説明

遠隔制御システムおよび遠隔制御方法

【課題】 人手を介さずに、宅内の制御対象機器の制御を可能とする遠隔制御システムおよび遠隔制御方法を得る。
【解決手段】 宅内400にノーリンギング通信端末100とネットワーク機器70とが配置され、管理棟300には監視装置500とノーリンギング通信用センタモデム700が配置されている。宅内400のネットワーク機器70を遠隔制御する場合、前記管理棟300の監視装置500からノーリンギング通信によって遠隔制御の指令が発信され、宅内400のノーリンギング通信端末100が前記交換機と電話回線とを介して遠隔制御の指令を受信し、前記ノーリンギング通信端末100の記憶演算装置3から、シリアルインターフェース6を介して、前記ネットワーク機器70に内蔵されたコンソールポートに遠隔制御の指令を伝達し、前記ネットワーク機器70を制御する遠隔制御システムとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログ電話回線を介して、宅内での制御対象機器を制御するのに好適な、遠隔制御システムおよび遠隔制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遠隔制御システムについて説明する。図4は、従来の遠隔制御システムの説明図であり、ADSL(Asymmetoric Digital Subscaiber Line)用回線を用いた通信システムの例を示している。
【0003】
図4において、管理棟301には監視装置501が配置され、宅内401にはADSLモデム320aと、前記ADSLモデム320aと接続されたパソコン10aが配置されている。前記管理棟301と宅内401とは、加入者用交換機、加入者電話回線にて接続されている。ここで、ADSLモデム320aの電源は、電源コンセントから供給される。
【0004】
図4の遠隔制御システムは、24時間、常時通信状態となる場合がある。例えば、個人の自宅で常時データ通信を行う、あるいは店舗などにて自動防犯カメラ監視を行う、また企業などで常時データ通信を行う等の用途がある。
【0005】
近年、ADSL用回線にて、通信容量の高密度化に対応して、キャリア周波数を従来の1.104MHz(データ転送速度8Mbpsに対応する)から3.75MHz(データ転送速度50Mbpsに対応する)の仕様への移行が進んでいる。
【0006】
このようなデータ転送速度の高速化にともなって、ADSLモデムの機能も向上しているが、機能停止が生じる場合がある。ADSLモデムの機能が停止すると、当然、データのやり取りは停止することとなる。従来、ADSLモデムの機能が停止した場合は、人手によって、再起動してADSLモデムの機能を復帰させていた。
【0007】
しかし、図4に示す従来の遠隔制御システムにて、24時間常時通信状態の使用形態の中で、ADSLモデムの機能が停止した場合に、メンテナンスの人手がない場合は、ADSLモデムの機能は停止したままとなるという問題点があった。
【0008】
特許文献1には、対象機器の電源の、入切りを、操作する技術について記載されており、対象機器が停止した場合、その機能を復帰させることが記載されている。
【0009】
【特許文献1】特開2001−236149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、人手を介さずに、宅内の制御対象機器の制御を可能とする遠隔制御システムおよび遠隔制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の遠隔制御システムは、アナログ電話回線を利用したノーリンギング通信により遠隔制御を行う。即ち、本発明の遠隔制御システムは、宅内にノーリンギング通信端末と制御対象機器(ネットワーク機器)とが配置され、また、管理棟には、監視装置とノーリンギング通信用センタモデムが配置され、前記宅内と前記管理棟とが、交換機と電話回線とを介してノーリンギング通信を行う遠隔制御システムであって、前記ノーリンギング通信端末は、 信号用トランス、モデム内蔵型NCU(Network Control Unit)と、記憶演算装置と、極性反転検出回路と、リンガー信号検出回路とで構成され、前記管理棟の監視装置は、宅内の制御対象機器の状態監視を行っており、宅内の制御対象機器を遠隔制御する必要が生じた場合、前記管理棟の監視装置から、ノーリンギング通信によって、遠隔制御の指令が発信され、宅内のノーリンギング通信端末が、前記交換機と電話回線とを介して、前記遠隔制御の指令を受信し、前記ノーリンギング通信端末の記憶演算装置から、シリアルインターフェースを介して、前記制御対象機器に内蔵されたコンソールポートに遠隔制御の指令を伝達し、前記制御対象機器を制御する遠隔制御システムである。
【0012】
また、本発明は、前記制御対象機器が、ネットワーク機器、例えば、ISDN用モデム、光通信用モデム、ADSL用モデム、あるいはルータ等である遠隔制御システムである。
【0013】
また、本発明は、宅内にノーリンギング通信端末と制御対象機器とを配置し、また、管理棟に、監視装置とノーリンギング通信用センタモデムを配置し、前記宅内と前記管理棟とを、交換機と電話回線とを介してノーリンギング通信を行う遠隔制御方法であって、前記ノーリンギング通信端末を、信号用トランス、モデム内蔵型NCUと、記憶演算装置と、極性反転回路と、リンガー信号検出回路とで構成し、前記管理棟の監視装置は、宅内の制御対象機器の状態監視を行っており、宅内の制御対象機器を遠隔制御する必要が生じた場合、前記管理棟の監視装置から、ノーリンギング通信によって、遠隔制御の指令を発信し、宅内のノーリンギング通信端末が、前記交換機と、電話回線とを介して、前記遠隔制御の指令を受信し、前記ノーリンギング通信端末の記憶演算装置から、シリアルインターフェースを介して、前記制御対象機器に内蔵されたコンソールポートに遠隔制御の指令を伝達し、前記制御対象機器を制御する遠隔制御方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、人手を介さずに、かつ、すでに配設された電話回線を用いて宅内の制御対象機器の制御を可能とする遠隔制御システムおよび遠隔制御方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の遠隔制御システムおよび遠隔制御方法は、アナログ電話回線を利用した、ノーリンギング通信を用いる。また、制御対象機器としてはネットワーク機器があげられる。ネットワーク機器としては、例えば、ISDN用モデム、光通信用モデム、ADSL用モデム、あるいはルータ等があり、前記機器の内部に内蔵されたコンソールポートを利用して制御する。また、前記制御対象機器は、専用のデジタル回線網に繋がっている。そして、前記デジタル回線網を介して、その制御対象機器の状態が管理棟の監視装置に、入力されている。
【0016】
本発明の遠隔制御システムは、宅内に、ノーリンギング通信端末と制御対象機器とが配置され、また、管理棟には、監視装置とノーリンギング通信用センタモデムが配置され、前記宅内と前記管理棟とが、交換機と電話回線とを介してノーリンギング通信を行う遠隔制御システムであって、前記管理棟の監視装置は、宅内の制御対象機器の状態監視を行っており、宅内の制御対象機器を遠隔制御する必要が生じた場合、前記管理棟の監視装置から、ノーリンギング通信によって、遠隔制御の指令が発信され、宅内のノーリンギング通信端末が、前記交換機と、電話回線とを介して、前記遠隔制御の指令を受信し、前記ノーリンギング通信端末の記憶演算装置から、シリアルインターフェースを介して、前記制御対象機器に内蔵されたコンソールポートに遠隔制御の指令を伝達して前記制御対象機器を制御する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の実施例1の遠隔制御システムの説明図である。図1に示すように、宅内400内には、ノーリンギング通信端末100とネットワーク機器70と、パソコン73が配置されている。ここで、前記ネットワーク機器70が制御対象機器である。また、管理棟300には、監視装置500とノーリンギング通信用センターモデム700が配置されている。ここで、監視装置500は、前記ネットワーク機器70の状態をデジタル回線網(図示していない)にて常時監視している。
【0018】
ノーリンギング通信用センターモデム700と、ノーリンギング通信端末100とは、センター回線、発信側交換機、電話網、着信側交換機、加入者電話回線を介して、接続されている。
【0019】
図2は、図1の遠隔制御システムの宅内のノーリンギング通信端末の説明図である。図2に示すように、ノーリンギング通信端末100は、信号用トランス7、モデム内蔵型NCU1と、記憶演算装置3と、極性反転検出回路41と、リンガー信号検出回路42とで構成されている。
【0020】
ここで、宅内の制御対象機器であるネットワーク機器70として、ADSLモデム60を使用している。ADSLモデム60には、パソコン63が接続され、ADSLモデム60は、ノーリンギング通信端末100のシリアルインターフェイス6と接続されている。 また、ADSLモデム60は、デジタル回線網53と接続されている。
【0021】
宅内のADSLモデム60を遠隔制御する必要が生じた場合、管理棟の監視装置のノーリンギング通信用センターモデムから、ノーリンギング通信によって、遠隔制御の指令が発信される。宅内のノーリンギング通信端末100が、交換機と電話回線とを介して、前記遠隔制御の指令を受信し、前記ノーリンギング通信端末100の記憶演算装置3から、シリアルインターフェース6を介して、前記制御対象機器に内蔵されたコンソールポートに遠隔制御の指令を伝達し、ADSLモデム60を遠隔制御する。
【実施例2】
【0022】
図3は、本発明の実施例2の遠隔制御システムの宅内のノーリンギング通信端末の説明図である。図3に示すように、ノーリンギング通信端末100は、信号用トランス7、モデム内蔵型NCU1と、記憶演算装置3と、極性反転検出回路41と、リンガー信号検出回路42とで構成されている。ここで、宅内の制御対象機器であるネットワーク機器としてルータ600を使用している。ルータ600には、複数のパソコン630,640が接続され、ルータ600は、ノーリンギング通信端末100のシリアルインターフェイス6と接続されている。また、ルータ600はデジタル回線網53と接続されている。
【0023】
宅内のルータ600を遠隔制御する必要が生じた場合、管理棟の監視装置のノーリンギング通信用センターモデムから、ノーリンギング通信によって、遠隔制御の指令が発信される。宅内のノーリンギング通信端末100が、交換機と、電話回線とを介して、前記遠隔制御の指令を受信し、前記ノーリンギング通信端末100の記憶演算装置3から、シリアルインターフェース6を介して、前記制御対象機器に内蔵されたコンソールポートに遠隔制御の指令を伝達し、ルータ600を遠隔制御する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例1の遠隔制御システムの説明図。
【図2】図1の遠隔制御システムの宅内のノーリンギング通信端末の説明図。
【図3】本発明の実施例2の遠隔制御システムの宅内のノーリンギング通信端末の説明図。
【図4】従来の遠隔制御システムの説明図。
【符号の説明】
【0025】
1 モデム内蔵型NCU
3 記憶演算装置
33,610 コンソールポート
41 極性反転検出回路
42 リンガー信号検出回路
5 内電話回線
50 加入者電話回線
51 電話ポート
53 デジタル回線網
6 シリアルインターフェイス
7 信号用トランス
70 ネットワーク機器
10a,63,73 パソコン
100 ノーリンギング通信端末
60,320a ADSLモデム
400,401 宅内
401a 加入者用交換機
300,301 管理棟
500,501 監視装置
600 ルータ
630,640 パソコン
700 ノーリンギング通信用センターモデム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
宅内に、ノーリンギング通信端末と、制御対象機器とが配置され、また、管理棟には、監視装置とノーリンギング通信用センタモデムが配置され、前記宅内と前記管理棟とが、交換機と電話回線とを介してノーリンギング通信を行う遠隔制御システムであって、前記ノーリンギング通信端末は、信号用トランス、モデム内蔵型NCUと、記憶演算装置と、極性反転回路と、リンガー信号検出回路とで構成され、前記管理棟の監視装置は、宅内の制御対象機器の状態監視を行っており、宅内の制御対象機器を遠隔制御する必要が生じた場合、前記管理棟の監視装置から、ノーリンギング通信によって、遠隔制御の指令が発信され、宅内のノーリンギング通信端末が、前記交換機と、電話回線とを介して、前記遠隔制御の指令を受信し、前記ノーリンギング通信端末の記憶演算装置から、シリアルインターフェースを介して、前記制御対象機器に内蔵されたコンソールポートに遠隔制御の指令を伝達し、前記制御対象機器を制御することを特徴とする遠隔制御システム。
【請求項2】
前記制御対象機器がネットワーク機器であることを特徴とする請求項1に記載の遠隔制御システム。
【請求項3】
宅内に、ノーリンギング通信端末と制御対象機器とを配置し、また、管理棟に、監視装置とノーリンギング通信用センタモデムを配置し、前記宅内と前記管理棟とを、交換機と電話回線とを介してノーリンギング通信を行う遠隔制御方法であって、前記ノーリンギング通信端末を、信号用トランス、モデム内蔵型NCUと、記憶演算装置と、極性反転回路と、リンガー信号検出回路とで構成し、前記管理棟の監視装置は、宅内の制御対象機器の状態監視を行っており、宅内の制御対象機器を遠隔制御する必要が生じた場合、前記管理棟の監視装置から、ノーリンギング通信によって、遠隔制御の指令を発信し、宅内のノーリンギング通信端末が、前記交換機と、電話回線とを介して、前記遠隔制御の指令を受信し、前記ノーリンギング通信端末の記憶演算装置から、シリアルインターフェースを介して、前記制御対象機器に内蔵されたコンソールポートに遠隔制御の指令を伝達し、前記制御対象機器を制御することを特徴とする遠隔制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−33012(P2006−33012A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204179(P2004−204179)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】