説明

遊技機

【課題】始動入賞領域への入賞に基づき複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを実行し、変動表示ゲームの停止結果態様が予め定めた特別結果態様となった場合に、大入賞口を開閉させることにより遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生する遊技機において、大入賞口を短時間開放する当りに新しい遊技性を付加し、遊技者の興趣を高める。
【解決手段】第2特別結果態様となった場合に所定確率で大入賞口の開閉制御を禁止し、大入賞口の開放権として所定数を上限にストックする大入賞口開閉ストック手段(遊技制御装置100)と、所定条件の成立に基づきストックしている開放権を実行するストック放出手段(遊技制御装置100)と、を備える。また、大入賞口開閉制御手段(遊技制御装置100)が、ストックされていた開放権がストック放出手段により実行されることに基づき、当該実行される開放権の数に応じた大入賞口の開閉制御を行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、始動入賞領域への入賞に基づき複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを実行し、変動表示ゲームの停止結果態様が予め定めた特別結果態様となった場合に、大入賞口を開閉させることにより遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、始動口への遊技球の入賞に基づいて識別図柄を変動表示させる変動表示ゲームを行い、変動表示ゲームの結果が大当りとなることで遊技者に利益を付与する遊技機が知られている。このような遊技機では、大当りの種類として、大入賞口を所定時間開放して多量の賞球を獲得可能とする大当り(例えば15R大当り)の他、大入賞口は短時間開放するのみとして変動表示ゲームで大当りとなる確率を変化させるための大当り(例えば2R大当り、いわゆる突確、突通など)が設定された遊技機がある。さらに、大入賞口を短時間開放する大当りと類似した当選演出を行い、当選後の遊技の確率状態を曖昧にすることを可能とする小当りを搭載する遊技機もある。このような遊技機においては、小当りの当選を契機に演出や変動パターンを変化させて遊技の興趣を高めるようにしている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−135700号公報
【特許文献2】特開2010−284298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、大入賞口を短時間開放する大当りに当選しても、得られるものはわずかな賞球しかないため、興趣を感じることができなかった。また、小当りに当選しても演出上の変化があるのみで、遊技者に有利な状態(確率変動)とはならず、大入賞口の開閉時間もごく短いので入賞させることは困難であり、得られるものはわずかな賞球しかないため、小当りに対して遊技者は興趣を感じることができなかった。
【0005】
本発明の目的は、始動入賞領域への入賞に基づき複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを実行し、変動表示ゲームの停止結果態様が予め定めた特別結果態様となった場合に、大入賞口を開閉させることにより遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生する遊技機において、大入賞口を短時間開放する当りに新しい遊技性を付加し、遊技者の興趣を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを表示可能な装飾表示装置と、遊技領域を流下する遊技球の始動入賞領域への入賞に基づき前記変動表示ゲームの進行制御を行う遊技制御手段と、を備え、前記変動表示ゲームの停止結果態様が予め定めた特別結果態様となった場合に、遊技領域を流下する遊技球を受け入れ可能な状態に大入賞口を開閉させることにより遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生する遊技機において、
前記特別結果態様は、第1特別結果態様と第2特別結果態様を含み、
前記特別遊技状態は、前記第1特別結果態様の導出に基づき実行される第1特別遊技状態と、前記第2特別結果態様の導出に基づき実行され、前記第1特別遊技状態よりも遊技者の得られる遊技価値の小さな第2特別遊技状態と、を含み、
前記停止結果態様が特別結果態様となった場合に、前記大入賞口を開閉する制御を行う大入賞口開閉制御手段と、
前記停止結果態様が前記第2特別結果態様となった場合に所定確率で前記大入賞口開閉制御手段による大入賞口の開閉制御を禁止し、大入賞口の開放権として所定数を上限にストックする大入賞口開閉ストック手段と、
所定条件の成立に基づき前記ストックしている開放権を実行するストック放出手段と、を備え、
前記大入賞口開閉制御手段は、
ストックされていた前記開放権が前記ストック放出手段により実行されることに基づき、当該実行される開放権の数に応じた前記大入賞口の開閉制御を行うことを特徴とする。
【0007】
ここで、第2特別遊技状態には、条件装置の作動を伴うが大入賞口の開放時間が第1特別遊技状態よりも短い短時間開放大当り(いわゆる突確、突通)や条件装置の作動を伴わず大入賞口を開放する小当りを含む。なお、短時間開放大当りのみ又は小当りのみとしても良い。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、大入賞口の開放を複数回まとめて実行することができるので、第2特別結果態様の発生の都度大入賞口を開閉させるよりも一度に多くの利益を得られるようになり、大入賞口を短時間開放する当りに新しい遊技性を付加し、遊技者の興趣を高めることができる。また、開放権がストックされている場合には遊技者は遊技台を離れにくくなるので客離れを防止でき、遊技機の稼働が上がる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の遊技機であって、前記大入賞口開閉制御手段は、
前記ストック放出手段により実行される開放権の数に応じた前記大入賞口の開閉制御として、少なくとも各開放権がストックされなかった場合の大入賞口の開放時間を合計した時間に亘り大入賞口を開放し続ける特別開放態様にて大入賞口を作動させることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、開放権複数回分の大入賞口開閉を単純に繰り返すのではなく、開放権複数回分の開放時間を合計した時間に亘り連続して大入賞口を開放するので、一度により多くの遊技球を大入賞口へ入賞させやすくなり、遊技者の興趣が高まる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の遊技機であって、前記始動入賞領域は、遊技球を受け入れ難い第1状態と遊技球を受け入れ易い第2状態とに変換可能な変換部材を備え、
前記遊技制御手段は、
前記変換部材の変換制御を行う変換制御実行手段と、
前記変換制御実行手段が前記変換部材の制御を行う変換確率状態として、第1変換確率状態と、前記第1変換確率状態よりも前記第2状態に変換し易い第2変換確率状態と、のいずれかを所定条件に基づいて設定する変換確率設定手段と、を備え、
前記変換確率設定手段は、
前記ストック放出手段による前記開放権の実行を契機に、前記変換確率状態を変更するか否かを選択することを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、ストックされた開放権の放出と同時に変換部材の変換制御が変化する(電サポが開始される)可能性があるので、小当りの遊技性がより大当りに近いものとなり、小当りに対して遊技者の関心がより高まる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の遊技機であって、前記変換確率設定手段は、
前記ストック放出手段による前記開放権の実行を契機に変換確率状態を変更するか否かの選択をする際に、当該選択を前記放出される大入賞口の開放権の数に対応した回数繰り返すことを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、ストックされた開放権1つにつき1度の変換確率の選択が行われるので、複数の開放権が放出されるほど、第2変換確率状態が選択される確率(電サポの発生確率)が高まり、興趣を高めることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか一項に記載の遊技機であって、前記変動表示ゲームが所定回数実行されることを契機として、ストックされている前記開放権を前記ストック放出手段により実行するか否かの抽選を行う開放抽選手段を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、所定回数の遊技を実行するとストックされた開放権の放出のチャンスとなるので、遊技者が開放権の放出の契機をわかりやすくなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、大入賞口の開放を複数回まとめて実行することができるので、第2特別結果態様の発生の都度大入賞口を開閉させるよりも一度に多くの利益を得られるようになり、大入賞口を短時間開放する当りに新しい遊技性を付加し、遊技者の興趣を高めることができる。また、開放権がストックされている場合には遊技者は遊技台を離れにくくなるので客離れを防止でき、遊技機の稼働が上がる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態の遊技機を前面側から見た斜視図である。
【図2】遊技盤の正面図である。
【図3】遊技機の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図4】遊技機の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図5】メイン処理を説明するフローチャートである。
【図6】メイン処理を説明するフローチャートである。
【図7】タイマ割込み処理を説明するフローチャートである。
【図8】特図ゲーム処理を説明するフローチャートである。
【図9】始動口スイッチ監視処理を説明するフローチャートである。
【図10】特図始動口スイッチ共通処理を説明するフローチャートである。
【図11】特図保留情報判定処理を説明するフローチャートである。
【図12】小当りストックフラグ設定処理を説明するフローチャートである。
【図13】特図普段処理を説明するフローチャートである。
【図14】特図1変動開始処理を説明するフローチャートである。
【図15】特図2変動開始処理を説明するフローチャートである。
【図16】特図変動中処理を説明するフローチャートである。
【図17】特図表示中処理を説明するフローチャートである。
【図18】特図表示中処理を説明するフローチャートである。
【図19】ファンファーレ/インターバル中処理移行設定処理を説明するフローチャートである。
【図20】小当りストック処理を説明するフローチャートである。
【図21】小当りファンファーレ中移行設定処理を説明するフローチャートである。
【図22】小当りファンファーレ中処理を説明するフローチャートである。
【図23】小当り中処理移行設定処理を説明するフローチャートである。
【図24】開放時間(小当り開放)設定処理を説明するフローチャートである。
【図25】アタッカー開放態様を説明する図である。
【図26】小当り中処理を説明するフローチャートである。
【図27】小当り残存球処理移行設定処理を説明するフローチャートである。
【図28】小当りストック放出処理を説明するフローチャートである。
【図29】小当り終了処理(特図普段処理移行設定処理)を説明するフローチャートである。
【図30】大当り終了処理を説明するフローチャートである。
【図31】大当り終了設定処理1を説明するフローチャートである。
【図32】大当り終了設定処理2を説明するフローチャートである。
【図33】大当り終了設定処理3を説明するフローチャートである。
【図34】大当り終了設定処理4を説明するフローチャートである。
【図35】開放時間(小当り開放)設定処理2を説明するフローチャートである。
【図36】大当り後小当りストック放出処理を説明するフローチャートである。
【図37】1stメイン処理を説明するフローチャートである。
【図38】2ndメイン処理を説明するフローチャートである。
【図39】通常ゲーム処理を説明するフローチャートである。
【図40】小当りストック表示処理を説明するフローチャートである。
【図41】小当りに当選した場合の表示態様の例を示す図である。
【図42】小当りに当選した場合の実行態様の例を示すタイムチャートである。
【図43】小当りに当選した場合の表示態様の例を示す図である。
【図44】小当りに当選した場合の実行態様の例を示すタイムチャートである。
【図45】小当りに当選した場合の表示態様の例を示す図である。
【図46】大当りに当選した場合の表示態様の例を示す図である。
【図47】大当りに当選した場合の実行態様の例を示すタイムチャートである。
【図48】第1変形例での特図保留情報判定処理を説明するフローチャートである。
【図49】第1変形例でのストックタイムと放出期間の周期を説明する図である。
【図50】第2変形例での特図始動口スイッチ共通処理を説明するフローチャートである。
【図51】第2変形例での特図オーバーフロー情報判定処理を説明するフローチャートである。
【図52】第2変形例での小当りストック放出処理2を説明するフローチャートである。
【図53】第3変形例でのタイマ割込み処理を説明するフローチャートである。
【図54】第3変形例での保留記憶差替え処理を説明するフローチャートである。
【図55】第3変形例での差替え抽選処理(差替え演出設定処理)を説明するフローチャートである。
【図56】第3変形例での小当りに当選した場合の表示態様の例を示す図である。
【図57】第3変形例での差替え演出の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態の遊技機の説明図である。
【0020】
本実施形態の遊技機10は前面枠12を備え、該前面枠12は本体枠(外枠)11にヒンジ13を介して開閉回動可能に組み付けられている。遊技盤30(図2参照)は前面枠12の表側に形成された収納部(図示省略)に収納されている。また、前面枠(内枠)12には、遊技盤30の前面を覆うカバーガラス(透明部材)14を備えたガラス枠15が取り付けられている。
【0021】
また、ガラス枠15の上部には、内部にランプ及びモータを内蔵した照明装置(ムービングライト)16や払出異常報知用のランプ(LED)17が設けられている。また、ガラス枠15の左右には内部にランプ等を内蔵し装飾や演出のための発光をする枠装飾装置18や、音響(例えば、効果音)を発するスピーカ(上スピーカ)19aが設けられている。さらに、前面枠12の下部にもスピーカ(下スピーカ)19bが設けられている。
【0022】
また、前面枠12の下部には、図示しない打球発射装置に遊技球を供給する上皿21、遊技機10の裏面側に設けられている球払出装置から払い出された遊技球が流出する上皿球出口22、上皿21が一杯になった状態で払い出された遊技球を貯留する下皿23及び打球発射装置の操作部24等が設けられている。さらに、上皿21の上縁部には、遊技者からの操作入力を受け付けるための操作スイッチを内蔵した操作手段をなす演出ボタン25が設けられている。さらに、前面枠12下部右側には、前面枠12を開放したり施錠したりするための鍵26が設けられている。
【0023】
この実施形態の遊技機10においては、遊技者が上記操作部24を回動操作することによって、打球発射装置が、上皿21から供給される遊技球を遊技盤30前面の遊技領域32に向かって発射する。また、遊技者が演出ボタン25を操作することによって、表示装置41(図2参照)における変動表示ゲーム(飾り特図変動表示ゲーム)において、遊技者の操作を介入させた演出等を行わせることができる。さらに、上皿21上方のガラス枠15の前面には、遊技者が隣接する球貸機から球貸しを受ける場合に操作する球貸ボタン27、球貸機のカードユニットからプリペイドカードを排出させるために操作する排出ボタン28、プリペイドカードの残高を表示する残高表示部(図示省略)等が設けられている。
【0024】
次に、図2を用いて遊技盤30の一例について説明する。図2は、本実施形態の遊技盤30の正面図である。
【0025】
遊技盤30の表面には、ガイドレール31で囲われた略円形状の遊技領域32が形成されている。遊技領域32は、遊技盤30の四隅に各々設けられた樹脂製のサイドケース33及びガイドレール31に囲繞されて構成される。遊技領域32には、ほぼ中央に表示装置41(装飾表示装置)を備えたセンターケース40が配置されている。表示装置41は、センターケース40に設けられた凹部に、センターケース40の前面より奥まった位置に取り付けられている。即ち、センターケース40は表示装置41の表示領域の周囲を囲い、表示装置41の表示面よりも前方へ突出するように形成されている。
【0026】
表示装置41は、例えば、LCD(液晶表示器)、CRT(ブラウン管)等の表示画面を有する装置で構成されている。表示画面の画像を表示可能な領域(表示領域)には、複数の識別情報(特別図柄)や特図変動表示ゲームを演出するキャラクタや演出効果を高める背景画像等の遊技に関する情報が表示される。表示装置41の表示画面においては、識別情報として割り当てられた複数の特別図柄が変動表示(可変表示)されて、特図変動表示ゲームに対応した飾り特図変動表示ゲームが行われる。また、表示画面には遊技の進行に基づく演出のための画像(例えば、大当り表示画像、ファンファーレ表示画像、エンディング表示画像等)が表示される。
【0027】
遊技領域32のセンターケース40の左側には、普通図柄始動ゲート(普図始動ゲート)34が設けられている。センターケース40の左下側には、三つの一般入賞口35が配置され、センターケース40の右下側には、一つの一般入賞口35が配置されている。これら一般入賞口35、…には、各一般入賞口35に入った遊技球を検出するための入賞口スイッチ35a〜35n(図3参照)が配設されている。
【0028】
また、センターケース40の下方には、特図変動表示ゲームの開始条件を与える始動入賞口36(第1始動入賞口、始動入賞領域)が設けられ、その直下には上部に逆「ハ」の字状に開いて遊技球が流入し易い状態に変換する一対の可動部材37b、37b(変換部材)を備えるとともに内部に第2始動入賞口(始動入賞領域)を有する普通変動入賞装置(普電)37が配設されている。
【0029】
普通変動入賞装置37の一対の可動部材37b,37bは、常時は遊技球の直径程度の間隔をおいた閉じた閉状態(遊技者にとって不利な状態、第1状態)を保持している。ただし、普通変動入賞装置37の上方には、始動入賞口36が設けられているので、閉じた状態では遊技球が入賞できないようになっている。そして、普図変動表示ゲームの結果が所定の停止表示態様となった場合には、駆動装置としての普電ソレノイド37c(図3参照)によって、逆「ハ」の字状に開いて普通変動入賞装置37に遊技球が流入し易い開状態(遊技者にとって有利な状態、第2状態)に変化させられるようになっている。
【0030】
さらに、普通変動入賞装置37の下方には、特図変動表示ゲームの結果によって遊技球を受け入れない状態と受け入れ易い状態とに変換可能な特別変動入賞装置(大入賞口)38が配設されている。
【0031】
特別変動入賞装置38は、上端側が手前側に倒れる方向に回動して開放可能になっているアタッカ形式の開閉扉38cを有しており、補助遊技としての特図変動表示ゲームの結果如何によって大入賞口を閉じた状態(遊技者にとって不利な閉塞状態)から開放状態(遊技者にとって有利な状態)に変換する。即ち、特別変動入賞装置38は、例えば、駆動装置としての大入賞口ソレノイド38b(図3参照)により駆動される開閉扉38cによって開閉される大入賞口を備え、特別遊技状態中は、大入賞口を閉じた状態から開いた状態に変換することにより大入賞口内への遊技球の流入を容易にさせ、遊技者に所定の遊技価値(賞球)を付与するようになっている。なお、大入賞口の内部(入賞領域)には、当該大入賞口に入った遊技球を検出する検出手段としてのカウントスイッチ38a(図3参照)が配設されている。特別変動入賞装置38の下方には、入賞口などに入賞しなかった遊技球を回収するアウト口39が設けられている。
【0032】
また、遊技領域32の外側には、特図変動表示ゲームをなす第1特図変動表示ゲームや第2特図変動表示ゲーム及び普図始動ゲート34への入賞をトリガとする普図変動表示ゲームを一箇所で実行する一括表示装置50が設けられている。
【0033】
一括表示装置50は、7セグメント型の表示器(LEDランプ)等で構成された第1特図変動表示ゲーム用の第1特図変動表示部(特図1表示器)51及び第2特図変動表示ゲーム用の第2特図変動表示部(特図2表示器)52と、LEDランプで構成された普図変動表示ゲーム用の変動表示部(普図表示器)53と、同じくLEDランプで構成された各変動表示ゲームの始動記憶数報知用の記憶表示部54〜56を備える。また、一括表示装置50には、大当りが発生すると点灯して大当り発生を報知する第1遊技状態表示部(第1遊技状態表示器)57、時短状態が発生すると点灯して時短状態発生を報知する第2遊技状態表示部(第2遊技状態表示器)60、遊技機10の電源投入時に大当りの確率状態が高確率状態となっているエラーを表示するエラー表示部(第3遊技状態表示器)58、大当り時のラウンド数(特別変動入賞装置38の開閉回数)を表示するラウンド表示部59が設けられている。
【0034】
特図1表示器51と特図2表示器52における特図変動表示ゲームは、例えば変動表示ゲームの実行中、即ち、表示装置41において飾り特図変動表示ゲームを行っている間は、中央のセグメントを点滅駆動させて変動中であることを表示する。そして、ゲームの結果が「はずれ」のときは、はずれの結果態様として例えば中央のセグメントを点灯状態にし、ゲームの結果が「当り」のときは、当りの結果態様(特別結果態様)としてはずれの結果態様以外の結果態様(例えば「3」や「7」の数字)を点灯状態にしてゲーム結果を表示する。
【0035】
普図表示器53は、変動中はランプを点滅させて変動中であることを表示する。そして、ゲームの結果が「はずれ」のときは、例えばランプを消灯状態にし、ゲームの結果が「当り」のときはランプを点灯状態にしてゲーム結果を表示する。
【0036】
特図1保留表示器54は、特図1表示器51の変動開始条件となる始動入賞口36への入賞球数のうち未消化の球数(始動記憶数=保留数)を表示する。具体的には、保留数が「0」のときは4つのランプを全て消灯状態にし、保留数が「1」のときはランプ1のみを点灯状態にする。また、保留数が「2」のときはランプ1と2を点灯状態にし、保留数が「3」のときはランプ1と2と3を点灯状態にし、保留数が「4」のときは4つのランプ1〜4をすべて点灯状態にする。特図2保留表示器55は、特図2表示器52の変動開始条件となる第2始動入賞口(普通変動入賞装置37)の始動記憶数(=保留数)を、特図1保留表示器54と同様にして表示する。
【0037】
普図保留表示器56は、普図表示器の変動開始条件となる普図始動ゲート34の始動記憶数(=保留数)を表示する。例えば保留数が「0」のときはランプ1と2を消灯状態にし、保留数が「1」のときはランプ1のみを点灯状態にする。また、保留数が「2」のときはランプ1と2を点灯状態にし、保留数が「3」のときはランプ1を点滅、ランプ2を点灯状態にし、保留数が「4」のときはランプ1と2を点滅状態にする。
【0038】
第1遊技状態表示器57は、例えば通常の遊技状態の場合にはランプを消灯状態にし、大当りが発生している場合にはランプを点灯状態にする。第2遊技状態表示器60は、例えば通常の遊技状態の場合にはランプを消灯状態にし、時短状態が発生している場合にはランプを点灯状態にする。
【0039】
エラー表示器58は、例えば遊技機10の電源投入時に大当りの確率状態が低確率状態の場合にはランプを消灯状態にし、遊技機10の電源投入時に大当りの確率状態が高確率状態の場合にはランプを点灯状態にする。
【0040】
ラウンド表示部59は、例えば、通常の遊技状態の場合にはランプを消灯状態にし、大当りが発生した場合にはその大当りのラウンド数に対応するランプを点灯状態にする。なお、ラウンド表示部59は7セグメント型の表示器で構成してもよい。
【0041】
本実施形態の遊技機10では、図示しない発射装置から遊技領域32に向けて遊技球(パチンコ球)が打ち出されることによって遊技が行われる。打ち出された遊技球は、遊技領域32内の各所に配置された障害釘や風車等の方向転換部材によって転動方向を変えながら遊技領域32を流下し、普図始動ゲート34、一般入賞口35、始動入賞口36、普通変動入賞装置37又は特別変動入賞装置38に入賞するか、遊技領域32の最下部に設けられたアウト口39へ流入し遊技領域から排出される。そして、一般入賞口35、始動入賞口36、普通変動入賞装置37又は特別変動入賞装置38に遊技球が入賞すると、入賞した入賞口の種類に応じた数の賞球が、払出制御装置200によって制御される払出ユニットから、前面枠12の上皿21又は下皿23に排出される。
【0042】
一方、普図始動ゲート34内には、該普図始動ゲート34を通過した遊技球を検出するための非接触型のスイッチなどからなるゲートスイッチ34a(図3参照)が設けられており、遊技領域32内に打ち込まれた遊技球が普図始動ゲート34内を通過すると、ゲートスイッチ34aにより検出されて普図変動表示ゲームが行われる。また、普図変動表示ゲームを開始できない状態、例えば、既に普図変動表示ゲームが行われ、その普図変動表示ゲームが終了していない状態や、普図変動表示ゲームが当って普通変動入賞装置37が開状態に変換されている場合に、普図始動ゲート34を遊技球が通過すると、普図始動記憶数の上限数未満でならば、普図始動記憶数が加算(+1)されて普図始動記憶が1つ記憶されることとなる。この普図始動入賞の記憶数は、一括表示装置50の普図保留表示器に表示される。また、普図始動記憶には、普図変動表示ゲームの当りはずれを決定するための当り判定用乱数値が記憶されるようになっていて、この当り判定用乱数値が判定値と一致した場合に、当該普図変動表示ゲームが当りとなって特定の結果態様(普図特定結果)が導出されることとなる。
【0043】
普図変動表示ゲームは、一括表示装置50に設けられた変動表示部(普図表示器)で実行されるようになっている。普図表示器は、普通識別情報(普図、普通図柄)として点灯状態の場合に当たりを示し、消灯状態の場合にはずれを示すLEDから構成され、このLEDを点滅表示することで普通識別情報の変動表示を行い、所定の変動表示時間の経過後、LEDを点灯又は消灯することで結果を表示するようになっている。なお、普通識別情報として例えば数字、記号、キャラクタ図柄などを用い、これを所定時間変動表示させた後、停止表示させることにより行うように構成しても良い。
【0044】
普図始動ゲート34への通過検出時に抽出した普図乱数値が当たり値であるときには、普図変動表示ゲームの停止表示が普図特定結果となり普図の当りとなって、内蔵されている普電ソレノイド37c(図3参照)が駆動されることにより、普通変動入賞装置37の可動部材37bが所定時間(例えば、0.3秒間)開放される開状態となる。これにより、普通変動入賞装置37の内部の第2始動入賞口へ遊技球が入賞し易くなり、第2特図変動表示ゲームが実行される回数が多くなる。
【0045】
始動入賞口36への入賞球及び普通変動入賞装置37への入賞球は、それぞれは内部に設けられた始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aによって検出される。始動入賞口36へ入賞した遊技球は第1特図変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、第1始動記憶として4個を限度に記憶されるとともに、普通変動入賞装置37へ入賞した遊技球は第2特図変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、第2始動記憶として4個を限度に記憶される。また、この始動入賞球の検出時にそれぞれ大当り乱数値や大当り図柄乱数値、並びに各変動パターン乱数値が抽出され、抽出された乱数値は、遊技制御装置100(図3参照)内の特図記憶領域(RAMの一部)に特図始動記憶として各々所定回数(例えば、最大で4回分)を限度に記憶される。そして、この特図始動記憶の記憶数は、一括表示装置50の始動入賞数報知用の記憶表示部(特図1保留表示器、特図2保留表示器)に表示されるとともに、センターケース40の表示装置41においても飾り特図始動記憶表示として表示される。
【0046】
遊技制御装置100は、始動入賞口36若しくは普通変動入賞装置37への入賞、又はそれらの始動記憶に基づいて、特図表示器(変動表示装置)51又は52で第1又は第2特図変動表示ゲームを行う。第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームは、複数の特別図柄(特図、識別情報)を変動表示したのち、所定の結果態様を停止表示することで行われる。また、表示装置41(変動表示装置)にて各特図変動表示ゲームに対応して複数種類の識別情報(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)を変動表示させる飾り特図変動表示ゲームが実行されるようになっている。そして、特図変動表示ゲームの結果として、特図1表示器51若しくは特図2表示器52の表示態様が特別結果態様(特別結果)となった場合には、大当りとなって特別遊技状態(いわゆる、大当り状態)となる。また、これに対応して表示装置41の表示態様(停止結果態様)も特別結果態様となる。
【0047】
表示装置41における飾り特図変動表示ゲームは、例えば、まず前述した数字等で構成される飾り特別図柄(識別情報)を左変動表示領域(第一特別図柄)、右変動表示領域(第二特別図柄)、中変動表示領域(第三特別図柄)のそれぞれにおいて各図柄を識別困難な速さで変動表示(高速変動)する。そして、所定時間後に変動している図柄を左変動表示領域、右変動表示領域、中変動表示領域の順に順次停止させて、左変動表示領域、右変動表示領域、中変動表示領域の各々で停止表示された識別情報により構成される停止結果態様により特図変動表示ゲームの結果を表示することで行われる。すなわち、複数の識別情報を複数列で変動表示し、複数列の識別情報の停止結果態様により結果を表示する。また、表示装置41では、特図始動記憶数に対応する飾り特別図柄による変動表示ゲームを行うとともに、興趣向上のためにキャラクタの出現など多様な演出表示が行われる。
【0048】
なお、特図1表示器51、特図2表示器52は、別々の表示器でも良いし同一の表示器でも良いが、各々独立して、また、同時には実行しないように各特図変動表示ゲームが表示される。また、表示装置41も、第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームで別々の表示装置や別々の表示領域を使用するとしても良いし、同一の表示装置や表示領域を使用するとしても良いが、各々独立して、また、同時には実行しないように飾り特図変動表示ゲームが表示される。また、遊技機10に特図1表示器51、特図2表示器52を備えずに、表示装置41のみで特図変動表示ゲームを実行するようにしても良い。また、第2特図変動表示ゲームは、第1特図変動表示ゲームよりも優先して実行されるようになっている。即ち、第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームの始動記憶がある場合であって、特図変動表示ゲームの実行が可能となった場合は、第2特図変動表示ゲームが実行されるようになっている。
【0049】
また、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始可能な状態で、且つ、始動記憶数が0の状態で、始動入賞口36(若しくは、普通変動入賞装置37)に遊技球が入賞すると、始動権利の発生に伴って始動記憶が記憶されて、始動記憶数が1加算されるととともに、直ちに始動記憶に基づいて、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始され、この際に始動記憶数が1減算される。一方、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が直ちに開始できない状態、例えば、既に第1若しくは第2特図変動表示ゲームが行われ、その特図変動表示ゲームが終了していない状態や、特別遊技状態となっている場合に、始動入賞口36(若しくは、普通変動入賞装置37)に遊技球が入賞すると、始動記憶数が上限数未満ならば、始動記憶数が1加算されて始動記憶が1つ記憶されることになる。そして、始動記憶数が1以上となった状態で、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始可能な状態(前回の特図変動表示ゲームの終了若しくは特別遊技状態の終了)となると、始動記憶数が1減算されるとともに、記憶された始動記憶に基づいて第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始される。以下の説明においては、第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームを区別しない場合は、単に特図変動表示ゲームと称する。
【0050】
なお、特に限定されるわけではないが、上記始動入賞口36内の始動口1スイッチ36a、普通変動入賞装置37内の始動口2スイッチ37a、ゲートスイッチ34a、一般入賞口スイッチ35a〜35n、カウントスイッチ38aには、磁気検出用のコイルを備え該コイルに金属が近接すると磁界が変化する現象を利用して遊技球を検出する非接触型の磁気近接センサ(以下、近接スイッチと称する)が使用されている。遊技機10のガラス枠15等に設けられた前枠開放検出スイッチ63や前面枠(遊技枠)12等に設けられた遊技枠開放検出スイッチ64には、機械的な接点を有するマイクロスイッチを用いることができる。
【0051】
図3は、本実施形態のパチンコ遊技機10の制御システムのブロック図である。遊技機10は遊技制御装置100を備え、遊技制御装置100は、遊技を統括的に制御する主制御装置(主基板)であって、遊技用マイクロコンピュータ(以下、遊技用マイコンと称する)111を有するCPU部110と、入力ポートを有する入力部120と、出力ポートやドライバなどを有する出力部130、CPU部110と入力部120と出力部130との間を接続するデータバス140などからなる。
【0052】
上記CPU部110は、アミューズメントチップ(IC)と呼ばれる遊技用マイコン(CPU)111と、入力部120内の近接スイッチ用のインタフェースチップ(近接I/F)121からの信号(始動入賞検出信号)を論理反転して遊技用マイコン111に入力させるインバータなどからなる反転回路112と、水晶振動子のような発振子を備え、CPUの動作クロックやタイマ割込み、乱数生成回路の基準となるクロックを生成する発振回路(水晶発振器)113などを有する。遊技制御装置100及び該遊技制御装置100によって駆動されるソレノイドやモータなどの電子部品には、電源装置400で生成されたDC32V,DC12V,DC5Vなど所定のレベルの直流電圧が供給されて動作可能にされる。
【0053】
電源装置400は、24Vの交流電源から上記DC32Vの直流電圧を生成するAC−DCコンバータやDC32Vの電圧からDC12V,DC5Vなどのより低いレベルの直流電圧を生成するDC−DCコンバータなどを有する通常電源部410と、遊技用マイコン111の内部のRAMに対して停電時に電源電圧を供給するバックアップ電源部420と、停電監視回路や初期化スイッチを有し遊技制御装置100に停電の発生、回復を知らせる停電監視信号や初期化スイッチ信号、リセット信号などの制御信号を生成して出力する制御信号生成部430などを備える。
【0054】
この実施形態では、電源装置400は、遊技制御装置100と別個に構成されているが、バックアップ電源部420及び制御信号生成部430は、別個の基板上あるいは遊技制御装置100と一体、即ち、主基板上に設けるように構成してもよい。遊技盤30及び遊技制御装置100は機種変更の際に交換の対象となるので、実施例のように、電源装置400若しくは主基板とは別の基板にバックアップ電源部420及び制御信号生成部430を設けることにより、交換の対象から外しコストダウンを図ることができる。
【0055】
上記バックアップ電源部420は、電解コンデンサのような大容量のコンデンサ1つで構成することができる。バックアップ電源は、遊技制御装置100の遊技用マイコン111(特に内蔵RAM)に供給され、停電中あるいは電源遮断後もRAMに記憶されたデータが保持されるようになっている。制御信号生成部430は、例えば通常電源部410で生成された32Vの電圧を監視してそれが例えば17V以下に下がると停電発生を検出して停電監視信号を変化させるとともに、所定時間後にリセット信号を出力する。また、電源投入時や停電回復時にもその時点から所定時間経過後にリセット信号を出力する。
【0056】
初期化スイッチ信号は初期化スイッチがオン状態にされたときに生成される信号で、遊技用マイコン111内のRAM111C及び払出制御装置200内のRAMに記憶されている情報を強制的に初期化する。特に限定されるわけではないが初期化スイッチ信号は電源投入時に読み込まれ、停電監視信号は遊技用マイコン111が実行するメインプログラムのメインループの中で繰り返し読み込まれる。リセット信号は強制割込み信号の一種であり、制御システム全体をリセットさせる。
【0057】
遊技用マイコン111は、CPU(中央処理ユニット:マイクロプロセッサ)111A、読出し専用のROM(リードオンリメモリ)111B及び随時読出し書込み可能なRAM(ランダムアクセスメモリ)111Cを備える。
【0058】
ROM111Bは、遊技制御のための不変の情報(プログラム、固定データ、各種乱数の判定値等)を不揮発的に記憶し、RAM111Cは、遊技制御時にCPU111Aの作業領域や各種信号や乱数値の記憶領域として利用される。ROM111B又はRAM111Cとして、EEPROMのような電気的に書換え可能な不揮発性メモリを用いてもよい。
【0059】
また、ROM111Bは、例えば、特図変動表示ゲームの実行時間、演出内容、リーチ状態の発生の有無などを規定する変動パターン(変動態様)を決定するための変動パターンテーブルを記憶している。変動パターンテーブルとは、始動記憶として記憶されている変動パターン乱数1〜3をCPU111Aが参照して変動パターンを決定するためのテーブルである。また、変動パターンテーブルには、結果がはずれとなる場合に選択されるはずれ変動パターンテーブル、結果が大当りとなる場合に選択される大当り変動パターンテーブル等が含まれる。さらに、これらのパターンテーブルには、後半変動パターンテーブル、前半変動パターンテーブルが含まれている。
【0060】
また、リーチ(リーチ状態)とは、表示状態が変化可能な表示装置を有し、該表示装置が時期を異ならせて複数の表示結果を導出表示し、該複数の表示結果が予め定められた特別結果態様となった場合に、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる遊技機10において、複数の表示結果の一部がまだ導出表示されていない段階で、既に導出表示されている表示結果が特別結果態様となる条件を満たしている表示状態をいう。また、別の表現をすれば、リーチ状態とは、表示装置の変動表示制御が進行して表示結果が導出表示される前段階にまで達した時点でも、特別結果態様となる表示条件からはずれていない表示態様をいう。そして、例えば、特別結果態様が揃った状態を維持しながら複数の変動表示領域による変動表示を行う状態(いわゆる全回転リーチ)もリーチ状態に含まれる。また、リーチ状態とは、表示装置の表示制御が進行して表示結果が導出表示される前段階にまで達した時点での表示状態であって、表示結果が導出表示される以前に決定されている複数の変動表示領域の表示結果の少なくとも一部が特別結果態様となる条件を満たしている場合の表示状態をいう。
【0061】
よって、例えば、特図変動表示ゲームに対応して表示装置に表示される飾り特図変動表示ゲームが、表示装置における左、中、右の変動表示領域の各々で所定時間複数の識別情報を変動表示した後、左、右、中の順で変動表示を停止して結果態様を表示するものである場合、左、右の変動表示領域で、特別結果態様となる条件を満たした状態(例えば、同一の識別情報)で変動表示が停止した状態がリーチ状態となる。またこの他に、すべての変動表示領域の変動表示を一旦停止した時点で、左、中、右のうち何れか二つの変動表示領域で特別結果態様となる条件を満たした状態(例えば、同一の識別情報となった状態、ただし特別結果態様は除く)をリーチ状態とし、このリーチ状態から残りの一つの変動表示領域を変動表示するようにしても良い。そして、このリーチ状態には複数のリーチ演出が含まれ、特別結果態様が導出される可能性が異なる(信頼度が異なる)リーチ演出として、ノーマルリーチ(Nリーチ)、スペシャル1リーチ(SP1リーチ)、スペシャル2リーチ(SP2リーチ)、スペシャル3リーチ(SP3リーチ)、プレミアリーチが設定されている。なお、信頼度は、リーチなし<ノーマルリーチ<スペシャル1リーチ<スペシャル2リーチ<スペシャル3リーチ<プレミアリーチの順に高くなるようになっている。また、このリーチ状態は、少なくとも特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出される場合(大当りとなる場合)における変動表示態様に含まれるようになっている。即ち、特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出されないと判定する場合(はずれとなる場合)における変動表示態様に含まれることもある。よって、リーチ状態が発生した状態は、リーチ状態が発生しない場合に比べて大当りとなる可能性の高い状態である。
【0062】
CPU111Aは、ROM111B内の遊技制御用プログラムを実行して、払出制御装置200や演出制御装置300に対する制御信号(コマンド)を生成したりソレノイドや表示装置の駆動信号を生成して出力して遊技機10全体の制御を行う。また、図示しないが、遊技用マイコン111は、特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数や大当りの図柄を決定するための大当り図柄用乱数、特図変動表示ゲームでの変動パターン(各種リーチやリーチ無しの変動表示における変動表示ゲームの実行時間等を含む)を決定するための変動パターン乱数、普図変動表示ゲームの当り判定用乱数等を生成するための乱数生成回路と、発振回路113からの発振信号(原クロック信号)に基づいてCPU111Aに対する所定周期(例えば、4ミリ秒)のタイマ割込み信号や乱数生成回路の更新タイミングを与えるクロックを生成するクロックジェネレータを備えている。
【0063】
また、CPU111Aは、後述する特図ゲーム処理における始動口スイッチ監視処理(ステップA1)や特図普段処理(ステップA9)にて、ROM111Bに記憶されている複数の変動パターンテーブルの中から、何れか一の変動パターンテーブルを取得する。具体的には、CPU111Aは、特図変動表示ゲームの遊技結果(大当り或いははずれ)や、現在の遊技状態としての特図変動表示ゲームの確率状態(通常確率状態或いは高確率状態)、現在の遊技状態としての普通変動入賞装置37の動作状態(通常動作状態或いは時短動作状態)、始動記憶数などに基づいて、複数の変動パターンテーブルの中から、何れか一の変動パターンテーブルを選択して取得する。ここで、CPU111Aは、特図変動表示ゲームを実行する場合に、ROM111Bに記憶された複数の変動パターンテーブルのうち、何れか一の変動パターンテーブルを取得する変動振り分け情報取得手段をなす。
【0064】
払出制御装置200は、図示しないが、CPU、ROM、RAM、入力インタフェース、出力インタフェース等を備え、遊技制御装置100からの賞球払出し指令(コマンドやデータ)に従って、払出ユニットの払出モータを駆動させ、賞球を払い出させるための制御を行う。また、払出制御装置200は、カードユニットからの貸球要求信号に基づいて払出ユニットの払出モータを駆動させ、貸球を払い出させるための制御を行う。
【0065】
遊技用マイコン111の入力部120には、始動入賞口36内の始動口1スイッチ36a、普通変動入賞装置37内の始動口2スイッチ37a、普図始動ゲート34内のゲートスイッチ34a、一般入賞口スイッチ35a〜35n、カウントスイッチ38aに接続され、これらのスイッチから供給されるハイレベルが11Vでロウレベルが7Vのような負論理の信号が入力され、0V−5Vの正論理の信号に変換するインタフェースチップ(近接I/F)121が設けられている。近接I/F121は、入力の範囲が7V−11Vとされることで、近接スイッチのリード線が不正にショートされたり、スイッチがコネクタから外されたり、リード線が切断されてフローティングになったような異常な状態を検出することができ、異常検知信号を出力するように構成されている。
【0066】
近接I/F121の出力はすべて第2入力ポート122へ供給されデータバス140を介して遊技用マイコン111に読み込まれるとともに、主基板100から中継基板70を介して図示しない試射試験装置へ供給されるようになっている。また、近接I/F121の出力のうち始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aの検出信号は、第2入力ポート122の他、反転回路112を介して遊技用マイコン111へ入力されるように構成されている。反転回路112を設けているのは、遊技用マイコン111の信号入力端子が、マイクロスイッチなどからの信号が入力されることを想定し、かつ負論理、即ち、ロウレベル(0V)を有効レベルとして検知するように設計されているためである。
【0067】
従って、始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aとしてマイクロスイッチを使用する場合には、反転回路112を設けずに直接遊技用マイコン111へ検出信号を入力させるように構成することができる。つまり、始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aからの負論理の信号を直接遊技用マイコン111へ入力させたい場合には、近接スイッチを使用することはできない。上記のように近接I/F121は、信号のレベル変換機能を有する。このようなレベル変換機能を可能にするため、近接I/F121には、電源装置400から通常のICの動作に必要な例えば5Vのような電圧の他に、12Vの電圧が供給されるようになっている。
【0068】
また、入力部120には、遊技機10の前面枠12等に設けられた不正検出用の磁気センサスイッチ61及び振動センサスイッチ62からの信号及び上記近接I/F121により変換された始動入賞口36内の始動口1スイッチ36a、普通変動入賞装置37内の始動口2スイッチ37a、ゲートスイッチ34a、一般入賞口スイッチ35a〜35n、カウントスイッチ38aからの信号を取り込んでデータバス140を介して遊技用マイコン111に供給する第2入力ポート122が設けられている。第2入力ポート122が保持しているデータは、遊技用マイコン111が第2入力ポート122に割り当てられているアドレスをデコードすることによってイネーブル信号CE1をアサート(有効レベルに変化)することよって、読み出すことができる。後述の他のポートも同様である。
【0069】
さらに、入力部120には、遊技機10のガラス枠15等に設けられた前枠開放検出スイッチ63及び前面枠(遊技枠)12等に設けられた遊技枠開放検出スイッチ64からの信号及び払出制御装置200からの払出異常を示すステータス信号や払出し前の遊技球の不足を示すシュート球切れスイッチ信号、オーバーフローを示すオーバーフロースイッチ信号を取り込んでデータバス140を介して遊技用マイコン111に供給する第1入力ポート123が設けられている。オーバーフロースイッチ信号は、下皿23に遊技球が所定量以上貯留されていること(満杯になったこと)を検出したときに出力される信号である。
【0070】
また、入力部120には、電源装置400からの停電監視信号や初期化スイッチ信号、リセット信号などの信号を遊技用マイコン111等に入力するためのシュミットトリガ回路124が設けられており、シュミットトリガ回路124はこれらの入力信号からノイズを除去する機能を有する。電源装置400からの信号のうち停電監視信号と初期化スイッチ信号は、一旦第1入力ポート123に入力され、データバス140を介して遊技用マイコン111に取り込まれる。つまり、前述の各種スイッチからの信号と同等の信号として扱われる。遊技用マイコン111に設けられている外部からの信号を受ける端子の数には制約があるためである。
【0071】
一方、シュミットトリガ回路124によりノイズ除去されたリセット信号RSTは、遊技用マイコン111に設けられているリセット端子に直接入力されるとともに、出力部130の各ポートに供給される。また、リセット信号RSTは出力部130を介さずに直接中継基板70に出力することで、試射試験装置へ出力するために中継基板70のポート(図示省略)に保持される試射試験信号をオフするように構成されている。また、リセット信号RSTを中継基板70を介して試射試験装置へ出力可能に構成するようにしてもよい。なお、リセット信号RSTは入力部120の各ポート122,123には供給されない。リセット信号RSTが入る直前に遊技用マイコン111によって出力部130の各ポートに設定されたデータはシステムの誤動作を防止するためリセットする必要があるが、リセット信号RSTが入る直前に入力部120の各ポートから遊技用マイコン111が読み込んだデータは、遊技用マイコン111のリセットによって廃棄されるためである。
【0072】
出力部130は、データバス140に接続され払出制御装置200へ出力する4ビットのデータ信号とデータの有効/無効を示す制御信号(データストローブ信号)及び演出制御装置300へ出力するデータストローブ信号SSTBを生成する第1出力ポート131と、演出制御装置300へ出力する8ビットのデータ信号を生成する第2出力ポート132とを備える。遊技制御装置100から払出制御装置200及び演出制御装置300へは、パラレル通信でデータが送信される。また、出力部130には、演出制御装置300の側から遊技制御装置100へ信号を入力できないようにするため、即ち、片方向通信を担保するために第1出力ポート131からの上記データストローブ信号SSTB及び第2出力ポート132からの8ビットのデータ信号を出力する単方向のバッファ133が設けられている。なお、第1出力ポート131から払出制御装置200へ出力する信号に対してもバッファを設けるようにしてもよい。
【0073】
さらに、出力部130には、データバス140に接続され図示しない認定機関の試射試験装置へ変動表示ゲームの特図図柄情報を知らせるデータや大当りの確率状態を示す信号などを中継基板70を介して出力するバッファ134が実装可能に構成されている。このバッファ134は遊技店に設置される実機(量産販売品)としてのパチンコ遊技機の遊技制御装置(主基板)には実装されない部品である。なお、前記近接I/F121から出力される始動口スイッチなど加工の必要のないスイッチの検出信号は、バッファ134を通さずに中継基板70を介して試射試験装置へ供給される。
【0074】
一方、磁気センサスイッチ61や振動センサスイッチ62のようにそのままでは試射試験装置へ供給できない検出信号は、一旦遊技用マイコン111に取り込まれて他の信号若しくは情報に加工されて、例えば遊技機が遊技制御できない状態であることを示すエラー信号としてデータバス140からバッファ134、中継基板70を介して試射試験装置へ供給される。なお、中継基板70には、上記バッファ134から出力された信号を取り込んで試射試験装置へ供給するポートや、バッファを介さないスイッチの検出信号の信号線を中継して伝達するコネクタなどが設けられている。中継基板70上のポートには、遊技用マイコン111から出力されるチップイネーブル信号CEも供給され、該信号CEにより選択制御されたポートの信号が試射試験装置へ供給されるようになっている。
【0075】
また、出力部130には、データバス140に接続され特別変動入賞装置38を開成させるソレノイド(大入賞口ソレノイド)38bや普通変動入賞装置37の可動部材37bを開成させるソレノイド(普電ソレノイド)37cの開閉データと、一括表示装置50のLEDのカソード端子が接続されているデジット線のオン/オフデータを出力するための第3出力ポート135、一括表示装置50に表示する内容に応じてLEDのアノード端子が接続されているセグメント線のオン/オフデータを出力するための第4出力ポート136、大当り情報など遊技機10に関する情報を外部情報端子71へ出力するための第5出力ポート137が設けられている。外部情報端子71から出力された遊技機10に関する情報は、例えば遊技店に設置された情報収集端末や遊技場内部管理装置(図示省略)に供給される。
【0076】
さらに、出力部130には、第3出力ポート135から出力される大入賞口ソレノイド38bの開閉データ信号を受けてソレノイド駆動信号や普電ソレノイド37cの開閉データ信号を受けてソレノイド駆動信号を生成し出力する第1ドライバ(駆動回路)138a、第3出力ポート135から出力される一括表示装置50の電流引き込み側のデジット線のオン/オフ駆動信号を出力する第2ドライバ138b、第4出力ポート136から出力される一括表示装置50の電流供給側のセグメント線のオン/オフ駆動信号を出力する第3ドライバ138c、第5出力ポート137から管理装置等の外部装置へ供給する外部情報信号を外部情報端子71へ出力する第4ドライバ138dが設けられている。
【0077】
上記第1ドライバ138aには、32Vで動作するソレノイドを駆動できるようにするため、電源電圧としてDC32Vが電源装置400から供給される。また、一括表示装置50のセグメント線を駆動する第3ドライバ138cには、DC12Vが供給される。デジット線を駆動する第2ドライバ138bは、表示データに応じたデジット線を電流で引き抜くためのものであるため、電源電圧は12V又は5Vのいずれであってもよい。12Vを出力する第3ドライバ138cによりセグメント線を介してLEDのアノード端子に電流を流し込み、接地電位を出力する第2ドライバ138bによりカソード端子よりセグメント線を介して電流を引き抜くことで、ダイナミック駆動方式で順次選択されたLEDに電源電圧が流れて点灯される。外部情報信号を外部情報端子71へ出力する第4ドライバ138dは、外部情報信号に12Vのレベルを与えるため、DC12Vが供給される。なお、バッファ134や第3出力ポート135、第1ドライバ138a等は、遊技制御装置100の出力部130、即ち、主基板ではなく、中継基板70側に設けるようにしてもよい。
【0078】
さらに、出力部130には、外部の検査装置500へ各遊技機の識別コードやプログラムなどの情報を送信するためのフォトカプラ139が設けられている。フォトカプラ139は、遊技用マイコン111が検査装置500との間でシリアル通信によってデータの送受信を行えるように双方通信可能に構成されている。なお、かかるデータの送受信は、通常の汎用マイクロプロセッサと同様に遊技用マイコン111が有するシリアル通信端子を利用して行われるため、入力ポート122,123のようなポートは設けられていない。
【0079】
次に、図4を用いて、演出制御装置300の構成について説明する。演出制御装置300は、遊技用マイコン111と同様にアミューズメントチップ(IC)からなる主制御用マイコン(1stCPU)311と、該1stCPU311の制御下でもっぱら映像制御を行う映像制御用マイコン(2ndCPU)312と、該2ndCPU312からのコマンドやデータに従って表示装置41への映像表示のための画像処理を行うグラフィックプロセッサとしてのVDP(Video Display Processor)313と、各種のメロディや効果音などをスピーカ19a,19bから再生させるため音の出力を制御する音源LSI314を備えている。
【0080】
上記主制御用マイコン(1stCPU)311と映像制御用マイコン(2ndCPU)312には、各CPUが実行するプログラムを格納したPROM(プログラマブルリードオンリメモリ)からなるプログラムROM321、322がそれぞれ接続され、VDP313にはキャラクタ画像や映像データが記憶された画像ROM323が接続され、音源LSI314には音声データが記憶された音ROM324が接続されている。主制御用マイコン(1stCPU)311は、遊技用マイコン111からのコマンドを解析し、演出内容を決定して映像制御用マイコン312へ出力映像の内容を指示したり、音源LSI314への再生音の指示、装飾ランプの点灯、モータの駆動制御、演出時間の管理などの処理を実行する。主制御用マイコン(1stCPU)311と映像制御用マイコン(2ndCPU)312の作業領域を提供するRAMは、それぞれのチップ内部に設けられている。なお、作業領域を提供するRAMはチップの外部に設けるようにしてもよい。
【0081】
特に限定されるわけではないが、主制御用マイコン(1stCPU)311と映像制御用マイコン(2ndCPU)312との間、主制御用マイコン(1stCPU)311と音源LSI314との間は、それぞれシリアル方式でデータの送受信が行われ、映像制御用マイコン(2ndCPU)312との間、主制御用マイコン(1stCPU)311とVDP313との間は、パラレル方式でデータの送受信が行われるように構成されている。パラレル方式でデータを送受信することで、シリアルの場合よりも短時間にコマンドやデータを送信することができる。VDP313には、画像ROM323から読み出されたキャラクタなどの画像データを展開したり加工したりするのに使用される超高速なVRAM(ビデオRAM)313aや、画像を拡大、縮小処理するためのスケーラ313b、LVDS(小振幅信号伝送)方式で表示装置41へ送信する映像信号を生成する信号変換回路313cなどが設けられている。
【0082】
VDP313から主制御用マイコン311へは表示装置41の映像と前面枠12や遊技盤30に設けられている装飾ランプの点灯を同期させるために垂直同期信号VSYNCが入力される。さらに、VDP313から映像制御用マイコン312へは、VRAMへの描画の終了等処理状況を知らせるため割込み信号INT0〜n及び映像制御用マイコン312からのコマンドやデータの受信待ちの状態にあることを知らせるためのウェイト信号WAITが入力される。また、映像制御用マイコン312から主制御用マイコン311へは、映像制御用マイコン312が正常に動作していることを知らせるとともにコマンドの送信タイミングを与える同期信号SYNCが入力される。主制御用マイコン311と音源LSI314との間は、ハンドシェイク方式でコマンドやデータの送受信を行うために、呼び掛け(コール)信号CTSと応答(レスポンス)信号RTSが交換される。
【0083】
なお、映像制御用マイコン(2ndCPU)312には、主制御用マイコン(1stCPU)311よりも高速なつまり高価なCPUが使用されている。主制御用マイコン(1stCPU)311とは別に映像制御用マイコン(2ndCPU)312を設けて処理を分担させることによって、主制御用マイコン(1stCPU)311のみでは実現困難な大画面で動きの速い映像を表示装置41に表示させることが可能となるとともに、映像制御用マイコン(2ndCPU)312と同等な処理能力を有するCPUを2個使用する場合に比べてコストの上昇を抑制することができる。また、CPUを2つ設けることによって、2つのCPUの制御プログラムを別々に並行して開発することが可能となり、これによって新機種の開発期間を短縮することができる。
【0084】
また、演出制御装置300には、遊技制御装置100から送信されてくるコマンドを受信するインタフェースチップ(コマンドI/F)331が設けられている。このコマンドI/F331を介して、遊技制御装置100から演出制御装置300へ送信された変動開始コマンド、客待ちデモコマンド、ファンファーレコマンド、確率情報コマンド、及びエラー指定コマンド等を、演出制御指令信号として受信する。遊技制御装置100の遊技用マイコン111はDC5Vで動作し、演出制御装置300の主制御用マイコン(1stCPU)311はDC3.3Vで動作するため、コマンドI/F331には信号のレベル変換の機能が設けられている。
【0085】
また、演出制御装置300には、遊技盤30(センターケース40を含む)に設けられているLED(発光ダイオード)を有する盤装飾装置42を駆動制御する盤装飾LED制御回路332、前面枠12に設けられているLED(発光ダイオード)を有する枠装飾装置(例えば枠装飾装置18等)を駆動制御する枠装飾LED制御回路333、遊技盤30(センターケース40を含む)に設けられている盤演出装置44(例えば表示装置41における演出表示と協働して演出効果を高める可動役物等)を駆動制御する盤演出モータ/SOL制御回路334、前面枠12に設けられているモータ(例えば前記ムービングライト16を動作させるモータ等)45を駆動制御する枠演出モータ制御回路335が設けられている。なお、ランプやモータ及びソレノイドなどを駆動制御するこれらの制御回路332〜335は、アドレス/データバス304を介して主制御用マイコン(1stCPU)311と接続されている。
【0086】
さらに、演出制御装置300には、前面枠12に設けられた演出ボタン25に内蔵されているスイッチ25aや上記盤演出装置44内のモータの初期位置を検出する演出モータスイッチのオン/オフ状態を検出して主制御用マイコン(1stCPU)311へ検出信号を入力するスイッチ入力回路336、前面枠12に設けられた上スピーカ19aを駆動するオーディオパワーアンプなどからなるアンプ回路337a、前面枠12に設けられた下スピーカ19bを駆動するアンプ回路337bが設けられている。
【0087】
電源装置400の通常電源部410は、上記のような構成を有する演出制御装置300やそれによって制御される電子部品に対して所望のレベルの直流電圧を供給するため、モータやソレノイドを駆動するためのDC32V、液晶パネルからなる表示装置41を駆動するためのDC12V、コマンドI/F331の電源電圧となるDC5Vの他に、LEDやスピーカを駆動するためのDC18Vやこれらの直流電圧の基準としたり電源モニタランプを点灯させるのに使用するNDC24Vの電圧を生成するように構成されている。さらに、主制御用マイコン(1stCPU)311や映像制御用マイコン(2ndCPU)312として、3.3Vあるいは1.2Vのような低電圧で動作するLSIを使用する場合には、DC5Vに基づいてDC3.3VやDC1.2Vを生成するためのDC−DCコンバータが演出制御装置300に設けられる。なお、DC−DCコンバータは通常電源部410に設けるようにしてもよい。
【0088】
電源装置400の制御信号生成部430により生成されたリセット信号RSTは、主制御用マイコン311、映像制御用マイコン312、VDP313、音源LSI314、ランプやモータなどを駆動制御する制御回路332〜335、スピーカを駆動するアンプ回路337a、337bに供給され、これらをリセット状態にする。また、この実施例においては、映像制御用マイコン312の有する汎用のポートを利用して、VDP313に対するリセット信号を生成して供給する機能を有するように構成されている。これにより、映像制御用マイコン312とVDP313の動作の連携性を向上させることができる。
【0089】
次に、これらの制御回路において行われる遊技制御について説明する。遊技制御装置100の遊技用マイコン111のCPU111Aでは、普図始動ゲート34に備えられたゲートスイッチ34aからの遊技球の検出信号の入力に基づき、普図の当り判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、普図変動表示ゲームの当り外れを判定する処理を行う。そして、普図表示器に、識別図柄を所定時間変動表示した後、停止表示する普図変動表示ゲームを表示する処理を行う。この普図変動表示ゲームの結果が当りの場合は、普図表示器に特別の結果態様を表示するとともに、普電ソレノイド37cを動作させ、普通変動入賞装置37の可動部材37bを所定時間(例えば、0.3秒間)上述のように開放する制御を行う。すなわち、遊技制御装置100が、変換部材(可動部材37b)の変換制御を行う変換制御実行手段をなす。なお、普図変動表示ゲームの結果がはずれの場合は、普図表示器にはずれの結果態様を表示する制御を行う。
【0090】
また、始動入賞口36に備えられた始動口1スイッチ36aからの遊技球の検出信号の入力に基づき始動入賞(始動記憶)を記憶し、この始動記憶に基づき、第1特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、第1特図変動表示ゲームの当り外れを判定する処理を行う。また、普通変動入賞装置37に備えられた始動口2スイッチ37aからの遊技球の検出信号の入力に基づき始動記憶を記憶し、この始動記憶に基づき、第2特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、第2特図変動表示ゲームの当り外れを判定する処理を行う。
【0091】
そして、遊技制御装置100のCPU111Aは、上記の第1特図変動表示ゲームや第2特図変動表示ゲームの判定結果を含む制御信号(演出制御コマンド)を、演出制御装置300に出力する。そして、特図1表示器51や特図2表示器52に、識別図柄を所定時間変動表示した後、停止表示する特図変動表示ゲームを表示する処理を行う。すなわち、遊技制御装置100が、遊技領域32を流下する遊技球の始動入賞領域(第1始動入賞口36、普通変動入賞装置37)への入賞に基づき前記変動表示ゲームの進行制御を行う遊技制御手段をなす。
【0092】
また、演出制御装置300では、遊技制御装置100からの制御信号に基づき、表示装置41で特図変動表示ゲームに対応した飾り特図変動表示ゲームを表示する処理を行う。さらに、演出制御装置300では、遊技制御装置100からの制御信号に基づき、演出状態(演出モード)の設定や、スピーカ19a,19bからの音の出力、各種LEDの発光を制御する処理等を行う。すなわち、演出制御装置300が、遊技(変動表示ゲーム等)に関する演出を制御する演出制御手段をなす。
【0093】
そして、遊技制御装置100のCPU111Aは、特図変動表示ゲームの結果が当りの場合は、特図1表示器51や特図2表示器52に特別結果態様を表示するとともに、特別遊技状態を発生させる処理を行う。特別遊技状態を発生させる処理においては、CPU111Aは、例えば、大入賞口ソレノイド38bにより特別変動入賞装置38の開閉扉38cを開放させ、大入賞口内への遊技球の流入を可能とする制御を行う。そして、大入賞口に所定個数(例えば、10個)の遊技球が入賞するか、大入賞口の開放から所定の開放可能時間(例えば、25秒又は1.0秒)が経過するかの何れかの条件が達成されるまで大入賞口を開放することを1ラウンドとし、これを所定ラウンド回数(例えば、15回又は2回)継続する(繰り返す)制御(サイクル遊技)を行う。すなわち、遊技制御装置100が、停止結果態様が特別結果態様となった場合に、大入賞口を開閉する制御を行う大入賞口開閉制御手段をなす。また、特図変動表示ゲームの結果がはずれの場合は、特図1表示器51や特図2表示器52にはずれの結果態様を表示する制御を行う。
【0094】
また、遊技制御装置100は、特図変動表示ゲームの結果態様に基づき、特別遊技状態の終了後に、遊技状態として高確率状態を発生可能となっている。この高確率状態は、特図変動表示ゲームにて当り結果となる確率が、通常確率状態に比べて高い状態である。また、第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームのどちらの特図変動表示ゲームの結果態様に基づき高確率状態となっても、第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームの両方が高確率状態となる。
【0095】
また、遊技制御装置100は、特図変動表示ゲームの結果態様に基づき、特別遊技状態の終了後に、遊技状態として時短状態を発生可能となっている。この時短状態においては、普図変動表示ゲーム及び普通変動入賞装置37を時短動作状態とする制御を行い、普通変動入賞装置37が通常動作状態である場合よりも、単位時間当りの普通変動入賞装置37の開放時間が実質的に多くなるように制御するようになっている。
【0096】
例えば、時短状態においては、上述の普図変動表示ゲームの実行時間(普図変動時間)を第1変動表示時間よりも短い第2変動表示時間となるように制御することが可能である(例えば、10000msが600ms)。また、時短状態においては、普図変動表示ゲームの結果を表示する普図停止時間を第1停止時間(例えば1604ms)よりも短い第2停止時間(例えば704ms)となるように制御することが可能である。また、時短状態においては、普図変動表示ゲームが当り結果となって普通変動入賞装置37が開放される場合に、開放時間(普電開放時間)が通常状態の第1開放時間(例えば300ms)よりも長い第2開放時間(例えば1400ms)となるように制御することが可能である。また、時短状態においては、普図変動表示ゲームの1回の当り結果に対して、普通変動入賞装置37の開放回数(普電開放回数)を1回の第1開放回数ではなく、2回以上の複数回(例えば、4回)の第2開放回数に設定することが可能である。また、時短状態においては、普図変動表示ゲームの当り結果となる確率(普図確率)を通常動作状態である場合の通常確率(低確率)よりも高い高確率とすることが可能である。
【0097】
時短状態においては、普図変動時間、普図停止時間、普電開放回数、普電開放時間、普図確率の何れか一つ又は複数を変化させることで普通変動入賞装置37を開状態に状態変換する時間を通常よりも延長するようにする。また、変化させるものが異なる複数種類の時短状態を設定することも可能である。また、高確率状態と時短状態は、それぞれ独立して発生可能であり、両方を同時に発生することも可能であるし一方のみを発生させることも可能である。
【0098】
当り(特別結果態様)の種類には、条件装置の作動を伴う大当りと、条件装置の作動を伴わない小当りがある。条件装置とは、特図変動表示ゲームで大当りが発生(大当り図柄の停止表示)した場合に作動するもので、条件装置が作動するとは、例えば大当り状態が発生して特別電動役物としての特別変動入賞装置38を連続して作動させるための特定のフラグがセットされることを意味する。条件装置が作動しないとは、例えば小当り抽選に当選したような場合のように上述のフラグはセットされないことを意味する。なお、「条件装置」は上記のようなソフトウェア的にオンオフされるフラグのようなソフトウェア手段であっても良いし、電気的にオンオフされるスイッチのようなハードウェア手段であっても良い。また、「条件装置」は、その作動が電動役物の連続作動に必要条件とされる装置として、パチンコ遊技機の分野においては一般的に使用されている用語であり、本明細書においても同様な意味を有する用語として使用している。
【0099】
大当りの種類には、第1特別結果態様となる15R大当り図柄として15R確変及び15R通常があり、第2特別結果態様となる2R大当り図柄として2R確変、2R潜伏確変、2R通常及び2R低確があって、特別遊技状態の実行態様や特別遊技状態の終了後に遊技者に付与される付加遊技価値が異なるようにされている。遊技制御装置100では大当り図柄乱数に基づき大当りの種類(特別結果態様の種類)を選択する。すなわち、大当り図柄乱数に基づき特別遊技状態の実行態様や付加遊技価値の量が決定されるといえる。なお、本実施形態の遊技機における特別遊技状態の実行態様とは、実行可能なラウンド数や大入賞口の開放時間である。また、付加遊技価値とは特別遊技状態の終了後に遊技状態を高確率状態とすることや時短状態とすることである。
【0100】
15R大当りである15R確変及び15R通常が発生した場合は、何れも特別遊技状態でのラウンド数が15ラウンドで、各ラウンドにおける特別変動入賞装置38の開放可能時間は第1開放可能時間(25秒)である。そして、15R確変は、特別遊技状態の終了後に確率状態が高確率状態となるとともに次回の大当りまで時短状態となる。また、15R通常は、特別遊技状態の終了後に確率状態が通常確率状態(低確率)となるとともに100回の特図変動表示ゲームを実行するまで時短状態となる。
【0101】
2R大当りである2R確変、2R潜伏確変、2R通常及び2R低確が発生した場合は、何れも特別遊技状態でのラウンド数が2ラウンドで、各ラウンドにおける特別変動入賞装置38の開放可能時間は第2開放可能時間(1.0秒)である。そして、2R確変は、特別遊技状態の終了後に確率状態が高確率状態となるとともに次回の大当りまで時短状態となる。また、2R潜伏確変は、特別遊技状態の終了後に確率状態が高確率状態となるが時短状態とならない。また、2R通常は、特別遊技状態の終了後に確率状態が通常確率状態(低確率)となるとともに100回の特図変動表示ゲームを実行するまで時短状態となる。また、2R低確は、特別遊技状態の終了後に確率状態が通常確率状態(低確率)となり時短状態とならない。
【0102】
また、第2特別結果態様として小当り図柄が導出されて小当りが発生した場合は、2R大当りと同様に、特別遊技状態でのラウンド数が2ラウンドで大入賞口の開放時間が第2開放時間(1.0秒)とされる。なお、特別遊技状態の終了後の確率状態や普通変動入賞装置37の動作状態は小当り発生前の状態と同じ状態となる。すなわち、第1特別結果態様である15R大当り図柄の導出に基づく特別遊技状態が第1特別遊技状態をなし、第2特別結果態様である2R大当り図柄又は小当り図柄の導出に基づく特別遊技状態が第1特別遊技状態よりも遊技者の得られる遊技価値の小さな第2特別遊技状態をなす。
【0103】
なお、2R大当りとなる飾り特図変動表示ゲームの実行態様や特別結果態様とその後の特別遊技状態と、小当りとなる飾り特図変動表示ゲームの実行態様や特別結果態様とその後の特別遊技状態では同一の演出が行われるので、遊技者は何れの当りであったのかを判別することが困難である。ただし、特図1表示器51や特図2表示器52での特別結果態様は各2R大当り及び小当りで異なる図柄であるので、特図1表示器51や特図2表示器52での表示態様から判別が可能である。
【0104】
また、小当りに当選した場合には、所定確率で当該小当りを発生させずにストックし、所定条件が成立することによりストックしていた小当りをまとめて実行するようになっている。すなわち、小当りを発生させないことが選択された場合は、大入賞口の開閉が行われずに大入賞口の開放権がストックされる。そして、所定条件が成立することでストックしていた開放権が実行されて大入賞口が開放されるようになっている。
【0105】
本実施形態でのストックしていた開放権を実行(ストック放出)する所定条件は、小当りがストックされた状態で小当りに当選した場合に、当該当選した小当りのストックが選択されなかったこと(小当りの実行が選択されること)とされている。この開放権が実行される際の大入賞口の開放態様は、今回当選した小当りでの大入賞口の開放時間と、各開放権がストックされなかった場合の大入賞口の開放時間とを合計した時間に亘り大入賞口を開放し続ける特別開放態様とされる。すなわち、実行される開放権の数に1を加えた数に、1回の小当りにおける大入賞口の開放時間(2.0秒)を掛けた時間に亘り連続的に大入賞口が開放される。
【0106】
また、ストックしていた開放権を実行(ストック放出)する別の所定条件は、小当りがストックされた状態で大当りに当選したこととされている。この場合は、大当りに基づく特別遊技状態での大入賞口の開放が終了した後にストックされた小当りに基づく大入賞口の開放が行われる。このときの開放態様は、各開放権がストックされなかった場合の大入賞口の開放時間を合計した時間に亘り大入賞口を開放し続ける特別開放態様とされ、実行される開放権の数に、1回の小当りにおける大入賞口の開放時間(2.0秒)を掛けた時間に亘り連続的に大入賞口が開放される。
【0107】
以下、このような遊技を行う遊技機の制御について説明する。まず、上記遊技制御装置100の遊技用マイクロコンピュータ(遊技用マイコン)111によって実行される制御について説明する。遊技用マイコン111による制御処理は、主に図5及び図6に示すメイン処理と、所定時間周期(例えば4msec)で行われる図7に示すタイマ割込み処理とからなる。
【0108】
〔メイン処理〕
先ず、メイン処理について説明する。メイン処理は、電源が投入されることで開始される。このメイン処理においては、図5に示すように、まず、割込みを禁止する処理(ステップS1)を行ってから、割込みが発生したときに実行するジャンプ先のベクタアドレスを設定する割込みベクタ設定処理(ステップS2)、割込みが発生したときにレジスタ等の値を退避する領域の先頭アドレスであるスタックポインタを設定するスタックポインタ設定処理(ステップS3)、割込み処理のモードを設定する割込みモード設定処理(ステップS4)を行う。
【0109】
次に、払出制御装置(払出基板)200のプログラムが正常に起動するのを待つため例えば4msecの時間待ちを行う(ステップS5)。これにより、電源投入の際に仮に遊技制御装置100が先に立ち上がって払出制御装置200が立ち上がる前にコマンドを払出制御装置200へ送ってしまい、払出制御装置200がコマンドを取りこぼすのを回避することができる。その後、RAMやEEPROM等の読出し書込み可能なRWM(リードライトメモリ)のアクセス許可をし、全出力ポートをオフ(出力が無い状態)に設定する(ステップS6,S7)。また、シリアルポート((遊技用マイコン111に予め搭載されているポート)この実施例では、払出制御装置200や演出制御装置300とパラレル通信を行っているため使用しない)を使用しない状態に設定する処理を行う(ステップS8)。
【0110】
続いて、電源装置400内の初期化スイッチがオンしているか否か判定する(ステップS9)。ここで、初期化スイッチがオフ(ステップS9;No)と判定すると、RWM内の停電検査領域1の値が正常な停電検査領域チェックデータであるかをチェックし(ステップS10)、正常であれば(ステップS11;Yes)、RWM内の停電検査領域2の値が正常な停電検査領域チェックデータであるかをチェックする(ステップS12)。次に、停電検査領域2の値が正常であれば(ステップS13;Yes)、RWM内の所定領域のチェックサムを算出し(ステップS14)、算出されたチェックサムと電源断時のチェックサムを比較して(ステップS15)、一致するかを判定する(ステップS16)。そして、一致する場合(ステップS16;Yes)は、図6のステップS17へ移行し、停電から正常に復旧した場合の処理を行う。
【0111】
また、初期化スイッチがオン(ステップS9;Yes)と判定された場合や、停電検査領域のチェックデータが正常なデータでないと判定された場合(ステップS11;NoもしくはステップS13;No)、チェックサムが正常でない(ステップS16;No)と判定された場合は、図6のステップS24へ移行して初期化の処理を行う。
【0112】
図6のステップS17では全ての停電検査領域をクリアし、チェックサム領域をクリアして(ステップS18)、エラーや不正監視に係る領域をリセットする(ステップS19)。次に、RWM内の遊技状態を記憶する領域を調べて遊技状態が高確率状態であるか否かを判定する(ステップS20)。ここで、高確率でない(ステップS20;No)と判定した場合は、ステップS21,S22をスキップしてステップS23へ移行する。
【0113】
また、ステップS20で高確率である(ステップS20;Yes)と判定した場合は、高確率報知フラグ領域にON情報をセーブし(ステップS21)、例えば一括表示装置50に設けられる高確率報知LED(エラー表示器)のON(点灯)データをセグメント領域にセーブする(ステップS22)。そして、後述の特図ゲーム処理を合理的に実行するために用意されている処理番号に対応する電源復旧時のコマンドを演出制御装置300へ送信する処理(ステップS23)を行ってステップS29へ進む。
【0114】
一方、ステップS9、S11、S13、S16からステップS24へジャンプした場合には、アクセス禁止領域より前の全作業領域をクリアし(ステップS24)、アクセス禁止領域より後の全スタック領域をクリアして(ステップS25)、初期化すべき領域に電源投入時の初期値をセーブする(ステップS26)。そして、RWMクリアに関する外部情報(セキュリティ信号)の出力タイマ初期値をセキュリティ信号制御タイマ領域にセーブし(ステップS27)、電源投入時のコマンドを演出制御装置300へ送信して(ステップS28)、ステップS29へ進む。ステップS29では、遊技用マイコン111(クロックジェネレータ)内のタイマ割込み信号及び乱数更新トリガ信号(CTC)を発生するCTC(Counter/Timer Circuit)回路を起動する処理を行う。
【0115】
なお、CTC回路は、遊技用マイコン111内のクロックジェネレータに設けられている。クロックジェネレータは、水晶発振器113からの発振信号(原クロック信号)を分周する分周回路と、分周された信号に基づいてCPU111Aに対して所定周期(例えば、4ミリ秒)のタイマ割込み信号及び乱数生成回路へ供給する乱数更新のトリガを与える信号CTCを発生するCTC回路とを備えている。
【0116】
上記ステップS29のCTC起動処理の後は、乱数生成回路を起動設定する処理を行う(ステップS30)。具体的には、乱数生成回路内の所定のレジスタ(CTC更新許可レジスタ)へ乱数生成回路を起動させるためのコード(指定値)の設定などがCPU111Aによって行われる。それから、電源投入時の乱数生成回路内の所定のレジスタ(ソフト乱数レジスタ1〜n)の値を、対応する各種初期値乱数(大当り図柄を決定する乱数(大当り図柄乱数1、大当り図柄乱数2)、普図の当たりを決定する乱数(当り乱数))の初期値(スタート値)としてRWMの所定領域にセーブしてから(ステップS31)、割込みを許可する(ステップS32)。本実施例で使用するCPU111A内の乱数生成回路においては、電源投入毎にソフト乱数レジスタの初期値が変わるように構成されているため、この値を各種初期値乱数の初期値(スタート値)とすることで、ソフトウェアで生成される乱数の規則性を崩すことができ、遊技者による不正な乱数の取得を困難にすることができる。
【0117】
続いて、各種初期値乱数の値を更新して乱数の規則性を崩すための初期値乱数更新処理(ステップS33)を行う。なお、本実施形態においては、特に限定されるわけではないが、大当り乱数は乱数生成回路において生成される乱数(大当り乱数)を使用して生成するように構成されている。つまり、大当り乱数はハードウェアで生成されるハード乱数であり、大当り図柄乱数、当り乱数はソフトウェアで生成されるソフト乱数である。
【0118】
上記ステップS33の初期値乱数更新処理の後、電源装置400から入力されている停電監視信号をポート及びデータバスを介して読み込んでチェックする回数を設定し(ステップS34)、停電監視信号がONであるかの判定を行う(ステップS35)。停電監視信号がONでない場合(ステップS35;No)は、初期値乱数更新処理(ステップS33)に戻る。すなわち、停電が発生していない場合には、初期値乱数更新処理と停電監視信号のチェック(ループ処理)を繰り返し行う。初期値乱数更新処理(ステップS33)の前に割り込みを許可する(ステップS32)ことによって、初期値乱数更新処理中にタイマ割込みが発生すると割込み処理が優先して実行されるようになり、タイマ割込みが初期値乱数更新処理によって待たされることで割込み処理が圧迫されるのを回避することができる。
【0119】
なお、上記ステップS33での初期値乱数更新処理は、メイン処理のほか、タイマ割込み処理の中においても初期値乱数更新処理を行う方法もあり、そのような方法を採用した場合には両方で初期値乱数更新処理が実行されるのを回避するため、メイン処理で初期値乱数更新処理を行う場合には割込みを禁止してから更新して割込みを解除する必要があるが、本実施例のようにタイマ割込み処理の中での初期値乱数更新処理はせず、メイン処理内のみにした場合には初期値乱数更新処理の前に割込みを解除しても何ら問題はなく、それによってメイン処理が簡素化されるという利点がある。
【0120】
また、停電監視信号がONである場合(ステップS35;Yes)は、ステップS34で設定したチェック回数分停電監視信号のON状態が継続しているかを判定する(ステップS36)。そして、チェック回数分停電監視信号のON状態が継続していない場合(ステップS36;No)は、停電監視信号がONであるかの判定(ステップS35;Yes)に戻る。また、チェック回数分停電監視信号のON状態が継続している場合(ステップS36;Yes)、すなわち、停電が発生していると判定した場合は、一旦割込みを禁止する処理(ステップS37)、全出力ポートにOFFデータを出力する処理(ステップS38)を行う。
【0121】
その後、停電復旧検査領域1に停電復旧検査領域チェックデータ1をセーブし(ステップS39)、停電復旧検査領域2に停電復旧検査領域チェックデータ2をセーブする(ステップS40)。さらに、RWMの電源遮断時のチェックサムを算出する処理(ステップS41)、チェックサムをセーブする処理(ステップS42)を行った後、RWMへのアクセスを禁止する処理(ステップS43)を行ってから、遊技機の電源が遮断されるのを待つ。このように、停電復旧検査領域にチェックデータをセーブするとともに、電源遮断時のチェックサムを算出することで、電源の遮断の前にRWMに記憶されていた情報が正しくバックアップされているか否かを電源再投入時に判断することができる。
【0122】
〔タイマ割込み処理〕
次に、タイマ割込み処理について説明する。図7に示すように、タイマ割込み処理は、クロックジェネレータ内のCTC回路で生成される周期的なタイマ割込み信号がCPU111Aに入力されることで開始される。遊技用マイコン111Aにおいてタイマ割込みが発生すると、図7のタイマ割込み処理が開始される。
【0123】
タイマ割込み処理が開始されると、まず所定のレジスタに保持されている値をRWMに移すレジスタ退避の処理(ステップS51)を行う。なお、本実施例において遊技用マイコンとして使用しているZ80系のマイコンでは、当該処理を表レジスタに保持されている値を裏レジスタに退避することで置き換えることができる。次に、各種センサ(始動口1スイッチ36a、始動口2スイッチ37a、普図のゲートスイッチ34a、カウントスイッチ38aなど)からの入力の取込み、即ち、各入力ポートの状態を読み込む入力処理(ステップS52)を行う。それから、各種処理でセットされた出力データに基づき、ソレノイド(大入賞口SOL38b、普電SOL37c)等のアクチュエータの駆動制御などを行うための出力処理(ステップS53)を行う。
【0124】
次に、各種処理で送信バッファにセットされたコマンドを演出制御装置300や払出制御装置200等に出力するコマンド送信処理(ステップS54)、乱数更新処理1(ステップS55)、乱数更新処理2(ステップS56)を行う。その後、始動口1スイッチ36a、始動口2スイッチ37a、普図のゲートスイッチ34a、入賞口スイッチ35a…35n、カウントスイッチ38aから正常な信号の入力があるか否かの監視や、エラーの監視(前面枠やガラス枠が開放されていないかなど)を行う入賞口スイッチ/エラー監視処理(ステップS57)を行う。また、特図変動表示ゲームに関する処理を行う特図ゲーム処理(ステップS58)、普図変動表示ゲームに関する処理を行う普図ゲーム処理(ステップS59)を行う。
【0125】
次に、遊技機10に設けられ、特図変動ゲームの表示や遊技に関する各種情報を表示するセグメントLEDを所望の内容を表示するように駆動するセグメントLED編集処理(ステップS60)、磁気センサスイッチ61や振動センサスイッチ62からの検出信号をチェックして異常がないか判定する磁石エラー監視処理(ステップS61)を行う。それから、外部の各種装置に出力する信号を出力バッファにセットする外部情報編集処理(ステップS62)を行う。続いて、割込み要求をクリアして割込みの終了を宣言する処理(ステップS63)を行い、ステップS51で退避したレジスタのデータを復帰する処理(ステップS64)を行った後、割込みを許可する処理(ステップS65)を行って、タイマ割込み処理を終了する。
【0126】
〔特図ゲーム処理〕
次に、上述のタイマ割込み処理における特図ゲーム処理(ステップS58)の詳細について説明する。特図ゲーム処理では、始動口1スイッチ36a及び始動口2スイッチ37aの入力の監視と、特図変動表示ゲームに関する処理全体の制御、特図の表示の設定を行う。
【0127】
図8に示すように、特図ゲーム処理では、先ず、始動口1スイッチ36a及び始動口2スイッチ37aの入賞を監視する始動スイッチ監視処理(ステップA1)を行う。始動口スイッチ監視処理では、始動入賞口36、第2始動入賞口をなす普通変動入賞装置37に遊技球の入賞があると、各種乱数(大当り乱数など)の抽出を行い、当該入賞に基づく特図変動表示ゲームの開始前の段階で入賞に基づく遊技結果を事前に判定する遊技結果事前判定を行う。なお、始動口スイッチ監視処理(ステップA1)の詳細については後述する。
【0128】
次に、カウントスイッチ監視処理(ステップA2)を行う。このカウントスイッチ監視処理では、特別変動入賞装置38内に設けられたカウントスイッチ38aのカウント数を監視する処理を行う。
【0129】
次に、特図ゲーム処理タイマを更新(−1)して、当該ゲーム処理タイマがすでにタイムアップしているか又は更新によりタイムアップしたか否かをチェックして(ステップA3)、特図ゲーム処理タイマがタイムアップした(ステップA4;Yes)と判定すると、特図ゲーム処理番号に対応する処理に分岐させるために参照する特図ゲームシーケンス分岐テーブルをレジスタに設定する処理(ステップA5)を行って、当該テーブルを用いて特図ゲーム処理番号に対応する処理の分岐先アドレスを取得する処理(ステップA6)を行う。そして、分岐処理終了後のリターンアドレスをスタック領域に退避させる処理(ステップA7)を行った後、ゲーム処理番号に応じてゲーム分岐処理(ステップA8)を行う。
【0130】
ステップA8にて、ゲーム処理番号が「0」の場合は、特図変動表示ゲームの変動開始を監視し、特図変動表示ゲームの変動開始の設定や演出の設定や、特図変動中処理を行うために必要な情報の設定等を行う特図普段処理(ステップA9)を行う。なお、特図普段処理(ステップA9)の詳細については後述する。
【0131】
ステップA8にて、ゲーム処理番号が「1」の場合は、特図の停止表示時間の設定や、特図表示中処理を行うために必要な情報の設定等を行う特図変動中処理(ステップA10)を行う。ステップA8にて、ゲーム処理番号が「2」の場合は、特図変動表示ゲームの遊技結果が大当りであれば、大当りの種類に応じたファンファーレコマンドの設定や、各大当りの大入賞口開放パターンに応じたファンファーレ時間の設定や、ファンファーレ/インターバル中処理を行うために必要な情報の設定等を行う特図表示中処理(ステップA11)を行う。
【0132】
ステップA8にて、ゲーム処理番号が「3」の場合は、大入賞口の開放時間の設定や開放回数の更新、大入賞口開放中処理を行うために必要な情報の設定等を行うファンファーレ/インターバル中処理(ステップA12)を行う。ステップA8にて、ゲーム処理番号が「4」の場合は、大当りラウンドが最終ラウンドでなければインターバルコマンドを設定する一方で最終ラウンドであればエンディングコマンドを設定する処理や、大入賞口残存球処理を行うために必要な情報の設定等を行う大入賞口開放中処理(ステップA13)を行う。
【0133】
ステップA8にて、ゲーム処理番号が「5」の場合は、大当りラウンドが最終ラウンドであれば大入賞口内にある残存球が排出されるための時間を設定する処理や、大当り終了処理を行うために必要な情報の設定等を行う大入賞口残存球処理(ステップA14)を行う。ステップA8にて、ゲーム処理番号が「6」の場合は、特図普段処理(ステップA9)を行うために必要な情報の設定等を行う大当り終了処理(ステップA15)を行う。
【0134】
ステップA8にて、特図ゲーム処理番号が「7」の場合は、小当りが発生した際の大入賞口の開放時間・開放パターンの設定、ファンファーレコマンドの設定、小当り中処理を行うために必要な情報の設定等を行う小当りファンファーレ中処理(ステップA16)を行う。また、ステップA8にて、特図ゲーム処理番号が「8」の場合は、エンディングコマンドの設定や小当り残存球処理を行うために必要な情報の設定等を行う小当り中処理(ステップA17)を行う。
【0135】
ステップA8にて、特図ゲーム処理番号が「9」の場合は、小当り中処理の際に大入賞口内に入賞した残存球が排出されるための時間を設定する処理や、小当り終了処理を行うために必要な情報の設定等を行う小当り残存球処理(ステップA18)を行う。また、ステップA8にて、特図ゲーム処理番号が「10」の場合は、特図普段処理(ステップA9)を行うために必要な情報の設定等を行う小当り終了処理(ステップA19)を行う。
【0136】
その後、特図1表示器51の変動を制御するためのテーブルを準備した後(ステップA20)、特図1表示器51に係る図柄変動制御処理(ステップA21)を行う。そして、特図2表示器52の変動を制御するためのテーブルを準備した後(ステップA22)、特図2表示器52に係る図柄変動制御処理(ステップA23)を行う。一方、ステップA4にて、特図ゲーム処理タイマがタイムアップしていない(ステップA4;No)と判定すると、処理をステップA20に移行して、それ以降の処理を行う。
【0137】
〔始動口スイッチ監視処理〕
次に、上述の特図ゲーム処理における始動口スイッチ監視処理の詳細について説明する。図9に示すように、始動口スイッチ監視処理では、先ず、第1始動口(始動入賞口36)による保留の情報を設定するテーブルを準備した後(ステップA111)、特図始動口スイッチ共通処理(ステップA112)を行う。なお、ステップA112における特図始動口スイッチ共通処理の詳細については、ステップA117における特図始動口スイッチ共通処理とともに後述する。
【0138】
次に、普通電動役物(普通変動入賞装置37)が作動中である、即ち、普通変動入賞装置37が作動して遊技球の入賞が可能な開状態となっているか否かをチェックして、普通電動役物が作動中である(ステップA113;Yes)と判定すると、処理をステップA116に移行して、それ以降の処理を行う。一方、ステップA113にて、普通電動役物が作動中でない(ステップA113;No)と判定すると、普通変動入賞装置37への不正入賞数が不正発生判定個数以上であるかをチェックして(ステップA114)、不正入賞数が不正発生判定個数以上であるか否かを判定する処理(ステップA115)を行う。普通変動入賞装置37は、閉状態では遊技球が入賞不可能であり、開状態でのみ遊技球が入賞可能である。よって、閉状態で遊技球が入賞した場合は何らかの異常や不正が発生した場合であり、このような閉状態で入賞した遊技球があった場合はその数を不正入賞数として計数する。そして、このように計数された不正入賞数が所定の不正発生判定個数(上限値)以上であるかが判定される。
【0139】
ステップA115にて、不正入賞数が不正判定個数以上でない(ステップA115;No)と判定すると、第2始動口(普通変動入賞装置37)による保留の情報を設定するテーブルを準備した後(ステップA116)、特図始動口スイッチ共通処理(ステップA117)を行って、始動口スイッチ監視処理を終了する。また、ステップA115にて、不正入賞数が不正判定個数以上であると判定された場合は(ステップA115;Yes)、始動口スイッチ監視処理を終了する。即ち、第2始動記憶をそれ以上発生させないようにする。
【0140】
〔特図始動口スイッチ共通処理〕
次に、上述の始動口スイッチ監視処理における特図始動口スイッチ共通処理(ステップA112、A117)の詳細について説明する。特図始動口スイッチ共通処理は、始動口1スイッチ36aや始動口2スイッチ37aの入力があった場合に、各々の入力について共通して行われる処理である。
【0141】
図10に示すように、特図始動口スイッチ共通処理では、先ず、始動口1スイッチ36a及び始動口2スイッチ37aのうち、監視対象の始動口スイッチ(例えば、始動口1スイッチ36a等)に入力があるか否かをチェックして(ステップA201)、監視対象の始動口スイッチに入力がない(ステップA202;No)と判定すると、特図始動口スイッチ共通処理を終了する。一方、ステップA202にて、監視対象の始動口スイッチに入力がある(ステップA202;Yes)と判定すると、当該監視対象の始動口スイッチの始動口入賞フラグをセーブした後(ステップA203)、当該監視対象のハード乱数ラッチレジスタに抽出された大当り乱数をロードし、準備する(ステップA204)。
【0142】
続けて、始動口1スイッチ36a及び始動口2スイッチ37aのうち、監視対象の始動口スイッチ(例えば、始動口1スイッチ36a等)への入賞の回数に関する情報が遊技機10の外部の管理装置に対して出力された回数(始動口信号出力回数)をロードし(ステップA205)、始動口信号出力回数を+1更新して出力回数がオーバーフローするか否かをチェックする(ステップA206)。そして、出力回数がオーバーフローしない(ステップA207;No)と判定すると、更新後の値をRWMの始動口信号出力回数領域にセーブして(ステップA208)、処理をステップA209に移行する。一方、ステップA207にて、出力回数がオーバーフローすると判定された場合は(ステップA207;Yes)、処理をステップA209に移行する。
【0143】
そして、ステップA209にて、始動口1スイッチ36a及び始動口2スイッチ37aのうち、監視対象の始動口スイッチ(例えば、始動口1スイッチ36a等)に対応する更新対象の特図保留(始動記憶)数が上限値未満か否かをチェックして(ステップA209)、特図保留数が上限値未満か否かを判定する処理(ステップA210)を行う。
【0144】
ステップA210にて、特図保留数が上限値未満でない(ステップA210;No)と判定した場合は、特図始動口スイッチ共通処理を終了する。また、ステップA210にて、特図保留数が上限値未満である(ステップA210;Yes)と判定すると、更新対象の特図保留数(例えば、特図1保留数等)を更新(+1)する処理(ステップA211)を行う。そして、始動口1スイッチ36a及び始動口2スイッチ37aのうち、監視対象の始動口スイッチ(例えば、始動口1スイッチ36a等)の飾り特図保留数コマンド(MODE)を準備した後(ステップA212)、特図保留数に対応する飾り特図保留数コマンド(ACTION)を準備して(ステップA213)、コマンド設定処理(ステップA214)を行う。続けて、特図保留数に対応する乱数セーブ領域のアドレスを算出する処理(ステップA215)を行い、大当り乱数をRWMの大当り乱数セーブ領域にセーブする(ステップA216)。
【0145】
次に、当該監視対象の始動口スイッチの大当り図柄乱数を抽出して準備し(ステップA217)、RWMの大当り図柄乱数セーブ領域にセーブする(ステップA218)。さらに、対応する変動パターン乱数1から3を抽出してRWMの各乱数のセーブ領域にセーブする(ステップA219、A220、A221)。そして、特図保留情報判定処理(ステップA222)を行って、特図始動口スイッチ共通処理を終了する。ここで、遊技制御装置100(RAM111C)は、始動入賞口36や普通変動入賞装置37の始動入賞領域への遊技球の流入に基づき、所定の乱数を抽出し前記変動表示ゲームの実行権利となる始動記憶として所定数を上限に記憶する始動入賞記憶手段をなす。また、始動入賞記憶手段(遊技制御装置100)は、第1始動入賞口(始動入賞口36)への遊技球の入賞に基づき抽出した各種の乱数値を、所定数を上限に第1始動記憶として記憶し、第2始動入賞口(普通変動入賞装置37)への遊技球の入賞に基づき抽出した各種の乱数値を、所定数を上限に第2始動記憶として記憶する。
【0146】
〔特図保留情報判定処理〕
次に、上述の始動口スイッチ共通処理における特図保留情報判定処理(ステップA222)の詳細について説明する。特図保留情報判定処理は、対応する始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に当該始動記憶に対応した結果関連情報の判定を行う先読み処理である。
【0147】
図11に示すように、まず、先読み演出を実行してよい条件を満たしているかチェック(ステップA231)を行い、満たしていない場合(ステップA232;No)は、特図保留情報判定処理を終了する。また、満たしている場合(ステップA232;Yes)は、以下の先読み演出に関する処理を行う。
【0148】
ここで、先読み演出を実行してよい条件を満たしている場合とは、特図始動口スイッチ共通処理のステップA202に係る始動口スイッチの入力が始動口2スイッチ37aの入力である場合である。また、特図始動口スイッチ共通処理のステップA202に係る始動口スイッチの入力が始動口1スイッチ36aの入力である場合は、普通変動入賞装置37の開放延長機能が作動中でない場合、即ち、時短状態中でない場合であり、特別遊技状態中でもない場合である。
【0149】
先読み演出を実行してよい条件を満たしている場合(ステップA232;Yes)に行われる先読み演出に関する処理では、まず、大当り乱数値が大当り判定値と一致するか否かにより大当りであるか否かを判定する大当り判定処理(ステップA233)を行う。そして、判定結果が大当りである場合(ステップA234;Yes)は、対象の始動口スイッチに対応する大当り図柄乱数チェックテーブルを設定し(ステップA235)、大当り図柄乱数をチェックして対応する大当り情報テーブルを取得して設定する(ステップA235)。その後、設定した情報テーブルから図柄情報を取得して図柄情報(作業用)領域にセーブする処理(ステップA244)を行う。一方、判定結果が大当りでない場合(ステップA234;No)は、大当り乱数値が小当り判定値と一致するか否かにより小当りであるか否かを判定する小当り判定処理(ステップA238)を行う。
【0150】
そして、判定結果が小当りでない場合(ステップA238;No)は、はずれ情報テーブルを設定し(ステップA243)、設定した情報テーブルから図柄情報を取得して図柄情報(作業用)領域にセーブする処理(ステップA244)を行う。また、判定結果が小当りである場合(ステップA238;Yes)は、小当りの実行抽選結果は小当りストックであるかを判定する(ステップA239)。
【0151】
小当りの実行抽選は小当りをストックするか否かを決定するものであって、始動入賞時に取得して記憶した小当り実行乱数が小当り実行判定値と一致するかを判定し、一致する場合には結果が小当りストックであるとして当該小当りがストックされるようにする。この小当り実行抽選の結果が小当りストックでない場合(ステップA239;No)は、小当り放出フラグをオンにし(ステップA240)、対象の始動口スイッチに対応する小当り情報テーブルを設定して(ステップA242)、設定した情報テーブルから図柄情報を取得して図柄情報(作業用)領域にセーブする処理(ステップA244)を行う。これにより、今回記憶された始動記憶に基づく小当りの発生に伴い、当該小当り及びストックされている小当りの開放権が実行されるようになる。
【0152】
また、小当りストックである場合(ステップA239;Yes)は、小当りストックフラグ設定処理(ステップA241)を行い、対象の始動口スイッチに対応する小当り情報テーブルを設定し(ステップA242)、設定した情報テーブルから図柄情報を取得して図柄情報(作業用)領域にセーブする処理(ステップA244)を行う。
【0153】
図12に示すように、小当りストックフラグ設定処理では、まず小当りストック数をチェックし(ステップA261)、小当りストック数が上限値であるかを判定する(ステップA262)。小当りストック数が上限値でない場合(ステップA262;No)は、ストックの対象となる始動記憶に対応する小当りストックフラグをオンにし(ステップA263)、小当りストックフラグ設定処理を終了する。これにより、今回発生した始動記憶に基づく小当りがストックされるようになる。
【0154】
また、小当りストック数が上限値である場合(ステップA262;Yes)は、小当りストックフラグ設定処理を終了する。これにより、今回発生した始動記憶に基づく小当りはストックされずに、当該小当りのみが実行されるようになる。なお、ストックされた小当りはストックされたままとなる。このようにストック可能な小当りの数に上限を設定したことで、いつまでも小当りがストックされ続けて多数の小当りがストックされてしまうことを防止できる。また、ストックされた小当りの開放権を実行する場合の大入賞口の開放パターンとして、予め定められた数の開放パターンを用意しておけばよく、記憶領域を無駄に使用することを防止できるとともに制御の負担を軽減することが可能となる。
【0155】
図11に戻り、設定した情報テーブルから図柄情報を取得して図柄情報(作業用)領域にセーブする処理(ステップA244)を行った後、設定した情報テーブルから始動口入賞演出図柄コマンドを取得してRWMの入賞演出図柄コマンド領域にセーブする(ステップA245)。次に、始動口1スイッチ36a及び始動口2スイッチ37aのうち、監視対象の始動口スイッチの始動口入賞フラグを準備した後(ステップA246)、対象の始動口入賞演出コマンド設定テーブルを準備する(ステップA247)。
【0156】
そして、当該監視対象の始動口に関して設定された特図情報を設定する特図情報設定処理(ステップA248)を行い、特図変動表示ゲームにおける変動態様のうち、後半変動パターンを設定する後半変動パターン設定処理(ステップA249)を行った後、特図変動表示ゲームの変動態様を設定する変動パターン設定処理(ステップA250)を行う。なお、ステップA248における特図情報設定処理、ステップA249における後半変動パターン設定処理、ステップA250における変動パターン設定処理の各々は、特図普段処理で特図変動表示ゲームの開始時に実行される処理と同様である。
【0157】
そして、設定された変動パターンの前半変動番号に対応する始動口入賞演出コマンド(MODE)を算出して準備する(ステップA251)とともに、後半変動番号の値を始動口入賞演出コマンド(ACTION)として準備し(ステップA252)、コマンド設定処理(ステップA253)を行う。続けて、入賞演出図柄コマンド領域から始動口入賞演出図柄コマンドをロードして準備し(ステップA254)、コマンド設定処理(ステップA255)を行って、特図保留情報判定処理を終了する。すなわち、ステップA251、A252にて始動口入賞演出コマンドが準備され、ステップA254にて始動口入賞演出図柄コマンドが準備されることで、始動記憶に対応した結果関連情報の判定結果(先読み結果)を、対応する始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に演出制御装置300に対して知らせることができ、特に表示装置41に表示される飾り特図始動記憶表示を変化させるなどして、その特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に遊技者に結果関連情報を報知することが可能となる。
【0158】
すなわち、遊技制御装置100が、始動入賞記憶手段(遊技制御装置100)に始動記憶として記憶される乱数を、当該始動記憶に基づく変動表示ゲームの実行前に判定する(例えば特別結果となるか否か等を判定)事前判定手段をなす。なお、始動記憶に対応して記憶された乱数値を事前に判定する時期は、当該始動記憶が発生した始動入賞時だけではなく、当該始動記憶に基づく変動表示ゲームが行われる前であればいつでもよい。
【0159】
〔特図普段処理〕
次に、上述の特図ゲーム処理における特図普段処理(ステップA9)の詳細について説明する。図13に示すように、特図普段処理では、先ず、第2特図保留数(第2始動記憶数)が0であるか否かをチェックする(ステップA301)。そして、第2特図保留数が0である(ステップA302;Yes)と判定すると、第1始動記憶数(第1特図保留数)が0であるか否かをチェックする(ステップA303)。そして、第1特図保留数が0である(ステップA304;Yes)と判定すると、既に客待ちデモが開始されているか否かをチェックして(ステップA305)、客待ちデモを開始していない、即ち、開始済みでない(ステップA306;No)と判定すると、客待ちデモフラグを客待ちデモ中に設定する処理(ステップA307)を行う。
【0160】
続けて、客待ちデモコマンドを準備して(ステップA308)、コマンド設定処理(ステップA309)を行う。一方、ステップA305にて、既に客待ちデモが開始されている(ステップA306;Yes)と判定すると、既に客待ちデモフラグは客待ちデモ中に設定(ステップA307)され、客待ちデモコマンドも準備(ステップA308)され、コマンド設定処理(ステップA309)も実行されているため、これらの処理を行わずに特図普段処理移行設定処理1(ステップA310)を行い、特図普段処理を終了する。特図普段処理移行設定処理1(ステップA310)では、特図普段処理に係る処理番号「0」、大入賞口不正監視期間を規定するフラグ(大入賞口不正監視情報)等を設定する処理を行う。
【0161】
一方、ステップA302にて、第2特図保留数が0でない(ステップA302;No)と判定すると、特図2変動開始処理(ステップA311)を行い、特図変動中処理移行設定処理(特図2)(ステップA312)を行う。特図変動中処理移行設定処理(特図2)(ステップA312)では、特図変動中処理に係る処理番号「1」、客待ちデモの終了に係る情報、第2特図の変動中に係る試験信号、特図2表示器52における第2特図変動表示ゲームの制御用の情報(例えば、特図2表示器52の変動中に係るフラグ、特図2表示器52の点滅の周期のタイマの初期値など)等を設定する処理を行って、特図普段処理を終了する。
【0162】
また、ステップA304にて、第1特図保留数が0でない(ステップA304;No)と判定すると、特図1変動開始処理(ステップA313)を行い、特図変動中処理移行設定処理(特図1)(ステップA314)を行う。特図変動中処理移行設定処理(特図1)(ステップA314)では、特図変動中処理に係る処理番号「1」、客待ちデモの終了に係る情報、第1特図の変動中に係る試験信号、特図1表示器51における第1特図変動表示ゲームの制御用の情報(例えば、特図1表示器51の変動中に係るフラグ、特図1表示器51の点滅の周期のタイマの初期値など)等を設定する処理を行って、特図普段処理を終了する。
【0163】
このように、ステップA301とステップA302における第2特図保留数のチェックを、ステップA303とステップA304における第1特図保留数のチェックよりも先に行うことで、第2特図保留数が0でない場合には、特図2変動開始処理(ステップA311)が実行されることとなる。すなわち、第2特図変動表示ゲームが第1特図変動表示ゲームに優先して実行されることとなる。つまり、遊技制御装置100が、第2始動入賞記憶手段(遊技制御装置100)に第2始動記憶がある場合には、当該第2始動記憶に基づく変動表示ゲームを、第1始動記憶に基づく変動表示ゲームよりも優先的に実行する優先制御手段をなす。
【0164】
〔特図1変動開始処理〕
次に、上述の特図普段処理における特図1変動開始処理(ステップA313)の詳細について説明する。特図1変動開始処理は、第1特図変動表示ゲームの開始時に行う処理であり、具体的には、図14に示すように、まず、第1特図変動表示ゲームが大当りであるか否かを判定するための大当りフラグ1にはずれ情報や大当り情報を設定する大当りフラグ1設定処理(ステップA320)を行う。その後、第1特図変動表示ゲームが小当りであるか否かを判定するための小当りフラグ1にはずれ情報や小当り情報を設定する小当りフラグ1設定処理(ステップA321)を行う。
【0165】
次に、特図1停止図柄(図柄情報)の設定に係る特図1停止図柄設定処理(ステップA322)を行った後、設定された特図1停止図柄の特図1停止図柄番号に対応する試験信号をセーブする(ステップA323)。続けて、特図1停止図柄設定処理にて設定された停止図柄パターン情報(図柄情報)をRWMの作業用の図柄情報領域にセーブする(ステップA324)。
【0166】
次に、特図1変動フラグを設定して準備し(ステップA325)、特図1変動フラグをRWMの変動図柄判別フラグ領域にセーブする(ステップA326)。続けて、変動パターンに関する情報を設定する対象のテーブルを準備して(ステップA327)、特図情報を設定する特図情報設定処理(ステップA328)を行う。続けて、第1特図変動表示ゲームにおける変動態様のうち、後半変動パターンを設定する後半変動パターン設定処理(ステップA329)を行った後、第1特図変動表示ゲームの変動態様を設定する変動パターン設定処理(ステップA330)を行う。
【0167】
その後、第1特図の変動開始の情報を設定する変動開始情報設定処理(ステップA331)を行って、特図1変動開始処理を終了する。変動開始情報設定処理(ステップA331)では、特図変動表示ゲームの変動パターンに関する情報を含む変動パターンコマンド、飾り特図変動表示ゲームに係る停止図柄パターン(停止結果態様)情報に対応する飾り特図コマンド、表示装置41に表示される飾り特図始動記憶表示に係る飾り特図1保留数コマンド(飾り特図保留数コマンド)を準備する。これらのコマンドは後に演出制御装置300に送信される。
【0168】
〔特図2変動開始処理〕
次に、上述の特図普段処理における特図2変動開始処理(ステップA311)の詳細について説明する。特図2変動開始処理は、第2特図変動表示ゲームの開始時に行う処理であり、上述の特図1変動開始処理と同様の処理である。具体的には、図15に示すように、まず、第2特図変動表示ゲームが大当りであるか否かを判定するための大当りフラグ2にはずれ情報や大当り情報を設定する大当りフラグ2設定処理(ステップA370)を行う。その後、第2特図変動表示ゲームが小当りであるか否かを判定するための小当りフラグ2にはずれ情報や小当り情報を設定する小当りフラグ2設定処理(ステップA371)を行う。
【0169】
次に、特図2停止図柄(図柄情報)の設定に係る特図2停止図柄設定処理(ステップA372)を行った後、設定された特図2停止図柄の特図2停止図柄番号に対応する試験信号をセーブする(ステップA373)。続けて、特図2停止図柄設定処理にて設定された停止図柄パターン情報(図柄情報)をRWMの作業用の図柄情報領域にセーブする(ステップA374)。
【0170】
次に、特図2変動フラグを設定して準備し(ステップA375)、特図2変動フラグをRWMの変動図柄判別フラグ領域にセーブする(ステップA376)。続けて、変動パターンに関する情報を設定する対象のテーブルを準備して(ステップA377)、特図情報を設定する特図情報設定処理(ステップA378)を行う。続けて、第2特図変動表示ゲームにおける変動態様のうち、後半変動パターンを設定する後半変動パターン設定処理(ステップA379)を行った後、第2特図変動表示ゲームの変動態様を設定する変動パターン設定処理(ステップA380)を行う。
【0171】
その後、第2特図の変動開始の情報を設定する変動開始情報設定処理(ステップA381)を行って、特図2変動開始処理を終了する。変動開始情報設定処理(ステップA381)では、特図変動表示ゲームの変動パターンに関する情報を含む変動パターンコマンド、飾り特図変動表示ゲームに係る停止図柄パターン(停止結果態様)情報に対応する飾り特図コマンド、表示装置41に表示される飾り特図始動記憶表示に係る飾り特図2保留数コマンド(飾り特図保留数コマンド)を準備する。これらのコマンドは後に演出制御装置300に送信される。
【0172】
すなわち、遊技制御装置100が、始動入賞記憶手段(遊技制御装置100)に記憶された乱数を当該始動記憶に基づく変動表示ゲームの開始時に判定して変動表示ゲームの結果を決定する開始時判定手段をなす。また、遊技制御装置100が、第1始動入賞口(始動入賞口36)での遊技球の検出に基づいて変動表示ゲームとして第1変動表示ゲームを実行し、第2始動入賞口(普通変動入賞装置37)での遊技球の検出に基づいて変動表示ゲームとして第2変動表示ゲームを実行する変動表示ゲーム実行手段をなす。また、遊技制御装置100が、判定手段(遊技制御装置100)による判定結果に基づき変動表示ゲームの実行を制御する変動表示ゲーム実行制御手段をなす。
【0173】
〔特図変動中処理〕
次に、上述の特図ゲーム処理における特図変動中処理(ステップA10)の詳細について説明する。図16に示すように、特図変動中処理では、まず、特図1又は特図2停止図柄設定処理にて設定された図柄情報(停止図柄パターン情報)が、はずれ図柄情報であるかをチェックする(ステップA391)。
【0174】
そして、図柄情報がはずれ図柄である場合(ステップA392;Yes)は、後半変動パターン設定処理にて設定された後半変動番号がリーチなしの番号であるか否かをチェックする(ステップA393)。後半変動番号がリーチなしの番号である場合(ステップA394;Yes)は、はずれ時の特図表示時間ポインタを設定し(ステップA395)、特図表示時間テーブルを設定する処理(ステップA398)を行う。また、後半変動番号がリーチなしの番号でない場合(ステップA394;No)、すなわちリーチありの場合は、特図変動表示ゲームにて特別結果態様が導出されず、はずれとなる場合であってリーチ状態となる場合であるはずれリーチ時の特図表示時間ポインタを設定し(ステップA396)、特図表示時間テーブルを設定する処理(ステップA398)を行う。
【0175】
一方、図柄情報がはずれ図柄でない場合(ステップA392;No)、すなわち大当り又は小当りである場合は、大当り時/小当り時の特図表示時間ポインタを設定し(ステップA397)、特図表示時間テーブルを設定する処理(ステップA398)を行う。
【0176】
特図表示時間テーブルを設定する処理(ステップA398)を行った後、特図表示時間ポインタに対応する特図表示時間を取得する処理(ステップA399)を行う。この処理では、ステップA395にて設定されたはずれ時(リーチ発生無しのはずれ時)の特図表示時間ポインタ、ステップA396にて設定されたリーチはずれ時の特図表示時間ポインタ、ステップA397にて設定された大当り時又は小当り時の特図表示時間ポインタの何れかに対応する特図表示時間を取得する。
【0177】
そして、取得した特図表示時間を特図ゲーム処理タイマ領域にセーブし(ステップA400)、特図表示中処理移行設定処理(ステップA401)を行って、特図変動中処理を終了する。特図表示中処理移行設定処理(ステップA401)では、特図表示中処理に係る処理番号「2」、第1特図や第2特図の変動停止に係る試験信号、外部情報端子に出力用の特図変動表示ゲームの実行回数に係る図柄確定回数信号、特図1表示器51や特図2表示器52における第1特図変動表示ゲームや第2特図変動表示ゲームの制御用の情報(例えば、特図1表示器51や特図2表示器52の変動停止に係るフラグ等)等を設定する処理を行う。すなわち、遊技制御装置100が、変動表示ゲームの停止結果態様を表示する停止時間を設定する停止時間設定手段をなす。
【0178】
〔特図表示中処理〕
次に、上述の特図ゲーム処理における特図表示中処理(ステップA11)の詳細について説明する。図17に示すように、特図表示中処理では、まず、特図2変動開始処理における小当りフラグ2設定処理にて設定された小当りフラグ2をロードして(ステップA541)、RWMの小当りフラグ2領域をクリアする(ステップA542)。次に、特図1変動開始処理における小当りフラグ1設定処理にて設定された小当りフラグ1をロードして(ステップA543)、RWMの小当りフラグ1領域をクリアする(ステップA544)。
【0179】
その後、特図2変動開始処理における大当りフラグ2設定処理にて設定された大当りフラグ2をロードして(ステップA545)、RWMの大当りフラグ2領域をクリアする処理(ステップA546)を行う。そして、ロードされた大当りフラグ2をチェックして(ステップA547)、大当りである(ステップA548;Yes)と判定すると、RWMの大当りフラグ1領域をクリアする処理(ステップA554)を行う。次に、第2特図変動表示ゲームの大当り(特図2大当り)の開始に関する試験信号をRWMの試験信号出力データ領域にセーブし(ステップA555)、ラウンド数上限値テーブルを設定する処理(ステップA556)を行う。
【0180】
一方、ステップA548にて、大当りフラグ2のチェックの結果、大当りでない(ステップA548;No)と判定すると、特図1変動開始処理における大当りフラグ1設定処理にて設定された大当りフラグ1をロードして(ステップA549)、RWMの大当りフラグ1領域をクリアする処理(ステップA550)を行う。続けて、ロードされた大当りフラグ1をチェックして(ステップA551)、大当りである(ステップA552;Yes)と判定すると、第1特図変動表示ゲームの大当り(特図1大当り)の開始に関する試験信号をRWMの試験信号出力データ領域にセーブし(ステップA553)、ラウンド数上限値テーブルを設定する処理(ステップA556)を行う。
【0181】
ラウンド数上限値テーブルを設定する処理(ステップA556)を行った後、ラウンド数上限値情報に対応するラウンド数上限値を取得してRWMのラウンド数上限値領域にセーブする(ステップA557)。続けて、ラウンド数上限値情報対応するラウンドLEDポインタを取得してRWMのラウンドLEDポインタ領域にセーブする(ステップA558)。
【0182】
次に、普図変動表示ゲーム及び特図変動表示ゲームにて当り結果となる確率を通常確率状態(低確率状態)とする情報に係る確率情報コマンドを準備して(ステップA559)、コマンド設定処理(ステップA560)を行う。続けて、停止図柄情報設定処理にて設定された図柄情報(停止図柄パターン番号)に対応するファンファーレコマンドを準備して(ステップA561)、コマンド設定処理(ステップA562)を行う。その後、飾り特図変動表示ゲームに係る図柄情報(停止図柄パターン情報)に対応する飾り特図コマンドをRWMの飾り特図コマンド領域からロードして準備し(ステップA563)、コマンド設定処理(ステップA564)を行う。
【0183】
次に、大入賞口開放情報に対応する信号をRWMの外部情報出力データ領域にセーブし(ステップA565)、普図変動表示ゲーム及び特図変動表示ゲームにて当り結果となる確率の状態に対応する信号をRWMの外部情報出力データ領域にセーブする(ステップA566)。その後、大入賞口開放情報に対応するファンファーレ時間を設定し(ステップA567)、ファンファーレ時間を特図ゲーム処理タイマにセーブする(ステップA568)。そして、大入賞口への不正入賞数をリセットした後(ステップA569)、大入賞口不正監視期間フラグに不正監視期間外フラグをセーブする(ステップA570)。
【0184】
そして、ファンファーレ/インターバル中処理移行設定処理(ステップA571)を行い、特図表示中処理を終了する。図19に示すように、ファンファーレ/インターバル中処理移行設定処理では、まず、ファンファーレ/インターバル中処理に係る処理番号である「3」を設定し(ステップA591)、特図ゲーム処理番号領域に処理番号をセーブする(ステップA592)。そして、大当り(特別遊技状態)の開始に関する信号を外部情報出力データ領域にセーブし(ステップA593)、高確率状態及び時短状態の終了に関する信号を試験信号出力データ領域にセーブする(ステップA594)。
【0185】
次に、特別遊技状態のラウンド数を管理するラウンド数領域をリセットし(ステップA595)、遊技状態表示番号領域に低確率時の番号をセーブして(ステップA596)、普図ゲームモードフラグ領域に普図低確率&普電サポートなしフラグをセーブする(ステップA597)。その後、変動図柄判別フラグ領域をリセットし(ステップA598)、高確率報知フラグ領域をリセットして(ステップA599)、特図ゲームモードフラグ領域に特図低確率フラグをセーブする(ステップA600)。そして、停電復旧時送信コマンド領域に確率情報コマンド(低確率)をセーブし(ステップA601)、時短変動回数領域をリセットして(ステップA602)、ファンファーレ/インターバル中処理移行設定処理を終了する。
【0186】
一方、図17におけるステップA552にて、大当りフラグ1のチェックの結果、大当りでない(ステップA552;No)と判定すると、図18に示すように、小当りフラグ1が小当りかをチェックし(ステップA572)、小当りでない場合(ステップS573;No)は、小当りフラグ2が小当りかをチェックする(ステップA574)。そして、小当りでない場合(ステップS575;No)、すなわち、はずれである場合は、時短状態でのゲーム数を管理する時短変動回数更新処理(ステップA584)を行い、特図普段処理移行設定処理1(ステップA585)を行って、特図表示中処理を終了する。特図普段処理移行設定処理1(ステップA585)では、特図普段処理に係る処理番号「0」、大入賞口不正監視期間を規定するフラグ(大入賞口不正監視情報)等を設定する処理を行う。
【0187】
また、小当りフラグ1をチェックした結果、小当りである場合(ステップS573;Yes)又は小当りフラグ2をチェックした結果、小当りである場合(ステップS575;Yes)は、時短変動回数更新処理(ステップA576)を行う。そして、飾り特図変動表示ゲームに係る図柄情報(停止図柄パターン情報)に対応する飾り特図コマンドをRWMの飾り特図コマンド領域からロードして準備し(ステップA577)、コマンド設定処理(ステップA578)を行い、小当りストックフラグがオンであるかを判定する(ステップA579)。
【0188】
小当りストックフラグがオンでない場合(ステップA579;No)、すなわち今回当選した小当りをストックしない場合は、ファンファーレコマンドを準備し(ステップA580)、コマンド設定処理を行う(ステップA581)。その後、小当りファンファーレ中処理移行設定処理(ステップA582)を行い、特図表示中処理を終了する。また、小当りストックフラグがオンである場合(ステップA579;Yes)、すなわち今回当選した小当りがストックされる場合は、小当りストック処理(ステップA583)を行い、特図表示中処理を終了する。
【0189】
〔小当りストック処理〕
図20には、上述の特図表示中処理における小当りストック処理(ステップA583)を示した。この小当りストック処理では、まず、小当りストック数を+1し(ステップA611)、小当りストック表示更新コマンドを送信する(ステップA612)。そして、ストックの対象となる始動記憶に対応する小当りストックフラグをオフにし(ステップA613)、変動図柄判別フラグ領域をリセットして(ステップA614)、小当りストック処理を終了する。この処理により、小当りがストックされるとともに、表示装置41においてストックされた小当りの数を示す小当りストック表示41aが更新される。
【0190】
すなわち、遊技制御装置100が、停止結果態様が第2特別結果態様となった場合に所定確率で大入賞口開閉制御手段(遊技制御装置100)による大入賞口の開閉制御を禁止し、大入賞口の開放権として所定数を上限にストックする大入賞口開閉ストック手段をなす。
【0191】
〔小当りファンファーレ中処理移行設定処理〕
図21には、上述の特図表示中処理における小当りファンファーレ中処理移行設定処理(ステップA582)を示した。この小当りファンファーレ中処理移行設定処理では、まず、小当りファンファーレ中処理に係る処理番号である「7」を設定し(ステップA621)、特図ゲーム処理番号領域に処理番号をセーブする(ステップA622)。そして、小当りファンファーレ時間を設定して(ステップA623)、特図ゲーム処理タイマ領域に小当りファンファーレ時間をセーブする(ステップA623)、
【0192】
次に、小当りの開始に関する信号を外部情報出力データ領域にセーブし(ステップA624)、小当りの開始に関する信号を試験信号出力データ領域にセーブして(ステップA625)、小当りラウンドLEDポインタをラウンドLEDポインタ領域にセーブする(ステップA627)。その後、変動図柄判別フラグ領域をリセットし(ステップA628)、大入賞口不正入賞数領域をリセットして(ステップA629)、大入賞口不正監視期間フラグ領域に不正監視期間外フラグをセーブし(ステップA630)、小当りファンファーレ中処理移行設定処理を終了する。
【0193】
〔小当りファンファーレ中処理〕
次に、上述の特図ゲーム処理における小当りファンファーレ中処理(ステップA16)の詳細について説明する。図22に示すように、小当りファンファーレ中処理では小当り中処理移行設定処理(ステップA641)を行う。図23に示すように、小当り中処理移行設定処理では、まず、小当り中処理に係る処理番号である「8」を設定し(ステップA642)、特図ゲーム処理番号領域に処理番号をセーブする(ステップA643)。そして、大入賞口の開放時間(小当り開放)設定処理(ステップA644)を行い、特図ゲーム処理タイマ領域に開放時間をセーブする(ステップA645)。なお、特図ゲーム処理タイマ領域にセーブされる開放時間は、小当り1回分の開放時間が設定される。この場合、当選した小当りのみが実行される場合に設定されるアタッカー開放態様Aである場合は1秒×2+インターバルの閉鎖時間が設定され、それ以外の開放態様である場合は2秒が設定される。
【0194】
次に、大入賞口開放に関する信号を試験信号出力データ領域にセーブし(ステップA646)、大入賞口ソレノイド出力データ領域にONデータをセーブして(ステップA647)、大入賞口カウント数をリセットし(ステップA648)、小当り中処理移行設定処理を終了する。
【0195】
〔開放時間(小当り開放)設定処理〕
図24には、上述の小当り中処理移行設定処理における開放時間(小当り開放)設定処理(ステップA644)を示した。この開放時間(小当り開放)設定処理では、まず、小当りの実行抽選の結果が小当りストックでない場合にオンとされる小当り放出フラグがオンであるかを判定する(ステップA651)。そして、小当り放出フラグがオンでない場合(ステップA651;No)は、アタッカー開放態様Aを設定する(ステップA654)。この場合は、実行抽選の結果は小当りストックであるが、ストック数が上限数であったため当選した小当りのみが実行される場合である。
【0196】
一方、小当り放出フラグがオンである場合(ステップA651;Yes)は、小当りがストックされているかをチェックし(ステップA652)、ストックがない場合(ステップA653;No)は、アタッカー開放態様Aを設定する(ステップA654)。また、ストックがある場合(ステップA653;Yes)は、ストック数に対応するアタッカー開放態様を設定する(ステップA655からA662)。アタッカー開放態様を設定した後、小当り放出フラグをオフにし(ステップA663)、開放時間(小当り開放)設定処理を終了する。これにより、ストック数に応じた大入賞口の開放時間及び特別遊技状態の実行時間が設定されるようになる。
【0197】
図25には上述の開放時間(小当り開放)設定処理で設定されるアタッカー開放態様の内容を示した。ストックが放出されない又は放出されるストック数が0であって当選した小当りのみ(小当り1回分)が実行される場合に設定されるアタッカー開放態様Aでは、1秒の開放を所定の閉鎖時間を挟んで2回行う開放態様となっている。なお、アタッカー開放態様A´は、後述するようにストック数が1である場合に大当りの発生に伴いストックが放出される際に設定される開放態様である。
【0198】
また、放出されるストック数が1である場合に設定されるアタッカー開放態様Bでは、小当り2回分として4秒の開放を1回行う開放態様となっている。すなわち、今回当選した小当りでの開放時間である2秒と、ストックされていた小当りでの開放時間である2秒を合わせた4秒の開放時間に亘り大入賞口を開放し続ける開放態様となっている。同様に、放出されるストック数が2であり小当り3回分が実行される場合に設定されるアタッカー開放態様C、放出されるストック数が3であり小当り4回分が実行される場合に設定されるアタッカー開放態様D、放出されるストック数が4であり小当り5回分が実行される場合に設定されるアタッカー開放態様Eでも、それぞれ今回当選した小当りでの開放時間である2秒と、ストックされていた小当りでの開放時間を合わせた開放時間に亘り大入賞口を開放し続ける開放態様となっている。
【0199】
このように、ストックが放出される場合には、大入賞口を閉鎖するインターバルを挟まずに大入賞口が開放されるので、ストックの放出を伴わない通常の小当り時よりも大入賞口に入賞させやすくなる。また、大当りのラウンド遊技時における大入賞口の開放態様に近づくので、小当りが多くストックされると大当りに変化するような印象を遊技者に与え、小当りに対する興趣が高まる。
【0200】
〔小当り中処理〕
次に、上述の特図ゲーム処理における小当り中処理(ステップA17)の詳細について説明する。なお、この小当り中処理は、小当り1回分の大入賞口の開放が終了する毎に行われるようになっている。図26に示すように、小当り中処理では、まず、アタッカー開放態様Aであったかを判定し(ステップA671)、アタッカー開放態様Aであった場合は(ステップA671;Yes)、小当り残存球処理移行設定処理(ステップA673)を行い、小当り中処理を終了する。これにより小当りに基づく特別遊技状態が終了することとなる。また、アタッカー開放態様Aでない場合は(ステップA671;No)、小当りストック放出処理(ステップA672)を行い、小当り中処理を終了する。
【0201】
〔小当り残存球処理移行設定処理〕
図27には、上述の小当り中処理における小当り残存球処理移行設定処理(ステップA673)を示した。この小当り残存球処理移行設定処理では、まず、小当り残存球処理に係る処理番号である「9」を設定し(ステップA681)、特図ゲーム処理番号領域に処理番号をセーブする(ステップA682)。そして、小当り残存球処理時間を設定し(ステップA683)、特図ゲーム処理タイマ領域に小当り残存球処理時間をセーブする(ステップA684)。その後、大入賞口ソレノイド出力データ領域にOFFデータをセーブして(ステップA685)、小当り残存球処理移行設定処理を終了する。
【0202】
〔小当りストック放出処理〕
図28には、上述の小当り中処理における小当りストック放出処理(ステップA672)を示した。この小当りストック放出処理では、まず、アタッカー所定開放時間が経過したかを判定する(ステップA691)。アタッカー所定開放時間とは小当り1回分の大入賞口の開放時間である2秒であり、小当りにおける最初の大入賞口の開放と前回のアタッカー所定開放時間の経過とのうち近い方から2秒が経過した場合にアタッカー所定開放時間が経過したと判定される。
【0203】
アタッカー所定開放時間が経過していない場合(ステップA691;No)は、小当りストック放出処理を終了する。また、アタッカー所定開放時間が経過した場合(ステップA691;Yes)は、小当り終了に関する信号を外部出力データ領域にセーブし(ステップA692)、小当り終了に関する信号を試験信号出力データ領域にセーブする(ステップA693)。
【0204】
そして、ラウンドLEDポインタ領域をリセットし(ステップA694)、普図高確率抽選処理を行う(ステップA695)。普図高確率抽選処理では、普図変動表示ゲームでの当選確率(変換確率)を低確率(第1変換確率状態)から高確率(第2変換確率状態)に変更するかの抽選を行う。すなわち、時短状態を開始するかの抽選を行う。なお、すでに高確率である場合は抽選を行わず高確率のまま維持するようになっている。
【0205】
この普図高確率抽選処理で当選した場合は、小当りに基づく特別遊技状態の終了後に時短状態が開始される。これにより、小当りと2R大当りとの判別がより困難となり、遊技の興趣を向上することができる。また、小当りに当選した場合でも時短状態が発生する可能性があるので、小当りの遊技性が2R大当りに近いものとなり、小当りに対する遊技者の関心を高め期待感を高めることができる。また、ストックされた開放権1つにつき1度の変換確率の選択が行われるので、複数の開放権が放出されるほど、第2変換確率状態が選択される確率(時短状態の発生確率)が高まり、興趣を高めることができる。
【0206】
その後、小当りストックがあるかを判定し(ステップA696)、小当りストックがない場合(ステップA696;No)は、小当り残存球処理移行設定処理(ステップA702)を行い、小当りストック放出処理を終了する。小当り残存球処理移行設定処理は図27に示した処理であって、これにより小当りに基づく特別遊技状態が終了することとなる。また、小当りストックがある場合(ステップA696;Yes)は、小当りの開始に関する信号を外部出力データ領域にセーブし(ステップA697)、小当りの開始に関する信号を試験信号出力データ領域にセーブする(ステップA698)。
【0207】
次に、小当り用ラウンドLEDポインタをラウンドLEDポインタ領域にセーブし(ステップA699)、小当りストック数を−1更新する(ステップA700)。そして、表示装置41でストック数を報知するために表示される小当りストック表示41aを更新する小当りストック表示更新コマンドを送信し(ステップA701)、小当りストック放出処理を終了する。
【0208】
すなわち、遊技制御装置100が、所定条件の成立に基づきストックしている開放権を実行するストック放出手段をなす。なお、この小当りストック放出処理では、ストックが放出されて複数回の小当りが実行される場合でも、実行された小当りの回数に応じて外部に情報が出力される。小当りのストック時には外部に情報は送信せず、ストックが放出される際に外部に情報を送信するようにしたことで、小当りが実行された際に実行された小当りの回数を外部の装置において把握でき、ベースへの不具合が生じないようにすることができる。
【0209】
〔小当り終了処理〕
次に、上述の特図ゲーム処理における小当り終了処理(ステップA19)の詳細について説明する。図29に示すように、この小当り終了処理では、まず、特図普段処理に係る処理番号である「0」を設定し(ステップA711)、特図ゲーム処理番号領域に処理番号をセーブする(ステップA712)。そして、小当り終了に関する信号を外部情報出力データ領域にセーブし(ステップA713)、小当り終了に関する信号を試験信号出力データ領域にセーブする(ステップA714)。その後、大入賞口不正監視期間フラグ領域に不正監視期間中フラグをセーブし(ステップA715)、ラウンドLEDポインタ領域をリセットして(ステップA716)、小当り終了処理を終了する。これにより小当りに基づく特別遊技状態が終了する。
【0210】
このように、第2特別結果態様の導出に基づく大入賞口の開放を複数回まとめて実行することができるので、第2特別結果態様の発生の都度大入賞口を開閉させるよりも一度に多くの利益を得られるようになり、大入賞口を短時間開放する当りに新しい遊技性を付加し、遊技者の興趣を高めることができる。また、開放権がストックされている場合には遊技者は遊技台を離れにくくなるので客離れを防止でき、遊技機の稼働が上がる。また、開放権複数回分の大入賞口開閉を単純に繰り返すのではなく、開放権複数回分の開放時間を合計した時間に亘り連続して大入賞口を開放するので、一度により多くの遊技球を大入賞口へ入賞させやすくなり、遊技者の興趣が高まる。
【0211】
以上のことから、複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを表示可能な装飾表示装置(表示装置41)と、遊技領域32を流下する遊技球の始動入賞領域(始動入賞口36、普通変動入賞装置37)への入賞に基づき変動表示ゲームの進行制御を行う遊技制御手段(遊技制御装置100)と、を備え、変動表示ゲームの停止結果態様が予め定めた特別結果態様となった場合に、遊技領域32を流下する遊技球を受け入れ可能な状態に大入賞口を開閉させることにより遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生する遊技機において、特別結果態様は、第1特別結果態様と第2特別結果態様を含み、特別遊技状態は、第1特別結果態様の導出に基づき実行される第1特別遊技状態と、第2特別結果態様の導出に基づき実行され、第1特別遊技状態よりも遊技者の得られる遊技価値の小さな第2特別遊技状態と、を含み、停止結果態様が特別結果態様となった場合に、大入賞口を開閉する制御を行う大入賞口開閉制御手段(遊技制御装置100)と、停止結果態様が第2特別結果態様となった場合に所定確率で大入賞口開閉制御手段による大入賞口の開閉制御を禁止し、大入賞口の開放権として所定数を上限にストックする大入賞口開閉ストック手段(遊技制御装置100)と、所定条件の成立に基づきストックしている開放権を実行するストック放出手段(遊技制御装置100)と、を備え、大入賞口開閉制御手段は、ストックされていた開放権がストック放出手段により実行されることに基づき、当該実行される開放権の数に応じた大入賞口の開閉制御を行うようにしていることとなる。
【0212】
ここで、第2特別遊技状態には、条件装置の作動を伴うが大入賞口の開放時間が第1特別遊技状態よりも短い短時間開放大当り(いわゆる突確、突通)や条件装置の作動を伴わず大入賞口を開放する小当りを含むようにしても良いし、短時間開放大当りのみ又は小当りのみとしても良い。
【0213】
また、大入賞口開閉制御手段(遊技制御装置100)は、ストック放出手段(遊技制御装置100)により実行される開放権の数に応じた大入賞口の開閉制御として、少なくとも各開放権がストックされなかった場合の大入賞口の開放時間を合計した時間に亘り大入賞口を開放し続ける特別開放態様にて大入賞口を作動させるようにしていることとなる。
【0214】
また、始動入賞領域は、遊技球を受け入れ難い第1状態と遊技球を受け入れ易い第2状態とに変換可能な変換部材(可動部材37b)を備え、遊技制御手段(遊技制御装置100)は、変換部材の変換制御を行う変換制御実行手段(遊技制御装置100)と、変換制御実行手段が変換部材の制御を行う変換確率状態として、第1変換確率状態と、第1変換確率状態よりも第2状態に変換し易い第2変換確率状態と、のいずれかを所定条件に基づいて設定する変換確率設定手段(遊技制御装置100)と、を備え、変換確率設定手段は、ストック放出手段(遊技制御装置100)による開放権の実行を契機に、変換確率状態を変更するか否かを選択するようにしていることとなる。
【0215】
また、変換確率設定手段(遊技制御装置100)は、ストック放出手段(遊技制御装置100)による開放権の実行を契機に変換確率状態を変更するか否かの選択をする際に、当該選択を放出される大入賞口の開放権の数に対応した回数繰り返すようにしていることとなる。
【0216】
〔大当り終了処理〕
次に、上述の特図ゲーム処理における大当り終了処理(ステップA15)の詳細について説明する。図30に示すように、この大当り終了処理では、まず、小当りストックがあるかをチェックし(ステップA721)、小当りストックがあるかを判定する(ステップA722)。小当りストックがない場合(ステップA722;No)は、今回の特別遊技状態を実行する契機となった特別結果態様の種類に基づき設定される確率変動判定フラグをロードし(ステップA723)、判定フラグによる分岐処理を行う(ステップA724)。
【0217】
確率変動判定フラグが0である場合は大当り終了設定処理1(ステップA725)を行う。この場合は特別結果態様が15R通常又は2R通常であった場合で、特別遊技状態の終了後に通常確率状態となるとともに、特別遊技状態の終了後100回の特図変動表示ゲームを実行するまで時短状態となる場合である。確率変動判定フラグが1である場合は大当り終了設定処理2(ステップA726)を行う。この場合は特別結果態様が15R確変又は2R確変であった場合で、特別遊技状態の終了後に高確率状態となるとともに、次回の特別結果態様の導出まで時短状態となる場合である。
【0218】
確率変動判定フラグが2である場合は大当り終了設定処理3(ステップA727)を行う。この場合は特別結果態様が2R潜伏確変であった場合で、特別遊技状態の終了後に高確率状態となるが時短状態とならない場合である。確率変動判定フラグが3である場合は大当り終了設定処理4(ステップA728)を行う。この場合は特別結果態様が2R低確であった場合で、特別遊技状態の終了後に通常確率状態となり時短状態とならない場合である。
【0219】
大当り終了設定処理1から4の何れかを行った後、確率変動判定フラグに対応する確率情報コマンドを準備し(ステップA729)、コマンド設定処理(ステップA730)を行う。そして、特図普段処理移行設定処理2を行い(ステップA731)、大当り終了処理を終了する。特図普段処理移行設定処理2(ステップA731)では、特図普段処理に係る処理番号「0」、大入賞口不正監視期間を規定するフラグ(大入賞口不正監視情報)等を設定する処理を行う。
【0220】
一方、小当りストックがある場合(ステップA722;Yes)は、大入賞口の開放時間(小当り開放)設定処理2(ステップA732)を行い、大当り後大当りストック放出処理(ステップA733)を行って、大当り終了処理を終了する。これにより、大当りの発生に伴いストックされていた小当りが放出される。
【0221】
〔大当り終了設定処理1〕
図31には、上述の大当り終了処理における大当り終了設定処理1(ステップA725)を示した。この大当り終了設定処理1では、まず、時短の開始に関する信号を外部情報出力データ領域にセーブし(ステップA741)、時短の開始に関する信号を試験信号出力データ領域にセーブする(ステップA742)。
【0222】
次に、遊技状態表示番号領域に時短時の番号をセーブし(ステップA743)、普図ゲームモードフラグ領域に普図高確率&普電サポートフラグをセーブする(ステップA744)。そして、特図ゲームモードフラグ領域に低確率&時短フラグをセーブし(ステップA745)、停電復旧時送信コマンド領域に確率情報コマンド(時短)をセーブする(ステップA746)。その後、時短変動回数領域に時短変動回数初期値(ここでは100)をセーブし(ステップA747)、大当り終了設定処理1を終了する。
【0223】
以上の処理により、特別遊技状態の終了後、特図変動表示ゲームの確率状態が通常確率状態となるとともに時短状態となる。また、時短変動回数領域に時短変動回数初期値(100)をセットすることで、所定回数(100回)の特図変動表示ゲームの実行により時短状態が終了するようになる。
【0224】
〔大当り終了設定処理2〕
図32には、上述の大当り終了処理における大当り終了設定処理2(ステップA726)を示した。この大当り終了設定処理2では、まず、高確率の開始に関する信号を外部情報出力データ領域にセーブし(ステップA751)、高確率の開始に関する信号を試験信号出力データ領域にセーブする(ステップA752)。
【0225】
次に、遊技状態表示番号領域に高確率時の番号をセーブし(ステップA753)、普図ゲームモードフラグ領域に普図高確率&普電サポートフラグをセーブする(ステップA754)。そして、特図ゲームモードフラグ領域に高確率&時短フラグをセーブし(ステップA755)、停電復旧時送信コマンド領域に確率情報コマンド(高確率)をセーブする(ステップA756)。その後、時短変動回数領域をリセットし(ステップA757)、大当り終了設定処理2を終了する。以上の処理により、特別遊技状態の終了後、特図変動表示ゲームの確率状態が高確率状態となるとともに次回の特別結果態様の導出まで時短状態となる。
【0226】
〔大当り終了設定処理3〕
図33には、上述の大当り終了処理における大当り終了設定処理3(ステップA727)を示した。この大当り終了設定処理3では、まず、潜伏確変の開始に関する信号を外部情報出力データ領域にセーブし(ステップA761)、潜伏確変の開始に関する信号を試験信号出力データ領域にセーブする(ステップA762)。
【0227】
次に、遊技状態表示番号領域に潜伏確変時の番号をセーブし(ステップA763)、普図ゲームモードフラグ領域に普図低確率&普電サポートなしフラグをセーブする(ステップA764)。そして、特図ゲームモードフラグ領域に高確率&時短なしフラグをセーブし(ステップA765)、停電復旧時送信コマンド領域に確率情報コマンド(潜伏確変)をセーブする(ステップA766)。その後、時短変動回数領域をリセットし(ステップA767)、大当り終了設定処理3を終了する。以上の処理により、特別遊技状態の終了後、特図変動表示ゲームの確率状態が高確率状態となるが時短状態にはならないようになる。
【0228】
〔大当り終了設定処理4〕
図34には、上述の大当り終了処理における大当り終了設定処理4(ステップA728)を示した。この大当り終了設定処理4では、まず、低確率の開始に関する信号を外部情報出力データ領域にセーブし(ステップA771)、低確率の開始に関する信号を試験信号出力データ領域にセーブする(ステップA772)。
【0229】
次に、遊技状態表示番号領域に低確率時の番号をセーブし(ステップA773)、普図ゲームモードフラグ領域に普図低確率&普電サポートなしフラグをセーブする(ステップA774)。そして、特図ゲームモードフラグ領域に低確率&時短なしフラグをセーブし(ステップA775)、停電復旧時送信コマンド領域に確率情報コマンド(低確率)をセーブする(ステップA776)。その後、時短変動回数領域をリセットし(ステップA777)、大当り終了設定処理4を終了する。以上の処理により、特別遊技状態の終了後、特図変動表示ゲームの確率状態が通常確率状態となり時短状態にならないようになる。
【0230】
すなわち、遊技制御装置100が、特別結果の種類に基づき、特別遊技状態の終了後に変動表示ゲームの実行結果が特別結果となる確率の状態である確率状態として通常確率状態よりも高めた高確率状態を発生可能な確率設定手段をなす。また、遊技制御装置100が、変換制御実行手段(遊技制御装置100)が変換部材(可動部材37b)の制御を行う変換確率状態として、第1変換確率状態(通常動作状態)と、第1変換確率状態よりも第2状態に変換し易い第2変換確率状態(時短動作状態)と、のいずれかを所定条件に基づいて設定する変換確率設定手段をなす。
【0231】
〔開放時間(小当り開放)設定処理2〕
図35には、上述の大当り終了処理における開放時間(小当り開放)設定処理2(ステップA732)を示した。この開放時間(小当り開放)設定処理2では、まず、小当り放出中であるかを判定する(ステップA781)。小当り放出中とは、ストックされていた小当りに基づく特別遊技状態の実行中である状態である。この小当り放出中である場合(ステップA781;Yes)は、開放時間(小当り開放)設定処理2を終了する。また、小当り放出中でない場合(ステップA781;No)は、ストック数に対応するアタッカー開放態様を設定する(ステップA782からA789)。
【0232】
アタッカー開放態様を設定した後、特図ゲーム処理タイマ領域に開放時間をセーブし(ステップA790)、大入賞口開放に関する信号を試験信号出力データ領域にセーブして(ステップA791)、大入賞口ソレノイド出力データ領域にONデータをセーブする(ステップA792)。そして、大入賞口カウント数をリセットして(ステップA793)、開放時間(小当り開放)設定処理2を終了する。
【0233】
上述の開放時間(小当り開放)設定処理2で設定されるアタッカー開放態様は、図25に示した通りである。この場合はストックされている小当りのみが実行されるので、ストックされていた小当りでの開放時間を合計した開放時間に対応する開放態様が設定される。なお、ストック数が1である場合は、2秒の開放を1回行うアタッカー開放態様A´が設定される。
【0234】
〔大当り後小当りストック放出処理〕
図36には、上述の大当り終了処理における大当り後小当りストック放出処理(ステップA733)を示した。この大当り後小当りストック放出処理では、まず、ストックされていた小当りに基づくアタッカーの開放開始タイミングであるかを判定する(ステップA791)。アタッカーの開放開始タイミングでない場合(ステップA791;No)は、アタッカー所定開放時間が経過したかを判定する(ステップA798)。また、アタッカーの開放開始タイミングである場合(ステップA791;Yes)は、小当りの開始に関する信号を外部情報出力データ領域にセーブし(ステップA792)、小当りの開始に関する信号を試験信号出力データ領域にセーブする(ステップA793)。
【0235】
そして、小当り用ラウンドLEDポインタをラウンドLEDポインタ領域にセーブし(ステップA794)、大入賞口不正入賞数領域をリセットする(ステップA795)。次に、大入賞口不正監視期間フラグ領域に不正監視期間外フラグをセーブし(ステップA796)、小当りストック数を−1更新して(ステップA797)、アタッカー所定開放時間が経過したかを判定する(ステップA798)。アタッカー所定開放時間とは小当り1回分の大入賞口の開放時間である2秒であり、ストックされていた小当りに基づく最初の大入賞口の開放と前回のアタッカー所定開放時間の経過とのうち近い方から2秒が経過した場合にアタッカー所定開放時間が経過したと判定される。
【0236】
アタッカー所定開放時間が経過していない場合(ステップA798;No)は、大当り後小当りストック放出処理を終了する。また、アタッカー所定開放時間が経過した場合(ステップA798;Yes)は、小当り終了に関する信号を外部情報出力データ領域にセーブし(ステップA799)、小当り終了に関する信号を試験信号出力データ領域にセーブする(ステップA800)。そして、ラウンドLEDポインタ領域をリセットし(ステップA801)、小当りストックがあるかを判定する(ステップA802)。
【0237】
小当りストックがない場合(ステップA802;No)、すなわちストックされた小当りを全て放出した場合は、大入賞口不正監視期間フラグ領域に不正監視期間中フラグをセーブし(ステップA808)、小当り残存球処理移行設定処理を行い(ステップA809)、大当り後小当りストック放出処理を終了する。小当り残存球処理移行設定処理は図27に示した処理であって、これにより小当りに基づく特別遊技状態が終了することとなる。なお、大当りの発生に伴いストックされていた小当りが全て放出された場合は、小当り残存球処理、小当り終了処理を経た後に再度大当り終了処理にてステップA721からステップA731の処理を行い、特図普段処理に移行するようになっている。
【0238】
また、小当りストックがある場合(ステップA802;Yes)は、小当りの開始に関する信号を外部情報出力データ領域にセーブし(ステップA803)小当りの開始に関する信号を試験信号出力データ領域にセーブする(ステップA804)。そして、小当り用ラウンドLEDポインタをラウンドLEDポインタ領域にセーブし(ステップA805)、小当りストック数を−1更新して(ステップA806)、小当りストック表示更新コマンドを送信し(ステップA807)、大当り後小当りストック放出処理を終了する。
【0239】
この大当り後小当りストック放出処理でも、ストックが放出されて複数回の小当りが実行される場合に、実行された小当りの回数に応じて外部に情報が出力されるので、小当りが実行された際に実行された小当りの回数を外部の装置において把握でき、ベースへの不具合が生じないようにすることができる。なお、大当りを契機にストックが放出される場合は、ストックの放出に伴う時短状態とするか否かの抽選は行わず、大当りの特別結果態様に基づき時短状態とするかが選択される。
【0240】
次に、演出制御装置300での制御について説明する。上述したように演出制御装置300は、主制御用マイコン(1stCPU)311と、該主制御用マイコン311の制御下で映像制御を行う映像制御用マイコン(2ndCPU)312とを備えている。
【0241】
〔1stメイン処理〕
主制御用マイコン(1stCPU)311では、図37に示す1stメイン処理を行う。この1stメイン処理においては、はじめにプログラム開始時の処理を行う。このプログラム開始時の処理として、まず、割込みを禁止し(ステップB11)、RAMを0クリアして(ステップB12)、CPUを初期化するCPU初期化処理(ステップB13)を行う。次に、RAMの初期値を設定し(ステップB14)、乱数を初期化する乱数初期化処理(ステップB15)を行い、各種割込みのタイマを起動して(ステップB16)、割込みを許可する(ステップB17)。
【0242】
次に、メインループ処理としてループの処理を行う。このループの処理では、まず、WDT(watchdog timer)をクリアし(ステップB18)、演出ボタン25の操作に基づく入力信号(立ち上がりエッジ)から入力情報を作成する演出ボタン入力処理(ステップB19)を行う。その後、遊技制御コマンド解析処理(ステップB20)を行う。この遊技制御コマンド解析処理(ステップB20)では、遊技制御装置100から送信される遊技に関するコマンドを正しく受信したかを判定し、正しく受信していた場合にはコマンドを確定して、後のシーン制御処理のためのコマンドの区分けをする処理を行う。
【0243】
次に、表示装置41や装飾装置、演出装置等のテストを行うためのテストモードに関する処理であるテストモード処理(ステップB21)を行う。このテストモード処理(ステップB21)によりテストモードとなった場合は、以降の遊技に関する処理は行わない。ただし、テストモードにおいて表示装置41での表示やスピーカからの音声の出力、装飾装置のLEDの発光、演出装置の動作等を行う場合は、これらを制御するための処理において制御を行う。なお、テストモードは遊技機の電源を遮断することで終了するようになっている。
【0244】
そして、遊技の演出の制御に関するシーン制御処理(ステップB22)を行い、遊技機でエラーが発生した場合に遊技制御装置100から送信されるエラー報知コマンドに基づき、対応する報知を行う遊技機エラー監視処理(ステップB23)を行う。なお、対応する報知を行うための表示装置41での表示やスピーカからの音声の出力、装飾装置のLEDの発光、演出装置の動作等は、これらを制御するための処理において制御を行う。
【0245】
その後、映像制御用マイコン(2ndCPU)312に出力するコマンドを編集する演出コマンド編集処理(ステップB24)を行い、スピーカ(上スピーカ19a、下スピーカ19b)からの音声の出力に関する制御を行うサウンド制御処理(ステップB25)を行う。次に、盤装飾装置42、枠装飾装置18のLEDの制御を行う装飾制御処理(ステップB26)、盤演出装置44、枠演出装置45のモータやソレノイドの制御を行うモータ/SOL制御処理(ステップB27)を行う。そして、飾り特図変動表示ゲームの変動態様の詳細を決定する乱数を更新する乱数更新処理(ステップB28)を行って、WDTをクリアする処理(ステップB18)に戻る。
【0246】
〔2ndメイン処理〕
映像制御用マイコン(2ndCPU)312では、図38に示す2ndメイン処理を行う。この2ndメイン処理においては、はじめにプログラム開始時の処理を行う。このプログラム開始時の処理として、まず、CPUを初期化するCPU初期化処理(ステップB31)を行い、RAMを0クリアして(ステップB32)、RAMの初期値を設定する(ステップB33)。次に、VDPを初期化するVDP初期化処理(ステップB34)を行い、各種割込みを許可する(ステップB35)。さらに、各種制御装置の初期化処理(ステップB36)を行い、画面描画を許可する(ステップB37)。
【0247】
次に、メインループ処理としてループの処理を行う。このループの処理では、まず、システム周期待ちフラグをクリアし(ステップB38)、システム周期待ちフラグが1であるか否かの判定を行う(ステップB39)。システム周期とは、画像データを一時的に格納する二つのバッファを切り替える周期であって、切り替えが可能な状態となるとシステム周期フラグが「1」となる。このシステム周期待ちフラグが1となるまでは、システム周期待ちフラグが1であるか否かの判定(ステップB39)を繰り返し、システム周期待ちフラグが1となると(ステップB39;Yes)、WDT(watchdog timer)をクリアし(ステップB40)、通常ゲーム処理(ステップB41)を行って、システム周期待ちフラグをクリアする処理(ステップB38)に戻る。
【0248】
〔通常ゲーム処理〕
図39には、図38に示した2ndメイン処理における通常ゲーム処理(ステップB41)を示した。この通常ゲーム処理では、まず、受信コマンドチェック処理(ステップB51)を行う。この受信コマンドチェック処理(ステップB51)では、1stCPUから送信されるコマンドを正しく受信したかを判定し、正しく受信していた場合にはコマンドを確定して、後の処理のためのコマンドの区分けをする処理を行う。
【0249】
次に、背景の設定を行う背景処理(ステップB52)を行い、飾り特図変動表示ゲームにおける識別情報の変動に関する表示制御処理であるリール制御/表示処理(ステップB53)を行う。さらに、特図1保留表示器及び特図2保留表示器の表示に連動して表示装置41に表示される飾り特図始動記憶表示の設定を行う保留表示処理(ステップB54)を行い、小当りのストック数を報知する小当りストック表示41aを更新する小当りストック表示処理(ステップB55)を行う。
【0250】
そして、客待ちデモの表示に関する客待ちデモ処理(ステップB56)を行い、受信したコマンドに基づき、表示内容を決定するシーン制御/表示処理(ステップB57)を行う。このシーン制御/表示処理では、予告キャラクタ等の設定や表示優先順位の設定を行う。その後、ROMのデータをRAMに設定されたバッファに転送し、実際に表示をさせる処理を行う表示システム処理(ステップB58)を行って、通常ゲーム処理を終了する。すなわち、表示装置41が始動入賞記憶手段(遊技制御装置100)に記憶された始動記憶を表示する始動記憶表示手段をなし、演出制御装置300が、始動記憶表示手段の表示態様を制御する始動記憶表示制御手段をなす。
【0251】
〔小当りストック表示処理〕
図40には、図39に示した通常ゲーム処理における小当りストック表示処理(ステップB55)を示した。この小当りストック表示処理では、まず、小当りストック表示更新コマンドを受信したかをチェックし(ステップB61)、小当りストック表示更新コマンドを受信していない場合(ステップB62;No)は、小当りストック表示処理を終了する。また、小当りストック表示更新コマンドを受信した場合(ステップB62;Yes)は、小当りストック数をチェックし(ステップB63)、小当りストック数に応じた小当りストック保留アイコン(小当りストック表示41a)を表示して(ステップB64)、小当りストック表示処理を終了する。
【0252】
図41から図47には、小当りの実行、ストック、放出の一例を示した。図41には、小当りのストックがない状態で小当りに当選した場合の例を示した。図41(a)に示すように、小当りに当選した特図変動表示ゲームの実行に伴い、表示装置41で飾り特図変動表示ゲームの変動表示が行われ、図41(b)に示すように結果態様が表示される。この特図変動表示ゲームは小当りに当選しているので、飾り特図変動表示ゲームの結果態様として小当り図柄(ここでは、「1,3,5」)が表示される。なお、小当りである場合の飾り特図変動表示ゲームでの結果態様は、2R大当りである場合の結果態様と同じ図柄とされており、飾り特図変動表示ゲームの結果態様から小当りと2R大当りを判別することは困難である。
【0253】
この小当り当選についての実行抽選の結果が小当りストックでなく、放出が選択された場合は、図41(c)に示すように特別遊技状態となり、特別変動入賞装置38が開放される。この場合の開放態様はアタッカー開放態様Aであり、1秒×2回の開放動作が行われる。この特別変動入賞装置38の開放動作が終了した後、図41(d)に示すように、次の特図変動表示ゲームが開始される。また、特別遊技状態では、小当りストック表示41aで用いられるキャラクタを一つ表示することで、小当り一つ分の大入賞口の開放が行われることを示すようになっている。この表示は2R大当りの場合も行われ、特別遊技状態での表示態様からも小当りと2R大当りを判別することが困難となるようにされている。
【0254】
また、この小当り当選についての実行抽選の結果が小当りストックである場合は、図41(e)に示すように特別変動入賞装置38は開放されず、表示装置41に小当りストック表示41aを一つ表示することで、小当りが一つストックされていることが報知される。このように小当りストック表示41aを行うことで、ストックされた小当りの数(小当り保留)を視覚的に認識可能となる。
【0255】
図42には図41に示す例でのタイムチャートを示した。図42(a)には、小当りがストックされない場合のタイムチャートを示した。この場合は、小当りに当選した特図変動表示ゲームの変動表示(t1からt2)が行われた後、小当りの結果態様が表示されて小当りに当選したことが報知され(t2からt3)、特別遊技状態が実行される(t3からt8)。特別遊技状態の開始時には小当りの情報の外部出力が行われ(t3)、外部の管理装置で小当りの実行を認識できるようにされている。そして特別変動入賞装置38は、大入賞口を1秒開放し(t4からt5)、所定の閉鎖時間(t5からt6)を挟んで再度1秒開放する(t6からt7)動作を行い、この動作の終了に伴い特別遊技状態が終了し、次の特図変動表示ゲームが開始される(t8)。
【0256】
図42(b)には、小当りがストックされる場合のタイムチャートを示した。この場合も、小当りに当選した特図変動表示ゲームの変動表示(t11からt12)が行われた後、小当りの結果態様が表示されて小当りに当選したことが報知される(t12からt13)。ここまでは図42(a)の場合と同様である。その後、特別遊技状態は実行されず、大入賞口の開放や小当り情報の外部出力は行われないが、小当りストック表示41aの更新が行われ、結果態様の表示時間が経過した後に次の特図変動表示ゲームが開始される(t13)。
【0257】
図43には、小当りのストックが二つある状態で小当りに当選した場合の例を示した。図43(a)に示すように、表示装置41には小当りのストックが二つあることを示すように小当りストック表示41aが二つ表示されている。そして、変動表示の終了に伴い、図43(b)に示すように小当りの結果態様が表示される。
【0258】
この小当り当選についての実行抽選の結果が小当りストックでなく、放出が選択された場合は、図43(c)に示すように特別遊技状態となり、特別変動入賞装置38が開放される。この場合は、今回当選した小当りとストックされていた小当りがまとめて実行されるので、開放態様はアタッカー開放態様Cとなり6秒×1回の開放動作が行われる。また、特別遊技状態では、小当りストック表示41aで用いるキャラクタを三つ表示することで、小当り三つ分の大入賞口の開放が行われることを示すようになっている。このとき小当りストック表示41aがキャラクタ表示に変化して消去するように表示することで、ストックされていた小当りが放出されることを報知するようになっている。そして、特別変動入賞装置38の開放動作が終了した後、図43(d)に示すように、次の特図変動表示ゲームが開始される。
【0259】
また、この小当り当選についての実行抽選の結果が小当りストックである場合は、図43(e)に示すように特別変動入賞装置38は開放されず、表示装置41に小当りストック表示41aが一つ追加され、小当りのストックが三つになったことが報知される。
【0260】
図44には図42に示す例のうち、小当りが実行される場合のタイムチャートを示した。なお、小当りがストックされる場合は図42(b)と同様のタイムチャートとなる。小当りが実行される場合は、小当りに当選した特図変動表示ゲームの変動表示(t21からt22)が行われた後、小当りの結果態様が表示され(t22からt23)、特別遊技状態が実行される(t23からt28)。
【0261】
特別遊技状態の開始時には、今回当選した小当りに対応する小当りの情報の外部出力が行われる(t23)。そして特別変動入賞装置38は、大入賞口を6秒に亘り開放(t24からt27)する動作を行い、この動作の終了に伴い特別遊技状態が終了し、次の特図変動表示ゲームが開始される(t28)。また、ストックされていた小当りに対応する開放時間が開始される際に、小当りの情報の外部出力が行われるようになっており(t25、t26)、実行された小当りの回数を外部の管理装置で認識できるようにされている。
【0262】
図45には、小当りのストックが上限値である四つある状態で小当りに当選した場合の例を示した。図45(a)に示すように、表示装置41には小当りのストックが四つあることを示すように小当りストック表示41aが四つ表示されている。そして、変動表示の終了に伴い、図45(b)に示すように小当りの結果態様が表示される。
【0263】
この小当り当選についての実行抽選の結果が小当りストックでなく、放出が選択された場合は、図45(c)に示すように特別遊技状態となり、特別変動入賞装置38が開放される。この場合は、今回当選した小当りとストックされていた小当りがまとめて実行されるので、開放態様はアタッカー開放態様Eとなり10秒×1回の開放動作が行われる。また、特別遊技状態では、小当りストック表示41aで用いるキャラクタを五つ表示することで、小当り五つ分の大入賞口の開放が行われることを示すようになっている。このとき小当りストック表示41aをキャラクタ表示に変化して消滅するように表示することで、ストックされていた小当りが放出されることを報知するようになっている。そして、特別変動入賞装置38の開放動作が終了した後、図45(d)に示すように、次の特図変動表示ゲームが開始される。
【0264】
また、この小当り当選についての実行抽選の結果が小当りストックである場合は、すでにストック数が上限値であるので、図45(e)に示すように今回当選した小当りのみが実行されて特別変動入賞装置38が開放される。この場合の開放態様はアタッカー開放態様Aであり、1秒×2回の開放動作が行われる。また、特別遊技状態では、小当りストック表示41aで用いるキャラクタを一つ表示することで、小当り一つ分の大入賞口の開放が行われることを示すようになっている。このとき小当りストック表示41aはキャラクタ表示に変化せずにそのままの状態で残っていることで、ストックされていた小当りは放出されていないことを報知するようになっている。
【0265】
図46には大当りに当選した場合の例を示した。図46(a)から(c)には小当りのストックがない場合に大当りに当選した場合の例を示した。この場合は、図46(a)に示すように特別結果態様が表示された後、特別遊技状態となり、図46(b)に示すように最終ラウンドが終了すると、図46(c)に示すように特図変動表示ゲームが開始される。
【0266】
また、図46(d)から(g)には、小当りのストックが三つある状態で大当りに当選した場合の例を示した。この場合は、図46(d)に示すように特別結果態様が表示された後、特別遊技状態となり、図46(e)に示すように最終ラウンドが終了すると、ストックされていた小当りに基づく特別遊技状態となり、特別変動入賞装置38が開放される。この場合は、ストックされていた三つの小当りがまとめて実行されるので、開放態様はアタッカー開放態様Cとなり6秒×1回の開放動作が行われる。また、この特別遊技状態では、小当りストック表示41aで用いるキャラクタを三つ表示することで、小当り三つ分の大入賞口の開放が行われることを示すようになっている。このとき小当りストック表示41aがキャラクタ表示に変化して消滅するように表示することで、ストックされていた小当りが放出されることを報知するようになっている。そして、特別変動入賞装置38の開放動作が終了した後、図46(g)に示すように特図変動表示ゲームが開始される。
【0267】
図47には図46に示す例のうち、小当りが放出される場合のタイムチャートを示した。図47(a)には小当りのストックが一つである場合に大当りに当選した場合を示した。この場合、大当りに当選した特図変動表示ゲームの変動表示が終了し(t31)、大当りの結果態様が表示され(t31からt32)、大当りに基づく特別遊技状態が実行される(t32からt36)。特別遊技状態では大入賞口の開放から所定の開放可能時間が経過するかの何れかの条件が達成されるまで大入賞口を開放することを1ラウンド(t32からt33、t34からt35)とするラウンド遊技が所定回数行われる。
【0268】
そして、大当りに基づく特別遊技状態が終了すると(t36)、ストックされていた小当りに基づく特別遊技状態が実行される(t36からt38)。ストックされていた小当りに基づく特別遊技状態の開始時には、ストックされていた小当りに対応する開放時間が開始される際に、小当りの情報の外部出力が行われるようになっており(t36)、実行された小当りの回数を外部の管理装置で認識できるようにされている。この場合はストックされていた小当りが一つであるので、開放態様はアタッカー開放態様A´となり2秒×1回の開放動作が行われる(t36からt37)。この特別変動入賞装置38の開放動作の終了に伴い特別遊技状態が終了し、特図変動表示ゲームが開始される(t38)。
【0269】
図47(b)には、小当りのストックが四つである場合に大当りに当選した場合を示した。この場合も大当りに当選した特図変動表示ゲームの変動表示が終了し(t41)、大当りの結果態様が表示され(t41からt42)、大当りに基づく特別遊技状態が実行される(t42からt46)。特別遊技状態では大入賞口の開放から所定の開放可能時間が経過するかの何れかの条件が達成されるまで大入賞口を開放することを1ラウンド(t42からt43、t44からt45)とするラウンド遊技が所定回数行われる。
【0270】
そして、大当りに基づく特別遊技状態が終了すると(t46)、ストックされていた小当りに基づく特別遊技状態が実行される(t46からt51)。この場合はストックされていた小当りが四つであるので、開放態様はアタッカー開放態様Dとなり8秒×1回の開放動作が行われる(t46からt50)。この特別変動入賞装置38の開放動作の終了に伴い特別遊技状態が終了し、特図変動表示ゲームが開始される(t51)。また、ストックされていた小当りに基づく特別遊技状態では、ストックされていた小当りに対応する開放時間が開始される際に、小当りの情報の外部出力が行われるようになっており(t46、t47、t48、t49)、実行された小当りの回数を外部の管理装置で認識できるようにされている。このように、大当りの発生に伴い小当りのストックを放出するようにしたことで、大当りラウンドがさらにもう1ラウンド継続するような演出となり、遊技者に得をした感覚を与えることができる。
【0271】
なお、小当りの当選の抽選とは別に小当りをストックするか否かの実行抽選を行うようにしたが、大当り乱数に基づく小当り判定時にストックを行わない小当りの判定値とストックを行う小当りの判定値を別々に設け、小当りの当否とストックの有無を一度に決定するようにしても良い。また、小当りのストックを放出する場合には、ストックされていた小当りに対応する開放時間が開始される際に小当りの情報の外部出力を行うようにしたが、所定のタイミング(例えば大入賞口の開放終了時など)でまとめて対応する回数分の小当り情報を出力しても良い。
【0272】
また、大当りの発生に伴いストックされていた小当りを放出するとしたが、特定の大当り(例えば15R大当り)であった場合のみストックされていた小当りを放出するようにしても良い。また、大当りとなった場合に抽選を行い、当選した場合にストックされていた小当りを放出するようにしても良い。また、ストック放出のタイミングを小当りの当選時や大当りに基づく特別遊技状態の終了後としたが、これ以外に例えば特図変動表示ゲームを所定回数実行するごとにストック放出抽選を行い、当選した場合にストックを放出するようにしても良い。このようにすれば、遊技者はストックがある場合に所定回数まで遊技を行って放出させようとするので、遊技者に遊技の継続を促すことが可能となる。
【0273】
また、小当りのストック数に応じて、実行抽選においてストックの放出を選択する確率を変化させるようにしても良い。例えば、ストックが無い場合はストックの選択率を高くし、ストック数が増えるに従って放出の選択率を高くするとよい。また、ストックがあるか否かにより、小当りの当選確率を変化させるようにしてもよい。この場合、ストックがある場合に小当りの当選確率を高くすることにより、ストック数の増加や放出の機会を増やすことができる。例えば、初回の小当りは通常の当選確率とし、小当りストックがある場合には小当りの当選確率を高確率状態として、小当りに当選しやすくしてストックが放出される可能性を高める。
【0274】
また、小当りのストックがある場合において大当りとなる始動記憶が発生した場合には、当該大当りとなる始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの実行前にストックを放出するようにし、大当りに伴うストック放出を行わないようにしても良い。このようにすることで、ストックの放出が大当りとなる始動記憶の発生を示唆する演出も兼ねるようになり、ストックの放出に対する遊技者の期待感をより高めることができる。
【0275】
また、小当りをストックするとしたが、2R大当りをストックするようにしても良い。この場合も小当りのストックと同様に、ストックされた場合は大入賞口の開閉を行わず、ストックされた旨を遊技者に報知する演出を行う。また、2R大当りをストックする場合に、当該2R大当りに基づく確率状態の変化や時短状態の発生又は終了、大当り信号の出力等についても当該2R大当りのストック放出時まで持ち越すようにしても良いし、大入賞口の開放のみをストックし、確率状態の変化や時短状態の発生又は終了、大当り信号の出力等についてはストックせずに実行するようにしても良い。さらに、短時間の大入賞口の開放を3回以上(例えば15回)行う特別結果を有する場合に、当該特別結果の当選をストックするようにすれば、ストック放出の際の大入賞口の開放時間がより長くなり、短時間開放の特別結果に当選したことによる遊技者の不満感を軽減することができる。
【0276】
〔第1変形例〕
次に、上述した実施形態の遊技機の第1変形例について説明する。なお、基本的には、上述の実施形態の遊技機と同様の構成を有しており、以下、同様の構成を有する部分については同じ符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。本変形例の遊技機は、小当りをストック可能であり、ストックの放出を行わないストックタイムを設定し、このストックタイム中に当選した小当りのみをストック可能としている。
【0277】
〔特図保留情報判定処理〕
本変形例の遊技機では、図11に示した特図保留情報判定処理に替えて図48に示す特図保留情報判定処理を行う。この特図保留情報判定処理では、判定結果が小当りである場合(ステップA238;Yes)に、ストックタイム中であるかを判定する(ステップA811)。ストックタイム中でない場合(ステップA211)は、対象の始動口スイッチに対応する小当り情報テーブルを設定する(ステップA242)。この場合小当りはストックされずに実行される。また、ストックタイム中である場合(ステップA811;Yes)は、小当りストックフラグ設定処理(ステップA241)を行い、対象の始動口スイッチに対応する小当り情報テーブルを設定する(ステップA242)。この場合は小当りのストック数が上限数でなければ小当りがストックされる。このストックタイムにおいてストックされた小当りは、ストックタイムの終了時に放出されるようになっている。すなわち、遊技制御装置100が、ストックしている開放権の放出を所定期間に亘り禁止するストックタイムを設定可能なストック放出禁止手段をなす。
【0278】
なお、ストックタイムの期間は任意に設定可能であり、例えば、時短状態である場合や確変状態である場合などをストックタイムとする。また、所定の抽選に当選した場合や、特図変動表示ゲームで特定の結果が導出された場合など、予め設定した所定の条件が成立した場合に所定期間に亘りストックタイムが設定されるようにしても良い。
【0279】
また、図49に示すように、第1所定回数の特図変動表示ゲームを実行する期間を、小当りをストック可能であり、ストックの放出を行わないストックタイム(ストック期間)とし、その後、第2所定回数の特図変動表示ゲームを実行する期間を、小当りをストックせず、ストックされた小当りを放出可能な放出期間として、これを繰り返すようにしても良い。この場合、ストックされた小当りを放出する契機を放出期間における小当りの当選とし、ストックタイムでは小当りの当選確率を低確率としてストック数が上限を超え難くし、放出期間では小当りの当選確率をストックタイムより高確率としてストックが放出されやすくする。このようにすることで、所定回数の遊技を実行するとストックされた開放権の放出のチャンスとなるので、遊技者が開放権の放出の契機をわかりやすくなる。
【0280】
なお、放出期間でストックが放出されなかった場合は、そのままストックされた小当りが持ち越される。また、大当りの発生に伴いストックを放出するようにし、特別遊技状態の終了後はストック期間から開始するようにする。また、放出期間における小当りの当選によりストックを放出するようにして、ストック放出の抽選として小当りの抽選を利用するようにしたが、これ以外に、大当り乱数が所定値(例えば大当り判定値や小当り判定値以外の所定値)であることを条件にストックの放出を決定するようにしても良いし、放出期間においてストックを放出するか否かの抽選を別途行うようにしても良く、何らかの抽選によりストックの放出が決定されるようにすれば良い。すなわち、遊技制御装置100が、変動表示ゲームが所定回数実行されることを契機として、ストックされている開放権をストック放出手段(遊技制御装置100)により実行するか否かの抽選を行う開放抽選手段をなす。
【0281】
以上のことから、ストックしている開放権の放出を所定期間に亘り禁止するストックタイムを設定可能なストック放出禁止手段(遊技制御装置100)を備えていることとなる。また、変動表示ゲームが所定回数実行されることを契機として、ストックされている開放権をストック放出手段(遊技制御装置100)により実行するか否かの抽選を行う開放抽選手段(遊技制御装置100)を備えることとなる。
【0282】
〔第2変形例〕
次に、上述した実施形態の遊技機の第2変形例について説明する。なお、基本的には、上述の実施形態の遊技機と同様の構成を有しており、以下、同様の構成を有する部分については同じ符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。本変形例の遊技機は、始動記憶が上限値である場合に発生した始動入賞であるオーバーフロー入賞が小当りに当選するものであった場合に、当該小当りをストックするようにしている。なお、オーバーフロー入賞でない始動入賞に基づく小当りの当選についてはストックしない。
【0283】
〔特図始動口スイッチ共通処理〕
本変形例の遊技機では、図10に示した特図始動口スイッチ共通処理に替えて図50に示す特図始動口スイッチ共通処理を行う。この特図始動口スイッチ共通処理では、更新対象の特図保留(始動記憶)数が上限値未満でない場合(ステップA210;No)に、特図オーバーフロー情報判定処理(ステップA821)を行う。
【0284】
〔特図オーバーフロー情報判定処理〕
図51に示すように、特図オーバーフロー情報判定処理では、まず大当り乱数を抽出し(ステップA831)、大当り乱数値が大当り判定値と一致するか否かにより大当りであるか否かを判定する大当り判定処理(ステップA833)を行う。そして、判定結果が大当りである場合(ステップA833;Yes)は、オーバーフロー大当り当選フラグをオンにし(ステップA840)、特図オーバーフロー情報判定処理を終了する。また、判定結果が大当りでない場合(ステップA833;No)は、大当り乱数値が小当り判定値と一致するか否かにより小当りであるか否かを判定する小当り判定処理(ステップA834)を行う。
【0285】
判定結果が小当りでない場合(ステップA835;No)は、特図オーバーフロー情報判定処理を終了する。また、判定結果が小当りである場合(ステップA835;Yes)は、小当りストック数を+1更新し(ステップA836)、小当りストック数が上限値であるかを判定する(ステップA837)。
【0286】
そして、小当りストック数が上限値でない場合(ステップA837;No)は、小当りストック表示更新コマンドを演出制御装置300に送信し(ステップA838)、特図オーバーフロー情報判定処理を終了する。また、小当りストック数が上限値である場合(ステップA837;Yes)は、小当りストック放出処理2を行い(ステップA839)、特図オーバーフロー情報判定処理を終了する。すなわち、遊技制御装置100が、始動入賞記憶手段(遊技制御装置100)に始動記憶が所定の上限数まで記憶されている状態で、始動入賞領域(始動入賞口36、普通変動入賞装置37)へ遊技球が入賞したことに基づき所定の乱数を抽出して判定するオーバーフロー入賞判定手段をなす。
【0287】
〔小当りストック放出処理2〕
図52に示すように、小当りストック放出処理2では、まずオーバーフロー大当り当選フラグがオンであるかを判定し(ステップA851)、オンでない場合(ステップA851;No)は、放出テーブルAにて放出抽選を行い(ステップA852)、放出抽選結果を判定する(ステップA854)。また、オンである場合(ステップA851;Yes)は、放出テーブルBにて放出抽選を行い(ステップA853)、放出抽選結果を判定する(ステップA854)。
【0288】
放出テーブルBは、放出テーブルAよりも小当りの放出を選択する確率が高く、遊技者にとって有利である。この放出テーブルBが選択されるのは、オーバーフロー入賞の判定結果が大当りと判定されてオーバーフロー大当り当選フラグがオンとされた場合であって、大当りとなるタイミングで始動入賞したにもかかわらず、オーバーフローとなってしまい大当りが発生しなかった遊技者に対して特典が付与(ストックされた小当りの放出)されやすくなるようにしている。
【0289】
放出抽選結果が小当りストックの放出である場合(ステップA855;Yes)は、小当りのストック数に応じた大入賞口開放態様を設定し(ステップA856)、大入賞口不正監視期間フラグ領域に不正監視期間外フラグをセーブする(ステップA857)。その後、小当りストック数をクリアし(ステップA858)、小当りストック表示更新コマンドを演出制御装置300に送信して(ステップA859)、小当りストック放出処理2を終了する。これにより、ストックされた小当りが放出されて大入賞口が開放されるようになり、オーバーフロー入賞が発生しても、オーバーフロー入賞の判定結果が小当りであった場合にはストック放出時にその分の開放時間が得られるので、オーバーフロー入賞が無駄なものにならず始動記憶数が上限値である場合の止め打ちを防止することができる。
【0290】
一方、放出抽選結果が小当りストックの放出でない場合(ステップA855;No)は、小当りストック数をクリアし(ステップA858)、小当りストック表示更新コマンドを演出制御装置300に送信して(ステップA859)、小当りストック放出処理2を終了する。この場合は、ストックされた小当りは放出されずに消滅する。
【0291】
小当りストックの放出抽選が行われる場合は、表示装置41において特図変動表示ゲームとは別に小当り放出抽選についての演出表示を行う。この演出表示では、例えばルーレットを所定時間回転させた後に停止させて放出抽選の結果を表示する演出を行い、放出抽選の結果が小当りストック放出であれば演出表示での結果の表示の後に大入賞口を開放する。なお、ストックされた小当りはオーバーフロー入賞に基づくものであり、実際の小当りではないので、小当り情報は出力しない。
【0292】
なお、オーバーフロー入賞でない始動入賞に基づく小当りの当選についてはストックしないとしたが、オーバーフローでない始動入賞に基づく小当りのストックと、オーバーフロー入賞に基づく小当りのストックを別々に計数し、それぞれ独立してストックするようにしても良い。また、図49に示すように小当りの発生確率を高める期間を設けることで、この期間において遊技者が積極的にオーバーフロー入賞を発生させるようになり、遊技機の稼動を高めることができる。また、始動記憶数が上限値に近い場合であっても変動時間の短縮を行わないようにするようにし、オーバーフロー入賞を発生させやすくするようにしても良い。
【0293】
以上のことから、始動入賞記憶手段(遊技制御装置100)に始動記憶が所定の上限数まで記憶されている状態で、始動入賞領域(始動入賞口36、普通変動入賞装置37)へ遊技球が入賞したことに基づき所定の乱数を抽出して判定するオーバーフロー入賞判定手段(遊技制御装置100)を備え、大入賞口開閉ストック手段(遊技制御装置100)は、オーバーフロー入賞判定手段による判定結果が第2特別結果態様であった場合に大入賞口の開放権をストックするようにしたこととなる。
【0294】
〔第3変形例〕
次に、上述した実施形態の遊技機の第3変形例について説明する。なお、基本的には、上述の実施形態の遊技機と同様の構成を有しており、以下、同様の構成を有する部分については同じ符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。本変形例の遊技機は、小当りが所定数ストックされることに基づき、特図変動表示ゲームの結果を差し替えることが可能となっている。
【0295】
〔タイマ割込み処理〕
本変形例の遊技機では、図7に示したタイマ割込み処理に替えて図53に示すタイマ割込み処理を行う。このタイマ割込み処理では、保留記憶差替え処理(ステップS71)を行う。
【0296】
〔保留記憶差替え処理〕
図54に示すように、保留記憶差替え処理では、まず、差替え条件が成立したかを判定する(ステップS81)。ここでの差替え条件は、小当りが所定の上限数までストックされたことである。この差替え条件が成立していない場合(ステップS81;No)は、保留記憶差替え処理を終了する。また、差替え条件が成立した場合(ステップS81;Yes)は、特図変動表示ゲームの保留記憶(始動記憶)があるかを判定する(ステップS82)。ここで判定の対象とする始動記憶は、時短状態でない場合は第1始動記憶を対象とし、時短状態である場合は第2始動記憶を対象とする。
【0297】
そして、保留記憶がない場合(ステップS82;No)は、保留記憶差替え処理を終了する。この場合は、始動記憶が発生した後に以降の処理が行われる。また、保留記憶がある場合(ステップS82;Yes)は、大当りを発生する始動記憶である大当り記憶があるかを判定する(ステップS83)。大当り記憶がない場合(ステップS83;No)は、差替え擬似演出設定処理(ステップS86)を行い、小当りストック数をクリアする(ステップS87)。また、大当り記憶がある場合(ステップS83;Yes)は、特別遊技状態の終了後に高確率状態となる確変大当りを発生する始動記憶である確変大当り記憶があるかを判定する(ステップS84)。
【0298】
確変大当り記憶がある場合(ステップS84;Yes)は、差替え擬似演出設定処理(ステップS86)を行い、小当りストック数をクリアする(ステップS87)。また、確変大当り記憶がない場合(ステップS84;No)、すなわち大当り記憶が、特別遊技状態の終了後に通常確率状態となる通常大当りを発生する始動記憶である通常大当り記憶である場合は、差替え抽選処理(ステップS85)を行い、小当りストック数をクリアする(ステップS87)。
【0299】
後述するように差替え抽選処理(ステップS85)では、通常大当り記憶の結果の差替えについての抽選を行い、当該抽選結果により決定された結果に応じて実行する差替え演出の設定を行う。なお、差替え擬似演出設定処理(ステップS86)では差替え抽選は行わず、結果の差替えは行われないが、差し替えが行われた場合と同様の差替え演出を設定する。
【0300】
小当りストック数をクリア(ステップS87)した後、小当りストック表示更新コマンドを演出制御装置300に送信し(ステップS88)、差替え条件が成立したことを報知する差替え示唆演出や差替え演出時の小当りストック表示41aの消去が設定される。そして、差替え演出実行処理(ステップS89)において、選択した差替え演出を次の特図変動表示ゲームで実行するようにする設定や、差替え演出の情報を演出制御装置300に送信する処理を行い、保留記憶差替え処理を終了する。なお、差替え演出の実行時間は、特図変動表示ゲームの変動時間以内の時間とする。
【0301】
〔差替え抽選処理〕
図55に示すように差替え抽選処理では、まず、記憶差替え用乱数を抽出して判定を行う(ステップS91)。この判定結果が確変差替えに当選である場合は(ステップS92;Yes)、差替え対象保留記憶を確変大当りに変更し(ステップS93)、差替え演出Aを設定して(ステップS94)、差替え抽選処理を終了する。これにより、通常大当りとなる始動記憶の結果が確変大当りに差替えられ、この差替えに対応する差替え演出が設定される。
【0302】
また、判定結果が確変差替えに当選していない場合(ステップS92;No)は、はずれ差替えに当選したかを判定する(ステップS95)。そして、はずれ差替えに当選した場合(ステップS95;Yes)は、差替え対象保留記憶をはずれに変更し(ステップS96)、差替え演出Bを設定して(ステップS97)、差替え抽選処理を終了する。これにより、通常大当りとなる始動記憶の結果がはずれに差替えられ、この差替えに対応する差替え演出が設定される。
【0303】
また、判定結果がはずれ差替えに当選していない場合(ステップS95;No)は、差替え演出Cを設定して(ステップS98)、差替え抽選処理を終了する。この場合は結果の差替えが行われず、通常大当りとなる始動記憶の結果は通常大当りのままとされ、これに対応する差替え演出が設定される。すなわち、遊技制御装置100が、大入賞口ストック手段(遊技制御装置100)にストックされた開放権が所定条件を満たすことに基づき、所定の演出を行うストック演出手段をなす。また、遊技制御装置100が、大入賞口ストック手段(遊技制御装置100)にストックされた開放権が所定条件を満たすことに基づき、所定の始動記憶に基づく変動表示ゲームについて、開始時判定手段(遊技制御装置100)による判定結果にかかわらず所定の結果を導出するように変更可能な結果変更手段をなす。
【0304】
図56、図57には演出の一例を示した。この例では、小当りのストックが三つある状態で小当りに当選した場合の例を示した。図56(a)に示すように、表示装置41には小当りのストックが三つあることを示すように小当りストック表示41aが三つ表示されている。そして、変動表示の終了に伴い、図56(b)に示すように小当りの結果態様が表示される。
【0305】
この小当り当選についての実行抽選の結果が小当りストックでなく、放出が選択された場合は、図56(c)に示すように特別遊技状態となり、特別変動入賞装置38が開放される。この場合は、今回当選した小当りとストックされていた小当りがまとめて実行されるので、開放態様はアタッカー開放態様Dとなり8秒×1回の開放動作が行われる。また、特別遊技状態では、小当りストック表示41aで用いるキャラクタを四つ表示することで、小当り四つ分の大入賞口の開放が行われることを示すようになっている。このとき小当りストック表示41aがキャラクタ表示に変化して消滅するように表示することで、ストックされていた小当りが放出されることを報知するようになっている。そして、特別変動入賞装置38の開放動作が終了した後、図56(d)に示すように、次の特図変動表示ゲームが開始される。
【0306】
また、この小当り当選についての実行抽選の結果が小当りストックである場合は、図56(e)に示すように特別変動入賞装置38は開放されず、次の特図変動表示ゲームが開始される。このとき表示装置41に小当りストック表示41aが一つ追加され、小当りのストックが四つになったことが報知される。また、これにより小当りのストック数が上限値となり差し替え条件が成立する。この差替え条件の成立を報知するために、小当りストック表示41aを強調するように表示する差替え示唆演出が行われる。
【0307】
そして、図57(a)に示すように小当りストックが上限値に達して差替え条件が成立した後の特図変動表示ゲームにおいて変動表示を行っている期間に、図57(b)に示すように差替え演出が開始される。この差替え演出では、敵キャラクタ41bと小当りストック表示41aから変化した味方キャラクタ41cが戦い、その結果により差替え結果を報知する演出となっている。この場合、ストックが消滅してストック表示41aが消去されるが、ストックされた小当りに基づく大入賞口の開放は行われない。
【0308】
通常大当りとなる始動記憶がある場合に、当該始動記憶の結果が確変大当りに差替えられた場合は、図57(c)に示すように味方キャラクタ41cが勝利する演出が行われる(差替え演出A)。また、当該始動記憶の結果がはずれに差替えられた場合は、図57(d)に示すように味方キャラクタ41cが負ける演出が行われる(差替え演出B)。また、当該始動記憶の結果が差替えられなかった場合は、図57(e)に示すように引き分けとなる演出が行われる(差替え演出C)。その後、図57(f)に示すように結果態様が表示されて特図変動表示ゲームが終了する。
【0309】
また、通常大当りとなる始動記憶がなく差替え擬似演出が行われる場合は、記憶されている始動記憶の結果により演出を選択するようになっており、確変大当りとなる始動記憶がある場合は図57(c)に示す差替え演出Aが選択され、はずれとなる始動記憶のみである場合は図57(d)に示す差替え演出Bが選択される。
【0310】
なお、始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの結果を差替える場合には、差替えた結果を選択するようにする情報を対象の始動記憶に設定するようにしても良いし、差替えた結果となるように始動記憶に記憶された乱数を変更するようにしても良い。また、通常大当りとなる始動記憶が複数ある場合は、これらのうち先に消化される始動記憶を対象とする。また、通常大当りとなる始動記憶と確変大当りとなる始動記憶がある場合は結果の差替えを行わないようにしても良い。また、差替え演出実行処理(ステップS89)において、次の特図変動表示ゲームの変動パターンとして差替え演出を実行可能な変動時間を有する変動パターンに設定するようにしても良い。また、差替え演出の実行に伴い、ストックされていた小当りに基づく大入賞口の開放を行うようにしても良い。また、第1始動記憶と第2始動記憶を入賞順に実行するようにした場合は、遊技状態にかかわらず常時先読み処理を行い、特図変動表示ゲームの保留記憶(始動記憶)があるかの判定(ステップS82)では、全ての始動記憶を対象とする。
【0311】
また、特図変動表示ゲームの結果を差し替える処理を開始する差替え条件として、小当りのストック数が所定数となることとしたが、これ以外の条件を設定しても良い。例えば、第2変形例で示したように、始動記憶が上限値である場合に発生した始動入賞であるオーバーフロー入賞が小当りを発生させるものであった場合に当該小当りをストックするようにし、このストック数が所定数となることにより特図変動表示ゲームの結果を差し替える処理を開始するようにしても良い。また、記憶差替え処理を行わない場合でも、オーバーフロー入賞の発生を契機に差替え演出と同様の演出である差替え疑似演出を行うようにしても良い。
【0312】
また、オーバーフロー入賞に基づく小当りのストックとは別に、オーバーフロー入賞でない始動入賞に基づく小当りの当選について別途ストック可能としても良い。そして、オーバーフロー入賞の小当りのストック数については、特図変動表示ゲームの結果を差し替える処理を開始する差替え条件を判定する用途のみに用いて、当該ストックに基づく大入賞口の開放は行わず、オーバーフロー入賞でない始動入賞に基づく小当りのストックについては、上述した実施形態のように小当りの発生毎に放出するか否かの抽選を行い、当選した場合には大入賞口を開放するようにしても良い。
【0313】
このようにすることで、はずれへの変更の可能性もあるが確変大当りへの変更の可能性もある差替え抽選を狙う遊技者はオーバーフロー入賞を積極的に発生させるように遊技を行い、差替え抽選を狙わずに通常大当りのままでよいという遊技者はオーバーフロー入賞を発生させいないように遊技を行うことで、遊技者の意思により遊技者の遊技嗜好に合わせた遊技を行うことができるようになる。
【0314】
以上のことから、複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを表示可能な装飾表示装置(表示装置41)と、遊技領域32を流下する遊技球の始動入賞領域(始動入賞口36、普通変動入賞装置37)への入賞に基づき変動表示ゲームの進行制御を行う遊技制御手段(遊技制御装置100)と、を備え、変動表示ゲームの停止結果態様が予め定めた特別結果態様となった場合に、遊技領域32を流下する遊技球を受け入れ可能な状態に大入賞口を開閉させることにより遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生する遊技機において、特別結果態様は、第1特別結果態様と第2特別結果態様を含み、特別遊技状態は、第1特別結果態様の導出に基づき実行される第1特別遊技状態と、第2特別結果態様の導出に基づき実行され、第1特別遊技状態よりも遊技者の得られる遊技価値の小さな第2特別遊技状態と、を含み、停止結果態様が特別結果態様となった場合に、大入賞口を開閉する制御を行う大入賞口開閉制御手段(遊技制御装置100)と、停止結果態様が第2特別結果態様となった場合に所定確率で大入賞口開閉制御手段による大入賞口の開閉制御を禁止し、大入賞口の開放権として所定数を上限にストックする大入賞口開閉ストック手段(遊技制御装置100)と、大入賞口ストック手段にストックされた開放権が所定条件を満たすことに基づき、所定の演出を行うストック演出手段(遊技制御装置100)を備えることとなる。
【0315】
また、始動入賞領域への遊技球の入賞に基づき、所定の乱数を抽出し変動表示ゲームの実行権利となる始動記憶として所定数を上限に記憶する始動入賞記憶手段(遊技制御装置100)と、始動入賞記憶手段(遊技制御装置100)に記憶された乱数を当該始動記憶に基づく変動表示ゲームの開始時に判定して変動表示ゲームの結果を決定する開始時判定手段(遊技制御装置100)と、大入賞口ストック手段にストックされた開放権が所定条件を満たすことに基づき、所定の始動記憶に基づく変動表示ゲームについて、開始時判定手段による判定結果にかかわらず所定の結果を導出するように変更可能な結果変更手段(遊技制御装置100)と、を備えることとなる。
【0316】
また、始動入賞記憶手段に始動記憶として記憶された乱数を、当該始動記憶に基づく変動表示ゲームが実行されるよりも前に判定する事前判定手段(遊技制御装置100)を備え、結果変更手段は、前記事前判定手段による判定結果が所定の結果である始動記憶について当該始動記憶に基づく変動表示ゲームの結果を変更可能であることとなる。また、ストック演出手段は、結果変更手段による変更結果に対応する演出を行うようにしたこととなる。
【0317】
以上のような遊技機10は、複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを表示可能な装飾表示装置(表示装置41)と、遊技領域32を流下する遊技球の始動入賞領域(始動入賞口36、普通変動入賞装置37)への入賞に基づき変動表示ゲームの進行制御を行う遊技制御手段(遊技制御装置100)と、を備え、変動表示ゲームの停止結果態様が予め定めた特別結果態様となった場合に、遊技領域32を流下する遊技球を受け入れ可能な状態に大入賞口を開閉させることにより遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生する遊技機であって、特別結果態様は、第1特別結果態様と第2特別結果態様を含み、特別遊技状態は、第1特別結果態様の導出に基づき実行される第1特別遊技状態と、第2特別結果態様の導出に基づき実行され、第1特別遊技状態よりも遊技者の得られる遊技価値の小さな第2特別遊技状態と、を含み、停止結果態様が特別結果態様となった場合に、大入賞口を開閉する制御を行う大入賞口開閉制御手段(遊技制御装置100)と、停止結果態様が第2特別結果態様となった場合に所定確率で大入賞口開閉制御手段による大入賞口の開閉制御を禁止し、大入賞口の開放権として所定数を上限にストックする大入賞口開閉ストック手段(遊技制御装置100)と、所定条件の成立に基づきストックしている開放権を実行するストック放出手段(遊技制御装置100)と、を備え、大入賞口開閉制御手段は、ストックされていた開放権がストック放出手段により実行されることに基づき、当該実行される開放権の数に応じた大入賞口の開閉制御を行うようにしている。
【0318】
ここで、第2特別遊技状態には、条件装置の作動を伴うが大入賞口の開放時間が第1特別遊技状態よりも短い短時間開放大当り(いわゆる突確、突通)や条件装置の作動を伴わず大入賞口を開放する小当りを含む。なお、短時間開放大当りのみ又は小当りのみとしても良い。
【0319】
したがって、大入賞口の開放を複数回まとめて実行することができるので、第2特別結果態様の発生の都度大入賞口を開閉させるよりも一度に多くの利益を得られるようになり、大入賞口を短時間開放する当りに新しい遊技性を付加し、遊技者の興趣を高めることができる。また、開放権がストックされている場合には遊技者は遊技台を離れにくくなるので客離れを防止でき、遊技機の稼働が上がる。
【0320】
また、大入賞口開閉制御手段(遊技制御装置100)は、ストック放出手段(遊技制御装置100)により実行される開放権の数に応じた大入賞口の開閉制御として、少なくとも各開放権がストックされなかった場合の大入賞口の開放時間を合計した時間に亘り大入賞口を開放し続ける特別開放態様にて大入賞口を作動させるようにしている。
【0321】
したがって、開放権複数回分の大入賞口開閉を単純に繰り返すのではなく、開放権複数回分の開放時間を合計した時間に亘り連続して大入賞口を開放するので、一度により多くの遊技球を大入賞口へ入賞させやすくなり、遊技者の興趣が高まる。
【0322】
また、始動入賞領域は、遊技球を受け入れ難い第1状態と遊技球を受け入れ易い第2状態とに変換可能な変換部材(可動部材37b)を備え、遊技制御手段(遊技制御装置100)は、変換部材の変換制御を行う変換制御実行手段(遊技制御装置100)と、変換制御実行手段が変換部材の制御を行う変換確率状態として、第1変換確率状態と、第1変換確率状態よりも第2状態に変換し易い第2変換確率状態と、のいずれかを所定条件に基づいて設定する変換確率設定手段(遊技制御装置100)と、を備え、変換確率設定手段は、ストック放出手段(遊技制御装置100)による開放権の実行を契機に、変換確率状態を変更するか否かを選択するようにしている。
【0323】
したがって、ストックされた開放権の放出と同時に変換部材の変換制御が変化する(電サポが開始される)可能性があるので、小当りの遊技性がより大当りに近いものとなり、小当りに対して遊技者の関心がより高まる。
【0324】
また、変換確率設定手段(遊技制御装置100)は、ストック放出手段(遊技制御装置100)による開放権の実行を契機に変換確率状態を変更するか否かの選択をする際に、当該選択を放出される大入賞口の開放権の数に対応した回数繰り返すようにしている。
【0325】
したがって、ストックされた開放権1つにつき1度の変換確率の選択が行われるので、複数の開放権が放出されるほど、第2変換確率状態が選択される確率(電サポの発生確率)が高まり、興趣を高めることができる。
【0326】
また、変動表示ゲームが所定回数実行されることを契機として、ストックされている開放権をストック放出手段(遊技制御装置100)により実行するか否かの抽選を行う開放抽選手段(遊技制御装置100)を備えている。
【0327】
したがって、所定回数の遊技を実行するとストックされた開放権の放出のチャンスとなるので、遊技者が開放権の放出の契機をわかりやすくなる。
【0328】
なお、本発明の遊技機は、遊技機として、前記実施の形態に示されるようなパチンコ遊技機に限られるものではなく、例えば、その他のパチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機などの遊技球を使用する全ての遊技機に適用可能である。また、上述の各変形例の構成は適宜組み合わせて適用することが可能である。
【0329】
また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0330】
10 遊技機
32 遊技領域
36 始動入賞口(始動入賞領域)
37 普通変動入賞装置(始動入賞領域)
37b 可動部材(変換部材)
41 表示装置(装飾表示装置)
100 遊技制御装置(遊技制御手段、大入賞口開閉制御手段、大入賞口開閉ストック手段、ストック放出手段、変換制御実行手段、変換確率設定手段、開放抽選手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを表示可能な装飾表示装置と、遊技領域を流下する遊技球の始動入賞領域への入賞に基づき前記変動表示ゲームの進行制御を行う遊技制御手段と、を備え、前記変動表示ゲームの停止結果態様が予め定めた特別結果態様となった場合に、遊技領域を流下する遊技球を受け入れ可能な状態に大入賞口を開閉させることにより遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生する遊技機において、
前記特別結果態様は、第1特別結果態様と第2特別結果態様を含み、
前記特別遊技状態は、前記第1特別結果態様の導出に基づき実行される第1特別遊技状態と、前記第2特別結果態様の導出に基づき実行され、前記第1特別遊技状態よりも遊技者の得られる遊技価値の小さな第2特別遊技状態と、を含み、
前記停止結果態様が特別結果態様となった場合に、前記大入賞口を開閉する制御を行う大入賞口開閉制御手段と、
前記停止結果態様が前記第2特別結果態様となった場合に所定確率で前記大入賞口開閉制御手段による大入賞口の開閉制御を禁止し、大入賞口の開放権として所定数を上限にストックする大入賞口開閉ストック手段と、
所定条件の成立に基づき前記ストックしている開放権を実行するストック放出手段と、を備え、
前記大入賞口開閉制御手段は、
ストックされていた前記開放権が前記ストック放出手段により実行されることに基づき、当該実行される開放権の数に応じた前記大入賞口の開閉制御を行うことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記大入賞口開閉制御手段は、
前記ストック放出手段により実行される開放権の数に応じた前記大入賞口の開閉制御として、少なくとも各開放権がストックされなかった場合の大入賞口の開放時間を合計した時間に亘り大入賞口を開放し続ける特別開放態様にて大入賞口を作動させることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記始動入賞領域は、遊技球を受け入れ難い第1状態と遊技球を受け入れ易い第2状態とに変換可能な変換部材を備え、
前記遊技制御手段は、
前記変換部材の変換制御を行う変換制御実行手段と、
前記変換制御実行手段が前記変換部材の制御を行う変換確率状態として、第1変換確率状態と、前記第1変換確率状態よりも前記第2状態に変換し易い第2変換確率状態と、のいずれかを所定条件に基づいて設定する変換確率設定手段と、を備え、
前記変換確率設定手段は、
前記ストック放出手段による前記開放権の実行を契機に、前記変換確率状態を変更するか否かを選択することを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記変換確率設定手段は、
前記ストック放出手段による前記開放権の実行を契機に変換確率状態を変更するか否かの選択をする際に、当該選択を前記放出される大入賞口の開放権の数に対応した回数繰り返すことを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記変動表示ゲームが所定回数実行されることを契機として、ストックされている前記開放権を前記ストック放出手段により実行するか否かの抽選を行う開放抽選手段を備えることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【公開番号】特開2013−85669(P2013−85669A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228409(P2011−228409)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000132747)株式会社ソフイア (2,465)
【Fターム(参考)】