説明

遺体体液漏出防止装置

【課題】本発明では、遺体の主要部分の体液漏出を効果的に防止できる体液漏出部材をそれぞれ揃えたものをセットとして用意し、このセットを使用することで、遺体の大半の体液漏出を全体として防止する。
【解決手段】本発明の遺体体液漏出防止装置は、遺体の咽頭部(B)に挿入される高吸水性樹脂を含有するゼリー体(11)が充填されたシリンジ(1)と、鼻孔(A)から咽頭部(B)に挿入される挿入管(20)と、挿入管(20)に外挿されるカバー部材(30)と、直腸用体液封止部材(40)と、口中用の綿体(60)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺体からの体液漏出を防止するために、遺体の体腔に装填される遺体体液漏出防止装置に関するものである。特に、遺体の咽喉部、直腸部、口内の体液の漏出が効果的に防止できるようにするために、それぞれに適した体液漏出防止体をセットで用意した遺体体液漏出防止装置を提供することにある。
【背景技術】
【0002】
人体は、死亡後に胃液、肺液、排泄物などの体液を漏出させることがある。このため、例えば病院では、死亡確認後、遺体の口、鼻、耳、肛門、女性の膣等の体腔にガーゼ、脱脂綿等を装填し、体液の漏出を防ぐことが行なわれている。また、事故や手術後の遺体の開口部にも同様な処置がとられている。
【0003】
ガーゼ、脱脂綿等に代えて高吸水性の樹脂粉末を口、鼻、耳、咽喉などに装填することが知られている。特許文献1に記載されているように、口、鼻、耳に高吸水性樹脂を装填する例としては、粉体でなくゼリーを用いることも知られている。
【0004】
特許文献2に記載されているように、高吸水性樹脂粉末を含有するゼリー体を咽喉部や直腸用に使用する体液漏出防止装置が知られている。
【0005】
高吸水性樹脂を使用する体液漏出防止装置は、咽喉部、直腸(肛門)、女性の膣、耳、鼻、口中等のどれに対しても適用できるとしたものが多く、直腸用の体液漏出防止装置としては、咽喉部、耳鼻に使用する体液漏出防止部材を直腸用にも使うと開示したものがほとんどであった。
【0006】
その中で直腸用の体液漏出防止装置としては、特許文献3に記載されているように、風船体を肛門に挿入後、ガスや空気で膨らませて密封することが知られている。
【0007】
一般的に行なわれている遺体の口、鼻、耳等の体腔にガーゼ、脱脂綿等を装填する方法では、漏出体液が多い場合には、ガーゼ、脱脂綿等では不十分であって、体外に漏れ出たりしている。漏出した体液の処理時に病原菌に感染する恐れがあり、作業者からは嫌われている。また新しいガーゼ、脱脂綿等と交換する必要があり、煩わしいだけでなく、遺体体液を介して病原菌が感染する危険性があり、交換時にはその周辺に漏出体液の悪臭が残るなどの問題がある。
【0008】
また、ガーゼに代わる方法として、高吸水性樹脂微粉末をシリンジで遺体に充填する方法では、粉末を押圧しても粉末自体の密度が上がるだけで、シリンジ内をスムーズに流れないので、充填することが困難である。また、飛び出る粉末が拡散するので、粉末を固めて栓をしたい所に粉末を留めることが困難であり、場合によっては、遺体外に出て遺体周辺を汚す恐れがある。さらに、粉末をそのまま遺体に装填する場合には、体液の少ない遺体に対しては微粉末がこぼれ出る又はゲルが溶けて漏れ出る可能性がある。
【0009】
そのために、粉体でなく、ゼリーを用いるものが知られている。例えば、特許文献1に記載の技術では、消臭剤入りの粉末ポリマーを適当量の水で溶かし混合してゼリーAにし、遺体の鼻腔の奥、口腔の奥、耳穴の奥にシリンジ等で圧入し充満させ、ゼリーAで止血し、その外側に更に衛生綿で栓Bをするものである。
【0010】
この公報のものでは、ゼリーに消臭剤を混合して異臭を防止するようにし、ゼリー自体で栓をすることを狙いとしている。その上、ゼリーだけでは封止が十分でないので、衛生綿等で更に封止するようにしている。この公報のように、粉末ポリマーを水に溶かしてゼリー状にすれば、流動性が良くなるので、鼻孔等の奥にも注入しやすく、注入器を使って注入しても、粉体のように飛散することも無く、注入管を伝って滑らかに注入できる。しかし、既に水に溶かしているために、本来ポリマーが有する給水性能はほとんどなくなっている。したがって、ゼリーは鼻孔の隙間を埋める栓としての機能でしか使われなく、体液漏出を十分に封止することができない。
【0011】
特許文献2は、ゼリーでありながら高い吸水性を有する体液漏出防止材を開示している。特にポリマーが粉体の状態でゼリーの中に分散しているゼリー状の体液漏出防止材を使用して体腔を封止するものであり、咽喉部の体液漏出防止材としては、非常に優れている。咽喉部のような場所には、このゼリー体を充填することで、この部分に留まり体液を吸収して咽喉部を密閉することができる。しかし、直腸に充填した際には、直腸の出口(肛門の出口)付近に留まることなく奥まで入ってしまい、直腸の封止部材として機能できない。直腸用の封止部材としては、高吸水性樹脂の微粉末やゼリー体をシリンジでそのまま充填するだけでは不十分であり、別の手法が必要であった。
【0012】
直腸用としては、風船体を肛門に挿入後、ガスや空気で膨らませて密封することを開示した特許文献3の技術では、空気で膨らませるための装置が必要であり、且つこの空気が漏れないように密封する必要がある。体液漏出部材としては、扱いが容易でなく、漏出防止機能も十分とは言えなかった。特に体液を吸収して膨らむものではないので、僅かな隙間でもあると体液が漏出することがあった。
【特許文献1】特開平08−133901号公報
【特許文献2】特開2002−275001号公報
【特許文献3】特開2001−161733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
直腸用の体液漏出防止装置として高吸水性樹脂を使用して、体液を吸収して膨張し直腸を封止することがいろいろ研究されているが、満足できるものができていない。
【0014】
そこで我々は、咽喉部用の体液漏出防止装置とは異なり、直腸用に適した体液漏出防止装置を研究開発した。しかし、この直腸用体液漏出防止装置を提供しただけでは、遺体の各部分の体液漏出を防止できる訳ではなく、遺体の体液漏出防止装置全体としては不十分であった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そのために、本発明では、遺体の各部分の体液漏出を効果的に防止できる体液漏出部材をそれぞれ作成し、これらを揃えたセットとして用意し、このセットを使用することで、遺体の体液漏出を全体として防止でき、遺体の体液漏出処理を確実に実現できるものを提供することを目的とする。
【0016】
特に、咽喉部用には咽喉部用の体液漏出防止装置を用い、直腸用には直腸用の体液漏出防止装置を用い、さらに口中用の詰物を用意し、それらをセットとして用意することで、このセットを使用することによって、遺体大半の各部の体液漏出を防止できるようにすることを狙いとする。
【0017】
本発明は、ゼリー体からなる咽喉部用体液漏出部材を用意し、咽喉部用体液漏出部材と異なるタイプの直腸用体液封止部材を用意し、さらに口中の詰物を用意することで、遺体からの体液漏出を効果的に防止し、遺体処置を安全且つ確実・簡単に実行できる技術を提供することを目的とする。
【0018】
具体的には上記目的を達成するために、請求項1の発明では、遺体の咽喉部に挿入される高吸水性樹脂を含有するゼリー体が充填されたシリンジを有する咽喉部用の体液漏出防止装置と、直腸用の体液漏出防止装置と、口中用の詰物とがセットで用意されている構成とする。
【0019】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、更に、耳栓及び鼻栓用の球状の線体を有する構成とする。
【0020】
請求項3の発明は、遺体の咽喉部に挿入される高吸水性樹脂を含有するゼリー体が充填されたシリンジを有する咽喉部用の体液漏出防止装置と、直腸用の体液漏出防止装置と、耳栓及び鼻栓用の球状の線体とがセットで用意されている構成とする。
【0021】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1つの発明において、上記シリンジには、シリンジ内のゼリー体を押出すピストンが備えられ、上記シリンジ及び上記ピストンの少なくとも一方に、シリンジの種類を識別するカラーの識別マークが付与されている構成とする。
【0022】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1つの発明において、上記シリンジに連結され、シリンジ内のゼリー体を咽喉部に導く挿入管本体を備え、該挿入管本体の中間部に、該挿入管本体の先端部が咽喉部に達したことを確認するためのマーク又はストッパが設けられている構成とする。
【0023】
請求項6の発明では、請求項1乃至4のいずれか1つの発明において、上記シリンジに連結され、シリンジ内のゼリー体を咽喉部に導く挿入管本体を備え、上記挿入管本体の中間部に、該挿入管本体の先端部が咽喉部に達した際に鼻に当たるストッパが設けられている構成とする。
【0024】
請求項7の発明では、請求項1乃至6のいずれか1つの発明において、上記咽喉部用の体液漏出防止装置内のゼリー体は、20〜30ccである構成とする。
【0025】
請求項8の発明では、請求項1乃至7のいずれか1つの発明において、上記直腸用の体液漏出防止装置は、直腸に挿入される直腸用体液封止部材を備え、上記直腸用体液封止部材の長さが20〜90mmであって、直径が10〜25mmである構成とする。
【0026】
請求項9の発明では、請求項1乃至7のいずれか1つの発明において、上記直腸と女性膣とに択一的に用いることができる2つの同じ構成の体液漏出防止装置を備えている構成とする。
【0027】
請求項10の発明では、請求項1乃至9のいずれか1つの発明において、上記体液漏出防止装置のゼリー体には、消臭剤及び消毒剤のうちの少なくとも1つが含まれる構成とする。
【0028】
挿入管を鼻孔から咽喉部に挿入し、挿入管を介して咽喉部にシリンジ内のゼリー体をスムーズに充填できるとともに、咽喉部でゼリー体が吸液膨張して咽喉部から口内や鼻孔を介して体液が漏出することを確実に防止できる。
【0029】
また、直腸には、直腸用体液封止部材の外表面にグリセリン等の潤滑剤を塗布して装填することで、座薬感覚で装填でき、装填作業が容易である。特に、潤滑剤を塗布した際に、筒状成形体の上に水溶性シール材を有するので、潤滑剤が筒状成形体に浸透することが防止でき、スムーズな装填を実現できる。そして、装填した直腸用体液封止部材体液によって、水溶性シールが即座に解け、筒状成形体が体液により急速に膨張するので、肛門の出口を速やかに封止でき、体液の漏出を確実に防止できる。
【0030】
また、綿体を口中に装填することで、口中の唾液等の液体漏出を確実に防止できる。その上、この綿体を両頬に位置させた場合、吸液して膨張した綿体が両頬の形を整えることにも役立つ優れた機能を有する。特に老人では入れ歯を取ると頬が引っ込んでみすぼらしい形になるが、この綿体を頬の内側に位置させることで、綿体が適当なふくらみを有することとなり、頬を適正な形に維持できる。
【0031】
このように、遺体の主たる体液漏出部である咽喉部、直腸および口中において、体液を吸収するとともに体液漏出を防止するので、この体液漏出防止装置を1セット用意するだけで遺体の主要な部分の体液漏出防止処理を実現できる。特に、咽喉部用のシリンジ、直腸用の封止装置は挿入作業が容易であり、取扱い性に優れる。
【0032】
上記シリンジ内のゼリー体100容量部に対して、上記直腸用体液封止部材を40〜180容量部とすることが好ましい。
【0033】
すなわち、本発明のゼリー体を使用して、遺体の咽喉部に対して体液漏出防止に使用するゼリー体の量を体格の異なる人や男女の差に対して各種テストした結果、遺体の大きさに応じて咽喉部のゼリー体の量を設定すると、それに応じて直腸部の封止部材の大きさも所定範囲になることを見出した。即ち、咽喉部のゼリー体の量を通常の人に対して使用できる量に設定し、それに応じて直腸用の封止部材の大きさを所定範囲に設定するようにした。それによって、通常の遺体に対して共通に体液漏出防止装置を使用でき、色々の大きさの咽喉部用シリンジや色々の大きさの直腸用封止部材を多く用意する必要が無くなった。それゆえにコストを低減できるとともに間違って異なる種類の体液漏出装置を使用する恐れがなくなった。
【0034】
上記シリンジ内のゼリー体100容量部に対して、上記直腸用体液封止部材を40〜180容量部とする場合、上記シリンジ内のゼリー体を20〜30ccとし、上記直腸用体液封止部材の量を上記ゼリー体の0.7〜1.3倍とすることが好ましい。
【0035】
すなわち、本発明のゼリー体を使用して、遺体の咽喉部に対して体液漏出防止に使用するゼリー体の量を体格の異なる人や男女の差に対して各種テストした結果、通常の人に対しては所定範囲に集約でき、本発明の直腸用体液封止装置の大きさを上記咽喉部のゼリー体の容量に対して所定範囲に設定すれば良いことを見出した。咽喉部のゼリー体の量とこのゼリー体の量に対して直腸用の大きさを所定範囲に設定することで、通常の遺体に対して共通に使用できる体液漏出防止装置を提供でき、各種色々の大きさの咽喉部用シリンジや色々の大きさの直腸用封止装置を用意する必要が無くすことができた。それゆえにコストを低減できるとともに間違って異なる種類の体液漏出装置を使用する恐れがなくなった。
【0036】
上記シリンジ内の上記ゼリー体は、溶剤、増粘剤および高吸水性樹脂粉末を含み、高吸水性樹脂粉末はゼリー体の中に5000個以上/mL分散しており、溶剤100重量部に対して増粘材が0.02〜0.15重量部含まれ、粘度が8000〜40000cPであることが好ましい。
【0037】
この構成では、遺体の咽喉部に装填される体液封止部材としてのゼリ−体の中に高吸水性粉体が多数分散しているので、体液封止部材の流動性が高く、鼻孔の狭い隙間であっても流れやすく、シリンジで圧入しても飛散することがない。その上、咽喉部に充填した後は、ゼリー体は適正な粘度を有しているので、咽喉部を過ぎて食道の奥のほうに流れ込むことがなく、この咽喉部に留まることができる。そして、この咽喉部でゼリー体に分散しているポリマーが体液を吸水して、外部へ漏出することを防止することができる。
【0038】
上記ゼリー体には、さらに中和剤及び潤滑剤が含まれていることが好ましい。これにより、ゼリー体の粘度を適性に調整でき、充填時の流動姓を確保しつつ、咽喉部に充填した際に奥に流れ込まずに、この箇所に留まって、咽喉部を封止する粘性を有するものが得られる。
【0039】
上記シリンジの吐出筒には取外し可能なキャップが被覆されており、上記挿入管本体の接続部には、上記キャップを取り外した吐出筒を受ける段部と、吐出筒が外挿される筒状部とが設けられていることが好ましい。これにより、挿入管とシリンジとの接続が容易になり、且つゼリー体が漏れることなく接続でき、ゼリー体の装填作業性に優れる。
【0040】
また、上記シリンジの吐出筒には破壊可能なキャップが被覆されており、上記挿入管本体の接続部には、上記キャップを破壊して取り外した吐出筒を受ける段部と、吐出筒が外挿される筒状部とが設けられている構成とすることも好ましい。これにより、キャップで確実に蓋した状態でシリンジのゼリー体を保持でき、このゼリー体が漏れることがなく保管できる。
【0041】
また、上記シリンジの吐出筒にはキャップが被覆されており、上記挿入管の接続部には、上記キャップが被覆された吐出筒に接続した際に、シリンジ内のゼリー体が該接続部を介して上記挿入管本体に導入されるように上記キャップを切断するための切断部が設けられている構成とすることも好ましい。
【0042】
この構成では、キャップで確実に蓋した状態でシリンジのゼリー体を保持できるとともにこのゼリー体が漏れることがなく保管できる。それとともに、キャップを付けたシリンジの吐出筒を接続部にセットすることで、接続部に設けた切断部でキャップが簡単に破壊できるので、ゼリー体が漏れることなくシリンジと挿入管とを簡単に連通状態にすることができる。
【0043】
上記カバー部材は、挿入管の挿入管本体に外挿された状態において、該カバー部材の先端部が挿入管の先端部の開口部よりも先方に突出する長さにされていることが好ましい。すなわち、挿入管の挿入管本体は鼻孔に挿入された際に鼻穴の形状に合わせて撓む必要があるので、可撓性(柔軟性)を有するものとなっている。そのために、シリンジや他のものとセットにして長期保管していると、曲がったりして変形することがある。そこで、本発明では、挿入管本体の変形を防止するために、カバー部材をこの挿入管本体に被せている。そうして、カバー部材の長さを上述の如く設定しているから、このカバー部材によって、挿入管本体の先端を確実に保護できるので、挿入管本体の先端が変形したり、先端の開口部が潰れたりすることを防止できる。
【0044】
上記カバー部材は、挿入管本体の外径よりも大きな内径を備え、且つ挿入管外周に係合する係合部を有する構成とすることが好ましい。これにより、カバー部材が挿入管本体から不用意に外れることを未然に防止でき、且つ使用の際には、簡単にカバー部材を挿入管本体から取り外すことができる。
【0045】
上記カバー部材の係合部は、上記挿入管の接続部の外周に嵌めることで該挿入管に係合する構成とすることが好ましい。これにより、カバー部材が挿入管から不用意に外れることを未然に防止でき、且つ使用の際には、簡単にカバー部材を挿入管本体から取り外すことができる。特に、簡単な構造で上記不用意な外れの防止及び簡単な取外しの両方の機能を実現できる。
【0046】
上記シリンジ中のゼリー体には消臭剤及び消毒剤のうちの少なくとも1つが含まれている構成とすることが好ましい。これにより、異臭を吸収したり、作業中に作業者が病原菌に感染することを防止できる。
【0047】
上記直腸用体液封止部材の筒状成形体には消臭剤及び消毒剤のうちの少なくとも1つが含まれている構成とすることが好ましい。これにより、異臭を吸収したり、作業中に作業者が病原菌に感染することを防止できる。
【0048】
上記シリンジ外面には、咽喉部へのゼリーの充填量を確認するための目盛りは設けないことが好ましい。すなわち、通常に市販されているシリンジには、例えば0.1cc刻みで目盛りが付与されており、充填量がわかるようになっている。この市販のシリンジを利用してゼリー体を充填し、咽喉部用とすれば低コスト化できる。しかし、遺体の咽喉部にゼリー体を充填するために使用する際に、上記目盛りがあるために、この目盛りを目安にして、遺体の大きさから勝手に充填量を判断して、途中で充填を中断してしまうとか、ある程度充填できたタイミングで充填抵抗が大きくなると充填を中断してしまう可能性がある。特にベテランの看護士などになってくるとその可能性が大きい。したがって、市販のシリンジのような目盛りはないほうが好ましい。
【0049】
上記シリンジの外周には、少量注入用の少量用マークが付与されていることが好ましい。このように、幼児等の特殊な量でよいものに対してのみマークを付与することで、これを目印として充填量を設定できるので好都合である。
【0050】
上記シリンジは密封袋体に収容することがが好ましい。これにより、長期保管していてもシリンジ中のゼリー体が吸湿して固化することを防止できる。特に事故等でキャップが勝手に破損したり、キャップとシリンジの吐出筒との間に隙間が生じた際でも、ゼリー体が吸湿して固化することを防止できる。
【0051】
上記シリンジには、シリンジ内のゼリー体を押出すピストンが備えられ、上記シリンジ及び上記ピストンの少なくとも一方に、シリンジの種別を識別するカラーの識別マークが付与されている構成とすることが好ましい。これにより、遺体処置用のシリンジと他のシリンジとを区別でき、誤用を未然に防止できる。
【0052】
上述の如き遺体体液漏出防止装置においては、更に、取扱い用の手袋を備えた構成とすることが好ましい。これにより、直腸用の封止部材を遺体の直腸に装填する際に別に手袋を用意する必要がない。手袋としては特にゴム手袋とすると好ましい。
【0053】
上述の如き遺体体液漏出防止装置においては、更に、手拭用の紙製シートを備えた構成とすることが好ましい。これにより、処置後の簡単な手拭をすることができ、安全性を高められる。
【0054】
上記手拭用の紙製シートには消毒剤が浸透されていることが好ましい。これにより、処置後の簡単な手拭で、作業者が病原菌に感染することを防止できる。
【0055】
上述の如き遺体体液漏出防止装置においては、更に、耳栓及び鼻栓用の封止部材を備える構成とすることが好ましい。これにより、耳及び鼻からの体液漏出をも防止できる。
【0056】
上記耳栓及び鼻栓用の封止部材は綿材によって構成することが好ましい。これにより、簡単に耳孔及び鼻孔を封止できる。
【0057】
上記耳栓及び鼻栓用の封止部材は、綿材の中に高吸水性樹脂を含むゼリー体が0〜1.5mg含有されていることが好ましい。これにより、耳孔及び鼻孔からの体液漏出を防止する機能が高まる。
【0058】
上記耳栓及び鼻栓用の封止部材は密閉プラスチック袋体に収納しておくことが好ましい。これにより、封止部材が汚れたり、吸湿して使用できなくなることを防止できる。
【0059】
上述の如き遺体体液漏出防止装置においては、更に潤滑剤入り容器を含む構成とすることが好ましい。この構成では、直腸用の封止部材の表面や、挿入管の先端など遺体の体腔に挿入される部分に潤滑剤を塗布することで挿入し易くなり、作業性が向上する。特に潤滑剤としては、グリセリンが好ましい。
【0060】
上述の如き遺体体液漏出防止装置においては、高吸水性多孔質繊維からなる筒状成形体と、該筒状成形体の外周に被覆された水溶性シートとを備えた女性膣用の体液封止部材を含む構成とすることが好ましい。これにより、女性用として使用する際に好都合になる。
【0061】
上記直腸用と女性膣用とは同じ構成の体液封止部材とし、択一的に使用できるようにすれば、コスト低減に有利になり、また、間違えて使用する恐れがなくなる。
【0062】
上述の如き遺体体液漏出防止装置においては、更に、使用済みシリンジ、挿入管、カバー部材等を収納する収納用袋体を備える構成とすることが好ましい。これにより、使用済みの廃材がバラバラになることなく、収納し、処理することができる。
【0063】
上述の如き遺体体液漏出防止装置においては、上記綿体には、体積16cm当たりゼリー体が0.5g〜2.0g含まれる構成とすることが好ましい。これにより、口内の体液を吸収して体液が外部に漏出することを防止できるとともに、適当な大きさに膨張できるので、頬のふっくらとした形を保持するのに適した大きさになり、好都合である。
【0064】
上記綿体に含まれるゼリー体としては、上記シリンジ内のゼリー体と同種の吸湿性に優れたものを用いることが好ましい。もしも口内に詰める綿体をさらに必要とする場合が生じた場合には、緊急処置として、市販のカット綿を用意し、それにシリンジ内のゼリー体を僅かに付与することで、同様な綿体を用意でき、緊急用の応急処置として対応できる。
【0065】
上述の如き遺体体液漏出防止装置においては、上記綿体は、密閉プラスチック袋体に収納されている構成とすることが好ましい。これにより、綿体が不用意に吸湿して使用できなくなる、あるいは汚染される等を防止でき、長期に安定して保管できる。
【0066】
上述の如き遺体体液漏出防止装置においては、上記綿体及び上記封止部材は、ともに密閉プラスチック袋体に収容されている構成とすることが好ましい。これにより、嵩張らずコンパクト化に有利になる。
【0067】
上述の如き遺体体液漏出防止装置においては、上記挿入管本体の中間部に、該先端部が咽喉部に達したことを確認するためのマークが設けられている構成とすることが好ましい。これにより、当該マークを挿入管の挿入時の目安とすることができ、作業性に優れる。
【0068】
上述の如き遺体体液漏出防止装置においては、上記シリンジ内のゼリー体の高吸水性樹脂は微粉体からなり、ゼリー体1mL中に17000個〜29000個分散している構成とすることが好ましい。これにより、ゼリー体の流動性を確保しつつ、吸水性を確保できるので、咽喉部を更に確実に封止できる。
【0069】
上記高吸水性粉体は、20〜150メッシュの粉体からなり、ゼリー体1mL中に18000個〜25000個分散している構成とすることが好ましい。これにより、ゼリー体の流動性を確保しつつ、吸水性を確保できるので、咽喉部の封止機能が非常に高い。
【0070】
上述の如き遺体体液漏出防止装置においては、上記ゼリー体がエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、メタノール、エタノール、グリセリンの少なくとも1種を含む構成とすることにより、ゼリー体中に粉体を分散して保持することが有利になる。
【0071】
上述の如き遺体体液漏出防止装置においては、上記シリンジのゼリー体には、アルコール系主成分100重量部に対し、アクリル酸重合体が0.01〜1.0重量部、中和剤が0.03〜0.7重量部含まれる構成とすることが好ましい。これにより、粉体を、その吸水性を維持した状態でゼリー体中に分散して保持できる機能を高める上で有利になる。
【0072】
上述の如き遺体体液漏出防止装置においては、上記シリンジのゼリー体の粘度を8000〜40000cPとすることが好ましい。これにより、鼻から咽喉部にゼリー体を充填できるとともに咽喉部にゼリー体を保持できる適正な流動性を確保できる。
【0073】
上述の如き遺体体液漏出防止装置においては、上記シリンジのゼリー体のpHを6〜8とすることが好ましい。これにより、高吸水性樹脂の吸水性を維持した状態で該樹脂をゼリー体の中に分散して保持でき、咽喉部の体液漏出防止に有利になる。
【0074】
上述の如き遺体体液漏出防止装置においては、上記直腸用体液封止部材は、アクリル繊維で形成された芯材である内層と、これを囲撓するように形成された高吸水性外層を有する2層構造の多孔質繊維体からなる筒状成形体と、該筒状成形体の外周に被覆された水溶性シートとからなる構成とすることが好ましい。
【0075】
この構成では、体液に接触すると水溶性シートが速やかに溶けて、筒状成形体が速やかに直径方向に膨潤するので、体液が直腸から外部に漏出することが防止できる。特に、アルカリ繊維で形成された芯材で繊維物性を維持でき、高吸水性外層が体液を吸水して膨潤するので、筒状成形体は直腸内で挿入位置を保持して直腸の内壁に密着するように膨潤でき、体液漏出を防止する機能に優れている。
【0076】
上述の如き遺体体液漏出防止装置においては、上記直腸用体液封止部材は、長さが20〜90mmであって、直径が10〜25mmである構成とすることが、肛門や女性の膣等の下半身の体腔に対する使用に好適となる。
【0077】
上述の如き遺体体液漏出防止装置においては、上記直腸用体液封止部材の上記水溶性シートは、厚さ200μm以下であり、体液に接触すると速やかに溶けるシートとすることが好ましい。これにより、直腸内に挿入する前は塗布した潤滑剤が筒状成形体内に浸透することを防止でき、直腸内に挿入した場合には、該高級水性シートがすぐに溶けて、体液がすぐに筒状成形体に接触でき、速やかに筒状成形体が膨潤することができる。
【0078】
上記筒状成形体は、体液に接触すると速やかに吸水して膨潤し、直径が約2.5倍以上に膨れる構成とすることが好ましい。これにより、当該筒状成形体を直腸の内壁に密着させることができ、体液が体腔から漏出することを確実に防止できる。
【0079】
上記筒状成形体には、消臭剤及び消毒剤のうちの少なくとも1つが含まれるので、異臭を吸収したり、作業中に作業者が病原菌に感染することを防止できる。
【0080】
上述の如き遺体体液漏出防止装置においては、上記挿入管本体の先端面に第1開口部が形成されているとともに、該挿入管本体の先端近傍の側面に第2開口部が形成されている構成とすることが好ましい。これにより、挿入管本体内のゼリー体は異なる位置から異なる角度で吐出するので、挿入管本体から鼻孔内に導入され易い。
【0081】
上記シリンジ内のゼリー体100容量部に対して、上記直腸用体液封止部材が40〜180容量部であることが好ましい。特に、シリンジ内のゼリー体が20〜30ccであり、この値に対して、上記直腸用体液封止部材が0.7〜1.3倍であることが好ましい。
【0082】
咽喉部のゼリー体の量と直腸用の大きさを所定範囲に設定することで、通常の遺体に対して共通に使用できる体液漏出防止装置を提供でき、各種色々の大きさの咽喉部用シリンジや色々の大きさの直腸用封止装置を用意する必要が無くなる。
【0083】
本発明で使用するシリンジ内のゼリー体中の高吸水性ポリマーは、ゼリー体中に粉体で分散混在していているが、体液を吸収して確実に漏出を防止するためには、ゼリー体の中に5000個以上/mL分散していることが好ましい。特に、高吸水性ポリマーが微粉体からなり、ゼリーの中に15000個/mL〜30000個/mL分散していることが更に好ましい。その上更に、高吸水性粉体が20〜150メッシュの粉体からなり、ゼリーの中に18000個/mL〜25000個/mL分散していると体液漏出効果が非常に高い。
【0084】
上記ゼリー体の粘液基剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、メタノール、エタノール、グリセリンの中から選ばれた少なくとも一種を用いることが好ましい。特に、グリコール系はアクリル酸系ポリマーを粉体の状態で分散して保持している状態が安定しており、好ましい。エチレングリコールが取り扱いが容易であって、半年以上放置しても、内部に分散している微粉体が溶けることなく、長期間安定して粉体の状態を維持することができた。
【0085】
ゼリー体としては、粘液基剤としてのアルコール系主成分100重量部に対し、アクリル酸重合体が0.01〜1.0重量部、中和剤が0.03〜0.7重量部含まれることが好ましい。特に、アクリル酸は、安定したゼリーを生成するために必要であり、0.01重量部未満では粘度が不足する。一方、1.0重量部より多くなると、粘度が飽和点に達し、それ以上は多くしても粘度は上がらない。
【0086】
中和剤はゼリー体のpHを適正な値に維持するために必要であり、0.03重量部未満では、pHが下がり、その結果ゼリーの粘性が不足し、粘度の有効な範囲を外れる。一方、0.7重量部より多くなると、ゼリーの粘性が安定しなくなり、調整が困難となる。
【0087】
上記ゼリー体の粘度は8000〜40000cPであることが好ましい。この値よりも粘度が低いとさらさらとなり、咽喉部内に入りやすいが、所定位置に留まることができなくなり、封止効果が期待できない。一方、40000cPよりも多すぎると粘性が高すぎて、咽喉部に注入することが難しくなる。
【0088】
ゼリー体のpHは6〜8に調整することが好ましい。pHが6よりも少なくなると、ゼリーの粘性が不足し、粘度の有効な範囲を外れる。一方、pHが8より高くなると、粘度が変動して不安定となり、長期安定性が低下するとともに、体腔に注入することが難しくなるので、好ましくない。pHはゼリーの粘度を適正な値にするバロメーターとして使われる。
【0089】
上記体液封止部材には、二酸化安定塩素、消臭剤、殺菌剤、防腐剤等の薬液を添加してもよい。
【0090】
本発明に係わるゼリー体の製造方法の一例を説明する。
【0091】
攪拌機に粘液基材であるエチレングリコールを入れる。このエチレングリコールを攪拌しながら、アクリル酸重合体を少量づつ加えていく。2〜8時間攪拌して、分散液を生成する。この分散液を攪拌しながら、中和剤を少量づつ滴下していく。これにより、ゼリーが生成される。
【0092】
このゼリーにゲル粉末である高吸水性ポリマーを加え、十分に攪拌する。これにより、ポリマーが分散したゼリーが生成される。
【0093】
直腸用に使用する高吸水性繊維としては、外層が親水性架橋重合体で、内層がアクリル系重合体及び/又は他の重合体からなるものが好ましく、5〜200cc/gの水膨潤度を有するものが好ましい。特にこの高吸水性繊維がカルボキシル基を含むと、アンモニアの吸着性を有するので、臭気などを吸収してくれる。カルボキシル基の含量は0.5〜4.0mmol/gが好ましい。
【0094】
特に、繊維製筒状成形体としては、アクリル繊維で形成された芯となる内層と、この内層を囲撓するように配設された高吸水性で吸水後膨潤するように加工処理された外層とを有する二重構造の水膨潤性繊維(商品名ランシールーF、東洋紡績社製)が、好適に使用される。
【0095】
水溶性シートとしては、筒状成形体の周囲に被覆でき、かつ潤滑剤が被覆できるとともに、潤滑剤が筒状成形体に浸透するのが防止でき、体液に接触すると速やかに溶けて、体液が筒状成形体に接触するものであれば、使用可能である。例えば、三菱製紙社製の水溶性シートで品番30MDP、60MDP、120MDP等が使用できる。
【0096】
潤滑剤としては、人体の肛門に封止部材を滑らかに挿入できるようにするためにこの成形体の表面に被覆するものであって、グリセリンなどを用いる。
【0097】
口中用の綿体としては、良く使用されている4cm×4cmのカット綿を使用すれば良く、このカット綿に所定量のゼリー体を付着させる。
【0098】
付着方法は、カット綿を高さ方向途中で分割し、一方の分割面にゼリー体をランダムに塗布した後、再度元の形状に戻す。ゼリー体によって分割面が接合され、外観上元のカット綿の状態に戻る。
【0099】
口中用の綿体としては、4×4cmの綿体に対して、ゼリー体が0.5g〜2.0g含有すると、口内の体液を吸収して体液が外部に漏出することを防止できるとともに、吸湿して頬のふっくらとした形を保持するのに適した大きさに膨張できるので、好都合である。
【0100】
更に、シリンジ内のゼリー体が20〜30ccで、この値に対して直腸用体液封止部材が0.7〜1.3倍としたものでは、通常の遺体に対して共通に使用できる体液漏出防止装置を提供でき、各種色々の大きさの咽喉部用シリンジや色々の大きさの直腸用封止装置を用意しなくて済んだ。
【発明の効果】
【0101】
以上のように本発明によれば、遺体の主たる体液漏出部である咽喉部、直腸および口中において、体液を吸収するとともに体液漏出を防止するので、当該体液漏出防止装置を1セット用意するだけで遺体の主要な部分の体液漏出防止処理を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0102】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1ないし図5は、本発明の第1実施形態に関わる遺体の体液漏出防止装置を示す。
【0103】
図1に示すように、シリンジ1内にゼリー体11が充填されている。先端の吐出筒2にはキャップ3が取外し可能に圧入されている。このゼリー体11の詳細は後で述べる。
【0104】
咽頭部Bに挿入される挿入管21を用意する。挿入管21は、図2に示すように、鼻孔Aに挿入した際に鼻孔の形状に沿って撓む可撓性(柔軟性)を有する樹脂製の挿入管本体21を有し、後端部に接続部22を備える、この接続部は、挿入管本体21よりも剛性のある同種樹脂で形成された円筒形状であり、その内部中間部に段部23が設けられ、一方の筒状部24aには、挿入管本体21の後端部が挿入され接合されている。この接合は接着剤を用いるか溶着する等で行ない、挿入管本体21と接続部22を確実に一体化している。他方の筒状部24bには、キャップ3を取り外したシリンジ1の吐出筒2が挿入され、吐出筒2の先端部が段部23に当接するようになっている。このことにより、吐出筒2が貫通孔29を介して挿入管本体21の中空部に連通するようになっている。挿入管本体21の先端は、鼻孔Aに挿入しやすいように先細に形成され、この先端面に第1開口部27aが開口され、さらに、先端近傍の側面に第2開口部27bが開口されている。
【0105】
挿入管本体21の外周26にリング状のマーク28が付与されている。このマーク28は、挿入管本体21を鼻孔Aから咽頭部Bに向けて挿入した際に、第1開口部27aが咽頭部Bに到達する長さの位置に設けられている。
【0106】
挿入管20の挿入管本体21には、カバー部材30が外挿されている。このカバー部材30は、可撓性を有する挿入管本体21が、長期保管中や輸送中等において折れ曲る、潰れる等の変形をすることを防止するために設けられている。そのために、カバー部材30は挿入管本体21よりも高い剛性の樹脂のものが用いられる。また、カバー部材30は、挿入管本体21の外径H1より大きな内径H2であり、簡単に外挿又は取外しできるようになっている。そして、このカバー部材30の長さL2は、挿入管本体21の長さL1よりも長くなっており、挿入管本体21にカバー部材30を外挿した時に、挿入管本体21の先端がカバー部材30の先端から飛び出ないようになっている。
【0107】
この第1実施形態では、カバー部材30を挿入管本体21に対して、ルーズに外挿しただけである。箱などのパッケージに入れる際に、挿入管本体21がカバー部材30から抜けないように持って箱詰めすればよいので、簡単な構造で挿入管本体の変形を防止できる。
【0108】
この第1実施形態では、キャップ3を吐出筒2に圧入するようにしているので、シリンジ1内のゼリー体11が、長期保管中に洩れて出る可能性はほとんどない。従って、ゼリー体11が充填されたシリンジ1は何も包んでない。しかし、更に長期保管中であっても確実にゼリー体11が吸湿することを防止するためには、プラスチック製等の密閉袋体91で包むようにしてもよい。
【0109】
直腸用体液封止部材40は、図1に示すように、円柱形状で先端が円錐状になっており、肛門に挿入しやすい形状になっている。図3は、直腸用体液封止部材40の部分拡大図を示す。直腸用体液封止部材40は、円柱状の高吸水性繊維成形体41と、その上に被覆した水溶性シート44とからなり、使用時にはさらにその上に潤滑剤51が被覆されて使用される。高吸水性繊維成形体41としては、図4に示すように、アクリル繊維で形成された芯となる内層42と、この内層42を囲撓するように配設された高吸水性で吸水後膨潤するように加工処理された外層43とを有する二重構造の水膨潤性繊維(商品名ランシールーF、東洋紡績社製)を使用した。この成形体41は直径22mm、長さ80mmのもので、先端を先細に成形したものを用意した。
【0110】
尚、水溶性シート44が破損したり、吸湿することを防止することを狙いとして、直腸用体液封止部材40を密閉袋体92(例えばプラスチック製、銀紙製等)に収納しておき、使用時にこの密閉袋体92を開封して使用するようにしてもよい。
【0111】
水溶性シール材としては、水溶性シートを被覆する、水溶性シール剤を塗布・吹付け等も可能である。しかし、この実施形態では、手軽にかつ均等に被覆できるので、水溶性シート44を使用した。特に、水溶性シート44は、薄くても潤滑剤が繊維成形体に浸透するのを防止でき、体液で速やかに溶けることが好ましい。その水溶性シート44として、三菱製紙社製で品番60MDPのものを使用した。このシート44を成形体41の外周に巻きつけた。この状態で用意しておき、使用時には、別に用意した容器50中の潤滑剤51を水溶性シートの外面に塗布し、肛門に入り易くする。その潤滑剤としては、容器50に入れてあるグリセリン51を使用する。このグリセリンは、グリセリン51が水溶性シート44を透過して成形体41に浸透する可能性をできるだけ避けるためにも、使用直前に塗布することが好ましい。
【0112】
直腸用体液封止部材40の大きさは、肛門の体腔(直腸)内に挿入するの際して、直径が小さいほど挿入し易いが、挿入後に膨潤して直腸壁に密着する大きさに拡大するまでに時間がかかる問題を有する。逆に大きすぎると肛門に挿入しにくい。したがって、直径が10〜25mmとすることが好ましい。また、長さが短いほど挿入し易いが、短すぎると膨潤する際の容積が不足し封止機能に劣るので、長さが20〜100mm、特に40〜80mmとすることが好ましい。
【0113】
筒状成形体41は、直径が約2.5倍以上、好ましくは4倍以上に膨れ、軸方向にはあまり膨潤しないものが、直腸を速やかにシールできるので、好ましい。特に、アクリル繊維で形成された芯材である内層42と、これを囲撓するように形成された高吸水性外層43を有する2層構造の多孔質繊維体からなる筒状成形体41で形成したものが、繊維の物性を芯材で保持し、外層が体液を吸収して径方向に速やかに約2.5倍以上に膨潤するので、この繊維体が多孔質筒状成形体として使用するのに適している。
【0114】
水溶性シート44は、潤滑剤51が繊維成形体41に浸透するのを防止でき、繊維成形体41の表面に被覆できれば、できるだけ薄いほうが好ましいが、実用的には厚さ200μm以下であることが好ましい。
【0115】
筒状成形体41の先端を先細に形成するのは、直腸用体液封止部材40を肛門内に挿入し易くするためであり、先細の形状は上記実施形態に限られるものではない。例えば、片側のみに傾斜面を形成したものであってもよい。また、円錐上に形成しなくて、2面、3面、4面など周方向に間隔をおいて複数の傾斜面を形成したものや、角錐状に形成したものであってもよい。また、先端を断面楕円形に形成したものであってもよい。なお、傾斜面を形成した場合に、先端に少しフラット面が残ってもよい。また、傾斜面を形成した先端に細い棒体が残るように形成したものであってもよい。傾斜面の傾斜角度は一段であっても良く、また、多段に形成してあってもよい。
【0116】
図5は口中用の綿体60を分割した状態を示す。この実施形態では、市販されている4×4cmの綿体を使用した。この綿体の分割面60aに、シリンジ等から絞り出されたゼリー体61約1gが紐状に付着されている。そして、この状態で他の分割綿体60を元通りに合わせてあり、ゼリー体61が両分割綿体60に付着し、元通りに1つのパックのようになっている。このようなパックは両ほぺったに入れるために2つ用意される。2パックは別々に用意してもよいし、図1に示すように重ねて1つにしていてもよい。綿体60の厚さは、1つのパックで自然の状態で10mmのものを使用した。しかし、4cm×4cmの大きさ、10mmの厚さは、この数値に限られるものではなく、頬に入れられて、体液の漏出を防ぐこと及び頬の膨らみを自然の膨らみに近い形で形成することができれば、上記数値に限られるものではなく、多くても少なくてもよい。
【0117】
ゼリー体11を綿体60に付着する方法は、上記実施形態の方法に限られるものではなく、綿体60の中にシリンジの吐出筒を挿入して、所定量注入するようにしてもよい。なお、表面に塗布することも考えられるが、ゼリー体が露出すると吸湿する可能性が大きい、手作業で扱いにくい等があるので、綿体60の内部にゼリー体11を含有することが好ましい。
【0118】
なお、吸湿や汚れを防止するために、例えば、綿体はプラスチック製柔軟袋体等の密閉袋体に収納するようにすることが好ましい。
【0119】
図6は、咽喉部用体液漏出防止装置を遺体に使用する状態を示す。
Aは鼻孔、Bは咽頭部、Cは舌、Dは気管、Eは食道、Fは頚椎である。使用時には、パッケージ(図示せず)からシリンジ1を取り出し、シリンジ1の吐出筒2のキャップ3を取り外す。そして吐出筒2を挿入管20の接続部22の筒状部24に挿入し、吐出筒2の先端を段部23に押し付ける。挿入管20の挿入本体21を鼻孔Aから咽頭部Bに向けて挿入し、第1開口部27aが咽頭部Bに到達する長さのところで、挿入を中止する。この状態で、シリンジ1のピストン4を押圧して、内部のゼリー体11を吐出筒2から挿入管20内に押出す。挿入管20内のゼリー体11は第1開口部27a及び/または27bから咽頭部Bに押し出される。挿入管20の開口部27a、27bは挿入方向先端だけでなく、側面にも開口しているので、一部の開口部が詰まっても咽頭部Bに導入される。咽頭部Bに押し出されたゼリー体11はこの部分で体液を吸収して膨張して咽頭部Bを封止する。
【0120】
シリンジ1内のゼリー体11をほぼ全部注入した後、シリンジ1と挿入管20を鼻孔Aから取り除く。
【0121】
この実施形態では、複数の開口部から咽頭部Bに集中的にゼリー体11が流し込まれる。特に、ゼリーの状態で流し込まれるので流動性が非常によく、軽い力で滑らかに充填できる。粉末のように拡散して鼻孔Aから飛び出たりすることがなく、このゼリー体11が咽頭部Bに留まり、咽頭部Bが封止される。
【0122】
また、充填時の音が比較的静かであり、作業者は周囲の人たちを気にせずに作業できる。
【0123】
第1実施形態では、カバー部材30を挿入管本体21に対して、ルーズに外挿しただけである。箱などのパッケージに入れる際に注意をすればよく、簡単に取外しできる便利さを備える。
【0124】
挿入抵抗を軽減するために、挿入管20に潤滑剤51を塗布してもよい。
【0125】
なお、上記実施形態では、挿入管20とシリンジ1とを接続した後、挿入管を鼻孔Aに挿入したが、挿入管20を先に鼻孔Aに挿入した後、挿入管20とシリンジ1を接続してもよいし、挿入途中で接続してもよい。注入器と挿入管とをいっしょにフイルムパックで包んでもよい。
【0126】
図7は、直腸用封止部材40を肛門から直腸に挿入した状態を説明する図である。直腸用封止部材40に潤滑剤51を塗布し、先細になった先端から肛門に挿入する。挿入後は直腸内の体液によって、水溶性シート44が即座に溶けて、体液が繊維成形体41に吸収される。繊維成形体41の高吸水性外層43が急速に膨張し、繊維成形体の外表面が直腸内壁に達する。これによって、直腸が封止され、体液漏出が防止される。
【0127】
図8は、本発明の第2実施形態を示し、第1実施形態と同じ部分は同じ符号とし、異なる部分のみ説明する。第2実施形態では、シリンジの吐出筒2に被せられるキャップ103が筒状に形成され、その内部に薄肉のシール103aが一体に設けられ、挿入管20の接続部22に切断部25が設けられたものである。即ち、切断部25は、段部23に筒状部24bと平行に断面円弧状で、先に行くほど尖った形状で形成されている。この切断部25は、シリンジの吐出筒2が筒状部24b内に挿入された際に、シール103aを突き破るようになっている。
【0128】
第2実施形態では、キャップ103を吐出筒2から取り外す必要が無く、吐出筒2を接続部22に接続することで、自然にシールが破け、吐出筒2と連通行29とが連通するようになっているので、作業性に優れる。
【0129】
第2実施形態では、キャップ103を吐出筒2から取り外す必要が無く、吐出筒2を接続部22に接続することで、自然にシールが破け、吐出筒2と連通行29とが連通するようになっているので、作業性に優れる。
【0130】
また、カバー部材30に係合部31を設けた構造である。カバー部材30の先端部が半径方向に無理やり伸ばされて、接続部22の外周に嵌められることで係合されるようになっている。係合部31が拡径し易くするために、カバー部材30の先端部に切り目(図示せず)を1箇所〜数箇所設けてもよい。
【0131】
なお、係合部31はこの構造に限られるものではなく、例えば、カバー部材30の内周に1箇所〜数箇所突起体を設け、この突起体が挿入管本体21の外周にきつく接触するようにしてもよい。また、マーク28を外部に少し突出する厚さほど設けて、上記突起体がこのマーク28を乗り越えてカバー部材30が挿入管本体21の外周に被されることで、カバー部材30が簡単に抜け落ちないようにしてもよい。使用時には、逆に上記突起体がこのマーク28を乗り越えて抜けることで、カバー部材30が挿入管本体21から取り外される。
【0132】
図9は、本発明の第3実施形態を示し、第2実施形態と異なる部分のみ説明する。第3実施形態では、切断部125が段部23の周囲から貫通孔29の中心方向に、先に行くほど尖った形状で形成されている。この切断部125は、シリンジの吐出筒2が筒状部24b内に挿入された際に、シール103aの中央部分から突き破るようになっている。
【0133】
第3実施形態では、第2実施形態と同様に、キャップ103を吐出筒2から取り外す必要が無く、吐出筒2を接続部22に接続することで、自然にシールが破け、吐出筒2と連通行29とが連通するようになっているので、作業性に優れる。それとともに、シール103aを中央から破るので、吐出筒2内のゼリー体11が滑らかに貫通孔29を介して挿入管本体21に導かれる。
【0134】
図10ないし図13は、本発明の第4ないし第6実施形態に関わり、挿入管本体の変形例を示す。
【0135】
図10の第4実施形態では、第2開口部27bを対向する2つの円形孔とし、2列設けたものである。
【0136】
この挿入管本体21の外径は4mm〜8mm、内径が外径より0.5mm〜2.5mm以下の径からなり、第2開口部27bの直径は2mm〜6mmで、1列目の第2開口部の中心は端面部から6mm〜10mmの範囲で、2列目の第2開口部と1列目の第2開口部の間隔は4mm〜10mmの範囲からなる構成とすることが好ましい。この範囲とすれば、挿入管本体21が滑らかに鼻孔Aに挿入され、その先端部が咽頭部Bに到達するので、挿入管本体21内のゼリー体11が咽頭部Bに供給されるとともに、第2開口部27bの成形工程が単純であり、製造コストの低減及び生産性の向上が図れる。
【0137】
図11の第5実施形態では第1開口部127aを丸孔とし、第2開口部127bを対向する2つの十文字状の切り込み孔とし、2列設けたものである。
この第5実施形態では、第1開口部127aが開口し、流体が第1開口部27aからスムーズに遺体内部に流れる時には、第2開口部127bはほとんど開口せず、第2開口部127bからはゼリー体11は流れ出ない。それに対して、第1開口部127aが塞がれている、或いは開口面積が非常に狭くなっている場合には、挿入管本体21の先端部の内圧が上昇し、第2開口部127bの切り込みが開口して、第2開口部127bからゼリー体11が鼻孔A内に供給される。このゼリー体11が鼻孔A内壁と挿入管本体21との隙間を通って、咽頭部Bに供給される。この実施形態では、第2開口部127bの形状変更により、ゼリー体11が鼻孔Aから遺体外部に漏出する可能性を低くしている。
【0138】
なお、第2開口部は上記した図10及び図11の実施形態の構造に限らず、その開口形状は円形、楕円形、スリット形状、弓形形状、多角形など各種形状のものが適用できる。図11のように第2開口部が切り込みの場合でも、その形状は十字形状に限らず、横線・縦線の直線形状や曲線形状でもよい。第2開口部の数量は円周方向に180°間隔に2個配置したものに限られるのではなく、120°間隔に3個、90°間隔に4個配置したもの等も適用できる。第2開口部は開口と切込みを組み合わせる、或は各種形状と数量を組み合わせて各種の開口部を形成してもよい。第2開口部の列数は、2列に限らず3列でもよい。ただ列数をあまり多くすると、挿入管の先端部分の柔軟性が増して、挿入しにくくなるので、多くしないほうが好ましい。
【0139】
図12の第6実施形態は、第1実施形態のマーク28の代わりにストッパー128を付与したものである。即ち、このストッパー128が鼻孔Aに当ると挿入管本体21の先端の第1開口部27aが丁度咽頭部Bに開口する位置になるように設定してある。
【0140】
ストッパー128は、鼻先に当接する弾性シール128aを備えているので、弾性シール128aが鼻孔Aにフィットし、流体の漏出を効果的に防止できる。
また、このストッパー128の突出部分がカバー部材30の内径より少し突出する大きさとすることで、カバー部材30を挿入管本体21に外挿した際に、このストッパー128の突出部分が、カバー部材30が簡単に抜けることを防止する係合部31の機能を果たすことができる。
【0141】
図13ないし図16は、本発明において、追加すると良い備品を示す。図13は、ゴム手袋81を示し、直腸用体液封止部材40等を取り扱う際に使用する手袋として使用する。
【0142】
図14は手拭用濡れティッシュ82であって、消毒剤として二酸化塩素が含まれている。作業者が遺体の処置をしている際や処置後の簡単な手拭き用として使用する。手拭用濡れティッシュ82はプラスチック製密閉袋体に収納されている。
【0143】
図15は収納用袋体83であって、遺体処置後の密封袋体91、密閉プラスチック袋体92、93、94やシリンジ1、キャップ3、挿入管20、カバー部材30、容器50等を収納する。これらのものが散在することを防止する。
【0144】
図16は耳栓及び鼻栓用の封止部材71を示す。封止部材71は耳栓及び鼻栓用にそれぞれ2つずつ有し、計4つ有する。各封止部材71は球状の綿材72からなり、中央に高吸水性樹脂を含むゼリー体73、即ちシリンジ1内のゼリー体11と同じゼリー体が入れてある。74は蓋部材を示す。
【0145】
封止部材71は、円筒状の密閉プラスチック袋体94に収納されている。
【0146】
なお、耳は体液の漏出が少なく、鼻は前述した咽喉部の体液漏出処置を行えば、漏出する体液は極めて少なくなるので、簡易タイプとして、単に綿材73からなる封止部材としてもよい。
【0147】
また、封止部材71は円筒状の密閉プラスチック袋体94に収納したが、口中用の綿体60と一緒に密閉プラスチック袋体93に収納するようにしてもよい。
【0148】
図17はシリンジの別構造を示し、シリンジ101の鍔部101aをカラー色とする識別マーク6を付与し、遺体用のシリンジであることを明確に示す。なお、識別マーク6は、上記鍔部101aに限らず、シリンジ101、吐出筒102、ピストン104の一部及び/または全部にカラーを付与するようにしてもよい。また、シリンジ101の外周に幼児/小児用の使用量を示す少量用マーク6を付与してもよい。また、簡易的な方法としては、キャップ103をカラー識別できる色としてもよい。
【0149】
図18は女性膣用の体液封止部材40aを示す。この体液封止部材40aは直腸用の体液封止部材40と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0150】
この実施形態では、女性膣用の体液封止部材40aと直腸用の体液封止部材40との大きさ(径及び長さ)及び形状を同じとしたので、それぞれ別々に用意する必要がなく、コスト削減できる。それとともに、形状や大きさが異なっていると、間違って使用する恐れがあるが、同じであるのでその恐れがない。
【0151】
いままでに述べた実施形態や、シリンジの別構造、追加備品などは適当に組み合わせて実施してもよいものである。また、他に追加するものがあれば、例えば、女性用に尿道用の封止部材、消臭剤、遺体の顔当てガーゼ、遺体の顎当てバンド、遺体の合掌バンド等を加入してもよい。
【0152】
更に、耳栓及び鼻栓用の封止部材を備えるものでは、遺体の大部分の体腔を封止できるので、遺体の体液漏出をほぼ完全に防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0153】
以上説明したように、本発明に係る遺体体液漏出防止装置は、遺体からの体液漏出を防止するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】図1は本発明の第1実施形態の遺体体液漏出防止装置を示す図である。
【図2】図2は第1実施形態のシリンジの部分断面図である。
【図3】図3は第1実施形態の直腸用体液封止部材の部分拡大図である。
【図4】図4は図3の直腸用体液封止部材の部分説明図である。
【図5】図5は口中用の綿体を分割した状態を示す斜視図である。
【図6】図6は咽喉部用体液漏出防止装置を遺体に使用する状態を示す断面図である。
【図7】図7は直腸用封止部材を挿入した状態を説明する図である。
【図8】図8は本発明の第2実施形態を示す断面図である。
【図9】図9は本発明の第3実施形態を示す断面図である。
【図10】図10は本発明の第4実施形態を示す断面図である。
【図11】図11は本発明の第5実施形態を示す断面図である。
【図12】図12は本発明の第6実施形態を示す断面図である。
【図13】図13は本発明で追加使用する備品を示す正面図である。
【図14】図14は本発明で追加使用する別の備品を示す正面図である。
【図15】図15は本発明で追加使用する更に別の備品を示す斜視図である。
【図16】図16は本発明で追加使用する耳栓及び鼻栓を示す斜視図である。
【図17】図17は本発明の別のシリンジ構造を示す斜視図である。
【図18】図18は女性膣用の体液封止部材を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0155】
1 シリンジ
2 吐出筒
3 キャップ
11 ゼリー体
21 挿入管
22 接続部
23 段部
24a 筒状部
24b 筒状部
26 外周
27a 第1開口部
27b 第2開口部
28 マーク
29 貫通孔
30 カバー部材
40 直腸用液体封止部材
41 高吸水性繊維成形体
60 綿体
71 封止部材
82 手拭用濡れティッシュ
91 密封袋体
A 鼻孔
B 咽頭部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺体の咽喉部に挿入される高吸水性樹脂を含有するゼリー体が充填されたシリンジを有する咽喉部用の体液漏出防止装置と、
直腸用の体液漏出防止装置と、
口中用の詰物とがセットで用意されていることを特徴とする遺体体液漏出防止装置。
【請求項2】
請求項1に記載の遺体体液漏出防止装置において、
更に、耳栓及び鼻栓用の球状の線体を有することを特徴とする遺体体液漏出防止装置。
【請求項3】
遺体の咽喉部に挿入される高吸水性樹脂を含有するゼリー体が充填されたシリンジを有する咽喉部用の体液漏出防止装置と、
直腸用の体液漏出防止装置と、
耳栓及び鼻栓用の球状の線体とがセットで用意されていることを特徴とする遺体体液漏出防止装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の遺体体液漏出防止装置において、
上記シリンジには、シリンジ内のゼリー体を押出すピストンが備えられ、上記シリンジ及び上記ピストンの少なくとも一方に、シリンジの種類を識別するカラーの識別マークが付与されていることを特徴とする遺体体液漏出防止装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の遺体体液漏出防止装置において、
上記シリンジに連結され、シリンジ内のゼリー体を咽喉部に導く挿入管本体を備え、
上記挿入管本体の中間部に、該挿入管本体の先端部が咽喉部に達したことを確認するためのマークが設けられていることを特徴とする遺体体液漏出防止装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の遺体体液漏出防止装置において、
上記シリンジに連結され、シリンジ内のゼリー体を咽喉部に導く挿入管本体を備え、
上記挿入管本体の中間部に、該挿入管本体の先端部が咽喉部に達した際に鼻に当たるストッパが設けられていることを特徴とする遺体体液漏出防止装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1つに記載の遺体体液漏出防止装置において、
上記咽喉部用の体液漏出防止装置内のゼリー体は、20〜30ccであることを特徴とする遺体体液漏出防止装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つに記載の遺体体液漏出防止装置において、
上記直腸用の体液漏出防止装置は、直腸に挿入される直腸用体液封止部材を備え、
上記直腸用体液封止部材の長さが20〜90mmであって、直径が10〜25mmであることを特徴とする遺体体液漏出防止装置。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか1つに記載の遺体体液漏出防止装置において、
上記直腸と女性膣とに択一的に用いることができる2つの同じ構成の体液漏出防止装置を備えていることを特徴とする遺体体液漏出防止装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1つに記載の遺体体液漏出防止装置において、
上記体液漏出防止装置のゼリー体には、消臭剤及び消毒剤のうちの少なくとも1つが含まれることを特徴とする遺体体液漏出防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−182445(P2007−182445A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−31794(P2007−31794)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【分割の表示】特願2004−571069(P2004−571069)の分割
【原出願日】平成15年4月21日(2003.4.21)
【出願人】(500329906)
【Fターム(参考)】