説明

遠隔保守判断装置及び遠隔保守判断方法

【課題】サービスエンジニアの負担を軽減すると共に、機械装置の故障を未然に防ぐことを目的とする。
【解決手段】遠隔保守判断システム10は、立体駐車装置12に設けられている機械部品14の作動状態が送信されることによって、立体駐車装置12を遠隔監視し、保守の必要性を判断する。そして、遠隔保守判断システム10は、機械部品14の現時点までの作動状態の変化に基づいて、機械部品14の現時点から次回点検日までにおける作動状態を予測し、作動状態の予測結果と、機械部品14に対する保守の必要性を示す閾値A,Bとを比較することで、機械部品14の保守実施時期を判断し、情報表示装置52に判断された保守実施時期を報知させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔保守判断装置及び遠隔保守判断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば立体駐車装置等の機械装置に設けられている機械部品の作動状態の監視を行い、機械部品の不具合の前兆を検出し、保守の必要性(現地への緊急出動の必要性)を判断(診断)する遠隔保守判断装置が開発されている。
特許文献1には、駐車装置を管理センターで遠隔監視するとともに、駐車装置の各部の保守の必要を判断する駐車装置の遠隔保守システムで、駐車装置の機械の作動状態を監視する段階と、この機械の作動状態を監視した情報を管理センターに出力する段階と、この管理センターに出力された情報に基づき管理センターで保守の必要を判断する段階と、この保守の必要な判断に基づき機械の作動状態とともにサービスエンジニア(保守員)に保守内容を指示する段階とで構成された駐車装置の遠隔保守システムが記載されている。
【0003】
ここで、機械部品の不具合の前兆の検出は、機械部品の作動状態が、例えば、予め定めた設定範囲内であるか否か、現在の作動状態と過去の作動状態との比較、機械部品の作動状態を検知するセンサからの情報の受信の有無によって判断される。例えば、機械部品の作動状態(例えば、機械部品の作動時間や移動距離等)を常時監視し、該作動状態が予め定めた設定範囲から外れる場合に、遠隔保守判断装置は、機械設備の保守を行うサービスエンジニアの現地への緊急出動が必要であることを報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−157828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、サービスエンジニアが現地へ出動しても、機械部品の保守に急を要さない場合や次回定期点検時に調整又は点検すればよい場合がある。そのため、機械部品の不具合の前兆を検出する毎に、サービスエンジニアが保守対象となる機械設備に出動すると、サービスエンジニアの負担が大きい。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、サービスエンジニアの負担を軽減すると共に、機械装置の故障を未然に防ぐことができる遠隔保守判断装置及び遠隔保守判断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の遠隔保守判断装置及び遠隔保守判断方法は以下の手段を採用する。
【0008】
すなわち、本発明に係る遠隔保守判断装置は、機械装置に設けられている機械部品の作動状態が送信されることによって、該機械装置を遠隔監視し、保守の必要性を判断する遠隔保守判断装置であって、前記機械部品の現時点までの作動状態の変化に基づいて、前記機械部品の現時点から所定時期までにおける作動状態を予測する予測手段と、前記予測手段によって予測された作動状態の予測結果を、前記機械部品に対する保守の必要性を示す閾値と比較することで、前記機械部品の保守実施時期を判断する判断手段と、前記判断手段によって判断された前記保守実施時期を報知する報知手段と、を備える。
【0009】
本発明によれば、遠隔保守判断装置は、機械装置に設けられている機械部品の作動状態が送信されることによって、該機械装置を遠隔監視し、保守の必要性を判断する。
遠隔保守判断装置に備えられている予測手段によって、機械部品の現時点までの作動状態の変化に基づいて、機械部品の現時点から所定時期までにおける作動状態が予測される。
なお、上記所定時期とは、例えば、1週間後、次回点検日、次々回点検日、現時点から年次点検日、又は現時点から1年後等である。
そして、判断手段によって、予測手段で予測された作動状態の予測結果が、機械部品に対する保守の必要性を示す閾値と比較されることで、機械部品の保守実施時期が判断され、報知手段によって、判断された保守実施時期が報知される。
なお、保守実施時期は、例えば、すぐに保守を行う緊急出動、次回点検日を待たずに行う臨時点検、次回点検日等である。
【0010】
従って、本発明は、機械部品の現時点から所定時期までにおける作動状態を予測し、該作動状態から保守時期を判断するので、サービスエンジニアの負担を軽減すると共に、機械部品の故障を未然に防ぐことができる。
【0011】
また、本発明の遠隔保守判断装置は、前記機械装置を、立体駐車装置とし、前記機械部品の作動状態を、前記立体駐車装置が車両を搬送している場合における作動状態としてもよい。
本発明によれば、機械装置が立体駐車装置であり、機械部品の作動状態を立体駐車装置が車両を搬送している場合における作動状態とするので、負荷がかかっている場合の機械部品の作動状態から例えば次回点検日までにおける作動状態を予測するので、より正確に機械部品の保守の必要性を判断できる。
【0012】
また、本発明の遠隔保守判断装置は、前記閾値が、保守内容に応じて複数設定されてもよい。
本発明によれば、より多くの閾値が設けられるので、機械装置に対して、サービスエンジニアがより的確な保守を行える。
【0013】
また、本発明の遠隔保守判断装置は、前記閾値が、修正可能とされてもよい。
本発明によれば、機械装置毎の稼動状態等に応じて閾値を修正可能とできるので、機械装置に対して、サービスエンジニアがより的確な保守を行える。
【0014】
また、本発明の遠隔保守判断装置は、前記判断手段で判断された保守実施時期が適正であったか否かの入力を受け付ける入力手段を備え、前記閾値が、前記入力手段で入力された結果に応じて修正可能とされてもよい。
本発明によれば、判断された保守実施時期に応じて閾値が修正可能とされるので、機械装置に対して、サービスエンジニアがより的確な保守を行える。
【0015】
また、本発明の遠隔保守判断装置は、前記報知手段を、前記判断手段によって判断された保守実施時期及び、保守を必要とする前記機械部品に応じた保守内容を表示する表示手段としてもよい。
本発明によれば、表示手段に機械部品に対する保守実施時期及び保守内容が表示されるので、機械装置に対して、サービスエンジニアがより的確な保守を行える。
【0016】
また、本発明の遠隔保守判断装置は、前記報知手段を、前記判断手段によって判断された保守実施時期、前記予測手段で予測された前記機械部品の作動状態の予測結果、及び保守を必要とする前記機械部品に応じた複数の保守内容を表示する表示手段とし、前記表示手段に表示された複数の保守内容のうち、入力手段を介して選択された保守内容を記憶してもよい。
本発明によれば、表示手段に複数の保守内容が表示されるので、保守実施時期及び作動状態の予測結果に応じてサービスエンジニアは保守内容を決定でき、入力手段を介して選択された保守内容が記憶されるので、選択された保守内容を後日容易に確認できる。
【0017】
すなわち、本発明に係る遠隔保守判断方法は、機械装置に設けられている機械部品の作動状態が送信されることによって、該機械装置を遠隔保守判断する遠隔保守判断方法であって、前記機械部品の現時点までの作動状態の変化に基づいて、前記機械部品の現時点から所定時期までにおける作動状態を予測する第1工程と、前記第1工程によって予測された作動状態の予測結果を、前記機械部品に対する保守の必要性を示す閾値と比較することで、前記機械部品の保守実施時期を判断する第2工程段と、前記第2工程によって判断された前記保守実施時期を報知する第3工程と、を含む。
本発明によれば、機械部品の現時点から所定時期までにおける作動状態を予測し、該作動状態から保守時期を判断するので、サービスエンジニアの負担を軽減すると共に、機械部品の故障を未然に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、サービスエンジニアの負担を軽減すると共に、機械部品の故障を未然に防ぐことができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る遠隔保守判断システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る保守判断プログラムの処理の内容を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1実施形態に係る保守判断処理の予測結果を示すグラフである。
【図4】本発明の第2実施形態に係る保守判断プログラムの処理の内容を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態に係る保守判断処理の予測結果を示すグラフである。
【図6】本発明の第3実施形態に係る保守判断プログラムの処理の内容を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第3実施形態に係る保守判断処理の予測結果を示すグラフである。
【図8】本発明の第4実施形態に係る遠隔保守判断システムの構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係る遠隔保守判断システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係る遠隔保守判断装置及び遠隔保守判断方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係る遠隔保守判断装置としての遠隔保守判断システム10の構成を示すブロック図である。
本第1実施形態に係る遠隔保守判断システム10は、立体駐車装置12に設けられている機械部品14の作動状態が送信されることによって、立体駐車装置12を遠隔監視し、保守の必要性を判断するものであり、故障予兆通報装置16及び複数の保守センター18を備える。
【0022】
なお、一例として、保守センター18は、立体駐車装置12毎に設けられており、対応する立体駐車装置12の近隣に設置され、立体駐車装置12の保守を行うサービスエンジニア(保守員)が駐在している。なお、保守センター18は、複数の立体駐車装置12毎に設けられてもよい。
そして、立体駐車装置12、故障予兆通報装置16、及び保守センター18は、各々通信回線20(例えば、インターネット回線及び電話回線等)を介して、データの送受信が可能とされている。
【0023】
立体駐車装置12に設けられている機械部品14とは、例えば、扉の開閉を検知する対となるリミットスイッチ22(扉が開いた位置に設けられると共に扉の開状態を検知するリミットスイッチと、扉が閉じた位置に設けられると共に扉の閉状態を検知するリミットスイッチで対となる。)、車両を上下方向に搬送する搬器24を吊るためのワイヤーロープ及びシーブ(滑車)、搬器24を固定するためのロック装置及びパレットのリフト装置等の所定の時間で一定動作をする機械部品26、並びに他のリミットスイッチ、光電センサ、モータ、インバータ、リレー、制御装置等の電気機器や電子機器等である。
【0024】
そして、立体駐車装置12は、シーケンサ28及び通信部30を備えている。
シーケンサ28は、各機械部品14から機械部品14の所定信号が入力され、所定信号に基づいたデータを作動状態データとするための処理を行う。
【0025】
作動状態の具体例を、シーケンサ28の動作と共に以下に述べる。
【0026】
シーケンサ28は、所定期間におけるリミットスイッチ22がオン又はオフとなった回数から、対となるリミットスイッチ22の動作回数差を算出し、算出結果を通信部30が通信回線20を介して送信可能なようにデジタルデータとする。なお、対となるリミットスイッチ22が正常であれば、動作回数差は生じず、不具合が発生している場合は対となるリミットスイッチ22に動作回数差が生じ、時間の経過と共に大きくなると考えられる。
【0027】
また、シーケンサ28は、傾きセンサ32から出力される角度を搬器24の傾きとして認識し、該角度を通信部30が通信回線20を介して送信可能なようにデジタルデータとする。なお、搬器24を吊るワイヤーロープ、シーブ、及び搬器24そのものが正常であれば、搬器24の傾きは生じないが、ワイヤーロープの伸び、シーブの摩耗、又は搬器24の不具合等が生じると搬器24に傾きが生じ、時間の経過と共に大きくなると考えられる。
【0028】
さらに、シーケンサ28は、搬器24を固定するロック装置、パレットのリフト装置、出入り口の扉、及びパレットの横送り装置等の一定動作をする機械部品26の動作時間と動作時間の平均値との差を算出し、算出結果を通信部30が通信回線20を介して送信可能なようにデジタルデータとする。これらの一定動作をする機械部品26が正常であれば、平均値との差は生じない、又は微小であるが、これらの一定動作をする機械部品26に不具合(潤滑油不足、磨耗、さび、異物噛み込み等)が生じると平均値との差が生じ、時間の経過と共に大きくなると考えられる。
【0029】
また、機械部品14のうち、車両の搬送にかかわる機械部品14は、作動状態として車両を搬送している場合における作動状態が用いられる。例えば、搬器24も車両の搬送にかかわる機械部品14であるが、車両を搭載せずに上下方向に移動する場合の傾きは作動状態として用いられず、車両を搭載して上下方向に移動する場合の傾きが作動状態として用いられる。
【0030】
なお、以下の説明において、シーケンサ28から出力される各機械部品14の作動状態を示すデジタルデータを総称して、作動状態データという。また、本第1実施形態に係る作動状態データにより示される値は、絶対値である。
【0031】
通信部30は、シーケンサ28から作動状態データが入力されると、作動状態データを通信回線20を介して故障予兆通報装置16へ送信する。
【0032】
故障予兆通報装置16は、通信部40、データ管理部42、保守判断部44、及び送信データ作成部46を備えている。
通信部40は、立体駐車装置12から送信された作動状態データを受信し、受信した作動状態データをデータ管理部42へ出力する。
【0033】
データ管理部42は、磁気記憶装置又は半導体記憶装置で構成される記憶装置48を有しており、通信部40が作動状態データを受信した日時と作動状態データとを関連付けて記憶装置48の作動状態記憶領域へ記憶させる。
【0034】
保守判断部44は、記憶装置48の作動状態記憶領域に記憶されている機械部品14の現時点までの作動状態の変化に基づいて、機械部品14の現時点から所定時期(例えば、立体駐車装置12に対する次回点検日)までにおける作動状態を予測し、作動状態の予測結果を、機械部品14に対する保守の必要性を示す閾値と比較することで、機械部品14の保守実施時期(以下、「保守実施時期」という。)を判断する処理(以下、「保守判断処理」という。)を行う。
なお、機械部品14に応じた閾値は、記憶装置48の閾値記憶領域に記憶されている。該閾値は、立体駐車装置12で共通化されていてもよいし、立体駐車装置12毎に異なっていてもよい。
【0035】
送信データ作成部46は、保守判断部44で判断された保守実施時期、機械部品14の作動状態の予測結果、及び保守を必要とする機械部品14に応じた保守内容(交換、点検、調整等)等を、保守センター18へ送信するための送信データとして作成し、データ管理部42へ出力する。
【0036】
データ管理部42は、送信データが入力されると、入力された送信データを記憶装置48の送信データ記憶領域に記憶させた後、通信部40に出力する。
通信部40は、送信データが入力されると、入力された送信データを保守センター18へ送信する。
【0037】
保守センター18は、通信部50及び情報表示装置52を備えている。
通信部50は、送信データを受信すると、受信した送信データを情報表示装置52へ出力する。
情報表示装置52は、グラフ表示機能及び保守内容表示機能を有しており、入力された送信データに基づいて、機械部品14に対する保守実施時期、機械部品14の作動状態の予測結果、及び機械部品14に対する保守内容を画面に表示することによって、保守実施時期等を報知する。なお、情報表示装置52としては、パーソナルコンピュータ等に設けられているディスプレイ装置、携帯型端末装置、印刷装置、ファクシミリ装置等が用いられる。
なお、保守センター18は、サービスエンジニアが駐在する事務所はもちろんのこと、通信機能を持った携帯端末やPCを持って、車などで移動しているサービスエンジニアも含まれる。
【0038】
次に、本第1実施形態に係る故障予兆通報装置16の作用を説明する。
【0039】
図2は、故障予兆通報装置16が保守判断処理を行う場合に、保守判断部44によって実行される保守判断プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、保守判断プログラムは保守判断部44が有する記憶手段の所定領域に予め記憶されている。
なお、保守判断プログラムは、故障予兆通報装置16が動作を開始すると共に、その実行を開始し、故障予兆通報装置16の動作が停止されると共に、その実行を停止する。
【0040】
まず、ステップ100では、通信部40によって受信された機械部品14の作動状態データにより示される作動状態が閾値Aを超えているか否かを判断し、肯定判断の場合は、ステップ102へ移行する一方、否定判断の場合は待ち状態となる。
なお、閾値Aは、保守の必要性を示す値、換言すると、機械部品14(立体駐車装置12)の不具合の前兆となる作動状態を示す値であるが、統計的に立体駐車装置12が故障して停止や破損する可能性は低い基準であり、各機械部品14に応じた値が、記憶装置48の閾値記憶領域に記憶されている。そのため、ステップ100では、通信部40によって受信された作動状態データに対応する機械部品14に応じた閾値Aを記憶装置48の閾値記憶領域から読み出し、読み出した閾値Aの値と、作動状態データにより示されると値を比較する。
【0041】
次のステップ102では、通信部40によって受信された機械部品14の作動状態データにより示される作動状態が閾値Bを超えているか否かを判断し、肯定判断の場合は、ステップ108へ移行する一方、否定判断の場合は、ステップ104へ移行する。
なお、閾値Bは、統計的に立体駐車装置12が故障して停止や破損する可能性が閾値Aに比べて高い基準であり、各機械部品14に応じた値が、記憶装置48の閾値記憶領域に記憶されている。そのため、ステップ102では、通信部40によって受信された作動状態データに対応する機械部品14に応じた閾値Bを記憶装置48の閾値記憶領域から読み出し、読み出した閾値Bの値と、作動状態データにより示されると値を比較する。
【0042】
ステップ104では、作動状態が閾値Aを超えた機械部品14の過去の作動状態を、記憶装置48の作動状態記憶領域から読み出し、該機械部品14の現時点までの作動状態の変化に基づいて、該機械部品14の現時点から次回点検日までにおける作動状態を予測する。
具体的には、記憶装置48に記憶されている複数の作動状態データの値から近似式を算出し、該近似式による外挿によって作動状態の予測値(予測作動状態)を算出する。
【0043】
ステップ106では、ステップ104で算出した作動状態の予測値が、次回点検日までに閾値Bを超えるか否かを判断し、肯定判断の場合は、ステップ110へ移行する一方、否定判断の場合は、ステップ112へ移行する。
【0044】
図3は、本第1実施形態に係る保守判断処理の予測結果を示すグラフである。
作動状態α,βを示す線において、実線は現時点までの作動状態の変化を示し、破線は現時点から次回点検日までにおける予測作動状態を示す。なお、図3には、α、βの2本の線を例示してあるが、これは一例であり、実際の表示は対象となる機械部品14の動作状態を示す線1本であったり、関連する他の機械部品14の動作状態を合わせて示す場合もあり、2本に限定されない(後述する図5,7においても同様)。
図3に示されるように、作動状態αに対応する機械部品14は、次回点検日までに閾値Bを超える機械部品14であり、ステップ106において、肯定判断となる作動状態である。一方、作動状態βに対応する機械部品14は、次回点検日までに閾値Bを超えない機械部品14であり、ステップ106において、否定判断となる作動状態である。
【0045】
ステップ108は、ステップ102において肯定判断となった場合であり、この場合は、機械部品14の作動状態が既に閾値Bを超えている場合であるので、近日中に立体駐車装置12が故障して停止や破損する可能性が高い。そのため、該機械部品14が設けられている立体駐車装置12へサービスエンジニアを緊急出動させる報知を情報表示装置52に行わせる必要がある。
そこで、ステップ108では、緊急出動を報知するための送信データを作成する作成指示を送信データ作成部46へ送信し、本プログラムを終了する。なお、ステップ108では、緊急出動の場合に対応する保守内容として、例えば、該当する機械部品14が故障している可能性が高いと考えられるため「交換」を選択する。
【0046】
送信データ作成部46は、ステップ108で送信された作成指示が入力されると、緊急出動を報知するための送信データを作成する。そして、作成された送信データは、緊急出動の対象となる立体駐車装置12に対応する保守センター18へ送信される。送信データを受信した保守センター18では、受信した送信データに基づいて、情報表示装置52が緊急出動の必要性を示す画像を、対象となる機械部品14を示す画像及び保守内容を示す画像と共に表示することによって、サービスエンジニアへ報知する。
これによって、サービスエンジニアは、緊急を要する立体駐車装置12へ出動することができる。
【0047】
ステップ110は、ステップ106において肯定判断となった場合であり、この場合は、次回点検日までに機械部品14の予測作動状態が閾値Bを超えている場合であるので、次回点検日までに立体駐車装置12が故障して停止や破損する可能性が高い。そのため、該機械部品14が設けられている立体駐車装置12に対して、臨時点検の実施の報知を情報表示装置52に行わせる必要がある。
そこで、ステップ110では、臨時点検を実施させるための送信データを作成する作成指示を送信データ作成部46へ送信し、本プログラムを終了する。なお、ステップ110では、臨時点検の場合に対応する保守内容として、例えば、該当する機械部品14が次回点検日までに故障している可能性が高いと考えられるため「交換」又は「調整」を選択する。
【0048】
送信データ作成部46は、ステップ110で送信された作成指示が入力されると、臨時点検の実施を報知するための送信データを作成する。そして、作成された送信データは、臨時点検の実施の対象となる立体駐車装置12に対応する保守センター18へ送信される。送信データを受信した保守センター18では、受信した送信データに基づいて、情報表示装置52が臨時点検の実施の必要性を示す画像を、対象となる機械部品14を示す画像、図3に示すような予測結果を示す画像、保守内容を示す画像と共に表示することによって、サービスエンジニアへ報知する。
これによって、サービスエンジニアは、計画的に臨時点検を実施することができる。
【0049】
ステップ112は、ステップ106において否定判断となった場合であり、この場合は、次回点検日までに機械部品14の予測作動状態が閾値Bを超えていない場合であるので、次回点検日までに立体駐車装置12が故障して停止や破損する可能性が低い。そのため、該機械部品14が設けられている立体駐車装置12に対して、次回点検日に該当機械部品14の点検の実施の報知を情報表示装置52に行わせる必要がある。
そこで、ステップ112では、次回点検日に該当機械部品14の点検を実施させるための送信データを作成する作成指示を、送信データ作成部46へ送信し、本プログラムを終了する。なお、ステップ112では、該当する機械部品14に対する保守内容として、「点検」を選択する。
【0050】
送信データ作成部46は、ステップ110で送信された作成指示が入力されると、次回点検日に該当機械部品14の点検の実施を報知するための送信データを作成する。そして、作成された送信データは、点検の実施の対象となる立体駐車装置12に対応する保守センター18へ送信される。送信データを受信した保守センター18では、受信した送信データに基づいて、情報表示装置52が点検の実施の必要性を示す画像を、対象となる機械部品14を示す画像、図3に示すような予測結果を示す画像、及び保守内容を示す画像と共に表示することによって、サービスエンジニアへ報知する。
これによって、サービスエンジニアは、次回点検日に該当機械部品14の点検を実施するので、無駄な緊急出動の必要性がなくなる。
【0051】
以上説明したように、本第1実施形態に係る遠隔保守判断システム10は、立体駐車装置12に設けられている機械部品14の作動状態が送信されることによって、立体駐車装置12を遠隔保守判断する。そして、遠隔保守判断システム10は、機械部品14の現時点までの作動状態の変化に基づいて、機械部品14の現時点から次回点検日までにおける作動状態を予測し、作動状態の予測結果と、機械部品14に対する保守の必要性を示す閾値A,Bとを比較することで、機械部品14の保守実施時期を判断し、情報表示装置52に判断された保守実施時期を報知させる。
従って、本第1実施形態に係る遠隔保守判断システム10は、サービスエンジニアの負担を軽減すると共に、機械装置である立体駐車装置12の故障を未然に防ぐことができる。
【0052】
また、本第1実施形態に係る遠隔保守判断システム10は、機械装置が立体駐車装置12であり、機械部品14の作動状態を立体駐車装置12が車両を搬送している場合における作動状態とするので、負荷がかかっている場合の機械部品14の作動状態から次回点検日までにおける作動状態を予測するため、より正確に機械部品14の保守の必要性を判断できる。
【0053】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、本第2実施形態に係る遠隔保守判断システム10の構成は、図1に示される第1実施形態に係る遠隔保守判断システム10の構成と同様であるので説明を省略する。
本第2実施形態に係る遠隔保守判断システム10は、機械部品14に対する保守の必要性を示す閾値が、保守内容に応じて閾値A,B,Cの3点設けられている。
【0054】
図4は、本第2実施形態に係る故障予兆通報装置16が保守判断処理を行う場合に、保守判断部44によって実行される保守判断プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。なお、図4における図2と同一のステップについては図2と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0055】
ステップ106では、ステップ104で算出した作動状態の予測値が、次回点検日までに閾値Bを超えるか否かを判断し、肯定判断の場合は、ステップ107へ移行する一方、否定判断の場合は、ステップ112へ移行する。
【0056】
ステップ107では、ステップ104で算出した作動状態の予測値が、次回点検日までに閾値Cを超えるか否かを判断し、肯定判断の場合は、ステップ109へ移行する一方、否定判断の場合は、ステップ110へ移行する。
なお、閾値Cは、統計的に立体駐車装置12が故障して停止や破損する可能性が閾値Bに比べてより高い基準であり、各機械部品14に応じた値が、記憶装置48の閾値記憶領域に記憶されている。そのため、ステップ107では、通信部40によって受信された作動状態データに対応する機械部品14に応じた閾値Cを記憶装置48の閾値記憶領域から読み出し、読み出した閾値Cの値と、作動状態データにより示されると値を比較する。
【0057】
ステップ109は、ステップ107において肯定判断となった場合であり、この場合は、次回点検日までに機械部品14の予測作動状態が閾値Cを超えている場合であるので、次回点検日までに立体駐車装置12が故障して停止や破損する可能性がより高い。そのため、該機械部品14が設けられている立体駐車装置12に対して、近日中の臨時点検の実施の報知を情報表示装置52に行わせる必要がある。
そこで、ステップ109では、近日中の臨時点検を実施させるための送信データを作成する作成指示を送信データ作成部46へ送信し、本プログラムを終了する。ステップ109では、近日中の臨時点検の場合に対応する保守内容として、例えば、該当する機械部品14が次回点検日までに故障している可能性が高いと考えられるため「交換」又は「調整」を選択する。
【0058】
なお、本第2実施形態に係るステップ108で報知される緊急出動の実施日は、今直ぐ(当日)に出動であるが、ステップ109で報知される近日中の臨時点検の実施日は、当日でなくてもよいが、現時点から一両日中(2,3日中)であるとする。さらに、本第2実施形態に係るステップ110で報知される臨時点検の実施日は、現時点から1週間程度先でもよいとする。
このように、緊急出動及び臨時点検の実施日を段階的に変化させることで、当日の緊急出動ではサービスエンジニアの当日のスケジュール変更が発生し、当日の担当者の負担が増加するが、明日以降であれば、休みのサービスエンジニアを呼出すなどのスケジュール調整が可能となる。また、1週間程度先であれば、出勤予定の担当者で対応ができるように作業の日程調整をすることも可能となるため、スケジュール調整がより容易になり、サービスエンジニアの負担軽減になる。
【0059】
図5は、第2実施形態に係る保守判断処理の予測結果を示すグラフである。
作動状態γを示す線において、実線は現時点までの作動状態の変化を示し、破線は現時点から次回点検日までにおける予測作動状態を示す。
図5に示されるように、作動状態γに対応する機械部品14は、次回点検日までに閾値Cを超える機械部品14であり、ステップ107において、肯定判断となる作動状態である。
【0060】
このように、本第2実施形態に係る遠隔保守判断システム10は、サービスエンジニアの負担を軽減すると共に、機械部品14の故障を未然に防ぐことができると共に、保守内容に応じて、より多くの閾値を設けるので、立体駐車装置12に対して、サービスエンジニアがより的確な保守を行える。
【0061】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態について説明する。
なお、本第3実施形態に係る遠隔保守判断システム10の構成は、図1に示される第1実施形態に係る遠隔保守判断システム10の構成と同様であるので説明を省略する。
本第3実施形態に係る遠隔保守判断システム10は、機械部品14に対する保守の必要性を示す閾値が、閾値A,A’及び閾値B,B’の4点設けられている。
具体的には、各機械部品14の作動状態には基準値が設けられ、遠隔保守判断システム10は、作動状態が基準値を含む閾値A,A’の範囲、又は閾値B,B’の範囲を逸脱するか否かを判断することで、機械部品14の不具合の前兆を検出する。
【0062】
図6は、本第3実施形態に係る故障予兆通報装置16が保守判断処理を行う場合に、保守判断部44によって実行される保守判断プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。なお、図6における図2と同一のステップについては図2と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0063】
まず、ステップ100’では、通信部40によって受信された機械部品14の作動状態データにより示される作動状態が閾値A,A’の範囲を逸脱したか否かを判断し、肯定判断の場合は、ステップ102’へ移行する一方、否定判断の場合は待ち状態となる。
なお、閾値A,A’は、統計的に立体駐車装置12が故障して停止や破損する可能性は低い基準であり、各機械部品14に応じた値が、記憶装置48の閾値記憶領域に記憶されている。そのため、ステップ100’では、通信部40によって受信された作動状態データに対応する機械部品14に応じた閾値A,A’を記憶装置48の閾値記憶領域から読み出し、読み出した閾値A,A’の値と、作動状態データにより示されると値を比較する。
【0064】
次のステップ102’では、通信部40によって受信された機械部品14の作動状態データにより示される作動状態が閾値B,B’の範囲を逸脱したか否かを判断し、肯定判断の場合は、ステップ108へ移行する一方、否定判断の場合は、ステップ104へ移行する。
なお、閾値B,B’は、統計的に立体駐車装置12が故障して停止や破損する可能性が閾値A,A’に比べて高い基準であり、各機械部品14に応じた値が、記憶装置48の閾値記憶領域に記憶されている。そのため、ステップ102’では、通信部40によって受信された作動状態データに対応する機械部品14に応じた閾値B,B’を記憶装置48の閾値記憶領域から読み出し、読み出した閾値B,B’の値と、作動状態データにより示されると値を比較する。
【0065】
ステップ104では、作動状態が閾値A,A’の範囲を逸脱した機械部品14の過去の作動状態を記憶装置48の作動状態記憶領域から読み出し、該機械部品14の現時点までの作動状態の変化に基づいて、該機械部品14の現時点から次回点検日までにおける作動状態を予測する。
【0066】
ステップ106’では、ステップ104で算出した作動状態の予測値が、次回点検日までに閾値B,B’の範囲を逸脱するか否かを判断し、肯定判断の場合は、ステップ110へ移行する一方、否定判断の場合は、ステップ112へ移行する。
【0067】
図7は、本第3実施形態に係る保守判断処理の予測結果を示すグラフである。
作動状態α’,β’を示す線において、実線は現時点までの作動状態の変化を示し、破線は現時点から次回点検日までにおける予測作動状態を示す。
図7に示されるように、作動状態α’に対応する機械部品14は、次回点検日までに閾値B,B’の範囲を逸脱する機械部品14であり、ステップ106’において、肯定判断となる作動状態である。一方、作動状態β’に対応する機械部品14は、次回点検日までに閾値B,B’の範囲を逸脱しない機械部品14であり、ステップ106’において、否定判断となる作動状態である。
【0068】
このように、本第3実施形態に係る遠隔保守判断システム10は、サービスエンジニアの負担を軽減すると共に、機械部品14の故障を未然に防ぐことができると共に、保守内容に応じて、より多くの閾値を設けるので、立体駐車装置12に対して、サービスエンジニアがより的確な保守を行える。
【0069】
〔第4実施形態〕
以下、本発明の第4実施形態について説明する。
図8は、本第4実施形態に係る遠隔保守判断システム10の構成を示すブロック図である。なお、図8における図1と同一の構成については図1と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0070】
保守センター18の情報表示装置52には、保守判断処理の実行により得られた保守実施時期、機械部品14の作動状態の予測結果、及び保守を必要とする機械部品14に応じた複数の保守内容が表示される。
なお、情報表示装置52には、複数の保守内容が表示されるので、保守実施時期及び作動状態の予測結果に応じてサービスエンジニアは実行する保守内容を決定する。
【0071】
また、保守センター18は、情報入力装置54を備える。
情報入力装置54は、情報表示装置52に表示された複数の保守内容のうち、実行する保守内容をサービスエンジニアに選択させる保守内容選択機能を有している。
すなわち、サービスエンジニアは、情報表示装置52に表示されている複数の保守内容から上記決定した保守内容を、情報入力装置54を介して選択する。そして、選択された保守内容は、通信部50を介してデータ管理部42の記憶装置48の所定領域に記憶される。
【0072】
このように、本第4実施形態に係る遠隔保守判断システム10は、情報入力装置54を介して選択された保守内容を保守実施時期及び作動状態の予測結果に対応させて記憶させることで、選択された保守内容を後日容易に確認できる。
なお、情報入力装置54としては、パーソナルコンピュータ、及び携帯型端末装置等が用いられ、情報表示装置52と兼用されてもよい。
【0073】
〔第5実施形態〕
以下、本発明の第5実施形態について説明する。
図9は、本第5実施形態に係る遠隔保守判断システム10の構成を示すブロック図である。なお、図9における図8と同一の構成については図8と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0074】
本第5実施形態に係る情報入力装置54は、閾値修正機能を有している。
閾値修正機能は、記憶装置48の閾値記憶領域に記憶されている閾値を、情報入力装置54を介して入力された値に修正する。
【0075】
具体例としては、立体駐車装置12に入出庫される車両の台数(例えば、一月に入出庫される台数、以下、「入出庫台数」という。)に応じて、立体駐車装置12毎に閾値を修正する。立体駐車装置12に入出庫台数が少ないと、機械部品14が作動する回数も少なくなる。このような立体駐車装置12にまで、入出庫台数が多い立体駐車装置12と同じ閾値が設定されていると、実質的に交換又は緊急を要しない場合であっても、サービスエンジニアが保守のために出動する場合がある。
そこで、閾値を立体駐車装置12毎に、入出庫台数に応じて修正することによって、不必要なサービスエンジニアの出動を抑制することができる。なお、各立体駐車装置12の入出庫台数は、記憶装置48にデータベースとして記憶されてもよいし、記憶装置48の作動状態記憶領域に記憶されている作動状態データから閾値の修正を行うオペレータが判断してもよい。
【0076】
さらに、本第5実施形態に係る情報入力装置54は、保守判断処理の結果に応じて、サービスエンジニアが立体駐車装置12に出動し、保守を行った後に、保守判断処理で判断された保守実施時期が適正であったか否かの入力の受け付けが可能とされている。
そして、閾値は、情報入力装置54で入力された結果に応じて修正可能とされている。
【0077】
具体的には、保守判断処理で判断された保守実施時期に基づいて、緊急出動、臨時点検又は定期点検を実施したサービスエンジニアが、保守実施後に、保守実施時期の判断に対して、表1の内容のうち、何れか一つを情報入力装置54を介して選択して入力する。
【表1】

そして、閾値は、上記入力された選択結果に応じた表2に示される基準に従って、データ管理部42によって予め設定された修正量で修正される。
【表2】

【0078】
なお、閾値値の修正のタイミングとしては、定期的に情報入力装置54を介して入力された選択結果を集計し、一括して修正する場合、選択結果が得られ次第逐一該当する閾値の修正をする場合等、データ管理部42により任意に設定される。
また、閾値の修正量として予め設定された修正量を用いることなく、オペレータ(サービスエンジニア)が情報入力装置54を介して、修正量を入力してもよい。
【0079】
以上、本発明を、上記各実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0080】
例えば、上記各実施形態では、遠隔保守判断システム10による保守判断処理の対象となる機械装置を立体駐車装置12とする形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、機械装置を、例えば、エレベータ等の立体駐車装置とは異なる他の機械装置とする形態としてもよい。
【0081】
また、上記各実施形態では、遠隔保守判断システム10を、故障予兆通報装置16と保守センター18とが通信網で接続された装置とする形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、遠隔保守判断システム10を、保守センター18が故障予兆通報装置16を備えた形態としてもよい。
【0082】
また、上記各実施形態では、機械部品14の作動状態が閾値Aを超えた場合に、機械部品14の現時点から次回点検日までにおける作動状態を予測する形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、機械部品14の作動状態データが故障予兆通報装置16に入力される毎に、機械部品14の現時点から次回点検日までにおける作動状態を予測する形態としてもよい。
【0083】
また、上記各実施形態では、保守実施時期等を報知する装置として情報表示装置52を用いる形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、保守実施時期等を報知する装置として音声にて保守実施時期等を報知するスピーカーを用いる形態としてもよい。
【0084】
また、上記各実施形態では、作動状態を予測する期間を、現時点から次回点検時までとする形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、作動状態を予測する期間を、現時点から1週間後、現時点から次々回点検日、現時点から年次点検日、又は現時点から1年後等、他の期間とする形態としてもよい。
【符号の説明】
【0085】
10 遠隔保守判断システム
12 立体駐車装置
14 機械部品
16 故障予兆通報装置
18 保守センター
44 保守判断部
52 情報表示装置
54 情報入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械装置に設けられている機械部品の作動状態が送信されることによって、該機械装置を遠隔監視し、保守の必要性を判断する遠隔保守判断装置であって、
前記機械部品の現時点までの作動状態の変化に基づいて、前記機械部品の現時点から所定時期までにおける作動状態を予測する予測手段と、
前記予測手段によって予測された作動状態の予測結果を、前記機械部品に対する保守の必要性を示す閾値と比較することで、前記機械部品の保守実施時期を判断する判断手段と、
前記判断手段によって判断された前記保守実施時期を報知する報知手段と、
を備えた遠隔保守判断装置。
【請求項2】
前記機械装置は、立体駐車装置であり、
前記機械部品の作動状態は、前記立体駐車装置が車両を搬送している場合における作動状態である請求項1記載の遠隔保守判断装置。
【請求項3】
前記閾値は、保守内容に応じて複数設定される請求項1又は請求項2記載の遠隔保守判断装置。
【請求項4】
前記閾値は、修正可能とされている請求項1から請求項3の何れか1項記載の遠隔保守判断装置。
【請求項5】
前記判断手段で判断された保守実施時期が適正であったか否かの入力を受け付ける入力手段を備え、
前記閾値は、前記入力手段で入力された結果に応じて修正可能とされている請求項1から請求項4の何れか1項記載の遠隔保守判断装置。
【請求項6】
前記報知手段は、前記判断手段によって判断された保守実施時期及び、保守を必要とする前記機械部品に応じた保守内容を表示する表示手段である請求項1から請求項5の何れか1項記載の遠隔保守判断装置。
【請求項7】
前記報知手段は、前記判断手段によって判断された保守実施時期、前記予測手段で予測された前記機械部品の作動状態の予測結果、及び保守を必要とする前記機械部品に応じた複数の保守内容を表示する表示手段であり、
前記表示手段に表示された複数の保守内容のうち、入力手段を介して選択された保守内容を記憶する請求項1から請求項6の何れか1項記載の遠隔保守判断装置。
【請求項8】
機械装置に設けられている機械部品の作動状態が送信されることによって、該機械装置を遠隔保守判断する遠隔保守判断方法であって、
前記機械部品の現時点までの作動状態の変化に基づいて、前記機械部品の現時点から所定時期までにおける作動状態を予測する第1工程と、
前記第1工程によって予測された作動状態の予測結果を、前記機械部品に対する保守の必要性を示す閾値と比較することで、前記機械部品の保守実施時期を判断する第2工程段と、
前記第2工程によって判断された前記保守実施時期を報知する第3工程と、
を含む遠隔保守判断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−127109(P2012−127109A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279466(P2010−279466)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(305058313)三菱重工パーキング株式会社 (32)