説明

遊技球補給シュート

【課題】補給管の近傍に遊技設備機器の設置スペースを広く確保できる遊技球補給シュートを提供する。
【解決手段】遊技機2に補給する遊技球を搬送する遊技機島内の補給路に配設され、補給路13から取り込んだ遊技球を、排出口23に接続された補給管40を通じて下方の遊技機2へ補給する遊技球補給シュート20において、排出口23を略水平に向けて設ける。これにより、排出口を下に向ける場合に比べて、排出口前方の空間が広くなると共に、排出口から遊技機までの距離が長くなり、補給管40の屈曲を大きくとることができ、補給球計数機19などを迂回して補給管40を配管でき、遊技設備機器の設置スペースが広く確保される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機へ補給する遊技球を、遊技機島内に施設された補給路から取り込む遊技球補給シュートに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機などの遊技機を複数並設して収容する遊技機島では、各遊技機から排出された遊技球を回収し、これら回収した遊技球を研磨しながら揚送して上部タンクへ貯留し、該上部タンクに貯留された遊技球を遊技機島の上部に掛け渡された補給路を通じて各遊技機へ再び補給することで、遊技球を遊技機島内で循環的に使用するようになっている。
【0003】
補給路の側部には、搬送中の遊技球を補給路上から取り込むための遊技球補給シュートが、各遊技機や玉貸機に対応付けて配設される。遊技球補給シュートは補給路から取り込んだ遊技球を整列させて排出口から排出する。遊技球補給シュートから排出された遊技球は、該遊技球補給シュートの排出口に接続された補給管を通じて遊技機へ供給されるようになっている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】実開昭58−70288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の遊技球補給シュートは、遊技球の排出口を下向きに設けており、排出口から遊技機までの距離が短く、補給管を曲げるための距離的余裕がなかった。このため、補給管の設置を優先しなければならず、補給管の設置経路には遊技設備機器を設置することができず、補給管の近傍に遊技設備機器の設置スペースを広くとることができないという問題があった。
【0006】
また、補給管がほぼ真っ直ぐ下向きに配管されるので、補給管の下端側に補給球計数器を設けた場合には、補給球計数器内の計数機構に対する補給管内の遊技球の重みによる圧力負担が大きくなり、補給球計数器の寿命が短くなるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、補給管の近傍に遊技設備機器の設置スペースを広く確保でき、また、補給管の下端側に補給球計数器を設けた場合にも遊技球の重みによる計数機構への圧力負担を少なくすることのできる遊技球補給シュートを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は以下に示す各項の発明により達成される。
【0009】
請求項1に係わる発明は、遊技機(2)に補給する遊技球を搬送する遊技機島内の補給路(13)に配設され、前記補給路(13)から取り込んだ遊技球を、排出口(23)に接続された補給管(40)を通じて下方の遊技機(2)へ補給する遊技球補給シュート(20)において、
前記排出口(23)を略水平に向けて設けた
ことを特徴とする遊技球補給シュート(20)である。
【0010】
上記発明によれば、排出口(23)を略水平に向けることで、排出口(23)を下向きにする場合に比べて、排出口(23)前方の空間が広く、排出口(23)から遊技機(2)までの距離が長くなり、補給管(40)の屈曲を大きくとることができる。
【0011】
請求項2に係わる発明は、前記補給路(13)は略水平に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技球補給シュート(20)である。
【0012】
上記発明によれば、自然落下を利用した補給路(13)は下り傾斜で設けられるが、ベルトコンベアなど動力式の補給路(13)の場合は水平に設置され、しかも、遊技機島の高さを低く抑えるために、遊技機(2)から補給路(13)までの高さを低くすることが行なわれる。このような水平タイプの補給路(13)を有する遊技機島においても、排出口(23)を略水平に向けることで、補給管(40)の屈曲を大きくとることができ、補給管(40)の近傍にも遊技設備機器の設置スペースを確保することが可能になる。
【0013】
請求項3に係わる発明は、前記排出口(23)と遊技機(2)との間に設置された遊技設備機器を迂回させて前記補給管(40)を接続する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の遊技球補給シュート(20)である。
【0014】
上記発明では、排出口(23)を略水平に向けることで、補給管(40)の屈曲を大きくとることができるので、遊技設備機器の設置を優先してもこれを迂回するように補給管(40)を配管することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係わる遊技球補給シュートによれば、排出口を略水平に向けたので、排出口を下向きに設ける場合に比べて、排出口から遊技機までの距離が長くなり、補給管の屈曲を大きくとることができる。これにより、補給管の近傍にも遊技設備機器の設置スペースを広く確保することが可能になる。また、補給管の下端側に補給球計数器を設けた場合でも、補給管内の遊技球の重みによる計数機構への圧力負担を少なく抑えることができ、補給球計数器の寿命を延ばすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態に係わる遊技球補給シュート20を備えた遊技機島10の内部構造の一例を示している。遊技機島10は、遊技店のフロア上に構築したフレームにパチンコ機などの遊技機2を背中合わせにして表裏面に多数並設収容したものである。
【0018】
遊技機島10の中央には、遊技球を島の下部から上部へ研磨しながら揚送する揚送研磨装置11が立設されており、その上部には揚送研磨装置11によって揚送された遊技球を貯留する上部タンク12が設置されている。
【0019】
並設された遊技機2の上方には、上部タンク12から供給される遊技球を各遊技機2へ搬送し補給するための補給路13が遊技機島10の一端から他端まで水平に掛け渡すように設置されている。補給路13はモータで駆動されるベルトコンベア式の搬送装置であり、搬送中の遊技球は、補給路13の長手方向の両縁部に沿って配設された遊技球補給シュート20に適宜取り込まれて整列された後、各遊技機2に補給されるようになっている。
【0020】
各遊技機2で排出された遊技球は、遊技機島10の下部に配置された回収路14で回収され、島中央の揚送研磨装置11の下部導入口12aへ搬送される。このようにして遊技球は遊技機島10内で循環使用される。なお、上部タンク12から溢れた遊技球は、遊技機島10の下部に配置した複数の下部タンク15に貯留され、上部タンク12の貯留量が少なくなったときに、下部タンク15の排出口のシャッタ16を開いて遊技球を回収路14へ排出することで、遊技機島10内で循環する遊技球を適正量に維持するような制御が行なわれる。
【0021】
図2は遊技球補給シュート20a、20bの使用状態における平面を、図3は遊技球補給シュート20aの補給路13への取り付け状態を、図4は遊技球補給シュート20aの使用状態における正面を、それぞれ示している。また、図5は遊技球補給シュート20bの正面を、図6は遊技球補給シュート20bの平面を、図7は遊技球補給シュート20bの左側面をそれぞれ示している。なお、シュート20a、20bは、取込口22、導入板26の位置が互いに反対になっている以外、構成、機能は同様である。
【0022】
各図に示すように、遊技球補給シュート20a、20bは奥行きの短い縦型横長の略箱形状であって上面の開放された本体ケース21を備えている。本体ケース21の正面の略右半分には補給路13から遊技球を受け入れるための取込口22が形成され、遊技球補給シュート20a、20bの左側面下部には、取込口22から受け入れた遊技球を排出するための排出口23が設けてある。排出口23は、筒状に左側方へやや突出して形成しており、補給管40が外嵌されて接続される。
【0023】
本体ケース21の底部は排出口23に向けてやや下り傾斜した通路24を成しており、取込口22から受け入れた遊技球を排出口23へ導くように構成されている。通路24の途中の上方には、取込口22から上下複数段で流入してきた遊技球を横一列に整列させる整列機構25が設けてある。
【0024】
整列機構25は、通路24の幅に相当する厚みのリング状部材を、その軸方向が通路24の路面と平行かつ通路24の延設方向と直交する向きで、周面の下端と通路24の路面との距離が遊技球の1個分の直径よりやや広くなる位置に支持軸25aで揺動可能に取り付けて構成される。該揺動により遊技球の噛み込みが防止される。
【0025】
また、取込口22の下端には補給路13側へ突出した羽状の導入板26が設けられている。導入板26は取込口22に向けてやや下り傾斜しており、補給路13から取込口22へ向けて遊技球を案内して遊技球の取り込みを補助する機能を果たす。
【0026】
図4および図2に示すように、補給路13によって搬送されている遊技球5は、導入板26に案内されて取込口22から遊技球補給シュート20a、20bの内部へ取り込まれる。取り込まれた遊技球5は、通路24に沿って排出口23へ向かって流れる。遊技球5が上下2段以上に積み重なっている場合は、整列機構25により上段の遊技球が阻止され、横一列に整列された後、排出口23から排出される。
【0027】
なお、補給路13は、図2に示すように、搬送方向を互いに逆向きにした2台のベルトコンベア13a、13bを平行に並設し、逆向きに搬送される遊技球同士をこれら2台のベルトコンベア13a、13bの境界部で衝突させ、この衝突を起因として遊技球5が遊技球補給シュート20a、20bの取込口22へ取り込まれるように構成されている。
【0028】
図3に示すように、補給管40の一端は遊技球補給シュート20aの排出口23に接続され、他端は遊技機島10の横桟17に固定された補給機構18の取付部18aに接続される。補給機構18は、取付部18a側から流入する遊技球を遊技機2が有する図示省略の賞球タンクに臨む補給口18bから排出するようになっている。補給管40は、屈曲自在であることが望ましく、たとえば、金属性のワイヤをコイルバネ状に形成したものなどが使用される。
【0029】
遊技球補給シュート20a、20bでは、その排出口23が略水平を向いているので、排出口を下に向ける場合に比べて、排出口23の前方の空間が広くなり、図3に示すように排出口23から遊技機2(補給機構18の取付部18a)までの距離が長くなり、補給管40の屈曲を大きくとることができる。これにより、補給管40の近傍にも遊技設備機器の設置スペースを広く確保することが可能になる。
【0030】
図3の例では、補給管40を大きく屈曲させることができるため、取付部18aの直ぐ横に補給球計数機19を設置しても、これを迂回するようにして補給管40を配管することができ、遊技設備機器の設置スペースとしては、図中のスペースA+B(補給球計数機19の設置スペース)が確保される。
【0031】
これに対し、遊技球補給シュート20aの排出口が下向きの場合には、排出口23から遊技機2(補給機構18の取付部18a)までの距離が短く、図中の破線で示す補給管41のような配管状態となり、取付部18aの直ぐ横に補給球計数機19を設置できず、遊技設備機器の設置スペースは図中のスペースAのみとなる。なお、遊技設備機器は、補給球計数機19に限らず、遊技機のトランス、遊技情報収集装置(いわゆる、台コンピュータ)やそのコネクタなどでもよく、当該場所への設置が望まれる機器であればどのようなものでもかまわない。
【0032】
また、補給管40の下端側に補給球計数機19を設けた場合でも、補給管がほぼ真っ直ぐ下向きに配管される場合に比べて、補給管40内の遊技球の重みによる補給球計数機19のスプロケットなどの計数機構に対する圧力負担を少なく抑えることができ、補給球計数器の寿命を延ばすこともできる。
【0033】
また、補給路13のように略水平の搬送路が設けられる場合には、遊技機島10の高さを低く抑えるなどの要請から、遊技機2から補給路13までの高さが低く設定される。このような場合でも、排出口23を略水平に向けてあるので、補給管40の屈曲を大きくとることができ、補給管40の近傍にも遊技設備機器の設置スペースを広く確保することができる。
【0034】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0035】
たとえば、遊技球補給シュート20の構造は実施の形態に例示したものに限定されず、補給管40の接続される排出口23が略水平向きに設けてあればよい。また、実施の形態では排出口23を本体ケース21の左側面に形成する例を示したが、通路24の傾斜方向に応じて設ければよく、排出口23の位置は、右側面でも左側面でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態に係わる遊技球補給シュートを適用した遊技機島の概略構造を示す正面図である。
【図2】遊技球補給シュートの使用状態を示す平面図である。
【図3】遊技球補給シュートの補給路への取り付け状態を示す正面図である。
【図4】遊技球補給シュートの使用状態を示す正面図である。
【図5】遊技球補給シュートの正面図である。
【図6】遊技球補給シュートの平面図である。
【図7】遊技球補給シュートの左側面図である。
【符号の説明】
【0037】
2…遊技機
5…遊技球
10…遊技機島
11…揚送研磨装置
12…上部タンク
12a…下部導入口
13…補給路
14…回収路
15…下部タンク
16…シャッタ
17…横桟
18…補給機構
18a…取付部
18b…補給口
19…補給球計数機
20…遊技球補給シュート
21…本体ケース
22…取込口
23…排出口
24…通路
25…整列機構
25a…支持軸
26…導入板
40…補給管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機に補給する遊技球を搬送する遊技機島内の補給路に配設され、前記補給路から取り込んだ遊技球を、排出口に接続された補給管を通じて下方の遊技機へ補給する遊技球補給シュートにおいて、
前記排出口を略水平に向けて設けた
ことを特徴とする遊技球補給シュート。
【請求項2】
前記補給路は略水平に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技球補給シュート。
【請求項3】
前記排出口と遊技機との間に設置された遊技設備機器を迂回させて前記補給管を接続する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の遊技球補給シュート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−229202(P2007−229202A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−54446(P2006−54446)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【出願人】(000127628)株式会社エース電研 (339)
【Fターム(参考)】