説明

部分的に複数のフォイル層から構成された本体を有するヘルド

【課題】少なくとも部分的に複数の層から成るヘルド本体を備えるヘルドを提供する。
【解決手段】ヘルド本体11は、複数のフォイル層16から成る少なくとも1つの補強領域15を備える。少なくとも1つのフォイル内側層16aが、ヘルド本体11の全体に沿って長手方向Lに延在していることが好ましい。この少なくとも1つのフォイル内側層16aは、特に、ヘルド本体11のアイ12の周囲の領域そして/または端部小穴13の周囲の領域において、少なくとも1つの、好ましくは2つのフォイル外側層16bによって補強され、それにより補強領域15が形成されている。補強領域15は、好適には少なくとも3つのフォイル層16a、16bからいわばサンドイッチのように形成することができる。フォイル条片が少なくとも部分的に複数の層を備えること、および、ヘルド本体11を多層フォイル条片から切断または穿孔することによって簡単な製造が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は織機のヘルド枠のためのヘルドに関する。
【背景技術】
【0002】
多数のヘルドが織機のヘルド枠に配置され、その各々は1つのたて糸を保持するために用いられる。ヘルド枠の上下動によってひ(杼)口が開かれ、そこへ横糸が挿入できる。織機には複数のヘルド枠が組み込まれている。たて糸の1つのグループは、従って、1つのヘルド枠のヘルドのアイを通過する一方、その他のたて糸は、それらが別のヘルド枠のヘルドにより制御されている場合は、2つの隣接したヘルドの間の隙間を通過する。
【0003】
現代の織機においては、ヘルド枠は2つの折り返し点の間を高速度で移動するので、ヘルド枠の急加速を必要とする。このためヘルドは大きな応力にさらされる。一方では、たて糸に対し運動するにもかかわらず、それらは十分に強くなければならず、可能な限り長い耐用年数を有しなければならない。他方では、可能な限り軽いヘルドが望ましく、そうすれば、加速されなければならない多くのヘルドを有するヘルド枠全体の重量は、可能な限り低く保たれ得る。
【0004】
金属または樹脂から打ち抜かれるヘルド本体に関するヘルドは、特許文献1から知られている。アイ(糸穴)の部分は、残りのヘルド本体の平面の中で、外に曲げられるかまたは捻られており、それに加えてアイに隣接した長手方向のウェブは交差している。
【0005】
さらに、樹脂から製造されるヘルドは特許文献2から知られている。この趣旨ヘルドは、アイ部分の案内面の特別な形状に特徴がある。
【0006】
特許文献3は、さらに、アイが2つの相互にオフセットしたウェブで側を囲まれている樹脂ヘルドを開示する。アイに隣接して、上下に、厚い傾斜した部分がある。それらの目的は、隣接したヘルドを互いから少し離して保持し、2つの隣接したヘルドの間に通過するたて糸がその外面を穏やかに滑るようにすることである。
【0007】
平坦な金属帯で作成されたヘルド本体を有するヘルドは、例えば特許文献4からも知られている。特許文献5は、また樹脂製の端部小穴(耳穴)をヘルド本体の金属部分に取り付けることを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】ドイツ特許第4336362号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2224046号明細書
【特許文献3】ドイツ特許出願公開第102005030632号明細書
【特許文献4】米国特許第5348055号明細書
【特許文献5】スイス特許第601532号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の背景のもと、本発明の課題は、簡単に製造できるとともに長い寿命を有するヘルドを提供することである。このようなヘルドを製造するための方法も開示する。
【0010】
ヘルドは、長手方向に延びるとともに、たて糸を受けるアイ(糸穴)を有するヘルド本体を有する。ヘルド本体自身が端部小穴(耳穴)を有することが好ましく、この端部小穴によって、ヘルドをヘルド枠のヘルド支持レールに設けることができる。ヘルド本体は、補強領域において、少なくとも2つのフォイル層を有するか、または、フォイル層によって構成されている。これらフォイル層は、互いに平坦に置かれかつ互いに結合されている。これらフォイル層は、特に材料結合、たとえば接着によって互いに結合されている。補強領域が、サンドイッチのように2つのフォイル外側層によって囲まれた1つまたは複数のフォイル内側層を有してもよい。ヘルドは、その長さに沿って1つまたは複数の補強領域を有し得る。補強領域は、互いに対して離間して配置されていてもよいし、互いに直接隣接して配置されていてもよい。長手方向にわたって連続する複数のフォイル層からヘルド全体を形成することが可能である。
【0011】
結果として、追加のフォイル層によって少なくとも補強領域において強化されている薄いフォイル状の材料からヘルドを製造することが可能である。フォイル内側層は、たとえば、ヘルド本体の全長にわたって設けることができ、ヘルド本体が必要とする引張り強さを与える。たとえば、アイの領域において、このフォイル内側層を1つまたは複数のフォイル追加層を設けることによって補強し、それにより、たて糸による切り込みに対するヘルド本体の耐性を改善するようにしてもよい。異なるフォイル層の材料は、所望の特性に照らし合わせて選択される。
【0012】
好適な一実施形態において、個々のフォイル層は樹脂材料から製造される。ここで、樹脂材料は、樹脂母材としても機能する。この樹脂母材には、繊維、球またその他の物体等の添加要素が追加され、それにより、樹脂ベースの複合材料を形成する。添加要素は、ガラス、セラミックスまたは金属であり得る。
【0013】
樹脂または複合材料は、伝導性であってもよいし、伝導性要素を有することで樹脂製のヘルドが帯電するのを防ぐようにしてもよい。ヘルドが作業位置にあるとき、ヘルドの伝導性部材は、少なくとも1つの伝導性ヘルド支持枠に対する電気接続部を作成し、それにより、ヘルド枠のヘルド支持レールを介して放電を行い、それによってヘルド本体の帯電を防止する。樹脂製のヘルドの全体、または、伝導性とすべき多層ヘルドの個別の層のみを伝導性樹脂または複合材料から構成することが可能である。たとえば、伝導性の層またはヘルド本体全体を、たとえば金属そして/または黒鉛を有する伝導性の添加要素と組み合わせて、非伝導性の樹脂母材を含む複合材料から構成することができる。添加要素は、たとえば、長繊維そして/またはいわゆるウィスカそして/またはナノチューブまたは類似の材料から成っていてもよい。
【0014】
1つの形態として、ヘルド本体は、2つの平坦な面のうち外側の面において少なくとも部分的にそして/またはアイの領域に金属層を有する。これによって、ヘルド本体の摩擦が、特にヘルド本体がたて糸と接触する領域において、減少する。金属層は、互いに電気的に接続されていてもよく、ヘルドが作業位置にあるとき、少なくとも1つの伝導性のヘルド支持レールに対する電気接続部を形成してもよい。
【0015】
ヘルド本体は、接続領域とも呼び得る少なくとも1つの補強領域において、その補強領域に隣接する領域においてヘルド本体が有する厚さよりも大きな厚さを有していてもよい。補強領域のフォイル層の数は、接続領域のフォイル層の数よりも多くてもよい。1つの形態では、接続領域が、1つのフォイル層のみを有する単一の層から成り、その一方でこのフォイル層が1つまたは複数の補強領域において少なくとも1つの追加のフォイル層によって補強されているというだけでも充分である。結果として、ヘルドは、極めて軽量であり、ヘルド本体を補強すべき領域に材料の使用が限定される。このことは特に、たて糸を案内するアイを囲む領域そして/または端部小穴を囲む領域に当てはまる。補強領域において互いに重なって配置されているフォイル層の厚さは異なり得る。引張り強さを与えるために使われるフォイル中央層は、たとえば、その上に存在する、ヘルドが糸によって切り込まれることを防止するフォイル層の厚さよりも大きくてもよい。フォイル層の厚さは、ここでは特に、フォイル層が存在する面に対して垂直に測定される。
【0016】
上述したヘルドは、少なくとも1つの第1のフォイル条片および第2のフォイル条片を用意することによって製造される。最小限の補強領域を形成するために、2つのフォイル条片が互いに重ねられて載置され、たとえば接着剤やその他の材料結合によって互いに結合される。代替的に、フォイル条片は、たとえば多層条片を共押し出しすることによって製造される間に直接互いに結合されていてもよい。多層条片の強度を増加させるために、条片は、長さ方向に、そして/または幅の方向に対して横断する方向に引張られる。このようにして分子構造が整合し、引張り方向における強度が増加する。1つまたは複数のフォイル層を引張り、その後それらを結合して多層フォイルとすることも可能である。
【0017】
このようにして、複数の層を有する条片が、少なくとも補強領域において作成される。この場合、ヘルド本体は、少なくとも部分的な多層条片から、たとえば打ち抜き加工によって分離される。端部小穴およびアイを穿孔してもよい。ヘルド本体の外郭は、同時にまたは後で穿孔してもよい。このようにして、複数のヘルド本体を単一の多層条片から打ち抜き加工することができる。
【0018】
穿孔に代えて、ヘルド本体は、たとえばレーザー切断または超音波切断によって多層条片から切断されてもよい。
【0019】
好適な一形態において、切断または打ち抜き加工されたヘルド本体は、さらなる加工をすることなく、それ自体が完成されたヘルドとなる。この代替形態として、ヘルド本体の剛性次第では、穿孔されたヘルド本体の面からアイを囲む長手方向中央領域を回転または湾曲させることが必要になり得る。なぜなら、たて糸は、ヘルド支持レールの方向に対してほぼ直角に延びるからである。ねじり剛性が小さい極めて薄いヘルド本体においては、たて糸そのものによってアイが回転して作業位置に移動する。しかしながら、アイの領域に関しては、極めて繊細な糸の場合、可塑変形させてヘルド本体の回転トルクによってたて糸に加えられる力を減少することが必要となり得る。この種のヘルドにおいては、ヘルドが分離された後で、アイの領域における長手方向領域が湾曲および、たとえば熱による可塑変形を受けており、それによってヘルドが該当する領域に留まり続ける。
【0020】
ヘルドおよびその製造を、以下において特定の実施形態に基づいて説明する。さらなる有利な形態は、図面を参照して明細書および従属請求項から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】端部小穴およびアイの方から見たヘルドの側面を極めて概略的に示した図である。
【図2】図1に係るヘルド本体が打ち抜き加工される多層条片の概略斜視図である。
【図3】端部小穴を極めて概略的に示したヘルドのさらなる図であって、アイを囲む領域において長手方向部分が捻られた、図である。
【図4】線IV―IVに沿って切って示した図3のヘルドの長手方向に対して横断する方向の断面図である。
【図5】フォイル層の平坦面の概略図を示す、ヘルドのさらなる実施形態を示す図である。
【図6】複数のフォイル内側層と2つのフォイル外側層を有するアイの領域におけるヘルドの補強領域の一形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0022】
図面には、長手方向Lに延びるヘルド本体11を備えるヘルド10が示されている。ヘルド本体11は、ヘルド本体11のほぼ中央に位置するたて糸を導くアイ12を有する。端部小穴13が、ヘルド本体11の2つの長手方向端部のそれぞれに設けられており、ヘルド枠のヘルド支持レール上にヘルドを配置するために用いられる。ここで説明する実施形態では、端部小穴13は、閉止された環状のO形小穴として示されている。この代替形態として、側面の適所で端部小穴を開いてC形またはJ形の端部小穴を形成することも可能である。
【0023】
図面に示されているヘルド10の異なる実施形態は、実際の縮尺とは異なり極めて概略化されている。図面は、本発明に係るヘルド10およびその製造の原理を説明するためのものである。
【0024】
長手方向Lに延びる少なくとも1つの補強領域15に沿って、ヘルド本体が複数の層から構成されている。少なくともこの補強領域15の内部においては、ヘルド本体11が、フォイルの2つ以上の層16から成る。これらの層は、互いに平坦に載置されかつ互いに結合されている。フォイル層16の表面は、特に、接着剤等の材料結合によって結合されている。材料結合部は、互いに隣接して存在するフォイル層16の間の全接触面にわたって形成されていることが好ましい。代替的に、フォイルの異なる層を、共押し出しによって製造し単工程で互いに結合し、それによって接着等の後続の結合プロセスを省略することができる。
【0025】
補強領域15のフォイル層16の数は可変であり得る。2つのフォイル外側層16bの間に挟まれた少なくとも1つのフォイル中央層またはフォイル内部層16aが存在していることが好ましい。本実施形態において、少なくとも1つのフォイル内側層16aを使用して、必要な引張り強さをヘルド本体11に与える。少なくとも1つのフォイル内側層16aの厚さ、フォイル内側層16aの数、材料等は、この目的にとって適切になるよう選択される。ヘルド本体11の全体が樹脂から成ることが好ましい。異なるフォイル層、特にフォイル内側層16aおよびフォイル外側層16bが、異なる樹脂からなっていてもよい。樹脂をベースとした複合材料を採用し、その際にたとえばガラスそして/またはセラミックスそして/または金属からなり得る添加要素を樹脂母材に組み入れることが可能である。添加要素は、短繊維(ウィスカとして知られている)そして/または球そして/またはその他の小さな物体から形成することができる。しかし、フォイルのそれぞれの層については均一の材料を使用する。
【0026】
補強領域15において、2つのフォイル外側層16bを使用して、たて糸19またはヘルド支持レールから生じるヘルド本体11の摩擦に対する耐性を改善する。この理由のために、好適な一実施形態では、少なくとも3つの補強領域15が設けられる。2つの端部小穴13およびアイ12が、これら3つの補強領域15に設けられている。ヘルド本体11は、特に、中央補強領域15においてたて糸19によって刻み目をつけられることがないように保護される。ヘルド19は作業位置において急激に高速に移動され、アイ12を通過するたて糸を受け取り、それにより、糸を所望の位置に導く。高速になる結果、たて糸19とヘルド本体11との間に比較的大きな力ももたらされる。このため、アイ12を囲む2つのフォイル外側層16bが、特に摩擦に抵抗性がありかつヘルド10に対して長い寿命を保証する樹脂または複合材料から製造される。たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリカーボネートが、少なくともフォイル内側層16aに使われ得る。たとえばポリアミドをフォイル外側層16bに使用することができる。上述した樹脂は、複合材料内の樹脂母材として使用することもできる。ヘルド本体11を製造するために、フォイル条片を用意して、互いに平坦に結合し、たとえば図2に示すような多層条片17を構成する。この実施形態において、ヘルド本体11の全体が、全長Lにわたって複数の層から成る。長手方向Lのフォイル層16の数は、ヘルド本体全体にわたって一定である。フォイル16のすべての層が、ヘルド本体11の全長にわたって延在している。
【0027】
ヘルド本体11は、このような多層フォイル条片17から後に分離される。ヘルド本体11は、打ち抜き加工されることが好ましい。打ち抜きプロセスは、1つまたは複数の工程で行われ得る。まず、アイ12および端部小穴13を、最初の打ち抜き工程としてフォイル条片17から打ち抜き加工することが可能である。外郭18を、続いて打ち抜き加工する。代替的に、打ち抜き工程を同時に行うこともできる。図1に概略的に示すように、打ち抜き加工の後、ヘルド本体11が打ち抜き加工部分として得られる。
【0028】
ヘルド本体11のねじり剛性に応じて、図3および図4に示すように、アイ12が存在している面を端部小穴13が存在している面に対して捻ることが必要になる場合がある。この目的のために、ヘルド本体11の中央長手方向領域を、可塑変形させることができ、それによって、アイの面を、端部小穴13が存在する面に対して捻られた位置で固定することができる。これによって、たて糸19がヘルド10によるトルクにさらされないかたちでたて糸19をアイ12に通過させることが可能になる。
【0029】
ヘルド本体11のフォイル層16は、ヘルド本体11よりも長手方向Lにおいて短くなっており、かつ1つの補強領域15のみに設けてもよい。長手方向Lに対して垂直な横断方向Qにおいて、かつ、フォイル層16が存在する面において、すべてのフォイル層16がヘルド本体11の全幅にわたって延在する。
【0030】
図1ないし図4に示されている実施形態の変形例として、図5に係るヘルド10の実施例において、ヘルド本体11が、長手方向Lに非均一な厚さを有して形成されている。このヘルド本体は、複数の補強領域15を備えており、この例では3つを備えている。これらの領域は、長手方向Lにおいて互いに分離されている。これらの領域は、端部小穴13の近傍にある2つの端部領域に、かつ、アイ12の中央領域に位置している。端部の2つの補強領域12のそれぞれが、接続領域2によって中央補強領域15に接続されている。接続領域12内のフォイル層16の数は、補強領域15内よりも小さくなっている。実施例において、接続領域は、1つの中央または内部層16aのみを有する。このフォイル内側層16aは、ヘルド本体11全体にわたり連続して長手方向Lにおいて延在している。補強領域において、フォイル内側層16aは、少なくとも1つの追加フォイル層、本例では、サンドイッチのように対向する側に位置にする2つのフォイル外側層16bによって補強されている。この種のヘルド10を製造するために、多層条片17は、ヘルド本体11が打ち抜き加工された後で補強領域15が補強すべき部分に対応する領域において、複数のフォイル層を有しているにすぎない。この種のフォイル条片17の前縁部の図像は、図5に対応している。
【0031】
フォイル16のそれぞれの層は、その機能そして/または使用される材料に応じて、異なる厚さを有していてもよい。単なる一例として、異なる厚さを有するフォイル層16を図6に示してある。この実施例においては、複数のフォイル内側層16aが設けられる。これらの層はそれぞれ、厚さdaを有する。フォイル内側層16aはすべて、ヘルド本体11の全体に沿って長手方向Lに延在する。したがって、全厚さdaは、設けられているフォイル内側層16aの数によって増加する。この例では、5つのフォイル内側層16aが設けられており、その数は仕様に従って選択することができる。たとえば、特定の用途に応じて、ヘルド10の引張り強さを、内側フォイル層16aの数を増加することによって向上させることができる。これによって、ヘルド10を極めて柔軟にかつ経済的に製造することができ、その際、異なる負荷に対して製造を極めて簡単に適合させることができる。
【0032】
これに対して、2つのフォイル外側層16bの厚さdbは、すべてのフォイル内側層16aの全厚さdiよりも小さく、たとえば、フォイル内側層16a単体の厚さdaよりも大きい。この変形例として、複数のフォイル外側層16bをヘルド本体11の両側に設けることも可能である。
【0033】
本発明は、少なくとも部分的に複数の層からなるヘルド本体11を備えるヘルド10に関する。ヘルド本体11は、複数のフォイル層16から成る少なくとも1つの補強領域15を備える。少なくとも1つのフォイル内側層16aが、ヘルド本体11の全体に沿って長手方向Lに延在していることが好ましい。この少なくとも1つのフォイル内側層16aは、特に、ヘルド本体11のアイ12の周囲の領域そして/または端部小穴13の周囲の領域において、少なくとも1つの、好ましくは2つのフォイル外側層16bによって補強され、それにより、補強領域15が形成されている。補強領域15は、好ましくは少なくとも3つのフォイル層16a、16bからいわばサンドイッチのように形成することができる。フォイル条片が少なくとも部分的に複数の層を備えること、および、ヘルド本体11を多層フォイル条片から切断または穿孔することによって簡単な製造が行われる。
【符号の説明】
【0034】
10 ヘルド
11 ヘルド本体
12 アイ(糸穴)
13 端部小穴
15 補強領域
16 フォイル層
16a フォイル内側層
16b フォイル外側層
17 フォイル条片
18 外郭
19 たて糸
21 接続領域
da フォイル内側層の厚さ
db フォイル外側層の厚さ
di すべてのフォイル内側層の合計厚さ
L 長手方向
Q 横断方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向(L)に延在するとともに、たて糸(19)を受け取るために用いるアイ(12)を有するヘルド本体(11)を備え、
当該ヘルド本体(11)は、少なくとも1つの補強領域(15)において、互いに平坦に載置されるとともに互いに結合される少なくとも2つのフォイル層(16)を有する
ヘルド枠のためのヘルド(10)。
【請求項2】
少なくとも3つの前記フォイル層(16)が、前記補強領域(15)において設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のヘルド。
【請求項3】
前記ヘルド本体(11)は、少なくとも2つの前記フォイル層(16)をそれぞれ有する複数の前記補強領域(15)を備える、ことを特徴とする請求項1に記載のヘルド。
【請求項4】
前記ヘルド本体(11)の接続領域(21)は、少なくとも2つの前記フォイル層(16a、16b)を備える前記ヘルド本体(11)の前記補強領域(15)に隣接しており、当該接続領域(21)は、隣接する前記補強領域(15)よりも少ない数の前記フォイル層(16a)を備える、ことを特徴とする請求項1に記載のヘルド。
【請求項5】
前記ヘルド本体(11)は、前記接続領域(21)において1つの前記フォイル層(16a)のみを有する、ことを特徴とする請求項4に記載のヘルド。
【請求項6】
前記ヘルド本体(11)全体が、少なくとも2つの前記フォイル層(16)からなる、ことを特徴とする請求項1に記載のヘルド。
【請求項7】
少なくとも1つのフォイル中央層(16a)が、前記ヘルド本体(11)の全長に沿って長手方向(L)において延在する、ことを特徴とする請求項1に記載のヘルド。
【請求項8】
前記フォイル中央層(16a)は、2つの前記フォイル内側層(16b)の間の前記補強領域(15)に位置している、ことを特徴とする請求項7に記載のヘルド。
【請求項9】
1つの前記フォイル層(16a)が第1の材料から成り、少なくとも1つの他の前記フォイル層(16b)が第2の材料から成る、ことを特徴とする請求項1に記載のヘルド。
【請求項10】
前記ヘルド本体(11)は樹脂材料から成る、ことを特徴とする請求項1に記載のヘルド。
【請求項11】
前記補強領域(15)において2つの前記フォイル層(16a、16b)の厚さ(da、db)は異なる大きさである、ことを特徴とする請求項1に記載のヘルド。
【請求項12】
互いに結合される複数の条片層(17)を設け、
当該複数の条片層(17)からヘルド本体(11)を分離する、
ステップを含む、
長手方向(L)において延在するとともに、たて糸(19)を受け取るために使用されるアイ(12)を有するヘルド本体(11)を備えるヘルド(10)を製造するための方法。
【請求項13】
前記ヘルド本体(11)を分離するとき、端部小穴(13)および前記アイ(12)が、少なくとも部分的に前記多層の条片(17)から打ち抜き加工され、同時にまたは続いて、前記ヘルド本体(11)の外郭(18)が打ち抜き加工される、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ヘルド本体(11)が前記少なくとも部分的に前記多層の条片(17)から分離された後で、前記アイ(12)の領域が可塑変形される、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記多層の条片(17)が共押し出しによって製造されるか、または、前記多層の条片(17)が複数のフォイル層(16)から別個の結合プロセスを使用して製造される、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−207355(P2012−207355A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−45087(P2012−45087)
【出願日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【出願人】(598132646)グロツ・ベッケルト コマンディートゲゼルシャフト (77)