説明

遊技機

【課題】趣向性を高めることが可能な遊技機を提供する。
【解決手段】パチンコ遊技機では、ピニオン56が回転駆動されると、ラック75によって可動演出部材70が基準平面内を前進又は後退する。このとき、可動演出部材70からベース部材41に向かって突出した可動係合突部80が、ベース部材41のガイド孔53に沿って移動する。そして、可動係合突部80の位置の変化によって、可動演出部材70が前進又は後退する際の向きが変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース部材に対して第1位置と第2位置との間で移動する可動演出部材を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機として、可動演出部材が、ラックアンドピニオン機構によって直線状に進退するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−192154号公報(段落[0072]、図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の遊技機では、可動演出部材の動きが単調であるため趣向性に欠けるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従来より趣向性を高めることが可能な遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る遊技機は、ベース部材に対して向きを変えながら第1位置と第2位置との間で移動する可動演出部材を備えた遊技機において、ベース部材に回転可能に支持された回転軸を中心に回転駆動される動力伝達車と、動力伝達車を回転駆動するための回転駆動源と、可動演出部材に固定されて、動力伝達車と係合する線状受動部と、可動演出部材からベース部材に向かって突出した可動係合突部と、ベース部材に設けられて、その形状に沿って可動係合突部が移動可能に係合する少なくとも一部が曲線状に形成された演出回動位置決定ガイドとを備え、線状受動部と動力伝達車は、動力伝達車を中心とした線状受動部の回転を許容した状態で係合状態に保持され、動力伝達車の回転に伴って線状受動部と共に可動演出部材が第1位置と第2位置との間で移動ると共に演出回動位置決定ガイドにおける可動係合突部の位置が変化し、可動係合突部の位置が演出回動位置決定ガイドの曲線形状に沿って変化する際に、線状受動部が動力伝達車の回転方向に回転し、可動演出部材が第1位置と第2位置との間で移動する際の向きが変更されるように構成したところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の遊技機において、可動演出部材の移動経路における一端に配置された可動部材を視認困難にするカバー部材を備え、可動演出部材の移動経路における一端から他端に向かうに従って、動力伝達車と可動係合突部との距離が徐々に縮まるように構成したところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の遊技機において、線状受動部は、直線状に形成されたところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載の遊技機において、演出回動位置決定ガイドは、直線部を有し、可動演出部材の移動に伴って可動係合突部が演出回動位置決定ガイドの直線部を通過する際に、その直線部と線状受動部とが略平行になって、可動演出部材が向きを変更せずに移動するように構成したところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載の遊技機において、可動演出部材の移動経路における一端に配置された可動演出部材の少なくとも一部を、遊技者にとって視認困難となるように覆うカバー部材を設け、可動演出部材がその移動経路における一端から他端に向かうに従って可動演出部材が徐々にカバー部材の外側に露出していくように構成したところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載の遊技機において、可動演出部材は、進退方向が横方向より長い形状をなし、カバー部材の内側の収納部は、可動演出部材が進退する進退口からの奥行きより横幅が広く形成されると共に、その横幅方向に進退口が配置され、可動演出部材は、収納部外に露出した状態から進退口に対してカーブを切りながら入っていき、収納部の横幅方向に可動演出部材の長手方向を向けた状態にして収納されるように、演出回動位置決定ガイドによってガイドされるところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れか1の請求項に記載の遊技機において、移動経路における一端又は他端に向かって移動した可動演出部材によってオン又はオフされる検出スイッチを備えたところに特徴を有する。
【0013】
請求項8の発明は、請求項1乃至6の何れか1の請求項に記載の遊技機において、可動演出部材は、移動経路における一端又は他端の手前で上下方向又は斜め上下方向に降下して移動経路の下端としての一端又は他端で停止するように構成され、ベース部材には、移動経路の下端に向かって降下する可動演出部材から力を受けて弾性変形するアシスト弾性部材が備えられているところに特徴を有する。
【0014】
請求項9の発明は、請求項8に記載の遊技機において、ベース部材に往復動可能に支持されて待受位置と作動位置との間を往復動する往復部材を設け、アシスト弾性部材は、往復部材を待受位置に向けて付勢するように組み付けられ、移動経路の下端に向かって降下する可動演出部材が、待受位置の往復部材に当接して作動位置まで押し下げるように構成したところに特徴を有する。
【0015】
請求項10の発明は、請求項9に記載の遊技機において、往復部材が作動位置に位置しているか否かを検出する検出スイッチを備えたところに特徴を有する。
【0016】
請求項11の発明は、請求項1乃至10の何れかに記載の遊技機において、動力伝達車は、ピニオンであり、線状受動部は、ピニオンに噛合したラックであるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0017】
[請求項1の発明]
請求項1の発明に係る遊技機では、動力伝達車が回転駆動されると、線状受動部によって可動演出部材がベース部材に対して第1位置と第2位置との間で移動する。このとき、可動演出部材からベース部材に向かって突出した可動係合突部が、ベース部材の演出用回動位置決定ガイドに沿って移動する。そして、可動係合突部の位置が演出回動位置決定ガイドの曲線形状に沿って変化することで、可動演出部材が移動する際の向きが変更される。このように、本発明によれば、可動演出部材が向きを変更しながら第1位置と第2位置との間で移動するという、従来の遊技機にはなかった可動演出部材の動きを達成することができ、趣向性を高めることができる。
【0018】
[請求項2の発明]
動力伝達車と可動係合突部との距離は、可動演出部材が移動経路における一端から他端に向かうに従って、徐々に離れるように構成してもよいし、一旦縮まった後、離れるように構成してもよいし、一旦離れた後、縮まるように構成してもよいし、請求項2の発明のように、徐々に縮まるように構成してもよい。また、請求項2の発明によれば、可動演出部材を移動経路の一端から他端に移動させるにつれて、可動演出部材を徐々に出現させる動作が可能となる。
【0019】
[請求項3の発明]
線状受動部は、曲線状であってもよいし、曲線部と直線部を両方有する形状であってもよいし、請求項3の発明のように、直線状であってもよい。請求項3の発明によれば、線状受動部の構造を簡易にすることができる。
【0020】
[請求項4の発明]
請求項4の発明によれば、可動演出部材が第1位置と第2位置との間で移動する際に、向きを変更した後、一気に直線状に移動させることができる。
【0021】
[請求項5の発明]
請求項5の発明によれば、移動経路の一端においてカバー部材によって視認困難であった可動演出部材が、移動経路の他端に向かうに従って徐々に視認可能となるので、遊技者に驚きを与えることができる。
【0022】
[請求項6の発明]
請求項6の発明では、可動演出部材が、遊技者にとって視認可能な位置から直線的な動きでは収納できない狭いスペースへとカーブを切りながら収納されるので、遊技者に意外性を与えることができる。しかも、可動演出部材が直線状に移動して収納される場合と比較して、可動演出部材をコンパクトに収納することができる。
【0023】
[請求項7の発明]
請求項7の発明によれば、可動演出部材が移動経路における一端又は他端に配置されたことを検出スイッチによって検出することができる。
【0024】
[請求項8,9の発明]
請求項8,9の発明によれば、可動演出部材が移動経路の下端から上方又は斜め上方に移動する際に、アシスト弾性部材から力を受けるので、回転駆動源にかかる負荷を低減することができる。
【0025】
[請求項10の発明]
また、請求項10の発明の構成では、移動経路の下端に配置された可動演出部材に当接して作動位置まで押し下げられた往復部材は、検出スイッチにて検出される。すなわち、往復部材を可動演出部材とは別部品で構成しているため、可動演出部材が移動する際にガタが大きくなってしまう構成であっても、往復部材が移動することで検出スイッチによる位置検出を行えばよく、可動演出部材の位置検出をより正確に行うことが可能となる。
【0026】
[請求項11の発明]
動力伝達車と線状受動部の組合せは、摩擦車と摩擦ベルトであってもよいし、請求項11の発明のように、ピニオンとラックであってもよい。請求項11の発明によれば、可動演出部材の遊技領域に対する奥行き方向への寸法を小さく構成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る遊技機の正面図
【図2】可動演出部材が第2演出位置にあるときの遊技板の正面図
【図3】可動演出部材が第1演出位置にあるときの可動役物装置の正面図
【図4】可動演出部材が第2演出位置にあるときの可動役物装置の正面図
【図5】ベース部材の構成部品の前方斜視図
【図6】ベース部材の構成部品の後方斜視図
【図7】可動演出部材の構成部品の前方斜視図
【図8】可動演出部材の構成部品の後方斜視図
【図9】前側カバー及び支持プレートの前方斜視図
【図10】前側カバー及び支持プレートの後方斜視図
【図11】可動演出部材が第1演出位置にあるときの前側カバー及び可動演出部材の後面図
【図12】可動演出部材が第1演出位置にあるときのラックの断面図
【図13】図12におけるA−A断面図
【図14】可動係合突部がガイド孔の第2湾曲部にあるときの前側カバー及び可動演出部材の後面図
【図15】可動係合突部がガイド孔の第2湾曲部にあるときのピニオン及びラックの断面図
【図16】可動係合突部がガイド孔の第1湾曲部にあるときのピニオン及びラックの断面図
【図17】可動係合突部がガイド孔の直線部にあるときのピニオン及びラックの断面図
【図18】変形例に係る前側カバー及び可動演出部材の後面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を適用したパチンコ遊技機10に係る一実施形態を、図1〜図17に基づいて説明する。図1に示すように、遊技板11の前面には、ガイドレール12で囲まれたほぼ円形の遊技領域R1が形成されている。
【0029】
遊技板11の前面は、パチンコ遊技機10の前面に開閉可能に取り付けられた前面枠10Zにて覆われ、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して遊技領域R1の全体が視認可能となっている。ガラス窓10Wの周囲には、装飾ランプ35が設けられている。また、前面枠10Zのうちガラス窓10Wより上側の両角位置には、それぞれスピーカ25,25が設けられている。前面枠10Zのうちガラス窓10Wより下方には、上皿26及び下皿27が上下2段にして設けられ、下皿27の右端部には操作ノブ28が設けられている。そして、操作ノブ28を回動操作すると、上皿26に収容された遊技球が遊技領域R1に向けて弾き出される。なお、上皿26に備えたボタン(図示せず)を押すと上皿26に収容されている遊技球が下皿27へと移動する。
【0030】
図2に示すように、遊技板11のうち遊技領域R1の中央には、遊技板表示窓10Hが貫通形成されており、その遊技板表示窓10Hに遊技板11の裏面側から表示装置30が対向している。表示装置30は、液晶モジュール(例えば、TFT−LCDモジュール)で構成され、その表示画面30Gが、遊技板11の奥側に配置されている。
【0031】
遊技板11の前面中央には、表示画面30Gを囲むように表示装飾枠23が取り付けられている。表示装飾枠23は、遊技板11の前面側から遊技板表示窓10Hに嵌め込まれ、遊技板表示窓10Hの内側に張り出すと共に、遊技板11の前面から突出している。そして、遊技領域R1を流下する遊技球が、表示装飾枠23の前側を通過して表示装飾枠23の内側に進入しないように構成されている。
【0032】
遊技領域R1のうち表示装飾枠23の下方における左右方向の中央部には、第1及び第2の始動入賞口14A,14B、第1大入賞口15及びアウト口16が、上から順に間隔を開けて並べて設けられている。また、第1大入賞口15の左右両側には、サイド入賞口21,21が設けられ、始動入賞口14A,14Bの左側には、ガイドレール12に沿って一般入賞口20,20が設けられている。また、表示装飾枠23の左側には風車19が設けられ、表示装飾枠23の右側には始動ゲート18が設けられている。また、遊技領域R1には多数の障害釘が植設されている。
【0033】
遊技領域R1の各部位についてさらに詳説する。一般入賞口20及びサイド入賞口21は、所謂、ポケット構造をなし、遊技球が1つずつ入ることが可能な大きさで上方に開口している。一般入賞口20又はサイド入賞口21へ入賞すると、その遊技球は遊技板11の裏側に取り込まれ、代わりに所定数の賞球が上皿26に払い出される。
【0034】
始動ゲート18は、遊技球が潜って通過可能な門形構造をなしている。始動ゲート18を遊技球が通過すると当否判定が行われる。その当否判定の結果は、遊技領域R1の外側の普通図柄表示部38にて表示される。例えば、当否判定の結果が当たりの場合には、普通図柄表示部38が点灯表示され、外れの場合には、消灯する。なお、普通図柄表示部38が変動表示の最中に始動ゲート18を遊技球が通過した場合、その通過球は最大で4個まで保留記憶される。そして、普通図柄表示部38の変動表示が終了すると、その保留記憶に基づいて再び普通図柄表示部38が変動表示される。なお、保留記憶数は、普通図柄表示部38の下方にある普通図柄保留数用LED37の点灯数によって遊技者に報知される。
【0035】
第1及び第2の始動入賞口14A,14Bは、共に遊技板11の前面から突出した部材の上面に遊技球が1つずつ入賞可能な開口を備えた、所謂、ポケット構造をなしている。
【0036】
第2の始動入賞口14Bは、第1の始動入賞口14Aの真下に配置され、その開口の左右両側には可動翼片14C,14Cが備えられている。これら両可動翼片14C,14Cは、常には、起立状態になっている。また、第2の始動入賞口14Bの上方空間は、常には、第1の始動入賞口14Aを構成する部材と可動翼片14C,14Cとで囲まれて、遊技球が入らないようになっている。そして、上述した「小当たり」となった場合に可動翼片14C,14Cが所定期間に亘って横に倒される。すると、第2の始動入賞口14Bの上方空間が側方に開放し、第1の始動入賞口14Aの両脇を通過した遊技球が可動翼片14Cに受け止められて第2の始動入賞口14Bに案内されるようになる。
【0037】
また、各始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞すると、例えば、1個の入賞につき4個の遊技球が上皿26に払い出されると共に当否判定が行われる。その判定結果は、表示装置30の表示画面30Gにて表示される。
【0038】
具体的には、表示画面30Gには、通常、3つの左、中、右の特別図柄(図示せず)が横並びに停止表示されている。これら各特別図柄は、例えば、「0」〜「9」の数字を表記した複数種類のもので構成されており、通常は、各特別図柄ごと、所定の種類のものが停止表示されている。そして、始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞したときに、これら3つの特別図柄が変動表示(上下方向にスクロール表示)され、所定時間後に、例えば、左、右、中の順で各特別図柄が停止表示される。始動入賞口14A,14Bへの入賞に起因した当否判定結果が当たり(以下、「大当たり」という)の場合には、3つの特別図柄が全て同じ図柄(ゾロ目)で停止表示され、その後、遊技が「大当たり状態」に移行する。これに対し、判定結果が外れの場合には、ゾロ目以外の組み合わせで停止表示され、通常の遊技状態が続行する。
【0039】
ここで、表示画面30Gにて特別図柄が変動表示している最中又は「大当たり遊技」の最中に各始動入賞口14A,14Bに入賞した遊技球の数は、所定の保留限度数(4個)まで保留記憶され、特別図柄が外れの図柄組み合わせで停止表示又は「大当たり遊技」が終了すると、その保留記憶に基づいて再び、特別図柄の変動表示が開始される。なお、保留記憶数は、上述した普通図柄用保留数用LED37の下方にある特別図柄保留数用LED39の点灯数によって遊技者に報知される。特別図柄保留数用LED39等と共に遊技領域R1の外側に配置されている7セグメントLED36は、表示画面30Gで表示される特別図柄と連動して変動表示及び停止表示される。
【0040】
本実施形態のパチンコ遊技機10では、「大当たり状態」が2種類備えられ、抽選によって何れか一方に振り分けられるようになっている。以下では、それら2種類の大当たり状態を、「第1の大当たり状態」、「第2の大当たり状態」と区別して呼ぶことにする。
【0041】
第1大入賞口15は横長矩形状をなしており、通常の遊技状態では、可動扉15Tにて閉塞されている。そして、「第1の大当たり状態」になると、図1に示すように、可動扉15Tが所定期間に亘って前側に倒される。すると、第1大入賞口15が前方に開放し、可動扉15Tを案内にして第1大入賞口15に多くの遊技球が入賞可能となる。
【0042】
第1大入賞口15に遊技球が入賞すると、例えば、1個の入賞につき15個の遊技球が上皿26に払い出される。
【0043】
表示装飾枠23は、中央に開口部を備え、前面が、表示装置30で行われる表示演出に対応したデザイン形状をなしている。表示装飾枠23の下辺の内側上面は、遊技球が左右に転動可能なステージ24となっている。また、表示装飾枠23の右側辺には、第2大入賞口17が設けられている。第2大入賞口17は、通常の遊技状態では、回動蓋17Tにて閉塞されている。そして、上述した「第2の大当たり状態」になると、回動蓋17Tが所定期間に亘って下端部を中心に右側方に倒される。すると、第2大入賞口17が右側方に開放し、回動蓋17Tを案内にして第2大入賞口17に多くの遊技球が入賞可能となる。第2大入賞口17に遊技球が入賞した場合も、上述した第1大入賞口15の場合と同様に、1個の入賞につき所定個数の遊技球が上皿26に払い出される。
【0044】
上述した各入賞口14A,14B,15,17,20,21の何れにも入賞しなかった遊技球は、遊技領域R1の下端に配置されたアウト口16に全て取り込まれる。
【0045】
さて、表示装飾枠23の側辺部の裏側には、図3に示す可動役物装置40,40が表示画面30Gを挟んで左右対称に備えられている。可動役物装置40,40は、遊技板11に固定された左右のベース部材41,41と、ベース部材41,41に支持されかつ演出内容に応じたデザイン形状で装飾された可動演出部材70,70とで構成され、それら可動演出部材70,70によって、動作演出を行うようになっている(図4参照)。
【0046】
具体的には、可動演出部材70は、通常、図3に示すように、表示装飾枠23の側辺部に前方が覆われて、全体が遊技者に視認困難となっている。そして、予め定められた所定の条件が成立すると、可動演出部材70は、図4に示すように、全体が表示装飾枠23から飛び出して、表示画面30Gの前方に配置される。即ち、本実施形態では、表示装飾枠23が本発明の「カバー部材」に相当し、表示装飾枠23の側辺部の裏側に、本発明の収納部61が構成されている。収納部61は、上下方向が左右方向よりも長くなった形状になっていて、収納部61のうち表示画面30G側の上方が、本発明の進退口62になっている。なお、収納部61の左右方向の大きさが、本発明に係る「進退口からの奥行き」に相当し、収納部61の上下方向が、本発明に係る「収納部の横幅方向」に相当する。
【0047】
図5に示すように、ベース部材41は、遊技板11に重ねた状態でビス止めされる支持ベース43と、支持ベース43の前面及び後面、それぞれを覆った前側カバー44、後側カバー45とを備えている。
【0048】
支持ベース43は、上下方向に長くかつ前後方向に薄くなった板状になっていて、支持ベース43の下端部に形成されたモータ支持壁43Kに、本発明の「回転駆動源」に相当するモータ60が組み付けられている。詳細には、モータ60は、モータステータの端面に減速機を一体に備え、その減速機の端面がモータ支持壁43Kに押し付けられた状態で固定されている。また、モータ60の減速機の出力軸は、モータ支持壁43Kに形成されたスリット43Sを通って支持ベース43の裏側へ貫通し、その出力軸の先端部に駆動歯車60Aが取り付けられている。
【0049】
支持ベース43の裏側には、複数の中継歯車46が上下方向に並べて配置されると共に、支持ベース43と後側カバー45との間で回転可能に軸支されている。隣接する中継歯車46同士は互いに噛合し、最も下方に配置された下端中継歯車46Aには、上述した駆動歯車60Aが噛合している。これにより、モータ60の駆動力を最も上方に配置された上端中継歯車46Bへ伝達可能になっている。また、上端中継歯車46Bには、巻きバネ46Cが可動演出部材70を表示画面30Gの前方に配置する方向(図4参照)に向けて付勢された状態で配置されている。これにより、後述するように、巻きバネ46Cによって可動演出部材70を上方に駆動するモータ60にかかる負荷を低減することができる。
【0050】
支持ベース43の前面のうち、上下方向の中間位置には、突出壁47が形成されている。突出壁47は、支持ベース43の左右方向の中間部に配置され、左右方向に延びた直線部47Aと、直線部47Aの一端から、さらに一端側へ向かうに従って下方に向かうように湾曲した第1湾曲部47Bと、第1湾曲部47Bの下端から、さらに下方に向かうに従って他端側へ向かうように湾曲した第2湾曲部47Cとで構成されている。
【0051】
支持ベース43のうち突出壁47の直線部47Aの他端側(即ち、第1湾曲部47Bと反対側)には、シャフト挿通孔43Aが貫通形成されている。また、シャフト挿通孔43Aの下方には、センサ受容孔43Bが設けられている。
【0052】
図6に示すように、前側カバー44は、縦長の平板体48の外縁部から包囲壁49が支持ベース43に向かって起立したケース状をなし、支持ベース43のうちモータ支持壁43Kの上側部分を覆うように配置されている。詳細には、支持ベース43の上端部には、突片43Cが形成され、前側カバー44は、支持ベース43のうち突片43Cと上述したモータ支持壁43Kを除く部分を覆っている。
【0053】
前側カバー44の裏側には、上述した上端中継歯車46Bと噛合する第2駆動歯車50が組み付けられている。具体的には、平板体48の裏面のうち上端寄り位置であって左右方向の一端側(図6における右側)には、支軸部51が設けられ、その支軸部51に回転可能に軸支された回転シャフト52の後端部に第2駆動歯車50固定されている。回転シャフト52は、平板体48を貫通し、前端部に本発明に係るピニオン56(本発明の「動力伝達車」にも相当する)が固定されている(図5参照)。
【0054】
平板体48のうち支軸部51の下方には、斜め上下方向に延びた直動ガイド溝91が形成され、直動ガイド溝91に沿って被検出部材90が往復動可能に備えられている。被検出部材90は、全体が縦長になった本体部90Aと、本体部90Aの上端部から側方に張り出したフック部90Fと、本体部90Aの下端部から後方へ突出しかつ側方に延びた当接片90Tとを備えている(図10参照)。フック部90Fには、引っ張りバネ99(図11参照)の一端が取り付けられている。この引っ張りバネ99は、他端が支軸部51の下方に形成されたフック95に取り付けられ、これにより、被検出部材90が斜め上方に付勢されている。
【0055】
ここで、被検出部材90は、本発明の「往復部材」に相当し、被検出部材90が往復動可能な範囲の下端位置(図11参照)が本発明の「作動位置」に、上端位置(図14参照)が本発明の「待受位置」にそれぞれ相当する。また、引っ張りバネ99が、本発明の「アシスト弾性部材」に相当する。
【0056】
前側カバー44のうち被検出部材90の側方位置には、検出スイッチ93が組み付けられている。検出スイッチ93には、信号発信部93A及び信号受信部93Bが前後方向で間隔をあけて備えられ、それら信号発信部93Aと信号受信部93Bの間を被検出部材90のフック部90Fが通過するように構成されている。そして、被検出部材90が往復動可能な範囲の下端位置に配置されると、フック部90Fが信号発信部93Aと信号受信部93Bとの間に配置され、検出スイッチ93が検知信号を図示しない制御装置へ送信するようになっている。なお、検出スイッチ93からは図示しないケーブルがケーブル用通路93Cを通ってベース部材41の外側に引き出されている。
【0057】
また、検出スイッチ93は、センサカバー92(図10参照)にて後側が覆われている。また、センサカバー92は、被検出部材90の本体部90Aの後方に配置されて、被検出部材90を後方へ抜け止めしている。
【0058】
図9に示すように、前側カバー44のうち回転シャフト52が配置された部分と反対側(図9における右側)の下端部には、基板取付部96が備えられ、基板取付部96に、可動演出部材70に取り付けたLEDを制御するための回路基板96Kが取り付けられている。なお、回路基板96Kは基板取付部96の下端部に固定され、回路基板96Kと可動演出体70とを接続する導線96D(図3参照)は、基板取付部96の内部を通って上方に引き出されている。
【0059】
前側カバー44のうち、基板取付部96と反対側の側部には、第1突壁97と第2突壁98とが備えられている。第1突壁97は、回転シャフト52よりも若干上方位置で水平方向に延びている。第2突壁98は、回転シャフト52より若干下方位置で、第1突壁91よりも前側カバー44の幅方向中央へと延びた水平部98Aと、水平部98Aの先端から下方へ延びた下方延出部98Bとで構成されている。
【0060】
前側カバー44の平板体48には、本発明の「演出回動位置決定ガイド」に相当するガイド孔53が貫通形成されている。ガイド孔53は、左右方向に延びた直線部54と、直線部54の一端から蛇行しながら下方へ延びた曲線部55とで構成されている。なお、ガイド孔53の支軸部51側の開口縁に、上述した支持ベース43の突出壁47が突き当てられている。
【0061】
ガイド孔53の直線部54は、支軸部51の上方位置から平板体48の左右方向の中間位置に亘って配置されている。また、曲線部55は、直線部54のうち支軸部51と反対側の端部から更に支軸部51から離れるにつれて下方へ向かうように湾曲した第1湾曲部55Aと、第1湾曲部55Aの下端部から下方に向かうに従って支軸部51側へ接近するように湾曲した第2湾曲部55Bとで構成されている。なお、第2湾曲部55Bの下端部は、直動ガイド溝91を挟んで検出スイッチ93と反対側に配置されている。
【0062】
次に、可動演出部材70について説明する。図7に示すように、可動演出部材70は、支持プレート71に、LED基板72、コネクタケース73、装飾カバー74を組み付けてなる。装飾カバー74は、縦長かつ後方で開口した容器状になっていて、前側部分に装飾が施されている。そして、装飾カバー74の開口が、支持プレート71にて覆われると共に、その支持プレート71と装飾カバー74との間にLED基板72が配置されている。
【0063】
LED基板72は、LED基板72の上端寄り位置、上下方向の中間位置、下端寄り位置それぞれの位置で複数のLED72Aを横並びにして備えている。また、LED基板72の下端部は、装飾カバー74よりも下方に飛び出し、そこに、複数のLED72Aを外部電源と接続するためのコネクタ部72Bが設けられている。そのコネクタ部72Bは、装飾カバー74の下方に配置されたコネクタケース73にて前方が覆われている。なお、装飾カバー74のうちLED72Aの前方に配置された部分は、透明になっていて、LED72Aの光が透過可能になっている。
【0064】
支持プレート71は、支持ベース43の平板体48と平行に配置され、支持プレート71の前面には、装飾カバー74を螺子止めするための複数の取付孔71A、LED基板72を螺子止めするための複数の取付筒部71B及び複数の補強リブ71Cが備えられている。また、支持プレート71の下端部は、装飾カバー74より下方にはみ出しており、そこにコネクタケース73が固定されている。
【0065】
図9に示すように、支持プレート71の幅方向の一端側には、下端部から上下方向の中間位置にかけて長孔71Nが形成されている。支持プレート71の前面のうち幅方向の中央側に位置する長孔71Nの開口縁部には、長孔71Nに沿って突壁71Tが形成され、その突壁71Tのうち長孔71Nに臨んだ側面にラック75(本発明の「線状受動部」にも相当する)が形成されている。また、上述したベース部材41に備えた回転シャフト52の前端部が長孔71Nを貫通し、ラック75とピニオン56とが噛合している。そして、ラック75とピニオン56で構成されたラックアンドピニオン機構によって、可動演出部材70は、支持プレート71と平行な基準平面M1(図13参照)内で前進又は後退が可能になっている。
【0066】
また、長孔71Nの幅は、ピニオン56の外径よりも小さくなっていて、ピニオン56が、可動演出部材70からベース部材41側へ外れないように抜け止めされている。
【0067】
図8に示すように、支持プレート71の後面には、長孔71Nの外形に沿って形成された先端側リブ76及び基端側リブ77が、長孔71Nの長手方向で対向配置されている。先端側リブ76は、長孔71Nの幅方向で対向した1対の対向部76A,76Aと、それら1対の先端側対向部76A,76Aを連絡した先端側円弧部76Bとで構成されている。基端側リブ77についても同様に、1対の基端側対向部77A,77Aと基端側円弧部77Bとで構成されている。
【0068】
1対の先端側対向部76A,76Aでは、支持プレート71の幅方向の中央側の先端側対向部76Aの方が、外側の先端側対向部76Aよりも長くなっている。一方、1対の基端側対向部77A,77Aでは、支持プレートの幅方向の中央側の基端側対向部77Bの方が、外側の基端側対向部77Aよりも短くなっている。また、中央側の先端側対向部76Aと基端側対向部77Aとの間隔は、外側の先端側対向部76Aと基端側対向部77Aとの間隔よりも大きくなっている。
【0069】
先端側円弧部76Bの上端及び基端側円弧部77Bの下端からは、直線リブ78A,78Aが長孔71Nの長手方向に沿って延びている。また、支持プレート71の後面には、直線リブ78A,78Aと平行な直線リブ78Bが、可動係合突部80の側方であって長孔71Nと反対側に設けられている。
【0070】
先端側リブ76、基端側リブ77、直線リブ78A,78Bは、支持プレート71からの突出高さが同じになっていて、それらリブ76,77,78A,78Bがベース部材41の前側カバー44に突き当てられた状態、即ち、可動演出部材70の支持プレート71が前側カバー44に最も接近した状態でも、ピニオン56がラック75から前方へ外れないようになっている。そして、このピニオン56をラック75から前方へ外れないようにする機構と、上述したピニオン56が長孔71Nから後方へ抜け止めされる機構とによって、ピニオン56とラック75とが、ピニオン56を中心としたラック75の回転を許容した状態で係合状態に保持されている。
【0071】
また、支持プレート71の後面には、ベース部材41へ向かって突出した可動係合突部80が設けられている。可動係合突部80は、支持プレート71の幅方向の他端側、即ち、長孔71Nと反対側の下端部に配置され、支持ベース43のガイド孔53に沿って移動可能になっている。具体的には、可動係合突部80は、ガイド孔53を貫通した軸部80Aと、軸部80Aの後端から下方に向かって延びた当接片80Bとで構成され、当接片80Bによって前方へ抜け止めされている。また、軸部80Aには、摺接リング81が装着され、これにより、可動係合突部80がガイド孔53に沿ってスムーズに移動できるようになっている。
【0072】
本発明のパチンコ遊技機10の構成に関する説明は以上である。次に、可動役物装置40の動作について説明する。なお、以下では、図3に示す可動演出部材70の位置を「第1演出位置」(本発明の「第1位置」に相当する)と、図4に示す可動演出部材70の位置を「第2演出位置」(本発明の「第2位置」に相当する)と呼び、第1演出位置における可動演出部材70の下端を「基端」、上端を「先端」と呼ぶことにする。
【0073】
図12に示すように、可動演出部材70が第1演出位置にあるとき、ベース部材41のピニオン56は、ラック75の先端側(図12における上側)位置で噛合している。可動係合突部80は、ガイド孔53の下端部に位置し、可動係合突部80の当接片80Bが被検出部材90の当接片90Tと当接して被検出部材90を引っ張りバネ99の付勢力に抗して下端位置(作動位置)へ押しつけている(図11参照)。また、可動演出部材70は、基端部と先端部を結ぶ方向、即ち、長手方向が収納部61(図4参照)の横幅方向(図4における上下方向)を向いた状態で収納されて、全体が遊技者から視認困難になっている。
【0074】
モータ60が回転駆動されると、その駆動力が複数の中継歯車46(図5参照)を介して伝達され、回転シャフト52のピニオン56が回転する。すると、図15に示すように、ピニオン56とラック75との噛合位置が、ラック75の基端側へと変化し、可動演出部材70は、先端部を先頭に、基端部を最後尾にして基準平面M1(図13参照)内を前進する。このとき、可動係合突部80は、ガイド孔53の第2湾曲部55Bに沿って回転シャフト52から離れる方向に移動し、ラック75がピニオン56を中心に回転して可動演出部材70が斜めに配置される。即ち、可動演出部材70が前進する向きが斜め上方へと変更される(図14参照)。そして、可動演出部材70は、収納部61の進退口62から表示画面30Gの前方へ飛び出し、先端部が遊技者に視認されるようになる。
【0075】
ここで、図14に示す状態では、可動係合突部80は、引っ張りバネ99の付勢力によって上方へ押されている。つまり、第1演出位置にある可動演出部材70は、引っ張りバネ99によって上方に付勢されている。これにより、可動演出部材70を駆動するモータ60にかかる負荷を低減することができる。また、可動係合突部80の移動に伴って、可動係合突部80の当接片80Bと被検出部材90の当接片90Tとの当接が解除されると、引っ張りバネ99の付勢力によって被検出部材90が往復動可能な範囲の上端位置(待受位置)に配置され、フック部90Fが検出スイッチ91に検出されなくなる。また、可動演出部材70を表示画面30Gの前方に配置する方向(図4参照)に向けて付勢された状態で配置されている巻きバネ46Cによっても可動演出部材70を上方に駆動するモータ60にかかる負荷を低減することができる。
【0076】
図16に示すように、ピニオン56がさらに回転すると、ピニオン56とラック75との噛合位置が、ラック75のさらに基端側へと変化する。ラック75は、ピニオン56を中心としてさらに回転し、可動演出部材70は、前進する向きが水平方向に近づいていく。図17に示すように、可動係合突部80が、ガイド孔53の直線部54に到達すると、可動演出部材70の長手方向が左右方向を向く。このとき、可動演出部材70のラック75が直線部54と平行になり、可動演出部材70が前進する向きが水平になる。
【0077】
ピニオン56がさらに回転して可動係合突部80が直線部54を移動すると、可動演出部材70は、向きを変更せずに、進退口62から水平方向に前進して第2演出位置に配置される。そして、可動演出部材70の装飾カバー74全体が、表示画面30Gの前方に出現し、遊技者に視認されるようになる(図2参照)。このように、第1演出位置では視認困難であった可動演出部材70が、水平方向に移動しながら一気に第2演出位置に配置されることで視認可能となるので、遊技者に驚きを与えることができる。
【0078】
なお、可動演出部材70が第1演出位置から第2演出位置へ移動する際、上述した前側カバー44の第1突壁97(図5参照)は、支持プレート71の先端側リブ76の先端側対向部76Aと、基端側リブ77の基端側対向部77Aとの間の隙間を通って、支持プレート71の幅方向の外側から中央側へと移動する。そして、基端側対向部77A,77Aが、第1突壁97と第2突壁98の水平部98Aとによって上下方向で挟まれる。これにより、可動演出部材70が横方向に前進する際の上下方向のがたつきが抑えられる。また、可動演出部材70は、第2突壁98の水平部98Aによって、下方から支持される。
【0079】
可動演出部材70が第2演出位置に配置された状態で、ピニオン56が逆方向に回転すると、可動演出部材70は、第1演出位置から第2演出位置へ前進したときと真逆の動きで、つまり、可動演出部材70の基端部を先頭に、先端部を最後尾にして第1演出位置へと後退する。
【0080】
具体的には、可動係合突部80がガイド孔53の直線部54を移動する間は、可動演出部材70は、基端側から収納部61の進退口62へ入っていく(図4及び図17参照)。可動係合突部80がガイド孔53の第1湾曲部55Aにさしかかると、可動演出部材70は、基端部が下方を向くように向きを変更しながら後退し、収納口61の下方へと入っていく(図15及び図16参照)。可動演出部材70がさらに後退して第1演出位置に配置されると、全体が収納部61に収容される(図3参照)。
【0081】
可動演出部材70が第1演出位置に配置されるとき、可動係合突部80の当接片80Bが被検出部材90の当接片90Tを下方に押しつけ、被検出部材90が往復動可能な範囲の下端位置(作動位置)に移動する。そして、被検出部材90が検出スイッチ93にて検出される(図11参照)。すなわち、被検出部材90を可動演出部材70とは別部品で構成しているため、可動演出部材70が移動する際にガタが大きくなってしまう構成であっても、被検出部材90が移動することで検出部材93による位置検出を行えばよく、可動演出部材70の位置検出をより正確に行うことが可能となる。
【0082】
次に、本実施形態のパチンコ遊技機10の作用効果について説明する。本実施形態のパチンコ遊技機10では、駆動軸となるピニオン56が回転駆動されると、ピニオン56の駆動力を受ける受動部となるラック75によって可動演出部材70が基準平面M1内を前進又は後退する。このとき、可動演出部材70からベース部材41に向かって突出した可動係合突部80が、ベース部材41のガイド孔53に沿って移動する。そして、可動係合突部80の位置の変化によって、可動演出部材70が前進又は後退する際の向きが変更される。このように、本実施形態によれば、可動演出部材70が向きを変更しながら前進及び後退するという、従来の遊技機にはなかった可動演出部材70の動きを達成することができ、趣向性を高めることができる。
【0083】
また、本実施形態では、第1演出位置では表示装飾枠23によって視認困難であった可動演出部材70が、第2演出位置へ向かうに従って徐々に視認可能となるので、遊技者に驚きを与えることができる。しかも、可動演出部材70が、遊技者にとって視認可能な位置から直線的な動きでは収納できない狭いスペースへとカーブを切りながら収納されるので、遊技者に意外性を与えることができる。さらに、可動演出部材が直線状に移動して収納される場合と比較して、可動演出部材70をコンパクトに収納することができ、また、可動演出部材70の大きさを最大限大きくとることができる。
【0084】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0085】
(1)前記実施形態では、本発明をパチンコ遊技機10に適用した例を示したが、スロットマシンやアレンジボールに適用してもよい。
【0086】
(2)前記実施形態では、可動演出部材が、向きを変更しながら前進した後、向きを変更せずに前進していたが、その逆、即ち、向きを変更せずに前進した後、向きを変更しながら前進する構成であってもよい。
【0087】
(3)前記実施形態では、可動演出部材が、向きを変更しながら前進した後、向きを変更せずに前進する動作を1回だけ行っていたが、複数回繰り返す構成であってもよい。
【0088】
(4)可動演出部材が、蛇行するように向きを変えながら直線状に変位する構成であってもよい。
【0089】
(5)図18に示すように、被検出部材90の当接片90Tの下方に、当接片90Tを上方へ付勢する圧縮バネ99Vが取り付けられた構成であってもよい。なお、本構成では、圧縮バネ99Vが、本発明の「アシスト弾性部材」に相当する。
【0090】
(6)前記実施形態では、可動演出部材70が第1演出位置に配置されたことを、検出センサ93が被検出部材90を介して間接的に検出していたが、可動演出部材70を直接検出するようにしてもよい。
【0091】
(7)前記実施形態では、可動演出部材70の動きの一部を視認困難にしていたが、可動演出部材70の動きを全て視認可能としてもよい。この構成によれば、従来よりも可動演出部材による演出のバリエーションが増す。
【0092】
(8)可動演出部材を、その周辺にある他の装置や部材等の間をすり抜けて移動するように構成してもよい。この構成によれば、スペースを有効に活用することができる。
なお、前記実施形態及び他の実施形態(1)〜(8)を概念化すると、以下の[1]〜[11]の発明となる。
[1]ベース部材に対して向きを変えながら第1位置と第2位置との間で移動する可動演出部材を備えた遊技機において、
前記ベース部材に回転可能に支持された回転軸を中心に回転駆動される動力伝達車と、
前記動力伝達車を回転駆動するための回転駆動源と、
前記可動演出部材に固定されて、前記動力伝達車と係合する線状受動部と、
前記可動演出部材から前記ベース部材に向かって突出した可動係合突部と、
前記ベース部材に設けられて、その形状に沿って前記可動係合突部が移動可能に係合する少なくとも一部が曲線状に形成された演出回動位置決定ガイドとを備え、
前記線状受動部と前記動力伝達車は、前記動力伝達車を中心とした前記線状受動部の回転を許容した状態で係合状態に保持され、前記動力伝達車の回転に伴って前記線状受動部と共に前記可動演出部材が前記第1位置と前記第2位置との間で移動すると共に前記演出回動位置決定ガイドにおける前記可動係合突部の位置が変化し、その可動係合突部の位置が前記演出回動位置決定ガイドの曲線形状に沿って変化することで前記可動演出部材が前記第1位置と前記第2位置との間で移動する際の向きが変更されるように構成したことを特徴とする遊技機。
[1]に係る遊技機では、動力伝達車が回転駆動されると、線状受動部によって可動演出部材がベース部材に対して第1位置と第2位置との間で移動する。このとき、可動演出部材からベース部材に向かって突出した可動係合突部が、ベース部材の演出用回動位置決定ガイドに沿って移動する。そして、可動係合突部の位置が演出回動位置決定ガイドの曲線形状に沿って変化することで、可動演出部材が移動する際の向きが変更される。このように、本発明によれば、可動演出部材が向きを変更しながら第1位置と第2位置との間で移動するという、従来の遊技機にはなかった可動演出部材の動きを達成することができ、趣向性を高めることができる。

[2]前記可動演出部材の移動経路における一端に配置された前記可動演出部材を視認困難にするカバー部材を備え、
前記可動演出部材が移動経路における一端から他端に向かうに従って、前記動力伝達車と前記可動係合突部との距離が徐々に縮まるように構成したことを特徴とする[1]に記載の遊技機。
動力伝達車と可動係合突部との距離は、可動演出部材が移動経路における一端から他端に向かうに従って、徐々に離れるように構成してもよいし、一旦縮まった後、離れるように構成してもよいし、一旦離れた後、縮まるように構成してもよいし、[2]の構成のように、徐々に縮まるように構成してもよい。また、[2]の構成とした場合、可動演出部材を移動経路の一端から他端に移動させるにつれて、可動演出部材を徐々に出現させる動作が可能となる。

[3]前記線状受動部は、直線状に形成されたことを特徴とする[1]又は[2]に記載の遊技機。
線状受動部は、曲線状であってもよいし、曲線部と直線部を両方有する形状であってもよいし、[3]の構成のように、直線状であってもよい。[3]の構成とした場合、線状受動部の構造を簡易にすることができる。

[4]前記演出回動位置決定ガイドは、直線部を有し、
前記可動演出部材の移動に伴って前記可動係合突部が前記演出回動位置決定ガイドの前記直線部を通過する際に、その直線部と前記線状受動部とが略平行になって、前記可動演出部材が向きを変更せずに移動するように構成したことを特徴とする[1]乃至[3]の何れかに記載の遊技機。
[4]の構成とした場合、可動演出部材が第1位置と第2位置との間で移動する際に、向きを変更した後、一気に直線状に移動させることができる。

[5]前記可動演出部材の移動経路における一端に配置された前記可動演出部材の少なくとも一部を、遊技者にとって視認困難となるように覆うカバー部材を設け、前記可動演出部材がその移動経路における一端から他端に向かうに従って前記可動演出部材が徐々に前記カバー部材の外側に露出していくように構成したことを特徴とする[1]乃至[4]の何れかに記載の遊技機。
[5]の構成とした場合、移動経路の一端においてカバー部材によって視認困難であった可動演出部材が、移動経路の他端に向かうに従って徐々に視認可能となるので、遊技者に驚きを与えることができる。

[6]前記可動演出部材は、進退方向が横方向より長い形状をなし、前記カバー部材の内側の収納部は、前記可動演出部材が進退する進退口からの奥行きより横幅が広く形成されると共に、その横幅方向に前記進退口が配置され、
前記可動演出部材は、前記収納部外に露出した状態から前記進退口に対してカーブを切りながら入っていき、前記収納部の横幅方向に前記可動演出部材の長手方向を向けた状態にして収納されるように、前記演出回動位置決定ガイドによってガイドされることを特徴とする[5]に記載の遊技機。
[6]の構成とした場合、可動演出部材が、遊技者にとって視認可能な位置から直線的な動きでは収納できない狭いスペースへとカーブを切りながら収納されるので、遊技者に意外性を与えることができる。しかも、可動演出部材が直線状に移動して収納される場合と比較して、可動演出部材をコンパクトに収納することができる。

[7]移動経路における一端又は他端に向かって移動した前記可動演出部材によってオン又はオフされる検出スイッチを備えたことを特徴とする[1]乃至[6]の何れかに記載の遊技機。
[7]の構成とした場合、可動演出部材が移動経路における一端又は他端に配置されたことを検出スイッチによって検出することができる。

[8]前記可動演出部材は、移動経路における一端又は他端の手前で上下方向又は斜め上下方向に降下して前記移動経路の下端としての一端又は他端で停止するように構成され、
前記ベース部材には、前記移動経路の下端に向かって降下する前記可動演出部材から力を受けて弾性変形するアシスト弾性部材が備えられていることを特徴とする[1]乃至[6]の何れかに記載の遊技機。
[9]前記ベース部材に往復動可能に支持されて待受位置と作動位置との間を往復動する往復部材を設け、前記アシスト弾性部材は、前記往復部材を前記待受位置に向けて付勢するように組み付けられ、
前記移動経路の下端に向かって降下する前記可動演出部材が、前記待受位置の前記往復部材に当接して前記作動位置まで押し下げるように構成したことを特徴とする[8]に記載の遊技機。
[8]及び[9]の構成とした場合、可動演出部材が移動経路の下端から上方又は斜め上方に移動する際に、アシスト弾性部材から力を受けるので、回転駆動源にかかる負荷を低減することができる。

[10]前記往復部材が前記作動位置に位置しているか否かを検出する検出スイッチを備えたことを特徴とする[9]に記載の遊技機。
[10]の構成とした場合、移動経路の下端に配置された可動演出部材に当接して作動位置まで押し下げられた往復部材は、検出スイッチにて検出される。すなわち、往復部材を可動演出部材とは別部品で構成しているため、可動演出部材が移動する際にガタが大きくなってしまう構成であっても、往復部材が移動することで検出スイッチによる位置検出を行えばよく、可動演出部材の位置検出をより正確に行うことが可能となる。

[11]前記動力伝達車は、ピニオンであり、前記線状受動部は、前記ピニオンに噛合したラックであることを特徴とする[1]乃至[10]の何れかに記載の遊技機。
動力伝達車と線状受動部の組合せは、摩擦車と摩擦ベルトであってもよいし、[11]の構成のように、ピニオンとラックであってもよい。[11]の構成とした場合、可動演出部材の遊技領域に対する奥行き方向への寸法を小さく構成することが可能になる。
【符号の説明】
【0093】
10 遊技機
23 表示装飾枠(カバー部材)
40 可動役物装置
41 ベース部材
53 ガイド孔(演出回動位置決定ガイド)
56 ピニオン(動力伝達車)
60 モータ(回転駆動源)
61 収納部
62 進退口
70 可動演出部材
75 ラック(線状受動部)
80 可動係合突部
90 被検出部材(往復部材)
93 検出スイッチ
99 引っ張りバネ(アシスト弾性部材)
99V 圧縮バネ(アシスト弾性部材)
M1 基準平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材に対して向きを変えながら第1位置と第2位置との間で移動する可動演出部材を備えた遊技機において、
前記ベース部材に回転可能に支持された回転軸を中心に回転駆動される動力伝達車と、
前記動力伝達車を回転駆動するための回転駆動源と、
前記可動演出部材に固定されて、前記動力伝達車と係合する線状受動部と、
前記可動演出部材から前記ベース部材に向かって突出した可動係合突部と、
前記ベース部材に設けられて、その形状に沿って前記可動係合突部が移動可能に係合する少なくとも一部が曲線状に形成された演出回動位置決定ガイドとを備え、
前記線状受動部と前記動力伝達車は、前記動力伝達車を中心とした前記線状受動部の回転を許容した状態で係合状態に保持され、前記動力伝達車の回転に伴って前記線状受動部と共に前記可動演出部材が前記第1位置と前記第2位置との間で移動すると共に前記演出回動位置決定ガイドにおける前記可動係合突部の位置が変化し、前記可動係合突部の位置が前記演出回動位置決定ガイドの曲線形状に沿って変化する際に、前記線状受動部が前記動力伝達車の回転方向に回転し、前記可動演出部材が前記第1位置と前記第2位置との間で移動する際の向きが変更されるように構成したことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記可動演出部材の移動経路における一端に配置された前記可動演出部材を視認困難にするカバー部材を備え、
前記可動演出部材が移動経路における一端から他端に向かうに従って、前記動力伝達車と前記可動係合突部との距離が徐々に縮まるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記線状受動部は、直線状に形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記演出回動位置決定ガイドは、直線部を有し、
前記可動演出部材の移動に伴って前記可動係合突部が前記演出回動位置決定ガイドの前記直線部を通過する際に、その直線部と前記線状受動部とが略平行になって、前記可動演出部材が向きを変更せずに移動するように構成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載の遊技機。
【請求項5】
前記可動演出部材の移動経路における一端に配置された前記可動演出部材の少なくとも一部を、遊技者にとって視認困難となるように覆うカバー部材を設け、前記可動演出部材がその移動経路における一端から他端に向かうに従って前記可動演出部材が徐々に前記カバー部材の外側に露出していくように構成したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載の遊技機。
【請求項6】
前記可動演出部材は、進退方向が横方向より長い形状をなし、前記カバー部材の内側の収納部は、前記可動演出部材が進退する進退口からの奥行きより横幅が広く形成されると共に、その横幅方向に前記進退口が配置され、
前記可動演出部材は、前記収納部外に露出した状態から前記進退口に対してカーブを切りながら入っていき、前記収納部の横幅方向に前記可動演出部材の長手方向を向けた状態にして収納されるように、前記演出回動位置決定ガイドによってガイドされることを特徴とする請求項5に記載の遊技機。
【請求項7】
移動経路における一端又は他端に向かって移動した前記可動演出部材によってオン又はオフされる検出スイッチを備えたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1の請求項に記載の遊技機。
【請求項8】
前記可動演出部材は、移動経路における一端又は他端の手前で上下方向又は斜め上下方向に降下して前記移動経路の下端としての一端又は他端で停止するように構成され、
前記ベース部材には、前記移動経路の下端に向かって降下する前記可動演出部材から力を受けて弾性変形するアシスト弾性部材が備えられていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1の請求項に記載の遊技機。
【請求項9】
前記ベース部材に往復動可能に支持されて待受位置と作動位置との間を往復動する往復部材を設け、前記アシスト弾性部材は、前記往復部材を前記待受位置に向けて付勢するように組み付けられ、
前記移動経路の下端に向かって降下する前記可動演出部材が、前記待受位置の前記往復部材に当接して前記作動位置まで押し下げるように構成したことを特徴とする請求項8に記載の遊技機。
【請求項10】
前記往復部材が前記作動位置に位置しているか否かを検出する検出スイッチを備えたことを特徴とする請求項9に記載の遊技機。
【請求項11】
前記動力伝達車は、ピニオンであり、前記線状受動部は、前記ピニオンに噛合したラックであることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1の請求項に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−48932(P2013−48932A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−250277(P2012−250277)
【出願日】平成24年11月14日(2012.11.14)
【分割の表示】特願2011−51026(P2011−51026)の分割
【原出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(599104196)株式会社サンセイアールアンドディ (597)
【Fターム(参考)】