説明

運動支援装置、コンピュータプログラム及び運動支援方法

【課題】ユーザが表示部を視認することができない姿勢又は体勢で運動を行う場合であっても確実に運動の支援を行うことができる運動支援装置、コンピュータプログラム及び運動支援方法を提供する。
【解決手段】見本像60を第1表示部121a又は第2表示部121bに表示し、この見本像60に運動動作を行わせることによってユーザ50の運動を支援する。見本像60が左右又は後等を向いた場合には、ユーザ50も左右又は後等を向いて第1表示部121a及び第2表示部121bを視認できない虞がある。よって、見本像60の視線を取得し、視線が所定範囲外の場合には、補助音声をスピーカ123から出力してユーザ50の運動を支援する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動動作を行う見本像を表示部に表示することによって、ユーザ(被支援者)の運動を支援することができる運動支援装置、コンピュータプログラム及び運動支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、健康増進及びダイエット等を目的としてスポーツクラブ又はフィットネスクラブ等の運動施設を利用するユーザが増加している。健康増進及びダイエット等を効果的に行うためには、一度に過度の運動を行うのではなく、ユーザの体力及び運動能力に応じた適度な運動を継続的に行う必要がある。上記のような運動施設においては、ユーザに適した運動内容及び運動量等をインストラクタが指導するため、効果的な健康増進及びダイエット等が期待できる。しかし、このような運動施設は、多くのユーザが運動を行うための広い空間と、多くのユーザを指導するための多くのインストラクタとを必要とするため、駅周辺などに設けられる場合が多く、自宅周辺に存在しないなどの理由でユーザの利用が困難な場合もある。また、運動施設を利用するためにはユーザは高額な利用費を支払う必要があるという問題もある。
【0003】
このため近年では、比較的小さなスペースに設置することができ、ユーザに適した運動内容及び運動量等を自動的に決定して提供することによって運動を支援することができる運動支援装置が注目されている。この運動支援装置は、インストラクタを必要としないため人件費を削減でき、ユーザに安価に利用させることが可能となる。また、運動支援装置をユーザの自宅に設置して利用することも可能であり、この場合にはユーザが運動を継続的に行うことが容易であるため、運動をより効果的に行うことができる。このような運動支援装置が、例えば以下の特許文献1及び特許文献2に記載されている。
【0004】
特許文献1においては、ユーザの個体差に応じた適正なトレーニングを提供することができるトレーニング管理システムが提案されている。このシステムは、ホスト装置とユーザが利用するトレーニング装置とにより構成されており、トレーニング装置から送信されたユーザ特定情報に基づいてホスト装置がトレーニングメニューを作成し、作成したトレーニングメニューに従った負荷設定情報をトレーニング装置に送信する。トレーニング装置は、ホスト装置からの負荷設定情報を受信し、負荷設定情報に基づいて負荷を変化させる。
【0005】
特許文献2においては、ユーザの運動能力及び体調の変化に応じて最適な運動コンテンツを提示することができ、ユーザが過不足なく効果的な運動を行うことができる運動支援システムが提案されている。このシステムは、ユーザの運動目的及び個人データを基にセンタ装置がユーザに適した運動コンテンツデータを選択してユーザ端末に配信し、これを受信したユーザ端末が運動コンテンツデータを用いてユーザの運動を支援する。また、ユーザが運動を行っている間に、ユーザ端末はセンサユニットにてユーザのバイタル情報を取得し、バイタル情報を基にユーザの運動量を算出して、算出した運動量が目標値の範囲内であるか否かを判定する。運動量が目標値の範囲内でない場合、ユーザ端末は運動コンテンツデータの変更要求をセンタ装置へ送信し、これを受信したセンタ装置が変更要求に応じて運動コンテンツデータのフレームを変更して配信する。
【特許文献1】特開2000−51390号公報
【特許文献2】特開2006−255028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載のトレーニング管理システムは、サイクリングマシン又はランニングマシン等の比較的単純な運動動作をユーザに行わせる運動支援装置を対象としたものであり、スポーツクラブ又はフィットネスクラブ等の運動施設の代替としては不十分である。
【0007】
特許文献2に記載の運動支援システムは、インストラクタの映像を表示部に表示すると共に、音声又は音楽をスピーカから出力することができ、これによりユーザはインストラクタの映像を見ながら音声又は音楽に合わせて自身の体を動かすことができる。このように、インストラクタなどの映像を表示部に表示する運動支援装置は、例えばストレッチ、筋力トレーニング又はエアロビクス等の種々の運動をユーザに行わせることができるため、スポーツクラブ又はフィットネスクラブ等のインストラクタの役割を運動支援システムが果たすことができるという利点がある。
【0008】
しかしながら、ユーザが例えばストレッチ、筋力トレーニング又はエアロビクス等の運動を行う場合、運動中のユーザの視線は常に前を向いているわけではなく、運動の内容に応じて左右又は後を向くことも少なくない。よって、表示部に表示された映像を見ながらユーザが運動を行う構成の運動支援装置では、左右又は後を向いた場合にユーザが表示部を見ることができず、運動に支障をきたす虞があった。複数の表示部をユーザの周囲を囲むように設けることでこの問題を解決できるが、運動支援装置のコスト増大及び装置の大型化等を招来するため現実的な解決策ではない。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、運動動作を行う見本像を表示部に表示すると共に、この見本像の視線が所定範囲外の場合に例えば運動動作を補助する音声などの特定音を出力することにより、ユーザ(被支援者)が左右又は後を向いて運動を行う際には特定音により運動の支援を行うことができる運動支援方法、コンピュータプログラム及び運動支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る運動支援装置は、運動動作に係る動画像を表示部に表示する処理を行う表示処理手段を備える運動支援装置において、前記表示処理手段は、頭部、胴体部及び手足部を有して前記運動動作を行う見本像を表示するようにしてあり、前記見本像の視線を取得する視線取得手段と、該視線取得手段が取得した視線が所定範囲内であるか否かを判定する視線判定手段と、前記視線が所定範囲外であると前記視線判定手段が判定した場合に特定音を出力する音出力手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る運動支援装置は、前記視線取得手段が取得した視線が前記所定範囲外である時間を検出する時間検出手段と、該時間検出手段が検出した時間が所定時間より短いか否かを判定する時間判定手段とを更に備え、前記音出力手段は、前記視線が所定範囲外であると前記視線判定手段が判定した場合であっても、前記時間が所定時間より短いと判定した場合には、前記特定音を出力しないようにしてあることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る運動支援装置は、運動動作に係る動画像を表示部に表示する処理を行う表示処理手段を備える運動支援装置において、前記表示処理手段は、頭部、胴体部及び手足部を有して前記運動動作を行う見本像を表示するようにしてあり、前記見本像の視線が所定範囲内であるか否かを判定した判定結果を取得する判定結果取得手段と、該判定結果取得手段が取得した判定結果を基に、前記視線が所定範囲外の場合に特定音を出力する音出力手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る運動支援装置は、撮像手段と、該撮像手段が撮像した被支援者の画像を基に、前記被支援者の視線を検出する被支援者視線検出手段とを更に備え、前記音出力手段は、前記見本像の視線が所定範囲内であるか否かの判定結果、及び前記被支援者視線検出手段が検出した被支援者の視線に応じて、前記特定音を出力するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る運動支援装置は、前記特定音が、前記運動の動作のテンポ又はタイミングに合わせた音声であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る運動支援装置は、前記特定音が、前記運動の動作に伴う視線の移動を指示する音声であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、運動動作に係る動画像を表示部に表示させることにより被支援者の運動を支援させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、前記動画像として、頭部、胴体部及び手足部を有して前記運動動作を行う見本像を表示させるステップと、前記見本像の視線が所定範囲内であるか否かを判定させるステップと、前記視線が所定範囲外であると判定した場合に特定音を出力させるステップとを含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、運動動作に係る動画像を表示部に表示させることにより被支援者の運動を支援させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、前記動画像として、頭部、胴体部及び手足部を有して前記運動動作を行う見本像を表示させるステップと、前記見本像の視線が所定範囲内であるか否かの判定結果を基に、前記視線が所定範囲外の場合に特定音を出力させるステップとを含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る運動支援方法は、運動動作に係る動画像を表示部に表示して被支援者の運動を支援する運動支援方法において、前記動画像として、頭部、胴体部及び手足部を有して前記運動動作を行う見本像を表示し、前記見本像の視線を取得し、取得した視線が所定範囲内であるか否かを判定し、前記視線が所定範囲外であると判定した場合に特定音を出力することを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る運動支援方法は、運動動作に係る動画像を表示部に表示して被支援者の運動を支援する運動支援方法において、前記動画像として、頭部、胴体部及び手足部を有して前記運動動作を行う見本像を表示し、前記見本像の視線が所定範囲内であるか否かを判定した判定結果を取得し、取得した判定結果を基に、前記視線が所定範囲外の場合に特定音を出力することを特徴とする。
【0020】
本発明においては、例えばポリゴン及びテクスチャ等で構成された頭部、胴体部及び手足部を有する三次元人物像などの見本像を表示部に表示し、この見本像に運動動作を行わせることによってユーザの運動を支援することを基本とする。ユーザは表示部に表示された見本像の動作を真似ることで運動を行うことができる。このため、表示された見本像が左右又は後を向いた状態の場合には、ユーザもまた左右又は後を向いていると推測される。よって、表示する見本像に関するデータを基にこの見本像の視線を取得し、取得した視線が所定範囲内であるか否かを判定することで、見本像が前を向いているか否か、即ちユーザが前を向いているか否かを調べることが可能である。見本像の視線が所定範囲外の場合、ユーザは前を向いていないと判断し、運動を補助するための特定音を出力することによって、ユーザは表示部に表示された見本像を直接に視認していなくても運動を行うことができる。また、見本像の視線が所定範囲内の場合、ユーザは前を向いていると判断し、特定音を出力しないことにより、表示部に表示された見本像を視認できる状況において特定音が出力される煩わしさを解消することができる。
【0021】
また、本発明においては、表示部に表示する見本像の視線を判定する場合に、視線が所定範囲外の時間が所定時間より短いか否かを更に判定する。運動の内容によっては、ユーザが一瞬又は短い時間のみ左右を向くなどの運動が含まれる場合があるが、このような場合には一瞬又は短い時間の経過後にはユーザは前を向いた状態となるため、運動を補助するための特定音を出力する必要性は低い。よって、見本像の視線が所定範囲外となる時間が所定時間より短い場合には、特定音の出力は行わない。
【0022】
また、本発明においては、表示部に表示する見本像のデータを基に、視線が所定範囲内であるか否かの判定を予め行って、判定結果を記憶しておく。見本像の表示を行う際には予め記憶した判定結果を読み出し、この判定結果を基に特定音を出力するか否かを判断することができる。これにより運動支援装置は、見本像を表示する都度、視線の判定を行う必要はなく、予め判定された判定結果を読み出すのみで特定音の出力処理を実行することができる。
【0023】
また、本発明においては、カメラなどを用いてユーザを撮像して、画像処理によりユーザの視線を検出する。これにより、運動を行っているユーザの視線と、表示部に表示された見本像の視線とを比較することができ、ユーザが見本像と異なる方向を向いている場合に正しい方向を特定音により促すなど、実際のユーザの視線に応じた特定音の出力を行うことができる。
【0024】
また、本発明においては、特定音として、例えば「1、2、3、4…」又は「右、左、右、左…」等の音声を、表示部に表示する見本像が行う運動動作のテンポ又はタイミングに合わせて出力する。これにより、ユーザは特定音に合わせて運動動作を行うことができる。例えばストレッチ運動においては「1、2、3、4、5、6、7、8」の8拍毎に又はこの倍の16拍毎に1つの運動を行う場合があるが、ユーザが左右又は後を向いた状態でこの8拍又は16拍を特定音でカウントすることにより、表示された見本像を見ることができないユーザに次の運動に移るタイミングを知らせることができる。
【0025】
また、本発明においては、特定音として、例えば「前を向いて下さい」などの視線の移動を指示する音声を出力する。このような特定音は、表示部に表示した見本像が視線を移動する直前などのタイミングで出力することが効果的である。これにより、左右又は後を向いた状態のユーザは、表示部に表示された見本像を直接に見ることなく、視線の変更(向きの変更)を行うことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明による場合は、運動動作を行う見本像を表示部に表示すると共に、この見本像の視線が所定範囲外であり、ユーザが前を向いていないと推測できる場合に運動動作を補助する特定音を出力することにより、ユーザが表示部を視認できない姿勢又は体勢での運動を行っている場合であっても、特定音に基づいた運動の支援を行うことができる。よって、左右又は後を向く運動を行っているユーザが表示部に表示された見本像を直接的に視認することなく運動を継続して行うことができるため、運動支援装置の利便性を向上することができ、ユーザに運動を行う快適な環境を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明に係る運動支援装置を用いたシステムの全体構成を示す模式図である。図において1は、運動動作を行う見本像を表示してユーザ(被支援者)の運動を支援する運動支援装置であり、画像を表示する表示部及び音声出力のためのスピーカ等を有する筺体12、並びにこれを制御する制御コンピュータ10等で構成してある。運動支援装置1の制御コンピュータ10は、運動支援装置を利用するユーザの個人情報を一括して管理する個人情報管理コンピュータ2、及び運動に合わせて再生する楽曲のデータを配信するサーバコンピュータ3等に、LAN(Local Area Network)及びインターネット等で構成される通信網Nを介して接続してあり、相互にデータの送受信を行うことができるようにしてある。なお、本システムは1つのサーバコンピュータ3及び個人情報管理コンピュータ2に対して複数の運動支援装置1を通信網Nを介して接続することができ、図1においては一例として3つの運動支援装置1を接続した構成を図示してある。
【0028】
サーバコンピュータ3は、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)などの形式による楽曲データを、楽曲の曲名、歌手名及びジャンル等に関連付けて記憶したデータベースを備えている。サーバコンピュータ3は、運動支援装置1の制御コンピュータ10からデータの取得要求を受信した場合、要求されたデータをデータベースから読み出して制御コンピュータ10へ送信するようにしてある。なお、サーバコンピュータ3は、楽曲に係るデータの記憶及び配信等を行うコンピュータであるため、所謂カラオケに係る楽曲のデータを配信するコンピュータを利用してもよい。
【0029】
個人情報管理コンピュータ2は、ユーザによる個人情報(氏名、年齢、性別及び運動習慣等)の入力を受け付ける処理、受け付けた個人情報の登録処理及び管理処理、ユーザの認証処理、並びに運動支援装置1の制御コンピュータ10との間で個人情報の送受信を行う処理等を行うようにしてある。
【0030】
図2は、本発明に係る運動支援装置1の外観を示す模式的外観図である。運動支援装置1は、プライバシーの保護及び防音等のために、個室内に設置されることが望ましい。運動支援装置1の筺体12は、床面上に直立して設けられる略矩形の正面パネル12Fと、この正面パネル12Fの左右に取り付けられた略同じ大きさの左側パネル12L及び右側パネル12Rとを含む構成である。
【0031】
左側パネル12L及び右側パネル12Rは、正面パネル12Fの一面(前面)に対して90°〜150°程度の角度をなすように取り付けられ、床面上に直立して設けられる。ユーザ50は、筺体12の左側パネル12L及び右側パネル12Rの間に、正面パネル12Fの前面から一定の距離を隔てた位置にて運動を行う。左側パネル12L及び右側パネル12Rには、前面に鏡面が形成してあり、正面パネル12Fに向かって運動を行うユーザ50が自身の全身を鏡面を利用して視認することができるようにしてある。なお、3つのパネルを安定した状態で床面上に直立して設けるため、及び、ユーザ50の全身を鏡面に映し出すためには、左側パネル12L及び右側パネル12Rが正面パネル12Fに対して上記のように90°〜150°程度の角度をなすことが望ましい。ただし、図2に示した筺体12の形状は一例であって、これに限るものではない。
【0032】
正面パネル12Fの前面には、液晶モニタなどによる第1表示部121a及び第2表示部121bが上下に並べて設けてある。なお、上側に設けられる第1表示部121aは、その中心位置が女性の平均身長に基づく視線位置と略一致する位置に配置することが望ましい。また、下側に設けられる第2表示部121bは、その中心位置が正面パネル12Fの底辺から(即ち床面から)約50cm程度の位置に配置することが望ましい。
【0033】
また、正面パネル12Fの上部には、中央部にユーザ50の撮像を目的としたカメラ124が配設してあり、左右の端部にスピーカ123がそれぞれ配設してある。カメラ124は、運動支援装置1を利用するユーザ50の全身像を撮像できるように、正面パネル12Fの上部から、前側の斜め下方向へ向けて撮像を行うように撮像方向が設定してあり、撮像した画像を制御コンピュータ10へ送信するようにしてある。制御コンピュータ10は、カメラ124が撮像した画像を基に、ユーザ50の姿勢(ユーザ50が起立した状態、座った状態又は寝た状態等)を判定するようにしてある。
【0034】
制御コンピュータ10は、ユーザ50の運動を支援する支援画像として運動動作を行う見本像60を、カメラ124が撮像した画像を基に判定したユーザ50の姿勢に応じて、正面パネル12Fに設けられた第1表示部121a又は第2表示部121bのいずれか一方に表示するようにしてある。例えば制御コンピュータ10は、ユーザ50が起立した状態であると判定した場合には、上側に設けられた第1表示部121aに見本像60を表示し、ユーザ50が座った状態であると判定した場合には、下側に設けられた第2表示部121bに見本像60を表示することができる。
【0035】
例えば見本像60にはポリゴン及びテクスチャ等で構成された三次元人物像を用いることができ、運動支援装置1の制御コンピュータ10は、この見本像60が予め決定された運動内容に応じて動作する動画像を第1表示部121a又は第2表示部121bに表示するようにしてある。また、制御コンピュータ10は、正面パネル12Fの上部に設けられた2つのスピーカ123から、見本像60の表示に応じてユーザ50に指示などを与えるための補助音声(特定音)及び運動のリズムに適したテンポの楽曲を再生して出力するようにしてある。
【0036】
これによりユーザ50は、第1表示部121a又は第2表示部121bに表示された三次元の見本像60の動作を真似て、スピーカ123から出力される補助音声及び楽曲に合わせて体を動かすことができ、運動支援装置1は各ユーザ50に適した運動を行わせることができる。このときにユーザ50は、左側パネル12L及び右側パネル12Rの鏡面に映る自身の姿を見て、第1表示部121a又は第2表示部121bに表示された三次元の見本像60の動作と比較して運動を行うこともできる。
【0037】
図3は、本発明に係る運動支援装置1の構成を示すブロック図である。運動支援装置1の制御コンピュータ10は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、表示部103、操作部104、記憶部105、映像信号出力部106、操作信号入力部107、音声信号出力部108、撮像信号入力部109及び通信部110等を有している。
【0038】
CPU101は、記憶部105に記憶された制御プログラム105aを読み出して実行することにより、制御コンピュータ10の各部の制御処理及び各種の演算処理等を行うものである。RAM102は、SRAM(Static RAM)又はDRAM(Dynamic RAM)等のメモリ素子で構成され、CPU101の処理過程で発生したデータなどの一時的な記憶及び通信部110により受信したデータの一時的な記憶等を行うものである。表示部103は液晶ディスプレイなどによるものであり、また、操作部104はキーボード及びマウス等の機器によるものである。表示部103及び操作部104は、制御コンピュータ10とユーザとの間のインタフェースをなす。
【0039】
記憶部105は、ハードディスクなどの大容量の記憶装置で構成されるものであり、上述の制御プログラム105a、並びに運動データベース(以下、DBという)105b、及び視線判定結果105c等の各種のデータが記憶してある。記憶部105に記憶された各種のデータの詳細は後述する。
【0040】
制御コンピュータ10の映像信号出力部106〜撮像信号入力部109は、運動支援装置1の筺体12に設けられた第1表示部121a、第2表示部121b、操作部122、スピーカ123及びカメラ124との間でデータ又は信号の送受信を行うためのものである。映像信号出力部106は、第1表示部121a及び第2表示部121bに表示する画像(図2に示した見本像60の他に、メニュー画像及び警告メッセージ等を含む)に係るデータを表示に適した映像信号に変換して出力するようにしてある。
【0041】
また、図2において図示は省略したが、運動支援装置1の筺体12は、スタートボタン、ストップボタン、カーソルキー及び確定キー等の複数のボタン又はスイッチ等が配設された操作部122を有している。操作部122は、例えば筺体12の全面パネル12Fの第1表示部121a及び第2表示部121bの間に設けることができる。操作部122は、ユーザによるボタン又はスイッチ等の操作を検知して制御コンピュータ10へ通知するようにしてある。制御コンピュータ10の操作信号入力部107は、筺体12の操作部122から操作信号として与えられるユーザの操作内容を取得してCPU101へ通知するようにしてある。
【0042】
音声信号出力部108は、CPU101の制御により、運動に伴って再生する楽曲に係るデータ及びユーザ50に対して運動内容の指示などを行う補助音声に係るデータ等の音声データを音声信号に変換してスピーカ123へ出力するようにしてある。また、撮像信号入力部109は、カメラ124にて撮像された画像に係る信号を取得して画像データに変換し、RAM102又は記憶部105へ記憶するようにしてある。
【0043】
また、通信部110は、LAN又はインターネット等の通信網Nを介して他の機器との間でデータの送受信を行うものである。通信部110は、CPU101の制御により、予め定められたプロトコルに従ってRAM102又は記憶部105から送信用のデータを読み出して他の機器へ送信すると共に、他の機器からのデータを受信した場合には、受信したデータをRAM102又は記憶部105へ記憶し、データを受信した旨をCPU101へ通知するようにしてある。通信部110により、制御コンピュータ10は、通信網Nを介して個人情報管理コンピュータ2及びサーバコンピュータ3との間で各種のデータの送受信を行うことができる。
【0044】
図4は、個人情報管理コンピュータ2及びサーバコンピュータ3の構成を示すブロック図である。個人情報管理コンピュータ2は、各部の制御処理及び各種の演算処理等を行うCPU21、データを一時的に記憶するRAM22、液晶ディスプレイなどで構成される表示部23、キーボード及びマウス等で構成される操作部24、通信網Nを介してデータの送受信を行うための通信部25、並びにハードディスクなど大容量の記憶装置で構成される記憶部26等を有している。個人情報管理コンピュータ2の記憶部26には、CPU21が読み出して実行する制御プログラム261、運動支援装置1を利用する複数のユーザ50の個人情報で構成される個人情報DB262、及び各ユーザ50の運動レベルを取得するための運動レベル変換テーブル263等が記憶してある。なお、個人情報DB262及び運動レベル変換テーブル263の詳細は後述する。
【0045】
同様に、サーバコンピュータ3は、各部の制御処理及び各種の演算処理等を行うCPU31、データを一時的に記憶するRAM32、液晶ディスプレイなどで構成される表示部33、キーボード及びマウス等で構成される操作部34、通信網Nを介してデータの送受信を行うための通信部35、並びにハードディスクなどの大容量の記憶装置で構成される記憶部36等を有している。サーバコンピュータ3の記憶部36には、CPU31が読み出して実行する制御プログラム361、及び運動支援装置1が再生する楽曲に係るデータで構成される楽曲DB362等が記憶してある。
【0046】
図1に示したシステムにおいて、運動支援装置1を利用して運動を行うことを希望するユーザ50は、まず、個人情報管理コンピュータ2の表示部23に表示される初期登録画面を閲覧しながら、操作部24を利用して個人情報を登録する必要がある。図5は、個人情報を登録するための初期登録画面の一例を示す模式図である。初期登録画面には、例えば氏名、電子メールアドレス及び年齢を入力するボックスと、性別を選択するための2つのオプションボタンと、運動習慣を選択するための5つのチェックボックスとが設けてあり、ユーザ50はこれらの個人情報を入力した後で、操作部24により"登録"ボタンを操作することによって個人情報の登録を行うことができる。
【0047】
ユーザ50により個人情報が登録された場合、個人情報管理コンピュータ2は、ユーザ50毎にID(IDentifier)番号などの識別情報を付与すると共に、登録された個人情報を個人情報DB262に記憶するようにしてある。図6は、個人情報DB262の一構成例を示す模式図である。個人情報DB262には、各ユーザ50に一意に付与された識別情報に対応付けて、氏名、電子メールアドレス、年齢、性別、運動習慣及び運動レベル等の個人情報が記憶してある。個人情報DB262に記憶される氏名、電子メールアドレス、年齢、性別及び運動習慣に係る情報は、図5に示した初期登録画面にてユーザが登録した情報である。
【0048】
個人情報DB262の運動習慣は1〜5の値で表わされ、初期登録画面に設けられた5つのチェックボックスのいずれが選択されたかにより決定される。例えば、"毎日運動する"が選択された場合には運動習慣の値が"5"に決定され、"週3回程度運動する"が選択された場合には運動習慣の値が"4"に決定され、"週末だけ運動する"が選択された場合には運動習慣の値が"3"に決定され、"月1回程度運動する"が選択された場合には運動習慣の値が"2"に決定され、"ほとんど運動しない"が選択された場合には運動習慣の値が"1"に決定される。
【0049】
個人情報DB262の運動レベルは、各ユーザ50の運動能力を示すものである。個人情報管理コンピュータ2は、初期登録画面にて登録されたユーザ50の年齢、性別及び運動習慣を基に、記憶部26に記憶した運動レベル変換テーブル263を参照することによって、各ユーザ50の運動レベルを決定するようにしてある。図7は、運動レベル変換テーブル263の一構成例を示す模式図である。運動レベル変換テーブル263は、男性又は女性の性別毎に定められた年齢層と、運動習慣を5段階に評価した数値とに対応付けて、1〜5の5段階の数値で運動レベルが記憶してある。これにより、個人情報管理コンピュータ2は、ユーザ50の年齢、性別及び運動習慣から運動レベルを一意的に決定することができ、決定した運動レベルを個人情報DB262へ記憶するようにしてある。
【0050】
個人情報の登録を終了したユーザ50(又は既に個人情報を登録してあるユーザ50)は、運動支援装置1の筺体12にて操作部122を操作し、各ユーザ50に付与された識別情報を入力する。識別情報の入力を受け付けた運動支援装置1の制御コンピュータ10は、受け付けた識別情報に係る個人情報の取得要求を通信部110から通信網Nを介して個人情報管理コンピュータ2へ送信するようにしてある。個人情報管理コンピュータ2は、個人情報の取得要求を受信した場合、該当する識別番号に係る個人情報を個人情報DB262から読み出して、通信部25から通信網Nを介して取得要求を送信した制御コンピュータ10へ送信するようにしてある。個人情報管理コンピュータ2からの個人情報を受信した制御コンピュータ10は、受信した個人情報を第1表示部121a又は第2表示部121bに表示する。
【0051】
次いで、運動支援装置1の制御コンピュータ10は、第1表示部121a又は第2表示部121bにトレーニング部位及び音楽ジャンルを設定するための設定画面を表示し、ユーザ50にこれらの設定を促すようにしてある。図8は、トレーニング部位及び音楽ジャンルの設定画面の一例を示す模式図である。本実施の形態に係る運動支援装置1においては、トレーニングする体の部位をユーザ50が好みで選択することができるようにしてあり、選択された部位に応じて制御コンピュータ10が運動内容を自動的に決定するようにしてある。図8に示す設定画面は、トレーニング部位として「腕」「肩」「胸」「腹」…等の部位をユーザ50が4つ選択することができる構成である。なお、図8に示すトレーニング部位は一例であって、これに限るものではない。また、ユーザ50に体の部位を選択させるのではなく、例えば「ダイエット」「持久力アップ」「筋トレ(筋力トレーニング)」等のように運動の目的を選択させる構成としてもよい。
【0052】
また、本実施の形態に係る運動支援装置1においては、運動を行う際にスピーカ123から再生して出力する楽曲のジャンルをユーザ50が好みで選択することができるようにしてある。図8に示す設定画面は、音楽ジャンルとして「エアロビクス」「ヒップホップ」「ラテンダンス」の3つのジャンルから1つをユーザ50が選択することができる構成である。制御コンピュータ10は、選択された音楽ジャンルの楽曲のデータをサーバコンピュータ3から取得し、第1表示部121a又は第2表示部121bに見本像60を表示する際に、楽曲データを再生してスピーカ123から出力するようにしてある。また、制御コンピュータ10は、第1表示部121a又は第2表示部121bに表示された見本像60が、再生する楽曲に合わせて運動動作を行う様に表示処理を行うようにしてある。
【0053】
ユーザ50によってトレーニング部位及び音楽ジャンルが設定された後、制御コンピュータ10は、記憶部105に記憶された運動DB105bを読み出して、設定されたトレーニング部位及びユーザ50の運動レベル等を考慮して、ユーザ50に適した運動内容を決定するようにしてある。図9は、運動DB105bの一構成例を示す模式図であり、運動DB105bの筋トレに係る一部分を抽出して図示してある。なお、運動DB105bには、筋トレ以外にステップ及びストレッチ等の種々の運動に係る運動内容が記憶してあるが、図示は省略する。
【0054】
運動DB105bは、ユーザ50が選択するトレーニング部位それぞれについて、ユーザ50の運動レベルに応じた運動内容が記憶されたデータベースである。例えば、「腹」を鍛える運動レベル5の運動内容は「両手を上に伸ばしたまま腹筋」であり、運動レベル4の運動内容は「後頭部に手を当てて腹筋」である。また例えば、「腕」を鍛える運動レベル2の運動内容は「膝をついて手を大きく上げ下げする」であり、運動レベル1の運動内容は「膝をついて手を小さく上げ下げする」である。また、各運動内容には、第1表示部121a又は第2表示部121bに表示する見本像60のデータ(表示用見本像データ)が関連付けて記憶してある。表示用見本像データは、例えば見本像60を構成する多数のポリゴンの三次元座標及びこれらの座標の移動軌跡等で構成されるものであり、制御コンピュータ10は運動DB105bから表示用見本像データを取得して画像処理により見本像60を構成し、第1表示部121a又は第2表示部121bに表示することができる。制御コンピュータ10は、図8に示した設定画面にて設定されたトレーニング部位を基に、運動DB105bから対応するトレーニング部位の運動内容を検索し、ユーザ50の個人情報として登録された運動レベルに応じて詳細な運動内容を決定するようにしてある。
【0055】
また、制御コンピュータ10は、選択されたトレーニング部位及び運動レベル等を基に運動DB105bから各ユーザ50に適した複数の運動内容を取得し、取得した複数の運動内容を適宜に組み合わせることによって、ユーザ50に行わせる30分程度の運動メニューを作成するようにしてある。図10は、制御コンピュータ10が作成した運動メニューの一例を示す模式図である。図示の例においては、制御コンピュータ10が作成する運動メニューは、「ウォーミングアップ」「第1〜第4サーキット」「ストレッチ」の6つのセッションで構成されている。
【0056】
「ウォーミングアップ」のセッションでは、ユーザ50の運動レベルに応じたウォーミングアップが5分程度行われる。「第1〜第4サーキット」のセッションは、ステップ及び筋トレが交互に行われるセッションである。ここで、例えば「筋トレ1〜4」は図9に示した運動DB105bからそれぞれ決定される運動内容の1つである。また、「ステップ1〜4」も同様であり、図9にて図示を省略したが、運動DB105bからステップに係る運動内容をそれぞれ決定したものである。「ストレッチ」のセッションは、ストレッチの後に深呼吸を行って運動を終了するためのセッションである。運動内容の「ストレッチ1〜4」についても「筋トレ1〜4」と同様に、運動DB105bからトレーニング部位及び運動レベルに応じて決定されたものである。
【0057】
また、制御コンピュータ10は、運動メニューの各セッションを行う際に再生する楽曲を、セッション毎にそれぞれ決定するようにしてある。各セッションの楽曲は、上述のように、図9に示した設定画面にてユーザ50が選択した音楽ジャンルを基に制御コンピュータ10が決定するようにしてあり、決定した楽曲に係るデータをサーバコンピュータ3から取得して再生するようにしてある。
【0058】
制御コンピュータ10は、決定した運動メニューに基づいて、運動DB105bから表示用見本像データを取得し、画像処理により見本像60を構成して、第1表示部121a又は第2表示部121bに表示するようにしてある。ユーザ50は表示された見本像60の運動動作を真似ることで運動を行うことができる。図11〜図13は、運動支援装置1が表示する見本像60の構成を説明するための模式図であり、図11に見本像60の斜視を示し、図12に見本像60の上面視を示し、図13に見本像60の右側面視を示してある。ただし、図11〜図13においては説明の簡略化のために見本像60を単純化して図示してあり、見本像60は、球体の頭部61、直方体の胴部62、円柱の右手63、左手64、右足65及び左足66のみで構成してある。また、図11(a)、図12(a)及び図13(a)は見本像60が前方を向いた状態であり、図11(b)及び図12(b)は見本像60が左を向いた状態であり、図13(b)は見本像60が斜め上方を向いた状態である。
【0059】
本発明に係る運動支援装置1においては、運動DB105bに記憶された表示用見本像データを制御コンピュータ10が予め解析し、各運動内容における見本像60の視線が所定範囲内であるか否かを判定して、判定結果を視線判定結果105cとして記憶部105に記憶しておくようにしてある。この視線判定の処理において、制御コンピュータ10は、見本像60の頭部61の向きなどを基に、見本像60の視線を取得する処理を行うようにしてある。図12及び図13には、取得した見本像60の視線が矢印A、A’、B及びB’として図示してある。
【0060】
例えば、図11(a)、図12(a)及び図13(a)の見本像60は視線が前方(真正面)であるため、この見本像60が第1表示部121a又は第2表示部121bに表示された場合、この見本像60を真似てユーザ50は正面を向いていると推測され、この状態でユーザ50は第1表示部121a及び第2表示部121bを直接的に視認することができると推測される。これに対して、図11(b)及び図12(b)の見本像は視線が左向きであるため、この見本像60が表示された場合、ユーザ50は左を向いていると推測され、この状態でユーザ50は第1表示部121a及び第2表示部121bを直接的に視認することができない可能性がある。図13(b)のように見本像60の視線が斜め上方の場合も同様である。
【0061】
よって、制御コンピュータ10は、見本像60の動作を真似たユーザ50が第1表示部121a又は第2表示部121bを視認することができるか否かを、見本像60の視線が所定の判定範囲(図12及び図13に破線の矢印で示す)内であるか否かを基に推測することができる。この判定範囲は、見本像60が構成される三次元座標空間において、見本像60の真正面に所定間隔を隔てた位置に設定される略矩形の平面範囲であり、換言すれば見本像60に対する仮想の表示部に相当する範囲である。このため、運動支援装置1の筺体12の高さ、第1表示部121a及び第2表示部121bの設置位置、並びに第1表示部121a及び第2表示部121bの大きさ等に基づいて、判定範囲は予め定められる。
【0062】
図14及び図15は、視線判定の結果の一例を示す模式図である。図示の判定結果は、例えば図10に示した「筋トレ1」の運動内容の30秒間について、見本像60の視線が所定の判定範囲内であるか否かを制御コンピュータ10が0.1秒間隔で判定したものである。図示の例においては、1.0秒〜1.1秒の間(時間T1)、2.0秒〜3.9秒の間(時間T2)、6.0秒〜9.9秒の間(時間T3)、12.0秒〜12.2秒の間(時間T4)、15.0秒〜20.9秒の間(時間T5)、及び22.0秒〜22.1秒の間(時間T6)にて、見本像60の視線が所定の判定範囲外と判定されている。なお、図示の例では視線判定を0.1秒毎に行っているが、一例であってこれに限るものではない。制御コンピュータ10は、運動DB105bの全ての運動内容について、表示用見本像データを基に上述の視線判定を予め行い、記憶部105に視線判定結果105cとして記憶しておくようにしてある。ただし、視線判定の処理は制御コンピュータ10が行わずに他のコンピュータにて予め行い、視線判定結果105cを制御コンピュータ10に記憶しておく構成としてもよい。
【0063】
運動支援装置1の制御コンピュータ10は、筺体12の操作部122によりユーザ50から運動の開始指示が与えられた場合、決定した運動メニュー(図10参照)に基づいて運動DB105bから表示用見本像データを取得して見本像60を第1表示部121a又は第2表示部121bに表示すると共に、サーバコンピュータ3から取得した楽曲データを再生してスピーカ123から出力するようにしてある。
【0064】
このとき、制御コンピュータ10は、運動DB105bから表示用見本像データを取得した運動内容に対応する視線判定結果105cを読み出し、見本像60の視線が所定範囲外と判定されている場合には、特定音として、見本像60の表示に対応付けてユーザ50に指示などを与える補助音声をスピーカ123から出力するようにしてある。制御用コンピュータ10は、例えば運動のテンポ若しくはタイミング等に同期した「1、2、3、4…」若しくは「右、左、右…」等のテンポ指示音声を補助音声(特定音)として出力する。また、制御コンピュータ10は、ユーザ50に視線の変更を促すための音声、例えば見本像60が視線を変更する直前に「正面を向いて下さい」若しくは「視線を戻して下さい」等の指示を与える視線変更指示音声を補助音声(特定音)として出力する。なお、これらの補助音声に係る音声データは、制御コンピュータ10の記憶部105に予め記憶してある。
【0065】
ただし、見本像60の視線が所定範囲外となる時間が極端に短い場合などでは補助音声を出力する必要性は低いため、制御コンピュータ10は、視線判定結果105cにおいて見本像60の視線が所定範囲外となる時間を調べ、この時間が予め定められた時間を超えるか否かに応じて、補助音声を出力するか否か、及びどのような補助音声を出力するか等を決定するようにしてある。
【0066】
図16は、補助音声の出力例を示す模式図であり、図14及び図15に示した視線判定結果に対して制御コンピュータ10が補助音声の出力の有無を決定したものである。また、制御コンピュータ10は、見本像60の視線が所定範囲外となる時間がTa秒(=1秒)未満の場合には補助音声は出力せず、Ta秒以上Tb秒(=5秒)未満の場合には補助音声としてテンポ指示音声を出力し、Tb秒以上の場合にはテンポ指示音声を出力した後、見本像60の視線が所定範囲内に戻るTc秒(=2秒)前から視線変更指示音声を出力するようにしてある。ただし、これらの判定基準となる時間Ta、Tb及びTcの値は一例であって、これに限るものではない。
【0067】
例えば図16において、見本像60の視線が所定範囲外となる時間T1、T4及びT6は、その時間が全てTa秒未満であるため、制御コンピュータ10は補助音声を出力しない。時間T2及びT3は、その時間が共にTa秒以上Tb秒未満であるため、制御コンピュータ10はテンポ指示音声を出力する。また、時間T5は、その時間がTb秒以上であるため、制御コンピュータ10はまずテンポ指示音声を出力し、その後に視線変更指示音声を視線が戻るTc秒前から出力する。
【0068】
このように、本発明に係る運動支援装置1は、第1表示部121a又は第2表示部121bに運動動作を行う見本像60を表示するのみでなく、見本像60の視線が所定範囲外の場合に特定音として補助音声を出力することができるため、ユーザ50が見本像60の動作を真似て運動を行う際に、ユーザ50が第1表示部121a又は第2表示部121bに表示された見本像60を直接的に視認できない体勢であっても、補助音声に従って運動動作を継続して行うことができる。
【0069】
以下に、運動支援装置1を含む本システムの処理をフローチャートを用いて説明する。図17は、運動支援装置1の制御コンピュータ10が行う視線判定処理の手順を示すフローチャートであり、制御コンピュータ10のCPU101が記憶部105に記憶された制御プログラム105aを実行することにより行われる処理である。まず、運動支援装置1の制御コンピュータ10は、運動DB105bに記憶された一の運動内容について、表示用見本像データを取得し(ステップS1)、この運動内容に含まれる一連の運動動作において視線判定を行う時刻tを0秒に設定する(ステップS2)。
【0070】
次いで、制御コンピュータ10は、取得した表示用見本像データを基に、見本像60の頭部61の向きなどから、設定された時刻tにおける視線の取得を行い(ステップS3)、取得した見本像60の視線が所定の範囲内であるか否かを調べる(ステップS4)。制御コンピュータ10は、見本像60の視線が所定の範囲内の場合(S4:YES)、判定結果として”範囲内”を記憶し(ステップS5)、また、見本像60の視線が所定範囲外の場合(S4:NO)、判定結果として”範囲外”を記憶して(ステップS6)、ステップS7へ進む。
【0071】
次いで、制御コンピュータ10は、視線判定を行った時刻tが取得した表示用見本像データの最大時刻であるか否かを調べる(ステップS7)。時刻tが最大時刻でない場合(S7:NO)、制御コンピュータ10は、視線判定を行う時刻tを例えば0.1秒などの所定時間進めて(ステップS8)、ステップS3へ戻り、見本像60の視線の取得及び判定を繰り返し行う。時刻tが最大時刻の場合(S7:YES)、制御コンピュータ10は、この運動内容についての視線判定処理を終了する。
【0072】
なお、図17に示す視線判定処理は、一つの運動内容についての処理であり、実際には制御コンピュータ10は運動DB105bに記憶されたすべての運動内容について図示の視線判定処理を行って、視線判定結果105cを作成して記憶部105に記憶するようにしてある。また、制御コンピュータ10による視線判定処理は、運動支援装置1によるユーザ50への運動支援のサービス提供開始前に予め行う必要がある。なお、この視線判定処理は、必ずしも運動支援装置1の制御コンピュータ10が行う必要はなく、その他のコンピュータにて視線判定処理を行って、視線判定結果105cを制御コンピュータ10の記憶部105に記憶する構成としてもよい。
【0073】
図18は、個人情報管理コンピュータ2が行う個人情報の受付処理の手順を示すフローチャートであり、個人情報管理コンピュータ2のCPU21が記憶部26に記憶された制御プログラム261を実行することにより行われる処理である。個人情報管理コンピュータ2は、表示部23に初期登録画面(図5参照)を表示し(ステップS21)、ユーザによる個人情報の入力を受け付けたか否かを調べ(ステップS22)、入力を受け付けていない場合は(S22:NO)、ステップS21へ戻り、初期登録画面を表示して個人情報の入力を待機する。
【0074】
ユーザによる個人情報の入力を受け付けた場合(S22:YES)、個人情報管理コンピュータ2は、記憶部26から個人情報DB262を読み出して(ステップS23)、個人情報DB262に未登録の識別情報を検索して新たなユーザに対する識別情報を決定する(ステップS24)。このとき、個人情報管理コンピュータ2は、決定した識別情報を表示部23に表示してユーザに通知してもよい。
【0075】
次いで、個人情報管理コンピュータ2は、記憶部26に記憶された運動レベル変換テーブル263を読み出して(ステップS25)、受け付けた個人情報の性別、年齢及び運動習慣から運動レベル変換テーブル263に基づいて運動レベルを決定する(ステップS26)。運動レベルの決定後、個人情報管理コンピュータ2は、受け付けた個人情報及び決定した運動レベルを個人情報DB262に記憶し(ステップS27)、処理を終了する。
【0076】
図19及び図20は、運動支援装置1の制御コンピュータ10が行う運動内容決定処理の手順を示すフローチャートであり、制御コンピュータ10のCPU101が記憶部105に記憶された制御プログラム105aを実行することにより行われる処理である。運動支援装置1の制御コンピュータ10は、筺体12に設けられた操作部122からユーザによる識別情報の入力を受け付けたか否かを調べ(ステップS41)、入力を受け付けていない場合には(S41:NO)、入力を受け付けるまで待機する。識別情報の入力を受け付けた場合(S41:YES)、制御コンピュータ10は、受け付けた識別情報に係る個人情報の取得要求を通信部110から通信網Nを介して個人情報管理コンピュータ2へ送信する(ステップS42)。
【0077】
その後、制御コンピュータ10は、個人情報管理コンピュータ2から送信された個人情報を通信部110にて受信したか否かを調べ(ステップS43)、受信していない場合には(S43:NO)、更に個人情報管理コンピュータ2から送信されたエラーを受信したか否かを調べる(ステップS44)。エラーを受信した場合(S44:YES)、制御コンピュータ10は、筺体12の第1表示部121a又は第2表示部121bに、ユーザが入力した識別情報に誤りが含まれている旨を通知するエラー表示を行って(ステップS45)、処理を終了する。エラーを受信していない場合(S44:NO)、制御コンピュータ10は、ステップS43へ戻って個人情報管理コンピュータ2からの個人情報の受信を待機する。個人情報管理コンピュータ2から個人情報を受信した場合(S43:YES)、制御コンピュータ10は、第1表示部121a又は第2表示部121bに受信した個人情報を表示する(ステップS46)。
【0078】
次いで、制御コンピュータ10は、トレーニング部位及び音楽ジャンルを設定するための設定画面(図8参照)を第1表示部121a又は第2表示部121bに表示して(ステップS51)、設定画面に設けられた設定ボタンに対する操作により、ユーザ50の設定を受け付けたか否かを調べる(ステップS52)。ユーザ50による設定を受け付けていない場合(S52:NO)、制御コンピュータ10は、ステップS51へ戻り、設定画面の表示を継続して設定の受け付けを待機する。ユーザ50によるトレーニング部位及び音楽ジャンルの設定を受け付けた場合(S52:YES)、制御コンピュータ10は記憶部105に記憶された運動DB105bを読み出す(ステップS53)。
【0079】
次いで、制御コンピュータ10は、ステップS43にて受信した個人情報に係る運動レベルと、ステップS52にて受け付けたトレーニング部位の設定とを基に、ウォーミングアップ用の運動DB105dから運動内容を取得することにより、ウォーミングアップの運動内容を決定する(ステップS54)。同様にして、制御コンピュータ10は、筋トレ用の運動DB105d及びステップ用の運動DB105dから運動レベル及びトレーニング部位に対応する運動内容を取得することにより第1〜第4サーキットの運動内容を決定し(ステップS55)、ストレッチ用の運動DB105dから運動内容を取得することによりストレッチの運動内容を決定して(ステップS56)、運動メニューを作成する。その後、制御コンピュータ10は、作成した運動メニューをRAM102に記憶して(ステップS57)、処理を終了する。
【0080】
図21は、個人情報管理コンピュータ2が行う個人情報の送信処理の手順を示すフローチャートであり、個人情報管理コンピュータ2のCPU21が記憶部26に記憶された制御プログラム261を実行することにより行われる処理である。個人情報管理コンピュータ2は、運動支援装置1の制御コンピュータ10から送信される個人情報取得要求(図19のステップS42参照)を通信部25にて受信したか否かを調べ(ステップS71)、受信していない場合は(S71:NO)、個人情報取得要求を受信するまで待機する。
【0081】
個人情報取得要求を受信した場合(S71:YES)、個人情報管理コンピュータ2は、記憶部26に記憶された個人情報DB262を読み出して(ステップS72)、取得を要求されたユーザの識別情報に該当する個人情報が個人情報DB262内に存在するか否かを調べる(ステップS73)。該当する個人情報が存在する場合(S73:YES)、個人情報管理コンピュータ2は、該当する個人情報を個人情報DB262から取得し(ステップS74)、取得した個人情報を通信部25から通信網Nを介して個人情報取得要求を送信した制御コンピュータ10へ送信し(ステップS75)、処理を終了する。該当する個人情報が存在しない場合(S73:NO)、個人情報管理コンピュータ2は、個人情報取得要求を送信した制御コンピュータ10へエラーを送信し(ステップS76)、処理を終了する。
【0082】
図22は、運動支援装置1の制御コンピュータ10が行う運動支援処理の手順を示すフローチャートであり、制御コンピュータ10のCPU101が記憶部105に記憶された制御プログラム105aを実行することにより行われる処理である。運動支援装置1の制御コンピュータ10は、筺体12に設けられた操作部122からユーザによる運動開始の指示を受け付けたか否かを調べ(ステップS91)、指示を受け付けていない場合には(S91:NO)、指示を受け付けるまで待機する。運動開始の指示を受け付けた場合(S91:YES)、制御コンピュータ10は、RAM102に記憶した運動メニュー(図20のステップS57参照)を読み出す(ステップS92)。
【0083】
次いで、制御コンピュータ10は、読み出した運動メニューに含まれる一の運動内容に係る表示用見本像データを運動DB105bから取得すると共に(ステップS93)、この運動内容に対応する視線判定結果105cを取得する(ステップS94)。制御コンピュータ10は、取得した表示用見本像データを基に、見本像60を構成して第1表示部121a又は第2表示部121bに表示する処理を行うと共に(ステップS95)、取得した視線判定結果105を基に、見本像60の視線が所定の範囲外であるか否かを調べる(ステップS96)。見本像60の視線が所定の範囲外の場合(S96:YES)、制御コンピュータ10は補助音声出力処理を行う(ステップS97)。
【0084】
図23は、運動支援装置1の制御コンピュータ10が行う補助音声出力処理の手順を示すフローチャートであり、図22に示すフローチャートのステップS97にて行われる処理である。制御コンピュータ10は、視線判定結果105cを基に、見本像60の視線が所定の範囲外となる時間が所定時間Ta未満であるか否かを調べ(ステップS111)、所定時間Ta未満でない場合には(S111:NO)、見本像60の視線が所定の範囲外となる時間が所定時間Tb(Tb>Ta)以上であるか否かをさらに調べる(ステップS112)。
【0085】
見本像60の視線が所定の範囲外となる時間が所定時間Ta未満の場合(S111:YES)、制御コンピュータ10は、補助音声を出力せずに、補助音声出力処理を終了する。見本像60の視線が所定の範囲外となる時間が所定時間Tb以上でない場合(S112:NO)、即ち見本像60の視線が所定の範囲外となる時間が所定時間Ta以上且つ所定時間Tb未満の場合、制御コンピュータ10は、補助音声としてテンポ指示音声をスピーカ123から出力し(ステップS114)、補助音声出力処理を終了する。
【0086】
見本像60の視線が所定の範囲外となる時間が所定時間Tb以上の場合(S112:YES)、制御コンピュータ10は、表示中の見本像60が視線が所定範囲内に戻る所定時間Tc秒前であるか否かを更に調べる(ステップS113)。制御コンピュータ10は、所定時間Tc秒前でない場合(S113:NO)、補助音声としてテンポ指示音声をスピーカ123から出力し(ステップS114)、また、所定時間Tc秒前の場合(S113:YES)、補助音声として視線変更指示音声を出力して(ステップS115)、補助音声出力処理を終了する。
【0087】
ステップS97にて補助音声出力処理を終了した後、又はステップS96にて見本像60の視線が所定の範囲内の場合(S96:NO)、制御コンピュータ10は、処理対象の運動内容について見本像60の表示処理及び補助音声の出力処理を終了したか否かを調べ(ステップS98)、終了していない場合には(S98:NO)、ステップS95へ戻り、この運動内容について見本像60の表示処理及び補助音声の出力処理を継続して行う。この運動内容について見本像60の表示処理及び補助音声の出力処理を終了した場合(S98:YES)、制御コンピュータ10は、運動メニューに含まれる全ての運動内容について処理を終了したか否かを更に調べる(ステップS99)。全ての運動内容について処理を終了していない場合(S99:NO)、制御コンピュータ10は、ステップS93へ戻り、運動メニューの次の運動内容についてステップS93〜S98の処理を行う。すべての運動内容について処理を終了した場合(S99:YES)、制御コンピュータ10は、運動支援処理を終了する。
【0088】
以上の構成の運動支援装置1においては、ポリゴン及びテクスチャ等で構成された三次元の見本像60を第1表示部121a又は第2表示部121bに表示すると共に、見本像60の視線が所定の範囲外となり、ユーザ50の視線が第1表示部121a又は第2表示部121bから外れて見本像60を視認できない虞があると推測される場合に、スピーカ123から特定音として補助音声を出力する構成とすることにより、ユーザ50が見本像60を視認できない姿勢又は体勢での運動を行っている場合であっても、補助音声に基づいた運動の支援を行うことができ、ユーザ50は見本像60を直接的に視認することなく運動を継続して行うことができる。また、見本像60の視線が所定範囲内の場合に補助音声を出力しないことにより、ユーザ50が見本像60を視認できる状況においては、補助音声が出力される煩わしさをユーザ50が感じることがない。よって、運動支援装置1の利便性を向上することができ、ユーザ50に運動を行うための快適な環境を提供することができる。
【0089】
また、見本像60の視線を判定するときに、視線が所定の範囲外となる時間が予め定められた時間Taより短いか否かを更に判定し、時間Taより短い場合には、補助音声を出力しないことにより、ユーザ50が一瞬又は短い時間のみ左右を向くなど、補助音声を出力する必要性が低い場合には補助音声の出力が行われないため、補助音声が出力される煩わしさをユーザ50が感じることがない。
【0090】
また、運動DB105bに記憶された表示用見本像データを基に見本像60の視線判定処理を予め行い、視線判定結果105cを予め記憶部105に記憶しておき、制御コンピュータ10が記憶部105から読み出した視線判定結果105cを基に補助音声の出力を行う構成とすることにより、制御コンピュータ10は見本像60を表示する都度、視線の判定を行う必要がないため、制御コンピュータ10の処理に対する負荷を低減することができる。
【0091】
また、特定音として出力する補助音声として「1、2、3、4…」又は「右、左、右、左…」等のテンポ指示音声を見本像60の運動動作のテンポ又はタイミングに合わせて出力することにより、ユーザ50はテンポ指示音声に合わせて運動動作を行うことができ、ユーザ50に次の運動に移るタイミングを知らせることができる。また、補助音声として「前を向いて下さい」などの視線変更指示音声を出力することにより、表示された見本像60を見ることができない状態のユーザ50に、視線を変更するタイミングを知らせることができる。また、見本像60として人物像を表示する構成としたが、これに限るものではなく、例えば擬人化された動物又はロボット等のキャラクターなどを見本像60として表示する構成としてもよい。
【0092】
なお、本実施の形態に係る運動支援装置1は、見本像60の視線が所定の範囲内であるか否かを予め判定して判定結果を記憶部105に記憶しておく構成としたが、これに限るものではなく、見本像60の表示処理と並行して視線判定の処理を行う構成としてもよい。また、特定音としてテンポ指示音声又は視線変更指示音声等の補助音声を出力する構成としたが、これに限るものではなく、例えば「右手をまっすぐ伸ばして下さい」又は「両手を上にあげてください」等の詳細な運動内容を指示する音声を特定音として出力する構成としてもよく、音声ではない特定のリズムなどを特定音として出力する構成としてもよい。
【0093】
(変形例)
上述の実施の形態に係る運動支援装置1は、第1表示部121a又は第2表示部121bに表示する見本像60の視線にのみ基づいて補助音声を出力する構成であるが、これに限らず、例えばカメラ124が撮像したユーザ50の画像からユーザ50の視線を検出し、見本像60の視線とユーザ50の視線とに基づいて補助音声を出力する構成としてもよい。カメラ124が撮像した画像からのユーザ50の視線検出は既存の顔認識技術などの画像処理を用いて行うことができる。例えば、画像のコントラストなどを基に2つの目に相当する部分を探し出し、この2つの目を含む領域が顔の構造を有するか否かを判断することで顔を検出することができ、検出した顔の部分に対する2つの目の位置などから視線を検出することができる。
【0094】
運動支援装置1の制御コンピュータ10は、カメラ124が撮像した画像に基づくユーザ50の視線検出を行い、例えば第1表示部121a又は第2表示部121bに表示された見本像60が正面を向いている(視線が所定の範囲内である)にも関わらず、ユーザ50の視線が第1表示部121a又は第2表示部121bに向いていない場合に、「前を向いて下さい」などの視線変更指示音声を出力することができる。
【0095】
図24は、変形例に係る運動支援装置1の制御コンピュータ10が行う運動支援処理の手順を示すフローチャートである。運動支援装置1の制御コンピュータ10は、筺体12に設けられた操作部122からユーザによる運動開始の指示を受け付けたか否かを調べ(ステップS131)、指示を受け付けていない場合には(S131:NO)、指示を受け付けるまで待機する。運動開始の指示を受け付けた場合(S131:YES)、制御コンピュータ10は、RAM102に記憶した運動メニュー(図20のステップS57参照)を読み出す(ステップS132)。
【0096】
次いで、制御コンピュータ10は、読み出した運動メニューに含まれる一の運動内容に係る表示用見本像データを運動DB105bから取得すると共に(ステップS133)、この運動内容に対応する視線判定結果105cを取得する(ステップS134)。制御コンピュータ10は、取得した表示用見本像データを基に、見本像60を構成して第1表示部121a又は第2表示部121bに表示する処理を行うと共に(ステップS135)、取得した視線判定結果105を基に、見本像60の視線が所定の範囲外であるか否かを調べる(ステップS136)。見本像60の視線が所定の範囲外の場合(S136:YES)、制御コンピュータ10は補助音声出力処理(図23参照)を行って(ステップS137)、ステップS141へ進む。
【0097】
見本像60の視線が所定の範囲内の場合(S136:NO)、制御コンピュータ10は、カメラ124が撮像した画像を基にユーザ50の視線を検出する処理を行って(ステップS138)、ユーザ50の視線が所定範囲(第1表示部121a又は第2表示部121bを視認できる範囲)外であるか否かを調べる(ステップS139)。ユーザ50の視線が所定の範囲外の場合(S139:YES)、制御コンピュータ10は、視線変更指示音声をスピーカ123から出力して(ステップS140)、ステップS141へ進む。ユーザ50の視線が所定の範囲内の場合(S139:NO)、制御コンピュータ10は、補助音声を出力することなくステップS141へ進む。
【0098】
その後、制御コンピュータ10は、処理対象の運動内容について見本像60の表示処理及び補助音声の出力処理を終了したか否かを調べ(ステップS141)、終了していない場合には(S141:NO)、ステップS135へ戻り、この運動内容について見本像60の表示処理及び補助音声の出力処理を継続して行う。この運動内容について見本像60の表示処理及び補助音声の出力処理を終了した場合(S141:YES)、制御コンピュータ10は、運動メニューに含まれる全ての運動内容について処理を終了したか否かを更に調べる(ステップS142)。全ての運動内容について処理を終了していない場合(S142:NO)、制御コンピュータ10は、ステップS133へ戻り、運動メニューの次の運動内容について上述の処理を行う。すべての運動内容について処理を終了した場合(S142:YES)、制御コンピュータ10は、運動支援処理を終了する。
【0099】
本変形例の運動支援装置1のように、見本像60が正面を向いているにもかかわらず、ユーザ50の視線が第1表示部121a又は第2表示部121bに向いていない場合に視線変更指示音声を出力する構成とすることにより、ユーザ50に対して運動の誤りを伝えることができるため、運動支援装置1の利便性をより向上することができ、ユーザ50に適切な運動を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明に係る運動支援装置を用いたシステムの全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明に係る運動支援装置の外観を示す模式的外観図である。
【図3】本発明に係る運動支援装置の構成を示すブロック図である。
【図4】個人情報管理コンピュータ及びサーバコンピュータの構成を示すブロック図である。
【図5】個人情報を登録するための初期登録画面の一例を示す模式図である。
【図6】個人情報DBの一構成例を示す模式図である。
【図7】運動レベル変換テーブルの一構成例を示す模式図である。
【図8】トレーニング部位及び音楽ジャンルの設定画面の一例を示す模式図である。
【図9】運動DBの一構成例を示す模式図である。
【図10】制御コンピュータが作成した運動メニューの一例を示す模式図である。
【図11】運動支援装置が表示する見本像の構成を説明するための模式図である。
【図12】運動支援装置が表示する見本像の構成を説明するための模式図である。
【図13】運動支援装置が表示する見本像の構成を説明するための模式図である。
【図14】視線判定の結果の一例を示す模式図である。
【図15】視線判定の結果の一例を示す模式図である。
【図16】補助音声の出力例を示す模式図である。
【図17】運動支援装置の制御コンピュータが行う視線判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図18】個人情報管理コンピュータが行う個人情報の受付処理の手順を示すフローチャートである。
【図19】運動支援装置の制御コンピュータが行う運動内容決定処理の手順を示すフローチャートである。
【図20】運動支援装置の制御コンピュータが行う運動内容決定処理の手順を示すフローチャートである。
【図21】個人情報管理コンピュータが行う個人情報の送信処理の手順を示すフローチャートである。
【図22】運動支援装置の制御コンピュータが行う運動支援処理の手順を示すフローチャートである。
【図23】運動支援装置の制御コンピュータが行う補助音声出力処理の手順を示すフローチャートである。
【図24】変形例に係る運動支援装置の制御コンピュータが行う運動支援処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0101】
1 運動支援装置
2 個人情報管理コンピュータ
3 サーバコンピュータ
10 制御コンピュータ
12 筺体
50 ユーザ(被支援者)
60 見本像
101 CPU(表示処理手段、視線取得手段、視線判定手段、音出力手段、時間検出手段、時間判定手段、判定結果取得手段、被支援者視線検出手段)
105 記憶部
105a 制御プログラム(コンピュータプログラム)
105b 運動DB
105c 視線判定結果
121a 第1表示部(表示部)
121b 第2表示部(表示部)
122 操作部
123 スピーカ
124 カメラ(カメラ)
A、A’、B、B’ 視線
N 通信網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動動作に係る動画像を表示部に表示する処理を行う表示処理手段を備える運動支援装置において、
前記表示処理手段は、頭部、胴体部及び手足部を有して前記運動動作を行う見本像を表示するようにしてあり、
前記見本像の視線を取得する視線取得手段と、
該視線取得手段が取得した視線が所定範囲内であるか否かを判定する視線判定手段と、
前記視線が所定範囲外であると前記視線判定手段が判定した場合に特定音を出力する音出力手段と
を備えることを特徴とする運動支援装置。
【請求項2】
前記視線取得手段が取得した視線が前記所定範囲外である時間を検出する時間検出手段と、
該時間検出手段が検出した時間が所定時間より短いか否かを判定する時間判定手段と
を更に備え、
前記音出力手段は、前記視線が所定範囲外であると前記視線判定手段が判定した場合であっても、前記時間が所定時間より短いと判定した場合には、前記特定音を出力しないようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の運動支援装置。
【請求項3】
運動動作に係る動画像を表示部に表示する処理を行う表示処理手段を備える運動支援装置において、
前記表示処理手段は、頭部、胴体部及び手足部を有して前記運動動作を行う見本像を表示するようにしてあり、
前記見本像の視線が所定範囲内であるか否かを判定した判定結果を取得する判定結果取得手段と、
該判定結果取得手段が取得した判定結果を基に、前記視線が所定範囲外の場合に特定音を出力する音出力手段と
を備えることを特徴とする運動支援装置。
【請求項4】
撮像手段と、
該撮像手段が撮像した被支援者の画像を基に、前記被支援者の視線を検出する被支援者視線検出手段と
を更に備え、
前記音出力手段は、前記見本像の視線が所定範囲内であるか否かの判定結果、及び前記被支援者視線検出手段が検出した被支援者の視線に応じて、前記特定音を出力するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の運動支援装置。
【請求項5】
前記特定音は、前記運動の動作のテンポ又はタイミングに合わせた音声であること
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の運動支援装置。
【請求項6】
前記特定音は、前記運動の動作に伴う視線の移動を指示する音声であること
を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の運動支援装置。
【請求項7】
コンピュータに、運動動作に係る動画像を表示部に表示させることにより被支援者の運動を支援させるコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、
前記動画像として、頭部、胴体部及び手足部を有して前記運動動作を行う見本像を表示させるステップと、
前記見本像の視線が所定範囲内であるか否かを判定させるステップと、
前記視線が所定範囲外であると判定した場合に特定音を出力させるステップと
を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項8】
コンピュータに、運動動作に係る動画像を表示部に表示させることにより被支援者の運動を支援させるコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、
前記動画像として、頭部、胴体部及び手足部を有して前記運動動作を行う見本像を表示させるステップと、
前記見本像の視線が所定範囲内であるか否かの判定結果を基に、前記視線が所定範囲外の場合に特定音を出力させるステップと
を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項9】
運動動作に係る動画像を表示部に表示して被支援者の運動を支援する運動支援方法において、
前記動画像として、頭部、胴体部及び手足部を有して前記運動動作を行う見本像を表示し、
前記見本像の視線を取得し、
取得した視線が所定範囲内であるか否かを判定し、
前記視線が所定範囲外であると判定した場合に特定音を出力すること
を特徴とする運動支援方法。
【請求項10】
運動動作に係る動画像を表示部に表示して被支援者の運動を支援する運動支援方法において、
前記動画像として、頭部、胴体部及び手足部を有して前記運動動作を行う見本像を表示し、
前記見本像の視線が所定範囲内であるか否かを判定した判定結果を取得し、
取得した判定結果を基に、前記視線が所定範囲外の場合に特定音を出力すること
を特徴とする運動支援方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2009−201800(P2009−201800A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48150(P2008−48150)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(396004833)株式会社エクシング (394)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)