遊技機
【課題】樹脂製遊技盤に植設された遊技釘の反発力が高いことに起因して発生する遊技球の大きな跳ね上がり、その他のイレギュラーな挙動に起因した入賞口への入球率のバラツキや、遊技盤の開口部の内奥部への入り込みを効果的に防止する。
【解決手段】遊技盤面に配置された入賞口と、前記遊技盤面を流下する遊技球を前入賞口に導くために配置された複数の道釘から成る道釘列と、を備え、前記道釘列の上方に該道釘列と所定の間隔を隔てて、該道釘にて上向きに跳ねた遊技球の勢いを減殺させる緩衝部材を配置したことを特徴とする。
【解決手段】遊技盤面に配置された入賞口と、前記遊技盤面を流下する遊技球を前入賞口に導くために配置された複数の道釘から成る道釘列と、を備え、前記道釘列の上方に該道釘列と所定の間隔を隔てて、該道釘にて上向きに跳ねた遊技球の勢いを減殺させる緩衝部材を配置したことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製遊技盤を採用した場合に遊技盤に植設された遊技釘の反発力が高まることに起因して発生する遊技球の大きな跳ね上がりを効果的に防止するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機においては、遊技盤の盤面に入賞口、風車、可変表示装置、電飾装置等の各種盤面部品を設けて遊技内容の多様性を図り、遊技の進行中における入賞、その他の状況変化を契機として可動盤面部品を種々の方向に動作させることにより演出効果を高めている。
例えば、遊技盤に設けられた始動入賞口に遊技球が入賞すると、遊技盤中の可変表示装置の液晶画面に表示される図柄が変動を開始し、所定時間経過後に停止した図柄が予め定めた大当たり図柄となった場合に大当たり状態となり、遊技者が大量の出球を獲得できるようになっている。このような遊技機では、遊技の興趣を高めるために様々な表示演出が行われる。
【0003】
図19(a)及び(b)は遊技盤面を流下してきた遊技球が道釘群にガイドされて入賞口に移動する過程で弾みを起こす状態を示す正面図、及び上側から見た斜視図である。
遊技球発射装置から打ち出された遊技球Bは、遊技盤100の左周縁に沿って設けられた導入経路101に沿って上昇し、遊技盤の左上にある遊技球導入口から遊技領域に流下して来る。遊技領域の中央に設けた開口部105内には液晶表示装置106が配置されており、開口部の下縁中央部の下側の盤面には図示しない始動入賞口が配置されている。開口部105の左側下方の盤面には風車110が配置されると共に、風車と図示しない始動入賞口との間には道釘111と称される複数の遊技釘がほぼ一列に植設されている。風車110上に落下し風車を時計回り方向へ回転させた遊技球は道釘111から成る道釘列111A上に移動して道釘列上を始動入賞口へ向けて移動して行く。
【0004】
ところで、従来の遊技盤はベニヤ板から構成されていたため、遊技盤に植設される遊技釘はベニヤ板による緩衝作用によって遊技球から受ける衝撃を吸収緩和することができ、遊技釘に勢いよく当たった遊技球が大きく跳ね上がることは稀であった。
近年ベニヤ板に代わってアクリル、その他の樹脂材料から成る遊技盤が使用され始めている(特許文献1、2、3)が、樹脂製遊技盤はベニヤ板に比して硬度が高く変形し難いため緩衝効果がベニヤ板に比して著しく低く、樹脂製遊技盤に植設された遊技釘は遊技球から受ける衝撃を十分に吸収緩和できない。このため、遊技釘に勢いよく当たった遊技球は大きく跳ね上がる傾向が強くなる。
従って、図19に示した遊技盤100を樹脂製とした場合、風車110から道釘111上に落下してきた遊技球Bは遊技釘の反発力によって図示のように大きく弾み易い。遊技球が大きく跳ねると、遊技者に違和感をもたらすばかりでなく、入賞口への入球率がばらつく等、事実上の不利益も発生する。このため、遊技進行上、遊技球を道釘上で大きく弾ませたくない、という要請がある。
【0005】
一方、開口部105の下縁に沿った位置には、遊技球が開口部下縁と、その後方に位置する液晶表示装置106との間のスペースに入り込むことを防止するための仕切板115が配置されているが、仕切り板115は液晶表示装置106のディスプレイ下部を覆って映像の視認性を妨げることがない程度に低く設定されているに過ぎないため、道釘列111Aで跳ね返って大きく弾んだ遊技球が仕切り板115を乗り越えて前記スペース内に入り込むことを完全に防止することはできない。
開口部105と液晶表示装置106との間のスペースには可動役物が配置されることが多いため、ここに侵入した遊技球は可動役物の動作を妨げたり、故障させる原因となる。
また、道釘上での遊技球の跳ね上がり高さが大きくなると、始動入賞口の直前でもバウンドが残っていたり、遊技球を減速できない等の事態が発生し、始動入賞口への入球率のバラツキが大きくなることも判明している。
更に、樹脂製遊技盤面に植設された道釘上で弾んだ遊技球は、高く跳ね上がらない場合であっても移動速度が速いため、低いバウンドを繰り返すことにより始動入賞口への入球率を著しく低下させる傾向がある。
【0006】
このように道釘列上の遊技球の跳ね上がり高さの大小(特に、大きく、且つイレギュラーなバウンド)、移動速度等の挙動の変化は、始動入賞口への入賞率に影響を与えるため、遊技者が最も注視する対象となるが、遊技球が道釘列上でベニヤ板製遊技盤では見慣れない挙動を示すと、遊技者に不安を与える原因となる。
特に、道釘列の直前に配置された風車の挙動との絡みによっては遊技球の弾み方が一様とはならないため、種々の態様で跳ね上がる遊技球を効果的に抑制する部材を大型化させずに設計することは難しかった。
具体的には、風車から道釘列の全長をカバーするようにこれらの上方に、遊技球のイレギュラーな跳ね上がりだけを押さえ、減速させるための庇状の長尺部材を配置することも考えられるが、外観悪化、近接する他の盤面部品のレイアウト自由度の低下などをもたらすため、実現は困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−083381公報
【特許文献2】特開2009−279189公報
【特許文献3】特開2005−254020公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
樹脂製遊技盤に植設した遊技釘はベニヤ製遊技盤に植設した遊技釘に比して反発力が強いため、遊技釘上に落下した遊技球が大きく跳ね上がったり、減速せずにバウンドしながら道釘上を移動する傾向がある。遊技盤に設けた開口部の下縁に沿って植設した道釘列上に風車経由で遊技釘が落下して大きく跳ね上がると、イレギュラーなバウンドを繰り返しながら入賞口まで達する。即ち、道釘列上に落下した遊技球は、ベニヤ製遊技盤に植設された道釘列では考えられないようなイレギュラーな挙動を示すため、これが入賞口への入球率のバラツキを招き、遊技者に多大な不安を与える要因となる。また、大きく跳ね上がった遊技球は、仕切板を乗り越えて開口部の奥側に入り込んで他の役物との干渉等の種々の問題を起こす虞がある。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、樹脂製遊技盤に植設された遊技釘の反発力が高いことに起因して発生する遊技球の大きな跳ね上がり、その他のイレギュラーな挙動に起因した入賞口への入球率のバラツキや、遊技盤の開口部の内奥部への入り込みを効果的に防止する構成を備えた遊技機を提案するものである。
特に、道釘列の上流側に配置された風車の挙動により、遊技球の弾み方にはばらつきが生じるが、道釘列の直上を覆うように緩衝部材を配置して許容範囲を超えて上昇してくるあらゆる弾み方に対応できるようにした。遊技球の勢いが緩衝部材との接触により抑制されるので、下流(入賞口の直上流)ではイレギュラーな挙動を示すことがない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、遊技盤面に配置された入賞口と、前記遊技盤面を流下する遊技球を前記入賞口に導くために配置された複数の道釘から成る道釘列と、を備え、前記道釘列の上方に該道釘列と所定の間隔を隔てて、該道釘列にて跳ねた遊技球の勢いを減殺させる緩衝部材を配置したことを特徴とする。
道釘列の下流側に配置された入賞口への入賞率をばらつかせる原因となる道釘列上での遊技球の過剰な飛び上がり、減速不良等のイレギュラーな挙動を抑制するために、許容限度を超えて上昇する遊技球と接してその勢いを減殺するように緩衝部材を配置する。
請求項2の発明は、前記緩衝部材は、前記道釘にて跳ねた遊技球により押圧されて移動するように構成されていることを特徴とする。
緩衝部材は固定配置してもよいが、遊技球により押圧されて移動するように構成することにより遊技球の勢いを効果的に吸収緩和して減殺することができる。
請求項3の発明は、前記緩衝部材の適所に設けた回動軸により該緩衝部材を回動可能に支持したことを特徴とする。
請求項4の発明は、前記緩衝部材は、該衝撃部材の下面に当たった遊技球に押圧されて上方に変位するように構成されていることを特徴とする。
請求項5の発明は、前記緩衝部材の下面には、前記道釘列の上流側に配置された風車から上向きに跳ねた遊技球の勢いを減殺させる緩衝部位を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、樹脂製遊技盤に植設された遊技釘の反発力が高いことに起因して発生する遊技球の大きな跳ね上がり、その他のイレギュラーな挙動に起因した入賞口への入球率のバラツキや、遊技盤の開口部の内奥部への入り込みを効果的に防止することができる。
特に、道釘列の上流側に配置された風車の挙動により、遊技球の弾み方にはばらつきが発生するが、緩衝部材によりあらゆるはずみ方に対応できるようにし、遊技球の勢いが緩衝部材により抑制されるので、下流ではイレギュラーな挙動を示すことがない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の正面図である。
【図2】遊技盤及び搭載された各種部品を示す正面図である。
【図3】本発明に係る遊技機の要部構成を示す拡大図である。
【図4】道釘列上にて跳ね上がる遊技球を緩衝部材が緩衝している状態を示す正面図である。
【図5】図4と同じ部位の上側斜視図である。
【図6】(a)(b)及び(c)は、緩衝部材の高さ位置を種々変更して夫々の緩衝効果を比較した正面図である。
【図7】(a)(b)及び(c)は図6(a)(b)及び(c)に対応した縦断面図である。
【図8】緩衝部材を変位可能に支持した構成例を示す要部正面図である。
【図9】図8を上側から見た斜視図である。
【図10】(a)及び(b)は図8のY−Y縦断面図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る緩衝部材の構成を示す正面図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る緩衝部材の構成を示す正面図である。
【図13】(a)(b)及び(c)は図8、図11、及び図12の実施形態における緩衝部材の動作を示す正面図である。
【図14】(a)及び(b)は夫々緩衝部材の下面を下流へ向かうほど上向きに傾斜させた構成例を示す図である。
【図15】(a)及び(b)は夫々緩衝部材の下面の正面形状を凹凸状にした構成例を示す図である。
【図16】(a)及び(b)は夫々本発明の他の実施形態に係る緩衝部材の縦断面図である。
【図17】(a)及び(b)は夫々本発明の他の実施形態に係る緩衝部材の縦断面図である。
【図18】(a)及び(b)は夫々本発明の他の変形例の要部構成を示す縦断面図である。
【図19】(a)及び(b)は夫々従来例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1は本発明に係る遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の正面図であり、図2は遊技盤及び搭載された各種部品を示す正面図である。
遊技盤1の前面側には、ガラス板を支持したガラス枠2が開閉可能に取り付けられている。また遊技盤1の下部には遊技球を貯留する受け皿部3と、受け皿部内の遊技球を発射する発射レバー4が設けられている。また、受け皿部3の上面には遊技機用ボタンスイッチや、遊技球の購入ボタン、購入取り消しボタン(何れも図示せず)が設けられている。
遊技盤1の裏面には、液晶画面、主制御基板とサブ制御基板等、遊技の進行、演出に関わる裏部品を組み付けた合成樹脂製の機構板(何れも図示せず)が開閉自在に装着されている。遊技盤1における遊技領域1aの周囲には、発射レバー4を操作することにより発射装置から発射された遊技球を遊技領域1aの上部に案内したり、アウト口8に案内する外レールR1、及び内レールR2が設けられている。
【0013】
遊技盤1のほぼ中央部に形成された開口部1b内には、中央が開口したセンター部材5が配置される。センター部材5の内部(開口部1bの奥側)には図柄表示装置6が配置されている。図柄表示装置6は、例えば、液晶表示装置等の液晶表示パネルによって構成され、通常動作状態の時は、図示しない特別図柄画像が表示される。また、いわゆる特別遊技状態の時は、特別遊技状態であることを示す演出画像等が表示される。
センター部材5の中央下部には図柄表示装置6の特別図柄を可変表示させるための始動入賞口9が配置され、始動入賞口9の直下には図柄表示装置6の特別図柄を可変表示させるための可変入賞装置11が設けられている。また、図柄表示装置6の左側には、普通図柄表示装置16に表示される普通図柄を作動させるためのゲート12が設けられている。さらに可変入賞装置11の右方には、特別遊技状態の一つである大当たり状態のときに開成状態になる開閉扉を有する大入賞口13が設けられている。
可変入賞装置11は、図柄表示装置6を可変表示させるための左右一対の開閉爪(可動片)を有する電動式チューリップを備えて構成される。
【0014】
また遊技盤1には普通入賞口14やアウト口8等が設けられていると共に、風車15や多数の遊技釘20が突設されている。遊技釘20は、遊技球の落下速度を遅くすると共に、落下方向を複雑に変化させて遊技進行上の興趣を高めている。
風車15と始動入賞口9との間には、道釘21と称される複数の遊技釘20が右斜め下向きに一列に植設されている。風車15上に落下し風車を時計回り方向へ回転させた遊技球は複数の道釘21から成る道釘列21A上に移動して道釘列上を始動入賞口9へ向けて移動して行く。また、開口部1bの下縁には遊技球が開口部と図柄表示装置6との間のスペースに飛び込むことを阻止するための仕切板17が配置されている。
普通図柄表示装置16に表示される普通図柄は、1個または複数個の図柄を変動表示可能であり、普通図柄始動口としてのゲート12が遊技球を検出することを条件に、その図柄が乱数制御等により所定時間可変して停止するようになっている。
【0015】
また図柄表示装置6に表示される特別図柄は、停止図柄が予め定められた図柄の組合せ、例えば同一図柄の組合せとなった場合に大当たり状態となるように構成されている。また特別図柄は可変入賞装置の電動式チューリップの開成動作により遊技球が誘導される下始動口(図示していない)において遊技球を検出することを条件に乱数制御等により表示がスクロールする等、所定の変動パターンで所定時間変動(可変)して図柄で停止するようになっている。その際、有効ライン上に2個の停止図柄が同一となった場合に、リーチ状態が発生し、このリーチ状態において、有効ライン上の最後の停止図柄が既に停止している2個の図柄と同一となった場合に大当たり状態が発生する。なお、特別図柄としては、数字図柄、アルファベット図柄、キャラクター図柄等が使用可能である。
【0016】
図3は本発明に係る遊技機の要部構成を示す拡大図であり、図4は道釘列上にて跳ね上がる遊技球を緩衝部材が緩衝している状態を示す正面図であり、図5は図4と同じ部位の上側斜視図である。
本例に係る遊技盤1は、アクリル、その他の樹脂から構成されており、遊技釘20は遊技盤面に予め形成した釘穴内に強固に植設されて反発力が強くなっている。このため、遊技釘20上に遊技球が落下して跳ねた場合の跳ね上がり距離、及び跳ね返り速度は、ベニヤ製遊技盤に植設された遊技釘に同じ勢いで遊技球が落下した場合の跳ね上がり距離、及び跳ね返り速度に比して大幅に(例えば、1.5倍以上)大きくなる。
道釘21についても事情は同じであり、遊技盤面を流下し、風車15を経由して道釘列21A上に落下してきた遊技球は斜め右上方向に大きく跳ね上がり、仕切板17を越えて奥側へ入り込む確率が高くなる。或いは、道釘列上を速い速度で始動入賞口へ向けて移動し、入球率を低下させる傾向がある。
本発明の特徴的な構成は、風車15、及び道釘列21Aの上方に夫々道釘列と所定の適正間隔G1、G2を隔てて、風車15、及び道釘21に当たって夫々斜め上向きに跳ねた遊技球Bの勢いを減殺させる緩衝部材30を配置した点にある。
【0017】
緩衝部材30はその底板30Aの下面が道釘の上方にオーバーハングするように突出しているため、跳ね上がった遊技球を底板下面により受けて勢いを減殺することができる。また、緩衝部材30は道釘列の全長に渡って設ける必要はなく、風車、及び道釘列の上流側の一部の上方に配置すれば十分である。
緩衝部材30は、その底板30Aの下面に、道釘列21Aにて跳ね上がった遊技球を受け止めて勢いを減殺させる緩衝部位31、32を備えている。即ち、緩衝部材30の底板下面には、風車15の羽根に当たって、或いは時計回り方向へ回転する風車によって付勢されて、斜め右上方向へ飛び上がった遊技球を受け止めるのに適した横方向長L1と前後方向幅W1を有した第1の緩衝部位(上流側緩衝部位)31と、第1の緩衝部位31の右端部から下流側へ所定長さL2だけ延びた第2の緩衝部位(下流側緩衝部位)32と、を備えており、第2の緩衝部位32は道釘列21Aにて上向きに弾んで来た遊技球を受け止めて仕切板17を越えてその奥側に入り込むことを阻止したり、その移動速度を減殺するように、その前後方向幅W2、及び横方向長L2が設定されている。
【0018】
第2の緩衝部位32の横方向長L2は、遊技球Bが道釘列21Aと緩衝部材の底板下面との間で交互にジグザグ状に複数回弾むことにより、遊技球が仕切板17を越える虞がなくなる程度か、或いは遊技球が始動入賞口の手前で十分に減速する程度に、減衰させるのに必要十分な長さに設定されている。本例では、第1の緩衝部位31の前後幅W1と、第2の緩衝部位32の前後幅W2は、ほぼ同等である。第1の緩衝部位31の横方向長L1は1〜2cm程度、第2の緩衝部位32の横方向長L2は3〜5cm程度で十分である。従って、緩衝部材30は小型な部材となり、道釘列上の僅かなスペースを利用して設置することができる。緩衝部材30を樹脂材料から構成することにより、その軽量化を図ることができる。
なお、緩衝部材の底板30Aの底板下面に設けた第1の緩衝部位31と風車(羽根)との間隔G1、第2の緩衝部位32と道釘列21Aとの間隔G2は、風車15の羽根に当たった遊技球が上向きに跳ね上がる通常の高さ、及び風車を経由して直接道釘列上に落下した遊技球が跳ね上がる通常の高さよりも大きく設定することにより、通常の遊技球の挙動を阻害しないように設定する。通常レベルで跳ね上がる遊技球は、仕切板17を越えて跳ね上がらないため、その挙動を阻害する必要はないからである。
【0019】
一方、風車15の羽根で高くバウンドした遊技球や、風車から直接道釘列上に落下して高くバウンドした遊技球が仕切板17を越える虞がある場合にはこれらが仕切板を越える高さに達する前に抑制する必要があるために、緩衝部材30の底板下面の高さを所定に設定してそれ以上の上昇を阻止する。
つまり、緩衝部材30の底板下面の高さ位置は、風車から直接跳ね上がる遊技球、及び道釘列から跳ね上がる遊技球が仕切板17を越える前に押さえ込むことができるように設定する。一方で、緩衝部材30の底板下面と、風車、及び道釘列との間の間隔G1、G2が短すぎると、バウンド回数が異常に増えて外観が悪化する一方で、減衰効果が低くなるので、上記距離を適切に設定する必要がある。また、仕切板17を越える程度には高く跳ね上がらない遊技球であっても、緩衝部材によって規制しない場合には移動速度が速くなり過ぎる虞がある場合にはこのような遊技球の跳ね上がりをある程度規制する必要があるため、上記間隔G1、G2はこのような各種条件を考慮しながら適切に設定する必要がある。
緩衝部材30は、その底板下面が風車や道釘列から跳ね上がってくる遊技球と接してその勢いを減殺(それ以上の上昇を阻止)する緩衝部位として機能するため、底板下面以外の上側の部分の形状、構造は種々変形が可能である。また、最低限、緩衝部位となる底板と、底板を遊技盤面等に取り付ける取付け部材があれば緩衝部材としては十分である。
【0020】
次に、図6(a)(b)及び(c)は、緩衝部材の高さ位置を種々変更して夫々の緩衝効果を比較した正面図である。
図6(a)は図3乃至図5に示した緩衝部材の高さ位置と同等であり、(b)は道釘列と緩衝部材と間隔G2を(a)の場合よりも距離d1だけ大きくした状態を示しており、(c)は道釘列と緩衝部材との間隔G2を(a)の場合よりも距離d2だけ小さくした状態を示している。また、図7(a)(b)及び(c)は図6(a)(b)及び(c)に対応した縦断面図である。
遊技盤面上を同じ方向から同じ勢いで流下してきた遊技球Bが風車15の羽根15aで上向きに弾んだ場合におけるそれ以降の挙動は、緩衝部材30の高さ位置の違いに応じて異なってくる。
【0021】
図6(a)、図7(a)の場合には、緩衝部材30の底板下面(第2の緩衝部位32)と道釘列21Aとの間隔G2が風車15の直径とほぼ同等に設定されており、第1の緩衝部位31で弾んだ遊技球は鋭角状に右斜め下向きに落下し、道釘列21Aと第2の緩衝部位32との間でバウンドを繰り返してから勢いを十分に減殺されて下流側に位置する始動入賞口9へ向けて移動して行く。遊技球Bが第2の緩衝部位32とその下方に位置する道釘列21Aとの間に位置している限りは、庇状に張り出した第2の緩衝部位32に邪魔されて、仕切板17を越えてその奥方へ侵入することがなくなる。また、第2の緩衝部位32が存在しない下流側に遊技球が達した時点ではその勢いは既に十分に減殺されているため、仕切板17を越えて奥側に侵入する虞はなくなっている。また、遊技球が仕切板17を越える程度には大きく跳ね上がらない場合であっても、緩衝しない場合には始動入賞口に向かって速い速度で移動する可能性がある場合にも、第2の緩衝部位32によってその勢いを減殺して減速させることができる。
【0022】
次に、図6(b)、図7(b)の場合には、緩衝部材30の底板下面と道釘列との間の間隔G2が(a)の場合よりも距離d1だけ広くなっているため、遊技球が緩衝部位32の底板下面と道釘列との間で繰り返すバウンド数は(a)の場合よりも少なくなり、第2の緩衝部位32が存在しない下流側に遊技球が達した時点ではその勢いは十分に減殺されているため、仕切板17を越えて奥側に侵入する虞はなくなっている。また、始動入賞口の手前で十分に減速された状態となっている。
次に、図6(c)、図7(c)の場合には、緩衝部材30の底板下面と道釘列21Aとの間隔G2が(a)の場合よりも距離d2だけ狭くなっており、風車の羽根で右斜め上向きに弾み、第1の緩衝部位31で反射して右斜め下向きに落下してきた遊技球は道釘列21Aと第2の緩衝部位32との間で多数回バウンドを繰り返してから下流側へ移動する。この場合、遊技球の勢いを減殺する効果は図6(a)(b)の実施形態よりも劣っており、勢いが十分に減殺されないままの遊技球が勢いよく道釘列の下流側に移動してくることとなる。この場合には、始動入賞口への入賞率がばらつく虞がある。
従って、図6(a)(b)に示した程度に前記間隔G2を設定することが好ましい。
【0023】
このように緩衝部材の高さ位置を種々変更しても十分な緩衝効果を発揮することが可能である。このため、緩衝部材30と道釘列21Aとの間隔(緩衝部材の高さ)G2をどのように設定するかは、演出上のコンセプトや、周辺の盤面部品とのレイアウトとの関係で任意に設定することができ、高さ位置選択の範囲を広めることができる。
なお、上記実施形態では、風車の羽根15aによって上向きに跳ね上がった遊技球が緩衝部位31に当たってから道釘列21A上に落下する場合を例示したが、時計回りする風車から直接道釘上に遊技球が落下して跳ね上がる場合にも緩衝部材は同様に機能する。
なお、小型、軽量の緩衝部材30は取付けに際して大きなスペースをとらないため、遊技盤面上、盤面部品上、その他の任意の狭い部位にネジ止め固定することができる。また、取付け部位、取付け方法に特殊性がないため、簡易に取付け部位を選定し、簡易な取付けが可能である。
また、上記実施形態では緩衝部材を遊技盤面、その他の部位にネジ止め等によりリジッドに固定した例を示したが、緩衝部材が遊技球との衝突による応力によって上下、左右その他の任意の方向に変位して遊技球の勢いを更に減殺し易くなるように構成しても良い。
【0024】
図8は緩衝部材を変位可能に支持した構成例を示す要部正面図であり、図9は図8の部位を上側から見た斜視図であり、図10(a)及び(b)は図8のY−Y縦断面図である。
緩衝部材30は遊技盤、盤面部品等に形成した取付け穴を利用してネジ止め固定されるが、取付け穴とネジとの間にクリアランス(ガタ)を設けて緩衝部材を変位させるように構成することができる。つまり、緩衝部材30を取付け穴に対してリジッドに固定するのではなく、遊技球から受ける力に応じて変位するように構成することにより、緩衝性能を高めることができる。つまり、本例に係る緩衝部材は、風車や道釘にて跳ねた遊技球により押圧されたときに遊技球の勢いを減殺させる方向へ移動し、移動した後に原位置に復帰可能に構成されている。
【0025】
図10(a)は遊技盤1に設けた丸穴としての2つの取付け穴40と、緩衝部材30の二個のボス部34の各ネジ穴34a内に夫々螺着されるネジ42との間にクリアランス(ガタ)Cが形成されている。常時においては、ネジ42の締結によるワッシャー43と遊技盤裏面との間の圧接力により各部材は図示の状態を維持している。これに対して緩衝部材30底板下面に遊技球Bが衝突して上向きの力を受けると、(b)のようにネジ42、ボス部34が上向きに変形するため、緩衝部材30も上向きに変位する。このため、遊技球の勢いを減殺することができる。なお、ワッシャー43をゴムワッシャーとすれば、緩衝部材をより容易、且つ柔軟に変位させることが可能となる。
本例では、緩衝部材30が変位する方向は一義的に規制されておらず、緩衝部材下面に遊技球が衝突する方向の違いに応じて種々の方向に自在に変位可能である。図13(a)は本実施形態における緩衝部材の取付け構造において緩衝部材が360度の全方位へ移動する状態を示している。
【0026】
図8、図9中に実線で示した位置に緩衝部材がリジッドに固定されている場合には、風車15を経て第1の緩衝部位31に衝突した遊技球は実線で示したジグザグの経路を経てバウンドを繰り返して下流側へ移動して行くが、緩衝部材30を上下方向へ変位可能に構成した場合には第1の緩衝部位31に衝突した遊技球は破線で示した経路を経て大きく減衰されながら下流側へ移動して行く。本実施形態の場合には、遊技球が第1の緩衝部位31に衝突した時の力を受けて緩衝部材30が上方へ変位するために、遊技球の勢いが急速に減殺され、少ないバウンド数で緩衝部材を下流側に抜ける。このため、緩衝部材30の横方向長をより短くして小型化、軽量化することができる。
【0027】
次に、図11は本発明の他の実施形態に係る緩衝部材の構成を示す正面図であり、この実施形態では遊技盤、或いは盤面部品に設けた縦長の長穴状の取付け穴40内を利用して緩衝部材背面から突出したボス部34が上下方向へ移動するように支持している。このため、緩衝部材30はその底板下面に衝突する遊技球からの力を受けて図13(b)に示したように上方向(垂直方向)へ変位し、遊技球の勢いを急速に減殺し、少ないバウンド数で緩衝部材の下流側に抜けさせることができる。遊技球のバウンド数が少ないことは、バウンド数が多い場合に比して外観上、遊技者に与える不安感を少なくできるため好ましい。また、緩衝部材30の横方向長をより短くして小型化、軽量化することができる効果も期待できる。
【0028】
次に、図12は本発明の他の実施形態に係る緩衝部材の構成を示す正面図であり、この実施形態では遊技盤、或いは盤面部品に設けた斜めの長穴状の取付け穴40内を利用して緩衝部材背面から突出したボス部34が上下方向へ移動するように支持している。このため、緩衝部材30はその底板下面に衝突する遊技球からの力を受けて図13(c)に示したように斜め右上方向へ変位し、遊技球の勢いを急速に減殺し、少ないバウンド数で緩衝部材を下流側に抜けさせることができる。このため、緩衝部材30の横方向長をより短くして小型化、軽量化することができる。
本例における緩衝部材の移動方向は、遊技球が緩衝部材下面に衝突する方向に沿っているため、緩衝効果をより効率的に発揮することが可能となる。
【0029】
上記各実施形態では遊技球が衝突しない初期状態における緩衝部材30の底板下面(第2の緩衝部位32)を道釘列の延びる方向とほぼ並行にしたが、緩衝部材下面の延びる方向を道釘列に対して非並行とすることにより緩衝効果を高めることができる。
まず、図14(a)は緩衝部材の底板下面を下流へ向かうほど上向きに傾斜させた構成例を示している。
図4、図5のように緩衝部材を遊技盤面等に固定した場合において、緩衝部材下面(第2の緩衝部位32)を道釘列の延びる方向と平行な線l1に対して所定角度θ1だけ上向きに傾斜させることにより、道釘列と緩衝部材下面との距離が下流へ向かうほど拡開する。このため、道釘列と緩衝部材下面との距離が一定の場合に比して、下流に向かう程、道釘列と緩衝部材下面との間を遊技球が移動する距離が長くなり、その分だけ減衰効果が高まる。このため、緩衝部材の横方向長を短くして小型化、軽量化することができる。
【0030】
なお、図14(a)中に符号50で示す位置に緩衝部材30を回動させる支点を設け、緩衝部材30の下流部(第2の緩衝部位32)が支点50を中心として上下方向へ回動するように構成してもよい。この場合、緩衝部材下面が道釘列とほぼ並行な下降位置から角度θ1程度上向きに回動するように構成してもよいし、図14(a)中に実線で示した上向き傾斜した位置から更に上方へ回動するように構成してもよい。
このように緩衝部材30を遊技球からの衝撃によって上下動するように構成することにより、その緩衝効果を更に高めることができる。
【0031】
次に、図14(b)は緩衝部材の底板下面を下流へ向かうほど下向きに傾斜させた構成例を示している。
図4、図5のように緩衝部材を固定した場合において、緩衝部材下面(第2の緩衝部位32)を道釘列の延びる方向と平行な線l1に対して所定角度θ2だけ下向きに傾斜させることにより、道釘列と緩衝部材下面との距離が下流へ向かうほど拡開する。このため、道釘列と緩衝部材下面との距離が一定の場合に比して、道釘列と緩衝部材下面との間を遊技球がバウンドする回数が増大し、その分だけ減衰効果が高めることができる。このため、緩衝部材の横方向長を短くして小型化、軽量化することができる。バウンド回数が増大する外観上のデメリットはあるが、十分に実使用可能な構成である。
なお、図14(b)中に符号50で示す位置に緩衝部材30を回動させる支点を設け、緩衝部材30の下流部(第2の緩衝部位32)が支点50を中心として上下方向へ回動するように構成してもよい。この場合、緩衝部材下面が実線で示した下降傾斜姿勢から角度θ2程度上向きに回動した位置まで回動するように構成する。
このように緩衝部材30を遊技球からの衝撃によって上下方向へ回動するように構成することにより、その緩衝効果を更に高めることができる。
【0032】
次に、図15(a)(b)は本発明に係る緩衝部材の他の構成例を示す正面図であり、この実施形態では緩衝部材の底板下面の正面形状を波形(円弧状の凹凸が連続した状態)に構成することによって遊技球の勢いを減殺させる緩衝効果を更に高めている。
まず、図15(a)では第2の緩衝部位32を円弧状の凹凸55としており、凹凸55を構成する凸部55aと凹部55bを大きなサイズとすることにより緩やかな波形としている。このように緩衝部位32の形状を波形にすることにより、道釘列から上向きに跳ね返って一つの凸部55a(凹部55b)に突き当たった遊技球の一部が道釘列に戻らずに隣接する凸部55aに当たってから道釘列に向かって跳ね返る現象が発生し、遊技球の勢いを急速に減殺することができる。このため、緩衝部材30の横方向長を短くして小型化、軽量化することができる。
また、凸部55a(凹部55b)に突き当たった遊技球が直接道釘列21Aに戻ってバウンドを繰り返す場合には上記の各実施形態の場合と同様に勢いを十分に減殺されて始動入賞口側へ移動する。
【0033】
なお、図中に符号50で示す位置に緩衝部材30を回動させる支点を設け、緩衝部材30の下流部(第2の緩衝部位32)が支点50を中心として上下方向へ回動するように構成してもよい。この場合、緩衝部材下面が図示の位置から所定角度上向きに回動するように構成する。このように緩衝部材30を遊技球からの衝撃によって上下方向へ回動するように構成することにより、その緩衝効果を更に高めることができる。
なお、凸部55a、凹部55bのサイズ、ピッチは種々選定可能であり、例えば図15(b)に示すように円弧状の凹凸55を構成する個々の凸部55aと凹部55bを小さなサイズとしてもよい。このように構成した場合も、図15(a)と同様に遊技球の勢いを急速に減殺する効果を発揮することができる。また、緩衝部材30の下流部(第2の緩衝部位32)が支点50を中心として上下方向へ回動するように構成してもよい。
また、第2の緩衝部位32の正面形状を、波形に代えて、ジグザグ状の凹凸形状としても良い。
【0034】
上記の各実施形態では、緩衝部材の下面、特に第2の緩衝部位32の縦断面形状を、図7、図10に示したように水平な平坦面とした場合を想定したが、第2の緩衝部位の形状は種々選定可能である。
即ち、図16(a)及び(b)は第2の緩衝部位の縦断面形状を水平な平坦面以外とした構成例を示す断面図(図8のY−Yに沿った断面図)である。
図16(a)の例では、緩衝部材の第2の緩衝部位32を上向きにへこんだ凹状とした例を示している。このように第2の緩衝部位32の形状を選定することにより、道釘列21A上で上向きに弾んだ遊技球のうちの一部は図中に示したような経路をバウンドして下流側へ移動して行く。このため、遊技球の勢いを効率的に減衰させることができる。
次に、図16(b)の例では、緩衝部材の第2の緩衝部位32を平坦面にすると共に、この平坦面の奥側が上向きになるように傾斜させている。このように第2の緩衝部位32の形状を選定することにより、道釘列21A上で上向きに弾んだ遊技球のうちの一部は図中に示したような経路をバウンドして下流側へ移動して行く。このため、遊技球の勢いを効率的に減衰させることができる。
【0035】
次に、図17(a)及び(b)は本発明の緩衝部材の支持構造の変形例を示す断面図である。
この実施形態では遊技盤、或いは盤面部品に設けた縦長の取付け穴40内に挿通したネジ42の雄螺子部42a先端部を緩衝部材背面から突出したボス部34内のネジ穴34a内に螺着している点において図16と同様であるが、取付け穴40の内径をネジの雄螺子部42aよりも若干大きくして取付け穴内で雄螺子部が360度の範囲で動くようにした点が異なっている。更に、ネジ42の頭部と遊技盤との間、及びボス部34と遊技盤との間に夫々ゴムワッシャ(例えば、ウレタンゴムワッシャ)60を介在させている。ゴムワッシャ60は、緩衝部材30を所定の初期位置に保持する一方で、遊技球からの衝撃によって緩衝部材が変位した後で初期位置に復帰させるように機能する。
このように構成したため、緩衝部材30はその底板下面に衝突する遊技球からの力を受けて上方向へ変位して遊技球の勢いを急速に減殺し、少ないバウンド数で緩衝部材を下流側に抜けさせることができる(図17(b))。このため、緩衝部材30の横方向長をより短くして小型化、軽量化することができる。
【0036】
次に、図18(a)及び(b)は夫々本発明の他の変形例の要部構成を示す縦断面図であり、この実施形態では緩衝部材の底板30Aを上下方向に変位(変形)可能に構成している。即ち、例えば緩衝部材の前板30Bの下部と底板30Aとの間に薄肉部30Cを設けることにより、下面に遊技球が衝突したときに底板30Aが上方に弾性的に撓み変形して遊技球の勢いを減殺するように構成してもよい。
図18(a)は底板30Aの一部に凹所を設けて薄肉部30Cを形成した例であり、図18(b)は底板の前部を最も肉厚の薄い部分30Cとし、後方へ向かうほど厚みが漸増するようにした構成例である。
このように構成することにより、遊技球が突き当たった時の衝撃(押圧力)によって底板30Aが上方向に変形して遊技球の勢いを減殺することができ、バウンドの抑制、球速の減衰を行うことが可能となる。
なお、本実施形態の構成は、図8乃至図14に示した移動可能な緩衝部材の構成と組み合わせても良いし、図15乃至図17に示した実施形態の組み合わせても良い。
【0037】
上記各実施形態では、道釘列からの跳ね上がり球を緩衝する緩衝部位32の他、風車からの跳ね上がり球を緩衝する緩衝部位31を設けたが、何れか一方だけを設けた構成であってもよい。
なお、上記各実施形態では、緩衝部材と対向配置する遊技釘として始動入賞口へ遊技釘を導く道釘を例示したが、始動入賞口以外の入賞口に遊技球を導く遊技釘列一般に対して緩衝部材を適用することができる。
以上のように本発明では、樹脂製遊技盤に植設された遊技釘の反発力が高いことに起因して発生する遊技球の大きな跳ね上がり、その他のイレギュラーな挙動に起因した入賞口への入球率のバラツキや、遊技盤の開口部の内奥部への入り込みを効果的に防止することができる。
また、道釘列の上流側に配置された風車の挙動により、遊技球の弾み方にはばらつきが発生するが、道釘列の直上にオーバーハングするように緩衝部材を配置してあらゆる弾み方に対応できるようにし、遊技球の勢いが緩衝部材により抑制されるので、下流では十分に挙動が安定し、イレギュラーな挙動を示すことがない。
また、緩衝部材の底板の高さ位置を、普通の高さの弾み球が当たらない程度に高く設定することにより、遊技の進行の悪影響を及ぼす懸念をなくすることができる。
【符号の説明】
【0038】
1…遊技盤、1a…遊技領域、1b…開口部、2…ガラス枠、3…皿部、4…発射レバー、5…センター部材、8…アウト口、9…始動入賞口、11…可変入賞装置、12…ゲート、13…大入賞口、14…普通入賞口、15…風車、15a…羽根、16…普通図柄表示装置、17…仕切板、20…遊技釘、21…道釘、21A…道釘列、30…緩衝部材、30A…底板、30B…前板、30C…薄肉部、31…第1の緩衝部位、32…第2の緩部位、34…ボス部、34a…ネジ穴、40…取付け穴、42…ネジ、42a…雄螺子部、43…ワッシャー、50…支点、55…凹凸、55a…凸部、55b…凹部、60…ゴムワッシャー
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製遊技盤を採用した場合に遊技盤に植設された遊技釘の反発力が高まることに起因して発生する遊技球の大きな跳ね上がりを効果的に防止するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機においては、遊技盤の盤面に入賞口、風車、可変表示装置、電飾装置等の各種盤面部品を設けて遊技内容の多様性を図り、遊技の進行中における入賞、その他の状況変化を契機として可動盤面部品を種々の方向に動作させることにより演出効果を高めている。
例えば、遊技盤に設けられた始動入賞口に遊技球が入賞すると、遊技盤中の可変表示装置の液晶画面に表示される図柄が変動を開始し、所定時間経過後に停止した図柄が予め定めた大当たり図柄となった場合に大当たり状態となり、遊技者が大量の出球を獲得できるようになっている。このような遊技機では、遊技の興趣を高めるために様々な表示演出が行われる。
【0003】
図19(a)及び(b)は遊技盤面を流下してきた遊技球が道釘群にガイドされて入賞口に移動する過程で弾みを起こす状態を示す正面図、及び上側から見た斜視図である。
遊技球発射装置から打ち出された遊技球Bは、遊技盤100の左周縁に沿って設けられた導入経路101に沿って上昇し、遊技盤の左上にある遊技球導入口から遊技領域に流下して来る。遊技領域の中央に設けた開口部105内には液晶表示装置106が配置されており、開口部の下縁中央部の下側の盤面には図示しない始動入賞口が配置されている。開口部105の左側下方の盤面には風車110が配置されると共に、風車と図示しない始動入賞口との間には道釘111と称される複数の遊技釘がほぼ一列に植設されている。風車110上に落下し風車を時計回り方向へ回転させた遊技球は道釘111から成る道釘列111A上に移動して道釘列上を始動入賞口へ向けて移動して行く。
【0004】
ところで、従来の遊技盤はベニヤ板から構成されていたため、遊技盤に植設される遊技釘はベニヤ板による緩衝作用によって遊技球から受ける衝撃を吸収緩和することができ、遊技釘に勢いよく当たった遊技球が大きく跳ね上がることは稀であった。
近年ベニヤ板に代わってアクリル、その他の樹脂材料から成る遊技盤が使用され始めている(特許文献1、2、3)が、樹脂製遊技盤はベニヤ板に比して硬度が高く変形し難いため緩衝効果がベニヤ板に比して著しく低く、樹脂製遊技盤に植設された遊技釘は遊技球から受ける衝撃を十分に吸収緩和できない。このため、遊技釘に勢いよく当たった遊技球は大きく跳ね上がる傾向が強くなる。
従って、図19に示した遊技盤100を樹脂製とした場合、風車110から道釘111上に落下してきた遊技球Bは遊技釘の反発力によって図示のように大きく弾み易い。遊技球が大きく跳ねると、遊技者に違和感をもたらすばかりでなく、入賞口への入球率がばらつく等、事実上の不利益も発生する。このため、遊技進行上、遊技球を道釘上で大きく弾ませたくない、という要請がある。
【0005】
一方、開口部105の下縁に沿った位置には、遊技球が開口部下縁と、その後方に位置する液晶表示装置106との間のスペースに入り込むことを防止するための仕切板115が配置されているが、仕切り板115は液晶表示装置106のディスプレイ下部を覆って映像の視認性を妨げることがない程度に低く設定されているに過ぎないため、道釘列111Aで跳ね返って大きく弾んだ遊技球が仕切り板115を乗り越えて前記スペース内に入り込むことを完全に防止することはできない。
開口部105と液晶表示装置106との間のスペースには可動役物が配置されることが多いため、ここに侵入した遊技球は可動役物の動作を妨げたり、故障させる原因となる。
また、道釘上での遊技球の跳ね上がり高さが大きくなると、始動入賞口の直前でもバウンドが残っていたり、遊技球を減速できない等の事態が発生し、始動入賞口への入球率のバラツキが大きくなることも判明している。
更に、樹脂製遊技盤面に植設された道釘上で弾んだ遊技球は、高く跳ね上がらない場合であっても移動速度が速いため、低いバウンドを繰り返すことにより始動入賞口への入球率を著しく低下させる傾向がある。
【0006】
このように道釘列上の遊技球の跳ね上がり高さの大小(特に、大きく、且つイレギュラーなバウンド)、移動速度等の挙動の変化は、始動入賞口への入賞率に影響を与えるため、遊技者が最も注視する対象となるが、遊技球が道釘列上でベニヤ板製遊技盤では見慣れない挙動を示すと、遊技者に不安を与える原因となる。
特に、道釘列の直前に配置された風車の挙動との絡みによっては遊技球の弾み方が一様とはならないため、種々の態様で跳ね上がる遊技球を効果的に抑制する部材を大型化させずに設計することは難しかった。
具体的には、風車から道釘列の全長をカバーするようにこれらの上方に、遊技球のイレギュラーな跳ね上がりだけを押さえ、減速させるための庇状の長尺部材を配置することも考えられるが、外観悪化、近接する他の盤面部品のレイアウト自由度の低下などをもたらすため、実現は困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−083381公報
【特許文献2】特開2009−279189公報
【特許文献3】特開2005−254020公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
樹脂製遊技盤に植設した遊技釘はベニヤ製遊技盤に植設した遊技釘に比して反発力が強いため、遊技釘上に落下した遊技球が大きく跳ね上がったり、減速せずにバウンドしながら道釘上を移動する傾向がある。遊技盤に設けた開口部の下縁に沿って植設した道釘列上に風車経由で遊技釘が落下して大きく跳ね上がると、イレギュラーなバウンドを繰り返しながら入賞口まで達する。即ち、道釘列上に落下した遊技球は、ベニヤ製遊技盤に植設された道釘列では考えられないようなイレギュラーな挙動を示すため、これが入賞口への入球率のバラツキを招き、遊技者に多大な不安を与える要因となる。また、大きく跳ね上がった遊技球は、仕切板を乗り越えて開口部の奥側に入り込んで他の役物との干渉等の種々の問題を起こす虞がある。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、樹脂製遊技盤に植設された遊技釘の反発力が高いことに起因して発生する遊技球の大きな跳ね上がり、その他のイレギュラーな挙動に起因した入賞口への入球率のバラツキや、遊技盤の開口部の内奥部への入り込みを効果的に防止する構成を備えた遊技機を提案するものである。
特に、道釘列の上流側に配置された風車の挙動により、遊技球の弾み方にはばらつきが生じるが、道釘列の直上を覆うように緩衝部材を配置して許容範囲を超えて上昇してくるあらゆる弾み方に対応できるようにした。遊技球の勢いが緩衝部材との接触により抑制されるので、下流(入賞口の直上流)ではイレギュラーな挙動を示すことがない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、遊技盤面に配置された入賞口と、前記遊技盤面を流下する遊技球を前記入賞口に導くために配置された複数の道釘から成る道釘列と、を備え、前記道釘列の上方に該道釘列と所定の間隔を隔てて、該道釘列にて跳ねた遊技球の勢いを減殺させる緩衝部材を配置したことを特徴とする。
道釘列の下流側に配置された入賞口への入賞率をばらつかせる原因となる道釘列上での遊技球の過剰な飛び上がり、減速不良等のイレギュラーな挙動を抑制するために、許容限度を超えて上昇する遊技球と接してその勢いを減殺するように緩衝部材を配置する。
請求項2の発明は、前記緩衝部材は、前記道釘にて跳ねた遊技球により押圧されて移動するように構成されていることを特徴とする。
緩衝部材は固定配置してもよいが、遊技球により押圧されて移動するように構成することにより遊技球の勢いを効果的に吸収緩和して減殺することができる。
請求項3の発明は、前記緩衝部材の適所に設けた回動軸により該緩衝部材を回動可能に支持したことを特徴とする。
請求項4の発明は、前記緩衝部材は、該衝撃部材の下面に当たった遊技球に押圧されて上方に変位するように構成されていることを特徴とする。
請求項5の発明は、前記緩衝部材の下面には、前記道釘列の上流側に配置された風車から上向きに跳ねた遊技球の勢いを減殺させる緩衝部位を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、樹脂製遊技盤に植設された遊技釘の反発力が高いことに起因して発生する遊技球の大きな跳ね上がり、その他のイレギュラーな挙動に起因した入賞口への入球率のバラツキや、遊技盤の開口部の内奥部への入り込みを効果的に防止することができる。
特に、道釘列の上流側に配置された風車の挙動により、遊技球の弾み方にはばらつきが発生するが、緩衝部材によりあらゆるはずみ方に対応できるようにし、遊技球の勢いが緩衝部材により抑制されるので、下流ではイレギュラーな挙動を示すことがない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の正面図である。
【図2】遊技盤及び搭載された各種部品を示す正面図である。
【図3】本発明に係る遊技機の要部構成を示す拡大図である。
【図4】道釘列上にて跳ね上がる遊技球を緩衝部材が緩衝している状態を示す正面図である。
【図5】図4と同じ部位の上側斜視図である。
【図6】(a)(b)及び(c)は、緩衝部材の高さ位置を種々変更して夫々の緩衝効果を比較した正面図である。
【図7】(a)(b)及び(c)は図6(a)(b)及び(c)に対応した縦断面図である。
【図8】緩衝部材を変位可能に支持した構成例を示す要部正面図である。
【図9】図8を上側から見た斜視図である。
【図10】(a)及び(b)は図8のY−Y縦断面図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る緩衝部材の構成を示す正面図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る緩衝部材の構成を示す正面図である。
【図13】(a)(b)及び(c)は図8、図11、及び図12の実施形態における緩衝部材の動作を示す正面図である。
【図14】(a)及び(b)は夫々緩衝部材の下面を下流へ向かうほど上向きに傾斜させた構成例を示す図である。
【図15】(a)及び(b)は夫々緩衝部材の下面の正面形状を凹凸状にした構成例を示す図である。
【図16】(a)及び(b)は夫々本発明の他の実施形態に係る緩衝部材の縦断面図である。
【図17】(a)及び(b)は夫々本発明の他の実施形態に係る緩衝部材の縦断面図である。
【図18】(a)及び(b)は夫々本発明の他の変形例の要部構成を示す縦断面図である。
【図19】(a)及び(b)は夫々従来例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1は本発明に係る遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の正面図であり、図2は遊技盤及び搭載された各種部品を示す正面図である。
遊技盤1の前面側には、ガラス板を支持したガラス枠2が開閉可能に取り付けられている。また遊技盤1の下部には遊技球を貯留する受け皿部3と、受け皿部内の遊技球を発射する発射レバー4が設けられている。また、受け皿部3の上面には遊技機用ボタンスイッチや、遊技球の購入ボタン、購入取り消しボタン(何れも図示せず)が設けられている。
遊技盤1の裏面には、液晶画面、主制御基板とサブ制御基板等、遊技の進行、演出に関わる裏部品を組み付けた合成樹脂製の機構板(何れも図示せず)が開閉自在に装着されている。遊技盤1における遊技領域1aの周囲には、発射レバー4を操作することにより発射装置から発射された遊技球を遊技領域1aの上部に案内したり、アウト口8に案内する外レールR1、及び内レールR2が設けられている。
【0013】
遊技盤1のほぼ中央部に形成された開口部1b内には、中央が開口したセンター部材5が配置される。センター部材5の内部(開口部1bの奥側)には図柄表示装置6が配置されている。図柄表示装置6は、例えば、液晶表示装置等の液晶表示パネルによって構成され、通常動作状態の時は、図示しない特別図柄画像が表示される。また、いわゆる特別遊技状態の時は、特別遊技状態であることを示す演出画像等が表示される。
センター部材5の中央下部には図柄表示装置6の特別図柄を可変表示させるための始動入賞口9が配置され、始動入賞口9の直下には図柄表示装置6の特別図柄を可変表示させるための可変入賞装置11が設けられている。また、図柄表示装置6の左側には、普通図柄表示装置16に表示される普通図柄を作動させるためのゲート12が設けられている。さらに可変入賞装置11の右方には、特別遊技状態の一つである大当たり状態のときに開成状態になる開閉扉を有する大入賞口13が設けられている。
可変入賞装置11は、図柄表示装置6を可変表示させるための左右一対の開閉爪(可動片)を有する電動式チューリップを備えて構成される。
【0014】
また遊技盤1には普通入賞口14やアウト口8等が設けられていると共に、風車15や多数の遊技釘20が突設されている。遊技釘20は、遊技球の落下速度を遅くすると共に、落下方向を複雑に変化させて遊技進行上の興趣を高めている。
風車15と始動入賞口9との間には、道釘21と称される複数の遊技釘20が右斜め下向きに一列に植設されている。風車15上に落下し風車を時計回り方向へ回転させた遊技球は複数の道釘21から成る道釘列21A上に移動して道釘列上を始動入賞口9へ向けて移動して行く。また、開口部1bの下縁には遊技球が開口部と図柄表示装置6との間のスペースに飛び込むことを阻止するための仕切板17が配置されている。
普通図柄表示装置16に表示される普通図柄は、1個または複数個の図柄を変動表示可能であり、普通図柄始動口としてのゲート12が遊技球を検出することを条件に、その図柄が乱数制御等により所定時間可変して停止するようになっている。
【0015】
また図柄表示装置6に表示される特別図柄は、停止図柄が予め定められた図柄の組合せ、例えば同一図柄の組合せとなった場合に大当たり状態となるように構成されている。また特別図柄は可変入賞装置の電動式チューリップの開成動作により遊技球が誘導される下始動口(図示していない)において遊技球を検出することを条件に乱数制御等により表示がスクロールする等、所定の変動パターンで所定時間変動(可変)して図柄で停止するようになっている。その際、有効ライン上に2個の停止図柄が同一となった場合に、リーチ状態が発生し、このリーチ状態において、有効ライン上の最後の停止図柄が既に停止している2個の図柄と同一となった場合に大当たり状態が発生する。なお、特別図柄としては、数字図柄、アルファベット図柄、キャラクター図柄等が使用可能である。
【0016】
図3は本発明に係る遊技機の要部構成を示す拡大図であり、図4は道釘列上にて跳ね上がる遊技球を緩衝部材が緩衝している状態を示す正面図であり、図5は図4と同じ部位の上側斜視図である。
本例に係る遊技盤1は、アクリル、その他の樹脂から構成されており、遊技釘20は遊技盤面に予め形成した釘穴内に強固に植設されて反発力が強くなっている。このため、遊技釘20上に遊技球が落下して跳ねた場合の跳ね上がり距離、及び跳ね返り速度は、ベニヤ製遊技盤に植設された遊技釘に同じ勢いで遊技球が落下した場合の跳ね上がり距離、及び跳ね返り速度に比して大幅に(例えば、1.5倍以上)大きくなる。
道釘21についても事情は同じであり、遊技盤面を流下し、風車15を経由して道釘列21A上に落下してきた遊技球は斜め右上方向に大きく跳ね上がり、仕切板17を越えて奥側へ入り込む確率が高くなる。或いは、道釘列上を速い速度で始動入賞口へ向けて移動し、入球率を低下させる傾向がある。
本発明の特徴的な構成は、風車15、及び道釘列21Aの上方に夫々道釘列と所定の適正間隔G1、G2を隔てて、風車15、及び道釘21に当たって夫々斜め上向きに跳ねた遊技球Bの勢いを減殺させる緩衝部材30を配置した点にある。
【0017】
緩衝部材30はその底板30Aの下面が道釘の上方にオーバーハングするように突出しているため、跳ね上がった遊技球を底板下面により受けて勢いを減殺することができる。また、緩衝部材30は道釘列の全長に渡って設ける必要はなく、風車、及び道釘列の上流側の一部の上方に配置すれば十分である。
緩衝部材30は、その底板30Aの下面に、道釘列21Aにて跳ね上がった遊技球を受け止めて勢いを減殺させる緩衝部位31、32を備えている。即ち、緩衝部材30の底板下面には、風車15の羽根に当たって、或いは時計回り方向へ回転する風車によって付勢されて、斜め右上方向へ飛び上がった遊技球を受け止めるのに適した横方向長L1と前後方向幅W1を有した第1の緩衝部位(上流側緩衝部位)31と、第1の緩衝部位31の右端部から下流側へ所定長さL2だけ延びた第2の緩衝部位(下流側緩衝部位)32と、を備えており、第2の緩衝部位32は道釘列21Aにて上向きに弾んで来た遊技球を受け止めて仕切板17を越えてその奥側に入り込むことを阻止したり、その移動速度を減殺するように、その前後方向幅W2、及び横方向長L2が設定されている。
【0018】
第2の緩衝部位32の横方向長L2は、遊技球Bが道釘列21Aと緩衝部材の底板下面との間で交互にジグザグ状に複数回弾むことにより、遊技球が仕切板17を越える虞がなくなる程度か、或いは遊技球が始動入賞口の手前で十分に減速する程度に、減衰させるのに必要十分な長さに設定されている。本例では、第1の緩衝部位31の前後幅W1と、第2の緩衝部位32の前後幅W2は、ほぼ同等である。第1の緩衝部位31の横方向長L1は1〜2cm程度、第2の緩衝部位32の横方向長L2は3〜5cm程度で十分である。従って、緩衝部材30は小型な部材となり、道釘列上の僅かなスペースを利用して設置することができる。緩衝部材30を樹脂材料から構成することにより、その軽量化を図ることができる。
なお、緩衝部材の底板30Aの底板下面に設けた第1の緩衝部位31と風車(羽根)との間隔G1、第2の緩衝部位32と道釘列21Aとの間隔G2は、風車15の羽根に当たった遊技球が上向きに跳ね上がる通常の高さ、及び風車を経由して直接道釘列上に落下した遊技球が跳ね上がる通常の高さよりも大きく設定することにより、通常の遊技球の挙動を阻害しないように設定する。通常レベルで跳ね上がる遊技球は、仕切板17を越えて跳ね上がらないため、その挙動を阻害する必要はないからである。
【0019】
一方、風車15の羽根で高くバウンドした遊技球や、風車から直接道釘列上に落下して高くバウンドした遊技球が仕切板17を越える虞がある場合にはこれらが仕切板を越える高さに達する前に抑制する必要があるために、緩衝部材30の底板下面の高さを所定に設定してそれ以上の上昇を阻止する。
つまり、緩衝部材30の底板下面の高さ位置は、風車から直接跳ね上がる遊技球、及び道釘列から跳ね上がる遊技球が仕切板17を越える前に押さえ込むことができるように設定する。一方で、緩衝部材30の底板下面と、風車、及び道釘列との間の間隔G1、G2が短すぎると、バウンド回数が異常に増えて外観が悪化する一方で、減衰効果が低くなるので、上記距離を適切に設定する必要がある。また、仕切板17を越える程度には高く跳ね上がらない遊技球であっても、緩衝部材によって規制しない場合には移動速度が速くなり過ぎる虞がある場合にはこのような遊技球の跳ね上がりをある程度規制する必要があるため、上記間隔G1、G2はこのような各種条件を考慮しながら適切に設定する必要がある。
緩衝部材30は、その底板下面が風車や道釘列から跳ね上がってくる遊技球と接してその勢いを減殺(それ以上の上昇を阻止)する緩衝部位として機能するため、底板下面以外の上側の部分の形状、構造は種々変形が可能である。また、最低限、緩衝部位となる底板と、底板を遊技盤面等に取り付ける取付け部材があれば緩衝部材としては十分である。
【0020】
次に、図6(a)(b)及び(c)は、緩衝部材の高さ位置を種々変更して夫々の緩衝効果を比較した正面図である。
図6(a)は図3乃至図5に示した緩衝部材の高さ位置と同等であり、(b)は道釘列と緩衝部材と間隔G2を(a)の場合よりも距離d1だけ大きくした状態を示しており、(c)は道釘列と緩衝部材との間隔G2を(a)の場合よりも距離d2だけ小さくした状態を示している。また、図7(a)(b)及び(c)は図6(a)(b)及び(c)に対応した縦断面図である。
遊技盤面上を同じ方向から同じ勢いで流下してきた遊技球Bが風車15の羽根15aで上向きに弾んだ場合におけるそれ以降の挙動は、緩衝部材30の高さ位置の違いに応じて異なってくる。
【0021】
図6(a)、図7(a)の場合には、緩衝部材30の底板下面(第2の緩衝部位32)と道釘列21Aとの間隔G2が風車15の直径とほぼ同等に設定されており、第1の緩衝部位31で弾んだ遊技球は鋭角状に右斜め下向きに落下し、道釘列21Aと第2の緩衝部位32との間でバウンドを繰り返してから勢いを十分に減殺されて下流側に位置する始動入賞口9へ向けて移動して行く。遊技球Bが第2の緩衝部位32とその下方に位置する道釘列21Aとの間に位置している限りは、庇状に張り出した第2の緩衝部位32に邪魔されて、仕切板17を越えてその奥方へ侵入することがなくなる。また、第2の緩衝部位32が存在しない下流側に遊技球が達した時点ではその勢いは既に十分に減殺されているため、仕切板17を越えて奥側に侵入する虞はなくなっている。また、遊技球が仕切板17を越える程度には大きく跳ね上がらない場合であっても、緩衝しない場合には始動入賞口に向かって速い速度で移動する可能性がある場合にも、第2の緩衝部位32によってその勢いを減殺して減速させることができる。
【0022】
次に、図6(b)、図7(b)の場合には、緩衝部材30の底板下面と道釘列との間の間隔G2が(a)の場合よりも距離d1だけ広くなっているため、遊技球が緩衝部位32の底板下面と道釘列との間で繰り返すバウンド数は(a)の場合よりも少なくなり、第2の緩衝部位32が存在しない下流側に遊技球が達した時点ではその勢いは十分に減殺されているため、仕切板17を越えて奥側に侵入する虞はなくなっている。また、始動入賞口の手前で十分に減速された状態となっている。
次に、図6(c)、図7(c)の場合には、緩衝部材30の底板下面と道釘列21Aとの間隔G2が(a)の場合よりも距離d2だけ狭くなっており、風車の羽根で右斜め上向きに弾み、第1の緩衝部位31で反射して右斜め下向きに落下してきた遊技球は道釘列21Aと第2の緩衝部位32との間で多数回バウンドを繰り返してから下流側へ移動する。この場合、遊技球の勢いを減殺する効果は図6(a)(b)の実施形態よりも劣っており、勢いが十分に減殺されないままの遊技球が勢いよく道釘列の下流側に移動してくることとなる。この場合には、始動入賞口への入賞率がばらつく虞がある。
従って、図6(a)(b)に示した程度に前記間隔G2を設定することが好ましい。
【0023】
このように緩衝部材の高さ位置を種々変更しても十分な緩衝効果を発揮することが可能である。このため、緩衝部材30と道釘列21Aとの間隔(緩衝部材の高さ)G2をどのように設定するかは、演出上のコンセプトや、周辺の盤面部品とのレイアウトとの関係で任意に設定することができ、高さ位置選択の範囲を広めることができる。
なお、上記実施形態では、風車の羽根15aによって上向きに跳ね上がった遊技球が緩衝部位31に当たってから道釘列21A上に落下する場合を例示したが、時計回りする風車から直接道釘上に遊技球が落下して跳ね上がる場合にも緩衝部材は同様に機能する。
なお、小型、軽量の緩衝部材30は取付けに際して大きなスペースをとらないため、遊技盤面上、盤面部品上、その他の任意の狭い部位にネジ止め固定することができる。また、取付け部位、取付け方法に特殊性がないため、簡易に取付け部位を選定し、簡易な取付けが可能である。
また、上記実施形態では緩衝部材を遊技盤面、その他の部位にネジ止め等によりリジッドに固定した例を示したが、緩衝部材が遊技球との衝突による応力によって上下、左右その他の任意の方向に変位して遊技球の勢いを更に減殺し易くなるように構成しても良い。
【0024】
図8は緩衝部材を変位可能に支持した構成例を示す要部正面図であり、図9は図8の部位を上側から見た斜視図であり、図10(a)及び(b)は図8のY−Y縦断面図である。
緩衝部材30は遊技盤、盤面部品等に形成した取付け穴を利用してネジ止め固定されるが、取付け穴とネジとの間にクリアランス(ガタ)を設けて緩衝部材を変位させるように構成することができる。つまり、緩衝部材30を取付け穴に対してリジッドに固定するのではなく、遊技球から受ける力に応じて変位するように構成することにより、緩衝性能を高めることができる。つまり、本例に係る緩衝部材は、風車や道釘にて跳ねた遊技球により押圧されたときに遊技球の勢いを減殺させる方向へ移動し、移動した後に原位置に復帰可能に構成されている。
【0025】
図10(a)は遊技盤1に設けた丸穴としての2つの取付け穴40と、緩衝部材30の二個のボス部34の各ネジ穴34a内に夫々螺着されるネジ42との間にクリアランス(ガタ)Cが形成されている。常時においては、ネジ42の締結によるワッシャー43と遊技盤裏面との間の圧接力により各部材は図示の状態を維持している。これに対して緩衝部材30底板下面に遊技球Bが衝突して上向きの力を受けると、(b)のようにネジ42、ボス部34が上向きに変形するため、緩衝部材30も上向きに変位する。このため、遊技球の勢いを減殺することができる。なお、ワッシャー43をゴムワッシャーとすれば、緩衝部材をより容易、且つ柔軟に変位させることが可能となる。
本例では、緩衝部材30が変位する方向は一義的に規制されておらず、緩衝部材下面に遊技球が衝突する方向の違いに応じて種々の方向に自在に変位可能である。図13(a)は本実施形態における緩衝部材の取付け構造において緩衝部材が360度の全方位へ移動する状態を示している。
【0026】
図8、図9中に実線で示した位置に緩衝部材がリジッドに固定されている場合には、風車15を経て第1の緩衝部位31に衝突した遊技球は実線で示したジグザグの経路を経てバウンドを繰り返して下流側へ移動して行くが、緩衝部材30を上下方向へ変位可能に構成した場合には第1の緩衝部位31に衝突した遊技球は破線で示した経路を経て大きく減衰されながら下流側へ移動して行く。本実施形態の場合には、遊技球が第1の緩衝部位31に衝突した時の力を受けて緩衝部材30が上方へ変位するために、遊技球の勢いが急速に減殺され、少ないバウンド数で緩衝部材を下流側に抜ける。このため、緩衝部材30の横方向長をより短くして小型化、軽量化することができる。
【0027】
次に、図11は本発明の他の実施形態に係る緩衝部材の構成を示す正面図であり、この実施形態では遊技盤、或いは盤面部品に設けた縦長の長穴状の取付け穴40内を利用して緩衝部材背面から突出したボス部34が上下方向へ移動するように支持している。このため、緩衝部材30はその底板下面に衝突する遊技球からの力を受けて図13(b)に示したように上方向(垂直方向)へ変位し、遊技球の勢いを急速に減殺し、少ないバウンド数で緩衝部材の下流側に抜けさせることができる。遊技球のバウンド数が少ないことは、バウンド数が多い場合に比して外観上、遊技者に与える不安感を少なくできるため好ましい。また、緩衝部材30の横方向長をより短くして小型化、軽量化することができる効果も期待できる。
【0028】
次に、図12は本発明の他の実施形態に係る緩衝部材の構成を示す正面図であり、この実施形態では遊技盤、或いは盤面部品に設けた斜めの長穴状の取付け穴40内を利用して緩衝部材背面から突出したボス部34が上下方向へ移動するように支持している。このため、緩衝部材30はその底板下面に衝突する遊技球からの力を受けて図13(c)に示したように斜め右上方向へ変位し、遊技球の勢いを急速に減殺し、少ないバウンド数で緩衝部材を下流側に抜けさせることができる。このため、緩衝部材30の横方向長をより短くして小型化、軽量化することができる。
本例における緩衝部材の移動方向は、遊技球が緩衝部材下面に衝突する方向に沿っているため、緩衝効果をより効率的に発揮することが可能となる。
【0029】
上記各実施形態では遊技球が衝突しない初期状態における緩衝部材30の底板下面(第2の緩衝部位32)を道釘列の延びる方向とほぼ並行にしたが、緩衝部材下面の延びる方向を道釘列に対して非並行とすることにより緩衝効果を高めることができる。
まず、図14(a)は緩衝部材の底板下面を下流へ向かうほど上向きに傾斜させた構成例を示している。
図4、図5のように緩衝部材を遊技盤面等に固定した場合において、緩衝部材下面(第2の緩衝部位32)を道釘列の延びる方向と平行な線l1に対して所定角度θ1だけ上向きに傾斜させることにより、道釘列と緩衝部材下面との距離が下流へ向かうほど拡開する。このため、道釘列と緩衝部材下面との距離が一定の場合に比して、下流に向かう程、道釘列と緩衝部材下面との間を遊技球が移動する距離が長くなり、その分だけ減衰効果が高まる。このため、緩衝部材の横方向長を短くして小型化、軽量化することができる。
【0030】
なお、図14(a)中に符号50で示す位置に緩衝部材30を回動させる支点を設け、緩衝部材30の下流部(第2の緩衝部位32)が支点50を中心として上下方向へ回動するように構成してもよい。この場合、緩衝部材下面が道釘列とほぼ並行な下降位置から角度θ1程度上向きに回動するように構成してもよいし、図14(a)中に実線で示した上向き傾斜した位置から更に上方へ回動するように構成してもよい。
このように緩衝部材30を遊技球からの衝撃によって上下動するように構成することにより、その緩衝効果を更に高めることができる。
【0031】
次に、図14(b)は緩衝部材の底板下面を下流へ向かうほど下向きに傾斜させた構成例を示している。
図4、図5のように緩衝部材を固定した場合において、緩衝部材下面(第2の緩衝部位32)を道釘列の延びる方向と平行な線l1に対して所定角度θ2だけ下向きに傾斜させることにより、道釘列と緩衝部材下面との距離が下流へ向かうほど拡開する。このため、道釘列と緩衝部材下面との距離が一定の場合に比して、道釘列と緩衝部材下面との間を遊技球がバウンドする回数が増大し、その分だけ減衰効果が高めることができる。このため、緩衝部材の横方向長を短くして小型化、軽量化することができる。バウンド回数が増大する外観上のデメリットはあるが、十分に実使用可能な構成である。
なお、図14(b)中に符号50で示す位置に緩衝部材30を回動させる支点を設け、緩衝部材30の下流部(第2の緩衝部位32)が支点50を中心として上下方向へ回動するように構成してもよい。この場合、緩衝部材下面が実線で示した下降傾斜姿勢から角度θ2程度上向きに回動した位置まで回動するように構成する。
このように緩衝部材30を遊技球からの衝撃によって上下方向へ回動するように構成することにより、その緩衝効果を更に高めることができる。
【0032】
次に、図15(a)(b)は本発明に係る緩衝部材の他の構成例を示す正面図であり、この実施形態では緩衝部材の底板下面の正面形状を波形(円弧状の凹凸が連続した状態)に構成することによって遊技球の勢いを減殺させる緩衝効果を更に高めている。
まず、図15(a)では第2の緩衝部位32を円弧状の凹凸55としており、凹凸55を構成する凸部55aと凹部55bを大きなサイズとすることにより緩やかな波形としている。このように緩衝部位32の形状を波形にすることにより、道釘列から上向きに跳ね返って一つの凸部55a(凹部55b)に突き当たった遊技球の一部が道釘列に戻らずに隣接する凸部55aに当たってから道釘列に向かって跳ね返る現象が発生し、遊技球の勢いを急速に減殺することができる。このため、緩衝部材30の横方向長を短くして小型化、軽量化することができる。
また、凸部55a(凹部55b)に突き当たった遊技球が直接道釘列21Aに戻ってバウンドを繰り返す場合には上記の各実施形態の場合と同様に勢いを十分に減殺されて始動入賞口側へ移動する。
【0033】
なお、図中に符号50で示す位置に緩衝部材30を回動させる支点を設け、緩衝部材30の下流部(第2の緩衝部位32)が支点50を中心として上下方向へ回動するように構成してもよい。この場合、緩衝部材下面が図示の位置から所定角度上向きに回動するように構成する。このように緩衝部材30を遊技球からの衝撃によって上下方向へ回動するように構成することにより、その緩衝効果を更に高めることができる。
なお、凸部55a、凹部55bのサイズ、ピッチは種々選定可能であり、例えば図15(b)に示すように円弧状の凹凸55を構成する個々の凸部55aと凹部55bを小さなサイズとしてもよい。このように構成した場合も、図15(a)と同様に遊技球の勢いを急速に減殺する効果を発揮することができる。また、緩衝部材30の下流部(第2の緩衝部位32)が支点50を中心として上下方向へ回動するように構成してもよい。
また、第2の緩衝部位32の正面形状を、波形に代えて、ジグザグ状の凹凸形状としても良い。
【0034】
上記の各実施形態では、緩衝部材の下面、特に第2の緩衝部位32の縦断面形状を、図7、図10に示したように水平な平坦面とした場合を想定したが、第2の緩衝部位の形状は種々選定可能である。
即ち、図16(a)及び(b)は第2の緩衝部位の縦断面形状を水平な平坦面以外とした構成例を示す断面図(図8のY−Yに沿った断面図)である。
図16(a)の例では、緩衝部材の第2の緩衝部位32を上向きにへこんだ凹状とした例を示している。このように第2の緩衝部位32の形状を選定することにより、道釘列21A上で上向きに弾んだ遊技球のうちの一部は図中に示したような経路をバウンドして下流側へ移動して行く。このため、遊技球の勢いを効率的に減衰させることができる。
次に、図16(b)の例では、緩衝部材の第2の緩衝部位32を平坦面にすると共に、この平坦面の奥側が上向きになるように傾斜させている。このように第2の緩衝部位32の形状を選定することにより、道釘列21A上で上向きに弾んだ遊技球のうちの一部は図中に示したような経路をバウンドして下流側へ移動して行く。このため、遊技球の勢いを効率的に減衰させることができる。
【0035】
次に、図17(a)及び(b)は本発明の緩衝部材の支持構造の変形例を示す断面図である。
この実施形態では遊技盤、或いは盤面部品に設けた縦長の取付け穴40内に挿通したネジ42の雄螺子部42a先端部を緩衝部材背面から突出したボス部34内のネジ穴34a内に螺着している点において図16と同様であるが、取付け穴40の内径をネジの雄螺子部42aよりも若干大きくして取付け穴内で雄螺子部が360度の範囲で動くようにした点が異なっている。更に、ネジ42の頭部と遊技盤との間、及びボス部34と遊技盤との間に夫々ゴムワッシャ(例えば、ウレタンゴムワッシャ)60を介在させている。ゴムワッシャ60は、緩衝部材30を所定の初期位置に保持する一方で、遊技球からの衝撃によって緩衝部材が変位した後で初期位置に復帰させるように機能する。
このように構成したため、緩衝部材30はその底板下面に衝突する遊技球からの力を受けて上方向へ変位して遊技球の勢いを急速に減殺し、少ないバウンド数で緩衝部材を下流側に抜けさせることができる(図17(b))。このため、緩衝部材30の横方向長をより短くして小型化、軽量化することができる。
【0036】
次に、図18(a)及び(b)は夫々本発明の他の変形例の要部構成を示す縦断面図であり、この実施形態では緩衝部材の底板30Aを上下方向に変位(変形)可能に構成している。即ち、例えば緩衝部材の前板30Bの下部と底板30Aとの間に薄肉部30Cを設けることにより、下面に遊技球が衝突したときに底板30Aが上方に弾性的に撓み変形して遊技球の勢いを減殺するように構成してもよい。
図18(a)は底板30Aの一部に凹所を設けて薄肉部30Cを形成した例であり、図18(b)は底板の前部を最も肉厚の薄い部分30Cとし、後方へ向かうほど厚みが漸増するようにした構成例である。
このように構成することにより、遊技球が突き当たった時の衝撃(押圧力)によって底板30Aが上方向に変形して遊技球の勢いを減殺することができ、バウンドの抑制、球速の減衰を行うことが可能となる。
なお、本実施形態の構成は、図8乃至図14に示した移動可能な緩衝部材の構成と組み合わせても良いし、図15乃至図17に示した実施形態の組み合わせても良い。
【0037】
上記各実施形態では、道釘列からの跳ね上がり球を緩衝する緩衝部位32の他、風車からの跳ね上がり球を緩衝する緩衝部位31を設けたが、何れか一方だけを設けた構成であってもよい。
なお、上記各実施形態では、緩衝部材と対向配置する遊技釘として始動入賞口へ遊技釘を導く道釘を例示したが、始動入賞口以外の入賞口に遊技球を導く遊技釘列一般に対して緩衝部材を適用することができる。
以上のように本発明では、樹脂製遊技盤に植設された遊技釘の反発力が高いことに起因して発生する遊技球の大きな跳ね上がり、その他のイレギュラーな挙動に起因した入賞口への入球率のバラツキや、遊技盤の開口部の内奥部への入り込みを効果的に防止することができる。
また、道釘列の上流側に配置された風車の挙動により、遊技球の弾み方にはばらつきが発生するが、道釘列の直上にオーバーハングするように緩衝部材を配置してあらゆる弾み方に対応できるようにし、遊技球の勢いが緩衝部材により抑制されるので、下流では十分に挙動が安定し、イレギュラーな挙動を示すことがない。
また、緩衝部材の底板の高さ位置を、普通の高さの弾み球が当たらない程度に高く設定することにより、遊技の進行の悪影響を及ぼす懸念をなくすることができる。
【符号の説明】
【0038】
1…遊技盤、1a…遊技領域、1b…開口部、2…ガラス枠、3…皿部、4…発射レバー、5…センター部材、8…アウト口、9…始動入賞口、11…可変入賞装置、12…ゲート、13…大入賞口、14…普通入賞口、15…風車、15a…羽根、16…普通図柄表示装置、17…仕切板、20…遊技釘、21…道釘、21A…道釘列、30…緩衝部材、30A…底板、30B…前板、30C…薄肉部、31…第1の緩衝部位、32…第2の緩部位、34…ボス部、34a…ネジ穴、40…取付け穴、42…ネジ、42a…雄螺子部、43…ワッシャー、50…支点、55…凹凸、55a…凸部、55b…凹部、60…ゴムワッシャー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤面に配置された入賞口と、前記遊技盤面を流下する遊技球を前記入賞口に導くために配置された複数の道釘から成る道釘列と、を備え、
前記道釘列の上方に該道釘列と所定の間隔を隔てて、該道釘列にて跳ねた遊技球の勢いを減殺させる緩衝部材を配置したことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記緩衝部材は、前記道釘にて跳ねた遊技球により押圧されて移動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記緩衝部材の適所に設けた回動軸により該緩衝部材を回動可能に支持したことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記緩衝部材は、該衝撃部材の下面に当たった遊技球に押圧されて上方に変位するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項5】
前記緩衝部材の下面には、前記道釘列の上流側に配置された風車から上向きに跳ねた遊技球の勢いを減殺させる緩衝部位を備えていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の遊技機。
【請求項1】
遊技盤面に配置された入賞口と、前記遊技盤面を流下する遊技球を前記入賞口に導くために配置された複数の道釘から成る道釘列と、を備え、
前記道釘列の上方に該道釘列と所定の間隔を隔てて、該道釘列にて跳ねた遊技球の勢いを減殺させる緩衝部材を配置したことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記緩衝部材は、前記道釘にて跳ねた遊技球により押圧されて移動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記緩衝部材の適所に設けた回動軸により該緩衝部材を回動可能に支持したことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記緩衝部材は、該衝撃部材の下面に当たった遊技球に押圧されて上方に変位するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項5】
前記緩衝部材の下面には、前記道釘列の上流側に配置された風車から上向きに跳ねた遊技球の勢いを減殺させる緩衝部位を備えていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−81592(P2013−81592A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222841(P2011−222841)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】
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