説明

遊技機

【課題】可動体による演出において、可動体を一定の姿勢に保ちながら移動させることが可能な遊技機を提供する。
【解決手段】実施形態の遊技機は、遊技盤構造体の前面に配置された可動体により演出を行う遊技機において、遊技盤構造体に一端部側が第1軸により軸支され、可動体に他端部が第2軸により軸支されたメインアームと、遊技盤構造体に一端部側が第3軸により軸支され、可動体に他端部が第4軸により軸支され、メインアームが第1軸を中心にして一方向に回動されるとき、可動体を第2軸を中心にして一方向とは反対の方向に回動させるサブアームと、メインアームを回動させる駆動機構と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、可動体により演出を行う遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技機においては、可動体により演出を行う演出装置が設けられている。
【0003】
特許文献には、次のような演出装置が開示されている。先ず、遊技盤にアーム部材の上端部が軸支され、可動体がアーム部材の下端部に一体的に設けられている。そして、可動体による演出において、軸を中心にしてアーム部材を反時計方向に回動すると、可動体が右方向に移動し、その後、アーム部材を時計方向に回動すると、可動体が左方向に移動する。
【0004】
なお、可動体の形状やそれに設けられた形態に基づいて、可動体の姿勢が傾いているか否かを判断することができる。可動体による演出において、可動体が一定の姿勢を保ちながら移動すべきところ、傾いたりすると、見栄えが悪くなるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−195340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献に記載された遊技機では、可動体がアーム部材に一体的に設けられているため、可動体による演出において、アーム部材が反時計回りに回動するときには、可動体の姿勢が左側に傾き、アーム部材が時計回りに回動するときには、可動体の姿勢が右側に傾いてしまうという問題点があった。
【0007】
この発明は、上記の問題を解決するものであり、可動体による演出において、可動体を一定の姿勢に保ちながら移動させることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明の一実施形態は、遊技盤構造体の前面に配置された可動体により演出を行う遊技機において、遊技盤構造体に一端部側が第1軸により軸支され、前記可動体に他端部が第2軸により軸支されたメインアームと、前記遊技盤構造体に一端部側が第3軸により軸支され、前記可動体に他端部が第4軸により軸支され、前記メインアームが前記第1軸を中心にして一方向に回動されるとき、前記可動体を前記第2軸を中心にして前記一方向とは反対の方向に回動させるサブアームと、前記メインアームを回動させる駆動機構と、を有することを特徴とする遊技機。
【発明の効果】
【0009】
この発明の一実施形態によると、メインアームの回動による可動体の移動時に、可動体を一定の姿勢に保ちながら移動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の遊技機の全体を示す模式図である。
【図2】遊技機に配される遊技盤構造体の正面図である。
【図3】遊技盤構造体の分解斜視図である。
【図4】遊技盤構造体の背面図である。
【図5】裏樋の正面図である。
【図6】可動体を収納位置に移動させたときの演出装置の正面図である。
【図7】可動体を収納位置と展開位置との間の中間位置に移動させたときの演出装置の正面図である。
【図8】可動体を展開位置に移動させたときの演出装置の正面図である。
【図9】可動体を展開位置に移動させたときの遊技盤構造体の正面図である。
【図10】可動体を収納位置に移動させたときの演出装置の背面図である。
【図11】可動体を中間位置に移動させたときの演出装置の背面図である。
【図12】可動体を展開位置に移動させたときの演出装置の背面図である。
【図13】図10のA−A線断面図である。
【図14】図10のB−B線断面図である。
【図15】図10のC−C線断面図である。
【図16】可動体を収納位置に移動させたときの演出装置の模式図である。
【図17】可動体を中間位置に移動させたときの演出装置の模式図である。
【図18】可動体を展開位置に移動させたときの演出装置の模式図である。
【図19】可動体を展開位置に移動させたときの遊技盤構造体の背面図である。
【図20】両方の可動体を展開位置に移動させたときの遊技盤構造体の正面図である。
【図21】遊技盤構造体の周縁部の断面を示す模式図である。
【図22】設置スペースをスライダの長穴部の位置で略水平に切断した変形例を示す断面図である。
【図23】設置スペースをスライダの長溝の位置で略水平に切断した変形例を示す断面図である。
【図24】リンク機構の変形例を示す模式図である。
【図25】メインアーム及びサブアームの変形例を示す横断面である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[遊技機の基本構成]
本発明の一実施形態に係る遊技機について各図を参照して説明する。
【0012】
以下、遊技機の基本的な構成について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「表(前)」、及び「裏(後)」は、特に断らない限り、遊技機1を遊技者側から見た場合における各方向を示すものとする。
【0013】
図1は、本実施形態の遊技機1の全体を示す模式図である。図2は、遊技機1に配される遊技盤構造体を示す模式図である。
【0014】
図1及び図2に示す遊技機1は、所謂パチンコ機である。この遊技機1には、遊技盤70が機内部に配置されている。遊技盤70上には、遊技球Pを射出する打球装置20がそのハンドル部分を前面に露出させて設けられている。ここで遊技盤70上とは遊技盤70の盤面上をいう。遊技機1は、遊技者が打球装置20のハンドルを操作することで遊技球Pを遊技盤70上に射出する。そして、遊技盤70上には、入賞口76等のポケットが配されており、遊技盤70上を転動流下する遊技球Pがこの入賞口76等に入球した場合に、所定数の遊技球Pを払い出す。遊技機1は、上皿30や下皿40を備えており、遊技球Pは、この上皿30や下皿40に払い出されて貯留される。
【0015】
このような遊技機1は、機体の外郭をなす縦長方形状の外枠10を備えている。外枠10は、遊技ホールの島設備に取り付け固定される。外枠10の下部は、合成樹脂製の腰板ユニット11で構成されている。外枠10の開口前面側には、各種の遊技用構成部材をセットするために縦長方形状の中枠12が開閉可能に取り付けられている。外枠10には、一方の側縁部にヒンジ機構13が設けられており、中枠12は、ヒンジ機構13に枢支されることで開閉可能となっている。
【0016】
中枠12の前面側には、機内部に配置された遊技盤70を透視保護するためのガラス枠を備えた前枠14と上皿30とが、横開き状態で開閉可能に組み付けられている。この前枠14と上皿30も外枠10に設けられたヒンジ機構13で枢支されることで開閉可能となっている。中枠12の前面側において上皿30の下方には、下皿40や打球装置20のハンドルが装着されている。
【0017】
上皿30には、その左方側に機内部から払出される遊技球Pの上皿払出口31が設けられている。入賞等により払い出された遊技球Pは、上皿払出口31から上皿30に排出される。そして、上皿30に貯留されている遊技球Pは、機内へ取り込まれて、打球装置20によって遊技盤70に向けて発射される。上皿30の前面には、上皿球抜きボタン32が設けられている。上皿30と下皿40とは、図示しない球抜き通路で繋がっている。球抜き通路は、上皿球抜きボタン32の押下操作によって開通し、上皿30に貯留されている遊技球Pを下皿40に向けて流下させる。
【0018】
遊技機1は、入賞、図柄変動、大当り状態、リーチ状態などの各種遊技の状態に応じた各種の演出を行う。遊技機1の前面側には、各種音声を出力して音声演出を行うスピーカ50が配置されている。スピーカ50は、前枠14や中枠12の裏面に装着されており、装着部位に対応する遊技機1の表面には図示しない放音孔が複数形成されている。各スピーカ50は、効果音等の各種音声を出力し、音声出力に基づく遊技演出を行う。また、前枠14のほぼ全周を囲むように装飾ランプ75が配置されている。各装飾ランプ75は、LEDランプ等の発光体を備え、遊技の状態に応じて点灯または消灯して、発光装飾に基づく遊技演出を行う。
【0019】
図2に示すように、遊技盤70の前面には、外レール72aと内レール72bが敷設されている。外レール72aと内レール72bは、パチンコ遊技の主体となるほぼ円形の遊技領域74を遊技盤70上に区画形成する。内レール72bは、外レール72aの内側に敷設されている。外レール72aと内レール72bとは、遊技盤70の左下方から左上方に向かって延設されており、打球装置20から射出された遊技球Pを遊技領域74に誘導する円弧状の誘導路73を形成している。
【0020】
遊技盤70の遊技領域74には、複数の入賞口76が配されている。これらの各入賞口76は、遊技盤70から前方向に直立し、上方に開口を有するポケット形状を有する。ポケット内部には、遊技球Pを検知するセンサが配されている。遊技機1は、入賞口76に遊技球Pが入球すると、センサがこの入球を検知したことを契機として所定球数の遊技球Pが上皿30に払い出される。遊技盤70の遊技領域74の最下部には、いずれの入賞口76にも入球せずにアウト球となった遊技球Pが入球するアウト球口77が配設されている。このアウト球口77は、アウト球を回収して内部へ送出し、機外排出を行うために設けられている。
【0021】
遊技盤70の遊技領域74には、中央に開口を有した大型の枠体であるセンター役物100が装着されている。センター役物100には遊技球が転動し得るステージが設けられている。
【0022】
遊技領域74内であってセンター役物100の下方には、始動口79が設けられている。この始動口79は、遊技盤70から前方向に直立し、上方に開口を有するポケット形状を有する。ポケット内部には、遊技球Pを検知するセンサが配されている。遊技機1は、始動口79に遊技球Pが入球すると、センサがこの入球を検知したことを契機として図柄変動ゲームを開始する。
【0023】
センター役物100の開口には、図柄表示部78が配置されている。図柄表示部78には、複数種類の図柄を変動させて複数列の図柄からなる図柄組み合わせを導出する図柄変動ゲームなどの表示演出の画像が表示される。
【0024】
図柄変動ゲームにおいて図柄表示部78では、複数種類の飾り図柄(以下、「飾図」と示す)を複数列で変動させて各列に飾図が表示される。飾図は、図柄表示部78で行われる表示演出を多様化するために用いられる演出用の図柄である。
【0025】
図柄表示部78には、図柄変動ゲームで導出される3列の図柄毎に対応して、各列の図柄を停止表示させる3つの図柄表示位置HP1,HP2,HP3が定められている。停止表示では、図柄表示部78の各図柄表示位置HP1〜HP3において図柄の種類を遊技者が識別可能な状態で図柄が表示される。この停止表示には図柄が一時的に停止している一旦停止表示と、図柄が確定的に停止している確定停止表示とがある。
【0026】
そして、図柄表示部78では、図柄変動ゲームが開始すると図柄が変動表示されるとともに、変動の停止によって各列の図柄表示位置HP1〜HP3に1つの図柄が一旦停止表示され、その後に図柄変動ゲームが終了すると各列の図柄表示位置HP1〜HP3に1つの図柄が確定停止表示される。変動表示では、図柄表示部78において図柄が予め定めた表示順序にしたがって変動しながら表示される。
【0027】
図柄変動ゲームでは、各列に[1]〜[8]の8種類の数字が飾図として表示可能とされている。そして、図柄表示部78で図柄変動ゲームが開始すると、各列の図柄は、予め定められた表示順序で図柄表示部78の上方から下方にスクロールさせながら変動表示されるようになっている。
【0028】
図柄表示部78には、当該図柄表示部78に定められる3つの図柄表示位置HP1〜HP3を結んでなる組み合わせ有効ラインLが形成されている。なお、図2では、説明の便宜上、各図柄表示位置HP1〜HP3、及び有効ラインLを図示しているが、実機においては、これらの図柄表示位置HP1〜HP3、及び有効ラインLが目視可能な状態で表示されている必要はない。有効ラインLに停止表示された3つの図柄からなる図柄組み合わせが、大当りか否かを遊技者に認識させるための有効な図柄組み合わせとなる。
【0029】
図柄変動ゲームでは、有効ラインLに停止表示させる3列の飾図を同一の飾図として形成した図柄組み合わせを、内部抽選で大当りを決定した場合に図柄表示部78に確定停止表示させる飾図の大当り図柄としている。例えば、飾図による大当りの図柄組み合わせは、[111]や[777]などである。一方、有効ラインLに停止表示させる3列の飾図を同一の飾図とせずに形成した図柄組み合わせを、内部抽選ではずれを決定した場合に演出表示装置に確定停止表示させる飾図のはずれ図柄としている。3列の飾図が同一の飾図とならない場合には、3列の飾図の全てが異なる場合や、2列の飾図が同一で、かつ1列の飾図が異なる場合が含まれる。例えば、飾図のはずれ図柄組み合わせは、[123]、[115]、[767]や[889]などである。
【0030】
始動口79の下方には、大入賞口80が配されている。大入賞口80は、開閉動作可能な開閉扉80aで閉じられている。開閉扉80aは、図柄変動ゲームで大当りが決定されると、予め定めた開放時間や開放回数で開動作し、遊技球Pの入球を許容する。そして、大入賞口80には、遊技球Pを検知するセンサが設けられており、遊技機1は、大入賞口80への入球を検知すると、所定球数の遊技球Pを払い出す。
【0031】
センター役物100は、遊技機1の前後方向に所定の厚みを有しており、遊技盤70の前面から少なくとも遊技球Pの直径以上の厚み分突出して取り付けられている。センター役物100の枠体は、枠体上部100a及び枠体下部100bを有する。枠体上部100aは、図柄表示部78の上方において遊技領域74を左右に横断している。枠体下部100bは、図柄表示部78の下方において遊技領域74を左右に横断している。
【0032】
図3は遊技盤構造体の分解斜視図である。なお、遊技盤70、裏樋71、センター役物100のいずれか一つを有するもの、または二以上の組み合わせを有するものを遊技盤構造体という場合がある。なお、図3では、遊技盤構造体として、遊技盤70、裏樋71及びセンター役物100のみを示す。
【0033】
図3に示すように、裏樋71は遊技盤70の背後に配置されている。裏樋71の背面には図柄表示部78(図3では省略)が取り付けられている。裏樋71には図柄表示部78に対応するように開口が設けられている。
【0034】
図3に示すように、遊技盤70の周縁部は、両側縁部70b、上縁部70c及び下縁部70dを有している。裏樋71の周縁部は、両側縁部71b、上縁部71c及び下縁部71dを有している。側縁部70b、71b同士、上縁部70c、71c同士、及び、下縁部70d、71d同士はそれぞれ位置合わせされている。これらの縁部は位置合わせされた状態で固定されている。側縁部70b、71b、上縁部70c、71c及び下縁部70d、71dを遊技盤構造体の周縁部という場合がある。
【0035】
遊技盤70の側縁部70b、上縁部70c及び下縁部70dには前壁部70fがそれぞれ設けられている。裏樋71の側縁部71b、上縁部71c及び下縁部71dには、後壁部70g及び側壁部70hがそれぞれ設けられている。なお、前壁部70f、後壁部70g及び側壁部70hを遊技盤構造体の周縁部という場合がある。
【0036】
遊技盤構造体の周縁部は、その中央部70e側に口を開いた略U字状の断面形状に形成されている。前壁部70f、後壁部70g及び側壁部70hで囲まれた内部は、演出装置200の設置スペースとして用いられる。遊技盤70は、それを介して図柄表示部78及び演出装置を視認することが可能なように、例えばアクリル樹脂材で形成され、その全体が透過性を有している。
【0037】
[演出装置の主構成]
以上、遊技機1の基本的な構成について説明した。次に、演出装置200の主な構成について、図2及び図4を参照して説明する。図4は遊技盤構造体の背面図である。
【0038】
図2及び図4に示すように、遊技盤構造体の両側縁部には演出装置200が左右対称的に設けられている。両方の演出装置200は左右対称的な動作をするように構成されている。
【0039】
両方の演出装置200はほぼ同じ構成をしている。演出装置200の説明において、同じ構成については、左側(図4では右側)の演出装置200を代表して説明し、右側(図4では左側)の演出装置200の説明を省略する。
【0040】
図4に示すように、演出装置200は、メインアーム210、サブアーム220、可動体300、及び駆動機構400を有している。
【0041】
以下、演出装置200について、メインアーム210、サブアーム220、可動体300の順に図4〜図8、及び図10〜図17を参照して説明する。
【0042】
〔メインアーム〕
図5は裏樋71の正面図である。なお、図5では、左右の演出装置200の可動体300が収納位置にそれぞれ配置され、前後に重なった状態を示す。
【0043】
図4及び図5に示すように、メインアーム210の一端部211側は第1軸Aにより裏樋71の側縁部71bに軸支されている。メインアーム210の他端部212は第2軸B(図4参照)により可動体300に軸支されている。第1軸Aおよび第2軸Bは前後方向にそれぞれ延設されている。なお、メインアーム210の一端部211側は裏樋71の上縁部71cに軸支されてもよく、また下縁部71dに軸支されてもよく、さらに、角部(例えば側縁部71bと上縁部71cとをつなぐ角部)に軸支されてもよい。すなわち、メインアーム210の一端部211側は、遊技者により演出装置200が図柄表示部の前面にて視認可能となる位置であれば、中央部70eの外周縁と各縁部の間のいずれの縁部に軸支されていてもよい。ここで、メインアーム210の一端部211側とは、裏樋71の周縁部に直接的に、または、後述する例えばベース部材を介して間接的に軸支される一端部をいう。
【0044】
メインアーム210の一端部211と他端部212との間の中間部213には、飾り板214が固定されている。飾り板214の端部の近傍位置には被検出部215(図5参照)及び被ガイドピン216(図10参照)が設けられている。
【0045】
また、メインアーム210の一端部211には、他端部212側とは反対側にさらに延ばされ、その先端部217には長穴217aが形成されている。
【0046】
図6は可動体300を収納位置に移動させたときの演出装置の正面図、図7は可動体を収納位置と展開位置との間の中間位置に移動させたときの演出装置の正面図、図8は可動体を展開位置に移動させたときの演出装置の正面図である。
【0047】
図6〜図8に示すように、メインアーム210は、その両端部が第1軸A、第2軸Bにより軸支されることで、可動体300を収納位置と展開位置との間に移動させる。さらに、メインアーム210は、第1軸Aに設けられた巻きばね(図示省略)により、収納位置に移動する方向に付勢されている。
【0048】
〔サブアーム〕
次に、サブアーム220について図4〜図8を参照して説明する。
【0049】
図4及び図5に示すように、サブアーム220の一端部221側は第3軸Cにより裏樋71の側縁部71bに軸支されている。サブアーム220の他端部222は第4軸D(図4参照)により可動体300に軸支されている。第3軸C及び第4軸Dは前後方向にそれぞれ延設されている。なお、サブアーム220の一端部221側は裏樋71の上縁部71cまたは下縁部71dに軸支されてもよい。ここで、サブアーム220の一端部221側とは、裏樋71の周縁部に直接的または例えばベース部材を介して間接的に軸支される一端部をいう。
【0050】
図6〜図8及び図10〜図12に示すように、サブアーム220は、メインアーム210が第1軸Aを中心にして一方向(例えば時計回り)に回動されるとき、可動体300を第2軸Bを中心にして一方向とは反対の方向(例えば反時計回り)に回動させるように構成されている。
【0051】
(平行リンク)
このような構成の一例として、裏樋71、メインアーム210、サブアーム220及び可動体300により構成された平行リンクが用いられている。
【0052】
平行リンクでは、第1軸Aと第2軸Bとの間の距離ABと、第3軸Cと第4軸Dとの間の距離CDが略等しく(AB≒CD)、かつ、第1軸Aと第3軸Cとの間の距離ACと、第2軸Bと第4軸Dとの間の距離BDが略等しくなるように構成されている(AC≒BD)。
【0053】
平行リンクにおいては、メインアーム210及びサブアーム220が平行な関係を保ちながらそれぞれ回動される。このとき、第2軸Bと第4軸Dとは相互の位置関係を保ちながら移動される。これらの軸B、Dにより可動体300がそれぞれ軸支されているため、演出中の可動体300が一定の姿勢を保つように移動されるように構成される。
【0054】
次に、サブアーム220の形状について図4、図5、及び図9を参照して説明する。図9は可動体を展開位置に移動させたときの遊技盤構造体の正面図である。
【0055】
図4、図5、及び図9に示すように、サブアーム220の一端部221と他端部222との間の中間部223は、可動体300を収納位置と展開位置との間に移動するために、メインアーム210とサブアーム220とが回動されているとき、飾り板214の背後に位置するように形成されている。
【0056】
サブアーム220の一端部221は、遊技盤70の側縁部70bの背後に位置するように形成されている。なお、遊技盤70の側縁部70bがセンター役物100の枠体の背後に配置されているので、サブアーム220の一端部221はセンター役物100の枠体の背後に位置するように形成されてもよい。それにより、サブアーム220の一端部221を前方から覆うことが可能となる。
【0057】
サブアーム220の他端部222は、メインアーム210とサブアーム220とが回動されているとき、可動体300の飾り板312の背後に位置するように形成されている。
【0058】
〔可動体〕
次に、可動体300について図2、及び図9〜図15を参照して説明する。図10は可動体を収納位置に移動させたときの演出装置の背面図、図11は可動体を中間位置に移動させたときの演出装置の背面図、図12は可動体を展開位置に移動させたときの演出装置の背面図である。
【0059】
図2、及び図9〜図12に示すように、可動体300は、裏樋71の前面に配置され、メインアーム210の回動により、裏樋71の上縁部71c側の収容位置と裏樋71の中央部(遊技盤構造体の中央部70eに相当する)側の展開位置との間を移動される。
【0060】
図13は図10のA−A線断面図である。図10及び図13に示すように、可動体300は、ハウジング部材310、ケース部材320、基板330、拡散部材340、窓部材350、及びレンズカバー360を有している。
【0061】
また、可動体300は、収納位置に配置されているときに、裏樋71の上縁部71cが上方から相対的に嵌め込まれる凹部301を有する。
【0062】
(ハウジング部材)
図10及び図13に示すように、ハウジング部材310は、前側と後側とに開口部310aを有する筒状体311を有している。筒状体311の外周には羽根状の飾り板312が設けられている。飾り板312の背後には拡張部313が配置されている。拡張部313は、筒状体311の筒壁の一部を外方に張り出させることにより形成されている。
【0063】
図14は図10のB−B線断面図である。図10及び図14に示すように、飾り板312の背後には接続部314が配置されている。接続部314は、筒状体311の外周に設けられている。
【0064】
(ケース部材)
図15は図10のC−C線断面図である。図10、図13及び図15に示すように、ケース部材320は、後側の開口部310a近傍に配置され、筒状体311に嵌め込まれた状態で固定されている。ケース部材320の前面側にはモータMが固定されている。モータMは拡張部313内に収容されている。モータMの回転軸には第1歯車321が固定されている。第1歯車321は、ケース部材320の後面側に配置されている。
【0065】
さらに、ケース部材320の後面側には第2歯車322及び第3歯車323が配置されている。第1歯車321が第2歯車322と噛み合わされ、さらに、第2歯車322が第3歯車323と噛み合わされている。第3歯車323の回転軸324が筒状体311の中心軸に沿って前方に延設されている。回転軸324により後述するレンズカバー360が軸支されている。第3歯車323、回転軸324及びレンズカバー360は相対的に回転しないように構成されている。
【0066】
第3歯車323には切り欠き部326が設けられている。切り欠き部326の近接により検知信号を出力する近接スイッチ(図示省略)が設けられている。検出信号を受けて、モータMへの通電を制御することにより、レンズカバー360を所定の回転位置に止めることが可能な制御部(図示省略)が設けられている。
【0067】
(基板)
図10及び図13に示すように、基板330は、ケース部材320の前側に配置され、筒状体311に嵌め込まれている。基板330の前面部には複数のLED331が配置されている。
【0068】
(拡散部材)
図10及び図13に示すように、拡散部材340は、基板330の前側に配置され、筒状体311に嵌め込まれ、基板330と共にケース部材320に固定されている。拡散部材340はLED331からの光を拡散させる。拡散光は後述する窓部材350を通り、さらにレンズカバー360に入射する。
【0069】
(窓部材)
図10及び図13に示すように、窓部材350は、拡散部材340の前面側に配置され、筒状体311の前側の開口部310aに嵌め込まれ、筒状体311に固定されている。窓部材350は透光性を有する。
【0070】
図10及び図13に示すように、ハウジング部材310の上部315、ケース部材320の上部325、基板330の上部335、拡散部材340の上部345、及び、窓部材350の上部355は、上下方向の同じ位置で略水平にそれぞれが切除されることにより、凹部301を構成している。
【0071】
(レンズカバー)
図6、図10及び図13に示すように、レンズカバー360は、窓部材350の前側に配置され、回転軸324により軸支されている。レンズカバー360は、透光性を有し、回転軸324を中心位置にして略円板状に形成されている。レンズカバー360の前面部には、文字、図形、記号などの形態が設けられている。”演”の文字が設けられたレンズカバー360を図6に示す。
【0072】
レンズカバー360においては、凹部301に相当する部分以外がLED331により照射され、凹部301に相当する部分がLED331により照射されない。
【0073】
LED331により照射されない部分については、可動体300が収納位置に配置されたとき、裏樋71に設けられたLED(図示省略)により照射される。また、可動体300が展開位置に配置されたとき、図柄表示部78により照射される。それにより、LED331により照射されない部分についても十分な光量により照射することが可能となる。
【0074】
〔駆動機構〕
次に、駆動機構400について図5〜図8、及び図10〜図12を参照して説明する。
【0075】
図5及び図6に示すように、駆動機構400は、ベース部材410、モータ420及び伝達手段430を有している。
【0076】
(ベース部材)
図5、図6及び図10に示すように、ベース部材410は、裏樋71の側縁部71bの後壁部70g(前後方向と略直交する壁部)に沿うように設けられている。ベース部材410には第1軸A及び第3軸Cが設けられている。第1軸A及び第3軸Cは上下の位置関係で配置されている。
【0077】
また、ベース部材410にはスライダ440を上下方向に案内するためのガイド部411及びガイドピン412が設けられている。スライダ440の詳細については後述する。
【0078】
さらに、ベース部材410には、被検出部215の近接により検出信号を出力する近接スイッチ413が設けられている。近接スイッチ413は、可動体300が収納位置に移動されたとき、検出信号を出力する。検出信号を受けて、モータ420への通電を制御することにより、可動体300を収納位置に止めることが可能となる。
【0079】
さらに、図10に示すように、ベース部材410には、被ガイドピン216を案内するためのガイド溝414が設けられている。ガイド溝414は、第1軸Aの位置を中心とする円弧状に形成されている。
【0080】
ベース部材410が設けられる周縁部は裏樋71の側縁部71bに限らず、上縁部71c、下縁部71dでもよく、また、後壁部70gに限らず、前壁部70f、側壁部70hでもよい。
【0081】
(モータ)
図6〜図8、及び図10に示すように、モータ420は、ベース部材410に設けられている。モータ420の出力ギア421はアイドルギア422と噛み合っている。アイドルギア422は、後述する回転体450のギア部と噛み合っている。
【0082】
(伝達手段)
図5〜図8、及び図10〜図12に示すように、伝達手段430は、ベース部材410に設けられ、スライダ440及び回転体450を有している。
【0083】
スライダ440は、長穴部441を有し、長穴部441の長手方向と略直交する方向に移動するように設けられている。ここで、長手方向は前後方向と略直交する略水平方向(略左右方向)である。また、略直交する方向は略上下方向であり、後壁部70gに沿った方向である。
【0084】
スライダ440には略上下方向を長手方向とする長溝442が形成されている。長溝442にはガイドピン412が略上下方向に相対移動するように嵌合されている。スライダ440はガイドピン412及び前述したガイド部411により上下方向に案内される。
【0085】
スライダ440の長溝442の下端部の近傍位置には長穴部441が配置され、長溝442の上端部の近傍位置には第5軸Eが配置されている。第5軸Eは、第1軸Aと同様に、前後方向に延設され、メインアーム210の長穴217aに相対的に移動可能に嵌合されている。
【0086】
第5軸Eは、それが上方に移動されると、メインアーム210の長穴217aの側縁が第5軸Eにより押し上げられ、メインアーム210が第1軸Aを中心にして時計回りに回動され、反対に、第5軸Eが下方に移動されると、メインアーム210の長穴217aの側縁が第5軸Eにより押し下げられ、メインアーム210が第1軸Aを中心にして反時計回りに回動されるように、メインアーム210の先端部217に接続されている。
【0087】
回転体450は、第6軸Fにより軸支されている。第6軸Fは、第1軸Aと同様に前後方向に延設されている。第6軸Fから偏心した位置には突出部451が設けられている。突出部451は、長穴部441に相対的に移動可能に挿通されている。
【0088】
回転体450は、モータ420の回転力を受けて回転されるとき、突出部451により上下方向の力を長穴部441の側縁部に印加させるように構成されている。
【0089】
突出部451は、可動体300が収納位置及び展開位置の一方から他方に移動されるとき、略上下方向上の二つの位置の近傍間を円弧状の軌跡に沿って移動するように配置されている。
【0090】
突出部451の動きがメインアーム210に伝達される機構、主に動きが伝わる順番について図6〜図8、及び図10〜図12を参照して説明する。
【0091】
図6〜図8、及び図10〜図12に示すように、突出部451が反時計回りに略6時の位置から略12時の位置へ移動するとき、可動体300が収納位置から展開位置に移動される。突出部451が時計回りに略12時の位置から略6時の位置へ移動するとき、可動体300が展開位置及から収納位置に移動される。なお、突出部451が時計回りに略2時の位置と略4時の位置との間を移動するとき、可動体300が展開位置と収納位置との間の中間位置において移動される。
【0092】
図6及び図10に示すように、モータ420により回転体450が回転され、突出部451が略6時の位置と略5時の位置との間(または、略12時の位置と略1時の位置との間)に移動されると、突出部451の移動量に対する上下方向の成分量が小さいため、突出部451は、大きな力で長穴部441の側縁部を上方または下方へ押し上げる。その大きな力がスライダ440及び第5軸Eに伝えられ、さらに、第5軸Eからメインアーム210の長穴217aの側縁に伝えられる。そのため、大きな力でメインアーム210の先端部217が上方または下方に移動され、大きな力でメインアーム210が第1軸Aを中心にして回動される。それにより、可動体300が収納位置から展開位置へ(または、展開位置から収納位置へ)中間位置と比較して大きな力で移動される。
【0093】
モータ420により回転体450が回転され、突出部451が略2時の位置と略4時の位置との間に移動されるとき、突出部451の移動量に対する上下方向の成分量が大きいため、突出部451は、長穴部441の側縁部を大きく移動させることが可能となる。側縁部が大きく移動される分だけ、第5軸Eが大きく移動され、メインアーム210の長穴217aの側縁が大きく移動されるため、メインアーム210の先端部217が上下方向に大きく移動され、メインアーム210が第1軸Aを中心にして大きく回動される。それにより、可動体300が中間位置において、収納位置や展開位置の近傍と比較して高速で移動される。
【0094】
〔動作〕
次に、演出装置200の一連の動作について説明する。
先ず、平行リンクの作用について図2及び図16〜図18を参照して説明する。図16は可動体を収納位置に移動させたときの演出装置の模式図、図17は可動体を中間位置に移動させたときの演出装置の模式図、図18は可動体を展開位置に移動させたときの演出装置の模式図である。なお、図16〜図18では、飾り板214及びサブアーム220を一点鎖線及び破線でそれぞれ示している。
【0095】
図16〜図18に示すように、可動体300を収納位置と展開位置との間に移動するために、メインアーム210とサブアーム220とが回動されているとき、サブアーム220の一端部221と他端部222との間の中間部223は、飾り板214の背後に位置する。サブアーム220の一端部221は、遊技盤70の側縁部70bの背後に位置する。
【0096】
なお、遊技盤70の側縁部70bがセンター役物100の枠体の背後に配置されているので、サブアーム220の一端部221はセンター役物100の枠体の背後に位置することにもなる。それにより、サブアーム220の一端部221は前方から覆われる。
【0097】
サブアーム220の他端部222は、メインアーム210とサブアーム220とが回動されているとき、可動体300の飾り板312の背後に位置する。
【0098】
以上のように、サブアーム220の全体が前方から覆われているため、遊技者が一見してメインアーム210のみにより可動体300を移動させているように感じるため、演出装置200の見栄えを向上させることが可能となる。
【0099】
次に、可動体300の変動動作について図2、図6〜図12、図19、及び図20を参照して説明する。図19は可動体を展開位置に移動させたときの遊技盤構造体の背面図である。
【0100】
(収納位置〜展開位置)
図2に示すように、可動体300が収納位置に配置されているとき、裏樋71の上縁部71cが可動体300の凹部301に相対的に上方から嵌め込まれている。凹部301が設けられることにより、裏樋71の上縁部71cに可動体300の収納スペースを確保することが困難なときにも、可動体300の収納位置を裏樋71の上縁部71c側に設けることが可能となる。
【0101】
また、図2に示すように可動体300が収納位置に配置されているとき、レンズカバー360は所定の姿勢に保持されていて、レンズカバー360に設けられている”演”の文字は真っ直ぐに立った状態にある。
【0102】
図6及び図10に示すように、可動体300が収納位置に配置されているとき(例えば、突出部451が略6時の位置に配置されているとき)、モータ420により回転体450を反時計回りに回転させると、突出部451により長穴部441の側縁部が大きな力で上方へ押し上げられるため、大きな力がスライダ440及び第5軸Eに伝えられ。さらに、大きな力が第5軸Eからメインアーム210の先端部217に伝えられる。そのため、第5軸Eにより大きな力でメインアーム210の先端部217が上方に移動されるため、メインアーム210が第1軸Aを中心にして時計回りに回動される。それにより、大きな力で可動体300が収納位置から展開位置へ移動される。
【0103】
可動体300が収納位置から展開位置へ移動されるとき、メインアーム210及びサブアーム220が平行な関係を保ちながら回動されるため、可動体300が一定の姿勢を保つように移動され、”演”の文字が真っ直ぐに立った状態に維持される。
【0104】
図7及び図11に示すように、可動体300が収納位置と展開位置との間の中間位置の近傍に配置されているとき(例えば、突出部451が略2時の位置と略4時の位置との間に配置されているとき)、モータ420により回転体450を反時計回りに回転させると、突出部451により長穴部441の側縁部が上方へ大きく移動され、さらに、この大きな移動により、スライダ440、第5軸E、及びメインアーム210の一端部211が大きく移動されるため、中間位置の近傍においては、可動体300が高速で展開位置へ移動される。
【0105】
可動体300が中間位置から展開位置へ移動されるときも、メインアーム210及びサブアーム220が平行な関係を保ちながら回動されるため、可動体300が一定の姿勢を保つように移動され、”演”の文字が真っ直ぐに立った状態に維持される。
【0106】
図6及び図19に示すように、可動体300が展開位置の近傍に配置されているとき(例えば、突出部451が略1時の位置に配置されているとき)、モータ420により回転体450を反時計回りに回転させると、突出部451により長穴部441の側縁部が上方へ小さく移動され、さらに、この小さな移動がスライダ440から第5軸Eを介してメインアーム210に伝えられるため、可動体300を低速で図8及び図12に示す展開位置に移動させることが可能となる。可動体300が中間位置から展開位置へ移動されるとき、可動体300の移動が高速から低速へ徐々に減速されることで、可動体300の慣性力が徐々に小さくなるため、可動体300が展開位置に停止するときに、メインアーム210及び駆動機構400等が大きな慣性力を受けずに済む。
【0107】
以上のように、可動体300が収納位置から展開位置に移動されるとき、メインアーム210及びサブアーム220が平行な関係を保ちながら回動されるため、可動体300の姿勢が左右に傾くことがなく、”演”の文字が真っ直ぐに立った状態に維持されるため、演出装置200の見栄えを向上させることが可能となる。
【0108】
また、メインアーム210及びサブアーム220がそれぞれ回動されるとき、平行リンクの作用においても述べたように、サブアーム220は、メインアーム210の飾り板214、遊技盤70の側縁部70b(センター役物100の枠体)及び可動体300の飾り板312により前方から覆われている。それにより、遊技者が一見してメインアーム210のみにより可動体300を移動させているように感じるため、演出装置200の見栄えを向上させることが可能となる(図16〜図18参照)。
【0109】
(展開位置〜収納位置)
可動体300が展開位置に配置されているとき(例えば、突出部451が略12時の位置に配置されているとき)、モータ420により回転体450を時計回りに回転させると、突出部451により長穴部441の側縁部が大きな力で押し下げられ、さらに、この大きな力がスライダ440から第5軸Eを介してメインアーム210に伝えられるため、可動体300が大きな力で展開位置から収納位置へ移動される。メインアーム210及びサブアーム220は平行な関係を保ちながら回動される。
【0110】
可動体300が展開位置から収納位置へ移動されるとき、メインアーム210及びサブアーム220が平行な関係を保ちながら回動されるため、可動体300が一定の姿勢を保つように移動され、“演”の文字が真っ直ぐに立った状態に維持される。
【0111】
可動体300が中間位置の近傍(例えば、突出部451が略2時の位置と略4時の位置との間に配置されているとき)に配置されているとき、モータ420により回転体450を時計回りに回転させると、突出部451により長穴部441の側縁部が下方へ大きく移動され、さらに、この大きな移動により、スライダ440、第5軸E、及びメインアーム210の一端部211が大きく移動されるため、中間位置の近傍においては、可動体300が高速で収納位置へ移動される。
【0112】
可動体300が収納位置の近傍(例えば、突出部451が略5時の位置に配置されているとき)に配置されているとき、モータ420により回転体450を時計回りに回転させると、突出部451により長穴部441の側縁部が下方へ小さく移動され、さらに、この小さな移動がスライダ440から第5軸Eを介してメインアーム210に伝えられるため、可動体300を低速で収納位置に移動させることが可能となる。可動体300が中間位置から収納位置へ移動されるとき、可動体300の移動が高速から低速へ徐々に減速されることで、可動体300の慣性力が徐々に小さくなるため、可動体300が収納位置に停止するときに、メインアーム210及び駆動機構400等が大きな慣性力を受けずに済む。
【0113】
可動体300が収納位置に移動されるとき、裏樋71の上縁部71cが可動体300の凹部301に相対的に上方から嵌め込まれる。
【0114】
以上のように、可動体300が展開位置から収納位置に移動されるとき、メインアーム210及びサブアーム220が平行な関係を保ちながら回動されるため、可動体300の姿勢が左右に傾くことがなく、“演”の文字が真っ直ぐに立った状態に維持されるため、演出装置200の見栄えを向上させることが可能となる。
【0115】
また、平行リンクの作用においても述べたように、メインアーム210及びサブアーム220がそれぞれ回動されるとき、サブアーム220は、メインアーム210の飾り板214、遊技盤70の側縁部70b(センター役物100の枠体)及び可動体300の飾り板312により前方から覆われている。それにより、遊技者が一見してメインアーム210のみにより可動体300を移動させているように感じるため、演出装置200の見栄えを向上させることが可能となる(図16〜図18参照)。
【0116】
以上の本実施形態に係る遊技機によれば、可動体300による演出において、可動体300が一定の姿勢に保たれるため、演出装置200の見栄えを向上させることが可能となる。
【0117】
図20は両方の可動体を展開位置に移動させたときの遊技盤構造体の正面図である。実施形態では図6及び図19に示すように、右側の演出装置200の構成及び動作について説明を省略したが、図20に示すように、右側の演出装置200についても前述する左側の演出装置200と同様な構成を有し、同様な動作を行うように構成されている。左右の演出装置200を単独で動かせることで、見栄えを向上させることが可能となる。
なお、図20では、左右両方の演出装置200の可動体300が収納位置にそれぞれ配置され、前後に重なった状態を示す。
図20に示すように左右の演出装置200を互いに連動させたりすることで、より面白味のある演出を行うことが可能となる。
【0118】
〔変形例〕
なお、実施形態の変形例としては、駆動機構400が裏樋71の周縁部(側縁部71b、上縁部71c、下縁部71dあるいは角部)のどこに設置されるかに応じて、スライダ440の長穴部441の長手方向等が変更されてもよい。
【0119】
実施形態では、図6に示すように、駆動機構400が裏樋71の側縁部71bに設けられる。その関係で、スライダ440の長穴部441の長手方向を左右方向とし、また、長溝442の長手方向を上下方向とし、さらに、第6軸Fの延設方向を前後方向とした。
【0120】
これに対し、変形例では、駆動機構400が裏樋71の上縁部71cや下縁部71dに設けられる。その関係で、スライダ440の長穴部441の長手方向は上下方向となり、また、長溝442の長手方向は左右方向となる。
【0121】
変形例に係る駆動機構400においても、実施形態と同様に、スライダ440に設けられた第5軸Eにメインアーム210の先端部217が接続され、スライダ440と共に左右方向に移動される第5軸Eにより、メインアーム210が第1軸Aを中心にして回動される。
【0122】
また、スライダ440の長穴部441の長手方向等は、駆動機構400の設置スペースの断面形状に応じて変更されてもよい。
【0123】
図21は遊技盤構造体の周縁部の断面を示す模式図である。図21では、遊技盤構造体の側縁部を略水平に切断した断面を表す。図21において、紙面に直交する方向が上下方向となる。
【0124】
実施形態では、図5及び図21に示すように、駆動機構400の設置スペースの断面形状において、左右方向の幅WTが奥行きDTより長い(WT>DT)。駆動機構400の幅Wは高さHより長いため(W>H)、長いもの同士の幅WT、Wを合わせるようにして、駆動機構400が設置される。その関係で、図6に示すように、スライダ440の長穴部441の長手方向を左右方向とし、また、長溝442の長手方向を上下方向とし、さらに、第6軸Fの延設方向を前後方向とした。
【0125】
図22は設置スペースをスライダ440の長穴部441の位置で略水平に切断した変形例を示す断面図、図23は設置スペースをスライダ440の長溝442の位置で略水平に切断した変形例を示す断面図である。なお、図22及び図23において、紙面に直交する方向がそれぞれ上下方向となる。
【0126】
変形例では、図22及び図23に示すように、駆動機構400の設置スペースの断面形状において、前後方向の奥行きDTが左右方向の幅WTより長い(DT>WT)。駆動機構400の幅Wは高さHより長いため(W>H)、長いもの同士DT、Wを合わせるようにして、駆動機構400が設置されると、スライダ440の長穴部441の長手方向が前後方向となり、第6軸Fの延設方向が左右方向となる。
【0127】
変形例に係る駆動機構400においても、実施形態と同様に、スライダ440に設けられた第5軸Eにメインアーム210の先端部217が接続され、スライダ440と共に上下方向に移動される第5軸Eにより、メインアーム210が第1軸Aを中心にして回動される。
【0128】
また、実施形態においては、リンク機構の一例として平行リンクが用いられることにより、可動体300が一定の姿勢を保ちながら収納位置と展開位置との間に移動されるものを示したが、リンク機構はこれに限らない。
【0129】
図24はリンク機構の変形例を示す模式図である。図24に示すように、メインアーム210の一端部が第1軸Aにより裏樋71の上縁部71cに軸支され、メインアーム210の他端部が第2軸Bにより可動体300に軸支されている。また、サブアーム220の一端部が第3軸Cにより裏樋71の上縁部71c側に軸支され、サブアーム220の他端部が第4軸Dにより可動体300に軸支されている。
【0130】
さらに、裏樋71の上縁部71cには第1軸Aを左右方向に案内するためのガイド手段70iが設けられている。裏樋71の上縁部71cには第3軸Cを左右方向に案内するためのガイド手段70jが設けられている。
【0131】
以上のようなリンク機構に対応して駆動機構400が設けられている。駆動機構400は、第1アーム510、第2アーム520、駆動軸530、ガイド手段540およびモータ(図示省略)を有している。
【0132】
第1アーム510の一端部及び他端部が第1軸A及び駆動軸530によりそれぞれ軸支されている。また、第2アーム520の一端部及び他端部が第3軸C及び駆動軸530によりそれぞれ軸支されている。さらに、駆動軸530はガイド手段540により上下方向に案内され、モータの動力を受けて移動される。
【0133】
可動体300による演出において、モータの動力を受けて、駆動軸530が上下方向に移動されると、第1アーム510及び第2アーム520を介して、第1軸A及び第3軸Cが近接/離間され、メインアーム210及びサブアーム220が回動され、可動体300が収納位置と展開位置との間に移動される。
【0134】
可動体300が収納位置と展開位置との間に移動されるとき、第2軸Bと第4軸Dとが相互に位置関係を保ちながら移動されるので、第2軸B及び第4軸Dにそれぞれ軸支される可動体300も一定の姿勢を保ちながら移動される。
【0135】
さらに、実施形態では、サブアーム220がメインアーム210の飾り板214の背後の位置にするように形成されたものを示したが、これに限らない。
【0136】
図25は、メインアーム210及びサブアーム220の変形例を示す横断面図である。図25に示すように、メインアーム210に貫通穴218が形成され、サブアーム220が貫通穴218に挿通するように形成されてもよい。この変形例において、メインアーム210の背後とは、メインアーム210の前面部219の背後をいう。
【符号の説明】
【0137】
A 第1軸
B 第2軸
C 第3軸
D 第4軸
1 遊技機
70 遊技盤
70b 側縁部
71 裏樋
71b 側縁部
100 センター役物
200 演出装置
210 メインアーム
220 サブアーム
300 可動体
301 凹部
400 駆動機構
410 ベース部材
420 モータ
430 伝達手段
440 スライダ
441 長穴部
450 回転体
451 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤構造体の前面に配置された可動体により演出を行う遊技機において、
遊技盤構造体に一端部側が第1軸により軸支され、前記可動体に他端部が第2軸により軸支されたメインアームと、
前記遊技盤構造体に一端部側が第3軸により軸支され、前記可動体に他端部が第4軸により軸支され、前記メインアームが前記第1軸を中心にして一方向に回動されるとき、前記可動体を前記第2軸を中心にして前記一方向とは反対の方向に回動させるサブアームと、
前記メインアームを回動させる駆動機構と、
を有する
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記第1軸と前記第2軸との間の距離と、前記第3軸と前記第4軸との間の距離が略等しく、かつ、前記第1軸と前記第3軸との間の距離と、前記第2軸と前記第4軸との間の距離が略等しいことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記サブアームは、前記メインアームと前記サブアームとが回動されているとき、前記メインアームの背後に位置するように形成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記可動体は、前記メインアームの回動により、前記遊技盤構造体の周縁部側の収納位置と、前記遊技盤構造体の中央部側の展開位置との間を移動され、前記収納位置に配置されているときに、前記遊技盤構造体の周縁部が嵌合する凹部を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の遊技機。
【請求項5】
前記駆動機構は、
前記遊技盤構造体の周縁部に沿うように設けられたベース部材と、
前記ベース部材に設けられ、回転力を発生させるモータと、
前記ベース部材に設けられ、前記メインアームの前記一端部に前記回転力を伝える伝達手段と、
を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の遊技機。
【請求項6】
前記伝達手段は、
長穴部を有し、前記長穴部の長手方向と略直交する方向に移動するように設けられたスライダと、
前記長穴部に相対的に移動可能に挿通された突出部を有し、前記突出部から離れた位置を中心として回転するように設けられ、前記回転力を受けて回転するとき、前記突出部により前記略直交する方向の力を前記長穴部の側縁部に印加させる回転体と、
を有し、
前記メインアームの一端部は、前記略直交する方向における位置において前記スライダに軸支されている
ことを特徴とする請求項5に記載の遊技機。
【請求項7】
前記突出部は、前記可動体が前記収納位置及び前記展開位置の一方から他方に移動されるとき、前記略直交する方向における二つの位置の間を、円弧状の軌跡に沿って移動するように構成されている
ことを特徴とする請求項6に記載の遊技機。

【図1】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−17765(P2013−17765A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155536(P2011−155536)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000135210)株式会社ニューギン (1,935)
【Fターム(参考)】