説明

運転補助表示管理装置及び方法

【課題】プラントを直接的に構成する機器や装置に対応しないドキュメントや注意表示等を管理することができる運転補助表示管理装置及び方法を提供すること。
【解決手段】運転補助表示管理装置10は、プラントに付随する装置又は運用を識別するためのプラント付随情報と、運転補助表示物を示す表示物情報と、を関連付ける運転補助表示管理台帳を記憶する管理台帳DB31を備える。そして、運転補助表示管理装置10は、プラントに付随する装置又は運用が変更されたことを受け付け、受け付けた変更に応じて、管理台帳DB31に基づいて、変更された装置又は運用に関連付けられた表示物情報の一覧を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転補助表示管理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プラントを構成する設備機器についての大量の文書は、コンピュータシステムを利用して保管され、必要な時に容易に取り出すことができるように管理されている。このような、プラントについての大量の文書を効率的に管理し、必要とする文書を迅速、かつ、容易に取り出すことのできるシステムとして、特許文献1に開示される装置が知られている。
【0003】
特許文献1に開示された発電プラント文書管理装置は、発電プラントに関する文書の文書情報を決められた体系に従ってデータベースファイル及び光情報記録要素管理ファイルに保存し、保存された文書情報に対応する文書を、光情報記録媒体に保存する。そして、発電プラント文書管理装置は、検索要求に対してデータベースの文書情報を検索し、検索した文書情報に対応する光情報記録媒体保存のイメージを対話装置に表示する。さらに、発電プラント文書管理装置は、対話装置からの要求によってデータベースのファイルに保存された文書情報の中で不要になった文書情報を削除する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−325148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された発明は、発電プラントに関する文書の文書情報を決められた体系に従って保存するので、決められた体系に含まれない文書等を管理できない。例えば、決められた体系がプラントを構成するプロセス及び設備機器の体系である場合、特許文献1に開示された発明は、プラントを直接的に構成しない機器等に対応する文書や注意表示等を管理することが困難である。
【0006】
ここで、プラントの運転操作又は確認を補助するために設けられる表示物は、プラントを直接的に構成する機器等に対応しない表示物である。そのため、これらの表示物は、プラントを直接的に構成する機器等の変更があっても、更新されることなく、形骸化された状態で設置され続ける場合がある。そこで、プラントを直接的に構成する機器等に対応しないドキュメントや注意表示等を管理する装置が求められている。
【0007】
本発明は、プラントを直接的に構成する機器や装置に対応しないドキュメントや注意表示等を管理することができる運転補助表示管理装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0009】
(1) プラントの運転操作及び確認を助勢するための運転補助表示物を管理する運転補助表示管理装置であって、前記プラントに付随する装置又は運用を識別するためのプラント付随情報と、前記運転補助表示物を示す表示物情報と、を関連付ける運転補助表示管理台帳を記憶する管理台帳記憶手段と、前記プラントに付随する装置又は運用が変更されたことを受け付ける変更受付手段と、前記変更受付手段によって受け付けられた変更に応じて、前記管理台帳記憶手段に基づいて、変更された前記装置又は運用に関連付けられた前記表示物情報の一覧を出力する管理台帳出力手段と、を備える運転補助表示管理装置。
【0010】
(1)の構成によれば、本発明に係る運転補助表示管理装置は、プラントの運転操作及び確認を助勢するための運転補助表示物を管理する運転補助表示管理装置であって、プラントに付随する装置又は運用を識別するためのプラント付随情報と、運転補助表示物を示す表示物情報と、を関連付ける運転補助表示管理台帳を記憶する管理台帳記憶手段を備える。そして、運転補助表示管理装置は、プラントに付随する装置又は運用が変更されたことを受け付け、受け付けた変更に応じて、管理台帳記憶手段に基づいて、変更された装置又は運用に関連付けられた表示物情報の一覧を出力する。
【0011】
すなわち、本発明に係る運転補助表示管理装置は、プラントを直接的に構成する機器や装置に対応しない運転補助表示物を、プラントに付随する装置又は運用に関連付けて記憶し、プラントに付随する装置又は運用が変更されたことを受け付けて、変更された装置又は運用に関連付けられた表示物情報の一覧を出力する。したがって、本発明に係る運転補助表示管理装置は、プラントを直接的に構成する機器や装置に対応しない運転補助表示物を、プラントに付随する装置又は運用の変更に関連付けて管理し、プラントの安定及び安全運転に対する信頼度の向上を図ることができる。
【0012】
(2) 前記表示物情報を更新する要求を受け付ける表示物更新受付手段と、前記表示物更新受付手段によって受け付けられた前記表示物情報の更新要求に基づいて、前記管理台帳記憶手段に記憶された前記表示物情報を更新する管理台帳更新手段と、をさらに備える(1)に記載の運転補助表示管理装置。
【0013】
(2)の構成によれば、運転補助表示管理装置は、表示物情報を更新する要求を受け付け、受け付けた表示物情報の更新要求に基づいて、管理台帳記憶手段に記憶された表示物情報を更新する。
【0014】
したがって、本発明に係る運転補助表示管理装置は、表示物情報を更新するので、運転補助表示物の最新の状態を管理することができる。
【0015】
(3) 前記管理台帳更新手段によって更新された前記管理台帳記憶手段に記憶されている内容を配信する配信手段をさらに備える(2)に記載の運転補助表示管理装置。
【0016】
したがって、本発明に係る運転補助表示管理装置は、更新された運転補助表示管理台帳を配信するので、運転補助表示物についての情報を、関係者に迅速に周知することができる。
【0017】
(4) 前記配信手段は、更新された前記管理台帳記憶手段に記憶されている前記表示物情報のうち、更新された前記表示物情報のみを配信する(3)に記載の運転補助表示管理装置。
【0018】
したがって、本発明に係る運転補助表示管理装置は、更新された表示物情報のみを配信するので、運転補助表示物について更新された最新の状態を、関係者に迅速に周知させることができる。
【0019】
(5) 前記変更受付手段によって受け付けられた変更の日付を取得し、前記プラント付随情報に対応付けて前記管理台帳記憶手段に記憶させる付随情報変更日付手段と、前記表示物更新受付手段によって受け付けられた更新要求に基づいて前記管理台帳更新手段によって更新された更新の日付を取得し、前記更新要求された前記表示物情報に対応付けて前記管理台帳記憶手段に記憶させる表示物更新日付手段と、前記プラント付随情報に対応付けられた前記変更の日付と、前記表示物情報に対応付けられた前記更新の日付とを比較し、所定の期間内に前記更新の日付が前記変更の日付より新しくなるように更新されることを管理する表示物更新管理手段と、をさらに備える(2)から(4)のいずれかに記載された運転補助表示管理装置。
【0020】
(5)の構成によれば、運転補助表示管理装置は、プラントに付随する装置又は運用が変更されたことを受け付けた変更の日付を取得し、プラント付随情報に対応付けて管理台帳記憶手段に記憶させ、表示物情報を更新した更新の日付を取得し、更新要求された表示物情報に対応付けて管理台帳記憶手段に記憶させる。そして、運転補助表示管理装置は、プラント付随情報に対応付けられた変更の日付と、表示物情報に対応付けられた更新の日付とを比較し、所定の期間内に更新の日付が変更の日付より新しくなるように更新されることを管理する。
【0021】
したがって、本発明に係る運転補助表示管理装置は、プラントに付随する装置又は運用が変更された日付よりも、運転補助表示物の更新日付が新しいことを管理するので、プラントを直接的に構成する機器や装置に対応しない運転補助表示物が、更新されることなく、形骸化された状態で設置され続けることを防止することができる。
【0022】
(6) プラントに付随する装置又は運用を識別するためのプラント付随情報と、プラントの運転操作及び確認を助勢するための運転補助表示物を示す表示物情報と、を関連付ける運転補助表示管理台帳を記憶する管理台帳記憶手段を備える運転補助表示管理装置が実行する方法であって、前記プラントに付随する装置又は運用が変更されたことを受け付けるステップと、前記受け付けられた変更に応じて、前記管理台帳記憶手段に基づいて、変更された前記装置又は運用に関連付けられた前記表示物情報の一覧を出力するステップと、を備える方法。
【0023】
(6)の構成によれば、本発明に係る方法は、プラントに付随する装置又は運用を識別するためのプラント付随情報と、プラントの運転操作及び確認を助勢するための運転補助表示物を示す表示物情報と、を関連付ける運転補助表示管理台帳を記憶する管理台帳記憶手段を備える運転補助表示管理装置が実行する方法であって、プラントに付随する装置又は運用が変更されたことを受け付け、受け付けた変更に応じて、管理台帳記憶手段に基づいて、変更された装置又は運用に関連付けられた表示物情報の一覧を出力する。
【0024】
したがって、本発明に係る方法は、プラントを直接的に構成する機器や装置に対応しない運転補助表示物を、プラントに付随する装置又は運用の変更に関連付けて管理し、プラントの安定及び安全運転に対する信頼度の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、本発明に係る運転補助表示管理装置は、プラントを直接的に構成する機器や装置に対応しないドキュメントや注意表示等である運転補助表示物を、プラントに付随する装置又は運用に関連付けて管理し、プラントの安定及び安全運転に対する信頼度の向上を図ることができる。また、本発明に係る運転補助表示管理装置は、運転補助表示物の更新を管理し、運転補助表示管理台帳を配信して、運転補助表示物の最新の状態を関係者に迅速に周知させることができる。さらに、本発明に係る運転補助表示管理装置は、プラントに付随する装置又は運用の変更の日付と、運転補助表示物の更新の日付とを管理し、運転補助表示物が更新されることなく形骸化された状態で設置され続けること、を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る運転補助表示管理装置の特徴を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る運転補助表示管理装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る運転補助表示管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る管理台帳DBの例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る運転補助表示管理装置のプラント付随情報の一例を説明するための図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る運転補助表示管理装置の変更更新処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係る運転補助表示管理装置の更新管理処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係る運転補助表示管理装置がユーザ端末の表示装置に運転補助表示管理台帳を出力したことを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係る運転補助表示管理装置10の特徴を示すブロック図である。運転補助表示管理装置10は、管理台帳記憶手段として管理台帳DB31と、変更受付手段として変更受付部11と、管理台帳出力手段として管理台帳出力部12とを備えている。そして、運転補助表示管理装置10は、プラントの運転操作及び確認を助勢するための運転補助表示物を管理する。このような運転補助表示管理装置10について、各部ごとに詳述する。
【0029】
管理台帳DB31は、プラントに付随する装置又は運用を識別するプラント付随情報と、運転補助表示物を示す表示物情報と、を関連付ける運転補助表示管理台帳を記憶する。ここで、プラントに付随する装置は、プラントを直接的に構成する機器や、装置等を除いた、プラントの運用を補助するための機器や、装置等である。例えば、プラント1号機に付随する装置は、プラント1号機を直接的に構成する給水ポンプや、蒸気発生器等を除き、プラント1号機の運転状態を計測するための計測器や、火災時に使用する消火装置等を含む。また、プラントに付随する運用は、プラントを直接的に運用するための操作や、手順等を除いた、プラントの操作や確認を助勢するための手順や、注意事項等を含む。例えば、プラント1号機に付随する運用は、プラント1号機を起動させるための手順や、停止させるための手順等を除いた、プラント1号機を操作するに当たっての基本的な注意事項や、ヒューマンエラー発生防止のための注意喚起事項等を含む。運転補助表示物は、上述した手順や、注意事項等を表示する表示物であり、例えば、装置内のサンプリング点を示すパネルや、消火装置の操作手順を示す写真パネル等を含む。
【0030】
すなわち、管理台帳DB31は、上述したプラントに付随する装置又は運用を識別する付随情報であるプラント付随項目IDと、上述した運転補助表示物を示す表示情報である表示物管理番号等とを関連付けて記憶する(後述する図4参照)。例えば、管理台帳DB31は、プラント1号機のPCV内露点計サンプリング点を示すパネル(表事物管理番号:1−1)と、プラント1号機の動作確認を助勢するための項目であるサンプリング位置に付したプラント付随項目ID(例えば、1−C−001)とを対応付けて関連付けている。よって、運転補助表示管理装置10は、プラント1号機のサンプリング位置が変更された場合、サンプリング位置に関することを示すプラント付随項目IDによって管理台帳DB31に基づいて、サンプリング位置の変更に関連する運転補助表示物を抽出してユーザ端末60に出力することができ、運転補助表示物が更新されることなく形骸化された状態で設置され続けることを、防止することができる。
【0031】
変更受付部11は、プラントに付随する装置又は運用が変更されたことを受け付ける。例えば、変更受付部11は、ユーザ端末60からプラントに付随する装置又は運用を識別するプラント付随項目IDと、変更になったことを示す指示データとを受け付ける。
【0032】
管理台帳出力部12は、変更受付部11によって受け付けられた変更に応じて、管理台帳DB31に基づいて、変更された装置又は運用に関連付けられた表示物情報の一覧を出力する。管理台帳出力部12は、管理台帳DB31に記憶された全ての表示物情報の一覧を出力してもよいし、変更された装置又は運用に関連付けられた表示物情報のみの一覧を出力してもよい。管理台帳出力部12は、管理台帳DB31に記憶された内容を、例えば、プリンタやFaxに出力したり、管理台帳DB31に記憶された内容を運転補助表示管理台帳としてファイルに出力したりする。
【0033】
図2は、本発明の一実施形態に係る運転補助表示管理装置10の機能構成を示す機能ブロック図である。運転補助表示管理装置10は、図1の特徴に加えて、付随情報変更日付手段として付随情報変更日付部13と、表示物更新受付手段として表示物更新受付部14と、管理台帳更新手段として管理台帳更新部15と、表示物更新日付手段として表示物更新日付部16と、配信手段として配信部17と、表示物更新管理手段として表示物更新管理部18とを備えている。このような運転補助表示管理装置10について、各部ごとに詳述する。
【0034】
付随情報変更日付部13は、変更受付部11によって受け付けられた変更の日付を取得し、プラント付随情報に対応付けて管理台帳DB31に記憶させる。例えば、付随情報変更日付部13は、PCV内露点計サンプリング点が変更になったこと(例えば、プラント付随項目ID:1−C−001、指示データ:変更)を受け付けた日付を取得し、管理台帳DB31のプラント付随情報のうち、プラント付随項目IDの1−C−001に対応付けられた変更日に、取得した日付を記憶させる。日付は、運転補助表示管理装置10のプログラムを管理するOS(Operating System)が備えるカレンダ機能から取得される日付である。そして、付随情報変更日付部13は、表示物情報の更新又は確認日に更新を促すための注意フラグをセットする。
【0035】
表示物更新受付部14は、表示物情報を更新する要求を受け付ける。例えば、表示物更新受付部14は、PCV内露点計サンプリング点を示す運転補助表示物の更新要求を、表示物管理番号:1−1と、指示データ:更新要求とによって受け付ける。
【0036】
管理台帳更新部15は、表示物更新受付部14によって受け付けられた表示物情報の更新要求に基づいて、管理台帳DB31に記憶された表示物情報を更新する。管理台帳更新部15は、受け付けた表示物管理番号によって管理台帳DB31を検索し、検索した表示物管理番号に対応付けられた、例えば、運転補助表示、管理者、場所、表示状態及び表示状態の写真等を更新する。
【0037】
表示物更新日付部16は、表示物更新受付部14によって受け付けられた更新要求に基づいて管理台帳更新部15によって更新された更新の日付を取得し、更新要求された表示物情報に対応付けて管理台帳DB31に記憶させる。例えば、表示物更新日付部16は、表示物更新受付部14によって受け付けられた、PCV内露点計サンプリング点を示す運転補助表示物の更新要求(表示物管理番号:1−1、指示データ:更新要求)に基づいて管理台帳更新部15によって更新された更新の日付を取得し、管理台帳DB31の表示物情報のうち、表示物管理番号:1−1に対応付けられた更新又は確認日に、取得した日付を記憶させる。
【0038】
配信部17は、管理台帳更新部15によって更新された管理台帳DB31に記憶されている内容を配信する。さらに、配信部17は、更新された管理台帳DB31に記憶されている表示物情報のうち、更新された表示物情報のみを配信する。例えば、配信部17は、管理台帳出力部12によって出力された運転補助表示管理台帳のファイルを、管理台帳DB31に記憶されている運転補助表示物の管理者に、メール等により配信する。さらに、配信部17は、例えば更新された表示物情報のみを配信するという設定によって、更新された運転補助表示物の表示物情報のみのファイルをメール等により配信する。
【0039】
表示物更新管理部18は、プラント付随情報に対応付けられた変更の日付と、表示物情報に対応付けられた更新の日付とを比較し、所定の期間内に更新の日付が変更の日付より新しくなるように更新されることを管理する。例えば、表示物更新管理部18は、定期的に管理台帳DB31を参照し、プラント付随情報のプラント付随項目IDに対応付けられた変更日と、表示物情報の更新又は確認日とを比較する。そして、表示物更新管理部18は、所定の期間内(例えば、1ヶ月内)に、表示物情報の更新又は確認日が変更日より新しくならない場合に、注意を促すための警告等を出力する。
【0040】
図3は、本発明の一実施形態に係る運転補助表示管理装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。運転補助表示管理装置10は、CPU(Central Processing Unit)1000、通信I/F1040、メインメモリ1050、BIOS(Basic Input Output System)1060、I/Oコントローラ1070、ハードディスク1074、表示装置1080及び入力装置1100を備え、バスライン1005により接続されている。
【0041】
CPU1000は、運転補助表示管理装置10を統括的に制御する部分であり、ハードディスク1074に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0042】
通信I/F1040は、運転補助表示管理装置10を専用ネットワーク又は公共ネットワークを介して他のサーバ等と接続できるようにするためのネットワーク・アダプタである。例えば、運転補助表示管理装置10は、通信I/F1040を介してユーザ端末60からプラントに付随する装置又は運用が変更されたことや、運転補助表示物の更新要求を受け付けたり、運転補助表示管理台帳を関係者に配信したりする。
【0043】
メインメモリ1050は、CPU1000によって適宜読み出して実行されるプログラムを記憶し、プログラムの実行によって作成される種々の情報を記憶する。BIOS1060は、運転補助表示管理装置10の起動時にCPU1000が実行するブートプログラムや、運転補助表示管理装置10のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0044】
I/Oコントローラ1070には、ハードディスク1074等の記憶手段を接続することができる。ハードディスク1074は、運転補助表示管理装置10が本発明の機能を実行するためのプログラムを記憶しており、管理台帳DB31等を記憶している。
【0045】
運転補助表示管理装置10に提供されるプログラムは、ハードディスク1074、又はメモリカード等の記録媒体に格納されて提供される。このプログラムは、I/Oコントローラ1070を介して、記録媒体から読み出され、又は通信I/F1040を介してサーバ(図示せず)からダウンロードされることによって、運転補助表示管理装置10にインストールされ実行されてもよい。
【0046】
表示装置1080は、オペレータの指示を受け付けるメッセージや、警報するメッセージ及び画像等を表示するものであり、ブラウン管表示装置、液晶表示装置等のディスプレイ装置を含む。入力装置1100は、運転補助表示管理装置10のオペレータによる入力を行う装置であり、キーボード及びマウス等で構成される。
【0047】
図4は、本発明の一実施形態に係る管理台帳DB31の例を示す図である。管理台帳DB31は、運転補助表示物を示す表示物情報と、プラントに付随する装置又は運用を識別するプラント付随情報とを記憶している。表示物情報は、表示物管理番号と、運転補助表示物の表示内容である運転補助表示と、運転補助表示物を管理する管理者と、運転補助表示物を設置する場所と、運転補助表示物を更新した日又は確認した日である更新又は確認日と、運転補助表示物の表示状態と、運転補助表示物の表示状態の写真等とを含む。ここで運転補助表示物を管理する管理者は、管理者名や、メールアドレス等の送信先アドレスを含む。運転補助表示物の確認日は、プラント付随情報が変更され、変更されたプラント付随情報に関連付けられた運転補助表示物について現状のままで更新する必要がないことを確認した日であって、表示物更新受付部14によって受け付けられる。プラント付随情報は、プラント付随情報の項目を識別するプラント付随項目IDと、プラント付随情報の内容について変更した日である変更日とを記憶している。プラント付随項目ID及び変更日は、表示物情報に対応付けて2個以上記憶されてもよい。管理台帳DB31の作成及び追加や、管理台帳DB31のプラント付随項目IDの追加及び修正は、運転補助表示管理装置10によってされてもよいし、他のシステムによってされてもよい。
【0048】
図5は、本発明の一実施形態に係る運転補助表示管理装置10のプラント付随情報の一例を説明するための図である。例えば、プラント付随情報は、図5に示すようなプラント付随情報テーブルとして表わされる。プラント付随情報テーブルは、運転補助表示管理装置10のハードディスク1074に記憶されていてもよいし、他のシステムによって管理されていてもよい。例えば、プラント付随情報テーブルは、プラントごとに、プラント付随項目IDと、プラント付随項目の内容等とを記憶している。よって、プラントに付随する装置又は運用の変更に対し、プラント付随情報テーブルによって対応付けられたプラント付随項目IDを、運転補助表示管理装置10は、受け付けることができる。プラント付随項目は、例えば、運転補助表示物の追加と共に適宜追加される。
【0049】
図6は、本発明の一実施形態に係る運転補助表示管理装置10の変更更新処理を示すフローチャートである。本処理は、プログラムの開始指令により開始し、プログラムの終了により終了する。
【0050】
ステップS101において、CPU1000(変更受付部11)は、プラントに関する装置又は運用の変更か否かを判断する。より具体的には、CPU1000は、ユーザ端末60から受信したデータがプラントに付随する装置又は運用の変更を示すデータ(例えば、プラント付随項目ID)か否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU1000は、処理をステップS107に移し、NOの場合、CPU1000は、処理をステップS102に移す。
【0051】
ステップS102において、CPU1000(表示物更新受付部14)は、運転補助表示物の更新か否かを判断する。より具体的には、CPU1000は、ユーザ端末60から受信したデータが運転補助表示物の更新を示すデータ(例えば、表示物管理番号、新しい表示物情報等)か否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU1000は、処理をステップS103に移し、NOの場合、CPU1000は、処理を終了する。
【0052】
ステップS103において、CPU1000(管理台帳更新部15、表示物更新日付部16)は、管理台帳DB31に記憶された表示物情報を更新する。より具体的には、CPU1000は、ステップS102において受信した表示物管理番号によって、管理台帳DB31を検索し、検索した表示物管理番号に対応付けて記憶されている運転補助表示、管理者、場所、表示状態及び表示状態の写真等のデータを更新する。そして、CPU1000は、日付を取得し、管理台帳DB31の更新又は確認日に記憶させる。その後、CPU1000は、処理をステップS104に移す。
【0053】
ステップS104において、CPU1000(管理台帳出力部12、配信部17)は、運転補助表示物管理台帳の内容を全て配信するか否かを判断する。より具体的には、CPU1000は、配信用の設定値(例えば、設定値が0の場合、全て配信し、設定値が1の場合、該当するデータのみを配信する)によって運転補助表示物管理台帳の内容を全て配信するか否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU1000は、処理をステップS105に移し、NOの場合、CPU1000は、処理をステップS106に移す。
【0054】
ステップS105において、CPU1000(管理台帳出力部12、配信部17)は、管理台帳DB31の内容を全て配信する。より具体的には、CPU1000は、管理台帳DB31に記憶された表示物情報及びプラント付随情報のデータを全てファイル化し、管理台帳DB31に記憶されている管理者のメールアドレスに重複を除いて送信する。その後、CPU1000は、処理を終了する。
【0055】
ステップS106において、CPU1000(管理台帳出力部12、配信部17)は、管理台帳DB31に記憶された運転補助表示物のうち、更新された運転補助表示物のデータを配信する。より具体的には、CPU1000は、管理台帳DB31に記憶された表示物情報及びプラント付随情報のうち、更新された運転補助表示物の表示物情報及びプラント付随情報のデータをファイル化し、更新された運転補助表示物の管理者として管理台帳DB31に記憶されている管理者のメールアドレスに送信する。その後、CPU1000は、処理を終了する。
【0056】
ステップS107において、CPU1000(付随情報変更日付部13、管理台帳出力部12、配信部17)は、管理台帳DB31に基づいて、運転補助表示管理台帳を出力する。より具体的には、CPU1000は、ステップS101において受信したプラント付随項目IDによって管理台帳DB31を検索し、検索したプラント付随項目IDに対応する変更日に、取得した日付を記憶させる。そして、CPU1000は、検索したプラント付随項目IDに対応付けられた表示物情報を抽出し、抽出した表示物情報の変更又は確認日に注意フラグを記憶させる。そして、CPU1000は、管理台帳DB31に記憶された表示物情報及びプラント付随情報のデータをファイル化し、運転補助表示物の管理者として管理台帳DB31に記憶されている管理者のメールアドレスに送信する。その後、CPU1000は、処理を終了する。
【0057】
図7は、本発明の一実施形態に係る運転補助表示管理装置10の更新管理処理を示すフローチャートである。本処理は、プログラムを管理するOS(Operating System)のもとで定期的に開始し、プログラムの終了により終了する。
【0058】
ステップS201において、CPU1000(表示物更新管理部18)は、管理台帳DB31を参照し、更新又は確認日が変更日より新しいか否かを判断する。より具体的には、CPU1000は、運転補助表示物ごとに、更新又は確認日と、変更日とを比較し、更新又は確認日の値が変更日の値以上であるか否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU1000は、処理をステップS204に移し、NOの場合、CPU1000は、処理をステップS202に移す。
【0059】
ステップS202において、CPU1000(表示物更新管理部18)は、変更日から所定の期間内か否かを判断する。より具体的には、CPU1000は、変更日と現在の日付とを比較し、現在の日付が変更日から所定の期間(例えば、1ヶ月)内であるか否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU1000は、処理をステップS204に移し、NOの場合、CPU1000は、処理をステップS203に移す。
【0060】
ステップS203において、CPU1000(表示物更新管理部18)は、更新又は確認日が変更日よりも古い運転補助表示物について管理者に配信する。より具体的には、CPU1000は、更新又は確認日が変更日よりも古い運転補助表示物を管理台帳DB31から抽出し、抽出した表示物情報及びプラント付随情報のデータをファイル化し、抽出した運転補助表示物の管理者に送信する。その後、CPU1000は、処理をステップS204に移す。
【0061】
ステップS204において、CPU1000(表示物更新管理部18)は、全ての運転補助表示物について処理したか否かを判断する。より具体的には、CPU1000は、管理台帳DB31の全ての運転補助表示物について、更新又は確認日と変更日との比較をしたか否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU1000は、処理を終了し、NOの場合、CPU1000は、処理をステップS201に移す。
【0062】
図8は、本発明の一実施形態に係る運転補助表示管理装置10がユーザ端末60の表示装置61に運転補助表示管理台帳を出力したことを示す図である。図8の例は、プラント付随項目IDの1−C−002(例えば、消火装置)の内容が変更されたので、運転補助表示物管理台帳をファイル化し、管理者のユーザ端末60に送信し、ユーザ端末60が受信した運転補助表示物管理台帳のファイルを表示装置61に表示していることを示す例である。また、図8の例は、運転補助表示管理装置10が、変更に関連する表示物情報を抽出し、表示物情報の更新又は確認日に注意フラグ(マーク101)をセットして管理していることを示し、運転補助表示物管理台帳を受信したユーザ端末60が表示装置61に、注意フラグ(マーク101)がセットされた表示物情報をマーク表示201のように強調して表示させていることを示す例である。なお、管理番号1−2の運転補助表示物が更新され、更新又は確認日がプラント付随情報の変更日よりも新しくされると、運転補助表示管理装置10は、管理台帳DB31に記憶させたマーク101を消去する。運転補助表示管理装置10は、運転補助表示物を更新した場合に、同様に運転補助表示管理台帳を送信し、ユーザ端末60の表示装置61は、同様な表示をする。さらに、運転補助表示管理装置10は、プラント付随情報の変更日から所定の期間を超えても、表示物情報の更新又は確認日が変更日より新しくならなかったことを検出した場合に、該当する表示物情報及びプラント付随情報のデータをファイル化し、注意のメッセージと共に運転補助表示物の管理者に送信する。送信されたメッセージ等を受信した管理者のユーザ端末60の表示装置61は、注意のメッセージの表示と共に、図8の表示の例と同様な表示をする。
【0063】
実施形態によれば、運転補助表示管理装置10は、プラントに付随する装置又は運用を識別するためのプラント付随情報と、運転補助表示物を示す表示物情報と、を関連付ける運転補助表示管理台帳を記憶する管理台帳DB31を備える。そして、運転補助表示管理装置10は、プラントに付随する装置又は運用が変更されたことを受け付け、受け付けた変更に応じて、管理台帳DB31に基づいて、変更された装置又は運用に関連付けられた表示物情報の一覧を出力する。
【0064】
さらに、運転補助表示管理装置10は、表示物情報を更新する要求を受け付け、受け付けた表示物情報の更新要求に基づいて、管理台帳DB31に記憶された表示物情報を更新し、更新された管理台帳DB31に記憶されている内容を配信したり、更新された管理台帳DB31に記憶されている表示物情報のうち、更新された表示物情報のみを配信したりする。
【0065】
さらに、運転補助表示管理装置10は、プラントに付随する装置又は運用の変更を受け付けた変更日と、運転補助表示物を更新した更新日とを比較し、所定の期間内に更新日が変更日より新しくならない場合に、該当する運転補助表示物を管理台帳DB31から抽出し、運転補助表示物の管理者に送信する。
【0066】
したがって、運転補助表示管理装置10は、プラントを直接的に構成する機器や装置に対応しないドキュメントや注意表示等である運転補助表示物を管理し、プラントの安定及び安全運転に対する信頼度の向上を図ることができる。また、運転補助表示管理装置10は、運転補助表示物の更新を管理し、運転補助表示管理台帳を配信して、運転補助表示物の最新の状態を関係者に迅速に周知させることができる。さらに、運転補助表示管理装置10は、プラントに付随する装置又は運用の変更の日付と、運転補助表示物の更新の日付とを管理し、運転補助表示物が更新されることなく形骸化された状態で設置され続けること、を防止することができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0068】
10 運転補助表示管理装置
11 変更受付部
12 管理台帳出力部
13 付随情報変更日付部
14 表示物更新受付部
15 管理台帳更新部
16 表示物更新日付部
17 配信部
18 表示物更新管理部
31 管理台帳DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントの運転操作及び確認を助勢するための運転補助表示物を管理する運転補助表示管理装置であって、
前記プラントに付随する装置又は運用を識別するためのプラント付随情報と、前記運転補助表示物を示す表示物情報と、を関連付ける運転補助表示管理台帳を記憶する管理台帳記憶手段と、
前記プラントに付随する装置又は運用が変更されたことを受け付ける変更受付手段と、
前記変更受付手段によって受け付けられた変更に応じて、前記管理台帳記憶手段に基づいて、変更された前記装置又は運用に関連付けられた前記表示物情報の一覧を出力する管理台帳出力手段と、
を備える運転補助表示管理装置。
【請求項2】
前記表示物情報を更新する要求を受け付ける表示物更新受付手段と、
前記表示物更新受付手段によって受け付けられた前記表示物情報の更新要求に基づいて、前記管理台帳記憶手段に記憶された前記表示物情報を更新する管理台帳更新手段と、をさらに備える請求項1に記載の運転補助表示管理装置。
【請求項3】
前記管理台帳更新手段によって更新された前記管理台帳記憶手段に記憶されている内容を配信する配信手段をさらに備える請求項2に記載の運転補助表示管理装置。
【請求項4】
前記配信手段は、更新された前記管理台帳記憶手段に記憶されている前記表示物情報のうち、更新された前記表示物情報のみを配信する請求項3に記載の運転補助表示管理装置。
【請求項5】
前記変更受付手段によって受け付けられた変更の日付を取得し、前記プラント付随情報に対応付けて前記管理台帳記憶手段に記憶させる付随情報変更日付手段と、
前記表示物更新受付手段によって受け付けられた更新要求に基づいて前記管理台帳更新手段によって更新された更新の日付を取得し、前記更新要求された前記表示物情報に対応付けて前記管理台帳記憶手段に記憶させる表示物更新日付手段と、
前記プラント付随情報に対応付けられた前記変更の日付と、前記表示物情報に対応付けられた前記更新の日付とを比較し、所定の期間内に前記更新の日付が前記変更の日付より新しくなるように更新されることを管理する表示物更新管理手段と、
をさらに備える請求項2から4のいずれかに記載された運転補助表示管理装置。
【請求項6】
プラントに付随する装置又は運用を識別するためのプラント付随情報と、プラントの運転操作及び確認を助勢するための運転補助表示物を示す表示物情報と、を関連付ける運転補助表示管理台帳を記憶する管理台帳記憶手段を備える運転補助表示管理装置が実行する方法であって、
前記プラントに付随する装置又は運用が変更されたことを受け付けるステップと、
前記受け付けられた変更に応じて、前記管理台帳記憶手段に基づいて、変更された前記装置又は運用に関連付けられた前記表示物情報の一覧を出力するステップと、
を備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−186886(P2011−186886A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52808(P2010−52808)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】