説明

過炭酸ナトリウム粒子、それらの製造方法、それらの使用及びそれらを含有する洗剤組成物

12週間40℃で保存した後に40℃で測定すると5μW/gよりも少ない熱放出量を表すか、又は8週間55℃で保存した後に少なくとも70%のAvox回収率を表す向上した長期間安定性を有する、過炭酸ナトリウム粒子。これらの粒子の製造方法。洗剤組成物における漂白剤としてのこれらの粒子の使用及びそれらを含有する洗剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、向上した安定性、及び特に長期間の安定性を示す過炭酸ナトリウム粒子に関する。
【0002】
家庭用の衣類洗浄又は食器洗浄のための洗剤組成物における漂白剤としての過炭酸ナトリウム(又は炭酸ナトリウムペルオキシハイドレート)の使用は、よく知られている。一般的に、そのような洗剤組成物は、他の成分として、ビルダー材料としてのゼオライト、酵素、漂白賦活剤及び/又は香料を含有する。しかし、過炭酸ナトリウムと他の調合成分の間の相互作用は、過炭酸塩の進行性の分解を導き、従って該組成物の保存及び移動中に漂白力の損失を導く。この問題を克服するための多くの提案がなされており、これらは過炭酸ナトリウムとその周囲の間にコーティング層と呼ばれる層を介入させることによるものである。例えば、英国特許出願第1538893号明細書では、硫酸ナトリウムが該コーティング層の成分の一つとして用いられており、国際出願WO 96/14389号明細書では、マグネシウム塩が用いられている。米国特許第4526698号明細書では、ホウ酸塩が用いられている。これら公知のコーティング層は、コーティングされた過炭酸ナトリウム粒子が漂白調合物に用いられるときにすでに向上した安定性を生じている。しかし、これまで、長い保存期間の後であっても依然として好適な特性を示し、洗剤における漂白剤として用いられる過炭酸ナトリウムは得られていない。
【0003】
本発明の目的は、用いられる前に長期間そのまま又は調合生成物で保存されたときに、公知のコーティングされた過炭酸ナトリウム粒子と比較して、向上した長期間の安定性を示す新規の過炭酸ナトリウム粒子を提供することである。過炭酸ナトリウム粒子の長期間安定性は、2つの異なる方法で表現することができる。
【0004】
第一の方法では、3.5mLの閉じたアンプル中に12週間40℃において1gの生成物を保存した後に、40℃における熱排出量を測定することで表される。マイクロ熱量計による熱排出量の測定は、LKB2277バイオ活性モニターを用いる熱流又は熱放散原理によって構成される。コーティングされた過炭酸ナトリウム粒子を含有するアンプルと温度制御されている水浴との間の熱流が測定され、公知の反応熱を有する参照材料と比較される。
【0005】
第二の方法では、長期間安定性は、3.5mLの閉じたアンプル中に8週間55℃において1gの生成物を保存した後のAvox(又は有効酸素含有量)回収率で表される。Avox回収率は、最初の有効酸素含有量の%で表す保存前後の有効酸素含有量間の差に相当する。有効酸素含有量は、以下に説明されるように測定する。
【0006】
従って、本発明は、12週間40℃で保存した後に40℃で測定(上記の通り)すると5μW/gよりも少ない熱放出量を表す長期間安定性を有する過炭酸ナトリウム粒子に関する。特に、該長期間熱放出量は、4μW/gよりも少なく、好ましくは3μW/gよりも少なく、及び最も好ましくは2μW/gよりも少ない。
【0007】
本発明はまた、少なくとも70%のAvox回収率(上記の通り)を表す長期間安定性を有する過炭酸ナトリウム粒子にも関する。特に、長期間Avox回収率は少なくとも75%であり、少なくとも80%の値が非常に好適であり、少なくとも85%のものが好ましい。
【0008】
本発明の過炭酸ナトリウムコア粒子は、本質的には過炭酸ナトリウムから構成することができる。これらは、通常はコア粒子の15質量%を超えない量で炭酸ナトリウムを含有することができ、及び/又はこれらは、通常はコア粒子の2質量%を超えない量の添加剤を含有する。変形では、過炭酸ナトリウムコア粒子は、4質量%までの塩(例えば塩化ナトリウム)、10質量%までの炭酸ナトリウム、及び4質量%までの添加剤を含有することができる。該添加剤は、無機安定剤(例えばアルカリ及び可溶性アルカリ土類金属ケイ酸塩)又は有機安定剤(例えばポリカルボキシレート又はポリホスホネートをそのままか又は酸の形態もの、例えばEDTA又はDTPAのようなポリアミノカルボキシレート、又はEDTMPA、CDTMPA又はDTPMPAのようなポリアミノメチレンホスホネート、又はヒドロキシエチリデンジホスホネートのようなヒドロアルキレンホスホネート)又は上記の混合物から選択される安定剤でよい。
【0009】
本発明の過炭酸ナトリウムコア粒子は、一般的に少なくとも300μm、特に少なくとも400μm、及びより詳細には少なくとも500μmの平均直径を有し、少なくとも600μmの値が特に有利である。該過炭酸ナトリウムコア粒子の平均直径は、通常は1600μm以下、特に1400μm以下であり、1000μm以下の値が最も一般的であり、例えば900μm以下である。
【0010】
粒子の平均粒子サイズは、篩装置(公知の篩孔の少なくとも6種類の篩を含有する)を用いて複数のフラクションを得て、各フラクションを秤量することによって測定される。続いて、μmで表される平均粒子サイズ(MPS)は、以下の式で計算される。
【数1】

(式中、nは篩の数(篩皿は含まない)であり、miは篩i上のフラクション質量%であり、及びkiは篩iのμmで表される篩孔である。)
指数iは、篩孔の増加と共に増加する。篩皿は指数0で示され、k0=0μmの孔を有し、m0は篩プロセスの後に篩皿に保持されている質量である。Kn+1は1800μmに等しく、MPS計算で考慮される最大のサイズである。信頼できる結果を与える典型的な篩は、以下のように定義される:n=6;k6=1400μm;k5=1000μm;k4=850μm;k3=600μm;k2=425μm;k1=150μm。
【0011】
本発明の過炭酸ナトリウム粒子は、通常、少なくとも12.0質量%、特に少なくとも13.0質量%の有効酸素含有量を有し、少なくとも13.5質量%の含有量が特に良好である。有効酸素含有量は、一般的に15.0質量%以下、特に14.0質量%以下であり、例えば14.4質量%以下である。有効酸素含有量は、硫酸に溶解させた後に過マンガン酸カリウムで滴定することによって測定される(ISO標準1917-1982参照)。
【0012】
本発明の過炭酸ナトリウム粒子は、通常、少なくとも0.1分、特に少なくとも0.5分の90%溶解時間を有する。一般的には、90%溶解時間は3分以下、特に2.5分以下である。90%溶解時間は、コーティングされた過炭酸ナトリウム粒子を15℃で2g/Lの濃度で水に加えた後に導電率が最終値の90%に達するのにかかる時間である。用いられる方法は、工業用過炭酸塩のためのISO 3123-1976から適応され、唯一異なることは、攪拌器の高さがビーカーの底から10mmであり、2Lビーカーである(内部直径は120mm)。
【0013】
本発明の過炭酸ナトリウム粒子は、通常、少なくとも0.8g/cm3、特に少なくとも0.9g/cm3のバルク密度を有する。一般的には、1.2g/cm3以下、特に1.1g/cm3以下である。バルク密度は、内部高さ及び直径が86.1mmのステンレス鋼のシリンダーにおいてサンプル質量を記録することによって測定され、これはシリンダーの上部50mmに直接置いた漏斗(上部の内部直径108mm、下部の内部直径40mm、高さ130mm)にサンプルを通した後に行う。
【0014】
本発明の過炭酸ナトリウム粒子は、通常、10%以下、特に8%以下、特に4%以下の摩擦を有し、ISO標準方法5937-1980によって測定される。摩擦は、ほとんどの場合に少なくとも0.05%である。
【0015】
本発明の過炭酸ナトリウム粒子は、24時間後に80%の相対湿度及び32℃の湿潤性チャンバーにおいて行われるテストで測定すると、一般的に水分を保持して存在しており、これはサンプル質量の0.1〜25%で変化する。特にサンプル質量の0.5〜3%で変化し、好ましくはサンプル質量の1〜1.5%である。水分保持は、生成物が湿潤空気から湿気を得る程度/割合である。湿気を得るこの能力は、以下のテストによって測定される:1cmの深さを有する9cmの直径のペトリ皿を、4桁の小数位天秤で正確に秤量する(W1)。乾燥した過炭酸ナトリウムのサンプル(約5g)をペトリ皿に入れ、穏やかに攪拌して皿の底部に渡って均等な粒状層を生成し、同じ天秤で再秤量する(W2)。ペトリ皿上のサンプルを、広く長い室内の約2.5mの高さにおいて、サーモスタット制御ヒーターによって32℃、及び湿度検出器の制御下で微細な液滴の散水を導入することによって80%の相対湿度(RH)に保持されている雰囲気に24時間保存し、同じ天秤で秤量する(W3)。サンプルは、遮蔽によって散水から保護する。水分保持は、以下のように計算する:水分保持(g/kg)=1000・(W3-W2)/(W2-W1)。“乾燥過炭酸ナトリウム”は、その水分含有量が0.3質量%以下になるまで乾燥された過炭酸ナトリウムを意味することが意図される(ハロゲン乾燥器METTLER HR73装置を用いる。この装置では、約7.5gの冷却したサンプルをアルミニウムの皿に入れ、質量が一定になるまで該サンプルを連続的に60℃で秤量及び乾燥する(90秒における最大質量損失は1mg)。)。乾燥は、例えば直径15cmを有する流動床乾燥器において、15〜30分、2kgの生成物に対し、50〜90℃の温度(例えば70℃)、及び100〜150m3/時間のエアフローで行うことができる。24時間の保存後、サンプルを5分以内に周囲条件で秤量する必要がある(温度22℃、相対湿度34%)。
【0016】
本発明の過炭酸ナトリウム粒子は、一般的に少なくとも60%、特に少なくとも65%のAvox回収率の洗剤内安定性を有する。洗剤内安定性は、しばしば95%以下、特に85%以下のAvox回収率である。洗剤内安定性は以下のように測定される:洗剤組成物は、15質量%のコーティングされた過炭酸ナトリウム粒子と、約35質量%の量でIECA*塩基と呼ばれるゼオライトA(Na)を含有する90質量%の塩基性洗剤組成物とを乾燥混合することによって調製される。混合した組成物のサンプル(50g)を、密閉されたポリエチレンコーティングカートンに移し、該カートンを、32℃、80%の相対湿度に温度及び湿度制御されたキャビネット内に6週間保存した。該組成物の有効酸素含有量(Avox)を、標準的な過マンガン酸カリウム滴定を用いて保存期間の最初及び終わりに測定し、その最初の値の割合で表される最後に残ったAvoxを計算する。
【0017】
本発明の過炭酸ナトリウム粒子は、コーティングされていてもされていなくてもよい。好ましくは、コーティングされている。コーティングされるときは、それらは、少なくとも1種のコーティング層によって囲まれている過炭酸ナトリウムコア粒子を含有する。これは、過炭酸ナトリウムコア粒子の表面が、少なくとも一度、コーティング剤又はコーティング剤の混合物及び100μmよりも小さい平均粒子サイズの小さな過炭酸ナトリウム粒子と接触されることによって処理されることで、コーティング剤又は混合物の層がコア粒子の表面に沈着されることを意味する。コーティング層をできる限り均質及び均一にし、コア粒子の表面の周り全てにできる限り少ない孔を有する均一な化学構造、均一な厚みを持たせることが推奨される。このコーティング層の機能は、環境との接触及び特にコア材料の分解を強める環境に存在する湿気との接触から、コア材料を保護することである。
【0018】
本発明で用いられるコーティング剤は、有機又は無機コーティング剤から選択することができる。無機コーティング剤が好ましい。無機コーティング剤は、鉱物のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属(特にナトリウム又はマグネシウム)塩又は他の無機酸から選択される1種以上の材料を含有することができる。典型例は、硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩及び/又は重合体リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩及び対応するホウ酸を含む。コーティング剤の特別な組み合わせは、炭酸塩/ケイ酸塩、及びホウ酸又はホウ酸塩と硫酸塩、及びa)硫酸塩、炭酸塩、炭酸塩/硫酸塩、重炭酸塩、ホウ酸、ホウ酸塩、ホウ酸/硫酸塩、又はホウ酸塩/硫酸塩と、b)ケイ酸塩との組み合わせを含む。好ましくは、無機コーティング剤が、ケイ酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム又はそれらの混合物の1種を含有する。コーティング剤は、過炭酸ナトリウムそれ自体でもよく、過炭酸ナトリウム溶液として、又は炭酸ナトリウム溶液及び過酸化水素溶液を同時に用いることによって適用することができる。
【0019】
コーティングが存在するときは、コーティング層は少なくとも1種のコーティング剤に加えて、100μmよりも小さい平均粒子サイズの小さな過炭酸ナトリウム粒子を含有することができる。過炭酸ナトリウムコア粒子を囲むコーティング層に小さな過炭酸ナトリウム粒子が存在することが、特に有利である。実際に、小さな過炭酸ナトリウム粒子をコーティング層に導入することによって、用いられる前に長期間保存された場合に、コーティングされた過炭酸ナトリウム粒子の安定性が向上することが観察された。コーティング層にこれらの小さな粒子が存在することは、走査電子顕微鏡-コーティング剤又は小さな過炭酸ナトリウム粒子に存在する元素(両方には存在しない)、例えばマグネシウム又は硫黄のエネルギー分散型X線元素マッピングを用いて検出することができ、以下の装置:FEI Quanta 200、EDX-System:Edax社のGenesisを用い、測定条件:高真空、30kVで行う。図1及び2は、この方法で得られたコーティング層に小さな過炭酸ナトリウム粒子を含有するコーティングされた過炭酸ナトリウムの2枚の典型的な写真を示している。これらの図では、1付近の領域がコーティング層に相当し、2がコーティング層内部の小さな過炭酸ナトリウム粒子に相当し、及び3付近の領域がコア粒子に相当する。
【0020】
存在することのできる小さな過炭酸ナトリウム粒子は、100μmよりも小さく、特に90μmよりも小さく、より詳細には80μmよりも小さい平均粒子サイズを有し、70μmよりも小さい値が良好な結果を与える。通常は、該小さな過炭酸ナトリウム粒子が、少なくとも1μm、特に少なくとも5μm、及び最も頻繁には少なくとも10μmの平均粒子サイズを有する。一般的には、少なくとも90(特に少なくとも95、及びより詳細には少なくとも99)質量%の小さな過炭酸ナトリウム粒子が、250μm以下(特に220μm以下、及び最も好ましくは200μm以下)の直径を有する。
【0021】
存在することのできる小さな過炭酸ナトリウム粒子は、コーティングしなくてよい。あるいは、コーティングすることもできる。
【0022】
コーティング層における小さな過炭酸ナトリウム粒子の含有量は、一般的に少なくとも1質量%、特に少なくとも5質量%であり、少なくとも10質量%の値が好ましく、約15質量%のものが最も好ましい。該含有量は、通常は40質量%以下、特に30質量%以下であり、20質量%以下の値が有利である。
【0023】
本発明のコーティングされた過炭酸ナトリウム粒子に存在するコーティング層は、一般的に該コーティングされた過炭酸ナトリウム粒子の少なくとも0.1質量%、特に少なくとも0.5質量%及び最も好ましくは少なくとも1質量%を意味する。該コーティング層は、多くの場合、該コーティングされた過炭酸ナトリウム粒子の50質量%以下、特に35質量%以下、及び最も頻繁には20質量%以下を意味する。0.1〜50質量%の量が良好な結果を与える。
【0024】
本発明は、上記のコーティングされた過炭酸ナトリウム粒子の製造方法にも関連する。特に、以下に定義される2つの方法が、非常に良好な結果を与える。
【0025】
本発明の第一の方法
本発明の第一の特別な方法では、該方法が以下の工程を含む:
(a)過炭酸ナトリウムコア粒子の製造工程、
(b)そのようにして得られた過炭酸ナトリウムコア粒子の乾燥工程、
(c)そのようにして得られた乾燥過炭酸ナトリウムコア粒子の、少なくとも1種のコーティング剤の少なくとも1種の溶液又は懸濁液及び100μmよりも小さい平均粒子サイズの小さな過炭酸ナトリウム粒子によるコーティング工程であって、コーティングされた過炭酸ナトリウム粒子を得る工程、
(d)そのようにして得られたコーティングされた過炭酸ナトリウム粒子の乾燥工程。
【0026】
過炭酸ナトリウムコア粒子の製造のための第一工程(a)は、過炭酸ナトリウム粒子の調製のための任意の公知な方法で行うことができる。第一の選択肢では、工程(a)を液体結晶化方法にすることができ、炭酸ナトリウム溶液を過酸化水素溶液と混合して、例えば温度を下げる及び/又は塩析剤を加えることによって、形成された過炭酸ナトリウムを過炭酸ナトリウムコア粒子に沈殿させる。過炭酸ナトリウムコア粒子は、例えば遠心分離又は濾過によって液体から分離される。そのような液体結晶化方法の例は、SOLVAY INTEROXの国際出願WO 97/35806号明細書に記載されている。
【0027】
第二の選択肢では、工程(a)で、流動床顆粒化方法を用い、炭酸ナトリウム溶液及び過酸化水素溶液を、流動ガスによって流動化されている過炭酸ナトリウム種の床に噴霧し、該炭酸塩及び該過酸化水素を種粒子上で反応させることによって、種粒子を過炭酸ナトリウムコア粒子に成長させる。そのような流動床顆粒化方法の例は、SOLVAYの英国特許第1300855号明細書に記載されている。
【0028】
第三の選択肢では、工程(a)を、過酸化水素溶液と、固体の炭酸ナトリウム及び/又は重炭酸ナトリウムとの反応による直接方法にすることができる。そのような直接方法の例は、SOLVAY INTEROX GmbHの米国特許第6054066号明細書に記載されている。
【0029】
工程(a)の第一の選択肢(液体結晶化方法)で得られた過炭酸ナトリウムコア粒子は、一般的に1質量%以上の水を含有し、該水含有量は一般的に15質量%以下である。第二の選択肢(流動床顆粒化方法)で得られたコア粒子は、一般的に1.5質量%よりも少ない水、特に1質量%よりも少ない水を含有し、0.8質量%以下の水含有量が最も好ましい。第三の選択肢(直接方法)で得られたコア粒子は、典型的に0.1〜25質量%の水を含有する。
過炭酸ナトリウム粒子の水含有量は、本発明の構成中では、以下の方法:サンプルを加熱し、遊離した水の量を上記のMETTLER方法で測定することによって測定する。
【0030】
本発明の方法の乾燥工程(b)は、工程(a)と別の工程にするか、又は同一の装置において工程(a)と同時に行ってよい。工程(a)を第一の選択肢(液体結晶化方法)で行うときは、それに続いて乾燥工程(b)を、流動床乾燥器、回転ドラム乾燥器、オーブン又は循環空気オーブンなどの任意の反応器で行うことができる。流動床乾燥器は、過炭酸ナトリウムコア粒子を流動ガス(例えば空気、好ましくは熱風)の上昇流によって流動化させるものが好ましい。熱風の典型的な温度は、50〜210℃、特に100〜160℃である。
【0031】
工程(a)を第二の選択肢(流動床顆粒化方法)で行う場合、乾燥は、通常、工程(a)で用いられたのと同じ流動床反応器で行われる。続いて、乾燥を工程(a)と同時に行う。流動ガスの典型的な温度は、50〜210℃、特に100〜160℃である。
【0032】
工程(a)を第三の選択肢(直接方法)で行うとき、乾燥は、回転ドラム乾燥器、オーブン、循環空気オーブン又は工程(a)で用いられた流動床反応器と同一の流動床反応器などの任意の反応器で行うことができる。流動ガスの典型的な温度は、50〜210℃、特に100〜160℃である。
【0033】
工程(b)で得られた乾燥過炭酸ナトリウムコア粒子は、一般的に1.5質量%よりも少ない水、特に1質量%よりも少ない水を含有し、0.8質量%以下の水含有量が最も好ましい。
【0034】
本発明の方法のコーティング工程(c)は、乾燥過炭酸ナトリウムコア粒子を、コーティング剤及び100μmよりも小さい平均粒子サイズの小さな過炭酸ナトリウム粒子と接触させることを可能にする任意の適切なコーティング方法によって行うことができる。全てのタイプのミキサー又は流動床反応器を、このためのコーティング装置として用いることができる。ミキサーが好ましく、特にLOEDIGEタイプなどの回転手段を有する混合ドラムを含有するものである。
【0035】
工程(c)では、コーティング剤を、溶液(好ましくは水溶液)又は懸濁液の形態か、あるいは粉末形態で用いることができる。粉末形態のコーティング剤の使用は、SOLVAY(Societe Anonyme)の国際出願WO 01/62663号明細書に記載されている。コーティング剤の溶液、特に水溶液が好ましい。
【0036】
工程(C)では、小さな過炭酸ナトリウム粒子を、粉末形態又は懸濁液の形態でコーティング装置に加えることができる。粉末形態が好ましい。それはコーティング剤と同時又は前後に加えることができる。好ましくは、小さな過炭酸ナトリウム粒子をコーティング剤と同時に加える。小さな過炭酸ナトリウム粒子は、コーティング剤と同じ供給用デバイス又は別の供給用デバイスを介してコーティング装置に加えることができる。別々の供給用デバイスが好ましい。
【0037】
工程(C)中では、系内に極小量の水分を存在させ、コーティング層をコア粒子の表面上に結合させる及び/又はコア粒子の表面上又はコーティング層内に小粒子を接着させることが推奨される。この水分は、すでに過炭酸ナトリウム粒子内部に存在していてもよい。それは、コーティング剤の水溶液又は懸濁液の希釈剤、又は小さな過炭酸ナトリウム粒子の懸濁液の希釈剤として加えることもでき、あるいはそれ自体を加えることができる。ミキサー内でコーティングする場合、水分含有量は、通常、乾燥過炭酸ナトリウムコア粒子の少なくとも2質量%、特に少なくとも3質量%、好ましくは少なくとも5質量%である。水分含有量は、乾燥過炭酸ナトリウムコア粒子の30質量%以下、特に20質量%以下、ほとんどの場合には15質量%以下にすることができる。流動床反応器内でコーティングする場合、水分含有量はより低くてよい。
【0038】
本発明の方法の工程(c)は、一般的に少なくとも20℃の温度で行われる。該温度は、多くの場合には80℃以下、特に65℃以下である。
【0039】
工程(C)の実施の特別な形態では、コーティング剤が過炭酸ナトリウムであり、流動床反応器内において、過炭酸ナトリウム溶液を噴霧するか、又は炭酸ナトリウム溶液及び過酸化水素溶液を同時に噴霧することによってコア粒子の表面上に適用される。続いて、小さな過炭酸ナトリウム粒子を同時に導入する。
【0040】
本発明の方法の乾燥工程(d)は、乾燥工程(b)と類似の条件下で行うことができる。コーティング層(c)を流動床反応器で行うときは、続いて乾燥工程(d)を同じ流動床装置においてコーティング工程(c)と同時に行うことが好ましい。
【0041】
コーティング工程(c)で用いられる小さな過炭酸ナトリウム粒子は、異なる方法で得てもよい。
第一の変形では、これらは過炭酸ナトリウム粒子の製造のための分離プロセスで得られる。この場合、これらは該分離プロセスの最終生成物として直接得られるか、又は最終生成物を篩にかけ、要求される100μmよりも小さい平均粒子サイズを得ることによって得ることができる。
第二の変形は、本発明の方法の特に有利な実施態様であり、小さな過炭酸ナトリウム粒子を本発明の方法中に生成された一部の粒子を除去するか、又は工程(c)にこれらをリサイクルすることによって得られる。
【0042】
第二の変形の第一の場合では、本発明の方法は、工程(b)及び(c)の間及び/又は(d)の後に、少なくとも1種の篩工程をさらに含み、600μmよりも小さい及び/又は1800μmよりも大きいサイズの粒子を除去し、それに続いてこれら除去された粒子を100μmよりも小さい平均サイズの小粒子に粉砕し、これらの小粒子を工程(c)に導入することができる。篩かけは、任意の公知な方法、例えば直径600〜1800μmの孔を有する篩を用いることによって行うことができる。時折、500μmよりも小さく、特別な場合には300μmよりも小さいサイズの粒子を除去するのに用いることができる。1500μmよりも大きいサイズの粒子を除去することができ、1200μmよりも大きい粒子も可能である。粉砕は、ピンミル又はジェットミル、例えばALPINE 400 CWミルなどの任意の粉砕用装置で行うことができる。
【0043】
第二の変形の第二の場合では、小さな過炭酸ナトリウム粒子が、流動床乾燥機内で用いられる流動ガスと共に運ばれる微細結晶を集める(濾過、サイクロン又はそれらの組み合わせによる)か、又はこれらの微細結晶を、任意に粉砕の後に、コーティング工程(c)にリサイクルすることによって得られる。この第二の場合では、工程(b)及び/又は工程(d)が、流動ガスを用いる流動床乾燥器で行われ、微細なPCS粒子が流動ガスと共に流動床乾燥器の外へ運ばれ、及び任意に粉砕の後に工程(c)にリサイクルされる。
第二の変形の2つの場合は、もちろん組み合わせることができる。
【0044】
本発明の方法では、少なくとも1つのさらなるコーティング工程を工程(c)及び(d)の間に加えることがさらに有利となり得る。これは、さらなるコーティング工程が流動床反応器で行われるときに特に有用である。
【0045】
本発明の方法の特に好ましい実施態様を、図3に示す。過炭酸ナトリウムコア粒子の製造のための反応器1に、導管2を介して炭酸塩源、及び導管3を介して過酸化水素源(好ましくは過酸化水素水溶液)を供給する。反応器1は、好ましくは液体結晶化反応器である。得られた過炭酸ナトリウムコア粒子を、導管4を介して反応器1から乾燥器5に移し、これらを乾燥させる。そのようにして得られた乾燥過炭酸ナトリウムコア粒子を、導管6を介して篩かけ装置7に移し、篩かけされた粒子を導管8を介してコーティング用反応器9にさらに移す。コーティング剤を、導管10を介してコーティング用反応器9に導入する。小さな過炭酸ナトリウム粒子を、1つ以上の導管23、29、31及び39を介してコーティング用反応器9に導入する。これは、以下に詳細に説明する。コーティングされた過炭酸ナトリウム粒子を、導管11を介してコーティング用反応器9から取り出し、流動床乾燥器12に導入することができ、この乾燥器は、導管13を介してコーティング剤を供給する第二のコーティング用反応器(第一のコーティング用反応器と異なっても同一でもよい)として同時に作用させることができる。第二のコーティング用反応器12には、以下に詳細に説明するように、1つ以上の導管24、30、32及び40を介して小粒子を供給することもできる。(任意に二重に)コーティングされた過炭酸ナトリウム粒子を、続いて導管14を介して篩かけ装置15に移す。最終的に篩にかけられコーティングされた過炭酸ナトリウム粒子を、導管16を介して該プロセスから取り出し、最終生成物として回収する。
【0046】
第一の実施態様では、コーティング工程に用いられる小さな過炭酸ナトリウム粒子を、以下のように乾燥器5で行われる乾燥工程(b)からリサイクルする。乾燥器5は、この場合、導管17を介して流動床に入る流動ガスの上昇流を用いる流動床乾燥器である。流動ガスは、導管18を介して乾燥器5の頂部から排出され、微細な過炭酸ナトリウム粒子を一緒に運ぶ。これらの微細粒子は、分離用装置19によって、導管18を介して乾燥器5を出る流れから除去される。流動ガスは、導管20を介して排出される。そのようにして除去された粒子を、導管21を介して任意の粉砕用装置22に移し、100μmよりも小さい平均サイズの粒子を得る。これらの粉砕された粒子を、続いて導管23及び/又は24を介して移動させ、第一及び/又は第二のコーティング用反応器9及び/又は12に導入する。
【0047】
第二の実施態様では、コーティング工程に用いられる小さな過炭酸ナトリウム粒子が、篩かけ装置7及び/又は15からリサイクルされる。これらの篩かけ用装置では、300μmよりも小さいサイズの粒子及び1800μmよりも大きいサイズの粒子が、その他から分離される。その他には上記のように該プロセスを続ける。分離された粒子(300μmよりも小さいもの、及び1800μmよりも大きいもの)を、導管25及び/又は26を介して粉砕用装置27及び/28に移し、100μmよりも小さい平均サイズの粒子を得る。これらの小粒子を、導管29、30、31及び/又は32を介して移動させ、第一及び/又は第二のコーティング用反応器9及び/又は12に導入する。
【0048】
第三の実施態様では、コーティング用工程に用いられる小さな過炭酸ナトリウム粒子を、以下のようにして乾燥器12で行われる乾燥工程(d)からリサイクルする。乾燥器12は、この場合、導管33を介して乾燥器に入る流動ガスの上昇流を用いる流動床乾燥器である。流動ガスは、導管34を介して乾燥器12の頂部から排出され、微細なコーティングされた過炭酸ナトリウム粒子を一緒に運ぶ。これらの微細結晶は、分離用装置35によって、導管34を介して乾燥器12を出る流れから除去される。流動ガスは、導管36を介して排出される。そのようにして除去された粒子を、導管37を介して任意の粉砕用装置38に移し、100μmよりも小さい平均サイズの粒子を得る。これらの粉砕された粒子を、続いて導管39及び/又は40を介して移動させ、第一及び/又は第二のコーティング用反応器9及び/又は12に導入する。
第一、第二及び第三の実施態様は組み合わせることができる。
【0049】
本発明の第二の方法
本発明の第二の方法は、以下の工程を含む:
(a)過炭酸ナトリウムコア粒子の製造工程、
(b)そのようにして得られた過炭酸ナトリウムコア粒子の、少なくとも1種のコーティング剤の少なくとも1種の溶液又は懸濁液及び100μmよりも小さい平均粒子サイズの小さな過炭酸ナトリウム粒子による、流動床反応器における乾燥及びコーティングの組み合わせ工程であって、コーティングされた過炭酸ナトリウム粒子を得る工程。
工程(a)及び(b)は、本発明の第一の方法で上記したのと同じ条件で行うことができる。同様に、さらなるコーティング工程を上記のように加えることができる。
【0050】
本発明の第二の方法の特に好ましい実施態様を、図4に示す。過炭酸ナトリウムコア粒子の製造のための反応器1に、導管2を介して炭酸塩源(好ましくは炭酸ナトリウム水溶液)、及び導管3を介して過酸化水素源(好ましくは過酸化水素水溶液)を供給する。反応器1は、好ましくは液体結晶化反応器である。得られた過炭酸ナトリウムコア粒子を、導管4を介して反応器1からコーティング用反応器及び乾燥器として同時に作用する流動床反応器5に移す。流動ガスを、導管6を介して流動床5に入れる。コーティング剤を、導管7を介して流動床反応器5に導入する。小さな過炭酸ナトリウム粒子を、以下に詳細に説明するように、導管16及び19の一つ又は両方を介して流動床反応器5に導入する。コーティングされ乾燥した過炭酸ナトリウム粒子を、導管8を介して流動床反応器5から取り出し、篩かけ装置9に移し、小さすぎる及び大きすぎる粒子を除去して、最終生成物として導管10を介して回収される300〜1800μmの平均サイズの粒子を得る。
【0051】
第一の実施態様では、コーティング工程に用いられる小さな過炭酸ナトリウム粒子を、以下のようにコーティング工程自体からリサイクルする。流動床コーティング用反応器は、導管6を介して反応器に入る流動ガスの上昇流を用いる。流動ガスを、導管11を介して反応器5の頂部から排出し、微細な過炭酸ナトリウム粒子を一緒に運ぶ。これらの微細粒子は、分離用装置12によって、導管11を介して反応器5を出る流れから除去される。流動ガスは、導管13を介して排出される。そのようにして除去された粒子を、導管14を介して粉砕用装置15に移し、100μmよりも小さい平均サイズの粒子を得る。これらの粉砕された粒子を、続いて導管16を介して移動させ、コーティング用反応器5に再導入する。
【0052】
第二の実施態様では、コーティング工程に用いられる小さな過炭酸ナトリウム粒子が、篩かけ装置9からリサイクルされる。この篩かけ用装置では、300μmよりも小さいサイズの粒子及び1800μmよりも大きいサイズの粒子が、その他から分離される。その他には上記のように該プロセスを続ける。分離された粒子(300μmよりも小さいもの、及び1800μmよりも大きいもの)を、導管17を介して粉砕用装置18に移し、100μmよりも小さい平均サイズの粒子を得る。これらの小粒子を、導管19を介して移動させ、コーティング用反応器5に導入する。
第一及び第二の実施態様は同時に用いることができる。
【0053】
本発明のコーティングされた過炭酸ナトリウム粒子は、洗剤組成物における漂白剤として有利に用いることができる。
従って、本発明は、洗剤組成物における漂白剤としての上記コーティングされた過炭酸ナトリウム粒子の使用にも関連する。
【0054】
本発明はまた、上記のコーティングされた過炭酸ナトリウム粒子を含有する洗剤組成物にも関連する。これらは、ゼオライト系又は非ゼオライト系のビルダー(例えばリン酸塩ビルダー)を含有することもできる。洗剤組成物の他の可能な成分は、界面活性剤、抗再析及び土壌懸濁剤、漂白賦活剤、蛍光漂白剤、土壌放出剤、石鹸制御剤、酵素、繊維柔軟剤、香料、着色剤及び加工助剤にすることができる。洗剤組成物は、粉末、顆粒、錠剤及び液体の形態をとることができる。粉末及び顆粒は、好ましくは0.2〜1.4g/cm3のバルク密度を有する。
【0055】
実施例1
過炭酸ナトリウムコア粒子を、塩析剤として約200g/Lの濃度のNaClを用いる連続結晶化方法で調製した。結晶化反応器に、母液を充填し、温度を15〜25℃にした。固体炭酸ナトリウムを飽和するまでそこへ加え、同様にわずかに過剰の60質量%の過酸化水素水溶液を加えた。反応器を連続的に攪拌し、15〜25℃の温度に冷却した。
形成された過炭酸ナトリウムコア粒子を、反応器から連続的に引き抜き、緩衝タンク及び続いて不連続な遠心分離器に移した。遠心分離器から取り出した過炭酸ナトリウムコア粒子を、排気温度50〜75℃の流動床乾燥器で乾燥させた。
676μmの平均粒子サイズ及び1.16のスパンを有する3kgのそのようにして得られた未コーティングの過炭酸ナトリウムコア粒子(PCS)を、回転式スクリーニング機械IFA-Tモデル:MR 24 S600-5-5-5による篩かけによって、600μmで分けられる2つのフラクションに分離した。
【0056】
粒子サイズ分布のスパンは、上記の6種の篩を含有する篩装置を用いて複数のフラクションを得て測定し、各フラクションを秤量した。続いて、スパンを以下の式によって計算した。
【数2】

(式中、nは篩の数(篩皿は含まない)、miは篩iにおけるフラクション質量%、kiは篩iのμmで表される篩孔であり、指数iは篩孔の増加と共に増加する。)
篩皿は、指数0で示され、k0=0μmの孔を有し、m0は篩かけプロセス後の篩皿に保持される質量である。
Kn+1=1800μmであり、スパン計算で考慮される粒子の最大サイズである。
【0057】
MPSは、上記によって計算される平均粒子サイズである。
600μm以下のフラクションは、タイプRetsch SK100の交差攪拌ミルで粉砕した。粉砕後、平均粒子サイズは23μmであり、スパンは2.9であった。
600μm以上のPCSフラクション1750g、及び粉砕されたPCSの650gを、カッターTyp M5 RMKを有するタイプLodigeのプラウ剪断ミキサーに充填した。
コーティング用溶液271.4g(171.1gのホウ酸塩-ケイ酸塩溶液及び100.3gの水を含有する)をそこへ加えた。
全ての混合物をカッターを用いて150rpmで顆粒化した。
混合物の湿度を計算すると7%であった。
顆粒化した生成物をミキサー外へ出し、Glattタイプの実験室用流動床コーティング器/乾燥器に移し、排気ガス温度が85℃になるまで乾燥させた。
さらに181.9gの同じコーティング溶液を、流動床でPCS上に噴霧した。
【0058】
流動床コーティング器/乾燥器に用いた条件は以下である:
ノズル:PCSの全てに噴霧
噴霧用空気:無条件に2.5bar
空気温度:90〜105℃
エアフロー:120±10m3/時間
排気:コーティング中に70〜80℃
最終乾燥:85℃以下。
【0059】
排気温度が85℃に達したら、最終生成物を乾燥器の外に出し、冷却した。
全コーティング濃度は、コーティングされた過炭酸ナトリウム粒子の質量の6質量%であった。コーティング層は、20質量%のPCS微細粒子を含有した。得られたコーティングされたPCSは、12週間40℃における保存後に40℃で測定すると2μW/gよりも少ない熱排出量を表し、88%の8週間55℃の保存後のAvox回収率を表し、長期間安定性を示した。
【0060】
実施例2
上記と同じ操作を繰り返すが、コーティングは以下のように行った:600μm以上のPCSフラクション2000gを、LOEDIGEミキサー(カッターを使用)で粉砕した材料500g、及び硫酸ナトリウム及びケイ酸塩(200gのNa2SO4/50gのSiO2/25gのNa2O/kg)の溶液320gを混合した。得られた生成物をミキサーから取り出し、Glattタイプの実験用流動床コーティング器/乾燥器に移し、乾燥させた。さらに272.5gの同じコーティング溶液を流動床で1500gの乾燥PCS上に噴霧した。流動床/乾燥器に用いた条件は以下である:
ノズル:PCSの全てに噴霧
噴霧用空気:無条件に2.5bar
空気温度:90〜105℃
エアフロー:120m3/時間
排気:コーティング中に70〜80℃
最終乾燥:85℃以下。
【0061】
最終生成物は、25質量%(コーティング層の質量に対して)の小さな過炭酸ナトリウム粒子を有するコーティング層を含有していた。コーティング層は最終生成物の5.7質量%を示した。最終生成物は、0.79のスパンを有する1036μmの平均粒子サイズを示した。図1及び2は、最終生成物のSEM-EDX写真を示す。これらの図は上記にコメントされている。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
12週間40℃で保存した後に測定される40℃における熱放出量として表される長期間安定性が、5μW/gよりも低い、過炭酸ナトリウム粒子。
【請求項2】
8週間55℃で保存した後に少なくとも70%のAvox回収率として表される長期間安定性を示す、過炭酸ナトリウム粒子。
【請求項3】
コーティングされていて、少なくとも1種のコーティング層によって囲まれている過炭酸ナトリウムコアを含有する、請求項1又は2記載の粒子。
【請求項4】
コーティング層が、コーティングされた過炭酸ナトリウム粒子の0.1〜50質量%を表す、請求項3記載の粒子。
【請求項5】
コーティング剤が、ケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸及びそれらの混合物の1種から選択される、請求項3又は4記載の粒子。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1項に記載の粒子であって、300〜1600μmの平均粒子サイズを有し、該コーティング層が少なくとも1種のコーティング剤及び100μmよりも小さい平均粒子サイズの小さな過炭酸ナトリウム粒子を含む、粒子。
【請求項7】
300〜1600μmの平均粒子サイズを有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の過炭酸ナトリウム粒子の製造方法であって、過炭酸ナトリウムコア粒子の製造工程、それに続く少なくとも1種のコーティング剤の少なくとも1種の溶液又は懸濁液及び100μmよりも小さい平均粒子サイズの小さな過炭酸ナトリウム粒子による該過炭酸ナトリウムコア粒子のコーティング工程を含み、過炭酸ナトリウム粒子を得る、方法。
【請求項8】
以下の工程を含む、請求項7記載の方法:
(a)過炭酸ナトリウムコア粒子の製造工程、
(b)そのようにして得られた過炭酸ナトリウムコア粒子の乾燥工程、
(c)そのようにして得られた乾燥過炭酸ナトリウムコア粒子の、少なくとも1種のコーティング剤の少なくとも1種の溶液又は懸濁液及び100μmよりも小さい平均粒子サイズの小さな過炭酸ナトリウム粒子によるコーティング工程であって、コーティングされた過炭酸ナトリウム粒子を得る工程、
(d)そのようにして得られたコーティングされた過炭酸ナトリウム粒子の乾燥工程。
【請求項9】
工程(b)及び(c)の間及び/又は(d)の後に、少なくとも1種の篩工程をさらに含み、300μmよりも小さく及び/又は1800μmよりも大きいサイズの粒子を除去し、それに続いてこれらの除去された粒子を100μmよりも小さい平均サイズの小粒子に粉砕し、及びこれらの小粒子を工程(c)に導入する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
流動床における少なくとも一つのさらなるコーティング工程を、工程(c)及び(d)の間に行う、請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
工程(b)及び/又は工程(d)を、流動ガスを用いる流動床乾燥器で行い、微細なPCS粒子が流動ガスと共に流動床乾燥器の外へ運ばれ、及び任意に粉砕の後に工程(c)にリサイクルされる、請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
工程(a)が、炭酸ナトリウム源と過酸化水素溶液とを混合すること、及び形成された過炭酸ナトリウムを過炭酸ナトリウムコア粒子として沈殿させることによって行われる、請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
以下の工程を含む、請求項7記載の方法:
(a)過炭酸ナトリウムコア粒子の製造工程、及び
(b)そのようにして得られた過炭酸ナトリウムコア粒子の、少なくとも1種のコーティング剤の少なくとも1種の溶液又は懸濁液及び100μmよりも小さい平均粒子サイズの小さな過炭酸ナトリウム粒子による、流動床反応器における乾燥及びコーティングの組み合わせ工程であって、コーティングされた過炭酸ナトリウム粒子を得る工程。
【請求項14】
洗剤組成物における漂白剤としての、請求項1〜6のいずれか1項に記載の過炭酸ナトリウム粒子の使用。
【請求項15】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の過炭酸ナトリウム粒子を含有する、洗剤組成物。

【公表番号】特表2008−504206(P2008−504206A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518612(P2007−518612)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/053043
【国際公開番号】WO2006/003156
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(591001248)ソルヴェイ(ソシエテ アノニム) (252)
【Fターム(参考)】