説明

遮断システム

【課題】機器の故障が発生しても、利便性を考慮し且つ安全性を確保する。
【解決手段】操作装置10は、システム管理者等によって設定手段16が設定されると、その設定状態を示す故障判断情報を故障判断情報送信手段11aによって遮断弁ユニット20に送信する。遮断弁ユニット20は操作装置10からの電力の供給によって動作し、通信手段23を介して受信した弁閉要求信号に基づいて、駆動制御手段21aが駆動手段27を制御して遮断弁26を弁閉する。故障判断情報取得手段21a2によって操作装置10から予め定められた任意のタイミングで取得した故障判断情報を故障判断情報記憶手段22に記憶する。故障発生検出手段21a3によって前記故障判断情報に対応する故障発生を検出すると、故障発生検出手段21a3によって検出した故障に対応する前記故障判断情報が示す遮断動作又は復帰動作の少なくとも一方に応じて駆動手段27が制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に接続された操作装置からの電力の供給で動作すると共に、操作装置からの遮断要求信号の受信に応じて遮断弁を弁閉する遮断弁ユニットを有する遮断システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1等に示すガス遮断弁制御装置は、ガスを供給する供給路に設けられたガス遮断弁の弁開/弁閉を操作する操作手段を有し、利用者、作業者等による操作手段の遮断操作に応じてガス遮断弁を遮断するものである。そして、このようなガス遮断弁制御装置は、例えばガス使用開始時に弁閉操作して弁閉状態にあるガス遮断弁の下流側の配管等におけるガス漏れを検査する機能を有している。
【特許文献1】特開平2−116386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
また、上記操作手段は、屋内等に設けられ、ガス遮断弁制御装置の他にも各種警報器が接続されている。そして、上記操作手段は、警報器の故障やガス遮断弁制御装置との間の断線時等にその故障内容を表示する機能を有している。しかしながら、その操作手段は動作制限がされていないため、例えば警報器が故障していても自由に遮断弁に対する弁開/弁閉の操作が可能であり、安全性を低下させる虞があった。特に、このガス供給設備が業務用に使用使用されている場合、警報器が故障している状態で操作手段を操作可能とすることは、利便性は犠牲にしていないが、安全性の点では完全ではない。また、ガス遮断弁制御装置と上記操作手段との間の信号線の断線等が生じている場合、上記操作手段からガス遮断弁制御装置の弁閉を操作することができないため、安全性を確保することが困難であるという問題も生じる。
【0004】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、機器の故障が発生しても、利便性を考慮し且つ安全性を確保することができる遮断システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載の遮断システムは、図1の基本構成図に示すように、遮断弁ユニット20と、前記遮断弁ユニット20に電力を供給し且つ弁開閉要求信号を前記遮断弁ユニット20に送信する操作装置10と、を有する遮断システム1において、前記遮断弁ユニット20が、遮断弁26と、操作装置10と電気的に接続され且つ前記操作装置10からの電力によって前記遮断弁26を駆動する駆動手段27と、前記操作装置10との間で通信を行う通信手段23と、前記通信手段23を介して受信した弁開閉要求信号に基づいて前記駆動手段27を制御して前記遮断弁26を弁開閉する駆動制御手段21a1と、前記操作装置10又は前記遮断弁ユニット20の少なくとも一方における故障発生時に、前記遮断弁の遮断動作又は復帰動作の少なくとも一方を判断するための故障判断情報を、前記操作装置10から前記通信手段23を介して取得する故障判断情報取得手段21a2と、前記故障判断情報取得手段21a2が取得した故障判断情報を記憶する故障判断情報記憶手段22と、前記故障判断情報記憶手段22が記憶している故障判断情報に対応した故障の発生を検出する故障発生検出手段21a3と、を有し、前記操作装置10が、前記故障判断情報を設定するための設定手段16と、前記遮断弁ユニット20との間で通信を行う装置側通信手段13と、前記装置側通信手段13を介して予め定められたタイミングで前記設定手段16によって設定された前記故障判断情報を前記遮断弁ユニット20に送信する故障判断情報送信手段11aと、を有し、前記駆動制御手段21a1が、前記故障発生検出手段21a3によって検出した故障に対応する前記故障判断情報が示す動作に応じて前記駆動手段27を制御して前記遮断弁26を駆動させる手段であることを特徴とする。
【0006】
上記請求項1に記載した本発明の遮断弁システムによれば、操作装置10は、システム管理者等によって設定手段16が設定されると、その設定状態を示す故障判断情報を故障判断情報送信手段11aによって遮断弁ユニット20に送信する。また、遮断弁ユニット20は操作装置10からの電力の供給によって動作し、通信手段23を介して受信した弁閉要求信号に基づいて、駆動制御手段21aが駆動手段27を制御して遮断弁26を弁閉する。また、故障判断情報取得手段21a2によって操作装置10から予め定められた任意のタイミングで取得した故障判断情報を故障判断情報記憶手段22に記憶する。そして、故障発生検出手段21a3によって前記故障判断情報に対応した通信異常、操作装置10側、ユニット側等の故障発生を検出すると、故障発生検出手段21a3によって検出した故障に対応する前記故障判断情報が示す遮断動作又は復帰動作の少なくとも一方に応じて駆動手段27が制御される。
【0007】
請求項2記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1に記載の遮断システムにおいて、前記故障判断情報が、前記遮断弁26の復帰が可能か否かを示すデータを有し、前記遮断弁ユニット20の駆動制御手段21a1が、前記故障発生検出手段21a3による故障発生の検出に応じて前記駆動手段27を制御して前記遮断弁26を弁閉した後、前記故障判断情報が復帰可能を示しているときは当該遮断弁26を弁開させ、また、前記故障判断情報が復帰不可能を示しているときは当該遮断弁26の弁開を禁止する手段であることを特徴とする。
【0008】
上記請求項2に記載した本発明の遮断システムによれば、遮断弁ユニット20の駆動制御手段21a1は、故障発生検出手段21a3による故障発生の検出に応じて駆動手段27を制御して前記遮断弁26を弁閉した後は、前記故障判断情報が復帰可能を示しているときは当該遮断弁26を弁開させ、また、前記故障判断情報が復帰不可能を示しているときは当該遮断弁26の弁開を禁止することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように請求項1に記載した本発明によれば、遮断弁ユニットが操作装置から取得した故障判断情報に対応した故障発生を検出すると、当該故障判断情報が示す動作となるように遮断弁を制御するようにしたことから、故障判断情報の構成によって故障発生時における遮断弁の遮断動作又は復帰動作の少なくとも一方を設定することができるため、遮断弁ユニットを操作装置によって操作できない状態となっても、遮断弁をより安全に制御することができる。また、操作装置によって故障判断情報を個別に設定することができるため、利用者の利用形態に適した条件で遮断弁を制御して安全を確保することができる。従って、機器の故障が発生しても、利便性を考慮し且つ安全性を確保することができる。
【0010】
請求項2に記載した本発明によれば、故障発生の検出に応じて遮断弁を弁閉した後は故障判断情報で遮断弁の復帰動作を設定することができるため、利便性を考慮して確保した安全性を持続させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る遮断弁ユニットを有する遮断システムをガス保安システムに適用する場合の一実施形態を、図1〜図3の図面を参照して以下に説明する。
【0012】
図2において、ガス保安システム1は、宅内等に設けられる操作装置10と、ガス供給路の配管5に組み込まれ且つ操作装置10の制御等によって配管5を遮断する遮断弁ユニット20と、を有して構成している。そして、操作装置10は、外部電源2及び遮断弁ユニット20と電気的に接続されており、当該外部電源2から供給される電力によって動作すると共に、その電力を遮断弁ユニット20に供給している。
【0013】
操作装置10は、予め定められたプログラムに従って動作するマイクロプロセッサ(MPU)11を有している。MPU11は、周知のように、予め定めたプログラムに従って各種の処理や制御などを行う中央演算処理装置(CPU)11a、CPU11aのためのプログラム等を格納した読み出し専用のメモリであるROM11b、各種のデータを格納するとともにCPU11aの処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM11c等を有して構成している。そして、ROM11bは、CPU11aを図1に示す請求項中の故障判断情報送信手段11a1として機能させるためのプログラムを記憶している。
【0014】
操作装置10はさらに、メモリ部12と、通信部13と、停電検出部14、バックアップ電源15、設定部16、表示部17と、操作部18と、接続部19と、を有しており、MPU11と電気的に接続されている。
【0015】
メモリ部12は、電力供給が断たれた場合でも、格納された各種データの保持が可能であり、CPU11aの処理作業に必要な各種格納エリアを有する電気的消去/書き換え可能なメモリ(EEPROM)等が用いられる。このメモリ部12には、故障判断情報D1が記憶される。本実施形態では、故障判断情報D1が遮断弁26を遮断するか否か、遮断した遮断弁26が復帰可能か否か等の項目がON/OFFで設定された設定データを有する場合について説明するが、本発明がこれに限定するものではなく、予め定められた複数の故障内容の各々に対応した項目データを有するなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0016】
通信部13は、図1に示す請求項中の装置側通信手段に相当し、電源線3と信号線4とを有するケーブルと電気的に接続されると共に、MPU11と電気的に接続されている。通信部13は、電源線3を介して遮断弁ユニット20に、外部電源2又はバックアップ電源15からの電力を供給する。通信部13は、信号線4を介してMPU11から入力される各種電文を示す信号を遮断弁ユニット20に送信すると共に、信号線4を介して遮断弁ユニット20から受信した信号が示す電文をMPU11に出力する。
【0017】
停電検出部14は、トランジスタ、フォトカプラ、リレー等が任意に用いられ、本実施形態では、トランジスタを用いた場合について説明する。そして、停電検出部14は、MPU11の停電検出ポートが電気的に接続されており、MPU11が停電検出ポートの状態変化によって停電発生状況が判断できる構成となっている。
【0018】
バックアップ電源15は、大容量のコンデンサーや電池によって実現された直流電源となっている。バックアップ電源15は、例えば100秒などの停電時にMPU11を動作させるのに必要な電力を考慮した容量となっている。MPU11は、そのバックアップ電力によって停電時に遮断弁ユニット20に対して遮断要求信号を送信する。
【0019】
設定部16は、図1に示す請求項中の設定手段に相当し、操作装置10又は遮断弁ユニット20の少なくとも一方における遮断弁26を弁閉すべき故障をシステム管理者等に設定させるためのディップスイッチを有している。設定部16は、操作装置10のケース本体で隠され且つシステム管理者等によってのみ操作が可能な構成となっている。設定部16は、前記ディップスイッチが操作装置10の設置時、ガス需要者からの設定変更が要求されたとき等にシステム管理者等によって設定され、MPU11によってディップスイッチの設定状態が検出される。なお、前記設定手段としては、ジャンパーの有無等で実現するなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0020】
表示部17は、MPU11と電気的に接続されており、MPU11からの要求に応じて表示が可能な構成となっている。表示部17は、図示しないが、警報器故障、停電検知、故障検知、検査中等の各々に対応したLEDの点灯によって表示状態となり、LEDの消灯によって非表示状態となる。
【0021】
操作部18は、MPU11と電気的に接続されており、利用者、作業者等に各種データの入力、選択を行わせる、ための複数の操作スイッチと、弁開スイッチと、弁閉スイッチと、を有している。操作部18は、それらの操作スイッチに対する操作に応じた操作信号をMPU11に出力する。そして、操作部18の弁開スイッチ又は弁閉スイッチが操作されると、MPU11は弁開要求信号又は弁閉要求信号を信号線4を介して遮断弁ユニット20に送信する。
【0022】
接続部19は、公知である屋内等に設けられた警報器30等の外部機器と各種信号の送受信が可能な接続端子などが用いられる。接続部19は、MPU11と電気的に接続され、警報器30から入力されるガス漏れ検知信号等の入力信号をMPU11に出力する。
【0023】
このように構成した操作装置10のCPU11aは、外部電源2からの電力供給によって起動されると、所定のプログラムを実行することで、その電力の一部を通信部13の電源線3を介して遮断弁ユニット20に供給する。これにより、遮断弁ユニット20は起動されて動作可能状態となる。
【0024】
操作装置10は、接続部19に接続された警報器30の故障や操作装置10と遮断弁ユニット20との間の断線時等にはその故障内容を表示部17で表示する。また、操作装置10は、遮断弁ユニット20との間でシリアル通信を行い、遮断弁26が弁開状態にあるときは、表示部17の内蔵ブザーを鳴動させる。そして、前記ブザーは操作部18のブザー停止スイッチの操作で停止可能で、故障が継続していると一定時間後に再鳴動する。さらに、遮断弁26が弁閉状態にあるときは、安全が確保されているため、前記ブザーを鳴動させなくてもよい。
【0025】
次に、上述した操作装置10から供給される電力によって動作する遮断弁ユニット20の概略構成の一例を、図2の図面を参照して以下に説明する。
【0026】
遮断弁ユニット20は、上述した操作装置10から電源線3等を介して供給された電力によって駆動され、予め定められたプログラムに従って動作するマイクロプロセッサ(MPU)21と、メモリ部22と、通信部23と、停電検出回路24と、バックアップ電源25と、遮断弁26と、駆動部27と、圧力センサ28と、を有して構成しており、それらは電気的に接続されている。
【0027】
MPU21は、上述したように、CPU21aとROM21bとRAM21cとを有している。ROM21bは、CPU21aを図1に示す請求項中の駆動制御手段21a1、故障判断情報取得手段21a2、及び、故障発生検出手段21a3として機能させるための故障時制御処理プログラム等を記憶している。そして、CPU21aが故障検出プログラムを実行することで、駆動制御手段21a1、故障判断情報取得手段21a2、及び、故障発生検出手段21a3と機能することになる。
【0028】
メモリ部22は、操作装置10から取得した故障判断情報D1等を記憶する記憶領域を有している。メモリ部22は、後述する弁開禁止フラグ等の各種情報を記憶する。そして、弁開禁止フラグは、ON/OFFが設定され、ON状態では弁閉状態の遮断弁26の弁開を禁止を意味し、また、OFF状態では弁閉状態の遮断弁27の弁開可能を意味している。
【0029】
通信部23は、上述した電源線3と信号線4と電気的に接続されると共に、MPU21と電気的に接続されている。通信部23は、前記電源線3を介して操作装置10から外部電源2又はバックアップ電源15の電力が供給され、その電力をMPU21に出力することで、MPU21が動作する構成となっている。通信部23は、前記信号線4を介してMPU21から入力される各種電文を示す信号を操作装置10に送信すると共に、前記信号線4を介して操作装置10から受信した信号が示す電文をMPU21に出力する。
【0030】
停電検出部24は、トランジスタ、フォトカプラ、リレー等が任意に用いられる。そして、停電検出部24は、上述した操作装置10の停電検出部14と同一の構成となっており、操作装置10からの電力供給の停止を停電として検出している。
【0031】
バックアップ電源25は、大容量のコンデンサーや電池によって実現された直流電源となっている。バックアップ電源25は、モータ駆動方式の遮断弁26を遮断駆動させる(例えば30秒など)電力、停電時に所定の時間にわたってMPU21を動作させるのに必要な電力を考慮した十分な容量となっている。
【0032】
遮断弁26は、駆動部27を介してMPU21に電気的に接続されており、モータ駆動方式遮断弁、ソレノイド方式遮断弁等が任意に用いられる。本実施形態では、遮断弁26としてモータ駆動方式遮断弁を用いる場合について説明する。そして、遮断弁26は、MPU21によって弁閉されると、配管5におけるガスの供給を遮断し、また、弁開されると、配管5におけるガスの供給を可能とする。駆動部27は、図1に示す請求項中の駆動手段27に相当し、MPU21からの弁閉要求に応じて遮断弁26に弁閉駆動信号を出力し、または、弁開要求に応じて遮断弁26に弁開駆動信号を出力することで、遮断弁26が駆動される。
【0033】
また、遮断弁ユニット20のCPU21aは、通信部23を介して操作装置10から弁閉要求信号を受信すると、上述したように駆動部27を制御して遮断弁26を弁閉し、また、弁開要求信号を受信すると、駆動部28を制御して遮断弁26を弁開する。このようにCPU21aは、図1に示す請求項中の駆動制御手段21a1として機能している。
【0034】
圧力センサ28は、MPU21に電気的に接続されており、配管5内の気体の空気圧の変化を感圧素子にて圧力信号に変換する機械式又は電子式のものが任意に用いられる。圧力センサ25は、遮断弁26の下流側(ガス供給側)における配管5内の圧力を感知して圧力信号をMPU21に出力する。
【0035】
次に、メモリ部22に記憶する故障判断情報D1が示す遮断弁26を弁閉すべき故障の一例としては、操作装置10に関する故障、遮断弁26に関する故障、配線に関する不具合等の故障が挙げられる。より詳細には、遮断弁ユニット20で操作装置10からの遮断要求信号の受信ができない、警報器30による警報ができない、停電検出部14、24で検出不能などの各種故障が挙げられる。このように故障判断情報D1は、機器の故障が発生しても、利便性を考慮し且つ安全性を確保するために予め任意に定められ且つ上記故障検出プログラムによって参照される。
【0036】
次に、CPU21aが実行する故障時制御処理プログラムの一例を、図3に示すフローチャートを参照して以下に説明する。なお、この故障時制御処理は、CPU21aの起動後、所定間隔毎に実行されることを前提としている。
【0037】
外部電源2からの電力供給により起動されたCPU21aによってROM21bの故障時制御処理プログラムが実行されると、ステップS11において、通信部23を介して故障判断情報D1を受信したか否かが判定される。故障判断情報D1を受信していないと判定された場合(S11でN)、ステップS13に進む。一方、故障判断情報D1を受信していると判定された場合(S11でY)、ステップS12において、受信した故障判断情報D1がメモリ部12に記憶され、その後ステップ13に進む。
【0038】
ステップS13において、故障時制御処理プログラムと同時に実行されている故障発生検出処理プログラムによって、操作装置10からの受信情報に基づいて操作装置10又は警報器30で故障が発生しているか、通信部23や圧力センサ28へのセンシング、停電検出部24の状態を確認等により、操作装置10、遮断弁ユニット20、警報器30の中で故障発生を検出しているか否かが判定される。故障発生を検出していないと判定された場合(S13でN)、その後処理を終了する。一方、故障発生を検出していると判定された場合(S13でY)、ステップS14に進む。
【0039】
ステップS14において、検出した故障が故障判断情報D1に対応した故障であるか否かが判定される。遮断対象の故障ではないと判定された場合(S14でN)、その後処理を終了する。一方、ステップS14で遮断対象の故障であると判定された場合(S14でY)、ステップS15において、通信部23の電源線3を介して供給された電力が駆動部27に供給されると共に、弁閉が要求されることで、駆動部27によって遮断弁26が弁閉位置まで駆動され、ステップS16において、メモリ部22の弁開禁止フラグにONが設定され、その後ステップ17に進む。
【0040】
ステップS17において、上述した故障発生検出処理プログラムによって故障が復旧したか否かが判定される。故障が復旧していないと判定された場合(S17でN)、処理を終了する。一方、故障が復旧していると判定された場合(S17でY)、ステップS18において、メモリ部12の弁開禁止フラグにOFFが設定され、その後処理を終了する。
【0041】
以上説明したように、図3に示す故障時制御処理において、ステップS15が前記駆動制御手段21a1、ステップS11,12が前記故障判断情報取得手段21a2、ステップS13が故障発生検出手段21a3にそれぞれ相当している。
【0042】
次に、上述した構成のガス保安システム1における操作装置10及び遮断弁ユニット20の本発明に係る動作(作用)の一例を以下に説明する。
【0043】
操作装置10はガス供給先の屋内等に設置されるときに、設定部16によって遮断弁26を弁閉すべき故障が設定され、該設定部16はケース本体で隠された状態となる。そして、外部電源2からの電力供給によって起動される操作装置10は、その電力を遮断弁ユニット20に供給すると共に、操作装置10内の故障や警報器30の故障を監視し、故障の検出に応じて当該故障を示す故障信号を遮断弁ユニット20に送信する。
【0044】
遮断弁ユニット20は、操作装置10から故障判断情報D1を取得してメモリ部22に記憶すると、当該故障判断情報D1が示す遮断弁21を遮断すべき故障の発生を監視する。そして、遮断弁ユニット20はその故障として操作装置10との間で通信ができない等の異常を前記故障発生として検出すると、駆動部27を制御して遮断弁26を遮断させる。この場合、操作装置10を操作しても遮断弁ユニット20に弁閉要求信号を送信できないが、遮断弁ユニット20はその故障発生を検出して遮断弁26を遮断させるため、遮断弁ユニット20の判断によって安全を確保できる。
【0045】
また、遮断弁ユニット20は、故障判断情報D1が示す故障発生を検出して遮断弁26を弁閉させている状態で、操作部18の弁開操作に応じて操作装置10から弁開要求信号を受信しても、その弁開要求を無視するため、無闇に遮断弁26が復旧されることを防止できる。よって、従来システムを上回る安全性を確保することができる。
【0046】
また、利便性を重視する業務用のガス保安システム1の場合、設定部16によって遮断弁26を弁閉すべき故障の設定をOFFとすることで、それに対応した故障判断情報D1が操作装置10から遮断弁ユニット20に送信される。そして、操作装置10は通信部13の通信異常を検出すると、故障検知を表示部17で警報する。このとき、遮断弁ユニット20は、故障判断情報D1の設定によって通信部23の異常を検出しても、遮断弁26を遮断しない。よって、利用者は操作装置10による警報によって遮断システム1で通信異常が発生していることを認識できるため、業務に支障を来すことなく、機器修理を手配することができる。または、操作装置10が警報情報をシステム管理会社等に直接通知するようにしてもよい。
【0047】
以上説明したガス保安システム1によれば、遮断弁ユニット20が操作装置10から取得した故障判断情報に対応した故障発生を検出すると、当該故障判断情報が示す動作となるように遮断弁26を制御するようにしたことから、故障判断情報の構成によって故障発生時における遮断弁26の遮断動作又は復帰動作の少なくとも一方を設定することができるため、遮断弁ユニット20を操作装置10によって操作できない状態となっても、遮断弁26をより安全に制御することができる。また、操作装置10によって故障判断情報を個別に設定することができるため、利用者の利用形態に適した条件で遮断弁26を制御して安全を確保することができる。従って、機器の故障が発生しても、利便性を考慮し且つ安全性を確保することができる。
【0048】
また、遮断弁ユニット20は故障発生の検出に応じて遮断弁26を弁閉した後は故障判断情報で遮断弁の復帰動作を設定することができるため、利便性を考慮して確保した安全性を持続させることができる。
【0049】
このように上述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の遮断システムの基本構成を示す構成図である。
【図2】本発明を適用したガス保安システムの概略構成を示すシステム構成図である。
【図3】図2中のCPUが実行する本発明に係る故障時制御処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1 遮断システム(ガス保安システム)
10 操作装置
11a1 故障判断情報送信手段(操作装置のCPU)
13 装置側通信手段
16 設定手段
20 遮断弁ユニット
21a1 駆動制御手段(遮断弁ユニットのCPU)
21a2 故障判断情報取得手段(遮断弁ユニットのCPU)
21a3 故障発生検出手段(遮断弁ユニットのCPU)
22 故障判断情報記憶手段
23 通信手段
26 遮断弁
27 駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮断弁ユニットと、前記遮断弁ユニットに電力を供給し且つ弁開閉要求信号を前記遮断弁ユニットに送信する操作装置と、を有する遮断システムにおいて、
前記遮断弁ユニットが、遮断弁と、操作装置と電気的に接続され且つ前記操作装置からの電力によって前記遮断弁を駆動する駆動手段と、前記操作装置との間で通信を行う通信手段と、前記通信手段を介して受信した弁開閉要求信号に基づいて前記駆動手段を制御して前記遮断弁を弁開閉する駆動制御手段と、前記操作装置又は前記遮断弁ユニットの少なくとも一方における故障発生時に、前記遮断弁の遮断動作又は復帰動作の少なくとも一方を判断するための故障判断情報を、前記操作装置から前記通信手段を介して取得する故障判断情報取得手段と、前記故障判断情報取得手段が取得した故障判断情報を記憶する故障判断情報記憶手段と、前記故障判断情報記憶手段が記憶している故障判断情報に対応した故障の発生を検出する故障発生検出手段と、を有し、
前記操作装置が、前記故障判断情報を設定するための設定手段と、前記遮断弁ユニットとの間で通信を行う装置側通信手段と、前記装置側通信手段を介して予め定められたタイミングで前記設定手段によって設定された前記故障判断情報を前記遮断弁ユニットに送信する故障判断情報送信手段と、を有し、
前記駆動制御手段が、前記故障発生検出手段によって検出した故障に対応する前記故障判断情報が示す動作に応じて前記駆動手段を制御して前記遮断弁を駆動させる手段であることを特徴とする遮断システム。
【請求項2】
前記故障判断情報が、前記遮断弁の復帰が可能か否かを示すデータを有し、
前記遮断弁ユニットの駆動制御手段が、前記故障発生検出手段による故障発生の検出に応じて前記駆動手段を制御して前記遮断弁を弁閉した後、前記故障判断情報が復帰可能を示しているときは当該遮断弁を弁開させ、また、前記故障判断情報が復帰不可能を示しているときは当該遮断弁の弁開を禁止する手段であることを特徴とする請求項1に記載の遮断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−287836(P2009−287836A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140999(P2008−140999)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【Fターム(参考)】