説明

遊技機

【課題】配線が扉体の開閉に悪影響を及ぼすことを防止しつつ、扉体を開放しての作業をよりスムースに行うことができる遊技機を提供する。
【解決手段】パチンコ機10は、内枠12と、内枠12に対して開閉可能に支持される前面枠セット14とを備え、前面枠セット14は、内枠12に対して左右のどちら側からでも開放可能に構成されている。また、前面枠セット14の電気的構成と、内枠12の電気的構成とを電気的に接続するハーネスと、内枠12に前記ハーネスの一端側を係止する枠側配線係止手段と、前面枠セット14に前記ハーネスの他端側を係止する扉側配線係止手段とを備え、前面枠セット14を開放した場合、前記ハーネスは、扉側配線係止手段と枠側配線係止手段とにかけて延在する。前面枠セット14を左右のどちら側から開いても、開放角度が同程度であれば、扉側配線係止手段と枠側配線係止手段との間の距離がほぼ等しくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。パチンコ機では、例えば、発射装置にて打ち出された遊技球が案内される遊技領域に設けられた始動入球手段に遊技球が入球すると大当たり状態を発生させるか否かの当否抽選が行われる。前記当否抽選にて当選した場合には、遊技者に有利な大当たり状態が発生し、遊技者は多くの遊技価値(賞球)を獲得することが可能となる。
【0003】
また、パチンコ機においては、遊技盤等が設けられる内枠に対して、遊技盤を視認可能とするガラス窓が設けられた前面枠が開閉可能に取付けられており、遊技盤とガラス窓との間に形成される遊技領域等において球詰り等の各種不具合が生じた場合には、前面枠を開放して対処できるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−154110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前面枠を開放しても、前面枠の回動軸側の部位に対する作業が行い難いといった問題がある。このため、前面枠の左右どちら側からでも開放可能に構成することが考えられる。
【0006】
しかしながら、遊技機においては、前面枠にも電飾等の電気機器が設置されている。このため、前面枠と内枠との間にかけて配線を施す必要があり、前面枠を左右どちら側からでも開放可能に構成してしまうと、かかる配線が前面枠の開閉を妨げてしまう等の各種不具合を招くおそれがある。尚、上記課題は、パチンコ機に限られるものではなく、スロットマシン等の他の遊技機にも該当する問題である。
【0007】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、その目的は、配線が扉体の開閉に悪影響を及ぼすことを防止しつつ、扉体を開放しての作業をよりスムースに行うことができる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の遊技機は、
扉取付枠と、前記扉取付枠に対して開閉可能に支持される扉体と、前記扉体を前記扉取付枠に施錠する施錠手段とを備え、前記扉取付枠に対して前記扉体が、その左右一側部側及び左右他側部側のどちら側からでも開放可能に構成された遊技機において、
前記扉取付枠に設けられた所定の電気的構成と、前記扉体に設けられた所定の電気的構成とを電気的に接続するハーネスと、
前記扉取付枠に設けられ、前記ハーネスの一端側を前記扉取付枠に係止する枠側配線係止手段と、
前記扉体に設けられ、前記ハーネスの他端側を前記扉体に係止する扉側配線係止手段とを備え、
前記扉体を開放した場合に、前記ハーネスは、前記扉側配線係止手段と前記枠側配線係止手段との間に架け渡されるようにして延在し、
前記扉側配線係止手段及び前記枠側配線係止手段は、前記扉体を左右一側部側から所定角度開いた場合と、前記扉体を左右他側部側から前記所定角度と同程度に開いた場合とで、前記扉側配線係止手段と前記枠側配線係止手段との間の距離がほぼ等しくなるように相対配置されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、配線が扉体の開閉に悪影響を及ぼすことを防止しつつ、扉体を開放しての作業をよりスムースに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態におけるパチンコ機を示す正面図である。
【図2】パチンコ機を示す斜視図である。
【図3】内枠及び前面枠セットを開放した状態を示す斜視図である。
【図4】内枠および遊技盤等の構成を示す正面図である。
【図5】パチンコ機の構成を示す背面図である。
【図6】内枠及び裏パックユニット等を開放した状態を示す斜視図である。
【図7】パチンコ機の主な電気的構成を示すブロック図である。
【図8】前面枠セット及び内枠を模式的に示す前面側の斜視図である。
【図9】前面枠セット及び内枠を模式的に示す背面側の斜視図である。
【図10】前面枠セットを右側から開放した状態を模式的に示す斜視図である。
【図11】前面枠セットを左側から開放した状態を模式的に示す斜視図である。
【図12】軸ユニットの分解斜視図である。
【図13】軸ユニットの分解斜視図である。
【図14】軸ユニットの動作説明を行うための斜視図である。
【図15】軸ユニットの動作説明を行うための斜視図である。
【図16】軸受ユニット等の斜視図であって、(a)は前面側から見た場合を示し、(b)は背面側から見た場合を示す。
【図17】錠前取付ユニットや軸受ユニット等の分解斜視図である。
【図18】錠前取付ユニットや軸受ユニット等の分解斜視図である。
【図19】前面枠セットが閉鎖されている際の、前面枠セットの右側の軸ユニットのピン部材と、軸受ユニットとの相対位置関係を説明するための図であって、(a)は斜視図、(b)は一部断面を含む平面図である。
【図20】前面枠セットの右側の解錠操作を行った際の、前面枠セットの右側の軸ユニットのピン部材と、軸受ユニットとの相対位置関係を説明するための図であって、(a)は斜視図、(b)は一部断面を含む平面図である。
【図21】前面枠セットの右側を開放させる際の、前面枠セットの右側の軸ユニットのピン部材と、軸受ユニットとの相対位置関係を説明するための図である。
【図22】前面枠セットの右側を開放した後の、前面枠セットの右側の軸ユニットのピン部材と、軸受ユニットとの相対位置関係を説明するための図である。
【図23】前面枠セットの左側を開放した状態で、前面枠セットの右側の解錠操作を行った場合の、前面枠セットの右側の軸ユニットのピン部材と、軸受ユニットとの相対位置関係を説明するための図である。
【図24】前面枠セットが閉鎖されている際の、前面枠セットの左側の軸ユニットのピン部材と、軸受ユニットとの相対位置関係を説明するための図である。
【図25】前面枠セットが閉鎖されている際の、内枠の背面を模式的に示す背面図である。
【図26】図25に示す内枠の背面等を含む斜視図である。
【図27】前面枠セットの右側の解錠操作を行った際の、内枠の背面を模式的に示す背面図である。
【図28】図27に示す内枠の背面等を含む斜視図である。
【図29】前面枠セットの左側の解錠操作を行った際の、内枠の背面を模式的に示す背面図である。
【図30】図29に示す内枠の背面等を含む斜視図である。
【図31】内枠の解錠操作を行った際の、内枠の背面を模式的に示す背面図である。
【図32】図31に示す内枠の背面等を含む斜視図である。
【図33】前面枠セットの解錠を行う際の、シリンダ錠、錠前取付ユニット、及び鉤部等を示す側面図である。
【図34】前面枠セットの解錠を行う際の、シリンダ錠、錠前取付ユニット、及び鉤部等を示す斜視図である。
【図35】内枠の解錠を行う際の、シリンダ錠、錠前取付ユニット、及び鉤部等を示す側面図である。
【図36】内枠の解錠を行う際の、シリンダ錠、錠前取付ユニット、及び鉤部等を示す斜視図である。
【図37】別の実施形態における内枠及び前面枠セット等を模式的に示す斜視図である。
【図38】別の実施形態における内枠及び前面枠セットを模式的に示す平面図である。
【図39】別の実施形態における内枠及び前面枠セットを模式的に示す平面図である。
【図40】別の実施形態における内枠及び前面枠セットを模式的に示す平面図である。
【図41】別の実施形態における前枠用ハーネスを前面枠セットの収容凹部に収納させるための構成を模式的に示す断面図である。
【図42】別の実施形態における前枠用ハーネスを前面枠セットの収容凹部に収納させるための構成を模式的に示す前面枠セットの部分背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図3等に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外郭を構成する外枠11を備えており、この外枠11の一側部に内枠12が開閉可能に支持されている。但し、図3では便宜上、後述する遊技盤30の面上に配設される釘や役物、前面枠セット14に取付けられるガラスユニット137等を省略して示している。
【0012】
外枠11は、図6等に示すように、上辺枠構成部11aと、下辺枠構成部11bと、左辺枠構成部11cと、右辺枠構成部11dとを備え、これら各枠構成部11a〜11dがネジ等の離脱可能な締結具により全体として矩形枠状に組み付けられている。
【0013】
左辺枠構成部11cの上下端部には、それぞれ上ヒンジ81及び下ヒンジ82が取着されている(図2参照)。当該上ヒンジ81及び下ヒンジ82にて、内枠12の上下部が回動可能に支持されており、これにより内枠12が開閉可能となる。
【0014】
内枠12は、外形が矩形状をなす樹脂ベース38を主体に構成されており、当該樹脂ベース38の中央部には略楕円形状の窓孔39が形成されている。また、図3に示すように、内枠12の開閉軸線は、パチンコ機10の正面からみて左側において上下に沿って設定されており、この開閉軸線を軸心として内枠12が前方側に開放できるようになっている。そして、内枠12の閉状態では、外枠11の内側に形成される空間部に内枠12等の大部分が収容されることとなる。
【0015】
さらに、下辺枠構成部11bには樹脂製の幕板飾り87が取着されている。幕板飾り87の上面奥部には、上方に突出するリブ88が一体形成されている。これにより内枠12との間に隙間が形成されにくくなっている。
【0016】
また、内枠12の前面側には前面枠セット14が開閉可能に取付けられている。尚、詳しくは後述するが、本実施形態の前面枠セット14は、パチンコ機10の正面から見て左側において上下に沿って設定された開閉軸線を軸心として前方側に開放できるだけでなく、パチンコ機10の正面から見て右側において上下に沿って設定された開閉軸線を軸心として前方側に開放できるようになっている。
【0017】
前面枠セット14は、内枠12と同様に外形が矩形状をなし、閉状態においては内枠12の前面側ほぼ全域を覆う。前面枠セット14の中央部には略楕円形状の窓部101が形成されている。これにより、前面枠セット14の窓部101及び内枠12の窓孔39を介して、内枠12の後面に装着される遊技盤30(遊技領域)を外部から視認可能となる。尚、遊技盤30の詳細な構成については後述する。
【0018】
図1に示すように、前面枠セット14の前面側には、その下部中央において球受皿としての下皿15が設けられており、排出口16より排出された遊技球を下皿15にて貯留可能になっている。また、下皿15の手前側には、下皿15から遊技球を排出させるための球抜きレバー25が設けられている。加えて、下皿15の左部には、LEDが内蔵された演出ボタン125が設けられており、演出ボタン125を押圧操作することで、後述する装飾図柄表示装置42等において対応する演出が行われたり、演出内容が変更されたりする。
【0019】
下皿15の右方には、手前側に突出した遊技球発射ハンドル(以下、単にハンドル18という)が設けられている。尚、ハンドル18には、図示しないタッチセンサや、ハンドル18の操作部の操作量を検出するための図示しない操作量検出手段(可変抵抗器)が設けられている。そして、ハンドル18が右回りに回動操作されると、回動操作量に応じた強さで、後述する発射手段としての発射装置60によって遊技球が発射される。また、ハンドル18には、ハンドル18を握った右手の親指で押圧操作可能な発射禁止ボタン18aが設けられている。当該発射禁止ボタン18aを押圧した状態においては、ハンドル18を握っていたとしても、発射装置60による遊技球の発射が禁止される。このため、遊技球の発射を禁止しつつハンドル18の回動操作を行ったり、ハンドル18を握った状態で、一時的に遊技球の発射を止めたりすることができる。
【0020】
下皿15の上方には上皿19が設けられている。上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する発射装置60の方へ案内する球受皿である。尚、上皿19が遊技球で満杯になった状態では、払出される遊技球は、後述する下皿連通路71及び排出口16を介して、下皿15へと案内される。
【0021】
上皿19には球貸しボタン121と返却ボタン122とが設けられている。これにより、遊技ホール等において、パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で球貸しボタン121が操作されると、その操作に応じて貸出球が上皿19に供給される。一方、返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。但し、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では球貸しボタン121及び返却ボタン122は不要である。
【0022】
さらに、上皿19には、球抜きボタン123が設けられている。球抜きボタン123が押圧操作されることで、上皿19の球案内路の下流側に設けられ、下皿15に連通する連通孔(図示略)が開口し、上皿19に貯留されていた遊技球が下皿15へと案内される(落下する)。つまり、遊技者は、球抜きボタン123を操作することで、上皿19にある遊技球をいつでも下皿15に移すことができる。
【0023】
また、前面枠セット14の前面にはその周囲に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅といった発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が設けられている。また、該環状電飾部102の両側部には、所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ104が設けられている。加えて、前面枠セット14の後面には、左上及び右上の角部近傍位置においてスピーカSPが設けられるとともに、前面枠セット14のうちスピーカSPに対応する部位には、小さな透孔が多数形成されている。
【0024】
さらに、前面枠セット14の後面側にはガラスユニット137が取付けられている。ガラスユニット137は、従来の前後一対の矩形状の板ガラスが前後対をなして別々に取着されるものではなく、全体として丸形をなし、アッセンブリ化された上で取付けられている。
【0025】
次に、内枠12(樹脂ベース38)について図4を参照して説明する。上述した通り、内枠12(樹脂ベース38)には、窓孔39の後側において遊技盤30が装着されている。遊技盤30は、その周縁部が内枠12(樹脂ベース38)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース38の窓孔39を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。
【0026】
また、内枠12(樹脂ベース38)の前面下部、すなわち窓孔39(遊技盤30)の下方位置には、発射装置60と、当該発射装置60より発射された直後の遊技球を案内する発射レール61とが取付けられている。本実施形態では、発射装置60としてソレノイド式発射装置を採用している。また、発射装置60の上方には、上皿19から案内される遊技球を、内蔵された駆動手段(例えばソレノイド)の駆動により、1球ずつ発射装置60の発射位置へと供給する球送り装置63が設けられている。
【0027】
次に、遊技盤30の構成について図4を参照して説明する。遊技盤30には、一般入賞口31、可変入賞装置32、始動入賞ユニット(始動口)33、スルーゲート34、可変表示装置ユニット35、第1特別表示装置43L及び第2特別表示装置43R等がルータ加工によって形成された貫通孔に配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取付けられている。周知の通り一般入賞口31、可変入賞装置32、始動入賞ユニット33などの各種入賞口に遊技球が入球(入賞)すると、各種検出スイッチにより検出され、上皿19(又は下皿15)へ所定数の賞球が払い出される。例えば、始動入賞ユニット33への入球があった場合には3個、一般入賞口31への入球があった場合には10個、可変入賞装置32への入球があった場合には15個の遊技球が上皿19(下皿15)に払出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、一般入賞口31等の各種入賞口のいずれにも入賞しなかった遊技球は、このアウト口36を通って遊技領域外へと排出される。また、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
【0028】
始動入賞ユニット33は、始動入球手段としての上入賞口33a及び下入賞口33bと、下入賞口33bの両側部に設けられた開閉する一対の開閉部材33cを備えている。上入賞口33aは、遊技球が常時入球可能となっているのに対し、下入賞口33bは、開閉部材33cが所定条件の成立に応じて開閉動作することにより、遊技領域を流下する遊技球が入球可能な開状態と、遊技球が入球不可能な閉状態との間で状態変化可能に構成されている。尚、詳しくは後述するが、始動入賞ユニット33は、上入賞口33a、下入賞口33bに入球した遊技球をそれぞれ検知する第1始動入賞スイッチ224a、第2始動入賞スイッチ224bを備えており、当該始動入賞スイッチ224a、224bにて遊技球が検知された場合に、大当たり状態を発生させるか否かの当否抽選が行われるとともに、特別表示装置43L、43R(及び後述する装飾図柄表示装置42)にて変動表示が行われる構成となっている。そして、当否抽選にて当選した(大当たり)場合には、可変入賞装置32が開放される大当たり状態(特別遊技状態)が付与されることとなる。
【0029】
第1及び第2特別表示装置43L、43Rは、それぞれ2文字(及びドット)を表示可能なタイプの7セグメント表示装置により構成され、可変入賞装置32の右方に設置されている。そして、始動入賞ユニット33の上入賞口33aへの遊技球の入球を契機として第1特別表示装置43Lにて切替表示(変動表示)が行われ、下入賞口33bへの遊技球の入球を契機として第2特別表示装置43Rにて切替表示(変動表示)が行われる構成となっている。尚、特別表示装置43L、43Rは、後述する主制御手段としての主制御装置261によって表示内容が直接的に制御される。
【0030】
また、第1及び第2特別表示装置43L、43Rにて変動表示が行われた後、当該変動表示が停止したときの表示態様(点灯態様)により、大当たりか否かが確定的に表示される。例えば、上入賞口33aに遊技球が入賞すると、対応する第1特別表示装置43Lにて点灯態様(点灯するセグメントの組合わせ)が高速で(例えば4msec毎に)切替表示(変動表示)され、所定時間が経過すると、いずれかの点灯態様を停止表示(例えば数秒間停止)する。そして、大当たり抽選に当選した場合には、対応する点灯態様が変動停止時に表示され、大当たり状態が発生する。また、特別表示装置43L、43Rにおいては、大当たりか否かが教示されるだけでなく、大当たりの場合には、大当たり種別についても教示される。
【0031】
尚、第1特別表示装置43L、第2特別表示装置43Rのどちらか一方において、変動表示又は決定表示が行われている場合には、他方が消灯状態とされており(「−」を表示しておいてもよい)、どちらにおいても変動表示及び決定表示が行われていない場合には、両方においてそれぞれ「−」が表示される。
【0032】
また、第1又は第2特別表示装置43L、43Rの変動表示中に新たに遊技球が始動入賞ユニット33に入賞した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では、上入賞口33aに入賞した遊技球、及び下入賞口33bに入賞した遊技球に対応して、それぞれ4回までの変動表示(合計8回の変動表示)が保留される。また、その保留回数が第1保留ランプ46a、第2保留ランプ46bにて点灯表示されるようになっている。尚、大当たり状態中に新たに遊技球が始動入賞ユニット33に入賞した場合、その分の変動表示についても保留される。
【0033】
尚、基本的に、上入賞口33aへの入賞を契機とする変動表示は、対応する遊技球が上入賞口33aへ入球した順に記憶されるとともに入球した順に消化され、下入賞口33bへの入賞を契機とする変動表示は、対応する遊技球が下入賞口33bへ入球した順に記憶されるとともに入球した順に消化される。但し、上入賞口33aへの入賞を契機とする変動表示、及び、下入賞口33bへの入球を契機とする変動表示の両方が保留されている場合(第1保留ランプ46a及び第2保留ランプ46bがそれぞれ1つ以上点灯している場合)には、下入賞口33bへの入球を契機とする変動表示が優先的に消化される。すなわち、下入賞口33bへの入賞を契機とする変動表示が全て消化された状態でなければ、上入賞口33aへの入球を契機とする変動表示が行われない構成となっている。例えば、第1保留ランプ46aが1つ点灯している状態において、下入賞口33bに遊技球が入球し、第2保留ランプ46bが1つ点灯した場合、上入賞口33aへの入球を契機とする変動表示が後回しにされ、先に下入賞口33bへの入球を契機とする変動表示が行われることとなる。以下、説明の便宜上、上入賞口33aへの入球を契機とする変動表示を「第1変動表示」とも称し、下入賞口33bへの入球を契機とする変動表示を「第2変動表示」とも称する。
【0034】
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない閉状態になっており、大当たり状態(特別遊技状態の発生)の際に、遊技球が入賞可能な開状態とされる。尚、図示は省略するが、可変入賞装置32は、遊技盤30の後方へと通じる大入賞口(入賞口)と、大入賞口を開閉するシャッタと、シャッタを動作させるための大入賞口ソレノイド(駆動手段)と、大入賞口に入球した遊技球を検出するカウントスイッチ223とを備え、大入賞口ソレノイドを駆動制御し、シャッタを開閉させることで、可変入賞装置32(大入賞口)を閉状態と開状態とに切替えている。
【0035】
また、スルーゲート34は、遊技領域を流下する遊技球が1球ずつ通過可能に構成されている。詳しくは後述するが、スルーゲート34は、当該スルーゲート34を通過する遊技球を検知可能なスルーゲートスイッチ225を備えており、当該スルーゲートスイッチ225にて遊技球が検知された場合に、始動入賞ユニット33を開状態とするか否かの入球アシスト抽選が行われるとともに、普通図柄表示装置41にて当該入球アシスト抽選の結果を教示するための変動表示が行われる。そして、入球アシスト抽選にて当選した場合には、当該変動表示の終了後に始動入賞ユニット33(開閉部材33c)が規定時間だけ開状態とされる。
【0036】
可変表示装置ユニット35には、スルーゲート34の通過を契機として変動表示する普通図柄表示装置41と、第1及び第2特別表示装置43L、43Rによる変動表示に合わせて変動表示する装飾図柄表示装置42とが設けられている。さらに、可変表示装置ユニット35には、装飾図柄表示装置42にて行われている変動表示が上入賞口33a及び下入賞口33bのうちどちらの入球に対応するものであるかを示す変動特定ランプ40と、上記第1保留ランプ46a及び第2保留ランプ46bと、保留ランプ44とが設けられている。
【0037】
普通図柄表示装置41は、普通図柄として「○」又は「×」を点灯表示可能に構成されており、遊技球がスルーゲート34を通過する毎に例えば普通図柄を「○」→「×」→「○」→・・・という具合に高速で切換表示(変動表示)する。そして、その変動表示が「○」図柄(当選図柄)で数秒間停止した場合には、始動入賞ユニット33(開閉部材33c)が所定時間だけ開状態となる。この普通図柄表示装置41は、後述する主制御装置261によって直接的に表示内容が制御される。
【0038】
また、普通図柄表示装置41の変動表示中に、新たに遊技球がスルーゲート34を通過した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44にて点灯表示されるようになっている。
【0039】
装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述するサブ制御装置262及び表示制御装置45によって表示内容が制御される。すなわち、装飾図柄表示装置42においては、第1及び第2特別表示装置43L、43Rにて表示される結果に対応させるように、主制御装置261からのコマンドに基づき、サブ制御装置262によって補助的な表示内容が決定され、後述する表示制御装置45によって表示が行われる。
【0040】
装飾図柄表示装置42には、例えば、上、中及び下の3つの図柄表示領域が設けられ、各図柄表示領域において複数種類の図柄(例えば1〜9の数字が付された図柄)が順次表示され(変動表示され)、その後、図柄表示領域毎に順番に(例えば、上図柄表示領域→下図柄表示領域→中図柄表示領域の順に)図柄が停止表示されるようになっている。例えば、主制御装置261にて大当たりが確定すると、第1又は第2特別表示装置43L、43Rにて大当たりに対応する表示がなされるとともに、装飾図柄表示装置42にて図柄が大当たりに対応する組合わせで停止表示され(例えば、上図柄表示領域、中図柄表示領域、及び下図柄表示領域にて停止表示される図柄が同一となり)、大当たり状態が開始される。
【0041】
また、図柄が大当たりに対応する組合わせで停止表示される場合には、その前段階として、例えば、上図柄表示領域及び下図柄表示領域において同一の図柄が停止表示されることとなる。このように上図柄表示領域及び下図柄表示領域にて同一図柄が停止表示されるとともに、中図柄表示領域において未だ変動表示が行われている状態がリーチ状態である。
【0042】
加えて、変動特定ランプ40は、発光色が青色のLED及び発光色が赤色のLEDを備えており、装飾図柄表示装置42において、上入賞口33aへの入球を契機とする変動表示が行われている場合には青色に発光し、下入賞口33bへの入球を契機とする変動表示が行われている場合には赤色に発光する。
【0043】
また、可変表示装置ユニット35には、装飾図柄表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。センターフレーム47の上部には入球口151が設けられており、該入球口151に入球した遊技球は、センターフレーム47の内部に形成され、装飾図柄表示装置42の側部に沿って上下に延びるワープ流路152を介して、装飾図柄表示装置42の下方に形成されたステージ153上に案内される。ステージ153上に案内された遊技球は、ステージ153上から前方の遊技領域に転落したり、ステージ153上を転動した後ステージ153の中央奥側に形成されたポケット154に入球したりする。尚、ポケット154は、始動入賞ユニット33(上入賞口33a)の直上方の遊技領域へと通じる案内通路155と連通しており、該ポケット154に入球した遊技球は、比較的高い確率で始動入賞ユニット33(上入賞口33a)に入球するようになっている。
【0044】
また、遊技盤30には、内レール構成部51と外レール構成部52とからなり、発射装置60から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するレール50が取付けられている。これにより、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は発射レール61及びレール50を通じて、遊技盤30とガラスユニット137との間に形成される遊技領域内に案内される。
【0045】
内レール構成部51の先端部分(図4の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、レール50から遊技領域へと案内された遊技球が再度レール50内に戻ってしまうといった事態が防止される。また、外レール構成部52の略先端部(図4の右上部)には、返しゴム54が取着されている。所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム54に当たって例えば遊技盤30の略中央部側へ戻されることとなる。
【0046】
また、本実施形態では、外レール構成部52が遊技盤30の右上部で途絶え、内レール構成部51が遊技盤30の右下部で途絶えている。このため、遊技領域は、レール50及び樹脂ベース38の窓孔39の内周面により画定される。但し、発射装置60にて打出された遊技球が、戻り球防止部材53を通過するまでは、レール50を逆流する場合があるため、内外レール構成部51,52の並行部分は遊技領域から除かれる。
【0047】
図3に示すように、前面枠セット14の背面側には、窓部101の下方において、球通路ユニット70が設けられている。球通路ユニット70は、後述する払出機構部352から下皿15の排出口16へ繋がる下皿連通路71と、払出機構部352から上皿19へ繋がる上皿連通路73と備えている。また、内枠12の前面側に設けられた発射レール61とレールユニット50(外レール構成部52)との間には所定間隔の隙間があり、前面枠セット14の球通路ユニット70には、前記隙間より落下した遊技球を下皿15へと案内するファール球通路72が形成されている。これにより、仮に、発射装置60から発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らずファール球としてレール50を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路72を介して下皿15に排出される。
【0048】
また、図3及び図4中の符号67は後述する払出機構部352により払出された遊技球を内枠12の前方に案内するための払出通路であり、上皿連通路73(上皿19)に通じる通路と、下皿連通路71(下皿15)に通じる通路とに分かれている。払出通路67の下方にはシャッタ68が設けられており、前面枠セット14を開放した状態では、バネ等の付勢力によりシャッタ68が前方に突出して払出通路67の出口をほぼ閉鎖するようになっている。また、前面枠セット14を閉じた状態では、下皿連通路71の入口側後端部によってシャッタ68が押し開けられるようになっている。尚、下皿連通路71及び上皿連通路73の入口(球流入部)が隣接するとともに、前面枠セット14の閉状態において当該各入口と払出通路67とが所定距離だけ離間しており、両者間の隙間を遊技球が通過可能となっている。このため、上皿19及び上皿連通路73が遊技球で満杯となると、払出される遊技球が下皿連通路71側に流れ(下皿連通路71の入口側に溢れ)、下皿連通路71を通って下皿15に払出されることとなる。
【0049】
加えて、球通路ユニット70には、下皿連通路71内に位置する遊技球を検知する満杯検知スイッチ(図示略)が設けられている。当該満杯検知スイッチの存在により、下皿15が遊技球で満杯になっていること(下皿15が遊技球で満杯となり、下皿連通路71において遊技球が滞留していること)を把握することができる。本実施形態では、満杯検知スイッチによって所定時間継続して遊技球が検知されることに基づき、装飾図柄表示装置42における表示や音声等を用いて下皿15が満杯であることを教示するエラー報知の制御が行われる。尚、下皿連通路71における遊技球の滞留が解消され、満杯検知スイッチにより遊技球が検知されなくなると(所定時間継続して検知されなくなると)エラー報知の状態が解除される。
【0050】
次に、パチンコ機10の背面構成について図5、図6等を参照して説明する。パチンコ機10の背面には、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして、一部前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給する遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。払出機構及び保護カバーは1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。
【0051】
まず、遊技盤30の背面構成について説明する。図6に示すように、遊技盤30中央の貫通孔に対応して配設された可変表示装置ユニット35(図4参照)の背面側には、センターフレーム47を背後から覆う樹脂製のフレームカバー213が後方に突出して設けられている。また、フレームカバー213の背面側には、フレームカバー213の開口部から前方に臨む液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42、表示制御装置45及びサブ制御装置262が前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。
【0052】
装飾図柄表示装置42は、当該装飾図柄表示装置42の表示部(液晶画面)をパチンコ機10の前面側に露出させるための開口部が形成された収容ボックス42aに収容されてフレームカバー213の背面側に固定されている。表示制御装置45は基板ボックス45aに収容されて装飾図柄表示装置42(収容ボックス42a)の背面側に固定されている。サブ制御装置262は基板ボックス262aに収容されて表示制御装置45(基板ボックス45a)の背面側に固定されている。尚、フレームカバー213内には、センターフレーム47に内蔵されたLED等を駆動するLED制御基板等が配設されている。また、収容ボックス42a及び基板ボックス45a,262aは透明樹脂材料等により構成され、内部が視認可能となっている。
【0053】
フレームカバー213の下方には裏枠セット215が、一般入賞口31、可変入賞装置32及び始動入賞ユニット33等を背後から覆うようにして遊技盤30に取付けられている。裏枠セット215は、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための球回収機構を備えている(図示略)。この球回収機構により回収された遊技球は、後述する排出通路部217に案内され、排出通路部217の排出シュートからパチンコ機10外部に排出される。
【0054】
また、本実施形態では、裏枠セット215が主制御装置261の取付台として機能する。より詳しくは、主制御装置261を搭載した基板ボックス263が、裏枠セット215に対し回動可能に軸支され、後方に開放可能となっている。
【0055】
主制御装置261は透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容されている。基板ボックス263は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備え、これらボックスベースとボックスカバーとが封印部材によって連結されている。封印部材によって連結された基板ボックス263は、所定の痕跡を残さなければ開封できない構成となっている。これにより、基板ボックス263が不正に開封された旨を容易に発見することができる。
【0056】
また、遊技盤30には、一般入賞口31等の各種入賞口に対応して、当該各種入賞口へ入球した遊技球を検出する入球検出スイッチが設けられている。具体的には、図4に示すように、一般入賞口31に対応する位置には入賞口スイッチ221が設けられ、可変入賞装置32にはカウントスイッチ223が設けられている。また、始動入賞ユニット33には、上入賞口33a及び下入賞口33bそれぞれに対応して第1始動入賞スイッチ224a、第2始動入賞スイッチ224bが設けられている。さらに、スルーゲート34に対応する位置にはスルーゲートスイッチ225が設けられている。
【0057】
また、図示は省略するが、裏枠セット215には、入賞口スイッチ221、カウントスイッチ223及びスルーゲートスイッチ225とケーブルコネクタを介して電気的に接続される第1盤面中継基板が設けられている。この第1盤面中継基板は、入賞口スイッチ221等と、主制御手段としての主制御装置261とを中継するものであり、ケーブルコネクタを介して主制御装置261と電気的に接続されている。これに対し、始動入賞スイッチ224a,224bは中継基板を経ることなくコネクタケーブルを介して直接主制御装置261に接続されている。
【0058】
各種入球検出スイッチにて各々検出された検出結果は、主制御装置261に取り込まれる。そして、該主制御装置261よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御装置311に送信され、該払出制御装置311からの出力信号に基づき所定数の遊技球の払出しが実施される(スルーゲートスイッチ225により検出された場合を除く。)
この他、遊技盤30の裏面には、図示は省略するが、可変入賞装置32にて大入賞口を開放する大入賞口用ソレノイドが設けられ、始動入賞ユニット33にて一対の開閉部材33cを開閉駆動する入賞口用ソレノイドが設けられている。また、裏枠セット215には、これらソレノイドと主制御装置261とを中継する第2盤面中継基板(図示略)も設けられている。
【0059】
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。図5に示すように、裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と、遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。また、裏パックユニット203は、内枠12の左側部(図5では右側)に対して開閉可能に支持されており、上下方向に沿って延びる開閉軸線を軸心として後方に開放できるようになっている。加えて、裏パックユニット203の左上部(図5では右上部)には外部端子板240が設けられている。
【0060】
外部端子板240は、遊技ホールのホールコンピュータなどへの各種情報送信を中継するためのものであり、複数の外部接続端子が設けられている。便宜上、符号は付さないが、例えば現在の遊技状態(大当たり状態や確変モード等)に関する情報を出力するための端子、後述する開放検知スイッチ91,92によって検出される前面枠セット14や内枠12の開放に関する情報を出力するための端子、入球エラー、下皿満タンエラー、タンク球無しエラー、払出しエラーなど各種エラー状態に関する情報を出力するための端子、払出制御装置311から払出される賞球数に関する情報を出力するための端子などが設けられている。
【0061】
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成形されており、パチンコ機10の後方に突出して略直方体形状をなす保護カバー部354を備えている。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉塞され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくともフレームカバー213を覆うのに十分な大きさを有する。但し、本実施形態では、保護カバー部354が基板ボックス263の上部及び右部(図5では左側の部位)も合わせて覆う構成となっている。これにより、裏パックユニット203の閉鎖状態において、基板ボックス263の右部に設けられた封印部材、及び主制御装置261の上縁部に沿って設けられた端子部(基板側コネクタ)が覆われることとなる。
【0062】
払出機構部352は、保護カバー部354を迂回するようにして配設されている。すなわち、保護カバー部354の上方には、上側に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払出された遊技球は上皿19等に供給される。
【0063】
また、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込む電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFされる。
【0064】
裏パックユニット203(基板ボックス263)の下方には、内枠12の左側部(図5では右側)にて軸支され、後方に開放可能な下枠セット251が設けられている。図6に示すように、下枠セット251には、上述した球回収機構により回収された遊技球が流入する排出通路部217が形成され、排出通路部217の最下流部には、遊技球をパチンコ機10外部へ排出する排出シュート(図示略)が形成されている。つまり、一般入賞口31等の各入賞口に入賞した遊技球は、裏枠セット215の球回収機構を介して集合し、さらに排出通路部217の排出シュートを通じてパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36も同様に排出通路部217に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出シュートを介してパチンコ機10外部に排出される。尚、本実施形態では、裏パックユニット203と下枠セット251とが別体として構成され、それぞれ独立して開閉可能であるが、裏パックユニット203と下枠セット251とが一体的に形成されることとしてもよい。
【0065】
また、図5に示すように、下枠セット251の背面側には、払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314が前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。
【0066】
発射制御装置312及び電源装置313は基板ボックス313aに収容されて下枠セット251の背面側に固定されている。尚、発射制御装置312及び電源装置313は、便宜上それぞれ独立した制御装置として説明するが、実際には1つの基板(プリント基板)により構成される。
【0067】
また、払出制御装置311は、基板ボックス311aに収容されて、基板ボックス313a(発射制御装置312及び電源装置313)の背面側に固定されている。尚、払出制御装置311が収容される基板ボックス311aには、上述した主制御装置261が収容される基板ボックス263と同様に封印部材が設けられ、基板ボックス311aの開封された痕跡が残るようになっている。
【0068】
加えて、カードユニット接続基板314は、基板ボックス314aに収容されて、基板ボックス313a(発射制御装置312及び電源装置313)の背面側に固定されている。なお、上記各基板ボックス311a,313a,314aは透明樹脂材料等により構成されており、内部が視認可能となっている。
【0069】
また、払出制御装置311には基板ボックス311aから外方に突出する状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られる。
【0070】
さらに、電源装置313には基板ボックス313aから外方に突出するRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰させることができる。従って、通常手順で(例えば遊技ホールの営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入する。
【0071】
さて、図8〜図11に示すように、本実施形態では、扉取付枠としての内枠12に対して、扉体としての前面枠セット14が左側部側及び右側部側のどちら側からでも開放可能に構成されている。これに伴い、本実施形態では、前面枠セット14を開閉可能に支持する構成、及び、前面枠セット14等の施錠を行う構成に特徴がある。以下、かかる特徴部分について、図面を参照しつつ説明する。尚、図1〜図6では、シリンダ錠605等の一部の構成を除き、基本的に前面枠セット14の軸支や施錠に関する構成の図示が省略されている。
【0072】
先ず、前面枠セット14の開閉に関する構成について説明する。本実施形態では、前面枠セット14を図10に示すように右側部側から開放させるべく、前面枠セット14の左側部において、軸ピン414を有する軸ユニット401(以下、左軸ユニット401aとも称する)が上下一対で設けられるとともに、内枠12の左側部において、各左軸ユニット401aの軸ピン414を軸支する軸受ユニット404(以下、左軸受ユニット404aとも称する)が上下一対で設けられている。また、前面枠セット14を図11に示すように左側部側から開放させるべく、前面枠セット14の右側部において軸ピン414を有する軸ユニット401(以下、右軸ユニット401bとも称する)が上下一対で設けられるとともに、内枠12の右側部において、各右軸ユニット401bの軸ピン414を軸支する軸受ユニット404(以下、右軸受ユニット404bとも称する)が上下一対で設けられている。
【0073】
尚、本実施形態では、左軸ユニット401a及び右軸ユニット401bは、前面枠セット14の横幅方向中央部と中心として左右対称位置に設けられており、左軸受ユニット404a及び右軸受ユニット404bは、内枠12の横幅方向中央部を中心として左右対称位置に設けられている。また、本実施形態では、前面枠セット14の左側部及び右側部に沿って設けられた軸ユニット401(左軸ユニット401a及び右軸ユニット401b)の軸ピン414が第1軸部及び第2軸部を構成する。さらに、内枠12の左側部及び右側部に沿って設けられた軸受ユニット404(左軸受ユニット404a及び右軸受ユニット404b)の固定側受部436及び可動側受部443が第1軸受部及び第2軸受部を構成する。
【0074】
図12、図13に示すように、軸ユニット401(図12、図13では右軸ユニット401bを示す)は、前方に開口する略箱状のハウジング411と、ハウジング411の内側に収容されるピン部材412と、ハウジング411の内側においてハウジング411に対して左右に相対変位可能に設けられた介在部材413とを備えている。ハウジング411は、前面枠セット14の後面に当接した状態でねじ固定されている。尚、図12、図13では、前面枠セット14のうち軸ユニット401の取付部位を前面枠セット14の本体とは別体で構成した場合の例を示している。
【0075】
ピン部材412は、上下に延びる略円柱状の軸ピン414と、軸ピン414の前縁部から前面枠セット14の横幅方向中央部側に延びる略板状の取付板415とを備えている。取付板415には、軸ピン414との連接部の上下方向中間位置において前後に貫通する貫通孔416が形成されている。さらに、取付板415には、ねじ孔417が形成されており、介在部材413の後面側に形成されたねじ孔418と位置合わせされてねじ固定されている。これにより、ピン部材412は介在部材413に固定され、図14、図15に示すように、ハウジング411に対して左右に相対変位可能に構成されることとなる。
【0076】
軸ピン414は、上下方向において取付板415の貫通孔416に対応する部位が縮径部421として構成され、取付板415と連結される上部及び下部が拡径部422として構成されている。また、縮径部421の外周面には、表裏一対で互いに平行して延びる平坦部423が形成されている。すなわち、拡径部422の断面形状は、略真円状をなしているが、縮径部421の断面形状は、円の左右両側部を真っ直ぐに切り欠いたような断面略小判型をなしている。本実施形態では、縮径部421の各平坦部423と、取付板415の表裏面とが略直交するようにして延びている(図14、図21等参照)。
【0077】
また、軸ユニット401には、介在部材413を前面枠セット14の(近い方の)側部側(図12等の軸ユニット401に関しては右側部側)に向けて付勢する軸付勢コイルばね424が、介在部材413の前面枠セット14の横幅方向中央部側を向いている面と、ハウジング411の前面枠セット14の横幅方向中央部側の壁部の内面との間に介在するようにして設けられている。さらに、介在部材413には、ピン部材412の取付板415に形成された貫通孔416に対向する部位が切欠かれることで形成された差込凹部425が設けられている。加えて、ハウジング411には、ピン部材412の取付板415に形成された貫通孔416に対向する部位が切欠かれることで形成された差込凹部426が設けられている。当該差込凹部426はハウジング411の側部まで延設されて、前面枠セット14の(近い方の)側部側に開口している。
【0078】
尚、本実施形態では、軸ユニット401の全体を後方から覆うカバー428が取付けられるが、カバー428のうちハウジング411の差込凹部426に対応する位置には差込開口部429が形成されている。また、右軸ユニット401bと、左軸ユニット401aとは互いに左右対称形状(左右対称の構成)をなしている。
【0079】
図16〜図18等に示すように、軸受ユニット404(図16〜図23では右軸受ユニット404bを示す)は、内枠12に取付けられる固定金具431と、固定金具431に対して回動変位可能に設けられる可動金具441とを備えている。
【0080】
固定金具431は、内枠12の後面に対して当接状態でねじ固定される連結部433と、連結部433の下辺部から前方に延出する載置部434と、連結部433の内枠12の横幅方向中央部側に隣接して載置部434と一体的に形成される係合部435と、載置部434の前辺部のうち内枠12の(近い方の)側部側の部位から前方に延出する固定部としての固定側受部436とを備えている。本実施形態では、内枠12には、図26等に示すように、各軸受ユニット404に対応して、前後に貫通する通し孔437が形成されており、当該通し孔437を介して、軸受ユニット404の固定側受部436(及び後述する可動側受部443)が内枠12の前方に突出するように構成されている。
【0081】
また、図17に示すように、載置部434のうち固定側受部436の内枠12の横幅方向中央部側の辺部の延長線上にあたる部位において、上下に貫通する回動孔438が形成されている。さらに、固定側受部436のうち内枠12の横幅方向中央部側の辺部には、その先端側に、略半円形状の固定側切欠き部439が形成されている。
【0082】
可動金具441は、固定金具431の載置部434の上面に当接支持される支持板部442と、支持板部442から前方に突出する可動部としての可動側受部443と、支持板部442から内枠12の横幅方向中央部側に突出する伝達部444とを備えている。支持板部442には、可動側受部443のうち内枠12の側部側の辺部の延長線上にあたる部位において、上下に貫通する回動孔445が形成されている。そして、支持板部442の回動孔445と、固定金具431の載置部434の回動孔438とが位置合わせされてピン440で接合されることで、可動金具441が固定金具431に対して回動孔438、445を中心に回動可能に取付けられている。
【0083】
また、可動側受部443のうち内枠12の側部側の辺部には、その先端側に、略半円形状の可動側切欠き部446が形成されている。図16(a)等に示すように、可動側受部443が固定側受部436と略平行して延びた状態では、可動側受部443の可動側切欠き部446と、固定側受部436の固定側切欠き部439とが合致して、平面視で円形状のほぼ閉じた孔が形成されることとなる。本実施形態では、当該孔によって軸孔447が構成されている。軸孔447の内径は、軸ピン414の縮径部421の直径よりも若干大きく、かつ、軸ピン414の拡径部422の直径よりも小さくなっている。そして、図19等に示すように、当該軸孔447に軸ユニット401の軸ピン414の縮径部421が挿通され、縮径部421上方の拡径部422下面が固定側受部436及び可動側受部443の軸孔447周縁部の上面に支持されることで、軸ユニット401が軸受ユニット404に軸支されることとなる。特に、右軸ユニット401bが右軸受ユニット404bに軸支されることで、前面枠セット14の左側部側を開閉させることができ、左軸ユニット401aが左軸受ユニット404aに軸支されることで、前面枠セット14の右側部側を開閉させることができるようになっている。
【0084】
また、図17等に示すように、可動側受部443は、支持板部442よりも一段低く構成されており、本実施形態では、軸孔447の周縁部を構成する可動側受部443及び固定側受部436の上面の高さ位置が揃っている(面一となっている)。これにより、軸ピン414の拡径部422を、固定側受部436及び可動側受部443の両方で受けることができ、前面枠セット14をより安定して支持することができる。
【0085】
さらに、本実施形態では、可動金具441は、図19に示すように、可動側受部443が固定側受部436と平行して延び、固定側受部436と可動側受部443との間に、ほぼ閉じた軸孔447が形成される位置(以下、「規制位置」と称する)と、図20に示すように、可動側受部443が固定側受部436に対して内枠12の横幅方向中央部側に傾いて延び、軸孔447が前方に開口されて軸孔447から軸ピン414を抜き出させることができる位置(以下、「許容位置」と称する)との間を回動変位可能に構成されている。尚、詳しくは後述するが、可動金具441は規制位置側に付勢されており、常には、閉じた軸孔447が形成された状態となっている。
【0086】
また、図17等に示すように、可動側受部443には、可動側切欠き部446の支持板部442側に隣接して、内枠12の側部側に突出し、突出方向先端側が可動側受部443の先端側(前方)に張り出している平面視略L字状の補助鉤部448が設けられている。さらに、図21(b)等に示すように、補助鉤部448には、可動側切欠き部446側の辺部の前側の部位において、略四半円状の補助切欠き部449が形成されており、可動金具441を平面視した場合に、可動側切欠き部446の内周面と、補助切欠き部449の内周面とが同一の仮想円の外周縁を画定するようにして延在している。本実施形態では、補助切欠き部449の前端部は、可動側切欠き部446の前端部よりも後方に位置しており、前記可動側切欠き部446は前記仮想円の約180度の範囲を画定するのに対し、補助切欠き部449は前記仮想円の約90度強程度の範囲を画定するように構成されている。これにより、補助鉤部448の前縁部と可動側受部443の可動側切欠き部446の周縁部との間には、可動金具441を平面視した場合に、可動側切欠き部446及び補助切欠き部449の内周側の領域を前側方に開口(連通)させる開口部(以下、「進退開口部451と称する」)が形成されている。
【0087】
加えて、補助鉤部448は、可動側受部443よりも一段下方に形成されており、本実施形態では、補助鉤部448の上面の高さ位置が、可動側受部443及び固定側受部436の下面よりも若干下方に位置している。このため、可動金具441が規制位置にある状態では、補助鉤部448が固定側受部436の下方位置に収まるようになっている。さらに、当該可動金具441が規制位置にある状態では、補助鉤部448の補助切欠き部449の内周面が、固定側切欠き部439の内周面と一致する(或いは、補助切欠き部449の内周面の方が若干外周側に位置している)ように延在している。一方、可動金具441が許容位置にある場合、補助鉤部448の補助切欠き部449が形成された前側の部位が固定側受部436の下方位置から抜け出すようになっている。
【0088】
さらに、図20(b)、図21(b)に示すように、可動金具441の前端の進退開口部451の開口幅は、軸ピン414の縮径部421の直径(縮径部421の断面において、縮径部421の中央部を通り、かつ、外周線のうち円弧状の部分の2点間を結ぶ直線の距離)よりも小さくなっている。その一方で、縮径部421の断面において、縮径部421の外周面に形成された表裏一対の平坦部423部間の距離は、進退開口部451の開口幅よりも小さくなっている。このため、軸ピン414の平坦部423の一方が進退開口部451に臨むような向きで軸ピン414を進退開口部451から外側に抜け出させようとしても、軸ピン414が進退開口部451の両脇に引っ掛かって抜け出させることができない(図23参照)。これに対し、図20に示すように、軸ピン414の両平坦部423が進退開口部451に対してほぼ直交する向きとなっていれば、軸ピン414を進退開口部451から抜け出させることができる。
【0089】
加えて、図16、図17等に示すように、可動金具441の伝達部444の後端部には、上方に突出し、かつ、支持板部442側に張り出すフック部452が設けられている。フック部452は、中央下部において後述するワイヤ641を引っ掛けるための引っ掛け凹部453が形成され、正面視略コ字状をなしている。また、伝達部444の後面は、可動金具441の係合部435の前面と対向配置されており、本実施形態では、両者間において、可動金具441を規制位置側に付勢するための軸受用コイルばね454が設けられている。これにより、軸受ユニット404は、常には可動金具441が規制位置にある状態で保持されるようになっている。
【0090】
尚、軸受ユニット404は内枠12の外周縁よりも内周側に位置しており、前面枠セット14の閉状態では、前面枠セット14と内枠12との間から、軸受ユニット404や軸ユニット401への接触を図ることができないように構成されている。また、図16〜図23を参照して説明した右軸受ユニット404bと、図24に示す左軸受ユニット404aとは互いに左右対称形状(左右対称の構成)をなしている。
【0091】
次に、施錠に関する構成について説明する。図9、図25、図26等に示すように、内枠12には、当該内枠12の右側部の後面(図9等では左側に見える辺部)に沿って縦方向に取付けられる基幹部601と、基幹部601に沿って上下にスライド変位可能な竿体602と、基幹部601の下部に設けられた錠前取付ユニット604と、錠前取付ユニット604に取付けられるシリンダ錠605とが設けられている。また、基幹部601と竿体602とにかけて、竿体602を上方へと付勢する竿用コイルばね606が設けられている。さらに、竿体602の上下2カ所には、後方に突出する鉤部603が設けられ、各鉤部603には、上方に突出する係止爪603aが形成されている。
【0092】
これに対し、固定枠としての外枠11の右辺部11dの内側面には、図3に示すように、内枠12の閉状態において、前記各鉤部603とそれぞれ係止状態とされる爪受部84、85が取付けられている。すなわち、内枠12が閉状態とされると、鉤部603の係止爪603aが爪受部84、85の後面に引っ掛かり(係止され)、これによって、閉状態にある内枠12の開放が規制される(内枠12が施錠される)こととなる。本実施形態では、鉤部603や爪受部84、85等が取付枠施錠手段を構成する。
【0093】
尚、鉤部603の突出方向先端面(後面)は、上方に向けて後方に傾斜している上、開状態にある内枠12を閉じていくと、爪受部84、85の下辺部が、鉤部603の当該傾斜面に当接するようになっている。このため、シリンダ錠605のキー操作を行わなくても、開状態にある内枠12を閉方向へと変位させ、最後に押し込むことで、爪受部84、85の下辺部と鉤部603の傾斜面とが摺接しつつ、竿体602が竿用コイルばね606の付勢力に抗して押し下げられるとともに、係止爪603aが爪受部84、85よりも後方に位置したところで、竿用コイルばね606の付勢力によって竿体602が上方に変位して元の位置に戻り、係止爪603aが爪受部84、85に係止されることとなる。
【0094】
図17、図18、図33等に示すように、シリンダ錠605は、前後に延びる外筒611と、外筒611の後端部から上方及び下方に延出する取付部612と、取付部612の後面から後方に突出する上下一対の取付けピン613と、外筒611の内側において回動可能に設けられ、前面側に鍵穴615を有する内筒614とを備えている。前面枠セット14の閉状態では、外筒611が前面枠セット14に形成されたシリンダ開口部619(図3参照)に挿入され、鍵穴615が前面枠セット14の前面側に露出するようになっている。さらに、図18に示すように、シリンダ錠605の後面側には、取付部612よりも後方にまで突出し、鍵穴615に図示しないキーを差し込んで内筒614を回動させる操作(キー操作)に伴って、内筒614と一体的に回動変位する係合突起616が設けられている。また、詳しくは後述するが、本実施形態では、シリンダ錠605のキー操作と、上記軸受ユニット404の可動金具441とが連動するように構成されている。
【0095】
図17、図18、図34等に示すように、錠前取付ユニット604は、略矩形板状をなし、内枠12の後面に対して当接状態で設置されるベース壁622と、ベース壁622の左右側部から後方に延出する左右一対の延出壁623とを具備する断面略コ字状の本体部621と、各延出壁623の内側面に沿って上下にスライド可能に設けられた左右一対のスライド片624とを備えている。尚、本実施形態では、基幹部601と錠前取付ユニット604の本体部621とが一体的に形成されているが、別体として構成することも可能である。
【0096】
ベース壁622には、シリンダ錠605の上下一対の取付けピン613をそれぞれ挿入可能なピン挿入孔625と、シリンダ錠605の係合突起616を挿入可能な突起挿入孔626とが形成されている。シリンダ錠605の取付けピン613の先端側の部位には図示しない雄ねじが形成されており、取付けピン613をベース壁622の前面(外面)側からピン挿入孔625に挿入し、ピン挿入孔625を介してベース壁622の後方(本体部621の内側)に位置した取付けピン613の先端に対してナット617が螺着されることで、シリンダ錠605が錠前取付ユニット604の本体部621に対して、前後方向に相対変位可能に取付けられている。さらに、各取付けピン613に外嵌するようにして、シリンダ錠605の取付部612の後面と、錠前取付ユニット604の本体部621のベース壁622の前面との間に介在する錠前付勢用コイルばね627(図33参照)が設けられている。当該錠前付勢用コイルばね627によって、シリンダ錠605の全体が前方に付勢されている。
【0097】
また、シリンダ錠605の係合突起616には、ベース壁622の後面側から突起挿入孔626を介して略円筒状のカム628が取付けられている。カム628の後端上縁部には、上方に延出する操作片629が設けられている。そして、シリンダ錠605の鍵穴615にキーを差し込んで右側(図1の時計回り方向)に回すことで、図27、図28に示すように、右側に回動したカム628の操作片629を、左右一対のスライド片624のうち右側(図27では左側)のスライド片624(以下、右スライド片624aと称する)に当接させて、当該右スライド片624aを押し下げることができるようになっている(図34参照)。
【0098】
一方、シリンダ錠605の鍵穴615にキーを差し込んで左側に回すことで、図29、図30に示すように、左側に回動したカム628の操作片629を、左右一対のスライド片624のうち左側(図29では右側)のスライド片624(以下、左スライド片624bと称する)に当接させて、当該左スライド片624bを押し下げることができるようになっている。尚、詳しくは後述するが、左右のスライド片624はそれぞれ上方に付勢されている。このため、キー操作に基づいてスライド片624が押し下げられた後、キー操作が解除された場合には、スライド片624に働く付勢力によって、元の上方位置へと戻るようになっている。
【0099】
さらに、図34等に示すように、各スライド片624には、上辺部から本体部621の左右幅方向中央部側に張り出す張り出し部631が設けられるとともに、当該張り出し部631にはスリット632が形成されている。各スライド片624のスリット632には、それぞれ上方から延びてきたワイヤ641が挿通されている。本実施形態では、各スリット632にワイヤ641が2本ずつ挿通されている。さらに、図25(a)に示すように、スリット632に挿通されたワイヤ641の先端部には、スリット632の幅よりも径の大きい抜け止め材633が設けられている。これにより、ワイヤ641の下端部が可スライド片624に係止されることとなり、スライド片624が下方に変位すると、対応するワイヤ641が下方に引っ張られるとともに、ワイヤ641が上方に引っ張られると、対応するスライド片624が上方に変位することとなる。
【0100】
本実施形態では、右スライド片624aのスリット632に挿通された2本のワイヤ641のうち一本は、上下一対で設けられた右軸受ユニット404bのうち上側の右軸受ユニット404bへ案内され、もう一本は下側の右軸受ユニット404bへ案内されている。また、左スライド片624bのスリット632に挿通された2本のワイヤ641のうち一本は、上下一対で設けられた左軸受ユニット404aのうち上側の左軸受ユニット404aへ案内され、もう一本は下側の左軸受ユニット404aへ案内されている。
【0101】
さらに、内枠12の後面には、各ワイヤ641を好適に延在させるためのワイヤガイド643、及び、ガイドローラ644が設けられている。ワイヤガイド643は、各軸受ユニット404の直下方位置に設けられている。また、図17、図18、図26などに示すように、ワイヤガイド643は、略L字状をなしており、一片側が内枠12の後面に取付けられるとともに、他片側においてワイヤ641を挿通させるための上下に貫通するガイド孔645が形成されている。下側の右軸受ユニット404b及び左軸受ユニット404aに対応して設けられたワイヤガイド643にはガイド孔645が2つ設けられ、上側の右軸受ユニット404b及び左軸受ユニット404aに対応して設けられたワイヤガイド643にはガイド孔645が1つ設けられている。さらに、対応する軸受ユニット404に接続されるワイヤ641を挿通させるガイド孔645にはチューブ646が接続されており、当該チューブ646の先端部には、略筒状をなすとともに、側面視で左右方向中央部がくびれている係合金具647が取付けられている。
【0102】
図16に示すように、係合金具647は、そのくびれ部分において、軸受ユニット404の固定金具431の係合部435と係合し、これによって、ガイド孔645、チューブ646、及び係合金具647に挿通されたワイヤ641の先端部が、固定金具431の係合部435と、可動金具441のフック部452との間に通されることとなる。また、当該ワイヤ641の先端部は、フック部452に形成された引っ掛け凹部453(図18参照)に挿通されるとともに、引っ掛け凹部453に挿通されたワイヤ641の先端部には、引っ掛け凹部453よりも幅の大きい抜け止め材648(図16(a)参照)が取付けられている。これにより、ワイヤ641の上端部が可動金具441に係止されることとなり、ワイヤ641が下方に引っ張られると、可動金具441が許容位置へと変位し、可動金具441が規制位置へと変位すると、ワイヤ641が上方に引っ張られることとなる。
【0103】
さらに、可動金具441を規制位置側に付勢する上記軸受用コイルばね454は、固定金具431の係合部435に支持された係合金具647の前面と、フック部452の後面との間にかけて、ワイヤ641に外嵌するようにして装着されている。また、可動金具441が軸受用コイルばね454によって規制位置側に付勢されることで、結果的に、可動金具441に接続されたワイヤ641が上方に付勢されるとともに、当該ワイヤ641の下端部に接続されたスライド片624が上方に付勢されることとなる。
【0104】
尚、本実施形態では、軸ユニット401、軸受ユニット404、シリンダ錠605、錠前取付ユニット604、及び、ワイヤ641が施錠手段を構成する。特に、左軸受ユニット404a及び右軸受ユニット404bの各可動金具441が第1係止手段及び第2係止手段を構成する。さらに、本実施形態では、シリンダ錠605が第1解錠操作手段及び第2解錠操作手段を構成する錠前手段に相当する。
【0105】
次に、シリンダ錠605のキー操作に基づく一連の動作について説明する。図33に示すように、シリンダ錠605の鍵穴615にキーを差し込んで右側に回した(第1操作した)場合には、図27、図28に示すように、カム628の操作片629によって右スライド片624aが押し下げられ、当該右スライド片624aに接続された一対のワイヤ641が下方に引っ張られ、図20に示すように、当該一対のワイヤ641にそれぞれ接続された上下一対の右軸受ユニット404bの可動金具441がそれぞれ許容位置へと変位させられる。このとき、可動金具441の補助鉤部448が、軸ピン414を押圧して、開放可能位置(固定側切欠き部439から遠ざかり、可動側切欠き部446及び補助切欠き部449から抜け出し可能となる位置)へと変位させることとなる。さらに、この状態で、前面枠セット14の右側を前方に引っ張ることで、図21、ひいては、図10に示すように、前面枠セット14を右側部側から開放させることができる。
【0106】
尚、可動金具441が軸ピン414を押圧して変位させたり、軸ピン414を軸受ユニット404から抜き取ったりする際には、図15に示すように、軸ピン414が追従的に変位することで無理な動きを吸収するようになっており、これによって、軸受ユニット404の解錠から前面枠セット14の開放に至るまでを比較的スムースに実行することができる。さらに、前面枠セット14を開放し、シリンダ錠605のキー操作を解除すると、軸受用コイルばね454(図16参照)の付勢力によって、図22に示すように、可動金具441が規制位置へと復帰するようになっている。
【0107】
また、シリンダ錠605の鍵穴615にキーを差し込んで左側に回した(第2操作した)場合には、図29、図30に示すように、カム628の操作片629によって左スライド片624bが押し下げられ、当該左スライド片624bに接続された一対のワイヤ641が下方に引っ張られ、当該一対のワイヤ641にそれぞれ接続された上下一対の左軸受ユニット404aの可動金具441がそれぞれ許容位置へと変位させられる。このとき、可動金具441の補助鉤部448が、軸ピン414を押圧して、開放可能位置へと変位させることとなる。さらに、この状態で、前面枠セット14の左側を前方に引っ張ることで、図11に示すように、前面枠セット14を左側部側から開放させることができる。
【0108】
尚、シリンダ錠605のキー操作を行うことなく開状態にある前面枠セット14を閉方向に変位させると、軸ピン414が、固定側受部436の前縁部や可動側受部443の前縁部に当接することとなる。本実施形態の固定側受部436の前縁部や可動側受部443の前縁部は、図22等に示すように、軸孔447の中央部側に向けて後方傾斜している。このため、軸ピン414を固定側受部436や可動側受部443に押し付けるようにして前面枠セット14を無理やりに閉方向に変位させていくと、固定側受部436の前縁部に接触した軸ピン414は、当該固定側受部436の前縁部によって後方かつ内枠12の横幅方向中央側に案内されるとともに、当該軸ピン414に接触された可動側受部443は、内枠12の横幅方向中央側、すなわち、許容位置側に押し退けられる。従って、キー操作を行わなくても、軸ピン414を軸孔447に挿通させ、前面枠セット14を閉鎖(施錠)することができるようになっている。勿論、キー操作を行うことなく閉状態にある前面枠セット14の右側部や左側部を前方へ引っ張っても、閉じた状態の軸孔447から軸ピン414を抜け出させて前面枠セット14を開放させることはできないように構成されている。
【0109】
さらに、例えば、前面枠セット14を左側部側から開放している状態において、シリンダ錠605にキーを差し込んで右側に回した場合、右軸受ユニット404bの可動金具441は図23に示すように許容位置へと変位するものの、右軸ユニット401bの軸ピン414を可動金具441の可動側切欠き部446から抜け出させることができないようになっている。すなわち、前面枠セット14の左側が開放されていることに起因して、右軸ユニット401bの軸ピン414の縮径部421が、右軸受ユニット404bの許容位置とされた可動金具441の進退開口部451から抜け出すことのできない向きとなる。従って、前面枠セット14を左側部側から開放し、右軸ユニット401b及び右軸受ユニット404bが前面枠セット14の回転軸の役割を担っている状態では、シリンダ錠605の対応するキー操作を行ったとしても、前面枠セット14の右側部側を開放することは不可能であり、右軸ユニット401bの軸ピン414が右軸受ユニット404bの軸孔447周縁部に軸支された状態が維持されるようになっている。
【0110】
同様にして、前面枠セット14を右側部側から開放している状態において、シリンダ錠605にキーを差し込んで左側に回したとしても、前面枠セット14の左側部側を開放することができないようになっている。
【0111】
尚、シリンダ錠605の内筒614に関しては、シリンダ錠605に内蔵された図示しないばねによって基準の位置に戻る。さらに、シリンダ錠605が内枠12に取付けられているため、前面枠セット14を大きく開放させるためには、シリンダ錠605の鍵穴615からキーを抜き取る必要があるが、キーを抜き取らなくても、軸ピン414が軸孔447(可動側切欠き部446)から抜け出す位置までは前面枠セット14を開方向へ変位させることができるように構成されている。
【0112】
また、上記のように、本実施形態では、シリンダ錠605の全体が前後に変位可能に構成されており、シリンダ錠605の鍵穴615に差し込んだキーを更に後方に押し込むことで、図35、図36に示すように、錠前付勢用コイルばね627を縮めつつ、シリンダ錠605全体を後方に変位させることができる。シリンダ錠605全体が後方に変位することで、シリンダ錠605の係合突起616に取付けられたカム628についても後方に変位することとなり、この状態で、キーを右側に回した(第3操作した)場合には、図31、図32に示すように、カム628の操作片629が、右スライド片624aではなく、竿体602と当接して、当該竿体602を、竿用コイルばね606の付勢力に抗して、下方に押し下げることができるようになっている。これにより、竿体602に設けられた鉤部603の係止爪603aと、外枠11に設けられた爪受部84、85との係止状態が解除され(外枠11に対する内枠12の施錠が解錠され)、内枠12を開放可能な状態とされる。
【0113】
次に、配線に関する構成について説明する。図10、図11に示すように、前面枠セット14の後面の上部には、後方に開口する収容凹部651が形成されている。本実施形態では、収容凹部651は、前面枠セット14の上辺部に沿って、前面枠セット14の左右方向中央部よりも若干右側の部位から左側部近傍にかけて形成されている。
【0114】
さらに、本実施形態では、内枠12の前面の上部の左右方向略中央部と、前面枠セット14の後面の上部の左右方向略中央部との間を連結するアーム652が設けられている。アーム652は、一対の可動片653の一端部同士を回転自在にピン接合することで構成されており、一方の可動片653の他端部が前面枠セット14の左右方向略中央部付近の収容凹部651の内側に対して(上下方向を軸心として)回転自在にピン接合され、他方の可動片653の他端部が内枠12の前面上部の左右方向略中央部付近に対して(上下方向を軸心として)回転自在にピン接合されている。これにより、アーム652は、前面枠セット14の開閉方向において屈伸可能に構成され、前面枠セット14を開放することで伸び(展開し)、前面枠セット14を閉状態とすることで折り畳まれるようになっている。また、当該アーム652は、軸ユニット401及び軸受ユニット404と協働して、前面枠セット14を支持するため、前面枠セット14の開閉動作のガイドとして機能するだけでなく、軸ユニット401及び軸受ユニット404の負担を軽減させることができる。
【0115】
加えて、アーム652は、前面枠セット14を左右のどちら側から開放しても左側に折り畳まれるように構成されている。また、可動片653の単体の長さは収容凹部651の左右の形成幅よりも短く、可動片653の幅は収容凹部651の奥行よりも小さい。このため、前面枠セット14を閉状態とすると、アーム652全体が収容凹部651に収容されるようになっている。
【0116】
さらに、前面枠セット14の後面上部には、前面枠セット14に設けられた各種ランプ(環状電飾部102等)やスピーカSP等と電気的に接続される前枠中継基板654が設けられている。また、内枠12の前面上部には、サブ制御装置262と電気的に接続される内枠中継基板656が設けられている。さらに、前枠中継基板654と内枠中継基板656とを電気的に接続するケーブルコネクタ(以下、前枠用ハーネス658と称する)が設けられている。
【0117】
前枠中継基板654は、前枠用ハーネス658(の差込側コネクタ)に接続される扉側コネクタとしての前枠コネクタ655が、収容凹部651の側方にて、前面枠セット14の左右方向中央部近傍部位に位置するようにして配置されている。さらに、内枠中継基板656は、前枠用ハーネス658の他端側(の差込側コネクタ)に接続される取付枠側コネクタとしての内枠コネクタ657が、内枠12の左右方向中央部近傍部位に位置するように配置されている。このため、前面枠セット14を左右のどちら側から開いても、開放角度が同程度であれば、前枠コネクタ655と内枠コネクタ657との間の距離が同程度となる。尚、本実施形態では、前枠コネクタ655の取付け高さ位置と、内枠コネクタ657の取付け高さ位置とはほぼ同じである。
【0118】
また、アーム652には、その長手方向において複数箇所に前枠用ハーネス658を引っ掛けるための図示しない係止部が設けられており、前枠用ハーネス658はかかる係止部に係止されることでアーム652に沿って延設されている。これにより、アーム652の屈伸動作に伴って前枠用ハーネス658についても屈伸することとなる。本実施形態では、内枠コネクタ657が枠側配線係止手段を構成し、前枠コネクタ655が扉側配線係止手段を構成する。
【0119】
さらに、本実施形態では、前面枠セット14を左側部側から開放する場合に、前面枠セット14が(平面視で反時計回り方向に)90度弱開いた時点で、右軸受ユニット404bの固定側受部436の側辺部(図19等参照)と、前面枠セット14の右軸ユニット401bを覆うカバー428の差込開口部429の周縁部(図12、図13参照)とが当接し、それ以上の開放ができないようになっている。同様に、前面枠セット14を右側部側から開放する場合に、前面枠セット14が(平面視で時計回り方向に)90度弱開いた時点で、左軸受ユニット404aの固定側受部436の側辺部と、前面枠セット14の左軸ユニット401aを覆うカバー428の差込開口部429の周縁部とが当接し、それ以上の開放ができないようになっている。特に、本実施形態では、前面枠セット14を左右どちら側に開いても、アーム652や前枠用ハーネス658が完全に伸びきる前に、前面枠セット14の開放が制限されるようになっている。尚、本実施形態では、左右の軸受ユニット404の固定側受部436と、左右の軸ユニット401をそれぞれ覆うカバー428とが、第1開放量制限手段及び第2開放量制限手段を構成する。
【0120】
尚、本実施形態では、基本的に、前面枠セット14の左右一側部側が開放された状態では、左右他側部側の軸ピン414を軸孔447から抜き取ることができないように構成されているが、前面枠セット14の着脱が行えるように、前面枠セット14が僅かに開いた状態、すなわち、軸ピン414が軸孔447から抜け出したものの可動側受部443及び固定側受部436の先端の近傍に位置している状態では、前面枠セット14の左右反対側の解錠操作を行うことで、反対側の軸ピン414も軸孔447から抜き取ることができるようになっている。さらに、内枠12を開放し、錠前取付ユニット604の一対のスライド片624a、624bを(直接手で触れて)一度に押し下げることでも、前面枠セット14を取外すことができる。尚、前面枠セット14を内枠12から取外す方向は、2つ挙げた方法のうちどちらか一方だけでもよいし、別の方法(例えば、一対のスライド片624a、624bを同時に押下げ可能であり、所定のボタン操作を契機として駆動される所定の駆動手段で変位させられる押下げ解錠装置を設ける)があってもよい。
【0121】
また、前面枠セット14を内枠12に取付ける場合には、前面枠セット14の後面が内枠12の前面とほぼ平行となるようにして、軸ユニット401a、401bと軸受ユニット404a、404bとの位置合わせを行いつつ、前面枠セット14をほぼ水平に内枠12に押し付けることで、前面枠セット14を内枠12に取付けることができる。
【0122】
加えて、シリンダ錠605のキー操作が行われていない状態では、カム628の操作片629が一対のスライド片624a、624bから外れた位置にあり、スライド片624a、624bを押し下げてもスライド片624a、624bが操作片629の触れない構成となっていることから、上記のようにスライド片624a、624bを一度に押し下げての前面枠セット14の開放が可能となる。また、スライド片624a、624bの各上端部において互いに近づく方向に延出する張り出し部631が設けられ、スライド片624a、624bが互いに近接配置されていることから、スライド片624a、624bを一度に押し下げる操作を行い易くすることができる。
【0123】
また、図3に示すように、内枠12には、樹脂ベース38の外周縁(下辺部)から前方に延出するリブ681が設けられているが、当該リブ681によって、前面枠セット14の左右両方の軸ユニット401a、401bの軸ピン414を対応する軸受ユニット404a、404bから抜き取った直後に、前面枠セット14が落下してしまうといった事態を防止することができる。
【0124】
尚、外枠11の右辺枠構成部11dには、基幹部601、竿体602、錠前取付ユニット604、及び、爪受部84、85等を内枠12の後面側から覆う延出壁部83が形成されている(図5参照)。これにより、外枠11の背面側から線材等を進入させ、当該線材等により鉤部603やスライド片624等を操作することが困難となる。結果として、防御性能の向上を図ることができる。また、図3に示すように、下側の爪受部85には、後述する内枠開放検知スイッチ92に当接する押圧部86が、外枠11内側に向けて突設されている。
【0125】
さらに、延出壁部83は、裏パックユニット203及び下枠セット251の右端部(図5では左側の端部)を背面側から覆う構成となっており、内枠12の閉状態においては、裏パックユニット203及び下枠セット251を開放できない構成となっている。
【0126】
また、図4に示すように、内枠12の前面側右下部(発射装置60の右側)には、前面枠セット14の開放を検知するための前面枠開放検知スイッチ91が設けられ、図5に示すように、内枠12の背面側右下部(図5では左下)には、内枠12の開放を検知するための内枠開放検知スイッチ92が設けられている。前面枠開放検知スイッチ91及び内枠開放検知スイッチ92は、それぞれスイッチ本体部に対して出没可能な検知部を備えており、前面枠開放検知スイッチ91は検知部が前方に向くように設けられ、内枠開放検知スイッチ92は検知部が後方へ向くように設けられる。そして、検知部がスイッチ本体部から突出した状態にある場合にはオン信号を主制御装置261に出力し、検知部がスイッチ本体部側に押圧され、スイッチ本体部に没入した状態ではオフ信号を主制御装置261に出力する構成となっている。つまり、前面枠開放検知スイッチ91は前面枠セット14の閉鎖時において検知部が前面枠セット14の背面で押圧されてオフ状態となり、前面枠セット14の開放時には、検知部が突出状態に戻ってオン状態となる。同様に、内枠開放検知スイッチ92は内枠12の閉鎖時において検知部が外枠11の受部85に一体形成された押圧部86によって押圧されてオフ状態となり、内枠12の開放時には検知部が突出状態に戻ってオン状態となる。
【0127】
次に、パチンコ機10の電気的構成について説明する。図7は、本パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。主制御装置261(主制御基板)には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等が内蔵されている。但し、CPU、ROM及びRAMが1チップ化されておらず、それぞれの機能毎にチップ化されている構成であってもよい。
【0128】
RAM503は、CPU501の内部レジスタの内容やCPU501により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種フラグ及びカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)と、バックアップエリア503aとを備えている。
【0129】
また、RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、スタックエリア、作業エリア及びバックアップエリア503aに記憶されるすべてのデータがバックアップされるようになっている。
【0130】
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。バックアップエリア503aへの書き込みは、メイン処理によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下同様)のメイン処理において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号SK1が入力されるように構成されており、停電の発生により、停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
【0131】
なお、少なくともスタックエリアとバックアップエリア503aとに記憶されるデータをバックアップすれば、必ずしもすべてのエリアに記憶されるデータをバックアップする必要はない。例えば、スタックエリアとバックアップエリア503aとに記憶されるデータをバックアップし、作業エリアに記憶されるデータをバックアップしない構成としてもよい。
【0132】
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバス等で構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、サブ制御装置262、第1及び第2特別表示装置43L、43R、普通図柄表示装置41等が接続されている。この構成により、上述した特別表示装置43L、43R、及び普通図柄表示装置41は、主制御装置261により直接的に制御される。一方、装飾図柄表示装置42は、サブ制御装置262を介して制御される。
【0133】
その他、便宜上、各種中継基板等の図示は省略するが、入出力ポート505には、入賞口スイッチ221、カウントスイッチ223、始動入賞ユニットスイッチ224a,224b、スルーゲートスイッチ225、ハンドル18の各種スイッチなどの各種検出スイッチや、各種基板、可変入賞装置32の大入賞口を開閉するシャッタを動作させるための大入賞口ソレノイドなどの各種電気部品が接続されている。つまり、主制御装置261には、各種ケーブルコネクタのコネクタを接続するための複数の端子部(基板側コネクタ)が設けられているが、これら端子部等により、入出力ポート505が構成される。
【0134】
サブ制御手段としてのサブ制御装置262(サブ制御基板)は、演算装置であるCPU551、該CPU551により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM552、該ROM552内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM553、入出力ポート554、バスライン555を備えるとともに、その他にも図示しない割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等を備えている。RAM553は、CPU551による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
【0135】
入出力ポート554には、バスライン555を介してCPU551、ROM552、RAM553が接続されるとともに、表示制御装置45が接続されている。さらに、入出力ポート554には、スピーカSP、演出ボタン125、各種電飾部及びランプ102〜104が接続されている。
【0136】
サブ制御装置262のCPU551は、例えば主制御装置261から送信される指令信号(例えば変動パターンコマンド)に基づいて表示制御装置45に表示制御を実行させ、装飾図柄表示装置42に表示させる。なお、上記のように、本実施形態では、主制御装置261が制御する第1及び第2特別表示装置43L、43Rにて大当たりか否かを表示するようになっており、サブ制御装置262が制御する装飾図柄表示装置42では、前記特別表示装置43L、43Rの表示に合わせた表示が行われる。
【0137】
また、払出制御装置311は、払出装置358により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
【0138】
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置261のRAM503と同様に、CPU511の内部レジスタの内容やCPU511により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種フラグ及びカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)と、バックアップエリア513aとを備えている。
【0139】
RAM513は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、スタックエリア、作業エリア及びバックアップエリア513aに記憶されるすべてのデータがバックアップされるようになっている。なお、少なくともスタックエリアとバックアップエリア513aとに記憶されるデータをバックアップすれば、必ずしもすべてのエリアに記憶されるデータをバックアップする必要はない。例えば、スタックエリアとバックアップエリア513aとに記憶されるデータをバックアップし、作業エリアに記憶されるデータをバックアップしない構成としてもよい。
【0140】
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。このバックアップエリア513aへの書き込みは、メイン処理によって電源切断時に実行され、バックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は電源入時のメイン処理において実行される。なお、主制御装置261のCPU501と同様、CPU511のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SK1が入力されるように構成されており、その停電信号SK1がCPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込み処理が即座に実行される。
【0141】
作業エリアには、払出制御装置311による賞球の払出許可が設定される払出許可フラグと、主制御装置261から送信されたコマンドを受信した場合に設定されるコマンド受信フラグと、主制御装置261から送信されたコマンドが記憶されるコマンドバッファとが設けられている。
【0142】
払出許可フラグは、賞球の払出許可を設定するフラグであり、主制御装置261から賞球の払出を許可する特定のコマンドが送信され、その特定のコマンドを受信した場合にオンされ、初期設定の処理又は電源遮断前へ復帰された場合にオフされる。本実施形態では、特定のコマンドは、払出制御装置311のRAM513の初期処理の指示をする払出初期化コマンドと、賞球の払出を指示する賞球コマンドと、主制御装置261が復電された場合に送信される払出復帰コマンドの3つである。
【0143】
コマンド受信フラグは、払出制御装置311がコマンドを受信したか否かを確認するフラグであり、いずれかのコマンドを受信した場合にオンされ、払出許可フラグと同様に、初期設定の処理又は電源遮断前へ復帰された場合にオフされるとともに、コマンド判定処理により受信されたコマンドの判定が行われた場合にオフされる。
【0144】
コマンドバッファは、主制御装置261から送信されるコマンドを一時的に記憶するリングバッファで構成されている。リングバッファは所定の記憶領域を有しており、その記憶領域の始端から終端に至るまで規則性をもってコマンドが記憶され、全ての記憶領域にコマンドが記憶された場合には、記憶領域の始端に戻りコマンドが更新されるよう構成されている。よって、コマンドが記憶された場合及びコマンドが読み出された場合に、コマンドバッファにおける記憶ポインタ及び読出ポインタが更新され、その各ポインタに基づきコマンドの記憶と読み出しとが行われる。
【0145】
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出装置358等がそれぞれ接続されている。
【0146】
カードユニット接続基板314は、パチンコ機10前面の貸球操作部(球貸しボタン121及び返却ボタン122)と、遊技ホール等にてパチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)とにそれぞれ電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれをカードユニットに出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314を省略することも可能である。
【0147】
発射制御装置312は、発射装置60による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射装置60は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者がハンドル18をタッチしていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させる発射禁止ボタン18a(図1参照)が操作されていないことを条件に、発射装置60が駆動され、ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される。
【0148】
表示制御装置45は、サブ制御装置262からの指示に従い、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を実行するものである。この表示制御装置45は、CPU521と、プログラムROM522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、ビデオディスプレイプロセッサ(VDP)526と、入力ポート527と、出力ポート529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527にはサブ制御装置262の入出力ポート554が接続されている。また、入力ポート527には、バスライン530を介して、CPU521、プログラムROM522、ワークRAM523、VDP526が接続されている。また、VDP526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529には液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42が接続されている。
【0149】
表示制御装置45のCPU521は、サブ制御装置262から送信される表示コマンドを、入力ポート527を介して受信するとともに、受信コマンドを解析し又は受信コマンドに基づき所定の演算処理を行ってVDP526の制御(具体的にはVDP526に対する内部コマンドの生成)を実施する。これにより、装飾図柄表示装置42における表示制御を行う。
【0150】
プログラムROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
【0151】
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するメモリである。
【0152】
VDP526は、装飾図柄表示装置42に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する一種の描画回路である。VDP526はICチップ化されているため「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は、描画処理専用のファームウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。VDP526は、CPU521、ビデオRAM524等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAM524に記憶される表示データを所定のタイミングで読み出して装飾図柄表示装置42に表示させる。
【0153】
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給する電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。
【0154】
電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動する+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。同様に、各種スイッチやモータ等には、これらが接続される制御装置を介して動作電源が供給されることとなる。
【0155】
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号SK1を出力する回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号SK1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号SK1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(NMI割込み処理)を実行する。
【0156】
なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
【0157】
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアする回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号SK2を主制御装置261及び払出制御装置311に出力する。RAM消去スイッチ323が押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261及び払出制御装置311においてそれぞれのRAM503,513のデータがクリアされる。
【0158】
以上詳述したように、本実施形態では、前面枠セット14が左右のどちら側からでも開放可能に構成されているため、利便性の向上等を図ることができる。すなわち、パチンコ機10の左方又は右方に隣接して所定の障害物が存在する場合でも、前面枠セット14の反対側を開放することができることによって、障害物に阻害されることなく前面枠セット14を開放しての作業を行うことができる。また、前面枠セット14を開放し、前面枠セット14後面側又は内枠12前面側のうち前面枠セット14の一方の回転軸側に配置されている部材への作業を行う場合に、前面枠セット14の他方の回転軸を中心として開放するようにすれば、前面枠セット14を開放しての作業性の向上を図ることができる。さらに、前面枠セット14を施錠可能に構成されているため、前面枠セット14を開放しての不正行為を抑止することができる。
【0159】
また、本実施形態では、軸受ユニット404の可動金具441を固定金具431に対して相対的に回動変位させることで、軸孔447に挿通された状態の軸ピン414の抜けを防止したり、軸孔447に挿通された状態の軸ピン414の抜けを許容したりするように構成されている。従って、軸受ユニット404が施錠の機能も有するように構成することで、構成の簡素化等を図りつつ、軸ユニット401をより好適に軸支することができる。
【0160】
さらに、本実施形態によれば、前面枠セットの左右一側部側が開放されている状態では、左右他側部側の施錠状態を解錠するキー操作が行われて、対応する軸受ユニット404の可動金具441が許容位置へと変位したとしても、当該軸受ユニット404の軸孔447から対応する軸ピン414が外れないように構成されている。従って、前面枠セット14の左右両側部が同時に解錠状態とされてしまうといった事態を回避することができ、前面枠セット14の脱落をより確実に防止することができる。
【0161】
加えて、前面枠セット14の左右一側部を解錠するべく、シリンダ錠605のキー操作が行われると、対応する軸受ユニット404の可動金具441が許容位置へと変位して軸孔447が開口される(進退開口部451が形成される)とともに、当該可動金具441に一体的に設けられた補助鉤部448によって、軸孔447に挿通状態とされていた軸ピン414が開放可能位置(固定側切欠き部439から遠ざかり、可動側切欠き部446及び補助切欠き部449から抜け出し可能となる位置)に変位させられることとなる。これにより、前面枠セット14の開放作業をスムースに行うことができる。
【0162】
また、開状態にある前面枠セット14を閉状態とする場合には、キー操作を行わずとも前面枠セット14を内枠12側に押し付けることで、軸ピン414で軸受ユニット404の可動金具441を回動変位させて進退開口部451をこじ開け、軸ピン414を軸孔447に挿通させることができるようになっている。このため、閉鎖する際にキー操作を行う必要がある場合に比べ、作業性の著しい低下を防止することができる上、キー操作を誤って前面枠セット14の左右反対側を解錠したり、内枠12を解錠したりしてしまうといった事態を回避することができる。
【0163】
加えて、本実施形態では、1つのシリンダ錠605において、前面枠セット14の左側部及び右側部をそれぞれ解錠する操作と、内枠12を解錠する操作とを行うことができるため、解錠作業性の向上や構成の簡素化等を図ることができる。特に、キーを鍵穴615に挿入して右側に回すと前面枠セット14の右側部側が解錠され、キーを鍵穴615に挿入して左側に回すと前面枠セット14の左側部側が解錠され、キーを鍵穴615に差し込んでからさらにキーを奥側(後方)に押し込んで回すことで内枠12が解錠されるといった具合に、シリンダ錠605の解除操作の割り当てが行われている。このため、対応関係を把握し易くすることができる。
【0164】
また、本実施形態の軸ピン414は、前面枠セット14の後面に沿って左右に変位可能に構成されている。このため、軸ピン414を進退開口部451を介して軸孔447に挿通させたり、軸孔447から抜け出させたりする作業を比較的スムースに行うことができる。さらに、可動金具441(可動側受部443)は固定金具431(固定側受部436)よりも内枠12の幅方向中央部側に設けられている。このため、軸受ユニット404よりも内枠12の左右側辺部側に可動金具441が許容位置へと変位するための余地を確保する必要がなくなり、軸受ユニット404を極力内枠12の左右側辺部に寄せて配置することができる。従って、前面枠セット14の開閉軸線を好適な位置に配置できるとともに、スペース効率の向上等を図ることができる。
【0165】
また、例えば、内枠コネクタ657が内枠12の右側部近傍に設けられ、前枠コネクタ655が前面枠セット14の右側部近傍に設けられる場合には、前面枠セット14を右側部側から開放しても電気的接続が切れないように延在させた前枠用ハーネス658が、前面枠セット14を閉鎖した場合において比較的大きく弛んでしまうおそれがある。前枠用ハーネス658が弛むと前枠用ハーネス658が垂れ下がり、前枠用ハーネス658が垂れ下がると、例えば、前面枠セット14が閉まらなくなったり、前枠用ハーネス658が遊技領域等に露出したりする等の各種不具合を招くおそれがある。このため、前面枠セット14を閉状態とする際に前枠用ハーネス658を適宜収容する必要があるが、前枠用ハーネス658の弛みが比較的大きい場合には、前枠用ハーネス658の収納が比較的困難なものとなってしまうことが懸念される。これに起因して、作業性の著しい低下を招いたり、或いは、弛んだ前枠用ハーネス658を自動的に収納させるための装置(ゼンマイばね等を用いて前枠用ハーネス658を巻き取る機構など)を設ける等の構成の複雑化等を招いたりするおそれがある。
【0166】
この点、本実施形態によれば、前枠用ハーネス658と電気的に接続される前枠コネクタ655及び内枠コネクタ657がそれぞれ前面枠セット14及び内枠12の幅方向略中央部に配置されており、前面枠セット14を左右のどちら側から開放する場合でも、開放角度が同程度であれば、前枠コネクタ655と内枠コネクタ657との間の距離がほぼ同じになるように構成されている。これにより、前面枠セット14を左右両側ともに所定角度開くために必要な前面枠セット14と内枠12との間に架け渡される前枠用ハーネス658の長さを極力短くすることができる。従って、前面枠セット14が閉鎖された場合における前枠用ハーネス658の弛みを極力抑制する(前枠用ハーネス658の弛み量の低減を図る)ことができる。結果として、前面枠セット14を閉状態とする場合等において、前枠用ハーネス658を収納するための作業の簡略化や、当該作業を自動的に行わせるための構成の簡素化等を図ることができる。
【0167】
また、本実施形態によれば、前面枠セット14の後面上部の横幅方向中央部と、内枠12の前面上部の横幅方向中央部とを連結するようにして、前面枠セット14の開閉に伴って屈伸可能なアーム652が設けられている。さらに、前面枠セット14に設けられた各種ランプ等と電気的に接続されている前枠中継基板654は、前枠用ハーネス658と接続される前枠コネクタ655が、前面枠セット14の後面上部の横幅方向中央部近傍に位置するように配置されている。加えて、サブ制御装置262と電気的に接続される内枠中継基板656は、前枠用ハーネス658と接続される内枠コネクタ657が、内枠12の前面上部の横幅方向中央部近傍に位置するように配置されている。そして、前枠用ハーネス658がアーム652に沿って延設されることで、前面枠セット14が開放された際には、前枠用ハーネス658がアーム652とともに展開し、前面枠セット14が閉鎖された際には、前枠用ハーネス658がアーム652とともに折り畳まれ、前面枠セット14の後面側に形成された収容凹部651に収容されるようになっている。従って、前面枠セット14を閉状態とした際に前枠用ハーネス658の垂れ下がりを防止するとともに、前枠用ハーネス658をアーム652とともに好適に収納することができる。
【0168】
加えて、アーム652及び前枠用ハーネス658は、前面枠セット14と内枠12との横幅方向中央部間に架け渡されるようにして設けられているため、前面枠セット14を左右のどちら側から開放する場合でも、所定角度が同じであれば、アーム652や前枠用ハーネス658の延び量がほぼ同じとなる。これによって、前面枠セット14を左右のどちら側から開放しても前枠用ハーネス658を無理なく延設させることができるとともに、アーム652の他に前枠用ハーネス658の垂れ下がりを防止するための構成を設ける必要がなく、構成の簡素化を図ることができる。また、アーム652を設けることで、軸受ユニット404と協働のもと、前面枠セット14を支持することができ、軸受ユニット404の負担軽減を図ることができる。
【0169】
また、本実施形態では、前面枠セット14を左右のどちら側から開いた場合でも、90度弱開放された時点で、軸受ユニット404の固定側受部436と、軸ユニット401を覆うカバー428(差込開口部429の開口周縁部)とが当接して、それ以上の開方向への変位が規制されるようになっている。このように、前面枠セット14の最大開放量(最大開放角度)が制限されることで、前面枠セット14が大きく開きすぎることに起因する不具合、例えば、当該パチンコ機10に隣接するパチンコ機や、そのパチンコ機を遊技している遊技者に前面枠セット14が接触してしまう等の事態を防止することができる。特に、本実施形態では、前面枠セット14が左右のどちら側からでも開放可能に構成されていることから、前面枠セット14が90度程度しか開かない構成であっても、前面枠セット14を開放しての作業を支障なく、むしろ、よりスムースに行うことができる。また、前枠用ハーネス658が延びる限度を超えて前面枠セット14が開放されてしまうといった事態を回避することができ、前枠用ハーネス658が抜けたり損傷したりすることを防止することができる。さらに、本実施形態では、アーム652が伸びきる前に、前面枠セット14の開放が制限されるように構成されているため、アーム652の損傷等を抑制しつつ、アーム652が伸びきることでアーム652を収縮させ難く(折り畳み難く)なってしまうといった事態を回避することができる。
【0170】
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0171】
(a)上記実施形態では、前面枠セット14が内枠12の前面の全域を覆うような形状をなしているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば、図37に示すように、内枠12の前面の下部に対して、下皿15及びハンドル18が取付けられた下皿ユニット701が設けられるとともに、内枠12前面の下皿ユニット701を除く範囲に対応して、前面枠セット14が開閉可能に取付けられていることとしてもよい。この場合、前面枠セット14の軽量化が図られ、軸ユニット401や軸受ユニット404の負担軽減を図ることができる。
【0172】
また、上記実施形態では、前面枠セット14が左右のどちら側からでも開放可能に構成されるとともに、左右の両側部において施錠が行えるように構成されているが、当該構成に加えて、又は、代えて、その他の扉体(例えば、内枠12、裏パックユニット203、上記下皿ユニット701を開放可能に構成する場合には該下皿ユニット701等)が左右のどちら側からでも開放可能かつ施錠可能に構成されてもよい。
【0173】
(b)上記実施形態において、図37に示すように、前面枠セット14の上面の左右方向中央部や、その近傍(若干シリンダ錠605のある右側寄り)を含む範囲に、作業者が手を引っ掛けて前面枠セット14を前方に引っ張ることのできる作業用凹部702を設けることとしてもよい。この場合、シリンダ錠605のキー操作を行って、シリンダ錠605が設けられた右側部側とは反対側である左側部側から前面枠セット14を開放する場合に、作業者が前面枠セット14の左側部にまで手を回さなくても、作業用凹部702に手を掛けて前面枠セット14を比較的スムースに開放させることができる。従って、前面枠セット14の開放作業性の向上を図ることができる。
【0174】
(c)上記実施形態では、可動金具441を回動変位させて、軸孔447を開けたり閉めたりして前面枠セット14の施錠・解錠を行っているが、軸受ユニット404とは別に、前面枠セット14の施錠を行うための構成を設けることとしてもよい。例えば、軸孔447が常に開口するように構成されるとともに、ピン部材412が左右方向においてスライド変位しないと軸ピン414を軸孔447から抜き取り不可能に構成した上で、ピン部材412に当接してピン部材412の変位を規制する位置から、シリンダ錠605のキー操作に基づいて、ピン部材412との干渉が回避される位置へと変位する可動部材を設けるように構成してもよい。
【0175】
また、上記実施形態では、可動金具441が固定金具431よりも内枠12の横幅方向中央部側に設けられているが、固定金具431が内枠12の横幅方向中央側に位置するように構成されてもよい。この場合、キー操作を行うことなく前面枠セット14を無理やり引っ張った場合(意図しなくても、ハンドル18を掴んで起き上がる等した場合)に、前面枠セット14に対して開方向への力が加わるといった事態を抑制することができる。また、当該構成を採用する場合には、軸ピン414が前面枠セット14の側部側(上記実施形態とは反対側)に変位可能に構成することで、前面枠セット14を確実かつスムースに開閉することができる。
【0176】
(d)上記実施形態では、前面枠セット14の左右一側部側を開放した状態では、左右他側部に対応する可動金具441が許容位置へと変位するものの、軸ピン414が軸孔447から抜け出せないようにして前面枠セット14の不用意な脱落を防止するように構成されているが、特にこのような構成に限定されるものではない。例えば、前面枠セット14の左右一側部側を開放した状態では、シリンダ錠605の対応する解錠操作を行っても、左右他側部側の軸受ユニット404の可動金具441を許容位置へと変位させることができない(キー操作と可動金具441とが連動しない、或いは、ストッパなどでスライド片624や可動金具441の動きが規制される等)ように構成されてもよい。尚、電子制御で、前面枠セット14の一方を開いたときの他方が開かないように構成する(例えば、前面枠開放検知スイッチ91による前面枠セット14の開放検知に基づいて切替制御を行う)ことも可能であるが、電源が供給されていない状態でも確実に動作するように、機械的構成で実現することが好ましい。
【0177】
さらに、上記実施形態においてシリンダ錠605を前面枠セット14において取付け、前面枠セット14を閉鎖した状態でシリンダ錠605のキー操作を行うことで内枠12に設けられたカム628等の構成が連動して、前面枠セット14の解錠が行われるように構成してもよい。この場合、前面枠セット14が開いた状態では、シリンダ錠605のキー操作を行ってもスライド片624を動かすことができないことから、シリンダ錠605のキー操作を誤り、前面枠セット14の両側がともに解錠されてしまって前面枠セット14が脱落してしまうといった事態をより確実に回避することができる。
【0178】
尚、シリンダ錠605のキー操作と、軸受ユニット404の可動金具441とを連動させるための構成については特に限定されるものではなく、適宜設計変更可能である。さらに、上記実施形態では、シリンダ錠605の全体が前後に変位可能に構成されているが、外筒611に対して内筒614が前後に相対変位可能に構成されてもよい。また、シリンダ錠605以外の錠前手段(カードキー、暗証番号キー、ICキー等)を採用してもよい。さらに、シリンダ錠605の位置は特に限定されるものではなく、パチンコ機10の左側部近傍や横幅方向中央部付近に設けることも可能である。尚、シリンダ錠605等の解除操作手段でないと前面枠セット14の解錠が不可能、又は、困難となるように構成することとしてもよい。
【0179】
(e)上記実施形態では、前枠コネクタ655及び内枠コネクタ657が、前面枠セット14及び内枠12の横幅方向略中央部に設けられているが、特にこのような構成に限定されるものではない。すなわち、前面枠セット14の閉状態において、前枠コネクタ655と内枠コネクタ657とが、前面枠セット14及び内枠12の横幅方向中央部を中心として互いに対称となる位置に設けられることで、前面枠セット14の左右どちら側から開放しても、開放角度が同程度であれば、前枠コネクタ655と内枠コネクタ657との間の距離を同程度とすることができ、前面枠セット14を閉状態としたときの前枠用ハーネス658の弛みを極力抑制することができる。
【0180】
(f)例えば、図38〜図40に示すように、前面枠セット14の右側部近傍に前枠コネクタ655を配置するとともに、内枠12の左側部近傍に内枠コネクタ657を配置することとしてもよい。当該構成を採用する場合、前面枠セット14の右側部を開放すると、前面枠セット14の後面に沿って前枠用ハーネス658が延在し、前面枠セット14の左側部を開放すると、内枠12の前面に沿って前枠用ハーネス658が延在することとなるが、どちら側から開いても、開き具合が同程度であれば、前枠コネクタ655と内枠コネクタ657との間の距離はほぼ同じとなる。
【0181】
尚、前面枠セットの左側部近傍に前枠コネクタ655を配置するとともに、内枠12の右側部近傍に内枠コネクタ657を配置することでも、同様の作用効果が奏される。すなわち、前面枠セット14の左側部を開放すると、前面枠セット14の後面に沿って前枠用ハーネス658が延在し、前面枠セット14の右側部を開放すると、内枠12の前面に沿って前枠用ハーネス658が延在することとなるが、どちら側から開いても、開き具合が同程度であれば、前枠コネクタ655と内枠コネクタ657との間の距離はほぼ同じとなる。
【0182】
さらに、これらの構成では、前面枠セット14を開放した場合と閉鎖した場合とで、前枠コネクタ655と内枠コネクタ657との間の距離の変化を極力小さく(ほとんど変化がないように)することができる。従って、前面枠セット14を閉鎖した際の前枠用ハーネス658の弛み量を飛躍的に低減させることができる。また、本例では、前面枠セット14を開放した際に、前枠用ハーネス658が内枠12の前面や前面枠セット14の後面に沿って(ほぼ張り付くようにして)延在することとなるため、前枠用ハーネス658が前面枠セット14を開放しての作業の邪魔になるといった事態を抑制することができる。尚、前枠コネクタ655及び内枠コネクタ657が、前面枠セット14の一側部側及び内枠12の他側部側に配置されたとしても、前面枠セット14を左右両側から開放可能な構成であるため、どちらか一方への作業が比較的困難になってしまうといった事態を回避することができる。
【0183】
(g)また、上記(f)の構成を採用する場合、図41、図42に示すように、内枠12の前面側において上下にスライド可能に構成されるとともに、前面枠セット14の閉状態において収容凹部651に収容される持ち上げガイド711を設けることとしてもよい。すなわち、持ち上げガイド711の前面は下方に向けて後方傾斜している。一方、収容凹部651には、持ち上げガイド711に対応する位置において一段低く構成された受け入れ凹部712が形成され、受け入れ凹部712における収容凹部651の上下幅は、持ち上げガイド711の上下幅よりも大きくなっている。前面枠セット14の開状態では、持ち上げガイド711の前面の上下方向中間位置と、受け入れ凹部712の下縁部とが同じ高さ位置となっている。そして、前面枠セット14を閉方向に回動変位させていくと、(弛み量によっては)弛んできた前枠用ハーネス658が持ち上げガイド711の上面に支持されるとともに、やがて、持ち上げガイド711の前面が受け入れ凹部712に下縁部に当接する。この状態で前面枠セット14を押し込むことで、持ち上げガイド711が上方に案内されるとともに、持ち上げガイド711によって、垂れ下がろうとする前枠用ハーネス658が持ち上げられる。これにより、前面枠セット14を閉鎖する場合の前枠用ハーネス658の垂れ下がりをより確実に防止するとともに、収容凹部651をさほど大きくしなくても、前面枠セット14の閉鎖の都度、前枠用ハーネス658を収容凹部651にきちんと収納することができる。
【0184】
(h)また、上記実施形態では、左軸ユニット401a(左軸受ユニット404a)と、右軸ユニット401b(右軸受ユニット404b)との間の丁度中間位置と、前面枠セット14(内枠12)の横幅方向中央部とが一致するような構成となっているが、ずれていてもよい。この場合、左右の軸の間の中央部を中心として、前枠コネクタ655及び内枠コネクタ657を互いに対称位置に設けることで、前面枠セット14の左右どちら側から開放しても、開放角度が同程度であれば、前枠コネクタ655と内枠コネクタ657との間の距離を同程度とすることができる。
【0185】
勿論、左軸ユニット401a(左軸受ユニット404a)と、右軸ユニット401b(右軸受ユニット404b)とが、前面枠セット14(内枠12)の横幅方向中央部を中心とした対称位置とならないように、ずれて配置されてもよい。
【0186】
尚、前面枠セット14を開放した際に前枠用ハーネス658が弛まないように、前枠用ハーネス658に常にテンションがかかるように常に前枠用ハーネス658を引っ張っておく手段を設けたり、前枠用ハーネス658を巻き取り手段を設けたりすることも考えられるが、この場合、前枠用ハーネス658の損傷が懸念される上、構成の複雑化や故障リスクの増大等を招くおそれがあるため、上記実施形態や、上記(f)、(g)に記載のように、前枠用ハーネス658を引っ張ったり巻いたりすることなく、弛みを抑制することが好ましい。
【0187】
(i)上記実施形態において、例えば、前面枠セット14の後面、及び、内枠12の前面のうち少なくとも一方に対し、前枠用ハーネス658の延在方向を規定するガイド(例えばガイドローラ等)を設けることとしてもよい。例えば、前面枠セット14に該ガイドを設けた場合、前枠用ハーネス658は、前枠コネクタ655からガイドにかけては前面枠セット14の後面に沿って延び、ガイドが屈曲点として、ガイドから先は、内枠12側に向けて前面枠セット14の後面に対して交差する方向に延びることとなる。また、ガイドを使用する場合、前枠コネクタ655及び内枠コネクタ657自体を相対位置に配置しなくても、前面枠セット14を左右のどちら側から開いても前面枠セット14と内枠12との間に架け渡される部分の前枠用ハーネス658の長さがほぼ等しくなるように構成することができる。このため、前枠コネクタ655及び内枠コネクタ657の設置位置の自由度を向上させることができる。加えて、前面枠セット14及び内枠12の両方でなく一方にのみガイドを使用することも可能である。尚、上記実施形態のように、ガイドを使用しない場合には、前枠用ハーネス658の長さを極力短くすることができる。
【0188】
(j)上記実施形態では、可動金具441の補助鉤部448が一体的に設けられているが、補助鉤部448を可動側受部443に対して回動可能に設け(ピン接合し)、補助鉤部448の補助切欠き部449が、上記実施形態のように可動側切欠き部446とともに軸ピン414の外周に沿った円弧を描くような機能位置と、補助鉤部448が可動側受部443の下側に潜り込む解除位置との間を変位可能に構成してもよい。この場合、例えば、前面枠セット14の左右一方側を開放してから、開放された側の軸受ユニット404の可動金具441の補助鉤部を解除位置に変位させ、再度、前面枠セット14を閉状態として、今度は、前面枠セット14の左右他側部側を開放させる。この状態で、前面枠セット14の左右一方側の解錠操作を行うことで、前面枠セット14を内枠12から取外すことができる。当該構成を採用することで、前面枠セット14の左右一方側を僅かに開放した状態において左右他方側の解錠操作を行うことによって前面枠セット14を取外せるように構成しなくてもよく、防犯性能の向上や、不用意な前面枠セット14の脱落をより確実に防止することができる。
【0189】
また、当該構成を採用する場合、解除位置にある補助鉤部448の進退開口部451が広がる側の変位を防止するストッパが設けられていることとしてもよい。さらに、前面枠セット14の取付けに際して、補助鉤部448を機能位置へと戻すことを忘れてしまうといった事態を防止するための構成、例えば、センサやスイッチによって検出が行われて所定の報知がなされるように構成してもよいし、補助鉤部448を機能位置へ戻さないと鍵が上手くかからない、或いは、前面枠セット14をきちんと閉め切れないように構成してもよい。
【0190】
(k)上記実施形態では、前面枠セット14の施錠を解除するキー操作を行うと、対応する軸受ユニット404の可動金具441が許容位置へと変位する際に軸ピン414を変位させるように構成されているが、可動金具441の補助鉤部448を省略する等して、軸ピン414を変位させないように構成してもよい。
【0191】
(l)上記実施形態において、前面枠セット14を解錠するためのシリンダ錠605のキー操作を行うだけで、当該キー操作に対応する前面枠セット14の側部が若干開方向に変位する(突出する)ように構成してもよい。この場合、キー操作によって前面枠セット14のどちら側を開放することができたのかを瞬時に把握することができる。従って、パチンコ機10の作業に慣れていない作業者等が、左右両側を開放可能な前面枠セット14の開放作業を行うにあたって、解錠作業を行った上で、とりあえず前面枠セット14の左右側部のどちらか一方側に開方向へ向かう力を掛けてみて初めてどちら側が解錠されたのかを認識することができるような構成に比べ、作業性の飛躍的な向上を図ることができる。さらに、前面枠セット14のうち開放された側の後面に指を掛けて前面枠セット14を開くこともできる。このため、前面枠セット14の側面において、前面枠セット14を開け易くするために指を引っ掛けることのできる凹部や凸部等を形成する必要がない。従って、前面枠セット14の側面に凹部を形成することで、前面枠セット14の内側の空間が狭められてしまったり、前面枠セット14の側面に凸部を形成することで、パチンコ機10の設置スペースが余分に必要になってしまったりする等の不具合を回避しつつ、製造作業性の向上等を図ることができる。
【0192】
また、シリンダ錠605のキー操作を行った後、前面枠セット14を開放させることなくキー操作を解除した(シリンダ錠605の内筒614及びカム628が基準の姿勢に戻った)場合には、当該キー操作に対応する前面枠セット14の側部が開方向に若干変位した(突出した)状態から、前面枠セット14が完全に閉鎖した状態に戻るように構成してもよい。この場合、キー操作を行ったところ、前面枠セット14の所望とする側辺部側でなく反対の側辺部側が開いてしまうと気付いた場合に、前面枠セット14の突出した側辺部側を後方に押し込む作業を行わなくても、キーを反対側に回すことだけで、前面枠セット14の所望とする側辺部側を開放することができる。従って、前面枠セット14の開閉作業性の向上等を図ることができる。
【0193】
尚、態様例としては、固定側受部436、及び、可動金具441が規制位置にある状態の可動側受部443が内枠12の左右側辺部側に傾斜して延出するように構成し、可動金具441が許容位置へと回動変位すると、軸ピン414が補助鉤部448によって、内枠12の幅方向中央部側かつ前方に押圧され、前面枠セット14の対応する側辺部側が若干前方に突出する。さらに、軸ピン414が可動側切欠き部439及び補助切欠き部449から抜け出していない状態において可動金具441が規制位置へと回動変位すると、軸ピン414が可動側受部443(可動側切欠き部439前縁部)によって、内枠12の幅方向側辺部側かつ後方に押圧され、前面枠セット14が完全に閉鎖された状態に戻る(前面枠セット14の左右両側部が施錠される)ように構成してもよい。この場合、補助鉤部448(特に補助切欠き部449の内周面)が押圧手段を構成し、可動側受部443(特に可動側切欠き部446の内周面)が引き戻し手段を構成する。また、例えば、軸ピン414を前面枠セット14の開方向側へと変位させる押出手段を設け、キー操作を契機として、別途のリンク機構を介して、又は、押出手段を駆動させる駆動手段が駆動して、押出手段が軸ピン414を前方に押し出すように構成されていることとしてもよい。
【0194】
(m)上記(l)の構成では、シリンダ錠605のキー操作を行い、その他の前面枠セット14の開放操作を行うことなく、キー操作を解除した場合(キーから手を放した場合)、前面枠セット14が完全に閉鎖された状態に自動的に戻るように構成されているが、前面枠セット14の解錠操作を行って、解錠された側の側部が突出した状態では、キー操作を解除しても、対応する可動金具441が規制位置に戻ることなく、許容位置で維持されるように(一旦解錠されて前方に突出した側部は内枠12側に押し込まないと施錠されない)構成してもよい。この場合、前面枠セット14の左側部側を開放するべく、キー操作を行ったまま、前面枠セット14の左側部側を前方に引っ張らなければならないといった事態を回避することができ、作業性の向上を図ることができる。さらに、キーをシリンダ錠605に差したまま、軸ピン414が軸孔447から抜け出す程度まで前面枠セット14を若干量開放可能に構成しておかなくても済み、外観上及び防犯上好ましくない開口部(シリンダ開口部619;図3参照)が前面枠セット14に比較的大きく形成されてしまう等の事態を抑制しつつ、構成の簡素化等を図ることができる。
【0195】
また、前面枠セット14の解錠操作が行われると、対応する軸ユニット401a、401bの軸ピン414が軸孔447(ひいては、補助切欠き部449及び可動側切欠き部446の内周)から外に押し出される(キー操作を解除しても前面枠セット14は自動では閉まらない)ように構成してもよい。この場合にも、上記構成と同様に、前面枠セット14の開放作業をスムースに行うことができる。
【0196】
(n)上記実施形態では、軸ピン414の縮径部421に表裏一対の平坦部423が形成されて断面略小判型をなしているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば、断面略D字状にする等して、向きによって幅が変化するように構成されていればよい。
【0197】
さらに、上記実施形態では、左右のどちら側からでも前面枠セット14を最大で90度弱開放可能に構成されているが、それ以上に大きく開放可能に構成してもよいし、もっと小さな角度までしか開放することができないように構成してもよい。加えて、前面枠セット14の右側と左側とで開放させることのできる角度を異ならせてもよく、さらに、例えば、大きく開放させることのできる側を最も大きく開放させた状態でしか前面枠セット14を内枠12から取外せないように構成する等、前面枠セット14の左右のどちらを開放するかによって、実行可能なことが異なるように構成してもよい。
【0198】
また、アーム652で前面枠セット14の最大開放量(最大開放角度)を制限するように構成してもよい。但し、アーム652が伸びきると、曲げにくくなるため、アーム652が伸びきる前に、前面枠セット14のそれ以上の開放が規制されることが好ましく、さらに、アーム652の損傷を抑制するべく、アーム652以外の構成で、それが達成されることがより好ましい。さらに、上記実施形態では、アーム652の両端部がそれぞれ前面枠セット14及び内枠12に対してスライド変位しないようにピン接合されているが、前面枠セット14及び内枠12の一方に対して左右方向にスライド変位可能に連結してもよい。尚、上記実施形態では、アーム652が左側にしか折り畳まれないように構成されているが、右側にしか折り畳めないように構成してもよいし、左右のどちら側にも折り畳まれるように構成してもよい。
【0199】
(o)上記実施形態では、前面枠セット14の右側部及び左側部にそれぞれ対応して、軸ユニット401及び軸受ユニット404のセットが2つずつ設けられているが、3つ以上あってもよいし、1つでもよい。但し、安定した回動を行うために2つ以上が望ましく、前面枠セット14の開放や閉鎖の際に、軸孔447に対する軸ピン414の進入や退出をスムースに行うべく2つ以下が望ましい。
【0200】
加えて、前面枠セット14の開放を検知する前面枠開放検知スイッチ91の設置位置や数については特に限定されるものではなく、前面枠セット14の左右の側部近傍に1つずつ設けてもよいし、前面枠セット14の中央部に1つ設けてもよい。但し、防犯上の観点からすると、前面枠セット14を大きく開けなくても開放検知が行われるように、左右の側部近傍部位にそれぞれ設けることが望ましい。
【0201】
(p)上記実施形態では、前枠用ハーネス658及びアーム652が前面枠セット14及び内枠12の上部間にかけて設けられているが、下部間にかけて設けられることとしてもよい。また、上記実施形態では特に言及していないが、前枠用ハーネス658でハンドル18と発射制御装置312との電気的接続の中継を行うよう構成してもよいし、別に構成してもよい。
【0202】
(q)上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機として実施してもよい。また、パチンコ機以外にも、アレンジボール機、それに類する雀球等の各種遊技機、回胴式遊技機としてのスロットマシンや、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機などとして実施してもよい。
【0203】
[付記]
上記実施形態から把握できる技術的思想について、以下に記載する。
【0204】
手段A−1.扉取付枠と、前記扉取付枠に対して開閉可能に支持される扉体と、前記扉体を前記扉取付枠に施錠する施錠手段とを備え、前記扉取付枠に対して前記扉体が、その左右一側部側及び左右他側部側のどちら側からでも開放可能に構成された遊技機において、
前記扉取付枠に設けられた所定の電気的構成と、前記扉体に設けられた所定の電気的構成とを電気的に接続するハーネス(ケーブルコネクタ)と、
前記扉取付枠に設けられ、前記ハーネスの一端側を前記扉取付枠に係止する枠側配線係止手段と、
前記扉体に設けられ、前記ハーネスの他端側を前記扉体に係止する扉側配線係止手段とを備え、
前記扉体を開放した場合に、前記ハーネスは、前記扉側配線係止手段と前記枠側配線係止手段との間に架け渡されるようにして延在し、
前記扉側配線係止手段及び前記枠側配線係止手段は、前記扉体を左右一側部側から所定角度開いた場合と、前記扉体を左右他側部側から前記所定角度と同程度に開いた場合とで、前記扉側配線係止手段と前記枠側配線係止手段との間の距離がほぼ等しくなるように相対配置されていることを特徴とする遊技機。
【0205】
手段A−1によれば、扉体が左右のどちら側からでも開放可能に構成されているため、利便性の向上等を図ることができる。すなわち、遊技機の左方又は右方に隣接して所定の障害物(例えば、壁、別の遊技機、人等)が存在する場合でも、扉体の反対側を開放することができることによって、障害物に阻害されることなく扉体を開放しての作業を行うことができる。また、扉体を開放し、扉体又は扉取付枠のうち扉体の一方の回転軸側に配置されている部材への作業を行う場合に、扉体の他方の回転軸を中心として開放すれば、扉体を開放しての作業性の向上を図ることができる。さらに、扉体を施錠可能に構成されているため、扉体を開放しての不正行為を抑止することができる。
【0206】
また、例えば、枠側配線係止手段が扉取付枠の右側部近傍に設けられ、扉側配線係止手段が扉体の右側部近傍に設けられる場合には、扉体を右側部側から開放しても電気的接続が切れないように延在させたハーネスが、扉体を閉鎖した場合において比較的大きく弛んでしまうおそれがある。ハーネスが弛むとハーネスが垂れ下がり、ハーネスが垂れ下がると、例えば、扉体が閉まらなくなったり、ハーネスが視認可能な遊技領域等に露出したりする等の各種不具合を招くおそれがある。このため、扉体を閉状態とする際にハーネスを適宜収容する必要があるが、ハーネスの弛みが比較的大きい場合には、ハーネスの収納が比較的困難なものとなってしまうことが懸念される。これに起因して、作業性の著しい低下を招いたり、或いは、弛んだハーネスを自動的に収納させるための装置(ゼンマイばね等を用いてハーネスを巻き取る機構など)を設ける等の構成の複雑化等を招いたりするおそれがある。
【0207】
この点、本手段A−1によれば、扉体を左右のどちら側から開放する場合でも、開放角度が同程度であれば、扉体と扉取付枠との間に架け渡される部分のハーネスの長さがほぼ同じになるように構成されている。これにより、扉体を左右両側ともに所定角度開くために必要な扉体と扉取付枠との間に架け渡されるハーネスの長さを極力短くすることができる。従って、扉体が閉鎖された場合におけるハーネスの弛みを極力抑制する(ハーネスの弛み量の低減を図る)ことができる。結果として、扉体を閉状態とする場合等において、ハーネスを収納するための作業の簡略化や、当該作業を自動的に行わせるための構成の簡素化等を図ることができる。
【0208】
尚、扉側配線係止手段及び枠側配線係止手段としては、ハーネス(の差込側コネクタ)と接続されるコネクタ(受側コネクタ)や、ハーネスの延在方向を規定するガイドが挙げられる。つまり、手段1では、扉取付枠に設けられた基板に設けられている取付枠側コネクタと、扉体側に設けられた基板に設けられている扉側コネクタとにかけて、真っ直ぐに架け渡されるようにしてハーネスが延設される場合だけではなく、途中にハーネスの延在方向を規定するガイドを介在させる構成(例えば、ハーネスを、扉側コネクタからガイドにかけては扉体の後面に沿わせるとともに、ガイドから先は、扉取付枠側に向けて扉体の後面に対して交差する方向に延びるように、ガイドが屈曲点となるように延在させる)も含む趣旨である。また、ガイドを使用する場合、扉側コネクタ及び取付枠側コネクタ自体を相対位置に配置しなくても、扉体を左右のどちら側から開いても扉体と扉取付枠との間に架け渡される部分のハーネスの長さがほぼ等しくなるように構成することができる。このため、扉側コネクタ及び取付枠側コネクタの設置位置の自由度を向上させることができる。加えて、扉体及び扉取付枠の両方でなく一方にのみガイドを使用することも可能である。尚、遊技機が設置される遊技ホール等では、不正な電波等を検知するための各種センサ等が設けられている上、複数の遊技機がさほどの間隔をあけることなく並べられることが多いため、電気的構成は無線ではなく、本手段のようにハーネスで電気的に接続することが望ましい。
【0209】
手段A−2.遊技機の幅方向における前記扉側配線係止手段の配置は、前記扉体の閉状態において、前記扉体を右側部側から開放する際の左回転軸と、前記扉体を左側部側から開放する際の右回転軸との間の丁度中間位置を中心として、前記枠側配線係止手段の対称位置又はその近傍であることを特徴とする手段A−1に記載の遊技機。
【0210】
手段A−2によれば、扉体を左右のどちら側から開放する場合でも、所定角度が同じであれば、扉側配線係止手段と枠側配線係止手段との間の距離がほぼ同じとなるように構成することができる。従って、ハーネスの弛み量を極力低減させるといった上記手段A−1の作用効果が確実に奏される。
【0211】
尚、左右の回転軸の間において、枠側配線係止手段が左寄りであれば扉側配線係止手段は右寄りに設けられ、枠側配線係止手段が右寄りであれば扉側配線係止手段は左寄りに設けられるが、枠側配線係止手段が丁度真ん中であれば扉側配線係止手段も丁度真ん中に設けられる。また、左回転軸と、右回転軸とが、扉体及び扉取付枠の左右方向中央部を中心とする対称位置に設けられている場合には、扉体及び扉取付枠の左右方向中央部を中心として、扉側配線係止手段は、枠側配線係止手段の対称位置又はその近傍に設けられていることとなる。
【0212】
手段A−3.前記枠側配線係止手段及び前記扉側配線係止手段は、前記左回転軸と前記右回転軸との間の丁度中間位置又はその近傍に配置されていることを特徴とする手段A−2に記載の遊技機。
【0213】
手段A−3によれば、上記手段A−2の作用効果が確実に奏される。また、扉体の開閉方向において、枠側配線係止手段と扉側配線係止手段との位置が揃うことから、扉体の右側部を開放した状態から閉鎖する場合と、扉体の左側部を開放した状態から閉鎖する場合とで、弛んだハーネスの垂れ下がりを防止するための構成の共通化等を図ることができる。
【0214】
手段A−4.前記左回転軸と前記右回転軸との間の丁度中間位置又はその近傍において、前記扉体と前記扉取付枠との間を連結するとともに、ヒンジ機構を備えることで屈伸可能に構成されたアームが設けられ、
前記ハーネスは、前記アームに沿って延設されていることを特徴とする手段A−3に記載の遊技機。
【0215】
手段A−4によれば、ハーネスをアームに沿って延設することで、扉体を閉状態とした際のハーネスの垂れ下がりを防止するとともに、ハーネスをアームとともに折り畳むようにして好適に収納することができる。また、アームと軸受部とが協働して扉体を支持することができ、軸受部の負担軽減を図ることができる。さらに、アームは、扉取付枠及び扉体の左右の回転軸間の丁度中間位置又はその近傍に連結されていることから、扉体を左右の側部のどちら側から開放しても、好適に機能することができる。尚、アームは、ハーネスを係止する係止爪がアームの長手方向において複数箇所に設けられていることとしてもよい。この場合、ハーネスのアームからの脱落をより確実に防止することができる。
【0216】
手段A−5.前記扉体を右側部側から開放する際の左回転軸の近傍に前記枠側配線係止手段が設けられるとともに、前記扉体を左側部側から開放する際の右回転軸の近傍に前記扉側配線係止手段が設けられている、
又は、
前記扉体を左側部側から開放する際の右回転軸の近傍に前記枠側配線係止手段が設けられるとともに、前記扉体を右側部側から開放する際の左回転軸の近傍に前記扉側配線係止手段が設けられていることを特徴とする手段A−1に記載の遊技機。
【0217】
手段A−5によれば、枠側配線係止手段が扉取付枠の左回転軸近傍に設けられ、扉側配線係止手段が扉体の右回転軸近傍に設けられている場合には、扉体を右側部側から開放することで、ハーネスが扉体の後面に沿って延在し、扉体を左側部側から開放することで、ハーネスが扉取付枠の前面に沿って延在することとなるが、扉体を左右のどちら側から開いても、同程度の開き具合であれば、枠側配線係止手段と扉側配線係止手段との間の距離はほぼ同じとなる。
【0218】
一方、枠側配線係止手段が扉取付枠の右回転軸近傍に設けられ、扉側配線係止手段が扉体の左回転軸近傍に設けられている場合には、扉体を左側部側から開放することで、ハーネスが扉体の後面に沿って延在し、扉体を右側部側から開放することで、ハーネスが扉取付枠の前面に沿って延在することとなるが、扉体を左右のどちら側から開いても、同程度の開き具合であれば、枠側配線係止手段と扉側配線係止手段との間の距離はほぼ同じとなる。
【0219】
さらに、本手段A−5では、扉体を開放した場合と閉鎖した場合とで、取付枠側コネクタと扉側コネクタとの間の距離の変化を極力小さく(ほとんど変化がないように)することができる。従って、ハーネスの弛み量を飛躍的に低減させることができる。また、本手段A−5では、扉体を開放した際に、ハーネスが扉取付枠の前面や扉体の後面に沿って(ほぼ張り付くようにして)延在することとなるため、ハーネスが扉体を開放しての作業の邪魔になるといった事態を抑制することができる。
【0220】
尚、枠側配線係止手段及び扉側配線係止手段が、ハーネスに接続される取付枠側コネクタ及び扉側コネクタである場合には、取付枠側コネクタ及び扉側コネクタが、扉体の回転軸の近接配置されることで、ハーネスの着脱作業性の低下が懸念されるが、上記手段A−1のように扉体が左右両側から開くことで、かかる懸念を払拭することができる。また、左回転軸と、右回転軸とが、扉体及び扉取付枠の左右方向中央部を中心とする対称位置となるように、扉体及び扉取付枠の左側部及び右側部の近傍に設けられている場合には、前記扉取付枠の右側部近傍に前記取付枠側コネクタが設けられるとともに、前記扉体の左側部近傍に前記扉側コネクタが設けられている、又は、前記扉取付枠の左側部近傍に前記取付枠側コネクタが設けられるとともに、前記扉体の右側部近傍に前記扉側コネクタが設けられていることとしてもよい。
【0221】
手段A−6.前記扉取付枠の前面側、又は、前記扉体の後面側には、前記扉体を閉状態とした場合において、前記ハーネスが収容される収容凹部が形成されていることを特徴とする手段A−1乃至A−5のいずれかに記載の遊技機。
【0222】
手段A−6によれば、扉体を閉鎖する際に、ハーネスが邪魔になることをより確実に回避することができる。尚、収容凹部には、扉側配線係止手段及び枠側配線係止手段も収容されることとしてもよい。さらに、上記手段A−4に対応しては、「前記扉取付枠の前面側、又は、前記扉体の後面側には、前記扉体を閉状態とした場合において、前記アーム及び前記ハーネスを収容する収容凹部が形成されていること」としてもよい。この場合、扉体を閉鎖する際に、アームやハーネスが邪魔になることをより確実に回避することができる。
【0223】
手段A−7.前記扉取付枠及び前記扉体のうち前記収容凹部が形成されていない側には、上下にスライド可能に構成されるとともに、前記扉体の閉状態において前記収容凹部に収容される持ち上げガイドが設けられ、
前記持ち上げガイドは、前記収容凹部に収容される際に、上方に相対変位して、前記ハーネスを前記収容凹部の(内側空間の)下縁部よりも上方にまで持ち上げることを特徴とする手段A−6に記載の遊技機。
【0224】
手段A−7によれば、扉体を閉状態とする際に垂れ下がろうとするハーネスを持ち上げることができる。これにより、ハーネスの垂れ下がりをより確実に防止するとともに、収容凹部の大型化を抑制しつつ、ハーネスを確実に収容凹部に収容させることができる。
【0225】
手段A−8.前記扉体を左右一側部側から開放した場合の前記扉体の最大開放量を制限する第1開放量制限手段と、前記扉体を左右他側部側から開放した場合の前記扉体の最大開放量を制限する第2開放量制限手段とが設けられていることを特徴とする手段A−1乃至A−7のいずれかに記載の遊技機。
【0226】
手段A−8によれば、開放量制限手段によって扉体の最大開放量(最大開放角度)を制限することができる。従って、扉体が大きく開きすぎることに起因する不具合、例えば、当該遊技機に隣接する遊技機や、その遊技機を遊技している遊技者に扉体が接触してしまう等の事態を防止することができる。また、ハーネスが延びる限度を超えて扉体が開放されてしまうといった事態を回避することができ、ハーネスが抜けたり損傷したりすることを防止することができる。さらに、上記手段4に対応しては、アームが伸びきる前に、扉体の開放が開放量制限手段によって制限されるように構成されることで、アームの損傷等を抑制しつつ、アームが伸びきることでアームを収縮させ難く(折り畳み難く)なってしまうといった事態を回避することができる。
【0227】
手段B−1.扉取付枠と、前記扉取付枠に対して開閉可能に支持される扉体と、前記扉体を前記扉取付枠に施錠する施錠手段とを備え、前記扉取付枠に対して前記扉体が、その左右一側部側及び左右他側部側のどちら側からでも開放可能に構成された遊技機において、
前記扉体の左右一側部に対応して設けられた第1軸部と、
前記扉体の左右他側部に対応して設けられた第2軸部と、
前記扉取付枠の左右一側部に対応して設けられ、前記第1軸部を軸支可能とする第1軸受部と、
前記扉取付枠の左右他側部に対応して設けられ、前記第2軸部を軸支可能とする第2軸受部とを備え、
前記施錠手段は、
前記第1軸受部に軸支された状態にある前記第1軸部の前記第1軸受部から外れる方向への変位を規制する規制位置と、前記第1軸受部に軸支された状態にある前記第1軸部の前記第1軸受部から外れる方向への変位を許容する許容位置との間を変位可能に構成された第1係止手段と、
前記第2軸受部に軸支された状態にある前記第2軸部の前記第2軸受部から外れる方向への変位を規制する規制位置と、前記第2軸受部に軸支された状態にある前記第2軸部の前記第2軸受部から外れる方向への変位を許容する許容位置との間を変位可能に構成された第2係止手段と、
所定の解錠操作が行われることで、前記規制位置にある前記第1係止手段を前記許容位置へと変位可能な第1解錠操作手段と、
所定の解錠操作が行われることで、前記規制位置にある前記第2係止手段を前記許容位置へと変位可能な第2解錠操作手段とを備え、
前記扉体の施錠状態では、前記第1係止手段及び前記第2係止手段が前記規制位置にて保持され、
前記第1解錠操作手段の解錠操作が行われた場合には、前記第1係止手段が前記許容位置とされ、前記第2軸部及び前記第2軸受部を中心として、前記扉体をその左右一側部側から開放可能に構成され、
前記第2解錠操作手段の解錠操作が行われた場合には、前記第2係止手段が前記許容位置とされ、前記第1軸部及び前記第1軸受部を中心として、前記扉体をその左右他側部側から開放可能に構成されていることを特徴とする遊技機。
【0228】
手段B−1によれば、扉体が左右のどちら側からでも開放可能に構成されているため、利便性の向上等を図ることができる。すなわち、遊技機の左方又は右方に隣接して所定の障害物(例えば、壁、別の遊技機、人等)が存在する場合でも、扉体の反対側を開放することができることによって、障害物に阻害されることなく扉体を開放しての作業を行うことができる。また、扉体を開放し、扉体又は扉取付枠のうち扉体の一方の回転軸側に配置されている部材への作業を行う場合に、扉体の他方の回転軸を中心として開放すれば、扉体を開放しての作業性の向上を図ることができる。さらに、扉体を施錠可能に構成されているため、扉体を開放しての不正行為を抑止することができる。特に、扉体の左右一側部側、及び、左右他側部側にそれぞれ対応して施錠の機構が設けられていることから、かかる作用効果がより確実に奏される。
【0229】
手段B−2.前記扉体が前記第1軸部及び前記第1軸受部を中心として所定角度の範囲で(所定角度以上)開放されている状態では、前記第1解錠操作手段の解錠操作が行われた場合でも、前記第1軸部が前記第1軸受部に軸支された状態が維持され、
前記扉体が前記第2軸部及び前記第2軸受部を中心として所定角度の範囲で(所定角度以上)開放されている状態では、前記第2解錠操作手段の解錠操作が行われた場合でも、前記第2軸部が前記第2軸受部に軸支された状態が維持されることを特徴とする手段B−1に記載の遊技機。
【0230】
手段B−2によれば、扉体の左右一側部側又は左右他側部側のうち、一方が開放された状態では、他方の開放が規制されることとなる。従って、扉体の脱落をより確実に防止することができる。
【0231】
尚、「前記扉体が、前記第1軸部及び前記第1軸受部を中心として所定角度の範囲で(所定角度以上)開放されている状態では、前記規制位置にある前記第1係止手段を前記許容位置へと変位不可能に構成され、前記扉体が、前記第2軸部及び前記第2軸受部を中心として所定角度の範囲で(所定角度以上)開放されている状態では、前記規制位置にある前記第2係止手段を前記許容位置へと変位不可能に構成されていること」としてもよい。態様例としては、前記扉体が前記第1軸部及び前記第1軸受部を中心として所定角度の範囲で(所定角度以上)開放されている状態において、1)第1解錠操作手段を解錠操作しようとしても操作不可能となる構成、2)第1解錠操作手段を解錠操作しても(介在するリンク機構が機能せず)第1係止手段が連動しない構成、3)第1係止手段の許容位置側への変位を規制する変位制限位置と、第1係止手段の許容位置側への変位を許容する変位許可位置との間を変位可能なストッパを設ける等して、第1係止手段の許容位置側への変位を直接規制する構成等が挙げられる。尚、電子制御で、一方を開いたときの他方が開かないように構成することも可能であるが、電源が供給されていない状態でも確実に動作するように、機械的構成で実現することが好ましい。
【0232】
また、「前記扉体が、前記第1軸部及び前記第1軸受部を中心として所定角度の範囲で(所定角度以上)開放されている状態では、前記第1係止手段が前記許容位置へと変位した場合であっても、前記第1軸部の前記第1軸受部への軸支状態を解除不可能に構成され、前記扉体が、前記第2軸部及び前記第2軸受部を中心として所定角度の範囲で(所定角度以上)開放されている状態では、前記第2係止手段が前記許容位置へと変位した場合であっても、前記第2軸部の前記第2軸受部への軸支状態を解除不可能に構成されていること」としてもよい。
【0233】
さらに、「前記第1解除操作手段及び前記第2解除操作手段(の本体)は前記扉体に設けられ、前記扉取付枠には、前記第1解除操作手段及び前記第2解除操作手段の解除操作に連動し、前記第1係止手段及び前記第2係止手段を前記解除位置へと変位させる操作片が設けられていること」としてもよい。この場合、扉体が開いた状態では、解除操作手段の解錠操作を行っても操作片を動かすことができないことから、扉体の両側がともに開いてしまうといった事態をより確実に回避することができる。尚、操作片は、解除操作手段でないと操作不可能、又は、操作困難であることとしてもよい。
【0234】
手段B−3.前記第1軸受部、及び、前記第2軸受部は、
前記扉取付枠に対して固定された固定部と、
前記扉取付枠に対して相対変位可能に設けられた前記第1係止手段、及び、前記第2係止手段を構成する可動部とを備え、
前記固定部と前記可動部との間に挟まれる部位において、前記第1軸部、及び、前記第2軸部を軸支可能とする軸孔が形成され、
前記第1解錠操作手段の解錠操作が行われることで、前記第1軸受部の前記可動部が前記許容位置へと変位し、当該可動部と前記固定部との間に、前記軸孔と連通し、前記軸孔に挿通されている前記第1軸部の通過を許容する隙間が形成され、
前記第2解錠操作手段の解錠操作が行われることで、前記第2軸受部の前記可動部が前記許容位置へと変位し、当該可動部と前記固定部との間に、前記軸孔と連通し、前記軸孔に挿通されている前記第2軸部の通過を許容する隙間が形成されることを特徴とする手段B−1又はB−2に記載の遊技機。
【0235】
手段B−3によれば、第1係止手段及び第2係止手段は、第1軸受部及び第2軸受部(可動部)によって構成されている。従って、第1軸受部及び第2軸受部が施錠の機能も有するように構成することで、構成の簡素化等を図りつつ、第1軸部及び第2軸部をより好適に軸支することができる。尚、前記第1軸受部及び前記第2軸受部は、前記可動部を前記規制位置側へと付勢する付勢手段を備えていることとしてもよい。この場合、扉体の施錠を確実に行うことができる。
【0236】
手段B−4.前記可動部のうち前記固定部側の辺部に形成された可動側切欠き部と、前記固定部のうち前記可動部側の辺部に形成された固定側切欠き部とが合致することで、(平面視で閉じた、或いは、側方への開口幅が軸部の断面のどの部分の直径よりも小さい)前記軸孔が形成され、
前記第1軸部、及び、前記第2軸部は、その断面形状において、直径が一定ではなく、直径の異なる部位が存在し、
前記扉体の左右一側部側及び左右他側部側のうち一方側において、
他方側が閉じた状態では、前記軸部が前記軸受部から抜け出す方向に対して直交する方向における前記軸部の直径(幅)が、前記可動側切欠き部及び前記固定側切欠き部の開口幅よりも小さくなって、前記軸部が前記軸孔から抜け出し可能となり、
他方側が所定角度の範囲で(所定角度以上)開いた状態では、前記軸部が前記軸受部から抜け出す方向に対して直交する方向における前記軸部の直径が、前記可動側切欠き部及び前記固定側切欠き部のうち一方の開口幅よりも大きくなって、前記軸部が前記軸孔から抜け出し不可能となることを特徴とする手段B−3に記載の遊技機。
【0237】
手段B−4によれば、扉体の左右一側部側が開放されている状態では、左右他側部側の施錠状態を解錠する操作が行われて、対応する軸受部の可動部が許容位置へと変位したとしても、当該軸受部の軸孔から対応する軸部が外れないように構成されている。従って、上記手段B−3の構成を採用する上で、扉体の脱落を防止するといった上記手段B−2の作用効果が確実に奏される。
【0238】
手段B−5.施錠状態にある前記扉体を開放可能な解錠状態とする際に所定の解錠操作が行われ、前記第1解錠操作手段と、前記第2解錠操作手段とを構成する錠前手段を備え、
前記錠前手段は、第1操作と、前記第1操作とは異なる第2操作とを行える構成であって、
前記錠前手段の前記第1操作が行われた場合には、前記第1係止手段が前記許容位置とされ、前記第2軸部及び前記第2軸受部を中心として、前記扉体をその左右一側部側から開放可能に構成され、
前記錠前手段の前記第2操作が行われた場合には、前記第2係止手段が前記許容位置とされ、前記第1軸部及び前記第1軸受部を中心として、前記扉体をその左右他側部側から開放可能に構成されていることを特徴とする手段B−1乃至B−4のいずれかに記載の遊技機。
【0239】
手段B−5によれば、1つの錠前手段において、扉体の左右一側部側を解錠する操作と、扉体の左右他側部側を解錠する操作とを行うことができるため、解錠作業性の向上や施錠手段の構成の簡素化等を図ることができる。
【0240】
手段B−6.前記第1解錠操作手段及び前記第2解錠操作手段の解錠操作に基づいて、前記第1軸受部及び前記第2軸受部のうち対応する軸受部の前記軸孔に挿通されている前記軸部を前記扉体の開方向側(前方)に押圧可能な押圧手段を備え、
前記押圧手段によって前記軸部が押圧されることで、前記扉体が開方向に変位することを特徴とする手段B−5に記載の遊技機。
【0241】
手段B−6によれば、解錠操作を行うだけで、当該解錠操作に対応する扉体の側部が若干開方向に変位する(突出する)ことから、扉体のどちら側を開放することができたのかを瞬時に把握することができる。従って、遊技機の作業に慣れていない作業者等が扉体の開放作業を行うにあたって、解錠作業を行った上で、とりあえず扉体の左右側部のどちらか一方側に開方向へ向かう力を掛けてみて初めてどちら側が解錠されたのかを認識することができるような構成に比べ、作業性の飛躍的な向上を図ることができる。さらに、扉体のうち開放された側の後面に指を掛けて扉体を開くこともできる。このため、扉体の側面において、扉体を開け易くするために指を引っ掛けることのできる凹部や凸部等を形成する必要がない。従って、扉体の側面に凹部を形成することで、扉体の内側の空間が狭められてしまったり、扉体の側面に凸部を形成することで、遊技機の設置スペースが余分に必要になってしまったりする等の不具合を回避しつつ、製造作業性の向上等を図ることができる。
【0242】
尚、手段B−3、B−4に対応して、「前記可動部は、前記規制位置から前記許容位置へと変位する際に、前記軸孔に挿通されている前記軸部を前記軸孔から抜け出す方向(前記扉体の開方向側;前方)に押圧する前記押圧手段としての押圧部を備えている」としてもよい。
【0243】
手段B−7.前記押圧手段によって前記軸部が押圧されている状態において、前記第1解錠操作手段及び前記第2解錠操作手段の解錠操作を止めた場合に、前記軸部を前記扉体の閉方向側(後方)に押圧可能な引き戻し手段を備え、
前記引き戻し手段によって前記軸部が押圧されることで、前記扉体が閉方向に変位して完全に閉鎖した状態に戻ることを特徴とする手段B−6に記載の遊技機。
【0244】
手段B−7によれば、例えば、解錠操作手段の解錠操作を行ったところ、扉体の所望とする側辺部側でなく反対の側辺部側が開いてしまうと気付いた場合に、扉体の突出した側辺部側を後方に押し込む作業を行わなくても、扉体の反対側の側辺部側を開放させる解錠操作を行うことだけで、扉体の所望とする側辺部側を開放することができる。従って、扉体の開閉作業性の向上等を図ることができる。
【0245】
手段B−8.前記扉取付枠は、固定枠に対して開閉可能に支持され、
前記扉取付枠を前記固定枠に施錠する取付枠施錠手段を備え、
前記錠前手段は、前記第1操作及び前記第2操作とは異なる第3操作を行える構成であって、
前記錠前手段の前記第3操作が行われた場合には、前記取付枠施錠手段が解錠状態とされ、前記固定枠に対して前記扉取付枠を開放可能に構成されていることを特徴とする手段B−5乃至B−7のいずれかに記載の遊技機。
【0246】
手段B−8によれば、1つの錠前手段において、扉体の左右一側部側を解錠する操作と、扉体の左右他側部側を解錠する操作と、扉取付枠を解錠する操作とを行うことができるため、解錠作業性の向上や施錠手段の構成の簡素化等を図ることができる。
【0247】
手段B−9.前記錠前手段は、キーを挿入可能な鍵穴を有し、
鍵穴にキーを挿入して右側に回転させる操作を行うことで、前記扉体を右側部側から開放可能に構成され、
鍵穴にキーを挿入して左側に回転させる操作を行うことで、前記扉体を左側部側から開放可能に構成され、
鍵穴にキーを挿入して押し込むことで、前記錠前手段全体、又は、キーの回転操作に伴って回転動作する内筒を奥側へ変位させてから回転させる操作を行うことで、前記扉取付枠を開放可能に構成されていることを特徴とする手段B−8に記載の遊技機。
【0248】
手段B−9によれば、キーを鍵穴に挿入して右側に回すと扉体の右側が解錠され、キーを鍵穴に挿入して左側に回すと扉体の左側が解錠され、キーを鍵穴に差し込んでからさらにキーを押し込んで回すことで扉取付枠が解錠されるといった具合に、錠前手段の解除操作の割り当てを行うことで、対応関係を把握し易くすることができる。
【0249】
手段B−10.前記第1軸部及び前記第2軸部は、前記扉体の後面に沿ってスライド変位可能に構成されていることを特徴とする手段B−1乃至B−9のいずれかに記載の遊技機。
【0250】
手段B−10によれば、軸部を軸孔に挿通させたり、軸孔から抜け出させたりする作業を比較的スムースに行うことができる。尚、上記手段B−4に対応しては、第1軸部及び第2軸部は、扉体に対して回転変位不可能に構成されているものとする。この場合、扉取付枠に対する扉体の開放角度によって、軸部が軸受部(軸孔)から抜け出せたり、抜け出せなかったりするといった作用効果が確実に奏される。
【0251】
手段C−1.上記手段A−1乃至A−8のいずれかにおいて、上記手段B−1乃至B−10のいずれかを備えていることを特徴とする遊技機。
【0252】
以下に、上記各手段が適用される各種遊技機の基本構成を示す。
【0253】
A.上記各手段における前記遊技機は弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内される遊技領域と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備えた弾球遊技機」が挙げられる。
【0254】
B.上記各手段における前記遊技機は略鉛直方向に延びる遊技領域を備えた弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内され、略鉛直方向に沿って延びる所定の遊技領域(例えば遊技領域は遊技盤面等により構成される)と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備え、前記遊技領域を流下する遊技球の挙動を視認可能に構成されてなる弾球遊技機」が挙げられる。
【0255】
C.上記各手段における前記遊技機、又は、上記各弾球遊技機は、パチンコ機又はパチンコ機に準ずる遊技機であること。
【0256】
D.上記各手段における遊技機は、スロットマシン等の回胴式遊技機であること。より詳しい態様例としては、「複数の識別情報(図柄)からなる識別情報列(図柄列;具体的には図柄の付されたリール、ベルト等の回転体)を変動表示(具体的にはリール等の回転)した後に識別情報列を停止表示する可変表示手段(具体的にはリールユニット等の回転体ユニット)を備え、始動用操作手段(具体的にはスタートレバー)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が開始され、停止用操作手段(具体的にはストップボタン)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が停止され、その停止時に有効ライン上に揃った識別情報が特定の識別情報であることを条件に遊技価値が付与されるよう構成した回胴式遊技機」が挙げられる。
【0257】
E.上記各手段における遊技機は、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機(特に遊技球を遊技媒体として使用するスロットマシン仕様の遊技機)であること。より詳しい態様例としては、「複数の識別情報(図柄)からなる識別情報列(図柄列;具体的には図柄の付されたリール、ベルト等の回転体)を変動表示(具体的にはリール等の回転)した後に識別情報列を停止表示する可変表示手段(具体的にはリールユニット等の回転体ユニット)を備え、始動用操作手段(具体的にはスタートレバー)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が開始され、停止用操作手段(具体的にはストップボタン)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が停止され、その停止時に有効ライン上に揃った識別情報が特定の識別情報であることを条件に遊技価値が付与されるよう構成し、さらに球受皿(上皿等)を設けてその球受皿から遊技球を取り込む取込手段と、前記球受皿に遊技球の払出しを行う払出手段とを備え、前記取込手段により遊技球が取り込まれることにより遊技の開始条件が成立するように構成した遊技機」が挙げられる。
【符号の説明】
【0258】
10…パチンコ機、11…外枠、12…内枠、14…前面枠セット、261…主制御装置、262…サブ制御装置、401…軸ユニット、404…軸受ユニット、414…軸ピン、431…固定金具、436…固定側受部、441…可動金具、443…可動側受部、447…軸孔、448…補助鉤部、451…進退開口部、604…錠前取付ユニット、605…シリンダ錠、624…スライド片、641…ワイヤ、651…収容凹部、652…アーム、655…前枠コネクタ、657…内枠コネクタ、658…前枠用ハーネス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉取付枠と、前記扉取付枠に対して開閉可能に支持される扉体と、前記扉体を前記扉取付枠に施錠する施錠手段とを備え、前記扉取付枠に対して前記扉体が、その左右一側部側及び左右他側部側のどちら側からでも開放可能に構成された遊技機において、
前記扉取付枠に設けられた所定の電気的構成と、前記扉体に設けられた所定の電気的構成とを電気的に接続するハーネスと、
前記扉取付枠に設けられ、前記ハーネスの一端側を前記扉取付枠に係止する枠側配線係止手段と、
前記扉体に設けられ、前記ハーネスの他端側を前記扉体に係止する扉側配線係止手段とを備え、
前記扉体を開放した場合に、前記ハーネスは、前記扉側配線係止手段と前記枠側配線係止手段との間に架け渡されるようにして延在し、
前記扉側配線係止手段及び前記枠側配線係止手段は、前記扉体を左右一側部側から所定角度開いた場合と、前記扉体を左右他側部側から前記所定角度と同程度に開いた場合とで、前記扉側配線係止手段と前記枠側配線係止手段との間の距離がほぼ等しくなるように相対配置されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技機の幅方向における前記扉側配線係止手段の配置は、前記扉体の閉状態において、前記扉体を右側部側から開放する際の左回転軸と、前記扉体を左側部側から開放する際の右回転軸との間の丁度中間位置を中心として、前記枠側配線係止手段の対称位置又はその近傍であることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2013−102771(P2013−102771A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246122(P2011−246122)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】