態は、発射杵が、駆動源(発射モータ)により付勢部材の付勢力に抗して後退し、この付勢力により発射動作するように構成したが、これに限らず、駆動源に直接発射杵を装着し、発射動作するように構成しても良い。例えば、ロータリーソレノイドの回動軸に発射杵を接合して、発射動作するように構成しても良い。または、直動式のソレノイドのプランジャに発射杵を取り付け、プランジャを直線運動させることにより、遊技球を発射杵で弾発しても良い。
【0065】
なお、前記した実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、上記した説明に限らず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれるものである。
【符号の説明】
【0066】
1 パチンコ遊技機
6 遊技領域
7 遊技球
11 上皿ユニット
16 発射装置
17 発射操作ハンドル
22 発射レール
23 遊技球発射位置
24 発射杵
24a 回動軸
24b アーム
24c 弾発部
24d 端部
24e カムフォロワ
25 球送りカバー部材
26 球受入口
41 取付部材
42 球送り部材
42a 支軸
42b 球受入部
42c 球受面
42d 球受入阻止部
42e スペース
42f 開放口
43 発射モータ
52 発射ユニットカム
52a 発射カム
52b 球送りカム
57 球送りレバー部材
57a 回動軸部
57b レバー部
60 発射待機部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を遊技領域に向けて発射する発射装置を備える遊技機において、
前記発射装置は、
傾斜下端部に遊技球発射位置が設定され、該遊技球発射位置から前記遊技領域へ向けて上り傾斜するように上面がV字状の溝に成形された発射レールと、
前記遊技球発射位置に供給された遊技球を発射する発射杵と、
を取付部材に取り付けて構成され、
前記発射杵は、
遊技球と接触する弾発部を弾性部材で構成するとともに、該弾発部の先端面に縦方向の溝を形成して凹ませ、
遊技球の中心を通り前記発射レールの延設方向に平行な鉛直面を挟んで左右両側に前記弾発部の先端溝内面を当接して遊技球に発射勢を加えることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記弾発部の先端面は、前記遊技球発射位置で待機している遊技球に対して、複数個所又は円弧帯状に接触可能としたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記発射杵は、回動軸により軸着され、前記弾発部が回動軸周りに回動自在となるように構成され、
前記弾発部の先端面は、
前記遊技球発射位置における前記発射レールの延設方向と成す角が前記発射レールの下り傾斜方向に向かって尖った鋭角となるように傾斜し、
前記遊技球発射位置で待機している遊技球と、遊技球の中心を通り前記回動軸方向および前記発射レールの延設方向に平行な仮想断面よりも上半側で接することを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記弾発部の先端面は、
前記遊技球発射位置で待機している遊技球と、該遊技球に接触したときから離れるまでの間に亘って、前記仮想断面よりも上半側で接していることを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記発射装置は、
球受入口から受け入れた遊技球を前記発射レールへ送出する球送り部材を備え、
該球送り部材の上面の球受面には、断面V字状の溝が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の遊技機。
【請求項6】
前記球送り部材に形成されているV字状の溝と、前記発射レールに形成されているV字状の溝とは、同じ平面に沿って形成されていることを特徴とする請求項5に記載の遊技機。
【請求項7】
前記発射装置は、
前記発射杵を前記遊技球発射位置に向けて付勢する付勢部材と、
該付勢部材の付勢力に抗して前記遊技球発射位置から離隔する方向に前記発射杵の弾発部を移動して、前記発射杵に遊技球の発射動作を行わせる駆動源と、
球受入口から受け入れた遊技球を前記発射レールへ送出する球送り部材と、
を前記取付部材に取り付けて構成され、
前記球送り部材は、前記発射杵の発射動作に連動して、遊技球を1個ずつ前記遊技球発射位置に供給することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−11112(P2012−11112A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152664(P2010−152664)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(000132747)株式会社ソフイア (2,465)
【Fターム(参考)】