説明

遊技用景品カード

【課題】パチンコ店において遊技客に対し、獲得パチンコ玉数に応じて景品として渡す現金交換可能な遊技用景品カードにおいて、カード本体内に組み付けた物品を常に適正位置に保持する。
【解決手段】プラスチック製のベース5と、ベース5の上面に外周縁部分において超音波溶着で一体に接合されるプラスチック製のカバー6とを含む。前記ベース6の底面壁7の内面7aに、物品3を収納する凹部15が凹み形成されている。ベース6の底面壁7の内面7aには、前記凹部15まわりに前記カバー6と超音波溶着される溶着用凸部17が突設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ店において、遊技客に対し、獲得パチンコ玉数に応じて景品として渡す遊技用景品カードに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばパチンコやスロットマシンを備えた遊技場では、獲得したパチンコ玉やメダルを計数機で計算し、それらに見合った景品に交換できるシステムが一般に採られている。そこには、タバコ等の通常の景品のほかに、現金に換金するための景品がある。近年においては景品交換の機械化、自動化が進み、出玉等から景品への交換が簡便かつスピーディに行えるように、とくに換金用景品に関して所定のカードを使用することがある。この種のカードは、通常、その表面に換金額や店舗情報などの識別情報が磁気ストライプやバーコードにより記録されており、それらを専用のカードリーダーで読み取ることによって、景品交換所で現金に交換できるようになっている。
【0003】
このような景品カードでは、換金性や等価性を付与するために、プラスチック製のカード本体内に商品価値のある物品、例えばメダルやコイン、あるいは金、白金、銀などの貴金属品などを収納している。ICチップなどを収納したものもある。例えば、特許文献1の景品カードは、扁平四角皿状のベースと、該ベースの上方開口を塞ぐカバーとを有し、ベースの底面壁の内面に設けた凹部に物品(ペンダント)を装着したうえで、ベースにカバーを一体に被せ付けている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−79993号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種のベースとカバーとを接合する手段として超音波溶着を選択する場合、広範囲にわたって均一にベースとカバーとの接合面に振動を与えることは容易でない。したがって全面溶着ではなく、部分溶着の方法が広く採用される。具体的には、ベースの外周縁に超音波溶着用の接合突部を形成し、これら接合突部の突端のエネルギダイレクト部を溶融させて、ベースに対してカバーを不離一体的に結合している。
【0006】
換金用景品カードでは、遊戯者がカード本体を曲げたり、捩じったりすることがある。その場合に、内蔵の物品が凹部から出て、ベースとカバーとの間に挟み込まれることがある。つまり、上記のような景品カードでは、ベースの外周縁に設けた接合突部だけでカバーを分離不能に固定しているにすぎない。
【0007】
そのため、これら接合突部から遠く離れた位置にあるカード本体の盤面中央部分は撓み変形しやすく、内蔵物品の噛み込みを生じやすい。このように内蔵物品がベースとカバーとの間に挟み込まれると、カード本体の実効厚みが大きくなるため、カードリーダーへの挿入動作に支障を来たす。繰り返し使用しているうちに、最悪の場合には、ベースとカバーとが分離してしまう。
【0008】
本発明の目的は、遊技用景品カードにおいて、曲げられたり捩じられたりした場合にも、内蔵物品がベースとカバーとの対向面間に入り込むのを確実に防いで、内蔵物品を常に凹部内に適正に保持しておくことにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、図1ないし図3に示すごとく、プラスチック製のベース5と、このベース5の上面に外周縁部分が超音波溶着で一体に接合されるプラスチック製のカバー6とを含み、ベース5の底面壁7の内面7aに、物品3を収納する凹部15が凹み形成されており、ベース5の底面壁7の前記内面7aには、前記凹部15まわりに前記カバー6と超音波溶着される溶着用凸部17が突設されていることを特徴とする。
【0010】
前記カバー6の外面には、前記溶着用凸部17の溶着跡を隠蔽するための印刷部20が形成されている。その場合、前記カバー6の外面に、浅底の凹部26を凹み形成し、この浅底凹部26の底面25に前記印刷部20を形成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、ベース5の凹部15まわりも溶着用凸部17を介してカバー6と超音波溶着されているので、例えばベース5の中央部位に凹部15が形成されていても、凹部15に収納した物品3が凹部15から出てベース5とカバー6との対向内面7a・6a間に入り込むことを確実に阻止できる。したがって、カード本体が曲げられたり捩じられたりした場合にも、内蔵の物品3を常に凹部15内に適正に保持しておけ、カードリーダーへの挿入動作不良や、読み取り不良などの発生を抑えて、遊技用景品カード1の信頼性の向上を図れる。
【0012】
カバー6が内蔵の物品3を見るために透明プラスチック材で成形されていても、カバー6の外表面には、溶着用凸部17の溶着跡を隠蔽するための印刷部20を形成されているので、景品カードの外観上の体裁が低下する不具合を解消できる。
【0013】
図4に示すごとく、前記カバー6の外面に浅底凹部26を凹み形成し、この浅底凹部26の底面25に前記印刷部20を形成してあると、例えば複数枚の遊技用景品カード1を繰り返し重ねた場合でも、印刷部20に摺り傷が付き難く、景品カードの外観体裁を長期にわたって良好に維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(実施例1) 図1ないし図3は、本発明に係る遊技用景品カードの実施例1を示す。図1は、遊技用景品カード(以下、単に景品カードという)の縦断面図、図2は景品カードの斜視図、図3は景品カードの分解斜視図である。
【0015】
この景品カード1は、四角扁平状のカード本体2と、カード本体2の内部に収容された1枚のコイン(物品)3とからなる。カード本体2は、コイン3を収納するベース5と、ベース5の上面に接合されるカバー6とからなる。コイン3は、景品カード1に換金額と等価の価値を与えるものであり、図示例のような5000円の景品カード(図2参照)では、ほぼ5000円相当のコイン3がカード本体2内に組み付けられる。
【0016】
図3においてベース5は、左右横長とした四角形状の底面壁7と、底面壁7の外周から上向きに一体に立ち上がる枠状の周側壁9とを備えていて、浅皿状に形成されたプラスチック成形品である。図1に示すように、カバー6はベース5の周側壁9の内側に嵌合して、カバー6がベース5に超音波溶着法で結合される。
【0017】
カバー6は、透明なプラスチック材で薄い平板状に形成されており、コイン3の存在を外部から視認することができる。
【0018】
図2において、透明カバー6の外表面には、景品カード1の換金価格を示す印刷表示11と、換金価格や店舗情報などの識別情報が記録されたバーコード印刷12とが施されている。
【0019】
図1および図3においてベース5の底面壁7の上側内面7aには、ほぼ中央部位に、コイン3を収容する丸穴状の凹部15が、凹み形成されている。
【0020】
第1に、ベース5とカバー6とは、前後左右の外周縁近くにおいて、超音波溶着で結合する。そのために、図3に示すごとく、ベース5の底面壁7の内面7aには、左右方向および前後方向に走る4本の接合突部16が周側壁9の内側に突出形成されている。ベース5にカバー6を嵌合し、超音波溶着ホーンをカバー6の上面から押し当てて振動させることにより、接合突部16の突端と、これに接合するカバー6の内面6aとを溶融させて、ベース5とカバー6とが不離一体的に超音波溶着されている。
【0021】
第2に、前記凹部15まわりにも溶着用凸部17を設けてあり、この溶着用凸部17でベース5の中央部とカバー6とが超音波溶着されている。溶着用凸部17は、図3に示すように、凹部15のまわりに切り欠き19を有する円環状に突出形成してある。この溶着用凸部17の突端と、これに接合するカバー6の内面6aとを溶融させて、ベース5とカバー6とが超音波溶着されている。
【0022】
このように、凹部15まわりが溶着用凸部17を介してカバー6に超音波溶着されていると、コイン3の収納箇所においてもベース5とカバー6との接合強度の向上を図っているので、ベース5とカバー6との不用意な分離を効果的に阻止できる。凹部15まわりを囲む円環状の溶着用凸部17でコイン3の遊動を規制しているので、コイン3がベース5とカバー6との対向内面7a・6a間に入り込むことを確実に阻止できる。これにて、カード本体2が曲げられたり捩じられたりした場合にも、コイン3を常に凹部15内に適正に保持しておける。
【0023】
図1および図2において透明カバー6の外表面には、接合突部16および特に溶着用凸部17の溶着跡を隠蔽するための印刷部20を形成して、溶着跡が外部から見えないようにしてある。これにて、外観上の体裁が低下する不具合を解消できる。溶着跡を完全に隠蔽することできるよう、印刷部20の幅寸法は、接合突部16や溶着用凸部17の幅寸法よりも大きなものとすることが好ましい。
【0024】
図4は本発明に係る遊技用景品カードの別実施例を示す。そこでは、透明カバー6の外面に、浅底の凹部26が、溶着用凸部17に対応して凹み形成されており、この浅底凹部26の底面25に、溶着用凸部17の溶着跡を隠蔽する印刷部20を形成してある。この場合も溶着跡を完全に隠蔽することできるよう、上記の印刷処理は、図示例のような溶着用凸部17に対応する箇所に限られず、さらに接合突部16に対応する箇所にも施すことができる。このように、浅底凹部26の底面25に印刷部20が形成されていると、例えば景品カード1が重なってカバー6の表面が擦られた場合でも、印刷部20が削られるなどの磨耗を抑えることができる。
【0025】
浅底凹部26の印刷部20の形成は、図5に示すようなタンポ印刷によって実施できる。図5(a)・(b)において、符号27は上下動自在な可動部を、符号28は可動部27の先端に設けられたゴム製のタンポ転写体を示す。図5(a)に示すようにタンポ転写体28の先端にインク29を付着させた状態から、図5(b)に示すように可動部27を下降させて、タンポ転写体28を浅底凹部26の底面25に押し付けて転写印刷する。かかるタンポ印刷は、極小のデザインの再現性に優れるため、デザイン上の制限なく、様々な印刷をカバー6に施すことができる。細かで複雑な印刷を施すことで偽造の防止を図り、セキュリティ性の向上も図れる。
【0026】
上記実施形態においては、内蔵する物品としてコイン3を示したが、これに限られず、カード本体2内にはペンダントや宝石などの貴金属材を収納することができる。ICチップをカード本体内に収容し、該チップを収納するための凹部15まわりに溶着用凸部17を設けてあってもよい。
【0027】
先の接合突部16は、一連の周回状に形成できるし、分断された線状に形成されていてもよい。また先の溶着用凸部17は線状凸起として連続する環状に形成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】全体の外観縦断側面図
【図2】全体の外観斜視図
【図3】分解斜視図
【図4】本発明の別実施例を示す要部の縦断側面図
【図5】タンポ印刷の要領を説明する断面図
【符号の説明】
【0029】
1 遊技用景品カード
2 カード本体
3 物品
5 ベース
6 カバー
6a カバーの下面
7 底面壁
7a 底面壁の上面
9 周側壁
15 凹部
16 接合突部
17 溶着用凸部
20 印刷部
25 浅底凹部の底面
26 浅底凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック製のベースと、前記ベースの上面に外周縁部分が超音波溶着で一体に接合されるプラスチック製のカバーとを含み、
前記ベースの底面壁の内面に、物品を収納する凹部が凹み形成されており、
前記ベースの前記底面壁の前記内面には、前記凹部まわりに前記カバーと超音波溶着される溶着用凸部が突設されていることを特徴とする遊技用景品カード。
【請求項2】
透明な前記カバーの外面には、前記溶着用凸部の溶着跡を隠蔽するための印刷部が形成されている請求項1記載の遊技用景品カード。
【請求項3】
前記カバーの外面に、浅底の凹部が凹み形成されており、
前記浅底凹部の底面に前記印刷部が形成されている請求項2記載の遊技用景品カード。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−325641(P2006−325641A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−149305(P2005−149305)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】