説明

遠隔絶縁操作具の鍔とこれを用いた遠隔絶縁操作具

【課題】交換時の再装着が艤装物をそのままにして簡単に行えるようにする。
【解決手段】遠隔絶縁操作棒100の外面に接着を伴い装着される筒部1と、筒部1から傘型に外方斜め下に向け延びる水切りスカート部2と、を有し、筒部1の内周を遠隔絶縁操作棒100の外面への接着面3とした絶縁鍔200において、筒部1及び水切りスカート部2を周方向適数か所にて切り離し、その切り離し部4で対向し合う端面どうしを互いの接着面5としたことにより、上記の課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔絶縁操作具の鍔とこれを用いた遠隔絶縁操作具に関し、主として、高圧線、特別高圧線などの架線に対し、ホットプラー工事やリード接続工事などの各種絶縁間接活線工法を行う遠隔絶縁操作具の絶縁鍔と、これを用いた遠隔絶縁操作具に関する。
【背景技術】
【0002】
このような作業に利用できる遠隔絶縁操作具としては、下記特許文献1〜7などが開示している。これらの遠隔絶縁操作具は、先端に作業具を備え、架線の支持具や掴線器、張線器、引き分け器、架線間隔拡張器といった作業具に対する把持、回転の作業、架線に対するリード線接続などの器具取り付け、同器具の操作などを遠隔から上向きに行う長尺な棒状作業具となる。従って、遠隔絶縁操作棒上は、手元のグリップ部や操作ハンドル、操作レバーなどと、先端の作業具との間に絶縁構造を設ければ感電に対する安全が図れる。
【0003】
しかし、いずれの特許文献に記載の遠隔絶縁操作棒も、架線などの作業対象からの絶縁限界位置を示し、握り手が同位置を超えるのを阻止する傘型の絶縁限界鍔、及び、この絶縁限界鍔からさらに先端寄りの位置に、作業中に遠隔絶縁操作棒の先端側から伝い落ちる雨水を遠隔絶縁操作棒の外面から広がる傘型面に伝わせて、遠隔絶縁操作棒の外面から離れた位置で水切りする水切り鍔、を設けることで、感電に対するさらなる安全を図っている。また、絶縁限界鍔も水切り鍔同様の形態をなし、遠隔絶縁操作棒の表面を伝い落ちてくる雨水に対し同様の作用を発揮するようにしている。
【0004】
また、絶縁限界鍔、水切り鍔は、いずれも、その役目上ゴム等の絶縁材料よりなり、環状で、遠隔絶縁操作棒の外面との間は接着されることで、雨水などが上部から下部に浸み通らないようにして、雨水の浸み通りにより万一にも感電事故が生じるのを防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−013943号公報
【特許文献2】特開2009−050052号公報
【特許文献3】特開2009−050053号公報
【特許文献4】特開2009−157321号公報
【特許文献5】特開2010−082780号公報
【特許文献6】特開2010−178462号公報
【特許文献7】特開2010−239839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ゴム製の絶縁限界鍔、水切り鍔は、耐候性が低く経年的に変質、劣化し、遂にはひび割れる。ひび割れは雨水の浸み通りを許してしまうので、感電事故の原因になる。そこで、ひび割れたゴム製の絶縁限界鍔、水切り鍔は交換し、寿命の長い遠隔絶縁操作棒を使い続けられている。
【0007】
しかし、ひび割れた絶縁限界鍔、水切り鍔は、環状でも適数か所を切り離して遠隔絶縁操作棒から剥がし取ればよいが、新しい絶縁限界鍔、水切り鍔を遠隔絶縁操作棒に再装着するには、例えば先端の作業具など邪魔になる艤装物との連結を外したり、取付を外したりすることが必須となり、交換後はそれらの再連結、再取付も必須となるので、作業に手間が掛かる。
【0008】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、交換時の再装着が艤装物をそのままにして簡単に行える、遠隔絶縁操作具の鍔とこれを用いた遠隔絶縁操作具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の遠隔絶縁操作具の絶縁鍔は、遠隔絶縁操作棒の外面に接着を伴い装着される筒部と、この筒部から傘型に外方斜め下に向け延びる水切りスカート部と、を有し、筒部の内周を遠隔絶縁操作棒の外面への接着面とした絶縁鍔において、筒部及び水切りスカート部を周方向適数か所にて切り離し、その切り離し部で対向し合う端面どうしを互いの接着面としたことを特徴としている。
【0010】
このような構成では、切り離し部が複数であれば、それによる分割体を寄せ合わせるようにして遠隔絶縁操作棒の外まわりに軸直角方向から筒部を沿わせて環状形態にさせられる。また、切り離し部が1つの連続体であっても、切り離し部を弾性的に開くことにより遠隔絶縁換作棒に軸直角方向から嵌め合わせてから弾性的に復元させれば、遠隔絶縁操作棒の外面に筒部を沿わせて環状形態にすることができる。
【0011】
したがって、いずれの場合も、筒部の内周の接着面と、切り離し部で対向し合う接着面とに接着剤を塗布しておけば、筒部及び水切りスカート部を環状に一体化して、筒部を遠隔絶縁操作棒の外面に接着した装着状態とすることができる。
【0012】
上記において、さらに、切り離しは、厚み方向に屈曲した経路でなしたものとすることができる。
【0013】
このような構成では、上記に加え、さらに、筒部及び水切りスカート部の外面から内面に屈曲した切り離し経路が、万一の部分的な接着剥離が雨水の外部からの浸み通り原因になっても、経路の迷路化、厚みを上回った延長化により、遠隔絶縁操作棒の外面に至るのを抑えられる。
【0014】
上記において、さらに、切り離し経路は、外面から内面側に向けてクランク型部分を有し、外面から第1の屈曲部と第2の屈曲部との間の切り離し経路入り口で、経路外面側が経路内面側よりも薄肉の舌状蓋片をなしたものとすることができる。
【0015】
このような構成では、上記に加え、さらに、舌状蓋片は薄肉であることにより、経路入り口での経路内面側に馴染み性よく接着されて、外力を受けても単独に応動することなく厚肉の経路内側部分と一体化した弾性作用にて吸収することができる。
【0016】
上記において、さらに、切り離し部は、筒部及び水切りスカート部共に、周方向の他の部分よりも増厚したものとすることができる。
【0017】
このような構成では、上記に加え、さらに、切り離し部が、筒部及び水切りスカート部において、周方向の他の部分よりも増厚されていることにより、切り離し経路長を増厚に比例して増大させられるし、変形強度も高まる。
【0018】
上記において、さらに、水切りスカート部の内周の周方向複数か所に軸線方向の補強リブを先端側から基部に向け形成したものとすることができる。
【0019】
このような構成では、上記に加え、さらに、水切りスカート部は、遠隔絶縁操作棒の外面からの張り出しにより外力を受けて、弾性的な変形と復元とを繰り返し、その変形基部に応力を受けやすいのを、軸線方向に向く補強リブによって弾性変形量を抑えられ、結果、必要復元量も抑えられる。
【0020】
上記において、さらに、筒部は、その内周に、遠隔絶縁操作棒の外面に環状に設けられる位置決め凸条に嵌り合う凹条が環状に形成されたものとすることができる。
【0021】
このような構成では、周方向適数か所が切り離されて、筒部及び水切りスカート部が軸方向に連続した、周方向の連続体や分割体を遠隔絶縁操作棒の外面に装着するのに、筒部内周の環状な凹条を、遠隔絶縁操作棒の外面の環状な凸条に嵌め合わせることにより、切り離し部での軸方向の位置合わせがなされる。また、絶縁限界鍔や水切り鍔としての装着位置を、絶縁鍔の遠隔絶縁操作棒毎に位置決めすることもできる。
【0022】
上記いずれか1つの絶縁鍔は、これを切り離し部の接着、内面の遠隔絶縁操作棒の外面に絶縁限界鍔や水切り鍔として接着を伴い装着した絶縁鍔を用いたことを特徴とする遠隔絶縁操作具をも提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の絶縁鍔によれば、切り離しによる分割体は互いを遠隔絶縁操作棒の外面まわりに寄せ合わせ、連続体は、弾性的に開いて遠隔絶縁操作棒の外面まわりに嵌め合わせて復元させて、遠隔絶縁操作棒の外面に他の艤装物があっても邪魔されずに軸直角方向から筒部を沿わせられ、切り離し部の接着、筒部内面の遠隔絶縁操作棒外面への接着を伴い、一体の環状体として装着でき、ゴム製で耐候寿命などにより交換するのが容易かつ短時間に行えるようになる。切り離し部や遠隔絶縁操作棒の外面との間が、雨水の浸み通り経路になることはなく、絶縁限界鍔や水切り鍔として機能する。
【0024】
上記に加え、さらに、筒部及び水切りスカート部の外面から内面への切り離し経路は、その屈曲形態による迷路化と、厚みを超えた延長化とで、万一の部分的な接着剥離時に雨水の外部から浸み通り原因になっても、遠隔絶縁操作棒の外面に到達するのを抑え、筒部内面と遠隔絶縁操作棒の外面との間から下方に浸み通る確率を低減させられる。
【0025】
上記に加え、さらに、切り離し経路の外面からのクランク型部分にて切り離し経路入り口に形成した薄肉の舌状蓋片が、薄肉としたことにより、経路入り口での経路内面側に馴染み性よく接着されて、外力を受けても単独に応動することなく厚肉の経路内側部分と一体化した弾性作用にて吸収し、経路入り口の接着が剥離するのを防止し、耐久性が向上する。
【0026】
上記に加え、さらに、切り離し部が、筒部及び水切りスカート部共に周方向の他の部分よりも増厚されて、切り離し経路長の増大により雨水の外面から内面への浸みこみを防止しやすいし、変形強度の高まりにより接着の剥離が生じにくく耐久性が向上する。
【0027】
上記に加え、さらに、水切りスカート部は、外力を受けて弾性的な変形と復元とを繰り返し、この変形の基部に応力を受けやすいが、軸線方向に向く補強リブによって変形量、必要復元量併せ抑えられるので、耐久性を向上させられる。
【0028】
上記に加え、さらに、周方向適数か所が切り離された、周方向の連続体や分割体を遠隔絶縁操作棒の外面に装着するのに、筒部内周の環状な凹条を、遠隔絶縁操作棒の外面の環状な凸条に嵌め合わせることにより、切り離し部での軸方向の位置合わせがなされるので食い違いなしに手際よく装着できる。また、絶縁限界鍔や水切り鍔としての装着位置を、絶縁鍔の遠隔絶縁操作棒毎に位置決めされるので装着位置を特別な計測なしに適正化できる。
【0029】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
本発明の各特徴は、それ単独で、あるいは可能な限り複合して採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態に係る絶縁鍔とこれを用いた遠隔絶縁操作具の1つの具体例を絶縁鍔を断面して見た側面図である。
【図2A】本発明の実施の形態に係る絶縁鍔の別の具体例を示す2つ割分割体の図であり、(a)は2つ割分割体の1つを内側から見た正面図、(b)は同分割体の縦断面図、(c)は2つ割分割体の2つを対向させて見た下面図である。
【図2B】本発明の実施の形態に係る絶縁鍔の部分拡大図解図である。
【図3A】本発明の実施の形態に係る2つ割分割体の2つを対向させて見た図であり、(a)は平面図、(b)は横断面図である。
【図3B】本発明の実施の形態に係る絶縁鍔の部分拡大図解図である。
【図4】本発明の別の実施の形態に係る鍔の斜視図解図であり、(A)は一方の鍔の分割体を示す斜視図解図であり、(B)は他方の鍔の分割体を示す斜視図解図である。
【図5】本発明の別の実施の形態に係る鍔の2つ割分割体の1つを内側から見た正面図解図である。
【図6】本発明の別の実施の形態に係る鍔の2つ割分割体の縦断面図解図である。
【図7】本発明の別の実施の形態に係る鍔の底面図解図である。
【図8】本発明の別の実施の形態に係る鍔の平面図解図である。
【図9】接合面にシボを形成した状態を示す正面図解図である。
【図10A】本発明の実施の形態に係る遠隔絶縁操作具の側面図解図である。
【図10B】本発明の別の実施の形態に係る遠隔絶縁操作具の側面図解図である。
【図11】図5図示鍔の変形例の正面図解図である。
【図12】本発明の更に別の実施の形態に係る鍔の図解図であり、(A)は斜視図解図であり、(B)は平面図解図であり、(C)は縦断面図解図である
【図13】本発明の更に別の実施の形態に係る鍔の図解図であり、(A)は斜視図解図であり、(B)は平面図解図であり、(C)は正面図解図である
【図14】本発明の更に別の実施の形態に係る鍔の図解図であり、(A)は斜視図解図であり、(B)は正面図解図であり、(C)は縦断面図解図である
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の形態に係る絶縁鍔及びそれを用いた遠隔絶縁操作具について、図1〜図3を参照しながら具体的に説明し、本発明の理解に供する。以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載事項を限定するものではない。
【0032】
本実施の形態の絶縁鍔は、図1に示す例、図2、図3の例に示すように、遠隔絶縁操作棒100の外面に接着を伴い装着される筒部1と、この筒部1から傘型に外方斜め下に向け延びる水切りスカート部2と、を有し、筒部1の内周を遠隔絶縁操作棒100の外面への接着面3とする基本構成を有している。筒部1及び水切りスカート部2を、図1に示す例の絶縁鍔200での1か所、図2、図3に示す例の絶縁鍔300での2か所など、周方向適数か所にて切り離し、その切り離し部4で対向し合う端面どうしを互いの接着面としている。
【0033】
切り離し部4が図2、図3に示す絶縁鍔300のように複数であれば、それによる2つ割りなどした分割体300a、300aを寄せ合わせるようにして遠隔絶縁操作棒100の外まわりに軸直角方向から筒部1を沿わせて環状形態にさせられる。また、切り離し部4が図1に示す絶縁鍔200のように1つの連続体200aであっても、切り離し部4を弾性的に開くことにより遠隔絶縁操作棒100に軸直角方向から嵌め合わせてから弾性的に復元させれば、遠隔絶縁操作棒100の外面に筒部1を沿わせて環状形態にすることができる。
【0034】
このように、いずれの場合も、つまり、切り離し箇所数にかかわらず筒部1の内周の接着面3と、切り離し部4で対向し合う接着面5とに接着剤を塗布しておけば、筒部1及び水切りスカート部2を環状に一体化して、筒部1を遠隔絶縁操作棒100の外面に接着した装着状態とすることができる。
【0035】
したがって、切り離しによる分割体300aは互いを遠隔絶縁操作棒100の外面まわりに、図2(c)、図3(a)(b)に示す矢印Aの方向に寄せ合わせることにより、連続体200aは、弾性的に開いて遠隔絶縁操作棒100の外面まわりに嵌め合わせて図1に示すように復元させることにより、遠隔絶縁操作棒100の外面に他の艤装物があっても邪魔されずに軸直角方向から筒部1を沿わせられる。切り離し部4の接着、筒部1内面の遠隔絶縁操作棒100外面への接着を伴い、図1で代表して示すように一体の環状体である絶縁鍔200、300として装着でき、従来通りのゴム製として対候寿命などにより交換するのが容易かつ短時間に行えるようになる。切り離し部4や遠隔絶縁操作棒100の外面との間が、雨水の浸み通り経路になることはなく、絶縁限界鍔や水切り鍔として機能する。
【0036】
切り離しは、図2、図3の絶縁鍔300が例示し、図2(c)に仮想線で示すように、厚み方向に屈曲した切り離し経路11でなしたものとすることができる。このように、筒部1及び水切りスカート部2の外面から内面に屈曲した切り離し経路11が、万一の部分的な接着剥離が雨水の外部からの浸み通り原因になっても、切り離し経路11の迷路化、厚みを上回った延長化により、遠隔絶縁操作棒100の外面に至るのを抑えられる。
【0037】
したがって、筒部1及び水切りスカート部2の外面から内面への切り離し経路11は、その屈曲形態による迷路化と、厚みを超えた延長化とで、万一の部分的な接着剥離時に雨水の外部から浸み通り原因になっても、遠隔絶縁操作棒100の外面に到達するのを抑え、筒部1内面と遠隔絶縁操作棒100の外面との間から下方に浸み通る確率を低減させられる。
【0038】
図2、図3の絶縁鍔300の切り離し経路11は、外面から内面側に向けてクランク型部分11aを有し、クランク型部分11aは、外面から第1の屈曲部11bと第2の屈曲部11cとの間の切り離し経路入り口11dを有している。
切り離し経路11は、前記クランク型部分11aと接し合わされる舌状蓋片300cを有している。
舌状蓋片300cは、経路外面側が経路内面側300bよりも薄肉の舌状をなしたものとし、舌状蓋片300cの経路外面側とクランク型部分11aの経路外面側とが接している。
【0039】
このように形成された舌状蓋片300cは薄肉であることにより、経路入り口11dでの経路内面側に馴染み性よく接着されて、外力を受けても単独に応動することなく厚肉の経路内側部分と一体化した弾性作用にて吸収することができる。このような外力の弾性的な吸収により、経路入り口11dの接着が剥離するのを防止するので、耐久性が向上する。
【0040】
また、図2、図3の絶縁鍔300の切り離し部4は、筒部1及び水切りスカート部2共に、周方向の他の部分の厚みt1よりも増厚したt2としている。このように、切り離し部4が、筒部1及び水切りスカート部2において、周方向の他の部分よりも増厚されていることにより、切り離し経路11の長さを増厚に比例して増大させられるし、変形強度も高まる。切り離し経路長の増大により雨水の外面から内面への浸みこみを防止しやすいし、変形強度の高まりにより接着の剥離が生じにくく耐久性が向上する。
【0041】
切り離し部4の対向し合う接着面5どうしの一方には、接続用のダボ12を軸方向複数か所に一体形成し、他方には、前記ダボ12と嵌り合う接続用のダボ穴13を凹部状に形成している。切り離し部4を接着により接続するのに、これらダボ12及びダボ穴13の接着剤を介した嵌め合いを行うことで、切り離し部4での面滑りを防止してしかも接着強度を高められるので、位置ずれ及びそれによる接着不良を回避し、耐久性を高められる。
【0042】
さらに、水切りスカート部2の内周の周方向複数か所に、図2に示すような軸線方向の補強リブ14を先端側から基部15に向け形成してある。水切りスカート部2は、遠隔絶縁操作棒100の外面からの張り出しにより外力を受けて、弾性的な変形と復元とを繰り返し、その変形の基部15に応力を受けやすいのを、軸線方向に向く補強リブ14によって弾性変形量を抑えられ、結果、必要復元量も抑えられ耐久性が向上する。
【0043】
また、図1の絶縁鍔200、図2、図3の絶縁鍔300の筒部1は、その内周に、遠隔絶縁操作棒100の外面に環状に設けられる図1に示すような位置決め凸条101に嵌り合う凹条16を環状に形成している。周方向適数か所が切り離されて、筒部1及び水切りスカート部2が軸方向に連続した、周方向の連続体200aや分割体300aを遠隔絶縁操作棒100の外面に装着するのに、筒部1内周の環状な凹条16を、遠隔絶縁操作棒100の外面の環状な位置決め凸条101に嵌め合わせることにより、切り離し部4での軸方向の位置合わせがなされる。また、絶縁限界鍔や水切り鍔としての装着位置を、絶縁鍔200、300の遠隔絶縁操作棒100毎に位置決めすることもできる。
【0044】
結果、周方向適数か所が切り離された、周方向の連続体200aや分割体300aを遠隔絶縁操作棒100の外面に装着するのに、筒部1内周の環状な凹条16を、遠隔絶縁操作棒100の外面の環状な位置決め凸条101に嵌め合わせることにより、切り離し部4での軸方向の位置合わせがなされるので食い違いなしに手際よく装着できる。また、絶縁限界鍔や水切り鍔としての装着位置を、絶縁鍔200、300の遠隔絶縁操作棒100毎に位置決めされるので装着位置を特別な計測なしに、送電電圧の違いなどによって違う絶縁限界距離に適正に対応できる。
【0045】
上記のような絶縁鍔200、300は、これを切り離し部4の接着、内面の遠隔絶縁操作棒100の外面に絶縁限界鍔や水切り鍔として接着を伴い装着した、図1に示すような遠隔絶縁操作棒400をも提供している。
【0046】
なお、遠隔絶縁操作棒400は、FRPなどの絶縁部材よりなり操作先と手元側との感電に対する安全が図られるが、絶縁鍔200、300もゴム等の絶縁材料よりなるので、位置決め凸条101は、金属や樹脂など剛性の高いものを採用して遠隔絶縁操作棒100の外面にねじ止めなどして、位置決め強度、耐久性を優先して設けるのが好適である。接着剤としてはエポキシ系など従来から使用されるものでよいが、絶縁鍔200、300は遠隔絶縁操作棒100の外面に軸方向にスライドさせて所定位置に装着するのでなく、軸直角方向から装着して接着できるので、いわゆる瞬間性接着機能のある接着でも問題なく適用できる。
【0047】
また、遠隔絶縁操作棒100としては、先端にナットやボルトを締結、締結解除する回転工具を設けたもの、ヤットコ類の把持工具を設けたもの、引っ掛け具を設けたもの、その他の作業具を設けたものなど、既に知られる各種の作業用に本発明は適用される。
【0048】
更に、本発明の別の実施の形態に係る絶縁鍔及びそれを用いた遠隔絶縁操作具について、図4〜図11を参照しながら具体的に説明する。以下の説明は、本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載事項を限定するものではない。
【0049】
本実施の形態の絶縁鍔500は、図4に示すように、円柱状の遠隔絶縁操作棒100の外面に接着を伴い装着される筒部501と、この筒部501の下部から外方斜め下に向け延びる傘型の水切りスカート部502と、を有し、筒部501の内周面を円柱状の遠隔絶縁操作棒100の外面への接着面503とする基本構成を有している。
【0050】
遠隔絶縁操作棒100の円柱面に接し合う接着面503は、円筒状凹面に形成されており、遠隔絶縁操作棒100の円柱面に略々密着するように遠隔絶縁操作棒100と略々同一の径を有する円柱凹面(真円)を備える。
この実施の形態においては、接着面503は、シボを刻設されたシボ面で構成され、遠隔絶縁操作棒100の円柱面との接着性を良くしている。
【0051】
筒部501は、外周に、沿面距離を稼ぐために、断面半円弧状の凸条510が、外周面を一回りするように周設されている。凸条510は、筒部501の外周の中心線に交差する方向に膨出され、適宜な間隔をおいて上下二段に分かれて形成されており、絶縁性を高めるとともに、外周に別の部材を連結されるときに強度を高めるように形成されている。
【0052】
水切りスカート部502は、筒部501に連設され、上部から下部に向かうに従ってその径が長くなる截頭円錐状である。
【0053】
筒部501は、内側の接着面503を上から下まで同一の径の円筒状凹面を形成され、外側を上から下に至るに従ってその径が長くなり、筒部501の全体は下に至るに従って肉厚が厚くなる。
筒部501及び水切りスカート部502は、図4に示すように、絶縁鍔500における2か所など、周方向における適数か所にて筒部501を構成する円柱及び水切りスカート部502を構成する円錐を直径によって二分して切り離されて、平面視半円状の第1分割体600と第2分割体700とに分割されている。
その切り離し部で分割された第1分割体600と第2分割体700とは、対向し合う切り離し部の端面どうしが、遠隔絶縁操作棒100の外周面に装着するときに、互いを接し合わせて一体化するための接合面505を構成している。
筒部501及び水切りスカート部502を構成する第1分割体600と第2分割体700とは、それぞれが別々に、絶縁性を有する材、例えばゴムで一体成形されている。
【0054】
第1分割体600の接合面505は、円周方向の一方の縦断端面である一方の第1接合面605Aと、円周方向の他方の縦断端面である第2接合面605Bとを備える。第1接合面605A及び第2接合面605Bは、絶縁鍔500の分離線又は面(PL)を構成する。
第1接合面605A及び第2接合面605Bは、筒部501を構成する円柱及び水切りスカート部502を構成する円錐の中心に沿った垂直面である。第1接合面605Aの接合面505は、筒部501の上端から水切りスカート部502の下端に亘って連続して凹設された接合凹条507を備える。第2接合面605Bの接合面505は、筒部501の上端から水切りスカート部502の下端に亘って連続して凸設された接合凸条509を備える。
接合凹条507は、分離面(PL)より断面L字状に一段低く形成された段差部を構成し、接合凸条509は、分離面(PL)より断面L字状に一段高く形成された段差部を構成する。
第1接合面605A及び第2接合面605Bは、シボを刻設されたシボ面で構成されている。而して、第1分割体600と第2分割体700とを接合面505で接し合わせて接着するときに接着性を良くしている。
【0055】
第1接合面605Aは、筒部501の領域の筒部接合面607と水切りスカート部502の領域のスカート部接合面609とを備える。
筒部接合面607は、上下に分かれた2つの、断面円形の上側の柱状ダボ611aと、下側の柱状ダボ611bとを備える。
柱状ダボ611aは、上の凸条510の端において突設され、柱状ダボ611bは、下の凸条510の端に突設されている。
スカート部接合面609は、断面楕円形又は長方形の柱状ダボ613を備える。柱状ダボ613は、水切りスカート部502の周方向に突き出し設けられている。
接合凹条507は、筒部501及び水切りスカート部502の外面に沿って略々一定の幅で形成され、柱状ダボ611a,柱状ダボ611b及び柱状ダボ613の外側に形成されている。
接合凸条509は、筒部501及び水切りスカート部502の外面に沿って略々一定の幅で形成され、筒状ダボ穴619a,筒状ダボ穴619b及び筒状ダボ穴621の外側に形成されている。
【0056】
第2接合面605Bは、筒部501の領域の筒部接合面615と水切りスカート部502の領域のスカート部接合面617とを備える。
筒部接合面615は、上下に分かれた2つの、断面円形の上の筒状ダボ穴619aと下の筒状ダボ穴619bとを備える。
筒状ダボ穴619aは、凸条510の領域において筒部501の周方向に突き出し設けられている。筒状ダボ穴619aは、第1分割体600と第2分割体700とを接合面505で接し合わせたときに、柱状ダボ611aが嵌合する位置に形成され、筒状ダボ穴619bは、第1分割体600と第2分割体700とを接合面505で接し合わせたときに、柱状ダボ611bが嵌合する位置に形成されている。
筒状ダボ穴619aの直径と柱状ダボ611aの直径とは略々同一に形成され、密嵌するように構成され、筒状ダボ穴619bの直径と柱状ダボ611bの直径とは略々同一に形成され、密嵌するように構成されている。
スカート部接合面617は、断面楕円形又は長方形の筒状ダボ穴621を備える。
筒状ダボ穴621は、第1分割体600と第2分割体700とを接合面505で接し合わせたときに、柱状ダボ713が嵌合する位置に形成され、筒状ダボ穴621の内周面と柱状ダボ713の外周面とは略同一に形成され、密嵌するように構成されている。
【0057】
第1分割体600と第2分割体700とは、同一の形状に成形されている。
【0058】
第1分割体600の接合面505は、円周方向の一方の縦断端面である一方の第1接合面705Aと、円周方向の他方の縦断端面である第2接合面705Bとを備える。
第1接合面705A及び第2接合面705Bは、筒部501を構成する円柱及び水切りスカート部502を構成する円錐の中心に沿った垂直面である。第1接合面705Aの接合面505は、筒部501の上端から水切りスカート部502の下端に亘って連続して凹設された接合凹条507を備える。第2接合面705Bの接合面505は、筒部501の上端から水切りスカート部502の下端に亘って連続して凸設された接合凸条509を備える。
第1接合面705A及び第2接合面705Bは、シボを刻設されたシボ面で構成されている。而して、第1分割体600と第2分割体700とを接合面505で接し合わせて接着するときに接着性を良くしている。
【0059】
第1接合面705Aは、筒部501の領域の筒部接合面707と水切りスカート部502の領域のスカート部接合面709とを備える。
筒部接合面707は、上下に分かれた2つの、断面円形の上側の柱状ダボ711aと、下側の柱状ダボ711bとを備える。
柱状ダボ711aは、上の凸条510の端において突設され、柱状ダボ711bは、下の凸条510の端に突設されている。
スカート部接合面709は、断面楕円形又は長方形の柱状ダボ713を備える。柱状ダボ713は、水切りスカート部502の周方向に突き出し設けられている。
【0060】
第2接合面705Bは、筒部501の領域の筒部接合面715と水切りスカート部502の領域のスカート部接合面717とを備える。
筒部接合面715は、上下に分かれた2つの、断面円形の上の筒状ダボ穴719aと下の筒状ダボ穴719bとを備える。
筒状ダボ穴719aは、凸条510の領域において筒部501の周方向に突き出し設けられている。筒状ダボ穴719aは、第1分割体600と第2分割体700とを接合面505で接し合わせたときに、柱状ダボ711aが嵌合する位置に形成され、筒状ダボ穴719bは、第1分割体600と第2分割体700とを接合面505で接し合わせたときに、柱状ダボ711bが嵌合する位置に形成されている。
筒状ダボ穴719aの直径と柱状ダボ711aの直径とは略々同一に形成され、密嵌するように構成され、筒状ダボ穴719bの直径と柱状ダボ711bの直径とは略々同一に形成され、密嵌するように構成されている。
スカート部接合面717は、断面楕円形又は長方形の筒状ダボ穴721を備える。
筒状ダボ穴721は、第1分割体600と第2分割体700とを接合面505で接し合わせたときに、柱状ダボ613が嵌合する位置に形成され、筒状ダボ穴721の内周面と柱状ダボ613の外周面とは略同一に形成され、密嵌するように構成されている。
【0061】
第1分割体600の第1接合面605Aと第2分割体700の第2接合面705Bとを接合し、第1分割体600の第2接合面605Bと第2分割体700の第1接合面705Aとは、接合面505において接合して、遠隔絶縁操作棒100の外周面を囲繞するように接し合わせられる。
【0062】
切り離し部504が図4及び図7に示す絶縁鍔500のような二つ割り、三つ割り又は四つ割りなどのように複数であれば、それによる2つ割りなどした第1分割体600と第2分割体700とを接合面505において寄せ合わせるようにして、遠隔絶縁操作棒100の外まわりに軸直角方向から筒部501を沿わせて環状形態にさせられる。
また、切り離し部504は、図12に示す連続体の絶縁鍔800のように1つの連続体であっても、切り離し部504を弾性的に開くことにより遠隔絶縁操作棒100に軸直角方向から嵌め合わせた後弾性的に復元させれば、遠隔絶縁操作棒100の外面に筒部501を沿わせて環状形態にすることができる。
【0063】
絶縁鍔500は、切り離し箇所の数にかかわらず、筒部501の内周の接着面503と、第1分割体600及び第2分割体700の切り離し部504において対向し合う接合面505とに接着剤を塗布しておけば、筒部501及び水切りスカート部502を環状に一体化して、筒部501を遠隔絶縁操作棒100の外面に接着した装着状態とすることができる。
【0064】
したがって、切り離しによる第1分割体600及び第2分割体700は、互いを遠隔絶縁操作棒100の外面まわりに、図7及び図8に示す矢印Aの方向に寄せ合わせることにより、遠隔絶縁操作棒100の外面に他の艤装物があっても邪魔されずに軸直角方向から筒部501を沿わせられる。
【0065】
本件発明の別の実施の形態である連続体の絶縁鍔について、図12ないし図14に基づいて、次に説明する。
図12に示す本件発明の別の実施の形態である連続体の絶縁鍔800は、第1分割体820と第2分割体822とが薄肉部826とにより連続されており、切り離し部824によって左右に分離されるように構成されている。切り離し部824によって形成されて第1接合面805Aと第2接合面805Bとには、柱状ダボ811及び柱状ダボ813と筒状ダボ穴819及び筒状ダボ穴821とが形成されている。
すなわち、第1接合面805Aの筒部801の領域には、柱状ダボ811が形成され、第1接合面805Aの水切りスカート部802の領域には、柱状ダボ813が形成されている。また、第2接合面805Bの筒部801の領域には、筒状ダボ穴819が形成され、第2接合面805Bの水切りスカート部802の領域には、筒状ダボ穴821が形成されている。連続体の絶縁鍔800は、弾性的に開いて遠隔絶縁操作棒100の外面まわりに嵌め合わせて、図12に示すように復元させることにより、遠隔絶縁操作棒100の外面に他の艤装物があっても邪魔されずに軸直角方向から筒部501を沿わせられる。
【0066】
切り離し部824は、筒部801と水切りスカート部802とにおいて、図13において示すように、位置をずらせて形成してもよい。
又、切り離し部824は、図14に示すように、差し込む構造としてもよい。
図14の差し込み構造の鍔900は、筒部901と水切りスカート部902とを、切り離し部924において切り離され、左右に分離された第1分割体920と第2分割体922とを有している。第1分割体920と第2分割体922とは、薄肉部により連続されている。第1分割体920と第2分割体922とは、それぞれが厚さ方向において薄く形成された接合部905を有する。
第1分割体920は、外側を切り欠かれて薄くした第1接合面905Aを有し、第2分割体922は、内側を切り欠かれて薄くした第2接合面905Bを有している。
第1分割体920の第1接合面905Aと第2分割体922の第2接合面905Bとを各々差し込むことにより、鍔900は環状に一体化される。
【0067】
切り離し部504の接合面505の接着、筒部501内面の接着面503の遠隔絶縁操作棒100の外面への接着を伴い、図12で代表して示すように一体の環状体である絶縁鍔500及び連続体の絶縁鍔800として装着でき、従来通りのゴム製として対候寿命などにより交換するのが容易かつ短時間に行えるようになる。
切り離し部504や遠隔絶縁操作棒100の外面との間が、雨水の浸み通り経路になることはなく、絶縁限界鍔や水切り鍔として機能する。
【0068】
絶縁鍔500の切り離しは、図4において示すように、厚み方向に屈曲した接合面505を形成されている。このように、筒部501及び水切りスカート部502の外面から内面に屈曲した切り離し経路を構成する接合面505は、部分的な接着剥離がおこり外部からの雨水の浸み通る原因になっても、切り離し経路の接合面505の凹凸化、厚みを上回った接着面積の延長化により、遠隔絶縁操作棒100の外面に雨水が至るのを抑えられる。
【0069】
したがって、筒部501及び水切りスカート部502の外面から内面への切り離し経路を構成する接合面505は、その屈曲形態による凹凸化と、厚みを超えた接合面積の延長化とにより、万一の部分的な接着剥離時に雨水の外部からの浸み通りの原因になっても、遠隔絶縁操作棒100の外面に雨水の到達するのを抑え、筒部501内面と遠隔絶縁操作棒100の外面との間から下方に浸み通る確率を低減させられる。
【0070】
また、切り離し部504が、筒部501及び水切りスカート部502において、接合凹条507及び接合凸条509により、変形強度も高まる。切り離し経路の接合面505の長さの増大により雨水の外面から内面への浸みこみを防止しやすいし、変形強度の高まりにより接着の剥離を生じにくく耐久性を向上させることをできる。
【0071】
切り離し部504の対向し合う接合面505どうしの一方には、接続用のダボ12を軸方向において分かれた複数か所に一体形成し、他方の接合面505には、前記ダボ12と嵌り合う接続用のダボ穴13を凹部状に形成している。切り離し部504を接着により接続するのに、これらダボ12及びダボ穴13の接着剤を介した嵌め合いを行うことで、切り離し部504での面滑りを防止され、しかも接着強度を高められるので、第1分割体600及び第2分割体700との位置ずれ及びそれによる接着不良を回避し、耐久性を高められる。
【0072】
さらに、水切りスカート部502の内周の周方向複数か所に、図11に示すような軸線方向にのびる補強リブ14を先端側から基部15に向け形成してもよい。このように構成すれば、水切りスカート部502は、遠隔絶縁操作棒100の外面からの張り出しにより外力を受けて、弾性的な変形と復元とを繰り返し、その変形の基部15に応力を受けやすいのを、軸線方向に向く補強リブ14によって弾性変形量を抑えられ、結果、必要復元量も抑えられ耐久性が向上する。
【0073】
また、絶縁鍔500の筒部501は、その内周に、遠隔絶縁操作棒100の外面に環状に設けられる図10に示すような位置決め凸条1101に嵌り合う位置決め凹条656及び位置決め凹条756を環状に形成している。位置決め凹条656は、筒部501の内周面において、軸線と交差する方向に凹むように凹設されている。位置決め凹条656は、水平方向に第1接合面605Aから第2接合面605Bに亘って連続して形成されている。
絶縁鍔500の周方向において適数か所が切り離されて、筒部501及び水切りスカート部502が軸方向に連続した、第1分割体600と第2分割体700とを遠隔絶縁操作棒100の外面に装着するときに、筒部501内周の環状な位置決め凹条656を、遠隔絶縁操作棒100の外面の環状な位置決め凸条1101に嵌め合わせることにより、切り離し部504の接合面505において軸方向における位置合わせがなされる。また、絶縁限界鍔や水切り鍔としての装着位置を、絶縁鍔500の遠隔絶縁操作棒100毎に位置決めすることもできる。
【0074】
結果、絶縁鍔500の周方向において適数か所が切り離された、周方向を備えた第1分割体600と第2分割体700とを遠隔絶縁操作棒100の外面に装着するときに、筒部501内周の環状な位置決め凹条656を、遠隔絶縁操作棒100の外面の環状な位置決め凸条1101に嵌め合わせることにより、切り離し部504での軸方向の位置合わせがなされるので食い違いなしに手際よく装着できる。また、絶縁限界鍔や水切り鍔としての装着位置を、絶縁鍔500の遠隔絶縁操作棒100毎に位置決めされるので装着位置を特別な計測なしに、送電電圧の違いなどによって違う絶縁限界距離に適正に対応できる。
【0075】
上記のような絶縁鍔500は、これを切り離し部504の接合面505において接着し、筒部501の内面において、遠隔絶縁操作棒100の外面に絶縁限界鍔や水切り鍔として接着を伴い装着した、図12に示すような基端側遠隔絶縁操作棒1001及び基端側遠隔絶縁操作棒1003を提供することができる。
【0076】
本実施の形態の遠隔絶縁操作具1000は、3種類の基端側遠隔絶縁操作棒1001及び基端側遠隔絶縁操作棒1003と、いずれの基端側遠隔絶縁操作棒1001及び基端側遠隔絶縁操作棒1003に対してもその先端に着脱可能に取付けられる1種類の先端側遠隔絶縁操作棒1005と、先端側遠隔絶縁操作棒1005の先端に着脱可能に取付けられる2種類の工具1006及び工具1007とから構成されている。
【0077】
先端側遠隔絶縁操作棒1005は、図10A及び図10Bに示すように、遠隔操作時に作業者と被作業物との間の絶縁安全距離をとるに十分な長さを有するFRP製の絶縁パイプ1009で主構成されている。その先端には工具1006及び工具1007を固定するための工具取付具1010を有している。その基端には、基端側遠隔絶縁操作棒1001及び基端側遠隔絶縁操作棒1003のいずれにも固定されるための被取付具1011を有している。
前記絶縁パイプ1009の中間部位には、水切り鍔1004,限界鍔1008として機能する本発明にかかる絶縁鍔500が取付けられている。
【0078】
限界鍔1008は、遠隔絶縁操作棒100の中間部において、感電事故を防ぐために、人が握ってもよい部分とそれ以外の部分との境界を明確にするために嵌合固定される。
水切り鍔1004は、降雨対策として、把持部の下部から限界鍔1008上部との中間部に、嵌合固定されている。
【0079】
なお、基端側遠隔絶縁操作棒1001,基端側遠隔絶縁操作棒1003及び先端側遠隔絶縁操作棒1005は、FRPなどの絶縁部材よりなり操作先と手元側との感電に対する安全が図られる。そして、絶縁鍔500もゴム等の絶縁材料よりなるので、位置決め凸条101は、金属や樹脂など剛性の高いものを採用して、絶縁鍔500を遠隔絶縁操作棒100の外面にねじ止めなどして、位置決め強度、耐久性を優先して設けるのが好適である。
接着剤としてはエポキシ系など従来から使用されるものでよいが、絶縁鍔500は、遠隔絶縁操作棒100の外面に軸方向にスライドさせて所定位置に装着するのでなく、軸直角方向から装着して接着できるので、いわゆる瞬間性接着機能のある接着でも問題なく適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、遠隔絶縁操作棒において、艤装物の邪魔なく、軸直角方向から絶縁鍔を装着でき、交換しやすくするのに実用できる。
【符号の説明】
【0081】
1,501,801,901 筒部
2,502,802,902 水切りスカート部
3,5,503 接着面
4,504,824,924 切り離し部.
11 切り離し経路
11a クランク型部分
11b 第1の屈曲部
11c 第2の屈曲部
11d 経路入り口
12 ダボ
13 ダボ穴
14 補強リブ
15 基部
16 凹条
100,400 遠隔絶縁操作棒
101,1101 位置決め凸条
200,300,500 絶縁鍔
200a 連続体
300a 分割体
300b 経路内面側
300c 舌状蓋片
505 接合面
507 接合凹条
509 接合凸条
510 凸条
600 第1分割体
605A,705A 第1接合面
605B,705B 第2接合面
607,615,707,715 筒部接合面
609,617,709,717 スカート部接合面
611a,611b,613,711a,711b,713 柱状ダボ
619a,619b,621,719a,719b,721 筒状ダボ穴
656,756 位置決め凹条
700 第2分割体
800 連続体
805A 第1接合面
805B 第2接合面
811,813 柱状ダボ
819,821 筒状ダボ穴
820,920 第1分割体
822,922 第2分割体
826 薄肉部
900 鍔
905 接合部
905A 第1接合面
905B 第2接合面
1000 遠隔絶縁操作具
1001,1003 基端側遠隔絶縁操作棒
1004 水切り鍔
1005 先端側遠隔絶縁操作棒
1006,1007 工具
1008 限界鍔
1009 絶縁パイプ
1010 工具取付具
1011 被取付具
t1 厚み
t2 増圧み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔絶縁操作棒の外面に接着を伴い装着される筒部と、この筒部から傘型に外方斜め下に向け延びる水切りスカート部と、を有し、筒部の内周を遠隔絶縁操作棒の外面への接着面とした絶縁鍔において、筒部及び水切りスカート部を周方向適数か所にて切り離し、その切り離し部で対向し合う端面どうしを互いの接着面としたことを特徴とする絶縁鍔。
【請求項2】
切り離しは、厚み方向に屈曲した経路でなし、切り離し部は、筒部及び水切りスカート部共に、周方向の他の部分よりも増厚し、水切りスカート部の内周の周方向複数か所に軸線方向の補強リブを先端側から基部に向け形成した請求項1に記載の絶縁鍔。
【請求項3】
筒部は、その内周に、遠隔絶縁操作棒の外面に環状に設けられる位置決め凸条に嵌り合う凹条が環状に形成された請求項1、2のいずれか1項に記載の絶縁鍔。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁鍔は、これを切り離し部の接着、内面の遠隔絶縁操作棒の外面に絶縁限界鍔や水切り鍔として接着を伴い装着した、絶縁鍔を用いたことを特徴とする遠隔絶縁操作具。
【請求項5】
遠隔絶縁操作棒の外面に接着を伴い、限界及び水切りのために装着される筒部と、前記筒部の下部から截頭円錐状に外方斜め下に向け延びる水切りスカート部と、を有し、
筒部は、内周面を遠隔絶縁操作棒の外面への接着面として形成され、
筒部及び水切りスカート部は、周方向において適数か所にて切り離され、その切り離し部の対向し合う端面どうしを互いの接し合う面としたことを特徴とする、鍔。
【請求項6】
筒部は、その外周に、沿面距離をとるための凸条が周設された、請求項5に記載の鍔。
【請求項7】
切り離し部で分割されてなる第1分割体及び第2分割体は、それぞれ筒部及び水切りスカート部を備え、
第1分割体及び第2分割体は、略々同一の形状であって、
一方の第1接合面と他方の第2接合面とを備え、
一方の第1接合面は、柱状ダボを備え、他方の第2接合面は、第1分割体と第2分割体とを接合面において接し合わせたときに、前記柱状ダボと密嵌するダボ穴を備えた、請求項5又は6に記載の鍔。
【請求項8】
切り離し部で分割されてなる第1分割体及び第2分割体は、それぞれ筒部及び水切りスカート部を備え、
第1分割体及び第2分割体は、略々同一の形状であって、
一方の第1接合面と他方の第2接合面とを備え、
一方の第1接合面は、接合凹条を備え、他方の第2接合面は、第1分割体と第2分割体とを接合面において接し合わせたときに、前記接合凹条と接し合わされる接合凸条を備えた、請求項5ないし7のいずれかに記載の鍔。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれか1項に記載の鍔は、これを切り離し部の接合面において接し合わせ、筒部の内面において遠隔絶縁操作棒の外面に絶縁限界鍔や水切り鍔として接着を伴い装着した、鍔を用いたことを特徴とする、遠隔絶縁操作具。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−143132(P2012−143132A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−271643(P2011−271643)
【出願日】平成23年12月12日(2011.12.12)
【出願人】(591083772)株式会社永木精機 (65)