説明

遊技機

【課題】機枠に収納されていなくても自立させておくことが可能な遊技機を提供する。
【解決手段】遊技島30に固定される機枠3に対して前方から着脱可能に取り付けられる前面枠2の下部に、下装飾部材50を回動可能に備え、下装飾部材50は、遊技機1の前面を装飾する装飾部材として前面枠2下端から下方に延出する装飾位置と、遊技島30や外枠に収納されていない前面枠2のみでも自立させる自立補助機構として前面枠2の底面と面一に位置する自立補助位置と、に変換可能に回動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技島に対して着脱可能な前面枠を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技機、例えば、ぱちんこ遊技機においては、工場からの出荷作業時や遊技店内において遊技島に設置する前後の遊技台の入れ替え作業時等、作業の都合上遊技機を自立させて床に置いておく必要が生じた際、遊技機が転倒しないように、遊技機が自立可能な幅の底面を有する矩形状の機枠(外枠)の内側に遊技機本体(前面枠)を収納し、機枠の底面により遊技機本体を支えて自立させていた。
【0003】
また、遊技機を自立させるための自立補助機構として、遊技機の枠体背面側に対して進退可能なスタンドを取り付け、スタンドの進出時に遊技機を背面方向に傾斜させた状態で保持可能として遊技機の自立を安定させるスタンドを有する遊技機が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−102073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、遊技機の機枠が遊技島に備え付けで組み付けられているような場合には、遊技機の入れ替えの際には機枠に取り付けられる遊技機本体である前面枠のみが交換されるようになり、従来のように機枠の底面を利用して遊技機を床に自立させておくことはできない。また、先行技術文献に記載されているような自立補助機構(スタンド)を遊技機の枠体背面側に設けた場合、限られた狭いスペースの中に多数の部品や基盤が取り付けられている遊技機において、遊技島に設置された後は使用する機会の無い自立補助機構のスタンドをわざわざ設けることは、スペースの利用に制限が生じるとともに、コスト的にも作業工程数的にも効率的ではない。
【0006】
そこで、本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品を汎用して前面枠が自立可能となる構成にすることにより、遊技島や機枠に取り付けられていない前面枠の状態における取り扱い性を向上させることができる遊技機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、
遊技島に着脱可能に設置される前面枠と、該前面枠の下方に取り付けられる下装飾部材とを備えた遊技機において、
前記下装飾部材は、
前記前面枠の下端部に回動可能に軸着され、
前記前面枠下端に軸着された軸着部と該軸着部とは反対側に位置する端部とが上下方向に位置して、当該遊技機の前面下部を装飾する装飾位置と、
前記軸着部と前記端部とが前後方向に位置して、前記前面枠が前記遊技島に設置されていない場合に該前面枠の自立を補助する自立補助位置と、に変換可能に回動することを特徴とする遊技機である。
【0008】
請求項2に記載のものは、前記前面枠は、該前面枠の前面に突出して設けられた球貯留皿を有し、
前記下装飾部材が、前記軸着部よりも前記端部が後方に位置する自立補助位置となった場合、
前記自立補助位置にある際の下装飾部材の底面と、該球貯留皿の球皿底面とが面一になるように構成されたことを特徴とする請求項に記載の遊技機である。
【0009】
請求項3に記載のものは、前記下装飾部材は、
前記軸着部を挟んで前記端部とは反対側に延在する延在部とを備えたことを特徴とする特徴とする請求項1または2に記載の遊技機である。
【0010】
請求項4に記載のものは、前記下装飾部材は、前記前面枠が前記遊技島に設置された状態であり、かつ前記軸着部よりも前記端部が後方に位置する自立補助位置にある際に、前記下装飾部材の上面は遊技機の背面から排出された球を受け止める球転動面となり、
前記球転動面は、遊技球が外側に向かって転動可能な傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の遊技機である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
請求項1に記載の発明によれば、遊技島に着脱可能に設置される前面枠と、該前面枠の下方に取り付けられる下装飾部材とを備えた遊技機において、前記下装飾部材は、前記前面枠の下端部に回動可能に軸着され、前記前面枠下端に軸着された軸着部と該軸着部とは反対側に位置する端部とが上下方向に位置して、当該遊技機の前面下部を装飾する装飾位置と、前記軸着部と前記端部とが前後方向に位置して、前記前面枠が前記遊技島に取り付けられていない場合に該前面枠の自立を補助する自立補助位置と、に変換可能に回動するため、遊技機が機枠に設置されていない状態においても、他に道具を用いることなく自立させておくことが可能となり、持ち運びが容易となる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、前記前面枠は、該前面枠の前面に突出して設けられた球貯留皿を有し、前記下装飾部材が、前記軸着部よりも前記端部が後方に位置する自立補助位置となった場合、前記自立補助位置にある際の下装飾部材の底面と、該球貯留皿の球皿底面とが面一になるように構成されているため、遊技機を自立させる際に地面に接する底面積が広くなり、安定して自立するようになる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、前記下装飾部材は、前記軸着部を挟んで前記端部とは反対側に延在する延在部とを備えているため、遊技機を自立させる際に地面に接する底面積をより広く設けることが可能となり、さらに安定して自立するようになる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、前記下装飾部材は、前記前面枠が前記遊技島に設置された状態であり、かつ前記軸着部よりも前記端部が後方に位置する自立補助位置にある際に、前記下装飾部材の上面は遊技機の背面から排出された球を受け止める球転動面となり、前記球転動面は、遊技球が外側に向かって転動可能な傾斜面が形成されているため、遊技機背面に落下してきた零れ球がアウトタンクに入ってしてしまうことを防止し、正確なアウト球の計数が可能となる。また、遊技機を遊技島から外した際には前面枠の自立補助機構としても機能するので、遊技島に設置されている場合も設置されていない場合も部材を活用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】遊技機の正面図である。
【図2】機枠に対して前面枠を外した遊技機の斜視図である。
【図3】ガラス枠を開放して遊技盤を外した遊技機の斜視図である。
【図4】機枠が備え付けられている遊技島の概略図である。
【図5】下装飾部材50が装飾位置にある場合の前面枠の説明図であり、(a)は右側面図、(b)は斜視図である。
【図6】下装飾部材50が自立補助位置にある場合の前面枠の説明図であり、(a)は右側面図、(b)は斜視図である。
【図7】下装飾部材50が自立補助位置にある場合の前面枠の右側面図である。
【図8】第1実施形態の前面枠の概略図であり、(a)は装飾位置の斜視図、(b)はA−Aの断面図、(c)は装飾位置の回動軸周囲の拡大断面図である。
【図9】第1実施形態の前面枠の概略図であり、(a)は自立補助位置の斜視図、(b)はB−Bの断面図、(c)は自立補助位置の回動軸周囲の拡大断面図である。
【図10】固定手段の自動解除機構を示す右側面図であり、(a)は前面枠が閉状態へ変換している状態、(b)は閉状態となった説明図である。
【図11】第2実施形態の前面枠の概略図であり、(a)は装飾位置の斜視図、(b)はA−Aの断面図、(c)はB−Bの断面図である。
【図12】第2実施形態の前面枠の概略図であり、(a)は自立補助位置の斜視図、(b)はC−Cの断面図、(c)D−Dの断面図、(d)は自立補助位置にある前面枠下部の右側面図である。
【図13】第3実施形態の前面枠の概略図であり、(a)は装飾位置の斜視図、(b)はA−Aの断面図、(c)は装飾位置の回動軸周囲の拡大断面図である。
【図14】第3実施形態の前面枠の概略図であり、(a)は自立補助位置の斜視図、(b)はB−Bの断面図、(c)は自立補助位置の回動軸周囲の拡大断面図である。
【図15】第4実施例の前面枠を後方から見た概略斜視図であり、(a)は下装飾部材が装飾位置である場合の図、(b)は自立補助位置である場合の図である。
【図16】延出部が回動可能に取り付けられた前面枠の説明図であり、(a)は延出部が収納されている場合の底面図、(b)は延出部が設置されている場合の底面図である。
【図17】第5実施形態の前面枠の概略図であり、(a)は装飾位置の斜視図、(b)はA−Aの断面図、(c)は装飾位置の回動軸周囲の拡大断面図である。
【図18】第5実施形態の前面枠の概略図であり、(a)は自立補助位置の斜視図、(b)は回動軸周辺の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、代表的な遊技機である遊技機1を例に挙げて本発明の実施形態を図面に基づき説明する。なお、実施形態の説明における前後とは遊技機1から見た方向(遊技者側が前)を指し、左右とは遊技者から見た方向(操作部側が右)を指すものとする。
【0017】
まず、図1から図3を参照して、第1の実施形態における遊技機1の構成について説明する。
【0018】
遊技機1の本体である前面枠2は、左側部の上下にヒンジ9を有する前面枠2を備え、右側部が開閉回動自在となるようにヒンジ9を介して島設備(遊技島30)に固定される機枠3に設置される。
前面枠2は、前面枠本体4及びガラス枠5によって構成される。前面枠本体4には、遊技領域7を有する遊技盤6が配設され、遊技盤6の前面を覆うカバーガラス8を有するガラス枠5が取り付けられる。前面枠本体4及びガラス枠5は、それぞれ個別に開放することが可能となっている。
【0019】
ガラス枠5のカバーガラス8の周囲には、装飾部材10が配設されている。装飾部材10の内部にはランプやLED等によって構成される枠装飾装置が収容されており、この枠装飾装置を制御することによって装飾部材10での発光状態が調整される。
ガラス枠5の上部には照明ユニット11が配設され、照明ユニット11の左右両側には可動式照明12が配設される。照明ユニット11は、内部にランプやLED等の照明部材を収容しており、遊技状態に応じて発光演出を行う。可動式照明12は、ランプやLED等の照明部材と、照明部材を駆動する照明駆動モータ等から構成される枠演出装置とを備える。可動式照明12の枠演出装置は、遊技状態に応じて照明部材を駆動(例えば回転駆動)する。
【0020】
遊技機1は、効果音や警報音、報知音等を発する上スピーカー13及び下スピーカー14を備える。上スピーカー13はガラス枠5の上両側部に配置され、下スピーカー14は上皿ユニット15を構成する上皿15aの下方に配置される。
左側部に配設される可動式照明12の近傍には、遊技機1における異常を報知するための遊技状態報知LEDが備えられる。遊技機1において異常が発生した場合には、遊技状態報知LEDが点灯又は点滅するとともに、上スピーカー13及び下スピーカー14から異常を報知するための報知音が出力される。
【0021】
遊技機1で発生する異常には、遊技機1の故障及び不正行為の実施等が含まれる。不正行為には、発射された遊技球の軌道を磁石によって不正に操作する行為や遊技機1を振動させる行為等がある。これらの不正行為は、磁気センサスイッチによって磁気を検出したり、振動センサスイッチによって振動を検出したりすることで検知される。また、不正に前面枠2を開放する行為も不正行為に含まれる。前面枠本体4の開閉状態は前面枠本体開放検出スイッチ17によって検出され、ガラス枠5の開閉状態はガラス枠開放検出スイッチ18によって検出される。
【0022】
ガラス枠5のカバーガラス8の下方には、上皿15aを含む上皿ユニット15が設置される。上皿15aは、前面枠本体4に設けられた球発射装置19に遊技球を供給する。ガラス枠5の下方位置であって前面枠本体4に固定される固定パネル20には、下皿16a及び球発射装置19を駆動するための操作部21が備えられる。本形態においては、上皿15aおよび下皿16aにより球貯留皿が構成されている。遊技者が操作部21を回動操作することによって、球発射装置19は上皿15aから供給された遊技球を遊技盤6の遊技領域7に発射する。下皿16aには、下皿16aに貯まった遊技球を排出するための球抜き機構22が設けられる。
【0023】
上皿ユニット15には、遊技者からの操作入力を受け付けるための演出ボタン23(外部操作手段)が上皿15aの手前側に配設されている。遊技者が演出ボタン23を操作することによって、変動表示装置での変動表示ゲームの演出に遊技者の操作を影響させることができ、特別な遊技状態が発生していない通常遊技状態においても演出パターンを変更することができる。
【0024】
次に、図4を参照して、遊技機1を取り付ける遊技島30(遊技機設置用島設備)について説明する。
【0025】
遊技島30は、複数のフレーム部材を縦横に連結したり表面に化粧板を装着したりして横長な箱状に形成された島本体を備え、該島本体の長手方向の一側面および他側面(島本体の長手方向に沿って延在する2つの側面)には遊技機設置領域32を区画形成し、該遊技機設置領域32には、遊技球を使用して遊技を実行可能な遊技機(本発明における遊技機1に相当)と、該遊技機に対となる状態で設けられる台間球貸機とを遊技島30の長手方向に沿って複数組列設可能となるよう、遊技機を取り付ける機枠3を所定間隔を有して複数設置している。機枠3には、前面枠2を収容可能な矩形の開口部33が形成され、開口部33の内側側方にはヒンジ9を介して前面枠2を回動可能に取り付ける前面枠用ヒンジ34を備えている。また、開口部33の下部には機枠3の横幅に合わせて横長板状の幕板35が固定されている。
【0026】
また、遊技島30の上部、詳しくは遊技機設置領域32(遊技機1)よりも上方の位置には、遊技球を各遊技機1へ供給する遊技球供給装置36を備え、遊技機設置領域32よりも下方の位置には、各遊技機1の裏側から排出された遊技球を回収する遊技球回収装置37を遊技店の床面から上方へ離した状態で備え、該遊技球回収装置37の下方の側面部分を開放することにより、遊技者が遊技球回収装置37の下方に足を伸ばして遊技席に座れるように構成されている。
【0027】
さらに、遊技島30の長手方向の一端には、遊技者が投入した遊技球を計数する計数機38(所謂ジェットカウンター)を計数機載置台38a上に載置して備え、該計数機38よりも遊技島30の長手方向の他端側の位置には、遊技球を遊技球供給装置へ揚送する揚送装置39を、島本体の一部である島端化粧板を間に挟んで計数機38に隣り合わせて配置し、揚送装置39よりも遊技島30の長手方向の他端側に遊技機設置領域32が位置するように構成されている。言い換えると、計数機38と遊技機設置領域32との間に揚送装置39を配置している。
【0028】
遊技島30の下部に設けられた遊技球回収装置は、遊技島30の長手方向に沿って延在する球回収樋を備えている。そして、回収樋をそれぞれ遊技島30の長手方向の他端側から一端側へ向けて下り傾斜させ、傾斜上端を補給球抜流路の下端の下方に配置するとともに、傾斜下端を揚送装置39の下部の側方(図4中、右側方)に配置している。さらに、球回収樋の上方で各機枠3の裏側下部(幕板35の後方)には、各遊技機1の裏側から排出された遊技球を計数し球回収樋へ案内するアウトタンク40を配置している。
【0029】
なお、本実施例において前面枠2は遊技島30に設けられた機枠3に取り付けられる構成としたが、前面枠2を取り付ける前面枠用ヒンジ34を遊技島30に形成した開口部に備え、機枠3を設けない構成としてもよい。
【0030】
次に、図5から図7を参照して、回動可能に取り付けられる下装飾部材50について説明する。
【0031】
機枠3に着脱可能な遊技機1の前面枠本体4の前面には、ガラス枠5が開閉可能に取り付けられており、該ガラス枠5が閉状態において上下に並んで前面枠本体4の前面を覆うように、固定パネル20が前面枠本体4の下部に取り付けられている。固定パネル20の前方には下スピーカー14、下皿16a、操作部21等が配置され、下方には下装飾部材50が回動可能に取り付けられている。
【0032】
下装飾部材50は、固定パネル20の右側面201および左側面202の下端部からそれぞれ内側に向かって突出した回動軸203a,203bが、下装飾部材50の右側面501および左側面502の上端部に形成された回動軸穴503a,503bに嵌合することにより、固定パネル20の下方にて回動可能に軸着している。下装飾部材50は弾性を有する樹脂等により形成されており、下装飾部材50を左右方向から撓ませて取り付けられる。
【0033】
下装飾部材50は、固定パネル20の下端から下装飾部材50が下方に延出した装飾位置と、固定パネル20の下端から下装飾部材50が略直角方向に延出した自立補助位置の間を回動可能となる。つまり、下装飾部材50の装飾位置とは、回動軸穴503a,503bが形成されている軸着部と、軸着部とは反対側の端部とが上下方向に位置した状態であり、自立補助位置とは、軸着部と端部とが前後方向に位置している状態を指している。
【0034】
下装飾部材50が装飾位置にある場合、下装飾部材50は遊技機1の前面下部を装飾する装飾部として機能することとなる。また、本実施例における下装飾部材50は機枠3の下部に設けられた幕板35の前面を覆う位置にあり、遊技機1の幕板飾りとしても機能している。また、機枠3の下部に幕板35を設けず、装飾位置における下装飾部材50が幕板の機能も兼ねるようにしてもよい。
【0035】
固定パネル20の前面に形成される下皿ユニット16の底面(球皿底面16b)は、突起物の無い平面に形成され、固定パネル20の下端と略面一になる位置に設けられている。また、下装飾部材50が自立補助位置にある場合には、下装飾部材50の接地面と下皿ユニット16の球皿底面16bとが略面一に位置している。(図7参照)
【0036】
本実施形態における下装飾部材50の接地面は、自立補助位置にある場合には接地面となる一方、装飾位置にある場合には遊技者側に面し、遊技機1の前面下部を装飾する装飾面を兼ねている。そのため、自立補助位置にある際に装飾が地面にこすれて汚れたり損傷したりしないように、接地面には装飾が施されている装飾部504よりも突出した接地部505(図6参照)が形成されている。下装飾部材50が自立補助位置にある場合には、接地面(装飾面)において最も突出している接地部505が球皿底面16bと略面一となって床に接し、装飾部を保護するようになっている。
【0037】
次に、図8および図9を参照して、下装飾部材50および固定パネル20の軸着部について説明する。
【0038】
固定パネル20の下端部には、後方および下方に開口して切りかかれた回動空間部210が形成されており、回動空間部210を形成している空間右側壁211および空間左側壁212には、それぞれ回動空間部210に向かって内側に突出している突起状の回動軸203a,203bを、遊技機1の横方向と平行に設ける。空間右側壁211および空間左側壁212は、固定パネル20の右側壁201および左側壁202の下部である。この突起状の回動軸203a,203bに、下装飾部材50の両側面501,502の一端側に形成された回動軸穴503a,503bが嵌合して回動機構を構成し、下装飾部材50が固定パネル20に回動可能に取り付けられる。
【0039】
回動空間部210の前方には空間前方壁213が、回動空間部の上方には回動上方壁214が形成されており、空間前方壁213の高さは、下装飾部材50の板厚分の高さhとほぼ同一に設けられている。つまり、空間前方壁213の下端から空間上方壁214までの高さ(回動空間部210の高さ)は、下装飾部材50が自立補助位置にある場合に、下装飾部材50をちょうど収納可能な高さとなっている。(図9(c)参照)下装飾部材50が装飾位置にある場合には、空間前方壁213によって下装飾部材50の上端部分や軸着部は遊技者からは視認不可能となっている。
【0040】
空間前方壁213および空間上方壁214に囲まれた回動空間部210に下装飾部材50を設けたために、下装飾部材50が装飾位置にある場合には、下装飾部材50が空間前方壁213に衝突し(図8(c)参照)、下装飾部材50が自立補助位置にある場合には、下装飾部材50が空間上方壁214に衝突するようになる(図9(c)参照)。つまり、空間前方壁213および空間上方壁214が、下装飾部材50の回動規制手段として機能する。
【0041】
また、回動が規制された位置における下装飾部材50の接地部505が下皿ユニットの球皿底面16bと略面一状態となる位置となるように、下装飾部材50を空間前方壁213や空間上方壁214と近接して設けた場合にも、下装飾部材50の回動軸穴側の端部は、回動する際に干渉しないように角を落として曲面r1(図9参照)に形成されている。
【0042】
下装飾部材50は、自立補助位置にある場合に下装飾部材50が自重で装飾位置へ回動してしまうのを防止するための固定手段を備えている。固定手段である固定部材300a、300aは、空間上方壁213と、自立補助位置にある場合に空間上方壁213に接する下装飾部材50の側面にそれぞれ設けられており、付勢手段として磁力等が用いられている。
【0043】
固定部材300a、300aのおかげで、前面枠2が機枠3から外されて遊技店の床等に置かれている際に、場所を移動させようと一旦持ち上げても、毎回下装飾部材50が自重で装飾位置へ回動してしまうことがなくなり、扱いやすくなる。また、固定部材300a、300aは下装飾部材50が自重で回動しない程度の強度で固定しているために、装飾位置へ戻す際には磁石の付勢を解除する程度の軽い力で戻すことができる。
【0044】
固定部材300a、300aの解除手段として、前面枠2を閉じる際に下装飾部材50が自立補助位置にある場合には、下装飾部材50を押し下げるような突起部351を機枠3の幕板35の上部に設けてもよい。図10にあるように、突起部351の衝突面は曲面r3(図10参照)に形成されており、下装飾部材50が自立補助位置にある状態で前面枠2を閉じようとすると、下装飾部材50の端部に曲面r2で形成された衝突受面に衝突して、固定手段300a、300aの解除方向へ下装飾部材50を付勢する。固定部材300a、300aの磁力が効かなくなる程度に固定部材300a、300aを離間させた後は、下装飾部材50は自重により装飾位置まで回動する。前述のように、回動軸側の端部も曲面に形成されているので、前面枠2が閉じられた状態において突起部351は下装飾部材50の端部に形成された曲面r1の丸みの隙間に収まる。
【0045】
以上の実施形態によれば、下装飾部材50が前面枠2の下方に設けられ、前面枠2を機枠3から取りはずして床等に置く際には、下装飾部材50が回動して遊技機1の自立を補助するスタンドの役割を果たすため、別途スタンドを用意しなくても前面枠2の自立が可能である。
【0046】
また、ガラス枠5および固定パネル20の前面には、各遊技機メーカーが特徴を持って施した装飾が施されており、それに合わせて下装飾部材50の表面(装飾面)にも同様に装飾が施されている。遊技機1の表面は各遊技機1ごとに統一感を持って形成されているが、本実施形態において下装飾部材50は前面枠2に設けられているので、遊技機1の交換の際に自動的に下装飾部材50も交換可能となり、個別に下装飾部材50のみ付け替える必要がない。
【0047】
また、機枠3へ前面枠2が取り付けられた状態においては、下装飾部材50の背面には機枠3の幕板35が位置しているので、遊技者が前方から下装飾部材50を押したとしても、下装飾部材50が回動してしまうことはない。また、遊技中は下装飾部材50の前方には球箱25が置かれているが、球詰まり等により店員が前面枠2を開ける場合には、球箱25に下装飾部材50が押されて回動可能となるので、球箱25を退かさずに前面枠2を開けることができる。
【0048】
(第2の実施形態)
以下、図11および図12を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、以下に示す各実施形態では前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0049】
第2の実施形態では、下装飾部材50の形状および固定パネル20下端に切り欠かれた回動空間部の形状が、上述の第1の実施形態におけるものと相違する。
【0050】
第2の実施における下装飾部材50は、装飾位置において機枠3の幕板35の前面に位置して遊技機1の前面を装飾する横長の装飾部511と、装飾位置における上辺511a(下装飾部材において、軸着部が形成されている側の端部)から外側(装飾位置における固定パネル方向)に向かって延出した延出部512とを備え、固定パネル20の前面には下装飾部材50が装飾位置にある場合に延出部512を収納する延出空間部220が形成されている。延出部512は、装飾部511の長さ(装飾位置における上下方向の高さ)と同程度の長さに形成されている。また、本実施例においては下装飾部材50の左右両端の2箇所に延出部512を設けているが、延出部512は1箇所のみとしてもよいし、2箇所より多く設けてもよい。
【0051】
第2の実施形態においては、前述の実施形態と同様に、回動位置によって下装飾部材50の装飾面が接地面も兼ねており、下装飾部材50が自立補助位置にある場合には、下装飾部材50の接地部505および延出部512と、下皿ユニット16の球皿底面16bとが略面一となって床に接し、装飾面を保護しながら遊技機1が自立可能に補助する。(図12(d)参照)また、接地部505のように、延出部512における接地部分として、他より突出させた箇所を設けてもよい。
【0052】
固定パネル20の下端部の一部には、前方に開口して切り欠かれた延出空間部220が形成されており、下装飾部材50が装飾位置にある際には、延出空間部220に延出部512が収納される。延出空間部220が形成されている部分は、固定パネル20の後方および下方に開口して切り欠かれた回動空間部210と連結して、断面L字状の空間部(図11(c)参照)となっている。延出部512に対応しない位置の空間部の形状は、前述の第1実施形態の回動空間部210と同様である。
【0053】
空間部を形成している空間右側壁211および空間左側壁212には、それぞれ内側に向かって突出している突起状の回動軸203a,203bがある。この突起状の回動軸203a,203bに、下装飾部材50の左右延出部それぞれの外側の側面の装飾部側寄りに形成された回動軸穴503a,503bが嵌合し、下装飾部材50が固定パネル20に回動可能に取り付けられる。
【0054】
延出空間部220は、前方および下方が開口し、左右側方は延出空間右側壁221および延出空間左側壁222に、後方は延出空間後方壁223に、上方は延出空間上方壁224により囲まれて形成されている。空間部の大きさは、延出空間右側壁221および延出空間左側壁222に挟まれた延出空間部220の幅は下装飾部材50の延出部512の幅と、また、固定パネル20の前面位置から延出空間後方壁223までの奥行きは下装飾部材50の延出部512の板厚分と、また、回動軸203a,203bから延出空間上方壁224までの長さは下装飾部材50の回動軸穴503a,503bから延出部512の先端までの長さと、それぞれほぼ同一となっている。つまり、延出空間部220の大きさは、延出部512とほぼ同一の大きさであり、下装飾部材50が装飾位置にある場合に延出部512がちょうど嵌るようになっている。
【0055】
下装飾部材50が装飾位置にある場合には、延出部512が延出空間後方壁223に衝突し(図11(c)参照)、下装飾部材50が自立補助位置にある場合には、第1の実施形態と同様に下装飾部材50が空間上方壁224に衝突するようになる(図12(b)、(c)参照)。つまり、延出空間後方壁223および空間上方壁224が、本第2の実施形態における下装飾部材50の回動規制手段として機能する。
【0056】
また、装飾位置における延出部512の上端と延出空間上方壁224との間に隙間が極力生じないよう形成され、かつ回動が規制された位置における下装飾部材50の接地面が下皿ユニット16との面一状態となる位置となるように、下装飾部材50を延出空間上方壁224や空間上方壁214と近接して設けた場合にも、回動する際に延出部512の先端および下装飾部材50の回動軸穴側の端部が干渉しないように、角を落として丸みを帯びた曲面に形成されている。
【0057】
以上の実施形態によれば、下装飾部材50が自立補助位置にある場合には、下装飾部材50の接地部505および下皿ユニット16の球皿底面16bに加え、延出部514も略面一となって床に接するため床への接地面積が大きくなり、前面枠2を機枠3から取りはずして床等に置く際に、より安定して遊技機1を自立させることが可能である。
【0058】
また、延出空間部220は延出部514がちょうど嵌る大きさに形成され、下装飾部材50が装飾位置にある場合には固定パネル20と表面が略面一になるように収納可能となるため、固定パネル20および下装飾部材50の前面に施された装飾に連続性が生じ、遊技者に違和感を覚えさせることがなくなるとともに、隙間からの異物を進入させる不正行為を防ぐことができる。
【0059】
(第3の実施形態)
以下、図13および図14を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、以下に示す各実施形態では前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0060】
第3の実施形態では、下装飾部材50の形状および固定パネル20下端に切り欠かれた空間部の形状が、上述の第1の実施形態および第2の実施形態におけるものと相違する。
【0061】
第3の実施における下装飾部材50は、2枚の回動パネル520(前回動パネル520a、後回動パネル520b)によりなり、装飾位置においては2枚の回動パネル520が前後で重なって機枠3の幕板35の前方に位置しており、自立補助位置においては、前回動パネル520は軸着部よりも端部が前方に、後回動パネルは軸着部よりも端部が後方にくる位置まで回動し、それぞれの底面が面一になるように構成されている。
【0062】
第1および第2の実施形態では、装飾面と接地面を下装飾部材50の同じ面で兼用していたが、本第3の実施形態においては、前回動パネル520aの前面が装飾面となって幕板35の前面を装飾し、また、前回動パネル520aの後面および後回動パネル520bの前面が接地面となって前面枠2の自立を安定させるスタンドの役割を果たしている。
【0063】
固定パネル20の下端部には、前方、後方および下方に開口して切りかかれた回動空間部210が形成されており、回動空間部210を形成している空間右側壁211および空間左側壁212には、それぞれ回動空間部210に向かって内側に突出している突起状の第1回動軸204aおよび第2回動軸204bが前後に並んで設けられている。第1回動軸204aには前回動パネル520aに形成された回動軸穴503aが、第2回動軸204bには後回動パネル520bに形成された回動軸穴503aがそれぞれ嵌合し、下装飾部材50(前回動パネルおよび後回動パネル)が固定パネル20に回動可能に取り付けられる。
【0064】
下装飾部材50が装飾位置にある場合は、前回動パネル520aと後回動パネル520bの接地面同士が内側に向き合って接触しており、両接触面に設けられた固定部材300c,300c(図13(b)参照)によって2枚の回動パネル520がバラバラに動いてしまわないように固定されている。
【0065】
また、下装飾部材50が自立補助位置にある場合には、前回動パネル520aおよび後回動パネル520bが空間上方壁214に衝突してそれ以上の回動がそれぞれ規制され、空間上方壁214が下装飾部材50の回動規制手段として機能する。そして、後回動パネル520bを保持する固定部材300d,300dと、前回動パネル520aを保持する固定部材300e,300e(図14(b)参照)によって自立保持状態が維持される。固定部材300d,300dは、固定パネル20に形成された空間上方壁213と、空間上方壁213に接する後回動パネル520bの側面にそれぞれ設けられ、固定部材300e,300eは、球皿底面16bと、球皿底面16bに接する前回動パネル520aの側面にそれぞれ設けられている。本第3の実施例においては、下皿ユニット16の球皿底面16bは前回動パネル520aの上面と接する位置にあり、自立補助位置において球皿底面16bは床に接触しないように構成されている。(図14(b)参照)
【0066】
装飾位置において、前回動パネル520aの上端と空間上方壁214との間に隙間が極力生じないようにしつつも、下装飾部材50が空間上方壁214と近接して設けても回動する際に干渉しないようにするために、前回動パネル520aの装飾面を除く回動軸穴側の端部は角を落として曲面に形成され、前回動パネル520aの上方に位置する空間上方壁214には窪み部215を設けている。
【0067】
以上の実施形態によれば、下装飾部材50が装飾位置にある場合の装飾面とは異なる面が自立補助位置にある場合の接地面となるので、前面枠2を自立させておく際に装飾面が床に接することがなくなり、装飾が汚れたり破損したりする虞が少なくなる。また、下装飾部材50を構成している前後の回動パネル2枚分の面積が略面一となって床に接するため、自立時の床への接地面積が大きくなり、遊技機1をより安定させて自立させることが可能である。
【0068】
また、下装飾部材50が自立補助位置にある場合には、前回動パネル520aが下皿ユニット16の下方に位置するので、下皿16a底面が床に接することなく前面枠2を自立させることが可能となり、下皿ユニット16の破損を防止することができる。
【0069】
(第4の実施形態)
以下、図15および図16を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、以下に示す各実施形態では前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0070】
第4の実施形態では、前面枠2を自立させる際にスタンドの機能を奏する自立補助機構の構成が、前述の実施形態におけるものと相違する。
【0071】
まず、図15を参照して、第4の実施形態に係る自立補助機構について説明する。
本第4の実施形態における自立補助機構は、下装飾部材50と後方延出片530とにより構成されている。第3の実施形態では装飾位置と自立補助位置とに変換可能であった後回動パネル520bが、本実施形態においては、常に後方へ延出している後方延出片530となっている。ここでの前回動パネル520aは、前述のものとほぼ同じ形状で形成されている。
【0072】
後方延出片530は固定パネル20の下方かつ前回動パネル520aの後方にあり、幅広の面を上下に有する板状の部材である。また、前面枠2の開放端側に設けられた右後方延出片530aと、前面枠2の回動軸側に設けられた左後方延出片530bとにより構成され、それぞれの間にはアウトタンク40を配置可能な程度の間隔を有して配置されている。また、後方延出片530の底面(接地面)は自立補助位置における前回動パネル520aの接地面と略面一になるように設けられ、上面はそれぞれ外側に向けて傾斜した球転動面として形成されている。
【0073】
つまり、本第4の実施形態における後方延出片530は、前面枠2を自立させる時には自立を補助するスタンドの機能を奏する一方、遊技機1が遊技島30に設置されている時には、遊技機1背面の零れ球を受け止めて流下させる誘導部材として機能する。
【0074】
後方延出片530は常に前面枠2の後方へ延出しているように固定しておいてもよいが、島と遊技機1背面の部材配置との関係等によって誘導部材が不要な場合には、後方延出片530を回動させて前面枠2の下端へ収納するようにしてもよい。
【0075】
後方延出片530の回動機構として、後方延出片530a,530bが延出している状態において前方に面している前面と、遊技機1の外側に向いている外側面とにより形成される後方延出片530a,530bの角部周辺に水平回動軸穴523a,523bを遊技機1に対して縦方向に垂直に設け(図16(a)参照)、また、前面枠2の下端から下方に向けて突出した水平回動軸205a,205bを、後方延出片の水平回動軸穴523a,523bに対応させて設けることにより、後方延出片530の底面と自立補助位置における前回動パネル520aの接地面との面一状態を保ったまま水平回動するように構成されている。(図16(b)参照)
【0076】
後方延出片530を収納状態とするには、前面と反対側に位置する後面が、前面よりも遊技機1の外側にくるように、左右の後方延出片530a,530bをそれぞれ略90度回動させる。この際に、外側面531は前面パネル520aに、後面532は固定パネル20の左右空間側壁211,212にそれぞれ近接する位置となるように水平回動軸205a,205bが形成されている。後方延出片530を回動させる際に前回動パネル520aや左右空間側壁211,212と干渉しないよう、水平回動軸穴523a,523bを設けた角部および外側面531と後面532とにより形成される角部は曲面に形成されている。
【0077】
遊技機1の背面からアウトタンク40側方に零れ球が落下してくる事態が発生した場合に、遊技機1背面の高い位置から球が零れた場合には、落下の勢いによって落下地点から球が飛び跳ねてアウトタンク40に飛び込んでしまう虞があるのに対し、本実施形態のように後方延出片530を設けた場合には、落下してきた零れ球を後方延出片530によって一旦受け止めてから流下させることにより球の落下勢を緩和し、球の飛び跳ねを軽減することができる。よって、意図しない球がアウトタンク40に進入して計数されてしまうのを防止できる。
【0078】
また、後方延出片530の上面はアウトタンク40と反対の外方向に向かって傾斜しているので、後方延出片上面の球転動面を転動している球がアウトタンク40に向かって流下しないようになっているとともに、球転動面に勢いよく零れ球が落下してきたとしても、アウトタンク40の方向には飛び跳ねにくくなっている。球転動面の外側への傾斜により、零れ球をアウト球として誤ってアウトタンク40で計数してしまう虞をより防止でき、アウトタンク40による正確なアウト球の計数が可能となる。
【0079】
また、後方延出片530は水平回動機構を有するので、後方延出片530を使用しない場合には、遊技機1中央付近に設置される場合の多いアウトタンク40への流入に影響を生じさせることがないようになるべく外側に収納させておく一方、後方延出片530を使用する場合には、アウトタンク40の側部に後方延出片530を配置することが可能となる。
【0080】
本実施形態のようにすることで、下装飾部材50が前面枠2に設けられていない場合でも、球皿底面16bと後方延出片530の底面とによって前面枠2の自立を補助することも可能である。ここでいう下装飾部材50が前面枠2に設けられていない場合とは、下装飾部材50が機枠3側に一体に取り付けられていたり、下装飾部材50のみ別部材として別途交換可能としたりするような場合である。
【0081】
(第5の実施形態)
以下、図17および図18を参照して、本発明の第5の実施形態について説明する。なお、以下に示す各実施形態では前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0082】
第5の実施形態では、下装飾部材50の回動機構が上述の実施形態における下装飾部材50と相違する。
【0083】
まず、図17を参照して、第5の実施形態に係る下装飾部材50について説明する。
本実施形態においては、前面枠2の固定パネル20の下端から下方に向けて延出した第1前開閉パネル540aおよび第2前開閉パネル540bと、第1および第2前開閉パネルの後方にそれぞれ設けられる第1後開閉パネル540cおよび第2後開閉パネル540dの、回動可能に設けられた計4枚の開閉パネルから構成されている。1つの開閉パネル540の横幅は前面枠2の横幅の略半分の幅となっており、2枚の開閉パネル540が左右に並んで配置されることで遊技機1の前面下部を全て覆うようになっている。
【0084】
開閉パネル540は、左右に並んでいる2枚のパネルが遊技機1の略中央部分で接している方の側面が開閉パネル回動時の開放端となり、それとは反対の遊技機1の外方向に位置する端部に回動機構を設けてある。開閉軸206は前面枠2の下部に設けられている固定パネル20の下面から遊技機1に対して下方へ垂直に突出しており、固定パネル20の左右両側面付近で板厚方向に沿って前後に2つずつ並んで設けられている。この開閉軸206が嵌合する回動パネル側の開閉軸穴543は、それぞれの回動パネルの外側に端部に1つずつ設けられている。(図17(b)参照)
【0085】
前開閉パネル540a,540bおよび後開閉パネル540c,540dの間には固定パネル20の下面から下方に延出して形成された中央壁550が設けられている。前述の開閉軸206は、固定パネル20の板厚方向に前後2つずつ並んでいるが、これは前後2つの開閉軸(開閉軸206aと206cの間、および開閉軸206bと206d)の間に中央壁550を挟んで設けられている。
【0086】
これにより、前開閉パネル540a,540bの後面と中央壁550の前面、および、後開閉パネル540c,540dの前面と中央壁550の後面がそれぞれ接する位置が本実施形態における装飾位置となる。(図17(c)参照)また、回動機構によって前開閉パネル540a,540bの開放端が前方へ、後開閉パネル540c,540dの開放端が後方へそれぞれ略90度回動し、前開閉パネル540a,540bの開閉軸側の側面と中央壁550の前面、および、後開閉パネル540c,540dの開閉軸側の側面と中央壁550の後面がそれぞれ接する位置が本実施形態における自立補助位置となる。(図18(b)参照)つまり、中央壁550は回動パネル540の位置規制部材として機能する。
【0087】
第1および第2前開閉パネル540a,540bの前面には装飾が施されており、開閉パネルが装飾位置にある場合にはガラス枠5の表面の装飾と一体感のある装飾により、遊技機1の前面下部を装飾している。また、4枚の開閉パネル540および中央壁550の底面は平らに形成されるとともに開閉動作の前後ともに面一な状態を維持し、前面枠2が床等に置かれた際の接地面となる。
【0088】
開閉パネル540の開放端は、2枚の開閉パネルの境目によって遊技機1表面の装飾の美観を損ねることが無いように、出来るだけ隙間を設けないように配置している。また、開閉パネルは長手方向の側面が中央壁550に接して装飾位置にある際に左右の開閉パネルの表面が平面となるように、開閉軸206は中央壁550に近接して設けられている。そのため、開閉パネル540を回動させる際に、左右の開閉パネルや中央壁550と干渉しないように、装飾位置における開閉パネル540の中央側の角は曲面に形成されている。
【0089】
また、本実施形態においても、前述の実施形態と同様な固定手段(装飾位置において作用する301f〜304f、自立補助位置において作用する301g〜304g)を、装飾位置および自立補助位置において接する開閉パネルと中央壁550のそれぞれの部分に備えている。
【0090】
以上の実施形態によれば、遊技盤6の背面に各種の制御基盤や装飾表示装置を備えた前面枠2を支えなくてはならない場合に、自立を補助するスタンドの大きさをより長く(接地面積をより大きく)設けることができるので、機枠3に収まっていない状態においても、より安定して前面枠2を自立させることができる。
【0091】
本第5の実施形態では下装飾部材50を前後左右2枚ずつの4枚の回動パネル540a〜dを組み合わせて形成したが、これに限らず、前後いずれかの開閉パネルのみ複数枚を組み合わせるようにしてもよいし、前後に2重ではなくもっと多数のパネルを前後に重ねるようにしてもよい。
【0092】
ところで、上記各実施形態では、下装飾部材50を回動可能に設け、一部材における回動位置によって遊技機1の装飾部材と自立補助部材とを兼用可能としたが、本発明はこれに限定されない。下装飾部材50と自立補助部材とを別々に設けてもよいし、自立補助部材のみ設けてもよい。
【0093】
また、上記各実施形態では、代表的な遊技機であるぱちんこ遊技機を例にして説明したが、本発明はこれに限らず、機枠に対して開閉可能な前面枠を備えた遊技機であればどのような遊技機でもよい。例えば、封入球式パチンコ機、アレンジボール式遊技機、雀球式遊技機等の遊技機であってもよい。
【0094】
なお、前記した実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、上記した説明に限らず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれるものである。
【符号の説明】
【0095】
1 遊技機
2 前面枠
3 機枠
4 前面枠本体
5 ガラス枠
16 下皿ユニット
16a 球皿底面
20 固定パネル
201 固定パネル右側面
202 固定パネル左側面
203 回動軸
204a 第1回動軸
204b 第2回動軸
205 水平回動軸
206 開閉軸
210 回動空間部
211 空間右側壁
212 空間左側壁
213 空間前方壁
214 空間上方壁
215 窪み部
220 延出空間部
221 延出空間右側壁
222 延出空間左側壁
223 延出空間後方壁
224 延出空間上方壁
300 固定部材
50 下装飾部材
501 下装飾部材右側面
502 下装飾部材左側面
503 回動軸穴
504 装飾部
505 接地部
511 装飾部
512 延出部
520 回動パネル
520a 前回動パネル
520b 後回動パネル
530 後方延出片
530a 右後方延出片
530b 左後方延出片
523 水平回動軸穴
540a 第1前開閉パネル
540b 第2前開閉パネル
540c 第1後開閉パネル
540d 第2後開閉パネル
543 開閉軸穴
550 中央壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技島に着脱可能に設置される前面枠と、該前面枠の下方に取り付けられる下装飾部材とを備えた遊技機において、
前記下装飾部材は、
前記前面枠の下端部に回動可能に軸着され、
前記前面枠下端に軸着された軸着部と該軸着部とは反対側に位置する端部とが上下方向に位置して、当該遊技機の前面下部を装飾する装飾位置と、
前記軸着部と前記端部とが前後方向に位置して、前記前面枠が前記遊技島に設置されていない場合に該前面枠の自立を補助する自立補助位置と、に変換可能に回動することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記前面枠は、該前面枠の前面に突出して設けられた球貯留皿を有し、
前記下装飾部材が、前記軸着部よりも前記端部が後方に位置する自立補助位置となった場合、
前記自立補助位置にある際の下装飾部材の底面と、該球貯留皿の球皿底面とが面一になるように構成されたことを特徴とする請求項に記載の遊技機。
【請求項3】
前記下装飾部材は、
前記軸着部を挟んで前記端部とは反対側に延在する延在部とを備えたことを特徴とする特徴とする請求項1または2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記下装飾部材は、前記前面枠が前記遊技島に設置された状態であり、かつ前記軸着部よりも前記端部が後方に位置する自立補助位置にある際に、前記下装飾部材の上面は遊技機の背面から排出された球を受け止める球転動面となり、
前記球転動面は、遊技球が外側に向かって転動可能な傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−157662(P2012−157662A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21297(P2011−21297)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000132747)株式会社ソフイア (2,465)
【Fターム(参考)】