説明

遺体の処置装置及びそれに用いる案内体

【課題】注入器を抜き出した直後の肛門や膣の開口部の栓として機能する繊維状充填材が不要であり、遺体の肛門や膣の封止作業を作業性良く、簡便に、的確に、且つ衛生的に行える遺体の処置装置及びそれに用いる案内体を提供する。
【解決手段】遺体の肛門及び/又は膣を封止するための処置装置は、両端が開口された筒状本体20と、該筒状本体に後端部側から摺動自在に挿入されているピストン30とを有する注入器10を備える。上記筒状本体の内部には、筒状本体周壁に摺接自在に収容され、周壁が開口されている筒枠状の案内体であって、後端部に有孔もしくは無孔の円板状ピストン作用部53が形成された案内体50と、高吸水性ポリマー粉末Xとが収容されている。筒状本体の先端部開口部22は、上記高吸水性ポリマー粉末及び案内体と共に遺体の肛門及び/又は膣内に押し出される閉塞部材40により脱着自在に閉塞されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺体の体腔、特に肛門や女性の膣などの体腔に高吸水性ポリマー粉末を装填して封止することにより、体液漏出を防止するための遺体処置装置及びそれに用いる案内体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ヒトや動物の死亡後には体腔各部の筋肉が弛緩し、胃液、肺液、腹水、排泄物などの体液が漏出することが多く、悪臭や、病原菌による感染の原因ともなっている。このため、例えば病院では、死亡確認後、遺体の肛門、女性の膣等の体腔に多量のガーゼ、脱脂綿等を装填し、体液の漏出を防ぐことが行なわれており、また、事故や手術後の遺体の開口部にも同様な処置がとられている。しかしながら、体腔へのガーゼ、脱脂綿等の装填作業の多くは、従業者や看護師等の手によって行われることが多く、その作業の煩雑さや不衛生さと同時に、ガーゼ、脱脂綿等は吸水能力が低いため、作業中もしくは作業後にしばしば体液が漏出してしまうという問題や、作業従事中にこの漏出物質による死後感染の可能性もあり、その解決が強く求められていた。
【0003】
このようなことから、ガーゼ、脱脂綿等に代えて高吸水性ポリマー粉末を口、耳、肛門などに装填することが知られており、例えば、チューブと圧縮気体ボンベからなる体液漏出防止処置用具が知られている(特許文献1参照)。この装置の場合、チューブ内の片端に脱脂綿、スポンジなどの通気性の塊を詰め、該端部から真空引きして高吸水性ポリマーの粉末又は顆粒をチューブに詰め、次いで圧縮気体ボンベの気体噴出口に、チューブの脱脂綿、スポンジなどの通気性の塊がある方の端部を接続する。その後、そのチューブの脱脂綿、スポンジなどの通気性の塊が存在する方の反対側端部を人の各部位に挿入し、圧縮気体ボンベから圧力を加えて高吸水性ポリマーを装填するものである。しかしながら、このような装置においては、圧縮気体ボンベが必要となり、装置が高価なものとなるだけでなく、その操作が煩瑣であり、簡便に使用することができないという難点がある。また、チューブ先端から高吸水性ポリマー粉末を狭い体腔に噴出しても、その先端部の体壁のために逆方向にも噴出してしまい、体腔の開口部から高吸水性ポリマー粉末が飛び散り、かえって遺体周辺を汚すだけである。尚、上記特許文献には、具体例として、鼻及び口に高吸水性ポリマーを装填したとは記載されているが、肛門に装填した実施例はまったく記載されていない。
【0004】
肛門への高吸水性ポリマー粉末の装填ではないが、圧縮気体ボンベに代えて、針を付けない注射器を使って口、耳、鼻などに高吸水性ポリマー粉末を装填する方法も提案されている(特許文献2参照)。ところが、針を付けない注射器の先端吐出筒部は狭いために、このような注射器を用いて高吸水性ポリマー粉末を装填しようとしても、高吸水性ポリマー粉末は流動性が悪いため装填することが困難である。また、鼻孔や耳孔の入口部分だけであれば、このような微粉末を注射器で注入することは可能ではあるが、奥までは注入できない。また、奥まで注入するために注射器を動かしながら充填しようとすると、先端から出る微粉末が飛び散り、かえって遺体周辺を汚すだけである。
【0005】
このような高吸水性ポリマー粉末の押し出し性や作業性の悪さや、飛散等の問題を解決するために、近年、粉体でなく、ゼリー媒体中に高吸水性樹脂を分散させた状態で含有し、押し出し流動性に優れるゼリー状体液漏出防止剤を用いることが提案されている。例えば、先端に半径方向中心へ向けて外側に湾曲して延びる複数の舌片により略半球状に形成されている吐出口部を有する筒状本体と、該筒状本体に後端部側から摺動自在に挿入されているピストンとを有する注入器の上記筒状本体の内部に、ゼリー状体液漏出防止剤と膨潤性繊維等の繊維状充填材が収容されている遺体の処置装置を用い、上記筒状本体を肛門及び/又は膣に挿入し、上記筒状本体先端の吐出口部の複数の舌片の先端により形成される開口と舌片間のスリットからなる開口部からゼリー状体液漏出防止剤と繊維状充填材を押し出す方法(特許文献3、特許文献4参照)が知られている。しかしながら、ゼリー状体液漏出防止剤のみを注入器具で肛門や膣に注入・装填した場合、体液を吸収して膨張するまでに比較的時間を要するため、死後の体腔各部の筋肉の弛緩により体液が漏出し易いという問題がある。そのため、肛門や膣を封止するためには、上記特許文献に記載されているように、ゼリー状体液漏出防止剤と共に繊維状充填材を押出し、注入器を抜き出した直後の肛門や膣の開口部を繊維状充填材で栓をする必要がある。従って、筒状本体の内部にゼリー状体液漏出防止剤を充填した後、さらに繊維状充填材を圧縮した状態で充填する必要があるが、この繊維状充填材の充填作業は手作業で行なわれているため、注入器内へのゼリー状体液漏出防止剤及び繊維状充填材の充填作業が極めて煩瑣であり、作業性が悪く、コスト高の要因となっている。
【0006】
また、肛門や膣を封止するための他の装置としては、芯部材の外周に弾性ゴム部材が巻かれ、弾性ゴム部材を膨らます流体の導入通路が該芯部材の内部に形成された挿入部材と両親媒性ゲルが内臓された注入器とを用意し、該挿入部材を体腔に装填し、該導入通路の体腔外部に開口する開口部に注入器をセットし、注入器内の両親媒性ゲルを上記芯部材を介して弾性ゴム部材の内部に充填し、該弾性ゴム部材を膨張させて体腔内壁に密着させて体腔を封止することを特徴とする体液漏出防止方法(特許文献5参照)も提案されている。しかしながら、このような方法では、挿入部材と両親媒性ゲルが内臓された注入器の連結、挿入部材の体腔内への装填、及び注入器内の両親媒性ゲルの弾性ゴム部材内部への充填という操作が必要であり、作業性が悪くて迅速に体液漏出操作を行い難いと共に、器具数が多く、コスト高になるという問題に加えて、弾性ゴム部材を膨張させて体腔内壁に密着させて体腔を封止する方法であるため、体液漏出防止を効果的且つ確実に行い難いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3106399号公報(段落[0009]〜[0013]、図1)
【特許文献2】特開平10−298001号公報(特許請求の範囲、段落[0018])
【特許文献3】特許第4029106号公報公報(段落[0050]〜[0056])
【特許文献4】特許第4081498号公報(段落[0044]〜[0050])
【特許文献5】特開2001−288002号公報(請求項11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記したような遺体の肛門や膣からの汚物の漏出防止作業は、それに従事する従業者や看護師にとって衛生的にも院内感染の面からも好ましくない。また、遺体の搬送作業等に悪影響を与えるので、従業者や看護師の作業を簡素化し、且つ、簡便な装置で体腔内汚物を衛生的に、且つ、迅速、確実に封止することが強く求められている。
従って、本発明の目的は、前記したような従来技術の問題を解決し、注入器を抜き出した直後の肛門や膣の開口部の栓として機能する繊維状充填材が不要であり、遺体の肛門や膣の封止作業を作業性良く、簡便に、的確に、且つ衛生的に行え、体液漏出を確実に防止できる遺体の処置装置を提供することにある。
さらに本発明の目的は、遺体の肛門や膣の封止作業を作業性良く、簡便に、的確に、且つ衛生的に行えるように、注入器のピストン摺動をスムーズに行え、体液漏出防止剤を遺体の肛門及び/又は膣内に確実に注入できるようにするために、注入器の筒状本体内部に摺接自在に収容される案内体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明によれば、遺体の肛門及び/又は膣を封止するための処置装置が提供され、その基本的な態様は、遺体の肛門及び/又は膣を封止するための処置装置であって、両端が開口され、先端開口部が吐出口として機能する筒状本体と、該筒状本体に後端部側から摺動自在に挿入されているピストンとを有する注入器を備え、上記筒状本体の内部に、筒状本体周壁に摺接自在に収容され、周壁が開口されている筒枠状の案内体であって、後端部に有孔もしくは無孔の円板状ピストン作用部が形成された案内体と、高吸水性ポリマー粉末とが収容されていると共に、上記筒状本体の先端開口部は、上記高吸水性ポリマー粉末及び案内体と共に遺体の肛門及び/又は膣内に押し出される閉塞部材により脱着自在に閉塞されていることを特徴としている。
好適な態様においては、前記閉塞部材は、筒状本体の先端開口部に嵌め合わされる筒状部を有する先端部外形が略半球状の閉塞部材である。また、前記筒状本体の先端と後端の間の所定位置に半径方向外側に突出したストッパ部を有し、且つ、後端部に指を引っ掛けるための半径方向外側に突出した鍔部を有することが好ましい。
【0010】
さらに本発明によれば、遺体の肛門及び/又は膣を封止するための注入器の筒状本体内部に摺接自在に収容される案内体であって、周壁が開口されている筒枠状であり、後端部に有孔もしくは無孔の円板状ピストン作用部が形成されていることを特徴とする案内体が提供される。
好適な態様においては、前記案内体は、少なくとも前端部に形成された環状部と、後端部に形成された有孔もしくは無孔の円板状ピストン作用部とを有し、上記環状部と円板状ピストン作用部が複数の連結部材により一体に連結されている。より好ましくは、前端部及び略中間部に形成された2つの環状部と、後端部に形成された有孔もしくは無孔の円板状ピストン作用部とを有し、上記環状部と円板状ピストン作用部が複数の連結部材により一体に連結されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る遺体の肛門及び/又は膣を封止するための処置装置は、両端が開口され、先端開口部が吐出口として機能する筒状本体と、該筒状本体に後端部側から摺動自在に挿入されているピストンとを有する注入器を備え、上記筒状本体の内部に、筒状本体周壁に摺接自在に収容され、周壁が開口されている筒枠状の案内体であって、後端部に有孔もしくは無孔の円板状ピストン作用部が形成された案内体と、高吸水性ポリマー粉末とが収容されていると共に、上記筒状本体の先端開口部は、上記高吸水性ポリマー粉末及び案内体と共に遺体の肛門及び/又は膣内に押し出される閉塞部材により脱着自在に閉塞されているため、上記案内体が筒状本体の内部に収容された高吸水性ポリマー粉末を全体的に押し出すガイド部材として機能し、注入器のピストン摺動をスムーズに行え、流動性に劣る高吸水性ポリマー粉末であっても、閉塞部材を取り外すことなくそのまま閉塞部材及び案内体と共に高吸水性ポリマー粉末を体腔内に容易に押し出すことができる。体腔内に押し出された高吸水性ポリマー粉末は、粉末状態であるため、体液及び汚物中の液を速やかに吸収して膨張し、固形ゲル状となるため、体腔を迅速に封止し、体液及び汚物の漏出を防止することができる。尚、案内体の後端部に単なる環状枠部材が形成されている場合、ピストンによる押圧時の作用面積が狭いと共に、閉塞部材及び案内体と共に高吸水性ポリマー粉末を体腔内に押し出した後、注入器を体腔内から抜き出したときに高吸水性ポリマー粉末が体腔外へ漏れ易くなる。しかしながら、上記案内体の後端部には有孔もしくは無孔の円板状ピストン作用部が形成されているため、体腔内に押し出された直後の高吸水性ポリマー粉末の体腔外への漏れは比較的効果的に防止され、また、ピストンによる押圧時の作用面積が広いので、閉塞部材及び案内体と共に高吸水性ポリマー粉末を体腔内にスムーズに押し出すことができる。従って、注入器を抜き出した直後の肛門や膣の開口部の栓として機能する繊維状充填材が不要であり、遺体の肛門や膣の封止作業を作業性良く、簡便に、且つ衛生的に行える。また、注入器の筒状本体の内部にこの案内体を挿入した状態で高吸水性ポリマー粉末を充填すればよいため、案内体と高吸水性ポリマー粉末の充填作業性にも優れている。
【0012】
閉塞部材が、筒状本体の先端開口部に嵌め合わされる筒状部(中空及び中実のいずれの筒状部でもよい)を有する先端部外形が略半球状の閉塞部材である好適な態様においては、先端部外形が略半球状であるため遺体の肛門や膣にスムーズに挿入できる。また、筒状本体の所定位置に半径方向外側に突出したストッパ部を有し、且つ、後端部に指を引っ掛けるための鍔部を有する好適な態様においては、筒状本体の先端開口部と閉塞部材は常に一定した施用部位に確実に位置して押し出され、また遺体の体腔への体液漏出防止材の注入操作をより簡便に作業性良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る遺体の肛門及び/又は膣を封止するための処置装置の一実施態様を示し、(A)は正面図、(B)は左側面図、(C)は右側面図である。
【図2】図1に示す遺体処置装置の平面図である。
【図3】図1に示す遺体処置装置の中心軸線に沿った部分断面図である。
【図4】案内体の一実施態様を示す概略斜視図である。
【図5】案内体の他の実施態様を示す概略斜視図である。
【図6】案内体のさらに他の実施態様を示す概略斜視図である。
【図7】遺体処置装置の閉塞部材の変形例を示す部分断面図である。
【図8】遺体処置装置の閉塞部材の他の変形例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る遺体の肛門及び/又は膣を封止するための処置装置は、前記したような従来技術の問題を解決し、注入器を抜き出した直後の肛門や膣の開口部の栓として機能する繊維状充填材を必要とすることなく、遺体の肛門や膣の封止作業を作業性良く、簡便に、且つ衛生的に行え、体液漏出を確実に防止できるようにするために、両端が開口され、先端開口部が吐出口として機能する筒状本体と、該筒状本体に後端部側から摺動自在に挿入されているピストンとを有する注入器を備え、上記筒状本体の内部に、筒状本体周壁に摺接自在に収容され、周壁が開口されている筒枠状の案内体であって、後端部に有孔もしくは無孔の円板状ピストン作用部が形成された案内体と、高吸水性ポリマー粉末とが収容されていると共に、上記筒状本体の先端開口部は、上記高吸水性ポリマー粉末及び案内体と共に遺体の肛門及び/又は膣内に押し出される閉塞部材により脱着自在に閉塞されていることを特徴としている。このように両端が開口され、先端開口部が吐出口として機能する筒状本体内に高吸水性ポリマー粉末が収容されているため、また案内体が筒状本体の内部に収容された高吸水性ポリマー粉末を全体的に押し出すガイド部材として機能するため、従来のように先端吐出筒部が狭い注射器を用いた場合とは異なり、流動性に劣る高吸水性ポリマー粉末であっても、閉塞部材を取り外すことなくそのまま閉塞部材及び案内体と共に高吸水性ポリマー粉末を体腔内にスムーズに押し出すことができる。
【0015】
筒枠状の案内体としては、筒状本体の内部に収容された状態で少なくとも前後端部に筒状本体周壁に接触する環状部が形成されていれば、後端部がピストンにより押され、筒状本体周壁を摺動するので、案内体が筒状本体の内部に収容された高吸水性ポリマー粉末を押し出すガイド部材として機能する。但し、ピストンによる押圧時の作用面積を広くして、閉塞部材及び案内体と共に高吸水性ポリマー粉末を全体的にスムーズに体腔内に押し出すことができるようにし、また、体腔内に押し出された直後の高吸水性ポリマー粉末の体腔外への漏れを比較的効果的に防止するために、案内体の後端部には有孔もしくは無孔の円板状ピストン作用部が形成されている。また、体腔内に押し出された高吸水性ポリマー粉末が速やかに体液及び汚物中の液と接触して、これらを吸収・膨張するような構造とする必要がある。そのためには、案内体が前後端だけでなく周側にも開口部を有し、押し出された直後に高吸水性ポリマー粉末を露出させるような構造とする。この点において、少なくとも前端部、好ましくは前端部と略中間部に筒状本体周壁に接触する環状部(連続する環状部でも、切断部を有する環状部でもよい)を有し、後端部に有孔もしくは無孔の円板状ピストン作用部を有し、上記環状部と円板状ピストン作用部が複数の連結部材により一体に連結されている構造が好ましい。このような構造の案内体においては、筒状本体の内部にこの案内体を挿入した状態で高吸水性ポリマー粉末を充填すればよく、案内体と高吸水性ポリマー粉末の充填作業性にも優れている。
【0016】
また、筒状本体の先端開口部からの高吸水性ポリマー粉末の漏れは、筒状本体の先端開口部を閉塞部材により脱着自在に閉塞することにより防止することができ、またそれによって、閉塞部材を取り外すことなく、そのまま閉塞部材と共に高吸水性ポリマー粉末及び案内体を体腔内に容易に装填することができる。閉塞部材としては、遺体の肛門や膣にスムーズに挿入できるように、先端部外形が略半球状の頭部(中空及び中実のいずれの半球状頭部でもよい)と、筒状本体の先端開口部に嵌め合わされる筒状部(中空及び中実のいずれの筒状部でもよい)を有する閉塞部材であることが好ましいが、特に、装着される筒状本体の先端開口部の外径と略等しい直径を有する中実の半球状頭部と、筒状本体の先端開口部の内径と略同一の外径を有する筒状部(中空及び中実のいずれの筒状部でもよい)とからなる閉塞部材が特に好ましい。この場合、該筒状部の外周面に軸線方向に複数本の突条を形成することもでき、それにより閉塞部材の筒状部と筒状本体の先端開口部内周面との間の摩擦力が軽減し、筒状本体の先端開口部への着脱性を向上できる。
【実施例】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の遺体処置装置の好適な態様の具体例について説明する。
まず、肛門及び/又は膣を封止するための注入器の形態の本発明の処置装置(以下、注入器という)の好適な実施態様について、図1〜図3を参照しながら説明する。なお、図1の(A)は正面図、(B)は左側面図、(C)は右側面図、図2は平面図、図3は部分縦断面図を示している。
【0018】
図1〜図3に示されるように、注入器10は、いずれも高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等のプラスチックから作製された筒状本体20と、ピストン30と、筒状本体20の先端開口部22を脱着自在に閉塞する閉塞部材40とから構成されており、全体的に透光性を有し、筒状本体20内に収容されている高吸水性ポリマー粉末Xがある程度視認できるように構成されているが、中が見えないように着色されていても構わず、また他の任意のプラスチック材料から作製することもできる。注入器10内には、高吸水性ポリマー粉末Xと共に、後述する案内体50が収容されている。
【0019】
筒状本体20は、先端開口部22を有する円筒状部材21と、その外周に被冠されたカバー部材25とからなる。
円筒状部材21の先端開口部22は、円筒体を切断した端面のように円形である。図3に明瞭に示されているように、円筒状部材21は、後端部に指を引っ掛けるための半径方向外側に突出した一対の鍔部23を有する。鍔部23の先端部分は先端側に湾曲しており、指が引っ掛け易いようになっている。また、円筒状部材21の後端部近傍の内周面には、僅かに内方に突出したリング状の突条部24が形成されている。
【0020】
なお、死後、硬直するまでに肛門や膣に外径の大きな筒状注入器(シリンジ)を挿入すると、肛門管や膣口が大きく開き、収縮するまでに時間を要するので体液の漏出の原因になる。また、円筒状部材21の外径は細いほど挿入し易く、使用が簡便である。従って、円筒状部材21の外径は約10〜25mm、より好ましくは約10〜15mm、内径は約8〜23mmの範囲内に設定することが好ましい。また、鍔部23の円筒状部材21の外周面からの高さは約5〜18mm、先端部の湾曲の程度は0〜50°の範囲内に設定することが好ましい。
【0021】
一方、カバー部材25は、図1及び図2から明らかなように、断面八角形の筒体であり、病院で看護師が一般の注射器と容易に判別できるように構成されているが、断面円形であってもよい。なお、カバー部材25は断面が円環状又は任意の多角形の筒体としてもよく、また、カバー部材を着色したり、あるいはその色を他の部材の色と異なるように着色してカラフルな注入器とすることにより、施用場所を鮮明に把握できるようにすることも可能である。図3に明瞭に示されているように、カバー部材25は、その先端部に後方に拡開する笠状のストッパ部26を有する。円筒状部材21の先端からストッパ部26までの距離は約15〜50mmの範囲内に設定することが好ましく、ストッパ部26の円筒状部材21の外周面からの高さは、容易に肛門や膣口で止まるように約5〜30mmの範囲内に設定することが好ましい。なお、ストッパ部26は、必ずしも本実施態様のように笠状にする必要はなく、注入器10を肛門や膣へ所定長さだけ挿入した位置でそれ以上の挿入を行わないことを確保できる部材であればよく、例えば円板状であってもよい。また、このようなカバー部材を用いる場合、前記した鍔部とストッパ部はカバー部材の所定位置に設けてもよく、例えばストッパ部はカバー部材の先端部又はカバー部材が円筒状部材と同じような長さの場合には略中間部に、鍔部はカバー部材の後端部に設け、このカバー部材が後方に抜け出ないような突部(ストッパー)を円筒状部材の後端部に設ける構成としてもよい。
【0022】
前記カバー部材25は、その後端が円筒状部材21の後端に形成された鍔部23に当接することによって、円筒状部材21の後端より後方向に移動しないように構成されている。円筒状部材21を遺体の肛門や膣に挿入したときにストッパ部26がそれらの入口に当接するが、カバー部材25の後端が円筒状部材21の鍔部23に突き当たることにより、ストッパ部26を有するカバー部材25が後方に位置ズレすることはない。なお、本実施態様においては、円筒状部材21とカバー部材25は別体に形成されているが、一体成形してもよい。但し、筒状本体20の円筒状部材21とカバー部材25を別体とすることにより、一体成形の場合に比べて低コストで容易に筒状本体を製造できる。
【0023】
一方、ピストン30は、上記筒状本体20の円筒状部材21に、後端部側から摺動自在に挿入されている。ピストン30の長さは、内容物の高吸水性ポリマー粉末Xと案内体50を押し出せるように、円筒状部材21の長さよりも長くなるように設計されている。ピストン30は、断面十字形のピストンロッド31を有し、その先端部には該ピストンロッドの断面寸法よりも若干大きな直径の円形フランジ部32が形成されている。該円形フランジ部32から突出して形成されたフランジ部33周囲には、合成樹脂やゴム等から作製されたガスケット34が被冠されている。また、ピストンロッド31の後端には、ピストンロッド31を指で押圧し易いように、指を当てる円板状部35が形成されている。なお、本実施態様ではピストンロッド31は断面十字形であるが、断面円形等の棒状であってもよい。
【0024】
ピストン30は、筒状本体20の円筒状部材21に後端部側から挿入したときに、上記ガスケット34が注入器10の円筒状部材21内周面に接触した状態で円筒状部材21内を摺動するように構成されている。さらに、円筒状部材21の後端部近傍の内周面には僅かに内方に突出したリング状の突条部24が形成されており、この突条部24にピストンロッド31の円形フランジ部32が当たることによって、ピストン30が筒状本体20から容易に抜け出ないように構成されている。
【0025】
また、円筒状部材21の先端開口部22には、遺体の肛門や膣にスムーズに挿入し易いように、先端部外形が略半球状のドーム状の閉塞部材40が脱着自在に被冠されている。閉塞部材40は、合成樹脂製の中実の半球状頭部41と円筒状部42とからなり、円筒状部42の内径は円筒状部材21の先端部の外径と略同一である。尚、円筒状部材21の先端部に嵌め合わされる閉塞部材40の係合力は、高吸水性ポリマー粉末X及び案内体50を遺体の体腔内に注入する際に同時に閉塞部材40が体腔内に押し出されるような係合力であればよい。
【0026】
前記閉塞部材40の材質としては、耐薬品性があり、安価に成型できるプラスチック材料、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA、別名:ナイロン)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)等のプラスチックが好ましい。また、合成繊維や天然繊維の成型不織布、高吸水性樹脂繊維等の成型物や、牛脂、ヤシ油、パーム油などから作られた固形石鹸、ポリエチレングリコール(PEG、平均分子量として約1000以上の固体のもの)、ゴム、木材、コルクなども用いることができる。さらに、安価に成型できる金属、例えばアルミニウム、鉄、ブリキ等も用いることができるが、高吸水性ポリマー粉末X及び案内体50と共に押し出された閉塞部材40は体内に残留するため、遺体を火葬する慣習のある国においては好ましくない。
【0027】
一方、前記案内体50は、図4に示されるように、前端部と略中間部に円筒状部材21の周壁に接触する2本のリング状の環状部51、52を有すると共に、後端部に、略中央部に孔部56が形成された円板状ピストン作用部53とを有し、該環状部51、52と円板状ピストン作用部53は複数(図示の例では3本であるが、2本以上であればよい)の連結部材54により一体に連結されている。尚、図示の実施態様では3本の連結部材54間の間隔は等間隔であるが、等間隔でなくてもよい。
【0028】
各環状部51、52と円板状ピストン作用部53の外径は、円筒状部材21の内部に収容された状態でその周壁に接触するサイズであれば、後端部の円板状ピストン作用部53がピストン30により押され、円筒状部材21の周壁を摺動するので、案内体50が筒状本体20の円筒状部材21内部に収容された高吸水性ポリマー粉末Xを全体的に押し出すガイド部材として機能する。但し、体腔内に押し出された高吸水性ポリマー粉末Xが速やかに体液及び汚物中の液と接触して、これらを吸収・膨張するような構造とするためには、案内体50の周側開口部55の全面積は、強度の面も考慮する必要があるが、案内体50の周側面(仮想円筒体の周側面)全面積の60%以上、好ましくは80%以上、98%以下、好ましくは95%以下の範囲とすることが望ましい。また、案内体50の全長は、円筒状部材21の高吸水性ポリマー粉末X収納部分の長さ(円筒状部材21の先端から案内体50の後端部の円板状ピストン作用部53がピストン30のガスケット34と接触する位置までの長さ)以下とする必要があり、好ましくは、誤ってピストン30に触れても閉塞部材40が円筒状部材21の先端から外れないように遊び代を設け、例えば円筒状部材21の高吸水性ポリマー粉末X収納部分の長さよりも2〜8mm、好ましくは3〜6mm程度短くすることが望ましい。さらに、円板状ピストン作用部53の孔部56の大きさは、環状部の内周円面積(環状部51の開口面積に相当)に対する孔部56の面積の比率が、3%以上、50%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下となるような割合が望ましい。
【0029】
前記案内体50の材質としては、耐薬品性があり、安価に成型できるプラスチック材料、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA、別名:ナイロン)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)等のプラスチックが好ましい。また、合成繊維や天然繊維、高吸水性樹脂繊維等の固着成型物や、ゴム、木材、コルクなども用いることができる。さらに、安価に成型できる金属、例えばアルミニウム、鉄、ブリキ等も用いることができるが、高吸水性ポリマー粉末X及び閉塞部材40と共に押し出された案内体50は体内に残留するため、遺体を火葬する慣習のある国においては好ましくない。
【0030】
注入器10の円筒状部材21内に高吸水性ポリマー粉末Xを充填するに際しては、まず筒状本体20の後端部側からピストン30を挿入した状態で、円筒状部材21内に先端部側から前記案内体50を挿入する。この際、ピストン30の先端に設けられたガスケット34の円錐状先端部が円板状ピストン作用部53の孔部56に嵌め込まれ、円板状ピストン作用部53の孔部56が塞がれた状態となる。この状態で、筒状本体20の先端部側から高吸水性ポリマー粉末Xを案内体50の先端もしくはそれに近い位置まで充填すればよく、案内体と高吸水性ポリマー粉末の充填作業性に優れている。その後、筒状本体20の円筒状部材21の先端部に閉塞部材40を嵌め合わせて、本発明の処置装置が組み立てられる。
【0031】
前記高吸水性ポリマー粉末Xとしては、従来公知の各種高吸水性樹脂の粉末を用いることができ、特定のものに限定されないが、それらの中でも、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体等のポリアクリル酸塩、アクリル酸グラフト共重合体架橋物、ポリビニルアクリレート、ビニルアルコールとポリアクリル酸の共重合体、ポリアクリル酸−マレイン酸の共重合体、アルギン酸塩、ポリエチレングリコール系ポリマー、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系ポリマー、ポリアルギン酸塩系ポリマーなどを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
前記高吸水性ポリマー粉末は、平均粒度が約15メッシュ〜180メッシュ(Tyler表示)の粉体が適当であり、より好ましくは約30メッシュ〜150メッシュである。
また、前記高吸水性ポリマー粉末と共に、さらに必要に応じて、酸化防止剤、紫外線防止剤、殺菌剤、防カビ剤、防腐剤、消臭剤、香料等の他の添加剤の1種以上を含有することができる。これら添加剤の含有量は、各成分の所望の効果を維持し、安全性及び良好な経済性が得られる量的割合であれば充分である。
【0033】
上記肛門及び/又は膣に前記高吸水性ポリマー粉末Xを注入・装填するための処置装置の使用に際しては、まず、注入器10の円筒状部材21の先端部に装着された閉塞部材40を取り外さずに、そのまま例えば肛門や膣に挿入し、ストッパ部26が肛門や膣の入口に当たった時点で挿入を停止する。この際、挿入抵抗を軽減するために、閉塞部材40に潤滑剤を塗布してもよい。そして、注入器10のピストン30を押圧し、注入器10内の体液漏出防止材X及び案内体50を閉塞部材40と共に押し出す。押し出された体液漏出防止材Xは、体腔内で体液及び汚物中の液を吸収・膨脹して固形状のゲルになるので、効果的に体液及び汚物の漏出を防止することができる。その後、注入器10を肛門や膣から抜き出す。
【0034】
図5は、案内体の他の実施態様を示している。この実施態様の案内体50aは、前端部の環状部51aが略中央部に孔部57が形成された円板状に形成され、後端部の円板状ピストン作用部53aが無孔の円板状部に形成されている点で前記図4に示す実施態様と異なるが、該環状部51aと、中間部の環状部52と円板状ピストン作用部53aが複数(図示の例では3本であるが、2本以上であればよい)の連結部材54により一体に連結されていることは前記実施態様と同様である。この実施態様の案内体50aの場合、筒状本体20の円筒状部材21内に案内体50aを挿入すると、円筒状部材21内のピストン側が無孔の円板状ピストン作用部53aにより完全に塞がれた状態となる。この実施態様の案内体50aのように、前端部の環状部51aが略中央部に孔部57が形成された円板状に形成されていることにより、閉塞部材40と前端部の環状部51aとの間の円筒状部材21の周壁側の隙間に高吸水性ポリマー粉末が入り込み難くなり(咬み込まれ難くなり)、案内体50aの円筒状部材21内での摺動がよりスムーズになる。尚、前端部の環状部51aの孔部57の大きさは、高吸水性ポリマー粉末の充填がし易いように、前記図4に示す実施態様における円板状ピストン作用部53に形成された孔部56よりも大きくされている。上記環状部51aの孔部57の大きさは、環状部の内周円面積(図4に示す環状部51の開口面積に相当)に対する孔部57の面積の比率が、90%以下、50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上となるような割合が望ましい。また、この実施態様の案内体50aの場合、後端部の円板状ピストン作用部53aが無孔の円板状部に形成されているため、ピストン30の先端に設けられたガスケット34は、図3に示されるような円錐状先端部ではなく、平坦な先端面にすることができる。
【0035】
図6は、案内体の別の実施態様を示している。この実施態様の案内体50bは、前端部の環状部51bが、略中央部に孔部57を有する円板状部の周囲に周壁59が形成された皿状に構成され、同様に、後端部の円板状ピストン作用部53bも、略中央部に孔部56を有する円板状部の周囲に周壁58が形成された皿状に構成されている点で前記図4及び図5に示す実施態様と異なるが、該環状部51bと、中間部の環状部52と、円板状ピストン作用部53bが複数(図示の例では3本であるが、2本以上であればよい)の連結部材54により一体に連結されていることは前記実施態様と同様である。この実施態様の案内体50bの場合、案内体50bを、筒状本体20の後端部側からピストン30を挿入した状態で円筒状部材21内に先端部側から挿入すると、ピストン30の先端に設けられたガスケット34の円錐状先端部が円板状ピストン作用部53bの孔部56に嵌め込まれ、円板状ピストン作用部53bの孔部56が塞がれた状態となる。この実施態様の案内体50bのように、前端部の環状部51b及び後端部の円板状ピストン作用部53bを有孔の皿状に形成することにより、案内体の強度が大きくなると共に、それらと円筒状部材21の周壁との間の隙間に高吸水性ポリマー粉末が入り込み難くなり(咬み込まれ難くなり)、案内体50bの円筒状部材21内での摺動がよりスムーズになる。
尚、前記した各実施態様における前端部の環状部51,51a,51bと後端部の円板状ピストン作用部53,53a,53bはそれぞれ任意に組み合わせることができる。
【0036】
図7及び図8は、前記実施態様の閉塞部材の変形例を示している。
図7に示される実施態様においては、閉塞部材40aは、円筒状部材21の先端部の外径とほぼ等しい直径を有する中実の半球状頭部41aと、円筒状部材21の先端部の内径と略同一の直径を有する丸棒部(中実の筒状部)43とが一体となったきのこ状の外形を有し、該閉塞部材40aの丸棒部43が円筒状部材21の先端開口部に脱着自在に嵌挿されている。
【0037】
一方、図8に示される実施態様においては、閉塞部材40bは、円筒状部材21の先端部の外径とほぼ等しい直径を有する中実の半球状頭部41bと、円筒状部材21の先端部の内径と略同一の外径を有する円筒状部(中空の筒状部)44とが一体となったきのこ状の外形を有し、該閉塞部材40bの円筒状部44が円筒状部材21の先端開口部に脱着自在に嵌挿されている。
なお、前記いずれの閉塞部材40a,40bにおいても、閉塞部材の丸棒部43又は円筒状部44と円筒状部材21の先端開口部内周面との間の摩擦力を軽減して着脱を容易とするために、丸棒部43又は円筒状部44の外周面に軸線方向に複数本の突条を形成することもできる。
【0038】
前記したような遺体の肛門及び/又は膣を封止するための処置装置は、例えば前掲特許文献3及び4に記載されているような、鼻孔から挿入して咽喉部に体液漏出防止剤を注入・装填するための処置装置、耳孔及び/又は鼻孔から体液の漏出を防ぐための繊維製封止材、あるいはさらに口中装填用の繊維製封止材と共に、一つの容器内に収納して、必要な構成処置具を全て備えた遺体処置キット(遺体処置装置ユニット)として構成することが好ましく、それによって携帯に便利となり、迅速に遺体の処置を行うことができる。さらに、耳孔及び/又は鼻孔から体液の漏出を防ぐための繊維製封止材や口中装填用の繊維製封止材も備えていることにより、死後の体腔各部の筋肉の弛緩による体液漏出もより確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0039】
10 注入器
20 筒状本体
21 円筒状部材
22 先端開口部
23 鍔部
24 突条部
25 カバー部材
26 ストッパ部
30 ピストン
31 ピストンロッド
32 円形フランジ部
33 フランジ部
34 ガスケット
35 円板状部
40,40a,40b 閉塞部材
41,41a,41b 半球状頭部
42,44 円筒状部
43 丸棒部
50,50a,50b 案内体
51,51a,51b,52 環状部
53,53a,53b 円板状ピストン作用部
54 連結部材
56,57 孔部
58,59 周壁
X 高吸水性ポリマー粉末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺体の肛門及び/又は膣を封止するための処置装置であって、両端が開口され、先端開口部が吐出口として機能する筒状本体と、該筒状本体に後端部側から摺動自在に挿入されているピストンとを有する注入器を備え、上記筒状本体の内部に、筒状本体周壁に摺接自在に収容され、周壁が開口されている筒枠状の案内体であって、後端部に有孔もしくは無孔の円板状ピストン作用部が形成された案内体と、高吸水性ポリマー粉末とが収容されていると共に、上記筒状本体の先端開口部は、上記高吸水性ポリマー粉末及び案内体と共に遺体の肛門及び/又は膣内に押し出される閉塞部材により脱着自在に閉塞されていることを特徴とする遺体の処置装置。
【請求項2】
前記案内体は、少なくとも前端部に形成された環状部と、後端部に形成された有孔もしくは無孔の円板状ピストン作用部とを有し、上記環状部と円板状ピストン作用部が複数の連結部材により一体に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の遺体の処置装置。
【請求項3】
前記閉塞部材は、筒状本体の先端開口部に嵌め合わされる筒状部を有する先端部外形が略半球状の閉塞部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の遺体の処置装置。
【請求項4】
遺体の肛門及び/又は膣を封止するための注入器の筒状本体内部に摺接自在に収容される案内体であって、周壁が開口されている筒枠状であり、後端部に有孔もしくは無孔の円板状ピストン作用部が形成されていることを特徴とする案内体。
【請求項5】
少なくとも前端部に形成された環状部と、後端部に形成された有孔もしくは無孔の円板状ピストン作用部とを有し、上記環状部と円板状ピストン作用部が複数の連結部材により一体に連結されていることを特徴とする請求項4に記載の案内体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−180138(P2010−180138A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22651(P2009−22651)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(508032309)株式会社 モデルクリエイト (12)
【Fターム(参考)】