説明

遮光装置

【課題】開閉部材が閉状態にある間、作動部材に負荷が掛かることを抑制する。
【解決手段】遮光装置10は、遮光部材と、遮光部材の展開側の端部に設けられた支持部材16と、リアパッケージトレイ34に形成されたスリット部36を開閉する開閉部材28と、本体部材18に対して開閉部材28を支持すると共に、第一アーム部56及び第二アーム部58を有するリンク機構30とを備えている。遮光部材が展開状態に変化される場合には、支持部材16が第一アーム部56と当接されることで開閉部材28が開状態に回動される。一方、遮光部材が巻取状態に変化される場合には、支持部材16が第二アーム部58と当接されることで開閉部材28が閉状態に回動される。従って、開閉部材28を開閉させる機構自体に付勢部材を用いる必要が無いので、開閉部材28が閉状態にある間、作動機構に負荷が掛かることを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウィンドウシェードシート(18)と、ウィンドウシェードシートに結合された引出ロッド装置(21)と、カバー(11)のスリット(12)を覆う蓋(15)と、を備えた自動車用ウィンドウシェード(17)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4503978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この自動車用ウィンドウシェード(17)では、蓋(15)が圧縮ばね(46)によって開方向に付勢されており、連行ピン(41)が作動アーム(47)に当接することで蓋(15)が閉状態とされるようになっている。従って、蓋(15)が閉状態とされている間、ケーブルにより構成された作動要素(23)に負荷が掛かる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、開閉部材が閉状態にある間、作動部材に負荷が掛かることを抑制することができる遮光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の遮光装置は、シート状に形成され、巻取部材に巻き取られた巻取状態と、前記巻取部材から展開された展開状態とを取り得る遮光部材と、前記遮光部材における展開側の端部に設けられ、作動部材によって移動されることに伴って前記遮光部材を前記巻取状態と前記展開状態とに変化させる支持部材と、前記巻取部材を支持する本体部材と、前記本体部材に回動可能に連結され、前記支持部材の移動経路を開閉する開閉部材と、前記本体部材に対して前記開閉部材を支持するリンク機構と、前記リンク機構及び前記開閉部材の少なくとも一方に設けられ、前記遮光部材を前記巻取状態から前記展開状態に変化させる方向に前記支持部材が移動される場合に、前記支持部材と当接されて前記開閉部材を閉状態から開状態に回動させる第一当接部と、前記リンク機構及び前記開閉部材の少なくとも一方に設けられ、前記遮光部材を前記展開状態から前記巻取状態に変化させる方向に前記支持部材が移動される場合に、前記支持部材と当接されて前記開閉部材を開状態から閉状態に回動させる第二当接部と、を備えている。
【0007】
この遮光装置によれば、遮光部材が巻取状態から展開状態に変化される場合には、支持部材が第一当接部と当接され、これにより、開閉部材が閉状態から開状態に回動される。一方、遮光部材が展開状態から巻取状態に変化される場合には、支持部材が第二当接部と当接され、これにより、開閉部材が開状態から閉状態に回動される。従って、開閉部材を開閉させる機構自体に付勢部材を用いる必要が無いので、開閉部材が閉状態にある間、作動部材に負荷が掛かることを抑制することができる。
【0008】
請求項2に記載の遮光装置は、請求項1に記載の遮光装置において、前記リンク機構及び前記開閉部材の少なくとも一方に設けられ、前記開閉部材が閉状態にあるときに第一受け部と当接されて、前記開閉部材の開方向と反対方向への回動を規制する第一回動規制部と、前記リンク機構及び前記開閉部材の少なくとも一方に設けられ、前記開閉部材が開状態にあるときに第二受け部と当接されて、前記開閉部材の閉方向と反対方向への回動を規制する第二回動規制部と、をさらに備えている。
【0009】
この遮光装置によれば、開閉部材が閉状態にあるときには、開閉部材の開方向と反対方向への回動を第一回動規制部によって規制することができ、開閉部材が開状態にあるときには、開閉部材の閉方向と反対方向への回動を第二回動規制部によって規制することができる。これにより、開閉部材が開状態又は閉状態にあるときに、不意な振動等により開閉部材が開位置又は閉位置を超えてしまうことを回避することができる。
【0010】
請求項3に記載の遮光装置は、請求項2に記載の遮光装置において、前記第一当接部、前記第二当接部、前記第一回動規制部、及び、前記第二回動規制部が、前記リンク機構及び前記開閉部材の少なくともいずれかに一体に形成された構成とされている。
【0011】
この遮光装置によれば、第一当接部、第二当接部、第一回動規制部、及び、第二回動規制部が、リンク機構及び開閉部材の少なくともいずれかに一体に形成されているので、部品点数の増加を抑えることができ、ひいては、コストダウンすることができる。
【0012】
請求項4に記載の遮光装置は、請求項3に記載の遮光装置において、前記開閉部材を閉方向に付勢する閉方向付勢部材をさらに備えている。
【0013】
この遮光装置によれば、閉方向付勢部材によって開閉部材が閉方向に付勢されているので、例えば、振動等が生じても、開閉部材を閉状態に維持することができる。
【0014】
請求項5に記載の遮光装置は、請求項4に記載の遮光装置において、前記リンク機構が、一端側が前記開閉部材に回動可能に連結された第一リンク部材と、一端側が前記第一リンク部材の他端側に回動可能に連結され、他端側が前記本体部材に回動可能に連結された第二リンク部材と、前記開閉部材を開方向に回動させる方向に前記第二リンク部材を付勢する開方向付勢部材と、を有し、前記開閉部材の閉状態において前記開閉部材に作用する前記閉方向付勢部材による付勢力が、前記開閉部材に作用する前記開方向付勢部材による付勢力よりも高く設定された構成とされている。
【0015】
この遮光装置によれば、開閉部材を開方向に回動させる方向に第二リンク部材が開方向付勢部材によって付勢されているので、開閉部材をより円滑に開状態とすることができる。
【0016】
また、開閉部材の閉状態において開閉部材に作用する閉方向付勢部材による付勢力は、開閉部材に作用する開方向付勢部材による付勢力よりも高く設定されている。従って、開方向付勢部材を用いても、開閉部材が閉状態にある間、作動部材に負荷が掛かることを抑制することができる。
【0017】
請求項6に記載の遮光装置は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の遮光装置において、前記開閉部材が、前記本体部材に第一回動連結部を介して回動可能に連結され、前記リンク機構が、一端側が前記開閉部材に第二回動連結部を介して回動可能に連結された第一リンク部材と、一端側が前記第一リンク部材の他端側に第三回動連結部を介して回動可能に連結され、他端側が前記本体部材に回動可能に連結された第二リンク部材と、を有し、前記第一当接部が、前記第二リンク部材に設けられ、前記第一回動連結部と前記第二回動連結部とを結ぶ直線と、前記第二回動連結部と前記第三回動連結部とを結ぶ直線とが、前記開閉部材が閉状態にあるときに直角を成す構成とされている。
【0018】
なお、この場合の直角とは、略直角も含まれる趣旨である。
【0019】
この遮光装置によれば、開閉部材が閉状態にあるときには、第一回動連結部と第二回動連結部とを結ぶ直線と、第二回動連結部と第三回動連結部とを結ぶ直線とが直角を成す。従って、開閉部材が閉状態から開方向に回動されるときには、第二リンク部材から第一リンク部材に効果的に力が伝えられるので、作動部材に掛かる負荷を低減することができる。
【0020】
請求項7に記載の遮光装置は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の遮光装置において、前記開閉部材が、前記本体部材に第一回動連結部を介して回動可能に連結され、前記リンク機構が、一端側が前記開閉部材に第二回動連結部を介して回動可能に連結された第一リンク部材と、一端側が前記第一リンク部材の他端側に第三回動連結部を介して回動可能に連結され、他端側が前記本体部材に第四回動連結部を介して回動可能に連結された第二リンク部材と、を有し、前記第三回動連結部が、前記開閉部材が開状態にあるときに、前記第二回動連結部と前記第四回動連結部とを結ぶ直線よりも前記遮光部材の展開方向側に位置される構成とされている。
【0021】
この遮光装置によれば、開閉部材が開状態にあるときには、第二回動連結部と第四回動連結部とを結ぶ直線よりも第三回動連結部が遮光部材の展開方向側に位置される。従って、開閉部材が開状態にあるときに、例えば、この開閉部材の自重等により第二回動連結部に対して第四回動連結部側に荷重が作用した場合には、第三回動連結部に対して遮光部材の展開方向側に分力が作用する。これにより、開閉部材に閉方向に外力が加わった場合でも、開閉部材の閉方向への不意な回動を抑制することができる。
【0022】
請求項8に記載の遮光装置は、請求項7に記載の遮光装置において、前記第四回動連結部が、前記開閉部材が開状態にあるときに、前記第二回動連結部を通り前記第一回動連結部と前記第二回動連結部とを結ぶ直線から前記第四回動連結部側に下ろした垂線に対し、前記遮光部材の展開方向側に位置される構成とされている。
【0023】
この遮光装置によれば、開閉部材が開状態にあるときには、第二回動連結部を通り第一回動連結部と第二回動連結部とを結ぶ直線から第四回動連結部側に下ろした垂線に対し、第四回動連結部が遮光部材の展開方向側に位置される。これにより、第二回動連結部と第四回動連結部とを結ぶ直線を超えて第三回動連結部が遮光部材の展開方向側に移動する量が少なくて済み、開閉部材を開方向に保持し易くできる。また、第一当接部と支持部材との当接時間も短くて済むので、作動部材に掛かる負荷をより低減することができる。
【0024】
請求項9に記載の遮光装置は、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の遮光装置において、前記第二当接部が、前記開閉部材が閉状態と開状態とに変化する間、前記支持部材の移動軌跡上に位置される構成とされている。
【0025】
この遮光装置によれば、第二当接部は、開閉部材が閉状態と開状態とに変化される間、支持部材の移動軌跡上に位置されるので、第二当接部と支持部材とを確実に当接させることができ、ひいては、遮光部材を円滑に巻取状態とすることができる。
【0026】
請求項10に記載の遮光装置は、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の遮光装置において、前記第一当接部及び前記第二当接部が、前記リンク機構及び前記開閉部材の少なくとも一方から延出されたアーム状に形成され、前記第二当接部が、前記リンク機構及び前記第一当接部に対し、前記巻取部材の軸方向にオフセットされた構成とされている。
【0027】
この遮光装置によれば、第二当接部は、リンク機構及び第一当接部に対し、巻取部材の軸方向にオフセットされている。従って、例えば、遮光部材が巻取状態とされた場合に、第二当接部がリンク機構及び第一当接部と干渉することを抑制することができる。これにより、開閉部材の開閉が妨げられることを回避することができる。
【0028】
請求項11に記載の遮光装置は、請求項10に記載の遮光装置において、前記リンク機構は、一端側が前記開閉部材に回動可能に連結された第一リンク部材と、一端側が前記第一リンク部材の他端側に回動可能に連結され、他端側が前記本体部材に回動可能に連結された第二リンク部材と、を有し、前記第一当接部及び前記第二当接部が、前記第一リンク部材又は前記第二リンク部材に一体に形成された構成とされている。
【0029】
この遮光装置によれば、第一当接部及び第二当接部は、第一リンク部材又は第二リンク部材に一体に形成されているので、リンク機構の作動に伴い互いに干渉することを抑制することができる。また、第一当接部、第二当接部、支持部材との関係も容易に設定することができる。
【0030】
請求項12に記載の遮光装置は、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の遮光装置において、前記第一当接部が、前記開閉部材が閉状態にあるときに前記支持部材の移動軌跡上に位置されると共に、前記遮光部材が前記巻取状態から前記巻取状態と前記展開状態との中間状態に変化される間、前記支持部材と当接されて前記開閉部材を閉状態から開状態に回動させ、前記遮光部材が前記中間状態から前記展開状態に変化される間、前記支持部材と離間され、前記第二当接部が、前記開閉部材が開状態にあるときに前記支持部材の移動軌跡上に位置されると共に、前記遮光部材が前記展開状態から前記中間状態に変化される間、前記支持部材と離間され、前記遮光部材が前記中間状態から前記巻取状態に変化される間、前記支持部材と当接されて前記開閉部材を開状態から閉状態に回動させる構成とされている。
【0031】
この遮光装置によれば、遮光部材が中間状態から展開状態に変化される間、支持部材と第一当接部とが離間され、遮光部材が展開状態から中間状態に変化される間、支持部材と第二当接部とが離間される。従って、この間は、支持部材に例えばリンク機構における作動時の抵抗等が作用しないので、作動部材に負荷が掛かることをより一層低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態に係る遮光装置の斜視図である。
【図2】図1に示される駆動ユニット及びその周辺部の斜視図である。
【図3】図1に示される遮光装置の側面図であって、開閉部材が閉状態にある場合を示す図である。
【図4】図1に示される遮光装置において開閉部材が開方向に回動される様子を説明する側面図である。
【図5】図1に示される遮光装置の側面図であって、開閉部材が開状態にある場合を示す図である。
【図6】図1に示される遮光装置において開閉部材が閉状態から開方向に回動される様子を説明する斜視図である。
【図7】図1に示される遮光装置において開閉部材が開状態となるまで開方向に回動される様子を説明する斜視図である。
【図8】図1に示される遮光装置に備えられたリンク機構の周辺部の正面拡大図である。
【図9】図1に示される遮光装置の第一変形例を示す側面図であって、開閉部材が閉状態にある場合を示す図である。
【図10】図1に示される遮光装置の第二変形例を示す側面図であって、開閉部材が開状態にある場合を示す図である。
【図11】図1に示される遮光装置の第三変形例を示す側面図であって、開閉部材が開状態にある場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面に基づき、本発明の一実施形態について説明する。
【0034】
図1に示される本発明の一実施形態に係る遮光装置10は、例えば、乗用自動車等の車両における車室後部に配置されて、リアガラスを遮光するものである。なお、各図に示される矢印UP、矢印FR、矢印OUTは、遮光装置10が車室後部に配置された場合の車両上下方向上側、車両前後方向前側、車両幅方向外側(右側)をそれぞれ示している。この遮光装置10は、巻取部材12と、遮光部材14と、支持部材16と、本体部材18と、一対の案内部材20と、作動機構22とを備えている。
【0035】
巻取部材12は、丸棒状に形成されており、本体部材18によって回転可能に支持されている。巻取部材12と本体部材18との間には、図示しない捩りバネ等の付勢部材が設けられており、この付勢部材により、巻取部材12は、後述する遮光部材14を巻き取る方向に付勢されている。
【0036】
遮光部材14は、遮光性を有しており、シート状に形成されている。この遮光部材14は、その基端部が巻取部材12に固定されており、巻取部材12に巻き取られた巻取状態と、巻取部材12から展開されてリアガラスを覆う展開状態とを取り得るようになっている。
【0037】
支持部材16は、遮光部材14の幅方向に延びる棒状に形成されており、遮光部材14における展開側の端部14Aに設けられている。
【0038】
一対の案内部材20は、遮光部材14の幅方向と直交する方向に延びており、リアガラスの縦縁に沿って配置される。この一対の案内部材20は、支持部材16の長手方向の両端部に設けられた図示しない移動部材を移動可能に支持している。
【0039】
作動機構22は、図2に示されるように、ケーブルガイド25に挿通された作動部材の一例である一対のケーブル24と、駆動ユニット26とを有している。一対のケーブル24は、樹脂製とされている。この一対のケーブル24の各々の一端側の端部は、上述の移動部材に固定されている。一方、一対のケーブル24の各々の他端側には、図示しないラックが形成されており、駆動ユニット26の駆動軸には、このラックと係合された図示しないピニオンが設けられている。
【0040】
そして、この遮光装置10では、駆動ユニット26によって上述のピニオンが正逆方向に回転されると、このピニオンと係合されたラックを有するケーブル24の一端側が案内部材20に沿って進退動する。また、これにより、支持部材16がリアガラスに沿って昇降され、これに伴って遮光部材14が巻取状態と展開状態とに変化される。
【0041】
また、この遮光装置10は、図3に示されるように、開閉部材28と、リンク機構30とを備えている。
【0042】
開閉部材28は、本体部材18に第一回動連結部32を介して回動可能に連結されており、リアパッケージトレイ34に形成された支持部材16の移動経路の一例であるスリット部36を開閉する構成とされている。また、第一回動連結部32には、閉方向付勢部材の一例である捩りバネ38が設けられている。捩りバネ38の一端は、開閉部材28に係止され、捩りバネ38の他端は、本体部材18に係止されている。そして、この捩りバネ38により、開閉部材28が閉方向に付勢されている。
【0043】
また、スリット部36の車両前側の縁部には、第一受け部40が形成されており、開閉部材28の回動端には、第一回動規制部42が形成されている。この第一回動規制部42は、開閉部材28が閉状態にあるときに第一受け部40と当接されて、開閉部材28の開方向と反対方向への回動を規制する構成とされている。
【0044】
リンク機構30は、本体部材18に対して開閉部材28を支持するものであり、第一リンク部材44及び第二リンク部材46によって構成されている。
【0045】
第一リンク部材44は、一端側が開閉部材28に第二回動連結部50を介して回動可能に連結されている。第二リンク部材46は、一端側が第一リンク部材44の他端側に第三回動連結部52を介して回動可能に連結され、他端側が本体部材18に第四回動連結部54を介して回動可能に連結されている。
【0046】
第四回動連結部54には、開方向付勢部材の一例である捩りバネ48が設けられている。この捩りバネ48の一端は、第二リンク部材46に係止され、捩りバネ48の他端は、本体部材18に係止されている。そして、この捩りバネ48により、第二リンク部材46は、開閉部材28を開方向に回動させる方向に付勢されている。
【0047】
なお、開閉部材28の閉状態において開閉部材28に作用する捩りバネ38による付勢力は、開閉部材28に作用する捩りバネ48による付勢力よりも高く設定されている。
【0048】
また、第二リンク部材46には、第一当接部及び第二当接部の一例として、第一アーム部56及び第二アーム部58が一体に形成されている。この第一アーム部56及び第二アーム部58は、第二リンク部材46から延出されたアーム状に形成されており、支持部材16と当接して開閉部材28を開閉できるように、その形状や位置等が設定されている。
【0049】
つまり、第一アーム部56は、遮光部材14を巻取状態から展開状態に変化させる方向に支持部材16が移動される場合(リアガラスに沿って車両上側に移動される場合)に、支持部材16と当接されて開閉部材28を閉状態から開状態に回動させるものである。
【0050】
より具体的には、この第一アーム部56は、開閉部材28が閉状態にあるときには、支持部材16の移動軌跡上に位置される(図3参照)。また、この第一アーム部56は、遮光部材14が巻取状態から巻取状態と展開状態との中間状態に変化される間、支持部材16と当接されて開閉部材28を閉状態から開状態に回動させる(図4、図6、図7の上図参照)。さらに、この第一アーム部56は、遮光部材14が中間状態から展開状態に変化される間、支持部材16と離間される(図5、及び、図7の下図参照)。
【0051】
なお、第一アーム部56における支持部材16との当接部56Aは、開閉部材28が閉状態にあるときに遮光部材14の展開方向側に凸を成すように湾曲して形成されている(図3参照)。
【0052】
一方、第二アーム部58は、遮光部材14を展開状態から巻取状態に変化させる方向に支持部材16が移動される場合(リアガラスに沿って車両下側に移動される場合)に、支持部材16と当接されて開閉部材28を開状態から閉状態に回動させるものである。
【0053】
より具体的には、この第二アーム部58は、開閉部材28が開状態にあるときには、支持部材16の移動軌跡上に位置される(図5参照)。また、この第二アーム部58は、遮光部材14が展開状態から中間状態に変化される間、支持部材16と離間される(図5、及び、図7の下図参照)。さらに、この第二アーム部58は、遮光部材14が中間状態から巻取状態に変化される間、支持部材16と当接されて開閉部材28を開状態から閉状態に回動させる(図4、図6、及び、図7の上図参照)。
【0054】
また、この第一アーム部56及び第二アーム部58を有して構成されたリンク機構30は、より具体的には、次のように構成されている。
【0055】
すなわち、図3に示されるように、このリンク機構30において、第一回動連結部32と第二回動連結部50とを結ぶ直線L1と、第二回動連結部50と第三回動連結部52とを結ぶ直線L2とは、開閉部材28が閉状態にあるときに略直角を成すようになっている。また、図5に示されるように、第三回動連結部52は、開閉部材28が開状態にあるときには、第二回動連結部50と第四回動連結部54とを結ぶ直線L3よりも遮光部材14の展開方向側に位置されるようになっている。
【0056】
さらに、第四回動連結部54は、開閉部材28が開状態にあるときには、第二回動連結部50を通り第一回動連結部32と第二回動連結部50とを結ぶ直線L1から第四回動連結部54側に下ろした垂線L4に対し、遮光部材14の展開方向側に位置されるようになっている。また、第二アーム部58は、開閉部材28が閉状態と開状態とに変化する間、支持部材16の移動軌跡上に位置されるようになっている。
【0057】
なお、この第二アーム部58は、図8に示されるように、リンク機構30(第一リンク部材44及び第二リンク部材46)、及び、第一アーム部56に対し、巻取部材12の軸方向(より具体的には、軸方向中央側)にオフセットされている(オフセット量はA)。
【0058】
さらに、本体部材18には、図5に示されるように、第二受け部60が形成されており、第二リンク部材46には、第二回動規制部62が形成されている。この第二回動規制部62は、開閉部材28が開状態にあるときに第二受け部60と当接されて、開閉部材28の閉方向と反対方向への回動を規制する構成とされている。
【0059】
次に、本発明の一実施形態の作用及び効果について説明する。
【0060】
本発明の一実施形態に係る遮光装置10によれば、遮光部材14が巻取状態から展開状態に変化される場合には、支持部材16が第一アーム部56と当接され、これにより、開閉部材28が閉状態から開状態に回動される。一方、遮光部材14が展開状態から巻取状態に変化される場合には、支持部材16が第二アーム部58と当接され、これにより、開閉部材28が開状態から閉状態に回動される。従って、開閉部材28を開閉させる機構自体に付勢部材を用いる必要が無いので、開閉部材28が閉状態にある間、作動機構22に負荷が掛かることを抑制することができる。
【0061】
しかも、遮光部材14が中間状態から展開状態に変化される間、支持部材16と第一アーム部56とが離間され、遮光部材14が展開状態から中間状態に変化される間、支持部材16と第二アーム部58とが離間される。従って、この間は、支持部材16に例えばリンク機構30における作動時の抵抗等が作用しないので、作動機構22に負荷が掛かることをより一層低減することができる。
【0062】
また、開閉部材28が閉状態にあるときには、開閉部材28の開方向と反対方向への回動を第一回動規制部42によって規制することができ、開閉部材28が開状態にあるときには、開閉部材28の閉方向と反対方向への回動を第二回動規制部62によって規制することができる。これにより、開閉部材28が開状態又は閉状態にあるときに、不意な振動等により開閉部材28が開位置又は閉位置を超えてしまうことを回避することができる。
【0063】
また、捩りバネ38によって開閉部材28が閉方向に付勢されているので、例えば、振動等が生じても、開閉部材28を閉状態に維持することができる。
【0064】
また、開閉部材28を開方向に回動させる方向に第二リンク部材46が捩りバネ48によって付勢されているので、開閉部材28をより円滑に開状態とすることができる。
【0065】
また、開閉部材28の閉状態において開閉部材28に作用する捩りバネ38による付勢力は、開閉部材28に作用する捩りバネ48による付勢力よりも高く設定されている。従って、捩りバネ48を用いても、開閉部材28が閉状態にある間、作動機構22に負荷が掛かることを抑制することができる。
【0066】
また、開閉部材28が閉状態にあるときには、第一回動連結部32と第二回動連結部50とを結ぶ直線L1と、第二回動連結部50と第三回動連結部52とを結ぶ直線L2とが略直角を成す。従って、開閉部材28が閉状態から開方向に回動されるときには、第二リンク部材46から第一リンク部材44に効果的に力が伝えられるので、作動機構22に掛かる負荷を低減することができる。
【0067】
また、開閉部材28が開状態にあるときには、第二回動連結部50と第四回動連結部54とを結ぶ直線L3よりも第三回動連結部52が遮光部材14の展開方向側に位置される。従って、開閉部材28が開状態にあるときに、例えば、この開閉部材28の自重等により第二回動連結部50に対して第四回動連結部54側に荷重が作用した場合には、第三回動連結部52に対して遮光部材14の展開方向側に分力が作用する。これにより、開閉部材28に閉方向に外力が加わった場合でも、開閉部材28の閉方向への不意な回動を抑制することができる。
【0068】
また、開閉部材28が開状態にあるときには、第二回動連結部50を通り第一回動連結部32と第二回動連結部50とを結ぶ直線L1から第四回動連結部54側に下ろした垂線L4に対し、第四回動連結部54が遮光部材14の展開方向側に位置される。これにより、第二回動連結部50と第四回動連結部54とを結ぶ直線L3を超えて第三回動連結部52が遮光部材14の展開方向側に移動する量が少なくて済み、開閉部材28を開方向に保持し易くできる。また、第一アーム部56と支持部材16との当接時間も短くて済むので、作動機構22に掛かる負荷をより低減することができる。
【0069】
また、第二アーム部58は、開閉部材28が閉状態と開状態とに変化される間、支持部材16の移動軌跡上に位置されるので、第二アーム部58と支持部材16とを確実に当接させることができ、ひいては、遮光部材14を円滑に巻取状態とすることができる。
【0070】
また、第二アーム部58は、リンク機構30及び第一アーム部56に対し、巻取部材12の軸方向にオフセットされている。従って、例えば、遮光部材14が巻取状態とされた場合に、第二アーム部58がリンク機構30及び第一アーム部56と干渉することを抑制することができる。これにより、開閉部材28の開閉が妨げられることを回避することができる。
【0071】
また、第一アーム部56、第二アーム部58、第一回動規制部42、及び、第二回動規制部62が、リンク機構30に一体に形成されているので、部品点数の増加を抑えることができ、ひいては、コストダウンすることができる。
【0072】
特に、第一アーム部56及び第二アーム部58は、第二リンク部材46に一体に形成されているので、リンク機構30の作動に伴い互いに干渉することを抑制することができる。また、第一アーム部56、第二アーム部58、支持部材16との関係も容易に設定することができる。
【0073】
また、第一アーム部56における支持部材16との当接部56Aは、開閉部材28が閉状態にあるときに遮光部材14の展開方向側に凸を成すように湾曲して形成されている。これにより、第一アーム部56の全長を抑えることができるので、閉状態での開閉部材28の高さを抑えることができる。
【0074】
次に、本発明の一実施形態の変形例について説明する。
【0075】
上述の本発明の一実施形態において、第一アーム部56は、リンク機構30に設けられていたが、図9に示されるように、開閉部材28に設けられていても良く、また、リンク機構30と開閉部材28の両方に設けられていても良い。同様に、第二アーム部58も、開閉部材28に設けられていても良く、また、リンク機構30と開閉部材28の両方に設けられていても良い。
【0076】
また、第一回動規制部42は、開閉部材28に設けられていたが、図10に示されるように、リンク機構30(第二リンク部材46)に設けられていても良く、また、リンク機構30と開閉部材28の両方に設けられていても良い。同様に、第二回動規制部62は、リンク機構30(第二リンク部材46)に設けられていたが、図10に示されるように、開閉部材28に設けられていても良く、また、リンク機構30と開閉部材28の両方に設けられていても良い。
【0077】
また、第一アーム部56、第二アーム部58、及び、第二回動規制部62は、第二リンク部材46に一体に形成されていたが、第二リンク部材46と別体とされて、第二リンク部材46に取り付けられていても良い。同様に、第一回動規制部42は、開閉部材28に一体に形成されていたが、開閉部材28と別体とされて、開閉部材28に取り付けられていても良い。
【0078】
また、遮光装置10は、本発明における第一当接部及び第二当接部の一例として、アーム状の第一アーム部56及び第二アーム部58を有していたが、図11に示されるように、アーム状以外の形状とされた第一当接部66及び第二当接部68を有していても良い。
【0079】
また、第一アーム部56及び第二アーム部58は、第二リンク部材46に一体に形成されていたが、第一リンク部材44に一体に形成されていても良い。
【0080】
また、作動機構22は、作動部材の一例として、樹脂製のケーブル24を備えていたが、その他の部材を備えていても良い。
【0081】
また、遮光装置10は、乗用自動車等の車両におけるリアガラス用とされていたが、その他の場所に使用されても良い。
【0082】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0083】
10・・・遮光装置、12・・・巻取部材、14・・・遮光部材、16・・・支持部材、18・・・本体部材、20・・・案内部材、22・・・作動機構、24・・・ケーブル(作動部材)、26・・・駆動ユニット、28・・・開閉部材、30・・・リンク機構、32・・・第一回動連結部、34・・・リアパッケージトレイ、36・・・スリット部(移動経路)、38・・・捩りバネ(閉方向付勢部材)、40・・・第一受け部、42・・・第一回動規制部、44・・・第一リンク部材、46・・・第二リンク部材、48・・・捩りバネ(開方向付勢部材)、50・・・第二回動連結部、52・・・第三回動連結部、54・・・第四回動連結部、56・・・第一アーム部(第一当接部)、58・・・第二アーム部(第二当接部)、60・・・第二受け部、62・・・第二回動規制部、66・・・第一当接部、68・・・第二当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状に形成され、巻取部材に巻き取られた巻取状態と、前記巻取部材から展開された展開状態とを取り得る遮光部材と、
前記遮光部材における展開側の端部に設けられ、作動部材によって移動されることに伴って前記遮光部材を前記巻取状態と前記展開状態とに変化させる支持部材と、
前記巻取部材を支持する本体部材と、
前記本体部材に回動可能に連結され、前記支持部材の移動経路を開閉する開閉部材と、
前記本体部材に対して前記開閉部材を支持するリンク機構と、
前記リンク機構及び前記開閉部材の少なくとも一方に設けられ、前記遮光部材を前記巻取状態から前記展開状態に変化させる方向に前記支持部材が移動される場合に、前記支持部材と当接されて前記開閉部材を閉状態から開状態に回動させる第一当接部と、
前記リンク機構及び前記開閉部材の少なくとも一方に設けられ、前記遮光部材を前記展開状態から前記巻取状態に変化させる方向に前記支持部材が移動される場合に、前記支持部材と当接されて前記開閉部材を開状態から閉状態に回動させる第二当接部と、
を備えた遮光装置。
【請求項2】
前記リンク機構及び前記開閉部材の少なくとも一方に設けられ、前記開閉部材が閉状態にあるときに第一受け部と当接されて、前記開閉部材の開方向と反対方向への回動を規制する第一回動規制部と、
前記リンク機構及び前記開閉部材の少なくとも一方に設けられ、前記開閉部材が開状態にあるときに第二受け部と当接されて、前記開閉部材の閉方向と反対方向への回動を規制する第二回動規制部と、
を備えた請求項1に記載の遮光装置。
【請求項3】
前記第一当接部、前記第二当接部、前記第一回動規制部、及び、前記第二回動規制部は、前記リンク機構及び前記開閉部材の少なくともいずれかに一体に形成されている、
請求項2に記載の遮光装置。
【請求項4】
前記開閉部材を閉方向に付勢する閉方向付勢部材を備えた、
請求項3に記載の遮光装置。
【請求項5】
前記リンク機構は、一端側が前記開閉部材に回動可能に連結された第一リンク部材と、
一端側が前記第一リンク部材の他端側に回動可能に連結され、他端側が前記本体部材に回動可能に連結された第二リンク部材と、
前記開閉部材を開方向に回動させる方向に前記第二リンク部材を付勢する開方向付勢部材と、を有し、
前記開閉部材の閉状態において前記開閉部材に作用する前記閉方向付勢部材による付勢力が、前記開閉部材に作用する前記開方向付勢部材による付勢力よりも高く設定されている、
請求項4に記載の遮光装置。
【請求項6】
前記開閉部材は、前記本体部材に第一回動連結部を介して回動可能に連結され、
前記リンク機構は、一端側が前記開閉部材に第二回動連結部を介して回動可能に連結された第一リンク部材と、一端側が前記第一リンク部材の他端側に第三回動連結部を介して回動可能に連結され、他端側が前記本体部材に回動可能に連結された第二リンク部材と、を有し、
前記第一当接部は、前記第二リンク部材に設けられ、
前記第一回動連結部と前記第二回動連結部とを結ぶ直線と、前記第二回動連結部と前記第三回動連結部とを結ぶ直線とは、前記開閉部材が閉状態にあるときに直角を成す、
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の遮光装置。
【請求項7】
前記開閉部材は、前記本体部材に第一回動連結部を介して回動可能に連結され、
前記リンク機構は、一端側が前記開閉部材に第二回動連結部を介して回動可能に連結された第一リンク部材と、一端側が前記第一リンク部材の他端側に第三回動連結部を介して回動可能に連結され、他端側が前記本体部材に第四回動連結部を介して回動可能に連結された第二リンク部材と、を有し、
前記第三回動連結部は、前記開閉部材が開状態にあるときに、前記第二回動連結部と前記第四回動連結部とを結ぶ直線よりも前記遮光部材の展開方向側に位置される、
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の遮光装置。
【請求項8】
前記第四回動連結部は、前記開閉部材が開状態にあるときに、前記第二回動連結部を通り前記第一回動連結部と前記第二回動連結部とを結ぶ直線から前記第四回動連結部側に下ろした垂線に対し、前記遮光部材の展開方向側に位置される、
請求項7に記載の遮光装置。
【請求項9】
前記第二当接部は、前記開閉部材が閉状態と開状態とに変化する間、前記支持部材の移動軌跡上に位置される、
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の遮光装置。
【請求項10】
前記第一当接部及び前記第二当接部は、前記リンク機構及び前記開閉部材の少なくとも一方から延出されたアーム状に形成され、
前記第二当接部は、前記リンク機構及び前記第一当接部に対し、前記巻取部材の軸方向にオフセットされている、
請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の遮光装置。
【請求項11】
前記リンク機構は、一端側が前記開閉部材に回動可能に連結された第一リンク部材と、
一端側が前記第一リンク部材の他端側に回動可能に連結され、他端側が前記本体部材に回動可能に連結された第二リンク部材と、を有し、
前記第一当接部及び前記第二当接部は、前記第一リンク部材又は前記第二リンク部材に一体に形成されている、
請求項10に記載の遮光装置。
【請求項12】
前記第一当接部は、前記開閉部材が閉状態にあるときに前記支持部材の移動軌跡上に位置されると共に、前記遮光部材が前記巻取状態から前記巻取状態と前記展開状態との中間状態に変化される間、前記支持部材と当接されて前記開閉部材を閉状態から開状態に回動させ、前記遮光部材が前記中間状態から前記展開状態に変化される間、前記支持部材と離間され、
前記第二当接部は、前記開閉部材が開状態にあるときに前記支持部材の移動軌跡上に位置されると共に、前記遮光部材が前記展開状態から前記中間状態に変化される間、前記支持部材と離間され、前記遮光部材が前記中間状態から前記巻取状態に変化される間、前記支持部材と当接されて前記開閉部材を開状態から閉状態に回動させる、
請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の遮光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−240576(P2012−240576A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113657(P2011−113657)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)