説明

遊技機

【課題】遊技盤の着脱の容易性や位置決めの精度、安定性に優れる遊技機を提供すること。
【解決手段】遊技球が流下する遊技領域を前面に有する遊技盤30を、前方から内枠12(遊技機本体)に取り付ける構成において、内枠12が、取付位置にあるときの遊技盤30の前面の前後位置を前方から規制する体勢に保持されて遊技盤30の離脱を不可とする閉止位置と、取付位置にあるときの遊技盤30の前面の位置から離脱して遊技盤30の着脱を可とする開放位置との間で変位し得る、第1掛止装置70Aの可動フック72(可動部)と、可動フック72の変位とは無関係に、遊技盤30の後側における一定の前後位置に配置され、遊技盤30を前方へ押圧する、第1掛止装置70Aのプッシャ73(押圧部)と、を備える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機に代表される遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機などの遊技機は、遊技球が流下する遊技領域が前面に形成された遊技盤を備え、この遊技盤の遊技領域に遊技球を導いて遊技を行うことができるようになっているものが一般的である。従来の遊技機においては、遊技機の裏側から遊技盤を取り付ける構造が主流であったが、遊技盤の着脱に手間を要して能率が悪いという問題があった。そこで、例えば特許文献1に開示されているように、遊技機の前面側から遊技盤を取り付ける構造とすることが提案されている。この特許文献1に記載の構造は、遊技機の前面側から遊技盤を配置し、該遊技盤の側端縁部にフック部材を側方から係止させることにより、該遊技盤を取付位置に固定するようにしたものである。これによれば、例えば遊技機を遊技場に設置した状態で前面側から遊技盤の交換作業等を行うことも可能となるので、取付先である遊技機が安定している状態で遊技盤の交換作業等を行うことができて作業がより容易であり、また、遊技機の前面側から遊技盤の交換作業等を行う場合には前面枠を開放するだけでよいため、裏面側から行う場合よりも遊技機の開放に手間がかからないという利点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−47157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特にパチンコ機の場合、遊技盤の下方に配置された発射装置に対して遊技盤における前面の相対的な前後位置を正確に合わせることが重要であり、この相対位置にズレが生じると発射装置から発射された遊技球が遊技盤の遊技領域に正しく導入されないという不具合を生じることとなる。従来は、前述の通り遊技機の裏側から遊技盤を取り付けるようにしていたため、遊技盤は前面で遊技機本体に当接して位置決めされることとなり、したがって遊技盤の前面の前後位置は遊技機本体に対して常に一定となって上述のような位置ズレは生じ難かった。これに対し、遊技機の前面側から遊技盤を取り付ける構造とした場合には、遊技盤は裏面で遊技機本体に当接して位置決めされることとなるので、例えば遊技盤の板厚にバラツキがある場合には、遊技盤の前面の前後位置にもバラツキが生じて上述のような位置ズレが生じるという問題がある。
【0005】
ところが、上記特許文献1の記載によれば、フック部材による係止位置は、遊技機本体のフレームから前方へ、遊技盤の所定の厚みぶんだけ距離をおいた一定位置にくるように設定されているのみであり、上述のような遊技盤の板厚のバラツキに起因する位置ズレの問題については考慮されていない。このため、例えば遊技盤の板厚のバラツキにより遊技盤が所定厚よりも薄くなると、遊技盤が前後にガタつくこととなる一方、遊技盤が所定厚よりも厚くなると、フック部材により係止することが困難となり、いずれの場合にも、遊技盤の前面の前後位置を正確にかつ安定して合わせることは困難である。したがって上記特許文献1に記載の構造は、遊技盤の位置決めおよび安定性の点において不十分なものと言わざるを得ない。換言すれば、上記特許文献1に記載の構造は、遊技機の前面側から遊技盤を取り付ける構造とすることによって遊技盤の着脱の容易性が得られた反面、この構造上の転換にともなって遊技盤における前面の位置のバラツキという問題が新たに生じてきたものの、この問題については未だ考慮されていないものであるとも言うことができる。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みて案出されたものであり、遊技盤の着脱の容易性や位置決めの精度、安定性に優れる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる遊技機は、上記目的を達成するために、
遊技球が流下する遊技領域を前面に有する遊技盤を前方から遊技機本体に取り付けて構成される遊技機であって、
前記遊技機本体が、
取付位置にあるときの前記遊技盤の前面の前後位置を前方から規制する体勢に保持されて該遊技盤の離脱を不可とする閉止位置と、取付位置にあるときの前記遊技盤の前面の位置から離脱して該遊技盤の着脱を可とする開放位置との間で変位し得る可動部と、
前記可動部の変位とは無関係に、前記遊技盤の後側における一定の前後位置に配置され、前記遊技盤を前方へ押圧する押圧部と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
上記本発明の構成によれば、可動部を開放位置に変位させることにより遊技盤を容易に取付位置に出入させることができる一方、可動部を閉止位置に変位させることにより遊技盤を容易に取付位置に固定することができ、したがって、可動部の変位により遊技盤の着脱を容易に行うことができる。
【0009】
また、押圧部が、可動部の変位とは無関係に一定の前後位置に配置されているので、遊技盤を着脱する際に妨げとなり難い。このとき仮に、可動部を開放位置に変位させるのにともなって押圧部が前方へ移動するようになっていたりすると、遊技盤を出入させるスペースが拡がることもなく、また遊技盤を出入させる際に該押圧部が拘り易い。これに対し、上記本発明の構成によれば、可動部を開放位置に変位させても、押圧部は前方へ移動してくることなく一定の前後位置に留まるので、そのぶん遊技盤を出入させるスペースが大きく拡がることとなるとともに、遊技盤を出入させる際にも該押圧部が拘り難く、したがって遊技盤を出入させやすい。
【0010】
また、取付位置に配置された遊技盤が、閉止位置に変位した可動部により前後位置を前方から規制されるとともに、押圧部により前方へ押圧されるので、遊技盤の前面が、閉止位置にある可動部に圧しつけられて所定の前後位置に保持される。したがって、遊技盤の板厚にバラツキがあっても、これに影響されることなく、遊技盤の前面が所定の前後位置に確実かつ安定に保持される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、遊技盤の着脱の容易性や位置決めの精度、安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】パチンコ機の一例を示す正面図。
【図2】図1のパチンコ機の正面側の斜視図。
【図3】図1のパチンコ機の前面枠の斜視図。
【図4】遊技盤の一例を示す正面図。
【図5】主表示ユニットの斜視図。
【図6】図4の遊技盤の背面側の斜視図。
【図7】図4の遊技盤の背面図。
【図8】パチンコ機の電気的構成の一例を示すブロック図。
【図9】第1実施形態における内枠から遊技盤を取り外した状況の分解斜視図。
【図10】第1掛止装置の斜視図。
【図11】第1掛止装置の正面図。
【図12】第1掛止装置の背面図。
【図13】第1掛止装置の平面図。
【図14】第1掛止装置の底面図。
【図15】第1掛止装置の右側面図。
【図16】第1掛止装置の左側面図。
【図17】第1掛止装置の縦断面斜視図。
【図18】第1掛止装置の分解斜視図。
【図19】第1掛止装置の基体の斜視図。
【図20】第1掛止装置の可動フックの斜視図。
【図21】第1掛止装置のロック部材の斜視図。
【図22】第1掛止装置のプッシャの斜視図。
【図23】第1実施形態において取付作業前における遊技盤の取付位置の状況を示す概略平面図。
【図24】図23の第1掛止装置付近の状況を示す概略平面図。
【図25】第1実施形態において第1掛止装置の可動フックを開放位置としたときの遊技盤の取付位置の状況を示す概略平面図。
【図26】図25の第1掛止装置付近の状況を示す概略平面図。
【図27】第1実施形態において遊技盤の一方側端縁を固定フックに掛止した状況を示す概略平面図。
【図28】第1実施形態において遊技盤を取付位置に嵌入した状況を示す概略平面図。
【図29】参考掛止装置を用いて遊技盤の取付作業を行う状況を示す概略平面図。
【図30】第1実施形態において第1掛止装置の可動フックを閉止位置として遊技盤の取付を完了した状況を示す概略平面図。
【図31】第2掛止装置の斜視図。
【図32】第2掛止装置の正面図。
【図33】第2掛止装置の背面図。
【図34】第2掛止装置の平面図。
【図35】第2掛止装置の底面図。
【図36】第2掛止装置の右側面図。
【図37】第2掛止装置の左側面図。
【図38】第2掛止装置の縦断面斜視図。
【図39】第2掛止装置の分解斜視図。
【図40】第2掛止装置における基体の外側体を正面側から視た斜視図。
【図41】第2掛止装置における基体の外側体を背面側から視た斜視図。
【図42】第2掛止装置における基体の内側体を正面側から視た斜視図。
【図43】第2掛止装置における基体の内側体を背面側から視た斜視図。
【図44】第2掛止装置の可動フックを正面側から視た斜視図。
【図45】第2掛止装置の可動フックを背面側から視た斜視図。
【図46】第2掛止装置のプッシャを正面側から視た斜視図。
【図47】第2掛止装置のプッシャを背面側から視た斜視図。
【図48】第2実施形態における内枠から遊技盤を取り外した状況の分解斜視図。
【図49】第2実施形態において取付作業前における遊技盤の取付位置の状況を示す概略平面図。
【図50】図49の第2掛止装置付近の状況を示す概略平面図。
【図51】第2実施形態において遊技盤の一方側端縁を固定フックに掛止した状況を示す概略平面図。
【図52】第2実施形態において遊技盤を取付位置に嵌入した状況を示す概略平面図。
【図53】第2実施形態において第2掛止装置の可動フックを閉止位置として遊技盤の取付を完了した状況を示す概略平面図。
【図54】図53の第2掛止装置付近の状況を示す概略平面図。
【図55】他の例に係る付勢手段を配設した掛止装置を示す概略平面図。
【図56】他の例に係る掛止装置を示す斜視図。
【図57】他の例に係る掛止装置を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の最良の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、遊技機としてパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を挙げる。
【0014】
(パチンコ機正面側の構成)
図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10の斜視図、図3はパチンコ機10の前面枠の斜視図である。図1および図2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11の一側部に開閉可能に支持された内枠12とを備えている。以下に、外枠11と内枠12との構成を個別に説明する。
【0015】
上記外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。なお、外枠11は樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成されていてもよい。このように構成することにより、パチンコ機の軽量化を図ることができるからである。
【0016】
一方、上記内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみてハンドル(後述する遊技球発射ハンドル18)設置箇所の反対側(図1のパチンコ機10の左側)で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に十分に開放できるようになっている。このような構成とするのは、内枠12の開閉軸線がハンドル設置箇所側(図1のパチンコ機10の右側)で上下方向にあるとすると、内枠12を開放する際に遊技球発射ハンドル18の頭部等が隣なりのパチンコ機やカードユニット(球貸しユニット)に干渉することになり、内枠12を十分に開放できないからである。また、内枠12は合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂から成る。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できるという利点が発揮される。
【0017】
また、内枠12は、その最下部に下皿ユニット13を有し、内枠12の左側の上下方向の開閉軸線を軸心にして開閉自在に取り付けられた前面枠セット14と、樹脂ベース(図示省略)と、この樹脂ベースの前側に取り付けられる後述の遊技盤30とを備えている。これらの各構成を以下に詳細に説明する。
【0018】
上記下皿ユニット13は、前面枠セット14の一部として前面枠ベース部材に固定されている。この下皿ユニット13の前面側には、下皿15と球抜きレバー17と遊技球発射ハンドル18と演出ボタン79が設けられている。球受皿としての下皿15は、下皿ユニット13のほぼ中央部に設けられており、後述の上皿が満タンになった場合等に排出口16より排出される遊技球を停留する役割がある。上記球抜きレバー17は、下皿15内の遊技球を抜くためのものであり、この球抜きレバー17を図1で左側に移動させることにより、下皿15の底面の所定箇所が開口され、下皿15内に停留された遊技球を下皿15の底面の開口部分を通して遊技者の持球貯留箱(ドル箱)に排出することができる。上記遊技球発射ハンドル18は、下皿15よりも右方で手前側に突出するように配設されている。遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて、発射ソレノイドを備えた遊技球発射装置によって遊技球が後述する遊技盤30の方へ打ち込まれるようになっている。前面枠セット14の上部には、スピーカからの音を出力するための音出力口24が設けられている。
【0019】
一方、前面枠セット14の下部(上述の下皿15の上方位置)には、遊技球の受皿としての上皿19が前面枠セット14と一体的に設けられている。この上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するための球受皿である。また、上皿19の左下方には、装飾図柄表示装置42の背景を変える等の操作を遊技者が行なうための演出ボタン79が設けられている。
【0020】
加えて、前面枠セット14にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり遊技状態時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、大当たり遊技状態時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり遊技状態中であることを報知する構成である。
【0021】
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタンと、返却ボタンと、度数表示部とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置された図示しないカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタンは、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタンは、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置部から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図れる。
【0022】
次に、図4を用いて遊技盤30の構成を説明する。図4は遊技盤30の構成を示す正面図である。遊技盤30は、一般入賞口を備える一般入賞装置31、可変入賞装置32、中央始動口33aと右始動口33b(作動チャッカ33bで構成)と一対の開閉羽根60とを備える始動入賞装置33、通過口を備える作動入賞装置34(スルーゲートで構成)、主表示ユニット371、装飾図柄表示装置42を備える可変表示装置ユニット35等が設けられている。これらの一般入賞装置31、可変入賞装置32、始動入賞装置33、作動入賞装置34、可変表示装置ユニット35等は、遊技盤30における、ルータ加工によって形成された各貫通穴にそれぞれに配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取り付けられている。また、右始動口33bの入口には、一対の開閉羽根60が設けられており、遊技球を案内する開放位置と、右始動口33b内に遊技球が入りにくくなる(入らない)閉塞位置を採りうる。開閉羽根60は、遊技盤30の裏面側に配設されたソレノイドSL1によって駆動される。また、中央始動口33aの下方には、大入賞口(収容部の入口)61が配置されている。大入賞口61については、後に言及する。大入賞口61内には、入球検出スイッチSW1が設けられている。
【0023】
前述の一般入賞装置31、可変入賞装置32および始動入賞装置33に遊技球が入球し、当該入球が後述する検出スイッチ(入賞口スイッチ、カウントスイッチ、作動口スイッチ等)で検出され、この検出スイッチの出力に基づいて、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、各種部材(役物)が配設されている。
【0024】
主表示ユニット371は、後述する主制御装置261が直接的に制御する表示装置ユニットであり、図5に示すように、右上の隅部が直角でその対辺が左上から右下へ延びる斜辺となっている、やや上下に長い概略直角三角形の各隅部(角部)が丸く角落ちするとともに、斜辺が遊技領域の右上部に沿って弧状に内側へ湾曲する正面形状を有し、前後に遊技球の直径よりやや大きい程度の厚みを有する立体状の外形を有する部品となっている。主表示ユニット371における右上には、ネジ挿通孔を有するフランジ371Hが背面に沿って形成され、右下の隅部には、前面側から後面壁まで凹入し該後面壁にネジ挿通孔(図示せず)を有する正面視概略U字状のネジ挿通部371Nが形成され、図4に示すように、フランジ371Hおよびネジ挿通部371Nにネジが螺入されて主表示ユニット371が遊技盤30の前面における右上部に固定されている。主表示ユニット371における左上の上面部は左下方へやや下傾するように形成され、その中央部は、図4に示すように、遊技球の最大飛翔部分に対応する外レール52の先端部に近接し、この部位の上に、図5に示すようにゴム板よりなる返しゴム371Rが取り付けられている。この返しゴム371Rにより、所定以上の勢いで発射された遊技球が当たって跳ね返されるようになっている。主表示ユニット371の前面部には、左上端近傍からネジ挿通部371Nに隣接するまで斜辺に沿って弧状に延びる正面形状を有して内奥側へ段状に凹入する表示部371Mが形成されている。
【0025】
上記表示部371Mには、7個の表示装置371A〜371Gが上から弧状に並ぶようにして順に配置されている。表示装置371B(第1特別図柄表示装置)は、中央始動口33aへの遊技球の入賞を契機に変動表示される第1特別図柄を表示するものであり、表示装置371D(第2特別図柄表示装置)は、右始動口33bへの遊技球の入賞を契機に変動表示される第2特別図柄を表示するものである。これらの表示装置371B,371Dはそれぞれ、「8」の字状に配列された7個と、隅部にドット状に配列された1個とによる合計8個のLEDのセグメントから構成されている。なお、各特別図柄は、上記表示装置371B,371Dにおいて同時に変動表示されることがなく入賞順に従って順次行われるため、装飾図柄表示装置42においては共通の装飾図柄によって特別図柄に対応する表示が行われるようになっている。表示装置371A(第1特別図柄保留表示装置)は、第1特別図柄の保留数を表示するものであり、表示装置371C(第1特別図柄保留表示装置)は、第2特別図柄の保留数を表示するものである。これらの表示装置371A,371Cはそれぞれ、左右2個のLEDで構成され、左側のLEDのみあるいは両方を点灯又は点滅させることにより最大で4個までの保留数を表示するようになっている。なお、センターフレーム43の下部には、2色の発光が可能な合計4個のランプよりなる保留ランプ800aが装飾図柄表示装置42の下辺に沿って配列されており(図4参照)、この保留ランプ800aによって表示される装飾図柄の保留数は、遊技状態(後述するサポート状態か否か)に応じて、上記表示装置371A,371Cのうち何れかが表示する保留数と対応するようになっている。表示装置371E(普通図柄表示装置)は、作動入賞装置34における通過口への遊技球の入賞を契機に変動表示される普通図柄を表示するものであり、左右2個のLEDで構成され、片側のLEDのみを点灯させることで外れを表示し、両方を点灯させることで当りを表示するようになっている。表示装置371F(普通図柄保留表示装置)は、普通図柄の保留数を表示するものであり、左右2個のLEDで構成され、左側のLEDのみあるいは両方を点灯又は点滅させることにより最大で4個までの保留数を表示するようになっている。表示装置371Gは、遊技状態の種別を表示するものであり、合計8個のLEDで構成されている。これらのLEDがそれぞれ消灯、点灯、点滅の何れかに変化し、全消灯を除く6560通りの組み合わせによって、1.通常遊技状態(大当たり乱数カウンタC1の抽選が低確率であり、サポート状態ではない)、2.時短状態(大当たり乱数カウンタC1の抽選が低確率であり、サポート状態)、3.潜伏高確率状態(大当たり乱数カウンタC1の抽選が高確率であり、サポート状態ではない)、4.高確率状態(大当たり乱数カウンタC1の抽選が高確率であり、サポート状態)、及び5.大当たり状態の何れかを表示するようになっており、大当たり状態を表示するのに際してはその大当たりの最大ラウンド数によって異なる表示が行われる。
【0026】
上記装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。装飾図柄表示装置42には、例えば上、中、及び下の3箇所に識別情報としての図柄(装飾図柄)が表示される。これら図柄がスクロールされて装飾図柄表示装置42に可変表示されるようになっている。なお本形態では、装飾図柄表示装置42(液晶表示装置)は例えば10インチ或いは12インチサイズの大型の液晶ディスプレイを備えている。遊技球が始動入賞装置33を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ800aにて点灯表示されるようになっているが、この保留ランプ800aが表示する保留回数は、装飾図柄表示装置42の一部(具体的には右下部)にも表示される。この保留表示は、保留数に対応する数のキャラクタ画像が並列的に表示されるものである。
【0027】
上記可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動されるようになっているが、その具体的な構成については後述する。簡略に触れれば、特別図柄表示装置が特定の表示態様となった場合(装飾図柄表示装置42の停止後の確定図柄が予め設定した特定の図柄の組み合せとなった場合)に特別遊技状態が発生する。そして、可変入賞装置32が受球状態となり、遊技球の入賞を許す。具体的には、所定時間(例えば30秒)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の受球状態が所定回数繰り返し開放される。
【0028】
また、遊技盤30には、遊技球発射装置から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす金属板にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール51と外レール52とを有する。内レール51および外レール52の後側端縁(遊技盤30に対向する端縁)には、所定間隔をおいて複数個所に鋲56が設けられており、内レール51および外レール52は該鋲56を打ちつけるようにして遊技盤30に取り付けられている。内レール51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成され、一部(主に左側部)が内レール51に向かい合うようにして外レール52が形成されている。かかる場合、内レール51と外レール52とにより誘導レールが構成され、これら各レール51、52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。なお、球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。
【0029】
内レール51の先端部分(図4の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール51および外レール52間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。
【0030】
尚、遊技領域は、レールユニット50の内周部(内外レール)と主表示ユニット371の斜辺とにより略円形状に区画形成されており、特に本形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領城が従来よりもはるかに大きく構成されている。
【0031】
(パチンコ機の背面構成)
次に、パチンコ機10の背面の構成を説明する。
【0032】
先ず、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12および遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにしてまたは前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の裏カバー(保護カバー)等が取り付けられている。本形態では、各種制御基板を3つの取付台に分けて搭載して3つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12または遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主制御基板、電源監視基板、これら基板を収容する基板ボックスおよび該基板ボックスを封印する封印ユニットから構成される主制御装置261を一つにユニット化し、表示制御基板、該表示制御基板を収容する基板ボックスおよび装飾図柄表示装置42から構成される表示制御装置45とサブ制御基板および該サブ制御基板を収容する基板ボックスから構成されるサブ制御装置262とを後述する外包部材82に搭載してユニット化し、さらに払出制御基板、該払出制御基板を収容する基板ボックス(払出制御基板ケース)および該基板ボックスを封印する封印ユニットから構成される払出制御装置311と電源基板、発射制御基板およびこれら基板を収容する基板ボックス(電源・発射制御基板ケース203A)から構成される電源・発射制御装置とを1つの取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、各ユニットを上記の順に「第1制御基板ユニット201」、「第2制御基板ユニット202」および「第3制御基板ユニット203」と称することとする。
【0033】
また、払出機構および裏カバー(保護カバー)も上記第3制御基板ユニット203に一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここでは第3制御基板ユニット203を「裏パックユニット203」とも称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
【0034】
第1制御基板ユニット201は、後述するように、取り外す場合には工具で封止状態を解除する必要があるが取付はネジ等の締結具も工具も何ら要することなく行い得るよう構成されており、第2制御基板ユニット202および裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されている。更に、これに加え、各ユニット201〜203は、一部に支軸部を設けて内枠12または遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
【0035】
上述した第1制御基板ユニット201は、その遊技の進行を統括する主制御基板及び電源の監視を司る電源監視基板を有する。上記主制御基板と電源監視基板とは透明樹脂材料等よりなる基板ボックスに収容されて構成されている。この基板ボックスは、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニットによって開封不能に連結されることにより、基板ボックスが封印される。
【0036】
尚、封印ユニットはボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用でき、また、封印ユニットによる封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期にかつ容易に発見可能とするものである。
【0037】
第2制御基板ユニット202は、主制御基板からの指示に従い前記装飾図柄表示装置42の表示制御を司る表示制御装置45と主制御基板からの指示に従い音声ランプ制御を司るサブ制御基板とを有する。上記表示制御装置45は、装飾図柄表示装置42および表示制御基板がユニットとして構成され、透明樹脂材料等よりなる基板ボックスに収容されて後述する外包部材82の背面側に取り付けられている。上記サブ制御基板は透明樹脂材料等よりなる基板ボックスに収容され、上記表示制御装置45の背面側に取り付けられている。
【0038】
次に、前記第3制御基板ユニット(裏パックユニット)203は、払出制御基板、電源基板、発射制御基板及びカードユニット接続基板を有している。上記払出制御基板により賞品球や貸出球の払出が制御され、上記電源基板および発射制御基板により各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力されるとともに遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射ソレノイドの制御が行われる。また、上記カードユニット接続基板は、パチンコ機前面の貸球操作部120(図1参照)および図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御基板に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板は不要である。
【0039】
上記払出制御基板は、透明樹脂材料等よりなる払出制御基板ケース(図示せず)内に収納されており、上記電源基板および発射制御基板は、透明樹脂材料等よりなる電源・発射制御基板ケース203A内に収納されている。また、上記カードユニット接続基板は透明樹脂材料等よりなるカードユニット接続基板ケース(図示せず)内に収納されている。特に、払出制御基板では、前述した主制御基板と同様、基板ケース(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット(封印手段)によって開封不能に連結されることにより、基板ボックスが封印される。
【0040】
上記払出制御基板は状態復帰スイッチと電気的に接続されており、例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチが押下されると、払出モータがゆっくりと正回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
【0041】
裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。
【0042】
裏パック351は例えばABS樹脂により成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機後方に突出し横長の略直方体形状をなす裏カバー部(保護カバー部)354とを有する。裏カバー部354は左右側面および上面が閉鎖されかつ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも電動役物表示制御装置45を囲むのに十分な大きさを有する(但し本形態では、前述のサブ制御装置262も合わせて囲む構成となっている)。裏カバー部354の背面には多数の通気孔が設けられている。この通気孔は各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔が比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
【0043】
また、ベース部353には、裏カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は図示しない払出通路等を通じて前記上皿19に供給される。
【0044】
タンクレール356と、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ359とが一体化するようにユニット化されており、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ359が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
【0045】
上記払出機構部352には、前記払出制御基板から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチの切替操作により電源ONまたは電源OFFとされるようになっている。
【0046】
なお、内枠12の右上側には、内枠12が外枠11に対して開かれたことを検出する内枠開検出スイッチ(図示せず)が設けられており、内枠12が開かれると、内枠開検出スイッチからホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。また、上記内枠開検出スイッチの左方には、前面枠開検出スイッチ(図示せず)が設けられており、前面枠セット14が開かれると、前面枠開検出スイッチからホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。
【0047】
(パチンコ機の電気的構成及び各種制御処理)
次に、図8を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。パチンコ機10は、電源装置313と、電源監視装置540と、主制御装置261と、サブ制御装置262と、払出制御装置311と、表示制御装置45等を備えている。以下に、これらの装置を個別に詳細に説明する。尚、電源監視装置540と主制御装置261とは、上記したように封印ユニットで封印されている。
【0048】
次いで、主制御装置261の構成について説明する。主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU501が搭載されている。MPU501には、該MPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
【0049】
RAM503は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのエリアが備えられている。
【0050】
なお、MPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路542からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU501へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
【0051】
主制御装置261のMPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、電源監視装置540内のRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、発射制御装置312、サブ制御装置262、主表示ユニット371(第1特別図柄保留表示装置371A、第1特別図柄表示装置371B、第2特別図柄保留表示装置371C、第2特別図柄表示装置371D、普通図柄表示装置371E、普通図柄保留表示装置371F、状態報知用表示装置371G)や、その他図示しない入賞検知スイッチ群や不正検知スイッチ群などが接続されている。なお、装飾図柄保留表示装置800(保留ランプ800a)は、サブ制御装置262に従属する表示制御装置45に接続されている。
【0052】
払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU511は、そのMPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
【0053】
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのエリアが備えられている。
【0054】
なお、主制御装置261のMPU501と同様、MPU511のNMI端子にも、停電時の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
【0055】
払出制御装置311のMPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、主制御装置261、払出モータ358aがそれぞれ接続されている。
【0056】
発射制御装置312は、発射ソレノイドによる遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射ソレノイドは、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311からカードユニットとの接続状態であることを示す接続信号が出力されていること、遊技者が遊技球発射ハンドル18に触れていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射制御装置312は発射許可信号を主制御装置261に出力する。発射許可信号を入力した主制御装置261は、発射ソレノイド制御信号を発射制御装置312に出力する。これにより発射制御装置312は発射ソレノイド制御信号に応じて発射ソレノイドを駆動し、その結果、遊技球発射ハンドルの操作量に応じた強さで遊技球が発射される。
【0057】
サブ制御装置262は、主制御装置261からのコマンドに基づいて装飾図柄の変動表示に応じた演出用スピーカ810等の鳴動制御及び演出用ランプ811の点灯(点滅)制御、並びに、主制御装置261からのコマンドに基づいて表示制御装置45へのコマンドを編集して表示制御装置45に送信する機能を果たすものである。サブ制御装置262のMPU550には、そのMPU550により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM551と、ワークメモリ等として使用されるRAM552とを備えている。MPU550には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン553を介して入出力ポート554が接続されている。入出力ポート554には、スピーカ、ランプ、装飾図柄表示装置42における変動表示中において所定の表示演出を実行させるための演出用ボタン79、及び主制御装置261がそれぞれ接続されている。演出用ボタン79としては、例えば所定のキャラクタが順次出現する態様によって大当たり状態の可能性が大きいことを予告するステップアップ予告等の表示演出用ボタン等が挙げられる。なお、演出用ボタン79が押されると、所定の演出実行のための演出指定コマンドが生成されて、装飾図柄表示装置42に送信されようになっている。
【0058】
表示制御装置45は、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を制御するものである。表示制御装置45は、ワークRAM等として使用されるRAM523を有するMPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、出力ポート529とを備えている。
【0059】
MPU521は、サブ制御装置262から送信されてくる図柄表示コマンド(停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、確定コマンド等)を入力ポート527を介して受信するとともに、受信コマンドを解析し、又は受信コマンドに基づき所定の演算処理を行って画像コントローラ526の制御(具体的には画像コントローラ526に対する内部コマンドの生成)を実施する。プログラムROM522は、MPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値を記憶するためのメモリであり、背景画像用のJPEG形式画像データも併せて記憶保持されている。RAM523は、MPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグ等を一時的に記憶するためのメモリである。
【0060】
画像コントローラ526は、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)で構成されている。VDPは、装飾図柄表示装置42に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する一種の描画回路であり、ICチップ化されているため、「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は描画処理専用のソフトウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。画像コントローラ526は、MPU521、ビデオRAM524等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して、出力ポート529を介して装飾図柄表示装置42に出力して表示させる。
【0061】
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRAM524の内容を書き換えることにより装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するための画像データライブラリとしての役割を担うものである。このキャラクタROM525には、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データ、ビットマップ画像の各ドットでの表現色を決定する際に参照する色パレットテーブル等が保持されている。特に、ビットマップ形式の図柄画像データにはそれぞれ図柄コード(図柄番号)が付与されており、コマンドレベルでは各図柄画像を図柄コードだけで管理可能としている。なお、キャラクタROM525を複数設け、各キャラクタROM525に分担して画像データ等を記憶させておくことも可能である。また、プログラムROM522に記憶した背景画像用のJPEG形式画像データをキャラクタROM525に記憶する構成とすることも可能である。
【0062】
電源装置313は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部541を備えている。この電源部541は、電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電圧を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を、電源監視装置540、サブ制御装置262、払出制御装置311、表示制御装置45等に対して供給する。なお、主制御装置261に対しては、電源監視装置540を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。また、発射制御装置312に対しては、主制御装置261を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。
【0063】
電源監視装置540は、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、リセット信号を出力するリセット回路544と、を備えている。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置261のMPU501及び払出制御装置311のMPU511の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。
【0064】
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチが押下された場合に、主制御装置261及び払出制御装置311へ、バックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SG2を出力する回路である。なお、払出制御装置311への信号の送信は、主制御装置261を介して行われる。
主制御装置261及び払出制御装置311は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、それぞれのバックアップデータをクリアする。
【0065】
リセット回路544は、主制御装置261、払出制御装置311、サブ制御装置262、及び表示制御装置45を初期化するため、リセット信号を出力する回路である。なお、リセット回路544からのリセット信号は、主制御装置261に対しては直接与えられるが、払出制御装置311、サブ制御装置262、及び表示制御装置45に対しては、電源装置313を介して与えられるようになっている。
【0066】
ここで、特別図柄表示装置、普通図柄表示装置、及び装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。なお、本実施形態のパチンコ機10においては、大当たりの発生を遊技者に示すための図柄として2個の特別図柄表示装置で表示される特別図柄と、単一の装飾図柄表示装置42で表示される装飾図柄との2種類が設けられている。装飾図柄は、特別図柄と同期して変動が行われる図柄であり、特別図柄の変動開始と同時に(又はほぼ同時期に)変動を開始し、また特別図柄の変動停止と同時に(またはほぼ同時期に)変動を停止するものである。この装飾図柄は、遊技者に多種多様な表示演出を行って飽きにくい遊技性を備えるために設けられている。
【0067】
先ず、第1特別図柄表示装置371B及び第2特別図柄表示装置371Dで行われる特別図柄の表示内容について説明する。特別図柄の変動表示は、8個のLEDセグメントの点灯パターンの変化によりそれぞれ表現される。この特別図柄の変動表示は遊技球の始動入賞装置33への入賞を契機としてその入賞順に基づいて第1特別図柄表示装置371B及び第2特別図柄表示装置371Dの何れかで開始され、所定時間後に停止する。具体的には、対応する側の特別図柄表示装置の点灯状態を中止する全消灯処理を行った後、所定の順番で各LEDセグメントを順次点灯させる切替処理を実行することで変動を開始させ、後述する停止パターン選択カウンタC3の値によって決定された変動表示時間が経過すると上述の切替処理を中断して全消灯処理を行い、後述する大当たり乱数カウンタC1及び大当たり図柄カウンタC2の値に基づいて決定された態様によって各LEDセグメントを点灯させるようになっており、大当たり抽選における外れ結果を表示する場合にはドット状の1個のLEDセグメントのみを点灯表示させる一方、大当たり結果を表示する場合には、大当たり後に高確率遊技状態を発生させる当選であるか否かによって異なる数字を「8」の字状に並ぶ7個のLEDセグメントを用いて点灯表示する。なお、一方の特別図柄表示装置が変動表示状態である期間において他方の特別図柄表示装置は変動表示を行わず、最後に変動表示された際に停止表示した図柄の点灯表示を継続した状態とされる。遊技球が始動入賞装置33の中央始動口33a及び右始動口33bに入賞した回数はそれぞれ最大4回まで保留され、それらの保留回数は、中央始動口33aへの入賞に対応する保留数については第1特別図柄保留表示装置371A及び装飾図柄表示装置42の所定領域にてそれぞれ表示され、右始動口33bへの入賞に対応する保留数については第2特別図柄保留表示装置371C及び装飾図柄表示装置42の所定領域にて表示されるようになっており、加えて、装飾図柄保留表示装置800の保留ランプ800aにて、遊技状態に応じて、中央始動口33aへの入賞に対応する保留回数又は右始動口33bへの入賞に対応する保留回数が点灯表示されるようになっている。
【0068】
次いで、装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。装飾図柄表示装置42の表示画面には、例えば、上段・中段・下段に区分けされた3つの表示領域に3つの装飾図柄列Z1〜Z3が表示される。これら装飾図柄列Z1〜Z3は、右から左にスクロール表示される。装飾図柄は、例えば「1」〜「9」の数字からなる主図柄と、主図柄より小さい副図柄とにより構成され、これら各主図柄および副図柄によって装飾図柄の図柄列が形成される。装飾図柄で形成される各図柄列では、数字の昇順又は降順に主図柄が配列されると共に各主図柄の間にそれぞれ副図柄が配列されている。始動入賞装置33への入賞すなわち始動入賞が発生すると、装飾図柄の変動表示が行われ、変動パターンに応じた一定時間の経過後に変動表示が停止し、装飾図柄表示装置42には縦3×横3の9個の装飾図柄が表示結果として表示される。大当たり抽選に当選した変動表示においては、9個の装飾図柄のうち垂直あるいは斜めの一直線上に同一の主図柄が3つ揃って停止するように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者に大当たりの発生が示される。一方、大当たり抽選に外れた変動表示においては、9個の装飾図柄のうち垂直あるいは斜めのいずれにも同一の主図柄が3つ揃って停止しないように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者に外れの発生が示される。なお、遊技状態がサポート状態(一対の開閉羽根60が通常より開放し易く且つ開放時間が通常よりも長い状態)を含まない状態である場合においては装飾図柄保留表示装置800の保留ランプ800aにて中央始動口33aへの入賞に対応する保留回数が赤色の発光で点灯表示される一方、遊技状態がサポート状態を含む状態である場合においては装飾図柄表示装置800の保留ランプ800aにて右始動口33bへの入賞に対応する保留回数が点灯表示されるようになっている。
【0069】
次いで、普通図柄表示装置371Eにおいて行われる普通図柄の表示内容について説明する。普通図柄の変動表示は、上述した2個のLEDを交互に点灯させることにより表現される。この普通図柄の変動表示は遊技球が作動入賞装置34の通過口を通過することを条件として開始され、所定時間後に普通図柄の変動表示が停止する。そして、両方のLEDを点灯状態で停止させた場合に始動入賞装置33が所定時間だけ作動状態となる(一対の開閉羽根60が開放される)よう構成されている。遊技球が作動入賞装置34の通過口を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が普通図柄保留表示装置371Fにて点灯表示されるようになっている。
【0070】
(電源投入時)
パチンコ機10の電源立ち上げ時には、動作確認および電源投入報知として、スピーカ、装飾図柄表示装置42の液晶画面、枠に配置された各種LED、遊技盤30に配置された各種LED等の各部が所定時間(本実施形態では30秒間)に亘って予め定められた動作をするように設定されている。このため、これら各部が正常に機能するか否かを目視確認できる。このとき、パチンコ機10に不正な改変が加えられたりしていないか否かも併せて確認できる。
【0071】
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。本形態では、主制御装置261内のMPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選や特別図柄表示装置の図柄表示の設定などを行うこととしている。具体的には、特別図柄に関連するカウンタ群と、普通図柄に関連するカウンタ群とを備えている。先ず、特別図柄に関連するカウンタ群について説明する。特別図柄に関連するカウンタ群としては、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、特別図柄表示装置の大当たり図柄の選択に使用する大当たり図柄カウンタC2と、特別図柄表示装置が外れ変動する際の停止パターンの選択(装飾図柄の変動においてはリーチとするか完全外れとするかのリーチ抽選に相当する)に使用する停止パターン選択カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する種別を決定する変動種別カウンタCS1〜CS3とを備えている。
【0072】
ここで、変動パターンとは、変動表示の特徴が共通するものを区分した場合における各パターン(形態)を意味している。
【0073】
上記カウンタC1〜C3,CINI1,CS1〜CS3、は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア700が設けられており、これらの各エリアには、始動入賞装置33への遊技球の入賞タイミングに合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及び停止パターン選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
【0074】
次いで、各カウンタの具体的な内容について詳述する。
大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜738の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり738)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINI1の値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINI1は、大当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜738)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動入賞装置33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「373,727」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は14で、その値は「59,109,163,211,263,317,367,421,479,523,577,631,683,733」である。なお、高確率時とは、特別図柄の組み合せが予め定められた確率変動図柄である特定図柄の組み合せによって大当たりになり付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確変の時をいい、通常時(低確率時)とはそのような確変状態でない場合をいう。
【0075】
大当たり図柄カウンタC2は、大当たりの際、特別図柄表示装置における特別図柄の変動停止時の図柄を決定するものであり、例えば0〜4の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり4)に達した後0に戻る構成となっている。例えば、大当たり図柄カウンタC2の値が「0」、「1」の場合の停止図柄は、9個のLEDセグメントが特定の点灯パターンで停止し、この場合の停止図柄の組み合せは非特定図柄(通常の大当たり図柄)を意味する。
【0076】
大当たり図柄カウンタC2の値が「2」、「3」、「4」の場合の停止図柄は、9個のLEDセグメントが上記とは別の特定の点灯パターンで停止し、この場合の停止図柄の組み合せは特定図柄(確率変動図柄)を意味する。
【0077】
大当たり図柄カウンタC2は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動入賞装置33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。
【0078】
停止パターン選択カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本形態では、特別図柄の変動表示は、9つのLEDセグメントで表現するように構成されているので、特別図柄の場合にはリーチという概念はなく、リーチに相当する停止パターンを停止パターン選択カウンタC3によって、決定することとしている。一方、装飾図柄の場合は、3つの装飾図柄が停止するので、リーチが存在する。従って、装飾図柄の場合は、リーチ抽選を、停止パターン選択カウンタC3によって決定している。即ち、装飾図柄の場合では、リーチ発生した後に最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしている。例えば、停止パターン選択カウンタC3=0〜201が完全外れに該当し、停止パターン選択カウンタC3=202〜208が前後外れリーチに該当し、停止パターン選択カウンタC3=209〜238が前後外れ以外リーチに該当する。
【0079】
ここで、リーチとは、装飾図柄表示装置42の表示画面に表示される装飾図柄が変動表示を開始した後、先に停留する図柄の組み合せが同一図柄(複数の有効ラインがある装飾図柄においてはいずれかの有効ライン上で同一図柄)であって大当たりの条件を満たしており、変動表示が続いている図柄の表示結果如何によっては大当たりとなることを遊技者に示唆して大当たりの図柄の組み合せを遊技者に期待させる表示であり、興趣演出の1種である。興趣演出とは、変動表示の途中で装飾図柄表示装置42の表示画面にリーチに代表される所定の図柄を現出させたり、スピーカから特定の音声を出力したり、或いは、振動用のモータによって遊技球発射ハンドル18を振動させる等、通常とは異なる態様を変動表示に伴わせて変動表示後の表示結果が大当たりとなることを遊技者に期待させる演出である。
【0080】
なお、停止パターン選択カウンタC3は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動入賞装置33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。
【0081】
変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS3は、例えば0〜162の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり162)に達した後0に戻る構成となっている。
変動種別カウンタCS1によって、ノーマルリーチ、スーパーリーチ、スペシャルリーチ、プレミアムリーチ等のリーチの種別のような大まかな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS2によって、例えばノーマルリーチA、ノーマルリーチB等のようにさらに細かな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS2によって、例えばすべり停止変動の場合の変動時間の加減算が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1〜CS3を組み合わせることで、変動パターンの多種多様性を容易に実現できる。
【0082】
カウンタCS1〜CS3は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、特別図柄表示装置による特別図柄及び装飾図柄表示装置42による装飾図柄の変動開始時における変動パターン決定に際してカウンタCS1〜CS3のバッファ値が取得される。
【0083】
次いで、普通図柄に関連するカウンタ群について説明する。普通図柄に関連するカウンタ群としては、当たりの抽選に使用する当たり乱数カウンタC4と、当たり乱数カウンタC4の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI2とを備えている。
【0084】
上記当たり乱数カウンタC4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア701が設けられており、これらの各エリアには、作動入賞装置34への遊技球の通過に合わせて、当たり乱数カウンタC4の値が格納される。
【0085】
次いで、上記当たり乱数カウンタC4,初期値乱数CINI2の具体的な内容について詳述する。当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻る構成となっている。そして、当たり乱数カウンタC4が1周した場合、その時点の当たり初期値乱数カウンタCINI2の値が当たり乱数カウンタC4の初期値として読み込まれる。なお、初期値乱数カウンタCINI2は、当たり乱数カンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜250)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。当たり乱数カウンタC4は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が作動入賞装置34を通過したタイミングでRAM503の保留球格納エリア701に格納される。当たり乱数カウンタC4の当たりとなる乱数の値の数は149で、その値は「5〜153」である。
【0086】
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、不規則性を重視すれば、大当たり乱数カウンタC1、停止パターン選択カウンタC3、当たり乱数カウンタC4、変動種別カウンタCS1〜CS3の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
【0087】
尚、主制御装置261内のMPU501により実行される各制御処理の詳細については、ここでは詳細説明を省く。
しかし、要約すれば、上述のように、始動入賞装置33への入賞により、主制御装置261において所定の確率の当否抽選がなされ、当たりに際しては、特別遊技状態に移行するのであり、これに伴って可変入賞装置32が入賞球の受球状態となるものである。
【0088】
(可変入賞装置と捕集部)
この実施例においては、上記の可変入賞装置32は、次のように構成されている。
この可変入賞装置32の基本構成は、遊技盤30の横方向に複数の遊技球を通過させることのできる幅を持つ大入賞口61からの入球を収容部(図示せず)に収容し、該収容部に設けた排出部から検出センサ(図示せず)に至って検出するように構成されている。
【0089】
そして、前記遊技盤30の遊技領域に、窓部101と遊技盤30との間の流下空間を流下する遊技球を入球させる始動入賞装置33(33a及び33b:図4参照)が設けられ、前記始動入賞装置33への入球により、主制御装置261によって、所定の確率の当否抽選が行われ、該当たり抽選によって遊技状態が特別遊技状態に移行し、該特別遊技状態において、少なくとも1回、前記可変入賞装置32が、非受球状態から受球状態に切り替わり、前記受球状態において、前記大入賞口61から収容部に収容された規定数の入賞球を、前記検出センサにより検出することによって規定数の賞球を払い出すように構成してある。
【0090】
(特徴構成)
1.第1実施形態
上記パチンコ機10は、図9に摸式的に示すように、該パチンコ機10の遊技機本体の一部を構成する内枠12に、遊技盤30が前方から取り付けられる構成となっている。遊技盤30が取り付けられた内枠12には、これを前方から覆うようにして前面枠が回動可能に取り付けられており(図9では図示省略)、遊技盤30は内枠12と前面枠との間に位置するようになっている。
【0091】
内枠12の前面において、遊技盤30の右側縁における上端近傍および下端近傍に対応する位置には、それぞれ、第1実施形態に係る掛止装置(以下、「第1掛止装置」とも称す)70Aが配置固定されている。第1掛止装置70Aは、図10乃至図18に示すように、基体71に、可動フック72およびプッシャ73が装架された基本構成を有するものとなっている。
【0092】
基体71は、図19に示すように、縦、横および高さの3方向のうちの1方向(図19では左上ないし右下方向)にやや薄く、残りの2方向に沿って長方形状に拡がる直方体(即ちやや厚さの大きい長方形の厚板状体)を構成する6面において、長方形の枠形状をなして連なる幅狭の4面のうち、比較的に長く延びる1面(図19では右後側面)と、この1面に隣接する比較的に短く延びる1面(図19では下面)とが、それぞれ第1面板74と第2面板75とにより全面的に覆われ、これら第1面板74および第2面板75のいずれにも直交する長方形の対向する2面が、第3面板76および第4面板77によりそれぞれ部分的に覆われ、第1面板74に対向する1面が全面的に開放され、第2面板75に対向する1面が第5面板78により部分的に覆われて、全体として、上述の直方体を、概ね長方形の対角線を境として斜めに切断した構成を有する中空状体となっている。上記第1ないし第5面板74〜78はいずれも同一の樹脂よりなる板状体となっており、互いに境界部で接合されあるいは一体的に成形されることにより連続している。
【0093】
第3面板76は、第1面板74の一方側端縁(図19では右側端縁)と第2面板75の一方側端縁(図19では右前側端縁)とにより構成される直角の入隅部を、正方形に近似する概略矩形状をなして覆い、当該矩形状部の4辺のうち、第2面板75と反対側の1辺(図19では上辺)の第1面板74側端部(図19では右端部)が、第1面板74に沿って外側へ(即ち図19では上方へ)帯状に延出し、一方、第1面板74と反対側の1辺(図19では左辺)の第2面板75側端部(図19では下端部)が、第2面板75に沿って外側へ(即ち図19では左方へ)、次第に第2面板75に寄っていくように先細りしながら延出する形状となっている。
【0094】
第3面板76の上記矩形状部における第2面板75と反対側の1辺(図19では上辺)の近傍には、縦断面略凹形状に内側へ凹入する第1凹入部76Bが、第1面板74側端(図19では右端)からその反対側端近傍(図19では左端近傍)まで、第2面板75に平行に直線状に延びるように形成されている。該第1凹入部76Bにおける第1面板74側と反対側の端部(図19では左端部)には、第3面板76を厚さ方向に貫通する第1軸挿通孔76Pが穿設されている。また、該第1凹入部76Bはこの第1軸挿通孔76P形成位置が一方端(図19では左端)となっていて、その延長線上の部分は凹入せず、第1凹入部76B以外の第3面板76と面一となるように連続しているが、当該部分の内側面には、第1凹入部76Bの対向する両側壁部(図19では上下両側壁部)からそれぞれ延長するようにして、平行な2条のリブが、第3面板76の端縁まで延びるように形成されている。一方、第3面板76の上記矩形状部における帯状延出部の延出端縁の近傍には、上記第1凹入部76Bと同様に一方端に第2軸挿通孔76Sおよび2条のリブが形成された構成を有する第2凹入部76Tが、第1面板74側端(図19では右端)からその反対側端近傍(図19では左端近傍)まで、第2面板75に平行に直線状に延びるように形成されている。さらにまた、第3面板76の内側面には、上記矩形状部における第1面板74と反対側の1辺(図19では左辺)と先細の延出部とにより構成される入隅の位置から、第1面板74側端(図19では右端)まで、第2面板75に平行に直線状に延びる外側レール76Rが形成されている。さらに、基体71の内奥部(図19では基体71内の右部)において、外側レール76Rと第2面板75との間には、後述するロック部材84のスライド動作を所定範囲内に規制する規制リブが突設されている(図示せず)。
【0095】
第4面板77は、上記第3面板76とほぼ対称の構成を有し、上記第3面板76の場合と同様の第1凹入部77B、第2凹入部77T、第1および第2軸挿通孔77P、77S、外側レール77Rならびに規制リブを備えるものとなっている。ただし、上記第3面板76の場合と異なって、第4面板77の矩形状部における第1面板74と反対側の1辺(図19では左辺)の、先細の延出部形成側と反対側の端(図19では上端)と第1凹入部77Bとの間の部分が、先細の延出部と同方向(図19では左下方)にやや延出して延出片部77Eとなっており、第1凹入部77Bの2条のリブのうちの外側(図19では上側)のリブが、当該延出片部77Eの下端とともに延出している。
【0096】
第3面板76および第4面板77のそれぞれにおける帯状延出部の延出端縁の間には、第5面板78が架設されるように形成され、これにより、基体71における当該端部(図19では上端部)が、第1面板74、第3面板76および第4面板77の帯状延出部ならびに第5面板78によって4面で閉塞された構成となっている。
【0097】
第1面板74には、図11および図12にも示すように、第3面板76および第4面板77よりも外側へ、先端が半円形状となるように略U字状に延出し、厚さ方向に貫通するネジ挿通孔が中央部に穿設された構成を有するネジ挿通片74Tが、第3面板76側方向および第4面板77側方向にそれぞれ、間隔をおいて2箇所ずつ、計4箇所に形成されている。
【0098】
可動フック72は、図20に示すように、軸挿通孔を有する円筒形状の軸挿通部72Cを包囲するように、該軸挿通部72Cの周面との間に間隔をおいて、先端が半円形状の略U字状の縦断面形状をなして該軸挿通部72Cの径方向(図20では左下方)に延出する周壁状の回胴部72Dと、該回胴部72Dの延出端から、直角をなして一方向(図20では上方)に折曲するように延出する係止部72Hとを有し、全体として、軸挿通部72Cの軸に直交する縦断面が略鉤形状(略L字形状)となるように連続する周壁状の外形を有する成形体となっており、上述の基体71を構成する樹脂とは異なる樹脂で構成されている。該係止部72Hの延出端における回胴部72D側(図20では右上側)の出隅部は、遊技盤30を抵触することなくスムーズに受容し得るように斜面状に角落ちした形状に成形され、一方、回胴部72Dと係止部72Hとの交差部すなわち可動フック72全体の屈曲部における出隅部は、後述のロック部材84に抵触することなくスムーズに回動し得るように湾曲面状に成形されている。回胴部72Dおよび係止部72Hの内部空間には、軸挿通部72Cの軸方向(以下、厚さ方向とも称す)における中央に、軸挿通部72Cの軸に直交する面方向に沿って一面に拡がり当該内部空間を厚さ方向中央で2つに仕切る隔壁72Sが形成されている。該隔壁72Sの両面側には、軸挿通部72Cの周面から、回胴部72Dの延出方向に沿って両側へ、該隔壁72Sに垂直な第1リブ72Bが延出し、可動フック72の外周壁と連続している。また、該隔壁72Sの両面側には、係止部72Hの外側の周壁における基端部(回胴部72Dとの交差部近傍の部位)から、内側の周壁におけるやや延出端側寄りの位置まで、該係止部72Hの延出方向に対し斜め方向(図20では右上方向)に、隔壁72Sに垂直な第2リブ72Tが延び、可動フック72の外周壁(即ち係止部72Hの外側および内側の周壁)と連続している。隔壁72Sの一方面側(図20では裏面側)には、図16に示すように、回胴部72Dの延出端部における外側の周壁と第1リブ72Bとの間に、掛止ボス72Eが突設されている。
【0099】
可動フック72は、図18に示すように、回胴部72Dを基体71の第1面板74側方向に、係止部72Hを基体71の第5面板78側方向に向けた体勢で、第3面板76と第4面板77との間に挿入され、軸挿通部72Cを第3面板76および第4面板77の第1軸挿通孔76P、77Pに合わせた状態で、第1回動軸81が挿通され、第3面板76および第4面板77のそれぞれの外面側でE型止め輪(図示せず)で固定することにより、回動自在に軸支される。可動フック72と第4面板77の間には、第1ねじりコイルバネ83が、第1回動軸81に外嵌された状態で介装される。該第1ねじりコイルバネ83における可動フック72側のアーム83Mの先端は円環状に折曲加工されて図16に示すように可動フック72の掛止ボス72Eに掛止され、一方、第4面板77側のアーム83Nの先端は第4面板77側へコ字形状に折り返されて図16に示すように第4面板77の延出片部77Eに掛止される。これにより、可動フック72が、係止部72Hが基体71の第1面板74からより遠ざかる方向(図16では矢印A11に示すように時計回り方向)に付勢されるようになっている。
【0100】
可動フック72と基体71の第2面板75との間には、ロック部材84が装架される。ロック部材84は、図21に示すように、基体71の第2面板75の外形(長方形)に対応して基体71内に収まる概略長方形状に延び、一方端縁(図21では左下端縁)およびその両側縁が一方面側(図21では上面側)へ横断面コ字形の周壁状に延出した形状となっており、上述の可動フック72を構成する樹脂と同一の樹脂で構成されている。該周壁状の延出部における両側片の外面にはそれぞれ、延出方向に沿って延びる数条のリブが突設されて把持面84Gが形成されている。上記周壁状の延出部の内側における延出端よりやや内方(図21では上端よりやや下方)の位置には、該周壁状の延出部の延出方向に垂直な規制面84Lが形成され、該規制面84Lからは、ロック部材84の他方端側(図21では右上端側)へ向けて、周壁状の延出部の延出方向における高さが次第に減少する斜面状の案内面84Sが形成されている。該案内面84Sの両側は、周壁状の延出部における両側片と面一に連続している。これら周壁状の延出部、規制面84L、案内面84S等はいずれも所定厚みを有する壁状に成形され、境界部で一体的に連続している。上記構成により、ロック部材84における一方端部(図21では左下端部)は、全体として、一方面側(図21では上面側)へ概略台形状をなして中空状に膨出する形状に成形されている。図17に示すように、該膨出部における規制面84Lと反対側面(図17および図21では下面)は開放され、該膨出部内において規制面84Lと案内面84Sとの境界の位置には、該膨出部の端面(図17および図21では左前側端面)に平行な隔壁84Pが形成され、該隔壁84Pにより、該膨出部内の空間が、規制面84Lの内側の略直方体状の空間と、案内面84Sの内側の略三角柱状の空間とに区画された形状となっている。
【0101】
図21に示すように、ロック部材84において、上記概略台形状の膨出部より他方端側(図21では右上端側)へ延びる部位の周縁は、上記周壁状の延出部の延出高さより小さい延出高さを有する周壁状に成形され、全体として、上記膨出部よりも薄い概略矩形の皿形状となっている。換言すれば、この周壁状部と案内面84Sとにより周囲を包囲されるようにして、概略矩形の皿形状をなして凹入する凹部84Nが形成されている。上記周壁状部における両側部の延出端縁からは、内側レール84Rがそれぞれ両側へ延出している。該内側レール84Rは、ロック部材84における凹部84N側端(図21では右上側端)から、上記把持面84G近傍まで直線状に延びている。凹部84Nの両側において、内側レール84Rの下部には、規制リブ84Mがそれぞれ形成されている。
【0102】
ロック部材84は、図18に示すように、上記概略台形状の膨出部形成側とは反対側の面(図18では下面)を基体71の第2面板75上に載置するようにして、凹部84N側から基体71内に挿入される。このとき、ロック部材84の内側レール84Rが基体71の外側レール76R、77Rの内側(図18では下側)に入り、これによりロック部材84が、上下動しないように規制されつつ、第2面板75上を、その長さ方向(図18では左下ないし右上方向)に沿ってスライドし得るように保持される。またこのとき、ロック部材84を挿入する途上で、規制リブ84Mが基体71の規制リブ(図示せず)に抵触するが、第3面板76および第4面板77を弾性変形させながら強制的に圧入するようにする。圧入後は、ロック部材84の規制リブ84Mが基体71の規制リブにより移動を規制され、これによりロック部材84が所定距離以上に基体71から引き出し得ないように規制される。
【0103】
プッシャ73は、図22に示すように、基体71の第1面板74の外形(長方形)に対応して基体71内に収まる正面視概略長方形状(概略帯形状)に延び、概ね一方端側半部(図21では上端側半部)が厚さ方向に一方面側(図21では左下側)へ膨出する一方、他方端側半部(図21では下端側半部)が厚さ方向にやや凹入するようにして、側面視概略S字状に蛇行する湾曲面が形成されており、該湾曲面の両側には該湾曲面に垂直な概略雲形状の側壁がそれぞれ形成された形状となっており、上述の可動フック72を構成する樹脂と同一の樹脂で構成されている。上記一方端側半部の膨出する湾曲面により、押圧面73Eが形成されている。押圧面73E形成側端部(図21では上端部)の内側(図21では裏側)における幅方向中央には、側壁に平行な隔壁が形成されている(図示せず)。また、当該内側における長さ方向中央部および押圧面73E形成側と反対側の端部(図21では下端部)には、幅方向に延びるリブがそれぞれ形成されている(図示せず)。上記両側壁および隔壁には、プッシャ73の幅方向に一直線に貫通する軸挿通開口部73Pが形成されている。
【0104】
プッシャ73は、図18に示すように、軸挿通開口部73P形成側端(図18では上側端)を基体71の第5面板78側方向に向け、押圧面73Eの反対側面を基体71の第1面板74に対向させた体勢で、基体71内に収容され、軸挿通開口部73Pを第3面板76および第4面板77の第2軸挿通孔76S、77Sに合わせた状態で、第2回動軸85が挿通され、第3面板76および第4面板77のそれぞれの外面側でE型止め輪(図示せず)で固定することにより、回動自在に軸支される。プッシャ73の内部には、第2ねじりコイルバネ86が嵌装される。第2ねじりコイルバネ86は、2つのコイル86Cと、両コイル86Cの間のコ字形状の中央アーム86Mと、両コイル86Cのさらに両側に延びる端部アーム86Eとを一体的に有するダブルトーションバネとなっている。図17にも示すように、第2ねじりコイルバネ86は、プッシャ73の押圧面73E形成側端部(図17および図18では上端部)の内側(図17および図18では裏側)において、両コイル86Cの間に隔壁を挟んで軸挿通開口部(図示せず)の位置に合わせ、中央アーム86Mを、プッシャ73の押圧面73E形成側端部と反対の端部側方向(図17および図18では下方向)であってプッシャ73から次第に遠ざかる斜め方向すなわち図17および図18では右下方向に向け、一方、端部アーム86Eを、プッシャ73の押圧面73E形成側端部と反対の端部側方向(図17および図18では下方向)であって押圧面73Eの裏面へ次第に近付く斜め方向すなわち図17および図18では左下方向に向けるようにして配置され、上述のように第2回動軸85を挿通する途上で両コイル86Cにもあわせて挿通することにより、第2回動軸85に外嵌される。第2ねじりコイルバネ86の中央アーム86Mの先端は基体71の第1面板74に当接し、一方、端部アーム86Eの先端部はプッシャ73における押圧面73Eの裏面に沿って延びる方向(図17および図18では下方向)に折曲加工され、該折曲部が押圧面73Eの裏面に当接するようにして配置される。これにより、プッシャ73が、一方端部を第2回動軸85に軸支された状態で、可動フック72の係止部72Hに寄っていく方向(図16では矢印A12に示すように反時計回り方向)に付勢されるようになっている。
【0105】
第1掛止装置70Aは、図9に摸式的に示すように、基体71の第3面板76および第4面板77を上側および下側に、第2面板75および第5面板78を右側および左側に、第1面板74を後側にそれぞれ向けた体勢で、内枠12の前面に配置され、基体71のネジ挿通片74Tでネジにより締結固定される。
【0106】
以下、第1掛止装置70Aを用いて遊技盤30を取り付ける手順について順次記述する。
(a)取付作業前には、通常、図23および図24に示すように、第1掛止装置70Aの可動フック72を閉止位置としておく。可動フック72およびロック部材84を前方に突出させておくと、周囲からの接触等をより受けやすくなってそのぶん損傷しやすくなり、また周囲の作業の邪魔ともなりやすいため、このように可動フック72およびロック部材84を収納しておく(引っ込めておく)ことが望ましい。
【0107】
閉止位置においては、図24に示すように、可動フック72における回胴部72Dの右側面がロック部材84の規制面84Lに当接し、これにより可動フック72の係止部72Hが遊技盤30の盤面から離隔する方向(図24では反時計回り方向)へ回動し得ないように規制される。即ち、可動フック72がロック部材84により閉止位置にロックされる。
【0108】
一方、図9および図23に示すように、内枠12の前面において、遊技盤30の左側縁における高さ方向ほぼ中央に対応する位置には、固定フック87が配置固定されている。固定フック87は、遊技盤30の左側縁を内包し得る横断面略コ字形状を有して上下にやや長く延びる部材となっている。図9では図示省略しているが、図23に示すように、固定フック87の前側片87Fにおける先端内側(図23では右上側)の稜角部は角落ちするように成形され、これにより遊技盤30を受容しやすいようになっており、一方、後側片87Rには、遊技盤30を後方から前方へ押圧する押圧片88が配設されている。この押圧片88の構成および取付構造は上述の第1掛止装置70Aにおけるプッシャ73の場合と同様であり、このため説明は省略する。固定フック87は、上述の第1掛止装置70Aにおける可動フック72が可動に構成されているのに対し、押圧片88の動作を除いて常に一定の横断面略コ字形状を保持する不動(非可動)のフック部材となっている。
【0109】
(b)取付作業時には、まず、図23および図24の矢印A13に示すように第1掛止装置70Aのロック部材84をパチンコ機10の前方へ引き出し、これにより、図25および図26に示すように、可動フック72を開放位置にセットする。ロック部材84は、把持面84Gをつまむように把持して、容易にスライドさせて引き出すことができる。図25および図26に示すように把持面84Gの全体が基体71より前方へやや出た位置に達すると、上述の通り、ロック部材84の規制リブ84Mが基体71の規制リブにより移動を規制され、これによりロック部材84がこの位置よりも前方へ引き出し得ないように規制される。即ち、この位置がロック部材84の前方への移動限界位置である。ロック部材84をこのように移動限界位置まで前方へ引き出すのに伴い、規制面84Lが可動フック72の回胴部72Dから前方へ外れて可動フック72の動作の規制を解除する。可動フック72は、上述の第1ねじりコイルバネ83により付勢されているので、この付勢力により、図25および図26の矢印A14に示すように前方へ出てくる方向(図25および図26では反時計回り方向)へ回動する。可動フック72はこのとき、屈曲部における出隅部の湾曲面が、ロック部材84の案内面84Sに沿って回動する。可動フック72が閉止位置から図25および図26に示すように前方へ約45゜回動して出てくると、回胴部72Dの右側面がプッシャ73における右側部(凹入部)の前面に突き当り、これ以上の回動が阻止される。即ち、この位置が可動フック72の前方への回動限界位置であり、開放位置となっている。
【0110】
(c)ついで、図27に示すように、遊技盤30を、パチンコ機10に対し右側がより遠くなるように傾けた体勢としつつ、その左側端縁を固定フック87に右前方から差し入れて前側片87Fの内側に掛止させる。
【0111】
(d)ついで、図27の矢印A15に示すように、遊技盤30を、上述の左側端縁の掛止位置を中心として扉を閉じるように(図27では反時計回り方向に)回動させて、図28に示すように、右側端部を第1掛止装置70Aのプッシャ73に当接する位置まで嵌入する。
【0112】
このとき、遊技盤30の左後側の稜角部が、固定フック87の押圧片88に抵触してやや抵抗を受けるが、遊技盤30を回動させることで当該稜角部に大きな梃子の力が作用するので、当該稜角部が押圧片88を弾性に抗して容易に後方へ押し込みながら、図28に示すように遊技盤30の左側端縁が固定フック87における前側片87Fと後側片87Rとの間に嵌入する。こうして遊技盤30の左側端縁が固定フック87に嵌入した後は、押圧片88が弾性により遊技盤30を固定フック87の前側片87Fに後方から圧しつけるので、遊技盤30の左側端部の前面が常に固定フック87の前側片87Fの内側面の位置に保持される。この構成により、遊技盤30の板厚にバラツキがあったとしても、遊技盤30の左側端部の前面が確実に所定位置にくるように保持される。換言すれば、押圧片88の弾性により、板厚のバラツキを吸収しながら遊技盤30の前面を正確に所定の前後位置に合わせて取り付けることができるようになっている。
【0113】
一方、第1掛止装置70Aにおいては、可動フック72が開放位置にセットされているので、遊技盤30の右側端部を容易に嵌入することができる。このとき、上記第1掛止装置70Aにかえて、例えば図29に摸式的に示すような構成の掛止装置(以下、「参考掛止装置」とも称す)89を用いることも可能であるが、この参考掛止装置89によれば、上述の第1掛止装置70Aに比して不利な点がある。同図に示す参考掛止装置89は、可動フック90が、遊技盤30の右側縁を内包し得る横断面略コ字形状を有するものとなっており、遊技盤30の着脱の際には、図29に示すように当該可動フック90を斜め前方へ回動させて開放位置にセットする構成となっている。この構成では、遊技盤30の前面に当接する部分と後面に当接する部分とが、横断面略コ字形状をなして一体となっているので、そのぶん部品点数も少なく構成も簡略であるという利点がある。しかしながら、可動フック90において遊技盤30を受容するスペースすなわち前後両側片の間隔は、常に遊技盤30の厚さにほぼ等しい一定寸法しかなく、これより拡大することもないため、取付作業の際に遊技盤30を挿入し難い。また、遊技盤30を挿入した時点から直ちにプッシャ91の弾性力を受けることになるので、そのぶん遊技盤30を取付位置まで嵌め込むまでに余分に力が必要となる。また一方、遊技盤30を取付位置から取り外す際には、可動フック90を開放位置とするのにともなって必然的に遊技盤30も一緒に前方に引き出してくることとなり、したがって遊技盤30を確実に支承しておかないと垂直に落下する虞があるという問題もある。
【0114】
これに対し、第1掛止装置70Aにおいては、プッシャ73が、可動フック72の回動(変位)とは無関係に、内枠12の前面に沿った一定の後方(奥方)位置に配置されており、押圧のためにわずかに前後動するのみで実質的には不動となっているので、可動フック72を開放位置とすると、プッシャ73との間隔が大きく拡がって遊技盤30を受容するスペースが拡大し、したがって遊技盤30を容易に嵌入することができる。即ち、遊技盤30を取付位置に嵌入するまでの行程を通して、プッシャ73は一定の後方(奥方)位置に待機した状態にあって遊技盤30に抵触することがなく、一方、図27および図28に示すように、開放位置にある可動フック72は、遊技盤30の回動軌道よりも外に逸脱している。したがって、遊技盤30と取付位置との間の空間は全く開放されていてなんら抵触する対象物もないので、ごく容易に遊技盤30を取付位置に嵌め込むことができる。また、取付位置に到達するまでの遊技盤30にプッシャ73が抵触することがないことから、その間に遊技盤30に対し、弾性力はもとよりなんら抵抗が生じることもない。また一方、遊技盤30を取付位置から取り外す際には、遊技盤30を取付位置に残した状態で可動フック72を開放位置に移動させることができる。取付位置においては遊技盤30が内枠12に支承されているため、可動フック72を外しただけでは、遊技盤30が前方へ倒れないようにおさえておく必要はあるものの、垂直に落下する虞はなく、したがってそのぶん参考掛止装置89の場合よりも安全である。
【0115】
(e)ついで、図30に示すように、第1掛止装置70Aの可動フック72を再び閉止位置に戻す。このとき、図30の矢印A16に示すように、ロック部材84をパチンコ機10の後方へ押し込むようにする。ロック部材84をこのように押し込むのに伴い、ロック部材84の案内面84Sがカム面として機能し、可動フック72の屈曲部における出隅部の湾曲面を、図30の矢印A17に示すように、第1ねじりコイルバネ83の付勢力に抗して後方に引込める方向(図30では時計回り方向)に回動させるように案内する。こうして、可動フック72が開放位置から後方へ約45°回動すると、可動フック72における回胴部72Dの右側面がロック部材84の規制面84L上に乗り上げるようにして再び当接し、これにより可動フック72がロック部材84により再び閉止位置にロック(規制)される。
【0116】
このとき、遊技盤30を介してプッシャ73の弾性力によりいくぶん抵抗を受けるが、ロック部材84を後方へ押し込むことで、図30に示すように遊技盤30の右側端部を取付位置に嵌入することができる。こうして遊技盤30の右側端縁が取付位置に嵌入して第1掛止装置70Aの可動フック72が閉止位置にロックされた後は、上述の左側端縁の場合と同様に、プッシャ73が弾性により遊技盤30を可動フック72の係止部72Hに後方から圧しつけ、一方、可動フック72の係止部72Hは閉止位置にロックされていて不動に保持されているので、遊技盤30の右側端部の前面が常に可動フック72の係止部72Hの内側面の位置に保持される。この構成により、遊技盤30の板厚にバラツキがあったとしても、遊技盤30の右側端部の前面が確実に所定位置にくるように保持される。換言すれば、プッシャ73の弾性により、板厚のバラツキを吸収しながら遊技盤30の前面を正確に所定の前後位置に合わせて取り付けることができるようになっている。
【0117】
以上の取付工程によれば、上述の通り、遊技盤30の板厚にバラツキがあったとしても、遊技盤30の左右両側端部がそれぞれ固定フック87および第1掛止装置70Aにより、前面の前後位置を所定位置に正確に合わせて取り付けることができるのであるが、上記固定フック87および第1掛止装置70A、なかでも第1掛止装置70Aを用いることにより、遊技盤30の取付作業を有利に行うことができる。
【0118】
上記第1掛止装置70Aにおいては、ロック部材84の押し込みおよび引き出しの動作により可動フック72を閉止位置と開放位置とに移動させることができるので、操作が容易である。また特に、ロック部材84が可動フック72とは別に配置されていて遊技盤30の前面に接触することなく動作し得るようになっており、プッシャ73の弾性力に抗して遊技盤30を押し込む際にも、直接的に遊技盤30に接触しながら押し込む必要がないため、遊技盤30の表面(前面)に対する傷等のダメージや汚れその他を少なくすることができる。さらにこのとき、遊技盤30に接触する可動フック72およびプッシャ73が樹脂で構成されていることにより、遊技盤30に対するダメージがより少なくなっており、また加えて、基体71およびロック部材84もあわせて第1掛止装置70Aの全体が基本的に樹脂で構成されているので、第1掛止装置70Aが軽量かつ安価に構成されている。さらにまた、可動フック72において遊技盤30に接触しやすい先端部内側の角部が角落ちした形状に成形され、一方、プッシャ73において遊技盤30に対向する面が緩やかに膨出する湾曲面状に成形されており、このような可動フック72およびプッシャ73の形状によっても遊技盤30に対するダメージが少なくなっている。
【0119】
また、可動フック72が、回動することにより、遊技盤30の表面(前面)に対して概ね直交する方向に移動して当接および離隔する構成となっているので、これによっても遊技盤30の表面に対するダメージ(特に摩擦によるダメージ)がより少なくなっている。
【0120】
また、可動フック72およびロック部材84のいずれも、遊技盤30に対して直交する方向すなわちパチンコ機10の前後方向に回動ないし往復動により移動して動作する構成となっているので、動作に必要な領域が第1掛止装置70Aの周囲に(即ち遊技盤30の盤面方向に沿って外側へ)拡がることがなく、該第1掛止装置70Aの正面形状に対応する領域内に納まるようになっている。例えば仮に、フックや操作部材等の回動やスライド等により動作領域が周囲に拡がるような構成になっていると、この動作のための空いたスペースを周囲に確保する必要があるが、このような空いたスペースを設けると、これを利用して不正具をパチンコ機10の内部に挿入する等の不正行為がなされやすくなるという問題がある。これに対し、上記第1掛止装置70Aの構成によれば、このような空いたスペースを周囲に設ける必要もなく、従って不正防止の観点からも有利である。
【0121】
(第1実施形態による作用)
本パチンコ機10は、遊技球が流下する遊技領域を前面に有する遊技盤30を、前方から遊技機本体のうちの内枠12に取り付けて構成され、上記遊技機本体すなわち内枠12が、取付位置にあるときの上記遊技盤30の前面の前後位置を前方から規制する体勢に保持されて該遊技盤30の離脱を不可とする閉止位置と、取付位置にあるときの上記遊技盤30の前面の位置から離脱して該遊技盤30の着脱を可とする開放位置との間で変位し得る可動部である、第1掛止装置70Aの可動フック72と、上記可動フック72の変位とは無関係に、上記遊技盤30の後側における一定の前後位置に配置され、上記遊技盤30を前方へ押圧する押圧部である、第1掛止装置70Aのプッシャ73と、を備える構成となっている。
【0122】
上記構成によれば、可動フック72を開放位置に変位させることにより遊技盤30を容易に取付位置に出入させることができる一方、可動フック72を閉止位置に変位させることにより遊技盤30を容易に取付位置に固定することができ、したがって、可動フック72の変位により遊技盤30の着脱を容易に行うことができるようになっている。
【0123】
また、プッシャ73が、可動フック72の変位とは無関係に一定の前後位置に配置されているので、遊技盤30を着脱する際に妨げとなり難くなっている。このとき仮に、例えば参考掛止装置89のように、可動部(可動フック90)を開放位置に変位させるのにともなって押圧部(プッシャ91)が前方へ移動するようになっていたりすると、遊技盤30を出入させるスペースが拡がることもなく、また遊技盤30を出入させる際に該押圧部(プッシャ91)が拘り易いので、遊技盤30を出入させ難く、また遊技盤30に傷がつきやすいという問題もある。これに対し、本パチンコ機10の構成によれば、可動フック72を開放位置に変位させても、プッシャ73は前方へ移動してくることなく一定の前後位置に留まるので、そのぶん遊技盤30を出入させるスペースが大きく拡がることとなるとともに、遊技盤30を出入させる際にも該プッシャ73が拘り難く、したがって遊技盤30を出入させやすくなっているとともに、遊技盤30に傷がつき難いようにもなっている。
【0124】
また、取付位置に配置された遊技盤30が、閉止位置に変位した可動フック72により前後位置を前方から規制されるとともに、プッシャ73により前方へ押圧されるので、遊技盤30の前面が、閉止位置にある可動フック72に圧しつけられて所定の前後位置に保持されるようになっている。したがって、遊技盤30の板厚にバラツキがあっても、これに影響されることなく、遊技盤30の前面が所定の前後位置に確実かつ安定に保持されるようになっている。
【0125】
また、上記遊技盤30の前面に接触することなく動作して上記可動フック72を変位させ得る操作部であるロック部材84をさらに備えるので、ロック部材84で操作することにより可動フック72を開放位置ないし閉止位置に容易に変位させることができ、したがって遊技盤30の着脱をさらに容易に行うことができるようになっている。
【0126】
このとき、操作部であるロック部材84は遊技盤30の前面に接触することなく動作させることができるので、ロック部材84で操作して可動フック72を変位させることにより、遊技盤30の前面に触れることなく該遊技盤30の着脱を行うことができ、したがって該遊技盤30の前面に傷や汚れ等をつけずに済んでその外観を良好に維持することができるようになっている。
【0127】
また、可動フック72が、回動することにより、閉止位置と開放位置とに変移し得る構成となっているので、これによっても遊技盤30の表面に対するダメージ(特に摩擦によるダメージ)がより少なくなっている。
【0128】
また、可動フック72およびロック部材84が、パチンコ機10の前後方向に移動して動作する構成となっているので、動作に必要な領域が遊技盤30の盤面方向に沿って外側へ拡がることがないようになっている。したがって、動作のための空いたスペースを周囲に確保する必要がない。即ち、不正行為に利用されやすいスペースを余分に設けることを避けることができて不正防止の観点から望ましい構成となっている。
【0129】
また、遊技盤30に接触する部位である可動フック72およびプッシャ73が樹脂で構成されているので、遊技盤30に対するダメージがより少なくなっている。
【0130】
また、可動フック72およびプッシャ73が、ロック部材84も併せ、基体71に装架されて第1掛止装置70Aとして構成されているので、この第1掛止装置70Aを内枠12に取り付けることにより、該可動フック72およびプッシャ73を一度に容易に内枠12に配設することができるようになっている。
【0131】
また、上記第1掛止装置70Aが、全体として基本的に(即ち第1および第2回動軸81、85、第1および第2ねじりコイルバネ83、86ならびにE型止め輪を除いて)樹脂で構成されているので、軽量かつ安価な構成となっている。
【0132】
また、本パチンコ機10は、遊技球が流下する遊技領域を前面に有する遊技盤30を、前方から遊技機本体のうちの内枠12に取り付けて構成され、上記遊技機本体すなわち内枠12が、取付位置にあるときの上記遊技盤30を前方から保持して該遊技盤30の離脱を不可とする閉止位置と、取付位置にあるときの上記遊技盤30の前面の位置から離脱して該遊技盤30の着脱を可とする開放位置との間で変位し得る可動部である、第1掛止装置70Aの可動フック72と、上記遊技盤30の前面に接触することなく動作して上記可動フック72を変位させ得る操作部である、第1掛止装置70Aのロック部材84と、を備える構成となっている。
【0133】
上記構成によれば、操作部であるロック部材84で操作して可動フック72を開放位置に変位させることにより遊技盤30を容易に取付位置に出入させることができる一方、可動フック72を閉止位置に変位させることにより遊技盤30を容易に取付位置に固定することができ、したがって、可動フック72の変位により遊技盤30の着脱を容易に行うことができるようになっている。
【0134】
このとき、ロック部材84は遊技盤30の前面に接触することなく動作させることができるので、ロック部材84で操作して可動フック72を変位させることにより、遊技盤30の前面に触れることなく該遊技盤30の着脱を行うことができ、したがって該遊技盤30の前面に傷や汚れ等をつけずに済んでその外観を良好に維持することができるようになっている。
【0135】
また、可動フック72が、回動することにより、閉止位置と開放位置とに変移し得る構成となっているので、可動フック72の変移による遊技盤30の表面に対するダメージ(特に摩擦によるダメージ)がより少なくなっている。
【0136】
また、可動フック72およびロック部材84が、パチンコ機10の前後方向に移動して動作する構成となっているので、動作に必要な領域が遊技盤30の盤面方向に沿って外側へ拡がることがないようになっている。したがって、動作のための空いたスペースを周囲に確保する必要がない。即ち、不正行為に利用されやすいスペースを余分に設けることを避けることができて不正防止の観点から望ましい構成となっている。
【0137】
また、遊技盤30に接触する部位である可動フック72が樹脂で構成されているので、遊技盤30に対するダメージがより少なくなっている。
【0138】
また、可動フック72およびロック部材84が、基体71に装架されて第1掛止装置70Aとして構成されているので、この第1掛止装置70Aを内枠12に取り付けることにより、該可動フック72およびロック部材84を一度に容易に内枠12に配設することができるようになっている。
【0139】
また、上記第1掛止装置70Aが、全体として基本的に(即ち第1および第2回動軸81、85、第1および第2ねじりコイルバネ83、86ならびにE型止め輪を除いて)樹脂で構成されているので、軽量かつ安価な構成となっている。
【0140】
2.第2実施形態
上記第1実施形態において、第1掛止装置70Aにかえて、例えば図31乃至図39に示すような第2実施形態に係る掛止装置(以下、「第2掛止装置」とも称す)70Bを用いるようにしてもよい。同図に示す第2掛止装置70Bは、基体92に、可動フック93およびプッシャ94が装架された基本構成を有するものとなっている。上記基体92、可動フック93およびプッシャ94は、同一の樹脂を用いてそれぞれ成形された部材となっている。
【0141】
基体92は、図40および図41に示す外側体921と、図42および図43に示す内側体922とから構成されている。外側体921は、図40および図41に示すように、やや厚みを有する矩形の平板状の第1片92Bの一端縁部(図40では上端縁部)から一方面側(図40では後面側)へ垂直に、同じくやや厚みを有する矩形の平板状の第2片92Mが延出し、さらに該第2片92Mの延出端縁から、第1片92B側と反対側(図40では上側)へ垂直に、同じくやや厚みを有する矩形の平板状の第3片92Tが延出して、全体として、略ジグザグ状に2箇所で直角に折れ曲がった側面形状を有する立体となっている。上記第1片92B、第2片92Mおよび第3片92Tはそれぞれ、3面ないし4面が板状の壁で閉塞された、一方向にやや厚みの小さい直方体形状に構成され、互いに連続して上述のような全体形状を構成し、第1片92Bにおける第2片92M側面部(図41では左前側面部)および先端面部(図41では下面部)、第2片92Mにおける第1片92B側面部(図41では下面部)および第3片92T側端面部(図41では左前側端面部)ならびに第3片92Tにおける第2片92M側と反対側面部(図41では左前側面部)はいずれも全面的に開放されている。即ち、外側体921において、第1片92Bにおける先端面部から、第3片92Tにおける第2片92M側と反対側面部(図41では左前側面部)まで、側面視略ジグザグ状に直角に折れ曲がりながら連なる4面部は全体として全面的に開放されている。
【0142】
第2片92Mの厚さ方向における第3片92T側の壁(図40および図41では上側壁)において、第1片92Bとの境界における中央部から、当該第2片92Mに沿って内側へ(当該壁の中心近傍まで)矩形状に拡がるフック挿通開口92Hが穿設されている。また、第3片92Tの厚さ方向における第1片92B側の壁(図40では前側壁、図41では後側壁)において、第2片92Mとの境界における中央部から、当該第3片92Tに沿って内側へ(当該壁の中心をやや越える位置まで)やや深く矩形状に拡がる一方、第2片92Mの厚さ方向における第3片92T側の壁すなわち上述のフック挿通開口92Hが形成された壁において、第3片92Tとの境界における中央部から、第2片92Mに沿って内側へやや浅く矩形状(スリット状)に拡がり、全体として、上記境界から第2片92Mおよび第3片92Tの両片の方向に沿って、側面視略L字状をなすように上記境界で直角に折曲しつつ同一幅をもって連通しながら拡がる、プッシャ挿通開口92Pが穿設されている。上記フック挿通開口92Hおよびプッシャ挿通開口92Pの幅(第1片92Bと第2片92Mと第3片92Tとの間の境界線に平行な方向に沿った寸法)は同一で、外側体921全体の幅の約50%程度の幅となっている。
【0143】
上記フック挿通開口92Hおよびプッシャ挿通開口92Pが形成された連続する2つの壁の内側面からは、外側体921における側面視略ジグザグ状に連なる両側面壁に相似であって該両側面壁よりやや小さい側面形状を有する内側リブ92Rが垂直に延出している。該内側リブ92Rは、図41に示すように、第1片92Bの内側における先端の一方出隅(図41では右下のコーナー)よりやや内側寄りの位置(第1片92Bの中心寄りの位置)から、第3片92Tの内側における先端の一方出隅(図41では右上のコーナー)よりやや内側寄りの位置(第3片92Tの中心寄りの位置)まで、外側体921の一方側面(図41では右側面)に平行に、該一方側面との間に距離をおいて延び、ついで、第3片92Tの先端面(図41では上端面)に沿って直角に折れ曲がって他方側へ延び、さらにその先端から、第1片92Bの内側における先端の他方出隅(図41では左下のコーナー)よりやや内側寄りの位置(第1片92Bの中心寄りの位置)まで延びている。該内側リブ92Rは、全体として、外側体921における両側壁および第3片92T側先端壁よりも、延出高さおよび総延長ともにひとまわり小さい寸法を有して背面視略コ字状に2箇所で直角に折曲しながら延び、かつ、フック挿通開口92Hおよびプッシャ挿通開口92Pの両側縁を通るようにして(即ちフック挿通開口92Hおよびプッシャ挿通開口92Pと同一幅をもって外側体921内の幅方向中央部に)延びるリブとなっている。さらに、該内側リブ92Rにおける両側片の内側面の複数箇所ならびに中央片の内側面の中央には、該内側リブ92Rの延出高さ方向(即ち第1片92Bないし第3片92Tの厚さ方向あるいは第1片92Bと第3片92Tとの間隔方向;図41では左下ないし右上に延びる方向)に沿って、それぞれ断面半円状の摺動リブ92Fが間隔をおいて形成されている。該摺動リブ92Fは、後述するプッシャ94の外面との接触面積を低減させて摩擦力を軽減するものである。また、該内側リブ92Rにおける2箇所の折曲部(コーナー部)、ならびに該内側リブ92Rの両端(第1片92Bにおける右下端近傍および左下端近傍に位置する両端)には、該内側リブ92Rの延出高さ方向に円筒状に延び、中心部にネジ孔を有する螺入部92Cが、それぞれ該内側リブ92Rに一体的に形成されている。
【0144】
上記内側リブ92Rの中央片(図41では上端面を構成する水平片)は、プッシャ挿通開口92Pの先端縁(図40および図41では上端縁)よりもやや先端側寄り(図41では上側寄り)の位置に形成されている。換言すれば、第3片92Tにおける第2片92M側面壁(図40では左前側壁)が、内側リブ92Rの中央片よりもやや内側(図40では下側)まで延出するように、プッシャ挿通開口92Pの先端縁の位置が設定されている。これにより、内側リブ92Rにおける背面視略コ字状の先端部を第2片92M側から覆うようにして、後述するプッシャ94の前方への移動を規制する規制壁部92G(図40参照)が形成されている。
【0145】
内側体922は、図42および図43に示すように、上記外側体921と相似であって該外側体921の内部にちょうど嵌合する寸法を有する立体状の外形を有し、該外側体921の第1片92B、第2片92Mおよび第3片92Tにそれぞれ対応する第1片95B、第2片95Mおよび第3片95Tを有して構成されている。該内側体922において、第1片95Bにおける第2片95M側と反対側面部(図42では左前側面部)から、第3片95Tにおける第2片95M側面部(図42では左前側面部)まで、側面視略ジグザグ状に直角に折れ曲がりながら連なる3面部は全体として全面的に開放され、これ以外の7面部は、後述するネジ挿通孔95Cおよび端部開口95Pを除き全面的に閉塞されている。
【0146】
図42に示すように、第1片95Bにおける先端面壁(図42では下端面壁)の内側面中央には、丸棒状で先端が半球状に丸く成形された第1バネ用ボス95Lが突設されている。該第1バネ用ボス95Lの両側には、後述する可動フック93における脚部93Lの幅より僅かに大きい間隔をおいて、該脚部93Lの長さより僅かに大きい高さを有する案内壁95Gが、それぞれ第1片95Bにおける先端面壁の内側面から、第1片95Bの両側面に平行に延出し、その延出端縁は略L字形の平面形状をなして両側へ直角に折れ曲がるように延びて、第1片95Bの両側面壁および第2片95M側面壁に突き当たり一体的に連続している。該案内壁95Gの折曲部における稜角部は湾曲面状に角落ちする形状に成形されている。第1片95Bの第2片95M側面壁(図42では右後側面壁)には、上記両案内壁95Gの間に形成される略直方体状の空間に対応しかつこの空間に連通するように、加工用の矩形状の端部開口95Pが穿設されている。第1片95Bの第2片95M側面壁の内側面において、上記端部開口95Pの直上部には、可動フック93における脚部93Lの幅より僅かに小さい間隔をおいて、該脚部93Lの長さより短く該脚部93Lの長さ方向に沿って延びる2条の摺動リブ95Dが形成されている。該摺動リブ95Dは断面半円状で、両端は球面状に成形されている。さらに、第1片95Bの第2片95M側面壁の内側面において、第2片95Mと交差する端縁部(図42では上端縁部)には、後述するプッシャ94の幅より僅かに小さい間隔をおいて、上記摺動リブ95Dと同様の形状および寸法を有する2条の摺動リブ95Eが形成されている。
【0147】
第2片95Mの第1片95B側面壁(図42では下側面壁)の内側面には、後述するプッシャ94の幅より僅かに小さい間隔をおいて(即ち上述の2条の摺動リブ95Eに対応する幅方向位置に)、それぞれ断面半円状の摺動リブ95Fが形成されている。
【0148】
第3片95Tにおける第2片95M側と反対側面壁(図42では右後側面壁)の内側面のほぼ中央には、丸棒状で先端が半球状に丸く成形された第2バネ用ボス95Hが突設されている。
【0149】
図43に示すように、第3片95Tにおける第2片95M側と反対側面壁の先端両側の隅部ならびに第1片95Bにおける第2片95M側面壁の先端両側(即ち端部開口95Pの両側)の隅部、即ち内側体922全体における4隅部にはそれぞれ、皿ネジに対応する錐面状の座ぐりが施されたネジ挿通孔95Cが形成されている。
【0150】
可動フック93は、図44および図45に示すように、一方向(図44および図45では左下ないし右上に延びる方向)に深さを有する概略長方形の皿状の外形を有する本体部93Bと、該本体部93Bの一方端面(図44および図45では下端面)から、横断面略コ字形の周壁状であって該本体部93Bの開放側面と同方向の面(図44では前側面)が開放された脚部93Lが該本体部93Bの長さ方向に沿って外方(図44では下方)へ延出した構成を有する樹脂成形体となっている。
【0151】
図44に示すように、本体部93Bにおける内奥壁(図44では右後側壁)は、ほぼ中央の位置から脚部93L側へかけて、次第に浅くなるよう緩く傾斜しながら延び、その先端で再び、当該内奥壁における中央から脚部93L側と反対側へ延びる部位(図44では上側半部)と平行となるように、本体部93Bの脚部93L側端まで延びている。これにより、図45に示すように、当該内奥壁の外側に、内側へやや凹入する退避スペース93Rが形成されるとともに、傾斜部の外側面がカム面93Cとなっている。当該内奥壁における脚部93L側と反対側の端部(図45では上端部)近傍には、本体部93Bの幅方向(図45では左上ないし右下に延びる方向)にやや長く延びる長方形状(短冊形状)であって当該内奥壁を厚さ方向に貫通する係合孔93Pが穿設されている。また、当該内奥壁と、本体部93Bにおける脚部93L側と反対側の端面壁(図45では上端面壁)とが交差して形成される稜角部は湾曲面状に角落ちする形状に成形され、一方、当該稜角部に直交するとともに当該端面壁(図45では上端面壁)の両端縁ならびに当該内奥壁の両端縁に沿って形成される稜角部もそれぞれ角落ちする形状に成形されている。上記本体部93Bの内奥壁において、退避スペース93Rが形成された矩形状の領域におけるカム面93C形成側端縁(図45では上端縁)を除く3端縁は、略コ字形状の周壁をなすようにやや延出し、脚部93Lの中央片の外側面が、この周壁状部の延出端縁と同一面上に位置して連続するように成形されている。換言すれば、上記本体部93Bの内奥壁における係合孔93P形成面が、この周壁状部の延出端縁よりも内側へやや後退した位置にくるように成形されている。これにより、この周壁状部の両端が、上記本体部93Bの内奥壁における係合孔93P形成面より突出する掛止部93Eとなっている。
【0152】
プッシャ94は、図46および図47に示すように、やや厚みを有する矩形の平板状の第1片94Bの一端縁部(図46では右上端縁部)から一方面側(図46では上面側)へ垂直に、同じくやや厚みを有する矩形の平板状の第2片94Tが、第1片94Bよりも長く延出して、全体として、略L字状に1箇所で直角に折れ曲がった側面形状を有する中空の立体となっている。図47に示すように、プッシャ94における第1片94B延出側と反対側の面(図47では左前側面)は開放され、これ以外の7面は全面的に閉塞するように成形されている。また、これら閉塞された7面部において外部に形成される各稜角部はいずれも角落ちするように成形されている。
【0153】
図46に示すように、第1片94Bの先端面(図46では左前側面)には、上述の可動フック93における係合孔93Pに対応するやや厚みのある矩形の平板状の係合片94Pが突設されている。該係合片94Pは、各稜角部が角落ちし、また先端面が、第2片94T側辺(図46では上側辺)からその対辺にかけて次第に突出高さが増大する斜面となるように成形されている。また、第1片94Bの第2片94T側面(図46では上側面)における幅方向両端部には、該第1片94Bの延出方向に沿って、それぞれ摺動リブ94Fが形成されている。該摺動リブ94Fは断面半円状で、先端(図46では左端)の半円状の稜角部は角落ちするように成形されている。一方、第2片94Tの先端面(図46では上端面)における第1片94B側と反対側の領域(図46では右後側領域)は、第1片94B側の領域よりもやや突出して段状に成形され、これにより掛止突出部94Eが形成されている。該掛止突出部94Eの幅方向両端の出隅部は湾曲面状に角落ちするように成形されている。
【0154】
図47に示すように、第2片94Tの内部におけるほぼ中央には、第1片94Bの延出方向(あるいは第2片94Tの厚さ方向)に沿って円筒状に延びるバネ受容部94Rが一体的に形成されている。該バネ受容部94Rと第2片94Tの両側壁との間はそれぞれリブが形成されて一体的に連続するように成形されており、該バネ受容部94Rおよびリブの先端縁は、プッシャ94における第1片94B延出側と反対側の面(図47では左前側面)の位置にくるように成形されている。
【0155】
図39に示すように、上記可動フック93は、係合孔93P形成側端(図39では上端)をフック挿通開口92Hに内側から挿通するようにして、基体92の外側体921における第1片92Bの内部に嵌装される。このとき、可動フック93は、係合孔93P形成面(図39では左前側面)を、基体92の外側体921における第3片92T側に向けるようにして配置される。一方、上記プッシャ94は、第1片94Bおよび第2片94Tを、基体92の外側体921における第2片92Mおよび第3片92Tとそれぞれ対応する体勢として、外側体921の内側リブ92Rに、開放側すなわちプッシャ挿通開口92P形成側と反対側から、外側体921における内側リブ92Rの内部に嵌入される。
【0156】
上述のように可動フック93およびプッシャ94を内部に収容した状態で、基体92の外側体921には、内側体922が嵌着される。このとき、外側体921および内側体922の開放側面同士を対向させるようにして、外側体921の内側に内側体922が嵌入される。またこのとき、図38に示すように、可動フック93の脚部93L内には第1圧縮コイルバネ96が一方端から挿入され、他方端は基体92における内側体922の第1バネ用ボス95Lに外嵌されて拘束される。これにより、図38の矢印A18に示すように、係合孔93P形成側端をフック挿通開口92Hから突出させる方向(図38では上方向)へ可動フック93が付勢される。一方、プッシャ94のバネ受容部94Rには第2圧縮コイルバネ97が一方端から挿入され、他方端は基体92における内側体922の第2バネ用ボス95Hに外嵌されて拘束される。これにより、図38の矢印A19に示すように、第2片94Tにおける第1片94B側面部(図38では左前側面)をプッシャ挿通開口92Pから突出させる方向(図38では左下方向)へプッシャ94が付勢される。この状態で、基体92の外側体921と内側体922とは、内側体922のネジ挿通孔95Cを通して外側体921の螺入部92Cにネジを螺入し締結することにより固定される。これにより、基体92における10面の全てが閉塞されて、図31に示す第2掛止装置70Bが得られる。
【0157】
第2掛止装置70Bは、図48に摸式的に示すように、遊技盤30の一方側縁(右側縁)がくる位置に可動フック93の先端を向けた体勢で、基体92の内側体922における第3片95Tの第2片95M側と反対側の外面(図48では右後側面)を内枠12の前面に重ね合わせるようにして、前述の第1掛止装置70Aの場合と同様に上下2箇所に配置固定される。このとき、内枠12に対する第2掛止装置70Bの固定方法は省略しているが、例えば、接着剤等の適宜な固定手段を用いてもよく、あるいは、前述の第1掛止装置70Aの場合と同様に、基体92に適宜なネジ挿通片を形成しておいてネジ固定するようにしてもよい。また、配置固定した状態の第2掛止装置70Bにおける外側体921の第1片92Bないし内側体922の第1片95Bと内枠12の前面との間にはスペースが形成される(第1片92B、95Bが前方へ浮いている)が、このスペースに適宜な部材を充填したり、あるいは第2掛止装置70Bの基体92を、予めこのスペースも包含するような外形となるように、即ち、全体としてこのスペースも包含する直方体状であって外側体921の第1片92Tおよび内側体922の第3片95Tのみが延出する外形となるように成形するようにしてもよい(図示省略)。これによれば、第2掛止装置70Bを内枠12の前面に対してより安定して固定することができる。
【0158】
またこのとき、内枠12の前面において、遊技盤30の左側縁における高さ方向ほぼ中央に対応する位置には、前述の第1実施形態と同様に、固定フック87が配置固定されている。
【0159】
以下、第2掛止装置70Bを用いて遊技盤30を取り付ける手順について順次記述する。
(a)取付作業前には、通常、図49および図50に示すように、第2掛止装置70Bの可動フック93を基体92内に収納して開放位置としておく。可動フック93をフック挿通開口92Hから突出させておくと、周囲からの接触等をより受けやすくなってそのぶん損傷しやすくなるため、このように可動フック93を開放位置に移動させて基体92内に収納しておく(引っ込めておく)ことが望ましい。
【0160】
図50に鎖線で示すように、可動フック93がフック挿通開口92Hから突出した位置が閉止位置である。この閉止位置にある可動フック93を、図50中の矢印A20で示すように、第1圧縮コイルバネ96の付勢力に抗して、即ち第1圧縮コイルバネ96を圧縮するようにして、基体92内に押し込むと、可動フック93のカム面93Cが、第2圧縮コイルバネ97の付勢力に抗して、即ち第2圧縮コイルバネ97を圧縮するようにして、プッシャ94の係合片94Pを後方すなわち内枠12側方向へ押し退けるようにしながら、可動フック93が基体92内に進入していく。可動フック93の先端面が基体92におけるフック挿通開口92H形成面とちょうど面一となる位置すなわち開放位置まで引っ込むと、可動フック93の係合孔93Pがプッシャ94の係合片94Pの位置に到達し、該係合片94Pが第2圧縮コイルバネ97の付勢力により係合孔93P内に嵌入して係合する。該係合片94Pがいったん係合孔93P内に嵌入すると、第2圧縮コイルバネ97の付勢力によりこの係合状態に保持される。即ち、第2圧縮コイルバネ97の付勢力によって、係合片94Pが係合孔93P内に嵌入して係合した状態に保持され、これにより可動フック93が全体的に基体92内に納まった開放位置にロックされる。
【0161】
上記開放位置においては、プッシャ94の第2片94Tにおける第1片94B側面部(図50では下側面部)が、第2圧縮コイルバネ97の付勢力により、基体92の第3片92Tにおけるプッシャ挿通開口92P形成面から前方(図50では下方)へやや突出した位置に保持される。このとき、プッシャ94の第2片94Tにおける基端部(プッシャ94における折曲部近傍)は、プッシャ挿通開口92Pの前側端縁(基体92の第2片92Mに延出したプッシャ挿通開口92Pの延出端縁)により前方への移動が規制され、一方、プッシャ94の第2片94Tにおける先端部は、掛止突出部94Eが、基体92における規制壁部92Gに掛止されることにより、前方への移動が規制される。
【0162】
(b)取付作業時には、図51に示すように、前述の第1実施形態におけると同様にして、遊技盤30を、パチンコ機10に対し右側がより遠くなるように傾けた体勢としつつ、その左側端縁を固定フック87に右前方から差し入れて前側片87Fの内側に掛止させる。
【0163】
(c)ついで、前述の第1実施形態におけると同様にして、図51の矢印A21に示すように、遊技盤30を、上述の左側端縁の掛止位置を中心として扉を閉じるように(図51では反時計回り方向に)回動させて、図52に示すように、右側端部を第2掛止装置70Bのプッシャ94に当接する位置まで嵌入する。
【0164】
このとき、遊技盤30の左側部は、前述の第1実施形態におけると同様に、固定フック87により位置決めして保持される。
【0165】
一方、第2掛止装置70Bにおいては、前述の第1掛止装置70Aの場合と同様に、可動フック93が開放位置にセットされているので、遊技盤30の右側端部を容易に嵌入することができる。特に、プッシャ94が、可動フック93の移動(変位)とは無関係に、内枠12の前面に沿った一定の後方(奥方)位置に配置されており、可動フック93の移動にともなってわずかに前後動するのみで実質的には不動となっている一方、開放位置にある可動フック93は、遊技盤30の回動軌道よりも外に逸脱していることから、前述の参考掛止装置89の場合よりも、遊技盤30の着脱を容易かつ安全に行うことができるのは前述の第1掛止装置70Aの場合と同様となっている。
【0166】
(d)図52の矢印A22に示すように、遊技盤30の右側端部を、第2掛止装置70Bのプッシャ94に当接する位置からさらに後方へ押し込むようにすると、図53および図54に示すように、第2掛止装置70Bの可動フック93がフック挿通開口92Hから突出して閉止位置に戻る。
【0167】
このとき、図54に示すように、上述のようにして遊技盤30の右側端部が後方へ押し込まれるのにともなってプッシャ94も後方へ押し込まれると、可動フック93の係合孔93Pに嵌入して係合していたプッシャ94の係合片94Pが該係合孔93Pから後方へ抜け出して係合状態が解除され、可動フック93が第1圧縮コイルバネ96の付勢力によりフック挿通開口92Hから突出する方向に押し出される。可動フック93は、掛止部93Eが基体92の第2片92Mにおけるフック挿通開口92Hの周縁の壁に内側から掛止することにより(図示せず)、これ以上の外側への移動を規制され、第1圧縮コイルバネ96の付勢力によりこの掛止位置に保持される。
【0168】
(e)上述のようにして可動フック93がフック挿通開口92Hから突出して閉止位置となった状態で、遊技盤30の右側端部を後方へ押し込む力を除く(手を放す)と、第2圧縮コイルバネ97の付勢力によりプッシャ94が遊技盤30の右側端部を前方へ押し返して可動フック93に後方から圧しつけ、これにより遊技盤30の右側端部の前面が可動フック93の内側面の位置に保持される。この構成によれば、前述の第1掛止装置70Aを用いた場合と同様に、プッシャ94の弾性により、板厚のバラツキを吸収しながら遊技盤30の前面を正確に所定の前後位置に合わせて取り付けることができるようになっている。
【0169】
遊技盤30を取り外す際には、閉止位置にある可動フック93を基体92内に押し込んで再び開放位置とする。このとき、遊技盤30がプッシャ94により可動フック93に後方から圧しつけられた状態では、遊技盤30との摩擦により可動フック93を移動させづらく、また遊技盤30の前面に傷がつきやすいため、第2圧縮コイルバネ97の付勢力に抗して遊技盤30の右側端部を後方へ圧しつけるようにしながら可動フック93を移動させると、遊技盤30に傷をつけることなく容易に可動フック93を移動させることができる。
【0170】
以上の取付工程によれば、前述の第1実施形態におけると同様に、遊技盤30の板厚にバラツキがあったとしても、遊技盤30の左右両側端部がそれぞれ固定フック87および第2掛止装置70Bにより、前面の前後位置を所定位置に正確に合わせて取り付けることができるのであるが、特に上記第2掛止装置70Bを用いることにより、以下のような利点がある。
【0171】
上記第2掛止装置70Bにおいては、閉止位置にある可動フック93を押し込むだけで容易に開放位置とすることができ、またこの開放位置においてプッシャ94の係合片94Pが第2圧縮コイルバネ97の付勢力により可動フック93の係合孔93P内に嵌入して係合することにより、可動フック93が容易かつ確実に開放位置にロックされる。このとき、第2圧縮コイルバネ97は、主として遊技盤30を前方へ押圧する目的でプッシャ94を付勢するものとなっているが、この付勢力を利用してプッシャ94の係合片94Pを可動フック93の係合孔93P内に嵌入して係合させるようにしているので、そのぶん部品点数も少なく、機構が効率的に構成されて簡略となっている。
【0172】
また、開放位置にある可動フック93を閉止位置にする場合には、遊技盤30を取付位置にもっていく途上で、該遊技盤30の右側端部でプッシャ94を押し込むことにより、可動フック93の係合孔93Pに対する係合片94Pの係合状態が解除され、可動フック93が第1圧縮コイルバネ96の付勢力により押し出されて自動的に閉止位置に戻るようになっている。即ち、遊技盤30の右側端部を取付位置に押し込むことで、これ以外の操作をすることなく可動フック93を自動的に閉止位置にセットすることができ、したがってそのぶん作業が容易となっている。
【0173】
また、遊技盤30に接触する可動フック93およびプッシャ94が樹脂で構成されていることにより、遊技盤30に対するダメージがより少なくなっており、また加えて、基体72もあわせて第2掛止装置70Bの全体が基本的に樹脂で構成されているので、第2掛止装置70Bが軽量かつ安価に構成されている。さらにまた、可動フック93において遊技盤30に接触しやすい先端部内側の角部が角落ちした形状に成形され、また、プッシャ94も含め、これ以外の稜角部も角落ちした形状に成形されているので、遊技盤30に対するダメージが少なくなっている。
【0174】
(第2実施形態による作用)
本パチンコ機10は、遊技球が流下する遊技領域を前面に有する遊技盤30を、前方から遊技機本体のうちの内枠12に取り付けて構成され、上記遊技機本体すなわち内枠12が、取付位置にあるときの上記遊技盤30の前面の前後位置を前方から規制する体勢に保持されて該遊技盤30の離脱を不可とする閉止位置と、取付位置にあるときの上記遊技盤30の前面の位置から離脱して該遊技盤30の着脱を可とする開放位置との間で変位し得る可動部である、第2掛止装置70Bの可動フック93と、上記可動フック93の変位とは無関係に、上記遊技盤30の後側における一定の前後位置に配置され、上記遊技盤30を前方へ押圧する押圧部である、第2掛止装置70Bのプッシャ94と、を備える構成となっている。
【0175】
上記構成によれば、可動フック93を開放位置に変位させることにより遊技盤30を容易に取付位置に出入させることができる一方、可動フック93を閉止位置に変位させることにより遊技盤30を容易に取付位置に固定することができ、したがって、可動フック93の変位により遊技盤30の着脱を容易に行うことができるようになっている。
【0176】
また、プッシャ94が、可動フック93の変位とは無関係に一定の前後位置に配置されているので、遊技盤30を着脱する際に妨げとなり難くなっている。このとき仮に、例えば参考掛止装置89のように、可動部(可動フック90)を開放位置に変位させるのにともなって押圧部(プッシャ91)が前方へ移動するようになっていたりすると、遊技盤30を出入させるスペースが拡がることもなく、また遊技盤30を出入させる際に該押圧部(プッシャ91)が拘り易いので、遊技盤30を出入させ難く、また遊技盤30に傷がつきやすいという問題もある。これに対し、本パチンコ機10の構成によれば、可動フック93を開放位置に変位させても、プッシャ94は前方へ移動してくることなく一定の前後位置に留まるので、そのぶん遊技盤30を出入させるスペースが大きく拡がることとなるとともに、遊技盤30を出入させる際にも該プッシャ94が拘り難く、したがって遊技盤30を出入させやすくなっているとともに、遊技盤30に傷がつき難いようにもなっている。
【0177】
また、取付位置に配置された遊技盤30が、閉止位置に変位した可動フック93により前後位置を前方から規制されるとともに、プッシャ94により前方へ押圧されるので、遊技盤30の前面が、閉止位置にある可動フック93に圧しつけられて所定の前後位置に保持されるようになっている。したがって、遊技盤30の板厚にバラツキがあっても、これに影響されることなく、遊技盤30の前面が所定の前後位置に確実かつ安定に保持されるようになっている。
【0178】
また、開放位置にある可動フック93とプッシャ94とが互いに係合する係合構造として係合孔93Pと係合片94Pとをそれぞれ備え、該係合孔93Pと係合片94Pとが、プッシャ94が遊技盤30を前方へ押圧する押圧力すなわち第2圧縮コイルバネ97の付勢力を利用して互いに係合するようになっているので、そのぶん部品点数も少なく、機構が効率的に構成されて簡略となっている。
【0179】
また、可動フック93が開放位置から閉止位置に移動するように第1圧縮コイルバネ96により付勢されており、プッシャ94を後方へ押圧することにより上述の係合孔93Pと係合片94Pとの係合状態が解除されて可動フック93が自動的に閉止位置に移動するようになっているので、遊技盤30を取付位置に押し込むだけで可動フック93を自動的に閉止位置にセットすることができ、したがってそのぶん操作も簡略で遊技盤30の取付作業を容易に行なうことができるようになっている。
【0180】
また、遊技盤30に接触する部位である可動フック93およびプッシャ94が樹脂で構成されているので、遊技盤30に対するダメージがより少なくなっている。
【0181】
また、可動フック93およびプッシャ94が、基体92に装架されて第2掛止装置70Bとして構成されているので、この第2掛止装置70Bを内枠12に取り付けることにより、該可動フック93およびプッシャ94を一度に容易に内枠12に配設することができるようになっている。
【0182】
また、上記第2掛止装置70Bが、全体として基本的に(即ち第1および第2圧縮コイルバネ96、97ならびにネジを除いて)樹脂で構成されているので、軽量かつ安価な構成となっている。
【0183】
(変更態様)
上記第1および第2実施形態に係るパチンコ機10には、例えば以下に列挙するように様々な変更を加えることが可能である。なお、以下の記述および図面において、第1および第2実施形態における部材ないし部位と同様の部材ないし部位には同一の符号を付し、基本的にその説明は省略する。
【0184】
(1)前記第1および第2実施形態においては、第1掛止装置70Aおよび第2掛止装置70Bが全体として基本的に樹脂で構成されていたが、掛止装置の一部または全部を例えば金属等で構成するようにしてもよい。例えば、掛止装置の大部分を金属で構成し、遊技盤と接触する部位、例えば可動フックやプッシャの内側面等に、樹脂、ゴム等よりなる被覆層を形成するようにした構成等が可能である。
【0185】
(2)前記第1実施形態においては、第1掛止装置70Aにおけるロック部材84の押し込みおよび引き出しの操作により可動フック72が閉止位置と開放位置とに移動する構成となっていたが、操作部の構成としては、例えば、可動フックとは別の位置に、回動により動作するレバー等を配設するようにしてもよく、これによっても操作を容易に行い得る構成とすることができる。ただし、操作スペースがなるべく周囲に拡がらないようにするという観点からは、前記第1実施形態におけるロック部材84のように、遊技機の前後方向に直線運動(スライド動作)する構成とするほうが望ましい。
【0186】
(3)前記第1実施形態においては、第1掛止装置70Aにおける可動フック72およびプッシャ73を付勢する手段として第1ねじりコイルバネ83および第2ねじりコイルバネ86がそれぞれ配設されていたが、例えば図55に摸式的に示すように、可動フック62およびプッシャ63が同一の付勢手段により付勢される構成としてもよい。同図に示す第3掛止装置70Cは、第1ねじりコイルバネ83および第2ねじりコイルバネ86にかえて板バネ64が配設されている点以外は、第1掛止装置70Aと同様の構成となっている。板バネ64は、帯状に長く延び、側面視略「へ」字形状となるように中間部で折り曲げられており、図55に示すように閉止位置にある可動フック62における回胴部62Dの半円形状の先端とプッシャ63との間の位置に配置固定されている。第3掛止装置70Cの基体65の内側面において上記板バネ64の中間部がくる位置には、該板バネ64の中間部に対応して断面略「へ」字形状を有して内側へ突出する2条のリブ65Rが並行して形成されており、板バネ64の中間部が両リブ65Rの間に挟まれるようにして固定されている。板バネ64の中間部から一方へ延びる一方片64Dは、可動フック62における回胴部62Dの先端部の周面に形成されたスリット(図示せず)を通って該回胴部62Dの内部へ延出し、その延出端が該回胴部62Dを内側から押圧して、図55中の矢印A23に示すように、可動フック62を開放位置側へ(図55では反時計回り方向へ)付勢している。板バネ64の中間部から他方へ延びる他方片64Pは、プッシャ63における凹入部の前面に形成されたスリット(図示せず)を通って該プッシャ63の内部へ延出し、その延出端が該プッシャ63を内側から押圧して、図55中の矢印A24に示すように、前方へ、すなわち遊技盤30を裏側から押圧し得るように(図55では時計回り方向へ)付勢している。
【0187】
上記構成によれば、可動フック62およびプッシャ63が、同一の付勢手段である板バネ64により付勢され、前述の第1掛止装置70Aの場合と同様に機能し得るようになっている。したがって、そのぶん部品点数が低減されて構成も簡略となっている。
【0188】
(4)前記第1および第2実施形態においては、遊技盤30の左側縁が高さ方向ほぼ中央の1箇所で固定フック87により、右側縁が上端近傍および下端近傍の2箇所で第1ないし第2掛止装置70A、70Bにより、それぞれ固定されていたが、この第1および第2実施形態における固定手段の配置は、例えば以下に列挙するように種々に変更することが可能である。
【0189】
1.遊技盤30の右側縁を高さ方向ほぼ中央の1箇所で第1ないし第2掛止装置70A、70Bにより固定する
上記1.の配置によれば、使用する第1ないし第2掛止装置70A、70Bを1個とすることができるので、そのぶん部品点数が削減できて構成も簡略化されるとともに、取付の手間も削減されることとなる。ただし、発射装置から射出された遊技球を遊技盤30の前面に正しく導入するためには、遊技盤30の下端部の前後位置の精度が特に重要であり、従ってこの位置精度の観点からは、前記第1および第2実施形態における配置のように、遊技盤30の少なくとも下端近傍を第1ないし第2掛止装置70A、70Bで固定する配置とすることが望ましく、さらにはこの場合、遊技盤30を下端近傍のみで支持するだけでは安定して支持し難いため、上端近傍も第1ないし第2掛止装置70A、70Bで固定する配置とすることが望ましい。
【0190】
2.遊技盤30の左側縁を、高さ方向ほぼ中央の1箇所あるいは上端近傍および下端近傍の2箇所等の適宜位置で、第1ないし第2掛止装置70A、70Bにより固定する
3.上記2.の配置において、遊技盤30の右側縁を固定フック87により固定する、即ち、前記第1および第2実施形態における配置を左右逆にする
【0191】
上記2.ないし3.の配置によれば、遊技盤30の少なくとも左側縁が第1ないし第2掛止装置70A、70Bにより固定されることとなる。パチンコ機10の開閉軸線は前述の通り正面からみて遊技球発射ハンドル18設置箇所の反対側すなわちパチンコ機10の左側にあり、このため、第1ないし第2掛止装置70A、70Bが遊技盤30の左側に配置されていると、前面枠を開放してもこの前面枠の存在によって右側よりも操作スペースが大幅に制限されることとなり、またパチンコ機10を閉じた状態では右側に比して不正具等も進入させ難いので、不正な操作を防止する観点からは望ましい。ただし、その一方で、この操作スペースの狭さにより、遊技盤30の着脱における第1ないし第2掛止装置70A、70Bの操作には不利となるため、この観点からは、前記第1および第2実施形態における配置のように、遊技盤30の左側縁は、これを挿入する以外には操作を要することなく固定することが可能な固定フック87等の固定手段により固定する配置とすることが望ましい。
【0192】
4.前記第1および第2実施形態ないし上記1.〜3.の配置において、第1ないし第2掛止装置70A、70Bにかえて、例えば図56に示す第4掛止装置70Dや図57に示す第5掛止装置70Eのように、少なくとも基体66が遊技盤30の側縁に沿って長く延びる構成を有する掛止装置を用いる
【0193】
図56に示す第4掛止装置70Dは、基体66の第1面板67、第2面板68および第5面板69が、遊技盤30の側縁における上端近傍から下端近傍までの長さに対応して上下に長く延びる形状に形成され、その上下両端部にそれぞれ、基体71の第1面板74、第2面板75および第5面板78以外の第1掛止装置70Aの構成要素、即ち基体71の第3面板76および第4面板77、可動フック72、プッシャ73ならびにロック部材84がすべて配設された態様となっている。換言すれば、第4掛止装置70Dは、前記第1実施形態と同様に上端近傍および下端近傍の2箇所に配置された第1掛止装置70Aの基体71の第1面板74、第2面板75および第5面板78が、それぞれ上下方向に沿って互いに近寄り合うように長く延びて、基体66の第1面板67、第2面板68および第5面板69として一体的に連続し、これにより、上下に配置された2個の第1掛止装置70Aが、全体として上下に長く延びる基体66を有する1個の第4掛止装置70Dとして構成された態様となっている。
【0194】
図57に示す第5掛止装置70Eは、上記第4掛止装置70Dにおいて、基体66だけでなく可動フック98も、遊技盤30の側縁における上端近傍から下端近傍までの長さに対応して上下に長く延びる形状に成形され、高さ方向ほぼ中央に配設されたロック部材84により、開放位置と閉止位置との間で操作される構成となっている。
【0195】
上記第4掛止装置70Dないし第5掛止装置70Eによれば、前記第1および第2実施形態における配置のように上端近傍および下端近傍の2箇所に第1ないし第2掛止装置70A、70Bがそれぞれ配置される場合に比して、当該第4ないし第5掛止装置70D、70E自体が大型となるためそのぶん成形性や取扱性、保管性等の点で不利ではあるが、遊技盤30の側縁をより安定にかつより確実に支持することができ、また当該第4ないし第5掛止装置70D、70Eの取付自体も上下箇々に行うのではなく一度にできるため簡便であり、さらに、当該第4ないし第5掛止装置70D、70Eにおいて上下間の相対位置が固定されているため、上下間で位置ズレを生じることもなく、上下箇々に位置決めする必要もないため、そのぶん位置決めを正確かつ簡便に行うことができる。
【0196】
さらに、上記第5掛止装置70Eによれば、可動フック98も上下に長く延びるものとなっているので、遊技盤30の側縁をより安定に保持することができるとともに、該可動フック98の操作も上下箇々に行うのではなく一度にできるため簡便である。なお、第5掛止装置70Eにおいては、上下に長く延びる可動フック98が、高さ方向ほぼ中央に配設されたロック部材84により操作される構成となっているが、例えば、上記第4掛止装置70Dにおいて、上下箇々に配設された可動フック72が、高さ方向ほぼ中央に配設されたロック部材84により一斉に操作される構成とすることも可能である(図示省略)。ただしこの場合、ロック部材84と可動フック72との間に動力を伝達する部材ないし機構を設ける必要があり、したがって、部品点数ないし構成の簡略さの観点からは上記第5掛止装置70Eのような構成とすることが望ましい。
【0197】
上記第4掛止装置70Dないし第5掛止装置70Eは、上述の通り、第1実施形態では上下にそれぞれ配置されていた1対の第1掛止装置70Aにおける基体71の第1面板74、第2面板75および第5面板78を、これらの間で互いに連絡するように延長させて基体66の第1面板67、第2面板68および第5面板69として一体的に構成したものとなっているが、これと同様にして、上下にそれぞれ配置された第2掛止装置70Bにおける基体の一部を上下に長く形成して一体的に構成したものとしてもよい(具体的説明および図示は省略)。
【0198】
さらにまた、上記第4掛止装置70Dないし第5掛止装置70Eによれば、可動フック72、98およびプッシャ73を付勢する付勢手段が上下にそれぞれ配設されるが(図示せず)、例えば付勢手段を高さ方向ほぼ中央等の1箇所のみに設け、この一つの付勢手段によって、上下の可動フック72およびプッシャ73を一斉に、あるいは上下に長く延びる可動フック98の全体を付勢する構成とし、これにより付勢手段の点数を削減するようにしてもよい。
【0199】
さらにまた、前記第1および第2実施形態ないし上記1.〜3.の配置のように、掛止装置を複数箇所に配設する場合、同一の掛止装置を複数箇所に配設するようにしてもよいが、互いに異なる複数の掛止装置を複数箇所に配設するようにしてもよい。例えば、パチンコ機10の開閉軸線側すなわち左側には、なるべく所要の操作スペース(可動領域)が小さい構成を有する掛止装置を配設し、右側には、操作スペースは大きくなっても操作性、コストといった他の面で有利な構成を有する掛止装置を配設する、といった配置が挙げられる。
【0200】
(5)前記第1および第2実施形態においては、可動フック72、93、プッシャ73、94およびロック部材84が、基体71、92に装架されて第1ないし第2掛止装置70A、70Bとして構成されていたが、例えば、可動フック(可動部)、プッシャ(押圧部)およびロック部材(操作部)の各部を、内枠等の遊技機本体に直接的に配設するようにしてもよく、これによれば掛止装置の作製工程および部品としての基体を省略することができる。ただし、これによれば内枠等の遊技機本体のほうに上記各部を取り付けるための構造を設ける必要があるためそのぶん当該内枠等の遊技機本体の構成が複雑となり、また、比較的に大型の内枠等の遊技機本体に直接的に上記各部を取り付けるようにすると作業が煩瑣となりやすいため、前記第1および第2実施形態のように、いったん上記各部を掛止装置として組み立ててからこの掛止装置ごと内枠等の遊技機本体に取り付けるほうが、上記各部が遊技機本体に配設された構成をより容易に得ることができる。
【0201】
なお本明細書は、以下に掲げる手段A1から手段A9、手段B1から手段B 、手段C1ならびに手段D1から手段D3の発明についていずれも開示している。
【0202】
[手段A1〜手段A9に係る発明の背景技術・発明が解決しようとする課題]
パチンコ機などの遊技機は、遊技球が流下する遊技領域が前面に形成された遊技盤を備え、この遊技盤の遊技領域に遊技球を導いて遊技を行うことができるようになっているものが一般的である。従来の遊技機においては、遊技機の裏側から遊技盤を取り付ける構造が主流であったが、遊技盤の着脱に手間を要して能率が悪いという問題があった。そこで、例えば特許文献1(特開平6−47157号公報)に開示されているように、遊技機の前面側から遊技盤を取り付ける構造とすることが提案されている。この特許文献1に記載の構造は、遊技機の前面側から遊技盤を配置し、該遊技盤の側端縁部にフック部材を側方から係止させることにより、該遊技盤を取付位置に固定するようにしたものである。これによれば、例えば遊技機を遊技場に設置した状態で前面側から遊技盤の交換作業等を行うことも可能となるので、取付先である遊技機が安定している状態で遊技盤の交換作業等を行うことができて作業がより容易であり、また、遊技機の前面側から遊技盤の交換作業等を行う場合には前面枠を開放するだけでよいため、裏面側から行う場合よりも遊技機の開放に手間がかからないという利点もある。
【0203】
ところで、特にパチンコ機の場合、遊技盤の下方に配置された発射装置に対して遊技盤における前面の相対的な前後位置を正確に合わせることが重要であり、この相対位置にズレが生じると発射装置から発射された遊技球が遊技盤の遊技領域に正しく導入されないという不具合を生じることとなる。従来は、前述の通り遊技機の裏側から遊技盤を取り付けるようにしていたため、遊技盤は前面で遊技機本体に当接して位置決めされることとなり、したがって遊技盤の前面の前後位置は遊技機本体に対して常に一定となって上述のような位置ズレは生じ難かった。これに対し、遊技機の前面側から遊技盤を取り付ける構造とした場合には、遊技盤は裏面で遊技機本体に当接して位置決めされることとなるので、例えば遊技盤の板厚にバラツキがある場合には、遊技盤の前面の前後位置にもバラツキが生じて上述のような位置ズレが生じるという問題がある。
【0204】
ところが、上記特許文献1の記載によれば、フック部材による係止位置は、遊技機本体のフレームから前方へ、遊技盤の所定の厚みぶんだけ距離をおいた一定位置にくるように設定されているのみであり、上述のような遊技盤の板厚のバラツキに起因する位置ズレの問題については考慮されていない。このため、例えば遊技盤の板厚のバラツキにより遊技盤が所定厚よりも薄くなると、遊技盤が前後にガタつくこととなる一方、遊技盤が所定厚よりも厚くなると、フック部材により係止することが困難となり、いずれの場合にも、遊技盤の前面の前後位置を正確にかつ安定して合わせることは困難である。したがって上記特許文献1に記載の構造は、遊技盤の位置決めおよび安定性の点において不十分なものと言わざるを得ない。換言すれば、上記特許文献1に記載の構造は、遊技機の前面側から遊技盤を取り付ける構造とすることによって遊技盤の着脱の容易性が得られた反面、この構造上の転換にともなって遊技盤における前面の位置のバラツキという問題が新たに生じてきたものの、この問題については未だ考慮されていないものであるとも言うことができる。
【0205】
手段A1〜手段A9に係る本発明は、かかる問題点に鑑みて案出されたものであり、遊技盤の着脱の容易性や位置決めの精度、安定性に優れる遊技機を提供することを目的とする。
【0206】
本発明にかかる遊技機は、上記目的を達成するために、手段A1として、
遊技球が流下する遊技領域を前面に有する遊技盤を前方から遊技機本体に取り付けて構成される遊技機であって、
前記遊技機本体が、
取付位置にあるときの前記遊技盤の前面の前後位置を前方から規制する体勢に保持されて該遊技盤の離脱を不可とする閉止位置と、取付位置にあるときの前記遊技盤の前面の位置から離脱して該遊技盤の着脱を可とする開放位置との間で変位し得る可動部と、
前記可動部の変位とは無関係に、前記遊技盤の後側における一定の前後位置に配置され、前記遊技盤を前方へ押圧する押圧部と、
を備えることを特徴とする。
【0207】
本発明において、「遊技機本体」とは、遊技機を構成する部分のうち、遊技盤を除く部分をいずれも含意し、例えば内枠、前面枠等の枠部材はいずれも遊技機本体に含まれる。
また、「閉止位置と開放位置との間で変位」とは、閉止位置から開放位置へ、あるいは開放位置から閉止位置へ、一方的に(不可逆的に)変位することと、閉止位置から開放位置へ、ならびに開放位置から閉止位置へ、双方向的に(可逆的に)変位することとのいずれをも含意する。
また、「可動部の変位とは無関係に、遊技盤の後側における一定の前後位置に配置され」とは、「可動部の変位に連動しない、遊技盤の後側における一定の前後位置に配置され」としても、あるいは「可動部の変位とは無関係な位置に配置され」としてもよい。また、「一定の前後位置に配置され」とは、「一定の範囲内に配置され」と言い換えてもよい。
【0208】
上記手段A1の構成によれば、可動部を開放位置に変位させることにより遊技盤を容易に取付位置に出入させることができる一方、可動部を閉止位置に変位させることにより遊技盤を容易に取付位置に固定することができ、したがって、可動部の変位により遊技盤の着脱を容易に行うことができる。
【0209】
また、押圧部が、可動部の変位とは無関係に一定の前後位置に配置されているので、遊技盤を着脱する際に妨げとなり難い。このとき仮に、可動部を開放位置に変位させるのにともなって押圧部が前方へ移動するようになっていたりすると、遊技盤を出入させるスペースが拡がることもなく、また遊技盤を出入させる際に該押圧部が拘り易い。これに対し、上記手段A1の構成によれば、可動部を開放位置に変位させても、押圧部は前方へ移動してくることなく一定の前後位置に留まるので、そのぶん遊技盤を出入させるスペースが大きく拡がることとなるとともに、遊技盤を出入させる際にも該押圧部が拘り難く、したがって遊技盤を出入させやすい。
【0210】
また、取付位置に配置された遊技盤が、閉止位置に変位した可動部により前後位置を前方から規制されるとともに、押圧部により前方へ押圧されるので、遊技盤の前面が、閉止位置にある可動部に圧しつけられて所定の前後位置に保持される。したがって、遊技盤の板厚にバラツキがあっても、これに影響されることなく、遊技盤の前面が所定の前後位置に確実かつ安定に保持される。
【0211】
また、本発明にかかる遊技機は、手段A2として、手段A1の遊技機において、
前記遊技盤の前面に接触することなく動作して前記可動部を変位させ得る操作部をさらに備えることを特徴とする。
【0212】
上記手段A2の構成によれば、操作部で操作することにより可動部を開放位置ないし閉止位置に容易に変位させることができ、したがって遊技盤の着脱をさらに容易に行うことができる。
【0213】
このとき、操作部は遊技盤の前面に接触することなく動作させることができるので、操作部で操作して可動部を変位させることにより、遊技盤の前面に触れることなく該遊技盤の着脱を行うことができ、したがって該遊技盤の前面に傷や汚れ等をつけずに済んでその外観を良好に維持することができる。
【0214】
また、本発明にかかる遊技機は、手段A3として、手段A1または手段A2の遊技機において、前記可動部が、回動することにより閉止位置と開放位置とに変移し得る構成となっていることを特徴とする。
【0215】
上記手段A3の構成によれば、可動部の変移による遊技盤の表面に対するダメージ(特に摩擦によるダメージ)をより少なくすることができる。
【0216】
また、本発明にかかる遊技機は、手段A4として、手段A1から手段A3のいずれかの遊技機において、前記可動部が、あるいは前記操作部を備える場合には前記可動部および前記操作部が、遊技機の前後方向に移動して動作する構成となっていることを特徴とする。
【0217】
上記手段A4の構成によれば、動作に必要な領域が遊技盤の盤面方向に沿って外側へ拡がることがないので、動作のための空いたスペースを周囲に確保する必要がない。即ち、不正行為に利用されやすいスペースを余分に設けることを避けることができて不正防止の観点から望ましい。
【0218】
また、本発明にかかる遊技機は、手段A5として、手段A1から手段A4のいずれかの遊技機において、前記可動部および前記押圧部において少なくとも遊技盤に接触する部位が樹脂で構成されていることを特徴とする。
【0219】
上記手段A5の構成によれば、前記可動部ないし前記押圧部との接触による遊技盤のダメージをより少なくすることができる。
【0220】
また、本発明にかかる遊技機は、手段A6として、手段A1から手段A5のいずれかの遊技機において、前記可動部および前記押圧部が、前記操作部を備える場合には該操作部も併せ、基体に装架されて掛止装置として構成されていることを特徴とする。
【0221】
上記手段A6の構成によれば、この掛止装置を遊技機本体に取り付けることにより、可動部および押圧部(ならびに操作部)を一度に容易に遊技機本体に配設することができる。
【0222】
また、本発明にかかる遊技機は、手段A7として、手段A6の遊技機において、前記可動部が樹脂で構成され、開放位置にあるときに前記基体の内部に収容され得るようになっていることを特徴とする。
【0223】
上記手段A7の構成によれば、可動部が樹脂で構成されるので、接触による遊技盤のダメージをより少なくすることができるが、その反面、可動部自体が強度に劣って損傷を受けやすいことともなる。ところが上記手段A7の構成においては、可動部が開放位置にあるときに基体の内部に収容され得るので、遊技盤の取付作業時に可動部が基体により衝撃から防護される体勢となってその損傷が防止される。
【0224】
また、本発明にかかる遊技機は、手段A8として、手段A6または手段A7の遊技機において、前記掛止装置が、全体として基本的に樹脂で構成されていることを特徴とする。
【0225】
なお本発明において、「基本的に樹脂で構成される」とは、回動軸、バネ、ネジ、止め輪等の金具類を除く実質的な全体が樹脂で構成されることを意味する。
【0226】
上記手段A8の構成によれば、軽量かつ安価な掛止装置とすることができる。
【0227】
また、本発明にかかる遊技機は、手段A9として、手段A1から手段A8のいずれかの遊技機において、
開放位置にある前記可動部と前記押圧部とが互いに係合する係合構造を備え、該係合構造が、前記押圧部が遊技盤を前方へ押圧する押圧力を利用して互いに係合するものであることを特徴とする。
【0228】
上記手段A9の構成によれば、押圧部の押圧力を効率的に利用することができ、したがってそのぶん部品点数も少なく、機構も効率的に構成して簡略ととすることができる。
【0229】
また、本発明にかかる遊技機は、手段A10として、手段A9の遊技機において、
前記可動部が開放位置から閉止位置に移動するように付勢されており、前記押圧部を後方へ押圧することにより前記係合構造の係合状態が解除されて前記可動部が自動的に閉止位置に移動するようになっていることを特徴とする。
【0230】
上記手段A10の構成によれば、遊技盤を取付位置に押し込むだけで可動部を自動的に閉止位置にセットすることができ、したがってそのぶん操作も簡略で遊技盤の取付作業を容易に行なうことができる。
【0231】
[手段B1〜手段B6に係る発明の背景技術・発明が解決しようとする課題]
パチンコ機などの遊技機は、遊技球が流下する遊技領域が前面に形成された遊技盤を備え、この遊技盤の遊技領域に遊技球を導いて遊技を行うことができるようになっているものが一般的である。従来の遊技機においては、遊技機の裏側から遊技盤を取り付ける構造が主流であったが、遊技盤の着脱に手間を要して能率が悪いという問題があった。そこで、例えば特許文献1(特開平6−47157号公報)に開示されているように、遊技機の前面側から遊技盤を取り付ける構造とすることが提案されている。この特許文献1に記載の構造は、遊技機の前面側から遊技盤を配置し、該遊技盤の側端縁部にフック部材を側方から係止させることにより、該遊技盤を取付位置に固定するようにしたものである。これによれば、例えば遊技機を遊技場に設置した状態で前面側から遊技盤の交換作業等を行うことも可能となるので、取付先である遊技機が安定している状態で遊技盤の交換作業等を行うことができて作業がより容易であり、また、遊技機の前面側から遊技盤の交換作業等を行う場合には前面枠を開放するだけでよいため、裏面側から行う場合よりも遊技機の開放に手間がかからないという利点もある。
【0232】
しかしながら、上記特許文献1に記載の構造のように遊技盤にフック部材を係止させて取付する場合、取付作業の途上で遊技盤の前面に触れることが避け難く、これにより遊技盤の前面に傷や汚れ等がつきやすいという問題がある。遊技盤の前面は、遊技球が流下する遊技領域内は言うに及ばず、遊技領域の周辺であっても、遊技中ないし遊技の前後に注視を受けやすい部位であるため、ここに傷や汚れ等があると、これにより外観が損なわれ、またこのような外観上の質の低下が特に目立ちやすい。
【0233】
手段B1〜手段B6に係る本発明は、かかる問題点に鑑みて案出されたものであり、遊技機の前面側から遊技盤を着脱することができてその着脱作業が容易であり、かつ、遊技盤の前面の外観を良好に維持することが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【0234】
本発明にかかる遊技機は、上記目的を達成するために、手段B1として、
遊技球が流下する遊技領域を前面に有する遊技盤を前方から遊技機本体に取り付けて構成される遊技機であって、
前記遊技機本体が、
取付位置にあるときの前記遊技盤を前方から保持して該遊技盤の離脱を不可とする閉止位置と、取付位置にあるときの前記遊技盤の前面の位置から離脱して該遊技盤の着脱を可とする開放位置との間で変位し得る可動部と、
前記遊技盤の前面に接触することなく動作して前記可動部を変位させ得る操作部と、
を備えることを特徴とする。
【0235】
上記手段B1の構成によれば、操作部で操作して可動部を開放位置に変位させることにより遊技盤を容易に取付位置に出入させることができる一方、可動部を閉止位置に変位させることにより遊技盤を容易に取付位置に固定することができ、したがって、可動部の変位により遊技盤の着脱を容易に行うことができる。
【0236】
このとき、操作部は遊技盤の前面に接触することなく動作させることができるので、操作部で操作して可動部を変位させることにより、遊技盤の前面に触れることなく該遊技盤の着脱を行うことができ、したがって該遊技盤の前面に傷や汚れ等をつけずに済んでその外観を良好に維持することができる。
【0237】
また、本発明にかかる遊技機は、手段B2として、手段B1の遊技機において、
前記可動部が、回動することにより閉止位置と開放位置とに変移し得る構成となっていることを特徴とする。
【0238】
上記手段B2の構成によれば、可動部の変移による遊技盤の表面に対するダメージ(特に摩擦によるダメージ)をより少なくすることができる。
【0239】
また、本発明にかかる遊技機は、手段B3として、手段B1または手段B2の遊技機において、
前記可動部および前記操作部が、遊技機の前後方向に移動して動作する構成となっていることを特徴とする。
【0240】
なお、「遊技機の前後方向」とは、「遊技盤の取付方向」と言い換えてもよい。
【0241】
上記手段B3の構成によれば、動作に必要な領域が遊技盤の盤面方向に沿って外側へ拡がることがないので、動作のための空いたスペースを周囲に確保する必要がない。即ち、不正行為に利用されやすいスペースを余分に設けることを避けることができて不正防止の観点から望ましい。
【0242】
また、本発明にかかる遊技機は、手段B4として、手段B1から手段B3のいずれかの遊技機において、前記可動部において少なくとも遊技盤に接触する部位が樹脂で構成されていることを特徴とする。
【0243】
上記手段B4の構成によれば、前記可動部との接触による遊技盤のダメージをより少なくすることができる。
【0244】
また、本発明にかかる遊技機は、手段B5として、手段B1から手段B4のいずれかの遊技機において、前記可動部および前記操作部が、基体に装架されて掛止装置として構成されていることを特徴とする。
【0245】
上記手段B5の構成によれば、この掛止装置を遊技機本体に取り付けることにより、可動部および操作部を一度に容易に遊技機本体に配設することができる。
【0246】
また、本発明にかかる遊技機は、手段B6として、手段B5の遊技機において、前記掛止装置が、全体として基本的に樹脂で構成されていることを特徴とする。
【0247】
上記手段B6の構成によれば、軽量かつ安価な掛止装置とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0248】
本発明は、パチンコ機等の遊技機に好適に実施することが可能である。
【符号の説明】
【0249】
12:内枠(遊技機本体)
30:遊技盤
70A:第1掛止装置
72:可動フック(可動部)
73:プッシャ(押圧部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域を前面に有する遊技盤を前方から遊技機本体に取り付けて構成される遊技機であって、
前記遊技機本体が、
取付位置にあるときの前記遊技盤の前面の前後位置を前方から規制する体勢に保持されて該遊技盤の離脱を不可とする閉止位置と、取付位置にあるときの前記遊技盤の前面の位置から離脱して該遊技盤の着脱を可とする開放位置との間で変位し得る可動部と、
前記可動部の変位とは無関係に、前記遊技盤の後側における一定の前後位置に配置され、前記遊技盤を前方へ押圧する押圧部と、
を備えることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【公開番号】特開2012−254173(P2012−254173A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128574(P2011−128574)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】