説明

遊技機

【課題】前扉と内枠との間に介装される中扉の開閉構成に工夫を凝らし、遊技盤を閉じた際の中扉と遊技盤との間の対向間隔を適正に確保しつつ、中扉により遊技盤を開いた際に、遊技盤の左上隅角部の各遊技釘のメンテナンス作業を容易に行えるようにした遊技機を提供する。
【解決手段】前扉が、その左端部にて外枠Fの左端部に前後方向へ回動に支持され、中扉Qaが、前扉と遊技機本体Bの内枠Wとの間に介装されている。当該中扉Qaは、変位回動機構Qbにより、枠部10の左端部を上下両側案内バー30に沿い右側へ変位させつつ、枠部10の左端部を軸として、枠部10の右端部を左側前方へ回動させて、遊技盤Pの盤面をその右側へ開き、また、枠部10の左端部を上下両側案内バー30に沿い左側へ変位させつつ、枠部10の左端部を軸として、枠部10の右端部を右側後方へ回動させて、遊技盤Pの盤面をその右側から閉じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機においては、下記特許文献1に記載のパチンコ遊技機が提案されている。当該パチンコ遊技機は、外枠、内枠及び遊技盤と、前扉とを備えている。内枠は外枠内に支持されており、遊技盤は、その盤面にて、パチンコ遊技機の前方に向くように、内枠内に組み付けられている。
【0003】
また、前扉は、その左端部にて、外枠の左端部に前後方向に回動可能に支持されている。これにより、当該前扉は、外枠の左端部を基準として、遊技盤を開閉するように前後方向に回動する。
【0004】
ここで、当該パチンコ遊技機においては、遊技球が、遊技盤の外周部に沿い設けた案内レールにより、遊技盤の左上隅角部から遊技領域内に案内されることから、遊技盤に打ち込まれている遊技釘群のうちでも、遊技盤の左上隅角部に打ち込まれている各遊技釘が、遊技球を遊技領域内に案内するにあたり、重要な役割を果たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−291520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記パチンコ遊技機において、上述のように、前扉がその左端部にて外枠の左端部に前後方向に回動可能に支持されているとともに、遊技盤が、外枠ではなく、内枠内に組み付けられている。このため、前扉と遊技盤との間の対向間隔は、外枠と内枠との間の組み付け構造のばらつきに起因してばらつき易い。
【0007】
従って、当該パチンコ遊技機において前扉と遊技盤との間の対向間隔を適正に確保することは困難である。その結果、前扉と遊技盤との間の対向間隔が狭すぎたり広すぎたりすると、遊技球が、遊技盤の盤面に沿い円滑には転動し難くかったり、前扉と遊技盤或いは遊技釘との間で球噛みを招いたりするおそれがあった。
【0008】
以上のようなことに対する対策としては、前扉と遊技盤との間において、中扉を、その左端部にて、内枠の左端部に前後方向に回動可能に支持することで、遊技盤を開閉することが考えられる。
【0009】
ここで、中扉を内枠に向けて回動することにより遊技盤を閉じるようにすれば、中扉と遊技盤との間の対向間隔は、内枠のみで決まる。換言すれば、中扉と遊技盤との間の対向間隔は、外枠とは関係なく、中扉と内枠と遊技盤との間の位置関係で決まるため、中扉と遊技盤との間の対向間隔は、ばらつきを生じにくく、適正な間隔として確保され易い。
【0010】
しかしながら、遊技盤を開くにあたり、中扉は、前扉と内枠との間にあって、前扉と同一方向に回動することになるので、当該中扉が、遊技盤を開くにあたっては、前扉に邪魔されて十分には回動し得ない。このことは、中扉が前扉と干渉して十分には遊技盤を開くことができないことを意味する。これでは、上述のように重要な役割を果たす遊技盤の左上隅角部の各遊技釘のメンテナンス作業が、中扉により邪魔されて困難であるという不具合を招く。
【0011】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、前扉と内枠との間に介装される中扉の開閉構成に工夫を凝らし、遊技盤を閉じた際の中扉と遊技盤との間の対向間隔を適正に確保しつつ、中扉により遊技盤を開いた際に、遊技盤の左上隅角部の各遊技釘のメンテナンス作業を容易に行えるようにした遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題の解決にあたり、本発明に係る遊技機は、請求項1の記載によれば、
外枠(F)と、この外枠内に支持される内枠(W)と、この内枠内に組み付けられる遊技盤(P)とを有する遊技機本体(B)と、
この遊技機本体の前記外枠の前面側にて当該外枠の左端部に回動可能に支持される前扉(FD)とを備える。
【0013】
当該遊技機において、
内枠と前扉との間に介装される中扉(Qa)を備えており、
この中扉は、
枠部(10)と、この枠部内に設けられる透明板部(20)とを具備して、
内枠に沿いその右方向或いは左方向へ変位しながら上記枠部の左端部を回動軸として回動することで、遊技盤を開閉するようにしたことを特徴とする。
【0014】
これによれば、前扉を開いた状態において、中扉が内枠に沿いその左方向へ変位しながら上記枠部の左端部を回動軸として回動することで遊技盤を閉じれば、当該中扉は遊技盤に対向する。
【0015】
ここで、上述のように内枠に沿い変位回動する中扉と遊技盤との間の対向間隔が、前扉を支持している外枠とは関係なく、中扉と内枠と遊技盤との間の位置関係で決まる。このため、中扉と遊技盤との間の対向間隔は、ばらつきを生じにくく、適正な間隔として確保され得る。その結果、遊技球が遊技盤の盤面に沿い円滑に転動することができて、中扉と遊技盤或いは遊技釘との間で球噛みを招くこともない。
【0016】
また、前扉を開いた状態では、当該前扉は、遊技盤の左側に位置する。従って、中扉が内枠に沿いその右方向へ変位しながら上記枠部の左端部を回動軸として回動することで遊技盤を開けば、当該中扉は、開いた状態にある前扉とは反対側である遊技盤の右側に位置する。
【0017】
このため、遊技盤の左上隅角部に打ち込まれている各遊技釘は、その前側から中扉により塞がれてしまうことなく、前側へ良好に開放され得る。その結果、当該各遊技釘のメンテナンス作業が、中扉により邪魔されることはなく、容易に行われ得る。
【0018】
また、本発明は、請求項2の記載によれば、請求項1に記載の遊技機において、
内枠が有する上下両側端部の少なくとも一方の端部に沿い設けられる長手状案内部材(30)と、
内枠が有する上下両側端部の少なくとも一方の端部の右端部位から回動可能に延出される回動アーム(40)とを備えて、
前記中扉において、前記枠部の左端部は、その上下両側端部の一方の端部(11、13)にて、案内部材に変位可能に連結されるとともに、上記枠部の上下両側端部のうち、内枠が有する上下両側端部の少なくとも一方の端部に対応する端部は、その左右方向中間部位にて、回動アームの延出端部に前後方向に相対的に回動可能に連結されていることを特徴とする。
【0019】
このように、長手状案内部材及び回動アームを備えて、中扉の枠部の左端部を、その上下両側端部の一方の端部にて、長手状案内部材に変位可能に連結し、かつ、中扉の枠部の上下両側端部のうち、内枠の上下両側端部の少なくとも一方の端部に対応する端部を、その左右方向中間部位にて、回動アームの延出端部に前後方向に相対的に回動可能に連結するようにした。
【0020】
これにより、中扉の枠部が、その左端部の上下両側端部の一方の端部にて、案内部材に沿いその長手方向に右方向或いは左方向へ変位することで、中扉が内枠に沿いその右方向或いは左方向へ変位する。また、この変位に伴い、当該中扉の枠部が、内枠が有する上下両側端部の少なくとも一方の端部に対応する上側或いは下側の端部にて、回動アームと共に相対的に回動することで、中扉が枠部の左端部を回動軸として回動して遊技盤を開閉する。その結果、請求項1に記載の発明の作用効果がより一層具体的に達成され得る。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、中扉が、内枠の左端部に支持されるのではなく、内枠に沿いその右方向或いは左方向へ変位しながら枠部の左端部を回動軸として回動することで、遊技盤を開閉する。従って、中扉を閉じた状態では、内枠を介して遊技盤に対向するので、中扉と遊技盤との間の対向間隔が、前扉を支持する外枠とは関係なく、決定される。その結果、中扉と遊技盤との間の対向間隔がばらつくことなく適正に確保され得る。また、中扉を開いた状態では、当該中扉は、遊技盤の左側へ開いた状態に前扉とは、反対の遊技盤の右側に位置する。このため、遊技盤の左上隅角部に打ち込まれている各遊技釘のメンテナンス作業が中扉により邪魔されることはなく、容易に行われ得る。
【0022】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るパチンコ遊技機の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のパチンコ遊技機を、前扉を開いた状態で示す斜視図である。
【図3】図2のパチンコ遊技機を、さらに、内枠及び遊技盤を外枠から開いた状態で示す斜視図である。
【図4】上記実施形態のパチンコ遊技機の遊技機本体を、中扉を内枠から分離して分解した状態で示す前側斜め下方から見た分解斜視図である。
【図5】上記実施形態におけるパチンコ遊技機の遊技機本体を、中扉を内枠から分離して分解した状態で示す前側斜め上方から見た分解斜視図である。
【図6】上記実施形態におけるパチンコ遊技機の遊技機本体を、中扉を除いた状態で示す正面図である。
【図7】上記実施形態におけるパチンコ遊技機の遊技機本体を、中扉を閉じた状態で示す斜視図である。
【図8】図7において、パチンコ遊技機の遊技機本体を、中扉を開き始めた状態で示す斜視図である。
【図9】図8においてパチンコ遊技機の遊技機本体を、中扉をさらに開いた状態で示す斜視図である。
【図10】図9においてパチンコ遊技機の遊技機本体を、中扉をさらに開いた状態で示す斜視図である。
【図11】(a)は、図7にて示す遊技機本体を、外枠を除いた状態で示す平面図であり、(b)は、図11(a)において円Aにより包囲した部位を示す部分拡大平面図である。
【図12】図8にて示す遊技機本体を、外枠を除いた状態で示す平面図である。
【図13】図9にて示す遊技機本体を、外枠を除いた状態で示す平面図である。
【図14】図10にて示す遊技機本体を、外枠を除いた状態で示す平面図である。
【図15】図10にて示す遊技機本体を、中扉をさらに開いた状態で示す部分拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態を図面により説明する。
【0025】
図1〜図3は、本発明を適用してなるパチンコ遊技機の一実施形態を示しており、当該パチンコ遊技機は、その外枠F(図3参照)にて、パチンコホール内の設置島に立設されるものである。なお、図1において、図示左側斜め後方、右側斜め前方、上側及び下側が、それぞれ、当該パチンコ遊技機の左側、右側、上側及び下側に対応する。
【0026】
このパチンコ遊技機は、遊技機本体Bと、前扉FDとにより構成されている。遊技機本体Bは、図1〜図3のいずれかにて示すごとく、上述した外枠F、内枠W及び遊技盤Pを備えている。
【0027】
内枠Wは、その左端部にて、外枠F内にてその左端部に前後方向に回動可能に支持されている。ここで、内枠Wは、中空状板W1と、この中空状板W1の外周端部から前方へ延出する矩形環状壁W2とにより構成されている(図4参照)。
【0028】
遊技盤Pは、その盤面を前方に向けるようにして、内枠Wの中空状板W1内にその前側から組み付けられている。このことは、当該遊技盤Pが内枠W内に組み付けられていることを意味する。
【0029】
当該遊技盤Pには、遊技釘群、風車、普通入賞口装置、スタートチャッカー、電動チューリップ、アタッカー、ゲート(図示しない)やアウト口等が設けられており、上記遊技釘群は、多数の遊技釘を案内レールR(後述する)の内側にて遊技盤Pの盤面上に形成される遊技領域に分散して打ち込まれている。
【0030】
ここで、上記遊技釘群のうち、遊技盤Pの盤面の遊技領域の左上隅角部に打ち込まれている各遊技釘が、遊技球を案内レールRにより遊技領域内に案内するにあたり、重要な役割を果たす。
【0031】
また、遊技機本体Bは、図4或いは図6にて示すごとく、案内レールR及び球発射装置Sを有しており、案内レールRは、遊技盤Pの盤面の外周部に沿い設けられている。これにより、当該案内レールRは、球発射装置Sから順次発射される遊技球を遊技盤Pの盤面の遊技領域内にその左上隅角部から案内する。
【0032】
ここで、球発射装置Sは、図6にて示すごとく、遊技盤Pの左右方向中央部の直下にて、内枠Wの中空状板W1に組み付けられており、当該球発射装置Sは、その発射レールS1を介し、遊技球を案内レールRに向けて発射するように構成されている。
【0033】
さらに、当該遊技機本体Bは、図2〜図5のいずれかにて示すごとく、中扉装置Qを備えており、この中扉装置Qは、中扉Qaと、変位回動機構Qbとにより構成されている。
【0034】
中扉Qaは、遊技機本体Bの内枠Wと前扉FDとの間において、遊技盤Pの盤面を開閉するように、変位回動機構Qbを介し、変位或いは回動可能に内枠Wに組み付けられている。このように、当該中扉Qaは、内枠Wと前扉FDとの間において、遊技盤Pの盤面を開閉することで、当該パチンコ遊技機において外扉としての役割を果たす前扉FDに対し、中側の扉としての役割を果たす。
【0035】
中扉Qaは、図4或いは図5にて示すごとく、矩形板状枠部10と、透明板部20とにより構成されており、当該中扉Qaは、後述のごとく、変位回動機構Qbの変位回動機能のもと、内枠W内にて上下両側案内バー30に沿い右側へ変位しながら、枠部10の左端部を軸(回動軸)として、図4にて図示反時計方向に回動して遊技盤Pの盤面を開き、また、枠部10の左端部を軸(回動軸)として、図4にて図示時計方向に回動しながら上下両側案内バー30に沿い左側へ変位して遊技盤Pの盤面を閉じるようになっている。
【0036】
本実施形態では、中扉Qaが遊技盤Pを閉じた状態にある場合、具体的には、枠部10が、その上下両側端部にて、内枠W内における上下両側案内バー30の間にて中空状板W1に対し平行に位置する。換言すれば、枠部10が、その外周部にて、内枠Wの矩形環状壁W2内にてその左右両側壁部と上下両側案内バー30とにより密封的に包囲されて中空状板W1に対し平行に位置する。
【0037】
そこで、本実施形態では、中扉Qaの後面と遊技盤Pの盤面との間の間隔が所定間隔になるように、内枠Wに対する遊技盤Pの組み付け位置関係が設定されている。ここで、上記所定間隔は、18(mm)〜25(mm)内の間隔、好ましくは、20(mm)〜22(mm)の範囲内の間隔に選定されている。これは、遊技球を、中扉Qaと遊技盤P或いはその盤面からの遊技釘の突出部位との間にて球噛みを招くことなく、遊技盤Pの盤面に沿い、円滑に転動させるようにするためである。
【0038】
透明板部20は、枠部10の中空部に組み付けられており、当該透明板部20は、遊技盤Pの盤面に対向可能となっている。このことは、遊技盤Pの盤面が透明板部20を通して視認可能であることを意味する。
【0039】
変位回動機構Qbは、上下両側長手状案内バー30と、長手状回動アーム40とを備えている。上下両側案内バー30のうち、上側案内バー30は、その上面にて、内枠Wの矩形環状壁W2の上側端部の下面にその左右方向に沿い長手状に装着されている。当該上側案内バー30は、連結長孔部31を有しており、この連結長孔部31は、上側案内バー30の幅方向中央部に沿い長手状に形成されている。
【0040】
しかして、当該上側案内バー30の連結長孔部31には、中扉Qaの枠部10が、その左端部の上端部11にて、ピン12を介し回動可能にかつ左右方向に変位可能に連結されている。このことは、枠部10が、その左端部の上端部11にて、上側案内バー30の下面に沿いピン12を介し回動可能にかつ左右方向に変位可能となっていることを意味する。
【0041】
また、上側案内バー30の連結長孔部31は、複数の位置決め用半円状凹部31aを有しており、これら各凹部31aは、連結長孔部31の後側内壁部に沿い間隔をおいて切り欠き形成されている(図11〜図15のいずれか参照)。
【0042】
ここで、ピン12は、枠部10の左端部の上端部11から上方へ突出してなるもので、当該ピン12は、その突出端部にて、上側案内バー30の連結長孔部31内にその下方から回動可能にかつ左右方向に変位可能に嵌装されている。
【0043】
しかして、当該ピン12は、上側案内バー30の連結長孔部31内にてその仮面に沿い左右方向へ変位する過程にて、各凹部31a内に係合したときこの係合位置にて位置決めされる。このことは、枠部10の上端部の回動位置が、上述したピン12の位置決めでもって、位置決めされることを意味する。
【0044】
一方、下側案内バー30は、上側案内バー30と同様の構成を有しており、当該下側案内バー30は、その下面にて、内枠Wの矩形環状壁W2の中側壁部W3(図4参照)の上面にその左右方向に沿い長手状に装着されている。ここで、下側案内バー30は、上側案内バー30の直下に位置しており、当該下側案内バー30には、上側案内バー30の連結長孔部31(以下、上側連結長孔部31ともいう)と同様に、連結長孔部31(以下、下側連結長孔部31ともいう)が形成されている。なお、上述した中側壁部W3は、遊技盤Pと球発射装置Sとの間にて左右方向に長手状に延在するように中空状板W1から前側へ細幅状に延出しており、当該中側壁部W3の左右両端部は、矩形環状壁W2の左右両側壁部の上下方向中間部位に支持されている。
【0045】
しかして、当該下側案内バー30の下側連結長孔部31には、中扉Qaの枠部10が、その左端部の下端部13(図5参照)にて、ピン14(図5参照)を介し回動可能にかつ左右方向に変位可能に連結されている。このことは、枠部10が、その左端部の下端部13にて、上側案内バー30の上面に沿いピン14を介し回動可能にかつ左右方向に変位可能となっていることを意味する。
【0046】
また、下側案内バー30の連結長孔部31は、複数の位置決め用半円状凹部31aを有しており、これら各凹部31aは、上側連結孔部31の各凹部31aの直下に位置するように、下側連結長孔部31の後側内壁部に沿い間隔をおいて切り欠き形成されている(図4参照)。
【0047】
ここで、ピン14は、枠部10の左端部の下端部13から下方へ突出してなるもので、当該ピン14は、その突出端部にて、下側案内バー30の連結長孔部31内にその上方から回動可能にかつ左右方向に変位可能に嵌装されている。
【0048】
しかして、当該ピン14は、下側案内バー30の連結長孔部31内にてその上面に沿い左右方向へ変位する過程にて、各凹部31a内に係合したときこの係合位置にて位置決めされる。このことは、枠部10の下端部の回動位置が、上述したピン14の位置決めでもって、位置決めされることを意味する。なお、この下側案内バー30の連結長孔部31は、上側案内バー30の連結長孔部31の直下に位置している。
【0049】
以上のような構成のもと、中扉Qaは、その上端部と下端部との間において捻れ等の歪みを招くことなく、上下両側案内バー30に沿い左右方向に円滑に変位することが可能となる。
【0050】
長手状回動アーム40は、中扉Qaとその直上に位置する上側長手状案内バー30と中扉Qaとの間に介在するように、後述のごとく、内枠Wの矩形環状壁W2と中扉Qaの枠部10との間に相対的に回動可能に連結されている。
【0051】
当該回動アーム40は、図4、図5及び図8〜図15のいずれかにて示すごとく、その長手方向基端部41にて、内枠Wの矩形環状壁W2の右端部の上端部から前方へ突出する突出片41a(図15参照)の突出端部に左右方向において前後方向に回動可能となるように支持されており、この回動アーム40の長手方向他端部42は、中扉Qaの枠部10の上端部の左右方向中央部に、ピン42a(図5参照)を介し相対的に回動可能に支持されている。
【0052】
このことは、回動アーム40は、突出片41aの突出端部に回動可能に支持された長手方向基端部41である延出基端部から延出して、長手方向他端部42である延出端部にて枠部10の上端部の左右方向中央部に相対的に回動可能に支持されていることを意味する。なお、回動アーム40の回動半径は、枠部10の上端部の左右方向長さの半分となっている。
【0053】
以上のような構成のもと、中扉Qaは、その上端部と下端部との間において捻れ等の歪みを招くことなく、上下両側案内バー30に沿い前後方向に円滑に回動することが可能となる。
【0054】
前扉FDは、当該パチンコ遊技機において外扉としての役割を果たすもので、当該前扉FDは、その扉本体Daの左端部にて、遊技機本体Bの外枠Fの左端部に前後方向に回動可能となるようにヒンジ結合により支持されている。ここで、当該前扉FDは、その透明窓Dbにて、中扉Qaの透明板部20を介して、遊技盤Pにその前側から対向し得るようになっている。
【0055】
しかして、当該前扉FDは、後方向(遊技盤Pに向かう方向)への回動に伴い、透明窓Dbにて、透明板部20を介して遊技盤Pの盤面に対向するように閉じ、また、前方向(遊技盤Pに向かう方向とは逆方向)への回動に伴い透明板部20を介し遊技盤Pの盤面を開放するように開く。
【0056】
なお、当該前扉FDは、図1にて示すごとく、遊技球を貯留する球受け皿50、この球受け皿50内の遊技球を遊技盤Pの遊技領域へ発射するときに操作される発射ハンドル60などを備えている。
【0057】
以上のように構成した本実施形態において、当該パチンコ遊技機では、前扉FDが、図1及び図7のいずれかにて例示するごとく、中扉Qaとともに、遊技盤Pを覆うように閉じた状態にあるものとする。
【0058】
このような状態では、中扉Qaが、その後方から前扉FDにより閉じられた状態で、遊技機本体Bの内枠W内にて上下両側案内バー30の間に支持されている。従って、前扉FDが外枠Fに上述のごとく支持されていても、中扉Qaが内枠Wに上述のごとく支持されているため、中扉Qaが閉じたとき、換言すれば、中扉Qaの枠部10が内枠W内にて上下両側案内バー30により中空状板W1に対し平行となっている。このため、中扉Qaと遊技盤Pとの間隔(中扉Qaの後面と遊技盤Pの盤面との間)が上記所定間隔となるように確保される。
【0059】
従って、遊技球が、遊技盤Pの盤面に沿い転動するにあたり、中扉Qaと遊技盤P或いは遊技釘の遊技盤Pの盤面からの突出部位との間において球噛みを招くことなく、円滑に転動し得る。
【0060】
また、上述のごとく、中扉Qaが閉じた状態、換言すれば、中扉Qaの枠部10が内枠Wの中空状板W1に平行な状態にあっては、中扉Qaの枠部10が、その外周部にて、内枠W内、換言すれば、矩形環状壁W2内にあって、その左右両側壁部と上下両側案内バー30とにより密封的に包囲されていることから、隙間が内枠Wと中扉Qaとの間に形成されることがない。このことは、中扉Qaと遊技盤Pとの間が密封されることを意味する。
【0061】
また、上述のように中扉Qaが閉じた状態においては、当該中扉Qaは、上述したごとく、変位回動機構Qbの上下両側長手状案内バー30の間に挟まれた状態にて位置している。
【0062】
このため、中扉Qaの枠部10の左端部は、その上端部11にて、ピン12を介し、上側案内バー30の連結長孔部31の左端部の直下に位置し、下端部13にて、ピン14を介し、下側案内バー30の連結長孔部31の左端部の直上に位置している。
【0063】
また、上述のような状態にあっては、変位回動機構Qbの回動アーム40は、図11にて示すごとく、閉状態にある中扉Qaの枠部10の上端部と上側案内バー30との間にて、枠部10の上端部の左右方向中央部から内枠Wの突出片41aに向けて延在している。
【0064】
しかして、以上のような構成のもと、中扉Qaが上述のように閉じた状態において前扉FDを前方へ開く。然る後、中扉Qaを開くにあたり、当該中扉Qaを、図8及び図12にて示すごとく、左方へ変位するように押す。
【0065】
ここで、上述のごとく、中扉Qaの枠部10の左端部が、その上端部11にて、下方からピン12を介し上側案内バー30の連結長孔部31に連結し、かつ、枠部10の上端部が、その左右方向中央部にて、下方から回動アーム40の長手方向他端部42に連結されている。また、枠部10が、上述のごとく、その左端部の下端部13にて、上方からピン14を介し下側案内バー30の連結長孔部31に連結されている。
【0066】
このため、上述のように、中扉Qaを、枠部10の左端部にて右方へ変位するように、押すと、回動アーム40が、図8及び図12にて示すごとく、内枠Wの矩形環状壁W2の右端部の上端部(換言すれば、突出片41aの突出端部)を基準に左側から右側へ前方向に向け回動するとともに、中扉Qaの枠部10が、各ピン12、14とともに、上下両側案内バー30の各連結長孔部31に沿い右方へ変位する。
【0067】
これに伴い、中扉Qaは、枠部10の左端部を軸(回動軸)として、図8〜図10及び図12〜図14にて示すように、反時計方向に回動する。換言すれば、中扉Qaは、枠部10の左端部を軸(回動軸)として、当該左端部を右側へ変位させつつ枠部10の右端部を右側から左側前方に向け回動する。
【0068】
然る後、ピン12が回動アーム40の長手方向中間部位にその左側から当接するまで、中扉Qaが、反時計方向に回動すると、中扉Qaの内枠Wに対する回動動作が終了する(図15参照)。このことは、中扉Qaが、前扉FDとは反対向きに回動することで、遊技盤Pに対する開動作を終了することを意味する。
【0069】
このように中扉Qaが遊技盤Pを開いた状態においては、当該中扉Qaが、上述のごとく、前扉FDとは逆向きに開くので、この中扉Qaは、前扉FDとは異なり、遊技盤Pの左端部側には位置せず、当該遊技盤Pの右端部側に位置する。
【0070】
このため、上述のごとく、上記遊技群のうち、遊技球を案内レールRから遊技領域内に案内するにあたり、重要な役割を果たすべく、遊技盤Pの盤面の遊技領域の左上隅角部に打ち込まれている各遊技釘が、開状態にある中扉Qaによって塞がれることなく、遊技盤Pの前方へ開放される。従って、遊技盤Pの盤面の遊技領域の左上隅角部に打ち込まれている各遊技釘に対するメンテナンス作業が容易になされ得る。
【0071】
然る後、中扉Qaを閉じるにあたっては、中扉Qaを、図14にて、枠部10の右端部側から右側後方へ押す。これに伴い、中扉Qaが、枠部10の左端部を回動軸として、図14〜図12にて示すごとく、図示反時計方向に回動しながら、当該枠部10の左端部にて、両ピン12、14とともに、上下両側案内バー30の各連結長孔部31に沿い左側へ変位する。
【0072】
換言すれば、中扉Qaは、枠部10の左端部を回動軸として、枠部10の右端部を前側から後側後方へ回動させるとともに枠部10の左端部を上下両側案内バー30の各連結長孔部31に沿い左側へ変位させるように回動する。
【0073】
これに伴い、中扉Qaが、その枠部10により、内枠W内における上下両側案内バー30の間にて中空状板W1に対し平行となる位置に達すると、両ピン12、14が、上下両側案内バー30の各連結長孔部31の複数の凹部31aのうち、各連結長孔部31の左端側に位置する各凹部31a内に係合する。これにより、中扉Qaが遊技盤Pを閉じるように位置決めされる。なお、このような状態にて、前扉FDを遊技機本体Bに向けて回動させれば、当該前扉FDは、中扉Qaを介し、遊技盤Pの盤面を閉じる。
【0074】
以上説明したように、本実施形態によれば、前扉FDが、上述したように、その左端部にて外枠Fの左端部に前後方向へ回動に支持され、上述のように構成した中扉Qaが、前扉FDと遊技機本体Bの内枠Wとの間にて当該内枠W内に位置している。そして、当該中扉Qaは、上述のように構成した変位回動機構Qbの上下両側案内バー30及び回動アーム40のもと、枠部10の左端部を上下両側案内バー30の各連結長孔部31に沿い右側へ変位させつつ、枠部10の左端部を軸(回動軸)として、回動アーム40により枠部10の右端部を左側前方へ回動させて、遊技盤Pの盤面をその右側へ開く。従って、当該中扉Qaは、前扉FDとの干渉を招くことなく、円滑に遊技盤Pの盤面をその右側へ開くことができる。
【0075】
また、当該中扉Qaは、上述のように構成した変位回動機構Qbの上下両側案内バー30及び回動アーム40のもと、枠部10の左端部を上下両側案内バー30の各連結長孔部31に沿い左側へ変位させつつ、枠部10の左端部を軸(回動軸)として、回動アーム40により枠部10の右端部を右側後方へ回動させて、遊技盤Pの盤面をその右側から閉じる。従って、当該中扉Qaは、前扉FDとの干渉を招くことなく、円滑に遊技盤Pの盤面をその右側から閉じることができる。
【0076】
また、上述のように、中扉Qaが、前扉FDとは逆に遊技機本体Bの左側から右側に向け遊技盤Pを開くので、遊技盤Pの盤面の遊技領域の左上隅角部に打ち込まれている各遊技釘に対するメンテナンスを、中扉Qaにより邪魔されることなく、容易に行うことができる。
【0077】
また、中扉Qaを閉じた状態では、上述のごとく、隙間が、中扉Qaと内枠Wとの間に形成されることがないので、遊技盤Pに対する密封度が良好に確保され得る。
【0078】
これにより、汚れた空気が、内枠Wと中扉Qaとの間に入り込むことができず、その結果、遊技盤Pの盤面に沿い転動する遊技球の表面が、汚れた空気と接触して汚れることなく、永く、清浄に維持され得る。このことは、当該パチンコ遊技機において遊技に使用される遊技球のメンテナンス作業を軽減し得ることを意味する。
【0079】
また、上述のように、隙間が、中扉Qaと内枠Wとの間に形成されることがないので、前扉FDと遊技機本体Bとの間から行われがちな不正行為を未然に防止することができる。なお、上述のように前扉FD及び中側扉Qaが共に閉じた状態では、前扉FDの透明窓Dbが、中側扉Qの透明板部20を介して遊技盤Pの盤面に対向している。そして、透明窓Db及び透明板部20は、共に、透明である。このため、遊技者は、透明窓Db及び透明板部20を通して遊技盤Pの盤面を良好に視認することができる。従って、遊技者は、その後の遊技を円滑に行うことができる。
【0080】
なお、本発明の実施にあたり、上記実施形態に限ることなく、次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)本発明の実施にあたり、変位回動機構Qbにおいて、上下両側案内バー30の各構成は、上記実施形態にて述べた連結長孔部31に限ることなく、例えば、
上側案内バー31にあっては、その幅方向中央部にて、ピン12と係合可能に下方に向け開口する帯状凹所であってもよく、下側案内バー31にあっては、その幅方向中央部にて、ピン14と係合可能に上方に向け開口する帯状凹所であってもよい。
(2)本発明の実施にあたり、内枠の矩形環状壁W2の上側端部の前端部に沿いその下側から左右方向に向け、上側案内バー30の連結長孔部31に相当する上側連結長孔部を形成し、また、矩形環状壁W2の中側壁部W3の前端部に沿いその上側から左右方向に向け、下側案内バー30の連結長孔部31に相当する下側連結長孔部を形成して、矩形環状壁W2の上側端部及びその上側連結長孔部と中側壁部W3及びその下側連結長孔部でもって、上下両側案内バー30と同様の機能を果たすようにして、上下両側案内バー30を廃止してもよい。
(3)本発明の実施にあたり、変位回動機構Qbにおいて、上下両側案内バー30は、上記実施形態とは異なり、一般的には、長手状案内部材であればよい。
(5)本発明の実施にあたり、変位回動機構Qbにおいて、上下両側案内バー30は、上記実施形態とは異なり、上下両側案内バー30の一方を廃止してもよい。
(6)本発明の実施にあたり、変位回動機構Qbにおいて、上記実施形態にて述べた回動アーム40は、上記実施形態とは異なり、内枠Wの矩形環状壁W2の右端下端部から前方へ突出する突出片(突出片41aに対応する)の突出端部と、中扉Qaの枠部10の下端部の左右方向中央部に、ピン(ピン42aに対応する)を介し相対的に回動可能に連結するようにしてもよい。
(7)本発明の実施にあたり、変位回動機構Qbにおいて、上記実施形態にて述べた回動アーム40を上側回動アームとして、下側回動アームを採用し、この下側回動アームを、内枠Wの矩形環状壁W2の右端下端部から前方へ突出する突出片(突出片41aに対応する)の突出端部と、中扉Qaの枠部10の下端部の左右方向中央部に、ピン(ピン42aに対応する)を介し相対的に回動可能に連結するようにしてもよい。
(8)本発明の実施にあたり、上記実施形態にて述べた回動アーム40は、上記実施形態とは異なり、上側案内バー30の上側に位置して、突出片41aの突出端部と中扉Qaの枠部10の上端部の左右方向中央部との間に相対的に回動可能に支持するようにしてもよい。なお、この場合、回動アーム40の長手方向他端部42は、上側案内バー30と干渉しないように構成したロッド(ピン42aに代わる)により、枠部10の上端部の左右方向中央部に連結すればよい。例えば、当該ロッドのうち上側案内バー30に対する対向部位を、上側案内バー30と干渉しないように断面湾曲形状に形成する。
(9)本発明の実施にあたり、変位回動機構Qbにおいて、回動アーム40の回転半径は、上記実施形態とは異なり、中扉Qaの枠部10の上端部の全長の半分に限ることなく、変更してもよい。但し、この変更は、中扉Qaを実質的に遊技盤Pを開閉し得る範囲であることが望ましい。
【符号の説明】
【0081】
B…遊技機本体、F…外枠、FD…前扉、W…内枠、Qa…中扉、P…遊技盤、
10…枠部、11…枠部の左端部の上端部、13…枠部の左端部の下端部、
20…透明板部、30…長手状案内バー、40…回動アーム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外枠と、この外枠内に支持される内枠と、この内枠内に組み付けられる遊技盤とを有する遊技機本体と、
この遊技機本体の前記外枠の前面側にて当該外枠の左端部に回動可能に支持される前扉とを備える遊技機において、
前記内枠と前記前扉との間に介装される中扉を備えており、
この中扉は、
枠部と、この枠部内に設けられる透明板部とを具備して、
前記内枠に沿いその右方向或いは左方向へ変位しながら前記枠部の左端部を回動軸として回動することで、前記遊技盤を開閉するようにしたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記内枠が有する上下両側端部の少なくとも一方の端部に沿い設けられる長手状案内部材と、
前記内枠が有する上下両側端部の少なくとも一方の端部の右端部位から回動可能に延出される回動アームとを備えて、
前記中扉において、前記枠部の左端部は、その上下両側端部の一方の端部にて、前記案内部材に変位可能に連結されるとともに、前記枠部の上下両側端部のうち、前記内枠が有する上下両側端部の少なくとも一方の端部に対応する端部は、その左右方向中間部位にて、前記回動アームの延出端部に前後方向に相対的に回動可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−111303(P2013−111303A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261121(P2011−261121)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】