説明

遺体処理方法

適切な手順で行われるべき下記ステップ:
(a)少なくとも部分的に、土壌材、例えば培養土または水耕用顆粒で充填した貯蔵容器を提供すること;
(b)植物、例えば、木、灌木、盆栽用樹木または室内用植物を、この土壌材中で成長させることを可能にする;そして、
(c)遺骸の少なくとも成分を、この植物に添加すること、
を含むヒトまたは動物の遺骸を取り扱う方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒトまたは動物の遺骸を取り扱う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
埋葬に加えて、故人は火葬されることが多い。火葬の後、灰は火葬場で壺内に保持され、決められた期間の後に渡される。その後、この灰は散布されるか、壁龕に収納され得る。散布は、例えば、海または散布場所でも可能である。収納は、火葬場での骨壺収容壁内または地下墓室、骨壺庭園、骨壺用地下室または特別な対象物内でも可能である。また、該灰は墓地にて収容されるか、または家に持ち帰ることもできる。別の場所、個人的に選択した散布場所で散布することも可能である。さらに、例えば、遺灰をガラスの彫刻またはメダルなどの中に組込んだ記念物品も存在する。人口ダイアモンドを故人の遺灰から製造することもできる。
【0003】
また、新しい形式の遺体処理が開発されている:フリーズドライまたは凍結乾燥。フリーズドライする際に、遺体は-18℃に冷却される。次いで、凍結された遺体を液体窒素浴に浸たす。凍結した遺体は非常に脆くなる。その後、該遺体を振動に供し、ある種の粉末へと粉々にし、水分を真空にて蒸散させる。最終的に、25〜30 kgの範囲の重量の乾燥した無臭粉末が残る。
【0004】
EP-A-0 623 717では、故人の思い出として生活記念碑を得るために、植物、通常は木の中に遺灰を取り込ませることを提案している。この文献では、該灰は植物の根の近くに置かれる。しかし、地表での灰の流失は、一般的に植物による灰の吸収よりも速くおこり、そのため実際には少量の灰分しか生きている植物中に吸収されない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、可能な限り多くの遺骸が植物に吸収される遺体処理の方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これに関して、本発明は、
(a)少なくとも部分的に、土壌材、例えば培養土または水耕用顆粒で充填された貯蔵容器を提供すること、
(b)植物、例えば木、灌木、盆栽用樹木または室内用植物を、この土壌材中で成長させ得ること、そして
(c)少なくとも遺骸の成分を、該植物に添加すること、
を含む、適切な手順で行われる上記ステップを特徴とする記載した型の方法を提供する。
【0007】
本発明の内容においては、「貯蔵容器」とは、植物が成長できるタブ型容器、かご、容器、袋などを意味すると理解されるべきである。重要な点は、この容器が、周囲環境へ流出しないように遺骸をとどめ置くこと、または該成分が出来る限り植物に吸収されるように、少なくとも該流出が該植物による吸収よりもさらにゆっくりと起こること、である。
【0008】
植物として木が選択されるのが好ましい。一般的に、木は比較的寿命が長く、そのため生存記念碑は親族に比較的長い期間利用され得る。また、灌木は、例えばこの目的に十分適している。
【0009】
また、植物として室内用鉢植え植物を選定することも可能である。室内用鉢植え植物を有するその容器は、例えば室内、リビングルームに置かれ得る、そのため親族が、常に非常に近い近傍で生存記念碑を所有できる。
【0010】
好ましい実施態様において、方法ステップ(d)は、遺骸の少なくとも一部を、ステップ(c)の前に、不定型の塊に小さくする、例えば顆粒または粉末にすることを含む。
【0011】
このステップは、例えば、火葬、フリーズドライまたはその他の適当な方法にて行うことができます。
【0012】
本発明の特定のステップは、ステップ(d)で得た不定型の塊を、土壌材に直接添加するステップ(g)を含む。
【0013】
別の実施態様において、該方法は、
(h)ステップ(d)にて得た塊の水溶性成分を水中に溶解すること;そして
(i)こうして得られた溶液を植物に添加することにより、ステップ(c)を行うこと、
のステップを含む。
【0014】
この特定の実施態様は、例えば非加熱水による濾過によってステップ(h)を行うステップ(j)、または例えば熱水を用いる抽出または浸出によりステップ(h)を行うステップ(k)を含む。
【0015】
本発明の別の態様に従って、該方法のステップ(l)は、該溶液を、所望により小分けにして、土壌材に添加することによりステップ(i)を行うことを含む。
【0016】
別の実施態様において、該方法のステップ(m)は、該溶液を、植物の葉、トゲ、花、茎、幹および/または枝に適用することにより、例えば噴霧することによりステップ(i)を行うことを含む。
【0017】
さらに別の方法において、該方法のステップ(n)は、該溶液を、所望により部分的に、樹液流中に取り込まれるように植物の幹、茎および/または枝に注入することによりステップ(i)を行うことを含む。
【0018】
本発明のさらなる別の態様に従って、該方法のステップ(o)は、生物分解可能な材料の貯蔵容器を使用することによって、ステップ(a)を行うことを含む。
【0019】
このように、遺骸および植物を有する該貯蔵容器は、所望の場所にて直接地面に植えられ得る。しばらくして、少なくとも遺骸の大部分が植物に吸収されてから、該貯蔵容器が分解する、そのため該植物はその後に屋外で自由に根をはり、障害なく成長し続けることが出来る。
【0020】
該方法のステップ(p)は、好ましくは、該植物を、ステップ(c)を行った後の一定期間後に屋外に植え替えることを含む。この時期は、該遺骸が、少なくとも大部分を植物により吸収されるように選択され得る。そのため、該植物は、まずある一定のサイズに、例えば庭師に注意深く手入れされて成長でき、その後より明確な選択された場所に植えられる。
【0021】
最終的な変形において、該方法のステップ(q)は、遺骸の成分を有する一群の植物が得られるように、ステップ(p)を多数の植物について行うことを含む。即ち、該植物を、同様の方法で育てられてきた他の植物と共に追悼庭園に植えることが出来る。こうして、その植物、灌木または木が、故人の成分により成長していることを知って訪問出来る平和的な、魅力的な、自然の庭または公園を設計することができる。
【0022】
本発明は、さらに上記した型の方法を行うための装置に関する。かかる装置は、次のものを含む;少なくとも部分的に土壌材、例えば培養土で充填されることを意図し、また適合された貯蔵容器、この中で植物、例えば木、灌木、盆栽用樹木または室内用鉢植え植物が成長する;少なくとも遺骸の成分を格納するための容器。
【0023】
特定の実施態様において、該装置は、貯蔵容器および格納するための容器が互いに分離出来ないように連結されている特別な特徴を有する。
【0024】
本発明の別の態様に従って、該装置は、貯蔵容器および格納するための容器を分離出来るように互いに連結されている特別な特徴を有する。
【0025】
以下に、本発明の方法の多くの非限定的な例示的実施態様の基本を説明する。
【0026】
本発明の方法の好ましい実施態様において、貯蔵容器を、培養土および遺骸の混合物で充填する。幼木をその中に植える。施肥および給水の手入れは、最適であり、例えば専門業者により行われ得る。この木を、それが適切に根付くまで貯蔵容器またはタブ型容器中に残し、この遺骸、少なくとも遺骸成分は根を介して摂取される。その後、根鉢と共にこの木を、貯蔵容器またはタブ型容器から取り出し、選ばれた場所、例えば個人の庭か、この目的のために設計された公園において育てられ、こうして親族のために故人の生活記念碑を形成する。
【0027】
本発明の方法の第二の例示的な実施態様において、生分解材の貯蔵容器を使用する。遺骸および植物を含む貯蔵容器を、所望の場所の地面に直接置くことができる。その後、後の植え替えは必要ない。時が経つにつれ、貯蔵容器またはタブ型容器は分解し、この植物は障害なく成長し続けることが出来る。
【0028】
本発明の方法の第三の例示的な実施態様において、装飾が施された植木鉢を培養土および遺該の混合物で充填する。室内用鉢植え植物をその中に植える。遺骸および植物を有する該装飾がほどこされた植木鉢は、直接室内、例えばリビングルーム内に置くことが出来る。
【0029】
本発明の方法を行うための装置は、部分的に土壌材で満たされ、例えば盆栽用樹木が成長できる浅い皿を含む。少なくとも1つの細い排水管は、例えば皿と該皿の支持体要素の底面の排水口につなぐ。盆栽皿の下に、および水の排水管または複数管および可能な別の支持脚の間に、それらを少なくとも遺骸の成分のための容器、例えば骨壺に取り付ける。これは、盆栽皿の土壌材からの余剰水を出来る限り回収するように働く第二の皿によって保持される。この容器は、骨壺が該水の皿中の水面より上に、常にある程度の距離があるように、支持体要素により保持される。
【0030】
この容器は、室内または屋外の植物用の箱でもあり得る、この場合には、この容器は、例えば視界から隠され、建造物全体内に組み込まれる。親族が遺骸の成分を、土壌材に、または他の様式では該植物に添加することを望む場合に、親族はこの容器を利用できる。
【0031】
該貯蔵容器とは、この容器、例えば骨壺に、所望により分離可能なように連結される壺であり得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも部分的に、土壌材、例えば培養土または水耕用顆粒で充填された貯蔵容器を提供すること、
(b)植物、例えば木、灌木、盆栽用樹木または室内用植物を、この土壌材中で成長させ得ること、および
(c)少なくとも遺骸の成分をこの植物に添加すること、
を含む、適切な手順で行われるべき上記ステップを含む、ヒトまたは動物の遺骸を取り扱う方法。
【請求項2】
遺骸の少なくとも一部を、ステップ(c)の前に、不定型の塊に小さくすること、例えば顆粒または粉末にすることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
火葬によりステップ(d)を行うステップ(e)を含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
フリーズドライによりステップ(d)を行うステップ(f)を含む、請求項2記載の方法。
【請求項5】
ステップ(d)で得た塊を、土壌材に直接添加するステップ(g)を含む、請求項2記載の方法。
【請求項6】
下記のステップ、
(h)ステップ(d)で得られた塊の水溶性成分を水に溶解すること、
(i)このように得た溶液を、植物に添加することにより、ステップ(c)を行うこと、
を含む、請求項2記載の方法。
【請求項7】
例えば非加熱水を用いる濾過によりステップ(h)を行うステップ(j)を含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
例えば熱水を用いる抽出または浸出によりステップ(h)を行うステップ(k)を含む、請求項6記載の方法。
【請求項9】
溶液を、所望により部分的に土壌材に加えることによりステップ(i)を行うステップ(l)を含む、請求項6記載の方法。
【請求項10】
溶液を、植物の葉、トゲ、花、茎、幹および/または枝に、例えば噴霧により適用することによりステップ(i)を行うステップ(m)を含む、請求項6記載の方法。
【請求項11】
該溶液を、所望により小分けにして、該溶液が樹液流中に取り込まれるように植物の幹、茎および/または枝に注入することによりステップ(i)を行うステップ(n)を含む、請求項6記載の方法。
【請求項12】
生分解可能な材料の貯蔵容器を使用することによって、ステップ(a)を行うステップ(o)を含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
植物を、ステップ(c)を行った後に野外に植え替えるステップ(p)を含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
遺骸の成分と共に一群の植物が得られるように多数の植物についてステップ(p)を行うステップ(q)を含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
土壌材、例えば培養土で少なくとも部分的に充填されることを目的とし、また適合した貯蔵容器、ここで植物、例えば木、灌木、盆栽用樹木または室内用鉢植え植物が成長し得る;
少なくとも遺骸の成分を格納するための容器、
を含む、請求項1-14のいずれかに記載の方法を行う装置。
【請求項16】
貯蔵容器および格納するための容器が、分離出来ないように互いに連結されている、請求項15記載の装置。
【請求項17】
貯蔵容器および格納するための容器が、分離可能なように互いに連結されている、請求項15記載の装置。

【公表番号】特表2009−523168(P2009−523168A)
【公表日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550254(P2008−550254)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【国際出願番号】PCT/NL2007/050016
【国際公開番号】WO2007/081211
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(508212417)エー・デー・ファン・ラムスホルスト・ベヘール・ベスローテン・フェンノートシャップ (1)
【氏名又は名称原語表記】E.D. van Ramshorst Beheer B.V.
【Fターム(参考)】