説明

遠隔操作システム、通信装置、撮像装置、遠隔操作システムの制御方法、通信装置の制御方法、撮像装置の制御方法、およびプログラム

【課題】携帯電話が遠隔操作でデジタルカメラの撮像を行うシステムにて、遠隔操作中の携帯電話に着信があり通話をした場合、通話中の消費電力を抑え且つ通話終了後に携帯電話の操作のみで遠隔操作を再開できる技術を提供する。
【解決手段】通信装置と、当該通信装置と第1無線ネットワークを介して接続され且つ通信装置から遠隔操作されて撮像を開始する撮像装置と、を備える遠隔操作システムであって、通信装置は、第2無線ネットワークを介して第2通信装置と接続する接続部と、第2無線ネットワークを介した通信装置と第2通信装置との間におけるイベントの開始または終了に応じて、撮像装置へイベントの開始通知または終了通知を通知する通知部と、を備え、撮像装置は、通知部による開始通知に応じて、通信装置から遠隔操作されて開始された撮像を中断する中断部と、通知部による終了通知に応じて、中断部により中断された撮像を再開する再開部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置と当該撮像装置を遠隔操作する通信装置とを備える遠隔操作システム、通信装置、撮像装置、遠隔操作システムの制御方法、通信装置の制御方法、撮像装置の制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラと携帯電話とを無線通信で接続することで、携帯電話からデジタルカメラの撮像動作が行えるリモート撮像システムがある。また、このようなリモート撮像システムにおいて、デジタルカメラのライブビュー画像を携帯電話で取得して表示し、ユーザが携帯電話の画面で構図を確認しながら、携帯電話を操作して撮像を行う技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
リモート撮像システムを構築する場合、デジタルカメラと携帯電話とを接続する無線通信に、無線LANやBluetooth(商標登録)といった、携帯電話網通信とは異なる通信技術を使うことが想定される。このような形態のリモート撮像システムにおいては、携帯電話は携帯電話網通信用の機能を使用しない。そのため、通信機能の面では、リモート撮像を実行している間にも、音声通話の着信や、メールの受信を行うことが可能である。
【0004】
しかしながら、リモート撮像中に携帯電話で通話を開始してしまうと、携帯電話を耳元にあてる必要が生じるため、ユーザがカメラのライブビュー画像を確認することが困難になる。同様に、リモート撮像中に携帯電話でメールの閲覧を開始してしまうと、メールが携帯電話の画面に表示されてしまうため、ユーザがデジタルカメラのライブビュー画像を確認することが困難になる。このように、ユーザ操作の面では、リモート撮像と音声通話、または、リモート撮像とメール閲覧を並行して行うことは困難である。そのため、リモート撮像実行中に携帯電話が着信を受けた場合、リモート撮像に関する動作と着信に関する動作のどちら一方が優先して動作するべきである。また、システムとして消費電力を抑制するため、優先された動作に関する処理が完了するまでの間、優先されなかった動作に関する処理が停止されることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−361464公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
リモート撮像実行中に携帯電話が着信を受け、着信に関する動作を優先する場合、着信に関する動作が終了するまで、リモート撮像に関する動作を停止することが望ましい。そのため、デジタルカメラがリモート撮像に関する動作を停止、再開するタイミングを検知できるようにする必要がある。
【0007】
一方で、携帯電話網から着信を受けたタイミングでBluetooth(商標登録)の通信を切断する携帯電話がある。この技術を利用すれば、デジタルカメラはBluetooth(商標登録)の切断を契機として、リモート撮像に関する処理を停止させるタイミングを検知することが可能である。
【0008】
しかしながら、携帯電話とデジタルカメラとの間の通信をただ切断するだけであると、再度接続するためにはユーザが携帯電話とデジタルカメラ両方を操作する必要があり、操作が煩雑であるという課題がある。
【0009】
上記の課題に鑑み、本発明は、携帯電話が遠隔操作でデジタルカメラの撮像を行うシステムにおいて、リモートコントロール中の携帯電話に着信があり通話をした場合に、機器およびユーザにかかる負荷を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成する本発明に係る遠隔操作システムは、
通信装置と、当該通信装置と第1無線ネットワークを介して接続され且つ前記通信装置から遠隔操作されて撮像を開始する撮像装置と、を備える遠隔操作システムであって、
前記通信装置は、
第2無線ネットワークを介して第2通信装置と接続する接続手段と、
前記第2無線ネットワークを介した前記通信装置と前記第2通信装置との間におけるイベントの開始または終了に応じて、前記撮像装置へ前記イベントの開始通知または終了通知を通知する通知手段と、を備え、
前記撮像装置は、
前記通知手段による前記開始通知に応じて、前記通信装置から遠隔操作されて開始された前記撮像を中断する中断手段と、
前記通知手段による前記終了通知に応じて、前記中断手段により中断された前記撮像を再開する再開手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、携帯電話が遠隔操作でデジタルカメラの撮像を行うシステムにおいて、リモートコントロール中の携帯電話に着信があり通話をした場合に、機器およびユーザにかかる負荷を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】撮像装置の機能構成の一例を示す図。
【図2】通信装置の機能構成の一例を示す図。
【図3】遠隔操作システムの構成図。
【図4】撮像装置の動作の一例を示すフローチャート。
【図5】撮像装置の動作の一例を示すフローチャート。
【図6】通信装置の動作の一例を示すフローチャート。
【図7】通信装置の動作の一例を示すフローチャート。
【図8】動作の一例を示すシーケンスチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る遠隔操作システムは、当該遠隔操作システムが備える通信装置において、通話の着信、メールの着信、通話の開始、またはメールの閲覧開始等のイベントが開始すると、あるいは、通話の終了またはメールの閲覧終了等、イベントが終了すると、イベントを開始したことを示す開始通知または終了したことを示す終了通知が撮像装置へ送信される。そしてこの開始通知または終了通知に応じて、撮像装置における撮像を中断または再開する。
【0014】
(第1実施形態)
図1を参照して、デジタルカメラ100の機能構成の一例を説明する。
【0015】
撮像部110は、撮像制御部111によって制御されて画像を撮像する。撮像制御部111は、撮像部110により撮像された画像データをRAM150および外部メモリ160に展開する。また撮像制御部111は、撮像部110により取得されるライブビュー画像のデータを随時RAM150に展開する。無線通信I/F120は、無線通信制御部121によって制御され、携帯電話との間で無線信号の送受信を行う。操作部130は、デジタルカメラのシャッタースイッチや携帯電話との通信を開始するためのボタンなどを含む。操作部130は、システムコントローラ131を介してCPU170に接続される。各処理部は、CPU170による制御によって処理され、CPU170によって制御されるプログラムはROM140またはRAM150に格納される。また、CPU170によって処理されるデータはRAM150または外部メモリ160に対して、書き込み、読み込みが行われる。
【0016】
次に、図2を参照して、携帯電話200の機能構成の一例を説明する。
【0017】
携帯網通信I/F210は、携帯網通信制御部211によって制御され、携帯電話網の通信を行う。無線通信I/F220は、無線通信制御部221によって制御され、デジタルカメラ100との間で無線信号の送受信を行う。表示部230は、LCD表示、LED表示、音声表示等、ユーザに対する情報を表示する。表示部230は、表示制御部231によってその表示内容の制御処理が行われる。また表示部230に表示された情報から任意の情報を選択する操作は、操作部240と連動して行われる。操作部240は、システムコントローラ241を介してCPU280に接続される。各処理部は、CPU280による制御によって処理され、CPU280によって制御されるプログラムはROM250またはRAM260に格納される。また、CPU280によって処理されるデータはRAM260または外部メモリ270に対して、書き込み、読み込みが行われる。
【0018】
図3を参照して、遠隔操作システムの構成の一例を説明する。
【0019】
デジタルカメラ100と携帯電話200とは、無線通信310(第1無線ネットワーク)を介して接続される。デジタルカメラ100の撮像部110で撮像されるライブビュー画像データが随時携帯電話200に送信され(ライブビュー画像送信処理)、携帯電話200の表示部230に表示される(ライブビュー画像表示処理)。携帯電話200が備える操作部240を操作することで、デジタルカメラ100にメッセージを送信し、撮像に関する動作(シャッターレリーズ、ズームイン/アウトなど)を実行できる。このようにデジタルカメラ100のライブビュー画像を携帯電話200で確認しながら、携帯電話200の操作によってデジタルカメラ100で撮像を行う連携処理を、以下では「リモート撮像処理」と称する。またこのリモート撮像処理が実行中であっても、携帯電話200(通信装置)は携帯電話網通信320(第2無線ネットワーク)を介して、他の携帯電話300(第2通信装置)からの音声通話やメールの着信を受けることができるものとする。
【0020】
ここで図4および図5を参照して、本実施形態に係るデジタルカメラ100の動作の一例を示すフローチャートについて説明する。
【0021】
まず、図4を参照して、デジタルカメラ100におけるリモート撮像処理実行時の処理の流れを説明する。この処理は、ユーザが操作部130を用いて、携帯電話200と接続するための操作を行った際に開始される。
【0022】
S401において、携帯電話200と接続するための操作が行われると、デジタルカメラ100は携帯電話200との無線通信による接続処理を行う。ここでいう無線通信とは、IEEE802.11やBluetooth(商標登録)といった無線通信規格を用いた通信を想定しているが、これに限定されるものではない。携帯電話200との無線接続が完了すると、S402において、デジタルカメラ100が携帯電話200からリモート撮像開始通知を受信したかどうかが判定される。リモート撮像開始通知を受信したと判定された場合(S402;YES)、S403へ進む。一方、リモート撮像開始通知を受信していないと判定された場合(S402;NO)、受信するまで待機する。S403において、デジタルカメラ100は撮像関連機能を起動する。ここでいう撮像関連機能とは、デジタルカメラ100において画像を撮像する際に使用する一連の機能のことであり、主に撮像部110の機能、撮像制御部111の機能、およびこれらを制御するプログラムのことを指す。
【0023】
撮像関連機能の起動が完了すると、デジタルカメラ100はリモート撮像モードに遷移し、携帯電話200からの要求に応じて撮像動作を行うためのループに入る。
【0024】
リモート撮像モードでは、S404において、デジタルカメラ100は周期的にライブビュー画像のデータを携帯電話200に送信する。ここではデジタルカメラ100が自発的にライブビュー画像データを送信することを想定しているが、携帯電話200からの要求に応えて送信する構成としても良い。S405において、デジタルカメラ100が携帯電話200から送信されるレリーズ要求(撮像指示)を受信したか否かが判定される。
【0025】
レリーズ要求を受信したと判定された場合(S405;YES)、S406へ進む。一方、レリーズ要求を受信していないと判定された場合(S405;NO)、S408へ進む。S406において、デジタルカメラ100は撮像を行う。S407において、撮像された画像のデータを携帯電話200に送信する。その後、S404へ戻る。
【0026】
S408において、デジタルカメラ100がリモート撮像終了通知を受信したか否かが判定される。リモート撮像終了通知を受信したと判定された場合(S408;YES)、S409へ進む。一方、リモート撮像終了通知を受信していないと判定された場合(S408;NO)、S404へ戻る。S409において、デジタルカメラ100は携帯電話との無線接続を解除する。S410において、S403で起動された撮像関連機能を停止する。その後、リモート撮像処理を終了する。
【0027】
本実施形態においてはリモート撮像モード中にレリーズ要求およびリモート撮像終了通知のみ受信待ちするとしたが、そのほかのメッセージを携帯電話200から受信してもよい。例えばカメラのズームイン、ズームアウトを要求するメッセージを受信して、それに対応する動作を行う構成としてもよい。
【0028】
図5を参照して、図4でデジタルカメラ100がリモート撮像モード(S404乃至S408)にある際、携帯電話200から通話開始通知を受信した場合のデジタルカメラ100の処理の流れを説明する。
【0029】
デジタルカメラ100は携帯電話から送信される通話開始通知を受信すると、S501において、撮像動作が実行中であるか否かが判定される。撮像動作が実行中であると判定された場合(S501;YES)、S502へ進む。一方、撮像動作が実行中でないと判定された場合(S501;NO)、S503へ進む。S502において、デジタルカメラ100は残りの撮像動作を実行する。
【0030】
S503において、撮像された画像が送信中であるか否かが判定される。撮像された画像が送信中であると判定された場合(S503;YES)、S504へ進む。一方、撮像された画像が送信中でないと判定された場合(S503;NO)、S505へ進む。S504において、撮像された画像データを携帯電話200へ送信する。S505において、現在の撮像設定を記録する。S506において、撮像関連機能を停止する。ここでいう撮像関連機能とは、デジタルカメラ100において画像を撮像する際に使用する一連の機能のことであり、主に撮像部110の機能、撮像制御部111の機能、およびこれらを制御するプログラムのことを指す。また、S404におけるライブビュー画像の送信処理も停止する。その後、S507において、デジタルカメラ100が携帯電話200から送信される通話終了通知を受信したか否かが判定される。
【0031】
通話終了通知を受信したと判定された場合(S507;YES)、S508へ進む。一方、通話終了通知を受信していないと判定された場合(S507;NO)、S510へ進む。S508において、デジタルカメラ100はS505で記録された撮像設定の内容で、撮像関連機能を起動する。撮像関連機能の起動が完了すると、S509において、デジタルカメラ100は携帯電話200に対してリモート撮像再開通知を送信する。そして、リモート撮像モードの処理(S404乃至S408)を再開する。
【0032】
S510において、一定時間通話終了通知を受信しなかったか否かが判定される。一定時間通話終了通知を受信しなかったと判定された場合(S510;YES)、S511へ進む。一方、通話終了通知を受信したと判定された場合(S510;NO)、S507へ戻り、S508へ進む。S511において、デジタルカメラ100は携帯電話200との無線接続を解除する。その後、リモート撮像処理を終了する。
【0033】
本実施形態においては、デジタルカメラ100が撮像動作実行中または撮像画像送信中に通話開始通知を受信した場合、それぞれの処理が完了してから撮像関連機能を停止するとした(S501;YESまたはS503;YES)。しかしながら、これに限定するものではない。例えば、撮像画像送信中に通話開始通知を受信した場合(S503;YES)、直ちに画像データの送信を中断し(画像送信中断処理)、通話終了通知受信後(S507;YES)に残りの画像データを携帯電話200に送信する構成としても良い(画像送信再開処理)。
【0034】
また本実施形態においては、デジタルカメラ100が通話開始通知を受信すると撮像関連機能を停止する(S506)としたが、これと同時に携帯電話200との無線接続を切断する構成としても良い。その場合、デジタルカメラ100はS507、S510において携帯電話200からの無線接続要求を待ち受ける。
【0035】
また、デジタルカメラ100で通話終了通知を待ち受ける際、リモート撮像モードの処理(S404乃至S408)で使用する無線通信とは異なる通信手段で受信するようにしても良い。例えば、リモート撮像処理の画像送信は無線LANを使用して行い、通話終了通知はBluetooth(登録商標)を使用して受信するとしてもよい。次に図6および図7を参照して、携帯電話200の動作の一例を説明する。
【0036】
まず、図6を参照して、携帯電話200におけるリモート撮像処理実行時の動作フローを説明する。この処理は、ユーザが操作部240を用いて、デジタルカメラ100と接続するための操作を行った際に開始される。
【0037】
S601において、携帯電話200はデジタルカメラ100と無線通信による接続処理を行う。ここでいう無線通信とは、IEEE802.11やBluetooth(登録商標)といった無線通信規格を用いた通信を想定しているが、これに限定されるものではない。デジタルカメラ100との無線接続が完了すると、S602において、携帯電話200はデジタルカメラ100にリモート撮像開始通知を送信する。
【0038】
リモート撮像開始通知の送信に成功すると、携帯電話200はリモート撮像モードに遷移し、デジタルカメラ100を利用したリモート撮像処理を行うループに入る(S603乃至S609)。S603において、リモート撮像を終了するか否かが判定される。リモート撮像を終了すると判定された場合(S603;YES)、S610へ進む。一方、リモート撮像を終了しないと判定された場合(S603;NO)、S604へ進む。S604において、リモート撮像処理中、携帯電話200はデジタルカメラ100から送信されるライブビュー画像データを取得する。そして、S605において、取得されたライブビュー画像を表示部230に表示する。ここでは、デジタルカメラ100が自発的に送信してくるライブビュー画像データを携帯電話200が取得することを想定しているが、これは携帯電話200がデジタルカメラ100にデータを要求して取得する構成としても良い。
【0039】
S606において、携帯電話200においてレリーズ操作が行われたか否かが判定される。レリーズ操作が行われたと判定された場合(S606;YES)、S607へ進む。一方、レリーズ操作が行われていないと判定された場合(S606;NO)、S603へ戻る。S607において、携帯電話200はデジタルカメラ100に対してレリーズ要求を送信する(リモート撮像受付送信処理)。なおレリーズ操作は、ユーザが携帯電話200の操作部240を操作することによって行われる(リモート撮像受付処理)。デジタルカメラ100はレリーズ要求を受信すると撮像動作を行う。S608において、携帯電話200はデジタルカメラ100で撮像された画像を取得する。そしてS609において、取得された画像を表示部230に一定時間表示する。その後、S603へ戻る。
【0040】
S610において、携帯電話200はデジタルカメラ100にリモート撮像終了通知を送信する。その後、S611において、デジタルカメラ100との無線接続を解除する。リモート撮像処理の終了は、ボタン押下のようにユーザ操作によって行ってもよく、電池残量の低下を検知して携帯電話200が自動で行ってもよい。
【0041】
本実施形態においては、リモート撮像モード中に携帯電話200がデジタルカメラ100に要求できる撮像動作はレリーズ操作のみとしたが、それ以外の要求を行える構成としても良い。例えば、カメラのズームイン、ズームアウトを要求するようなメッセージを携帯電話200からデジタルカメラ100に送信できる構成としても良い。
【0042】
次に、図7を参照して、図6で携帯電話200がリモート撮像モード(S603乃至S609)にある際、携帯電話200に音声通話の着信があり、ユーザが通話開始の操作を行った場合の動作フローを説明する。
【0043】
S701において、携帯電話200は、音声通話の着信を検知すると、デジタルカメラ100に通話開始通知を送信する。そして、S702において、リモート撮像処理を中断する。ここでいうリモート撮像処理とは、図6のS604乃至S609の処理を指す。
【0044】
S703において、携帯電話200は通話処理を行う。S704において、通話が完了する。S705において、携帯電話200はデジタルカメラ100に通話終了通知を送信する。その後、デジタルカメラ100からリモート撮像再開通知を受信したか否かが判定される。リモート撮像再開通知を受信したと判定された場合(S706;YES)、S707へ進む。一方、リモート撮像再開通知を受信していないと判定された場合(S706;NO)、S708へ進む。S707において、S702で中断されていたリモート撮像処理を再開する。S708において、リモート撮像処理を終了する。そしてS709において、デジタルカメラ100との無線接続を解除する。以上で、処理が終了する。
【0045】
本実施形態において、携帯電話200で音声通話開始操作が行われたことを契機に図7に示される処理を行うとしたが、図7に示される処理を行う契機はこれに限るものではない。また同様に、本実施形態では、携帯電話200の通話終了を契機に(S704)、デジタルカメラ100に通話終了通知を送信する(S705)としたが、通話終了通知を送信する契機もこれに限るものではない。図7に示される処理は、例えば携帯電話200におけるメールの受信、ユーザによるメールの閲覧開始操作、着呼検知、通話発信操作などを契機に開始する構成としても良い。同様に通話終了通知の送信も、携帯電話200におけるユーザによるメールの閲覧終了操作などを契機に行う構成としても良い。
【0046】
また、本実施形態において、携帯電話200が通話を行っている間(S703乃至S704)、携帯電話200は省電力化のためにデジタルカメラ100との無線接続を切断する構成としても良い。また同時に、無線通信I/F220の電源を落とす構成としても良い。その場合、携帯電話200では、通話終了後(S704)に無線通信I/F220の電源を入れ、デジタルカメラ100に対する無線接続要求を行った後、S705以降の処理を行う。
【0047】
次に、図8を参照して、図3乃至図7に示される各機器間の通信シーケンスの一例について説明する。
【0048】
図8は、デジタルカメラ100と携帯電話200とが無線通信で接続され、リモート撮像処理を実行している間に携帯電話300から携帯電話200に着信があった場合の通信シーケンスの一例を示すシーケンスチャートである。
【0049】
初期状態として、デジタルカメラ100、携帯電話200、携帯電話300はそれぞれ未接続であるものとする。
【0050】
まずデジタルカメラ100および携帯電話200において、ユーザがリモート撮像処理を開始するための操作を行う(F801、F802)。リモート撮像処理を開始するための操作は、ボタン押下のような操作でも良いし、電源が入ると同時に無条件で開始する構成としてもよい。
【0051】
リモート撮像開始操作が行われると、デジタルカメラ100と携帯電話200との間で無線通信による接続処理が行われる(F803)。無線通信の接続が完了すると、携帯電話200はデジタルカメラ100にリモート撮像開始通知を送信し(F804)、リモート撮像機能を開始する(F806)。ここでいうリモート撮像機能とは、例えばリモート撮像機能で使用するメニュー画面を表示するような機能を表す。
【0052】
デジタルカメラ100は、リモート撮像開始通知を受信すると、撮像に関連する機能を起動する(F805)。撮像に関連する機能とは、デジタルカメラ100において画像を撮像する際に使用する一連の機能のことで、主に撮像部110の機能、撮像制御部111の機能、およびこれらを制御するプログラムのことを指す。
【0053】
撮像関連機能の起動が完了すると、デジタルカメラ100はライブビュー画像のデータを携帯電話200に送信する(F807)。携帯電話200はライブビュー画像データを受信すると、画面にその画像を表示する(F808)。F807、F808の処理は周期的に実行される。
【0054】
携帯電話200は、リモート撮像機能実行中に他の携帯電話300から着信を受ける(イベントの開始)と(F809)、ユーザにこれを通知する。ユーザが携帯電話200で通話開始操作(F810)を実行すると、携帯電話200はデジタルカメラ100に通話開始通知を送信し(F811)、リモート撮像機能を停止し(F813)、通話処理を開始する(F814)。デジタルカメラ100は通話開始通知を受信すると、F805で起動した撮像関連機能を停止する(F812)。
【0055】
ユーザは通話が終了すると、携帯電話200で通話終了操作を行う(F815)。携帯電話200は通話終了操作を契機に(イベントの終了)、通話終了通知をデジタルカメラ100に送信する(F816)。デジタルカメラ100は通話終了通知を受信すると、F812で停止した撮像関連機能を再開し(F817)、携帯電話200にリモート撮像再開通知を送信する(F818)。携帯電話200は、リモート撮像再開通知を受信すると、F813で停止したリモート撮像機能を再開する(F819)。
【0056】
リモート撮像処理が再開されると、デジタルカメラ100はライブビュー画像を携帯電話200に送信し(F820)、携帯電話200は受信された画像を画面に表示する(F821)。ユーザが携帯電話200で撮像操作を行うと(F822)、携帯電話はデジタルカメラにレリーズ要求を送信する(F823)。レリーズ要求を受信したデジタルカメラ100は撮像を行い(F824)、撮像した画像データを携帯電話200に送信する(F825)。携帯電話200は撮像画像データを受信すると、これを画面に表示する(F826)。また、ユーザが携帯電話200でリモート撮像を終了する操作を行うと(F827)、携帯電話200はリモート撮像終了通知をデジタルカメラ100に送信する(F828)。これを契機にデジタルカメラ100および携帯電話200は、それぞれリモート撮像に関する機能を停止し(F829、F830)、無線による通信を切断する(F831)。
【0057】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置と、当該通信装置と第1無線ネットワークを介して接続され且つ前記通信装置から遠隔操作されて撮像を開始する撮像装置と、を備える遠隔操作システムであって、
前記通信装置は、
第2無線ネットワークを介して第2通信装置と接続する接続手段と、
前記第2無線ネットワークを介した前記通信装置と前記第2通信装置との間におけるイベントの開始または終了に応じて、前記撮像装置へ前記イベントの開始通知または終了通知を通知する通知手段と、を備え、
前記撮像装置は、
前記通知手段による前記開始通知に応じて、前記通信装置から遠隔操作されて開始された前記撮像を中断する中断手段と、
前記通知手段による前記終了通知に応じて、前記中断手段により中断された前記撮像を再開する再開手段と、
を備えることを特徴とする遠隔操作システム。
【請求項2】
前記通信装置は、
前記第1無線ネットワークを介して受信された前記撮像装置により撮像されているライブビュー画像を表示するライブビュー画像表示手段と、
前記ライブビュー画像に応じた前記撮像装置への撮像指示を受け付けて、前記撮像装置へ前記撮像指示を送信するリモート撮像受付送信手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作システム。
【請求項3】
前記通信装置が携帯電話であり、前記第2無線ネットワークが携帯電話網である場合、
前記イベントの開始は、音声呼の着信、メールの着信、通話の開始、またはメールの閲覧開始のうちの少なくとも何れか1つであり、
前記イベントの終了は、通話の終了、またはメールの閲覧終了であることを特徴とする請求項1または2に記載の遠隔操作システム。
【請求項4】
前記通信装置は、
前記中断手段により前記撮像が中断される際に、前記第1無線ネットワークを介した前記撮像装置との接続を切断する切断手段をさらに備え、
前記再開手段により前記撮像が再開される際に、前記第1無線ネットワークを介して前記撮像装置と再び接続することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の遠隔操作システム。
【請求項5】
前記撮像装置は、
前記中断手段により前記撮像が中断された場合、前記撮像装置により撮像された画像データを前記通信装置へ前記第1無線ネットワークを介して送信する処理を中断する画像送信中断手段と、
前記再開手段により前記撮像が再開された場合、前記撮像装置により撮像された画像データを前記通信装置へ前記第1無線ネットワークを介して送信する処理を再開する画像送信再開手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の遠隔操作システム。
【請求項6】
第1無線ネットワークを介してされた接続された撮像装置を遠隔操作する通信装置であって、
第2無線ネットワークを介して第2通信装置と接続する接続手段と、
前記第2無線ネットワークを介した前記通信装置と前記第2通信装置との間におけるイベントの開始または終了に応じて、前記撮像装置へ前記イベントの開始通知または終了通知を通知する通知手段と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項7】
前記第1無線ネットワークを介して受信された前記撮像装置により撮像されているライブビュー画像を表示するライブビュー画像表示手段と、
前記ライブビュー画像に応じた前記撮像装置への撮像指示を受け付けて、前記撮像装置へ前記撮像指示を送信するリモート撮像受付送信手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記通信装置が携帯電話であり、前記第2無線ネットワークが携帯電話網である場合、
前記イベントの開始は、音声呼の着信、メールの着信、通話の開始、またはメールの閲覧開始のうちの少なくとも何れか1つであり、
前記イベントの終了は、通話の終了、またはメールの閲覧終了であることを特徴とする請求項6または7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記通知手段により前記撮像装置へ前記開始通知が通知されると、前記第1無線ネットワークを介した前記撮像装置との接続を切断する切断手段をさらに備え、
前記通知手段により前記撮像装置へ前記終了通知が通知されると、前記第1無線ネットワークを介して前記撮像装置と再び接続することを特徴とする請求項6乃至8の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項10】
通信装置と第1無線ネットワークを介してされた接続され且つ前記通信装置から遠隔操作されて撮像を開始する撮像装置であって、
前記通信装置におけるイベントの開始または終了に応じて、前記通信装置から前記イベントの開始通知または終了通知を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記開始通知に応じて、前記通信装置から遠隔操作されて開始された前記撮像を中断する中断手段と、
前記受信手段により受信された前記終了通知に応じて、前記中断手段により中断された前記撮像を再開する再開手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
前記撮像装置により撮像されているライブビュー画像を、前記第1無線ネットワークを介して前記通信装置へ送信するライブビュー画像送信手段をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記中断手段により前記撮像が中断された場合、前記第1無線ネットワークを介した前記通信装置との接続を切断する切断手段をさらに備え、
前記再開手段により前記撮像が再開された場合、前記第1無線ネットワークを介して前記通信装置と再び接続することを特徴とする請求項10または11に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記中断手段により前記撮像が中断された場合、前記撮像装置により撮像された画像データを前記通信装置へ前記第1無線ネットワークを介して送信する処理を中断する画像送信中断手段と、
前記再開手段により前記撮像が再開された場合、前記撮像装置により撮像された画像データを前記通信装置へ前記第1無線ネットワークを介して送信する処理を再開する画像送信再開手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項11または12に記載の撮像装置。
【請求項14】
通信装置と、当該通信装置と第1無線ネットワークを介してされた接続され且つ前記通信装置から遠隔操作されて撮像を開始する撮像装置と、を備える遠隔操作システムの制御方法であって、
前記通信装置では、
接続手段が、第2無線ネットワークを介して第2通信装置と接続する接続工程と、
通知手段が、前記第2無線ネットワークを介した前記通信装置と前記第2通信装置との間におけるイベントの開始または終了に応じて、前記撮像装置へ前記イベントの開始通知または終了通知を通知する通知工程と、を備え、
前記撮像装置では、
中断手段が、前記通知工程による前記開始通知に応じて、前記通信装置から遠隔操作されて開始された前記撮像を中断する中断工程と、
再開手段が、前記通知工程による前記終了通知に応じて前記中断工程により中断された前記撮像を再開する再開工程と、
を備えることを特徴とする遠隔操作システムの制御方法。
【請求項15】
第1無線ネットワークを介してされた接続された撮像装置を遠隔操作する通信装置の制御方法であって、
接続手段が、第2無線ネットワークを介して第2通信装置と接続する接続工程と、
通知手段が、前記第2無線ネットワークを介した前記通信装置と前記第2通信装置との間におけるイベントの開始または終了に応じて、前記撮像装置へ前記イベントの開始通知または終了通知を通知する通知工程と、
を備えることを特徴とする通信装置の制御方法。
【請求項16】
通信装置と第1無線ネットワークを介してされた接続され且つ前記通信装置から遠隔操作されて撮像を開始する撮像装置の制御方法であって、
受信手段が、前記通信装置におけるイベントの開始または終了に応じて、前記通信装置から前記イベントの開始通知または終了通知を受信する受信工程と、
中断手段が、前記受信工程により受信された前記開始通知に応じて、前記通信装置から遠隔操作されて開始された前記撮像を中断する中断工程と、
再開手段が、前記受信工程により受信された前記終了通知に応じて、前記中断工程により中断された前記撮像を再開する再開工程と、
を備えることを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項17】
請求項14に記載の遠隔操作システムの制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項18】
請求項15に記載の通信装置の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項19】
請求項16に記載の撮像装置の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−60329(P2012−60329A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200289(P2010−200289)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】