説明

遮蔽付ケーブルの製造装置

【課題】 金属シールドと積層シールドテープからなる遮蔽付きケーブルの製造を行う時に、積層シールドテープの反転を検出することができる遮蔽付ケーブルの製造装置を提供する。
【解決手段】 ケーブルコア10の外周に金属シールド9からなる第1の遮蔽層と、樹脂フィルムの片面に金属蒸着層を有する積層シールドテープからなる第2の遮蔽層2aとが設けられた遮蔽付ケーブルの製造装置であって、前記金属シールドとシールドガイドと前記積層シールドテープとテープガイドとの間で電気的回路が形成され、前記シールドガイドと前記テープガイドとの間で導通がない時、前記製造装置を停止する手段を設けたことを特徴とする遮蔽付ケーブルの製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層シールドテープと金属シールドを備えた遮蔽付ケーブルの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ケーブルコアの外周に横巻きシールドやテープ巻きを行うことができる製造装置として巻取り回転型撚合機が知られている。例えば、図7に示すように回転するサプライ装置100に装着したサプライボビン3から送出されたケーブルコア10は回転する巻取り装置200に装着された巻取りボビン4に巻き取られる。この時、ケーブルコア10は回転するサプライ装置100と巻取り装置200との間で回転しながら走行し巻取りボビン4に一定スピードで巻き取られる。
【0003】
この回転しながら走行するケーブルコア10の外周に横巻きシールドを設ける場合には、各々シールドサプライ5から供給された複数本のシールド素線9を回転しながら走行するケーブルコア10の外周に沿わせることで、シールド素線9はケーブルコア10の外周に巻き付き横巻きシールドを形成する。同様に、テープサプライから供給されたテープを回転しながら走行するケーブルコア10の外周に沿わせることでケーブルコア10にテープを巻き付けることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このように、回転しながら走行するケーブルコア10の外周に複数本のシールド素線やテープを沿わせることで、横巻きシールドやテープ巻きを同一工程で行うことができる。
【特許文献1】特開平4−262313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。
【0006】
従来、遮蔽付ケーブルの製造装置においてテープやシールド素線が切れた事を検出し製造装置を停止することは行なわれていたが、ケーブルコアの外周にテープを巻き付ける時にテープの反転を検出する事は行なわれていなかった。
【0007】
このため遮蔽付きケーブルの製造において、テープの反転が生じてもテープの反転を検出することができず、テープの反転したケーブルを製造してしまうという問題が有った。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、ケーブルコアの外周にテープが反転すること無くケーブルに巻き付いていることを連続的に検出し、またテープの反転が生じた時には製造装置が停止する遮蔽付ケーブルの製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するため、次の構成を採用する。
【0010】
本発明の構成の1は、ケーブルコアと、前記ケーブルコアの外周に金属シールドからなる第1の遮蔽層と、前記第1の遮蔽層の外周に樹脂フィルムの片面に金属蒸着層を有する積層シールドテープからなる第2の遮蔽層とが設けられた遮蔽付ケーブルの製造装置であって、前記製造装置は、前記ケーブルコアを供給するサプライボビンを備えたサプライ装置と、前記金属シールドを供給するシールドサプライと、前記ケーブルコアの外周に前記金属シールドを案内するシールドガイドと、前記積層シールドテープを供給するテープサプライと、前記金属シールドの外周に前記積層シールドテープを案内するテープガイドと、前記遮蔽付ケーブルを巻き付ける巻取りボビンとを備えた巻取り装置からなり、前記金属シールドと前記シールドガイドと前記積層シールドテープと前記テープガイドとの間で電気的回路が形成され、前記シールドガイドと前記テープガイドとの間で導通がない時、前記製造装置を停止する手段を設けたことを特徴とする遮蔽付ケーブルの製造装置である。
【0011】
次に本発明の構成の2は、ケーブルコアと、前記ケーブルコアの外周に樹脂フィルムの片面に金属蒸着層を有する積層シールドテープからなる第1の遮蔽層と、前記第1の遮蔽層の外周に金属シールドからなる第2の遮蔽層とが設けられた遮蔽付ケーブルの製造装置であって、前記製造装置は、前記ケーブルコアを供給するサプライボビンを備えたサプライ装置と、前記積層シールドテープを供給するテープサプライと、前記ケーブルコアの外周に前記積層シールドテープを案内するテープガイドと、前記金属シールドを供給するシールドサプライと、前記積層シールドテープの外周に前記金属シールドを案内するシールドガイドと、前記遮蔽付ケーブルを巻き付ける巻取りボビンとを備えた巻取り装置からなり、前記金属シールドと前記シールドガイドと前記積層シールドテープと前記テープガイドとの間で電気的回路が形成され、前記シールドガイドと前記テープガイドとの間で導通がない時、前記製造装置を停止する手段を設けたことを特徴とする遮蔽付ケーブルの製造装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ケーブルコアの外周に金属シールドからなる遮蔽層と、樹脂フィルムの片面に金属蒸着層を有する積層シールドテープを遮蔽層として設けてなる遮蔽付ケーブルを製造する装置において、積層シールドテープの金属蒸着層と金属シールドとの間の導通を検出することにより、ケーブルコアの外周に積層シールドテープが反転すること無く巻き付いていることを連続的に検出することができる。また積層シールドテープの反転が生じた時には積層シールドテープの金属蒸着層と金属シールドとの間の導通が無いことを検出することで製造設備を停止することができる。従って、積層シールドテープが反転した状態でケーブルを製造してしまうという不都合を解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を具体例を用いて説明する。
【0014】
まず、本発明の第1の実施の形態を図1、図2、図3に基づいて説明する。図1は本発明に係る遮蔽付ケーブルの製造装置の構成図を示しており、図2は積層シールドテープ面検出の電気的回路の構成図を示す。また図3は遮蔽付ケーブルの断面図を示すものである。
【0015】
まず本発明の第1の実施の形態の製造装置を用いて製造する遮蔽付ケーブルを図3に基づいて説明する。
【0016】
図3の遮蔽付ケーブルは中心導体11とその外周に内部絶縁層20を設けてなるケーブルコア10の外周に、第1の遮蔽層として複数本のシールド素線9からなる横巻きの金属シールドが設けられている。この第1の遮蔽層の外周には樹脂フィルムの片面に金属を蒸着してなる金属蒸着層50bと樹脂フィルム層50aからなる積層シールドテープ50が第2の遮蔽層として設けられている。ここで第2の遮蔽層を形成する積層シールドテープ50の金属蒸着層50bは第1の遮蔽層に接触するように巻き付けられている。そして第2の遮蔽層の外周には絶縁テープ80による外部絶縁層が設けられている。
【0017】
次に、このような遮蔽付ケーブルを製造する製造装置の一例を図1によりその動作とともに説明する。
【0018】
図1において、本実施の形態の製造装置はケーブルコア10を巻回したサプライボビン3を装着した回転サプライ装置100を備え、この回転サプライ装置100からケーブルコア10が供給される。
【0019】
そして、複数のシールドボビン5aを備えたシールドサプライ5から供給される複数本のシールド素線9をケーブルコア10の外周に案内するシールドガイド1を備え、このシールドガイド1により導かれた複数本のシールド素線9はケーブルコア10の外周に横巻きに巻き付けられて金属シールドからなる第1の遮蔽層が形成される。
【0020】
また、テープサプライ6aから供給される積層シールドテープ50はテープガイド2aにより導かれて第1の遮蔽層の外周に巻き付けられ、第2の遮蔽層として形成されるようになっている。
【0021】
さらに、テープサプライ6bから供給される絶縁テープ80はテープガイド2bにより導かれて第2の遮蔽層の外周に巻き付けられ、外部絶縁層として形成される。そして外部絶縁層が形成された遮蔽付ケーブルが回転フライヤー7により回転されながら巻き付けられ、巻取りボビン4を備えた巻取り装置200により巻き取られるようになっている。
【0022】
このような本発明の遮蔽付ケーブルの製造装置における積層シールドテープ面検出の電気的回路の一例を図2により説明する。
【0023】
図2において、ケーブルコア10の外周にシールドガイド1を介して導かれた複数本のシールド素線9は金属シールドからなる第1の遮蔽層を形成しているが、ここでシールドガイド1とシールド素線9とは常に接している。
【0024】
つぎに、テープガイド2aによりケーブルコア10上の第1の遮蔽層の外周に案内される積層シールドテープ50は金属蒸着層50bをテープガイド2aに面して接するようにして案内される。そして積層シールドテープ50の金属蒸着層50bが第1の遮蔽層に向けて巻き付けられ第2の遮蔽層を形成する。
【0025】
従って、金属シールドとからなる第1の遮蔽層とシールドガイドと積層シールドテープとテープガイドの間において電気的回路が形成され、テープガイド2aとシールドガイド1との間は常に導通がある。このことからテープガイド2aとシールドガイド1の間の導通を検出することで積層シールドテープのテープ面が反転することなくケーブルコアに巻き付いていることを連続的に検出することができる。
【0026】
また、積層シールドテープの反転が生じると第1の遮蔽層と第2の遮蔽層との間の導通が無くなるので、前記シールドガイド1とテープガイド2aとの間で導通が途切れた場合に、その状況を製造装置の駆動部分にフィードバックするなどにより製造装置を停止すれば、積層シールドテープが反転した状態で製造してしまうことはない。
【0027】
次に、本発明の第2の実施の形態を図4、図5、図6に基づいて説明する。図4は本発明に係る遮蔽付ケーブルの製造装置の構成図を示しており、図5は積層シールドテープ面検出の電気的回路の構成図を示す。また図6は遮蔽付ケーブルの断面図を示すものである。
【0028】
ここで、第1の実施の形態で説明した個所と同一の個所は同一番号記号を付すものとする。
【0029】
まず本発明の第2の実施の形態の製造装置を用いて製造する遮蔽付ケーブルを図6に基づいて説明する。
【0030】
図6の遮蔽付ケーブルは中心導体11とその外周に内部絶縁層20を設けてなるケーブルコア10の外周に、第1の遮蔽層として樹脂フィルムの片面に金属を蒸着してなる金属蒸着層50bと樹脂フィルム層50aからなる積層シールドテープ50が設けられている。この第1の遮蔽層の外周には複数本のシールド素線9からなる横巻きの金属シールドが第2の遮蔽層として設けられている。ここで、第1の遮蔽層を形成する積層シールドテープ50の金属蒸着層50bは第2の遮蔽層に接触するように巻き付けられている。そして第2の遮蔽層の外周には絶縁テープ80による外部絶縁層が設けられている。
【0031】
次に、このような遮蔽付ケーブルを製造する製造装置の一例を図4によりその動作とともに説明する。
【0032】
図4において、本実施の形態の製造装置はケーブルコア10を巻回したサプライボビン3を装着した回転サプライ100を備え、この回転サプライ装置100からケーブルコア10が供給される。
【0033】
そして、テープサプライ6aから供給される積層シールドテープ50はテープガイド2aにより導かれてケーブルコア10の外周に巻き付けられ第1の遮蔽層が形成される。
【0034】
また、複数のシールドボビン5aを備えたシールドサプライ5から供給される複数本のシールド素線9を第1の遮蔽層の外周に案内するシールドガイド1を備え、このシールドガイド1により導かれた複数本のシールド素線9は第1の遮蔽層の外周に巻き付けられ第2の遮蔽層が形成されるようになっている。
【0035】
さらに、テープサプライ6bから供給される絶縁テープ80はテープガイド2bにより導かれて第2の遮蔽層の外周に巻きつけられ外部絶縁層として形成される。そして外部絶縁層が形成された遮蔽付ケーブルが回転フライヤー7により回転されながら巻き付けられ巻取りボビン4を備えた巻取り装置200により巻き取られるようになっている。
【0036】
このような本発明の遮蔽付ケーブルの製造装置における積層シールドテープ面検出の電気的回路の一例を図5により説明する。
【0037】
図5において、テープガイド2aによりケーブルコア10の外周に案内された積層シールドテープ50は金属蒸着層50bをテープガイド2aに面して接するようにして案内される。そして積層シールドテープ50の金属蒸着層50bが第2の遮蔽層に向くように巻き付けられ第1の遮蔽層を形成する。
【0038】
つぎにシールドガイド1を介してケーブルブルコア10上の第1の遮蔽層の外周に導かれた複数本のシールド素線9は金属シールドからなる第2の遮蔽層を形成しているが、ここでシールドガイド1とシールド素線9とは常に接している。
【0039】
従って、金属シールドからなる第2の遮蔽層とシールドガイドと積層シールドテープとテープガイドの間において電気的回路が形成され、テープガイド2aとシールドガイド1との間は常に導通がある。このことからテープガイド2aとシールドガイド1の間の導通を検出することで積層シールドテープのテープ面が反転することなくケーブルコアに巻き付いていることを連続的に検出することができる。
【0040】
また、積層シールドテープの反転が生じると第1の遮蔽層と第2の遮蔽層との間の導通が無くなるので、前記シールドガイド1とテープガイド2aとの間で導通が途切れた場合に、その状況を製造装置の駆動部分にフィードバックするなどにより製造装置を停止すれば、積層シールドテープが反転した状態で製造してしまうことはない。
【0041】
本発明は金属シールドと積層シールドテープの金属蒸着層との間の導通の有無に着眼し成されたもので、導通を検出する事によりテープの面が連続的に同一面で有ることを判断することができる遮蔽付ケーブルの製造装置である。ここで、ケーブルコア10は中心導体11の外周に内部絶縁層20を設けた構造と説明したが、ケーブルコア10の構造はこの構造に限定されるものではなく、例えばケーブルコア10は多数本の絶縁電線等を撚り合わせた構成であってもよい。また金属シールドは複数本のシールド素線9からなる横巻きシールドを例に説明したが、金属シールドはこの構造に限定されるものではなく金属テープや編組シールドであってもよい。
【0042】
また、金属シールドと積層シールドテープの金属蒸着層が恒に接触しているシールドガイド1とテープガイド2aとの間の導通有無を検出するのは電圧、電流、抵抗値を測定すればよく、連続的に且つ全長に渡りテープ面が同じ方向にあることが確認できる。このように、シールドガイド1とテープガイド2aとの間の導通有無を確認するだけでよいので既存の設備に簡単に設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】遮蔽付ケーブルの製造装置の第1の実施の形態の構成図を示す。
【図2】積層シールドテープ面検出の電気的回路の一例の構成図を示す。
【図3】遮蔽付ケーブルの一例の断面図を示す。
【図4】遮蔽付ケーブルの製造装置の第2の実施の形態の構成図を示す。
【図5】積層シールドテープ面検出の電気回路の例の構成図を示す。
【図6】遮蔽ケーブルの実施例の例の断面図を示す。
【図7】巻取り回転型撚合機の実施の形態の構成図を示す。
【符号の説明】
【0044】
1 シールドガイド
2a テープガイド
2b テープガイド
3 サプライボビン
4 巻取りボビン
5 シールドサプライ
5a シールドボビン
6a テープサプライ
7 回転フライヤー
9 シールド素線
10 ケーブルコア
11 中心導体
20 内部絶縁層
50 積層シールドテープ
50a樹脂フィルム層
50b金属蒸着層
80 絶縁テープ
100サプライ装置
200巻取り装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルコアと、前記ケーブルコアの外周に金属シールドからなる第1の遮蔽層と、前記第1の遮蔽層の外周に樹脂フィルムの片面に金属蒸着層を有する積層シールドテープからなる第2の遮蔽層とが設けられた遮蔽付ケーブルの製造装置であって、
前記製造装置は、
前記ケーブルコアを供給するサプライボビンを備えたサプライ装置と、
前記金属シールドを供給するシールドサプライと、
前記ケーブルコアの外周に前記金属シールドを案内するシールドガイドと、
前記積層シールドテープを供給するテープサプライと、
前記金属シールドの外周に前記積層シールドテープを案内するテープガイドと、
前記遮蔽付ケーブルを巻き付ける巻取りボビンとを備えた巻取り装置からなり、
前記金属シールドと前記シールドガイドと前記積層シールドテープと前記テープガイドとの間で電気的回路が形成され、前記シールドガイドと前記テープガイドとの間で導通がない時、前記製造装置を停止する手段を設けたことを特徴とする遮蔽付ケーブルの製造装置。
【請求項2】
ケーブルコアと、前記ケーブルコアの外周に樹脂フィルムの片面に金属蒸着層を有する積層シールドテープからなる第1の遮蔽層と、前記第1の遮蔽層の外周に金属シールドからなる第2の遮蔽層とが設けられた遮蔽付ケーブルの製造装置であって、
前記製造装置は、
前記ケーブルコアを供給するサプライボビンを備えたサプライ装置と、
前記積層シールドテープを供給するテープサプライと、
前記ケーブルコアの外周に前記積層シールドテープを案内するテープガイドと、
前記金属シールドを供給するシールドサプライと、
前記積層シールドテープの外周に前記金属シールドを案内するシールドガイドと、
前記遮蔽付ケーブルを巻き付ける巻取りボビンとを備えた巻取り装置からなり、
前記金属シールドと前記シールドガイドと前記積層シールドテープと前記テープガイドとの間で電気的回路が形成され、前記シールドガイドと前記テープガイドとの間で導通がない時、前記製造装置を停止する手段を設けたことを特徴とする遮蔽付ケーブルの製造装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−107769(P2006−107769A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−288983(P2004−288983)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000002255)昭和電線電纜株式会社 (71)
【Fターム(参考)】