説明

適応性腔内近接照射療法アプリケータ

本発明は、近接照射療法手技のための標的組織および正常組織構造に対する線量分布を最適化するために放射線腫瘍医によって操作され得る、遠隔制御で半径方向および縦方向に動く放射線源ルーメンのシールドを有する、新規適応性CT対応の近接照射療法アプリケータである。該近接照射療法アプリケータは、ピボットジョイントと、放射線源ルーメンを有するタンデムであって、該タンデムは、タンデムアームを介して該ピボットジョイントに接続される、タンデムと、放射線源ルーメンを有する少なくとも1つの卵状体であって、該少なくとも1つの卵状体は、卵状体アームを介して該ピポッドジョイントに接続される、少なくとも1つの卵状体と、該少なくとも1つの卵状体に付随する少なくとも1つのシールドであって、該少なくとも1つのシールドは遠隔で可動である、少なくとも1つのシールドと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、米国特許出願第11/495,027号(2006年7月28日出願)に対する優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本開示の発明は、コンピュータ断層画像のアーチファクトを最小限にするように、または癌の近接照射療法手技のための標的および正常組織構造への線量分布を最適化するように操作され得る、遠隔制御式膣内留置器シールドを備える新規適応性画像取得対応の腔内近接照射療法(ICBT)アプリケータを提供する。
【背景技術】
【0003】
2003年には、米国では、12,000を上回る子宮頸癌の新規症例が診断されることが予測されている(Cancer Facts and Figures 2003、American Cancer Society(米国癌協会))。ICBTは、子宮頸癌のための治療レジメンの不可欠な要素である。それはまた、膣癌および子宮内膜癌等の他の婦人科悪性腫瘍の治療においても使用される。合計すると、これらの癌は、毎年、米国において約56,000の新規症例を数え(Cancer Facts and Figures 2003、American Cancer Society(米国癌協会))、そのうちの約20%、すなわち11,200症例は、ICBT手技によって治療されていると考えられる。加えて、World Health Organization(世界保健機構)によると、世界では、毎年、600,000を上回る女性が、何らかの形態の婦人科癌を発症している。
【0004】
従来、多くの頸部の癌は、放射線療法によって治療される。1996年と2000年との間の、米国におけるこれらの治療の約84%は、低線量率(LDR)137Cs線源によるものであり、残りは、高線量率(HDR)192Irによるものであった(非特許文献1)。そのような放射線を送達するための一態様は、ICBT手技を介するものである。ICBT手技では、放射線源が、手術手技の際に、後充填法と称される手技を用いて、子宮頸管内に載置されたアプリケータ内に手動でまたは自動的に充填される。ICBTは、代替的にまたは追加的に、術前または術後に実施され得、外照射療法、化学療法、あるいは両方と併用され得る。標的癌細胞または組織は、一般的には、近接照射療法アプリケータの使用を通じて照射される。現在のアプリケータは、左右の卵状体または膣内留置器を含み、ステンレス鋼から成る。また、これらのアプリケータのいくつかの変形例は、直腸、膀胱、または他の周囲組織の不測の照射による合併症を低減するよう設計された特別な固定タングステンシールドを有する。膀胱および直腸とのシールドアライメントの位置決めのための現在の手法は、患者の生体構造および医師の技術に依存している。
加えて、これらのシールドのサイズ、形状、厚さ、および位置決めは、標的部位近位の正常組織、特に、子宮頸癌の場合には直腸によって受感される放射線量に重要な影響を及ぼす場合があり、合併症の発生率は、これらの臓器によって受感される線量に直接的に依存することが分かっている。しかしながら、現在使用されている臨床治療計画システムは、一般的には、危険臓器への予測線量において、30%以上の誤差をもたらすシールドの影響を正確に考慮することは不可能である(非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5)。また、他の研究では、源間シールドおよびアプリケータに起因する線量摂動が臨床的に重要であって、モデル化されるべきであることが示されている。Fragosoらは、20%もの誤差が、LDR治療において、鋼製卵状体アプリケータおよび源スペーサを明示的にモデル化しないことに起因し得ることを見出した(非特許文献6)。Giffordらは、タンデムアプリケータの明示的モデル化がまた重要であると結論付けている。源内および源間減衰、ならびにチップスクリューの存在が、局所線量場に重要な影響を及ぼすことが分かっている(非特許文献7)。
【0005】
標的領域および非標的領域によって受感される線量分布を判断する際の不可欠な要素は、卵状体内の任意の放射線シールドの位置決めである。ICBT線量分布計画は、標的領域上の放射線の線量分布を最大限にするように植込型アプリケータの適切な位置を決定するために、標的領域および周囲の解剖学的構造の三次元視覚化の使用を伴う場合が多い。コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴(MR)、または陽電子放出断層撮影(PET)等の技術が、ICBT手技のための三次元治療計画を生成するために、過去に採用されてきた。そのような技術は、ICBTアプリケータに使用されるシールドが、インプラント位置検出画像を歪ませ、ストリークアーチファクトを生じさせることによって、これらの種々の計画方法に干渉し、体腔内のアプリケータの最適位置の判断を非常に困難にし得るという事実によって、制約される。
【0006】
特許文献1は、CT三次元線量測定を可能にするCT対応アプリケータ設計(「Weeks」アプリケータ)を開示している(非特許文献8)。Weeks卵状体は、CT画像取得後に後充填される、タングステンシールド付源担体を有する。Fletcher−Suit−Declos(FSD)小型膣内留置器タンデムおよび卵状体システムの外部形状が、Weeksアプリケータの形状の基礎となったと考えられる。しかしながら、固定Fletcher様シールドは除去され、137Cs源と一緒に手動で充填されるタングステンシールドで置き換え変えられている。
【0007】
Weeksアプリケータは、改良されたCTベースのアプリケータ位置検出の技術を開発するために使用されてきた(非特許文献9)。本研究は、精密三次元Monte Carlo線量計算を伴う三次元線量計画を支援し、源位置、シールディング、およびアプリケータ間シールディングを正確にモデル化することが可能であることを実証した。それにもかかわらず、Weeksアプリケータは、いくつかの不利点を有する。例えば、Weeksアプリケータは、遠隔後充填(挿入後に、放射線源をアプリケータ内に充填し、体腔内に位置決めすること)に適応不可能であり、そのために、LDR近接照射療法による放射線被曝を増加させる。さらに、それはHDRまたはパルス線量率(PDR)用途に対して全く使用不可能である。加えて、後充填シールドを収容するために、卵状体に接続されるアームは、標準FSDアプリケータのものよりもはるかにかさ高い。アームサイズの増大は、膀胱および直腸を放射線源から離間するために必要な腟のパッキングの挿入をより困難にする。また、この追加体積は、潜在的に、治療を受ける患者の快適性にマイナスの影響を及ぼす。
【0008】
別の利用可能な市販オプションは、Nucletron CorporationのRoyal Marsden設計に基づく「Standard CT/MR Applicator」である。それは、CTまたはMR画像上の歪みを排除するために、特別な合成管を用いて設計されている。本アプリケータは、線量分布を最適化し、粘膜線量を低減するために、異なる全長および卵状体直径で利用可能である。しかしながら、本アプリケータは、任意のシールディングと共に使用するようには設計されておらず、したがって、その使用は、不必要に高線量の放射線への直腸および膀胱、または他の周囲組織の被曝をもたらし、それは臨床的合併症につながり得る。
【0009】
したがって、放射線源後充填に適した近接照射療法アプリケータであって、しかも、アーチファクト生成を最小限にして高度画像取得を可能にするように操作可能な、近接照射療法アプリケータの必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,562,594号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Eifel Pら、Patterns of Radiotherapy Practice for Patients with Carcinoma of the Cervix(1996−1999):A Patterns−of−Care Study、第45回Annual ASTRO Meeting予稿集、2003
【非特許文献2】Mohan Rら、Int J Radiat Oncol Biol Phys、1985a、 11(4)、861−8
【非特許文献3】Mohan Rら、Int J Radiat Oncol Biol Phys、1985b、 11(4)、823−30
【非特許文献4】Weeks KJ、Med Phys、1998、25(12)、2288−92
【非特許文献5】Williamson JF、Int J Radiat Oncol Biol Phys、1990、19(1)、167−78
【非特許文献6】Fragoso Mら、2003年AAPM Annual Meeting予稿集、2003
【非特許文献7】Gifford Kら、2003年AAPM Annual Meeting予稿集、2003
【非特許文献8】Weeks KJおよびMontana GS、Int J Radiat Oncol Biol Phys、1997、 37(2)、455−63
【非特許文献9】Lerma FAおよびWilliamson JF、Med Phys、2002、29(3)、325−33
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示は、画像取得対応であって、1つ以上の遠隔制御式半径方向(回転)および直線方向(平行移動)可動シールドを含む、新規適応性近接照射療法アプリケータを提供する。この新しいアプリケータは、LDR、PDR、および/またはHDR近接照射療法のために使用され得る。本発明のある実施形態の使用は、特に、合併症発生率の低減によって、現在の近接照射療法臨床転帰における改善が期待される。そのような実施形態では、CTスキャン等の画像取得の際に、シールドの位置を変更できる能力が、撮像アーチファクトを低減し得、それによって、重要な解剖学的構造が描画され得る精度を増大させる。代替的な実施形態では、ICBTアプリケータは、1つ以上の可動シールドを有し、それは増大した自由度を提供し、それによって、患者−アプリケータの幾何学的関係に基づいて、線量分布を最適化または適応させる反復画像誘導治療計画システムを可能にする。そのような実施形態では、医師またはユーザは、標的組織(子宮頸癌等)に送達される線量を最大限にする一方で、同時に、周囲組織(子宮頸癌の場合には、直腸壁または膀胱等)の被曝を低減することが可能である。1つ以上のシールドを含む実施形態では、本発明のシールド運動基準(平行移動および回転)は、画像様式から導出される患者/アプリケータ相対関係に基づく治療を可能にする。本技術と、シールド周囲の線量摂動を正確に計算可能な高速(数分以内)線量エンジンとの結合は、本発明の使用をさらに最適化し得る。
【0013】
本発明のある実施形態は、放射線源ルーメンと、放射線源ルーメンと関連する少なくとも1つのシールドと、放射線源ルーメンに対して少なくとも1つの方向にシールドの運動を制御可能な、シールドに接続された機械的機構とを含む、近接照射療法アプリケータを提供する。
【0014】
他の実施形態では、本発明の近接照射療法アプリケータは、ピボットジョイントと、放射線源ルーメンを有するタンデムであって、タンデムアームを介してピボットジョイントに接続されるタンデムと、放射線源ルーメンを有する少なくとも1つの卵状体であって、卵状体アームを介してピボットジョイントに接続される少なくとも1つの卵状体と、少なくとも1つの卵状体に付随する少なくとも1つのシールドであって、遠隔で可動である少なくとも1つのシールドと、を含む。これらの実施形態のうちの一部では、近接照射療法アプリケータはさらに、少なくとも1つのシールドを含むシールドトラックであって、シールドがギア相互作用領域および反対にねじ切りされた部材を含む、シールドトラックと、シールドのギア相互作用領域と相互作用する付随ギアを有する回転シャフトと、シールドトラックの反対にねじ切りされた部材と相互作用するねじ切りされた部分を有する直線状シャフトと、を含む。これらの実施形態のうちの他の実施形態では、近接照射療法アプリケータはさらに、少なくとも1つのシールドを支持する内側回転部と、内側回転部と相互作用する外側回転部と、外側回転部と相互作用する付随ギアを有する単一可撓性シャフトと、を含む。本発明の近接照射療法アプリケータのある実施形態では、放射線源ルーメンは、放射線源を後充填される。卵状体を含む実施形態では、放射線源は、卵状体アームを通じて後充填され得る。他のある実施形態では、本発明の近接照射療法アプリケータは、源ルーメン上に嵌合するキャップをさらに含む。これらのアプリケータのうちの一部はまた、源ルーメンに接続されるかあるいはキャップ内または上に存在する、位置合わせマーカを含む。
【0015】
ある代替的な実施形態では、少なくとも1つのシールドは、放射線源ルーメンを包囲する外側ケーシングの内部にあり得、これらの実施形態のうちの一部では、シールドは、タングステンまたはタングステン合金から成る。代替的な実施形態では、シールドの運動は、直線または回転式であり得る。これらの実施形態のうちの一部では、回転運動は、回転シャフトを介して制御され、その一方で、直線運動は、直線または縦方向シャフトを介して制御される。これらの実施形態のうちの他の実施形態では、回転運動および直線運動の両方が、単一可撓性回転シャフトを介して制御される。ある実施形態ではさらに、任意の前述のシャフトはニッケル−チタンから成り得る。
【0016】
本発明のある実施形態はまた、回転力を回転シャフト、縦方向シャフト、または可撓性シャフトに加えるための手動機構を含み得る。しかしながら、代替的な実施形態は、回転シャフト、縦方向シャフト、または可撓性シャフトに加えられる回転力を制御する制御ステーションを含み得る。さらに、一部のこれらの実施形態では、近接照射療法アプリケータのシールドの運動は、テレメトリ信号を通じて遠隔制御され得る。さらに他の実施形態では、シールドの位置は、光電子工学等の確認用フィードバック機構を通じて確認され得る。
【0017】
本発明はまた、腫瘍性疾患を治療するための方法を提供する。これらの方法のうちのあるものは、近接照射療法アプリケータを提供するステップと、体腔内に近接照射療法アプリケータを挿入するステップと、次いで、体腔内に挿入後に近接照射療法アプリケータのシールドの位置を変更するステップと、続いて、腫瘍性組織を照射するステップとを含む。これらの方法の代替的な実施形態はまた、治療の画像取得段階の間に、アプリケータの存在によって生じる画像アーチファクトの質を変化させるためにシールドの位置を変更するステップを含む。さらに他の実施形態は、放射線源が近接照射療法アプリケータ内に充填された後に、シールドの位置を変更するステップを含む。これらの実施形態のうちの一部では、放射線量分布を変化させるためにシールドの位置が変更される。
本発明は、添付の図面に関連してなされる以下の説明を参照することによって、最も良く理解され得、図面においては、同一参照番号が同様の要素を識別する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、近接照射療法アプリケータの基本構造を示す。
【図2】図2は、患者内の近接照射療法アプリケータの位置を示す。
【図3】図3は、近接照射療法アプリケータの一卵状体の概略図である。
【図4A】図4Aは、適応性シールドを有する近接照射療法アプリケータの一卵状体の内部機構の概略図である。
【図4B】図4Bは、適応性シールドを有する近接照射療法アプリケータの一卵状体の内部機構の、近位端からの概略図である。
【図4C】図4Cは、スリーブ/シャフトを有する回転シャフトの関連部を示す。
【図4D】図4Dは、平坦面を有する回転シャフトの関連部を示す。
【図4E】図4Eは、バネを有する回転シャフトの関連部を示す。
【図5】図5は、シールドトラックの概略図を示す。
【図6A】図6Aは、卵状体の内部機構に対するシールドの位置を示す。
【図6B】図6Bは、卵状体の内部機構に対するシールドの位置を示す概略図である。
【図6C】図6Cは、単一可撓性シャフトを使用して位置決め可能な適応性シールドを有する、近接照射療法アプリケータの一卵状体の内部機構の概略図である。
【図6D】図6Dは、単一可撓性シャフトを使用して位置決め可能な適応性シールドを有する、近接照射療法アプリケータの一卵状体の内部機構の、代替的な実施形態の概略図である。
【図6E】図6Eは、図6Cの断面図6E’を示す概略図である。
【図6F】図6Fは、図6Cの断面図6F’を示す概略図である。
【図6G】図6Gは、2つの可撓性シャフトを使用して位置決め可能な適応性シールドを有する、近接照射療法アプリケータの一卵状体の内部機構の、代替的な実施形態の概略図である。
【図6H】図6Hは、シールドまたは内側回転部に直接取付られる1つの可撓性シャフトを使用して位置決め可能な適応性シールドを有する、近接照射療法アプリケータの一卵状体の、代替的な実施形態の概略図である。
【図6I】図6Iは、ピニオンギア機構を有する2つの可撓性シャフトを使用して位置決め可能な適応性シールドを有する、近接照射療法アプリケータの一卵状体の、代替的な実施形態の概略図である。
【図6J】図6Jは、卵状体内で直線状に摺動可能なピニオンギア機構を有する2つの可撓性シャフトを使用して位置決め可能な適応性シールドを有する、近接照射療法アプリケータの一卵状体の、代替的な実施形態の概略図である。
【図6K】図6Kは、ピニオンギア機構を有する可撓性シャフトを使用して位置決め可能な適応性シールドを有する、近接照射療法アプリケータの一卵状体の、代替的な実施形態の概略図である。
【図7】図7は、卵状体キャップ内の位置合わせワイヤの位置を示す。
【図8】図8は、近接照射療法アプリケータのためのPCベースの制御ユニットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、画像取得対応であって、卵状体(すなわち、膣内留置器)の内部の1つ以上の遠隔制御式の半径方向(回転)および直線(平行移動)可動シールドと、タンデムと、または放射源ルーメンを含む他の構造と、を含む、新規適応性近接照射療法アプリケータを提供する。本新規アプリケータは、LDR、PDR、および/またはHDR近接照射療法のために使用され得る。本発明のある実施形態の使用は、特に、合併症発生率の低減によって、現在のICBT臨床転帰における改善が期待される。
【0020】
CTスキャン等の画像取得の際の、任意のシールドの位置を変更する能力は、撮像アーチファクトを低減し、それによって、重要な解剖学的構造が描画され得る精度を増大し得る。標的描画の正確性における改良は、最小標的線量および処方等線量面形状の調節を可能にする。加えて、可動シールドは、増大した自由度を提供し、それによって、患者−アプリケータの幾何学的関係に基づいて、線量分布を最適化または適応させる反復画像誘導治療計画システムを可能とし、故に、標的疾患領域に送達される線量を最大限にする一方で、同時にシールドによって保護される組織によって受感される線量を低減する。例えば、子宮頸癌を治療する際には、癌被曝量は最大限にされ得、その一方で、シールドが直腸壁および膀胱の放射線量を低減する。ある実施形態では、本発明のシールド運動基準が、画像様式から導出される患者/アプリケータ相対関係に基づく治療を可能にする。
【0021】
他の実施形態では、本技術と、シールド周囲の線量摂動を正確に計算可能な高速(数分以内)線量エンジンとの結合が、本発明の使用をさらに最適化し得る。リアルタイムまたは事前計算のMonte Carlo法あるいは離散座標法がまた、そのような能力において使用され得る。
【0022】
本開示によって提供される近接照射療法デバイス内への遠隔可動シールドの導入は、近接照射療法デバイスのほとんどの任意の種類に適応可能である。例えば、婦人科癌、胸部癌、頭頸部癌、消化管癌、および乳癌は、本発明の近接照射療法アプリケータによって治療され得る。本発明の近接照射療法デバイスのある実施形態は、放射線源を保持可能な放射線源ルーメンと、源ルーメンからある方向に発散する放射線を低減または減弱するために使用されるシールドとを含む。これらの実施形態はさらに、アプリケータが体腔内に挿入された後に、源ルーメンに対するシールドの位置決めを誘導するための機構を含む。これらのアプリケータのシールドは、源ルーメンの内部にあり得、または源ルーメンの外部にあり得る(例えば、FSDの様な近接照射療法アプリケータ内の卵状体シャフトに沿って搭載される)。シールドは、放射線源と放射線から保護される組織領域との間に位置決め可能であることのみを必要とする。これらの実施形態の一部は、2つ以上のシールドを含み得る。
【0023】
ある実施形態では、放射線源または源ルーメンに対するシールドの位置決めは、高トルク強度のワイヤまたはリボン等の機械的機構を介して操作され得る。そのような実施形態では、ワイヤまたはリボンは、アプリケータから患者の体外の位置に延在し得る。ある実施形態では、ワイヤまたはリボンは、ワイヤ/リボンシース型シャフトを形成する外側管の内側にあり得る。ワイヤまたはリボンは、そこに加えられる回転力を有し、シールドの位置に対する回転制御を提供し得る。例えば、ギア機構が、回転制御を提供するためにシールドに連結され得る。代替案として、ワイヤまたはリボンは、ねじ切りされた部材に接続され得、その結果として、ワイヤに加えられた回転力は、シールドに取り付けられた反対にねじ切りされた部材の直線運動を生じさせる。さらなる別の代替実施形態では、ワイヤまたはリボンは、外側回転部と連結されるギア機構に接続され得る。外側回転部は、シールドを支持する内側回転部とさらに連結され、それは、次いで、動かないねじ切りされたシャフトと連結される。ワイヤまたはリボンに回転力が加えられる場合には、シールドは、ねじ切りされたシャフトを中心に回転し、直線平行移動および回転運動の両方を生成する。したがって、ある実施形態におけるシールドは、半径方向または直線方向(または両方)に、位置制御され得る。
【0024】
当業者は、シールドの位置に対する制御力を加えるために使用されるワイヤまたはリボンが任意の好適な構成であり得ることを、容易に認識する。例えば、ある実施形態では、バーまたはポールが、シールドに(直接的または間接的に)取り付けられ、直線または半径方向運動、あるいは両方を制御し得る。ある実施形態では、1つのリボンまたはワイヤ(または、バー)が、直線運動を制御する一方で、別のリボンまたはワイヤが、半径方向運動を制御し得る。さらに他の実施形態では、1つのリボン、ワイヤ、またはバーが、直線および半径方向運動の両方を制御する。
【0025】
ある実施形態では、近接照射療法デバイスはまた、所望の位置/配向にシールドの不動性を確保するための、ロッキング機構を含む。さらに他の実施形態では、例えば、光電子工学(光ファイバ、LED、光ダイオード、などを含む)を使用する閉ループフィードバック読み出し(受動的または能動的な)が実装され、シールド位置の確実さをユーザに提供する。一部の実施形態はまた、現在のFSD卵状体概念に基づいて画定される、シールドのデフォルト「ホーム」位置を含む。本発明の代替的な実施形態は、シールドに付随する遠隔制御機構を利用し得、それは、患者の体外の近位に延在しない。そのような実施形態では、シールドの位置は、外部信号を介して制御され得、外部信号は、アプリケータに付随する機械的機構を作動または解除し、シールドの位置を操作する。そのような信号は、電波、赤外線波、および音波、または他のテレメトリ方法を含み得るが、それらに限定されない。
【0026】
図1は、本発明のFSD類似のICBTアプリケータの一実施形態の構造を示す。アプリケータの本実施形態は、タンデムアーム2aを介してピボットジョイント4に接続されるタンデム2と、一対の卵状体アーム5を介してピボットジョイント4に接続される一対の膣内留置器/卵状体3とを含む。ある実施形態では、ピボットジョイント4は、タンデムアーム2aを卵状体アーム5に接続するのみの役割を果たし、一方で、ある他の実施形態では、ピボットジョイント4は、接点として機能するだけではなく、タンデムアーム2aと卵状体アーム5との間の角度の変更をも可能にする。タンデム2および卵状体3は、患者への照射の際の放射線源を保持するように設計される。ある実施形態では、タンデムアーム2aおよび/または卵状体アーム5は、放射線源がそれらを通過して、タンデムおよび卵状体内にそれぞれ充填されるように適応され得る。これは、後充填と称されるプロセスにおいて、アプリケータが体腔内に位置決めされた後に行なわれ得る。
【0027】
図2は、子宮頸癌を有する患者の治療の際における、本発明のFSD類似のICBTアプリケータの位置決めを示す。タンデム2は、子宮7内に挿入され、一方で卵状体3は、子宮頸口外部に近位の膣内に位置決めされる。
【0028】
腔内近接照射療法治療の際に、本発明のFSD類似の実施形態(図1に示されるような)が使用され得る。放射線源は、タンデム2および卵状体3内に設置され得、タンデム軸に沿った長軸を有し標的体積をちょうど囲むような梨形の線量分布を提供する。本発明のある実施形態では、放射線源は、アプリケータ内に後充填され得る。これらの実施形態の一部では、放射線源は、卵状体アーム5を通じて卵状体3内に挿入され、放射線源は、タンデムアーム2aを通じてタンデム2内に充填される。そのような手技の際に放射線源の充填に先立って、アプリケータはしばしば、体腔内に位置決めされ、直交X線フィルム、CTスキャン、MRスキャン、および/またはPETスキャン等の画像が、その位置を確認するために取得される。これらの画像はまた、アプリケータが、解剖学的位置および標的領域に送達される放射線の線量に対して最適に位置決めされていることを、判断および検証するために使用され得る。
【0029】
図3は、直腸シールド9と、膀胱シールド10と、放射線源ルーメン11とを含む、卵状体3の概略図を提供する。これらのシールドは、その中を通過する源からの放射線を、部分的または全体的に減衰する任意の材料から成り得る。そのような材料の典型的な例は、タングステン、タングステン合金、チタン、白金、または任意の好適な高原子番号元素である。さらに、シールドは、様々なサイズ、形状、および厚さであり得る。当業者は、治療組織、患者、放射線源、および他の関連要因に基づいて、サイズ、形状、および厚さを選択する。本発明の一部の実施形態では、シールドは、患者の生体構造、描画された標的体積、描画された重要な構造、使用される放射線源、または他の要因に関連する最適シールドを提供する特定のサイズ、形状、および厚さのシールドを、担当癌専門医が選択し得るように、取替え可能であり得る。
【0030】
治療計画段階の際に、子宮頸癌の場合には膀胱および直腸等の、非標的組織の最大シールドのための適切な位置決めが計算される。従来技術のアプリケータでは、次いで、シールドは、一般的には、デバイスの体腔内への挿入に先立って永久的位置に添着されるか、または何らかの種類の送達担体に添着されて、放射線源とともにアプリケータに送達される(Weeksアプリケータにおけるように)。しかしながら、本発明は、シールドを含むアプリケータが体腔内に挿入された後にシールド位置を調節するための機構を含むアプリケータを開示する。
【0031】
図4Aは、位置調節可能なシールドを含む、本発明の卵状体の一実施形態の概略図を示す。本シールドは、子宮頸癌の場合には直腸または膀胱等の、好ましくは直腸等の、非標的組織を保護するように位置決めされ得る。本発明の本実施形態は、放射線源ルーメン11を囲繞する卵状体キャップ3aを含む。卵状体キャップ3aは、シールド9に付随するシールドトラック12のための筐体を提供する。シールドトラック12およびシールド9は、卵状体3本体の中心軸に対して縦方向または直線的に可動であり、一方では、シールド9はまた、卵状体の中心軸に対して半径方向にも可動である。シールドトラック12は、ねじ切りされたシャフト13、回転シャフト14、または両方によって、機能的に係合され得る。ねじ切りされたシャフト13は、その端部または端部近傍にねじ切りされたセクション13aを含み得、シールディングトラック12を卵状体3の上下(遠位から近位)に直線的に移動することが可能である。回転シャフト14は、シールド9を卵状体3の縦方向中心に対して半径方向に回転することが可能である。
【0032】
ある実施形態では、回転シャフトまたはねじ切りされたシャフトは、ニッケルチタン等の形状記憶合金のワイヤまたはリボンから成るが、高ねじり強度を有する他の材料がまた、使用され得る。回転シャフトまたはねじ切りされたシャフトは、代替的に、編組金属フィラメント、あるいは高強度合成繊維の編組フィラメントまたは固体フィラメントで作られ得る。
【0033】
ある実施形態では、シールド9の位置は、ねじ切りされたシャフトおよび/または回転シャフト13/14と(図4Aに示されるように)、それぞれ、シールドトラック12またはシールド9/10との機械的相互作用を介して、手動で調節され得る。図4Bに示されるように、回転シャフト14の遠位端またはその近傍に付随するギア16が、シールド9/10に係合し得、その結果として、回転シャフト14に加えられる回転力(トルク)が、ギア16にシールド9/10を半径方向に移動させる。同様に、ねじ切りされたシャフト13に加えられる回転力(トルク)が、シールドトラック12に付随する反対にねじ切りされた筐体18を係合し(図5に示されるように)得、シールドトラック12を卵状体シャフト11aに対して縦方向に移動させる。ある実施形態では、シールドトラックは、シールドトラック12およびシールド9/10が動き得る回転角度を制限する機械的ストップを含み得る。
【0034】
シールド9が直線的に(近位または遠位に)移動するときには、「回転シャフト」14aは、ギア16とシールド9との間の接触を維持するように(図4Cに示されるように)、その管14b内で摺動(ワイヤがその絶縁体から引抜かれ得る方法に類似して)し得る。代替的な実施形態(図4Dに示されるような)では、ギア16を通過して卵状体キャップ3aの遠位端へと延在する、平坦面14cを有する回転シャフトが使用され得る。これらの実施形態では、ギア16は、シールド9/10およびシールドトラック12とともに、回転シャフト14に沿って直線的に摺動し得、そのシールド9/10との相互作用を維持する。さらに他の実施形態では、回転シャフトのバネ取り付け部分14dが、シールドトラックが卵状体3に沿って直線的に移動するときに(図4Eに示されるように)、ギア16とシールド9/10との相互作用を維持するために使用され得る。
【0035】
シールドトラック12、ギア16、またはねじ切りされたシャフト13のねじ切りされたセクション(「運動部分」)は、任意の好適な材料で作られ得る。ある実施形態では、これらの運動部分を作製するために使用される材料は、機械的強度(引張りおよびせん断)、組織放射特性当量、複数の殺菌サイクルを可能にする疲労および熱特性に基づく。一部の実施形態では、これらの運動部分は、ポリサルフォンまたはポリカーボネート、あるいは、暫定のアプリケータと比較して線量分布の最小摂動に寄与する、他の組織等価材料で作られる。
【0036】
図6Aは、明確化のために除去されているが、図4Bに示されるシールドトラック12を有するシールド9/10を有する、卵状体3の内部図を提供する。ある実施形態では、回転シャフト14およびねじ切りされたシャフト13が延在して、源ルーメン11aのケーシングとも係合する卵状体支持部17によって支持され得る。図6Bに示されるような、本発明の代替的な実施形態では、卵状体は、2つ以上のシールド9/10のためのねじ切りされたシャフト13および回転シャフト14を格納し得る。そのような実施形態では、それぞれが自己のための独立のシールドトラック12を有する、直腸シールド9、膀胱シールド10、または両方が存在し得る。あるそのような実施形態では、直腸シールド9に付随するシールドトラック12は、膀胱シールド10と比較して、卵状体3の遠位端により近い位置にあり得る。そのような実施形態は、直腸シールド9および膀胱シールド10を、半径方向および直線状の両方に、独立して位置決めすることが可能である。
【0037】
図6Cおよび図6Dは、単一可撓性シャフト34を使用して位置決め可能な適応性シールドを含む、近接照射療法アプリケータの一卵状体の内部機構の一実施形態の概略図を示す。単一可撓性シャフトを使用することによって、機構が卵状体内で占める空間が少なくなり、内部機構はより耐久性を有する。図6Cおよび図6Dでは、単一可撓性シャフト34が、軸受35を介してギア36に連結され得る。ある実施形態では、ギアは、ピニオンギアであり得る。そのような実施形態では、可撓性シャフト34が回転するときには、ピニオンギア36は、同じ方向に同様に回転する。図6Fに示されるように、ピニオンギア36上の歯は、次いで、外側回転部38上の歯37と相互作用する。かくして、ピニオンギア36は、外側回転部38を駆動する。外側回転部38は円筒形であって、卵状体本体の中心軸に対して半径方向に可動である。外側回転部38は、外側回転部38の内側壁に沿って延在するレール39を有する。
【0038】
ある実施形態では、内側回転部40は、外側回転部38内に包含され、外側回転部38と同一軸上で回転する。これらの実施形態では、外側回転部38は、外側回転部38上のレール39が、内側回転部40上の溝41と接触するときに、内側回転部40と相互作用し、内側回転部40を、外側回転部38と同一の方向および回転/角速度で移動させる。内側回転部40は、非標的組織を保護するために使用されるシールド42を支持する。内側回転部40の中心は、動かないねじ切りされたシャフト43と相互作用可能なねじ山を含む。したがって、内側回転部40が動かないねじ切りされたシャフト43を中心に回転するときには、内側回転部40は、卵状体シャフトに対して、縦方向と回転方向との両方向に(すなわち、動かないねじ切りされたシャフト34の上下に)移動する。したがって、内側回転部40によって支持されるシールド42は、直線的に卵状体の上下(遠位から近位に)と、卵状体の中心軸に関して半径方向との両方に移動する。
【0039】
ある実施形態では、動かないねじ切りされたシャフト43は、内側回転部40が動き得る縦方向距離を制限するための、機械的ストップ44を含む。さらに、ある実施形態では、内側回転部40および動かないねじ切りされたシャフト43のねじ山は、細目ねじピッチを有し、その結果として、内側回転部40の一回転は、シールド42を、動かないねじ切りされたシャフト43に沿って小増分の縦方向距離だけ移動し、シールド42を卵状体内で正確に位置決めすることを可能にする。
【0040】
代替的な実施形態では、内側回転部40の直線的運動は、1つの可撓性シャフト34によって制御され得、その一方で、半径方向運動は、別のシャフトによって制御される。例えば、そのような実施形態の1つは、図6Gに図示される。
【0041】
図6Eは、本発明の一実施形態による、シールド42を支持する内側回転部40と、外側回転部38との間の関係を示す概略図である。図から分かるように、外側回転部38は円筒形であって、内部レール39を含む。レール39は、シールド42を支持する内側回転部40と相互作用する。内側回転部40の中心と相互作用して、動かないねじ切りされたシャフト43が存在する。したがって、外側回転部38が、卵状体の中心を通って縦方向に延在する軸を中心に回転するときには、その結果としてシールド42は、その同一軸を中心に回転する。このようにして、シールド42は、卵状体内で半径方向に位置決めされ得る。
【0042】
ある実施形態では、可撓性シャフト34は、ニッケルチタン等の形状記憶合金のワイヤまたはリボンから成るが、高いねじり強度を有する他の材料がまた、使用され得る。可撓性シャフト34は、代替的に、編組金属フィラメント、あるいは高強度合成繊維の編組フィラメントまたは固体フィラメントで作られ得る。ピニオンギア36、外側回転部38、内側回転部40、または動かないねじ切りされたシャフト43は、任意の好適な材料で作られ得る。ある実施形態では、これらの部品を作製するために使用される材料は、機械的強度(引張りおよびせん断)、組織放射特性当量、複数の殺菌サイクルを可能にする疲労および熱特性に基づく。一部の実施形態では、これらの部品は、ポリサルフォンまたはポリカーボネート、あるいは暫定のアプリケータと比較して線量分布の最小摂動に寄与する、他の組織等価材料で作られる。
【0043】
さらに他の実施形態(図6Gおよび図6Hに示されるもの等)では、シールドの縦方向位置は、バー、リボン、またはワイヤの内側回転部40またはシールドへの直接取り付けによって制御される。本実施形態では、内側回転部は、バー、リボン、またはワイヤを遠位または近位に動かすことによって、中心軸(ねじ山を有さない動かないねじ切りされたシャフト43等)に沿って、縦方向に摺動し得る。ある実施形態では、シールドの半径方向位置は、別のワイヤ、リボン、またはバーを通じて、ギアおよび軸受機構を介して調節され得る(例えば、図6I参照)。一部のこれらの実施形態では、ギア機構は、内側回転部40とともに、縦方向に摺動する。例えば、あるそのような実施形態が、図6Iおよび図6Jに図示される。一部のこれらの実施形態では、可撓性シャフト34が、位置決めバネ45に張力を加え、またはそこから張力を解放することによって、シールドを直線的に位置決めするために使用され得る(例えば、図6J参照)。当業者は、1つの可撓性シャフト34が、直線的および半径方向の両方の位置決めを制御するために使用され得ること、または代替案として、1つの可撓性シャフト34が、直線的位置を操作するために使用され得、一方で別のシャフトが、半径方向位置を操作するために使用され得ることを、容易に認識する。代替的な実施形態では、ギア機構は、外側回転部38と相互作用し、それは次に、外側回転部38上のレール39と内側回転部上の溝41との相互作用を介して押すことによって、内側回転部40を回転し得る。
【0044】
図6Kは、可撓性シャフトに接続される単一ピニオンギアによって、半径方向に駆動される中心シャフト46を有する、別の実施形態を示す(ピニオンギアおよび可撓性シャフトは図示されていない)。中心シャフトは、外部ねじ山47を含む。シールドを保持するディスク48は、シャフト上にねじ固定される。リッジ49は、静止しており、卵状体の外側シェルに取り付けられる。ねじ固定の結合は十分な内蔵摩擦を有しており、ディスク48(およびシールド)は、何らかの力が加えられない限り、シャフトに沿って前進しない。ある実施形態は、機械的ストップ50を含む。図6K(C)は、運動シーケンスを示す。中心シャフト46を回転することによって、シールドは、卵状体の近位端において、360度まで回転され得る。次いで、シールドストップ50が、リッジ49と交差する。次いで、シールドは、中心シャフトを継続して回転することによって、卵状体の遠位端に直線的に移動する。遠位端で、中心シャフト46の回転方向が切り替わり得、シールドを360度まで回転させる。シーケンスは、反対方向に繰り返され得る。さらに、本出願において示された実施形態は、単なる例示であって、本発明は、半径方向制御のための好適な他の機構を含む直線制御のためのある機構(およびその逆)の使用を包含する。
【0045】
代替的な実施形態は、2つ以上のシールドを含み得、シールドの1つ以上は、放射線源に相対的なその位置に添着され得、卵状体3内の位置機構によって係合されなくてもよい。例えば、一実施形態では、膀胱シールドが、卵状体シャフト11aに添着され得、一方では、直腸シールド9は、回転ギア16を介して回転シャフト14と、反対にねじ切りされた筐体18を介してねじ切りされたシャフト13とによって、シールドトラック12との関連によって、位置的に可動である。さらに他の実施形態は、反対の構成を可能にし得、その場合には、膀胱シールド10がシールドトラック12に付随し、一方で直腸シールドが添着される。
【0046】
ある実施形態では、卵状体3は、取外し可能な卵状体キャップ3aを有し得、それは、品質保証目視検査を可能にするために、または補正保守を行うために、シールドおよび他の運動部分を露出するように卵状体から脱着され得る。さらに他の実施形態では、本発明の卵状体キャップ3aは、所与の患者の生体構造と一致するように、卵状体3の全体サイズを増加するように適合され得る。ある他の実施形態では、本発明の適応性アプリケータは、現在のNucletron Fletcher−Williamson HDRアプリケータセット(約5mmの管外径)に類似する卵状体ハンドル(近位管)の全体形状を有し、臨床におけるシームレスな統合を提供する。一方、さらに他の実施形態では、適応性アプリケータの形状は、ねじ切りされたシャフトおよび回転シャフト13/14のためのチャネルを収容するために、若干大きく(約7mmの管外径)なり得る。
【0047】
ある実施形態では、卵状体アーム5に対する卵状体の直線軸の角度は、調節可能である。一部のこれらの実施形態では、角度は、15°と45°との間で調節可能である。さらに他の実施形態では、ワイヤ/リボンは、シールドの形状またはサイズの遠隔制御変更を可能にする、ギア駆動機構と相互作用し得る。
【0048】
さらに、本発明のある実施形態は、位置合わせマーカを含み得る。これらの位置合わせマーカは、画像取得の際にマーカを提供し、患者の生体構造に対するシールドの位置測定の、判断または検証を可能にする。これらの位置合わせマーカは、任意の放射線不透過性物質から成り得、一部の実施形態では、ワイヤの形状であり得る。位置合わせマーカは、源ルーメン、タンデム、または卵状体を含む、本発明のアプリケータの種々の部分内あるいはその上に含まれ得る。図7は、卵状体に対して平行および斜めの位置合わせワイヤ32を有する卵状体3の一実施形態を示す。そのような実施形態では、位置合わせワイヤ32は、画像スライス33が行われる平面に対してある角度で配置され得る。本発明の他の実施形態は、位置合わせマーカの種々の他の構成を有し得る。ある実施形態では、位置合わせマーカは、シールドのデフォルト位置と関連し得る。これらの実施形態では、取得される画像は、直接的または間接的に、シールドのデフォルト位置を識別する位置合わせマーカを有し、それによって、シールドの任意の位置決めを達成するために必要な、シールドの運動のより精密な判断を可能にする。
【0049】
ある実施形態では、位置合わせマーカは、源ルーメンまたは卵状体シャフト11aのためのケーシング内に埋め込まれ得る。さらに他の実施形態では、位置合わせマーカは、卵状体3本体の上に置くことができるキャップの上または中にあり得る。
【0050】
ある実施形態では、本発明の適応性アプリケータのMonte Carlo法または離散座標法の線量測定シミュレーションが、直腸シールド、膀胱シールド、または両方のための直線/角運動の範囲の、最終的選択を決定するために使用され得る。さらに、縦方向および半径方向の両方にシールドの位置を内部で調節する本発明の能力は、CT画像取得の際、または任意の他の種類の画像取得の際のシールドの運動を可能にし、それによって、近接照射療法アプリケータのシールドによって生じるアーチファクトを低減し、治療計画において使用するためのより精密かつ高品質な画像を提供する必然的結果をもたらす。例えば、アプリケータが、体腔内に挿入され、次いで、卵状体軸に沿って最近位の位置に移動されたシールドの画像が取得され得る。次いで、単一スライスCTスキャナが、移動したシールドの位置に達する前に、第1の画像セットを取得し得る。次いで、スキャナ取得は、CTスライスの残りの取得を再開する前に、シールドを最遠位位置に移動するために一時的に中断され得る。CTシミュレータの初期のスカウト画像は、2つの画像セットの間の中断位置を選択するように実行され得る。高画質画像の撮像を可能にすることに加えて、本発明のある実施形態は、治療レジメンの逆方向治療計画を可能にする。例えば、放射線源が、所定の位置のシールドを有するアプリケータ内に充填され得、続いて、より精密に線量分布を操作するために、放射線被曝の間に複数のシールド位置または1つのシールド位置を調節し得る。
【0051】
ある実施形態では、本発明のアプリケータはまた、ねじ切りされたシャフト13、回転シャフト14、または可撓性シャフト34上に回転力を加えるための手動機構を含む。これらの手動機構は、シャフトへの回転ねじの接続等、シャフトへの単純な機械的アタッチメントを含み得る。さらに他の実施形態では、回転、ねじ切りされた、または可撓性シャフトの回転は、単純化のためにダイヤルインジケータを使用して制御され得る。そのような実施形態では、各機械的ダイヤルは、調節されるシールドの位置および配向を示す目盛を有し得る。さらに、ダイヤルは、外科的アクセスの便宜のために設計され得る。さらに他の実施形態では、ねじ切りされたシャフト13、回転シャフト14、または可撓性シャフト34は、水圧によって制御され得る。そのような実施形態では、機構は、卵状体内または卵状体外に配置され、水圧力を適切な運動(すなわち、直線、回転、または両方)に転換する。
【0052】
本発明の代替的な実施形態は、制御ステーションとしてコンピュータ27を使用し得る。あるそのような実施形態では、ハードウェア構成要素は、LabVIEWソフトウェア28とテキサス州AustinのNational Instruments(www.ni.com)社製PCIモーションコントローラカード29とを有するラップトップコンピュータ、および、多軸を有する運動制御駆動ユニット30を含み得る。シールドまたは複数のシールドの位置は、図8に示されるように、制御ステーション27を通じて制御され得る。本制御ステーションは、回転制御24を通じて、所与のシールドの回転位置と、直線制御25を通じて、直線位置とを制御し得る。ある実施形態では、直腸シールドおよび膀胱シールドは、独立の制御ステーション(23および23a)を有し得る。ある実施形態では、制御ステーションは、回転シャフト、ねじ切りされたシャフト、または可撓性シャフト上に回転力を提供するモータ22の動きを制御し得る。
【0053】
ある実施形態では、制御ステーションまたはアプリケータ本体は、FSDアプリケータ(LDR用)またはFlecher−Williamsonアプリケータ(HDR/PDR用)シールド位置を模倣する、自動ホーミング位置(デフォルト)を有し得る。
【0054】
ある実施形態では、制御ステーションは、放射線源のアプリケータ内への充填に先立って、適切な位置にシールドを位置決めするために使用され得、または、放射線源は、所定の位置のシールドを有するアプリケータ内に充填され、続いて、規定の梨形の等線量面を描画された標的体積に一致させるように、より精密に線量分布を操作するために、放射線被曝の間に複数のシールド位置または1つのシールド位置を調節し得る。また、放射線生物学的に補正された線量体積ヒストグラム治療計画アルゴリズムがまた、治療の経過に沿って、シールド位置をさらに最適化するために使用され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピボットジョイントと、
放射線源ルーメンを有するタンデムであって、該タンデムは、タンデムアームを介して該ピボットジョイントに接続される、タンデムと、
放射線源ルーメンを有する少なくとも1つの卵状体であって、該少なくとも1つの卵状体は、卵状体アームを介して該ピポッドジョイントに接続される、少なくとも1つの卵状体と、
該少なくとも1つの卵状体に付随する少なくとも1つのシールドであって、該少なくとも1つのシールドは、遠隔で可動である、少なくとも1つのシールドと、
を備える、近接照射療法アプリケータ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの卵状体の前記放射線源ルーメンは、放射線源を後充填される、請求項1に記載の近接照射療法アプリケータ。
【請求項3】
前記放射線源は、前記卵状体アームを通じて前記放射線源ルーメン内に後充填される、請求項2に記載の近接照射療法アプリケータ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの卵状体は、外側ケーシングをさらに備え、前記少なくとも1つのシールドは、該少なくとも1つの卵状体の該外側ケーシングに対して内部にある、請求項1に記載の近接照射療法アプリケータ。
【請求項5】
動かないねじ切りされたシャフトと、
前記少なくとも1つのシールドを支持する内側回転部であって、該内側回転部は、該動かないねじ切りされたシャフトを中心に回転する、内側回転部と、
該内側回転部を中心に回転する、外側回転部と、
該外側回転部と相互作用し、かつ該内側回転部を回転させる、付随ギアを有する可撓性シャフトと、
をさらに備える、請求項1に記載の近接照射療法アプリケータ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの卵状体の前記放射線源ルーメンは、放射線源を後充填することが可能である、請求項5に記載の近接照射療法アプリケータ。
【請求項7】
前記放射線源は、前記卵状体アームを通じて前記放射線源ルーメン内に後充填される、請求項5に記載の近接照射療法アプリケータ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの卵状体は、外側ケーシングをさらに備え、前記少なくとも1つのシールドは、該少なくとも1つの卵状体の該外側ケーシングに対して内部にある、請求項5に記載の近接照射療法アプリケータ。
【請求項9】
前記少なくとも1つのシールドは、タングステン、タングステン合金、および他の放射線吸収材料から成る、請求項5に記載の近接照射療法アプリケータ。
【請求項10】
前記可撓性シャフトは、ニッケル−チタンから成る、請求項5に記載の近接照射療法アプリケータ。
【請求項11】
前記可撓性シャフトに回転力を加えるための手動機構をさらに備える、請求項5に記載の近接照射療法アプリケータ。
【請求項12】
前記可撓性シャフトに加えられる回転力を制御する制御ステーションをさらに備える、請求項5に記載の近接照射療法アプリケータ。
【請求項13】
請求項1に記載の前記近接照射療法アプリケータを提供するステップと、
請求項1に記載の該近接照射療法アプリケータを体腔内に挿入するステップと、
該体腔内に挿入後に、請求項1に記載の該照射療法アプリケータの前記少なくとも1つのシールドの位置を変更するステップと、
腫瘍性組織を照射するステップと、
を包含する、腫瘍性疾患を治療する方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのシールドの存在によって生じる画像アーチファクトの質を変化させるために、前記治療の画像取得段階の際に、前記少なくとも1つのシールドの前記位置を変更するステップをさらに包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
放射線源が、請求項1に記載の前記近接照射療法アプリケータ内に充填される前または後に、前記少なくとも1つのシールドの前記位置を変更するステップをさらに包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
周囲組織に送達される線量分布を変更する目的のために、前記少なくとも1つのシールドの前記位置を変化させるステップをさらに包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記放射線量分布は、正常組織に適用される放射線量を低減するように変更される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記正常組織は、頸部組織、直腸組織、または膀胱組織である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
放射線源ルーメンと、
該放射線源ルーメンと関連する少なくとも1つのシールドと、
該少なくとも1つのシールドを支持する内側回転部と、
該内側回転部の周りを回転し、それによって、該内側回転部を回転させる外側回転部と、
該外側回転部と相互作用する付随ギアを有する可撓性シャフトと、
を備える、近接照射療法アプリケータであって、
該少なくとも1つのシールドは、回転力が該可撓性シャフトに加えられるときには、該放射線源ルーメンに対して少なくとも1つの方向に動かされる、
近接照射療法アプリケータ。
【請求項20】
少なくとも1つの卵状体の前記放射線源ルーメンが、放射線源を後充填される、請求項19に記載の近接照射療法アプリケータ。
【請求項21】
前記放射線源は、卵状体アームを通じて前記放射線源ルーメン内に後充填される、請求項20に記載の近接照射療法アプリケータ。
【請求項22】
少なくとも1つの卵状体が、外側ケーシングをさらに備え、前記少なくとも1つのシールドは、該少なくとも1つの卵状体の該外側ケーシングに対して内部にある、請求項19に記載の近接照射療法アプリケータ。
【請求項23】
前記少なくとも1つのシールドは、タングステン、タングステン合金、または他の放射線吸収材料から成る、請求項19に記載の近接照射療法アプリケータ。
【請求項24】
前記可撓性シャフトは、ニッケル−チタンから成る、請求項19に記載の近接照射療法アプリケータ。
【請求項25】
前記可撓性シャフトに回転力を加えるための手動機構をさらに備える、請求項19に記載の近接照射療法アプリケータ。
【請求項26】
前記可撓性シャフトに加えられる回転力を制御する制御ステーションをさらに備える、請求項19に記載の近接照射療法アプリケータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図6H】
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【図6I】
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【図6J】
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【図6K】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−544445(P2009−544445A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522807(P2009−522807)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/016916
【国際公開番号】WO2008/094199
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(506093500)ボード オブ リージェンツ, ザ ユニバーシティー オブ テキサス システム (4)
【Fターム(参考)】