説明

運転支援装置

【課題】不要な運転支援を抑制して運転者の煩わしさを解消することができる運転支援装置を実現する。
【解決手段】GPSモジュールと、他車両情報取得手段と、衝突可能性判定手段と、自車両と他車両とが衝突する可能性があると判定された場合に衝突する可能性があることを自車両の運転者に報知する情報提供手段とを備えた運転支援装置において、任意の地点を登録設定する登録設定手段と、登録設定手段により登録設定された地点を記憶する地点記憶手段とを備え、GPSモジュールにより検出された自車両の位置が地点記憶手段に記憶された地点に該当しない場合、かつ、衝突可能性判定手段により自車両と他車両とが衝突する可能性があると判定された場合に、情報提供手段により衝突する可能性があることを自車両の運転者に報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は運転支援装置に係り、特に、衝突可能性を判定して運転者に情報を提供する装置であって、不要な情報の提供を抑制することができる運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、交差点を直進したり、右左折する時に、自車両に接近する対象車両(四輪車/二輪車など)の他車両を検出して衝突の可能性を判定し、可能性が高い場合に運転者に情報を提供することで、出会い頭事故(交差点内において直進しようとする自車両と直進しようとする他車両との衝突事故)、右直事故(交差点内において右折しようとする自車両と直進しようとする他車両との衝突事故)、左折巻き込み事故(交差点内において左折しようとする自車両の左側を走行する二輪車などの他車両との衝突事故)などの発生を回避する運転支援装置を搭載しているものがある。
車車間通信を用いた運転支援装置では、GPSモジュールを使って自車両、他車両の位置(緯度・経度)を把握している。GPSモジュールにより高度情報も取得することが出来るが、現状では立体交差を判断できるほどの精度はない。このため、接近してくる他車両が、実際は自車両よりも上方あるいは下方にある道路を走行していて平面交差しないとしても、その判断は困難である。
【0003】
そこで、従来の運転支援装置には、電子地図を搭載することによって、平面交差しない他車両の判断を行うものがある。
また、従来の運転支援装置には、レーダー装置により上下方向に存在する物体を検出し、自車両と衝突し得ない非障害物体であるか、自車両と衝突する可能性がある障害物体であるかを推定するものがある。(特開2009−282760号)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−282760号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の運転支援装置では、レーダー装置により物体を検出しているため、システム構成が複雑になる問題がある。また、前記のように運転支援装置に電子地図を搭載したとしても、高架の上下の道路等や隣接する道路の判断は困難な場合がある。このため、現状では、電子地図を搭載したとしても、実際は交差しない他車両に対して、運転支援を行ってしまう状況が発生する。
従って、このような道路を通勤等で頻繁に通行する車両の運転者にとっては、煩わしい情報を提供する運転支援装置になってしまい、運転者により車車間通信による運転支援を停止されてしまう可能性がある。運転支援装置は、運転支援を停止されてしまうと、すべての地点で運転支援が出来なくなってしまう。
【0006】
この発明は、不要な運転支援を抑制して運転者の煩わしさを解消することができる運転支援装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、GPSを測位することによって自車両の位置を検出するGPSモジュールと、他車両の位置情報を取得する他車両情報取得手段と、前記GPSモジュールにより検出された自車両の位置情報と前記他車両情報取得手段により取得された他車両の位置情報とに基づいて自車両と他車両とが衝突する可能性があるか否かを判定する衝突可能性判定手段と、前記衝突可能性判定手段により自車両と他車両とが衝突する可能性があると判定された場合に衝突する可能性があることを自車両の運転者に報知する情報提供手段とを備えた運転支援装置において、任意の地点を登録設定する登録設定手段と、前記登録設定手段により登録設定された地点を記憶する地点記憶手段とを備え、前記GPSモジュールにより検出された自車両の位置が前記地点記憶手段に記憶された地点に該当しない場合、かつ、前記衝突可能性判定手段により自車両と他車両とが衝突する可能性があると判定された場合に、前記情報提供手段により衝突する可能性があることを自車両の運転者に報知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明は、自車両の位置が登録された地点に該当する場合は運転支援を行うことがないため、不要な運転支援を抑制して運転者の煩わしさを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は運転支援装置のシステム構成図である。(実施例1)
【図2】図2は不要な運転支援を説明するである。(実施例1)
【図3】図3は運転支援の不要地点登録のフローチャートである。(実施例1)
【図4】図4は運転支援の不要地点解除のフローチャートである。(実施例1)
【図5】図5は不要な運転支援抑制のフローチャートである。(実施例1)
【図6】図6は運転支援装置のシステム構成図である。(実施例2)
【図7】図7は運転支援の不要地点登録のフローチャートである。(実施例2)
【図8】図8は運転支援の不要地点解除のフローチャートである。(実施例2)
【図9】図9は不要な運転支援抑制のフローチャートである。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0011】
図1〜図5は、この発明の実施例1を示すものである。図1において、1は車両、2は運転支援装置である。車両1には、自車両1Aと他車両1Bとがあり、それぞれ運転支援装置2を搭載している。運転支援装置2は、車両1から電源を供給される簡易車車間通信システムユニット3からなり、GPSモジュール4と、通信モジュール5と、判断モジュール6と、情報提供モジュール7とを備えている。
前記GPSモジュール4は、複数のGPS衛星からGPS信号を受信するGPSアンテナ8を有している。GPSモジュール4は、GPS信号から自車両1Aの現在位置を測位することによって、自車両1Aの位置、進行方位、走行速度を検出する。
前記通信モジュール5は、受信機9及び送信機10を備え、他車両1Bとの間で信号を送受信する通信アンテナ11を有している。通信モジュール5は、自車両1A及び他車両1B間で自車両情報及び他車両情報(車両1の位置、進行方位、走行速度)を送受信する。
前記判断モジュール6は、他車両情報取得手段12と、衝突可能性判定手段13とを備えている。判断モジュール6には、外部の車速センサ14を接続している。判断モジュール6は、GPSモジュール4と車速センサ14から自車両1Aの位置、進行方位、走行速度の自車両情報を入力するとともに、通信モジュール5との間で自車両情報及び他車両情報を入出力する。
前記他車両情報取得手段12は、通信モジュール5の車車間通信により他車両1Bの位置、進行方位、走行速度の他車両情報を取得する。前記衝突可能性判定手段13は、GPSモジュール4により取得された自車両1Aの自車両情報と前記他車両情報取得手段12により取得された他車両1Bの他車両情報とに基づいて、自車両1Aと他車両1Bとの挙動を判定し、自車両1Aと他車両1Bとが衝突する可能性があるか否かを判定する。
前記情報提供モジュール7は、GPSモジュール4で検出した自車両1Aの位置、進行方位、走行速度を運転者に報知するとともに、衝突可能性判定手段13により自車両1Aと他車両1Bとが衝突する可能性があると判定された場合に、衝突する可能性があることの情報を自車両1Aの運転者に提供して報知する。
すなわち、情報提供モジュール7は、GPSモジュール4から入力する自車両1Aの位置、進行方位、走行速度だけでなく、判断モジュール6から入力する運転支援についてのHMI(Human Machine Interface)要求に応じて、スピーカの音声、ブザーの警告音、LEDの点滅灯等により、運転者に自車両1Aは他車両1Bと衝突する可能性があることを報知する情報提供手段を構成する。
【0012】
前記運転支援装置2は、判断モジュール6に、任意の地点を登録設定する登録設定手段15と、登録設定手段15により登録設定された地点を記憶する地点記憶手段16とを備えている。また、運転支援装置2は、任意の地点を登録設定に使用するボタンモジュール17を備えている。ボタンモジュール17は、運転支援が不要な任意の地点を登録するための登録ボタン18と、運転支援が不要な地点の登録を解除する解除ボタン19と、運転支援が不要な地点の報知設定をON、OFFする報知設定ボタン20と、各種操作を決定する決定ボタン21と、各種操作をキャンセルするキャンセルボタン22と、を有している。
判断モジュール6は、運転者が登録ボタン18の操作で入力した運転支援が不要な任意の地点を登録設定手段15により登録設定し、登録設定手段15により登録設定された運転支援が不要な地点を地点記憶手段16に記憶する。
判断モジュール6は、GPSモジュール4により検出された自車両1Aの位置が地点記憶手段16に記憶された地点に該当しない場合、かつ、衝突可能性判定手段13により自車両1Aと他車両1Bとが衝突する可能性があると判定された場合に、情報提供モジュール7により衝突する可能性があることを自車両1Aの運転者に報知する。
これより、判断モジュール6は、GPSモジュール4により検出された自車両1Aの位置が地点記憶手段16に記憶された地点に該当する場合に、情報提供モジュール7による運転支援の情報提供を行わない。
また、判断モジュール6は、GPSモジュール4により検出された自車両1Aの位置が地点記憶手段16に記憶された地点に該当する場合、情報提供モジュール7により運転支援しないことを自車両1Aの運転者に報知する。
なお、判断モジュール6は、運転者が登録ボタン18の操作で入力した運転支援が不要な地点の登録を、運転者が決定ボタン21を操作することで確認してから、登録設定手段15により地点記憶手段16に記憶する。また、判断モジュール6は、運転者が解除ボタン19を操作することで、地点記憶手段16に記憶された運転支援が不要な地点の記憶を削除して登録を解除する。
【0013】
次に作用を説明する。
運転支援装置2は、例えば、図2に示すように、高架道路R1の下を平行する高架下道路R2の交差点で自車両1Aが右折しようとするときに、自車両1Aに接近してくる他車両1Bが高架道路R1を走行している場合、平面交差していないので、他車両1Bが接近してくるとの運転支援の情報提供を抑制する。
運転支援装置2は、運転支援が不要な地点を登録することにより、運転支援の情報提供を抑制する。運転支援が不要な地点の登録は、例えば、ある地点で右直事故防止の運転支援が実施された後に、次の運転支援が実施される前に、登録ボタン18を押すことで、右直事故防止の運転支援が実施された地点を登録する。
図3に示すように、運転支援が不要な地点の登録設定は、登録設定のプログラムがスタートすると(A01)、右折車両と直進車両との事故を防止するための右直事故防止の運転支援が実施済みであるかを判断する(A2)。
この判断(A02)がNOの場合は、プログラムをエンドにする(A10)。この判断(A02)がYESの場合は、運転支援が不要な地点を登録する登録ボタン18が押されたかを判断する(A03)。
この判断(A03)がNOの場合は、プログラムをエンドにする(A10)。この判断(A03)がYESの場合は、運転支援が不要な地点の登録を確認するメッセージを情報提供モジュール7により音声出力し(A04)、決定ボタン21が押されたか、あるいはキャンセルボタン22が押されたかを判断する(A05)。
この判断(A05)でキャンセルボタン22が押された場合は、プログラムをエンドにする(A10)。この判断(A05)で決定ボタン21が押された場合は、右直事故防止の運転支援を実施した地点を運転支援不要な地点として登録して地点記憶手段16に記憶し(A06)、運転支援不要な地点の報知を確認するメッセージを情報提供モジュール7により音声出力し(A07)、決定ボタン21が押されたか、あるいはキャンセルボタン22が押されたかを判断する(A08)。
この判断(A08)でキャンセルボタン22が押された場合は、プログラムを終了する(A10)。この判断(A08)で決定ボタン21が押された場合は、運転支援が不要な地点の報知設定をONし(A09)、プログラムをエンドにする(A10)。
【0014】
また、運転支援装置2は、地点記憶手段16に記憶された運転支援が不要な地点の登録を解除することができる。
図4に示すように、運転支援が不要な地点の登録解除は、登録解除のプログラムがスタートすると(B01)、運転支援が不要な地点の登録を解除する解除ボタン19が押されたかを判断する(B2)。
この判断(B02)がNOの場合は、プログラムをエンドにする(B07)。この判断(B02)がYESの場合は、現在の地点と最寄りの運転支援が不要な地点の位置関係を計算し(B03)、最寄りの運転支援が不要な地点の登録を解除する確認のメッセージを情報提供モジュール7により音声出力し(B04)、決定ボタン21が押されたか、あるいはキャンセルボタン22が押されたかを判断する(B05)。
この判断(B05)でキャンセルボタン22が押された場合は、プログラムをエンドにする(B07)。この判断(B05)で決定ボタン21が押された場合は、地点記憶手段16に記憶された運転支援が不要な地点の記憶を削除して登録を解除し(B06)、プログラムをエンドにする(B07)。
【0015】
この運転支援装置2は、図5に示すように、不要な運転支援抑制のプログラムがスタートすると(C01)、自車両1Aが運転支援の不要な地点の範囲内にあるかを判断する(C02)。
運転支援装置2は、図3に示す処理により地点記憶手段16に記憶された運転支援が不要な地点を参照し、自車両1Aが運転支援の不要な地点の範囲内にあるかを判断する(C02)。
この判断(C02)がNOの場合は、自車両1Aの右折挙動の判定が成立するかを判断する(C03)。
この判断(C03)がNOの場合は、プログラムをエンドにする(C07)。この判断(C03)がYESの場合は、右直事故防止の対象となる他車両1Bが存在するかを判断する(C04)。
この判断(C04)がNOの場合は、プログラムをエンドにする(C07)。この判断(C04)がYESの場合は、他車両1Bとの衝突予測時間が閾値以下であるかにより衝突可能性を判断する(C05)。
この判断(C05)がNOの場合は、プログラムをエンドにする(C07)。この判断(C05)がYESの場合は、右直事故防止の運転支援を情報提供モジュール7により開始し(C06)、プログラムをエンドにする(C07)。
一方、前記自車両1Aが運転支援の不要な地点の範囲内にあるかの判断(C02)がYESの場合は、運転支援が不要な地点の報知設定がONであるかを判断する(C08)。
この判断(C08)がNOの場合は、プログラムをエンドにする(C07)。この判断(C08)がYESの場合は、運転支援が不要な地点であるとの報知を情報提供モジュール7により行い(C09)、プログラムをエンドにする(C07)。なお、運転支援が不要な地点の報知は、報知設定ボタン20を押すことで、任意にON・オフすることができる。
【0016】
このように、運転支援装置2は、自車両1Aの位置が地点記憶手段16に記憶された地点に該当しない場合、かつ、自車両1Aと他車両1Bとが衝突する可能性があると判定された場合に、衝突する可能性があることを自車両1Aの運転者に報知する。
これにより、この運転支援装置2は、自車両1Aの位置が登録された地点に該当する場合は運転支援を行うことがないため、不要な運転支援を抑制して運転者の煩わしさを解消することができる。
また、運転支援装置2は、GPSモジュール4により検出された自車両1Aの位置が地点記憶手段16に記憶された地点に該当する場合、情報提供モジュール7により運転支援しないことを自車両1Aの運転者に報知する。
これにより、この運転支援装置2は、登録された地点では運転支援しないことを報知するため、運転支援がされなくても運転者にとって違和感がないようにすることができる。
【実施例2】
【0017】
図6〜図9は、この発明の実施例2を示すものである。図6において、31は車両、32は運転支援装置である。車両31には、自車両31Aと他車両31Bとがあり、それぞれ運転支援装置32を搭載している。運転支援装置32は、車両31から電源を供給される車車間通信システムユニット33とナビゲーションシステムユニット34とからなる。車車間通信システムユニット33とナビゲーションシステムユニット34とは、登録情報の双方向通信を行う。
前記車車間通信システムユニット33は、通信モジュール35と、判断モジュール36とを備えている。
前記通信モジュール35は、受信機37及び送信機38を備え、他車両31Bとの間で信号を送受信する通信アンテナ39を有している。通信モジュール35は、自車両31A及び他車両31B間で自車両情報及び他車両情報(車両31の位置、進行方位、走行速度)を送受信する。
前記判断モジュール36は、他車両情報取得手段40と、衝突可能性判定手段41とを備えている。判断モジュール36には、車両側手段42を接続している。判断モジュール36は、ナビゲーションシステムユニット34から自車両1Aの位置、進行方位、走行速度、地図情報を入力するとともに、車両側手段42からウインカースイッチ、アクセルスイッチ、ブレーキスイッチなどの自車両情報を入力し、通信モジュール35との間で自車両情報及び他車両情報を入出力する。
前記他車両情報取得手段40は、通信モジュール35の車車間通信により他車両31Bの位置、進行方位、走行速度の他車両情報を取得する。前記衝突可能性判定手段41は、ナビゲーションシステムユニット34により取得された自車両31Aの自車両情報と前記他車両情報取得手段40により取得された他車両1Bの他車両情報とに基づいて、自車両31Aと他車両31Bとの挙動を判定し、自車両31Aと他車両31Bとが衝突する可能性があるか否かを判定する。
前記ナビゲーションシステムユニット34は、GPSモジュール43と、電子地図44と、情報提供モジュール45とを備えている。
前記GPSモジュール43は、ジャイロ、Gセンサを内蔵し、複数のGPS衛星からGPS信号を受信するGPSアンテナ46を有し、外部の車速センサ47を接続している。GPSモジュール43は、GPS信号から自車両31Aの現在位置を測位し、車速センサ47から入力する車速信号によって、自車両31Aの位置、進行方位、走行速度を検出する。前記電子地図44は、地図情報を記憶している。
前記情報提供モジュール45は、GPSモジュール43で検出した自車両31Aの位置、進行方位、走行速度に電子地図44の地図情報を合わせた自車両情報を運転者に表示する。また、情報提供モジュール45は、前記判断モジュール36の衝突可能性判定手段41により自車両31Aと他車両31Bとが衝突する可能性があると判定された場合に、衝突する可能性があることの情報を自車両31Aの運転者に提供して報知する。
すなわち、情報提供モジュール45は、GPSモジュール43と電子地図44とから入力する自車両31Aの位置、進行方位、走行速度、地図情報だけでなく、判断モジュール36から入力する運転支援についてのHMI(Human Machine Interface)要求に応じて、画面の表示、スピーカの音声、ブザーの警告音、LEDの点滅灯等により、運転者に自車両31Aは他車両31Bと衝突する可能性があることを報知する情報提供手段を構成する。
【0018】
前記運転支援装置32は、判断モジュール36に、任意の地点を登録設定する登録設定手段48と、登録設定手段48により登録設定された地点を記憶する地点記憶手段49とを備えている。また、運転支援装置32は、任意の地点を登録設定に使用するボタンモジュール50を備えている。ボタンモジュール50は、運転支援が不要な任意の地点を登録するための登録ボタン51と、運転支援が不要な地点の登録を解除する解除ボタン52と、運転支援が不要な地点の報知設定をON、OFFする報知設定ボタン53と、各種操作を決定する決定ボタン54と、各種操作をキャンセルするキャンセルボタン55と、運転支援が不要な地点の登録を設定、解除する編集モード移行する編集ボタン56とを有している。
判断モジュール36は、運転支援が不要な地点の登録を設定、解除する編集モードにおいて、運転者が登録ボタン51の操作で入力した運転支援が不要な任意の地点を登録設定手段48により登録設定し、登録設定手段48により登録設定された地点を地点記憶手段49に記憶する。
判断モジュール36は、ナビゲーションシステムユニット34により検出された自車両31Aの位置が地点記憶手段49に記憶された地点に該当しない場合、かつ、衝突可能性判定手段41により自車両31Aと他車両31Bとが衝突する可能性があると判定された場合に、情報提供モジュール45により衝突する可能性があることを自車両31Aの運転者に報知する。
これより、判断モジュール36は、ナビゲーションシステムユニット34により検出された自車両31Aの位置が地点記憶手段49に記憶された地点に該当する場合に、情報提供モジュール45による運転支援の情報提供を行わない。
また、判断モジュール36は、ナビゲーションシステムユニット34により検出された自車両31Aの位置が地点記憶手段49に記憶された地点に該当する場合、情報提供モジュール45により運転支援しないことを自車両31Aの運転者に報知する。
なお、判断モジュール36は、編集モードにおいて、運転者が登録ボタン51の操作で入力した運転支援が不要な任意の地点の登録を、運転者が決定ボタン54を操作することで確認してから、登録設定手段48により地点記憶手段49に記憶する。また、判断モジュール36は、編集モードにおいて、運転者が解除ボタン52を操作することで、地点記憶手段49に記憶された運転支援が不要な地点の記憶を削除して登録を解除する。
【0019】
次に作用を説明する。
運転支援装置32は、例えば、高架道路の下を平行する高架下道路の交差点で自車両31Aが右折しようとするときに、自車両31Aに接近してくる他車両31Bが高架道路を走行している場合、平面交差していないので、他車両31Bが接近してくるとの運転支援の情報提供を抑制する。
運転支援装置32は、運転支援が不要な地点を登録することにより、運転支援の情報提供を抑制する。運転支援が不要な地点の登録は、編集モードにおいて登録ボタン51を押すことで電子地図44の地図情報上に登録する。
図7に示すように、運転支援が不要な地点の登録設定は、登録設定のプログラムがスタートすると(D01)、編集ボタン56が押されて運転支援が不要な地点の登録、削除を行う編集モードであるかを判断する(D2)。
この判断(D02)がNOの場合は、プログラムをエンドにする(D10)。この判断(D02)がYESの場合は、情報提供モジュール45の画面上の位置を選択して運転支援が不要な地点を登録する登録ボタン51が押されたかを判断する(D03)。
この判断(D03)がNOの場合は、プログラムをエンドにする(D10)。この判断(D03)がYESの場合は、運転支援が不要な地点の登録を確認する画面を情報提供モジュール45により表示し(D04)、決定ボタン54が押されたか、あるいはキャンセルボタン55が押されたかを判断する(D05)。
この判断(D05)でキャンセルボタン55が押された場合は、プログラムをエンドにする(D10)。この判断(D05)で決定ボタン54が押された場合は、電子地図44の地図情報上の選択位置を運転支援が不要な地点として登録して地点記憶手段49に記憶し(D06)、運転支援不要な地点の報知を確認する画面を情報提供モジュール45により表示し(D07)、決定ボタン54が押されたか、あるいはキャンセルボタン55が押されたかを判断する(D08)。
この判断(D08)でキャンセルボタン55が押された場合は、プログラムを終了する(D10)。この判断(D08)で決定ボタン54が押された場合は、運転支援が不要な地点の報知設定をONし(D09)、プログラムをエンドにする(D10)。
【0020】
また、運転支援装置32は、地点記憶手段49に記憶された運転支援が不要な地点の登録を解除することができる。
図8に示すように、運転支援が不要な地点の登録解除は、編集ボタン56が押された編集モードにおいて、登録解除のプログラムがスタートすると(E01)、情報提供モジュール45の画面上の運転支援が不要な地点登録一覧から、あるいは画面上の運転支援が不要な地点が選択されているかを判断する(E02)。
この判断(E02)がNOの場合は、プログラムをエンドにする(E07)。この判断(E02)がYESの場合は、画面上の選択された運転支援が不要な地点の登録を解除する解除ボタン52が押されたかを判断する(E03)。
この判断(E03)がNOの場合は、プログラムをエンドにする(E07)。この判断(E03)がYESの場合は、選択されている運転支援が不要な地点の登録を解除する確認の画面を情報提供モジュール45により表示し(E04)、決定ボタン54が押されたか、あるいはキャンセルボタン55が押されたかを判断する(E05)。
この判断(E05)でキャンセルボタン55が押された場合は、プログラムをエンドにする(E07)。この判断(E05)で決定ボタン54が押された場合は、地点記憶手段49に記憶された運転支援が不要な地点の記憶を削除して登録を解除し(E06)、プログラムをエンドにする(E07)。
【0021】
この運転支援装置2は、図9に示すように、不要な運転支援抑制のプログラムがスタートすると(F01)、自車両31Aが運転支援の不要な地点の範囲内にあるかを判断する(F02)。
運転支援装置32は、図7に示す処理により地点記憶手段49に記憶された運転支援が不要な地点を参照し、自車両31Aが運転支援の不要な地点の範囲内にあるかを判断する(F02)。
この判断(F02)がNOの場合は、自車両31Aの右折挙動の判定が成立するかを判断する(F03)。
この判断(F03)がNOの場合は、プログラムをエンドにする(F07)。この判断(F03)がYESの場合は、右直事故防止の対象となる他車両31Bが存在するかを判断する(F04)。
この判断(F04)がNOの場合は、プログラムをエンドにする(F07)。この判断(F04)がYESの場合は、他車両31Bとの衝突予測時間が閾値以下であるかにより衝突可能性を判断する(F05)。
この判断(F05)がNOの場合は、プログラムをエンドにする(F07)。この判断(F05)がYESの場合は、右直事故防止の運転支援を情報提供モジュール45により開始し(F06)、プログラムをエンドにする(F07)。
一方、前記自車両31Aが運転支援の不要な地点の範囲内にあるかの判断(F02)がYESの場合は、運転支援が不要な地点の報知設定がONであるかを判断する(F08)。
この判断(F08)がNOの場合は、プログラムをエンドにする(F07)。この判断(F08)がYESの場合は、運転支援が不要な地点であるとの報知を情報提供モジュール45により行い(F09)、プログラムをエンドにする(F07)。なお、運転支援が不要な地点の報知は、報知設定ボタン53を押すことで、任意にON・オフすることができる。
【0022】
このように、運転支援装置32は、自車両31Aの位置が地点記憶手段49に記憶された地点に該当しない場合、かつ、自車両31Aと他車両31Bとが衝突する可能性があると判定された場合に、衝突する可能性があることを自車両31Aの運転者に報知する。
これにより、この運転支援装置32は、自車両31Aの位置が登録された地点に該当する場合は運転支援を行うことがないため、不要な運転支援を抑制して運転者の煩わしさを解消することができる。
また、運転支援装置32は、ナビゲーションシステムユニット34により検出された自車両31Aの位置が地点記憶手段49に記憶された地点に該当する場合、情報提供モジュール45により運転支援しないことを自車両31Aの運転者に報知する。
これにより、この運転支援装置32は、登録された地点では運転支援しないことを報知するため、運転支援がされなくても運転者にとって違和感がないようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
この発明は、不要な運転支援を抑制して運転者の煩わしさを解消することができるものであり、事故予防システムに適用が可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 車両
1A 自車両
1B 他車両
2 運転支援装置
3 簡易車車間通信システムユニット
4 GPSモジュール
5 通信モジュール
6 判断モジュール
7 情報提供モジュール
12 他車両情報取得手段
13 衝突可能性判定手段
14 車速センサ
15 登録設定手段
16 地点記憶手段
17 ボタンモジュール
18 登録ボタン
19 解除ボタン
20 報知設定ボタン
21 決定ボタン
22 キャンセルボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPSを測位することによって自車両の位置を検出するGPSモジュールと、他車両の位置情報を取得する他車両情報取得手段と、前記GPSモジュールにより検出された自車両の位置情報と前記他車両情報取得手段により取得された他車両の位置情報とに基づいて自車両と他車両とが衝突する可能性があるか否かを判定する衝突可能性判定手段と、前記衝突可能性判定手段により自車両と他車両とが衝突する可能性があると判定された場合に衝突する可能性があることを自車両の運転者に報知する情報提供手段とを備えた運転支援装置において、任意の地点を登録設定する登録設定手段と、前記登録設定手段により登録設定された地点を記憶する地点記憶手段とを備え、前記GPSモジュールにより検出された自車両の位置が前記地点記憶手段に記憶された地点に該当しない場合、かつ、前記衝突可能性判定手段により自車両と他車両とが衝突する可能性があると判定された場合に、前記情報提供手段により衝突する可能性があることを自車両の運転者に報知することを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記GPSモジュールにより検出された自車両の位置が前記地点記憶手段に記憶された地点に該当する場合、前記情報提供手段により運転支援しないことを自車両の運転者に報知することを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−109542(P2013−109542A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253450(P2011−253450)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】