説明

道路灯

【課題】電子回路を内蔵する場合であっても、変電設備から供給される交流をそのまま配電可能であり、配電損失及び変圧器損失を抑制することができる道路灯を提供する。
【解決手段】発光部10から照射される光により道路を照らす道路灯1であって、変電設備から供給される交流の第1電圧を交流の第2電圧に降圧する単巻変圧器11と、交流の第2電圧を発光部10に供給するための所定の電流電圧形態に変換する変換回路12aを有する電源部12と、を内蔵する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光部から照射される光により道路を照らす道路灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般道路や高速道路には、夜間に道路を照らすための道路灯が多数設置されている。これらの道路灯の発光部には、ナトリウムランプ、水銀灯、セラミックメタルハライドランプ等のHID(高輝度放電)ランプが用いられることが多い。また、近年では、省エネルギー化が可能なLEDを用いた道路灯の開発も行われている(例えば、特許文献1参照)。また、近年、照明器具では点灯装置に電子式点灯装置を用いて高効率化が進んでおり、LED道路灯においても電子式電源装置を用いている。しかしながら、電子式電源装置の場合、価格や大きさなどの点から、一般に流通している電子部品にて構成されており、高い電源電圧(例えば265V以上)に対応することが困難である。
【0003】
図4は、電力会社から各道路灯へ供給される電力の流れを模式的に示した図である。電力会社から供給される電力40は、送電による電力損失を抑えるために高電圧となっており、この高電圧の電力40は、電気室等41に設置された変電設備42により降圧された後、変電設備42から数百〜数千メートル離れた各道路灯へ供給される。なお、変電設備42を含む電気室等41は、通常、道路高架下もしくは、隣接する建造物などに設置されている。変電設備42により降圧された電圧は、一般的に三相4線460V(相電圧265V)となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−242258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高圧ナトリウム灯、低圧ナトリウム灯、水銀灯等といった銅鉄製安定器内蔵の道路灯には、上記の変電設備42により降圧された460V(相電圧265V)の電力がそのまま供給される。
【0006】
一方、Hf蛍光灯やLED道路灯等といった電子回路内蔵の道路灯には、電気室等41に設置された専用の変電設備43によりさらに降圧された415V(相電圧240V)の電力が供給されていた。その理由としては、相電圧265Vの電源に対応した半導体部品は非常に高価なこと、及び道路灯ごとに通常の変圧器を内蔵することは経済的にもスペース的にも非常に困難だったからである。その結果、低電圧配電による配電損失、及び電子回路内蔵の道路灯専用の変電設備43による変圧器損失の増加が避けられなかった。具体的には、送電損失は、送電電圧の2乗に反比例するため、三相4線460Vの送電と、三相4線415Vの送電とでは、送電損失に大きな差が生じてしまう。この送電損失を抑えるためには、抵抗の少ない太い送電線を用いなければならず、コスト面で好ましくない。よって、出来る限り送電電圧を高くすることが重要となる。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、電子回路を内蔵する場合であっても、変電設備から供給される交流をそのまま配電可能であり、配電損失及び変圧器損失を抑制することができる道路灯を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明に係る道路灯は、
発光部から照射される光により道路を照らす道路灯であって、
変電設備から供給される交流の第1電圧を交流の第2電圧に降圧する単巻変圧器と、
前記交流の第2電圧を前記発光部に供給するための所定の電流電圧形態に変換する変換回路を有する電源部と、を内蔵することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る道路灯は、交流の第2電圧を発光部に供給するための所定の電流電圧形態に変換する変換回路を有する電源部を備えている。本発明に係る道路灯は、単巻変圧器を内蔵するので、変電設備から供給される交流の第1電圧を、交流の第2電圧に降圧することができる。その結果、変電設備から供給される交流の第1電圧をそのまま道路灯へ配電可能であり、電気室等に設置した専用の変圧装置で第2電圧に降圧してから道路灯へ配電する場合に比べ、低電圧配電による配電損失を抑制することができる。また、専用の変圧装置は、通常は複巻変圧器であり、1次巻き線、2次巻き線それぞれに電圧、電流を流す必要があり、変圧器損失が大きくなるが、単巻変圧器は、1次側に流れる電流と2次側に流れる電流が変圧器内部で相殺されるため、複巻変圧器に比べて変圧器損失を小さくすることができる。
【0010】
本発明の道路灯において、前記第1電圧は、相電圧で240Vを超える電圧であることが好ましい。
【0011】
道路灯のために変電設備から供給される交流の第1電圧は、一般的には相電圧で240Vを超える高い電圧であり、一般に流通している電子部品にて構成された電子回路を内蔵する道路灯は、そのままでは第1電圧に対応することが困難である。本発明の道路灯は、単巻変圧器により第1電圧から第2電圧に降圧しているので、変換回路といった電子回路を第1電圧に対応させる必要がなく、コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】道路灯の外観構成を示す図
【図2】道路灯の概要を示す機能ブロック図
【図3】道路灯給電システムの構成を示す概念図
【図4】従来の道路灯給電システムの構成を示す概念図
【図5】道路灯の別実施形態の外観構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る道路灯の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、道路灯の外観構成を示す模式図である。図2は、道路灯の概要を示す機能ブロック図である。図3は、道路灯給電システムの構成を示す概念図である。
【0014】
道路灯1(あるいは街路灯)は、柱状の本体1aに支持される発光部10から照射される可視光により道路を照らすことができる。発光部10を構成する光源としては特に限定されず、LED(発光ダイオード)、蛍光灯などが例示される。
【0015】
図3に示すように、道路灯1には、道路灯1から数百〜数千メートル離れたところにある電気室等に設置された変電設備から給電される。変電設備から供給される電力は、三相4線460V(相電圧265V)の交流電源2となっている。
【0016】
道路灯1は、単巻変圧器11と電源部12を備えている。単巻変圧器11と電源部12は、本体1a下部に内蔵される。本体1a下部には、点検口としての開口部1bが設けられている。開口部1bは、蓋部で覆われている。
【0017】
単巻変圧器11は、変電設備から供給される交流電源2の電圧(第1電圧に相当)を、これよりも低い電圧(第2電圧に相当)に降圧することができる。変電設備から道路灯へ供給される交流の電圧は、一般的には三相4線460V(相電圧265V)となっている。本実施形態においては、第1電圧が相電圧で265Vとなっており、この相電圧を単巻変圧器11により265Vから240Vに降圧している。単巻変圧器11は、1次側に流れる電流と2次側に流れる電流が変圧器内部で相殺されるため、通常の変圧器の定格容量に比べて、大きさ及び損失が小さくなる。
【0018】
直列巻線の巻数をns、分路巻線の巻数をncとすると、巻数比aはnc/(ns+nc)で表される。単巻変圧器は、巻数比aが1に近いことで、大きさは小さくて済み、損失も少なくすることができる。本実施形態では、a=240/265となっている。
【0019】
電源部12は、変換回路12aを備えている。変換回路12aは、単巻変圧器11から供給される交流を所定の電流電圧形態に変換する機能を有しており、電源部12から出力される電流電圧を発光部10の点灯に適したものとすることができる。
【0020】
本発明の道路灯によれば、電子回路を内蔵する場合であっても、変電設備から供給される交流をそのまま配電可能であり、配電損失及び変圧器損失を抑制することができ、省エネルギー化が可能となる。また、電子回路を高電圧に対応させる必要がなく、コストを抑えることができる。また、本発明のような電子回路内蔵の道路灯と、銅鉄製安定器内蔵の道路灯とを道路に混在させて設置する場合にも、配電線を共通化することができるため、コストを抑えることができる。さらに、電気室等に専用の変圧装置を設置する必要がないので、電気室等の縮小化にも繋がる。
【0021】
<別実施形態>
単巻変圧器11と電源部12は、上記の実施形態のように道路灯1の本体1aの内部に設けるだけでなく、本体1aに外付けの筐体に収容してもよい。また、道路灯1は、図5に示すように、発光部10の内部に単巻変圧器11と電源部12を収容して構成してもよい。図5のような道路灯1は、トンネル内等の照明器具に好適である。
【符号の説明】
【0022】
1 道路灯
2 交流電源
11 単巻変圧器
12 電源部
12a 変換回路



【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部から照射される光により道路を照らす道路灯であって、
変電設備から供給される交流の第1電圧を交流の第2電圧に降圧する単巻変圧器と、
前記交流の第2電圧を前記発光部に供給するための所定の電流電圧形態に変換する変換回路を有する電源部と、を内蔵することを特徴とする道路灯。
【請求項2】
前記第1電圧は、相電圧で240Vを超える電圧であることを特徴とする請求項1に記載の道路灯。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−228102(P2011−228102A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96278(P2010−96278)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(593042007)株式会社因幡電機製作所 (25)
【出願人】(505413255)阪神高速道路株式会社 (46)
【Fターム(参考)】