説明

遠心分離機を用いた金属性CNT半導体性CNTの直接分離方法

【課題】遠心分離機を用いて、半導体性CNT及び金属性CNTを、これらの直径に応じて分離を行う方法の提供。
【解決手段】デオキシコール酸ナトリウムを含む界面活性剤水溶液にCNTを分散させたCNT分散水溶液、並びにiodixanol分子含有水溶液を含む遠心分離混合水溶液を遠心分離用チューブ内に配置し、iodixanol分子含有水溶液により濃度を調整して遠心分離を行い、前記界面活性剤の吸着量の差に応じて直径選択することを特徴とするCNT分離方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心分離機を用いた金属性CNT半導体性CNTの直接分離方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(CNTとも言う)は、1991年に非特許文献1に発表されて以来、1次元細線など種々の潜在的な応用が期待される新しい材料として積極的に開発が進められてきた。
特許文献1等に記載されている従来の方法にしたがってCNTを製造する場合に、CNTは、時には、ガラス状炭素やアモルファス炭素などの他の炭素物質を同時に生成する。CNTを利用する場合には、合成後にこれらのCNT以外の炭素物質を分離する必要がある。この分離方法の一つとして、濃度勾配遠心分離法による、ナノチューブ、ナノ粒子、その他の炭素物質がそれぞれ異なった形状、大きさおよび比重を持つこと(ナノ粒子の比重>ナノチューブの比重>無定型炭素の比重≒1.7g・cm-3)を利用して、CNTを分離することが発明された(特許文献2、特許文献3)。その際に、CNTはその直径および螺旋度に応じて、金属もしくは絶縁体(バンドギャップの大きい半導体)に変化する(非特許文献2)。
【0003】
半導体性CNTと金属性CNTの生成比はどの構造の単層CNTも等確率で生成されるならば2対1とされる。
ところが、最近、CVD法では半導体性CNTの存在比は2/3よりも多い90%程度、他方、レーザ蒸発法では金属性CNTが70%を占めるということも言われている。しかし、現在のCNTは多かれ少なかれ混在して生成され、束を構成しているとされる。このために、2種類の半導体性CNTと金属性CNTの分離は困難を極めるとされ、その分離法が求められている(非特許文献4)。CNTのデバイスへの応用も行われているが(特許文献4、特許文献5)、前記異なる性質(金属・半導体)を備えるチューブの混合は絶対に避けなければいけないということもあり、近年、その分離方法の研究が急務とされている。
半導体性CNTと金属性CNTは帯電の仕方に違いがあり、この相違を利用して(金属性CNTは帯電できないのでドラムから滑り落ち、一方、半導体性CNTは帯電した状態にあるのでドラムに静電力で引きつけられる。)、両者を分離される(特許文献2の0012)。
単層CNT(SWNT)を、界面活性剤を用いてチューブを一本ずつに分離すると、SWNT本来の特性が観測される。束になったチューブの場合に比べて光吸収スペクトルのピークが著しく鋭くなると同時に、バンド間光学遷移による発光が観測されるようになる。可溶性のポリフェニレンビニレン置換体若しくはこれらの共重合体又は可溶性のポリチオフェン置換体とCNTを含有する混合液を遠心分離し、得られた上澄み液からCNTを含有する薄膜を製造する方法(特許文献6)がある。CNTとイオン性液体とから成るゲル状組成物を加工する方法であって、当該ゲル状組成物に外力を加えた流動状態において、その組成物を印刷し、塗布し、押出し、または射出して、所定の形状を形成する工程、および前記イオン性液体を溶解し得る溶媒または吸収し得る吸収材に、前記形状を接触させてイオン性液体を除去する工程を含む方法(特許文献7)、CNTを分離する非反応的方法であって、CNTのサンプルを有機溶媒中で超音波処理する工程と前記サンプルを遠心分離する工程と上澄み液の少なくとも一部を移動する工程とを含む方法(特許文献8)などがある。
【0004】
半導体性CNTと金属性CNTの混合物中から金属性CNTを粒子と選択的に結合させて遠心分離することも行われている(特許文献9)。界面活性剤を用いる方法としては、オクタデシルアミンの半導体性CNTへの強い化学親和性を利用する方法(非特許文献4)、界面活性剤により懸濁させたCNTを臭素溶液に漬ける方法(非特許文献4)、遠心分離用チューブ内にコール酸ナトリウム(以下、SCとも言う)及びドデシル硫酸ナトリウム(以下、SDSとも言う)を、混合した水溶液により密度勾配をかけて配置し、これに試料となる半導体性CNTと金属性CNTを加えて遠心分離用チューブ内に満たし、この遠心分離用チューブを遠心分離機にかけることにより遠心分離用チューブ中で試料が密度勾配による特性と合致する部位に、半導体性CNTと金属性CNTを存在させることによる、供給試料中に存在する半導体性CNTと金属性CNTとの分離方法が知られている(非特許文献3)。
この方法では、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムを使用して、iodixanol分子含有水溶液を用いて、予め精密な密度勾配を遠心分離用チューブ内に形成する必要がある。このようにしても、これらだけの界面活性剤を用いる場合には、高純度な金属性CNTと半導体性CNTの層が遠心分離用チューブ内で近接して存在しており、大量分離が困難と予想された。産業化においては、分離能の改善が必要と予想された。
予め精密な密度勾配を遠心分離用チューブ内に形成することは操作する者にとって負担であり、半導体性CNTと金属性CNTの分離能が改善でき、より簡便な方法による、半導体性CNTと金属性CNTの分離方法が求められている。又、勾配の密度調整にIodixanol(製品名:optiprep)という高価な試薬を用いることが必要であり
、より安価な試薬で密度調整を行い、金属性CNT及び半導体性CNTを分離することが求められている。
遠心分離機を用いて半導体性CNTと金属性CNTからなる試料に対して密度勾配をかけることにより半導体性CNTと金属性CNTを分離する方法では、(1)半導体性CNT
と金属性CNTの分離能の改善、(2)直径選択性の向上改善及び(3)安価な密度調整剤の開発が必要とされている。
【特許文献1】特許第2845675号明細書
【特許文献2】特許第2522469号明細書
【特許文献3】特許第2735055号明細書
【特許文献4】特開2005−45188号公報
【特許文献5】特開2003−96313号公報
【特許文献6】特開2006−265035号公報
【特許文献7】特開2004−142972号公報
【特許文献8】特表2005−529826号公報
【特許文献9】特開2007−31238号公報
【非特許文献1】Nature,354,56−58,1991.
【非特許文献2】Phys.Rev.Letters, 68,1579−1581,1992
【非特許文献3】Nature Nanotechnology, 1,60, 2006.
【非特許文献4】CNTの材料科学入門 2005年3月22日 株式会社コロナ社 発行行 32頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、遠心分離機を用いて、CNT(半導体性CNT、金属性CNT、様々
な直径を有する混合試料)から、ある特定の性質(金属性・半導体性・直径)を備えるC
NTの分離を行うことを意図し、(1)半導体性CNTと金属性CNTの分離能の改善、(
2)直径選択性の向上改善及び(3)安価な密度調整剤の開発を行うことを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究し、以下の点を見いだして本発明を完成させた。
[1]従来使用されていないデオキシコール酸ナトリウム(DOC)を分散・添加剤として用いた密度勾配遠心分離により半導体性CNTと金属性CNTの分離方法における分離能の改善
(1)デオキシコール酸ナトリウムを含む界面活性剤水溶液にCNTを分散させたCNT分散水溶液並びにiodixanol分子含有水溶液を含む遠心分離混合水溶液を遠心分離用チューブ内に配置し、iodixanol分子含有水溶液により濃度を調整して遠心分離を行い、前記界面活性剤の吸着量の差に応じて金属性CNTと半導体性CNTの分離を特徴とするCNT分離が可能になった。
(2)デオキシコール酸ナトリウムを含む界面活性剤水溶液にCNTを分散させて得られるCNT分散水溶液に、iodixanol分子含有水溶液を混合して得られるCNT混合液、並びにiodixanol分子含有水溶液を含む遠心分離混合水溶液を遠心分離用チューブ内に配置し、iodixanol分子含有水溶液により濃度を調整して遠心分離を行い、前記界面活性剤の吸着量の差に応じて金属性CNTと半導体性CNTの分離を特徴とするCNT分離が可能になった。
(3)デオキシコール酸ナトリウムを含む界面活性剤水溶液にCNTを分散させたCNT分散水溶液、並びにiodixanol分子含有水溶液を含む遠心分離混合水溶液を遠心分離用チューブ内に配置し、iodixanol分子含有水溶液により濃度を調整して遠心分離を行い、前記界面活性剤の吸着量の差に応じて直径選択することを特徴とするCNT分離が可能になった。
(4)デオキシコール酸ナトリウムを含む界面活性剤水溶液にCNTを分散させて得られるCNT分散水溶液に、iodixanol分子含有水溶液を混合して得られるCNT混合液、並びにiodixanol分子含有水溶液を含む遠心分離混合水溶液を遠心分離用チューブ内に配置し、iodixanol分子含有水溶液により濃度を調整して遠心分離を行い、前記界面活性剤の吸着量の差に応じて直径選択することを特徴とするCNT分離が可能になった。
(5)デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムからなる界面活性剤水溶液にCNTを分散させて得られるCNT分散水溶液、並びにiodixanol分子含有水溶液、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムからなる遠心分離混合水溶液を遠心分離用チューブ内に配置し、iodixanol分子含有水溶液により濃度を調整して遠心分離を行い、前記遠心分離用チューブ内に、半導体型CNTが存在する部分と金属型CNTが存在する部分を形成することにより、金属性CNTと半導体性CNTの分離を特徴とするCNT分離が可能になった。
(6)デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムからなる水溶液にCNTを分散させて得られるCNT分散水溶液にiodixanol分子含有水溶液を混合して得られるCNT混合液、並びにiodixanol分子含有水溶液、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムからなる遠心分離混合水溶液を遠心分離用チューブ内に配置し、iodixanol分子含有水溶液により濃度を調整して遠心分離を行い、前記遠心分離用チューブ内に、半導体型CNTが存在する部分と、金属型CNTが存在する部分を形成することにより金属性CNTと半導体性CNTの分離を特徴とするCNT分離が可能になった。
(7)前記(1)から(6)記載のiodixanol分子含有水溶液、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムからなる遠心分離混合水溶液において、iodixanol分子含有水溶液が濃度調整されていることにより
CNT分離が可能になった。
(8)前記iodixanol分子含有水溶液による濃度調整は、濃度勾配(0を超えて50%までの範囲)を設け、又は一定濃度(0を超えて50%までの範囲)にして行うことによりCNT分離が可能になった。
(9)前記CNT分散水溶液は、デオキシコール酸ナトリウム(0を超えて10重量%未満)、コール酸ナトリウム(0を超えて10重量%未満)、ドデシル硫酸ナトリウム(0を超えて10重量%未満)からなるものであり、これを用いることにより金属性CNTと半導体性CNTの分離が可能になった。
(10)前記CNT混合液は、デオキシコール酸ナトリウム(0を超えて10重量%未満)、コール酸ナトリウム(0を超えて10重量%未満)、ドデシル硫酸ナトリウム(0を超えて10重量%未満)、iodixanol分子含有水溶液(0を超えて50濃度%以内)からなるものであり、これを用いることにより金属性CNTと半導体性CNTの分離が可能になった。
(11)前記(1)から(6)のいずれかの記載のCNTは、単層CNT、及び/又は二層CNTから選ばれるCNTを含有するものをもちいることができること。
(12)前記CNT分離方法により分離して得られた金属性CNTと半導体性CNTの各々にアルコールを添加して金属性CNTと半導体性CNTを各々精製することができること。
【0007】
[2]糖類を密度調整に用いた遠心分離機を使用した金属性CNTと半導体性CNTの分離方法
(1)遠心分離用チューブ内にコール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムを混合液に対してスクロース分子濃度0を超えて50%までの範囲である濃度勾配溶液を配置し、界面活性剤としてデオキシコール酸ナトリウムによりCNTを分散させた水溶液を挿入し、該遠心分離用チューブを遠心分離機にかけることにより金属性CNTと半導体性CNTの分離が可能となった。
(2)前記該遠心分離用チューブ内に集中して金属性CNTが多く存在し、半導体性CNTが少なく存在する部分と、半導体性CNTが多く存在し、金属性CNTが少なく存在する部分を形成することである前記(1)記載の金属性CNTと半導体性CNTが可能となった。
(3)前記(1)又は(2)記載のスクロース分子濃度を調整することによることで、遠心分離用チューブ内の溶液の密度調整を行うことにより金属性CNTと半導体性CNTの分離が可能となった。
(4)前記(1)又は(2)記載の、デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムを界面活性剤として含み、スクロース分子で濃度調整及び密度調整を行うこと金属性CNTと半導体性CNTの分離遠心分離用チューブ用溶液。
【0008】
[3]従来使用されていないデオキシコール酸ナトリウム(DOC)を分散・添加剤として用いた遠心分離用チューブを遠心分離機に使用するCNTの分離方法による直径選択の改善
(1)遠心分離用チューブ内にコール酸ナトリウム水溶液に対してiodixanol分子含有水溶液を用いて濃度勾配(0を超えて50%まで)をかけて配置し、CNTを界面活性剤としてデオキシコール酸ナトリウムを用いて分散した水溶液を挿入し、この遠心分離用チューブを遠心分離機にかけ、CNTの直径選択を行うことによるCNT分離方法。
(2)前記CNTの直径選択が存在する部分が、ある特定の直径を持つCNTが多く含まれる部分を形成することである前記(1)記載のCNTの分離が可能となった。
[4]本発明の、遠心分離において遠心分離用チューブ内に配置する溶液の状態、遠心チューブ及び遠心分離機にかけた後の状態は以下の通りである。
(1)デオキシコール酸ナトリウムを含む界面活性剤水溶液にCNTを分散させたCNT分散水溶液、並びにiodixanol分子含有水溶液を含む遠心分離混合水溶液を配置し、iodixanol分子含有水溶液により濃度が調整され、金属性CNT及び半導体性CNTを分離することを特徴とするCNT分離用遠心容器
(2)デオキシコール酸ナトリウムを含む界面活性剤水溶液にCNTを分散させて得られるCNT分散水溶液に、iodixanol分子含有水溶液を混合して得られるCNT混合液、並びにiodixanol分子含有水溶液を含む遠心分離混合水溶液が配置され、iodixanol分子含有溶液により濃度が調整され、金属性CNT及び半導体性CNTを分離することを特徴とするCNT分離用遠心容器。
(3)デオキシコール酸ナトリウムを含む界面活性剤水溶液にCNTを分散させて得られるCNT分散水溶液、並びにiodixanol分子含有水溶液を含む遠心分離混合水溶液が配置され、iodixanol分子含有水溶液により濃度が調整され、CNTの直径選択を行うことを特徴とするCNT分離用遠心容器。
(4)デオキシコール酸ナトリウムを含む界面活性剤水溶液にCNTを分散させて得られるCNT分散水溶液に、iodixanol分子含有水溶液を混合して得られるCNT混合液、並びにiodixanol分子含有水溶液を含む遠心分離混合水溶液が配置されおり、iodixanol分子含有水溶液により濃度が調整され、CNTの直径選択を行うことを特徴とするCNT分離用遠心容器。
(5)請求項13又は14記載の、デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムを界面活性剤として含み、スクロース分子により濃度調整及び密度調整を行われて状態で充填され、金属性CNTと半導体性CNTを分離することを特徴とするCNT分離用遠心容器。
(6)デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムからなる界面活性剤水溶液にCNTを分散させて得られるCNT分散水溶液、並びにiodixanol分子含有水溶液、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムからなる遠心分離混合水溶液が配置され、iodixanol分子含有水溶液により濃度が調整され、金属性CNT及び半導体性CNTを分離することを特徴とするCNT分離用遠心容器。
(7)デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムからなる水溶液にCNTを分散させて得られるCNT分散水溶液に、iodixanol分子含有水溶液を混合して得られるCNT混合液、並びにiodixanol分子含有水溶液、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムからなる遠心分離混合水溶液が配置され、iodixanol分子含有水溶液により濃度が調整され、金属性CNT及び半導体性CNTを分離することを特徴とするCNT分離用遠心容器。
(8)遠心分離用チューブ内にコール酸ナトリウム水溶液に対してiodixanol分子含有水溶液が濃度勾配(0を超えて50%まで)をかけて配置され、CNTを界面活性剤としてデオキシコール酸ナトリウムを用いて分散されたCNT分散水溶液が挿入されて配置され、CNTの直径選択を行うことを特徴とするCNT分離用遠心容器。
(9)請求項1から6のいずれか一項記載のCNT分離方法より得られる金属性CNT。(10)請求項1から6のいずれか一項記載のCNT分離方法より得られる半導体性CNT。
(11)請求項1から6のいずれか一項記載のCNT分離方法より得られる直径選択されたCNT。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、以下のことが可能となる。
(1)デオキシコール酸ナトリウムを含むCNT分散水溶液、又はCNT混合液を用いることで、CNTより金属性CNTと半導体性CNTといったCNT分離が可能になった。(2)遠心分離用チューブ内にコール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムを混合液に対してスクロース分子濃度0を超えて50%までの範囲である濃度勾配溶液を配置し、界面活性剤としてデオキシコール酸ナトリウムによりCNTを分散させた水溶液を挿入し、該遠心分離用チューブを遠心分離機にかけることにより、スクロースを用いて金属性CNTと半導体性CNTの分離を行うことが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】遠心分離機を使用した金属・半導体性CNTの分離を行った本発明と従来の方法による結果を示す図。
【図2】本発明の密度勾配をかけずに、遠心分離器による金属半導体性CNTの分離法の結果を示す図。
【図3】糖類を密度調整に用いた遠心分離器を使用した金属半導体性CNTの分離法の結果を示す図。
【図4】遠心分離機を使用したCNTの分離方法における本発明の直径・カイラリティ選択の改善と従来の方法による結果を示す図。
【図5】遠心分離機を使用した金属・半導体性CNTの分離を行った本発明の結果を示す図。
【図6】遠心分離機を使用した金属・半導体性CNTの分離を行った本発明の結果を示す図。
【図7】アルコール添加による精製を示す図。
【図8】二層CNTにおいて遠心分離結果を示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[1]デオキシコール酸ナトリウム(DOC)を分散・添加剤として用いた遠心分離を行う金属性CNTと半導体性CNTの分離方法については、以下のようにして行う。
対象とするCNTについて説明する。
CNTには、そのグラフェンシートの巻き方によって、金属及び半導体性CNTが存在する。デバイスに応用するには、異なる性質(金属性CNT及び半導体性CNTの混合された状態による)を備えるチューブの混合は絶対に避けなければならない。
CNTの製造においては、金属及び半導体性CNTが混在してしまう結果、金属性CNT及び半導体性CNTを分離することが必要となる。一般的に、半導体性CNT、金属性CNTは比率として2対1の割合で混入してしまう可能性が、カイラリティ依存性から指摘されている。
この分離には処理操作が安定して行うことができる遠心分離が有効である。遠心分離においては、濃度調製を行った遠心分離用チューブ内に、試料となるCNTを分散させた水溶液を導入し、遠心分離を行う状態に保持し、この遠心分離用チューブを遠心分離機にかけて行う。遠心分離には25万G程度の遠心力を発揮する遠心分離機を用いる。
【0012】
本発明の方法は、CNTから金属性CNTと半導体性CNTの分離する際に、遠心分離法を用いるものであり、濃度(又は密度)勾配をかけた状態で遠心分離を行うものである。遠心分離後の遠心分離用チューブ内には、各々異なる場所に金属性CNTが存在する位置と半導体性CNT存在する位置が生じ、これを利用して分離することが可能となるものである。
このような存在する位置に相違が生ずる原因は、金属性CNTと半導体性CNTのミセルサイズの違いに由来し、金属性CNTに吸着した界面活性剤量と半導体性CNTに吸着した界面活性剤量が異なることに起因する。
単一の界面活性剤を用いる方法では、各々異なる場所に金属性CNTが存在する位置と半導体性CNT存在する位置が生ずることはなく、金属性CNTと半導体性CNTの分離は不可能であった。本発明では、界面活性剤の吸着量の差に応じてCNT分離精製が達成されているものと考えられる。
直径選択性においても、デオキシコール酸ナトリウムとコール酸ナトリウムの二種類の界面活性剤を用いることにより、分離能の改善を利用するものであり、前記物理的背景と同様なCNT分離が行われているものと考えられる。
さらに、遠心分離を行った後に、遠心分離用チューブ内に、半導体性CNTが金属性CNTより多く存在する部分と、金属性CNTが半導体性CNTより多く存在する部分に分けることができる。
【0013】
上記方法の特徴は、新たにデオキシコール酸ナトリウムを、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムからなる水溶液に添加して用いる点にある。
従来は、コール酸ナトリウム(SC)(1%)及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)(1%)を混合させた溶液にiodixanol分子含有水溶液を用いて精密に密度勾配をかけた遠心分離用チューブを用意し、CNTを分散した水溶液(コール酸ナトリウムを界面活性剤とし、CNTを含有する)を得た後、前記遠心分離用チューブに挿入し、この遠心分離用チューブを遠心分離機にかけて、遠心分離用チューブ内に金属性CNTと半導体性CNTが存在する割合が異なる場所を形成させて、金属性CNTと半導体性CNTの分離を行ってきた。
本発明では、コール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムに新たにデオキシコール酸ナトリウムを組み合わせて用いることにより、金属性CNTと半導体性CNTの分離を可能にした点にある。
【0014】
本発明の方法には、以下の方法を含む。
(1)デオキシコール酸ナトリウムを含む界面活性剤水溶液にCNTを分散させたCNT分散水溶液並びにiodixanol分子含有水溶液を含む遠心分離混合水溶液を遠心分離用チューブ内に配置し、iodixanol分子含有水溶液により濃度を調整して遠心分離を行いことにより、前記界面活性剤の吸着量の差に応じて金属性CNTと半導体性CNTを分離することを特徴とするCNT分離が可能となる。
【0015】
(2)デオキシコール酸ナトリウムを含む界面活性剤水溶液にCNTを分散させて得られるCNT分散水溶液に、iodixanol分子含有水溶液を混合して得られるCNT混合液、並びにiodixanol分子含有水溶液を含む遠心分離混合水溶液を遠心分離用チューブ内に配置し、iodixanol分子含有水溶液により濃度を調整して遠心分離を行い、前記界面活性剤の吸着量の差に応じて金属性CNTと半導体性CNTを分離することを特長とするCNT分離が可能となる。
【0016】
(3)デオキシコール酸ナトリウムを含む界面活性剤水溶液にCNTを分散させたCNT分散水溶液、並びにiodixanol分子含有水溶液を含む遠心分離混合水溶液を遠心分離用チューブ内に配置し、iodixanol分子含有水溶液により濃度を調整して遠心分離を行い、前記界面活性剤の吸着量の差に応じて直径選択することを特徴とするCNT分離が可能となる。
【0017】
(4)デオキシコール酸ナトリウムを含む界面活性剤水溶液にCNTを分散させて得られるCNT分散水溶液に、iodixanol分子含有水溶液を混合して得られるCNT混合液、並びにiodixanol分子含有水溶液を含む遠心分離混合水溶液を遠心分離用チューブ内に配置し、iodixanol分子含有水溶液により濃度を調整して遠心分離を行い、前記界面活性剤の吸着量の差に応じて直径選択することを特長とするCNT分離が可能となる。
【0018】
(5)デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムからなる界面活性剤水溶液にCNTを分散させて得られるCNT分散水溶液、並びにiodixanol分子含有水溶液、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムからなる遠心分離混合水溶液を遠心分離用チューブ内に配置し、iodixanol分子含有水溶液により濃度を調整して遠心分離を行い、前記遠心分離用チューブ内に、半導体型CNTが存在する部分と金属型CNTが存在する部分を形成することにより、金属性CNTと半導体性CNTの分離が可能となる。
前記の場合において具体的な操作は以下の通りとなる。
前記CNTを含む溶液(CNT分散水溶液、又はCNT混合液)が遠心分離用チューブ内において挿入される位置は、前記CNTを含む溶液のiodixanol分子含有水溶液濃度と、遠心分離用混合水溶液のiodixanol分子含有水溶液濃度とが釣り合う位置である。遠心分離用混合水溶液とCNTを含む溶液のiodixanol分子含有水溶液濃度の関係によって、CNTを含む溶液は、遠心分離用チューブ内の上端部、中間部や底部に供給される。
前記の方法において、遠心分離混合水溶液の組成並びに濃度勾配及び濃度調整は以下のように行われる。
前記iodixanol分子含有水溶液、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムからなる遠心分離混合水溶液は、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムが各々0を超えて10重量%未満の組成であり、iodixanol分子含有水溶液により濃度勾配を形成させ(0を超えて50%までの範囲)、又はiodixanol分子含有水溶液を一定濃度(0を超えて50%までの範囲)として遠心分離チューブ内に配置される。
【0019】
(6)デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムからなる水溶液にCNTを分散させて得られるCNT分散水溶液にiodixanol分子含有水溶液を混合して得られるCNT混合液、並びにiodixanol分子含有水溶液、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムからなる遠心分離混合水溶液を遠心分離用チューブ内に配置し、iodixanol分子含有水溶液により濃度を調整して遠心分離を行い、前記遠心分離用チューブ内に、半導体性CNTが存在する部分と、金属性CNTが存在する部分を形成することにより金属性CNTと半導体性CNTの分離が可能となる。
操作内容は、前記と同様である。
【0020】
前記の方法において、遠心分離混合水溶液の組成並びに濃度勾配及び濃度調整は以下のように調整される。
(7)前記(1)から(6)いずれか記載のiodixanol分子含有水溶液、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムからなる遠心分離混合水溶液において、iodixanol分子含有水溶液が濃度調整されていることにより金属性CNTと半導体性CNTの分離が可能となる。
具体的には以下の通りである。
(8)前記(1)から(6)いずれか記載のiodixanol分子含有水溶液による濃度調整は、濃度勾配(0を超えて50%までの範囲)を設け、又は一定濃度(0を超えて50%までの範囲)にして行うことにより金属性CNTと半導体性CNTの分離が可能となる。
(9)前記前記(1)から(6)いずれか記載のCNT分散水溶液は、デオキシコール酸ナトリウム(0を超えて10重量%未満)、コール酸ナトリウム(0を超えて10重量%未満)、ドデシル硫酸ナトリウム(0を超えて10重量%未満)からなるものであり、これを用いることによりCNT分離が可能となる。
(10)前記(1)から(6)のいずれか記載のCNT混合液は、デオキシコール酸ナトリウム(0を超えて10重量%未満)、コール酸ナトリウム(0を超えて10重量%未満)、ドデシル硫酸ナトリウム(0を超えて10重量%未満)、iodixanol分子含有水溶液(0を超えて50濃度%以内)からなるものであり、これを用いることによりCNT分離が可能となる。
【0021】
(11)前記(1)から(6)のいずれかの記載のCNTは、単層CNT、及び/又は二層CNTから選ばれるCNTを含有するものを用いることができる。
【0022】
(12)前記(1)から(11)いずれか記載のCNTの分離方法により分離して得られ
た金属性CNTと半導体性CNTの各々にアルコールを添加して金属性CNTと半導体性CNTを各々精製することができる。
金属性CNTと半導体性CNTの分離方法により分離される金属性CNTと半導体性CNTの各々にアルコールを添加して金属性CNTと半導体性CNTをバンドル化させて各々を精製することができる。
アルコールはメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコールを用いることができる。取り扱いの簡便なことからメタノールを用いることができる。アルコールは含まれる金属性CNTと半導体性CNT凝縮(バンドル化)させて、濾過することにより紙状の金属性CNTと半導体性CNTを取り出すことができる。
金属性・半導体性を分離したCNT孤立分散液は、そのままの状態であると、通常の濾紙(空孔サイズ:0.2um以上)をすり抜けてしまい、紙状にすることは不可能である。発明者らは、孤立分散液にアルコール(メタノールなど)を添加させることで、孤立状態からバンドル形成が可能であることを発見した。濾紙を通過することなく、回収することが可能となり、紙状のCNTを得ることができる。この方法は、他のCNT孤立分散水溶液に対しても適用可能である。
【0023】
[2]糖類を密度調整に用いた遠心分離器を使用した金属半導体性CNTの分離方法
(13)遠心分離用チューブ内にコール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムを混合させたスクロース分子濃度(0を超えて50%までの範囲で可能である。この範囲の中の5−30%の範囲を採用)である密度勾配溶液を配置し、CNTを界面活性剤としてデオキシコール酸ナトリウムにより分散させた水溶液を挿入し、この遠心分離用チューブを遠心分離機にかける。
その結果、この遠心分離用チューブ内に集中して金属性CNTが多く存在し、半導体性CNTが少なく存在する部分と、半導体性CNTが多く存在し、金属性CNTが少なく存在する部分を形成することができる。
このことにより、金属性CNTと半導体性CNTを分離することができる。
(14)前記該遠心分離用チューブ内に集中して金属性CNTが多く存在し、半導体性CNTが少なく存在する部分と、半導体性CNTが多く存在し、金属性CNTが少なく存在する部分を形成することによる前記13記載の金属性CNTと半導体性CNTの分離が可能となった。
(15)前記(13)又は(14)記載のスクロース分子濃度を調整することによることで、遠心分離用チューブ内の溶液の密度調整を行うことにより金属性CNTと半導体性CNTの分離が可能となった。
(16)前記(13)又は(14)記載の、デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムを界面活性剤として含み、スクロース分子で濃度調整及び密度調整を行うことにより得られる金属性CNTと半導体性CNTの分離遠心分離用チューブ用溶液を用いることが有効である。
【0024】
前記の方法では、スクロース分子濃度は0を超えて50%までの範囲で可能であり、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムを含む密度勾配溶液を遠心分離用チューブ内に形成することができる。
CNT分散水溶液にはデオキシコール酸ナトリウムを含む。このCNT分散水溶液を遠心分離用チューブ内に挿入する。
遠心分離用チューブを遠心分離機にかける。遠心分離は、25万G,20時間程度である。
【0025】
[3]デオキシコール酸ナトリウム(DOC)を分散・添加剤として用いた遠心分離機を使用するCNTの分離方法による直径選択の改善は以下のようにして行う。
従来は以下のようにして行なっていた。
(1)CNTを分散した水溶液(コール酸ナトリウム(SC)を界面活性剤としてCNT1%程度の水溶液)を用意し、(2)コール酸ナトリウム(SC)1%溶液にiodixanol分子含有水溶液を用いて濃度勾配をかけた遠心分離用チューブを用意し、(3)CNTを分散させた水溶液を前記(2)において用意した遠心分離用チューブに挿入し、遠心分離をかけることによって直径選択を行った。
この場合にはコール酸ナトリウム(SC)のみを界面活性剤として1%程度のものに溶解させて用いる点で十分でなく、以下のように行う。
【0026】
本発明の濃度勾配は、コール酸ナトリウム(SC)1%溶液にiodixanol分子含有水溶液を用いて濃度勾配(0を超えて50%までの範囲で可能であり、この範囲の中の15−30%の範囲を採用)をかけたものを遠心分離用チューブ内に配置する。
CNTを分散した水溶液(デオキシコール酸ナトリウム(DOC)を界面活性剤として1%程度のものに溶解させる)を用意し、これを前記遠心分離用チューブに挿入する。
【0027】
本発明では、(1)CNTを、デオキシコール酸ナトリウム(DOC)を界面活性剤(1%)として用いて分散した水溶液を得た後、(2)コール酸ナトリウム(SC)(1%)及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)(1%)を混合させた溶液にiodixanol分子含有水溶液を用いて濃度勾配(0から50%の範囲であり、この範囲の中の15−30%の範囲を採用)をかけた遠心分離用チューブを配置し、(3)前記(1)のCNTを分散させた水溶液を前記(2)において用意した遠心分離用チューブに挿入し(デオキシコール酸ナトリウムは添加されたことにもなる。)、(4)前記(3)の遠心分離用チューブを遠心分離機にかける。
本発明の方法では、一度の遠心分離により金属性CNTが多く存在するバンド幅は689cm−1となる(図4)。従来は、一度の遠心で、金属性CNTが多く存在するバンド幅は1654cm−1である(図4)。本発明の方法を用いると、そのバンド幅から見て
、2.5倍に直径選択性が改善されたことを示している。
遠心分離にかけられる遠心分離用チューブ内には、デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムが複合界面活性剤として含まれている。
この溶液を用い、デオキシコール酸ナトリウム(DOC)を分散・添加剤として用いることで、遠心分離機を使用するCNTの分離方法の直径選択の改善に際し、有効に使用することができる。
以上いずれか記載の、iodixanol分子含有水溶液またはスクロース分子濃度を調整することによることで、遠心分離用チューブ内の溶液の密度調整を行うことにより、金属性CNTと半導体性CNTの分離することができる。また、いずれか記載の、デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムを界面活性剤として含み、iodixanol分子含有水溶液またはスクロース分子で濃度調整および密度調整を行う金属性CNTと半導体性CNTの分離可能な遠心分離用チューブ用溶液を用いることができる。
前記iodixanol濃度が60%の時、密度は1.32g/mlになる。またスクロース分子濃度20%は、密度は1.2g/mlに対応する。よって、iodixanol濃度、スクロース濃度を変えることは、密度を変えていることに対応する。よって濃度調整は密度調整に対応可能である。
(17)遠心分離用チューブ内にコール酸ナトリウム水溶液に対してiodixanol分子含有水溶液を用いて濃度勾配(0を超えて50%まで)をかけて配置し、CNTを界面活性剤としてデオキシコール酸ナトリウムを用いて分散した水溶液を挿入し、この遠心分離用チューブを遠心分離機にかけ、CNTの直径選択を行うことを特徴とするCNT分離が可能である。
【0028】
[4]本発明の、遠心分離において遠心分離用チューブ内に配置する溶液の状態、遠心チューブ及び遠心分離機にかけた後の状態は以下の通りである。
(1)デオキシコール酸ナトリウムを含む界面活性剤水溶液にCNTを分散させたCNT分散水溶液、並びにiodixanol分子含有水溶液を含む遠心分離混合水溶液を配置し、iodixanol分子含有水溶液により濃度が調整され、金属性CNT及び半導体性CNTを分離することを特徴とするCNT分離用遠心容器。
(2)デオキシコール酸ナトリウムを含む界面活性剤水溶液にCNTを分散させて得られるCNT分散水溶液に、iodixanol分子含有水溶液を混合して得られるCNT混合液、並びにiodixanol分子含有水溶液を含む遠心分離混合水溶液が配置され、iodixanol分子含有溶液により濃度が調整され、金属性CNT及び半導体性CNTを分離することを特徴とするCNT分離用遠心容器。
(3)デオキシコール酸ナトリウムを含む界面活性剤水溶液にCNTを分散させて得られるCNT分散水溶液、並びにiodixanol分子含有水溶液を含む遠心分離混合水溶液が配置され、iodixanol分子含有水溶液により濃度が調整され、CNTの直径選択を行うことを特徴とするCNT分離用遠心容器。
(4)デオキシコール酸ナトリウムを含む界面活性剤水溶液にCNTを分散させて得られるCNT分散水溶液に、iodixanol分子含有水溶液を混合して得られるCNT混合液、並びにiodixanol分子含有水溶液を含む遠心分離混合水溶液が配置されおり、iodixanol分子含有水溶液により濃度が調整され、CNTの直径選択を行うことを特徴とするCNT分離用遠心容器。
(5)請求項13又は14記載の、デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムを界面活性剤として含み、スクロース分子により濃度調整及び密度調整を行われて状態で充填され、金属性CNTと半導体性CNTを分離することを特徴とするCNT分離用遠心容器。
(6)デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムからなる界面活性剤水溶液にCNTを分散させて得られるCNT分散水溶液、並びにiodixanol分子含有水溶液、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムからなる遠心分離混合水溶液が配置され、iodixanol分子含有水溶液により濃度が調整され、金属性CNT及び半導体性CNTを分離することを特徴とするCNT分離用遠心容器。
(7)デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムからなる水溶液にCNTを分散させて得られるCNT分散水溶液に、iodixanol分子含有水溶液を混合して得られるCNT混合液、並びにiodixanol分子含有水溶液、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムからなる遠心分離混合水溶液が配置され、iodixanol分子含有水溶液により濃度が調整され、金属性CNT及び半導体性CNTを分離することを特徴とするCNT分離用遠心容器。
(8)遠心分離用チューブ内にコール酸ナトリウム水溶液に対してiodixanol分子含有水溶液が濃度勾配(0を超えて50%まで)をかけて配置され、CNTを界面活性剤としてデオキシコール酸ナトリウムを用いて分散されたCNT分散水溶液が挿入されて配置され、CNTの直径選択を行うことを特徴とするCNT分離用遠心容器。
(9)請求項1から6のいずれか一項記載のCNT分離方法より得られる金属性CNT。(10)請求項1から6のいずれか一項記載のCNT分離方法より得られる半導体性CNT。
(11)請求項1から6のいずれか一項記載のCNT分離方法より得られる直径選択されたCNT。
【実施例1】
【0029】
デオキシコール酸ナトリウム(DOC、東京化成より購入:製品コード C0316)を含んだCNT分散水溶液を用いた、金属・半導体性CNTの分離方法
(1)遠心分離用チューブ内にコール酸ナトリウム(SC、シグマアルドリッチより購入:製品コード C6445)(0.5%もしくは1.5%)及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS、関東化学:コード37203−11、もしくはシグマアルドリッチより購入:製品コード L6026、)(0.5%もしくは1.5%)を混合させた溶液をiodixanol分子含有水溶液(第一化学薬品より購入:製品名 Optiprep(iodixanol60%水溶液))を用いて、濃度勾配(15−30%)をかけて配置した。
(2)単層CNT(CNT試料に関しては、前処理が必要な場合もあるし、必要でない場合もある。それはCNT純度に依存する。)を、デオキシコール酸ナトリウム(DOC)を含む水溶液を用いて分散させ、遠心分離用チューブ(12ml)に挿入(1.5ml)した(デオキシコール酸ナトリウムは添加されたことにもなる。)。
単層CNTの分散液を得る場合の取り扱いは以下のとおりである。
単層CNT1mgを含む18mlデオキシコール酸ナトリウム1%水溶液に超音波(ブラ
ンソンソニファイアー:レベル2)を4時間かけた。その後、その溶液に対して25万G1時間、超遠心を行い、上澄み液を取り出すことでCNT分散水溶液を得た。
(3)前記(2)の遠心分離用チューブを遠心分離機(25万G、15時間の遠心分離。遠心分離機:ベックマン社製、ローター:SW41)にかけた。
(4)その結果、前記この遠心分離用チューブ内に金属性CNTが多く存在する部分と、半導体性CNTを少なく存在する部分が形成することにより、金属性CNT及び半導体性CNTの分離を行うことができた。結果を図1に示した。
【0030】
比較例
(実施例1の場合においてデオキシコール酸ナトリウムを用いない場合)
(1)コール酸ナトリウム(0.5%)及びドデシル硫酸ナトリウム(0.5%)を含む水溶液にiodixanol分子含有水溶液を用いて精密に密度勾配をかけた遠心分離用チューブを用意した。
(2)コール酸ナトリウム1%水溶液に単層CNTを分散したCNT分散水溶液を作製した。(デオキシコール酸ナトリウムを含んでいない。)
(3)前記CNT分散水溶液を遠心分離用チューブに挿入し、この遠心分離用チューブを遠心分離機にかけて、金属性CNTと半導体性CNTが存在する割合がチューブ内の位置によって変化し、金属性CNTと半導体性CNTの分離を行った。結果を図1に示した。
【0031】
本発明の実施例1の結果と比較例の結果の比較を図1により行う。
実施例1と比較例の結果では、金属性CNT金属(M1バンド:M)と半導体性CNT
の金属(S2バンド:S)との比が、本発明の方法ではM/S=5.5であり、比較例で
は、M/S=1.4である。
本発明の方法によればM/S=5.5となり4倍も分解能の改善が見られたことがわかった。
【実施例2】
【0032】
[2]密度勾配をかけずに一定濃度の場合での、遠心分離器による金属性半導体性CNTの分離法
(1)単層CNTを分散したCNT分散水溶液(デオキシコール酸ナトリウム(DOC)を界面活性剤として1%含む)を用意した(単層CNT1.5mgを18mlのデオキシコール酸ナトリウム1%水溶液に分散させた)。
(2)コール酸ナトリウム(SC)及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を1:1で混合させた一定密度濃度溶液(iodixanol分子含有水溶液濃度22.5%)を遠心分離用チューブに注入した。
(3)単層CNTを分散させた水溶液(1)を、(2)において用意した遠心分離用チューブ(12ml)に挿入した(デオキシコール酸ナトリウム(DOC)は約0.01%添加されたこととなる。)。
(4)この遠心分離用チューブを遠心分離機(25万G、15時間の遠心分離。遠心分離機:ベックマン、ローター:SW41)にかけた。
結果を図2に示した。
従来の手法で行われている密度勾配をかけることなく、一定密度濃度溶液でも金属・半導体性CNTの分離が可能であることがわかった。
従来の方法だと、精密な濃度勾配をかける必要があるが、本方法では、一定濃度溶液においても分離が可能であることを結論付けることができる。
【実施例3】
【0033】
[3]糖類を密度調整に用いた遠心分離器を使用した金属半導体性CNTの分離方法
(1)単層CNTを分散したCNT分散水溶液(デオキシコール酸ナトリウムを1%含む)を用意した。
(2)コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムを1:1で混合させた密度勾配溶液(スクロース分子濃度5―30%)を遠心分離用チューブ内に配置した。(3)前記(1)のCNT分散水溶液を、(2)において用意した遠心分離用チューブ(12ml)に挿入した(デオキシコール酸ナトリウム(DOC)は0.01%添加されたこととなる。)。(4)このチューブを用いて遠心分離(25万G,20時間処理操作、遠心分離機:ベックマン、ローター:SW41)を行った。
分離後の金属チューブが多く含まれる溶液と、分離前のナノチューブ溶液のスペクトルを比較すると、分離前の金属チューブ、その結果、金属(M1:M)と半導体チューブ(S2バンド:S)の大きさの比が、分離前ではM/S=0.3であるのに対して、本発明手法だとM/S=0.7となった。約2倍も金属を選択的に多く含めた溶液を分取することができることを示している(図3)。
これは、iodixanol分子含有水溶液という高価な水溶液を用いず、スクロース
という安価な分子でも、金属半導体CNT分離の可能性を有していることを示している。
またスクロース20%濃度とは密度1.2g/mlに対応し、スクロースは密度調整にも
使うことができる。
【実施例4】
【0034】
デオキシコール酸ナトリウム(DOC)を含むCNT分散水溶液を用いた直径選択の改善方法。
従来は以下のようにして行なっていた。
(1)単層CNTを分散したCNT分散水溶液(コール酸ナトリウム(SC)を界面活性剤として分散させたCNT1%程度のもの)を用意した。
(2)コール酸ナトリウム(SC)1%溶液とiodixanol分子含有水溶液を用いて、濃度勾配(0−30%)を形成させた遠心分離用チューブを用意した。
(3)前記CNT分散水溶液を(2)において用意した遠心分離用チューブに挿入し、遠心分離をかけることによって直径選択を行った。
【0035】
以下の本発明の方法を用いると、数倍直径選択性が良くなることが分かった。
(1)単層CNTを分散させたCNT分散水溶液(デオキシコール酸ナトリウム(DOC)1%含む)を用意した。
(2)コール酸ナトリウム(SC)(1%)とiodixanol分子含有水溶液を用いて、濃度勾配(0−30%)を形成させた遠心分離用チューブを用意した。
(3)前記(1)CNT分散水溶液を前記(2)において用意した遠心分離用チューブに挿入した(デオキシコール酸ナトリウムは添加されたことにもなる。)。
(4)前記(3)の遠心分離用チューブを遠心分離機にかけた。
結果を図4に示した。
【0036】
本発明の方法では、一度の遠心分離により金属性CNT由来のバンド幅は689cm−1である(図4)。従来は、一度の遠心分離で、金属性CNT由来のバンド幅は1654cm−1である(図4)。本発明の方法を用いると、そのバンド幅から見て、2.5倍に
直径選択性が改善されたことを示している。
【実施例5】
【0037】
デオキシコール酸ナトリウム(DOC)とiodixanol分子含有水溶液を含むCNT混合液を用いた遠心分離機を使用した金属・半導体性CNTの分離方法
(1)単層CNT3mgを15mlのデオキシコール酸ナトリウム1%水溶液に分散させた(ブランソンソニファイアー、10h)。同分散液に対して遠心(20万G、1時間)
をかけ、上澄み液を採取した。上澄み液0.7mlに1.3mlのiodixanol 60%界面活性剤混合溶液(ドデシル硫酸ナトリウム3.6%,コール酸ナトリウム0.9%
)を加え、CNT混合液を作製した。
遠心分離用チューブ内に遠心分離用混合溶液を作製した。この混合溶液のiodixanol濃度は20%から30%の間で濃度(密度)勾配形成させた。また、ドデシル硫酸ナトリウム、コール酸ナトリウムの濃度はそれぞれ1.5%に調整した。
(2)前記CNT混合液を遠心分離用チューブ内に挿入した。
(3)遠心分離用チューブを遠心分離機にかけ、遠心分離(20万G、18時間、遠心分
離機:ベックマン社製:ローターSW41、もしくは24万G,6時間、遠心分離機:日立工機製:ローターP50VT2)を行った。その結果、遠心分離用チューブ内にいくつかの層が形成をみることができた。各々の層を丁寧に分取し、各々の金属性・半導体性CNTを分離することができた。
(4)結果を図5に示した。
上層部にある部分は吸収スペクトルから主として金属性CNTであることを確認した(純度は面積強度比から90%以上)。下層部にある部分は吸収スペクトルから半導体性CNTが主として含まれていることを確認した(純度は面積強度比から90%以上)。
【実施例6】
【0038】
CNT混合液を用いた、遠心分離機を使用した金属・半導体性CNT分離方法
(1)単層CNT3mgを15ml のデオキシコール酸ナトリウム1%水溶液に分散さ
せる(ブランソンソニファイアー、10h)。同分散液に対して遠心(20万G、1時間
)をかけ、上澄み液を採取する。同上澄み液1mlに1mlのiodixanol60%界面活性剤混合溶液(ドデシル硫酸ナトリウム1%,コール酸ナトリウム1%)を加え、
CNT混合液を作製した。
(2)前記(1)CNT混合液を、遠心分離用チューブ内の遠心分離用混合溶液(iodixanol濃度は20%から40%の間で濃度勾配をかけられ、ドデシル硫酸ナトリ
ウム、コール酸ナトリウムの濃度がそれぞれ1.5%で調整されている)と共に遠心分離用チューブ内に挿入した。
(3)前記(2)の遠心分離用チューブを遠心分離機にかけ遠心分離を行った(20万G、18時間、遠心分離機:ベックマン社製:ローターSW41)。その結果、遠心分離
用チューブ内にいくつかの層が形成される。おのおのの層を丁寧に分取することで、単層CNTにおいて金属性チューブの高効率で分離できた。結果を図6に示した。(純度としては面積強度比から90%以上で得られている。)
【実施例7】
【0039】
金属性・半導体性CNTのアルコールによる精製
前記処理により得られた金属性・半導体性CNTを分離した分散液15mlに15mlのメタノールを室温で添加攪拌した。液中にCNTがバンドル形成する状況が目視で確認できた(図7)。バンドルを形成した液を吸引濾過(メンブレンフィルター、空孔サイズ:1um)し、再度メタノール中に取り出して、超音波をかけて分散を行った。この操作を3回繰り返した結果、紙状CNTを取り出すことができた。
【実施例8】
【0040】
二層CNTおける金属性・半導体性二層CNTの分離精製
(1)二層CNT3mgを15mlのデオキシコール酸ナトリウム1%水溶液に分散させた(ブランソンソニファイアー、10h)。得られた分散液を遠心分離機(20万G、
1時間)にかけ、上澄み液を採取した。上澄み液0.7mlに1.3mlのiodixanol 60%界面活性剤混合溶液(ドデシル硫酸ナトリウム3.6%,コール酸ナトリ
ウム0.9%)を加え、二層CNT混合液を作製した。
(2)前記(1)の二層CNT混合液を遠心分離用チューブ内の遠心分離用混合溶液(iodixanol濃度20%〜30%で濃度勾配をかけられ、ドデシル硫酸ナトリウム、コール酸ナトリウムの濃度はそれぞれ1.5%に調整されている)に挿入し、遠心分離機にかけ遠心分離を行った(20万G、18時間)。その結果、遠心分離用チューブ内に
いくつかの層が形成するのを確認した。おのおのの層を丁寧に分取することで、二層CNTにおいて金属性・半導体性CNTの分離ができた(図8)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デオキシコール酸ナトリウムを含む界面活性剤水溶液にCNTを分散させたCNT分散水溶液、並びにiodixanol分子含有水溶液を含む遠心分離混合水溶液を遠心分離用チューブ内に配置し、iodixanol分子含有水溶液により濃度を調整して遠心分離を行い、前記界面活性剤の吸着量の差に応じてCNTの直径選択することを特徴とするCNT分離方法。
【請求項2】
デオキシコール酸ナトリウムを含む界面活性剤水溶液にCNTを分散させて得られるCNT分散水溶液に、iodixanol分子含有水溶液を混合して得られるCNT混合液、並びにiodixanol分子含有水溶液を含む遠心分離混合水溶液を遠心分離用チューブ内に配置し、iodixanol分子含有水溶液により濃度を調整して遠心分離を行い、前記界面活性剤の吸着量の差に応じてCNTの直径選択することを特徴とするCNT分離方法。
【請求項3】
デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムからなる界面活性剤水溶液にCNTを分散させて得られるCNT分散水溶液、並びにiodixanol分子含有水溶液、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムからなる遠心分離混合水溶液を遠心分離用チューブ内に配置し、iodixanol分子含有水溶液により濃度を調整して遠心分離を行い、前記遠心分離用チューブ内に、半導体性CNTが金属性CNTより多く存在する部分と、金属性CNTが半導体性CNTより多く存在する部分を形成することを特徴とするCNT分離方法。
【請求項4】
デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムからなる水溶液にCNTを分散させて得られるCNT分散水溶液にiodixanol分子含有水溶液を混合して得られるCNT混合液、並びにiodixanol分子含有水溶液、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムからなる遠心分離混合水溶液を遠心分離用チューブ内に配置し、iodixanol分子含有水溶液により濃度を調整して遠心分離を行い、前記遠心分離用チューブ内に、半導体性CNTが金属性CNTより多く存在する部分と、金属性CNTが半導体性CNTより多く存在する部分を形成することを特徴とするCNT分離方法。
【請求項5】
前記iodixanol分子含有水溶液、コール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムからなる遠心分離混合水溶液において、iodixanol分子含有水溶液により濃度調整されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のCNT分離方法。
【請求項6】
前記iodixanol分子含有水溶液による濃度調整は、濃度勾配(0を超えて50%までの範囲)を設け、又は一定濃度(0を超えて50%までの範囲)にして行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のCNT分離方法。
【請求項7】
前記CNT分散水溶液は、デオキシコール酸ナトリウム(0を超えて10重量%未満)、コール酸ナトリウム(0を超えて10重量%未満)、ドデシル硫酸ナトリウム(0を超えて10重量%未満)からなることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のCNT分離方法。
【請求項8】
前記CNT混合液は、デオキシコール酸ナトリウム(0を超えて10重量%未満)、コール酸ナトリウム(0を超えて10重量%未満)、ドデシル硫酸ナトリウム(0を超えて10重量%未満)、iodixanol分子含有水溶液(0を超えて50濃度%以内)からなることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のCNT分離方法。
【請求項9】
前記CNTは、単層CNT、及び/又は二層CNTから選ばれるCNTを含有することを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載のCNT分離方法。
【請求項10】
請求項1から9いずれか記載の金属性CNTと半導体性CNTの分離方法により分離
して得られた金属性CNTと半導体性CNTの各々にアルコールを添加して金属性CNTと半導体性CNTの各々精製することを特徴とするCNT分離方法。
【請求項11】
遠心分離用チューブ内にコール酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムを混合液に対してスクロース分子濃度0を超えて50%までの範囲である濃度勾配溶液を配置し、界面活性剤としてデオキシコール酸ナトリウムによりCNTを分散させたCNT分散水溶液を挿入し、該遠心分離用チューブを遠心分離機にかけ、金属性CNTと半導体性CNTを分離することを特徴とするCNT分離方法。
【請求項12】
前記遠心分離用チューブ内に集中して金属性CNTが多く存在し半導体性CNTが少なく存在する部分と、半導体性CNTが多く存在し金属性CNTが少なく存在する部分を形成し請求項11記載の金属性CNTと半導体性CNTを分離することを特徴とするCNT分離方法。
【請求項13】
請求項11又は12記載のスクロース分子濃度により遠心分離用チューブ内の溶液の密度調整を行い、金属性CNTと半導体性CNTを分離することを特徴とするCNT分離方法。
【請求項14】
遠心分離用チューブ内にコール酸ナトリウム水溶液に対してiodixanol分子含有水溶液を用いて濃度勾配(0を超えて50%まで)をかけて配置し、CNTを界面活性剤としてデオキシコール酸ナトリウムを用いて分散したCNT分散水溶液を挿入し、この遠心分離用チューブを遠心分離機にかけ、CNTの直径選択を行うことを特徴とするCNT分離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−153600(P2012−153600A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−88075(P2012−88075)
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【分割の表示】特願2007−160649(P2007−160649)の分割
【原出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】