説明

遺体の体液漏出防止剤及びそれを用いた体液漏出防止方法

【課題】注入器具で遺体の体腔内に容易に注入でき、従業者や看護師の作業を簡素化し、衛生的に、且つ、迅速、効果的に体液漏出を防止できる遺体の体液漏出防止剤及び体液漏出防止方法を提供する。
【解決手段】体液漏出防止剤は、(A)ポリオールを含有する液と(B)イソシアネートを含有する液との二液からなる二液型発泡ウレタン組成物の、該二液を遺体の体腔内に同時に注入して発泡させ、遺体の体腔をウレタンフォームで封止するように構成されている。好適には、上記ポリオールを含有する液(A)に高吸水性樹脂粉末が分散しており、あるいはまた香料を含有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺体の口、鼻、耳、肛門、女性の膣などの体腔に二液型発泡ウレタン組成物を注入して発泡・封止することにより、遺体の体腔からの体液漏出を防止するための体液漏出防止剤及びそれを用いた体液漏出防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ヒトや動物の死亡後には体腔各部の筋肉が弛緩し、胃液、肺液、腹水、排泄物などの体液が漏出することが多く、悪臭や、病原菌による感染の原因ともなっている。このため、例えば病院では、死亡確認後、遺体の口、鼻、耳、肛門、女性の膣等の体腔に多量のガーゼ、脱脂綿等を装填し、体液の漏出を防ぐことが行なわれており、また、事故や手術後の遺体の開口部にも同様な処置がとられている。しかしながら、体腔へのガーゼ、脱脂綿等の装填作業の多くは、従業者や看護師等の手によって行われることが多く、その作業の煩雑さや不衛生さと同時に、ガーゼ、脱脂綿等は吸水能力が低いため、作業中もしくは作業後にしばしば体液が漏出してしまうという問題や、作業従事中にこの漏出物質による死後感染の可能性もあり、その解決が強く求められていた。
【0003】
このようなことから、ガーゼ、脱脂綿等に代えて高吸水性樹脂粉末を口、鼻、耳、咽喉などに装填することが知られており、例えば、注射器を使って口、鼻、耳に高吸水性樹脂粉末を装填する方法や(特許文献1参照)、安定化二酸化塩素を含む吸水性樹脂粉末を、咽喉には粉末のまま、耳孔、鼻孔には水溶性シートに包んで使用する方法(特許文献2参照)などが知られている。ところが、このような高吸水性樹脂粉末を装填しようとしても、流動性が悪いため、狭い体腔、例えば咽喉部、肛門等には装填することが困難である。また、鼻孔や耳孔の入口部分だけであれば、このような微粉末を注射器のような注入器で充填できるが、奥までは充填できない。また、奥まで充填するために注入器を動かしながら充填しようとすると、先端から出る微粉末が飛び散り、かえって遺体周辺を汚すだけである。
【0004】
このような高吸水性樹脂粉末の充填性や作業性の悪さや、飛散等の問題を解決するために、近年、粉体でなく、ゼリーを用いることが提案されており、例えば、消臭剤入りの粉末ポリマーを適当量の水で溶かし適当に混合してゼリー状にしたものを用いる方法(特許文献3参照)や、ジメチルアクリルアミドを主成分とする両親媒性ゲルを用いる方法(特許文献4参照)、アルコールを主成分とするゼリーの中に高吸水性ポリマー粉体を多数分散させたものを用いる方法(特許文献5参照)が知られている。
【0005】
前記したようなゼリー状の体液漏出防止剤は、ゼリー媒体中に高吸水性樹脂微粒子を分散させた状態で含有させ、該高吸水性樹脂微粒子によって体液を吸収させ、体液が体腔から外部へ漏出することを防止しようとするものである。しかしながら、体液を吸収して膨張するまでに比較的時間を要するため、死後の体腔各部の筋肉の弛緩により体液が漏出し易いという問題がある。そのため、肛門や膣を封止するためには、注入器でゼリー状体液漏出防止剤と共に繊維状充填材を押し出し、注入器を抜き出した直後の肛門や膣の開口部を繊維状充填材で栓をする方法が提案されているが(特許文献6、7参照)、注入器へのゼリー状体液漏出防止剤及び繊維状充填材の充填作業が極めて煩瑣であり、作業性が悪く、コスト高の要因となっている。
【0006】
また、ゼリー状体液漏出防止剤は、体腔への注入・装填直後の吸液能力及び押し出し流動性のバランスの点でも充分とは言えない。即ち、ゼリー状体液漏出防止剤の場合、専らゼリー媒体中に分散させた高吸水性樹脂微粒子が体液を吸収して膨張する作用を利用しているが、体液漏出防止に充分な量の高吸水性樹脂粉末をゼリー媒体中に分散させた場合、ゼリーが比較的かたい状態となり、注入器で押し出すときの流動性が悪くなり、逆に押出流動性をよくするために液体に近い状態にしようとすると、ゼリー媒体中に分散させる高吸水性樹脂粉末の量が少なくなり、充分な量の体液を吸収して膨張させることが困難になり、これらのバランスをとることが難しいという問題がある。
【0007】
前記したような遺体の肛門、膣等の体腔からの汚物の漏出防止作業は、それに従事する従業者や看護師にとって衛生的にも院内感染の面からも好ましくない。また、遺体の搬送作業等に悪影響を与えるので、従業者や看護師の作業を簡素化し、且つ、簡便な装置で体腔内汚物を衛生的に、且つ、迅速、確実に封止することが強く求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−298001号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開平7−265367号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開平8−133901号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】特開2001−288002号公報(特許請求の範囲)
【特許文献5】特許第3586207号公報(特許請求の範囲)
【特許文献6】特許第4029106号公報(図7、図8)
【特許文献7】特許第4081498号公報(図7、図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、注入器具での注入性に優れると共に体液漏出防止効果にも優れる液状の体液漏出防止剤を開発し、それを用いることによって、注入器具で遺体の体腔内に容易に注入でき、従業者や看護師の作業を簡素化し、衛生的に、且つ、迅速、効果的に体液漏出を防止できる遺体の体液漏出防止剤及び体液漏出防止方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明によれば、(A)ポリオールを含有する液と(B)イソシアネートを含有する液との二液からなる二液型発泡ウレタン組成物の、該二液を遺体の体腔内に同時に注入して発泡させ、遺体の体腔をウレタンフォームで封止するように構成されていることを特徴とする遺体の体液漏出防止剤が提供される。
好適な態様においては、前記ポリオールを含有する液(A)は、さらに高吸水性樹脂粉末(C)及び/又は香料(D)を含有している。
【0011】
さらに本発明によれば、(A)ポリオールを含有する液と(B)イソシアネートを含有する液との二液からなる二液型発泡ウレタン組成物の、該二液を遺体の体腔内に同時に注入して発泡させ、遺体の体腔をウレタンフォームで封止することを特徴とする遺体の体液漏出防止方法が提供される。
【0012】
好適な態様においては、前記遺体の体腔が肛門及び/又は膣であり、後端部側からそれぞれピストンが摺動自在に挿入されている2本の注入器の1本にポリオールを含有する液(A)が収容され、他の1本にイソシアネートを含有する液(B)が収容された2本の注入器を、先端部に該注入器と連通可能なノズル装置を備えた1つの筒状本体内に、上記2本のピストンが係合し同時に作動しえる状態で配設された遺体処置装置を用い、該遺体処置装置を先端から所定距離だけ遺体の肛門及び/又は膣に挿入した後、上記2本のピストンを押して上記ポリオールを含有する液(A)とイソシアネートを含有する液(B)の二液を遺体の肛門及び/又は膣内に上記ノズル装置のノズル部から同時に注入して発泡させ、遺体の肛門及び/又は膣をウレタンフォームで封止することを特徴としている。
【0013】
他の好適な態様においては、前記遺体の体腔が咽喉部であり、後端部側からそれぞれピストンが摺動自在に挿入されている2本の注入器の1本にポリオールを含有する液(A)が収容され、他の1本にイソシアネートを含有する液(B)が収容された2本の注入器を、先端部に該注入器と連通可能なノズル装置を備えた1つの筒状本体内に、又はこのようなノズル装置を備えていない1つの筒状本体内に、上記2本のピストンが係合し同時に作動しえる状態で配設された処置装置と、該処置装置の上記ノズル装置のノズル部に接続可能な挿入管を用い、又は処置装置の上記2本の注入器の先端吐出筒部にそれぞれ接続可能な2つの流路を有する挿入管を用い、該挿入管を遺体の鼻孔又は口から挿入した後、上記2本のピストンを押して上記ポリオールを含有する液(A)とイソシアネートを含有する液(B)の二液を遺体の咽喉部に上記挿入管を通して同時に注入して発泡させ、遺体の咽喉部をウレタンフォームで封止することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の遺体の体液漏出防止剤は、(A)ポリオールを含有する液(以下、A液という)と(B)イソシアネートを含有する液(以下、B液という)との二液からなる二液型発泡ウレタン組成物であって、A液及びB液ともに液状であるため、注入器具での注入性に優れると共に、遺体の体腔内に二液を同時に注入すると直ちに反応・発泡して無数の細かい気泡からなるウレタンフォームを形成し、体腔内の凹凸面の細かい部分にも隙間なく充填し、体腔内の壁面に密着して即座に硬化し、体腔を完全に封止することができる。この際、ウレタンフォーム内に体液を吸収・保持して、より効果的に体液漏出を防止するためには、上記A液とB液は、連続気泡の硬質ウレタンフォームを生成するものが好ましい。本発明の遺体の処置方法に用いる体液漏出防止剤は、発泡倍率が高いウレタンフォームを生成する二液型発泡性ウレタン組成物であるため、薬剤量としては僅かな使用量でよく、しかも液体であるため注入器具により狭い体腔内でも容易に注入できるため、遺体の肛門や膣、咽喉部等の体腔の封止作業の作業性が良く、従業者や看護師の作業を簡素化でき、衛生的に、且つ、迅速、効果的に遺体の体液漏出を防止することができる。
【0015】
好適な態様においては、前記A液はさらに高吸水性樹脂粉末(C)及び/又は香料(D)を含有している。A液に高吸水性樹脂粉末(C)が分散していることにより、注入されたウレタンフォーム内に分散している高吸水性樹脂粉末により体液をより速やかに且つ効果的に吸収・膨潤でき、遺体の体液漏出防止をより確実なものにすることができる。また、前記A液に高吸水性樹脂粉末を分散させることにより、発泡量が増えると共に、発泡後の保水量が増えるという効果が得られる。これは、高吸水性樹脂粉末を混入すると、A液とB液がよくなじむから発泡量が増すのではないかと考えられる。同様な理由からと考えられるが、前記A液に香料(D)を添加することによっても、発泡量が増えるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の遺体の体液漏出防止方法に好適に用いることができる遺体処置装置の一態様の使用前の状態を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示す遺体処置装置の体液漏出防止剤注入後の状態を示す概略斜視図である。
【図3】図1に示す遺体処置装置の筒状本体の上部材を取り外した状態の斜視図である。
【図4】図1に示す遺体処置装置の筒状本体の上部材を取り外した状態の平面図である。
【図5】図4に示す遺体処置装置のV−V線矢視断面図である。
【図6】図4に示す遺体処置装置の中心軸線に沿ったVI−VI線矢視断面図である。
【図7】図4に示す遺体処置装置のVII−VII線矢視断面図である。
【図8】図4に示す遺体処置装置のVIII−VIII線矢視断面図である。
【図9】図4に示す遺体処置装置のIX−IX線矢視断面図である。
【図10】図4に示す遺体処置装置の注入器(シリンジ)の吐出筒部と筒状本体の先端部内に配設されたノズル装置との関係を示す概略部分破断平面図である。
【図11】本発明の遺体の体液漏出防止方法に用いることができる挿入管の一態様の概略断面図である。
【図12】本発明の遺体の体液漏出防止方法に用いることができる挿入管の他の態様の概略側面図である。
【図13】本発明の遺体の体液漏出防止方法に用いることができる挿入管の別の態様とその注入器(シリンジ)との接続態様を示す概略部分破断断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、前記したような従来技術の問題を解決するために、新しい方式による遺体の処置方法を提供するものであり、ポリオールを含有するA液とイソシアネートを含有するB液との二液からなる二液型発泡ウレタン組成物の、該二液を注入器具により遺体の体腔内に同時に注入して発泡させ、遺体の体腔をウレタンフォームで封止することを特徴とするものである。
このような本発明によれば、遺体の肛門や膣等の体腔内部に注入されたイソシアネートとポリオールが直ちに反応して発泡し、無数の細かい気泡、好ましくは連続気泡からなるウレタンフォームを形成し、体腔内の凹凸面の細かい部分にも隙間なく充填し、体腔内の壁面に密着して即座に硬化し、硬質ウレタンフォームとなり、体腔を完全に封止することができる。
【0018】
本発明で用いる二液型発泡性ウレタン組成物としては、できるだけ速やかに反応・発泡し、硬化し得るものであればよく、特定の組成に限定されるものではなく、例えば、主剤としてポリオール類を主成分とするA液と、硬化剤としてのポリイソシアネート化合物を主成分とするB液とからなり、上記A液に発泡剤や必要に応じて触媒を配合した二液型発泡性ウレタン材料などが挙げられる。上記主剤と硬化剤の反応比率は種々変えることができるが、通常、主剤の活性水素(OH基)と硬化剤のNCO基の当量比が1:0.8〜10、好ましくは1:0.9〜5の範囲内となるように選定すればよい。
ウレタンフォームには軟質、硬質、半硬質品があるが、軟質ウレタンフォーム、半硬質ウレタンフォームは発泡開始に時間を要するので、硬質ウレタンフォームを使用することが好ましい。硬質ウレタンフォームは数秒で発泡し、数秒で硬化するので、本発明の遺体の体液漏出防止という使用目的に最適である。
【0019】
上記ポリオール類としては、例えば、多価アルコール、ビスフェノール類や、脂肪族アミン、芳香族アミン、芳香環を有する脂肪族アミン、脂環族アミンなどの活性水素含有化合物に、アルキレンオキサイド(例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、イソブチレンオキサイドの1種又は2種以上)を付加反応させて得られるポリエーテルポリオールなどが挙げられる。
【0020】
上記多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキシレングリコールなどの2価のアルコール;トリメチロールプロパン、グリセリンなどの3価のアルコール;ペンタエリスリトール、ソルビトール、メチルグリコシド、ジグリセリン、ソルビトール、ショ糖などの4価もしくはそれ以上のアルコールが挙げられる。
【0021】
上記ビスフェノール類としては、例えばハイドロキノン、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、2,2'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
【0022】
上記脂肪族アミンとしては、例えばアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリメチレンジアミン(エチレンジアミン、ジアミノブタン、ジアミノプロパン、ヘキサンジアミン、ドデカンジアミンなど)、ポリエチレンポリアミン(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなど)、ポリエーテルジアミン等が挙げられる。上記芳香族アミンとしては、例えば2,4−もしくは2,6−ジアミノトルエン(TDA)、粗製TDA、1,2−、1,3−もしくは1,4−フェニレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン(MDA)、粗製MDA、1,5−ナフタレンジアミン、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノジフェニルシクロヘキサン等が挙げられる。上記芳香環を有する脂肪族アミンとしては、例えば1,2−、1,3−もしくは1,4−キシレンジアミン等が挙げられる。上記脂環族アミンとしては、例えば4,4'−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3−アミノ−1−シクロヘキシルアミノプロパン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、メンセンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(−5,5−)ウンデカン等が挙げられる。
【0023】
上記ポリエーテルポリオール以外に、2個以上のヒドロキシル基を有するオリゴマー、例えばポリエステルポリオール(ポリカルボン酸とポリヒドロキシル化合物の縮合物)、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、さらにポリブタジエンポリオール、アクリルポリオール、エチレン性不飽和単量体で変性された重合体ポリオール等も使用することができる。なお、上記ポリエステルポリオールの原料であるポリカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が、またポリヒドロキシル化合物としては、上述のポリエステルポリオールに用いる多価アルコールやポリエステルポリオールそのもの等が例示される。
【0024】
前記硬化剤としてのポリイソシアネート化合物としては、例えば芳香族ポリイソシアネート、脂肪族又は脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらの変性物(トリメチロールプロパン、ひまし油、しょ糖などポリオール付加変性物、カルボジイミド変性物、アロファネート変性物、ウレア変性物、ビューレット変性物、イソシアヌレート変性物、オキサゾリドン変性物など)、ポリオール類と過剰のポリイソシアネート化合物の反応によって得られる末端NCO基含有ウレタンプレポリマー等が挙げられる。上記芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば1,3−もしくは1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、ジフェニルメタン−2,4'−及び/又は4,4'−ジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(粗製MDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4',4"−トリイソシアネート等が挙げられる。上記脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。上記芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えばキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物のうち、好ましいものはMDI、粗製MDI、ショ糖変性TDI及びカルボジイミド変性MDIである。
【0025】
前記発泡剤(通常、主剤としてのA液に配合)としては、水素原子含有ハロゲン化炭化水素系発泡剤、低沸点炭化水素類、水、水ガラス等が挙げられ、これらの1種又は2種以上の混合物を使用する。発泡剤の使用量は、形成されるウレタンフォームの比重が0.6〜0.01、好ましくは0.5〜0.03となるように調整することが好ましい。
【0026】
前記触媒(通常、主剤としてのA液に配合)としては、例えばアミン系触媒(トリエチレンジアミン、ペンタメチレンジエチルテトラミン、N−エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7など)や金属系触媒(オクチル酸第一錫、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸鉛など)を使用することができる。触媒量は、通常の量的割合で充分であり、一般に、全量中0.0001〜5質量%が適当である。
【0027】
上記アミン系触媒としては、−NH基及びNH−基の少なくとも1個を有するアミン化合物が使用でき、例えば前記ポリエーテルポリオールの原料として例示した脂肪族アミン、芳香族アミン及び脂環族アミン並びにこれらのアミンと上記ポリエステルポリオール原料のポリカルボン酸との縮合反応によるポリアミドやその他変性物等が挙げられ、さらにこれらのアミン化合物のアルキレンオキシド付加物も使用して差し支えない。
【0028】
また、本発明の体液漏出防止剤の好適な態様によれば、前記ポリオールを主成分とするA液に高吸水性樹脂粉末(C)を分散させる。これにより、注入されたウレタンフォーム内に分散している高吸水性樹脂粉末は、体液をより速やかに且つ効果的に吸収・膨潤して流動性の無い固いゼリー状(固形状のゲル)に固化するので、遺体の体液漏出防止をより確実なものにすることができる。また、高吸水性樹脂粉末を添加することにより、後述する試験例2に示されるように、発泡量が増えると共に、発泡後の保水量が増える。高吸水性樹脂粉末を混入すると、A液とB液がよくなじむから発泡量が増すのではないかと考えられる。但し、保水量を多くするために、高吸水性樹脂粉末を過剰に添加すると、注入器具から液が出難くなるので好ましくない。高吸水性樹脂粉末の添加量は、ポリオール成分を主成分とするA液に対し、その約0.01質量%以上、約10質量%以下、好ましくは5質量%以下が適当である。
【0029】
本発明に用いる高吸水性樹脂粉末(C)としては、従来知られている各種高吸水性樹脂の粉末を用いることができ、特定のものに限定されないが、それらの中でも、ポリビニルアクリレート、ポリアクリル酸塩、アルギン酸塩、アクリル酸グラフト共重合体架橋物、ビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合物、ポリエチレングリコール系ポリマー、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアクリル酸−マレイン酸共重合物、ポリエチレンオキサイド系ポリマー、及びポリアルギン酸塩系ポリマーよりなる群から選ばれた少なくとも1種を好適に用いることができる。前記高吸水性樹脂粉末(C)は、平均粒度が約18メッシュ〜160メッシュ(Tyler表示による)の粉体が好ましく、より好ましくは約30メッシュ〜140メッシュである。
【0030】
水系以外の発泡剤を含有するA液に上記高吸水性樹脂粉末(C)を分散させる場合には、その吸液速度を高めるために、水と接触した時に発熱作用のある液状のポリエチレングリコール(重合度の平均分子量が約200〜600)やノニオン性界面活性剤の少量を併用することもできる。すなわち、一般に高吸水性樹脂粉末(C)の吸水速度は、温度が上昇するほど高くなる傾向があるため、体液と接触した時の上記ポリエチレングリコールやノニオン性界面活性剤の発熱作用により、上記高吸水性樹脂粉末(C)の吸液速度を高めることができ、それにより、高吸水性樹脂粉末は速やかに体液を吸収・膨潤して流動性の無い固いゼリー状に固化することができる。水と混和すると発熱する、室温で液状のノニオン性界面活性剤としては、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチールエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(ポリプロピレングリコールにエチレンオキシドを付加したプルロニック型非イオン界面活性剤)、ポリオキシエチレンアルキル(アルキル基の炭素数12〜14)エーテル(エチレンオキサイドの付加モル数:7〜12モル)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ソルビタン脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系などの界面活性剤が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
また、高吸水性樹脂粉末(C)の均一な分散性を保持したり、液の粘度を調整するために、各種分散安定剤や増粘剤を添加することもできる。これら分散安定剤や増粘剤の添加により、粘度調整が容易となり、注入器具からの液漏れ等の防止の設計許容幅を広くすることが可能となる。即ち、液の粘度が低いと、注入器具の押出部材(ピストン)側からの液漏れを防止するために緊密なシール機構が必要となるが、粘性の高い液体の場合には比較的液漏れし難くなるので、シール機構にそれほどの緊密性がなくてもよくなり、粘度調整を行うことによって注入器具からの液漏れ等の防止の設計許容幅を広くすることが可能となる。分散安定剤としては、ポリアルキレンオキサイド系の熱可塑性ノニオン型吸水性樹脂が好ましいが、アクリル酸の共重合体のカルボキシビニルポリマー、アクリル酸の共重合体のカルボキシビニルポリマー/アルカリ中和剤、親油性スメクタイト、合成ヘクトライト、天然ヘクトライト、ベントナイト等を用いることもできる。また増粘剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0032】
また、本発明の体液漏出防止剤の他の好適な態様によれば、前記ポリオールを主成分とするA液に香料(D)を添加することにより、後述する試験例3に示されるように、発泡量を増やすことが可能となる。これは、香料を混入すると、A液とB液がよくなじむから発泡量が増すのではないかと考えられる。但し、香料を過剰に添加すると、注入器具から液が出難くなったり、充分な発泡倍率が得られ難くなるので好ましくない。香料の添加量は、ポリオール成分を主成分とするA液に対し、その約0.001質量%以上、約10質量%以下、好ましくは5質量%以下が適当である。香料としては、フローラル調、シトラス調、フルーティー調、ウディー調、フレッシュノート調、ミックスフレーバー調、グリーン調、ミント調等の各種天然及び人工香料が挙げられる。
【0033】
本発明の体液漏出防止剤は、必要に応じて、さらに殺菌剤、防カビ・防腐剤、消臭剤等の他の添加剤を少量含有することができる。また、着色剤(色素、染料、顔料)を含有することも可能であり、その配合量、色調の選択など特に限定されるものではなく、任意に設定できる。さらにまた、必要に応じて、通常の整泡剤、可塑剤、充填剤、難燃剤、老化防止剤、抗酸化剤などの添加成分を適量範囲で加えてもよい。これらの添加剤の配合量は、添加する液の約0.001〜8質量%が適当であり、好ましくは約5質量%以下である。これらの添加剤は、一般に、反応性がある場合にはA液に添加することが好ましく、反応性がない場合にはA液、B液のいずれに添加しても差し支えない。
【0034】
本発明の体液漏出防止剤を体腔に注入して充填する量は、施用部位に応じて適宜設定でき、体腔内から体液の漏出を防止する程度の充分な発泡量であればよく、特に限定されるものではない。
【0035】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る遺体の体液漏出防止方法に好適に用いることができる遺体処置装置の各態様の具体例について説明する。
図1〜図9は、肛門及び/又は膣に前記体液漏出防止剤を注入・装填するための処置装置の好適な態様を示しており、この遺体処置装置はダブル・シリンジ形式の注入器具1として構成されている。
この注入器具1は、いずれも高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ABS樹脂、アセタール樹脂等のプラスチックから作製された、筒状本体10と、図3及び図4に明瞭に示されているように該筒状本体10内に配設された2本の注入器(以下、シリンジという)20と、筒状本体10の先端部内に配設されたノズル装置40とから構成されている。
【0036】
筒状本体10は、図1に示されるように、2分割された上部材10aと下部材10bとを組み合わせたものであり、先端に開口11を有する略ドーム状の先端カバー部12と、略中間部に笠状のストッパ部13を有すると共に、後端部に、前方にやや湾曲するように半径方向外側に突出した指を引っ掛けるための一対の鍔部14を有する。また、図4〜図6に示されるように、上部材10a及び下部材10bの後端部内周部には、シリンジ20の筒状案内体21の後端部に形成されたフランジ部24が嵌まり込む環状凹部19が形成されている。上部材10aと下部材10bは、それぞれの周壁の端面に、図7に示されるように、一方の周壁には外縁部側がへこんで内縁部側に突状内縁部15を有する段差部が形成され、他方の周壁には外縁部側が突出して内縁部側がへこんで上記突状内縁部15に対応する断面形状の凹状内縁部16を有する段差部が形成されていると共に、一方の周壁端面の所定位置複数個所にはピン17が立設され、他方の周壁端面の上記ピン17に対応する所定位置複数個所には穴部18が穿設されている。開いた状態の上部材10aと下部材10bにおける上記突状内縁部15、凹状内縁部16、ピン17及び穴部18の位置関係は同一である。また、上部材10aと下部材10bの内部にはそれぞれ、図6及び図8に示されるように、先端カバー部12内の所定位置にそれぞれ2本のガイドリブ50が軸線方向に平行に延在するように設けられており、該ガイドリブ50の後端部には、シリンジ20の筒状案内体21近傍に位置する軸線方向に直角に立設されたストッパーリブ51が設けられている。尚、図6に示されている符号52は、シリンジ20の筒状案内体21を支持し且つ筒状本体10を補強するために軸線方向に対して直角に立設された複数の支持リブであり、それらの上端面は筒状案内体21の楕円状外形に対応する略円弧状に形成されている。
【0037】
筒状本体10内に配置されている2本のシリンジ20は、図3〜図6に示されるように、いずれも高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ABS樹脂、アセタール樹脂等のプラスチックから作製された、筒状案内体21とピストン30とから構成されている。一方の筒状案内体21内にはポリオールを主成分とするA液が収容され、他方の筒状案内体21内にはイソシアネートを主成分とするB液が収容されている。筒状案内体21の先端部は縮径されて本体よりも小さな外径及び内径の吐出筒部22を有すると共に、後端部には半径方向に突出する環状のフランジ部24が形成されている。上記吐出筒部22には、その開口を覆うように易破断性の薄いフィルムから作製された保護キャップ23が被冠されている。尚、本実施態様では、筒状案内体21の断面形状は、図7に明瞭に示されているように楕円形であるが、円形であってもよく、あるいは六角形、八角形等の多角形であってもよい。しかしながら、本実施態様のように、断面円形の筒状本体10内に配置する場合には、断面楕円形の筒状案内体21とすることが空間有効活用性(充填性)の点から好ましい。
【0038】
一方、ピストン30は、上記各シリンジ20の筒状案内体21内に、それぞれ後端部側から摺動自在に挿入されている。ピストン30の長さは、内容物の体液漏出防止剤を全て押し出せるように、筒状案内体21の長さよりも長くなるように設計されている。図5に示されるように、ピストン30は、断面略十字形のピストンロッド31を有し、その先端面から突出して形成されたキノコ型フランジ部32周囲には、エラストマー、軟質合成樹脂、ゴム等から作製されたガスケット33が被冠されている。また、ピストンロッド31の後端には、ピストンロッド31を指で押圧し易いように、指を当てる略円板状の押圧部34が形成されている(図9参照)。ピストン30は、シリンジ20の筒状案内体21に後端部側から挿入したときに、上記ガスケット33が筒状案内体21の内周面に接触した状態で摺動するように構成されている。なお、本実施態様ではピストンロッド31は断面略十字形であるが、断面円形等の棒状であってもよい。
【0039】
また、各ピストンロッド31の断面十字形の上下の片35の幅は、図3、図4及び図9から明らかなように左右の片36の幅よりも狭くなっているが、押圧部34側近傍は上下の片35の幅が狭くなって左右の片36の幅と同一となっている。さらに、押圧部34から幅が狭くなっている断面十字形の上下の片35の各端面に延在するようにそれぞれ2枚の平板リブ37が押圧部34から平行に突設されており、且つ、図9に示されるように、対向する平板リブ37側には、一方のピストンロッド31では上部の平板リブ37と左右の片36との間に、他方のピストンロッド31では左右の片36と下部の平板リブ37との間に、それぞれ対向する押圧部34の下まで延在するように突出する係合片38が形成されている。従って、一方の押圧部34を押しても、その下まで延在している他方の押圧部34の係合片38も押すので、2本のピストンが同時に押される。即ち、上記係合片38の存在により、2本のピストンが係合し同時に作動しえる状態となっている。
【0040】
前記筒状本体10の先端部内に配置されたノズル装置40は、前記シリンジ20の吐出筒部22に接続される断面略楕円形管状の接続部41と、二股状の流路が合体して一つの吐出流路を形成している分岐流路43が形成されたノズル部42とからなり、ノズル部42は先端が略キノコ状に形成されている吐出口部44を有する。図10に明瞭に示されているように、接続部41の上記二股状流路に対応する位置には、シリンジ20の吐出筒部22側に向かって鋭角な先端が形成された2本の針状接続管45が設けられている。接続部41と2本の針状接続管45は一体成型してもよいし、所定位置2ヶ所に孔が形成された接続部の孔に別体の針状接続管を挿入し、接着剤で接合してもよい。また、接続部41の上面及び下面のそれぞれ所定位置2箇所にはガイドピン46が突設されている。
【0041】
一方、ノズル部42は、上下2分割された部材を組立て接合したものであり、2分割された各部材の一方の周壁端面には突条47が、他方の周壁端面には溝条48が形成され、一方の部材の突条47を他方の部材の溝条48に嵌め込みながら接続部41に組み込み、これらノズル部42の2分割された部材同士と接続部41とを接着して、ノズル装置40を組み立てる。尚、本実施態様では、ノズル部42は2分割された部材を組立て接合したものであるが、一体成型したものであってもよい。また、ノズル部42の二股状の流路が合体して一つの吐出流路を形成している部分内周面には、図6に拡大して示すように、所定高さ(体液漏出防止剤の流出が困難とならないように、吐出流路の内径の約1/2以下であることが好ましい)の一対の邪魔板部49が、互いに対向するように、且つ軸線方向に対して所定の角度(約30〜60°、好ましくは40〜50°程度が望ましい)で突設されている。あるいは、短い螺旋状の邪魔板部を形成してもよい。このような邪魔板部49を設けることにより、ノズル部42でポリオールを主成分とするA液とイソシアネートを主成分とするB液を攪拌することができるので、注入後の速やかな発泡が生起する。但し、体腔内壁の凹凸面による攪拌効果も期待できるので、このような邪魔板部49を設けなくても差し支えない。
【0042】
前記注入器具1の組立てに際しては、筒状本体10の下部材10b(又は上部材10a)内に2本のシリンジ20を配置すると共に、先端部側にノズル装置40を配置する。2本のシリンジ20は、下部材10b(又は上部材10a)の後端部内周部に形成されている環状凹部19に、シリンジ20の筒状案内体21の後端部に形成されたフランジ部24が嵌まり込むように配置する(図6参照)。また、ノズル装置40は、筒状本体10の下部材10b内及び上部材10a内には、図8に示されるように、所定位置にそれぞれ2本のガイドリブ50が軸線方向に延在しているので、ノズル装置40の前記接続部41の上面及び下面のそれぞれ所定位置2箇所に突設されたガイドピン46が上記2本のガイドリブ50の内側面に摺接するように、該ガイドリブ50に沿って摺動自在に配置する。尚、ノズル装置40をシリンジ20側に摺動させると、上記ガイドピン46が筒状本体10内に形成された前記ストッパーリブ51に当接し、さらにノズル装置40を押すと、上記ガイドピン46がストッパーリブ51を乗り越えて、ノズル装置40のシリンジ20への接続が完了するが、上記ストッパーリブ51によりノズル装置40のシリンジ20からの抜けは防止される。その後、下部材10b(又は上部材10a)に上部材10a(又は下部材10b)を、一方の周壁に形成された突状内縁部15を他方の周壁に形成された凹状内縁部16に嵌め込み、且つ、一方の周壁端面の所定位置複数個所に立設されたピン17を他方の周壁端面の所定位置複数個所に穿設された穴部18に嵌め込み、必要に応じて接着剤で接合することにより、図1に示すように組み立てる。一般に、遺体処置装置は使い捨て製品であるので、上記のように一旦組み立てた後は分解できないように接着して組み立てるが、シリンジ20のみを使い捨てとし、筒状本体10は再利用したい場合には、上部材10aと下部材10bを上記ピン17の穴部18への嵌合により組み立て、再度分離できるようにしてもよい。尚、この組み立てた状態では、ノズル装置40の針状接続管45は未だシリンジ20の吐出筒部22に保護キャップ23を通して刺し込まれておらず、図10に示すような状態である。
【0043】
上記肛門及び/又は膣に前記体液漏出防止剤を注入・装填するための注入器具(遺体処置装置)1の使用に際しては、まず、筒状本体10の先端から突出しているノズル装置40のノズル部42の先端キノコ状の吐出口部44を押し、ノズル装置40のガイドピン46がストッパーリブ51を乗り越えるまでノズル装置40をシリンジ20側に摺動させ、その針状接続管45をシリンジ20の吐出筒部22に被冠されている易破断性の薄いフィルムから作製された保護キャップ23を通して刺し込み、針状接続管45を吐出筒部22内に挿入する。これにより、2本のシリンジ20の内部はノズル装置40の分岐流路43とそれぞれ連通状態となる。次いで、注入器具1の先端部を例えば肛門や膣に挿入し、ストッパ部13が肛門や膣の外部に当たった時点で挿入を停止する。この際、挿入抵抗を軽減するために、注入器具1の略ドーム状の先端カバー部12あるいはさらにストッパ部13に至る筒状部に潤滑剤を塗布してもよい。そして、シリンジ20のピストン30を押し、2本のシリンジ20内に収容されているポリオールを主成分とするA液とイソシアネートを主成分とするB液を同時に肛門や膣内に注入する。その後、注入器具1を肛門や膣から抜き出す。この注入後の状態の注入器具1は、図2に示されるような状態となっている。
【0044】
なお、死後、硬直するまでに肛門や膣に外径の大きな筒状注入器具を挿入すると、肛門管や膣口が大きく開き、収縮するまでに時間を要するので体液の漏出の原因になる。また、筒状本体10の外径は細いほど挿入し易く、使用が簡便である。従って、筒状本体10の外径は約15〜30mm、より好ましくは約20〜25mmの範囲内に設定することが望ましい。また、筒状本体10の先端からストッパ部13までの距離は約30〜70mm、好ましくは約40〜60mmの範囲内に設定することが望ましく、ストッパ部13の筒状本体10の外周面からの高さは、容易に肛門や膣口で止まるように約5〜30mmの範囲内に設定することが好ましい。なお、ストッパ部13は、必ずしも本実施態様のように笠状にする必要はなく、注入器具1を肛門や膣へ所定長さだけ挿入した位置でそれ以上の挿入を行えないことを確保できる部材もしくはマークであればよく、例えば円板状であってもよく、あるいは視覚的に容易に確認できるマークでもよい。また、鍔部14の先端部分は、前方にやや湾曲しており、指が容易に引っ掛かり易いようになっている。鍔部14の筒状本体10の外周面からの高さは約5〜25mm、先端部の湾曲の程度は0〜50°の範囲内に設定することが好ましい。
【0045】
次に、鼻孔から挿入して咽喉部に前記体液漏出防止剤を注入・装填するための処置装置の幾つかの態様について、図11〜図13を参照しながら説明する。
図11は、前記図1〜図10に示す注入器具1に接続して用いる挿入管60の一例を示しており、一つの流路を形成した挿入管である。但し、筒状本体10の先端から突出しているノズル装置40のノズル部42の長さはやや長くなっている。
【0046】
挿入管60は、鼻孔に挿入した際、鼻腔形状に沿って撓む柔軟性を有するポリエステルエラストマー、軟質塩化ビニル樹脂、ゴム等の可撓性の合成樹脂から作製されている。図11に示されるように、挿入管60の先端部は鼻孔から挿入し易いように略半球状に形成されており、先端に開孔61を有すると共に、先端部側面に、位置をずらした2ヶ所に、互いに直行する方向のそれぞれ一対の開孔62を有する。また、後端部には、前記注入器具1のノズル装置40のノズル部42に接続するための後側にやや拡開したテーパ状の接続部63を有する。また、挿入管60の後端から所定距離の位置(好ましくは接続部63の先端部)には、外周を囲繞するように半径方向外側に突出した断面円形のストッパ部64を有している。さらに、挿入管60の後端には、注入器具1の先端開口から突出しているノズル部42の先端キノコ状の吐出口部44に被冠できるように、内側に突出した環状のフランジ部65が形成されている。
【0047】
上記挿入管60の先端部側面の開孔62は、円形、楕円形等の所望の形状をした孔とすることができ、その位置は挿入管先端から約5〜30mmの距離が好ましい。また、開孔62の数は、本態様では4個であるが、1〜6個程度の任意の数でよい。また、上記ストッパ部64は、挿入管本体を鼻孔から通して咽頭部に挿入する際の開孔61,62の到達する長さ(注入位置)を決めるが、挿入管60の先端からストッパ部64までの長さは約100〜140mmが好ましく、また、挿入管本体の外径は約3.5〜7mm、内径は約2〜5mmであることが好ましい。
【0048】
上記遺体処置装置の使用に際しては、まず、挿入管60の後端の内側に突出した環状のフランジ部65に、注入器具1の先端開口から突出しているノズル部42の先端キノコ状の吐出口部44を嵌め合わせ、挿入管60と注入器具1を接続する。次いで、挿入管60の接続部63を注入器具1に向かって押し、前記したようにノズル装置40の針状接続管45をシリンジ20の吐出筒部22に被冠されている易破断性の薄いフィルムから作製された保護キャップ23を通して刺し込み、針状接続管45を吐出筒部22内に挿入する。これにより、2本のシリンジ20の内部はノズル装置40の分岐流路43を介して挿入管60と連通状態となる。次いで、挿入管60を鼻孔から咽喉部に向けて挿入し、挿入管60のストッパ部64が鼻先に当たった時点で挿入を停止する。この際、挿入抵抗を軽減するために、挿入管本体に潤滑剤を塗布してもよい。そして、シリンジ20のピストン30を押し、2本のシリンジ20内に収容されているポリオールを主成分とするA液とイソシアネートを主成分とするB液を同時に咽喉部に注入し、その後、挿入管60を鼻孔から抜き出す。
【0049】
図12は、前記挿入管の先端部の変形例を示している。
この態様の挿入管60aは、前記した挿入管60を先端部から所定位置で湾曲したものであり、且つ、先端に単一の開口を設けたものである点において前記挿入管60とは異なる。先端部には、体腔内への挿入が容易なように先端が略半球状の保護キャップ66が着脱自在に被冠されており、体液漏出防止剤の注入と共にこの保護キャップ66も体腔内に押し出されるが、このような保護キャップはなくても構わない。尚、接続部63及びストッパ部64は、前記図11に示す挿入管と同じである。このような湾曲部67を形成することにより、鼻孔から咽頭部奥まで挿入する際、抵抗なくスムーズに挿入することができる。湾曲させる位置は、挿入管60aの先端から約22〜45mm、より好ましくは約20〜30mmの距離の任意の部分でよく、また、湾曲角度は0〜95°が好ましく、より好ましくは30〜70°である。
【0050】
なお、前記した各態様では挿入管60,60aの後端部に接続部63が一体成形されているが、接続部63を別体としてもよい。この場合、接続部は剛性な合成樹脂で形成することが好ましく、この接続部と挿入管本体は接着剤、溶着等の適当な手段により接合する。また、ストッパ部64は接続部の先端部に形成してもよく、あるいは挿入管の後端部に形成してもよい。さらに、挿入管に形成されたストッパ部64の代わりに、マークを付与したものでも、挿入位置のばらつきをある程度防止できる。
【0051】
図13は、本発明の遺体の体液漏出防止方法に好適に用いることができる挿入管の他の態様とシリンジとの接続態様を示している。
この態様の挿入管60bは、二液供給タイプであり、シリンジ20の吐出筒部22側に向かう端部が針状に鋭角に形成された2本の供給管68を合成樹脂製の外被69でカバーして1本の挿入管としたものであり、先端部においてこれら2本の供給管68が合流する単一開口72が形成されている。挿入管60bの後端部には、2本の供給管68の突出する針状端部を所定間隔をあけて囲繞する外形が略楕円状の接続部70が設けられており、この接続部70は、前記肛門及び/又は膣に前記体液漏出防止剤を注入・装填するための注入器具1のノズル装置40の接続部41と同様の断面形状を有しており、接続部70の上面及び下面のそれぞれ所定位置2箇所には、前記図1〜10に示す態様のノズル装置40の接続部41と同様の、ガイドピン71が突設されている。従って、この挿入管60bの接続部70を接続する注入器具の筒状本体10は、図1に示されているような略ドーム状の先端カバー部12は有さず、単に円筒状となっているだけである点で、前記注入器具1とは異なる。尚、上記挿入管60bは、2本の供給管68を合成樹脂製の外被69でカバーして1本の挿入管としたものであるが、2本の流路が形成された一体物の挿入管の2つの後端部開口に、端部が針状に鋭角に形成された2本の針状接続管をそれぞれ嵌合・接着した構成としてもよい。
【0052】
上記挿入管60bの接続に際しては、その接続部70を注入器具の筒状本体10の円筒状開口部内に、前記ガイドピン71が注入器具の筒状本体10の円筒状開口部内の所定位置に形成されたストッパーリブ(図示しないが、図6に示すのと同様の構造)を乗り越えるまで挿入するだけでよく、それによって、供給管68の鋭角な針状端部がシリンジ20の吐出筒部22に被冠されている易破断性の薄いフィルムから作製された保護キャップ23を通して刺し込まれ、吐出筒部22内に挿入される。これにより、2本のシリンジ20の内部は挿入管60bの2本の供給管68とそれぞれ連通状態となる。また、注入器具の筒状本体10の先端円筒状部内に、シリンジ20の吐出筒部22との間の隙間に挟持するように配置されたシールリング73に、挿入管60bの接続部70の端面が当接することにより、接続部からの液漏れ防止は確保される。その後、前記したように、挿入管60bを鼻孔から咽喉部に向けて挿入し、挿入管60bのストッパ部64が鼻先に当たった時点で挿入を停止する。この際、挿入抵抗を軽減するために、挿入管本体に潤滑剤を塗布してもよい。そして、シリンジ20のピストン30を押し、2本のシリンジ20内に収容されているポリオールを主成分とするA液とイソシアネートを主成分とするB液を同時に咽喉部に注入し、その後、挿入管60bを鼻孔から抜き出す。
【0053】
以上、本発明に係る遺体の体液漏出防止方法に好適に使用できる遺体処置装置について幾つかの態様を示したが、前記した態様の遺体処置装置に限られることはなく、本発明に従ってポリオールを主成分とするA液とイソシアネートを主成分とするB液を同時に遺体の体腔内に注入できる装置であれば全て使用できる。従って、本発明の要旨を逸脱しない限り、種々の設計変更が可能である。また、例えば筒状本体10やピストン30を着色したり、あるいはその色を他の部材の色と異なるように着色してカラフルな注入器具とすることにより、施用場所を鮮明に把握できるようにすることも可能である。
【0054】
前記したような肛門及び/又は膣に体液漏出防止剤を注入・装填するための遺体処置装置や鼻孔から挿入して咽喉部に体液漏出防止剤を注入・装填するための遺体処置装置は、耳孔及び/又は鼻孔から体液の漏出を防ぐための繊維製封止材、あるいはさらに口中装填用の繊維製封止材と共に、一つの容器内に収納して、遺体処置装置ユニットとして構成することが好ましく、それによって携帯に便利となり、迅速に遺体の処置を行うことができる。
【0055】
耳孔及び鼻孔から体液の漏出を防ぐための繊維製封止材としては、綿、高吸水性樹脂繊維、綿と高吸水性樹脂繊維の混紡及び不織物からなり、球状、柱状、立方体等の所望の形状に成形したものを好適に用いることができる。耳栓用2個及び鼻栓用2個の封止材を備えていることが好ましい。
また、口中装填用の繊維製封止材は、頬内に入れ、体液の漏出防止及び頬の膨らみを自然の膨らみに近い方で形成することを目的とするものであり、前記したような綿、綿と高吸水性樹脂繊維混紡、高吸水性樹脂繊維等の布もしくは不織物、又は綿と高吸水性樹脂繊維の不織物の単品部材や、これらの単品部材を任意の層構成でサンドイッチ状に積層した部材からなる封止材を好適に用いることができる。
【実施例】
【0056】
以下に本発明の効果を具体的に確認した試験例を示すが、本発明が以下の試験例に限定されるものでないことは勿論である。
【0057】
試験例1
日本パフテム(株)製の二液型発泡ウレタン製品のポリオール成分を主成分とするA液とイソシアネート成分を主成分とするB液を1:1の割合で、それぞれ注射器に定量採取し、メスシリンダーに同時に投入した後、メスシリンダーを軽く4〜5回振って液を混合した時及び混合しない時の発泡開始時間、発泡容量及び発泡後の保水量を測定した。尚、発泡容量はメスシリンダー内での発泡体の容量であり、保水量は発泡後に水を加え、メスシリンダーを逆さにしても水が発泡体から出てこないまでの添加水量である。また、測定時の室温は18〜20℃であった。
試験結果を表1及び表2に示す。尚、試験結果は、3回繰り返して試験した平均値で示した。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
上記表1及び表2に示される試験結果から明らかなように、ポリオール成分を主成分とするA液とイソシアネート成分を主成分とするB液をよく混合すると反応が速くなり、発泡が良くなるが、混合しないとA液とB液の比重が違うため2層になり、徐々に反応するので発泡が悪くなり、発泡開始時間が大変遅くなる。因みに、A液の比重は1.10(液温20℃)、B液の比重は1.23(液温20℃)である。また、発泡後の硬質発泡ウレタンは、発泡後6〜8秒で硬化し、固まった状態となった。上記結果から、注入器具の吐出口部には、A液とB液を撹拌するような構造とし、例えばノズル機構を設け、A液とB液を撹拌・混合した状態で遺体の体腔内に注入し、速やかに反応・発泡させることが好ましいことがわかる。
【0061】
試験例2
日本パフテム(株)製の二液型発泡ウレタン製品を用い、ポリオール成分を主成分とするA液に5wt%の割合の高吸水性樹脂粉末(住友精化(株)製、商品名「アクワキープ」)を混入した液と、イソシアネート成分を主成分とするB液を1:1の割合で、それぞれ注射器に定量採取し、メスシリンダーに同時に投入した後、メスシリンダーを軽く4〜5回振って液を混合した時の発泡開始時間、発泡容量及び発泡後の保水量を、前記試験例1と同様にして測定した。尚、測定時の室温は18〜20℃であった。
試験結果を表3に示す。尚、試験結果は、3回繰り返して試験した平均値で示した。
【0062】
【表3】

【0063】
上記表3に示される試験結果を表1に示される試験結果と対比すれば明らかなように、ポリオール成分を主成分とするA液に高吸水性樹脂粉末を混入した液とイソシアネート成分を主成分とするB液を振って液を混合した時、発泡が良くなり、発泡量が増えると共に、発泡後の保水量は、発泡量が増えしかも高吸水性樹脂粉末を混入しているので多くなった。高吸水性樹脂粉末を混入すると、A液とB液がよくなじむから発泡量が増すのではないかと考えられる。但し、保水量を多くするために、高吸水性樹脂粉末を過剰に添加すると、注射器から液が出難くなるので好ましくない。高吸水性樹脂粉末の添加量は、最大、ポリオール成分を主成分とするA液に対し、10wt%位、好ましくは5wt%以下である。
【0064】
試験例3
日本パフテム(株)製の二液型発泡ウレタン製品を用い、ポリオール成分を主成分とするA液に4wt%の割合の香料(寿香料(株)製、「商品名Deodorant 942−6189」、液状)を混入した液と、イソシアネート成分を主成分とするB液を1:1の割合で、それぞれ注射器に定量採取し、メスシリンダーに同時に投入した後、メスシリンダーを軽く4〜5回振って液を混合した時の発泡開始時間及び発泡容量を、前記試験例1と同様にして測定した。尚、測定時の室温は18〜20℃であった。
試験結果を表4に示す。尚、試験結果は、3回繰り返して試験した平均値で示した。
【0065】
【表4】

【0066】
上記表4に示される試験結果を表1に示される試験結果と対比すれば明らかなように、ポリオール成分を主成分とするA液に香料を混入した液とイソシアネート成分を主成分とするB液を振って液を混合した時、発泡量が増大した。これは、香料の添加によりA液とB液が容易によくなじむようになるからではないかと考えられる。
【符号の説明】
【0067】
1 注入器具(遺体処置装置)
10 筒状本体
10a 上部材
10b 下部材
12 先端カバー部
13 ストッパ部
14 鍔部
15 突状内縁部
16 凹状内縁部
17 ピン
18 穴部
20 シリンジ(注入器)
21 筒状案内体
22 吐出筒部
23 保護キャップ
24 フランジ部
30 ピストン
31 ピストンロッド
32 フランジ部
33 ガスケット
34 押圧部
37 平板リブ
38 係合片
40 ノズル装置
41 接続部
42 ノズル部
43 分岐流路
44 吐出口部
45 針状接続管
46 ガイドピン
49 邪魔板部
60,60a,60b 挿入管
61,62 開孔
63 接続部
64 ストッパ部
67 湾曲部
68 供給管
69 外被
70 接続部
71 ガイドピン
73 シールリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリオールを含有する液と(B)イソシアネートを含有する液との二液からなる二液型発泡ウレタン組成物の、該二液を遺体の体腔内に同時に注入して発泡させ、遺体の体腔をウレタンフォームで封止するように構成されていることを特徴とする遺体の体液漏出防止剤。
【請求項2】
前記ポリオールを含有する液(A)が、さらに高吸水性樹脂粉末(C)及び/又は香料(D)を含有していることを特徴とする請求項1に記載の体液漏出防止剤。
【請求項3】
(A)ポリオールを含有する液と(B)イソシアネートを含有する液との二液からなる二液型発泡ウレタン組成物の、該二液を遺体の体腔内に同時に注入して発泡させ、遺体の体腔をウレタンフォームで封止することを特徴とする遺体の体液漏出防止方法。
【請求項4】
前記遺体の体腔が肛門及び/又は膣であり、後端部側からそれぞれピストンが摺動自在に挿入されている2本の注入器の1本にポリオールを含有する液(A)が収容され、他の1本にイソシアネートを含有する液(B)が収容された2本の注入器を、先端部に該注入器と連通可能なノズル装置を備えた1つの筒状本体内に、上記2本のピストンが係合し同時に作動しえる状態で配設された遺体処置装置を用い、該遺体処置装置を先端から所定距離だけ遺体の肛門及び/又は膣に挿入した後、上記2本のピストンを押して上記ポリオールを含有する液(A)とイソシアネートを含有する液(B)の二液を遺体の肛門及び/又は膣内に上記ノズル装置のノズル部から同時に注入して発泡させ、遺体の肛門及び/又は膣をウレタンフォームで封止することを特徴とする請求項3に記載の遺体の体液漏出防止方法。
【請求項5】
前記遺体の体腔が咽喉部であり、後端部側からそれぞれピストンが摺動自在に挿入されている2本の注入器の1本にポリオールを含有する液(A)が収容され、他の1本にイソシアネートを含有する液(B)が収容された2本の注入器を、先端部に該注入器と連通可能なノズル装置を備えた1つの筒状本体内に、上記2本のピストンが係合し同時に作動しえる状態で配設された処置装置と、該処置装置の上記ノズル装置のノズル部に接続可能な挿入管を用い、該挿入管を遺体の鼻孔又は口から挿入した後、上記2本のピストンを押して上記ポリオールを含有する液(A)とイソシアネートを含有する液(B)の二液を遺体の咽喉部に上記挿入管を通して同時に注入して発泡させ、遺体の咽喉部をウレタンフォームで封止することを特徴とする請求項3に記載の遺体の体液漏出防止方法。
【請求項6】
前記遺体の体腔が咽喉部であり、後端部側からそれぞれピストンが摺動自在に挿入されている2本の注入器の1本にポリオールを含有する液(A)が収容され、他の1本にイソシアネートを含有する液(B)が収容された2本の注入器を、1つの筒状本体内に、上記2本のピストンが係合し同時に作動しえる状態で配設された処置装置と、該処置装置の上記2本の注入器の先端吐出筒部にそれぞれ接続可能な2つの流路を有する挿入管を用い、該挿入管を遺体の鼻孔又は口から挿入した後、上記2本のピストンを押して上記ポリオールを含有する液(A)とイソシアネートを含有する液(B)の二液を遺体の咽喉部に上記挿入管を通して同時に注入して発泡させ、遺体の咽喉部をウレタンフォームで封止することを特徴とする請求項3に記載の遺体の体液漏出防止方法。
【請求項7】
前記ポリオールを含有する液(A)が、さらに高吸水性樹脂粉末(C)及び/又は香料(D)を含有していることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一項に記載の遺体の体液漏出防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−6327(P2011−6327A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148679(P2009−148679)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(508032309)株式会社 モデルクリエイト (12)
【Fターム(参考)】