説明

遊技音響装置

【課題】低音を遊技機枠の前方に適切に提供する。
【解決手段】前面パネル52と後面パネル53とが前後方向に離れて相対峙するようにフレーム51で支持され、フレーム51と前面パネル52と後面パネル53とで囲まれた閉鎖空間を構成し、フレーム51にはスピーカ設置部60およびフレーム音出口65が設けられ、スピーカ設置部60は後面パネル53よりも外側に位置して前後方向に貫通する筒状に構成され、フレーム音出口65はフレーム51の前面に開口し、低音スピーカ28がコーンを前方に向けてスピーカ設置部60に取り付けられ、前面パネル52がフレーム51に取り付けられた場合に張出部66が前開口62を塞ぎ、後面パネル53がフレーム51に取り付けられた場合に張出部67がフレーム音出口65の後部を塞ぎ、張出部66を有する前面パネル52と張出部67を有する後面パネル53とが互いに同一形状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低音が遊技機枠の前方に適切に提供される遊技音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技音響装置には、次のような構造のものが知られている。その1つは、遊技機枠の後方にスピーカとエンクロージャとが一体になったスピーカ構造体を設け、エンクロージャの音をパイプで遊技機枠の前方に誘導して放出するようにした構造であるが、この場合、スピーカ構造体のほかにパイプが必要で、構造が複雑となるという欠点がある。もう1つは、前扉のガラスを振動板として利用した構造であるが、この場合、ガラスの共振周波数が数百ヘルツであるため、低音再生用として使用するには適切でないという欠点がある。さらにもう1つは、圧電式のスピーカを前扉のガラスに接触した構造であるが、この場合、ガラスの共振周波数が数百ヘルツであるため、低音再生用として使用するには適切でないという欠点がある。最後の1つは、圧電式のスピーカを前扉に貼り付けた構造であるが、この場合、ガラスの共振周波数が数百ヘルツであるため、低音再生用として使用するには適切でないという欠点がある。
【特許文献1】特開2004−229138号公報
【特許文献2】特開平7−86011号公報
【特許文献3】特開平10−216325号公報
【特許文献4】特開2003−135804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明が解決しようとする問題点は、音による遊技の演出が遊技機枠の前方に適切に提供できないという点である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る遊技音響装置は、遊技機枠の前扉が前後方向に貫通する窓を後方からパネル構造体で塞ぐ構造であり、パネル構造体は窓側の前面パネルと後方の後面パネルとを前後方向に離れて相対峙するようにフレームで支持して前面パネルと後面パネルとフレームとで囲まれた閉鎖空間を備えた構造であり、フレームにはスピーカ設置部およびフレーム音出口が設けられ、スピーカ設置部は後面パネルよりも外側に位置して前後方向に貫通する筒状に構成され、フレーム音出口はフレームの前面にスピーカ設置部と異なる位置で開口し、低音スピーカがコーンを前方に向けてスピーカ設置部に取り付けられ、前扉の前面にはフレーム音出口に繋がる扉放音部が設けられた遊技音響装置において、前面パネルには前面パネルがフレームに取り付けられた場合にスピーカ設置部の前開口を塞ぐ張出部が設けられ、後面パネルには後面パネルがフレームに取り付けられた場合にフレーム音出口の後部を塞ぐ張出部が設けられ、張出部を有する前面パネルと張出部を有する後面パネルとが互いに同一形状に形成されたことを最も主要な特徴とする。低音スピーカがスピーカ設置部から後方に突出するようにスピーカ設置部に取り付けられてもよい。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係る遊技音響装置は、低音スピーカのコーンから前方に放出された音が筒状のスピーカ設置部から前面パネルと後面パネルおよびフレームで囲まれた閉鎖空間をエンクロージャとして利用して音出口および低音放音孔部を順に経由して前扉の前方に放出されるので、低音による遊技の演出が遊技機枠の前方で遊技を行う遊技者に適切に提供されるうえ、低音スピーカのコーンから前方に放出された直後の音圧の高い音が前面パネルにおけるスピーカ設置部の前開口を塞いだ張出部に伝達されるので、良好な低音がスピーカ設置部から閉鎖空間に放出され、上記閉鎖空間からフレーム音出口の方に放出された直後の音圧の高い音がフレーム音出口の後部を塞いだ後面パネルの張出部に伝達されるので、良好な低音が閉鎖空間からフレーム音出口に放出され、張出部を有する前面パネルと張出部を有する後面パネルとが互いに同一形状に形成されているので、前面パネルを後面パネルとして使用し、後面パネルを前面パネルとして使用するというように、1種類のパネルを前面パネルと後面パネルとの双方に使用できるという利点がある。低音スピーカがスピーカ設置部から後方に突出するようにスピーカ設置部に取り付けられれば、低音スピーカが前扉における後方の空間を占有することがなく、前扉における後方の空間には、前扉に必要な電気部品を適切に取り付けることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1乃至図8は、発明を実施するための最良の形態である。図1は、パネル構造体25を分解して前方から示す。図2は、パネル構造体25を分解して後方から示す。図3は、前面パネル52と後面パネル53とを重ね合わせて示す。図4は、パチンコ遊技機を分解して示す。図5は、前扉4およびパネル構造体25を分解して示す。図6は、パチンコ遊技機の正面を示す。図7は、図6のA−A線に沿い切断した断面を示す。図8は、図6のB−B線に沿い切断した断面を示す。本明細書において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」の方向は、図4の状態に遊技機枠1および遊技盤35を置いて矢印Sで示す前方から見た場合に特定される方向である。
【0007】
図1を参照し、パネル構造体25の前構造について説明する。パネル構造体25は、フレーム51に、前面パネル52と後面パネル53と低音スピーカ28およびスピーカ後カバー54を取り付けることによって、構成される。フレーム51は、前面パネル52および後面パネル53よりも大形な外形を有する板状に構成される。フレーム51には、透視開口部55、前パネル収容部56、後パネル収容部57、ヒンジ58、掛止受止部59、スピーカ設置部60、スピーカ前カバー61、前開口62、音導入路63、前パネル支持体64、フレーム音出口65が設けられる。透視開口部55は、窓24(図4または図5参照)よりも大きな相似形で、前後方向への貫通孔を構成する。前パネル収容部56は、前面パネル52の周縁部を収容する窪みとして、透視開口部55の前部とスピーカ設置部60の前部とに設けられる。後パネル収容部57については、図2で詳述する。ヒンジ58は、図4のヒンジ27におけるパネル構造体25に設けられたヒンジ要素を構成するものであって、フレーム51の左側部に上下に分かれて設けられる。
【0008】
図1に戻り、掛止受止部59は、フレーム51の右側部に上下に分かれて設けられる。スピーカ設置部60は、透視開口部55の左上部よりも外側に位置し、前パネル収容部56の内外に跨り、前後方向に貫通する筒状に構成される。スピーカ前カバー61は、前パネル収容部56よりも外側におけるスピーカ設置部60の前部を塞ぐ板状に構成される。前開口62は、スピーカ設置部60のスピーカ前カバー61や前パネル収容部56で覆われていない部分である。音導入路63は、前開口62から透視開口部55に音を誘導する窪みとして、透視開口部55とスピーカ設置部60との間に設けられる。前パネル支持体64は、前面パネル52を受け止める突起として、音導入路63に設けられる。フレーム音出口65は、前パネル収容部56の左下部よりも外側に位置し、前後方向への貫通孔を構成する。
【0009】
前面パネル52は、無色透明なガラス板により構成される。前面パネル52には、張出部66が左上部に設けられる。前面パネル52の周縁部が前パネル収容部56に収容されて図外の接着剤で固定され、前面パネル52がフレーム51に取り付けられた場合、仮想線L1で囲まれた部分が透視開口部55の前部を塞ぎ、張出部66が前開口62の前部と音導入路63の前部とを塞ぐ。
【0010】
後面パネル53は、無色透明なガラス板により構成される。後面パネル53には、張出部67が左下部に設けられる。後面パネル53の周縁部が後パネル収容部57に収容されて図外の接着剤で固定され、後面パネル53がフレーム51に取り付けられた場合、仮想線L2で囲まれた部分が透視開口部55の後部を塞ぎ、張出部67がフレーム音出口65の後部と図2の音導出路68の後部とを塞ぐ。
【0011】
図2を参照し、パネル構造体25の後構造について説明する。フレーム51の後部には、音導出路68および後パネル支持体69が設けられる。音導出路68は、透視開口部55からフレーム音出口65に音を誘導する窪みとして、透視開口部55とフレーム音出口65の周囲との間に設けられる。後パネル支持体69は、後面パネル53を受け止める突起として、音導出路68に設けられる。スピーカ設置部60の内部には、スピーカ取付部70が設けられる。スピーカ設置部60の外部には、後カバー取付部71が設けられる。
【0012】
低音スピーカ28は、円錐形なコーン73の後部に音響変換部74を備え、コーン73の前縁部から外側にフランジ75を突出し、フランジ75に複数のねじ挿入孔76を備え、音響変換部74が音響変換部74から外側に突出した被覆電線からなる引出線77から入力された音電流を機械的な振動に変換してコーン73に伝達し、コーン73が伝達された振動を低音波として拡大して放出する。引出線77にはコネクタ78が設けられる。
【0013】
低音スピーカ28がフレーム51に取り付けられる場合、コーン73が前方に向けられるように、低音スピーカ28がフレーム51の後方からスピーカ設置部60に配置されることによって、コーン73および音響変換部74がスピーカ設置部60に接触せず、フランジ75の前面がスピーカ取付部70の後面に接触する。そして、タッピングスクリューのような止ねじ79が低音スピーカ28の後からねじ挿入孔76を経由してスピーカ取付部70に締結される。これによって、低音スピーカ28が、スピーカ設置部60から後方に突出するように、スピーカ設置部60に取り付けられる。
【0014】
スピーカ後カバー54は、前方に開口した箱形である。スピーカ後カバー54の前開口の周縁部には、取付部としてのねじ挿入孔81が設けられる。スピーカ後カバー54の後壁には、多数の貫通孔からなる放音孔部82が設けられる。スピーカ後カバー54が被せられる場合、コネクタ78がスピーカ後カバー54の前から放音孔部82を構成する1つの貫通孔に挿入されてスピーカ後カバー54の後に引き出されることによって、引出線77がスピーカ後カバー54の後壁に貫通させられる。そして、スピーカ後カバー54が低音スピーカ28の後から低音スピーカ28に被せられ、スピーカ後カバー54の前開口の周縁部がスピーカ設置部60の後面に接触され、タッピングスクリューのような止ねじ83がスピーカ後カバー54の後からねじ挿入孔81を経由して後カバー取付部71に締結される。これによって、スピーカ後カバー54がスピーカ設置部60に取り付けられる。
【0015】
図3を参照し、前面パネル52と後面パネル53との形状について説明する。前面パネル52の後面と後面パネル53の前面とが互いに重ね合わされ、張出部66と張出部67とが対向するように、前面パネル52と後面パネル53とが互いに重ね合わされたまま平行に回転された場合、張出部66と張出部67とが完全に一致する。つまり、張出部66を有する前面パネル52と張出部67を有する後面パネル53とが、互いに同一形状に形成されている。よって、前面パネル52を後面パネル53として使用し、後面パネル53を前面パネル52として使用するというように、形状的に1種類のパネルを前面パネル52と後面パネル53との双方に使用できるという利点がある。
【0016】
図4を参照し、パチンコ遊技機の構造について説明する。遊技機枠1は、固定枠2の前に可動枠3を開閉可能に備え、可動枠3の前方に前扉4および皿構造体5を開閉可能に備える。固定枠2は、パチンコ遊技機を設置する遊技店の島と呼ばれる遊技機設置設備に固定される外枠とも呼ばれる。可動枠3は、遊技盤35や図外の制御装置など遊技に必要な部品を取り付ける前枠とも呼ばれる。可動枠3は、左側に位置するヒンジ6を中心とし、固定枠2の前で前方に開かれかつ後方に閉じられるように、片開き可能であって、盤収容部7、中央開口部8、盤後押出部9、盤前受止部10、盤掛止操作体11、盤棚12、球発射機構13、球発射レール14、戻り球取入口15、前横樋16、機外排出樋17、施錠装置18、掛止機構19;20;21および掛止解除操作体22が設けられる。盤収容部7は、遊技盤35を可動枠3の前から格納させるように、前方に開口した方形な箱形である。中央開口部8は、盤収容部7の背壁に、前後方向への貫通孔として形成される。
【0017】
盤後押出部9は、遊技盤35を前方に押す板ばねのような弾性体である。盤前受止部10は、盤後押出部9で前方に押された遊技盤35を受け止める突起である。盤後押出部9が後方で盤前受止部10が前方となるように、盤後押出部9および盤前受止部10が盤収容部7の左側部に設けられる。盤掛止操作体11は、盤収容部7の背壁から前方に突出し、盤収容部7の背壁と平行な方向に回転可能に、盤収容部7の右側部に設けられる。盤棚12は、遊技盤35を搭載する左右方向に平坦な面として、盤収容部7の下縁部により形成される。球発射機構13、球発射レール14、戻り球取入口15、前横樋16は、盤棚12から下側に延設された前壁の前面に設けられる。機外排出樋17は、盤棚12から下側に延設された前壁の後面に設けられる。施錠装置18、掛止機構19;20;21、掛止解除操作体22は、可動枠3の右側部に設けられる。
【0018】
前扉4および皿構造体5は、個別に、左側に位置するヒンジ23を中心とし、可動枠3の前で前方に開かれかつ後方に閉じられるように、片開き可能である。前扉4は、パネル枠とも呼ばれ、前後方向に貫通する窓24を囲む額縁形状である。前扉4の後面には、パネル構造体25および掛止部材26が設けられる。パネル構造体25は、左側に位置するヒンジ27を中心とし、前扉4の後で後方に開かれかつ前方に閉じられるように、片開き可能である。パネル構造体25が閉じられて前扉4に掛止部材26で開閉不能に支持されると、パネル構造体25が窓24を後から塞ぐ。パネル構造体25には、低音スピーカ28が設けられる。
【0019】
皿構造体5の前面には、受皿部29および発射操作機構30が設けられる。皿構造体5の後面には、球取入口31および球供給口32が設けられる。皿構造体5が閉じられた場合、球発射機構13と球発射レール14と戻り球取入口15と前横樋16および掛止解除操作体22が、皿構造体5で覆い隠される。可動枠3が閉じられて固定枠2に掛止機構19で開閉不能に支持され、前扉4および皿構造体5が閉じられて可動枠3に掛止機構20;21で開閉不能に支持された状態において、遊技店の店員が図外のキープレート(鍵)を遊技機枠1の前方から施錠装置18の鍵穴に挿入し、当該キープレートを例えば右側に90度回転操作すると、固定枠2と可動枠3との掛止機構19による支持形態が解除される。この支持形態の解除後に、遊技店の店員が可動枠3を前方に引くことによって、可動枠3はヒンジ6を中心として前方に片開きされる。
【0020】
前記施錠装置18の鍵穴に挿入されたキープレートが例えば左側に90度回転操作されると、可動枠3と前扉4との掛止機構20による支持形態が解除される。この支持形態の解除後に、遊技店の店員が前扉4を前方に引くことによって、前扉4はヒンジ23を中心として前方に片開きされる。前扉4が片開きされた状態において、遊技店の店員が掛止解除操作体22を操作すると、前扉4と皿構造体5との掛止機構21による支持形態が解除される。この支持形態の解除後に、遊技店の店員が皿構造体5を前方に引くことによって、皿構造体5はヒンジ23を中心として前方に片開きされる。
【0021】
遊技盤35には、ガイドレール36、入賞部品37、遊技釘38、発射通路39、アウト口40、取付孔部41、証紙台42、スピーカ逃避部43、図外のその他遊技部品が設けられる。ガイドレール36は、遊技盤35の前面に固定される。入賞部品37、遊技釘38、発射通路39、アウト口40は、ガイドレール36で囲まれた遊技盤35の前面に設けられる。取付孔部41は、遊技盤35の右側部の上下に分かれて設けられる。証紙台42は、下部の取付孔部41の前部に設けられる。証紙台42が閉じられると、下部の取付孔部41が証紙台42で覆い隠される。スピーカ逃避部43は、遊技盤35の左上隅部が除去されて構成される。その他遊技部品としては、風車、センター飾り、サイドランプ、フィギャー、キャラクター、保留数表示器などである。
【0022】
そして、前扉4が少なくとも前方に開かれた状態において、遊技盤35の左側部が可動枠3の前から盤後押出部9と盤前受止部10との間に挿入され、遊技盤35の右側部が遊技店の店員によって前から後に押され、盤掛止操作体11が遊技盤35の後から取付孔部41に挿入され、遊技店の店員が遊技盤35の前に突出した盤掛止操作体11を例えば90度回転操作することによって、盤掛止操作体11が遊技盤35の前面に掛け止められ、遊技盤35の前面が前方に向けられ、遊技盤35が可動枠3の内部における盤収容部7に装着される。そして、前扉4が閉じられた場合、低音スピーカ28の後部が遊技盤35の前からスピーカ逃避部43を経由して遊技盤35の後に突出する。閉じられた前扉4が可動枠3に掛止機構20で開閉不能に支持されることによって、図6および図7に示すように、遊技盤35の前面が遊技機枠1の窓24およびパネル構造体25を通して見える形態となる。その後、遊技店の店員がキープレートを施錠装置18の鍵穴から前方に抜き取る。
【0023】
図5を参照し、前扉4の前構造について説明する。前扉4には、窓24、扉放音部44、証紙表示部45が設けられる。扉放音部44は、窓24の左下部よりも外側に配置される。扉放音部44の後面には、扉音入口46が設けられる。扉放音部44の前面には、扉音出口47が設けられる。扉放音部44は、扉音入口46から入った音を扉音出口47に出すように、空気の振動による音の伝達路R(図7および図8参照)を形成する。つまり、扉放音部44は、バスレフダクトを構成する。証紙表示部45は、前扉4の前から後を透視できる部材で覆われた透視部分として、窓24の右下部よりも外側に設けられる。
【0024】
図6を参照し、前扉4の閉じられたパチンコ遊技機の前面について説明する。前扉4の前面の下部には、扉放音部44および証紙表示部45が左右に分かれて配置される。
【0025】
図7を参照し、パチンコ遊技機の内部構造について説明する。遊技盤35が可動枠3に装着され、前扉4が閉じられて可動枠3に支持された場合、前面パネル52と遊技盤35およびガイドレール36で囲まれた空間が、球の飛び交う遊技領域48として構成される。パネル構造体25のフレーム51と前面パネル52および後面パネル53で囲まれた閉鎖空間Dがエンクロージャを構成し、バスレフダクトを構成する扉放音部44がパネル構造体25と別体として前扉4に設けられたので、音のチューニングが容易かつ適切に行えるようにエンクロージャの容積とバスレフダクトにおける音の伝達路Rの容積とを別々に設定することができるという利点がある。
【0026】
図7および図8を参照し、低音スピーカ28の音の伝わり方について説明する。図7において、低音スピーカ28のコーン73から前に放出された音は、空気の振動による音の矢印X1で示す伝達路により、スピーカ設置部60の前から、張出部66、音導入路63、閉鎖空間D、張出部67、音導出路68、フレーム音出口65、扉放音部44、扉音出口47(図8参照)を順に経由し、前扉4の左下部から前方に放出される。
【0027】
つまり、前面パネル52が張出部66を備え、張出部66がスピーカ設置部60の前方に配置されているので、スピーカ設置部60において、前パネル収容部56および後パネル収容部57が互いに前後方向で相対峙しないように位置がずれる。よって、前パネル収容部56および後パネル収容部57が互いに前後方向で相対峙した場合に比べ、前面パネル52の後面と後パネル収容部57の前面との間の間隙H1が広くなる。このようにスピーカ設置部60における間隙H1が広くなると、低音スピーカ28のコーン73から前方に放出された直後の音圧の高い音が広い間隙H1を通過するので、良好な低音がスピーカ設置部60から閉鎖空間Dに放出されるという利点がある。
【0028】
後面パネル53が張出部67を備え、張出部67がフレーム音出口65の後方に配置されているので、フレーム音出口65において、前パネル収容部56および後パネル収容部57が互いに前後方向で相対峙しないように位置がずれる。よって、前パネル収容部56および後パネル収容部57が互いに前後方向で相対峙した場合に比べ、後面パネル53の前面と前パネル収容部56の後面との間の間隙H2が広くなる。このようにフレーム音出口65における間隙H2が広くなると、閉鎖空間Dから音導出路68に放出された直後の音圧の高い音が広い間隙H2を通過するので、良好な低音が閉鎖空間Dから音導出路68に放出されるという利点がある。
【0029】
低音スピーカ28がスピーカ設置部60から後方に突出するようにスピーカ設置部60に取り付けられているので、低音スピーカ28が前扉4における後方の空間を占有することがなく、前扉4における後方の空間には、前扉4に必要な電気部品を適切に取り付けることができるという利点がある。低音スピーカ28のコーン73から後方に放出された音は、空気の振動による音の矢印X2で示す伝達路により、スピーカ設置部60の後方から、スピーカ後カバー54、放音孔部82、スピーカ逃避部43を順に経由し、遊技盤35の後方に放出されるので、前扉4の下部前方に放出される低音と打ち消しあうように干渉する不都合はないという利点がある。
【0030】
図8において、扉音入口46および扉音出口47が互いに位置を左右にずらして設けられているので、扉放音部44の伝達路Rを適切な左右方向の長さに形成することができるという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0031】
図9は、異なる形態に係るパネル構造体25のフレーム51から後面パネル53を分解し、低音スピーカ28およびスピーカ後カバー54を除去した後方から示す。図9において、音導出路68には、隔壁88および音導入部89が設けられる。隔壁88は、音導入部89からフレーム音出口65に音を矢印X3で示す経路で誘導するように、音導出路68の裏面から裏側に突出した突条である。音導入部89は、隔壁88の上部が透視開口部55に繋がるように取り除かれたことによって形成される。そして、後面パネル53がフレーム51に固定されることによって、張出部67の裏面が隔壁88の前面に接触するので、張出部67から図2の後パネル支持体69が除去できる。また、張出部67がフレーム音出口65の後部と音導出路68の後部とを塞ぐことによって、パネル構造体25には張出部67と音導出路68と隔壁88と音導入部89とからなるバスレフダクトが構成される。よって、図5の扉放音部44がバスレフダクトを構成する構造でなく単に低音を前扉4の前に放出する音通路の構造でもよい。
【0032】
図1において、低音スピーカ28が前後方向に重ねられて配置される場所は、遊技機枠1の左上部に限定されるものではない。
【0033】
図4において、遊技盤35を盤収容部7に装着する構造として、盤後押出部9と盤前受止部10および盤掛止操作体11以外の構造でもよい。遊技盤35は、可動枠3の後から後部に取り付けられる構造でもよい。
【0034】
図5において、扉放音部44およびフレーム音出口65は、複数であってもよい。
【0035】
図3において、張出部66を有する前面パネル52と張出部67を有する後面パネル53とが形状的には同一であるが、材質的には別々であってもよい。例えば、前面パネル52が強化ガラスで構成され、後面パネル53が素通しガラスで構成されるというように材質的には二種類であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】パネル構造体の前方からの分解斜視図(最良の形態)。
【図2】パネル構造体の後方からの分解斜視図(最良の形態)。
【図3】前面パネルと後面パネルとの正面図(最良の形態)。
【図4】パチンコ遊技機の分解斜視図(最良の形態)。
【図5】前扉およびパネル構造体の分解斜視図(最良の形態)。
【図6】パチンコ遊技機の正面図(最良の形態)。
【図7】図6のA−A縦断面図(最良の形態)。
【図8】図6のB−B縦断面図(最良の形態)。
【図9】パネル構造体の後方からの分解斜視図(異なる形態)。
【符号の説明】
【0037】
1は遊技機枠、2は固定枠、3は可動枠、4は前扉、5は皿構造体、6はヒンジ、7は盤収容部、8は中央開口部、9は盤後方押出部、10は盤前方受止部、11は盤掛止操作体、12は盤棚、13は球発射機構、14は球発射レール、15は戻り球取入口、16は前横樋、17は機外排出樋、18は施錠装置、19は掛止機構、20は掛止機構、21は掛止機構、22は掛止解除操作体、23はヒンジ、24は窓、25はパネル構造体、26は掛止部材、27はヒンジ、28は低音スピーカ、29は受皿部、30は発射操作機構、31は球取入口、32は球供給口、33;34は欠番、35は遊技盤、36はガイドレール、37は入賞部品、38は遊技釘、39は発射通路、40はアウト口、41は取付孔部、42は証紙台、43はスピーカ逃避部、44は扉放音部、45は証紙表示部、46は扉音入口、47は扉音出口、48は遊技領域、49;50は欠番、51はフレーム、52は前面パネル、53は後面パネル、54はスピーカ後カバー、55は透視開口部、56は前パネル収容部、57は後パネル収容部、58はヒンジ、59は掛止受止部、60はスピーカ設置部、61はスピーカ前カバー、62は前開口、63は音導入路、64は前パネル支持体、65はフレーム音出口、66は張出部、67は張出部、68は音導出路、69は後パネル支持体、70はスピーカ取付部、71は後カバー取付部、72は欠番、73はコーン、74は音響変換部、75はフランジ、76はねじ挿入孔、77は引出線、78はコネクタ、79は止ねじ、80は欠番、81はねじ挿入孔、82は放音孔部、83は止ねじ、84は欠番、85は欠番、86は欠番、87は欠番、88は隔壁、89は音導入部、Dは閉鎖空間、H1は間隙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機枠の前扉が前後方向に貫通する窓を後方からパネル構造体で塞ぐ構造であり、パネル構造体は窓側の前面パネルと後方の後面パネルとを前後方向に離れて相対峙するようにフレームで支持して前面パネルと後面パネルとフレームとで囲まれた閉鎖空間を備えた構造であり、フレームにはスピーカ設置部およびフレーム音出口が設けられ、スピーカ設置部は後面パネルよりも外側に位置して前後方向に貫通する筒状に構成され、フレーム音出口はパネル構造体の前面にスピーカ設置部と異なる位置で開口し、低音スピーカがコーンを前方に向けてスピーカ設置部に取り付けられ、前扉の前面にはフレーム音出口に繋がる扉放音部が設けられた遊技音響装置において、前面パネルには前面パネルがフレームに取り付けられた場合にスピーカ設置部の前開口を塞ぐ張出部が設けられ、後面パネルには後面パネルがフレームに取り付けられた場合にフレーム音出口の後部を塞ぐ張出部が設けられ、張出部を有する前面パネルと張出部を有する後面パネルとが互いに同一形状に形成されたことを特徴とする遊技音響装置。
【請求項2】
請求項1記載の低音スピーカがスピーカ設置部から後方に突出するようにスピーカ設置部に取り付けられたことを特徴とする遊技音響装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−119110(P2008−119110A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−304172(P2006−304172)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)