説明

還流ファン付照明装置

【課題】照明手段の冷却を行いながら同時に下方への空気流全体の流れをスムーズな流れとする還流ファン付照明装置を提供すること。
【解決手段】筒状ケース10とファン60と照光手段100とを有する。筒状ケース10は外筒部20と内筒部40とを有する。外筒部20は上部開口を空気取入口21とし、空気取入口21中央に天井に設置した電源コネクタ501に接続されるコネクタ部30を設置し、さらにその内部にファン60を収納して構成される。内筒部40は内部中央に照光手段100を設置し、さらに内周面と照光手段100の間の空間に上下方向に向かう風向板120を設置して構成される。外筒部20下部の開口の内側に内筒部40の上部を挿入した状態で両者を一体に固定することで、外筒部20下部の開口と内筒部40外周の間のリング状隙間S1から導入した空気を、直接ファン60の吐出し側に供給する空気導入路70を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内を天井から照明する照明装置に、室内空気循環用のファンを取り付けてなる還流ファン付照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、室内を天井から照明するダウンライトなどの照明装置がある。そして近年、この種の照明装置として、白熱灯や蛍光灯の代わりに、発光ダイオードを用いることが行なわれている。発光ダイオードは白熱灯や蛍光灯などに比べて消費電力が少なく、寿命も長いので、省エネルギー化が図れ、今後の照明装置として有望である。しかしながら発光ダイオードを照明装置に用いた場合、白熱灯や蛍光灯の場合ほどではないが発熱が生じ、発光ダイオードの寿命を短くしてしまう恐れがあった。
【0003】
また従来、天井にファンを設置し、天井付近の暖められた空気を床面付近に降下させることで、室内空気を循環させる室内送風機がある。そしてこの種の室内送風機の中には、例えば特許文献1に示すように、ファンを筒状ケースで覆い、ファンによって下向きに送風される空気をあまり拡散させずになるべく直進させ、これによってファンの風量が少なくても、送風された空気を確実に床面付近まで到達させ、より効果的に室内上部と室内下部の空気の温度差を解消・均一化させるものがある。そしてこの目的を達成するためには、ファンによって生じる空気の下向き流れを筒状ケース下部の吹出し口から下方に向けてよりスムーズに吹出し、より効果的に床面付近に到達させることが必要になる。しかしながらファンによって生じる下向きの空気流は、ファンによって大きくかき乱されているので、空気流全体の流れは同一方向を向くスムーズな下向き流れではなく、したがって吹出された空気を効率よく床面付近まで到達させることができなかった。このため吹出された空気を床面付近まで到達させるには、ファンの回転速度を増大して空気の風速をより速くし、またより大きなファンモータを使用する必要も生じ、消費電力が増大し、また装置のコンパクト化が阻害されてしまう恐れもあった。
【0004】
一方、前記照明装置に前記ファンを一体に取り付け、照明と空気の循環とを同時に行う構造のファン付照明装置がある。この種のファン付照明装置は、室内の照明と空気の循環とを兼用するので、設置場所を少なくでき、また設置作業の簡素化も図れ、さらにファンによって発光ダイオードを空冷することもでき、好適である。しかしながらファンによって発光ダイオードを空冷すると、上記したファンによる空気の乱れに加えて、ファンから送り出された空気が発光ダイオードに吹き付けられることよる空気の乱れも生じ、上記した室内送風機以上に吹出された空気をスムーズに床面付近まで到達させることができなかった。
【特許文献1】特開平10−267334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、照明手段とファンとを内蔵する還流ファン付照明装置において、照明手段の冷却を行いながら同時に下方への空気流全体の流れをスムーズな流れとすることができて、吹出された空気を効率よく床面付近まで到達させることができる還流ファン付照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願請求項1に記載の発明は、筒状ケースと、前記筒状ケース内に設置されこの筒状ケースの下面に設けた開口から空気を吹き出して室内空気を還流させるファンと、前記筒状ケースに設置される室内照明用の照光手段とを有し、天井面付近に設置される還流ファン付照明装置において、前記筒状ケースは、外筒部とこの外筒部よりも径が小さい内筒部とを有し、前記外筒部はその上部開口を空気取入口とし、この空気取入口中央に天井に設置した電源コネクタに接続されるコネクタ部を設置し、さらにその内部に前記ファンを収納して構成され、一方前記内筒部はその内部中央に前記照光手段を設置し、さらにその内周面と前記照光手段の間の空間に上下方向に向かう風向板を設置して構成され、前記外筒部下部の開口の内側に内筒部の上部を挿入した状態で両者を一体に固定することで、前記外筒部下部の開口と内筒部外周の間のリング状隙間から導入した空気を、直接前記ファンの吐出し側に供給する空気導入路を形成したことを特徴とする還流ファン付照明装置にある。
【0007】
本願請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の還流ファン付照明装置において、前記ファンはこれを下から見た形状が多角形状であり、前記内筒部の上端辺上にこのファンを設置することで、ファンの各外周辺からはみ出す内筒部の開口部分を通して前記空気導入路を形成したことを特徴とする還流ファン付照明装置にある。
【発明の効果】
【0008】
本願請求項1に記載の発明によれば、外筒部と内筒部とを用いて形成した空気導入路から導入した空気を、ファンの空気吸込口側に回すことなく、直接ファンの吐出し側に供給したので、ファンによって大きく乱された下向きの空気流の最外周を囲む部分を空気導入路から供給される乱れのほとんどない空気流で包み込むことができ、これによって内筒部内を下降する空気流全体の流れがスムーズになり、さらに内筒部内に設置した風向板によって空気流をより直線状の流れにでき、これらのことから照明手段の冷却を行いながら同時に下方への空気流全体の流れをスムーズな流れとすることができ、吹き出された空気を効率よく床面付近まで到達させることができる。
【0009】
本願請求項2に記載の発明によれば、市販されている多角形状(多くは四角形状)のファンをそのまま用いて、内筒部の上端辺上に設置するという簡単な構成だけで、前記空気導入路を容易に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる還流ファン付照明装置1の概略断面図、図2は側面図、図3は平面図、図4は底面図である。これらの図に示すように還流ファン付照明装置1は、外筒部20と内筒部40とによって筒状ケース10を構成し、外筒部20内にファン60を設置すると共に外筒部20の上部にコネクタ部30を取り付け、内筒部40内に照光手段100を設置すると共に内筒部40の内周面と照光手段100の間の空間に上下方向に向かう4枚の風向板120を設置して構成されている。
【0011】
外筒部20は金属板や合成樹脂板を上下が開放された円筒状に形成して構成されており、その上面開口の空気取入口21を金網などからなる網23によって覆い、網23の中央に天井500(図2参照)に設置した電源コネクタ501(図2参照)に接続されるコネクタ部30を取り付けている。網23は図3に示すように、リング状の複数本の細棒部材23aと中央から放射状に延びる2本1組の4つの直線状の細棒部材23bとを一体化して構成されており、細棒部材23bの各先端部分をビス32及び取付板33によって外筒部20の上端部に取り付けている。コネクタ部30は電球と同じ形状・構造の口金であり、電源コネクタ501であるソケットにねじ込む構造となっている。コネクタ部30の下部(網23の下面側)には機器制御部31が取り付けられている。機器制御部31は前記コネクタ部30から入力される例えばAC100Vの電源電圧をDC12Vに変換し、変換した電力を図示しないリード線によってファン60と照光手段100に供給するものである。外筒部20の上部には円周状に等間隔に複数の円形の小孔からなる側面空気取入口25が設けられ、また外筒部20の側面にはファン60の運転速度やオンオフを制御するファン操作つまみ27が取り付けられている。ファン操作つまみ27は前記機器制御部31に図示しないリード線で接続され、これを操作(回転)することで機器制御部31からファン60に供給される電力を制御する。
【0012】
図5は図1のA−A断面矢視図である。同図及び図1に示すようにファン60は、ファンケース61の内部にプロペラ型のファン本体71とこれを回転駆動するファンモータ73とを内蔵して構成されている。ファンケース61の上下は矩形状(正方形状)の平板部63,65となっており、ファンケース61の上面中央には円形の空気吸込口69が設けられ、下面中央には空気吸込口69とほぼ同一径の円形の空気吐出口(図示せず)が設けられている。このファン60は市販されているファンである。
【0013】
内筒部40は金属板や合成樹脂板を上下が開放された円筒状であって前記外筒部20の内径よりも小さい外径に形成して構成されており、その上面開口は金網などからなる網43によって覆われ、網43の中央に照光手段100を取り付けている。内筒部40の内周面にはこの内周面と照光手段100の間の空間に設置される上下方向に向かう4枚の風向板120が取り付けられている。網43は前記網23と同様、図4に示すように、リング状の複数の細棒部材43aと中央から放射状に延びる2本1組の4つの直線状の細棒部材43bとを一体化して構成されている。風向板120は薄板平板状であり、その平面が内筒部40の中心軸から半径方向外方及び上下方向を向き、中心軸から見て等間隔(90°間隔)に設置されている。照光手段100は略円柱形状のランプ駆動部101と、ランプ駆動部101の下端部に取り付けられるランプ部111とを具備して構成されている。ランプ部111はランプ駆動部101に対して着脱自在になっていて、付け替えることができる。ランプ部111の下面にはランプ部111内のLED発光部によって発光された光を外部に放射する複数(3つ)の照光部113が設けられている。内筒部40の上端辺40a(図5参照)の等間隔の4箇所には舌片状に外方に突出する取付部41が設けられ、これら各取付部41と、前記網43の各細棒部材43b先端部分と、前記ファンケース61の4つの角部近傍部分とが、同時に、外筒部20の内周面下端部近傍に取り付けた取付板74上にピン75によって一体に取り付けられている。言い換えれば、外筒部20下部の開口の内側に内筒部40の上部を挿入した状態で両者を一体に固定し、内筒部40の上端辺40a上にファン60を設置している。そしてファン60はこれを下(上)から見た外形形状が多角形状(四角形状)であり、前記内筒部40の上端辺40a上にこのファン60を設置することで、ファン60の各外周辺60aからはみ出す内筒部40の開口部分を通して空気導入路70を形成している。空気導入路70は各外周辺60aの数と同一の4箇所に形成される。
【0014】
以上のように構成された還流ファン付照明装置1は、図2に示すように、天井500に設置した電源コネクタ501に、コネクタ部30をねじ込むことで天井面付近に取り付けられる。そして室内または室外に設置した室内照明用のオンオフスイッチをオンすれば、コネクタ部30を通じてAC100Vの電源電圧が機器制御部31に供給され、DC12Vに変換された後、ファン60と照明手段100とに供給され、ファン60が駆動されると同時に照明手段100が点灯される。照明手段100が点灯されると、照光部113から下方に向けて光が照射され、室内が明るく照明される。同時にファン60が駆動されることで、図1に矢印で示すように、筒状ケース10(その外筒部20の)上部の空気取入口21と、外周側面の側面空気取入口25とから外部の空気が吸い込まれ、ファン60の内部を通過した後に、内筒部40内に導入され、内筒部40内周面と照明手段100外周面との間の通路を通過し、その際通過する空気によって照明手段100を冷却してその発熱を抑えながら、内筒部40の下端面から下方に向けて吹き出される。
【0015】
一方この還流ファン付照明装置1においては、前述のように、空気導入路70が形成されているので、外筒部20下部の開口と内筒部40外周の間のリング状隙間S1から導入された空気は、ファン60の空気吸込口69側に回ることなく、直接ファン60の吐出し側に、吐出によって生じる負圧によって吸い込まれ、内筒部40内に導入される。ファン60を通過した空気は、ファン本体71の羽根によって大きくかき乱されて下方に押し出されるが、ファン60の内部を通過しないでその吐出側の内筒部40内周面近傍に吸い込まれて供給された空気は、乱れのほとんどない空気流である。このため前記乱れの大きい下向きの空気流の最外周が空気導入路70から供給された乱れのほとんどない空気流によって囲まれることになり、これによって内筒部40内を下降する空気流全体の流れがスムーズになる。さらに内筒部40内に設置した風向板120によって空気流がより直線状の流れになる。これらのことから照明手段100の冷却を行いながら同時に下方への空気流全体の流れをスムーズな流れとすることができ、吹き出された空気を効率よく床面付近まで到達させることができるようになる。
【0016】
さらにこの実施形態の場合、市販されている外形形状が四角形状のファン60をそのまま用いて、内筒部40の上端辺40a上にこのファン60を設置するという簡単な構成だけで、空気導入路70を形成しているので、空気導入路70の形成が容易に行なえ、好適である。
【0017】
また上記還流ファン付照明装置1においては、外筒部20の上面と、内筒部40の上面にそれぞれ網23,43を取り付け、これら網23,43を利用して、それぞれの中央にコネクタ部30と照光手段100とを取り付けたので、簡単な構成で容易にコネクタ部30と照光手段100とをそれぞれ外筒部20と内筒部40の中央に設置することができる。なお前記ファン操作つまみ27を回転操作することでファン60の回転数を調整することができる。
【0018】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、上記実施形態ではファン60のファンケース61としてこれを下(上)から見た形状が四角形状のものを用いたが、3角形や、5角形以上の多角形状であってもよい。また照明手段としてはこの実施形態のように発光ダイオードを用いたものが好適であるが、場合によっては蛍光灯や白熱灯などの他の各種照光手段を用いても良い。コネクタ部30の形状や構造も種々の変更が可能であり、たとえば差し込み式のコネクタ部などであっても良い。ファン60の構造も種々の変更が可能であり、プロペラ式のファンの代わりに、斜流ファンなどを用いても良い。また上記実施形態では外筒部20に側面空気取入口25を設けたが、側面空気取入口25は省略しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】還流ファン付照明装置1の概略断面図である。
【図2】還流ファン付照明装置1の側面図である。
【図3】還流ファン付照明装置1の平面図である。
【図4】還流ファン付照明装置1の底面図である。
【図5】図1のA−A断面矢視図である。
【符号の説明】
【0020】
1 還流ファン付照明装置
10 筒状ケース
20 外筒部
21 空気取入口
25 側面空気取入口
30 コネクタ部
31 機器制御部
40 内筒部
40a 上端辺
60 ファン
60a 外周辺
70 空気導入路
100 照光手段
120 風向板
S1 リング状隙間
501 電源コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状ケースと、前記筒状ケース内に設置されこの筒状ケースの下面に設けた開口から空気を吹き出して室内空気を還流させるファンと、前記筒状ケースに設置される室内照明用の照光手段とを有し、天井面付近に設置される還流ファン付照明装置において、
前記筒状ケースは、外筒部とこの外筒部よりも径が小さい内筒部とを有し、
前記外筒部はその上部開口を空気取入口とし、この空気取入口中央に天井に設置した電源コネクタに接続されるコネクタ部を設置し、さらにその内部に前記ファンを収納して構成され、
一方前記内筒部はその内部中央に前記照光手段を設置し、さらにその内周面と前記照光手段の間の空間に上下方向に向かう風向板を設置して構成され、
前記外筒部下部の開口の内側に内筒部の上部を挿入した状態で両者を一体に固定することで、前記外筒部下部の開口と内筒部外周の間のリング状隙間から導入した空気を、直接前記ファンの吐出し側に供給する空気導入路を形成したことを特徴とする還流ファン付照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の還流ファン付照明装置において、
前記ファンはこれを下から見た形状が多角形状であり、前記内筒部の上端辺上にこのファンを設置することで、ファンの各外周辺からはみ出す内筒部の開口部分を通して前記空気導入路を形成したことを特徴とする還流ファン付照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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